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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20221109BHJP
   F24F 6/16 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/16
F24F6/00 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019090366
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2020186835
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 長
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴大
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032122(JP,A)
【文献】特開2018-204818(JP,A)
【文献】特開2019-002602(JP,A)
【文献】特開2016-080299(JP,A)
【文献】特開2016-003806(JP,A)
【文献】特開2002-364890(JP,A)
【文献】中国実用新案第208042412(CN,U)
【文献】米国特許第05636319(US,A)
【文献】特開2012-013361(JP,A)
【文献】特開2015-187527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
前記器具本体内に形成された送風経路と、
前記送風経路の下流側にあり水を貯水する貯水タンクと、
前記貯水タンクの上端外縁に形成されたタンク側フランジ面と、
前記貯水タンク内に設置され微細水滴を含む加湿空気を発生させる加湿空気発生手段と、
前記貯水タンクの上方に位置し前記加湿空気が通過するケースと、
前記ケースの下部外縁に形成され前記タンク側フランジ面に載置されるケース側フランジ面と、
前記器具本体の吸気口から吸い込んだ空気を前記送風経路、前記貯水タンク、前記ケースを順次通過させ前記器具本体の送風口から送風する送風ファンと、を備え、
前記貯水タンクの上端近傍で前記貯水タンクの上端より下方となる側壁内側には、当該側壁と隣接する一端から内側方向に向かって延び、前記ケースの側壁より内側となる位置に他端がある水平部を有し、前記タンク側フランジ面と前記ケース側フランジ面とで形成される間隙へ向かう加湿空気を遮風する樋状の遮風部材を設置したことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記ケースは前記器具本体から着脱自在であり、
前記遮風部材は、前記水平部の他端から垂直上方向へ向かって延び、前記ケースの下端よりも下方となる位置に上端がある垂直部を有することを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記加湿空気発生手段は、回転することで周囲に水滴を飛散する回転体と、前記回転体の周囲に設置され水滴が衝突することで微細化する衝突体と、前記回転体を回転駆動させるミストモータと、で構成され、
前記水平部には前記水平部を貫通する排水穴が形成され、前記排水穴には、前記水平部と垂直な方向にある一の面を開口し、他の面を閉塞するカバーが載置されたことを特徴とする請求項2記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加湿空気を室内へ供給する加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、貯水タンク内に設置された加湿空気発生手段により発生した微細水滴を含む加湿空気を送風口から室内へ送風する加湿装置において、貯水タンクの上端に形成されたタンク側フランジ面に当接するケース側フランジ面に凸部を形成したので、ケースを貯水タンクの上端に載置したとき、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とで形成される間隙の距離を一定に保持することができ、貯水タンク周囲の送風経路から間隙を介して貯水タンク内へ流入する空気量を一定に保持することができるため、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とに水滴が付着し水アカやカルキによる汚れが発生することを、前記間隙にパッキンを設置することなく未然に阻止可能としたものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-32122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とで形成される間隙を通過する送風量が小さい場合、間隙を通過し貯水タンクの外側方向へ向かう微細水滴を風圧で押し返すことができず、間隙に水滴が入り込みタンク側フランジ面及びケース側フランジ面に水滴が付着し、水アカやカルキによる汚れが発生してしまうことから、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とに水滴が付着することを確実に阻止可能な加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、 器具本体と、
