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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20221109BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20221109BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20221109BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D47/34 100
F04B9/14 B
B05B11/00 101M
B05C5/00 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019021536
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128235
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝
(72)【発明者】
【氏名】上原 一之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-180728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0025863(US,A1)
【文献】特開2001-63781(JP,A)
【文献】特表2015-520081(JP,A)
【文献】特開平10-72052(JP,A)
【文献】特表2018-534483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
F04B 9/14
B05B 11/00
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物を吐出口から吐出可能なディスペンサであって、
ディスペンサ本体と、
前記ディスペンサ本体の一部を覆い、前記ディスペンサ本体とともにポンプ室を形成する弾性変形可能な蓋部と、
前記ポンプ室の内部に配置され、前記蓋部の内面を押圧して前記ポンプ室の容積が大きくなる側に前記蓋部を弾性変形させるための付勢力を発生可能な付勢ユニットと、
を備え、
前記ディスペンサ本体には、凹部が設けられており、
前記蓋部は、前記凹部を覆い、前記凹部の側とは反対側に膨出するドーム状であり、
前記蓋部の外面が押圧され、前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形することで、前記ポンプ室の内部の液状物を前記吐出口から吐出するように設けられ、
前記付勢ユニットは、
前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形する前の初期状態では、前記付勢力を発生せず、
前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形した状態で、前記付勢力を発生するように設けられており、且つ
軸方向に伸縮自在であり、軸方向一端が前記蓋部の内面に対向するよう前記ポンプ室の内部に配置されており、前記初期状態で、軸方向寸法が最大値となるように設けられている、ディスペンサ。
【請求項2】
前記初期状態で、前記付勢ユニットの前記軸方向一端と前記蓋部の内面との間に、隙間が設けられている、請求項に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記付勢ユニットは、前記付勢力を発生する付勢部材として、ばねを有し、
前記ばねは、常時押し縮められた状態で設置されている、請求項1又は2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記付勢ユニットは、前記付勢力を発生する付勢部材としてのコイルスプリングと、前記コイルスプリングを支持する第1支持部材および第2支持部材を有し、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記コイルスプリングの軸方向に沿って互いに摺動可能である、請求項1~のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記コイルスプリングは、前記第1支持部材または前記第2支持部材の少なくともいずれかの外周を囲むように設置されている、請求項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記蓋部の内面に突起が設けられ、前記付勢ユニットの一部は、前記突起に係止されている、請求項1~のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状物を吐出口から吐出可能なディスペンサが知られている。例えば、特許文献1に開示される液体噴出器は、容器体と、液体収納袋と、キャップとを備える。キャップは、キャップ本体と、吸込弁と、ドームとを備える。ドームは、吸込弁を被覆するように、周縁部をキャップ本体の頂壁上に密嵌固定される。ドームの前方へノズルが突設されている。ドームは、ノズル先端開口を吐出弁により開閉可能に閉塞した弾性圧搾可能なものである。吸込弁は、キャップ本体に設けられた注出用透孔を開閉する弁板と、弾性板部を介して弁板を支持しキャップ本体に固定される固定基板とを備える。固定基板の上面より数条の螺旋バネが一体に立設され、その各上端部はドームの頂部裏面を支持するリングに各々連結されている。このリングを設けることにより、圧搾したドームの確実かつ迅速な復元が得られるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-63781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたキャップは、ドームが圧搾される前の初期状態においても、螺旋バネによりドームが押圧される構成となっている。このように螺旋バネが発生する付勢力によって常にドームに張力が作用する結果、ドームの早期劣化が発生しうることを、本出願人らは、鋭意研究の結果、見出した。そこで、本発明は、耐久性を向上することができるディスペンサに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、液状物を吐出口から吐出可能なディスペンサであって、ディスペンサ本体と、ディスペンサ本体の一部を覆い、ディスペンサ本体とともにポンプ室を形成する弾性変形可能な蓋部と、ポンプ室の内部に配置され、蓋部の内面を押圧してポンプ室の容積が大きくなる側に蓋部を弾性変形させるための付勢力を発生可能な付勢ユニットと、を備え、蓋部の外面が押圧され、ポンプ室の容積が小さくなる側に蓋部が弾性変形することで、ポンプ室の内部の液状物を吐出口から吐出するように設けられ、付勢ユニットは、ポンプ室の容積が小さくなる側に蓋部が弾性変形する前の初期状態では、付勢力を発生せず、ポンプ室の容積が小さくなる側に蓋部が弾性変形した状態で、付勢力を発生するように設けられている、ディスペンサに関する。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明のディスペンサによれば、耐久性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係るディスペンサの斜視図である。
図2】同実施形態に係るディスペンサの断面図(図3のII-II視)である。
図3】同実施形態に係るディスペンサの断面図(図2のIII-III視)である。
図4】同実施形態に係る吸入弁の平面図である。
図5】同実施形態に係る付勢ユニットの第1支持部材を第2フランジ部の側から見た軸方向正面図である。
図6】同実施形態に係る付勢ユニットの第2支持部材の側面図である。
