(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】EAPアクチュエータ及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
H01L 41/193 20060101AFI20221109BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20221109BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L41/193
H01L41/09
H02N11/00 Z
(21)【出願番号】P 2018555467
(86)(22)【出願日】2017-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2017059825
(87)【国際公開番号】W WO2017186735
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-27
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲルス,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン エンデ,ダーン アントン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マーク トーマス
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】松永 稔
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-239701(JP,A)
【文献】特開2005-54658(JP,A)
【文献】特開平9-141851(JP,A)
【文献】特開2004-25890(JP,A)
【文献】特開2013-144273(JP,A)
【文献】特開2004-122743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L41/193, H04L41/09, H02N11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータであって、
電場応答性高分子構造体と、
前記電場応答性高分子構造体に作動ドライブ信号を提供するドライバと、
を含み、
前記ドライバは、前記電場応答性高分子構造体を非作動状態から作動状態まで帯電させるための駆動電圧を提供するように適応されており、前記駆動電圧は、開始電圧及び終止電圧と10msから100msの持続時間とを有するプロファイル部分、及び、前記持続時間の後に続く、定常状態の電圧に基づく定常状態の駆動部分を含み、前記プロファイル部分は、
前記電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータの振動を抑制しながら、その応答作動速度を上げるように選択された、前記開始電圧と前記終止電圧との間の直線傾斜よりも急勾配である前記プロファイル部分の開始時の第1の電圧勾配、及び、前記開始電圧と前記終止電圧との間の直線傾斜よりも緩勾配である前記プロファイル部分の終了時の第2の電圧勾配を定める電圧ポイントのセット又は電圧曲線を含む、アクチュエータ。
【請求項2】
前記ドライバは、ゼロから前記開始電圧までの最初のステップ電圧の増加に続くプロファイル部分を提供するように適応されており、前記最初のステップ電圧の増加は、最大で前記終止電圧の50%である、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ドライバは、単調減少する勾配を有する滑らかな曲線を含むプロファイル部分を提供するように適応されている、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ドライバは、電圧ポイント間に少なくとも4つの電圧ステップのセット、又は、電圧ポイント間に少なくとも4つの一定傾斜部分のセットを含むプロファイル部分を提供するように適応されている、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ドライバは、25msから100msの持続時間を有するプロファイル部分を提供するように適応されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記ドライバは、
前記定常状態の電圧と等しい前記終止電圧、又は、
前記終止電圧から前記定常状態の電圧までの階段状の増加、
を提供するように適応されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記ドライバは、前記プロファイル部分の上又は前記定常状態の電圧の上に重ねられる補償波形を提供するように適応されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記ドライバは、
放物曲線、
指数曲線、又は、
ルート曲線
を含むプロファイル部分を提供するように適応されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータ構造体を駆動する方法であって、
前記電場応答性高分子構造体に作動ドライブ信号を提供するステップ
を含み、
前記作動ドライブ信号は、開始電圧及び終止電圧と少なくとも25msの持続時間とを有するプロファイル部分、及び、前記持続時間の後に続く、定常状態の電圧に基づく定常状態の駆動部分を含み、前記プロファイル部分は、
前記電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータ構造体の振動を抑制しながら、その応答作動速度を上げるように選択された、前記開始電圧と前記終止電圧との間の直線傾斜よりも急勾配である前記プロファイル部分の開始時の第1の電圧勾配、及び、前記開始電圧と前記終止電圧との間の直線傾斜よりも緩勾配である前記プロファイル部分の終了時の第2の電圧勾配を定める電圧ポイントのセット又は電圧曲線を含む、方法。
【請求項10】
ゼロから前記開始電圧までの最初のステップ電圧の増加に続くプロファイル部分を提供するステップを含み、前記最初のステップ電圧の増加は、最大で前記終止電圧の50%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロファイル部分の上又は前記定常状態の電圧の上に重ねられる補償波形を提供するステップ
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
単調減少する勾配を有する滑らかな曲線を含む、又は、電圧ポイント間に少なくとも4つの電圧ステップのセット、又は、電圧ポイント間に少なくとも4つの一定傾斜部分のセットを含むプロファイル部分を提供するステップを含む、請求項9、10又は11に記載の方法。
【請求項13】
25msから200msの持続時間を有するプロファイル部分を提供するステップを含む、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記定常状態の電圧と等しい終止電圧、又は、
前記終止電圧から前記定常状態の電圧までの階段状の増加、