前記器具本体内に形成された送風経路と、
前記送風経路の下流側にあり水を貯水する貯水タンクと、
前記貯水タンクの上端外縁に形成されたタンク側フランジ面と、
前記貯水タンク内に設置され微細水滴を含む加湿空気を発生させる加湿空気発生手段と、
前記貯水タンクの上方に位置し前記加湿空気が通過するケースと、
前記ケースの下部外縁に形成され前記タンク側フランジ面に載置されるケース側フランジ面と、
前記器具本体の吸気口から吸い込んだ空気を前記送風経路、前記貯水タンク、前記ケースを順次通過させ前記器具本体の送風口から送風する送風ファンと、を備え、
前記貯水タンクの上端近傍で前記貯水タンクの上端より下方となる側壁内側には、当該側壁と隣接する一端から内側方向に向かって延び、前記ケースの側壁より内側となる位置に他端がある水平部を有し、前記タンク側フランジ面と前記ケース側フランジ面とで形成される間隙へ向かう加湿空気を遮風する樋状の遮風部材を設置したことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2では、前記ケースは前記器具本体から着脱自在であり、
前記遮風部材は、前記水平部の他端から垂直上方向へ向かって延び、前記ケースの下端よりも下方となる位置に上端がある垂直部を有することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3では、前記加湿空気発生手段は、回転することで周囲に水滴を飛散する回転体と、前記回転体の周囲に設置され水滴が衝突することで微細化する衝突体と、前記回転体を回転駆動させるミストモータと、で構成され、
前記水平部には前記水平部を貫通する排水穴が形成され、前記排水穴には、前記水平部と垂直な方向にある一の面を開口し、他の面を閉塞するカバーが載置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、貯水タンクの上端下方の側壁に樋状の遮風部材を設置したので、加湿空気発生手段により発生した微細水滴がタンク側フランジとケース側フランジとで形成される間隙へ向けて飛散しても、遮風部材により間隙内への水滴の侵入を阻止することができるため、間隙を通過する送風量が小さい場合であっても、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とに水滴が付着することを確実に阻止することができ、水アカやカルキによる汚れの発生を防止することができる。
【0010】
また、ケースは器具本体から着脱自在に構成され、遮風部材は、貯水タンクの側壁と隣接する一端から内側方向に向かって延び、ケースの側壁より内側となる位置に他端がある水平部と、水平部の他端から垂直上方向へ向かって延び、ケースの下端よりも下方となる位置に上端がある垂直部と、を有するので、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とで形成される間隙に向かう水滴を確実に遮蔽することができ、また、ケースを簡易に前後方向へ動作させることができるため、ケースを引き出してメンテナンスを簡易に実施することができる。
【0011】
また、加湿空気発生手段は、回転することで周囲に微細水滴を飛散する回転体を有し、水平部には水平部を貫通する排水穴が形成され、排水穴には、水平部と垂直な方向にある一の面を開口し、他の面を閉塞するカバーが載置されたので、ケースの側壁から滴下した水滴について排水穴を介して確実に貯水タンク内へ戻すことができると共に、貯水タンク内で発生した微細水滴が排水穴を通過し、タンク側フランジ面とケース側フランジ面とに水滴が付着することを確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図である。
図2】同実施形態の概略構成図である。
図3】同実施形態の操作部を説明する図である。
図4】同実施形態の制御ブロック図である。
図5】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャートである。
図6】同実施形態の遮風部材を説明する斜視図である。
図7】同実施形態の遮風部材を説明する前面視断面図である。
図8】同実施形態の遮風部材を説明する部分拡大断面図である。
図9】同実施形態の遮風部材を説明する前面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の一実施形態におけるミスト発生装置を図に基づいて説明する。
図1を参照する。1は器具本体、2は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、3は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、4は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバーである。
【0014】
