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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】フェンス用継手
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
E04H17/16 103
E04H17/16 102Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019041358
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020143512
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000221351
【氏名又は名称】JFE建材フェンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌克
(72)【発明者】
【氏名】米山 貴浩
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008778(JP,A)
【文献】実開昭60-191643(JP,U)
【文献】実開平06-074762(JP,U)
【文献】特開平07-091425(JP,A)
【文献】実開平01-130467(JP,U)
【文献】特開2007-239308(JP,A)
【文献】特開平09-195591(JP,A)
【文献】特開平10-008784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 -17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦桟と横桟とが格子状に溶接され、胴縁は、リング状に折り曲げた前記縦桟の端部の外側に前記横桟を溶接することによって形成されたメッシュフェンス用パネルを、丸パイプからなる支柱に固定するためのフェンス用継手において、
長手方向中央部にボルト孔が形成された板状の継手本体と、
前記胴縁内に挿入される前記継手本体の両側に横長に形成された調整孔に移動可能に取り付けられたナットとからなり、
前記継手本体の長手方向中央部の、前記支柱との取付け部分は、前記継手本体の長手方向に弧状に湾曲し、
前記継手本体の両側は、前記継手本体の幅方向に弧状に湾曲し、
前記継手本体の両側の幅方向の曲率半径は、リング状に折り曲げた前記縦桟の曲率半径より大きいことを特徴とするフェンス用継手。
【請求項2】
前記取付け部分の曲率半径は、前記支柱の曲率半径より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のフェンス用継手。
【請求項3】
前記継手本体には、補強用リブが形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のフェンス用継手。
【請求項4】
前記ボルト孔は、横長に形成されていることを特徴とする、請求項1からの何れか1つに記載のフェンス用継手。
【請求項5】
前記調整孔の上下縁部は、円弧が連続した凹凸形状に形成されていることを特徴とする、請求項1からの何れか1つに記載のフェンス用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フェンス用継手、特に、メッシュフェンス用パネルを支柱に固定するためのフェンス用継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メッシュフェンスは、縦桟と横桟とを格子状に溶接したものからなるパネルを、フェンス用継手を介して支柱に固定することによって構築される。
【0003】
従来のフェンス用継手の一例を、図面を参照しながら説明する。以下、この従来のフェンス用継手を従来継手という。
【0004】
図12は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す正面図、図13は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す平面図、図14は、従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す側面図である。
【0005】
図12から図14において、11は、縦桟12と横桟13とを格子状に溶接したものからなるパネルである。パネル11の胴縁14は、リング状に折り曲げられた縦桟12の上端の外側に横桟13を溶接することによって形成されている。なお、図示の胴縁は、上胴縁を示す。
【0006】
15は、パネル11を丸パイプからなる支柱16に固定するための従来継手である。従来継手15は、胴縁14内に挿入される挿入部17と支柱16に固定される固定部18とからなっている。挿入部17には、挿入部17の一部をプレスにより打ち抜くことによって、後述するねじの螺合部19が形成されている。挿入部7には、ボルト孔20が形成され、固定部18には、ボルト孔21が形成されている。
【0007】
このように構成されている従来継手15によりパネル11を支柱16に固定するには、従来継手15の挿入部17をパネル11の胴縁14に挿入し、固定金具22を胴縁14に当てがい、ねじ23を固定金具22を通して挿入部17の螺合部19にねじ込む。
【0008】