を提供するステップを含む、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最初のステップ電圧の増加は、前記終止電圧の25%未満である、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記終止電圧から前記定常状態の電圧までの階段状の増加は、最大で前記終止電圧の25%の階段状の増加である、請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記最初のステップ電圧の増加は、前記終止電圧の25%未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記持続時間は、25msから100msである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記終止電圧から前記定常状態の電圧までの階段状の増加は、最大で前記終止電圧の25%の階段状の増加である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EAPアクチュエータ、及び、EAPアクチュエータを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電場応答性高分子(EAPs)は、電気応答性材料の分野における新たに得られつつある種類の材料である。EAPは、センサ又はアクチュエータとして機能することができ、様々な形状に容易に製造することができ、多種多様なシステムへの容易な統合を可能にしている。
【0003】
過去10年にわたって著しく改善された作動応力及び歪み等の特徴を有する材料が開発されてきた。技術リスクは製品開発に対する許容レベルまで低下しているため、EAPは、商業的且つ技術的に関心が高まってきている。EAPの利点には、低電力、スモールフォームファクタ、柔軟性、ノイズのない動作、精度、高分解能の可能性、高速応答時間及び周期的作動が含まれる。
【0004】
EAP材料の改善されたパフォーマンス及び特定の利点は、新しい用途への適用性を生じさせる。
【0005】
EAP装置は、電気作動に基づいた構成要素又は機構の少量の移動が望まれるあらゆる用途に使用することができる。同様に、この技術は少しの移動を感知するために使用することができる。
【0006】
EAPの使用は、一般的なアクチュエータと比較して、小さな体積又は薄いフォームファクタで比較的大きな変形と力との組み合わせにより、以前は不可能であった機能を可能にするか、又は、一般的なセンサ/アクチュエータの解決策よりも大きな利点を提供する。EAPは、ノイズのない動作、正確な電子制御、高速応答、及び、0~1MHz等、最も典型的には20kHz以下の広範囲の可能な作動周波数も与える。
【0007】
電場応答性高分子を使用する装置は、電場駆動型材料及びイオン駆動型材料に細分することができる。
【0008】
電場駆動型EAPの例には、圧電ポリマー、電歪ポリマー(PVDFベースのリラクサー高分子等)及び誘電エラストマーが含まれる。他の例には、電歪グラフトポリマー、電歪ペーパー、エレクトレッツ、電気粘弾性エラストマー及び液晶エラストマーが含まれる。
【0009】
イオン駆動型EAPの例は、共役/導電性高分子、イオン導電性高分子貴金属接合体(IPMC)及びカーボンナノチューブ(CNTs)である。他の例には、イオン性高分子ゲルが含まれる。
【0010】
電場駆動型EAPは、直接的な電気機械結合を介した電場により作動され、通常、高電場(ボルト/メートル)ではあるが低電流を要求する。高分子層は、通常、駆動電圧を可能な限り低く維持するために薄い。イオン性EAPは、イオン及び/又は溶媒の電気的に誘発された輸送によって活性化され、通常、低電圧であるが高電流を要求する。イオン性EAPは、液体/ゲル電解質媒体を要求する(ただし、一部の材料のシステムは固体の電解質を使用して動作することもできる)。どちらの種類のEAPも多数のファミリーメンバーを有し、それぞれがその独自の長所及び短所を有する。
【0011】
電場駆動型EAPの第1の注目すべきサブクラスは、圧電ポリマー及び電歪ポリマーである。伝統的な圧電ポリマーの電気機械的パフォーマンスは限られているけれども、このパフォーマンスを改善することにおける突破口は、自発的な電気分極(電場駆動整列)を示すPVDFリラクサー高分子につながっている。これらの材料は、歪み方向の改善されたパフォーマンスのために予め歪ませることができる(予め歪ませることにより、より良好な分子整列がもたらされる)。通常は、歪みが通例適度の状態(1~5%)であるため、金属電極が使用される。他のタイプの電極(導電性高分子、カーボンブラックベースのオイル、ゲル又はエラストマー等)も使用することができる。電極は、連続的であるか又はセグメント化されていてもよい。
【0012】
電場駆動型EAPの別の関心のあるサブクラスは、誘電エラストマーである。この材料の薄膜は、コンプライアント電極間に挟まれて、平行板コンデンサを形成してもよい。誘電エラストマーの場合、印加された電場によって誘発されるMaxwell応力は、膜に応力を生じさせ、厚さにおいて収縮させ且つ面積において拡大させる。歪みパフォーマンスは、典型的には、エラストマーを予め歪ませる(フレームが予歪を保持することを要求する)ことによって増大される。歪みはかなりの量(10~300%)であり得る。これも、使用することができる電極のタイプを制限する。低度及び中程度の歪みに対しては、金属電極及び導電性高分子電極を考慮することができ、高歪みの状態に対しては、カーボンブラックベースのオイル、ゲル又はエラストマーが典型的には使用される。電極は、連続的であるか又はセグメント化されていてもよい。
【0013】
イオン性EAPの第1の注目すべきサブクラスは、イオン導電性高分子貴金属接合体(IPMCs)である。IPMCは、2つの薄い金属又は炭素ベースの電極間で積層された溶媒膨潤したイオン交換高分子膜から成り、電解質の使用を要求する。典型的な電極材料は、Pt、Gd、CNT、CP、Pdである。典型的な電解質は、Li+及びNa+の水ベースの溶液である。電場が印加されると、陽イオンは典型的には水と共に陰極側まで移動する。これによって、親水性クラスターの再編成及び高分子の膨張が引き起こされる。陰極領域における歪みによって、高分子マトリクスの残りの部分において応力が引き起こされ、陽極に向かう屈曲が生じる。印加電圧を逆にすると、屈曲を逆転させる。よく知られた高分子膜は、Nafion(登録商標)及びFlemion(登録商標)である。
【0014】
イオン性高分子の別の注目すべきサブクラスは、共役/導電性高分子である。共役高分子のアクチュエータは、典型的には、共役高分子の2つの層によって挟まれた電解質から成る。電解質は、酸化状態を変えるために使用される。電位が、電解質を介して高分子に印加されると、電子が高分子に加えられるか又は高分子から取り除かれ、酸化及び還元を駆動する。還元は収縮をもたらし、酸化は膨張をもたらす。
【0015】
場合によっては、高分子自体が十分な導電性を(次元的に)欠いている場合に薄膜電極が加えられる。電解質は、液体、ゲル又は固体の材料(すなわち、高分子量の高分子及び金属塩の複合体)であり得る。最も一般的な共役高分子は、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANi)及びポリチオフェン(PTh)である。
【0016】
アクチュエータはまた、電解質中に懸濁させられたカーボンナノチューブ(CNT)から形成されてもよい。電解質は、ナノチューブと共に二重層を形成し、電荷の注入を可能にする。この二重層の電荷注入は、CNTアクチュエータにおける一次機構として考慮される。CNTは、CNTに注入された電荷を有する電極コンデンサとして作用し、次に、CNT表面への電解質の移動によって形成された電気二重層によって平衡が保たれる。炭素原子上の電荷を変化させることによって、C-C結合長が変化する。結果として、単一のCNTの膨張及び収縮が観察され得る。
【0017】
図1及び2は、EAP装置に対する2つのあり得る動作モードを示している。
