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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ベルト、及び血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61B5/022 300A
A61B5/022 300F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018199476
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020065651
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小原 昇
(72)【発明者】
【氏名】西田 知之
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】水野 真治
(72)【発明者】
【氏名】北上 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-338403(JP,A)
【文献】特開平7-329110(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105996334(CN,A)
【文献】国際公開第2017/119388(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に構成された第1ベルトと、
樹脂材料から帯状に構成され、長手方向に沿って複数形成される第1孔を有するベルト本体、及び前記ベルト本体内に配され、複数の前記第1孔のそれぞれを内側に配置する複数の第2孔を有し、隣り合う2つの前記第2孔間の部分の、前記ベルト本体の幅方向に直交する断面が、短辺を生体側に配置する台形状に構成される、前記樹脂材料よりも引っ張り強度が高い材料で形成されたインサートを備える第2ベルトと、
前記第1ベルト及び前記第2ベルトを接続する接続具と、
を備えるベルト。
【請求項2】
前記インサートは、前記第2ベルトの形成に用いられる型内での位置決めをする位置決め部を有する
請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
帯状に構成された第1ベルト、樹脂材料から帯状に構成され、長手方向に沿って複数形成される第1孔を有するベルト本体、及び前記ベルト本体内に配され、複数の前記第1孔のそれぞれを内側に配置する複数の第2孔を有し、隣り合う2つの前記第2孔間の部分の、前記ベルト本体の幅方向に直交する断面が、短辺を生体側に配置する台形状に構成される、前記樹脂材料よりも引っ張り強度が高い材料で形成されたインサートを備える第2ベルト、並びに、前記第1ベルト及び前記第2ベルトを接続する接続具を具備するベルトと、
前記ベルトの内側に設けられ、流体により膨張するカフ構造体と、
を備える血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト、及び血圧を測定する血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。血圧測定装置は、例えば、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフを膨張及び収縮させ、圧力センサによりカフの圧力を検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。
【0003】
また、ベルト内に、ベルトより引っ張り強度の高い材料で形成されたインサートを設けることで、カフが膨張した際にベルトが伸びることを防止する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-121479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インサートを、板状の部材から例えばプレスによる型抜き加工により形成すると、インサートの縁部にバリを生じる場合がある。インサートの縁部がバリを有する場合、血圧測定装置に使用中にベルトに応力が生じると、応力がバリに集中し、ベルト内のバリの近傍に割れが生じる虞がある。
【0006】
この為、本発明は、耐久性を向上できるベルト、及び血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、帯状に構成された第1ベルトと、樹脂材料から帯状に構成され、長手方向に沿って複数形成される第1孔を有するベルト本体、及び前記ベルト本体内に配され、複数の前記第1孔のそれぞれを内側に配置する複数の第2孔を有し、隣り合う2つの前記第2孔間の部分の、前記ベルト本体の幅方向に直交する断面が、短辺を生体側に配置する台形状に構成される、前記樹脂材料よりも引っ張り強度が高い材料で形成されたインサートを備える第2ベルトと、前記第1ベルト及び前記第2ベルトを接続する接続具と、を備えるベルトが提供される。
【0008】
ここで、引っ張り強度とは、引っ張り荷重に対する伸びの程度を示す。引っ張り強度が高い材料は、例えば樹脂材料であり、一例として、高強力ポリアリレート繊維、液晶ポリマー、PET樹脂、PEN樹脂があげられる。また、ここで、生体は、例えば、手首又は上腕である。
【0009】
この態様によれば、インサートの第2孔間の部分の断面が台形状に構成され、当該台形の短辺を含む第2孔間の部分の主面が、当該台形の長辺を含む第2孔間の部分の主面に対して生体側に配置され、かつ、これら両主面を結ぶ傾斜した側面が、ベルト本体の第1孔に対向する。
【0010】
この為、ベルトを生体に装着した状態で、第2孔の生体側から荷重が印加されると、インサートの第2孔間の部分は、側面で荷重を受ける。この為、インサートの第2孔間の部分の周囲に応力が集中することを抑制できるので、ベルト本体内の割れを抑制できる。結果、ベルトの耐久性を向上できる。
【0011】
上記一態様のベルトにおいて、前記インサートは、前記第2ベルトの形成に用いられる型内での位置決めをする位置決め部を有するベルトが提供される。
【0012】
この態様によれば、第2ベルトを製造する際に、型内でインサートを位置決め可能となる。
【0013】
一態様によれば、帯状に構成された第1ベルト、樹脂材料から帯状に構成され、長手方向に沿って複数形成される第1孔を有するベルト本体、及び前記ベルト本体内に配され、複数の前記第1孔のそれぞれを内側に配置する複数の第2孔を有し、隣り合う2つの前記第2孔間の部分の、前記ベルト本体の幅方向に直交する断面が、短辺を生体側に配置する台形状に構成される、前記樹脂材料よりも引っ張り強度が高い材料で形成されたインサートを備える第2ベルト、並びに、前記第1ベルト及び前記第2ベルトを接続する接続具を具備するベルトと、前記ベルトの内側に設けられ、流体により膨張するカフ構造体と、を備える血圧測定装置が提供される。
【0014】
この態様によれば、インサートの第2孔間の部分の断面が台形状に構成され、当該台形の短辺を含む第2孔間の部分の主面が、当該台形の長辺を含む第2孔間の部分の主面に対して生体側に配置され、かつ、これら両主面を結ぶ傾斜した側面が、ベルト本体の第1孔に対向する。
【0015】
この為、ベルトを生体に装着した状態で、第2孔の生体側から荷重が印加されると、インサートの第2孔間の部分は、側面で荷重を受ける。この為、インサートの第2孔間の部分の周囲に応力が集中することを抑制できるので、ベルト本体内の割れを抑制できる。結果、ベルトの耐久性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、耐久性を向上できるベルト、及び血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図2】同血圧測定装置の構成を示す斜視図。
図3】同血圧測定装置の構成を分解して示す斜視図。
図4】同血圧測定装置を手首に装着した状態を示す説明図。
図5】同血圧測定装置の構成を示すブロック図。
図6】同血圧測定装置の装置本体及びカーラの構成を示す斜視図。
図7】同血圧測定装置の第1ベルトの構成を示す断面図。
図8】同血圧測定装置の第2ベルトの構成を示す斜視図。
図9】同第2ベルトの構成を一部切り欠いて示す斜視図。
図10】同第2ベルトの第2インサートを示す平面図。
図11】同第1ベルトの尾錠の構成を示す断面図。
図12】同第2ベルトの製造方法の一例を示す説明図。
図13】同血圧測定装置のカフ構造体の構成を示す平面図。
図14】同血圧測定装置のカフ構造体の他の構成を示す平面図。
図15】同血圧測定装置のベルト、カーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図16】同血圧測定装置のカーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図17】同血圧測定装置のカーラ、カフ構造体の構成を示す断面図。
図18】同血圧測定装置を手首に装着した状態で、カフ構造体を膨張させたときの構成を示す説明図。
図19】同血圧測定装置を手首に装着した状態で、カフ構造体を膨張させたときの構成を断面で示す断面図。
図20】同血圧測定装置の使用の一例を示す流れ図。
図21】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図22】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図23】同血圧測定装置を手首に装着する一例を示す斜視図。
図24】同血圧測定装置を手首に装着した状態で、カフ構造体を膨張させたときの尾錠の近傍の構成を示す断面図。
図25】本発明の第2の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの構成を示す断面図。
図26】本発明の第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの第2インサートの構成を示す平面図。
図27】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
図28】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
図29】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
図30】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
図31】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
