(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】酸化マンガン系触媒、およびホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物を除去するための触媒装置
(51)【国際特許分類】
B01J 23/34 20060101AFI20221109BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20221109BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20221109BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20221109BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20221109BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20221109BHJP
B01J 23/889 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B01J23/34 M
B01J37/00 D
B01J35/10 301G
B01J37/04 102
A61L9/00 C
A61L9/01 B
B01J23/889 M
(21)【出願番号】P 2018568767
(86)(22)【出願日】2017-06-12
(86)【国際出願番号】 US2017036942
(87)【国際公開番号】W WO2018005052
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ワインバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング リュッティンガー
(72)【発明者】
【氏名】パスカリーン トラン
(72)【発明者】
【氏名】ライフ オールデン
(72)【発明者】
【氏名】ティン クー
(72)【発明者】
【氏名】フェン ヂャオ
(72)【発明者】
【氏名】アンジュ シー
(72)【発明者】
【氏名】ニルス ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ヴェンゲラー
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-527951(JP,A)
【文献】特開2001-038209(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1610757(KR,B1)
【文献】特表2002-507478(JP,A)
【文献】国際公開第2015/066272(WO,A2)
【文献】特表2006-525112(JP,A)
【文献】特表2013-501615(JP,A)
【文献】特開2003-170050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255283(US,A1)
【文献】国際公開第2010/007978(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/069856(WO,A1)
【文献】Applied Catalysis B: Environmental,2011年,vol.107,p.34-41,doi:10.1016/j.apcatb.2011.06.032
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
A61L 9/00
A61L 9/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マンガンを含む触媒組成物であって、前記触媒組成物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または鉄の1つまたはそれより多くを含み、且つ前記触媒組成物は、ホルムアルデヒドおよび/またはトルエンを、浄化されていない供給空気から除去するための触媒組成物であり、前記酸化マンガンが
、以下の2θ(°)ピークおよび強度
【表1】
によってのみ特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す酸化マンガン多形Iを含む、前記触媒組成物。
【請求項2】
前記触媒組成物の塩化物含有率が、触媒組成物の総質量に対して1質量%未満である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記触媒組成物の硫酸塩含有率が、触媒組成物の総質量に対して1質量%未満である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記触媒組成物の塩化物含有率および硫酸塩含有率が、触媒組成物の総質量に対して各々1質量%未満である、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項5】
さらに結合剤を含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記結合剤がアルミナを含む、請求項5に記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記結合剤がポリマー結合剤を含む、請求項5に記載の触媒組成物。
【請求項8】
さらに無機酸化物を含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記無機酸化物が、セリア、ジルコニア、シリカ、チタニア、アルミナ、鉄、ランタン、プラセオジム、サマリウムまたはそれらの混合物を含む、請求項8に記載の触媒組成物。
【請求項10】
前記触媒組成物が固体基材上に配置されている、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項11】
前記固体基材は、ポリマー基材、セラミック基材、金属基材、フォーム基材、紙基材またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の触媒組成物。
【請求項12】
前記触媒組成物が押出物を含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項13】
さらに活性炭を含む、請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項14】
供給空気を浄化するための触媒装置であって、
ハウジング、および
前記ハウジング内に配置された触媒組成物
を含み、前記触媒組成物は、酸化マンガンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または鉄の1つまたはそれより多くとを含み、且つ前記触媒組成物は、ホルムアルデヒドおよび/またはトルエンを、浄化されていない供給空気から除去するための触媒組成物であり、前記酸化マンガンが
、以下の2θ(°)ピークおよび強度
【表2】
によってのみ特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す酸化マンガン多形Iを含む、前記触媒装置。
【請求項15】
前記触媒組成物が、5m
2/g~150m
2/gの範囲のBET表面積を有し、且つ前記触媒組成物が、0.3mL/g~1.5mL/gの範囲の細孔容積を有する細孔を含む、請求項14に記載の触媒装置。
【請求項16】
前記触媒組成物が、0.3mL/g~0.9mL/gの範囲の細孔容積を有する細孔を含む、請求項14に記載の触媒装置。
【請求項17】
ホルムアルデヒドおよび/またはトルエンを、浄化されていない供給空気から除去するための押出触媒の製造方法であって、
酸化マンガンと水とを混合して、押出可能なペーストを形成すること、および
前記ペーストを押出して、押出触媒を形成すること
を含み、前記押出触媒が5m
2/g~150m
2/gの範囲のBET表面積を有し、且つ前記押出触媒がアルカリ金属、アルカリ土類金属、または鉄の1つまたはそれより多くを含み、前記酸化マンガンが
、以下の2θ(°)ピークおよび強度
【表3】
によってのみ特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す酸化マンガン多形Iを含む、前記方法。
【請求項18】
前記押出触媒が、0.3mL/g~1.5mL/gの範囲の細孔容積を有する細孔を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は米国仮出願第62/357007号(2016年6月30日提出)および米国仮出願第62/509633号(2017年5月22日提出)の優先権の利益を主張し、その内容は参照をもって本願内にその全文が含まれるものとする。
【0002】
技術分野
本開示は、空気の浄化のための組成物、装置および方法に関する。より具体的には、本開示は、酸化マンガン系触媒組成物、触媒装置、それらの製造方法、およびホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物を供給空気から除去する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な大気汚染物質のレベルが上昇し続けているため、大気汚染はますます重要な関心事となっている。関連する1つの主たる汚染物質はホルムアルデヒド(HCHO)である。それは、広く使用されている建物および装飾材料から放出される屋内の主な汚染物質としてみなされている。ホルムアルデヒドへの長期的な曝露は、発ガン性があるとしてみなされている。
【0004】
上海、杭州、蘇州、南京、武漢、重慶および成都を含む中国のいくつかの都市は、2011年に中国環境科学研究所の室内環境および保健支部によって、そこに存在するホルムアルデヒド濃度に関して検査された。国の標準がホルムアルデヒドの濃度限界を0.1mg/m3に設定しているにもかかわらず、検査された各々の都市は国の限界よりも著しく高いホルムアルデヒド濃度のレベルを有していた。そのレベルは国の標準よりも15%~40%高い範囲であった。
【0005】
ホルムアルデヒドおよび他の揮発性有機化合物(VOC)からの汚染を効率的に処理することができる装置、方法および組成物が必要とされ続けている。それらの装置、方法および組成物は、長期的な性能、効率的な製造作業、および低減された製造コストを示すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願において、ホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物で汚染された供給空気を浄化するための組成物、装置および方法が開示される。本願において、触媒組成物および触媒装置の製造方法も開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施態様において、本発明は、酸化マンガンを含む触媒組成物に関する。いくつかの実施態様において、前記触媒組成物中の酸化マンガンは、クリプトメレーン、バーネサイト、ベルナダイト(vernadite)、酸化マンガン多形I、低結晶性クリプトメレーン、パイロルーサイト(pyralusite)、エヌスタイト(nsutite)、アモルファスの酸化マンガンそれらの多形またはそれらの混合物を含み得る。