このようにして、従来継手15を左右のパネル11の胴縁14に固定したら、ボルト24を一方の従来継手15の固定部18のボルト孔21から支柱16を通して他方の従来継手15の固定部18のボルト孔21に通し、ナット25を締める。これによって、パネル11は、従来継手15により支柱16に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来継手15によれば、パネル11を支柱16に固定することはできるが、2つの継手が必要であるので、継手の数の削減と施工性の改善が望まれている。
【0010】
従って、この発明の目的は、継手の数を削減することができるとともに、施工性の改善を図ることができるフェンス用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0012】
請求項1に記載の発明は、縦桟と横桟とが格子状に溶接され、胴縁は、リング状に折り曲げた前記縦桟の端部の外側に前記横桟を溶接することによって形成されたメッシュフェンス用パネルを、丸パイプからなる支柱に固定するためのフェンス用継手において、長手方向中央部にボルト孔が形成された板状の継手本体と、前記胴縁内に挿入される前記継手本体の両側に横長に形成された調整孔に移動可能に取り付けられたナットとからなり、前記継手本体の長手方向中央部の、前記支柱との取付け部分は、前記継手本体の長手方向に弧状に湾曲し、前記継手本体の両側は、前記継手本体の幅方向に弧状に湾曲し、前記継手本体の両側の幅方向の曲率半径は、リング状に折り曲げた前記縦桟の曲率半径より大きいことに特徴を有するものである。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記取付け部分の曲率半径は、前記支柱の曲率半径より大きいことに特徴を有するものである。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記継手本体には、補強用リブが形成されていることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1からの何れか1つに記載の発明において、前記ボルト孔は、横長に形成されていることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1からの何れか1つに記載の発明において、前記調整孔の上下縁部は、円弧が連続した凹凸形状に形成されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、1つの継手でパネルを支柱に固定することができるので、継手の数を削減することができるとともに、継手本体にナット機能を付加することによって、施工性の改善を図ることができる。
【0019】
また、この発明によれば、ナットを横長に形成された調整孔に移動可能に取り付けることによって、パネルの種類が変わっても1つの継手で対応することができる。
【0020】
また、この発明によれば、継手本体の両側を継手本体の幅方向に弧状に湾曲させることによって、継手本体の強度を高めることができるとともに、外観がよくなる。
【0021】
また、この発明によれば、継手本体の長手方向中央部の、支柱との取付け部分を継手本体の長手方向に弧状に湾曲させ、その曲率を支柱の曲率より大きくすることによって、パネルの傾斜設置に対応することができる。
【0022】
また、この発明によれば、調整孔の上下縁部を円弧が連続した凹凸形状に形成することによって、ナットが上下縁部の凹部に入り込むので、ナットの移動を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明のフェンス用継手を示す正面図である。
図2】この発明のフェンス用継手を示す平面図である。
図3】この発明のフェンス用継手を示す側面図である。
図4】この発明のフェンス用継手を示す背面図である。
図5図1のA-A線断面図である。
図6】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す正面図である。
図7】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す平面図である。
図8】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す側面図である。
図9】この発明のフェンス用継手により支柱にパネルを取り付けた状態を示す背面図である。
図10】ナットを調整孔に移動可能に取り付けた理由の説明図であり、(a)は、縦桟の間隔が狭い場合のナットの位置を示す図であり、(b)は、縦桟の間隔が広い場合のナットの位置を示す図であり、(c)は、調整孔内のナットの移動を示す図である。
図11】調整孔を示す正面図である。
図12】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す正面図である。
図13】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す平面図である。
図14】従来継手によりパネルを支柱に固定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明のフェンス用継手の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、この発明のフェンス用継手を示す正面図、図2は、この発明のフェンス用継手を示す平面図、図3は、この発明のフェンス用継手を示す側面図、図4は、この発明のフェンス用継手を示す背面図、図5は、図1のA-A線断面図である。