図2を参照する。10は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水タンクである。この貯水タンク10の内側には、水面より下に設置されON状態、OFF状態を切り替えることで貯水を加熱する加熱ヒータ11と、フロートが上下することで水位を検知する水位センサ12と、水平方向へ延びる板にミストモータ24が載置され鉛直上方向へ延びる板の上端が気水分離ケース30の下端と当接し支持可能とする仕切板14と、が設置されている。また、貯水タンク10内の右側上方には乾燥空気が流入可能な空気流入口15が形成されている。
【0015】
また、貯水タンク10の外側には、貯水タンク10の底面に設置され貯水タンク10内の貯水温度を検知する貯水温度センサ13が設置されている。
【0016】
図2を参照する。20は貯水タンク10の水中に下端が水没し駆動軸21に軸支され中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大する筒状の回転体であり、回転体20は、上部外周に所定間隔を離間させて位置し回転体20と共に回転する円筒状の枠体22と、該枠体22の全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部23が設置されている。
【0017】
図2を参照する。24は貯水タンク10の上方に設置され駆動軸21と軸支することで回転体20を回転駆動させるミストモータ24であり、当該ミストモータ24が駆動すると回転体20が回転して貯水タンク10の内壁から汲み上げられた水が回転体20の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散し多孔部23に衝突することで、水が微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミストが多量に生成されると同時に、粒径が比較的大きな大粒水滴が発生する。また、前記回転体20、前記多孔部23、及び前記ミストモータ24で加湿空気発生手段が構成されている。
【0018】
なお、ミストモータ24は回転体20を平面視で時計回り方向のみに回転駆動させることが可能なモータを使用しており、後述するミスト運転時において、各設定状態に応じ回転体20を時計回り方向へ回転数を変化させて回動させる。
【0019】
なお、貯水タンク10内の水位が下限水位を下回ると、回転体20で水を汲み上げることが困難な状態になり、ミストと負イオンの発生量が減少して室内に放出される加湿空気量が減少してしまう。
また、貯水タンク10内の水位が上限水位を上回ると、水の粘性抵抗により回転体20の回転に対する負荷が増大することから、ミストモータ24に負荷がかかり製品寿命の低下に繋がる。
以上のことから、貯水タンク10内の水位を下限水位から上限水位の範囲に収めることで、回転体20による水の汲み上げ量を確保すると共にミストモータ24の負荷増大を防止することができる。
【0020】
図2を参照する。30は貯水タンク10の上方に位置して貯水タンク10と送風口40とを接続し、貯水タンク10内で発生したミストを含む加湿空気が通過する気水分離ケース、31は該気水分離ケース30の途中に互い違いとなるよう複数配置された板状のバッフル板である。
【0021】
気水分離ケース30内を加湿空気が通過すると加湿空気に含まれる粒径の大きな大粒水滴がバッフル板31に付着し、バッフル板31に付着した大粒水滴が溜まると気水分離ケース30の側面を流れ落ちて貯水タンク10へ滴下する。これにより、送風口40まで大粒水滴が案内されることがなく、送風口40付近の結露発生を未然に防止することができる。
【0022】
また、気水分離ケース30は、図示しない取手を握って器具本体1の前方向に引き出すことが可能である。これにより、定期的に気水分離ケース30を器具本体1内から取り出してメンテナンスや清掃等の作業を実施し、作業終了後に元の設置場所へ戻すことで、気水分離ケース30に起因する製品トラブルを未然に阻止することができる。
【0023】
図2を参照する。40は器具本体1上部の前面方向が開口した状態で形成された送風口であり、送風口40には、上下方向の風向を変更可能な板状のルーバー41と、室内へ送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ42と、が備えられ、気水分離ケース30を通過したミストを含む加湿空気が送風口40から室内へ送風されることで室内の加湿と空気清浄とが実施可能となる。
【0024】
図2を参照する。50は器具本体1の底面に形成され室内の空気が入り込む吸気口であり、吸気口50内には、所定の回転数で駆動することで室内の乾燥空気を吸引して器具本体1の上部方向へ送風する送風ファン51と、吸気口50へ吸い込まれる乾燥空気の雰囲気温度を検知する吸気温度センサ52と、器具本体1が設置された室内の相対湿度を検知する湿度センサ53と、を備えている。
【0025】
送風ファン51が所定の回転数で駆動すると、器具本体1の底面に形成された吸気口50から吸い込んだ乾燥空気が器具本体1の上部方向へ送風され、吸気口5と貯水タンク10とを接続する送風経路54を乾燥空気が通過し、貯水タンク10内へ流入した乾燥空気がミストを含んだ加湿空気となって前記気水分離ケース30内を上昇し送風口40から室内へ送風されることで、ミストを含んだ加湿空気を室内に供給することができる。