【0018】
装置は電場応答性高分子層14を含み、電場応答性高分子層14は、その反対側にある電極10、12間に挟まれている。
【0019】
図1は、クランプされていない装置を示している。示されているように、電圧は、電場応答性高分子層をあらゆる方向において膨張させるために使用されている。
【0020】
図2は、膨張が一方向においてのみ生じるように設計された装置を示している。装置は、キャリア層16によって支持されている。電圧は、電場応答性高分子層を湾曲させるか又は曲げるために使用されている。
【0021】
総合的に、電極、電場応答性高分子層及びキャリアは、電場応答性高分子構造体全体を構成するとして考慮され得る。
【0022】
この動きの性質は、例えば、作動されると膨張する能動的な層と受動的なキャリア層との間の相互作用から生じる。示されているように軸を中心とした非対称の湾曲を得るために、分子配向(膜の伸縮)を例えば適用して、一方向における動きを強制することができる。
【0023】
一方向における膨張は、EAP高分子の非対称性から生じ得るか、又は、キャリア層の特性における非対称性から生じ得るか、又は、その組み合わせから生じ得る。
【0024】
上記の電場応答性高分子構造体は、作動及び感知の両方に使用することができる。最も顕著な感知機構は、力の測定及び歪みの検出に基づいている。例えば、誘電エラストマーは、外力によって容易に伸ばすことができる。センサに低電圧をかけることによって、歪みを電圧の関数として測定することができる(電圧は面積の関数である)。
【0025】
電場駆動型システムを用いて感知する別の方法は、静電容量の変化を直接測定すること、又は、歪みの関数として電極抵抗における変化を測定することである。
【0026】
圧電ポリマー及び電歪ポリマーのセンサは、(結晶度の量が、検出可能な電荷を生成するのに十分高いと仮定すると)加えられた機械的応力に応答して電荷を生成することができる。共役高分子は、ピエゾイオン効果を使用することができる(機械的応力はイオンの行使につながる)。CNTは、応力に曝露された場合にCNT表面上の電荷の変化を経験し、これを測定することができる。気体分子(例えば、O2、NO2等)と接触した場合にCNTの抵抗が変化し、CNTを気体検出器として使用可能にしているということも示されてきた。
【0027】
EAPアクチュエータが活性化された場合に、容量的挙動によって引き起こされる特定の時間遅延が生じる。およそ、EAP応答は、非線形の指数関数に従い、これは、本質的にコンデンサの充電曲線に非常に類似している。
【0028】
EAPの特定の状態に到達するために、この容量電荷も対応するレベルに到達する必要がある。そのような充電レベルは、ある倍数の時定数τの後に達する。通常、5τの持続時間の後に、最大拡張(又は終了状態)に達する。限られた遅延時間で高速応答が必要とされる用途、又は、より高い動作周波数が要求される用途では、この挙動は不利になる可能性があり、さらに、EAPの使用を妨げる可能性がある。
【0029】
電場応答性高分子(EAP)は、精度の点から異なる要件が存在し得るいくつかの用途において使用することができる。例えば、シンプルな触覚フィードバック装置として使用される場合、どのようにEAPが反応するかは重要ではなく;とにかく反応し、従ってフィードバックが与えられれば十分であり得る。しかし、特定の用途においては、EAPが非常に正確に活性化される必要がある場合、非常に高い精度が要求され得る。そのような場合、理想的には段階的な機械的変形が所望される。これは、例えば、EAPがオンオフスイッチとして使用されることになる場合に当てはまる。入力信号の関数として、EAPは、その機械的状態を第1(非活性化)状態から第2(活性化)状態に変える必要がある。或いは、例えばカテーテル等の操縦装置においてジッターのない作動が要求される用途がある。
【0030】
しかし、一部のEAPでは、非常に特有の挙動が観察されている。矩形の駆動電圧によって動作させられる場合、機械的な変形(活性化)は、
図3に示されているように、非常に強い振動パフォーマンスを示す。
【0031】
上の画像は作動電圧対時間を示し、下の画像は機械的応答対時間を示している。これは、非常に正確なオン/オフ状態が提供される必要がある場合等、一部の用途において重大な問題をもたらし得る。通常、オフ状態とオン状態とを分離するための特定の閾値が定義される。装置がこの閾値付近で振動する場合、スイッチング状態は定義されず、スイッチ自体がジッターを発生させることになる。操縦用途の場合、問題は、未定義の(及び一部のポイントでは不正確な)操縦方向である。従って、EAPを可能な限り早く活性化することができるが、その活性化相の間にいかなる振動もない場合に大きな利点がある。
【0032】
非特許文献1は、電力消費を最小限に抑えながら導電性高分子アクチュエータのコマンド追従能力を改善する方法を開示している。スムーズな入力は、断続的な高次導関数を有するステップ入力等のシャープな入力よりも少ない電力を消費することが分かっている。この研究は、活性化相の間の振動が生じないゆっくりと応答する電流駆動(イオン)型アクチュエータに関する。
特許文献1は、容量性負荷に対する駆動回路を開示しており、駆動信号は、等しい電圧ステップによって段階的に増加している。
特許文献2は、正のフィードバックの状態の誘電エラストマーのスイッチ(DES)及び誘電エラストマーのアクチュエータ(DEA)から形成されたラッチを開示している。電圧レベルは、二進値間で段階的に変えられている。
【0033】
本発明は、特に、高周波数で応答することができ、その結果、振動問題を被ることが分かっている電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータに関する。
【0034】
【文献】JP 2004 223770 A
【文献】US 2013/100575 A
【文献】Xiang,X.,Alici,G.,Mutlu,R.,&Li,W.(2014);“How the type of input function affects the dynamic response of conducting polymer actuators” Smart Materials and Structures,23,11
【発明の概要】
【0035】
本発明は、特許請求の範囲によって定められている。
【0036】
本発明の一態様に従った例によると、電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータが提供され、当該アクチュエータは:電場応答性高分子構造体;及び、電場応答性高分子構造体に作動ドライブ信号を提供するドライバ;を含み、ドライバは:電場応答性高分子構造体を非作動状態から作動状態まで帯電させるための駆動電圧を提供するように適応されており、駆動電圧は、開始電圧及び終止電圧と10msから100msの持続時間とを有するプロファイル部分、及び、持続時間の後に続く、定常状態の電圧に基づく定常状態の駆動部分を含み、プロファイル部分は、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも急勾配であるプロファイル部分の開始時の第1の電圧勾配、及び、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも緩勾配であるプロファイル部分の終了時の第2の電圧勾配を定める電圧ポイントのセット又は電圧曲線を含む。
【0037】