図7】同実施形態に係る付勢ユニットの第2支持部材を第2フランジ部の側から見た軸方向正面図である。
図8】同実施形態に係るディスペンサの動作を説明するための断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るディスペンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
まず、構成を説明する。図1図3は、本実施形態のディスペンサ1の動作前(初期状態)における構成を示す。ディスペンサ1は、使用者の操作に応じて吐出口16から液状物を吐出可能な装置である。液状物は、ペースト状のものを含み、例えば、液状物洗剤、柔軟剤、漂白剤、シャンプー、リンス、コンディショナー、ボディソープ、化粧液、薬剤、液状物調味料等であってよい。ディスペンサ1は、所謂ポンプディスペンサであり、図2に示すように、吸入口10、ポンプ室11および吐出口16を有する。ディスペンサ1は、液状物をそのまま吐出してもよいし、液状物を霧化する機構を備え、霧状に吐出してもよい。
【0010】
液状物は、ディスペンサ1と別体の容器100に収容されうる。容器100は、例えばボトル形状であり、ディスペンサ1に装着され、ディスペンサ1に液状物を供給する。互いに装着されたディスペンサ1と容器100は、吐出容器として機能する。容器100の形態に応じて、ディスペンサ1の吸入口10に吸入管110が接続されてもよい。容器100として、収容する液状物の減少に伴って収縮する内層を備える所謂デラミ容器を用いる場合、ディスペンサ1に吸入管110が接続されなくてもよい。
【0011】
ディスペンサ1は、ディスペンサ本体2、弾性部材3、吸入弁4、吐出弁5、押圧部材7および付勢ユニット8を備える。
【0012】
図2,3に示すように、ディスペンサ本体2は、円盤部20、第1円筒部21A、第2円筒部21B、第3円筒部21C、第4円筒部21D、リブ22、ノズル部23および取っ手部24を有する。円盤部20、第1円筒部21A、第2円筒部21B、第3円筒部21Cおよび第4円筒部21Dは、共通の軸200を有する。以下、軸200に沿う方向で、第1円筒部21Aに対し円盤部20の側を上、円盤部20に対し第1円筒部21Aの側を下とも言う。ただし、上、下という語は、ディスペンサ1における相対的な位置関係を意味しており、鉛直方向の上下を必ずしも意味しない。
【0013】
円盤部20は、浅い皿状であり上下方向から見て円形である。円盤部20の下面における外縁側には、有底円筒状の筒状部20Aが設けられている。筒状部20Aの軸は、円盤部20の径方向に延びている。
【0014】
第1円筒部21Aは、有底円筒状であり、円盤部20の下面から突出している。第1円筒部21Aの下端の底部に、吸入口10が位置している。第2円筒部21Bは、円筒状であり、第1円筒部21Aの下端の底部から突出している。第2円筒部21Bは、吸入口10の周りを囲んでいる。第2円筒部21Bに吸入管110が接続されうる。第3円筒部21Cは、円筒状であり、円盤部20の外縁から下方に延びている。第4円筒部21Dは、円筒状であり、円盤部20の下面から突出している。第4円筒部21Dは、第1円筒部21Aを取り囲んでいる。第4円筒部21Dは、容器100が取り付けられる取り付け部として機能する。第4円筒部21Dの内面にねじ部211が形成されている。使用者は、第1円筒部21Aの外面と第4円筒部21Dの内面との間の隙間に容器100の口頸部101を挿入し、回転させることで、第4円筒部21Dのねじ部211に口頸部101のねじ部を螺合させることができる。これにより、容器100がディスペンサ1に締結固定され装着されうる。
【0015】
リブ22は、軸200を挟んで2つ設けられている。各リブ22は、軸200に沿って広がる板状であり、円盤部20の略径方向に延びている。詳しくは、各リブ22は、ノズル部23と取っ手部24とを結ぶ方向に延びている。各リブ22は、第1部分221、第2部分222および第3部分223を有する。第1部分221は、円盤部20の下面から突出しており、第3円筒部21Cに接続する。第2部分222は、第1部分221に接続し、図1に示すように、円盤部20の径方向外側に円盤部20の外縁から突出している。第3部分223は、第1部分221に接続し、円盤部20の径方向外側に円盤部20の外縁から突出している。第3部分223は、取っ手部24の下面に沿って延びており、取っ手部24を補強する。
【0016】
ノズル部23は、円盤部20の筒状部20Aの軸方向一端に接続しており、円盤部20の外縁から突出し、筒状部20Aと同軸上に、円盤部20の径方向に延びている。ノズル部23は、筒状部20Aよりも大径の円筒状である。ノズル部23は、各リブ22の第2部分222により挟まれている。ノズル部23の先端にはキャップ23Aが設置されている。キャップ23Aの先端部に吐出口16が位置している。
【0017】
取っ手部24は、板状であり、円盤部20の外縁のうち軸200を挟んでノズル部23の反対側から突出している。取っ手部24は、円盤部20の径方向に延びる部分と、この部分に対して折れ曲がり、下方に延びる部分とを有する。
【0018】
以下、ディスペンサ本体2の内部構造について説明する。図2,3に示すように、ディスペンサ本体2には、凹部25、付勢ユニット収容孔26、吸入弁収容孔27および吐出通路29が形成されている。
【0019】
凹部25は、円盤部20に形成されており、円盤部20の上側に開口する。凹部25は、時計皿状に窪んでいる。凹部25の底面250は、例えば球面の一部を切り取った曲面状である。底面250は、上側から見た平面視で円形状であるが、楕円状等であってもよい。
【0020】
付勢ユニット収容孔26は、円盤部20および第1円筒部21Aの内部に形成されている。付勢ユニット収容孔26は、円筒状であり、軸方向一端が凹部25の底面250に開口する。この開口部は、ポンプ室11への流入口として機能する。
【0021】
吸入弁収容孔27は、第1円筒部21Aの内部に形成されており、付勢ユニット収容孔26の軸方向他端に接続する。吸入弁収容孔27は、付勢ユニット収容孔26よりも小径の円筒状であり、第1円筒部21Aの下端の底部により画される。第1円筒部21Aの底部に形成された吸入口10が吸入弁収容孔27と接続することで、吸入口10と凹部25とが連通している。すなわち、吸入口10から吸入弁収容孔27および付勢ユニット収容孔26を介して凹部25に接続する通路は、ポンプ室11への液状物の吸入通路として機能する。
【0022】
凹部25、付勢ユニット収容孔26、吸入弁収容孔27および吸入口10は、共通の軸を有し、この軸に沿って延びている。本実施形態において、この軸は、円盤部20等の軸200と一致している。
【0023】
環状溝28は、円盤部20の上側において凹部25の開口部を囲む環状の溝である。
【0024】
吐出通路29は、円盤部20およびノズル部23の内部に形成されており、凹部25の底面250に開口する。この開口部は、ポンプ室11からの流出口として機能する。吐出通路29は、ノズル部23の先端における吐出口16に接続し、ポンプ室11からの吐出通路として機能する。
【0025】
弾性部材3は、円盤部20の上側に設置される。弾性部材3は、例えば合成樹脂を材料として形成されており、可撓性を有する。弾性部材3は、蓋部30、フランジ部31および環状突起32を有する。
【0026】
蓋部30は、弾性変形可能な膜状の部分であり、所定の弾性を有する。蓋部30は、凹部25の開口部を覆い、凹部25とともにポンプ室11を形成する。凹部25等の軸200は、ポンプ室11の軸として機能する。蓋部30が変形する前の初期状態において、蓋部30は、凹部25の開口部に対し上側、すなわち凹部25の底面250から離れる側に膨らむドーム状であって、例えば球面の一部を切り取った曲面状である。蓋部30は、上側から見た平面視で円形状であるが、楕円状等であってもよい。
【0027】
フランジ部31は、蓋部30の外周を囲む環状の接続部であり、軸200に直交する方向に広がる板状である。
