(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20221109BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B65D47/34 110
B05B1/02 101
(21)【出願番号】P 2018246063
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-028378(JP,A)
【文献】特開2018-030646(JP,A)
【文献】特開2013-240759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容した内容物を泡状にして吐出させる泡吐出器であって、
前記容器の内容物を吸引するポンプと、
上方付勢され、下方に押し下げることによって前記ポンプを駆動させることが可能であって、内部には該ポンプから送給される内容物を通す上流側通路を有する押圧ヘッドと、
一端側には前記押圧ヘッドに連結する連結部を有する一方、他端側には下方に向けて指向させた環状外周壁と環状内周壁とを有し、内部には前記上流側通路に通じるとともに該環状外周壁と該環状内周壁との相互間を通過する下流側通路を有していて、該下流側通路の出口には該ポンプによって送給された内容物を吐出させる吐出口を有する吐出部材と、を備え
、
前記環状内周壁の内側は、上下方向に連通するものである泡吐出器。
【請求項2】
前記環状外周壁と前記環状内周壁は、ともに下方に向けて拡径するものである請求項
1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記環状内周壁は、該環状内周壁の下方において、上下方向に沿って筒状に延在する下部筒状壁を有する請求項1
又は2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記吐出口は、側方へ向けて指向するものである請求項1~
3の何れか一項に記載の泡吐出器。
【請求項5】
前記吐出口は、開口幅が周方向に略同一である請求項1~
4の何れか一項に記載の泡吐出器。
【請求項6】
前記吐出口は、開口幅が周方向に変化する請求項1~
5の何れか一項に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容した内容物を泡状にして吐出させる泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に収容した内容物を泡状にして吐出する泡吐出器においては、近年、吐出した内容物によって所定形状の造形物が形成されるものが出始めている。例えば特許文献1に示された吐出ヘッドは、頂部に位置する造形壁に、内容物が通過する複数の成形孔が設けられていて、これらの成形孔から吐出される内容物の造形要素が造形壁の面上で組み合わさることで、所定の造形物(例えば薔薇のような八重咲きの花を模したもの)が形成されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1の吐出ヘッドは、頂部の造形壁で形成された造形物を手などで拭って塗布するものであるが、例えば手のひら等の受容物の上で泡状の内容物を所定の形状に造形することができれば、塗布先に塗布する直前まで造形物の形状を楽しむことができるうえ、形作られた泡造形物をそのまま塗布先に塗布することができる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、例えば手のひらの上で泡造形物を形成することができる泡吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器に収容した内容物を泡状にして吐出させる泡吐出器であって、
前記容器の内容物を吸引するポンプと、
上方付勢され、下方に押し下げることによって前記ポンプを駆動させることが可能であって、内部には該ポンプから送給される内容物を通す上流側通路を有する押圧ヘッドと、
一端側には前記押圧ヘッドに連結する連結部を有する一方、他端側には下方に向けて指向させた環状外周壁と環状内周壁とを有し、内部には前記上流側通路に通じるとともに該環状外周壁と該環状内周壁との相互間を通過する下流側通路を有していて、該下流側通路の出口には該ポンプによって送給された内容物を吐出させる吐出口を有する吐出部材と、を備え、
前記環状内周壁の内側は、上下方向に連通するものである泡吐出器である。
【0008】