【0026】
図2を参照する。60は貯水タンク10の側面に一端が接続され貯水タンク10内に市水を給水する給水管であり、給水管60の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水タンク10内への給水を制御する給水弁61と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁62とが備えられている。
【0027】
70は貯水タンク10の下部に一端が接続され貯水タンク10内の水を器具本体1外部に排水する排水管であり、排水管70の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水タンク10内水の排水を制御する排水弁71が備えられている。
【0028】
図3を参照する。80は上面パネル2に設置され複数のスイッチとランプとを備えた操作部であり、操作部80には、ミスト運転の開始及び停止を指示する運転スイッチ81と、加熱ヒータ11のON/OFF状態を切り替えることで貯水タンク10内の貯水温度を変化させ所定時間あたりに貯水タンク10から流出する水量である加湿量を変化させる3段階の加湿レベルと、湿度センサ53で検知された湿度が予め設定された湿度となるよう前記加湿レベルを変化させるオートモードとから選択可能な加湿スイッチ82と、ミストモータ24と送風ファン51との回転数の大小を設定可能な三段階の風量レベルと、湿度センサ53で設定された湿度が予め設定された湿度となるよう前記風量レベルを変化させるオードモードとから選択可能な風量スイッチ83と、が備えられている。
【0029】
図3を参照する。操作部80の各スイッチ上部には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチ81が操作されたら点灯する運転ランプ84と、ミスト運転が所定時間以上継続したら開始する除菌運転時に点灯する除菌ランプ85と、加湿スイッチ82で設定された加湿レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する加湿レベルランプ86と、風量スイッチ83で設定された風量レベルを1から3の数値とオートモードを示すAで表示する風量レベルランプ87と、が備えられている。
【0030】
図4を参照する。90は各センサで検知された検知値や操作部80上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ24を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段91と、送風ファン51を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段92と、加熱ヒータ11のON/OFF状態を切り替えて貯水タンク10内の水温を制御するSSR(ソリッドステートリレー)で構成される加熱ヒータ制御手段93と、が備えられている。
【0031】
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について、図5のフローチャートを参照し説明する。
【0032】
まず、操作部80の運転スイッチ81が操作されたら、制御部90は、排水弁71を開弁して貯水タンク10内の水を排水し、水位センサ12でOFF信号が検知されたら給水弁61を開弁して貯水タンク10内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁71を閉弁することで給水弁61から流入する水を貯水タンク10内に供給し、水位センサ12でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水タンク10内に供給されたとして給水弁61を閉弁する洗浄モードを行う(ステップS101)。
【0033】
ステップS101の洗浄モードが終了したら、制御部90は、貯水温度センサ13で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段93で加熱ヒータ11をON状態にして、ミストモータ24及び送風ファン51が所定の回転数となるようミストモータ制御手段91及び送風ファン制御手段92で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0034】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部90は、加湿スイッチ82及び風量スイッチ83で設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいて、ミストモータ24と送風ファン51とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段91と送風ファン制御手段92とで回転数を制御し、加熱ヒータ11のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段93で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0035】