【0028】
環状突起32は、蓋部30の外周を囲む環状であり、フランジ部31の下面から突出する円筒状である。環状突起32が環状溝28に嵌まることにより、弾性部材3が、ディスペンサ本体2に設置され、凹部25の開口部を閉塞する。
【0029】
吸入弁4は、合成樹脂製のディスク弁であり、吸入弁収容孔27に設置される。吸入弁4は、図4に示すように、基体40と、弁体41と、戻しばね42とを一体に有する。基体40は、円筒状の部分であり、その外周面が吸入弁収容孔27の内周面に対向して配置される。弁体41は、板状、具体的にはディスク状の部分であり、基体40の内側に配置される。戻しばね42は、基体40の内周に沿って延びる線状の部分であり、一端が基体40に接続され、他端が弁体41に接続されている。戻しばね42は、基体40の周方向に複数(例えば3つ)並んで設けられている。吸入弁4の弁体41は、吸入口10を塞ぐように、第1円筒部21Aの下端の底部に設置される。第1円筒部21Aの内部の圧力が第2円筒部21Bの内部の圧力よりも低くなり、それらの圧力差による推力が、戻しばね42の付勢力を上回ると、弁体41が第1円筒部21Aの上記底部から離れ、吸入口10が開く。第1円筒部21Aの内部の圧力が上昇し、上記圧力差による推力が、戻しばね42の付勢力を下回ると、弁体41が第1円筒部21Aの上記底部に接し、吸入口10が閉じる。第1円筒部21Aの内部の圧力が第2円筒部21Bの内部の圧力以上のとき、吸入口10が閉じた上記状態が保たれる。
【0030】
吐出弁5は、ボール弁であり、図2に示すように、ボール状の弁体50と、戻しばね51を有する。吐出弁5は、ノズル部23の内部に収容される。弁体50は、吐出通路29の内面に設けられた弁座291に着座することで、吐出通路29におけるポンプ室11と吐出口16との間を塞ぐ。戻しばね51は、コイルスプリングであり、キャップ23Aと弁体50との間に押し縮められた状態で設置され、弁体50を弁座291に向けて常時付勢する。吐出通路29において弁座291よりもポンプ室11の側の圧力による推力が、吐出口16の側の圧力による推力と戻しばね51の付勢力との合計よりも高くなると、この圧力差により弁体50が弁座291から離れ、吐出通路29が開き、ポンプ室11と吐出口16とが連通する。ポンプ室11の側の圧力による推力が、吐出口16の側の圧力による推力と戻しばね51の付勢力との合計を下回ると、弁体50が着座し、吐出通路29が閉じ、ポンプ室11と吐出口16との連通が遮断される。
【0031】
押圧部材7は、蓋部30を挟んでポンプ室11の反対側に、蓋部30の上面に対向して配置されている。押圧部材7は、レバー(梃子)71と一体に設けられており、例えば合成樹脂を材料としてレバー71と一体に成形される。レバー71は、上側に凸に緩やかに湾曲した板状である。図1に示すように、レバー71は、ヒンジ部71Aと把持部71Bを有する。ヒンジ部71Aは、レバー71の長手方向における一端にあり、把持部71Bは、レバー71の長手方向における他端にある。
【0032】
ヒンジ部71Aは、レバー71の板幅方向両側にある。ヒンジ部71Aは、板状であり、ノズル部23および各リブ22の第2部分222を跨いで挟む。ヒンジ部71A,71Aの互いに対向する面に、支持突起が設けられている。支持突起は、キャップ23Aとリブ22の第2部分222との間に形成される支持孔に回転自在に嵌合する。ヒンジ部71Aは、レバー71の支点として機能する。
【0033】
把持部71Bは、レバー71の回転方向でディスペンサ本体2の取っ手部24に対向する。レバー71の初期位置で、取っ手部24と把持部71Bとの間には所定の距離がある。上記所定の距離は、例えば使用者が片手で、人差し指その他の指により取っ手部24を把持した状態で、親指により把持部71Bを押圧することが容易な距離である。把持部71Bは、レバー71の力点として機能する。
【0034】
押圧部材7は、押圧部70を有する。押圧部70は、レバー71におけるヒンジ部71Aと把持部71Bとの間に設けられ、レバー71の下面から突出している。押圧部70は、レバー71の回転方向で蓋部30に対向する。図1,3に示すように、押圧部70は、複数、例えば7枚の板部701からなる。各板部701は、レバー71の下面に対して直角方向に広がる板状であり、レバー71の長手方向に延びている。一部の板部701は、ヒンジ部71Aに接続している。各板部701の先端を共通して通る仮想の包絡面を想定できる。この包絡面は、例えば球面の一部を切り取った曲面状である。上記包絡面の少なくとも一部は、凹部25の底面250に沿った形状であり、例えば底面250と等しい曲率を有する。
【0035】
付勢ユニット8は、図2に示すように、コイルスプリング80、第1支持部材81および第2支持部材82を有する。コイルスプリング80は、円筒状の圧縮コイルばねであり、例えば金属材料から形成される。
【0036】
第1支持部材81は、図2,5に示すように、円筒状の軸部810と、軸部810の軸方向一端に設けられ、径方向外側に広がる第1フランジ部811と、軸部810の軸方向他端に設けられ、径方向内側に延びる第2フランジ部812とを有する。第1フランジ部811の外径は、コイルスプリング80の外径より僅かに大きい。第1フランジ部811における軸部810の側の面には、複数の突起813が設けられている。突起813は、軸部810の軸方向に沿って広がる板状であり、軸部810の外周に接続している。突起813は、例えば4つ設けられ、軸部810の周方向に等間隔に配置される。
【0037】
第2支持部材82は、図2,3,6,7に示すように、軸部820と、第1フランジ部821と、第2フランジ部822とを有しており、これらの各部820~822が例えば型により一体成型される。軸部820は、第1軸部820Aおよび第2軸部820Bを有する。第1軸部820Aは、有底円筒状である。第1軸部820Aの外径は、第1支持部材81の軸部810の内径よりも小さく、第1支持部材81の第2フランジ部812の内径より僅かに小さい。第2軸部820Bは、第1軸部820Aと同径かつ同軸である円柱の外周面の一部が、上記円柱の軸に沿う互いに平行な2つの平面に沿って切り欠かれた形状であり、上記2つの平面に挟まれる板状部分823を有する。第1フランジ部821は、第2支持部材82の軸方向一端、すなわち第1軸部820Aの開口側の端部に設けられ、径方向外側に延びている。第1フランジ部821の外周面は、先端に向かうにつれて小径となるテーパ状である。第1フランジ部821の最大外径は、第1支持部材81の軸部810の内径よりも僅かに小さく、第1支持部材81の第2フランジ部812の内径よりも大きい。
【0038】
第2フランジ部822は、第2支持部材82の軸方向他端、すなわち第2軸部820Bの端部に設けられ、径方向外側に延びている。第2フランジ部822は、図7に示すように、円板を基本形状としており、この円板の一部が、この円板の中心を径方向に挟んで互いに平行な2つの直線(すなわち弦)に沿って切り欠かれ、さらに板状部分823の両側面(上記2つの平面)によって切り欠かれることで凹部822Bが形成された形状となっている。第2フランジ部822は、凹部822Bを挟んで、板状部分823の板幅方向両側に2つ設けられている。上記円板の外径は、コイルスプリング80の外径より僅かに大きく、付勢ユニット収容孔26の内径よりも小さく、吸入弁収容孔27の内径よりも大きい。図6に示すように、各第2フランジ部822における第2軸部820Bの側の面に、第1突起824が設けられている。第1突起824は、軸部820の軸の周りに延びる円筒状の外周面を有する。第1突起824の先端側の外周面は、先端に向かうにつれて軸部820の軸からの距離が小さくなるテーパ状である。第1突起824の内周は、板状の接続部826を介して、第2軸部820Bの外周に接続している。各第2フランジ部822における第2軸部820Bの側と反対側の面に、第2突起825が設けられている。第2突起825は、軸部820の軸の周りに延びる円筒状の外周面を有する。軸部820の軸から第2突起825の上記外周面までの距離は、吸入弁4の基体40の内周面の半径より大きい。
