(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】半導体デバイスおよび半導体デバイスを形成するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/266 20060101AFI20221109BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221109BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20221109BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20221109BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20221109BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221109BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/265 M
H01L29/06 301D
H01L29/91 F
H01L29/91 A
H01L29/91 B
H01L29/78 652H
H01L29/78 653A
H01L29/78 652E
H01L29/78 652F
H01L29/78 652T
H01L29/78 658A
H01L29/91 K
H01L29/86 301D
H01L21/265 F
H01L21/265 Z
H01L29/78 652C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019095744
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2018 112 378.7
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ヒルゼンベック
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ペーター コンラート
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-312925(JP,A)
【文献】特開平02-181933(JP,A)
【文献】特開2007-123537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/266
H01L 29/06
H01L 29/861
H01L 21/329
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 29/872
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス(300)を形成するための方法(100)であって、前記方法(100)は、
半導体基板(310)上に第1の注入窓を含むマスク層を形成(110)するステップと、
前記半導体デバイス(300)のドーピング領域(320)の第1の部分を形成するために、ドーパントを前記第1の注入窓を通して第1の注入エネルギによって前記半導体基板(310)内に注入(120)するステップと、
前記マスク層の第2の注入窓を形成するために、前記マスク層を適合(130)させるステップと、
前記半導体デバイス(300)の前記ドーピング領域(320)の第2の部分を形成するために、ドーパントを前記第2の注入窓を通して第2の注入エネルギによって前記半導体基板(310)内に注入(140)するステップであって、前記第2の注入エネルギは、前記第1の注入エネルギとは異なるステップと、
前記第1の注入窓の横方向寸法が、前記第2の注入窓の横方向寸法とは異なるように選択するステップであって、前記第1の注入エネルギによって注入されるドーパントと前記第2の注入エネルギによって注入されるドーパントとの横方向ストラグリングの差を補償し、それにより、横方向ストラグリングの差に起因する前記第1および第2の部分の横方向寸法の差を減少するステップと、
を含
み、
前記第1および第2の注入窓の横方向寸法の差は、前記第1および第2の部分の横方向寸法が互いに整合するように選択される、
方法(100)。
【請求項2】
前記第2の注入エネルギは、前記第1の注入エネルギより低く、
かつ/または、
前記第2の注入窓の横方向寸法は、前記第1の注入窓の横方向寸法より大きい、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
前記第2の注入エネルギは、前記第1の注入エネルギより高く、
かつ/または、
前記第2の注入窓の横方向寸法は、前記第1の注入窓の横方向寸法より小さい、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項4】
前記第1の注入エネルギによって注入されるドーパントおよび前記第2の注入エネルギによって注入されるドーパントは、第1の導電型である、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第2の注入窓の横方向寸法と前記第1の注入窓の横方向寸法との間の差は、前記第2の注入エネルギと前記第1の注入エネルギとの間の差に依存している、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1の注入窓の横方向寸法と前記第2の注入窓の横方向寸法との間の差は、少なくとも20nm、最大で200nmである、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項7】