また、制御部90は、前記ミスト運転中に貯水タンク10の水位が下限水位以下となって水位センサ12がOFF信号を出力したと判断したら、給水弁61を開弁して貯水タンク10内への給水を開始し、貯水タンク10の水位が上限水位に達して水位センサ12がON信号を出力したと判断したら、給水弁61を閉弁して貯水タンク10内への給水を停止することで、常時ミスト運転が実施可能な水位を保持することができる。
【0036】
また、制御部90は、水入れ替え動作の実施タイミングに達したと判断したら、ミストモータ24と送風ファン51とを停止させ排水弁71を開放して貯水タンク10内の水を排水し、水位センサ12が下限水位を検知する所定の排水時間が経過するまでに水位センサ12が下限水位を検知していれば排水弁71を閉止すると共に給水弁61を開放して貯水タンク10内への給水を開始し、水位センサ12で上限水位が検知するか所定の給水時間が経過したら給水弁61を閉止する動作を所定回数だけ繰り返し、所定のタイミングでミストモータ24と送風ファン51とを駆動させる水入れ替え動作を実施することで、貯水タンク10内を清浄にしてスケールの析出が発生するのを防止する。
【0037】
また、前記水入れ替え動作時において水位センサ12が下限水位を検知する所定の排水時間内に水位センサ12が下限水位を検知しなかった場合、制御部90は、エラーと判断してミストモータ24と送風ファン51との駆動を停止させ運転ランプ84を点滅させることでエラーを報知すると共に、運転スイッチ81を操作することでのミスト運転の実施を禁止するエラー状態に切り替わる。そして、作業者によるメンテナンスが実施された後に制御部90にある図示しない特定のスイッチが操作される等の所定のエラー解除動作が実行されたと制御部90が判断したら、エラー状態を解除して運転スイッチ81を操作することでミスト運転の実施が可能な状態に切り替わる。
【0038】
ステップS103の通常運転モードが開始されてから経過した時間が16時間となったか、または通常運転モード中に運転スイッチ81が操作されミスト運転終了の指示があったと判断したら、制御部90は、ミストモータ24を停止させてから排水弁71を開弁して貯水タンク10内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁61を開弁して貯水タンク10内を洗浄してから排水弁71を閉弁して貯水タンク10内に所定量だけ貯水する洗浄運転を行い、その後、加熱ヒータ11をON状態にして水を65℃前後に加熱し除菌を行う除菌運転を10分間実施し、10分経過後に貯水タンク10内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が60℃未満になったら排水弁71を開弁して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0039】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部90は、乾燥モード(ステップS105)に移行し、送風ファン51が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段92で制御し、所定時間(例えば3時間)だけ送風ファン51を駆動させ続ける乾燥運転を実施して、3時間経過したと判断したら、送風ファン51を停止させて運転を終了する。
【0040】
次に、貯水タンク10と気水分離ケース30との接続箇所付近の構造について詳述する。
【0041】
図6を参照する。貯水タンク10の上端外縁には、貯水タンク10の外側方向へ水平に延びるタンク側フランジ面10aが形成されている。そして、貯水タンク10の上端より下方となる貯水タンク10の側壁と仕切板14には、樋状の遮風部材16が設置されている。
【0042】
図6を参照する。貯水タンク10の側壁に設置された前記遮風部材16は、一端が貯水タンク10の側壁と隣接して貯水タンク10の内側方向へ延びる水平部16aと、貯水タンク10の内側方向にある水平部16aの他端から鉛直上方へ延びる垂直部16bと、を有している。
また、同様に仕切板14に設置された前記遮風部材16は、一端が仕切板14と隣接して左方向に延びる水平部16aと、この水平部16aの他端から鉛直上方へ延びる垂直部16bと、を有している。
つまり、貯水タンク10の側壁と仕切板14とで囲まれ貯水タンク10から気水分離ケース30へ加湿空気が向かう風路を狭めるように遮風部材16が設置されている。
【0043】
これにより、貯水タンク10内で発生した微細水滴を含む加湿空気が貯水タンク10から気水分離ケース30へ向けて送風される時、タンク側フランジ面10aがある貯水タンク10の上端へ加湿空気が向かっても、遮風部材16により加湿空気を遮風することができるため、タンク側フランジ面10a及びケース側フランジ面30aに加湿空気が到達し、水滴が付着するのを未然に阻止できる。
【0044】
図7を参照する。貯水タンク10の左方側の側壁において、気水分離ケース30の下端外縁には左方向に向けて略水平に延びた後、下方へ向けて延びるよう曲がった略L字状のケース側フランジ面30aが形成されている。そして、タンク側フランジ面10aと対向するケース側フランジ面30aには半球状の凸部30bが形成されている。