【0039】
第2支持部材82は、第1支持部材81の内側に配置され、第1支持部材81の内周に嵌合しており、第1支持部材81の軸方向端から出没可能である。両支持部材81,82は、互いに共通する軸83に沿って相対移動(スライド)可能である。付勢ユニット8は、これらの支持部材81,82が互いに摺動することで伸縮自在である。第1支持部材81の第2フランジ部812と、第2支持部材82の第1フランジ部821とが係合することで、第1支持部材81から第2支持部材82が抜け出ることが規制され、これにより、付勢ユニット8の軸方向寸法の最大値が規定される。
【0040】
コイルスプリング80は、第1支持部材81の軸部810および第2支持部材82の軸部820の外周を囲み、当該外周に巻き付くように設置される。コイルスプリング80の一端は、第1支持部材81の第1フランジ部811に当接する。コイルスプリング80のうち第1フランジ部811に隣接する部分の内周は、複数の突起813の外周に嵌合する。これにより、コイルスプリング80の上記一端の側が第1支持部材81に保持され、上記一端の側が第1支持部材81に対して径方向にずれることが抑制される。コイルスプリング80の他端は、第2支持部材82の第2フランジ部822に当接する。コイルスプリング80のうち第2フランジ部822に隣接する部分の内周は、2つの第1突起824の外周に嵌合する。これにより、コイルスプリング80の上記他端の側が第2支持部材82に保持され、上記他端の側が第2支持部材82に対して径方向にずれることが抑制される。なお、第1突起824の先端側の外周面がテーパ状であるため、上記嵌合が容易化される。このように保持されたコイルスプリング80の軸は、第1支持部材81および第2支持部材82の軸83に沿って延びており、理想的には軸83と一致する。荷重が加わっていないときのコイルスプリング80の軸方向寸法、すなわちコイルスプリング80の自然長は、付勢ユニット8の軸方向寸法の最大値よりも大きい。コイルスプリング80は、第1支持部材81の第1フランジ部811と第2支持部材82の第2フランジ部822との間に、常時押し縮められた状態で設置される。
【0041】
図2,3に示すように、付勢ユニット8のうち第2支持部材82の側は、付勢ユニット収容孔26に設置される。付勢ユニット8の軸方向一端としての第1支持部材81の第1フランジ部811は、ポンプ室11の内部にあり、蓋部30の内面に対向する。蓋部30が弾性変形する前の初期状態で、第1フランジ部811の少なくとも一部と蓋部30の内面との間に、隙間が設けられていてもよいし、第1フランジ部811の少なくとも一部と蓋部30の内面とが、接触していてもよい。付勢ユニット8の軸方向他端としての第2支持部材82の第2フランジ部822は、付勢ユニット収容孔26の内部にあり、吸入弁4に対向する。第2フランジ部822の基本形状となる上記円板の外縁の一部に相当する第2フランジ部822の外縁822Aは、付勢ユニット収容孔26の内周面に沿う。第2フランジ部822の外縁822Aが付勢ユニット収容孔26の内周面に当接することで、付勢ユニット収容孔26の径方向における第2支持部材82の移動が規制される。第2フランジ部822に設けられた第2突起825の先端は、吸入弁4の基体40の開口側における端面に当接する。吸入弁4の基体40の内周側の空間は、第2フランジ部822における凹部822Bを介して、第2支持部材82の板状部分823を挟む両側の空間に接続している。
【0042】
レバー71が初期位置にあるとき、コイルスプリング80等の上記軸83、言い換えると付勢ユニット8の軸83は、付勢ユニット収容孔26の軸200に沿う。軸83は、理想的には、軸200と一致する。この状態で、付勢ユニット8が蓋部30を上方に押圧しないように、付勢ユニット8の軸方向寸法の最大値が設定されている。例えば、レバー71が初期位置にあるとき、レバー71の回転方向で、第1支持部材81の第1フランジ部811と蓋部30との間に隙間があり、第1フランジ部811が蓋部30に当接しないように設けられている。なお、初期位置で、押圧部70と蓋部30との間に隙間があってもよい。
【0043】
次に、ディスペンサ1の動作を説明する。図8は、図2と同様の断面図である。図2は、使用者がレバー71を押下げることでディスペンサ1が動作する前の状態(初期状態)を示し、図8は、使用者がレバー71を最下方まで押下げた状態(最大ストローク状態)を示す。
【0044】
使用者が取っ手部24を把持してディスペンサ1から液状物を取り出そうとする際、使用者が取っ手部24を把持するその手の親指でレバー71の把持部71Bを押下げると、押圧部70がレバー71の作用点として機能し、蓋部30を下方へ押圧する。押圧部70は、蓋部30を、凹部25の底面250に向かう側、すなわちポンプ室11の容積が小さくなる側に押圧して弾性変形させる。複数の板部701は、それらの先端の包絡面を1つの先端面として有する1つの凸部として機能する。蓋部30は、上記包絡面に倣う形状、すなわちポンプ室11の内部に向かって凸の曲面状に変形する。
【0045】
レバー71が初期位置から所定の位置まで若干押下げられると、ポンプ室11の容積が小さくなる側に弾性変形する蓋部30の内面は、第1支持部材81の第1フランジ部811に当接する。押圧部70の押圧による蓋部30の弾性変形に応じて、付勢ユニット8は押し縮められる。これに応じてコイルスプリング80が弾性力を発生して第1フランジ部811を付勢し、付勢ユニット8が第1フランジ部811を介して蓋部30を押圧するようになる。すなわち、付勢ユニット8は、ポンプ室11の容積が小さくなる側に蓋部30が弾性変形する前の初期状態では、蓋部30の内面を押圧せず、ポンプ室11の容積が小さくなる側に蓋部30が弾性変形した状態で、ポンプ室11の容積が大きくなる側に蓋部30の内面を押圧するように設けられている。なお、初期状態で、第1フランジ部811の少なくとも一部と蓋部30の内面とが、接触していてもよい。
【0046】
蓋部30が変形してポンプ室11の容積が小さくなると、ポンプ室11の内部の圧力が、外部の圧力、例えば大気圧よりも高くなる。これにより、吸入弁4が閉じ、吐出弁5が開く。ポンプ室11から吐出通路29を介して吐出口16へ供給される液状物が、吐出口16から吐出される。使用者は、レバー71の押下げ量を調整することで、液状物の吐出量を適宜調整可能である。
【0047】
図8に示すように、蓋部30が凹部25の底面250に沿う位置まで押圧部70が押し下げられると、それ以上のレバー71の変位が抑制される。このときの押圧部材7の位置が最大ストローク位置となる。なお、レバー71の変位量の上限を規制するためのストッパが別途設けられてもよい。最大ストローク位置で、蓋部30と凹部25の底面250との間の隙間は最小となる。ポンプ室11の初期状態からの容積の減少量、すなわちポンプ室11の内容物の吐出量が、最大となる。
【0048】
使用者がレバー71の把持部71Bを押下げる力を弱めると、蓋部30がその弾性力により初期状態へ戻ろうとするとともに、付勢ユニット8が蓋部30を初期位置へ向けて付勢するため、押圧部材7が初期位置に向けて戻される。押圧部70が上方へ変位し、蓋部30が初期状態へ向けて弾性変形することで、ポンプ室11の容積が大きくなる。ポンプ室11の内部の圧力が、外部の圧力よりも低くなる。これにより、吐出弁5が閉じ、吸入弁4が開く。容器100から吸入通路を通って液状物がポンプ室11に吸入される。図8に2点鎖線の矢印Pで示すように、第2円筒部21Bからの液状物は、吸入口10、吸入弁4の弁体41と第1円筒部21Aの底部との間の隙間、および吸入弁4の弁体41と基体40との間の隙間等を通って、付勢ユニット収容孔26の内周面と付勢ユニット8との間の隙間へと向かう。また、付勢ユニット8が伸長する際、第1支持部材81の内側において第2支持部材82の第1フランジ部821と第1支持部材81の第2フランジ部812との間に挟まれる空間が縮小する。この空間内の液状物が、図8に2点鎖線の矢印Qで示すように、第1支持部材81の第2フランジ部812の内縁と第2支持部材82の軸部820の外周面との間の隙間を通って、付勢ユニット収容孔26の内周面と付勢ユニット8との間の隙間へと向かう。付勢ユニット収容孔26の内周面と付勢ユニット8との間の隙間に流入する液状物は、容積が拡大するポンプ室11へと向かう。