この構成は、低周波数の電圧で作動するEAPアクチュエータのためのものである。矩形の電圧波形を使用して作動させる代わりに、作動電圧の最初の部分は、波形の一般的な包絡線が急勾配(直線的な傾斜よりも急であるが、段(ステップ)よりは急ではない)で始まり、この勾配は、その終わりに向かって減衰するようなプロファイル形状を有する。このようにして、特定のEAP技術に対して可能な限り短いスイッチング期間を依然として維持しながら、振動を防ぐことができる。プロファイル部分の特定の形状は、振動の抑制と応答の速度との間の最良の妥協点を見つけるために選択されてもよい。
【0038】
定常状態の駆動部分は、優勢な駆動電圧があるという点で定常状態の電圧に「基づいている」が、以下でさらに説明するように、重ねられる補償信号があり得る。
【0039】
プロファイル部分は、開始電圧で始まり、終止電圧で終わるが、その間の全時点にて中間の電圧値を有する。
【0040】
ドライバは、ゼロから開始電圧までの最初のステップ電圧の増加に続くプロファイル部分を提供するように適応されてもよく、最初のステップ電圧の増加は、例えば終止電圧の25%未満等、最大で終止電圧の50%である。この最初のステップは、応答時間全体の短縮を可能にし得る。最初のステップの高さ(ゼロからプロファイル部分の開始電圧まで)をそのステップ全体の半分以下に保つことによって、振動を依然として防ぐ又は低減させることができる。振動の減少と応答作動速度との間に妥協点を見つけることができる。
【0041】
ドライバは、単調減少する勾配を有する滑らかな曲線を含むプロファイル部分を提供するように適応されてもよい。或いは、プロファイル部分は、電圧ポイント間に少なくとも4つの電圧ステップのセット、又は、電圧ポイント間に少なくとも4つの一定傾斜部分のセットを含んでもよい。このように、プロファイル部分は、局所的に滑らかな曲線である必要はなく、局所的な別々のステップを有してもよい。これらの局所的なステップが十分に小さく保たれている場合、プロファイル形状全体の効果に影響を与えることはない。これは、実際に電圧プロファイルを生成しやすくし得る。
【0042】
ドライバは、例えば25msから100ms等、10msから100msの持続時間を有するプロファイル部分を提供するように適応されてもよい。
【0043】
ドライバは:
定常状態の電圧と等しい終止電圧;又は、
例えば、最大で終止電圧の25%の階段状の増加を有する等、終止電圧から定常状態の電圧までの階段状の増加;
を提供するように適応されてもよい。
【0044】
このように、プロファイル部分の終わりは、定常状態の電圧であってもよい。しかし、代わりに、定常状態の電圧への最後のステップであってもよい。
【0045】
ドライバは、プロファイル部分の上又は定常状態の電圧の上に重ねられる補償波形を提供するように適応されてもよい。この補償波形は、例えば正弦波を含んでもよい。これは、特定のアクチュエータの特定の振動応答を補償するために使用することができる。
【0046】
ドライバは:
放物曲線;
指数曲線;又は、
ルート(root)曲線;
を含むプロファイル部分を提供するように適応されてもよい。
【0047】
これは、単調減少する勾配を実現するために使用することができるあり得る関数のうちの1つのセットに過ぎない。
【0048】
本発明の別の態様に従った例は、電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータ構造体を駆動する方法を提供し、当該方法は:
電場応答性高分子構造体に作動ドライブ信号を提供するステップ
を含み、
作動ドライブ信号は、開始電圧及び終止電圧と少なくとも1msの持続時間とを有するプロファイル部分、及び、持続時間の後に続く、定常状態の電圧に基づく定常状態の駆動部分を含み、プロファイル部分は、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも急勾配であるプロファイル部分の開始時の第1の電圧勾配、及び、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも緩勾配であるプロファイル部分の終了時の第2の電圧勾配を定める電圧ポイントのセット又は電圧曲線を含む。
【0049】
当該方法は、ゼロから開始電圧までの最初のステップ電圧の増加に続くプロファイル部分を提供するステップであって、最初のステップ電圧の増加は、例えば終止電圧の25%未満等、最大で終止電圧の50%であるステップ;及び/又は、プロファイル部分の上又は定常状態の電圧の上に重ねられる補償波形を提供するステップ;を含んでもよい。
【0050】
次に、本発明の例が、付随の図面を参照して詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】拘束されておらず、従って平面において膨張する既知のEAPアクチュエータを示した図である。
【
図2】拘束され、従って平面の出力を変形させる既知のEAPアクチュエータを示した図である。
【
図3】従来の駆動スキームの波形、及び、駆動波形に対するアクチュエータの応答を示した図である。
【
図4】変更された駆動波形を形成するために使用される種々の異なる関数を示した図である。
【
図5】さらなる評価の目的で、1つのグループが、1つの代表的な関数によって置き換えられた
図4の関数を示した図である。
【
図6】駆動波形としてランプ関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図7】駆動波形としてランプ関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図8】駆動波形としてランプ関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図9】駆動波形としてランプ関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図10】駆動波形として放物線関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図11】駆動波形として放物線関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図12】駆動波形として放物線関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図13】駆動波形として放物線関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図14】駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図15】駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図16】駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図17】駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図18】駆動波形としてルート(root)関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図19】駆動波形としてルート関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図20】駆動波形としてルート関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図21】駆動波形としてルート関数を適用した場合の異なる初期バイアス電圧の効果を示した図である。
【
図22】2つの異なる初期バイアス値に対する駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる指数の効果を示した図である。
【