前記環状外周壁と前記環状内周壁は、ともに下方に向けて拡径することが好ましい。
【0009】
前記環状内周壁は、該環状内周壁の下方において、上下方向に沿って筒状に延在する下部筒状壁を有することが好ましい。
【0010】
前記吐出口は、側方へ向けて指向することが好ましい。
【0011】
前記吐出口は、開口幅が周方向に略同一であることが好ましい。
【0012】
前記吐出口は、開口幅が周方向に変化するものでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従う泡吐出器によれば、内容物を収容した容器にこの泡吐出器を装着した状態で、例えば手のひらを吐出部材の下に差し入れて反対の手で押圧ヘッドを押し下げると、容器の内容物は、押圧ヘッドの押し下げに伴って駆動するポンプによって上流側通路へ送給され、更に吐出部材の環状外周壁と環状内周壁との相互間を通過する下流側通路を通って吐出口から吐出され、その後押圧ヘッドが復帰すると、差し入れた手のひらの上には環状内周壁に相当する部分に孔を有するリング状の泡造形物が形成される。このため、塗布先に塗布する直前まで手のひらの上の泡造形物を目で見て楽しむことができるうえ、手のひらの泡造形物をそのまま塗布先に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に従う泡吐出器の第一実施形態を示した側面視での断面図である。
【
図2】
図1の泡吐出器を構成する上側ノズル部材につき、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA-Aに沿う断面図であり、(c)は背面図である。
【
図3】
図1の泡吐出器を構成する下側ノズル部材につき、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は(a)のB-Bに沿う断面図である。
【
図4】
図1の泡吐出器から内容物を吐出させる状況について説明するための図であって、(a)は不図示の押圧ヘッドを押し下げて手のひらの上に内容物を吐出させた状態を側方から示した図であり、(b)は押圧ヘッドが上方へ復帰して手のひらの上に内容物が残された状態を側方から示した図であり、(c)は手のひらの上に残された内容物の平面図である。
【
図5】第一実施形態の泡吐出器を使用して手のひらの上に吐出させた内容物の写真である。
【
図6】本発明に従う泡吐出器の第二実施形態を示した側面視での断面図である。
【
図7】
図6の泡吐出器を構成する下側ノズル部材につき、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は(a)のC-Cに沿う断面図である。
【
図8】
図6の泡吐出器から内容物を吐出させる状況について説明するための図であって、(a)は不図示の押圧ヘッドを押し下げて手のひらの上に内容物を吐出させた状態を側方から示した図であり、(b)は押圧ヘッドが上方へ復帰して手のひらの上に内容物が残された状態を側方から示した図であり、(c)は手のひらの上に残された内容物の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明に従う泡吐出器の第一実施形態について、
図1~
図3を参照しながら説明する。なお、本明細書等において、「上」側、「下」側とは、
図1に示すようにシリンダー(符号20)が下方に位置し、押圧ヘッド(符号3)が上方に位置する状態での向きをいう。
【0016】
本実施形態の泡吐出器は、ベースキャップ1、ポンプ2、押圧ヘッド3、吐出部材4を備えていて、不図示の容器に装着して使用される。また本実施形態の吐出部材4は、上側ノズル部材5と下側ノズル部材6を組み合わせて構成されている。
【0017】
ベースキャップ1は、円筒状をなす容器の口部に装着され、この口部に対してポンプ2を保持するものである。本実施形態のベースキャップ1は、有蓋筒状をなすとともに中央部に貫通孔を有するベースキャップ本体1aと、この貫通孔を取り囲んでベースキャップ本体1aから上方に向けて延在する筒状壁1bとを備えている。なお、ベースキャップ本体1aの内周面には、雌ねじ状に形成された不図示の雌ねじ部が設けられていて、これに適合する雄ねじ部を口部の外周面に備える容器に対して装着することができる。なお、ベースキャップ1を容器に装着するには、他の手段(例えばアンダーカット)を利用してもよい。
【0018】