【0049】
次に、ディスペンサ1の各利点を説明する。ディスペンサ1は、ディスペンサ本体2の一部(凹部25)を覆い、ディスペンサ本体2とともにポンプ室11を形成する弾性変形可能な蓋部30を備える。このように蓋部30によりポンプ室11が形成される場合、ポンプ室11の径を大きくすることができるため、ポンプ室11の軸200に沿う方向におけるディスペンサ1の大型化を抑制しつつ、一回の操作により取り出し可能な液状物の量を多くすることができる。
【0050】
ディスペンサ本体2には凹部25が設けられ、蓋部30は、凹部25を覆う構成であってよい。この場合、蓋部30の曲率を大きくしなくても初期状態におけるポンプ室11の容積を大きくすることができるため、ポンプ室11から取り出し可能な液状物の量を確保しつつ、蓋部30の弾性変形を円滑化することができる。凹部25の底面250は、平面視で円形状または楕円状であってよい。この場合、ポンプ室11の容積をより効率的に増大することができる。また、凹部25は、時計皿状に窪んでいてよい。この場合、蓋部30の変形時に蓋部30と凹部25の底面250との間の隙間を可及的に小さくし、ポンプ室11から取り出し可能な液状物の量を効果的に多くすることができる。
【0051】
ディスペンサ1は、ポンプ室11の内部に配置され、蓋部30の内面を押圧してポンプ室11の容積が大きくなる側に蓋部30を弾性変形させるための付勢力を発生可能な付勢ユニット8を備える。付勢ユニット8は、ポンプ室11の容積が小さくなる側に蓋部30が弾性変形した状態で、上記付勢力を発生するように設けられている。よって、蓋部30の初期状態からの変形量が大きくなっても、蓋部30の弾性復元力のみによらず、付勢ユニット8の付勢力により、蓋部30が初期状態に向けて戻される。よって、蓋部30を初期状態まで、より確実に、また速やかに、復帰させることができる。例えば、液体の粘度が高く、蓋部30の弾性力のみでは初期状態への復帰が不確実、または遅いような場合でも、付勢ユニット8を設けることにより、蓋部30を初期状態まで容易に復帰させることができる。
【0052】
蓋部30は、凹部25の側と反対側に膨出するドーム状であってよい。言い換えると、蓋部30は、初期状態で、凹部25の開口部に対し上方、すなわち凹部25から離れる側に突出する形状であってよい。すなわち、ディスペンサ1のポンプ室11は、いわゆるドーム形状ポンプであってよい。この場合、初期状態におけるポンプ室11の容積を大きく確保することが容易である。また、蓋部30の初期状態からの変形量すなわちポンプ室11の容積変化量を増大し、これにより、ディスペンサ1の大型化を抑制しつつ、一回の操作により取り出し可能な液状物の量をより効果的に多くすることができる。例えば、初期状態から蓋部30が変形する際、蓋部30の膨らむ方向が、凹部25の底面250から離れる側から底面250へ向かう側へと反転しうる。よって、効率的に、ポンプ室11の容積変化量を増大し、ポンプ室11から吐出可能な量を増やすことができる。一方、このように蓋部30の弾性変形量が大きくなり、または弾性変形による形状の変化が大きくなると、その分、蓋部30が初期状態まで復帰するのが遅れる、言い換えるとポンプ室11への液状物の吸入が遅れるおそれがある。これに対し、付勢ユニット8を設けることで、速やかに、蓋部30を初期状態へ復帰させ、ポンプ室11に液状物を吸入することができる。なお、蓋部30の形状は任意であり、円盤部20の上面に沿って広がる平面形状であってもよいし、または凹部25の開口部に対し下方、すなわち凹部25の底面250に近づく側に膨出する形状であってよい。また、蓋部30は、伸縮性のある素材により形成されていてもよい。
【0053】
ディスペンサ1は、押圧部材7を備えてよい。具体的には、押圧部70が、蓋部30の外面を押圧可能であってよい。この場合、使用者がその指または手掌等を用いて蓋部30を押圧する場合に比べて、効率よく蓋部30を弾性変形させ、ポンプ室11から吐出可能な液状物の量を増大することができる。上記のようにポンプ室11の径を大きくすると、蓋部30を変形させてポンプ室11の容積を小さくするために比較的大きな力が必要となる。また、付勢ユニット8を設置すると、付勢ユニット8の付勢力に抗してポンプ室11の容積を小さくするための押圧力が追加的に必要となる。これに対し、押圧部材7は、レバー71を備えてよい。この場合、梃子の作用により、使用者の操作力が増幅されるため、小さな操作力で、押圧部70の大きい押圧力を得ることができる。このため、容易に、蓋部30を変形させてポンプ室11の容積を小さくすることができる。例えば、容易に、蓋部30を凹部25の底面250に近づけ、ポンプ室11の容積変化量を増大し、ポンプ室11から吐出可能な量を増やすことができる。なお、ディスペンサ1は、レバー71または押圧部材7を備えなくてもよい。
【0054】
押圧部70は、蓋部30を押圧して弾性変形させながら凹部25の内部に入り込むことが可能であってよい。この場合、凹部25の内部空間を用いて、蓋部30を初期状態から大きく変形させ、ポンプ室11の容積の減少量を大きくできるから、効率良く最大吐出量を増大させることができる。このようにディスペンサ本体2の内部の空間を有効活用することで、ディスペンサ1の小型化を図ることができる。ここで、蓋部30を初期状態から大きく変形させても、付勢ユニット8により、蓋部30を初期状態へ容易に復帰させることができる。なお、押圧部70は、最大ストローク位置で、凹部25の内部に入り込まなくてもよい
【0055】
付勢ユニット8は、ポンプ室11の容積が小さくなる側に蓋部30が弾性変形する前の初期状態では、蓋部30の内面を押圧してポンプ室11の容積が大きくなる側に蓋部30を弾性変形させるための付勢力を発生しないように設けられている。例えば、押圧部70により蓋部30が弾性変形する前の初期状態で、付勢ユニット8が、蓋部30の内面を押圧しないか、または蓋部30を弾性変形させない程度に軽く蓋部30の内面に接するように設けられてよい。よって、レバー71が操作されないときにも蓋部30が常時押圧され変形することが回避される。これにより、蓋部30の塑性変形や早期劣化を防止し、ディスペンサ1の耐久性を向上できる。言い換えると、初期状態で付勢ユニット8による押圧を考慮しなくてよいため、蓋部30の機械特性または厚さの設計自由度を向上できる。なお、ディスペンサ1は、押圧部70を備えなくてもよく、使用者が指または手掌等により蓋部30を押圧して弾性変形させる構成であってもよい。
【0056】
付勢ユニット8は、軸方向に伸縮自在であり、軸方向一端が蓋部30の内面に対向するようディスペンサ本体2の内部に配置されていてよい。この場合、付勢ユニット8の軸方向一端が蓋部30の内面に当接した状態で、付勢ユニット8が軸方向に付勢力を発生することで、蓋部30の内面を効率よく押圧することができる。ここで、蓋部30が、凹部25の側と反対側に膨出するドーム状である場合、付勢ユニット8による蓋部30の内面の押圧部位は、蓋部30における外周縁よりも中央部の側にあってよい。この場合、付勢ユニット8が蓋部30の全体を効率的に押圧することができ、これにより蓋部30を初期位置に向けて円滑に復帰させることができる。また、付勢ユニット8の伸縮量を大きく確保しつつ、初期状態で、付勢ユニット8が蓋部30を押圧して弾性変形させるための付勢力を発生しないようにすることが容易となる。
【0057】
