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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】什器の支持構造体
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/12 20060101AFI20221109BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A47B91/12
A47B13/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018206857
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2020069266
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】北川 匠里
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0273701(US,A1)
【文献】特開2000-116449(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143840(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00、91/06-91/16
A47B 13/02-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に載置され、上部で機能部材を支持する什器の支持構造体であって、
上下方向に沿って延び、上部に前記機能部材が支持される支柱と、
前記支柱の下部側で、前記支柱の軸心と略直交する方向において互いに反対の向きに延び、延び方向の端部近傍が床面に接地される一対の上部脚杆と、
前記支柱の前記上部脚杆よりも下方で、前記軸心と略直交し、かつ、前記上部脚杆の延び方向と略直角な方向において互いに反対の向きに延び、延び方向の端部近傍が床面に設置される一対の下部脚杆と、を備え、
前記支柱は、
上部に前記機能部材が支持される支柱本体と、
前記支柱本体の下端に結合されるハブ部材と、を備え、
前記ハブ部材の軸部の外周面には、
前記上部脚杆の基部が嵌合状態で結合される一対の上部脚杆取付ブロックと、
前記上部脚杆取付ブロックよりも下方位置において、前記下部脚杆の基部が嵌合状態で結合される一対の下部脚杆取付ブロックと、が径方向外側に向かって突設され、
前記上部脚杆取付ブロックと前記下部脚杆取付ブロックは、前記ハブ部材の上面視において、当該ハブ部材の軸部の周方向で相互に重ならないように、当該ハブ部材の軸部と一体に形成されていることを特徴とする什器の支持構造体。
【請求項2】
前記上部脚杆と前記下部脚杆の各基部には、前記ハブ部材の軸部の外周面の周方向の略半分の領域を覆う支柱囲繞壁が設けられ、
前記上部脚杆の支柱囲繞壁には、対を成す前記上部脚杆の前記支柱囲繞壁の延出端同士が相互に対向する対向面が設けられ、
前記下部脚杆の支柱囲繞壁にも、対を成す前記下部脚杆の前記支柱囲繞壁の延出端同士が相互に対向する対向面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の什器の支持構造体。
【請求項3】
前記上部脚杆と前記下部脚杆は、延び方向の中央領域から基部側の前記支柱囲繞壁のある部分にかけて上面視において略一定幅に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の什器の支持構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板等の機能部材が上部に支持される什器の支持構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の脚杆を有する什器として、複数の同形状の什器を一箇所に集めてコンパクトに集合できるようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の什器の支持構造体は、上下方向に沿って延び、上部に天板が支持される円筒状の支柱と、その支柱の下部から支柱の軸心を中心とした相反方向に延びる一対の上部脚杆と、同様に相反方向に延びる一対の下部脚杆と、を備えている。上部脚杆と下部脚杆の延び方向の各端部には、床面上を転動可能なキャスタが設置されている。また、一対の上部脚杆は、支柱上の下部脚杆の設置位置よりも上方側に設置されている。