図32】本発明の第1乃至第3の実施形態に係る血圧測定装置の第2ベルトの孔補強部の構成の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の一例について、図1乃至図13を用いて以下例示する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧測定装置1の構成を、ベルト4を閉じた状態で示す斜視図である。図2は、血圧測定装置1の構成を、ベルト4を開いた状態で示す斜視図である。図3は、血圧測定装置1の構成を示す分解斜視図である。図4は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態を断面で示す説明図である。図5は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。図6は、血圧測定装置1の装置本体3及びカーラ5の構成を示す斜視図である。
【0020】
図7は、血圧測定装置1の第1ベルト61の構成を、第1ベルト61の長手方向に直交する断面で示す断面図である。図8は、血圧測定装置1の第2ベルト62の構成を示す斜視図である。図9は、第2ベルト62の構成を一部切り欠いて示す斜視図である。図10は、第2ベルト62の第2インサート66を示す平面図である。なお、図10中、第2ベルト62の外郭の一部を2点鎖線で示している。図11は、第1ベルト61の尾錠61cの構成を示す断面図である。図12は、第2ベルト62の製造方法の一例を示す説明図である。
【0021】
図13は、血圧測定装置1のカフ構造体6の構成を示す平面図である。図14は、血圧測定装置1のカフ構造体6の他の構成を示す平面図である。図15は、血圧測定装置1の平カフ71側における、ベルト4、カーラ5及びカフ構造体6の構成を図13中XV-XV線断面で示す断面図である。図16は、血圧測定装置1の甲カフ74側における、カーラ5及びカフ構造体6の構成を図13中XVI-XVI線断面で示す断面図である。図17は、血圧測定装置1の甲カフ74側における、カーラ5及びチューブ92を省略したカフ構造体6の構成を図13中XVII-XVII線断面で示す断面図である。図18は、血圧測定装置1を手首200に装着した状態で、カフ構造体6を膨張させたときの構成を示す説明図である。図19は、血圧測定装置1を手首に装着した状態で、カフ構造体6を膨張させたときの構成を図13中XIX-XIX線断面で示す説明図である。
【0022】
血圧測定装置1は、生体に装着する電子血圧測定装置である。本実施形態においては、生体の手首200に装着するウェアラブルデバイスの態様をもつ電子血圧測定装置を用いて説明する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、血圧測定装置1は、装置本体3と、手首に装置本体3を固定するベルト4と、ベルト4及び手首の間に配置されるカーラ5と、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を有するカフ構造体6と、装置本体3及びカフ構造体6を流体的に接続する流体回路7と、を備えている。
【0024】
図1乃至図5に示すように、装置本体3は、例えば、ケース11と、表示部12と、操作部13と、ポンプ14と、流路部15と、開閉弁16と、圧力センサ17と、電力供給部18と、振動モータ19と、制御基板20と、を備えている。装置本体3は、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17及び制御基板20等によって、カフ構造体6に流体を供給する。
【0025】
図1乃至図3に示すように、ケース11は、外郭ケース31と、外郭ケース31の上部開口を覆う風防32と、外郭ケース31の内部の下方に設けられた基部33と、外郭ケース31の下方を覆う裏蓋35と、を備えている。
【0026】
外郭ケース31は、円筒状に形成される。外郭ケース31は、外周面の周方向で対称位置にそれぞれ設けられた一対のラグ31aと、2つの一対のラグ31a間にそれぞれ設けられるバネ棒31bと、を備えている。風防32は、例えば、円形状のガラス板である。
【0027】
基部33は、表示部12、操作部13、ポンプ14、開閉弁16、圧力センサ17、電力供給部18、振動モータ19及び制御基板20を保持する。また、基部33は、例えば、ポンプ14及びカフ構造体6を流体的に連続する流路部15の一部を構成する。
【0028】
裏蓋35は、外郭ケース31の生体側の端部を覆う。裏蓋35は、例えば4つのビス35a等によって外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。
【0029】
表示部12は、外郭ケース31の基部33上であって、且つ、風防32の直下に配置される。図5に示すように、表示部12は、電気的に制御基板20に接続される。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部12は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0030】
操作部13は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部13は、図5に示すように、ケース11に設けられた複数の釦41と、釦41の操作を検出するセンサ42と、表示部12又は風防32に設けられたタッチパネル43と、を備える。操作部13は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。センサ42及びタッチパネル43は、電気的に制御基板20に接続され、電気信号を制御基板20へ出力する。
【0031】
複数の釦41は、例えば3つ設けられる。釦41は、基部33に支持されるとともに、外郭ケース31の外周面から突出する。複数の釦41及び複数のセンサ42は、基部33に支持される。タッチパネル43は、例えば、風防32に一体に設けられる。
【0032】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、空気を圧縮し、流路部15を介して圧縮空気をカフ構造体6に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板20に接続される。
【0033】
流路部15は、図5に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路を構成する。また、流路部15は、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を構成する。流路部15は、基部33等に設けられた中空部、溝及びチューブ等により構成された空気の流路である。
【0034】
開閉弁16は、流路部15の一部を開閉する。開閉弁16は、例えば、図5に示すように、複数設けられ、各開閉弁16の開閉の組み合わせによりポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路、平カフ71及び甲カフ74から大気へつながる流路、及び、センシングカフ73から大気へつながる流路を選択的に開閉する。例えば、開閉弁16は、2つ用いられる。
【0035】
圧力センサ17は、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力を検出する。圧力センサ17は、電気的に制御基板20に接続される。圧力センサ17は、検出した圧力を電気信号に変換し、制御基板20へ出力する。圧力センサ17は、例えば、図5に示すように、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74へつながる流路、及び、ポンプ14からセンシングカフ73へつながる流路に設けられる。これらの流路は平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74と連続することから、これら流路内の圧力が平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力となる。
【0036】
電力供給部18は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部18は、制御基板20に電気的に接続される。電力供給部18は、制御基板20に電力を供給する。
【0037】
図5及び図6に示すように、制御基板20は、例えば、基板51と、加速度センサ52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55と、を備えている。制御基板20は、加速度センサ52、通信部53、記憶部54及び制御部55が基板51に実装されることで構成される。
【0038】
基板51は、ケース11の基部33にビス等によって固定される。
【0039】
加速度センサ52は、例えば、3軸加速度センサである。加速度センサ52は、装置本体3の互いに直交する3方向の加速度を表す加速度信号を制御部55に出力する。例えば、加速度センサ52は、検出された加速度から血圧測定装置1を装着した生体の活動量を測定するために用いられる。
【0040】
通信部53は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部53は、例えば、制御部55によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0041】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブルなどを用いた外部の装置との直接的な通信であってもよい。このため、通信部53は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0042】
記憶部54は、血圧測定装置1全体及び流体回路7を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、圧力センサ17で測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部54は、測定された血圧値や脈拍等の情報を記憶する。
【0043】
制御部55は、単数又は複数のCPUにより構成され、血圧測定装置1全体の動作、及び、流体回路7の動作を制御する。制御部55は、表示部12、操作部13、ポンプ14、各開閉弁16及び各圧力センサ17に電気的に接続されるとともに、電力を供給する。また、制御部55は、操作部13及び圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、表示部12、ポンプ14及び開閉弁16の動作を制御する。
【0044】