図23】2つの異なる初期バイアス値に対する駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる指数の効果を示した図である。
【
図24】2つの異なる初期バイアス値に対する駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる指数の効果を示した図である。
【
図25】2つの異なる初期バイアス値に対する駆動波形として指数関数を適用した場合の異なる指数の効果を示した図である。
【
図26】上記の使用された関数の一部に対する、正規化された電圧導関数を示した図である。
【
図27】どのように波形を、滑らかな曲線にするのではなく階段状にする又は近似することができるかを示した図である。
【
図28】電圧プロファイルの後に段(ステップ)があってもよいということを示した図である。
【
図29】補償電圧を印加することの効果を示した図である。
【
図30】補償電圧を印加することの効果を示した図である。
【
図31】EAPアクチュエータシステムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、作動ドライブを使用して作動される電場駆動型電場応答性高分子アクチュエータを提供し、作動ドライブは、開始電圧及び終止電圧と10msから100msの持続時間とを有するプロファイル部分、及び、持続時間の後に続く、定常状態の電圧に基づく定常状態の駆動部分を有する。プロファイル部分は、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも急勾配であるプロファイル部分の開始時の第1の電圧勾配、及び、開始電圧と終止電圧との間の直線傾斜よりも緩勾配であるプロファイル部分の終了時の第2の電圧勾配を定める電圧ポイントのセット又は電圧曲線を含む。
【0053】
これは、電圧が高い初期勾配を有し、これが時間の経過に伴い減少するということを意味する。結果として生じる曲線は急速な作動をもたらすが、振動は減少している。
【0054】
典型的には、EAPは、構成要素を動作させるために要求される電圧を提供する駆動回路によって制御される。EAPが活性化されている場合、ドライバは、通常、特定の振幅を有するステップのdc電圧を生成して、EAPを所望の状態にもたらす。電子駆動回路は(例えば、内部抵抗を常に有する等)理想的ではないため、作動応答は、EAP自体の関数だけでなく駆動回路の関数でもある。ドライバの衝撃を低減するために、EAPに対する動作電圧は、通常、EAPと並列のコンデンサに蓄えられ、作動の点から、この蓄えられた電圧は、電子スイッチ(例えば、トランジスタ、MOSFET等)によってEAPに与えられる。
【0055】
次に、EAPアクチュエータは、その電荷の関数として変形し始め、これはここでも、印加された電圧振幅に依存する。EAPが非活性化されている場合、印加された電圧は切断され、従って、EAPはその内部並列抵抗を介してゆっくりと放電することになり、最終的にその初期の状態まで戻ることになる。
【0056】
問題は、特に作動開始時の電圧における階段状の増加が機械的な振動を生じさせ得るということである。特に、矩形電圧によって動作する電圧(電場)駆動型EAPは、活性化相の間に強い振動を示す一方で、正弦波動作はこれらの振動をもたらさないということが、実験的研究中に出願人によって観察されてきた。活性化相中の振動は、制御(活性化)電圧の突然の変化によって引き起こされることが分かっている。数学的には、これは勾配又は電圧の導関数dv/dtとして説明することができる。
【0057】
この勾配が閾値を超える場合、振動が現れることが分かっている。適した数学的関数のセットのうちの1つに従う駆動電圧を提供することによって勾配が制限される場合、これらの振動を低減するか、又は、完全に若しくはほぼ完全に除去することができる。EAPの非振動の活性化を提供するのに寄与するさらなる処置は、活性化相と最終定常状態との間の滑らかな移行である。ここでも、動作電圧における大きなステップが振動を引き起こし得る。従って、この移行での電圧振幅における変化も制限されるべきである。例えば、活性化相と最終定常状態との間の移行のポイントにて、勾配又は電圧の導関数dv/dtは、小さいか又はゼロであってもよい。
【0058】
活性化電圧に対する最も適した数学的関数を決定するために、標準的な電圧駆動型EAPアクチュエータを使用して様々な測定が行われてきた。
【0059】
以下の表は、あり得る電圧作動形状を示している。
【0060】
【表1】
駆動スキームは、駆動波形の「プロファイル部分」と名付けられることになる湾曲した電圧-時間のプロファイルを形成し、アクチュエータを作動状態で保つことを意図する波形の定常状態の部分が続く。
【0061】
実験に使用した全ての駆動スキームに対して、最大駆動電圧振幅(vdrive)は200Vに制限した。さらに、動作の周波数を、50%のデューティサイクルで1Hzに設定した。全ての関数は、0Vの駆動電圧から時間t0のdcバイアス電圧までの階段状の増加の形で、開始時(t0)のdcバイアス(vbias)を可能にするように定義されている。従って、プロファイル部分の開始は、そのようなdcバイアスの後に開始するものとして定義されてもよい。プロファイル部分は時間的に制限されているため(tsmooth)、tsmoothはプロファイル部分の終了時の時間である。参考として、式1によって記載されているような矩形活性化パルスによって駆動されるEAPが使用される。200Vの最大駆動電圧を参照して、このdcバイアスを、0、25%(=50V)、50%(=100V)及び75%(=150V)に設定した。
【0062】
これらの設定のそれぞれに対して、平滑化時間(smoothing time)(その間、プロファイル部分、すなわち平滑化関数(smoothing function)が適用される)を、10ms、25ms、50ms、75ms及び100msに調整した。
【0063】
この平滑化時間は、表1の対応する式において見られるような平滑化関数の勾配に影響を及ぼすため、電圧波形は時間tsmoothにて200Vの定常状態値に達する。
【0064】
上記の関数は別として、他の関数は、開始時の適度の勾配、及び、(tsmoothでの)定常状態動作への移行ポイントでの(ほぼ)ゼロの勾配の要件を満たす。他の関数には、逆正接(atan)関数、正弦関数(四分の一波長、0からπ/2)及び対数関数が含まれる。
【0065】
図4は、時間0から0.01sまでプロットされた7つの例となる関数を示している。ここで、t
smooth=0.01sである。関数は、dcバイアスなしで示されている。
【0066】
関数は、ランプ関数vrmp、放物線関数vpara、atan関数vatan、正弦関数vsin、ルート関数vroot、ログ関数vlog及び指数関数vexpである。
【0067】
見て分かるように、これらの関数のうちいくつか(ログ、正弦、atan及び放物線の関数)は、かなり類似の形状を有している。従って、
図5において示されているように、4つの関数のみがさらなる評価のために選択され、放物線関数が類似のグループを表している。放物線関数に対するパラメータは、直線的なランプ関数よりもそれほど急勾配ではない開始時の緩やかな勾配を与えるように選ばれている。放物線関数の利点は、定常状態動作への移行時にゼロの勾配を与えるということである。開始時に中程度の勾配を表す例証的な関数は指数関数(すなわちnrc=6)であり、12のルート関数(すなわち、m=12)は、開始時に急な勾配を有する関数の種類を表している。
【0068】
当然ながら、全ての関数は、選択することができ且つ関数自体の形状/勾配に影響するパラメータ(nrc又はm)を有している。
【0069】
