(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 11/102 20140101AFI20221109BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20221109BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20221109BHJP
C09D 11/033 20140101ALI20221109BHJP
【FI】
C09D11/102
B32B27/40
B32B27/18 Z
C09D11/033
(21)【出願番号】P 2019047095
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】寺本 秀康
(72)【発明者】
【氏名】藤本 学
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-177854(JP,A)
【文献】特許第6376269(JP,B2)
【文献】特開2016-104842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-11/54
B32B 27/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)、及びアマイドワックス(D)を含有するリキッド印刷インキであって、下記(1)、及び(2)を満たすことを特徴とするリキッド印刷インキ。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機
溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤(C)中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
【請求項2】
前記アマイドワックス(D)が、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、及びヘキサメチレンビスオレイン酸アマイドからなる群から選ばれる何れか1つ以上である請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
【請求項3】
顔料(A)が、有機顔料及び/又はカーボンブラックである請求項1又は2に記載のリキッド印刷インキ。
【請求項4】
基材上に、請求項1~3のいずれかに記載のリキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包装用ラミネートグラビアインキやフレキソインキとして使用可能なリキッド印刷インキに関する。特に、印刷されたラミネート基材に非常に優れた接着性能を発現することができるラミネート用リキッド印刷インキであって、かつ無機や有機のバリアーコート材が塗布された各種フィルム向けリキッド印刷インキに関する。
【背景技術】
【0002】
グラビアインキ、フレキソインキは、被印刷体に美粧性、機能性を付与させる目的で広く用いられている。グラビア、フレキソ印刷された被印刷体が、包装材料の中でも特に食品包材として用いられる場合、ラミネート加工が施されるのが一般的である。この場合、内容物の種類や使用目的に応じて様々な被印刷体やラミネート加工が利用される。
【0003】
従来、この様なラミネート加工物には、ポリウレタン樹脂をバインダーとした印刷インキが各種被印刷体への接着性、各種ラミネート加工物のラミネート強度、ボイルレトルト適性が優れることから広く用いられていた。
そして、更なる印刷適性を改善するために様々な試みが行われており、例えば、上記印刷適性以外にも版つまり性によるハイライト転移性を改善するためにグリコールエーテルあるいは水を含有する溶剤系グラビアインキが提案されている(特許文献1)。
またインキ安定性、2液安定性を改善するために塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン-無水マレイン酸を配合したリキッド印刷インキも提案されている(特許文献2)。
しかし、近年の包装基材の多様化に伴い、装飾あるいは表面保護の為に用いられるリキッド印刷インキは、フィルム基材への接着性、ポリエチレン押し出しラミネート強度に加え、フィルム印刷後の耐ブロッキング性を保持しつつ、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻ききれない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版かぶりの現象」や、グラビア刷版のセルにインキが詰まりインキが印刷物に転移しにくい「版詰まりの現象」によるハイライト転移性をも良好に保つことに依然困難性があるものであり、更なる改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-328646
【文献】特開2014-005318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フィルム基材に対する接着性、耐ブロッキング性、ポリエチレン押出しラミネート強度に優れ、版カブリの現象が生じにくく、ハイライト転移性に優れ、ロングラン印刷時の網点のドットゲインの変化に伴う色調再現の安定性に優れたリキッド印刷インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 顔料(A)、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)、及びアマイドワックス(D)を含有するリキッド印刷インキであって、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)が特定の条件を満たし、且つアマイドワックス(D)を特定量含有する事が課題解決に有効であることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、 顔料(A)、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)、及びアマイドワックス(D)を含有するリキッド印刷インキであって、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とするリキッド印刷インキに関する。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
【0008】
また、本発明は、 前記アマイドワックス(D)が、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、及びヘキサメチレンビスオレイン酸アマイドからなる群から選ばれる何れか1つ以上であるリキッド印刷インキに関する。
【0009】
また、本発明は、顔料(A)が、有機顔料及び/又はカーボンブラックであるリキッド印刷インキに関する。
【0010】
また、本発明は、基材上に、該リキッド印刷インキを印刷して形成された印刷層を有する印刷物に関する。
【0011】
また、本発明は、前記印刷物の印刷層に、接着剤層、フィルム層が順に貼り合わされた積層体に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、フィルム基材に対する接着性、耐ブロッキング性、ポリエチレン押出しラミネート強度に優れ、版カブリの現象が生じにくく、ハイライト転移性に優れ、ロングラン印刷時の網点のドットゲインの変化に伴う色調再現の安定性に優れたリキッド印刷インキが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について詳細に説明する。なお以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」とは全て「質量部」を示す。
【0014】
本発明は、顔料(A)、バインダー樹脂(B)、有機溶剤(C)、及びアマイドワックス(D)を含有するリキッド印刷インキであって、下記(1)、及び(2)を満たすことを特徴とするリキッド印刷インキに関する。