前記第2の注入窓の横方向領域は、前記第1の注入窓の横方向領域を含む、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項8】
前記マスク層を適合(130)させるステップは、前記第2の注入窓を獲得するために、前記マスク層をエッチングして前記第1の注入窓の横方向寸法を増加させるステップを含む、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項9】
前記マスク層を適合(130)させるステップは、前記第2の注入窓を獲得するために、前記第1の注入窓の縁部にスペーサを形成して前記第1の注入窓の横方向寸法を減少させるステップを含む、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項10】
前記ドーパントを前記第1の注入窓を通して注入するステップの間に、前記第1の注入窓内に散乱層を配置する、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項11】
前記方法(100)はさらに、
前記マスク層の第3の注入窓を形成するために、前記マスク層を適合させるステップと、
前記半導体デバイスの前記ドーピング領域の第3の部分を形成するために、ドーパントを前記第3の注入窓を通して第3の注入エネルギによって前記半導体基板内に注入するステップと、
を含み、
前記第3の注入エネルギは、前記第1の注入エネルギおよび前記第2の注入エネルギとは異なり、
前記第3の注入窓の横方向寸法は、前記第1の注入窓および前記第2の注入窓の横方向寸法とは異なる、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項12】
前記第2の注入窓を獲得するために前記マスク層を適合させるステップの前に、前記マスク層は、少なくとも1.5μmの厚さを有する、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項13】
前記第1の注入エネルギは、少なくとも50keV、最大で2.5MeVだけ、前記第2の注入エネルギとは異なる、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項14】
前記半導体基板(310)は、炭化ケイ素基板、ガリウムヒ素基板または窒化ガリウム基板である、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項15】
前記ドーピング領域は、半導体デバイスのアノード領域、半導体デバイスのカソード領域、半導体デバイスのベース領域、半導体デバイスのエミッタ領域、半導体デバイスのソース領域、半導体デバイスのドレイン領域、半導体デバイスのコレクタ領域、半導体デバイスのボディ領域、半導体デバイスのゲート領域、半導体デバイスの電流拡散領域、半導体デバイスの遮蔽領域、半導体デバイスの縁部終端領域、のうちの少なくとも1つまたは一部である、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項16】
前記ドーピング領域(320)の前記第1の部分の最大横方向寸法は、前記ドーピング領域(320)の前記第2の部分の最大横方向寸法の5%未満だけ、前記ドーピング領域(320)の前記第2の部分の最大横方向寸法とは異なる、
請求項1記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本提示による例は、半導体デバイスおよび半導体デバイスを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを形成することは、イオン注入を含むことができる。例えば、複数のドーパントをそれぞれ異なる注入エネルギによって半導体基板内に注入することができる。複数のドーパントを注入することによって形成される1つのドーピング領域は、ばらつきのある横方向広がりを有する可能性があり、この横方向広がりは、半導体基板の表面までの距離に依存し得る。ばらつきのある横方向広がりは、結果的に、例えばドーピング領域の垂直方向の不均一な境界をもたらすこととなる。ドーパントを半導体基板内に注入するための改善された概念に対する要望が存在し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの例は、半導体デバイスを形成するための方法に関する。本方法は、半導体基板上に第1の注入窓を含むマスク層を形成することを含む。本方法はさらに、半導体デバイスのドーピング領域の第1の部分を形成するために、ドーパントを第1の注入窓を通して第1の注入エネルギによって半導体基板内に注入することを含む。マスク層の第2の注入窓を形成するために、マスク層が適合され、半導体デバイスのドーピング領域の第2の部分を形成するために、ドーパントが第2の注入窓を通して第2の注入エネルギによって半導体基板内に注入される。第2の注入エネルギは、第1の注入エネルギとは異なり、第1の注入窓の横方向寸法は、第2の注入窓の横方向寸法とは異なる。
【0004】