【0008】
いくつかの実施態様 において、前記触媒組成物は、少なくとも以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表1】
によって特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す酸化マンガンを含む。
【0009】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は、以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表2】
によって特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示し、且つ他のピークは相対強度20%未満で存在し得る、酸化マンガンを含む。
【0010】
他の実施態様において、前記触媒組成物は、以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表3】
によってのみ特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す酸化マンガンを含む。
【0011】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物はさらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄、無機酸化物、結合剤、活性炭またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを含み得る。
【0012】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は押出物の形態であってよい。他の実施態様において、前記触媒組成物は、固体基材上に配置された被覆層の形態であってよい。
【0013】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は、約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有し得る。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。
【0014】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は、約0.3mL/g~約1.5mL/g、約0.3mL/g~約1.0mL/g、約0.3mL/g~約0.9mL/g、または約0.5mL/g~約0.75mL/gの範囲の細孔容積を有する多孔質であってよい。
【0015】
いくつかの実施態様において、本発明は、供給空気を浄化するための触媒装置に関する。いくつかの実施態様において、前記装置は触媒または触媒吸着剤を含む。前記触媒装置は、ハウジング、および前記ハウジング内に配置された触媒組成物を含み得る。前記触媒装置内の触媒組成物は、本願内に開示される触媒組成物のいずれかであってよい。前記触媒装置はさらに、浄化されていない空気をハウジング内部へと受け容れるように構成される入口ポートと、浄化された空気をハウジングから導出するように構成される出口ポートとを含み得る。前記触媒装置を、浄化されていない空気が触媒組成物と接触し、前記触媒組成物との接触に際し、浄化されていない空気中に存在するホルムアルデヒドおよび/または揮発性有機化合物が除去されるように構成できる。
【0016】
いくつかの実施態様において、本発明は、押出触媒の製造方法に関する。押出触媒の製造方法は、酸化マンガン、水、および任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄、無機酸化物(例えば希土類酸化物)、結合剤、活性炭またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを混合して、押出可能なペーストを形成することを含み得る。前記方法はさらに、ペーストを押出して本願内で開示される任意の触媒組成物を形成することを含み得る。
【0017】
他の実施態様において、本発明は、基材上に配置された触媒組成物の製造方法に関する。基材上に配置された触媒組成物の製造方法は、マンガン、および任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄、無機酸化物、結合剤、活性炭またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを水中に分散させて、触媒組成物のスラリーを形成することを含み得る。前記方法はさらに、触媒組成物を基材上に被覆することを含み得る。基材上に配置された触媒組成物は、本願内に開示される触媒組成物のいずれかであってよい。
【0018】
いくつかの実施態様において、本発明は、浄化されていない空気流を本発明による触媒組成物と接触させて、浄化された空気流を生成することによる、空気流の浄化方法に関する。
【0019】
本発明による触媒組成物、触媒装置および空気流の浄化方法は全て、ホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素、窒素酸化物、アミン、硫黄化合物、チオール、塩素化炭化水素、または揮発性有機化合物の1つまたはそれより多くを、浄化されていない供給空気から除去するように構成され得る。
【0020】
本願内で使用される場合、「流」、「流れ」との用語は、固形物(例えば微粒子)、液体(例えば蒸気)および/またはガス混合物を含有し得る任意の流れるガスを広範に示す。
【0021】
「浄化されていない空気」または「浄化されていない空気流」との用語は、1つまたはそれより多くの汚染物質を、有害であると知覚される、または人間の健康に悪影響(短期的な影響および/または長期的な影響を含む)を及ぼすとみなされるレベルまたはそれより上での濃度または含有率で含有する任意の流に関する。例えば、いくつかの実施態様において、職業安全衛生局により示される「対策レベル」標準に基づき8時間の加重平均濃度として計算して空気流100万部あたり0.5部より高いホルムアルデヒドの濃度でホルムアルデヒドを含有する流が、浄化されていない空気流である。いくつかの実施態様において、中国の国の標準に基づき8時間の加重平均濃度として計算して空気流100万部あたり0.08部より高いホルムアルデヒドの濃度でホルムアルデヒドを含有する流が、浄化されていない空気流である。浄化されていない空気は、限定されずに、ホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、臭化メチル、水、アミンおよび窒素酸化物を含み得る。
【0022】
「VOC」との用語は、室温で高い蒸気圧を有する有機化学分子に関する。そのような化学分子は低い沸点を有し、多数の分子が室温で蒸発および/または昇華して、液相または固相から気相へ転移する。一般的なVOCは、限定されずに、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、プロパン、ヘキサン、シクロヘキサン、リモネン、ピネン、アセトアルデヒド、ヘキサアルデヒド、酢酸エチル、ブタノールおよびその種のものを含む。
【0023】
「浄化された空気」または「浄化された空気流」との用語は、1つまたはそれより多くの汚染物質を、浄化されていない空気流中の1つまたはそれより多くの汚染物質の濃度または含有率よりも低い濃度または含有率で含有する任意の流に関する。
【0024】
「基材」との用語は、その上またはその中に触媒が設置される材料(例えば金属、半金属、半金属酸化物、金属酸化物、ポリマー、セラミック)に関する。いくつかの実施態様において、基材は、複数の触媒粒子を含有するウォッシュコートを有する固体表面の形態であってよい。ウォッシュコートは、特定の固形分含有率(例えば30~50質量%)の触媒粒子を含有するスラリーを製造し、次いでそれを基材上に被覆して乾燥させて、ウォッシュコート層をもたらすことによって形成できる。いくつかの実施態様において、基材は多孔質であってよく、且つウォッシュコートを細孔の外側および/または内側に堆積することができる。
【0025】
「窒素酸化物」との用語は、窒素と酸素とを含有する化合物に関し、限定されずに、酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、ニトロシルアジド、オキサテトラゾール(ozatetrazole)、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素、トリニトラミド、亜硝酸塩、硝酸塩、ニトロニウム、ニトロソニウム、ペルオキソナイトライトまたはそれらの組み合わせを含む。
【0026】
「硫黄化合物」との用語は、硫黄を含有する化合物に関し、限定されずに硫黄酸化物(一酸化硫黄、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化二硫黄、二酸化二硫黄)、硫化水素またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
「酸化マンガン多形I」との用語は、以下の2θ(°)ピークおよび強度によって特徴付けられる20~80°の2θ(°)の範囲のXRDスペクトルを示す半結晶相の酸化マンガンに関する。発生器の設定45kVおよび40mAを用いた分析において、Cu
kα線を使用した。
【表4】
【0028】
本開示の上記および他の特徴、その性質、および様々な利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と関連付けて考慮するとより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、クリプトメレーンの酸化マンガンについてのX線回折パターンを示す。
【
図1B】
図1Bは、酸化マンガン多形IについてのX線回折パターンを示す。
【
図1C】
図1Cは、低結晶性のクリプトメレーンについてのX線回折パターンを示す。
【
図2】
図2は、1つの実施態様による触媒組成物の例示的な製造方法を示す。
【
図3】
図3は、1つの実施態様による触媒組成物の例示的な製造方法を示す。
【
図4】
図4は、1つの実施態様による空気の浄化についてのワンパスの試験の模式図を示す。
【
図5】
図5は、1つの実施態様による空気の浄化についてのシステムの試験の模式図を示す。
【
図6】
図6は、本願内に開示される実施態様による空気の浄化についての例示的な制御プロセスを示す。
【
図7】