不使用時等に什器を一箇所に集合させる場合には、一の什器の下部脚杆の上方を他の什器の上部脚杆が跨ぐようにして、対応する脚杆同士を相互に近接させる。これにより、複数の什器の支持構造体を一箇所にコンパクトに集合させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-106618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の什器の支持構造体は、上部脚杆と下部脚杆の各基部が円筒状の支柱の外周面に突き合わせられ、その状態で各基部が支柱の外周面に溶接固定されている。このため、支柱の外周面に上部脚杆と下部脚杆を固定する際には、支柱の異なる高さ位置に上部脚杆と下部脚杆を正確に位置決めし、その状態で溶接作業を行わなければならず、固定作業が煩雑になる。また、上部脚杆と下部脚杆を支柱と一体に型成形することも考えられるが、この場合には、製造設備が大型化するとともに、製造設備の構造も複雑になる。
【0006】
そこで本発明は、上下に離間した上部脚杆と下部脚杆を備える構造でありながら、製造の効率化と、製造設備の小型・簡素化を図ることができる什器の支持構造体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る什器の支持構造体は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る什器の支持構造体は、床面上に載置され、上部で機能部材を支持する什器の支持構造体であって、上下方向に沿って延び、上部に前記機能部材が支持される支柱と、前記支柱の下部側で、前記支柱の軸心と略直交する方向において互いに反対の向きに延び、延び方向の端部近傍が床面に接地される一対の上部脚杆と、前記支柱の前記上部脚杆よりも下方で、前記軸心と略直交し、かつ、前記上部脚杆の延び方向と略直角な方向において互いに反対の向きに延び、延び方向の端部近傍が床面に設置される一対の下部脚杆と、を備え、前記支柱は、上部に前記機能部材が支持される支柱本体と、前記支柱本体の下端に結合されるハブ部材と、を備え、前記ハブ部材の軸部の外周面には、前記上部脚杆の基部が嵌合状態で結合される一対の上部脚杆取付ブロックと、前記上部脚杆取付ブロックよりも下方位置において、前記下部脚杆の基部が嵌合状態で結合される一対の下部脚杆取付ブロックと、が径方向外側に向かって突設され、前記上部脚杆取付ブロックと前記下部脚杆取付ブロックは、前記ハブ部材の上面視において、当該ハブ部材の軸部の周方向で相互に重ならないように、当該ハブ部材の軸部と一体に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本支持構造体では、支柱の下部側の上下の異なる高さに上部脚杆と下部脚杆が設けられている。このため、不使用時に同形状の複数の什器を一箇所に集合させる場合には、一の什器の支持構造体の下部脚杆を他の支持構造体の上部脚杆が跨ぐようにして、下部脚杆同士と上部脚杆同士を近接させて配置することができる。したがって、本支持構造体を採用した場合には、複数の什器をコンパクに整列させることができる。
また、本支持構造体では、支柱が、支柱本体と、上部脚杆取付ブロックや下部脚杆取付ブロックの形成されるハブ部材と、を備えて成るため、比較的単純形状の長尺な支柱本体と、形状の複雑なハブ部材を別工程で製造することができる。ハブ部材は、型成形によって形成することができる。また、上部脚杆と下部脚杆は、ハブ部材に一体に形成された上部脚杆取付ブロックと下部脚杆取付ブロックとに嵌合することにより、ハブ部材に対して容易に位置決めすることができる。したがって、支持構造体の製造を効率良く行うことができる。
さらに、本支持構造体は、ハブ部材の上部脚杆取付ブロックと下部脚杆取付ブロックが、上面視で、当該ハブ部材の軸部の周方向で相互に重ならないように、軸部と一体に形成されているため、ハブ部材の型成形時に、上型と下型の上下方向の相対移動のみによって製品を容易に脱型することができる。即ち、例えば、上部脚杆取付ブロックの下面を造形する凸部を下型に突設した場合にも、離型時に凸部が下部脚杆取付ブロックと干渉しなくなる。
【0009】
前記上部脚杆と前記下部脚杆の各基部には、前記ハブ部材の軸部の外周面の周方向の略半分の領域を覆う支柱囲繞壁が設けられ、前記上部脚杆の支柱囲繞壁には、対を成す前記上部脚杆の前記支柱囲繞壁の延出端同士が相互に対向する対向面が設けられ、前記下部脚杆の支柱囲繞壁にも、対を成す前記下部脚杆の前記支柱囲繞壁の延出端同士が相互に対向する対向面が設けられるようにしても良い。