【0026】
図1から図5において、1は、長手方向中央部に横長のボルト孔2が形成された板状の継手本体、3は、ナットであり、後述する胴縁14内に挿入される継手本体1の両側に形成された調整孔1aに移動可能に取り付けられている。調整孔1aは、横長に形成されている。ナット3は、緩いかしめにより調整孔1aに取り付けられているので、調整孔1aに沿って移動可能になっている。ナット3を調整孔1aに移動可能に取り付けた理由については、後述する。ボルト孔2を横長に形成したのは、継手本体1の取り付けを調整するためである。
【0027】
継手本体1の長手方向中央部の、支柱4(図2参照)との取付け部分(S)は、継手本体1の長手方向に弧状に湾曲している。取付け部分(S)の曲率は、支柱4の曲率より大きく形成されている。これによって、支柱4と取付け部分(S)との間に隙間(L)が形成されるので、後述するパネル11の傾斜設置に対応することができる。
【0028】
継手本体1の両側は、継手本体1の幅方向に弧状に湾曲している。これによって、継手本体1の強度を高めることができるとともに、後述する胴縁14内において継手本体1が胴縁14と接近するので、外観がよくなる。なお、継手本体1には、補強用リブ5が上下に形成され、これによっても継手本体1が補強されている。
【0029】
このように構成されている、この発明の継手によりパネルを支柱に固定するには、図6から図9に示すように、支柱4に継手本体1を当てがい、ボルト6を支柱4に形成されたボルト孔7から、継手本体1のボルト孔2に通し、ナット8を締める。
【0030】
なお、パネル11は、前述したパネルと同様に、縦桟12と横桟13とを格子状に溶接したものからなり、パネル11の胴縁14は、リング状に折り曲げられた縦桟12の上端の外側に横桟13を溶接することによって形成されている。
【0031】
このようにして、継手本体1を支柱4に固定したら、継手本体1の一方側をパネル11の胴縁14内に挿入する。挿入方法は、例えば、胴縁14に形成された隙間(m)(図8参照)から継手本体1を胴縁14内に差し込む方法を採用する。
【0032】
次に、固定金具9を胴縁14に当てがい、ボルト10を長孔9aが形成された固定金具9を通してナット3にねじ込む。これによって、パネル11は、この発明の継手により支柱4に固定される。これを左右のパネル11において行えば、メッシュフェンスを構築することができる。
【0033】
以上のようにして、この発明の継手によりパネル11を支柱4に固定することができるが、パネル11には、縦桟の間隔が狭いもの(40mm)と、縦桟の間隔が広いもの(50mm)とがあり、パネル11の種類によって固定金具9の長さも変わる。固定金具9によって胴縁14に継手本体1を固定する場合、図10(a)、(b)に示すように、固定金具9の中央部にナット3を位置させて、すなわち、固定金具9の中央部にボルト10を挿入して固定する必要があるが、ナット3が継手本体1の定位置に固定されている場合には、パネル11の種類に応じた継手が必要となり、コストが嵩む。これに対して、ナット3を横長に形成された調整孔1aに移動可能に取り付ければ、図10(c)に示すように、パネル11の種類が変わっても1つの継手で対応することができる。
【0034】
なお、調整孔1aの上下縁部を、図11に示すように、円弧が連続した凹凸形状に形成することによって、ボルト10が上下縁部の凹部に入り込むので、ナット3の移動を制限することができる。
【0035】
以上、説明したように、この発明によれば、1つの継手でパネル11を支柱4に固定することができるので、継手の数を削減することができるとともに、継手本体1にナット機能を付加することによって、施工性の改善を図ることができる。
【0036】
また、この発明によれば、継手本体1の両側を継手本体1の幅方向に弧状に湾曲させることによって、継手本体1の強度を高めることができるとともに、外観がよくなる。
【0037】
また、この発明によれば、ナット3を横長に形成された調整孔1aに移動可能に取り付けることによって、パネル11の種類が変わっても1つの継手で対応することができる。
【0038】
また、この発明によれば、継手本体1の長手方向中央部の、支柱4との取付け部分(S)を継手本体1の長手方向に弧状に湾曲させ、その曲率を支柱4の曲率より大きくすることによって、パネル11の傾斜設置に対応することができる。
【0039】
また、この発明によれば、調整孔1aの上下縁部を円弧が連続した凹凸形状に形成することによって、ナット3が上下縁部の凹部に入り込むので、ナット3の移動を制限することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:継手本体
1a:調整孔
2:ボルト孔
3:ナット
4:支柱
5:補強用リブ
6:ボルト
7:ボルト孔
8:ナット
9:固定金具
9a:長孔
10:ボルト
11:パネル
12:縦桟
13:横桟
14:胴縁
15:従来継手
16:支柱
17:挿入部
18:固定部
19:螺合部
20:ボルト孔
21:ボルト孔
22:固定金具
23:ねじ
24:ボルト
25:ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14