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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】開封検知ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20221109BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20221109BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221109BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20221109BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221109BHJP
   B65D 25/20 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
G09F3/03 D
G09F3/10 A
C09J7/38
C09J7/29
B32B27/00 M
B65D25/20 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019006913
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020118710
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 香
(72)【発明者】
【氏名】西野 舞奈
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-121914(JP,A)
【文献】特開2019-002992(JP,A)
【文献】特開2003-084672(JP,A)
【文献】特開2005-241749(JP,A)
【文献】特開2014-215350(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00-5/04
C09J 7/00-7/50
B32B 1/00ー43/00
B65D 23/00-25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封部分を具備する被着体に前記開封部分を跨って貼着され、前記被着体の不正な開封を検知するための開封検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記ベース基材の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された貼着層と、
カール特性を具備し、前記ベース基材の前記剥離層が積層された面とは反対側の面に積層され、互いに対向する2つの端辺に沿う領域にて前記ベース基材に貼着されたカール基材とを有し、
前記カール基材は、収縮力が互いに異なる複数のカール層が積層されて構成されており、
前記複数のカール層の層間には、前記開封検知ラベルが前記被着体から剥離された際に前記カール基材側から前記潜像パターンを視認可能に構成された印刷層が設けられており、
前記開封検知ラベルが前記被着体から剥離された際に前記カール基材側から前記潜像パターンを視認可能に構成されている、開封検知ラベル。
【請求項2】
請求項に記載の開封検知ラベルにおいて、
前記貼着層は、前記開封検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、前記剥離層に対向する領域が前記剥離層から剥離して前記剥離層との積層方向とは直交する方向に破断する、開封検知ラベル。
【請求項3】
請求項に記載の開封検知ラベルにおいて、
前記貼着層は、前記開封検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、前記剥離層に対向する領域が前記剥離層から剥離して前記被着体に残存する、開封検知ラベル。
【請求項4】
請求項に記載の開封検知ラベルにおいて、
前記貼着層は、
前記ベース基材の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された有色クッション層と、
前記有色クッション層の前記剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなる、開封検知ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封部分を具備する被着体に貼着され、被着体の不正な開封を検知するために用いられる開封検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開封部分を具備する被着体においては、開封部分を跨ってラベルを貼着しておくことで不正な開封を防止することが行われている。ところが、ただ単に被着体の開封部分にラベルを跨って貼着しておくだけでは、ラベルが開封部分に沿って切断された場合、ラベルが被着体に貼着されているにも関わらず被着体が開封されてしまうこととなり、その場合、被着体の不正な開封を検知することが困難である。
【0003】
そこで、開封部分を具備する被着体に貼着されるラベルとして、カール特性を具備するカール基材を用いることで、ラベルが開封部分に沿って切断された場合にラベルをカールさせ、それにより、開封部分を具備する被着体の不正な開封を検知するラベルが考えられており、特許文献1~3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3172519号公報