図6から21は測定結果を示している。これらのグラフのそれぞれは、上に(電圧対時間として)駆動電圧、及び、下に(たわみ対時間として)EAPの対応する機械的たわみを示している。それぞれ個々の図内の異なるプロットは、10ms、25ms、50ms、75ms、及び最終的に100msであった平滑化時間(t
smooth)における変動を表している。参考として、関連する大きな振動を伴う矩形の駆動形状もそれぞれのケースにおいて示されている。これは、t
smooth=0に対するプロットであると考えられ得る。
【0070】
それぞれのケースにおいて、機械的応答の曲線は、最も短い期間のt
smoothに対して最大且つ最も迅速に到着する振動を示している。この理由から、プロットは
図6においてのみラベルされている。他の図におけるプロットがどのように対応しているかはすぐに明らかになる。
【0071】
第1の測定値のセットが、ランプ電圧に対して
図6から9のグラフにおいて示されている。
図6は、「プロファイル部分」の前の最初のステップ電圧がないもの(すなわち傾斜)に対するグラフである。
図7は、「プロファイル部分」の前に25%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図8は、「プロファイル部分」の前に50%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図9は、「プロファイル部分」の前に75%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
【0072】
著しい振動を伴わない高速の活性化が有益であるため、たわみのグラフにおいて、90%の閾値線60が加えられている。この閾値線60は、最大のたわみの90%の機械的たわみを示し、活性化自体の速度を同定するために使用することができる。この閾値が矩形駆動型EAPに対して考慮される場合、そのような振動EAPがその安定状態に達する時間は約75msである。しかし、この時間の間、EAPはすでに閾値を4回通過しており、これは、4回のオフ状態からオン状態への変化に対応していたであろう。
【0073】
いくつかの明確な傾向を観察することができる。第一に、25ms以下の短い平滑化時間は依然として著しい振動を有する。第二に、
図7において見られるように、開始時の(最大駆動振幅の)約25%の小さなdcバイアス(オフセット)は、大きな振動を引き起こさず、
図9において見られるように、より大きなdcバイアスが振動を大きくしている。第三に、(ほとんど)振動がない高速の活性化は、90%のたわみ目標には妥当な時間内に到達しないため、ランプ波形を使用する場合には相反する目的のように思われる。理想的には、EAPが矩形パルスによって駆動される場合、通常の活性化時間に近い時間内に定常状態に達する。
【0074】
放物線関数によって動作させた場合のEAPのパフォーマンスが、
図10から13において示されている。
図10は、「プロファイル部分」の前の最初のステップ電圧がないものに対するグラフである。
図11は、「プロファイル部分」の前に25%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図12は、「プロファイル部分」の前に50%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図13は、「プロファイル部分」の前に75%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
【0075】
ランプ駆動型EAPだけでなく、矩形駆動型のパフォーマンスに対する明白な改善を観察することができる。約100msの妥当な活性化時間であっても、振動を完全に減衰させることができる。25msから100msの平滑化時間は全て良好なパフォーマンスを示すが、10msの短すぎる平滑化時間は依然として振動をもたらす。開始時のdcバイアスも実行可能である。しかし、75%の高すぎるdcバイアスも強い振動を示す。例として、25msから100msの平滑化時間での50%のdcバイアス(すなわち
図12)は、例えば、一部の用途に対して許容可能である。これは、
図12における(0ms及び10msに対する)2つの最も振動するトレースを除外する。
【0076】
指数関数(nrc=6)によって動作させた場合のEAPのパフォーマンスが、
図14から17において示されている。
図14は、「プロファイル部分」の前の最初のステップ電圧がないものに対するグラフである。
図15は、「プロファイル部分」の前に25%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図16は、「プロファイル部分」の前に50%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図17は、「プロファイル部分」の前に75%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
【0077】
指数駆動型EAPアクチュエータも、矩形駆動型EAP及びランプ駆動型EAPと比較して明白な改善を示している。
図10から13の放物線駆動型EAPと比較して、指数駆動型EAPは、開始時により大きな勾配を有する。従って、25msの平滑化時間に対するパフォーマンスは、わずかに大きな振動を示している。しかし、応答は、基本的に放物線駆動型EAPに類似しているか、又は、振動が放物線駆動型EAPに対して観測されるように減衰されている点においてわずかに優れているが、活性化はわずかに速い。特に、0Vのdcバイアス(すなわち
図14)に対しても、25%のdcバイアス(すなわち
図15)に対しても、50msの平滑化時間に対して(矩形駆動型EAPに対するものと同じ)75msの活性化時間全体を見ることができる。
【0078】
ルート関数(m=12)によって動作させた場合のEAPのパフォーマンスが、
図18から21において示されている。
図18は、「プロファイル部分」の前の最初のステップ電圧がないものに対するグラフである。
図19は、「プロファイル部分」の前に25%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図20は、「プロファイル部分」の前に50%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
図21は、「プロファイル部分」の前に75%の最初のステップ電圧を有するものに対するグラフである。
【0079】
活性化相の開始時に非常に急な勾配を生成するために、高次のルート(m=12)が意図的に選ばれている。開始時のこの大きな勾配によると、振動は殆ど減衰されない。長い平滑化時間及びdcバイアスがない場合でも、依然としてたったわずかに減衰された振動が認識可能である。
【0080】
従って、装置が放物線関数及び/又は指数関数によって動作させられた場合に、可能な限り迅速にEAPを活性化しながら、低減された振動の点から最良のパフォーマンスが観察される。
【0081】
指数関数は(この関数の勾配に対応する)指数部を選ぶことにおいてより柔軟であるため、(パラメータnrcの変動による)異なる勾配を有する指数関数によって動作させた場合のEAPのパフォーマンスが、
図22において示されている。
【0082】
図22には、t
smooth=25ms、t
smooth=50ms及びt
smooth=75msに対するプロットのセットがある。それぞれの値には、0%のdcバイアスオフセットに対するものと25%のdcバイアスオフセットに対するものの2つのプロットがある。
【0083】
図22はnrc=6に対するグラフ、
図23はnrc=10に対するグラフ、
図24はnrc=14に対するグラフ、及び、
図25はnrc=20に対するグラフである。