図7は、本願内に開示される実施態様による例示的な試験装置を示す。
【
図8】
図8は、例1~13に記載される様々な触媒組成物についてのホルムアルデヒドおよびトルエンの変換率を示すプロットである。
【
図9】
図9は、例14~16に記載される様々な触媒組成物についてのホルムアルデヒドの変換率を示すプロットである。
【
図10】
図10は、例24~27に記載される様々な触媒組成物についてのホルムアルデヒドの変換率を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示は、周囲空気の流れを、その流れからの不純物(contaminant)を変換および/または除去することによって処理するための、触媒組成物、触媒装置、それらの製造方法、およびそれらの使用方法に関する。不純物は、浄化されていない空気流中の、ホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素、亜酸化窒素、アミン、硫黄化合物、チオール、塩素化炭化水素、揮発性有機化合物の1つまたはそれより多くを含み得る。前記不純物は、有害性が低い化合物、例えば酸素、二酸化炭素および水蒸気に変換され得る。前記触媒組成物は、酸化マンガンに基づくことができ、且つさらにアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄、無機酸化物、結合剤、活性炭またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを含み得る。前記触媒組成物は、複数の押出粒子の形態であってもよいし、被覆層として基材上に配置されていてもよい。前記触媒組成物をハウジング内に配置して触媒装置を形成でき、該触媒装置は入口および出口ポートをさらに含むことができ、浄化されていない空気が入口ポートを通って触媒装置に入り、浄化されていない空気がハウジング内の触媒組成物と接触し、そのことによって浄化された空気流が形成され、それが出口ポートを通って触媒装置を出ることができる。浄化された空気は低減されたレベルの不純物を含有し得る。
【0031】
触媒組成物の実施態様
いくつかの実施態様において、本発明は酸化マンガンを含む触媒組成物であって、前記触媒組成物が約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有する、前記触媒組成物に関し得る。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。本願において参照されるBET表面積は、吸着質としてN2を使用して測定される。前記表面積は、試料を180℃で3.3Pa(25mTorr)の圧力に脱ガスした後にAnkersmit Quantachrome Autosorb-6装置において測定される。
【0032】
前記触媒組成物中の酸化マンガンは、クリプトメレーン、バーネサイト、ベルナダイト、酸化マンガン多形I、パイロルーサイト、エヌスタイト、低結晶性クリプトメレーン、アモルファスの酸化マンガン、それらの多形またはそれらの混合物を含み得る。触媒組成物中の酸化マンガンは、100%結晶性、100%アモルファス、または部分結晶性および部分アモルファスであってよい。X線回折(XRD)技術を使用して、触媒組成物中の酸化マンガンの結晶性を測定する。XRDプロファイルからのピークが存在しない場合、触媒組成物は完全にアモルファスであるとみなされ得る。選択的に、XRDプロファイルにおいていくつかのピークが観察される場合、触媒組成物は少なくとも部分的に結晶性であるとみなされ得る。各々の種類の酸化マンガンは、相応のXRDプロファイルを有し得る。例えば、クリプトメレーンの酸化マンガンは、
図1Aに示されるXRDパターンを示すことができ、酸化マンガン多形Iは、
図1Bに示されるXRDパターンを示すことができ、低結晶性クリプトメレーンの酸化マンガンは、
図1Cに示されるXRDパターンを示すことができる。
【0033】
酸化マンガン多形Iが触媒組成物中に存在する場合、いくつかの実施態様において、その酸化マンガンは少なくとも以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表5】
を有する20~80°の2θ(°)の範囲のXRDパターンを示すことができる。
【0034】
他の実施態様において、酸化マンガン多形Iが触媒組成物中に存在する場合、その酸化マンガンは以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表6】
のみを有する20~80°の2θ(°)の範囲のXRDパターンを示すことができる。
【0035】
さらに他の実施態様において、酸化マンガン多形Iが触媒組成物中に存在する場合、その酸化マンガンは以下の2θ(°)ピークおよび強度:
【表7】
を有する20~80°の2θ(°)の範囲のXRDパターンを示すことができ、さらなるピークが存在する場合、そのさらなるピークの相対強度は20%未満である。
【0036】
いくつかの実施態様において、触媒組成物中の酸化マンガンは(その形態には関わらず)、触媒組成物の総質量に対して約5質量%~約100質量%、約10質量%~約90質量%、または約15質量%~約75質量%、約40質量%~約90質量%、または約45質量%~約75質量%の範囲の量で存在し得る。
【0037】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物はさらに結合剤を含み得る。いくつかの実施態様において、前記結合剤はアルミナを含み得る。いくつかの実施態様において、前記結合剤はポリマー結合剤を含み得る。いくつかの実施態様において、前記結合剤はアルミナ、ジルコニア、シリカ、フィロケイ酸アルミニウム粘土、例えばベントナイトまたはそれらの混合物の1つまたはそれより多くであってよい。いくつかの実施態様において、低いガラス転移温度を有する結合剤は、より柔軟性のある、またはより脆性の低い触媒組成物をもたらすことができ、それは好ましいことがある。いくつかの実施態様において、選択された結合剤は、(触媒組成物の総質量に対して)10質量%の結合剤を有し、結合剤を有さない触媒組成物の活性に比して70%の活性の触媒組成物を可能にするものであってよい。
【0038】
さらなる適した結合剤の例は、限定されずに、アルミナゾル、ベーマイト、シリカゾル、チタニアゾル、酢酸ジルコニウム、およびコロイド状セリアゾルを含み得る。ポリマー結合剤の例は、限定されずに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンコポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブタジエンコポリマー、塩化ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレン、エチレン・プロピレン・ジエンエラストマー、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルハロゲン化物)、ポリアミド、セルロース系ポリマー、ポリイミド、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリエステル、熱硬化性ポリエステル、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、フッ素化ポリマー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニル)およびクロロ/フルオロコポリマー、例えばエチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル/スチレンアクリルコポリマーラテックスおよびシリコーンポリマーを含み得る。
【0039】
いくつかの実施態様において、触媒組成物中の結合剤は、触媒組成物の総質量に対して約60質量%以下、約50質量%以下、または約40質量%以下の量で存在し得る。
【0040】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物はさらに無機酸化物を含み得る。前記無機酸化物は、セリア、ジルコニア、シリカ、チタニア、アルミナ、鉄、ランタン、プラセオジム、サマリウムまたはそれらの混合物の1つまたはそれより多くであってよい。いくつかの実施態様において、前記無機酸化物はセリアであってよい。いくつかの実施態様において、前記無機酸化物はジルコニアであってよい。いくつかの実施態様において、前記無機酸化物はシリカであってよい。
【0041】
いくつかの実施態様において、触媒組成物中の無機酸化物は、触媒組成物の総質量に対して約60質量%以下、約50質量%以下、または約40質量%以下の量で存在し得る。いくつかの実施態様において、無機酸化物は希土類酸化物を含み得る。
【0042】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物はさらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄またはそれらの混合物の1つまたはそれより多くを含み得る。アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄またはそれらの混合物の1つまたはそれより多くは、触媒組成物の総質量に対して約10質量%以下、約5質量%以下、約2質量%以下の量で触媒組成物中に存在し得る。
【0043】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は複数の別個の押出粒子の形態であってよい。前記複数の押出粒子は、様々な形状、例えばペレット、ビーズ、押出物、リング、球、円柱、三つ葉および四つ葉状の片であってよい。前記複数の押出粒子は、様々な大きさであってよく、例えば前記粒子は約1ミリメートル~約15ミリメートルの範囲の平均直径を有し得る。
【0044】
他の実施態様において、触媒組成物は固体基材上に配置されることにより、触媒系を形成できる。基材上の触媒装填量は、約0.5g/in3~約4g/in3の範囲であってよい。例えば、触媒組成物を固体基材上に被覆でき、且つ、固体基材上の触媒材料の単独の被覆、または固体基材上の触媒材料の複数の層を形成できる。触媒材料の複数の層が固体基材上に被覆される場合、該層はそれらの組成において異なっていてもよいし、または選択的には全ての触媒層が同じ組成を有してもよい。いくつかの実施態様において、固体基材は、ポリマー基材、セラミック基材、金属基材、フォーム基材、紙基材またはそれらの混合物を含み得る。
【0045】
いくつかの実施態様において、基材は不織布フィルタ、紙フィルタ、セラミックフィルタまたは繊維フィルタであってよい。いくつかの実施態様において、基材は金属フォーム基材、セラミックフォーム基材またはポリマーフォーム基材であってよい。いくつかの実施態様において、基材は金属モノリス基材、セラミックモノリス基材、紙モノリス基材、ポリマーモノリス基材、またはセラミック繊維モノリス基材であってよい。いくつかの実施態様において、基材はHVACダクト、空気フィルタ、ルーバー表面であってよい。いくつかの実施態様において、基材は携帯型空気フィルタ、または自動車、鉄道車両、船艇、航空機および宇宙船からなる群から選択される車両内に配置されるフィルタであってよい。いくつかの実施態様において、前記基材は全く存在しなくてもよい。