例えば、制御部55は、図5に示すように、血圧測定装置1全体の動作を制御するメインCPU(Central Processing Unit)56及び流体回路7の動作を制御するサブCPU57を有する。例えば、メインCPU56は、圧力センサ17が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部12へ出力する。
【0045】
例えば、サブCPU57は、操作部13から血圧を測定する指令が入力されると、ポンプ14及び開閉弁16を駆動して平カフ71及びセンシングカフ73に圧縮空気を送る。また、サブCPU57は、圧力センサ17が出力する電気信号に基づいて、ポンプ14の駆動及び停止、並びに、開閉弁16の開閉を制御する。サブCPU57は、ポンプ14及び開閉弁16を制御することで、圧縮空気を平カフ71及びセンシングカフ73に選択的に送るとともに、平カフ71及びセンシングカフ73を選択的に減圧する。
【0046】
図1乃至図3に示すように、ベルト4は、一方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第1ベルト61と、他方の一対のラグ31a及びバネ棒31bに設けられた第2ベルト62と、を備える。ベルト4は、カーラ5を介して手首200に巻き付けられる。
【0047】
図3に示すように、第1ベルト61は、所謂親と呼ばれ、帯状に構成される。第1ベルト61は、一方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第1孔部61aと、他方の端部に設けられ、第1ベルト61の長手方向に直交する第2孔部61bと、第2孔部61bに設けられた尾錠61cと、を有する。第1孔部61aは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第1ベルト61が回転可能な内径を有する。即ち、第1ベルト61は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第1孔部61aが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0048】
第2孔部61bは、第1ベルト61の先端に設けられる。尾錠61cは、矩形枠状の枠状体61dと、枠状体61dに回転可能に取り付けられたつく棒61eと、を有する。枠状体61dは、つく棒61eが取り付けられた一辺が第2孔部61bに挿入され、第1ベルト61に関して回転可能に取り付けられる。
【0049】
つく棒61eは、図11及び図24に示すように、支持部61fと、棒部61gと、を有する。支持部61fは、内側に枠状体61dの一辺を回転可能に配置する環状に構成される。
棒部61gは、支持部61fと一体に形成される。棒部61gは、2つの屈曲部を有する形状に構成される。具体例として、棒部61gは、支持部61fに連続する第1の部分61g1と、第1の部分61g1に対して屈曲して連続する第2の部分61g2と、第2の部分61g2に対して屈曲して連続する第3の部分61g3と、を有し、第1の部分61g1及び第2の部分61g2により1つの屈曲部が構成され、第2の部分61g2及び第3の部分61g3により1つの屈曲部が構成される。
【0050】
第1の部分61g1は、第1ベルト61が第2ベルト62に接続されたときに、ベルト4の内側に配置される。第1の部分61g1は、支持部61fから一方向に延びる形状に構成される。
【0051】
第2の部分61g2は、第1ベルト61が第2ベルト62に接続されたときに、第2ベルト62の小孔62aに配置される。第2の部分61g2は、第1の部分61g1の一端から、屈曲して第1の部分61g1の延びる方向と交差する方向に延びる形状に構成される。
【0052】
また、第2の部分61g2は、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、小孔62aの手首200側の縁に当接し、当該縁に対して、第2ベルト62の後述する第2インサート66の側面69cに向かって荷重を印加する形状を有している。
【0053】
具体的には、第2の部分61g2と第1の部分61g1とのなす角度αは、第2の部分61g2から小孔62aの縁に印加される荷重の方向が、第2インサート66の側面69cに直交する方向、または、略直交する方向となる角度に設定されている。角度αは、例えば120度である。
【0054】
第3の部分61g3は、枠状体61dに当接する。第3の部分61g3は、第2の部分61g2の一端から、屈曲して第2の部分61g2の延びる方向に交差する方向に延びる形状に構成される。具体的には、第3の部分61g3は、第1の部分61g1及び第2の部分61g2により規定される面内で、第2の部分61g2に対して交差する方向に延びる形状に構成される。
【0055】
このように構成されたつく棒61eは、例えば、棒形状の部材に対して曲げ加工を施すことで構成される。
【0056】
図7に示すように、第1ベルト61は、第1ベルト本体63と、第1インサート64と、を備える。
第1ベルト本体63は、内部に第1インサート64を配置する。第1ベルト本体63は、例えば熱硬化性樹脂で構成される。第1ベルト本体63は、例えば弾性変形可能な、柔軟性を有する樹脂材料で構成される。熱硬化性樹脂の1種として、例えば熱硬化性エラストマーがあり、熱硬化性エラストマーの1種として例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂がある。
【0057】
第1インサート64は、第1ベルト本体63内に配されている。第1インサート64は、幅方向及び周方向の長さが、第1ベルト本体63よりも僅かに短く構成され、第1ベルト本体63に覆われている。
【0058】
第1インサート64は、第1ベルト本体63を構成する樹脂材よりも引っ張り強度が高い材料で構成された、例えばシートである。ここでいう、引っ張り強度とは、引っ張り荷重に対して伸びの程度を示す。
【0059】
具体的には、第1インサート64の材料は、生体の周方向における引っ張り強度が第1ベルト本体63を構成する熱硬化性樹脂よりも高く構成される。第1インサート64の材料の例としては、例えば高強力ポリアリレート(ベクトラン)繊維、液晶ポリマー、PET樹脂、PEN樹脂、等があげられる。第1インサート64は、メッシュ状あるいはフィルム状に構成される。
【0060】
図8に示すように、第2ベルト62は、所謂剣先と呼ばれ、枠状体61dに挿入可能な幅を有する帯状に構成される。また、第2ベルト62は、つく棒61eが挿入される小孔62aを複数有する。また、第2ベルト62は、一方の端部に設けられ、第2ベルト62の長手方向に直交する第3孔部62bを有する。第3孔部62bは、バネ棒31bを挿入可能、且つ、バネ棒31bに関して第2ベルト62が回転可能な内径を有する。即ち、第2ベルト62は、一対のラグ31aの間であって、且つ、バネ棒31bに第3孔部62bが配置されることで、外郭ケース31に回転可能に保持される。
【0061】
図9に示すように、第2ベルト62は、第2ベルト本体65と、第2インサート66と、を備える。
第2ベルト本体65は、内部に第2インサート66を配置する。第2ベルト本体65は、例えば熱硬化性樹脂で構成される。第2ベルト本体65は、例えば、上述の第1ベルト61の第1ベルト本体63と同じ材料で構成される。
【0062】
第2インサート66は幅方向及び周方向の長さが、第2ベルト本体65よりも短く構成され、第2ベルト本体65に覆われている。第2インサート66は、第2ベルト本体65内に配される。第2インサート66は、第2ベルト62の厚み方向の中央に配置される。第2インサート66の長手方向の端部に、例えば、第3孔部62bが形成される。
【0063】
第2インサート66は、薄い板状部材から構成される。第2インサート66を構成する材料は、第2ベルト本体65を構成する材料よりも引っ張り強度が高い材料である。引っ張り強度とは、引っ張り荷重に対する延びの程度を示す。第2インサート66は、例えば、上述の第1ベルト61の第1インサート64と同じ材料で構成される。
【0064】
図10に示すように、第2インサート66の一方の主面67には、位置決め用のピンが嵌合する嵌合部67aが形成されている。嵌合部67aは、型により第2インサート66と樹脂材料から第2ベルト62を形成するときに、型に対する第2インサート66の位置決めを行う。嵌合部67aは、一例として、第2インサート66を貫通する孔である。なお、嵌合部67aは、孔に構成されることに限定されない。嵌合部67aは、凹部であってもよい。嵌合部67aは、第2インサート66の左右方向に対して中心からずれた位置に形成される。なお、第2インサート66は、嵌合部67a以外の構成は、左右対称な形状に構成される。ここで、左右対称とは、第2インサート66の幅方向の中心を通り、第2インサート66の長手方向に平行な中心線に対して、対称であることである。すなわち、第2インサート66は、嵌合部67aを有することで、左右非対称な形状となる。
【0065】
また、第2インサート66は、内側に小孔62aを配置する複数の孔68を有する。複数の孔68のそれぞれは、第2インサート66を厚み方向に貫通している。孔68は、小孔62aよりも大きい形状に構成される。
【0066】
図24に示すように、第2インサート66の、隣り合う孔68の間の部分は、第2ベルト本体65内に配置される。ここで、第2インサート66の、隣り合う孔68の間の部分を、孔補強部69と称する。孔補強部69は、例えば、第2ベルト62の厚み方向で中央に配置される。具体的には、孔補強部69の厚み方向の中心が、第2ベルト本体65の厚み方向の中心と一致する。
【0067】
また、孔補強部69は、隣り合う小孔62a間に配置される。具体的には、孔補強部69の中心は、隣り合う2つの小孔62aの間の部分の中心に配置される。また、孔補強部69の、第2ベルト62の長手方向に沿う長さは、血圧測定装置1の使用時に、孔補強部69に変形が生じない程度の長さを有している。
なお、第2ベルト62の隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1は、ベルト4を様々な使用者の手首200に対して適切な締め付け力により装着可能であり、かつ、第2ベルト62の隣接する2つの小孔62a間の部分の強度を、血圧測定に起因して当該部分が延びる等の変形を生じることがない強度にすることが可能な長さに設定されている。
ここで言う、隣接する2つの小孔62aの第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1とは、互いに対向する、一方の小孔62aの縁及び他方の小孔62aの縁間の、第2ベルト62の長手方向に沿う最短の長さである。すなわち、長さL1は、第2ベルト62の、隣接する2つの小孔62aに挟まれた部分の、第2ベルト62の長手方向に沿う最短の長さである。