(1)バインダー樹脂(B)がポリウレタン尿素樹脂でありその重量平均分子量が
15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である。
(2)前記リキッド印刷インキ100質量%中、有機溶剤(C)成分がエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤であり、
有機溶剤中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを溶剤全量の1~15質量%含有し、更にアマイドワックス(D)をインキ全量の0.1~3質量%含有する。
【0015】
本発明のリキッド印刷インキに使用される顔料(A)としては、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料を挙げることができる。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例を挙げる。
【0016】
黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20等が挙げられる。
【0017】
藍色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
【0018】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
【0019】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
【0020】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
【0021】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
【0022】
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
【0023】
茶色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
【0024】
中でも、好ましい顔料として、黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
【0025】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0026】
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0027】
前記顔料(A)の平均粒子径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましくより好ましくは50~150nm程度のものである。
前記顔料(A)は、リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ組成物の総重量に対して1~60重量%、インキ組成物中の固形分重量比では10~90重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0028】
本発明のリキッド印刷インキで使用するバインダー樹脂(B)としては、ポリウレタン尿素樹脂が好ましく、
(1)前記ポリウレタン尿素樹脂の重量平均分子量が15,000~100,000、かつウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上2.5mmol/g以下である事を必須とする。
【0029】
前記ポリウレタン尿素樹脂の重量平均分子量としては、柔軟性及び特に押し出しラミネート強度を高いレベルで維持できる点から、15,000~100,000の範囲であることが好ましく、30,000~90,000の範囲であることがより好ましく、50,000~85,000の範囲が更に好ましい。
また、ポリウレタン尿素樹脂100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を1~50質量%含有する事が好ましく、より好ましくは1~30質量%の範囲である。
【0030】
尚、前記ポリウレタン尿素樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0031】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0032】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0033】
本発明のリキッド印刷インキに使用されるウレタン尿素樹脂のウレタン結合濃度は、1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下が好ましく、1.3mmol/g以上であればより好ましい。本発明のリキッド印刷インキのウレタン結合濃度を1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、フィルム基材との接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性が改善され、1.3mmol/g以上であればより好ましい。
ウレタン結合濃度が1.2mmol/gを以上であれば、本発明のリキッド印刷インキを使用したグラビア印刷物、又はフレキソ印刷物に対するポリエチレン押出しラミネート強度が十分保持される傾向にある。一方でウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下であれば、グラビア印刷の場合、画線部以外の箇所にドクターでインキが掻き切れない部分が「カブリ」となって印刷物に転移する「版カブリの現象」が生じる現象が抑制できる。
本発明のウレタン結合濃度が1.2mmol/g以上 2.5mmol/g以下であれば、各種フィルムとの接着性、印刷絵柄の裏移りを伴うブロッキング性に加えてグラビア印刷で不具合となりうる「版カブリ防止」をも兼備するものである。
また、ウレタン結合濃度が2.5mmol/g以下とする事で、フレキソ版によるロングラン印刷時に版上でインキが乾く事で生じる絡み汚れを抑制する事ができる。
なお、ウレタン結合濃度は下記の式(1)により算出できる。
【0034】
ウレタン結合濃度={(W1×OH1+W2×OH2+・・・+Wi×OHi)×1000}/(56100×S) 式(1)
式(1)において、各々以下の通りである。
複数種ポリオールを使用する場合、各々ポリオール1、ポリオール2~ポリオールiとして算出する。
W1:ポリオール1の質量
OH1:ポリオール1の水酸基価
W2:ポリオール2の質量
OH2:ポリオール2の水酸基価
Wi:ポリオールiの質量
OHi:ポリオールiの水酸基価
S:ウレタン樹脂固形分の質量
【0035】
前記ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよい。ポリエーテルポリオールを上記の範囲で使用することにより、特に高機能バリアーフィルム上での接着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。高機能バリアーフィルム上にて、接着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度を特に良化させるには、ポリエーテルポリオールの中でポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0036】
前記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が100~3500であることが好ましい。なお、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、ポリウレタン尿素樹脂と同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、〔0023〕、〔0024〕記載の条件で測定した。