【0045】
前記ケース側フランジ面30aの凸部30bにより、気水分離ケース30を貯水タンク10へ載置したとき、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとの間には所定距離の間隙が形成される。よって、貯水タンク10の外側から間隙を介して貯水タンク10内へ流入する空気量を一定に保持することができ、貯水タンク10の内側から間隙を介して外側へ抜けようとする加湿空気を押し返すことができるので、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとの間にパッキン等を挟むことなく水漏れを防止することができ、器具本体1から気水分離ケース30を容易に着脱可能な構成を実現できる。
【0046】
図7を参照する。遮風部材16の垂直部16bは、上端が気水分離ケース30の下端よりも下方に位置する。よって、気水分離ケース30の着脱時において、気水分離ケース30が垂直部16bに引っかかることがないため、気水分離ケース30の着脱をスムーズに実施することができ、着脱時に気水分離ケース30の下端にキズが付くことを阻止できる。
【0047】
図6、7、8を参照する。貯水タンク10の左方側に位置する遮風部材16の水平部16a上には、一端側が水平部16aにネジ等で固定され、他端側が垂直部16bと当接する前面視略クランク状のよこ部材16c1と、当該よこ部材16c1の後端に接続して後ろ側を閉塞する背面部材16c2とで構成されたカバー16cが設置されている。そして、カバー16cと垂直部16bとで覆われた範囲の水平部16aには、水平部16aを貫通する排水穴16dが形成されている。また、貯水タンク10の左方側に位置する遮風部材16の水平部16aは、後ろ側が前側より高さが低くなるよう設置されている。
【0048】
これにより、気水分離ケース30の側壁から滴下した水滴が排水穴16dを介して貯水タンク10内へスムーズに戻される。また、貯水タンク10から排水穴16dを介して上昇する加湿空気をカバー16cにより遮風することで、加湿空気中の微細水滴が排水穴16dを通過し、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aに達することを未然に阻止することができる。
【0049】
また、カバー16cは、時計回り方向へ回動する回転体20の回転方向と対向し水平部16aと垂直な方向に位置した一の面である前方向を開口し、他の面をよこ部材16c1、及び背面部材16c2で閉塞するよう設置したので、ミスト運転の実施時、回転体20の回転に伴う空気の流れ方向に合わせ、水平部16a上に付着した水滴が後ろ方向へ流動することから、水平部16a上に付着した水滴を効率よく排水穴16dに集めて貯水タンク10内へ戻すことができる。
【0050】
また、貯水タンク10内で発生した微細水滴が排水穴16dを通過しても、回転体20の回転方向に沿って微細水滴が移動することから、回転体20が回転する方向の延長線上状にある面がカバー16cで閉塞されているので、排水穴16dを通過した水滴をカバー16cで確実に捕集し、微細水滴がタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aに達することを未然に阻止することができる。
【0051】
図9を参照する。貯水タンク10の右方側にある遮風部材16は、水平部16aの右端から鉛直下方へ向けて仕切板14との間に隙間ができるように延びる排水案内部16eが形成されている。そして、前記仕切板14と排水案内部16eとで形成される隙間は、右方側にある気水分離ケース30の下端より排水案内部16eが貯水タンク10の内側となるよう、左右方向の幅が設定されている。
【0052】
これにより、ミスト運転時において気水分離ケース30の右側の壁面に付着し、壁面の下端に達して滴下した水滴について、水平部16a上に留まらせることなく貯水タンク10内へ戻すことができる。
【0053】
図7、8、9を参照する。遮風部材16の水平部16a下方には、貯水タンク10の側壁に接続された部位と、当該部位から水平方向へ延び水平部16aを載置する部位とで構成された支持部16fがあり、当該支持部16fは、貯水タンク10の前方及び後方に設置されている。水平部16aを支持部16fにネジで螺着することで、遮風部材16の水平部16aを貯水タンク10の側壁、及び仕切板14に隣接した状態で固定することができる。
【0054】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0055】
貯水タンク10の上端より下方に位置する貯水タンク10の側壁に樋状の遮風部材16を設置した。これにより、ミスト運転の実施により貯水タンク10内で発生した微細水滴を含む加湿空気が気水分離ケース30方向へ送風された時、貯水タンク10の上端にあるタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに加湿空気中の微細水滴が向かっても、遮風部材16で加湿空気がタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに達するのを確実に阻止することができるため、加湿空気中の微細水滴がタンク側フランジ面10a及びケース側フランジ面30aに付着して水アカやカルキによる汚れの発生を未然に阻止することができる。