この場合、各脚杆の基部に設けられた支柱囲繞壁が、ハブ部材の軸部の外周面の大半の領域を覆うことになるため、各脚杆とハブ部材との結合部の剛性が支柱囲繞壁によって高められるとともに、対を成す脚杆の基部同士がほぼ連続し、外部からの見栄えも良好になる。
【0010】
前記上部脚杆と前記下部脚杆は、延び方向の中央領域から基部側の前記支柱囲繞壁のある部分にかけて上面視において略一定幅に形成されるようにしても良い。
この場合、一対の上部脚杆と一対の下部脚杆がそれぞれ上面視でほぼ連続して見えるため、支持構造体の見栄えが良好になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の支持構造体は、支柱が、支柱本体と、上部脚杆取付ブロックや下部脚杆取付ブロックの形成されるハブ部材と、を備えて成り、ハブ部材の上部脚杆取付ブロックと下部脚杆取付ブロックが、上面視で、当該ハブ部材の軸部の周方向で相互に重ならないように、軸部と一体に形成されている。このため、単純形状の支柱本体と、形状の複雑なハブ部材を別工程で製造して、製造の効率化と設備の小型化を図ることができる。さらに、ハブ部材の型成形時には、上型と下型の上下方向の相対移動のみによって製品を容易に脱型することができる。したがって、本発明の支持構造体は、上下に離間した上部脚杆と下部脚杆を備える構造でありながら、製造の効率化と、製造設備の小型・簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の什器を示す斜視図である。
図2】実施形態の脚部材を示す斜視図である。
図3】実施形態の一方の下部脚杆の図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4】実施形態の他方の下部脚杆の図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】実施形態の一方の下部脚杆の図3のV-V線に沿う断面図である。
図6】実施形態の一方の下部脚杆の一部部材を取り去った平面図である。
図7】実施形態のハブ部材を示す斜視図である。
図8】実施形態のハブ部材を示す平面図である。
図9】実施形態のハブ部材の図8のIX矢視図である。
図10】実施形態のハブ部材の図8のX矢視図である。
図11】実施形態の上部脚杆(下部脚杆)の対を示す斜視図である。
図12】実施形態の什器の整列状態を示す斜視図である。
図13】実施形態のハブ部材の斜視図であり、上型によって成形される部分と下型によって成形される部分に異なる濃度でドットを入れた図である。
図14】実施形態のハブ部材を成形する成形型のイメージを示す図であり、(A)は、図9に示すハブ部材と同じ向きから見た図、(B)は、図10に示すハブ部材と同じ向きから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の什器1を示す斜視図である。本実施形態の什器1は、支持構造体である脚部材2の上部に機能部材である天板3が支持されたテーブル装置である。
脚部材2は、鉛直方向に起立する支柱4と、支柱4の下部から放射方向に延びる上部脚杆5A,5B、及び、下部脚杆6A,6Bを備え、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bの延出方向の各端部が床面Fに対して接地されている。支柱4の上端部には、回動機構7を介して天板3が取り付けられている。回動機構7は、支柱4に対する天板3の姿勢(水平姿勢と垂立姿勢)を適宜切り換え可能に構成されている。
【0015】
図2は、脚部材2の下部側部分を示す斜視図である。