【0037】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂の構成成分であるポリエーテルポリオールの数平均分子量が100以上であればポリウレタン尿素樹脂の皮膜が硬くなることなく、ポリエステルフィルム等のフィルム基材への接着性も保持される傾向にある。数平均分子量が3500以下の場合、ポリウレタン尿素樹脂の皮膜が脆弱になる事なくインキ皮膜の耐ブロッキング性が保持される傾向となる。
【0038】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン尿素樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
【0039】
なお、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
【0040】
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン尿素樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン尿素樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
本発明のリキッド印刷インキにおけるポリウレタン尿素樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂は、例えば、ポリエチレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、ノントルエン系グラビアインキ用、又はフレキソインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリエチレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン尿素樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン尿素樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9~1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン尿素樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。
【0043】
本発明のリキッド印刷インキで使用するポリウレタン尿素樹脂のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキ固形分全量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
【0044】
本発明において有機溶剤(C)とは、リキッド印刷インキの主原料の1つであるバインダー樹脂を溶解しうる性質を持つ有機化合物であるが、作業環境の観点から、トルエンといった芳香族有機溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤は使用しないことが好ましく、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合物を使用することが好ましい。
中でも、有機溶剤(C)中のアルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを有機溶剤全量の1~15質量%含有することを必須とする。
尚、本発明において有機溶剤全量とは、インキを金属性トレーに1グラムとり、防爆型オーブン乾燥機にて120℃-60分乾燥して得た固形分の質量を差し引いた質量とする。
【0045】
前記エステル系有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、炭素原子数4~6のアルコールとしては、イソブタノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール等のアルコール系有機溶剤が挙げられる。
前記炭素原子数4~6のアルコールを有機溶剤全量の1質量%以上とする事で、グラビア印刷が進行するに従って網点が実際のセル開口部の面積よりも広がる事で色調再現性が低下するドットゲインの現象を抑制でき、ハイライト転移性、耐ブロッキング性が向上する傾向となる一方、有機溶剤全量の15質量%以下で含有する事でハイライト転移性、耐ブロッキング性に加えて、押し出しラミネート強度を保持する事ができ、これらの効果は、後述するアマイドワックス(D)を、溶剤込みとするインキ全量の0.1~3質量%添加する事により、炭素原子数4~6のアルコールとアマイドワックス(D)との相乗効果により更に良好な結果が得られる。
近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤を用いないことが望ましい。
【0046】
本発明のリキッド印刷インキでは、更にアマイドワックス(D)を溶剤込みとするインキ全量の0.1~3質量%含有する事を必須とする。
前記アマイドワックス(D)を溶剤込みとするインキ全量の0.1質量%以上添加する事でハイライト転移性、版カブリ性、及び耐ブロキング性が保持できる傾向にあり、3質量%以下とする事で押し出しラミネート強を保持する事ができる。
【0047】
前記アマイドワックス(D)としては、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、及びヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド等が挙げられ、これらを単独で使用しても良く、2種以上混合して使用してもよい。
【0048】
本発明のリキッド印刷インキに必要に応じて併用される樹脂の例としては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの溶剤込みとする総質量に対して1~25質量%が好ましく、更に好ましくは2~15質量%である。
【0049】
本発明のリキッド印刷インキでは更に必要に応じて、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
【0050】
本発明のリキッド印刷インキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をポリウレタン尿素樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
【0051】
前記顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0052】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン尿素樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0053】
本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けのインキを除くものである。
即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明のリキッド印刷インキは、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明のリキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0054】
基材は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【実施例】
【0055】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:0.4質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