【文献】特開2005-121914号公報
【文献】特開2005-241749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3に開示されたラベルにおいては、ラベルが切断された場合にカールすることで、開封部分を具備する被着体の不正な開封を検知することができるものの、ラベルが被着体から剥離されて被着体が不正に開封された場合は、その後ラベルが被着体に再度貼着されてしまうと、被着体が不正に開封された旨を検知することができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被着体に貼着された状態で切断された場合にその旨を容易に検知することができるとともに、被着体から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる開封検知ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
開封部分を具備する被着体に前記開封部分を跨って貼着され、前記被着体の不正な開封を検知するための開封検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記ベース基材の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された貼着層と、
カール特性を具備し、前記ベース基材の前記剥離層が積層された面とは反対側の面に積層され、互いに対向する2つの端辺に沿う領域にて前記ベース基材に貼着されたカール基材とを有し、
前記カール基材は、収縮力が互いに異なる複数のカール層が積層されて構成されており、
前記複数のカール層の層間には、前記開封検知ラベルが前記被着体から剥離された際に前記カール基材側から前記潜像パターンを視認可能に構成された印刷層が設けられており、
前記開封検知ラベルが前記被着体から剥離された際に前記カール基材側から前記潜像パターンを視認可能に構成されている。

【0008】
上記のように構成された本発明においては、カール基材がベース基材に貼着されていない部分が被着体の開封部分に対向するようにして開封部分を跨って貼着層によって被着体に貼着された後、開封部分に沿って切断されると、カール基材が、カール特性を具備するものであることから、ベース基材に貼着されていない部分が切断されることによってカールすることになる。これにより、被着体に貼着された状態で被着体を開封するために開封部分に沿って切断された場合、その旨を容易に検知することができる。また、貼着層によって被着体に貼着された後に被着体から剥離されると、ベース基材の一方の面に積層された剥離層が貼着層から剥離することで、剥離層に対向する領域と剥離層に対向しない領域とで視認される色が異なるものとなり、それにより、剥離層による潜像パターンが発現することになる。これにより、被着体に貼着された後に被着体を開封するために被着体から剥離された場合、その旨を検知することができる。
【0009】
また、カール基材が、収縮力が互いに異なる複数のカール層が積層されて構成されていることで、複数のカール層の層間に印刷層を設けることができるとともに、カールの発生を容易に実現することができる。
【0010】
また、貼着層が、開封検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層に対向する領域が剥離層から剥離して剥離層との積層方向とは直交する方向に破断するものとすれば、開封検知ラベルが被着体から剥離された場合に、貼着層が全てベース基材とともに被着体から剥離されることとなり、それにより、開封検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に開封検知ラベルの一部が残存することがない。
【0011】
また、貼着層が、開封検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層に対向する領域が剥離層から剥離して被着体に残存するものとしてもよい。
【0012】
また、貼着層が、ベース基材の剥離層が積層された面の全面に剥離層を覆って積層された有色クッション層と、有色クッション層の剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなるものであれば、開封検知ラベルが被着体から剥離された場合に、有色クッション層が剥離層から剥離して剥離層との間に隙間が生じることで潜像パターンが発現することになるので、貼着層が全てベース基材とともに被着体から剥離されることとなり、それにより、開封検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に開封検知ラベルの一部が残存することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カール基材がベース基材に貼着されていない部分が被着体の開封部分に対向するようにして開封部分を跨って貼着層によって被着体に貼着された後、開封部分に沿って切断されると、カール基材がカール特性を具備するものであることでカールすることになり、それにより、被着体に貼着された状態で切断された場合にその旨を容易に検知することができる。また、貼着層によって被着体に貼着された後に被着体から剥離されると、ベース基材の一方の面に積層された剥離層が貼着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することになり、それにより、被着体に貼着された後に被着体から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる。