さらなる例は、半導体基板上に第1のマスク層を形成することを含む、半導体デバイスを形成するための方法に関する。第1のマスク層は、第1の注入窓を含む。本方法はさらに、半導体基板のドーピング領域の第1の部分を形成するために、ドーパントを第1の注入窓を通して第1の注入エネルギによって半導体基板内に注入することを含む。半導体基板上に、第2のマスク層が形成される。第2のマスク層は、第1の注入窓とは異なる第2の注入窓を含む。半導体基板のドーピング領域の第2の部分を形成するために、ドーパントが第2の注入窓を通して第2の注入エネルギによって半導体基板内に注入される。第2の注入窓の横方向寸法と第1の注入窓の横方向寸法との間の差が、第2の注入エネルギと第1の注入エネルギとの間の差に依存して選択される。
【0005】
1つの例は、半導体基板と、半導体基板内に配置されたドーピング領域と、を含む、半導体デバイスに関する。ドーピング領域の垂直部分の垂直方向広がりは、300nmより大きい。ドーピング領域の垂直断面積におけるドーピング領域の垂直部分内のドーピング領域の最小横方向寸法は、ドーピング領域の垂直部分内のドーピング領域の平均横方向寸法の少なくとも90%であり、ドーピング領域の垂直部分内のドーピング領域の最大横方向寸法は、ドーピング領域の垂直部分内のドーピング領域の平均横方向寸法の最大で110%である。
【0006】
図面の簡単な説明
以下では、装置および/または方法のいくつかの例が、添付の図面を参照しながら単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】半導体基板上にマスク層を設けることと、マスク層を適合させることと、を含む、半導体デバイスを形成するための方法のフローチャートである。
【
図2】半導体基板上に2つのマスク層を形成することを含む、半導体デバイスを形成するための方法のフローチャートである。
【
図3】最小横方向広がりおよび最大横方向広がりを含むドーピング領域を有する半導体デバイスの概略断面図である。
【
図4】半導体デバイスのドーピング領域の先細った横方向広がりを有する半導体デバイスの概略断面図である。
【
図5a】注入マスクのエッチバックを使用してドーピング領域を形成する1つの例を示す図である。
【
図5b】注入マスクのエッチバックを使用してドーピング領域を形成する1つの例を示す図である。
【
図5c】注入マスクのエッチバックを使用してドーピング領域を形成する1つの例を示す図である。
【
図6】トランジスタを含む半導体デバイスの概略断面図である。
【
図7】ダイオードを含む半導体デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの例が図示された添付の図面を参照しながら、種々の例をより完全に説明する。図面では、線、層および/または領域の厚さは、見やすくするために誇張されている場合がある。
【0009】
したがって、さらなる例は、種々の修正形態および代替形態が可能であるが、図面には、そのうちのいくつかの特定の例が示されており、続いて詳細に説明される。しかしながら、この詳細な説明は、さらなる例を、説明した特定の形態に限定するものではない。さらなる例は、本開示の範囲内に含まれる全ての修正形態、等価形態、および代替形態を網羅し得る。同一または類似の参照符号は、図面の説明を通して同一または類似の要素を指しており、これらの同一または類似の要素は、同一または類似の機能を提供しながら、相互に比較した場合に同一または修正された形態で実装され得るものである。
【0010】
ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると記載されている場合には、これらの要素は、直接的に接続または結合されていてもよいし、または1つまたは複数の介在要素を介して接続または結合されていてもよいことが理解されるであろう。2つの要素AおよびBが「または」を使用して組み合わされている場合には、このことが、明示的または暗示的に別段の規定がない限り、全ての可能な組み合わせ、すなわちAのみ、Bのみ、ならびにAおよびBを開示していることを理解すべきである。同じ組み合わせについての代替的な表現は、「AおよびBのうちの少なくとも一方」または「Aおよび/またはB」である。3つ以上の要素の組み合わせに関しても同じことが準用される。さらに、ある要素(例えば層またはマスク)が、さらなる要素「上」にある(例えば「上に」配置されている)場合には、このことは、前記要素が前記さらなる要素の「真上に」配置されていることを必ずしも意味しない。むしろ、前記要素と前記さらなる要素との間にさらなる構成要素(例えばさらなる層)を配置してもよい。
【0011】
本明細書において特定の例を説明する目的で使用される用語は、さらなる例を限定することを意図するものではない。“a”,“an”,および“the”のような単数形が使用されており、単一の要素のみを使用することが必須であると明示的にも暗示的にも定義されていない場合はいつでも、さらなる例が、同じ機能を実装するために複数の要素を使用してもよい。同様にして、ある1つの機能が複数の要素を使用して実装されると後述されている場合には、さらなる例が、単一の要素または単一の処理エンティティを使用して同じ機能を実装してもよい。「含む」を意味する用語“comprises”,“comprising”,“includes”,および/または“including”は、これらが使用される場合には、記載された特徴、整数、ステップ、動作、プロセス、行為、要素および/または構成要素が存在することを特定するものであるが、ただし、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、プロセス、行為、要素、構成要素および/またはそれらの任意のグループが存在すること、または追加されることを排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0012】