本実施形態のポンプ2は、下方に位置する小径筒体20aと、小径筒体20aの上端部に連結する大径筒体20bとを備え、小径筒体20aと大径筒体20bとを直列状に配置した構成をなすとともにベースキャップ1に保持されるシリンダー20を備えている。図示は省略するが、シリンダー20の内側には、小径筒体20aの内周面に対して摺動可能であって、上方付勢された内容物用ピストンと、大径筒体20bの内周面に対して摺動可能な空気用ピストンが配置されている。また小径筒体20aの下部には、ベースキャップ1を容器の口部に装着した際、容器の底部に向けて延在するパイプ21が設けられている。
【0019】
またポンプ2は、上述したベースキャップ本体1aの貫通孔に挿通される円筒状のステム22を備えている。またステム22の上部には、ホルダー23が取り付けられていて、ホルダー23の内側には、網目状のメッシュを備える発泡部材24が取り付けられている。詳細な説明は省略するが、ステム22は内容物用ピストンと空気用ピストンに連結するものであって、内容物用ピストンを介して上方付勢されている。またステム22を押し下げると、内容物用ピストンと空気用ピストンとがシリンダー20内で摺動し、これによって小径筒体20a内の内容物と大径筒体20b内の空気がステム22の内部に送給される。その後は、混合した内容物と空気が発泡部材24を通過することにより、これらを発泡させることができる。
【0020】
押圧ヘッド3は、角筒状をなし水平方向に指向されたノズル3aと、ノズル3aに連結する天壁3bと、天壁3bの下面から下方に向けて延在し、ホルダー23とステム22を取り囲んでこれらに連結する内側筒部3cと、ベースキャップ1における筒状壁1bよりも大径になる外側筒部3dとを備えている。なお、押圧ヘッド3における内側筒部3cとノズル3aの内部には、発泡部材24を通過した発泡した内容物を送給する通路(上流側通路)T1が設けられている。また押圧ヘッド3をステム22に取り付けた際、上方付勢されるステム22によって、押圧ヘッド3も上方付勢された状態にある。
【0021】
吐出部材4を構成する上側ノズル部材5は、
図2に示すように角筒状をなし、水平方向に長く延在する連結部5aを備えている。連結部5aの一方の端部には、連結部5aの外周面を周回する突起(ストッパー)5bが設けられている。また連結部5aの他方の端部には、連結部5aの内側に形成される通路(連結通路Ta)に連通するとともに下方に向けて指向する環状の周壁(環状外周壁)5cが設けられている。本実施形態の環状外周壁5cは、上部の外径は略同一である一方、下部の外径は下方に向けて拡径するものである。また環状外周壁5cの内面には、断面形状が半円状であって、周方向に延在して環状をなす係合突起5dが設けられている。また環状外周壁5cの径方向内側には、上下方向に貫通する筒状の内筒壁5eが設けられている。そして内筒壁5eの下部には、内筒壁5eの内周面を径方向外側に広げた収容部5fが設けられている。
【0022】
下側ノズル部材6は、
図3に示すように環状の周壁(環状内周壁)6aを備えている。本実施形態の環状内周壁6aは、上部は略同一の外径である一方、下部は、下方に向けて拡径するように形成されている。環状内周壁6aは、その上部において、筒状をなすとともに環状内周壁6aの上部における外径よりも小径になる上部筒状壁6bを備えていて、また下部には、下方に向けて略同一の外径で延在する筒状の下部筒状壁6cを備えている。そして環状内周壁6aの外面には、上下方向に延在する縦リブ6dと、縦リブ6dの上部を径方向外側に膨出させた形態をなす爪部6eが設けられている。本実施形態の縦リブ6dと爪部6eは、周方向に等間隔で合計4つ設けられている。
【0023】
このような形態になる上側ノズル部材5と下側ノズル部材6は、上側ノズル部材5の下方から下側ノズル部材6を挿入することにより、
図1に示すように上部筒状壁6bを収容部5fに挿入し、また爪部6eを係合突起5dに係合させて両者を組み合わせている。また、連結部5aの端部をノズル3aの内側に挿入することで、上側ノズル部材5は押圧ヘッド3に嵌合保持される。なお、連結部5aをノズル3aに挿入していくと、ストッパー5bがノズル3aの先端に当接するため、連結部5aがノズル3aに過剰に押し込まれることはない。
【0024】
また、
図1に示すように上側ノズル部材5と下側ノズル部材6を組み合わせた際、環状外周壁5cと環状内周壁6aの間には、環状に区画されるとともに連結通路Taに連通する環状通路Tbが形成される。ここで、連結通路Taと環状通路Tbを総称して下流側通路T2と称する。そして、組み合わせた上側ノズル部材5と下側ノズル部材6を押圧ヘッド3に取り付けることによって、上流側通路T1と下流側通路T2とを連通させることができる。なお