【0014】
また、カール基材が、収縮力が互いに異なる複数のカール層が積層されて構成されていることにより、複数のカール層の層間に印刷層を設けることができるとともに、カールの発生を容易に実現することができる。


【0015】
また、貼着層が、開封検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層に対向する領域が剥離層から剥離して剥離層との積層方向とは直交する方向に破断するものにおいては、開封検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に開封検知ラベルの一部が残存することがない。
【0016】
また、貼着層が、ベース基材の剥離層が積層された面の全面に剥離層を覆って積層された有色クッション層と、有色クッション層の剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなるものにおいては、開封検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に開封検知ラベルの一部が残存することがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の開封検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図2図1に示した開封検知ラベルの積層面の構成を示す図であり、(a)はカール基材のベース基材との積層面の構成を示す図、(b)はベース基材の粘着層との積層面の構成を示す図である。
図3図1に示した開封検知ラベルの使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に開封検知ラベル及び配送物の貼着部分の断面図である。
図4図1に示した開封検知ラベルが図3に示したように配送物に貼着された状態で開封部分に沿って切断された際の作用を説明するための断面図である。
図5図1に示した開封検知ラベルが図3に示したように配送物に貼着された後に配送物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図6図1に示した開封検知ラベルが配送物から剥離された状態を示す表面図である。
図7】本発明の開封検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図8図7に示した開封検知ラベルが配送物に貼着された後に配送物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図9】本発明の開封検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図10図9に示した開封検知ラベルが配送物に貼着された後に配送物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の開封検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。図2は、図1に示した開封検知ラベル1の積層面の構成を示す図であり、(a)はカール基材50のベース基材10との積層面の構成を示す図、(b)はベース基材10の粘着層30aとの積層面の構成を示す図である。
【0020】
本形態は図1に示すように、ベース基材10の一方の面に粘着層30aが積層されるとともに、ベース基材10の他方の面にカール基材50が積層されてなる開封検知ラベル1である。
【0021】
ベース基材10は、透明または半透明のフィルムからなり、一方の面から他方の面の色が視認可能となるものである。
【0022】
ベース基材10の一方の面には、図1(b)及び図2(b)に示すように、その全面において、開封検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されること剥離層20が部分的に積層されている。そして、ベース基材10の剥離層20が積層された面の全面に剥離層20を覆って粘着剤が塗布されることで粘着層30aが積層されている。
【0023】
粘着層30aは、本願発明における貼着層となるものであって、青、赤、黒等の任意の色からなり、伸縮性を有するものである。
【0024】
カール基材50は、カール層となる2枚の透明または半透明のフィルム51a,51bが積層されて構成されている。これら2枚のフィルムは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、PET等からなり、互いに異なる収縮力を有するものであって、粘着層52によって互いに貼着されている。例えば、フィルム51aとして収縮力が強いものを用い、フィルム51bとしてフィルム51aよりも収縮力が弱いものを用いることが考えられる。このように構成されたカール基材50は、フィルム51bがベース基材10に対向するようにしてベース基材10に積層され、図1(b)及び図2(a)に示すように、2つの端辺に沿う領域にて粘着層30bによってベース基材10に貼着されている。カール基材50は、2枚のフィルム51a,51bのうち少なくともフィルム51aが図1(b)中矢印方向に一定のテンションTをかけられた状態でベース基材10に貼着されることで、粘着層30bによってベース基材10に貼着されていない領域が切断された場合にカールするカール特性を具備する。
【0025】