【0046】
いくつかの実施態様において、触媒組成物はさらに、吸着剤、例えばカーボン、含浸(処理)カーボン、金属有機構造体(MOF)、ゼオライトまたはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は活性炭を含み得る。いくつかの実施態様において、前記吸着剤は、特定の不純物に対する吸着剤の親和性を高める最適なパラメータ、例えばBET表面積、細孔容積、かさ密度、質量、体積および直径を有し得る。
【0047】
いくつかの実施態様において、前記吸着剤は、粉末、ペレット、押出物、顆粒または自立膜の形態でのMOFを含み得る。特定の実施態様において、MOFはMOF粒子の形態である。いくつかの実施態様において、吸着材料は、YO2およびX2O3で構成される骨格構造を有するゼオライト材料であり、前記式中、Yは四価の元素であり且つXは三価の元素である。1つの実施態様において、YはSi、Sn、Ti、Zr、Geおよびそれらの2つまたはそれより多くの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施態様において、YはSi、Ti、Zrおよびそれらの2つまたはそれより多くの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施態様において、YはSiおよび/またはSnである。1つの実施態様において、YはSiである。1つの実施態様において、XはAl、B、In、Gaおよびそれらの2つまたはそれより多くの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施態様において、XはAl、B、Inおよびそれらの2つまたはそれより多くの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施態様において、XはAlおよび/またはBである。1つの実施態様において、XはAlである。特定の実施態様において、ゼオライトは、粒子、ペレット、押出物、顆粒、粉末または自立膜の形態である。特定の実施態様において、ゼオライトはゼオライト粒子の形態である。
【0048】
特定の実施態様において、前記吸着剤を活性化できる。前記活性化は、吸着剤を、限定されずに周囲温度、真空、不活性ガス流、またはそれらの任意の組み合わせを含む様々な条件に、その吸着剤材料が活性化するために十分な時間の間、供することを含み得る。
【0049】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は、浄化されていない供給空気からのホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素、窒素酸化物、アミン、硫黄化合物、チオール、塩素化炭化水素、揮発性有機化合物の1つまたはそれより多くを除去するように構成される。
【0050】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は多孔質であってよく、約0.3mL/g~約1.5mL/g、約0.3mL/g~約1.0mL/g、約0.3mL/g~約0.9mL/g、約0.5mL/g~約0.9mL/g、または約0.5mL/g~約0.75mL/gの範囲の細孔容積を有し得る。本願内で議論される細孔容積は、窒素ポロシメトリー、例えばBJH(Barrett、JoynerおよびHalenda)法を使用して、または水銀圧入ポロシメトリーによって測定される平均細孔容積に関し得る。本開示において、特段記載されない限り平均細孔容積はBJH法を使用して測定される。
【0051】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は本質的に、以下の1つ: 酸化マンガンのみ、酸化マンガンと結合剤のみ、酸化マンガンと無機酸化物のみ、または酸化マンガンと結合剤と活性炭のみからなることができ、且つ、約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gのBET表面積を有する。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。
【0052】
いくつかの実施態様において、前記触媒組成物のいずれかは任意にさらに、本質的に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛または鉄の1つまたはそれより多くからなることができる。
【0053】
触媒装置の実施態様
いくつかの実施態様において、触媒装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された触媒組成物とを含むことができ、ここで、前記触媒組成物は酸化マンガンを含み、且つ前記触媒組成物は、約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有する。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。ハウジング内に配置された触媒組成物は、本願内に開示される触媒組成物のいずれかであってよい。例えば、いくつかの実施態様において、触媒装置はハウジングと、前記ハウジング内に配置された触媒組成物とを含むことができ、ここで前記触媒組成物は、酸化マンガン、結合剤および活性炭を含む。
【0054】
前記触媒装置はさらに、浄化されていない空気をハウジング内部へと受け容れるように構成される入口ポートと、浄化された空気をハウジングから導出するように構成される出口ポートとを含み得る。前記触媒装置は、浄化されていない空気が前記ハウジング内に配置された触媒組成物と接触するように構成され得る。
【0055】
触媒組成物は、複数の押出粒子としてであっても、触媒組成物が固体基材上に被覆されている触媒系の一部としてであっても、触媒装置のハウジング内に配置されて、空気流が空気触媒装置内に導入される際に触媒粒子または触媒被覆層が空気流と接触し、ホルムアルデヒドを除去するか、または空気流中のホルムアルデヒドを二酸化炭素と水とに変換するかのいずれかである。特定の実施態様において、空気流中の他の汚染物質および/または不純物を、触媒粒子または触媒層との接触の際に除去できるか、または無害またはあまり有害ではない化学種へと変換できる。
【0056】
いくつかの実施態様において、本発明は、供給空気を不純物、例えばホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素、窒素酸化物、アミン、硫黄化合物、チオール、塩素化炭化水素、または揮発性有機化合物から浄化するための触媒装置に関する。触媒装置に入る浄化されていない空気流中のホルムアルデヒド含有率は、約1ppb~約50ppmの範囲であってよい。触媒装置に入る浄化されていない空気流中のオゾン含有率は、約1ppb~約2ppmの範囲であってよい。触媒装置に入る浄化されていない空気流中の揮発性有機化合物含有率は、約1ppb~約0.5体積%の範囲であってよい。浄化されていない空気流中の不純物含有率は、本願において最初の不純物含有率と称されることもあり、例えば最初のホルムアルデヒド含有率、最初のオゾン含有率、最初の揮発性有機化合物含有率などである。
【0057】
いくつかの実施態様において、浄化されていない空気流中に存在する不純物(例えばホルムアルデヒド、オゾン、一酸化炭素、窒素酸化物、アミン、硫黄化合物、チオール、塩素化炭化水素または揮発性有機化合物)を、浄化されていない空気流と、触媒装置内に配置された触媒組成物とが接触する際に除去できる。例えば、浄化されていない空気流は最初のホルムアルデヒド含有率を有することができ、且つ触媒装置から出る浄化された空気流は、最初のホルムアルデヒド含有率よりも低い最終的なホルムアルデヒド含有率を有することができる。
【0058】
浄化された空気流の最終的なホルムアルデヒド含有率は、浄化されていない空気流中の最初のホルムアルデヒド含有率の約50%以下、約40%以下、約30%以下、または約20%以下であることができる。浄化された空気流の最終的なオゾン含有率は、浄化されていない空気流中の最初のオゾン含有率の約50%以下、約40%以下、約30%以下であることができる。浄化された空気流の最終的な揮発性有機化合物含有率は、浄化されていない空気流中の最初の揮発性有機化合物含有率の約90%以下、約80%以下、約70%以下であることができる。
【0059】
いくつかの実施態様において、ハウジング内に配置された触媒組成物は、上記の触媒組成物の箇所で記載されたとおり、押出された形態であってよい。他の実施態様において、ハウジング内に存在する触媒組成物は固体基材上に配置されることにより、触媒装置のハウジング内に配置された触媒系を形成できる。触媒系は上記の触媒組成物の箇所でより詳細に記載されている。
【0060】
いくつかの実施態様において、前記触媒装置を加熱、換気および空調(HVAC)システム内に組み込むことができる。いくつかの実施態様において、前記触媒装置は携帯型空気清浄機またはイオン空気清浄機であってよい。いくつかの実施態様において、前記触媒装置を、自動車、鉄道車両、船艇、航空機および宇宙船からなる群から選択される車両内に組み込むことができる。例えば、前記触媒装置を自動車または航空機の機室内に組み込むことができる。いくつかの実施態様において、前記触媒組成物は、様々な浄化技術、例えばろ過、イオン化、洗浄およびその種のものを使用する空気清浄機で空気流からの気相の不純物を除去できる。例えば、イオン空気清浄機においては、ガス状の不純物がイオン化(プラズマ)によって除去され、触媒組成物を使用して空気清浄機内で生成されるオゾンまたは他の汚染物質、並びに装置外部の空気中に存在する汚染物質を除去することができる。
【0061】
いくつかの実施態様において、本発明は、空気流を浄化するための方法に関する。前記方法は、浄化されていない空気流を触媒組成物と接触させて浄化された空気流を生成することを含むことができ、その際、浄化されていない空気流は第1のホルムアルデヒド含有率(または最初のホルムアルデヒド含有率)を有し、浄化された空気流は第1のホルムアルデヒド含有率よりも低い第2のホルムアルデヒド含有率(または最終的なホルムアルデヒド含有率)を有し、前記触媒組成物は酸化マンガンを含み、且つ前記触媒組成物は、約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有する。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。空気流を浄化するための方法は、本願内に開示される触媒組成物のいずれかを用いて実施できると理解されるべきである。
【0062】