本実施形態では、小孔62aは、一例として、第2ベルト62の長手方向に直交する幅方向に長い長孔状に形成されており、幅方向に平行な2つの縁を有する構成である。この為、本実施形態では、図9に示すように、隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1は、隣接する2つの小孔62aの幅方向に沿う縁間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さである。隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1の最適値は、4mmである。
また、ここで言う適切な締め付け力とは、血圧を正確に測定できる締め付け力である。隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1を4mmとすることにより、ベルト4による手首200に対する締め付け力を細かく調整することが可能となる。この為、使用者によって手首200の周方向の長さは異なるが、隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1を4mmとすることにより、様々な使用者の手首200のそれぞれに対して、正確な血圧を測定可能とする締め付け力を生じさせる、つく棒61eを挿入する小孔62aを選択できる。
さらに、隣接する2つの小孔62a間の第2ベルト62の長手方向に沿う長さL1を4mmとすることにより、第2ベルト62の隣接する2つの小孔62a間の部分の強度を、血圧測定によりつく棒61eから入力される荷重に対しても、当該部分が変形することを防止できる強度とすることが可能となる。この為、繰り返しの血圧測定対しても、小孔62aに変形が生じないので、正確な血圧測定を行うことが可能となる。
【0068】
また、孔補強部69の、第2ベルト62の幅方向に直交する断面は、台形状に構成される。すなわち、孔補強部69は、第2ベルト62の一方の主面に対向する第1面69aと、第2ベルト62の他方の主面に対向する第2面69bと、第1面69a及び第2面69bに連続する2つの側面69cと、を有する。図24に示すように、第1面69aは、血圧測定装置1が手首200の装着されたときに、第2面69bに対して手首200側に配置される。
【0069】
第1面69aの、第2ベルト62の長手方向に沿う長さは、第2面69bの、第2ベルトの長手方向に沿う長さよりも短い。両側面69cは、第1面69a及び第2面69bに対して傾斜する傾斜面である。第1面69a及び一方の側面69cのなす角度、並びに、第1面69a及び他方の側面69cのなす角度は、例えば鈍角である。第2面69b及び一方の側面69cのなす角度、並びに、第2面69b及び他方の側面69cのなす角度は、例えば鋭角である。
【0070】
第2ベルト本体65の、孔68及び小孔62a間の厚み、換言すると、第2ベルト本体65の、第2ベルト62の長手方向に沿う、孔68及び小孔62a間の長さは、血圧測定装置1の繰り返しの使用時に入力されるつく棒61eからの荷重による第2ベルト62の表面の割れを抑制するできる程度の厚みを有している。
【0071】
すなわち、第2ベルト62の長手方向に沿う小孔62a及び側面69c間の部分は、血圧測定装置1の使用時に、つく棒61eから入力される荷重により変形するが、この部分の厚みが厚いと、その分変形代が大きくなることから変形が大きくなる。結果、変形に起因して、第2ベルト62の外面の割れが大きくなる虞がある。本実施形態では、第2ベルト62の長手方向に沿う小孔62a及び孔68間の厚みを、第2ベルト62の長手方向に沿う小孔62a及び孔68間の部分の変形を小さくして血圧測定装置1の繰り返しの使用に伴いつく棒61eから入力される荷重により生じる変形に起因した第2ベルト62の外面の割れを抑制できる程度の厚みに構成している。
【0072】
このように構成される第2インサート66は、薄い板状の部材に対して、例えばプレスによる型抜き加工を施すことにより、構成される。プレスによる型抜き加工により第2インサート66を形成する場合では、孔補強部69の断面は、型が押し付けられる側の面の幅に対して、他方の面の幅が長い台形状に構成される。なお、ここで言う、型が押し付けられる側の面は、第2面69bを構成する面である。型が押し付けられる側の面の幅とは、第2ベルト62の長手方向に沿う長さである。すなわち、プレスによる型抜き加工により第2インサート66を形成することで、孔補強部69の断面形状は、台形状に構成される。
【0073】
次に、一実施形態に係る血圧測定装置1の製造方法の一部であるベルト4の製造方法の一例について、第2ベルト62を代表して説明する。
【0074】
本実施形態の製造方法では、一例として、まず、一次成型により一次成型品62Aを形成し、次に、二次成形により第2ベルト62を完成する。まず、図12のステップST11に示すように、一次成型品62Aを形成する。一次成型品62Aは、ベース部65aと、第2インサート66と、を備える。ベース部65aは、第2ベルト本体65の、第2ベルト62の厚み方向で第2インサート66を挟んで一方側の部分を構成する。この一方側の部分は、一例として、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、手首200側となる部分である。一次成型品62Aは、第1金型221と、第2金型222と、を用いて、形成される。
第1金型221は、第2インサート66が載置される。第1金型221は、第1ピン221aと、複数の第2ピン221bと、を有する。
第1ピン221aは、第2インサート66の嵌合部67aに嵌合する形状に構成される。第1ピン221aの、当該第1ピン221aの突出方向に沿う長さは、一例として、第2インサート66の厚みよりも長い。
複数の第2ピン221bのそれぞれの一部は、第2インサート66の孔68に嵌合する形状に構成される。また、複数の第2ピン221bのそれぞれの他の一部は、ベース部65aの小孔62aを形成する形状に構成される。第2金型222は、第1金型221及び第2インサート66との間に、ベース部65aに対応したキャビティを構成する。
一次成型品62Aの成形では、まず、第1金型221上に、第2インサート66を載置する。このとき、第1ピン221aを、第2インサート66の嵌合部67aに嵌合させ、第2ピン221bを、孔68に嵌合させる。このとき、第2インサート66は、孔補強部69の第1面69aがキャビティ側に向く姿勢で、第1金型221上に配置される。
第1ピン221aが嵌合部67aに嵌合することで、第1金型221に対する第2インサート66の位置決めがなされる。嵌合部67aが第2インサート66の左右方向の中心からずれた位置に配置される構成であることで、第1ピン221aが嵌合部67aに嵌合した状態では、第2インサート66が第1金型221に正しい姿勢で配置されることとなる。第1ピン221aの先端部は、第2インサート66から出る。次に、第1金型221に第2金型222を重ねる。次に、第1金型221及び第2インサート66と第2金型222の間のキャビティに樹脂を、例えば射出することで充填する。次に、一次成型品62Aを、第1金型221及び第2金型222から取り出す。このように構成された一次成型品62Aでは、孔補強部69の第1面69aが、ベース部65aに対向する。
【0075】
次に、図12のステップST12に示すように、第3金型223及び第4金型224を用いて、一次成型品62Aから第2ベルト62を形成する。具体的には、第3金型223は、一次成型品62Aが嵌合する凹部223aと、小孔62aを形成する第3ピン223bと、を有する。第4金型224は、第3金型223に設置された一次成型品62Aとの間に、第2ベルト本体65の残りの部分に対応するキャビティを構成する。
【0076】
まず、第3金型223の凹部223aに、一次成型品62Aを配置する。このとき、一次成型品62Aを、ベース部65aが凹部223aの内面に対向し、かつ、第2インサート66が外側に向く姿勢で配置し、かつ、第3ピン223bを、ベース部65aの小孔62aに嵌合させる。次に、第3金型223に第4金型224を重ねる。次に、一次成型品62A及び第4金型224の間のキャビティ内に樹脂を例えば射出することで、充填する。
【0077】
このように、ステップST11,ST12により、第2ベルト62が完成する。第1ベルト61を形成する方法は、第2ベルト62を形成する方法と同様であってよい。
【0078】
このようなベルト4は、第2ベルト62が枠状体61dに挿入され、小孔62aにつく棒61eが挿入されることで、第1ベルト61及び第2ベルト62が一体に接続され、外郭ケース31とともに、手首200の周方向に倣った環状となる。
【0079】
カーラ5は、図4に示すように、手首の周方向に倣って湾曲する帯状に構成される。カーラ5は、一端と他端が離間して形成される。カーラ5は、例えば、一端側の外面が装置本体3の裏蓋35に固定される。カーラ5は、一端及び他端が裏蓋35よりも突出した位置に配置される。また、カーラ5は、所定の距離だけ離間して一端及び他端が隣接する。
【0080】
具体例として、カーラ5は、ビス35a等を用いて裏蓋35と共に、外郭ケース31又は基部33の生体側の端部に固定される。また、カーラ5は、血圧測定装置1を手首200に装着したときに、一端及び他端が手首200の一方の側方へ位置するように、裏蓋35に固定される。
【0081】
具体例として、図1及び図2図4に示すように、カーラ5は、例えば、手首の周方向に対して直交する方向、換言すると手首の長手方向からの側面視で手首200の周方向に沿って湾曲する形状を有する。カーラ5は、例えば、装置本体3から手首200の手の甲側及び手首200の一方の側方側を通って手首200の手の平側へと渡り、手首200の他方の側方側へと延びる。即ち、カーラ5は、手首200の周方向に沿って湾曲することで、手首200の周方向の大半に渡って配置されるとともに、両端が所定の間隔を有して離間する。
【0082】
カーラ5は、可撓性及び形状保持性を有する硬さを有する。ここで、可撓性とは、カーラ5にベルト4の外力が印加されたときに径方向に形状が変形することをいう。例えば、可撓性とは、ベルト4によってカーラ5が押圧されたときに、手首に近接するか、手首の形状に沿うか、又は、手首の形状に倣うように側面視の形状が変形することをいう。また、形状保持性とは、外力が印加されないときに、カーラ5が予め賦形された形状を維持できることをいう。例えば、形状保持性とは、本実施形態においてはカーラ5の形状が手首の周方向に沿って湾曲する形状を維持できることである。
【0083】