ポンプ室11の容積が小さくなる側に蓋部30が弾性変形する前の初期状態で、付勢ユニット8の軸方向寸法が最大値となるように設けられてよい。言い換えると、付勢ユニット8の最大長が、初期状態で、蓋部30の内面を押圧してポンプ室11の容積が大きくなる側に蓋部30を弾性変形させるための付勢力を発生しない大きさに設定されてよい。この場合、より容易かつより確実に、初期状態において付勢ユニット8が蓋部30の内面を押圧しないかまたは変形させないようにすることができる。ここで、付勢ユニット8の最大長が、付勢ユニット8それ自体によって制限されるように設けられてもよい。この場合、ディスペンサ本体2等の側に、付勢ユニット8の最大長を規制するための構造を設けなくてよいため、ディスペンサ1の複雑化を抑制できる。また、ディスペンサ本体2への付勢ユニット8の組付け性を向上できる。
【0058】
上記初期状態で、付勢ユニット8の軸方向一端としての第1支持部材81の第1フランジ部811と、蓋部30の内面との間に、隙間が設けられていてもよい。この場合、初期状態で、付勢ユニット8の軸方向一端と蓋部30の内面との当接が抑制されることで、より確実に、付勢ユニット8が蓋部30の内面を押圧しないかまたは変形させないようにすることができる。
【0059】
蓋部30が凹部25に入り込むことが可能なように、付勢ユニット8の軸方向寸法の最小値が設定されていてよい。この場合、付勢ユニット8に妨げられずに蓋部30が凹部25に入り込むことが可能となるため、最大吐出量を増大させることができる。また、蓋部30の少なくとも一部が凹部25の底面250に沿うことが可能なように、付勢ユニット8の軸方向寸法の最小値が設定されていてよい。この場合、付勢ユニット8に妨げられずに、最大吐出量をより効果的に増大させることができる。
【0060】
付勢ユニット8は、蓋部30の内面を押圧するための付勢力を発生する付勢部材として、コイルスプリング80等のばねを用いてよい。この場合、付勢ユニット8の付勢力を簡便に得ることができる。
【0061】
コイルスプリング80等のばねが発生する弾性力の方向は、付勢ユニット8が発生する付勢力の方向に沿っていてよい。この場合、付勢ユニット8が付勢力を効率的に発生できる。また、付勢ユニット8が軸方向に伸縮自在である場合、弾性力の方向が上記軸方向に沿うことで、付勢ユニット8の伸縮動作を円滑化できる。
【0062】
コイルスプリング80等のばねは、常時押し縮められた状態で設置されていてよい。言い換えると、付勢ユニット8が最大長のときも、ばねが押し縮められた状態であってよい。この場合、付勢ユニット8の全ストローク範囲で、ばねの弾性力により付勢ユニット8の付勢力を発生でき、付勢ユニット8が蓋部30を押圧可能である。よって、蓋部30が初期状態の近傍まで復帰したときにも、付勢ユニット8が付勢力を発生可能であるため、蓋部30を初期状態に向けて復帰させるという付勢ユニット8の機能を向上できる。
【0063】
付勢ユニット8は、コイルスプリング80等のばねを支持する第1支持部材81および第2支持部材82を有してよい。この場合、両支持部材81,82がばねを支持することで、ばねの動作を安定化することができる。第1支持部材81および第2支持部材82は、互いに往復移動可能であってよい。この場合、ばねの伸縮に応じて、両支持部材81,82が相対移動することで、付勢ユニット8が軸方向に伸縮自在となる。例えば、支持部材81,82は、互いに共通する軸83に沿って相対移動可能であり、互いに摺動することで軸方向に伸縮自在であってよい。第1支持部材81および第2支持部材82が互いに往復移動する方向は、ばねが発生する弾性力の方向に沿うように設けられてよい。この場合、付勢ユニット8が押圧力を効率的に発生でき、また、両支持部材81,82の相対移動を円滑化できる。
【0064】
付勢ユニット8が伸長する方向において、第1支持部材81および第2支持部材82は、互いに係合可能に設けられてよい。この場合、上記係合により、付勢ユニット8が伸長する方向における両支持部材81,82の相対移動が規制されることで、付勢ユニット8それ自体の構造により、付勢ユニット8の最大長を制限することができる。よって、付勢ユニット8の組付け性を向上し、また、ディスペンサ1の複雑化を抑制できる。
【0065】
上記ばねは、コイルスプリング80であ。このようにばねとしてコイルスプリング80を用いる場合、蓋部30の変形に対する安定した押圧力を、簡便に得ることができる。言い換えると、操作力に対する反力の所望の特性を得やすい。また、ばねの荷重と撓みとの間の関係の特性は、ディスペンサ1に要求される性能等に応じて適宜設定可能である。
【0066】
付勢ユニット8は、コイルスプリング80を支持する第1支持部材81および第2支持部材82を有し、第1支持部材81および第2支持部材82は、コイルスプリング80の軸方向に沿って互いに摺動可能であってよい。この場合、両支持部材81,82が、コイルスプリング80を支持しつつ、コイルスプリング80が軸方向に伸縮するようにガイドすることで、コイルスプリング80を円滑に弾性変形させることができる。よって、付勢ユニット8が付勢力を安定的に発生可能となる。例えば、第1支持部材81は、軸方向に延びる軸部810と、コイルスプリング80の軸方向一端が当接可能な第1フランジ部811とを有し、第2支持部材82は、軸方向に延びる軸部820と、コイルスプリング80の軸方向他端が当接可能な第2フランジ部822とを有してよい。また、両支持部材81,82が、互いに係合可能に設けられる場合、コイルスプリング80を常時圧縮された状態に保持することができる。例えば、第1支持部材81は、第2フランジ部812を有し、第2支持部材82は、第1支持部材81の第2フランジ部812に係合可能な第1フランジ部821を有してよい。
【0067】
コイルスプリング80は、第1支持部材81または第2支持部材82の少なくともいずれかの外周を囲むように設置されていてよい。言い換えると、コイルスプリング80は、支持部材81,82の少なくともいずれかの外周に巻き付くように設置されてよい。この場合、コイルスプリング80が支持部材81,82の内側に設置される場合よりも、コイルスプリング80の径を大きくできる等、コイルスプリング80の設計自由度が高くなる。よって、付勢ユニット8の安定した付勢力を、より簡便に得ることができる。なお、コイルスプリング80は、第1、第2支持部材81,82のいずれか一方または両方の内側に設置されてもよい。
【0068】
第1支持部材81の第1フランジ部811または第2支持部材82の第2フランジ部822の少なくともいずれかに、コイルスプリング80の端部に係合する突起が設けられてよい。すなわち、第1フランジ部811に突起813が設けられ、または第2フランジ部822に第1突起824が設けられてよい。この場合、例えば突起813により、第1支持部材81に対してコイルスプリング80の端部を径方向に位置決めすることができる。または、第1突起824により、第2支持部材82に対してコイルスプリング80の端部を径方向に位置決めすることができる。よって、コイルスプリング80の軸と第1支持部材81または第2支持部材82の軸とのずれを抑制し、付勢ユニット8の作動の円滑化を図ることができる。突起813または第1突起824は、コイルスプリング80の端部の内周側に嵌合してもよい。この場合、コイルスプリング80を大径化しつつ、付勢ユニット8の径方向大型化を抑制できる。なお、コイルスプリング80の端部に係合する上記突起は、コイルスプリング80の端部の外周側に嵌合してもよいし、第1、第2支持部材81,82のいずれか一方のみに設けられてもよいし、両支持部材81,82に設けられなくてもよい。
【0069】