いくつかの実施態様において、空気流を浄化するための方法、およびそこで使用される触媒組成物は、最初に浄化されていない空気流と接触した際に第1の効率で浄化された空気流を生成でき、且つ、特定の時間の間、例えば3時間、浄化されていない空気流と接触した後に第2の効率で浄化された空気流を生成できる。いくつかの実施態様において、第2の効率は、第1の効率と比較して約20%以下、または約10%以下だけ低減され得る。
【0063】
いくつかの実施態様において、浄化されていない空気流と触媒組成物との接触を、約10℃~約150℃、約15℃~約80℃、約10℃~約50℃、または約20℃~約40℃の範囲の温度で、約21℃で、約25℃で、または約35℃で、約10%~約90%の範囲の相対湿度で、且つ約100h-1~約1000000h-1の範囲の空間速度で行うことができる。
【0064】
押出触媒組成物の製造
いくつかの実施態様において、本発明は、
図2に示される工程200による押出触媒組成物の製造方法に関する。前記方法は、酸化マンガンを水中で混合して、押出可能なペーストを形成することを含み得る。いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック202および204に基づき、水中で酸化マンガンおよび任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄またはそれらの組み合わせ、無機酸化物、結合剤および/または活性炭の1つまたはそれより多くを混合することによって、押出可能なペーストを形成することを含み得る。添加剤、例えば細孔形成剤および押出助剤をさらにペーストに添加できる。成分がブロック202に示される順は、限定と解釈されるべきではなく、特段記載されない限り、成分は任意の順で添加できると理解されるべきである。前記方法はさらに、ブロック206に基づき、ペーストを押出して、所望の形状および大きさの押出触媒組成物を形成することを含み得る。
【0065】
いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック208に基づき、押出された触媒組成物粒子を乾燥することを任意にさらに含み得る。乾燥を、約60℃~約350℃、約80℃~約150℃の範囲の温度、または約90℃で行うことができる。乾燥を、約1時間~約24時間、約2時間~約12時間の範囲の時間、または約4時間の間、行うことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック210に基づき、押出された触媒組成物粒子をか焼することを任意にさらに含み得る。か焼を、約90℃~約1200℃、約100℃~約500℃、約100℃~約300℃の範囲の温度で、または約250℃で行うことができる。か焼は任意であり、且つ、約4時間までの時間、約1.5時間~約3時間、または約2時間の間、行うことができる。
【0066】
図2のフロー図の上記の段階は、任意の順またはシーケンスで実行または実施でき、示され且つ記載された順およびシーケンスに限定されないことが理解されるべきである。また、
図2の段階のいくつかを適宜、本質的に同時に実行または実施できる。
【0067】
最終的な押出触媒組成物は多孔質であってよく、約0.3mL/g~約1.5mL/g、約0.3mL/g~約1mL/g、約0.3mL/g~約0.9mL/g、約0.5mL/g~約0.9mL/g、または約0.5mL/g~約0.75mL/gの範囲の細孔容積を有し得る。最終的な押出触媒組成物は、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約1500m2/g、約15m2/g~約1300m2/g、約15m2/g~約1100m2/g、約15m2/g~約1000m2/g、約15m2/g~約750m2/g、約15m2/g~約500m2/g、約15m2/g~約400m2/g、約15m2/g~約300m2/g、約15m2/g~約200m2/g、約15m2/g~約150m2/g、約15m2/g~約100m2/g、約15m2/g~約75m2/g、約15m2/g~約50m2/g、約15m2/g~約30m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約170m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約175m2/g~約300m2/gまたは約200m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有し得る。いくつかの実施態様において、BET表面積は約70m2/g~150m2/gである。いくつかの実施態様において、得られる押出触媒組成物は、浄化されていない空気流に最初に導入された際に第1の効率で、および浄化されていない空気流と一定の時間、例えば3時間接触した後に第2の効率で、ホルムアルデヒドを除去するように構成される。いくつかの実施態様において、第2の効率は、第1の効率と比較して約20%以下、または約10%以下だけ低減される。
【0068】
いくつかの実施態様において、様々な成分を、押出可能なペーストを形成するための水との混合物に添加する順は重要ではない。他の実施態様において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄またはそれらの組み合わせの1つまたはそれより多くを最後に押出可能なペーストに添加して、改善された不純物変換効率を達成できる。浄化されていない空気流と触媒組成物との間の最初の接触の間にどれだけ効率的に不純物が変換または空気流から除去されるかを示す第1の効率に基づき、改善された不純物変換効率を決定できる。改善された不純物変換効率は、第1の変換効率と第2の変換効率との間の差が最小である場合にも明白である。
【0069】
触媒組成物の被覆層の製造
いくつかの実施態様において、本発明は、基材上に1つの被覆層として、または複数の被覆層として配置された触媒組成物の製造方法に関する。方法300を
図3に示す。いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック302に基づき、水中で酸化マンガンおよび任意にアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、鉄またはそれらの組み合わせ、無機酸化物、結合剤および/または活性炭の1つまたはそれより多くを分散させることを含み得る。いくつかの実施態様において、前記方法は、pH調節剤、例えば酢酸、またはセルロース系増粘剤を添加することを含み得る。いくつかの実施態様において、前記方法は、分散剤、例えばDispex N40V、Solsphere 2700、Carbosphereおよびその種のものを添加することをさらに含み得る。いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック304に基づき、触媒組成物のスラリーを基材上に被覆することをさらに含み得る。前記スラリーを例えば、固体基材上に噴霧する、固体基材上に浸漬塗布する、または固体基材上に直接的に堆積させることができる。
【0070】
いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック306に基づき、被覆された基材を乾燥させることを任意にさらに含み得る。乾燥を、約60℃~約150℃、約80℃~約130℃の範囲の温度で、または約90℃で行うことができる。乾燥を、約2分~約8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約6時間の範囲の時間、または約2時間の間、行うことができる。いくつかの実施態様において、前記方法は、ブロック308に基づき、押出された触媒組成物粒子をか焼することを任意にさらに含み得る。か焼を、約70℃~約1200℃、約80℃~約800℃、約100℃~約600℃、約120℃~約300℃の範囲の温度で、または約250℃で行うことができる。か焼は任意であり、且つ、約4時間までの時間、約0.5時間~約3時間、または約1時間の間、行うことができる。
【0071】
前記触媒組成物を、所望の重量増加が達成されるまで、基材上に繰り返し被覆できる。いくつかの実施態様において、所望の重量増加は約0.5g/in3~約10g/in3、約0.5g/in3~約5g/in3、約0.5g/in3~約4g/in3、約1g/in3または約2g/in3の範囲であってよい。
【0072】
図3内の段階は、任意の順またはシーケンスで実行または実施でき、示され且つ記載された順およびシーケンスに限定されないことが理解されるべきである。また、
図3の段階のいくつかを適宜、本質的に同時に実行または実施できる。
【0073】
基材上に堆積された触媒組成物層を含む最終的な触媒系は多孔質であってよく、且つ約0.3mL/g~約1.5mL/g、約0.3mL/g~約1mL/g、約0.3mL/g~約0.9mL/g、約0.5mL/g~約0.9mL/g、または約0.5mL/g~約0.75mL/gの範囲の細孔容積を有し得る。基材上に堆積された触媒組成物層を含む最終的な触媒系は、約5m2/g~約2000m2/g、約10m2/g~約2000m2/g、約15m2/g~約2000m2/g、約20m2/g~約2000m2/g、約25m2/g~約2000m2/g、約30m2/g~約2000m2/g、約35m2/g~約2000m2/g、約40m2/g~約2000m2/g、約45m2/g~約2000m2/g、約5m2/g~約1500m2/g、約5m2/g~約1300m2/g、約5m2/g~約1100m2/g、約5m2/g~約1000m2/g、約5m2/g~約750m2/g、約5m2/g~約500m2/g、約5m2/g~約400m2/g、約5m2/g~約300m2/g、約5m2/g~約200m2/g、約5m2/g~約150m2/g、約5m2/g~約100m2/g、約5m2/g~約75m2/g、約5m2/g~約50m2/g、約5m2/g~約30m2/g、約50m2/g~約2000m2/g、約100m2/g~約2000m2/g、約150m2/g~約2000m2/g、約170m2/g~約2000m2/g、約50m2/g~約1500m2/g、約100m2/g~約1500m2/g、約150m2/g~約1500m2/g、約170m2/g~約1500m2/g、約50m2/g~約1300m2/g、約100m2/g~約1300m2/g、約150m2/g~約1300m2/g、約170m2/g~約1300m2/g、約50m2/g~約1100m2/g、約100m2/g~約1100m2/g、約150m2/g~約1100m2/g、約170m2/g~約1100m2/g、約50m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約1000m2/g、約150m2/g~約1000m2/g、約170m2/g~約1000m2/g、約100m2/g~約500m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、約100m2/g~約300m2/g、または約100m2/g~約250m2/g、約150m2/g~約500m2/g、約150m2/g~約400m2/g、約150m2/g~約350m2/g、約150m2/g~約300m2/g、または約150m2/g~約250m2/gの範囲のBET表面積を有し得る。いくつかの実施態様において、前記BET表面積は、約70m2/g~150m2/g、約70m2/g~125m2/g、約70m2/g~100m2/g、約50m2/g~150m2/g、約50m2/g~125m2/g、約50m2/g~100m2/g、約50m2/g~80m2/g、約25m2/g~150m2/g、約25m2/g~125m2/g、約25m2/g~100m2/g、約25m2/g~70m2/g、約10m2/g~150m2/g、約10m2/g~125m2/g、約10m2/g~100m2/g、約10m2/g~70m2/g、約10m2/g~50m2/g、約5m2/g~150m2/g、約5m2/g~125m2/g、約5m2/g~100m2/g、約5m2/g~70m2/g、約5m2/g~50m2/g、約5m2/g~25m2/g、または約5m2/g~10m2/gの範囲である。