【0056】
また、遮蔽部材16は、一端が貯水タンク10の側壁と隣接し、他端が気水分離ケース30の下端より貯水タンク10の内側に位置するよう水平方向に延びる水平部16aと、当該水平部16aの他端から気水分離ケース30の下端より下方となる位置まで鉛直上方向に延びる垂直部16bと、を有しているので、貯水タンク10で発生した微細水滴を含む加湿空気が気水分離ケース30へ送風される時、遮風部材16によりタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに加湿空気が到達するのを確実に阻止することができるため、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに水滴が付着して水アカやカルキによる汚れが発生するのを未然に防止することができる。
【0057】
また、垂直部16bの上端が気水分離ケース30の下端より下方に位置することで、清掃やメンテナンス等の作業により器具本体1から気水分離ケース30を着脱する時、気水分離ケース30の下端が遮風部材16に接触しないため、気水分離ケース30をスムーズに着脱することができ、着脱時に気水分離ケース30の下端付近がキズ付くのを阻止できる。
【0058】
また、左方側の貯水タンク10の側壁に設置された遮風部材16の水平部16aには、水平部16aと垂直な方向に位置した一の面である前方向以外を閉塞するよう設置されたカバー16cの範囲内に水平部16aを貫通する排水穴16dが形成された。よって、気水分離ケース30の側壁から水平部16へ滴下した水滴が排水穴16dを介してスムーズに貯水タンク10内へ戻すと共に、貯水タンク10で発生した微細水滴が排水穴16dを通過し、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aに付着するのを確実に阻止することができる。
【0059】
また、カバー16cは、回転体20の回転方向と対向し水平部16aと垂直な方向に位置した一の面である前方向を開口し、その他の面を閉塞するように設置されているので、貯水タンク10内で発生した加湿空気が排水穴16dを通過しても、回転体20の回転に合わせて排水穴16dを通過した加湿空気はカバー16cの背面部材16c2で閉塞された後ろ方向へ進むことから、排水穴16dを通過した加湿空気が水平部16a上方で広がるのを確実に阻止することができるため、タンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに水滴が付着するのを確実に阻止することができる。
【0060】
また、貯水タンク10の右側には、気水分離ケース30の下端より貯水タンク10の内側方向に位置し仕切板14と対向する排水案内部16eが形成されたので、気水分離ケース30の下端から滴下した水滴が排水案内部16eを介して貯水タンク10内へスムーズに戻される。
【0061】
なお、本実施形態ではタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに水滴が付着しないよう、貯水タンク10の上端下方に遮蔽部材16を設置する内容で説明したが、これに限らず、加湿空気が通過する風路における間隙への水滴が侵入するのを防止可能な内容であればよいので、例えば、気水分離ケース30の上端下方に遮蔽部材16を設置し、気水分離ケース30と送風口50との接続箇所にある間隙に水滴が付着するのを阻止するものであってもよく、微細水滴を含む加湿空気が通過する風路途中で間隙が存在する箇所付近に樋状の遮蔽部材16を設置した内容であれば、本発明の範疇となるものである。
【0062】
また、本実施形態では加湿空気発生手段として貯水タンク10内の水を回転体20で汲み上げて周囲に飛散することで微細水滴を発生させる内容で説明したが、これに限らず加湿空気中に水滴を含ませる手段であれば本発明の解決手段による作用効果が適用されることから、例えば、貯水タンク10内の水を超音波の振動により微細な水滴にする超音波式の加湿空気発生手段であってもよい。
【0063】
また、本実施形態では、水平部16aと垂直部16bとで遮風部材16が形成された内容で説明したが、これに限らず、例えば下方向が凸である略U字形状の遮風部材16を貯水タンク10の側壁に設けた内容であってもよく、ミスト運転で発生する微細水滴がタンク側フランジ面10aとケース側フランジ面30aとに付着することを阻止する樋状の遮風部材16が設置された内容であれば、本発明と均等な範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0064】
1 器具本体
10 貯水タンク
10a タンク側フランジ面
16 遮風部材
16a 水平部
16b 垂直部
16c カバー
16d 排水穴
20 回転体(加湿空気発生手段)
23 多孔部(加湿空気発生手段)
24 ミストモータ(加湿空気発生手段)
30 気水分離ケース
30a ケース側フランジ面
50 吸気口
51 送風ファン
54 送風経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9