カーラ5は、内周面にカフ構造体6が配置され、そして、カーラ5の内周面形状に沿ってカフ構造体6を保持する。具体例として、カーラ5は、平カフ71及び甲カフ74が内周面に配置され、外周面又は内周面に平カフ71及び甲カフ74が両面テープ及び接着剤等により接着されることで、カフ構造体6が固定される。本実施形態においては、カーラ5は、内周面に平カフ71及び甲カフが両面テープ及び接着剤等により接着される。
【0084】
カーラ5は、樹脂材料で構成される。また、カーラ5は、平カフ71及び甲カフ74よりも硬い材料が用いられる。カーラ5は、例えば、厚さが1mm程度に形成される。
【0085】
図1乃至図4図13乃至図19に示すように、カフ構造体6は、平カフ71と、背板72と、センシングカフ73と、甲カフ74と、を備えている。カフ構造体6は、カーラ5に固定される。カフ構造体6は、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73が積層してカーラ5に配置され、甲カフ74が平カフ71、背板72及びセンシングカフ73と離間してカーラ5に配置される。
【0086】
具体例として、カフ構造体6は、カーラ5の内面に、平カフ71、背板72、センシングカフ73及び甲カフ74が配置される。カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の平側の内面に、カーラ5の内面から生体側に向かって、平カフ71、背板72及びセンシングカフ73の順に積層して固定される。また、カフ構造体6は、カーラ5の手首200の手の甲側の内面に甲カフ74が配置される。カフ構造体6の各部材は、積層方向に隣接する部材に両面テープや接着剤等によって固定される。
【0087】
平カフ71は、所謂押圧カフである。平カフ71は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。平カフ71は、膨張することで背板72及びセンシングカフ73を生体側に押圧する。平カフ71は、複数の、例えば二層の空気袋81を含む。
【0088】
ここで、空気袋81とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋81は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0089】
空気袋81は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋81は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材86を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、二層の空気袋81は、図13乃至図15に示すように、生体側から、第1シート部材86aと、第1シート部材86aと一層目の空気袋81を構成する第2シート部材86bと、第2シート部材86bと一体に接着される第3シート部材86cと、第3シート部材86cと二層目の空気袋81を構成する第4シート部材86dと、を備える。なお、二層の空気袋81は、隣り合う空気袋81の各シート部材86が両面テープ及び接着剤等による接着又は溶着等により接合されることで一体に構成される。
【0090】
第1シート部材86a及び第2シート部材86bは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。第2シート部材86b及び第3シート部材86cは、対向して配置され、それぞれ、二つの空気袋81を流体的に連続させる複数の開口86b1、86c1を有する。第4シート部材86dは、カーラ5に配置され、カーラ5の内周面又は外周面に両面テープ及び接着剤等により接着される。
【0091】
第3シート部材86c及び第4シート部材86dは、四辺の周縁部が溶着されることで空気袋81を構成する。
【0092】
背板72は、接着剤層や両面テープ等により平カフ71の第1シート部材86aの外面に貼付される。背板72は、樹脂材料で板状に形成される。背板72は、例えば、ポリプロピレンからなり、厚さが1mm程度の板状に形成される。背板72は、形状追従性を有する。
【0093】
ここで、形状追従性とは、配置される手首200の被接触箇所の形状を倣うように背板72が変形可能な機能をいい、手首200の被接触箇所とは、背板72が対向する手首200の領域をいい、ここでの接触とは、直接的な接触及びセンシングカフ73を介した間接的な接触の双方を含む。
【0094】
例えば、図15に示すように、背板72は、背板72の両主面に長手方向に対して直交する方向に延びる複数の溝72aを有する。図15に示すように、溝72aは、背板72の両主面にそれぞれ複数設けられる。両主面に設けられた複数の溝72aは、背板72の厚さ方向においてそれぞれ対向する。また、複数の溝72aは、背板72の長手方向に等間隔に配置される。
【0095】
背板72は、複数の溝72aを有する部位が溝72aを有さない部位に比べて薄肉となることで、複数の溝72aを有する部位が変形しやすいことから、手首200の形状に倣って変形し、手首の周方向に延在する形状追従性を有する。背板72は、手首200の手の平側を覆う長さに形成される。背板72は、手首200の形状に沿った状態で、平カフ71からの押圧力をセンシングカフ73の背板72側の主面に伝達する。
【0096】
センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に固定される。センシングカフ73は、図18及び図19に示すように、手首200の動脈210が存する領域に直接接触する。ここで、動脈210とは、橈骨動脈及び尺骨動脈である。センシングカフ73は、背板72の長手方向及び幅方向で、背板72と同一形状か、又は、背板72よりも小さい形状に形成される。センシングカフ73は、膨張することで手首200の手の平側の動脈210が存する領域を圧迫する。センシングカフ73は、膨張した平カフ71により、背板72を介して生体側に押圧される。
【0097】
具体例として、センシングカフ73は、一つの空気袋91と、空気袋91と連通するチューブ92と、チューブ92の先端に設けられた接続部93と、を含む。センシングカフ73は、空気袋91の一方の主面が背板72に固定される。例えば、センシングカフ73は、背板72の生体側の主面に両面テープや接着剤層等により貼付される。
【0098】
ここで、空気袋91とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等であってもよい。
【0099】
空気袋91は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋91は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材96を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、空気袋91は、図15及び図19に示すように、生体側から第5シート部材96a及び第6シート部材96bを備える。
【0100】
例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96bの一辺に、空気袋91の内部空間と流体的に連続するチューブ92が配置され、溶着により固定される。例えば、第5シート部材96a及び第6シート部材96bは、第5シート部材96a及び第6シート部材96b間にチューブ92が配置された状態で四辺の周縁部を溶着して空気袋91を成形することで、チューブ92が一体に溶着される。
【0101】
チューブ92は、空気袋91の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ92は、空気袋91の装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ92は、先端に、接続部93を有する。チューブ92は、流路部15に接続され、装置本体3と空気袋91との間の流路を構成する。接続部93は、流路部15に接続される。接続部93は、例えばニップルである。
【0102】
甲カフ74は、所謂引っ張りカフである。甲カフ74は、流路部15を介してポンプ14に流体的に接続される。甲カフ74は、膨張することで手首200から離間するようにカーラ5を押圧することで、ベルト4及びカーラ5を手首200の手の甲側に引っ張る。甲カフ74は、複数の、例えば六層の空気袋101と、空気袋101と連通するチューブ102と、チューブ102の先端に設けられた接続部103と、を含む。
【0103】
また、甲カフ74は、膨張方向、本実施形態においては、カーラ5及び手首200の対向する方向で、膨張時の厚さが、平カフ71の膨張方向における膨張時の厚さ、及び、センシングカフ73の膨張方向における膨張時の厚さよりも厚く構成される。即ち、甲カフ74の空気袋101は、平カフ71の空気袋81及びセンシングカフ73の空気袋91よりも多い層構造を有し、カーラ5から手首200に向かって膨張したときの厚さが平カフ71及びセンシングカフ73よりも厚い。
【0104】
ここで、空気袋101とは、袋状構造体であり、本実施形態においては血圧測定装置1がポンプ14により空気を用いる構成であることから、空気袋を用いて説明するが、空気以外の流体を用いる場合には、袋状構造体は液体袋等の流体袋であってもよい。複数の空気袋101は、積層され、積層方向に流体的に連通する。
【0105】
空気袋101は、一方向に長い矩形状に構成される。空気袋101は、例えば、一方向に長い二枚のシート部材106を組み合わせ、縁部を熱により溶着することで構成される。具体例として、六層の空気袋101は、図16及び図17に示すように、生体側から、第7シート部材106aと、第8シート部材106bと、第9シート部材106cと、第10シート部材106dと、第11シート部材106eと、第12シート部材106fと、第13シート部材106gと、第14シート部材106hと、第15シート部材106iと、第16シート部材106jと、第17シート部材106kと、第18シート部材106lと、を備えている。なお、六層の空気袋101は、隣り合う空気袋101の各シート部材106が両面テープ及び接着剤等による接着又は溶着等により接合されることで一体に構成される。
【0106】
第7シート部材106a及び第8シート部材106bは、四辺の周縁部が溶着されることで、一層目の空気袋101を構成する。第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、対向して配置され、一体に接着される。第8シート部材106b及び第9シート部材106cは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106b1、106c1を有する。第9シート部材106c及び第10シート部材106dは、四辺の周縁部が溶着されることで、二層目の空気袋101を構成する。
【0107】