【0074】
以下に詳述される
図4、5および6は、中華人民共和国の国家標準により、および中華人民共和国のGeneral Administration of Quality Supervision, Inspection and Quarantine and the Standardization Administrationにより共同で発行され、GB/T 18801ガイドラインとしても参照される、ワンパス試験およびシステムの試験設定の図である。
【0075】
図4は、1つの実施態様による空気の浄化についての模式図を示す。この模式図は、迅速な試料のスクリーニングおよび触媒組成物の効率の試験の加速を可能にするように構成されたワンパス試験の設定を示す。
【0076】
試験装置は、空気ダクトシステム400、汚染物質生成機404、混合バルブ420、上流のサンプリング管408、下流のサンプリング管416、空気清浄機414を含む。ワンパス試験において、周囲空気402は混合バルブ420に入り、そこで、汚染物質生成機404で生成された汚染物質(例えばホルムアルデヒドおよびVOC)と混合される。得られる汚染された空気406は、混合バルブ420を出て、空気ダクトシステム400に入り、そこで空気清浄機414の効率が試験される。
【0077】
空気ダクトシステム400は曲がっているかまたは折りたたまれていてもよい。いくつかの実施態様において、空気ダクトシステム400が曲がっていれば、ダクトの直径の少なくとも3倍の直線のダクトの区域が、曲がりの前後に存在して、安定な空気流を確実にする。空気ダクトの第1の空気ダクト区域410に入る汚染された空気406の試料を、上流のサンプリング管408を通じて採取して、浄化されていない空気流中の汚染物質の初めの濃度を測定できる。サンプリング管408はステンレス鋼またはテフロンを含むことができ、且つ、平滑な内壁を有する。
【0078】
第1の空気ダクト区域410の通過後、浄化されていない汚染された空気406は空気清浄機414と接触する。空気清浄機414は、押出触媒粒子として、または基材上に配置された触媒層としてのいずれかで存在する触媒組成物を含み、ここで前記触媒組成物は本願内に開示される触媒組成物のいずれかであってよい。
【0079】
浄化されていない汚染された空気406が空気清浄機414に接触すると、浄化された空気が第2の空気ダクト区域412に入る。第2の空気ダクト区域は、空気体積測定装置422を任意に含み得る。空気体積測定装置422は、標準的なオリフィス板、標準的なノズル、および他の絞り装置を微圧計に接続して含み得る。第2の空気ダクト区域412中に存在する浄化された空気流中で得られる汚染物質濃度を、下流のサンプリング管416を通じて試験できる。サンプリング管416はステンレス鋼またはテフロンを含むことができ、且つ、平滑な内壁を有する。得られる浄化された空気424は空気ダクトシステム400を出て、ホルムアルデヒド変換試験および/または他の不純物または汚染物質変換試験のために収集される。
【0080】
図5は、本発明の1つの実施態様による空気の浄化についての模式図を示す。この模式図は、国家標準に準拠して構成され且つ製品の性能評価のために重要なシステムの試験の設定を示す。
【0081】
システムの試験の設定は、試験チャンバー500、中央のプラットフォーム504、試験される触媒装置508、浄化されていない空気の入口506、空気を循環させるためのファン510、および温度および湿度を制御するユニット502を含む。
【0082】
浄化されていない空気流は、浄化されていない空気の入口506を通じてチャンバー500に入る。浄化されていない空気流は、ファン510の稼働から生じる空気循環により形成される空気の渦に引き込まれる。チャンバー500内の最初の汚染物質濃度が予め規定された最初の値に達したら、浄化されていない空気の入口506を閉じる。ファン510はチャンバー500内の汚染物質の一様な分布が確実になるまでの時間、稼働し続けることができる。汚染物質の一様な分布が達成されたら、ファン510をオフにする。ファンをオフにする時点がt=0であり、濃度をC0として記録する。例えば、目標とするホルムアルデヒドの最初の濃度は、約1.00±0.2mg/m3であってよい。その直後に、試験を開始する。試料を5分ごとに、1時間の間、収集して、ガス状の汚染物質、例えばホルムアルデヒドについてのクリーンエア供給率(CADR)に関する触媒装置の浄化能力を評価する。
【0083】
CADRは式I:
CADR=60・(ke-kn)・V 式I
に基づいて計算され、前記式中、keは合計の減衰定数を示し、kn は自然減衰定数を示し、Vは試験チャンバーの体積をm3で示し、且つ(ke-kn)は式II
(ke-kn)・t=-ln(Ct/C0) 式II
に基づいて計算され、前記式中、tは合計試験時間を示し、Ctは、tの時点での濃度を示し且つC0はt=0の時点の濃度をmg/m3で示す。
【0084】
図6は、本発明の実施態様による空気の浄化についての例示的な制御プロセスを示す。その制御プロセスを
図5の模式図内で説明したものと同様のシステム試験チャンバーに適用できる。この制御プロセスによって記載される方法を、本発明の実施態様による触媒装置の半減期を試験するために使用する。「触媒装置の半減期」は、その後に触媒装置が、触媒装置の稼働開始時に触媒装置によってもたらされた最初のCADR値より50%低いCADRを有する日数または時間に関する。
【0085】
図6によれば、試験は、触媒装置の稼働開始時(t=0)に触媒装置によってもたらされるCADR値(CADR
0としても知られる)を得ることによって開始する。引き続き、触媒装置を任意に加速試験に供する。「加速試験」は、より早く触媒装置の効率に影響を及ぼすかまたは劣化させる極限条件、例えばより高い汚染物質濃度または汚染物質の連続的な発生に関する。その際、加速試験により、現実の条件下での触媒装置の寿命を見積もることが可能になる。
【0086】
触媒装置が8時間エージングされた後、他の試料を採取してt=nでのCADR値(CADRnとしても知られる)を取得する。CADRn値がCADR0値の50パーセントよりも大きい場合、その触媒装置はまだ稼働可能とみなされ、任意の加速試験、触媒装置のエージング、および各々の連続サイクル後のCADRn値の測定を繰り返すことによって試験を継続する。CADRn値がCADR0値の50パーセント以下になると触媒装置の寿命が終わったとみなされ、触媒装置によってもたらされた全体の累積クリーンマス(CCM)を計算する。
【0087】
いくつかの実施態様において、本願内に記載される触媒組成物のいずれかを、ホルムアルデヒド/VOCの除去のために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート(例えばフィブリル化PTFEシート)、例えばクロスフローフィルタ内に組み込むことができる。そのような実施態様を、建物のHVACシステム、室内空気清浄機、ガスマスク用フィルタ、工場用空気フィルタまたはオフガス処理、飲料水用の汚染物質除去システム、(例えば自動車または航空機について)機室の空気のための臭い除去システム、または建物の換気、湿度制御システム、クリーンルームの空気ろ過システム、または環境汚染物質の除去システム内に組み込むことができる。いくつかの実施態様において、PTFEシート中に組み込む前に、触媒組成物またはそれらの吸着剤粉末を、圧力低下が少なく(定義された流路に起因)、活性部位へのアクセス性が高く(多孔質のフィブリル化結合剤の使用に起因)、且つ容積が高いこと(結合剤含有率が低く且つ不活性支持構造がないことに起因)を特徴とする三次元構造に加工できる。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、本願内に記載される実施態様の理解を補助するために示され、本願において記載され且つ特許請求される実施態様を具体的に限定すると解釈されるべきではない。現在知られている、または後に開発される、当業者の視界に入り得る全ての均等物の置き換えを含む、変更、および配合における変更、または実験的な設計における些細な変更は、本願内に含まれる実施態様の範囲内であるとみなされるべきである。
【0089】
例1: 押出物の製造1
70グラム(g)の酸化マンガン多形Iの粉末および30gのVersal 250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0090】
例2: 押出物の製造2
42gの酸化マンガン多形Iの粉末、42gのセリア粉末、16gのVersal 250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0091】
例3: 押出物の製造3
39gの酸化マンガン多形Iの粉末、39gのセリア粉末、7gの硝酸ナトリウム、16gのVersal 250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0092】
例4: 押出物の製造4
50gの酸化マンガン多形Iの粉末および50gのVersal 250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0093】
例5: 50%の酸化マンガン多形I/50%のSipernatシリカの押出物の製造
50gの酸化マンガン多形Iの粉末および50gのSipernatシリカおよび水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0094】
例6: 50%の酸化マンガン多形I/50%のベントナイトの押出物の製造
50gの酸化マンガン多形Iの粉末および50gのベントナイトおよび水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0095】