尚、水酸基価は、ポリウレタン樹脂中の水酸基を過剰のアセチル試薬にてアセチル化した際の、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウム(KOH)のmg数で示したものであり、JISK0070に準じたものである。
【0056】
(合成実施例1)ポリウレタン尿素樹脂溶液B-1
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール84.5部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール15.5部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.55部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.83部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液B-1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-1は、樹脂固形分濃度30.4重量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は段落〔0026〕記載の式(1)に従う算出方法により1.20mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計137.76部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(15.5部)を11.4質量%含有するものである。
【0057】
(合成実施例2)ポリウレタン尿素樹脂溶液B-2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール75部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール25部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート58.74部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.80質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン9.66部、ジ-n-ブチルアミン0.11部、酢酸エチル170.1部およびイソプロピルアルコール137.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液B-2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.50mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計168.51部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(25部)を14.8質量%含有するものである。
【0058】
(合成実施例3)ポリウレタン尿素樹脂溶液B-3
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール100部(水酸基価:91.2mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート27.62部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル68.7部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.48部、ジ-n-ブチルアミン0.4部、酢酸エチル136.8部およびイソプロピルアルコール110.7部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液B-3を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液B-3は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは54,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により1.20mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計135.5部)中にポリエーテルポリオールは含有してしない。
【0059】
(合成比較例1)ポリウレタン尿素樹脂溶液H-1
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール77部(水酸基価:224mgKOH/g)とポリエチレングリコール28部(水酸基価:278mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート54.62部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.21質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル85.9部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.59部、ジ-n-ブチルアミン0.9部、酢酸エチル164.5部およびイソプロピルアルコール134.8部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液H-1を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液H-1は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは25,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により2.70mmol/gであった。
ポリウレタン尿素樹脂(総計165.11部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(28部)を16.9質量%含有するものである。
【0060】
(合成比較例2)ポリウレタン尿素樹脂溶液H-2
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペン
チルグリコールアジペートジオール80部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール20部(水酸基価:111mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート22.54部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネ ート基含有率2.84重量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル66.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.25部、ジ-n-ブチルアミン0.27部、酢酸エチル131.3部およびイソプロピルアルコール106.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し 、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン尿素樹脂溶液H-2を得た。
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液H-2は、樹脂固形分濃度30.2質量%、樹脂固形分のMwは50,000であり、ウレタン結合濃度は合成実施例1と同様の算出方法により0.93mmol/gであ った。
ポリウレタン尿素樹脂(総計130.06部)中にポリエーテルポリオールとしてポリエチレングリコール(20部)を15.3質量%含有するものである。
【0061】
〔実施例1〕