このように構成された開封検知ラベル1は、ベース基材10及びカール基材50が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、粘着層30aの色がカール基材50側の表面から視認可能となっており、それにより、開封検知ラベル1が被着体から不正に剥離された際に、後述する剥離層20による潜像パターンが視認可能なものとなる。なお、カール基材50の表面に印刷層を設けたり、カール基材50を構成する2枚のフィルム51a,51b間に印刷層を設けたりすることができるが、その場合でも、印刷層は、開封検知ラベル1が被着体から不正に剥離された際に、後述する剥離層20による潜像パターンが視認可能なものとすることが好ましい。
【0026】
粘着層30aのベース基材10との反対側の面、すなわち被着体との貼着面には、剥離紙40が剥離可能に貼着されている。
【0027】
以下に、上記のように構成された開封検知ラベル1の使用方法について説明する。
【0028】
まず、開封を検知する被着体への開封検知ラベル1の貼着方法について説明する。
【0029】
図3は、図1に示した開封検知ラベル1の使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に開封検知ラベル1及び配送物2の貼着部分の断面図である。
【0030】
図1に示した開封検知ラベル1は、例えば図3(a)に示すように、被着体となる配送物2に貼着され、配送物2の開封検知手段として使用される。配送物2は、上面に2枚の天面蓋4a,4bを有し、この天面蓋4a,4bが観音開き式に開かれることで、開封されることになる。そのため、天面蓋4a,4bが閉じられた際に対向する辺部間が、配送物2の開封部分2aとなる。
【0031】
このような配送物2に開封検知ラベル1を貼着する場合は、剥離紙40を剥離して粘着層30aを表出させ、図3(b)に示すように、カール基材50が粘着層30bによってベース基材10に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして、開封部分2aを跨って開封検知ラベル1を粘着層30aによって配送物2に貼着する。
【0032】
このように開封検知ラベル1が配送物2に貼着されることにより、配送物2は、開封検知ラベル1を開封部分2aに沿って切断したり、開封検知ラベル1を剥離したりしなければ開封することができない状態となる。
【0033】
次に、上記のようにして開封検知ラベル1が貼着された配送物2を不正に開封するために開封検知ラベル1を切断した際の作用について説明する。
【0034】
図4は、図1に示した開封検知ラベル1が図3に示したように配送物2に貼着された状態で開封部分2aに沿って切断された際の作用を説明するための断面図である。
【0035】
図3に示したように、カール基材50が粘着層30bによってベース基材10に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして開封部分2aを跨って開封検知ラベル1が粘着層30aによって配送物2に貼着された場合、配送物2を不正に開封するためには、図4(a)に示すように、開封検知ラベル1を、配送物2の開封部分2aに沿って刃5によって切断することが考えられる。
【0036】
開封検知ラベル1が配送物2の開封部分2aに沿って切断されると、カール基材50が上述したようにカール特性を具備するものであり、カール基材50が配送物2の開封部分2aに対向する領域においてはベース基材10に貼着されていないことから、図4(b)に示すように、カール基材50がカールして粘着剤30bによってベース基材10に貼着された部分を支点として捲れ上がることになる。
【0037】
これにより、図1に示した開封検知ラベル1が図3に示したようにして配送物2に貼着された状態で、配送物2を不正に開封するために開封部分2aに沿って切断された場合、その旨を容易に検知することができる。
【0038】
次に、上記のようにして開封検知ラベル1が貼着された配送物2を不正に開封するために開封検知ラベル1を剥離した際の作用について説明する。
【0039】
図5は、図1に示した開封検知ラベル1が図3に示したように配送物2に貼着された後に配送物2から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0040】
図3に示したように、カール基材50が粘着層30bによってベース基材10に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして、開封部分2aを跨って開封検知ラベル1が粘着層30aによって配送物2に貼着された場合、開封検知ラベル1を配送物2から剥離することによっても、配送物2を不正に開封することができる。
【0041】
図5(a)に示すように開封検知ラベル1が開封部分2aを跨って粘着層30aによって配送物2に貼着された状態から開封検知ラベル1を剥離していくと、図5(b)に示すように、剥離層20が積層されていない領域においては、粘着層30aがベース基材10とともに配送物2から剥離し、また、剥離層20が積層された領域においては、粘着層30aが剥離層20との貼着力よりも強い貼着力で配送物2と貼着されていることで粘着層30aが剥離層20から剥離する。そして、剥離層20から剥離した部分は、その後、粘着層30aが伸縮性を有するものであることで、ベース基材10とともに配送物2から剥離し、剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断し、ベース基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20に対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0042】