第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、対向して配置され、一体に接着される。第10シート部材106d及び第11シート部材106eは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106d1、106e1を有する。第11シート部材106e及び第12シート部材106fは、四辺の周縁部が溶着されることで、三層目の空気袋101を構成する。
【0108】
第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、対向して配置され、一体に接着される。第12シート部材106f及び第13シート部材106gは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106f1、106g1を有する。第13シート部材106g及び第14シート部材106hは、四辺の周縁部が溶着されることで、四層目の空気袋101を構成する。
【0109】
第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、対向して配置され、一体に接着される。第14シート部材106h及び第15シート部材106iは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106h1、106i1を有する。第15シート部材106i及び第16シート部材106jは、四辺の周縁部が溶着されることで、五層目の空気袋101を構成する。
【0110】
第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、対向して配置され、一体に接着される。第16シート部材106j及び第17シート部材106kは、隣り合う空気袋101を流体的に連続させる複数の開口106j1、106k1を有する。第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、矩形枠状に周縁部が溶着されることで、六層目の空気袋101を構成する。また、例えば、第17シート部材106k及び第18シート部材106lの一辺に、空気袋101の内部空間と流体的に連続するチューブ102が配置され、溶着により固定される。例えば、第17シート部材106k及び第18シート部材106lは、第17シート部材106k及び第18シート部材106lの間にチューブ102が配置された状態で矩形枠状に周縁部を溶着して空気袋101を成形することで、チューブ102が一体に溶着される。
【0111】
例えば、このような六層目の空気袋101は、平カフ71の二層目の空気袋81と一体に構成される。即ち、第17シート部材106kは、第3シート部材86cと一体に構成され、第18シート部材106lは、第4シート部材86dと一体に構成される。
【0112】
より詳細に述べると、第3シート部材86c及び第17シート部材106kは、一方向に長い矩形状のシート部材を構成し、第18シート部材106l及び第4シート部材86dは、一方向に長い矩形状のシート部材を構成する。そして、これらシート部材を重ね合わせて、一方の端部側を矩形枠状であって、且つ、他方の端部側の一辺の一部を除いて溶着する。これにより、平カフ71の二層目の空気袋81が構成される。そして、他方の端部側を矩形枠状であって、且つ、一方の端部側の一辺の一部を除いて溶着することで、甲カフ74の六層目の空気袋101が構成される。また、二層目の空気袋81及び六層目の空気袋101は、それぞれ対向する側の一辺の一部が溶着されないことから、流体的に連続する。
【0113】
チューブ102は、六層の空気袋101のうち一つの空気袋101に接続されるとともに、空気袋101の長手方向の一方の端部に設けられる。具体例として、チューブ102は、六層の空気袋101のカーラ5側であって、且つ、装置本体3に近い端部に設けられる。チューブ102は、先端に、接続部103を有する。チューブ102は、流体回路7のうち、装置本体3と空気袋101との間の流路を構成する。接続部103は、例えばニップルである。
【0114】
なお、これらの説明のように、本実施形態において、甲カフ74は、一部が平カフ71と一体に構成され、平カフ71と流体的に連続する構成を説明したが、これに限定されず、例えば、図14に示すように、甲カフ74は、平カフ71と別体に構成され、平カフ71と流体的に非連続であってもよい。このような構成とする場合には、平カフ71は、センシングカフ73及び甲カフ74と同様に、さらにチューブ、接続部を設け、また、流体回路7においても、平カフ71へ流体を供給する流路、逆止弁及び圧力センサを接続する構成とすればよい。
【0115】
また、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74を形成する各シート部材86、96、106は、熱可塑性エラストマーにより形成される。シート部材86、96、106を構成する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(Thermoplastic PolyUrethane、以下TPUと表記する)、塩化ビニル樹脂(PolyVinyl Chloride)、エチレン酢酸ビニル樹脂(Ethylene-Vinyl Acetate)、熱可塑性ポリスチレン系樹脂(Thermoplastic PolyStyrene)、熱可塑性ポリオレフィン樹脂(Thermoplastic PolyOlefin)、熱可塑性ポリエステル系樹脂(ThermoPlastic Polyester)及び熱可塑性ポリアミド樹脂(Thermoplastic PolyAmide)を用いることができる。
【0116】
例えば、シート部材86、96、106は、Tダイ押し出し成形や射出成形等の成形方式が用いられる。シート部材86、96、106は、各成形方式で成形された後、所定の形状にサイジングされ、そして、サイジングした個片を溶着等により接合することで袋状構造体81、91、101を構成する。溶着の方式としては、高周波ウェルダーやレーザー溶着が用いられる。
【0117】
流体回路7は、ケース11、ポンプ14、流路部15、開閉弁16、圧力センサ17、平カフ71、センシングカフ73、及び、甲カフ74によって構成される。流体回路7に用いられる二つの開閉弁16を第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bとし、二つの圧力センサ17を第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bとして、以下、流体回路7の具体例を説明する。
【0118】
流体回路7は、図5に示すように、例えば、ポンプ14から平カフ71及び甲カフ74を連続する第1流路7aと、第1流路7aの中途部が分岐されることで構成され、ポンプ14からセンシングカフ73を連続する第2流路7bと、第1流路7aと大気を接続する第3流路7cと、を備えている。また、第1流路7aは、第1圧力センサ17Aを含む。第1流路7a及び第2流路7bの間には第1開閉弁16Aが設けられる。第2流路7bは、第2圧力センサ17Bを含む。第1流路7a及び第3流路7cの間には、第2開閉弁16Bが設けられる。
【0119】
このような流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7aのみがポンプ14と接続し、ポンプ14及び平カフ71が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが開き、そして、第2開閉弁16Bが閉じることで、第1流路7a及び第2流路7bが接続され、ポンプ14及び甲カフ74、甲カフ74及び平カフ71、並びに、ポンプ14及びセンシングカフ73が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16Aが閉じ、そして、第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a及び第3流路7cが接続され、平カフ71、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。流体回路7は、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bが開くことで、第1流路7a、第2流路7b及び第3流路7cが接続され、平カフ71、センシングカフ73、甲カフ74及び大気が流体的に接続される。
【0120】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、図20乃至図23を用いて説明する。図20は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部55の動作の双方を示す。また、図21乃至図23は、ユーザが手首200に血圧測定装置1を装着する一例を示す。
【0121】
先ず、ユーザは、手首200に血圧測定装置1を装着する(ステップST21)。具体例として、例えば、ユーザは、図21に示すように、手首200の一方をカーラ5内に挿入する。
【0122】
このとき、血圧測定装置1は、装置本体3及びセンシングカフ73がカーラ5の相対する位置に配置されることから、センシングカフ73を手首200の手の平側の動脈210が存する領域に配置される。これにより、装置本体3及び甲カフ74は、手首200の手の甲側に配される。次いで図22に示すように、ユーザが血圧測定装置1を配した手とは反対の手によって、第1ベルト61の尾錠61cの枠状体61dに第2ベルト62を通す。次いで、ユーザは、第2ベルト62を引っ張り、カーラ5の内周面側の部材、即ち、カフ構造体6を手首200に密着させ、小孔62aにつく棒61eを挿入する。これにより、図23に示すように、第1ベルト61及び第2ベルト62が接続され、血圧測定装置1が手首200に装着される。
【0123】
このように、血圧測定装置1が手首200に装着されると、第2ベルト62の第2インサート66の孔補強部69は、第2ベルト62の長手方向に沿う長さが短い第1面69aが、第2ベルト62の長手方向に沿う長さが長い第2面69bに対して手首200側に配置される。
【0124】
さらに、第2ベルト62は、手首200の形状に倣って湾曲する。図24に示すように、つく棒61eの第2の部分61g2の一部は、当該つく棒61eが配置される小孔62aの手首200側の縁の、第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部位に当接する。
【0125】