図1に示すように、本実施形態における下流側通路T2の出口である、環状外周壁5cの外縁部付近に位置する側方へ向けて指向する環状開口を吐出口D1と称する。本実施形態の吐出口D1の開口幅(環状外周壁5cの外縁部付近における環状外周壁5cと環状内周壁6aとの径方向の隙間)は、周方向にほぼ一定となっている。また、上側ノズル部材5と下側ノズル部材6を組み合わせた際、環状内周壁6aの内側は、収容部5fに上部筒状壁6bが挿入されることにより、上下方向に連通している。
【0025】
このような形態になる泡吐出器は、内容物を収容した不図示の容器にパイプ21、シリンダー20を挿入し、この容器の口部にベースキャップ1をねじ込むことによって、容器に装着される。そして、上方付勢された押圧ヘッド3を下方に押し下げることによってステム22も押し下げられ、内容物用ピストンと空気用ピストンもシリンダー20内で下方に向けて摺動するため、小径筒体20a内の内容物と大径筒体20b内の空気はステム22の内部に送給され、混合した状態で発泡部材24を通過して発泡する。その後は、上流側通路T1と下流側通路T2を通過させて、環状の吐出口D1から泡状の内容物を吐出することができる。
【0026】
ここで、本実施形態における泡吐出器で吐出した内容物によって形作られる泡造形物について、
図4を参照しながら詳細に説明する。例えば手のひらの上に泡造形物を形成する場合は、押圧ヘッド3が上方付勢された状態で、下側ノズル部材6の下面に手のひらを当てておく。そして反対の手で押圧ヘッド3を押し下げると、ポンプ2が駆動して泡状の内容物が吐出口D1から吐出される。ここで手のひらHの上に吐出される泡状の内容物Nは、外縁部は円形をなし、内縁部は環状内周壁6aの外面(特に下部筒状壁6cの外面)を取り囲むように形作られる。なお、環状外周壁5cと環状内周壁6aは下方に向けて拡径しており、また吐出口D1は側方へ向けて指向しているため、手のひらHの上に吐出される内容物Nのサイズを、吐出部材4に比して比較的大きくすることができる。
【0027】
そして、押圧ヘッド3を押し下げていた手の力を緩めると、押圧ヘッド3が上方へ向けて復帰し始め、下側ノズル部材6が手のひらHから離反していく。なお、環状内周壁6aの下方に設けた下部筒状壁6cは上下方向に沿って延在しているため、内容物Nの内縁部分は垂直に近い形状となっている。このため、下側ノズル部材6が手のひらHから離反していっても、内容物Nの内縁部分は径方向内側に流れ難い状態にある。また内容物の種類や周囲の環境にもよるが、下側ノズル部材6が上昇するにつれ、手のひらHに吐出された内容物Nと下部筒状壁6cとの間には、筒状になる内容物の膜が形成される。
【0028】
ところで、下側ノズル部材6が手のひらHから離反していくと、環状内周壁6aと手のひらHで区画される空間(手のひらHに吐出された内容物Nと、手のひらHから離反する下部筒状壁6cとの間に内容物による筒状の膜が形成されるときは、この膜の内側も含む空間)の容積は増えていくことから、この空間が閉じられていると空間内は負圧状態となる。一方、本実施形態における環状内周壁6aの内側は上下方向に連通しているため、空間内が負圧状態になることが避けられる。すなわち、押圧ヘッド3の復帰が進んで下側ノズル部材6が手のひらHから大きく離隔するまで、上述した筒状の膜は割れずに維持される。また空間内が負圧状態になることが避けられるため、手のひらHに吐出された内容物Nの内縁部分が径方向内側に引き寄せられる作用も働かず、内縁部分は垂直に近い状態で維持される。従って本実施形態の泡吐出器によれば、手のひらHの上に、
図4(c)の概略図や
図5の写真に示す如き、中心部の孔が比較的はっきりとした円形になるリング状の泡造形物を形成することができる。なお、形成される泡造形物には、
図4(b)に仮想線で示すような、中心部の孔を覆う内容物の膜が形成されることもある。
【0029】
本発明に従う泡吐出器は、上述した実施形態に限られず、以下に説明する第二実施形態のようにして具現化することも可能である。
図6、
図7に示す第二実施形態の泡吐出器は、上述した下側ノズル部材6に替えて、下側ノズル部材7を備えるものである。
【0030】
図7に示すように下側ノズル部材7は、環状内周壁6a、上部筒状壁6b、及び下部筒状壁6cと同様の構成になる環状内周壁7a、上部筒状壁7b、及び下部筒状壁7cを備えている。また環状内周壁7aの外面には、環状内周壁7aと同様にして下方に向けて拡径するリブ7dが設けられ、リブ7dの上部には、径方向外側に膨出する爪部7eが設けられている。本実施形態のリブ7dと爪部7eは、周方向に等間隔で合計5つ設けられている。