同図に示すように、脚部材2の支柱4は、鉛直方向に延びる支柱本体4Aと、支柱本体4Aの下端に連結されたハブ部材4Bと、を有している。図1に示す回動機構7は、支柱本体4Aの上端部に組み付けられている。ハブ部材4Bには、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bの各基部が組付けられている。一対の下部脚杆6A,6Bは、ハブ部材4Bの下端からハブ部材4Bの軸心と略直交する方向において互いに反対向きに延びている。各下部脚杆6A,6Bの延び方向の端部近傍には、床面F上を転動可能なキャスタ8a,8bが取り付けられている。また、一対の上部脚杆5A,5Bは、ハブ部材4Bの下部脚杆6A,6Bの延出位置よりも上方位置で、ハブ部材4Bの軸心と略直交する方向において互いに反対向きに延びている。上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bは、ハブ部材4Bの軸心回りに90°離間するように配置されている。換言すれば、下部脚杆6A,6Bは、上部脚杆5A,5Bよりも下方位置において上部脚杆5A,5Bと略直角な方向に延びている。各上部脚杆5A,5Bの延び方向の端部近傍には、下方に突出する台座部9を介してキャスタ8Aが取り付けられている。キャスタ8Aは、床面Fに対して転動可能とされている。
【0016】
図3は、図2のIII-III線に沿う下部脚杆6Aの断面図であり、図4は、図2のIV-IV線に沿う下部脚杆6Bの断面図である。
図3に示すように、一方の下部脚杆6Aの延び方向の端部の近傍には、当該領域(以下、「第1領域a1」と呼ぶ。)を、床面Fに対して可動状態と制動状態とに切り換え可能な第1制動切換機構14と、第1制動切換機構14に対して制動切換操作を行う操作突起15(制動操作部)が設けられている。また、図4に示すように、他方の下部脚杆6Bの延び方向の端部の近傍には、当該領域(以下、「第2領域a2」と呼ぶ。)を、床面Fに対して可動状態と制動状態とに切り換え可能な第2制動切換機構16が設けられている。
【0017】
第1制動切換機構14は、一方の下部脚杆6Aの端部下面に固定設置されたキャスタ8aと、キャスタ8aの設置位置よりも下部脚杆6Aの基部寄り位置に設けられた第1制動ブロック17と、を備えている。第1制動ブロック17は、下部脚杆6Aに下方に向かって進退可能に設けられ、突出した下端部が床面Fに接地して下部脚杆6Aを上方に持ち上げることにより、第1領域a1を床面Fに対して制動状態にする。第1制動ブロック17が床面Fに接地しない間は、キャスタ8aが床面Fに接地し、第1領域a1を床面Fに対して可動状態にする。
【0018】
操作突起15は、第1制動ブロック17の上方に、第1制動ブロック17に対して押し下げ操作可能に設置されている。操作突起15の上部は、下部脚杆6Aの上壁に設けられた開口18を通して下部脚杆6Aの上方に突出している。操作突起15は、下部脚杆6Aから上方に突出した上端部を、使用者が足裏によって踏み込み操作することにより、第1制動ブロック17を突出、若しくは、後退させる。操作突起15と第1制動ブロック17の間には、オルタネイトロック装置50(図5参照)が構成されている。オルタネイトロック装置50は、操作突起15の繰り返しの押し下げ操作により、第1制動ブロック17の突出状態でのロックと、ロック解除とを順次切り換えることができる。
【0019】
第2制動切換機構16は、他方の下部脚杆6Bの延出端の下面に固定設置されたキャスタ8bと、キャスタ8bの設置位置よりも下部脚杆6Bの基部寄り位置に設けられた第2制動ブロック19と、を備えている。第2制動ブロック19は、下部脚杆6Bに下方に向かって進退可能に設けられ、突出した下端部が床面Fに接地して下部脚杆6Bを上方に持ち上げることにより、第2領域a2を床面Fに対して制動状態にする。第2制動ブロック19が床面Fに接地しない間は、キャスタ8bが床面Fに接地し、第2領域a2を床面Fに対して可動状態にする。
【0020】
図3に示すように、下部脚杆6Aは、長尺な脚杆本体部6Aaが樹脂によって形成され、その内部に断面コ字状の金属製のベースプレート20が固定されている。ベースプレート20には、後述する複数のガイド機能部を有する樹脂製の支持ブラケット21が一体に固定されている。
【0021】
図5は、図3のV-V線に沿う断面図である。図6は、脚杆本体部6Aaと操作突起15を取り去って下部脚杆6Aの一部を上方から見た図である。
図3図6に示すように、支持ブラケット21は、略水平なベース壁21aの幅方向(下部脚杆6Aの延び方向と交差する方向)の両側にガイド壁21bが立設された水平ガイド機能部22と、ベース壁21aから上方に向かって突設された筒状壁21cから成る鉛直ガイド機能部23と、を有している。支持ブラケット21に関し、下部脚杆6Aの長手方向のハブ部材4Bの位置される側を「基部側」と呼び、その逆側を「延出端側」と呼ぶものとすると、鉛直ガイド機能部23は、支持ブラケット21のうちの水平ガイド機能部22よりも延出端側に配置されている。鉛直ガイド機能部23を構成する筒状壁21cは、図5に示すように上下方向に貫通している。
【0022】