ディスペンサ本体2は、付勢ユニット8の一部を収容可能な付勢ユニット収容孔26を有してよい。この場合、付勢ユニット収容孔26に付勢ユニット8を収容することで、付勢ユニット8の最大長または伸縮可能な量を大きく確保することができるため、付勢ユニット8が適度な付勢力を容易に発生することができる。また、付勢ユニット収容孔26により、付勢ユニット8をディスペンサ本体2の内部に支持することが容易となる。例えば、付勢ユニット8の軸方向一端と蓋部30の内面とが係合も当接もしていない場合であっても、付勢ユニット8の軸方向他端の側を、付勢ユニット収容孔26の内壁により支持することで、付勢ユニット8の倒れを防止することが可能である
【0071】
付勢ユニット8のうち第2支持部材82の側が、付勢ユニット収容孔26の内部に配置されてよく、第2支持部材82は、第1支持部材81の内側に配置され、第1支持部材81の軸方向端から出没可能であってよい。この場合、図8に示すように、ポンプ室11の容積が増大するとき、付勢ユニット8が伸長し、第2支持部材82に対し第1支持部材81が上方へ移動するとともに、吸入口10から付勢ユニット収容孔26の内部に液状物が流入する。この流入する液状物の通路は、付勢ユニット収容孔26の内周面と第2支持部材82の軸部820との間の隙間となる。第2支持部材82は、第1支持部材81の内側に配置されるため、その軸部820が第1支持部材81よりも小径となる。これにより、上記流入する液状物の流路断面積を大きく確保できる。よって、付勢ユニット8が伸長する際の抵抗が小さくなるため、付勢ユニット8が発生する付勢力による押圧力がその分増大し、蓋部30を初期状態へ速やかに復帰させることができる。
【0072】
付勢ユニット収容孔26の内周面は円筒状であってよく、第2支持部材82の第2フランジ部822は、外縁が付勢ユニット収容孔26の内周面に沿う円板の一部が切り欠かれた形状であってよい。この場合、第2支持部材82の第2フランジ部822によりばねとしてのコイルスプリング80を支持しつつ、第2フランジ部822の上記形状により、第2フランジ部822の外縁と付勢ユニット収容孔26の内周面との間に、液状物が円滑に流通可能となるための隙間C(図8参照)を設けることができる。よって、液状物が吸入口10から第2フランジ部822を通過して付勢ユニット収容孔26の内部に流入する際の抵抗、すなわち図8に矢印Pで示す液状物の流れの抵抗が小さくなるため、その分、付勢ユニット8が円滑に伸長し、蓋部30を初期状態へ速やかに復帰させることができる。
【0073】
第2支持部材82の第2フランジ部822における軸部820の側と反対側の面に、第2突起825が設けられてよい。この場合、第2突起825は、その先端が、他の部材、例えば吸入弁4の基体40に当接するように設置されうる。よって、第2フランジ部822に対し吸入口10の側において、第2突起825により追加的に形成される空間の分だけ、液状物の通路を拡大できる。これにより、液状物が吸入口10から付勢ユニット収容孔26の内部に流入する際の抵抗が小さくなるため、その分、付勢ユニット8が円滑に伸長し、蓋部30を初期状態へ速やかに復帰させることができる。
【0074】
付勢ユニット収容孔26の内周面は円筒状であってよく、第2支持部材82の軸部820は、円柱の一部が軸方向に沿って切り欠かれた形状であってよい。この場合、第2支持部材82の軸部820の上記形状により、この軸部820と第1支持部材81の第2フランジ部812の内縁との間に、液状物が円滑に流通可能となるための大きな隙間を設けることができる。よって、付勢ユニット8が伸長する際、図8に矢印Qで示す液状物の流れの抵抗が小さくなるため、その分、付勢ユニット8が円滑に伸長し、蓋部30を初期状態へ速やかに復帰させることができる。ここで、第2支持部材82の軸部820の上記切り欠かれた形状は、軸部820のうち第2フランジ部822の側の部位に設けられてよい。この場合、付勢ユニット8が圧縮された状態から伸長を開始する当初から、上記隙間が形成されうるため、蓋部30の初期状態への変形開始直後から、上記効果を得ることができる。
【0075】
第2支持部材82の軸部820は、板状部分823を有してよい。この場合、軸部820の板状部分823と第1支持部材81の第2フランジ部812の内縁との間に、液状物が円滑に流通可能となるための上記隙間をより大きく設けることができる。よって、当該隙間を通る液状物の抵抗をより小さくできる。また、第2支持部材82において、板状部分823を、第2フランジ部822の位置まで延長してよい。この場合、第2フランジ部822の外縁と付勢ユニット収容孔26の内周面との間に、液状物が円滑に流通可能となるための大きな隙間を設けることができる。よって、当該隙間を通る液状物の抵抗を可及的に小さくできる。例えば、第2フランジ部822は、板状部分823の板幅方向両側に設けられてよい。これにより、上記大きな隙間を形成するための凹部822B(図7参照)を設けることができる。
【0076】
第2支持部材82の第2フランジ部822と吸入口10との間に吸入弁4が設置されており、吸入弁4は、板状の弁体41を有し、弁体41と第2支持部材82の第2フランジ部822との間にスペーサが設置されてよい。このスペーサは、吸入弁4の基体40であってもよいし、第2支持部材82の第2フランジ部822に設けられた第2突起825でもよい。この場合、スペーサにより弁体41の可動範囲が確保されるため、吸入弁4が動作しやすい。なお、弁体41の移動が、第2支持部材82の軸方向端部である第2フランジ部822に当接することで、規制されるように設けてもよい。
【0077】
<第2の実施形態>
図9は、本実施形態のディスペンサ1の構成を示す、図3と同様の断面図である。簡単のため、吸入弁4の断面の図示を省略する。以下、第1の実施形態と共通する構成については、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、弾性部材3に円筒状の突起34が設けられている。突起34は、蓋部30の下面の中央部から突出している。突起34の軸は、円盤部20等の軸200と共通である。突起34は、第1支持部材81の第1フランジ部811の内周側に嵌合する。突起34に、軸方向に延びるスリット340が設けられていている。スリット340は、複数あってよく、例えば突起34の軸を挟んで反対側に2つ設けられてよい。
【0079】
このように、蓋部30の内面に突起34が設けられてよく、付勢ユニット8の一部としての第1支持部材81の軸方向端部(第1フランジ部811)は、突起34に係止されてよい。突起34は、蓋部30に対する付勢ユニット8の係止部として機能する。この場合、付勢ユニット8の一部が蓋部30に係止されることで、蓋部30に対する付勢ユニット8のズレが抑制される。よって、蓋部30の弾性変形中、付勢ユニット8の作動方向のズレまたは軸200に対する傾きを抑制できるため、ディスペンサ本体2と付勢ユニット8との干渉を抑制し、また、付勢ユニット8の作動を円滑化できる。特に、第1フランジ部811と蓋部30の内面との間に隙間が設けられている場合に、有効である。また、蓋部30の一部が係止部を兼ねることで、部品点数の増加を抑制し、ディスペンサ1の小型化を図ることができる。
【0080】
具体的には、突起34は、第1支持部材81の第1フランジ部811の内周に嵌まるように設置されてよい。この場合、蓋部30の径方向における第1支持部材81の移動を簡便に規制することができる。
【0081】
また、突起34、円筒状であって、スリット340が設けられていてもよい。スリット340は、突起34の軸方向に延びる隙間であってよい。このようなスリット340を設ける場合、突起34を設けることに伴う蓋部30の不自然な変形を抑制し、言い換えると応力集中を緩和し、耐久性を向上できる。また、蓋部30の弾性変形時に、蓋部30における突起34の接続箇所の変形を容易化できるため、ディスペンサ1の操作力の低減を図ることもできる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のディスペンサまたは吐出容器を開示する。
【0084】
<1>