開封検知ラベル1が配送物2から完全に剥離されると、図5(c)に示すように、粘着層30aは剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0043】
図6は、図1に示した開封検知ラベル1が配送物2から剥離された状態を示す表面図である。
【0044】
上記のようにして図1に示した開封検知ラベル1が配送物2から剥離されると、カール基材50側から開封検知ラベル1を見た場合、剥離層20に対向しない領域においては粘着層30aが存在することで粘着層30aの色がベース基材10及びカール基材50を介して視認される一方、剥離層20に対向する領域においては粘着層30aが存在しなくなったことで粘着層30aの色が視認されなくなる。これにより、図6に示すように、剥離層20による潜像パターン3が発現することになる。なお、ベース基材10やカール基材50の全面または一部に印刷が施された場合であっても、剥離層20に対向する領域においてはその印刷による色が視認される一方、剥離層20に対向しない領域においては、ベース基材10やカール基材50の印刷色と粘着層30aの色とに応じた色が視認されることになり、剥離層20による潜像パターン3が発現することになる。例えば、ベース基材10やカール基材50に赤色で印刷が施され、粘着層30aの色が緑色である場合、赤色と緑色と混合されたことによる黒色の背景内に赤色の潜像パターン3が発現することになる。
【0045】
その後、このように潜像パターン3が発現した開封検知ラベル1を配送物2に再度貼着したとしても、剥離層20に対向する領域においては粘着層30aが存在しなくなっているため、潜像パターン3が発現したままとなり、開封検知ラベル1が配送物2から剥離されて配送物2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0046】
また、開封検知ラベル1が配送物2に貼着された後に剥離された場合に、粘着層30aのうち剥離層20に対向する領域が、剥離層20から剥離して剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断することにより、開封検知ラベル1が配送物2から剥離された場合に、粘着層30aが全てベース基材10及びカール基材50とともに配送物2から剥離されることとなり、それにより、開封検知ラベル1を配送物2から剥離した後に、配送物2に開封検知ラベル1の一部が残存することがない。
【0047】
このように、本形態の開封検知ラベル1においては、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にはカール基材50がカールし、また、配送物2から不正に剥離された場合は、剥離層20による潜像パターン3が発現することとなる。それにより、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にその旨を容易に検知することができるとともに、配送物から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の開封検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0049】
本形態は図7に示すように、図1および図2に示したものに対して、粘着層130aを構成する粘着剤の材質が異なる開封検知ラベル101である。本形態における粘着層130aを構成する粘着剤は、伸縮性を有するものである必要はない。
【0050】
上記のように構成された開封検知ラベル101においても、図1及び図2に示したものと同様に、剥離紙140を剥離して粘着層130aを表出させ、図3に示した配送物2に対して、カール基材150が粘着層130bによってベース基材110に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして、開封部分2aを跨って粘着層130aによって貼着することになる。これにより、開封検知ラベル101が貼着された配送物2は、開封検知ラベル101を配送物2の開封部分2aに沿って切断したり、開封検知ラベル101を剥離したりしなければ開封することができない状態となる。
【0051】
図7に示した開封検知ラベル101を配送物2の開封部分2aに沿って切断した場合、図1及び図2に示したものと同様に、カール基材150がカール特性を具備するものであり、配送物2の開封部分2aに対向する領域においてはベース基材110に貼着されていないことから、カール基材150がカールして粘着剤130bによってベース基材110に貼着された部分を支点として捲れ上がることになる。
【0052】
これにより、図7に示した開封検知ラベル101が、カール基材150が粘着層130bによってベース基材110に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして開封部分2aを跨って粘着層130aによって配送物2に貼着された状態で、配送物2を不正に開封するために開封部分2aに沿って切断された場合、その旨を容易に検知することができる。
【0053】
図8は、図7に示した開封検知ラベル101が配送物に貼着された後に配送物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0054】