支持ブラケット21の水平ガイド機能部22には、中間可動体24がスライド可能に保持されている。中間可動体24は、支持ブラケット21のベース壁21aとガイド壁21bとに案内されて、下部脚杆6Aの延び方向に沿って水平移動可能とされている。中間可動体24には、支軸24aが上方に向いて突設されている。支軸24aには、動滑車25が回動可能に支持されている。なお、図中の符号26は、支持ブラケット21に保持されて、中間可動体24の浮き上がりを規制する変位規制ロッドである。また、中間可動体24のうちの、下部脚杆6Aの延出端側寄り位置には、幅方向に離間して一対のカム壁32が突設されている。各カム壁32の上面には、下部脚杆6Aの基部側から延出端側に向かって上方に傾斜するカム面32aが形成されている。
【0023】
操作突起15は、図5に示すように、下方側が開口したボックス形状に形成されている。操作突起15の上壁15aの下面中央には、略円筒状のボス部27が突設されている。また、操作突起15の上壁15aの下面のボス部27を間に挟む幅方向両側部分には一対のカム壁28が突設されている。カム壁28の下面には、下部脚杆6Aの延出端側から基部側に向かって下方に傾斜するカム面28aが形成されている。操作突起15の各カム面28aは、中間可動体24のカム壁32の対応するカム面32aと摺動可能に当接している。この構成により、操作突起15が下方に押し下げ操作されると、カム面28a,32a同士が摺動することにより、中間可動体24が下部脚杆6Aの基部側に向かって略水平にスライド変位する。
本実施形態においては、操作突起15のカム壁28と中間可動体24のカム壁32とが、操作突起15の押し下げ動作を中間可動体24の略水平方向の動作に変換する第1動作変換機構を構成している。
【0024】
操作突起15のボス部27には、第1制動ブロック17の上部側部材を構成する荷重伝達軸29が同軸に固定されている。荷重伝達軸29は、ボス部27に回転不能に嵌合固定され、下端がボス部27よりも下方に突出している。荷重伝達軸29の下端には、上方側の他の部位よりも大径の頭部29aが一体に形成されている。ボス部27は、支持ブラケット21の筒状壁21c(鉛直ガイド機能部23)内に上下方向にスライド可能に挿入されている。ボス部27の外周面には、周方向等間隔に8つのガイド突条30が形成されており、これらのガイド突条30が、筒状壁21c(鉛直ガイド機能部23)の内周面に形成された対応するガイド溝31に上下スライド可能に嵌合されている。したがって、操作突起15は、上下方向の進退位置に拘らず筒状壁21c(支持ブラケット21)に対して筒部の周域周りに回り止めされている。
【0025】
第1制動ブロック17は、上方側に開口するボックス状のブロック本体35と、操作突起15のボス部27に支持された荷重伝達軸29と、ブロック本体35の底壁上面と荷重伝達軸29の頭部29aとの間に介装された圧縮ばね36(弾性部材)と、を備えている。本実施形態においては、荷重伝達軸29が第1制動ブロック17の上部側部材を構成し、ブロック本体35が第1制動ブロック17の下部側部材を構成している。操作突起15から荷重伝達軸29に入力された押し込み方向の操作荷重は、圧縮ばね36を介してブロック本体35に伝達される。したがって、操作突起15が下方に押し下げ操作されて、ブロック本体35の下面が床面F上に接地すると、その後は操作突起15の押し下げ量に応じて圧縮ばね36が押し縮められる(蓄力される)。
なお、オルタネイトロック装置50は、操作突起15のボス部27と、支持ブラケット21の筒状壁21cと、第1制動ブロック17の荷重伝達軸29と、間に跨って構成されている。オルタネイトロック装置50の詳細構造については説明を省略する。
【0026】
ブロック本体35は、相互に対向する一対の側壁(下部脚杆6Aの延び方向で対向する側壁)にガイド片35aが上方に向かって突出している。これらのガイド片35aは、支持ブラケット21のベース壁21aに形成されたガイド孔21d(図6参照)に挿通され、ガイド孔21dによって上下方向に昇降可能に案内されている。また、各ガイド片35aの上端部には、側方に向かって突出する係止爪35bが一体に形成されている。各係止爪35bは、操作突起15の側壁下端に形成された開口15bに挿入されている。各係止爪35bは、開口15b内の範囲では自由に移動でき、開口15bの下縁部15cに当接することによって相対的な下方変位を規制される。したがって、ブロック本体35が下方に突出した状態から、操作突起15が上方に押し上げられた場合には、下縁部15cが係止爪35bと当接することにより、ブロック本体35が操作突起15とともに上方に押し上げられる。