【0084】
パラメータのnrcは、総平滑化時間に関する指数時定数を定めている。nrcの値が大きいほど勾配は急であり、nrcの値が小さいほど応答は平坦である。
【0085】
このパラメータの変動から、最も適した指数部(すなわち、対応するnrcの値)を同定することができる。nrc=20の最大値(
図25)は、依然として小さな振動を有しながら、速い活性化をもたらす。類似ではあるが約70msほど速くはない応答が、nrc=6(平滑化時間t
smooth=25ms)及びnrc=14(平滑化時間t
smooth=50ms)に対して観察された。
【0086】
nrc=10の指数パラメータでわずかに速い活性化(tsmooth=25msと50ms)に到達した。これらの設定全てに対して、0又は25%のdcバイアスは実現可能であるように思われる。
【0087】
本発明は、機械的振動を最小にしながらEAPアクチュエータが可能な限り速く作動されるアプローチを提供する。活性化波形のプロファイル部分の開始時に、電圧の導関数dv/dt(勾配)は、通常のランプのものよりも高いが、「無限」(すなわち、理想的な矩形パルス)よりは小さい。活性化時間の終了時(tsmooth)に、電圧の導関数は、通常の一定又はパルス状のdc電圧(又はac電圧)を有する定常状態の駆動への滑らかな移行を提供するために可能な限り小さい。
【0088】
上記の平滑化関数の正規化された電圧の導関数が、t
smooth=100msに対して
図26において示されており、
図5と同じ表記法を使用してラベルされている(y軸の値は正規化され、従って任意であるということに留意されたい)。ランプ関数vrmpの一定の勾配と比較して、放物線関数vpara及び指数関数vexp等のより適した平滑化関数は、活性化の開始中に大きな勾配を与え、(t>100msでの)定常状態の動作モードへの移行中に小さな勾配を与える。高次のルートvrootは、あまり満足のいくものではない。
【0089】
放物線関数は一定の勾配を有し、指数関数又はルート関数の時間依存の挙動は、上記の表1において定義されるそのパラメータによって適応され得る。これらのパラメータは、想定される用途の要件、特に活性化(平滑化)時間、最大駆動振幅及び許容振動振幅に従って微調整されてもよいが、EAPアクチュエータ自体にも適応され得る。
【0090】
従って、先に示された数は、純粋に一例である。加えて、(例えばm=3又は4等の)小さいルート指数部を有する低次のルート関数も、はるかに小さい電圧の導関数を有し、それらも使用することができ、そのパフォーマンスを最適化することができる。
【0091】
1つの平滑化関数のみを使用する代わりに、プロファイル部分全体を、いくつかの平滑化関数の組み合わせによって実現することができる(ステップ部分及びランプ関数部分も含む)。例えば、平滑化時間全体のうち特定の時間フレームΔtm内で、平滑化関数1が使用されてもよい。別のサブフレームΔtm+1に対しては、関数2が使用されてもよく、さらに別の時間フレームΔtm+n内で、おそらくここでも関数1が(異なる又は同じパラメータの設定を有して)使用されてもよい。
【0092】
数学的関数は、徐々に近似することによって実現することができる。例えば、階段状関数が、
図27において示されているように使用されてもよい。
【0093】
この場合、関数は、先に説明したように減少勾配を定めるポイント70のセットを有する。階段72によって示されるように、これらのポイント間に階段状の増加が存在してもよく、又は、中間値の線形補間が存在してもよい。近似された値又は補間された値は、完全に平滑化関数の対応する点上に存在してもよいが、その近くにあってもよい。電圧の階段又は補間は、いかなる大きな振動も発生させないように選ばれる必要がある。おおまかなやり方として、電圧振幅における変動は、最大駆動電圧振幅の25%を超えるべきではない。
【0094】
図28は、駆動波形のプロファイル部分82と定常状態の部分84との間に階段状部分80が存在してもよいということを示している。活性化相(「プロファイル部分」)から定常状態の動作モードへの移行のポイントにてゼロの勾配を提供することが好ましくあり得るけれども、
図28において示されているような駆動電圧におけるはね上がりが適用可能であり得る。振動(すなわち振幅)の許容レベル及び閾値限界に応じて、プロファイル部分の終点は、要求される最大動作電圧を下回ってもよく、最後の階段状の増加、又はいかなる他の線形又は非線形の増加が、終止電圧に達するように含まれてもよい。活性化相の間の任意の時点にてこのような階段状部分が存在してもよい。
【0095】
既知の振動を有するアクチュエータに対して、特定の駆動信号が生成されてもよい。この駆動信号は、例えば、初期のdcバイアスと、上記の期間tsmoothに依存する関数とを含み得る。しかし、第3の成分が、2つの第1のパラメータによって形成された関数の上に重ねられる交互信号(alternating signal)の形で導入されてもよい。交互信号は、例えば、特定の振幅a、特性周波数f、初期の時間遅延t1及び位相遅延t2を有する。
【0096】
重ねられる交互信号は正弦波であってもよく、この場合、信号は、
【0097】
【0098】
重畳信号は、いくつかの期間nの長さを有し得る。しかし、期間nの数は、1よりも小さくあってもよく、一定であってもよく、又は、制動係数を含んでもよいため、正弦波は、関数a(t)によって決定されるように、ゆっくりと減衰することになる。
【0099】
好ましくは、交番電圧成分は、ステップ電圧入力からの振動を打ち消すために(ステップ入力からの)EAPの振動と位相を異にして駆動される。従って、重ねられた反振動電圧の周波数は、作動された装置の共振周波数と実質的に同じであるか、又は、少なくともステップ電圧により作動された装置の減衰された共振周波数に類似している。共振周波数は、製造後のクランプされたアクチュエータに対して決定することができるか、又は、形状及び材料の特性に基づき計算することができる。時定数t1及びt2は、較正手順の間に又は計算を介して決定することができる。
【0100】
重ねられる適した信号を計算する手順は、低いdcバイアスと高いdcバイアスの作動電圧で異なる。一例として、
図29は、クリーンなランプ信号(プロット92)に応答するアクチュエータの応答(プロット90)を示している。
図30は、重ねられた反振動電圧を用いたランプ入力電圧(プロット96)の関数としての応答(プロット94)を示している。これは、変位を打ち消すことによってEAPアクチュエータ内の振動を低減する。
【0101】
上記の例では、正弦波補償は、既に一定の動作電圧、すなわち定常状態の電圧の間に加えられる。印加される駆動電圧の選ばれた勾配に応じて、補償は駆動波形のプロファイル部分の一部であってもよい。
【0102】
要求される駆動スキームを生成するために、いくつか実行することができる。アナログ回路が使用されてもよく、さもなければ、デジタルマイクロコントローラが、任意の従来の(電力)増幅器の解決策によって増幅され得る要求されるアナログデータポイントを計算してもよい。代わりに、ルックアップテーブルのアプローチが実行されてもよく;全ての要求されるデータポイントが事前に計算され、任意の制御装置のメモリに保存される。時間の関数として、デジタル又はアナログのデータポイントが読み出され、増幅されてもよい。
【0103】
上記の例では、特定のアクチュエータに対して特定の応答時間を有する関数が考慮されている。関数の応答時間は、ランダムアクチュエータの共振応答に対応され得る。特に、時定数は、作動される装置の共振周波数に実質的に線形に関連するか、又は、少なくともステップ電圧により作動される装置の減衰された共振周波数に類似する。共振周波数は、製造後のクランプされたアクチュエータに対して決定することができるか、又は、形状及び材料の特性に基づき計算することができる。先に説明した補償信号に対する時定数t1及びt2は、較正手順の間に又は計算を介して決定することができる。