図7に示した開封検知ラベル101が図8(a)に示すように配送物2に貼着された状態から開封検知ラベル101を剥離していくと、図8(b)に示すように、剥離層120が積層されていない領域においては、粘着層130aがベース基材110とともに配送物2から剥離し、また、剥離層120が積層された領域においては、粘着層130aが剥離層120との貼着力よりも強い貼着力で配送物2と貼着されていることで粘着層130aが剥離層120から剥離する。そして、粘着層130aの剥離層120から剥離した部分が配送物2に残存することで、剥離層120に対向する領域には粘着層130aが存在しなくなる。
【0055】
開封検知ラベル101が配送物2から完全に剥離されると、図8(c)に示すように、粘着層130aは、剥離層120が積層されていない領域にしか存在しなくなる。
【0056】
このように配送物2から剥離された開封検知ラベル101においても、図1および図2に示したものと同様に、カール基材150側から開封検知ラベル101を見た場合、剥離層120に対向しない領域においては粘着層130aが存在することで粘着層130aの色がベース基材110及びカール基材150を介して視認される一方、剥離層120に対向する領域においては粘着層130aが存在しなくなったことで粘着層130aの色が視認されなくなる。これにより、剥離層120による潜像パターン3が発現することになる。
【0057】
その後、潜像パターンが発現した開封検知ラベル101を配送物2に再度貼着したとしても、剥離層120が積層された領域と粘着層130aが配送物2に残存した領域との位置合わせを行うことが困難であることで、発現した潜像パターンを完全に見えなくすることができず、開封検知ラベル101が配送物2から不正に剥離され、配送物2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0058】
このように、本形態の開封検知ラベル101においても、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にはカール基材150がカールし、また、配送物2から不正に剥離された場合は、剥離層120による潜像パターンが発現することとなる。それにより、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にその旨を容易に検知することができるとともに、配送物から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる。
【0059】
なお、上述した2つの実施の形態においては、粘着層30a,130aとして、青、赤、黒等の任意の色からなるものを用いることで、配送物2から剥離された後にカール基材50,150側から開封検知ラベル1,101を見た場合、剥離層20,120に対向しない領域においては粘着層30a,130aが存在することで粘着層30a,130aの色がベース基材10,110及びカール基材50,150を介して視認される一方、剥離層20,120に対向する領域においては粘着層30a,130aが存在しなくなったことで粘着層30a,130aの色が視認されなくなり、それにより、剥離層20,120による潜像パターン3が発現するものを例に挙げて説明したが、粘着層30a,130aとして、透明のものを用いた構成においても、配送物2から剥離された後にカール基材50,150側から開封検知ラベル1,101を見た場合、剥離層20,120に対向する領域が、剥離層20,120が粘着層30a,130aから剥離されたことで白っぽくなることにより、剥離層20,120に対向する領域と剥離層20,120に対向しない領域とで視認される色が異なることとなり、それにより、剥離層20,120による潜像パターン3が発現する。
【0060】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の開封検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
【0061】
本形態は図9に示すように、図1および図2に示したものに対して、ベース基材210の剥離層220が積層された面の全面に剥離層220を覆ってクッション層260が積層され、その上に粘着層230aが積層されることで、これらクッション層260と粘着層230aとから貼着層270が構成されている点が異なる開封検知ラベル201である。
【0062】
クッション層260は、本願発明における有色クッション層となるものであって、青、赤、黒等の任意の色からなり、樹脂等の伸縮性を有するものである。そして、ベース基材210が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、クッション層260の色がカール基材250側の表面から視認可能となっている。
【0063】
粘着層230aは、有色であっても無色透明なものであってもよい。
【0064】
上記のように構成された開封検知ラベル201においても、図1及び図2に示したものと同様に、剥離紙240を剥離して粘着層230aを表出させ、図3に示した配送物2に対して、カール基材250が粘着層230bによってベース基材210に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして、開封部分2aを跨って粘着層230aによって貼着することになる。これにより、開封検知ラベル201が貼着された配送物2は、開封検知ラベル201を配送物2の開封部分2aに沿って切断したり、開封検知ラベル201を剥離したりしなければ開封することができない状態となる。
【0065】