【0027】
また、図3図6に示すように、中間可動体24に支持された動滑車25には、動作伝達機構の一部を成すワイヤ33(インナワイヤ33i)の中間領域が掛け回されている。なお、ワイヤ33は、インナワイヤ33iと、インナワイヤ33iの外側を相対変位可能に覆うアウタチューブ33oと、を有している。以下では、単に「ワイヤ33」と呼ぶ場合には、インナワイヤ33iを意味するものとする。
【0028】
ワイヤ33の一端部側は、一方の下部脚杆6Aと他方の下部脚杆6Bの下面に沿って配索され、他方の下部脚杆6Bの延出端側に配置された第2制動切換機構16の昇降リンク機構37(図4参照)に連結されている。また、ワイヤ33の他端側の端部は、弾性復元機構を構成する引っ張りばね34を介してベースプレート20に結合されている。ベースプレート20は、一方の下部脚杆6Aに一体に固定されているため、ワイヤ33の他端部側は、引っ張りばね34を介して什器本体に連結されている。引っ張りばね34は、ワイヤ33に過大な張力が作用したときに、伸び方向の弾性変形を開始して、ワイヤ33の張力を緩和しつつその張力のエネルギーを蓄積する。
【0029】
また、他方の下部脚杆6Bの第2領域a2には、図4に示すように、機構収容ケース38が固定設置されている。機構収容ケース38には、第2制動ブロック19が昇降自在に収容されるとともに、ワイヤ33の引き込み動作を第2制動ブロック19の突出動作に変換する昇降リンク機構37が組み込まれている。
【0030】
昇降リンク機構37は、機構収容ケース38の側壁に形成されたガイド孔39に支持ピン40がスライド可能に支持され、その支持ピン40に、ワイヤ連結ブロック41が一体に結合されるとともに、リンク42の一端部側が回動可能に連結されている。ガイド孔39は、機構収容ケース38の幅方向両側の側壁に、下部脚杆6Bの延び方向に沿うように長孔状に形成されている。ワイヤ連結ブロック41には、ワイヤ33の一端部が連結され、ワイヤ33の引き込み力がワイヤ連結ブロック41を介して支持ピン40に作用するようになっている。支持ピン40は、ワイヤ33の引き込み力を受けてガイド孔39内を下部脚杆6Bの基部側に向かってスライド変位する。このとき、第2制動ブロック19は、機構収容ケース38に昇降自在に周囲をガイドされているため、支持ピン40の変位とともにリンク42から下向きの押し下げ力を受ける。この結果、第2制動ブロック19は下部脚杆6Bの下方に突出する。
【0031】
また、ワイヤ連結ブロック41と機構収容ケース38の間には、支持ピン40を初期位置方向(下部脚杆6Bの延出端方向)に向けて付勢するリターンスプリング43が介装されている。このため、ワイヤ33による引き込み力が解除されると、支持ピン40がリターンスプリング43の付勢力を受けて初期位置に戻り、その結果、第2制動ブロック19が初期位置まで後退(上昇)する。
なお、リターンスプリング43は、ワイヤ33を通して中間可動体24から引き込み力が入力されているときに、中間可動体24に対して初期位置方向に戻す反力を作用させる。
【0032】
什器1(脚部材2)を可動状態から制動状態に切り換えるときには、作業者が操作突起15を足踏みによって押し下げ操作する。操作突起15が押し下げられると、第1制動ブロック17が下方に突出して床面Fに接地し、一方の下部脚杆6Aの第1領域a1が制動状態とされる。また、このとき操作突起15の押し下げ動作(第1制動ブロック17の押し下げ方向の動作)が、第1変換機構であるカム壁28,32の摺動によって中間可動体24の水平方向の変位に変換され、中間可動体24の水平方向の変位が、第2変換機構であるワイヤ33と昇降リンク機構37を介して第2制動ブロック19の下方への突出動作に変換される。これにより、第2制動ブロック19が下方に突出して床面Fに接地し、他方の下部脚杆6Bの第2領域a2が制動状態とされる。この結果、脚部材2の全体が床面Fに対して制動状態に維持される。
なお、操作突起15が最大に踏み込まれた後にその踏み込みが解除されると、オルタネイトロック装置50によるロックが機能し、下方に所定量突出した第1制動ブロック17がその突出状態のまま保持される。脚部材2の制動は、操作突起15の再度の踏み込みによって解除される。
【0033】
図7は、支柱4のハブ部材4Bの斜視図である。また、図8は、ハブ部材4Bの平面図であり、図9図10は、図8のIX矢視図と、図8のX矢視図である。