次に、ユーザは、操作部13を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。指令の入力操作が行われた操作部13は、測定開始に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST22)。制御部55は、当該電気信号を受信すると、例えば、第1開閉弁16Aを開くとともに、第2開閉弁16Bを閉じ、ポンプ14を駆動し、第1流路7a及び第2流路7bを介して平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74へ圧縮空気を供給する(ステップST23)。これにより、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74は膨張を開始する。
【0126】
第1圧力センサ17A及び第2圧力センサ17Bは、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の圧力をそれぞれ検出し、この圧力に対応した電気信号を制御部55へ出力する(ステップST24)。制御部55は、受信した電気信号に基づいて、平カフ71、センシングカフ73及び甲カフ74の内部空間の圧力が血圧測定のための所定の圧力に達しているか否かを判断する(ステップST25)。例えば、平カフ71及び甲カフ74の内圧が所定の圧力に達しておらず、且つ、センシングカフ73の内圧が所定の圧力に達した場合には、制御部55は、第1開閉弁16Aを閉じ、第1流路7aを介して圧縮空気を供給する。
【0127】
平カフ71及び甲カフ74の内圧並びにセンシングカフ73の内圧が、全て所定の圧力に達した場合には、制御部55は、ポンプ14の駆動を停止する(ステップST25でYES)。このとき、図18及び図19に示すように、平カフ71及び甲カフ74は十分に膨張しており、膨張した平カフ71は、背板72を押圧する。
【0128】
また、甲カフ74は、手首200から離間する方向に、カーラ5を押圧することから、ベルト4、カーラ5及び装置本体3は、手首200から離間する方向に移動し、結果、平カフ71、背板72、センシングカフ73が手首200側に引っ張られる。加えて、甲カフ74の膨張によってベルト4、カーラ5及び装置本体3が手首200から離間する方向に移動するときに、ベルト4及びカーラ5が、手首200の両側方に向かって移動し、手首200の両側方に密着した状態で、ベルト4、カーラ5及び装置本体3が移動する。このため、手首200の皮膚に密着したベルト4及びカーラ5は、手首200の両側方の皮膚を手の甲側に引っ張る。
【0129】
また、ベルト4及びカーラ5が、手首200の両側方に向かって移動することにより、図24に示すように、尾錠61cのつく棒61eは、当接した小孔62aの縁に押し付けられる。この為、つく棒61eは、小孔62aの縁に荷重を印加する。この荷重の作用方向は、側面69cに直交する方向に平行または略平行となる。
【0130】
センシングカフ73は、内圧が血圧を測定するために要する圧力となるように所定の空気量が供給され、膨張しており、そして、平カフ71に押圧された背板72によって手首200に向かって押圧される。このため、センシングカフ73は、手首200内の動脈210を押圧し、図19に示すように動脈210を閉塞する。
【0131】
また、制御部55は、例えば、第2開閉弁16Bを制御し、第2開閉弁16Bの開閉を繰り返すか、又は、第2開閉弁16Bの開度を調整することで、平カフ71の内部空間の圧力を加圧させる。この加圧の過程において第2圧力センサ17Bが出力する電気信号に基づいて、制御部55は、最高血圧及び最低血圧等の血圧値や心拍数等の測定結果を求める(ステップST26)。制御部55は、求めた測定結果に対応した画像信号を、表示部12へ出力し、測定結果を表示部12に表示する(ステップST27)。また、制御部55は、血圧測定終了後、第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bを開く。
【0132】
表示部12は、画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。使用者は、表示部12を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、使用者は、測定終了後、小孔62aからつく棒61eを外し、枠状体61dから第2ベルト62を外し、カーラ5から手首200を抜くことで、手首200から血圧測定装置1を取り外す。
【0133】
このように構成された一実施形態に係る血圧測定装置1は、手首200に装着されたときに、ベルト4が手首200の形状に倣って湾曲する。さらに、つく棒61eの第2の部分61g2の一部は、小孔62aの手首200側の縁の、第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部分に当接する。そして、カフ構造体6が膨張することでベルト4が広がる方向に引っ張られ、つく棒61eから第1ベルト本体63に荷重が入力される。ベルト4が広がる方向に引っ張られることにより、結果、つく棒61eから第1ベルト本体63に印加される荷重が大きくなる。このとき、つく棒61eから印加される荷重は、孔補強部69に向かって作用する。
【0134】
しかしながら、本実施形態では、孔補強部69の第1面69aが、第2面69bに対して手首200側に配置される構成である。この為、側面69cが、小孔62aの手首200側の縁の、第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部分に対向するようになる。結果、孔補強部69は、つく棒61eから印加される荷重の一部を、側面69cで受ける。面で荷重を受けることで応力集中を抑制できるので、第1ベルト本体63内の割れを抑制できる。この為、第2ベルト62の耐久性を向上できる。
【0135】
さらに、つく棒61eから印加される荷重の一部は、第1面69a及び側面69cがなす角部にも作用するが、この角部が鈍角に構成されることで、この角部に応力が集中することを抑制できる。この為、当該角部の周囲に割れが生じることを抑制できる。この為、第2ベルト62の耐久性を向上できる。
【0136】
第2インサート66がプレスよる型抜き加工により形成される場合、型の押し付けられる面に対して反対側の面となる第2面69bの縁にばりが生じる場合があるが、第2面69bが、第1面69aを挟んで手首200と反対側に配置されることで、つく棒61eからの荷重が、ばりに集中することを防止できる。つく棒61eからの荷重がばりに集中することを防止できることにより、第2ベルト62内に割れが生じることを防止できるので、第2ベルト62の耐久性を向上できる。
【0137】
さらに、小孔62a及び孔68間の第2ベルト62の長手方向に沿う厚み、換言すると、図24に示す断面において小孔62a及び孔補強部69の間の第2ベルト本体65の厚みは、血圧測定装置1の使用時につく棒61eから入力される荷重により生じる変形を小さく抑え、繰り返しの使用での当該変形により第2ベルト62の外面に割れが生じることを防止できる程度の厚みに設定している。この為、第2ベルト62の外面に割れが生じることを防止できるので、第2ベルト62の耐久性を向上できる。
【0138】
また、ベルト4が引っ張り強度の高い材料で構成された第2インサート66を備えることで、カフ構造体6の膨張によりベルト4を引っ張る方向に応力がかかる場合にあっても、ベルト4の伸びを抑制できる。
【0139】
また、ベルト4の外面を形成する第1ベルト本体63が樹脂材料で構成されることにより、血圧測定装置1の装着作業においては樹脂材の柔軟性による装着しやすさを確保できる。すなわち、延び難くする為にベルト4の全体を、引っ張り強度の高い材料で構成すると、装着時の柔軟性が損なわれるが、外面を構成する樹脂製の第1ベルト本体63内に、第1ベルト本体63よりも引っ張り強度の高い材料で構成された第2インサート66を配する構造により、装着しやすさと延び難さとを両立することが可能となる。したがって、血圧測定時にカフ構造体6が膨張した場合に密着性を維持しつつベルト4の延びを抑えることで、高精度の血圧測定を実現できる。
[第2の実施形態]
次に、血圧測定装置1の第2の実施形態について、図25を用いて説明する。なお、第2の実施形態に係る血圧測定装置1は、第1ベルト61及び第2ベルト62の接続の為にピン112が第2ベルト62の小孔62aに挿入される構成であり、この点で、第1ベルト61の尾錠61cのつく棒61eが小孔62aに挿入される構成とは異なる。この為、第2の実施形態の血圧測定装置1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0140】
図25は、第の実施形態に係る血圧測定装置1の第2ベルト62を示す断面図である。図25に示すように、第2の実施形態に係る血圧測定装置1は、第1ベルト61及び第2ベルト62の接続に、尾錠61cに代えて、例えばバタフライバックル110が用いられる。バタフライバックル110は、第1ベルト61に固定される第1固定部と、第2ベルト62に固定される第2固定部111と、を備える。
【0141】
第2固定部111は、小孔62aに挿入されるピン112を有している。第2固定部1
11は、ピン112が小孔62aに挿入された状態で、第2ベルト62に固定される。第2固定部111は、第2ベルト62の手首200と反対側の面に配置されている。ピン112の一部は、小孔62aの手首200側の縁の、第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部分に、第2ベルト62の長手方向に対向する。なお、ピン112の先端は、一例として、小孔62aから出ている
このように構成されたバタフライバックルを備える第2の実施形態に係る血圧測定装置1は、ベルト4が手首200に装着されることで手首200の周面に倣って湾曲し、かつ、カフ構造体6が膨張した状態では、ピン112の一部が、小孔62aの手首200側の縁の、第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部分に当接して荷重を印加する。
【0142】
この為、第1の実施形態と同様に、孔補強部69は、ピン112から印加される荷重の一部を、側面69cで受ける。このように、荷重を面で受けるので、第2ベルト本体65内の応力集中を抑制できる。結果、第2ベルト本体65内の割れを抑制できるので、第2ベルト62の耐久性を向上できる。
【0143】
[第3の実施形態]
次に、血圧測定装置1の第3の実施形態について、図26を用いて説明する。なお、第3の実施形態に係る血圧測定装置1は、第2ベルト62の第2インサート66が嵌合部67aを有さず、一部が左右非対称な形状に形成される構成であり、この点で、嵌合部67aを有する構成の第1の実施形態の血圧測定装置1と異なる。この為、第の実施形態の血圧測定装置1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る血圧測定装置1と同様の構成については同一符号を付して説明するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0144】