図9に示した開封検知ラベル201を配送物2の開封部分2aに沿って切断した場合、図1及び図2に示したものと同様に、カール基材250がカール特性を具備するものであり、配送物2の開封部分2aに対向する領域においてはベース基材210に貼着されていないことから、カール基材250がカールして粘着剤230bによってベース基材210に貼着された部分を支点として捲れ上がることになる。
【0066】
これにより、図9に示した開封検知ラベル201が、カール基材250が粘着層230bによってベース基材210に貼着されていない部分が配送物2の開封部分2aに対向するようにして開封部分2aを跨って粘着層230aによって配送物2に貼着された状態で、配送物2を不正に開封するために開封部分2aに沿って切断された場合、その旨を容易に検知することができる。
【0067】
図10は、図9に示した開封検知ラベル201が配送物に貼着された後に配送物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0068】
図9に示した開封検知ラベル201が図10(a)に示すように配送物2に貼着された状態から開封検知ラベル201を剥離していくと、ベース基材210と剥離層220とクッション層260と粘着層230aの積層方向に引っ張る力が働くことになるが、クッション層260と粘着層230aとの貼着力がクッション層260と剥離層220の貼着力よりも強いことで、図10(b)に示すように、剥離層220が積層された領域においてクッション層260が剥離層220から剥離し、クッション層260の不可逆的な弾性変形によりクッション層260と剥離層220との間に隙間が生じる。
【0069】
開封検知ラベル201が配送物2から完全に剥離されると、図10(c)に示すように、剥離層220が積層された領域においてはクッション層260と剥離層220との間に隙間が生じている。
【0070】
このように配送物2から剥離された開封検知ラベル201においては、図1および図2に示したものと同様に、カール基材250側から見た場合、剥離層220に対向しない領域においてはクッション層260がベース基材210に貼着されていることでクッション層260の色がベース基材210及びカール基材250を介して視認される一方、剥離層220に対向する領域においては、クッション層260と剥離層220との間に隙間が生じていることでクッション層260の色がベース基材210及びカール基材250を介して視認されにくくなっていることから、剥離層220による潜像パターンが発現することになる。
【0071】
その後、潜像パターンが発現した開封検知ラベル201を配送物2に再度貼着したとしても、クッション層260と剥離層220との間に生じた隙間は、クッション層260の不可逆的な弾性変形によるものであるため、潜像パターンが発現したままとなり、開封検知ラベル201が配送物2から不正に剥離され、配送物2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0072】
また、開封検知ラベル201が配送物2から剥離された場合に、クッション層260が剥離層220から剥離して剥離層220との間に隙間が生じることで潜像パターンが発現することになるので、貼着層270が全てベース基材210とともに配送物2から剥離されることとなり、それにより、開封検知ラベル201を配送物2から剥離した後に、配送物2に開封検知ラベル201の一部が残存することがない。
【0073】
このように、本形態の開封検知ラベル201においても、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にはカール基材250がカールし、また、配送物2から不正に剥離された場合は、剥離層220による潜像パターンが発現することとなる。それにより、配送物2に貼着された状態で不正に切断された場合にその旨を容易に検知することができるとともに、配送物から不正に剥離された場合にその旨を検知することができる。
【0074】
なお、上述した実施の形態においては、カール基材50,150,250が、互いに異なる収縮性を有する2枚のフィルム51a,51b,151a,151b,251a,251bが積層されて構成されたものを例に挙げて説明したが、カール基材を構成するフィルムの数は3枚以上であってもよく、開封検知ラベルが上述したように切断された場合にカールする構成であれば、収縮力が互いに異なるものでなくてもよい。ただ、収縮力が互いに異なる複数のフィルムからカール基材を構成することで、カールの発生を容易に実現することができる。さらに、開封検知ラベルが上述したように切断された場合にカールする構成であれば、カール基材が1枚のフィルムから構成されていてもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態においては、カール基材50,150,250に一定のテンションをかけることでカール特性を持たせているが、カール基材として、元々カールしている素材を用いたり、カールするくせをつけておいたりすることで、カール特性を持たせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,101,201 開封検知ラベル
2 配送物
2a 開封部分
3 潜像パターン
4a,4b 天面蓋
5 刃
10,110,210 ベース基材
20,120,220 剥離層
30a,30b,52,130a,130b,152,230a,230b,252 粘着層
40,140,240 剥離紙
50,150,250 カール基材
51a,51b,151a,151b,251a,251b フィルム
260 クッション層
270 貼着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10