例7: 50%の酸化マンガン多形I/50%のVersal Bの押出物の製造
50gの酸化マンガン多形Iの粉末および50gのVersal Bおよび水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0096】
例8: 50%の酸化マンガン多形I/50%のZrO2の押出物の製造
50gの酸化マンガン多形Iの粉末および50gのジルコニアおよび水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0097】
例9: 50%の酸化マンガン多形I/15%のCeO2/5%のベントナイト/2%のNa/1%のセルロース/27%のVersal V-250の押出物の製造
80.1gの酸化マンガン多形Iの粉末、23gのセリア粉末、10.9gの重炭酸ナトリウム、42.8gのVersal V-250、8.3gのベントナイト(おおよその組成: ベントナイトの総質量に対して61質量%のSiO2、21質量%のAl2O3、5質量%のFe2O3、4.6質量%のCaO、4質量%のMgO)、2.3gのカルボニルセルロースおよび水を徹底的に手動で混合して、押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0098】
例10: 35%の酸化マンガン多形I/35%のCeO2/30%のVersal V-250の押出物の製造
35gの酸化マンガン多形Iの粉末、35gのセリア粉末、30gのVersal V-250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0099】
例11: 50%の低結晶性クリプトメレーン/50%のVersal V-250の押出物の製造
50gの低結晶性クリプトメレーン粉末および50gのVersal V-250および水を徹底的に手動で混合して押出可能なペーストを形成した。1/16”の押出物を、底部に1.6mmの孔を有するCarverプレスを使用してプレスした。その固形物を90℃で2時間乾燥させて、2時間、250℃でか焼した。
【0100】
例12: 50%の例9からの押出物/50%の活性炭
10mLの例9の押出物を10mLの活性炭と物理的に混合した。
【0101】
例13: 75%の例9からの押出物/25%の活性炭
15mLの例9の押出物を5mLの活性炭と物理的に混合した。
【0102】
充填床カラムを使用して前記の例の性能を評価し、
図7に示す。例1~13により製造された触媒組成物について反応器内で3時間稼働後の結果を
図8に示す。充填床は1.5”(直径)×0.69”(高さ)であった。稼働条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(16.9L/分)が触媒床を通じて導かれた。例9、12、13および活性炭については、20ppmのトルエンを、浄化されていない空気流に添加した。
図8に示される変換率の値は最初および3時間後のものである。
【0103】
例14: クリプトメレーン
73.4gのセリアおよび73.4gのクリプトメレーンの酸化マンガンを191gの水中に分散させ、得られるスラリーに、4.8gのアルミナゾルと4.8gの酢酸との16.8gの水中の溶液を添加した。セルロース系増粘剤(0.2g)の溶液を該スラリーに添加し、力強く混合した。このスラリーを使用してセラミックのモノリス基材(コージエライト; 1平方インチあたり400セル)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを120℃で2時間乾燥させ、250℃で1時間か焼した。モノリス基材の重量増加が1g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0104】
例15: 酸化マンガン多形I
73.4gのセリアおよび73.4gの酸化マンガン多形Iを191gの水中に分散させ、得られるスラリーに、4.8gのアルミナゾルと4.8gの酢酸との16.8gの水中の溶液を添加した。セルロース系増粘剤(0.2g)の溶液を該スラリーに添加し、力強く混合した。このスラリーを使用してセラミックのモノリス基材(コージエライト; 1平方インチあたり400セル)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを120℃で2時間乾燥させ、250℃で1時間か焼した。モノリス基材の重量増加が1g/in3または2g/in3になるまで被覆を繰り返した。触媒組成物の得られる表面積は157m2/gであった。
【0105】
例16: 低結晶性クリプトメレーン
73.4gのセリアおよび73.4gの低結晶性クリプトメレーンを191gの水中に分散させ、得られるスラリーに、4.8gのアルミナゾルと4.8gの酢酸との16.8gの水中の溶液を添加した。セルロース系増粘剤(0.2g)の溶液を該スラリーに添加し、力強く混合した。このスラリーを使用してセラミックのモノリス基材(コージエライト; 1平方インチあたり400セル)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを120℃で2時間乾燥させ、250℃で1時間か焼した。モノリス基材の重量増加が1g/in3になるまで被覆を繰り返した。か焼された触媒組成物の得られる表面積は166m2/gであった。
【0106】
図9は、例14~16により製造された触媒組成物のホルムアルデヒド変換率の比較を示す。被覆されたコージエライト(400cpsi)は、1.7”(高さ)および1”(直径)であり1g/in
3の触媒で被覆された。稼働条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(36.5L/分)が触媒上に導かれた。
図9に示される変換率の値は最初および3時間後のものである。
【0107】
例17: 80%の酸化マンガン多形I/20%の活性炭
18.5gの活性炭および49.7gの酸化マンガン多形Iを165.7gの水中に分散させ、得られるスラリーに、2.09gのアルミナゾルと1.2gの酢酸との10gの水中の溶液を添加した。3.5gの炭酸ナトリウムを、撹拌しながらスラリーに添加した。このスラリーを使用してアルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、0.69”(高さ)および1.5”(直径)を被覆して、1g/in3の触媒にした。稼働条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒド、20ppmのトルエンを有する浄化されていない空気流(38L/分)。最初のホルムアルデヒド変換率は80%であり、3時間後に17%であった。トルエンの吸収は最初に45%であり、3時間後に2%であった。
【0108】
例18
40gのセリアおよび172gの酸化マンガン多形Iを203gの水中に分散させ、得られるスラリーに、10gのアルミナゾルと2gの酢酸との30gの水中の溶液を添加した。0.4gの分散剤を添加した。このスラリーを使用して、アルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、1”(高さ)および1.5”(直径)を被覆し、1.1g/in3の触媒にした。被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥させ、140℃で2時間か焼した。試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(36L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は97%であり、3時間後に37%であった。
【0109】
例19
77.8gのセリア、21.5gの炭酸ナトリウム(0.002%のNaCl不純物)、および328gの酸化マンガン多形Iを550gの水中に分散させ、得られるスラリーに、13gのアルミナゾルと9.6gの酢酸との50gの水中の溶液を添加した。0.8gの分散剤を添加した。このスラリーを使用して、アルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、0.75”(高さ)および1.5”(直径)を被覆して、1.1g/in3の触媒にした。被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥させ、140℃で2時間か焼する。試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(36L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は94%であり、2時間後に70%であった。
【0110】
例20: ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)結合剤を有する触媒
0.25gの分散剤を170gの水中に溶解させた。混合しながら、24.3gのセリアを、撹拌された溶液に添加し、次いで、104gの酸化マンガン多形Iおよび6.7gの炭酸ナトリウム一酸化物塩を添加した。4.5gのPTFE結合剤(水中で60質量%の分散液)を該スラリーに添加して力強く混合し、次いで16.5gの炭水化物系増粘剤の溶液を添加した。このスラリーを使用して、アルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、0.8”(高さ)および1.5”(直径)を被覆して、1.4g/in3の触媒にした。被覆されたモノリスを90℃で数時間乾燥した。試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(38L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は90%であり、3時間後に58%であった。
【0111】
例21: PTFE結合剤を有する触媒
1gの分散剤を315gの水中に溶解させた。混合しながら、253gの酸化マンガン多形Iを撹拌された溶液に添加し、次いで27.45gの水酸化カリウムを添加した。溶液のpHを、水酸化アンモニウムを用いて9に調節した後、該スラリーに33.1gのPTFE結合剤(水中で60質量%の分散液)を添加し、力強く混合した。次に、32.6gの炭水化物系増粘剤の溶液を、力強く混合されたスラリーに添加した。このスラリーを使用し、アルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、0.8”(高さ)および1.5”(直径)を被覆し、1.7g/in3の触媒にした。被覆されたモノリスを90℃で数時間乾燥した。試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(38L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は95%であり、3時間後に58%であった。
【0112】
例22: スチレン・アクリル結合剤を有する触媒