液状物を吐出口から吐出可能なディスペンサであって、ディスペンサ本体と、前記ディスペンサ本体の一部を覆い、前記ディスペンサ本体とともにポンプ室を形成する弾性変形可能な蓋部と、前記ポンプ室の内部に配置され、前記蓋部の内面を押圧して前記ポンプ室の容積が大きくなる側に前記蓋部を弾性変形させるための付勢力を発生可能な付勢ユニットと、を備え、前記蓋部の外面が押圧され、前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形することで、前記ポンプ室の内部の液状物を前記吐出口から吐出するように設けられ、前記付勢ユニットは、前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形する前の初期状態では、前記付勢力を発生せず、前記ポンプ室の容積が小さくなる側に前記蓋部が弾性変形した状態で、前記付勢力を発生するように設けられている、ディスペンサ。
【0085】
4>
前記付勢ユニットによる前記蓋部の内面の押圧部位は、前記蓋部における外周縁よりも中央部の側にある、前記<1>~<3>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【0086】
<5>
前記付勢ユニットは、軸方向に伸縮自在であり、軸方向一端が前記蓋部の内面に対向するよう前記ポンプ室の内部に配置されており、前記初期状態で、前記付勢ユニットの軸方向寸法が最大値となるように設けられている、前記<1>~<4>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<6>
前記初期状態で、前記付勢ユニットの前記軸方向一端と前記蓋部の内面との間に、隙間が設けられている、前記<5>に記載のディスペンサ。
【0087】
<7>
前記付勢ユニットは、前記付勢力を発生する付勢部材として、ばねを有する、前記<1>~<6>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<8>
前記ばねが発生する弾性力の方向は、前記付勢力の方向に沿っている、前記<7>に記載のディスペンサ。
<9>
前記ばねは、常時押し縮められた状態で設置されている、前記<7>または<8>に記載のディスペンサ。
<10>
前記付勢ユニットは、前記ばねを支持する第1支持部材および第2支持部材を有する、前記<7>~<9>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<11>
前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記ばねが発生する弾性力の方向に沿って互いに往復移動可能である、前記<10>に記載のディスペンサ。
<12>
前記付勢ユニットが伸長する方向において、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、互いに係合可能に設けられている、前記<10>または<11>に記載のディスペンサ。
【0088】
<13>
前記ばねは、コイルスプリングである、前記<7>~<12>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<14>
前記付勢ユニットは、前記コイルスプリングを支持する第1支持部材81および第2支持部材を有し、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記コイルスプリングの軸方向に沿って互いに摺動可能である、前記<13>に記載のディスペンサ。
<15>
前記コイルスプリングは、前記第1支持部材または前記第2支持部材の少なくともいずれかの外周を囲むように設置されている、前記<14>に記載のディスペンサ。
<16>
前記第1支持部材は、軸方向に延びる軸部と、前記コイルスプリングの軸方向一端が当接可能なフランジ部とを有し、前記第2支持部材は、軸方向に延びる軸部と、前記コイルスプリングの軸方向他端が当接可能なフランジ部とを有する、前記<14>または<15>に記載のディスペンサ。
<17>
前記第1支持部材の前記フランジ部または前記第2支持部材の前記フランジ部の少なくともいずれかに、前記コイルスプリングの端部に係合する突起が設けられている、前記<16>に記載のディスペンサ。
<18>
前記突起は、前記コイルスプリングの内周側に嵌合する、前記<17>に記載のディスペンサ。
【0089】
22>
前記付勢ユニットは、前記付勢力を発生する付勢部材としてのばねと、前記ばねを支持する第1支持部材および第2支持部材とを有し、前記付勢ユニット収容孔は、前記ディスペンサの吸入口と前記ポンプ室とを連通させ、前記付勢ユニットのうち前記第2支持部材の側が、前記付勢ユニット収容孔の内部に配置される、前記<19>~<21>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<23>
前記第2支持部材は、前記第1支持部材の内側に配置され、前記第1支持部材の軸方向端から出没可能である、前記<22>に記載のディスペンサ。
<24>
前記第2支持部材は、軸方向に延びる軸部と、前記ばねが当接可能なフランジ部とを有する、前記<22>または<23>に記載のディスペンサ。
<25>
前記付勢ユニット収容孔の内周面は円筒状であり、前記第2支持部材の前記フランジ部は、外縁が前記付勢ユニット収容孔の内周面に沿う円板の一部が切り欠かれた形状である、前記<24>に記載のディスペンサ。
<26>
前記第2支持部材の前記フランジ部における前記軸部の側と反対側の面に、突起が設けられている、前記<24>または<25>に記載のディスペンサ。
<27>
前記付勢ユニット収容孔の内周面は円筒状であり、前記第2支持部材の前記軸部は、円柱の一部が軸方向に沿って切り欠かれた形状である、前記<24>~<26>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<28>
前記第2支持部材の前記軸部の前記切り欠かれた形状は、前記第2支持部材の前記軸部のうち前記フランジ部の側に設けられている、前記<27>に記載のディスペンサ。
<29>
前記第2支持部材の前記軸部は、板状部分を有する、前記<24>~<28>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<30>
前記第2支持部材の前記フランジ部は、前記板状部分の板幅方向両側に設けられている、前記<29>に記載のディスペンサ。
<31>
前記第2支持部材の前記フランジ部と前記吸入口との間に吸入弁が設置され、前記吸入弁は、板状の弁体を有し、前記弁体と前記第2支持部材の前記フランジ部との間にスペーサが設置されている、前記<24>~<30>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【0090】
<32>
前記蓋部の内面に突起が設けられ、前記付勢ユニットの一部は、前記突起に係止されている、前記<1>~<31>のいずれか1項に記載のディスペンサ。
<33>
前記付勢ユニットは、前記付勢力を発生する付勢部材としてのばねと、前記ばねを支持する第1支持部材および第2支持部材とを有し、前記第1支持部材は、軸方向に延びる軸部と、前記ばねが当接可能なフランジ部とを有し、前記蓋部の前記突起は、前記第1支持部材の前記フランジ部の内周に嵌まるように設置されている、前記<32>に記載のディスペンサ。
<34>
前記蓋部の前記突起は、円筒状であって、スリットが設けられている、前記<32>または<33>に記載のディスペンサ。
【0091】
<35>
前記<1>~<34>のいずれか1項に記載のディスペンサと、前記液状物を収容する容器とを備える、吐出容器。
【符号の説明】
【0092】
1 ディスペンサ
11 ポンプ室
16 吐出口
2 ディスペンサ本体
25 凹部
30 蓋部
34 突起
8 付勢ユニット
80 コイルスプリング(ばね)
81 第1支持部材
82 第2支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9