図26は、第2インサート66の構成を示す平面図である。図26に示すように、第3の実施形態の第2インサート66は、嵌合部67aが形成されていない。さらに、第2インサート66は、一部が左右非対称な形状に構成される。この、第3の実施形態の第2インサート66の左右非対称な形状に構成される部位以外は、第1の実施形態の第2インサート66と同一の形状を有する。
【0145】
第3の実施形態の第2インサート66は、例えば、第2インサート66の第3孔部62bの幅方向両側の部分である肩部120が、左右非対称に構成される。具体例として、肩部120は、第3孔部62bに対して幅方向一方の第1肩部121、及び第3孔部62bに対して幅方向他方の第2肩部122を有している。第2肩部122は、第1肩部121に対して、第2インサート66の長手方向で、第3孔部62bに対して反対側の一端に寄った位置に配置される。
【0146】
このように、第3の実施形態に係る血圧測定装置1の第2ベルト62の形成に用いられる型は、肩部120と協働することで、第2インサート66を、当該型内に、孔補強部69の第1面69aが第2面69bに対して手首200側に配置されるよう位置決める部位を有する。
【0147】
この部位の一例として、一次成型品62Aの形成に用いられた第1金型221に、第2インサート66が嵌る凹部が形成される構成であってもよい。この凹部は、第1肩部121が嵌る部分、及び第2肩部122が嵌る部分を有する。この為、第2インサート66が、正しい姿勢に対して上下が反転した姿勢で第1金型221に設置されると、第1肩部121が、第1金型221の第2肩部122が嵌る部分に対向し、第2肩部122が、第1金型221の第1肩部121が嵌る部分に対向する。この為、第2インサート66が、第1金型221の凹部に嵌らない。結果、作業者等は、第2インサート66が正しい姿勢ではないことに気づくことが可能となる。なお、ここで言う、第2インサート66正しい姿勢とは、孔補強部69の第1面69aが第2面69bに対して手首200側に配置される姿勢である。
【0148】
第3の実施形態に係る血圧測定装置1は、このように、第1の実施形態と同様に、型内での第2インサート66の位置を位置決めすることが可能となる。
【0149】
なお、本実施形態では、第2インサート66の肩部120が左右非対称な形状に構成された例を説明したが、これに限定されない。肩部120以外、例えば、第2インサート66の他端部が左右非対称な形状に構成されてもよい。
【0150】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されない。例えば、血圧測定装置1は、血圧測定時における第1開閉弁16A及び第2開閉弁16Bの開閉のタイミングは、上述した例に限定されず、適宜設定できる。また、血圧測定装置1は、血圧測定を平カフ71の加圧過程において測定した圧力で血圧を算出する例を説明したがこれに限定されず、減圧過程で血圧を算出してもよく、また、加圧過程及び減圧過程の双方で血圧を算出してもよい。
【0151】
また、上述した例では、平カフ71は、空気袋81を各シート部材86によって形成する構成を説明したがこれに限定されず、例えば、平カフ71の変形や膨張を管理するために、さらに、空気袋81は他の構成を含んでいても良い。
【0152】
また、上述した例では、背板72は、複数の溝72aを有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、背板72は、変形しやすさ等を管理するために、複数の溝72aの数や深さ等を適宜設定可能であり、また、変形を抑制する部材を含む構成であってもよい。
【0153】
また、上述した例では、孔補強部69は、第2ベルト本体65の小孔62a間の部分の中心に配置されたがこれに限定されない。例えば、孔補強部69は、図27に示すように、第2ベルト62の長手方向で第3孔部62bに対して反対側の端部に寄った位置に配置されてもよい。
【0154】
換言すると、孔補強部69は、第2ベルト62の長手方向で、つく棒61eまたはピン112が当接する小孔62aの手首200側の縁の第2ベルト62の長手方向で支持部61f側の部分に寄った位置に配置されてもよい。
【0155】
この構成によれば、小孔62a及び孔68の間の第2ベルト62の長手方向に沿う厚み部分が小さくなる。結果、つく棒61eまたはピン112から印加される荷重により変形する変形代を小さくできることから、第2ベルト62の表面の割れを抑制できる。
【0156】
また、孔補強部69の厚みを、図28に示すように、厚くしてもよい。ここで言う厚くするとは、ベルト4の着け心地や、ベルト4の装着作業を損なわない範囲で、厚みを大きくすることである。
【0157】
孔補強部69の厚みを厚くすることで、孔補強部69の剛性を向上できることから、血圧測定装置1の使用時での孔補強部69の変形を抑制できる。結果、第2ベルト本体65の、孔補強部69の近傍の部分の変形を抑制できることから、当該変形に起因する割れを抑制できる。この為、第2ベルト62の耐久性を向上できる
また、上述した例では、第2インサート66は、板状の部材にプレスによる型抜き加工を施すことにより形成された構成を一例として説明されたが、これに限定されない。第2インサート66は、他の例として、図29に示すように、板状の部材にレーザー加工による抜き加工を施すことによって形成される構成であってもよい。
【0158】
板状の部材に対してレーザー加工による抜き加工を施すことにより形成された第2インサート66の孔補強部69の側面69cは、レーザーの照射による熱が板状の部材の厚み方向に次第に低下することから、傾斜を有する形状に構成される。結果、レーザー加工による抜き加工により形成された第2インサート66の孔補強部69は、第1の実施形態の血圧測定装置1の第2インサート66の孔補強部69と同様に、一方の側面69c及び第1面69aのなす角度が鈍角となり、他方の側面69c及び第1面69aのなす角度が鈍角となり、一方の側面69c及び第2面69bのなす角度が鋭角となり、他方の側面69c及び第2面69bのなす角度が鋭角となる、断面形状に構成される。
【0159】
さらに、レーザー加工により、第1面69aの両縁69a1は、熱により溶けることで、第1面69aの他の部位に比較して盛り上がる突部に構成される。また、第2面69bの両縁69b1が、第2面69bの他の部位に比較して盛り上がる突部に構成される。
【0160】
このように構成された第2インサート66を有する血圧測定装置1は、上述した第1の実施形態の血圧測定装置1と同様に、ベルト4の耐久性を向上できる。さらに、第1面69aの両縁69a1が突部に構成されることによって、第2ベルト62の内部で、両縁69a1の近傍に割れが生じることを防止できるので、第2ベルト62の耐久性を向上できる。さらに、第2インサート66を、レーザー加工により構成することで、ばりの発生を防止できるので、第2ベルト本体65内に、ばりに起因する割れが生じることを防止できる。
【0161】
また、上述した例では、第2インサート66の孔補強部69は、断面形状が台形状に構成されが、これに限定されない。他の例として、図30に示すように、孔補強部69の、第2ベルト62の幅方向に直交する断面は、矩形状、さらに一例として長方形状に構成されてもよい。
【0162】
また、このように、断面が長方形状に構成された孔補強部69は、図30に示すように、孔補強部69の断面の中心が、第1の実施形態と同様に、第2ベルト本体65の、隣り合う2つの小孔62a間の部分の、第2ベルト62の幅方向に直交する断面の中心に一致する位置に配置されてもよい。
【0163】
または、断面が長方形状に構成された孔補強部69は、図31に示すように、図27に示す変形例と同様に、小孔62aに寄った位置に配置されてもよい。または、断面が長方形状に構成された孔補強部69の厚みは、図32に示すように、図28に示す変形例と同様に大きく構成されてもよい。
【0164】
即ち、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1…血圧測定装置
3…装置本体
4…ベルト
5…カーラ
6…カフ構造体
7…流体回路
7a…第1流路
7b…第2流路
7c…第3流路
11…ケース
12…表示部
13…操作部
14…ポンプ
15…流路部
16…開閉弁
16A…第1開閉弁
16B…第2開閉弁
17…圧力センサ
17A…第1圧力センサ
17B…第2圧力センサ
18…電力供給部
19…振動モータ
20…制御基板
31…外郭ケース
31a…ラグ
31b…バネ棒
32…風防
33…基部
35…裏蓋
35a…ビス
41…釦
42…センサ
43…タッチパネル
51…基板
52…加速度センサ
53…通信部
54…記憶部
55…制御部
61…第1ベルト
61a…第1孔部
61b…第2孔部
61c…尾錠(接続具)
61d…枠状体
61e…つく棒
62…第2ベルト
62a…小孔(第1孔)
62b…第3孔部
65…第2ベルト本体(ベルト本体)
66…第2インサート(インサート)
67a…嵌合部
68…孔(第2孔)
69…孔補強部(位置決め部)
71…平カフ(カフ)
71B…押圧カフ
72…背板
72a…溝
73…センシングカフ
74…甲カフ(カフ)
76…袋状カバー体
81…空気袋(袋状構造体)
86…シート部材
86a…第1シート部材
86b…第2シート部材
86b1…開口
86c…第3シート部材
86c1…開口
86d…第4シート部材
91…空気袋(袋状構造体)
92…チューブ
93…接続部
96…シート部材
96a…第5シート部材
96b…第6シート部材
101…空気袋(袋状構造体)
102…チューブ
103…接続部
106…シート部材
106a…第7シート部材
106b…第8シート部材
106b1…開口
106c…第9シート部材
106c1…開口
106d…第10シート部材
106d1…開口
106e…第11シート部材
106e1…開口
106f…第12シート部材
106f1…開口
106g…第13シート部材
106g1…開口
106h…第14シート部材
106h1…開口
106i…第15シート部材
106i1…開口
106j…第16シート部材
106j1…開口
106k…第17シート部材
106k1…開口
106l…第18シート部材
110…バタフライバックル(接続具)
112…ピン
120…肩部(位置決め部)
200…手首
210…動脈
221…第1金型
221a…第1ピン
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