1gの分散剤を229gの水中に溶解させた。混合しながら、得られた溶液に46gのセリアを添加し、次いで、198gの酸化マンガン多形Iを添加した。よく混合しながら、35gの水酸化ナトリウムを添加した。25.1gのスチレン・アクリル結合剤(水中で50質量%の分散液%)を該スラリーに添加し、力強く混合した。このスラリーを使用し、アルミニウム基材(1平方インチあたり250セル)、0.8”(高さ)および1.5”(直径)を被覆し、1.3g/in3の触媒にした。被覆されたモノリスを110℃~140℃で数時間乾燥した。試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(38L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は96%であり、3時間後に58%であった。
【0113】
例23: スチレン・アクリル結合剤を有する触媒
0.24gの炭水化物系増粘剤を、16.9gの水中に分散させ、次いで、他の容器内で0.24gの界面活性剤を121.2gの水中で分散させ、次いで、予め製造された増粘剤溶液を添加する。混合しながら、得られる溶液に101.9gの酸化マンガン多形Iを添加し、次いで8.4gの水酸化ナトリウムを添加した。36.0gのスチレン・アクリル結合剤(水中で50質量%の分散液)を該スラリーに添加して力強く混合し、次いで7.9gの洗浄水を添加した。このスラリーを使用して、アルミニウムハニカムおよびPUフォーム基材、0.8”(高さ)および1.5”(直径)を被覆し、1g/in3の触媒にした。被覆された基材を90℃で数時間乾燥した。被覆されたアルミニウムについての試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(38L/分)が触媒上に導かれた。最初のホルムアルデヒド変換率は70%であり、3時間後に38%であった。
【0114】
例24: 塩化物または硫酸塩不純物を有さない触媒
1gの分散剤を255gの水中に溶解させ、次いで39.6gの炭酸カリウム塩を溶解させた。230gの酸化マンガン多形Iを該スラリーに添加した。次に30gのスチレン・アクリル結合剤を該スラリーに添加し、次いで、水酸化アンモニウムを添加してpHを9に調節した。このスラリーを使用して、アルミニウムモノリス基材(225cpsi)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥した。モノリス基材の重量増加が2g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0115】
例25 0.25%の塩化カリウム不純物を有する触媒
1gの分散剤を255gの水中に溶解させ、次いで39.6gの炭酸カリウム塩を溶解させた(0.25%の塩化カリウム不純物)。230gの酸化マンガン多形Iを該スラリーに添加した。次に30gのスチレン・アクリル結合剤を該スラリーに添加し、次いで、水酸化アンモニウムを添加してpHを9に調節した。このスラリーを使用して、アルミニウムモノリス基材(225cpsi)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥した。モノリス基材の重量増加が2g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0116】
例26 0.5%の塩化カリウム不純物を有する触媒
1gの分散剤を255gの水中に溶解させ、次いで39.6gの炭酸カリウム塩を溶解させた(0.5%の塩化カリウム不純物)。230gの酸化マンガン多形Iを該スラリーに添加した。次に30gのスチレン・アクリル結合剤を該スラリーに添加し、次いで、水酸化アンモニウムを添加してpHを9に調節した。このスラリーを使用して、アルミニウムモノリス基材(225cpsi)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥した。モノリス基材の重量増加が2g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0117】
例27 0.5%の硫酸カリウム不純物を有する触媒
1gの分散剤を255gの水中に溶解させ、次いで39.6gの炭酸カリウム塩を溶解させた(0.5%の硫酸カリウム)。230gの酸化マンガン多形Iを該スラリーに添加した。次に30gのスチレン・アクリル結合剤を該スラリーに添加し、次いで、水酸化アンモニウムを添加してpHを9に調節した。このスラリーを使用して、アルミニウムモノリス基材(225cpsi)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥した。モノリス基材の重量増加が2g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0118】
図10は、例24~27により製造された触媒組成物のホルムアルデヒド変換率の比較を示す。被覆されたアルミニウム(250cpsi)は、1.6”(高さ)および1”(直径)であり、2g/in
3の触媒で被覆された。稼働条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約5ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(34L/分)。
図10に示される変換率の値は最初および3時間後のものである。
【0119】
例28: 触媒フィルタシートの製造
92.5gのカリウム変性MnOx粉末および7.5gのPTFE粉末を1リットルのシリンダー内に配量した。該容器を、ロールミキサー上に1時間、60rpmで設置した。引き続き、1.5kgの8mmの鋼球を添加し、該容器を再度、ロールミキサー上に5分間設置した。その材料を容器から取り出し、5mmメッシュのステンレス鋼のワイヤシーブを使用して鋼球を分離した。その材料を次に、リニアコンベヤのベルト上に配量した。その材料を、直径60mmおよび直線力1.2kN/mを有する6つの真鍮ロールによってカレンダー処理して膜にした。得られるフィルムを5×25cmのシートに切断した。2つのシートを手動で重ね合わせて設置し、直径60mmの真鍮のシリンダーおよび厚さ制御用のPTFEシップ(ship)を使用してシートをプレスすることによって一緒にラミネート処理して、1mmの厚さにした。この段階を10回繰り返した。
【0120】
得られる自立膜は、密度1.08g/cm3および厚さ1mmを有し、幅25mmおよび長さ200mmに切断された。それらの3つのシートを、圧力約1MPaで平坦な真鍮マトリックスを使用して波形にした。
【0121】
波形にしたシートを平坦なシート上に配置し、この積層物を手動で巻き上げて、内径34mmおよび長さ20mmを有するシリンダー型の試料ホルダ内に取り付けた。触媒膜の合計の質量は12.6gであった。フィルタについての試験条件は以下のとおりであった: 空気中、30℃、相対湿度20%で、約2ppmのホルムアルデヒドを有する浄化されていない空気流(33L/分)。最初のホルムアルデヒド変換率は70%であり、3時間後に55%であった。
【0122】
例28: オゾン試験用触媒
1gの分散剤を213gの水中に溶解させ、次いで31gの炭酸カリウム塩および16.3gの45%の水酸化カリウム溶液を溶解させた。230gの酸化マンガン多形Iをスラリーに添加し、次いで30gのスチレン・アクリル結合剤を添加した。このスラリーを使用して、アルミニウムモノリス基材(225cpsi)を被覆した。その後、被覆されたモノリスを90℃で2時間乾燥した。モノリス基材の重量増加が2g/in3になるまで被覆を繰り返した。
【0123】
オゾン変換用触媒の試験
例15(装填量2g/in3)および例28の触媒を栓流反応器の管内に取り付け、空気中に特定の濃度でオゾンを含有する供給ガスを用いて、露点15℃で、30℃または75℃のいずれかのガス温度で稼働させた。オゾン濃度をUV測光分析器(Tanabyte model 722、US EPA Equivalent Method EQOA-0407-165)で測定した。ガスの流速(室温)を、空間速度200000~800000h-1に達するように設定した。結果を表2に列挙する。低温且つ高い流速であっても、高いオゾン変換率が達成された。
【0124】
【0125】
本願内で議論される材料および方法の記載に関する(特に以下の特許請求の範囲に関する)単数形の用語および類似の指示物の使用は、特段記載されるかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと理解されるべきである。本願内の値の範囲の記述は、本願内で特段記載されない限り、範囲内に該当する各々の別々の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことが意図されているに過ぎず、且つ、各々の別々の値は本願内に個々に記述される場合のように明細書内に含まれる。本願内で記載される全ての方法を、本願内で特段記載されるかまたは文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で実施できる。本願内でもたらされる任意および全ての例の使用、または例示的な文言(例えば、「例えば」)は、その材料および方法をより明らかにすることが意図されているに過ぎず、特段主張されない限り、範囲を限定するわけではない。明細書内の文言は、開示される材料および方法を実施するために、特許請求されていない要素が必須であることを示すとして理解されるべきではない。
【0126】
この明細書を通じて「1つの実施態様」、「特定の実施態様」、「1つまたはそれより多くの実施態様」、または「実施態様」とは、該実施態様に関連して記載される特定の特徴、構造、材料または特性が、本開示の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。従って、この明細書を通じた様々な箇所における「1つまたはそれより多くの実施態様において」、「特定の実施態様において」、「1つの実施態様において」、または「実施態様において」などの文言の出現は、必ずしも本開示の同じ実施態様を示すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性を、1つまたはそれより多くの実施態様における任意の適した方式で組み合わせることができる。
【0127】
本願内で開示される実施態様は、特定の実施態様を参照して記載されているが、それらの実施態様は、本開示の原理および用途の例示的なものであるに過ぎないと理解されるべきである。本開示の主旨および範囲から逸脱しない限り、本開示の方法および装置に様々な修正および変更を行うことができることが当業者には明らかである。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲内である修正および変更、およびそれらの均等物を含み、且つ上述の実施態様は説明のために示され、限定のためではないことが意図されている。