これらの図に示すように、ハブ部材4Bは、略円柱状のハブ本体部10(軸部)と、ハブ本体部10から放射方向に延びる断面略矩形状の上部脚杆取付ブロック11、及び、下部脚杆取付ブロック12と、を有している。上部脚杆取付ブロック11と下部脚杆取付ブロック12は、各一対設けられている。ハブ本体部10と上部脚杆取付ブロック11、及び、下部脚杆取付ブロック12は、例えば、硬質樹脂等によって一体に形成されている。一対の上部脚杆取付ブロック11は、ハブ本体部10の外周上の相反位置に突設されている。一対の下部脚杆取付ブロック12は、上部脚杆取付ブロック11の突設部よりも下方側で、上部脚杆取付ブロック11とハブ本体部10の円周方向で90°離間するように、ハブ本体部10の外周上の相反位置に突設されている。上部脚杆取付ブロック11には、上部脚杆5A,5Bの基部が嵌合され、その状態で上部脚杆5A,5Bの基部がボルト13によって締結固定されている。同様に、下部脚杆取付ブロック12には、下部脚杆6A,6Bの基部が嵌合され、その状態で下部脚杆6A,6Bの基部がボルト13によって締結固定されている。
【0034】
また、上部脚杆取付ブロック11と下部脚杆取付ブロック12とは、図8に示すように、ハブ部材4Bの上面視において、ハブ本体部10の周方向で互いに重ならないように、ハブ本体部10と一体に形成されている。つまり、上部脚杆取付ブロック11と下部脚杆取付ブロック12の各付根部は、ハブ部材4Bを上方から見たときに、ハブ本体部10の周方向で所定距離dだけ離間するように形成されている。
【0035】
図11は、一対の上部脚杆5A,5Bの基部を示した斜視図である。なお、一対の下部脚杆6A,6Bの基部もほぼ同形状とされているため、図11には、括弧に入れて下部脚杆6A,6Bの符号も付している。
上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bの各基部には、ハブ本体部10の外周面の周方向の略半分の領域を覆う支柱囲繞壁62が設けられている。支柱囲繞壁62は、ハブ本体部10の外周面に対向して半円状の円弧面62aが形成されている。円弧面62aは、上部脚杆5A,5Bや下部脚杆6A,6Bの基部がハブ部材4Bに組付けられたときに、ハブ本体部10の外周面に当接する。また、円弧面62aは、上部脚杆5A,5Bや下部脚杆6A,6Bの幅方向の中心位置から同円弧長だけ延びている。支柱囲繞壁62のうちの、円弧面62aの円弧方向に沿った端部を支柱囲繞壁62の「延出端」と呼ぶものとする。
【0036】
支柱囲繞壁62の両側の延出端には、対を成す上部脚杆5A,5B、または、下部脚杆6A,6Bの延出端同士が相互に対向する平坦な対向面63が形成されている。対向面63は、支柱囲繞壁62のある上部脚杆5A,5Bや下部脚杆6A,6Bの延び方向と略直角で、鉛直方向に垂立する面によって構成されている。
なお、対を成す上部脚杆5A,5Bの対向面63同士と、対を成す下部脚杆6A,6Bの対向面63同士は、各脚杆をハブ部材4Bに固定した状態で、相互に突き当たるようにしても良い。この場合、支柱4の上方から大きな荷重が入力されたときに、各脚杆の基部が下方に下がるように変位するのを規制することができる。したがって、各脚杆とハブ部材4Bとの結合部の剛性を高めることができる。
また、対を成す上部脚杆5A,5Bの対向面63同士と、対を成す下部脚杆6A,6Bの対向面63同士は、各脚杆をハブ部材4Bに固定した状態で、相互に所定距離離間させるようにしても良い。この場合、上部脚杆5A,5B、下部脚杆6A,6B、ハブ部材4B等に製造誤差があっても、これらを容易に組み付けることができる。
【0037】
また、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bは、延び方向の中央領域から基部側の支柱囲繞壁62のある部分にかけてが、上面視において略一定幅に形成されている。
【0038】
次に、上記の構成の什器1を一箇所に集めて整列させる場合について説明する。
図12は、天板3を垂立姿勢にして、複数の什器1の脚部材2を集合させた状態を示す図である。
同図に示すように、一の什器1の下部脚杆6A,6Bに対して他の什器1の上部脚杆5A,5Bを上方から跨がせ、一の什器1の下部脚杆6A,6Bと他の什器1の下部脚杆6A,6Bとが平行になり、かつ、一の什器1の上部脚杆5A,5Bと他の什器1の上部脚杆5A,5Bとが平行になるように互いの脚部材2を近接させる。同様にしてさらに他の什器1も下部脚杆6A,6B同士、上部脚杆5A,5B同士が平行になるように互いの脚部材2を近接させる。このように什器1を整列させることにより、複数の什器1を一箇所にコンパクトにまとめることができる。