【0031】
このような下側ノズル部材7も、上側ノズル部材5の下方から挿入することによって、
図6に示すように上部筒状壁7bが収容部5fに挿入され、爪部7eが係合突起5dに係合して上側ノズル部材5に保持される。なお、
図6に示すように上側ノズル部材5と下側ノズル部材7を組み合わせた際、環状外周壁5cの内面とリブ7dの外面との間には隙間が殆どない状態になっている。すなわち本実施形態において、環状外周壁5cと環状内周壁7aの間には、隣り合うリブ7dの間が通路になる放射状通路Tcが形成される。なお、上述した連結通路Taと放射状通路Tcを総称して下流側通路T3と称する。また、下流側通路T3の出口である、環状外周壁5cの外縁部付近には、周方向に間欠状に並ぶ吐出口D2が形成される。
【0032】
第二実施形態の泡吐出器を使用して手のひらの上に泡造形物を形成する際も、押圧ヘッド3が上方付勢された状態で、下側ノズル部材7の下面に手のひらを当てておき、反対の手で押圧ヘッド3を押し下げる。その結果、ポンプ2の駆動によって上流側通路T1を通過する内容物は、下流側通路T3における放射状通路Tcで複数に分岐して、間欠状に並ぶ吐出口D2から吐出される。このとき手のひらHの上面における泡状の内容物Nは、
図8(a)に示すように外縁部が径方向外側に部分的に突出したように形作られる一方、内縁部は、環状内周壁7aの外面(特に下部筒状壁7cの外面)を取り囲むような状態となっている。
【0033】
そして、押圧ヘッド3を押し下げていた手の力を緩めると、内容物の種類等によっては上述した筒状の膜を伴いつつ、下側ノズル部材7が上昇していく。そして手のひらHの上には、
図8(c)に示す如き、中央部に孔を有する花の如き形態になる泡造形物が形成される。なお本実施形態の泡吐出器でも、環状内周壁7aの内側は上下方向に連通しているため、泡造形物の中心部には、比較的はっきりとした円形の孔が形成される。なおこの泡造形物にも、
図8(b)に仮想線で示すような中心部の孔を覆う内容物の膜が形成されることもある。
【0034】
以上、本発明について2つの具体的な実施形態を示しながら説明したが、本発明に従う泡吐出器は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に従う範疇で種々の変更を加えたものも含まれる。例えば、ポンプ2は上述したものに限られず、他の構造を採用してもよい。また吐出部材4は、上側ノズル部材5と下側ノズル部材6(下側ノズル部材7)を組み合わせるものに限られず、1つの部材で一体的に構成してもよいし、3つ以上の部材を組み合わせるようにしてもよい。また、押圧ヘッド3と上側ノズル部材5とを一体的に連結し、これに下側ノズル部材6(下側ノズル部材7)を装着するようにしてもよい。また、第二実施形態における吐出口D2の開口幅(環状外周壁5cの外縁部付近における環状外周壁5cと環状内周壁7aとの径方向の隙間)は、
図6から把握されるように、リブ7dを設けた部位は閉じられる一方、隣り合うリブ7dの間は開いていて、この閉じた部分と開いた部分で開口幅が周方向に変化するものであったが、リブ7dの高さを低くして環状外周壁5cとの間に隙間が生じる状態にすることによって開口幅を周方向に変化させてもよい。なお、下側ノズル部材7に設けたリブ7dは、上側ノズル部材5における環状外周壁5cの内周面に設けてもよい。また本実施形態においては、手のひらHを押圧ヘッド3の下に差し入れ、更に反対の手で押圧ヘッド3を押し下げるようにして内容物を吐出したが、吐出方法はこれに限られるものではなく、使用状況に応じて適宜選択すればよい。
【符号の説明】
【0035】
1:ベースキャップ
1a:ベースキャップ本体
1b:筒状壁
2:ポンプ
3:押圧ヘッド
3a:ノズル
3b:天壁
3c:内側筒部
3d:外側筒部
4:吐出部材
5:上側ノズル部材
5a:連結部
5b:ストッパー
5c:環状外周壁
5d:係合突起
5e:内筒壁
5f:収容部
6:下側ノズル部材
6a:環状内周壁
6b:上部筒状壁
6c:下部筒状壁
6d:縦リブ
6e:爪部
7:下側ノズル部材
7a:環状内周壁
7b:上部筒状壁
7c:下部筒状壁
7d:リブ
7e:爪部
20:シリンダー
20a:小径筒体
20b:大径筒体
21:パイプ
22:ステム
23:ホルダー
24:発泡部材
D1:吐出口
D2:吐出口
H:手のひら
N:内容物
T1:上流側通路
T2:下流側通路
T3:下流側通路
Ta:連結通路
Tb:環状通路
Tc:放射状通路