【0104】
図31は、ドライバ100が、EAPアクチュエータ102に駆動電圧を印加するために使用されることを示しており、任意の(機械的、光学的又は電気的な)フィードバック経路104も示している。
【0105】
ドライバ100の出力は、上記の電圧プロファイル、すなわち負荷及び負荷に接続するいかなる抵抗の前の電圧プロファイルである。容量性負荷の電圧は、ドライバと負荷の間の(又は負荷の一部を形成する)直列抵抗の結果として異なり、従って、RC充電時定数を生じさせる。従って、駆動電圧は、ドライバからの直接的な出力であり、ドライバが、例えば開回路出力端子までその出力として届けるように設計されたプロファイルである。
【0106】
本発明は、特に、EAPアクチュエータの作動に関する。しかし、本発明は、EAP装置が感知機能も作動機能も行っている用途において使用することができる。
【0107】
EAP層に適した材料は既知である。電場応答性高分子には、サブクラス:圧電ポリマー、電気機械的ポリマー、リラクサー強誘電性高分子、電歪ポリマー、誘電エラストマー、液晶エラストマー、共役高分子、イオン導電性高分子貴金属接合体、イオン性ゲル及び高分子ゲルが含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
サブクラスの電歪ポリマーには:
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロフルオロエチレン(PVDF-TrFE-CFE)、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン(PVDF-TrFE-CTFE)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、ポリウレタン又はその混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
サブクラスの誘電エラストマーには:
アクリレート、ポリウレタン、シリコーンが含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
サブクラスの共役高分子には:
ポリピロール、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリアニリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
イオン性装置は、イオン導電性高分子貴金属接合体(IPMC)又は共役高分子に基づいてもよい。イオン導電性高分子貴金属接合体(IPMC)は、印加された電圧又は電場下での人工筋肉の挙動を表示する合成接合体ナノ材料である。
【0112】
より詳細には、IPMCは、表面が化学的にメッキされるか又は白金又は金等の導電体又は炭素系電極で物理的に被覆されたNafion又はFlemionのようなイオン性高分子で構成される。印加された電圧下で、IPMCのストリップにわたる課された電圧によるイオンの移動及び再分配は、曲げ変形をもたらす。高分子は、溶媒膨潤したイオン交換高分子膜である。この電場は、水と共に陰極側まで陽イオンを移動させる。これによって、親水性クラスターの再編成及び高分子の膨張が生じる。陰極領域における歪みによって、高分子マトリクスの残りの部分に応力が生じ、陽極に向かう曲がりが生じる。印加電圧を逆にすると曲がりが反転する。
【0113】
メッキされた電極が非対称構成で配置されている場合、課された電圧は、ひねり、回転、ねじれ、旋回及び非対称の曲げ変形等、あらゆる種類の変形を誘発し得る。
【0114】
これらの例の全てにおいて、さらなる受動的な層が、印加された電場に応答してEAP層の電気的及び/又は機械的挙動に影響を及ぼすために提供されてもよい。
【0115】
各ユニットのEAP層は、電極間に挟まれていてもよい。電極は、EAP材料の層の変形に従うように伸縮可能であってもよい。電極に適した材料も既知であり、例えば、金、銅又はアルミニウム等の金属薄膜、又は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン(PANI)、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)等のポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等、有機導電体を含む群から選択されてもよい。例えばアルミニウム被覆を使用して、金属化ポリエチレンテレフタレート(PET)等、金属化ポリエステルフィルムも使用することができる。
【0116】
本発明は、アクチュエータの受動的なマトリクスアレイが興味の対象となる例を含む、多くのEAP及び光活性高分子の用途において適用することができる。
【0117】
多くの用途において、上記の製品の主な機能は、ヒト組織の(局所的な)操作又は組織接触面の作動に依存する。そのような用途では、EAPアクチュエータは、例えば、主にスモールフォームファクタ、柔軟性及び高いエネルギー密度のために、独特の利点を提供する。従って、EAPの高分子及び光応答性の高分子は、柔らかい3D形状及び/又は小型の製品及びインターフェースに容易に統合することができる。そのような用途の例は:
皮膚に張力をかけるか又はしわを減らすために皮膚に一定又は周期的な伸びを適用する応答性高分子ベースの皮膚パッチの形態の皮膚作動装置等、皮膚の美容処置;
顔面の赤い跡を減らすか又は防止する交互の正常圧力を皮膚に提供するために応答性高分子ベースの能動的なクッション又はシールを有する患者インターフェイスマスクを有する呼吸装置;
適応性シェービングヘッドを有する電気シェーバーであって、近さと刺激とのバランスに影響を及ぼすために、応答性高分子のアクチュエータを使用して皮膚接触面の高さを調整することができる、電気シェーバー;
特に歯間空間においてスプレーの到達範囲を改善するためにダイナミックノズルアクチュエータを有するエアーフロス等の口腔洗浄装置であって、或いは、活性化されるタフトが提供されてもよい歯ブラシ等の口腔洗浄装置;
ユーザインタフェース内又はその近くに統合された応答性高分子のトランスデューサのアレイを介して局所的な触覚フィードバックを提供する家庭用電子機器又はタッチパネル;
蛇行状の血管における簡単なナビゲーションを可能にするために操縦可能な先端を有するカテーテル;
心拍、SpO2及び血圧等の生理学的人体パラメータの測定;
である。
【0118】
そのようなアクチュエータから利益を受ける別のカテゴリの関連する用途は、光の変更に関する。レンズ、反射面、回折格子等の光学素子は、これらのアクチュエータを使用した形状又は位置の適応によって適応可能にすることができる。ここで、EAPの1つの利点は、例えば、より低い電力消費である。
【0119】
開示された実施形態に対する他の変化は、請求された発明を実行する際に、図面、明細書、及び付随の特許請求の範囲の調査から当業者により理解する及びもたらすことができる。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞はその複数形を除外しない。特定の手段が互いに異なる従属項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを役立つよう使用することができないと示しているわけではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照番号も、その範囲を限定するとして解釈されるべきではない。