【0039】
本実施形態の脚部材2は、天板3を支持する支柱4が、上下に延びる支柱本体4Aと、上部脚杆取付ブロック11や下部脚杆取付ブロック12の形成されるハブ部材4Bと、を備えて成るため、比較的単純形状の長尺な支柱本体4Aと、形状の複雑なハブ部材4Bを別工程で製造することができる。そして、ハブ部材4Bは、後に詳述するように型成形によって容易に形成することができる。また、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bは、ハブ部材4Bの上部脚杆取付ブロック11と下部脚杆取付ブロック12とに嵌合して位置決めし、その状態でハブ部材4Bにボルト13によって締結することができる。したがって、本実施形態の脚部材2を採用した場合には、脚部材2の製造を効率良く行うことができる。
【0040】
図13は、ハブ部材4Bを型成形する際に、上型によって成形される部分と下型によって成形される部分に異なる濃度のドットを入れて示したハブ部材の斜視図である。同図中の薄いドットは、上型によって成形される部分であり、同図中の濃いドットは、下型によって形成される部分である。また、図14は、ハブ部材4Bを型成形する際のイメージを示した図である。図14中の濃いドットは、成形型の下型70を示し、薄いドットは、成形型の上型71を示している。
本実施形態の脚部材2では、上述したようにハブ部材4Bに関し、上部脚杆取付ブロック11と下部脚杆取付ブロック12の各付根部が、ハブ部材4Bを上方から見たときに、ハブ本体部10の周方向で所定距離dだけ離間するように形成されている。このため、図14(A),(B)に示すような上型71と下型70のみによってハブ部材4Bを容易に型成形することができる。即ち、上部脚杆取付ブロッ11と下部脚杆取付ブロック12の各付根部が周方向で所定距離dだけ離間しているため、例えば、上部脚杆端取付ブロック11の下面を造形する上向き凸部70aを下型70側に設けた場合にも、離型時に凸部70aが成形品の下部脚杆取付ブロック12と干渉することがない。このため、成形品を損傷させることなく、容易に脱型を行うことができる。
したがって、本実施形態の構成を採用した場合には、上下に離間した上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bを備える構造でありながら、製造の効率化と、製造設備の小型・簡素化を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態の脚部材2は、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bの各基部に設けられた支柱囲繞壁62が、ハブ本体部10(軸部)の外周面の大半の領域を外側から覆うため、各脚杆とハブ部材4Bとの結合部の剛性が支柱囲繞壁支柱囲繞壁62によって高められるとともに、対を成す脚杆の基部同士がほぼ連続し、外部からの見栄えも良好になる。
【0042】
また、本実施形態の脚部材2の場合、上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bは、延び方向の中央領域から基部側の支柱囲繞壁62のある部分にかけてが、上面視において略一定幅に形成されている。このため、各一対の上部脚杆5A,5Bと下部脚杆6A,6Bがそれぞれ上面視でほぼ連続して見えるため、脚部材2の見栄えが良好になる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、支持構造体に支持される機能部品は、テーブル装置の天板に限るものではなく、椅子の座体や棚等の他の構成のものであっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 什器
2 脚部材(支持構造体)
3 天板(機能部材)
4 支柱
4A 支柱本体
4B ハブ部材
5A,5B 上部脚杆
6A,6B 下部脚杆
10 ハブ本体部(軸部)
11 上部脚杆取付ブロック
12 下部脚杆取付ブロック
62 支柱囲繞壁
63 対向面
図1
図2
図3
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図5
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