得られたポリウレタン尿素樹脂溶液B-1を35部、フタロシアニン系青色顔料10部(DIC(株)製FASTGEN Blue LA5380)、エチレンビスオレイン酸アマイド0.2部、酢酸エチル24.8部、酢酸n-プロピル11.5部、イソプロピルアルコール10部、1-プロピルアルコール7.8部、イソブタノール0.7部の混合物(計100部)を練肉し、青色リキッド印刷インキを作製した。全溶剤中の炭素原子数4のアルコールであるイソブタノールの含有量は1.0%である。
【0062】
〔実施例2~36、及び比較例1~28〕
その他、実施例2~36、及び比較例1~28について、表1~5の組成に従い、実施例1と同様に青色リキッド印刷インキを作製した。
尚、表1~5に、各青色リキッド印刷インキの有機溶剤全量中に含まれる「炭素原子数4~6のアルコール」の質量%を示す。
各青色リキッド印刷インキの有機溶剤の量は、該インキを金属性トレーに1グラムとり、防爆型オーブン乾燥機にて120℃-60分乾燥して得た固形分の質量を差し引いた質量である。
【0063】
〔評価項目1:粘度測定〕
得られた青色リキッド印刷インキの25℃での粘度(秒)をザーンカップ#4(離合社製)にて測定した。 粘度は30秒以下である事が望ましく、但しゲル化しない事を条件とする。
【0064】
〔印刷物の製造方法〕
得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、アルミナ蒸着透明PETフィルム(IB-PET-PUB、厚み:12μm、大日本印刷(株)社製)、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルム)に印刷して45℃で乾燥し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、アルミナ蒸着透明PETフィルムへの接着性と耐ブロッキング性及びOPPフィルムへの接着性と押出しラミネート強度の測定を行い評価した。
また、印刷物のドットゲイン、ハイライト転移性、版カブリ性について各々下記の試験方法に従って評価を行った。その評価結果を表1~5に示す。
【0065】
〔評価項目2:接着性(アルミナ蒸着透明PETフィルム、OPPフィルム共通)〕
上記印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。なお判定基準は次の5段階評価とした。
(評価基準)
5:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
4:印刷皮膜の80以上~95%未満がフィルムに残った。
3:印刷皮膜の60%以上80%未満がフィルムに残った。
2:印刷皮膜の40%以上60%未満がフィルムに残った。
1:印刷皮膜の40%未満がフィルムに残った。
【0066】
〔評価項目3:OPPフィルムの押出しラミネート強度〕
OPPフィルム印刷物に、ポリエチレンイミン系のアンカーコート剤を0.1g/m2塗布した後 、押出しラミネート機によって溶融ポリエチレンを厚さ40μmで積層し、ラミネート加工物を得た後に、ラミネートフィルムを15mm幅に切り出し、引張り試験機にて引っ張り速度50mm/分で90度剥離試験を行った。 0.7N/15mm以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
5:ラミネート強度が1.0N/15mm以上である。
4:ラミネート強度が0.7N/15mm以上~1.0N/15mm未満である。
3:ラミネート強度が0.5N/15mm以上~0.7N/15mm未満である。
2:ラミネート強度が0.3N/15mm以上~0.5N/15mm未満である 。
1:ラミネート強度が0.3N/15mm未満である。
【0067】
〔評価項目4:耐ブロッキング性〕
OPPフィルム印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを重ね合わせ、10kgf/cm2の加重をかけ、40℃の環境下に12時間経時させ、取り出し後、非印刷面へのインキの転移の状態を、次の5段階で目視評価した。3以上であれば使用可能とした。
(評価基準)
5:非印刷面へのインキの転移量0%で転移が見られない。
4:5%未満の僅かな転移が見られる。
3:5%以上~10%未満の転移が見られる。
2:10%以上~20%未満の転移が見られる。
1:20%以上が転移している。
【0068】
〔評価項目5:ドットゲイン〕
実施例、比較例で得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピアルコールの質量比率2/1の混合溶剤でザーンカップ#3(離合社製)を用いて16秒(25℃)に調整し、網点50%部を有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
ドットゲインの評価は、円周600mmφで200m/minのグラビア版で4000m印刷した際の、グラビア版の50%網点部分のセル開口部の面積と、印刷物の50%網点部分の面積を比較した。
グラビア印刷では網点が実際のセル開口部の面積よりも広がると、色調などの再現が悪くなるため、印刷物の網点はセル開口部の面積に近いものが望ましい。
(評価基準)
5:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が100%~120%の範囲である。
4:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が121%~130%の範囲である。
3:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が131%~140%の範囲である。
2:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が141%~160%の範囲である。
1:セル開口部の面積と比較し印刷物網点の面積が161%以上である。
【0069】
〔評価項目6:ハイライト転移性〕
実施例、比較例で得られた青色リキッド印刷インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深度25μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで200m/minの印刷速度した際のハイライト印刷部分(網点面積10%未満)におけるカスレの面積の割合と、非印刷部の汚れ具合を目視評価した。 評価4以上が実用範囲である。
(評価基準)
5:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
4:カスレが少し見られる 、若しくは非印刷部に汚れが少しみられる。
3:カスレが少し見られ 、且つ非印刷部に汚れが少し見られる。
2:カスレが見られ 、且つ非印刷部に汚れが見られる。
1:カスレが多く見られ、且つ非印刷部にも汚れが多く見られる。
【0070】
〔評価項目7:版カブリ性〕
上記ハイライト転移性試験の条件で印刷した時の印刷物の中で、非印刷部の汚れ具合(版かぶり度)を評価した。
(評価基準)
5:印刷汚れが全く見られない。
4:印刷汚れが極僅かに確認できる。
3:印刷汚れ僅かに確認できるが実用範囲である。
2:印刷汚れが顕著に見られる。
1:印刷汚れが甚だしく見られる。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【表5】
表中の略語は次の通りである。また、空欄は未配合であることを示す。
UA:ウレタン結合濃度(単位 mmol/g)
FASTGEN Blue LA5380:DIC(株)製フタロシアニン系青色顔料
カーボンブラックMA-14:三菱ケミカル(株)製カーボンブラック
【0076】
評価結果より本発明のリキッド印刷インキは、フィルム基材に対する接着性、耐ブロッキング性、ポリエチレン押出しラミネート強度に優れ、版カブリの現象が生じにくく、ハイライト転移性、及びロングラン印刷時の網点のドットゲインの変化に伴う色調再現の安定性に優れる。
尚、比較例11、及び23はインキがゲル化してしまい、評価する事が出来なかった。