別段の規定がない限り、全ての用語(技術的および科学的な用語を含む)は、本明細書において、各例が属する技術分野の通常の意味で使用されている。
【0013】
ドーパントを、マスク層を介してイオン注入によってワイドバンドギャップ半導体基板内に、特に炭化ケイ素基板内に注入する場合には、例えばシリコン基板とは対照的に、外来原子は、もはや拡散によって半導体内を移動することはできない。したがって、均質な注入(例えば半導体表面に対して垂直な、略ボックス型のプロファイル)を形成するためには、複数回の注入を実施しなければならないことがある。また、1800℃の温度での活性化でも、いくつかのドーパント(例えば窒化物(N)、アルミニウム(Al))を使用した場合には、拡散が起こらない可能性がある。
【0014】
半導体材料へのイオン注入は、横方向ストラグリングを引き起こす可能性がある。注入エネルギを増加させると、ドーピング領域の横方向広がりを増加させることができる。複数回の注入を、同一のマスクを介して、例えば同一の注入窓を使用して、複数の異なる注入エネルギによって実施した場合には、(例えば
図4に示されるように)半導体基板内に幾分膨らんだ注入プロファイルが生じる結果となる可能性がある。
【0015】
したがって、いくつかの実施形態では、例えば注入が深くなるにつれて増加する横方向ストラグリングをマスク層によって補償することができるように、カスタマイズされたマスク層(例えばレジストマスク)を介して、複数の個々の注入物をこれらの各自の注入エネルギに依存して注入することが提案される。その結果、より鮮明な注入プロファイルを獲得することができる。
【0016】
図1は、マスク層を設けることと、マスク層を適合させることと、を含む、半導体デバイスを形成するための方法100のフローチャートを示す。方法100は、半導体基板上にマスク層を形成110することを含むことができる。半導体基板は、半導体ウェハおよびエピタキシャル成長半導体層のうちの少なくとも一方を含むことができる。半導体基板は、主延在平面に沿って横方向に延在する。半導体基板は、主延在平面に対して垂直に、すなわち垂直方向では、半導体基板の横方向広がりと比較して小さい厚さを有することができる。
【0017】
マスク層は、第1の注入窓を含むことができる。例えば、マスク層を半導体基板の表側の表面に設けることができる。マスク層は、レジスト層(例えばフォトレジスト)、酸化物層、金属層および/または窒化物層を含むことができるか、またはマスク層は、上述した層のうちの1つからなることができる。マスク層を形成110することは、半導体基板上に層を形成することと、第1の注入窓を形成するために例えばエッチングによって層の一部を除去することと、を含むことができる。
【0018】
方法100は、ドーパントを注入120することを含むことができる。ドーパントを第1の注入窓を通して第1の注入エネルギによって半導体基板内に注入することができる。マスク層が形成110された後、このマスク層が半導体基板上に位置している間に、ドーパントを注入120することができる。半導体デバイスのドーピング領域の第1の部分を形成するために、ドーパントを注入120することができる。例えば、ドーピング領域の第1の部分の最大横方向広がりを、ドーピング領域の第1の部分の最大垂直方向広がりより大きくすることができる。
【0019】
方法100はさらに、マスク層を適合130させることを含むことができる。マスク層の第2の注入窓を形成するために、マスク層を適合130させることができる。第1の注入窓の中心位置を、第2の注入窓の中心位置に等しくすることができる。注入窓の横方向広がりに関して、第2の注入窓を、第1の注入窓とは異ならせることができる。1つの例では、マスク層を適合130させることは、第1の注入窓の横方向寸法を増加または減少させることを含むことができる。例えば、注入窓の全ての縁部を均等に変更または修正することができる。
【0020】
例えば、第1の注入窓の横方向寸法を、第2の注入窓の横方向寸法とは異ならせることができる。これら2つの横方向寸法は、注入窓に関する同じ幾何学的パラメータ、例えば注入窓の長さまたは幅を表すことができる。例えば、第1の注入窓および/または第2の注入窓が、横断面において長方形または正方形である場合には、第1の注入窓および/または第2の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓および/または第2の注入窓の縁部の幅または長さとすることができる。代替的に、第1の注入窓および/または第2の注入窓は、楕円形または円形の横断面を有していてもよく、また、第1の注入窓および/または第2の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓および/または第2の注入窓の半径としてもよい。第1の注入窓の横方向寸法および第2の注入窓の横方向寸法を、半導体基板の表側の表面に対して平行に同じ方向に(すなわち少なくとも一方の横方向に沿って)測定することができる。例えば、第1の注入窓および第2の注入窓は、長方形であり、第2の注入窓の幅および/または長さを、第1の注入窓の幅および/または長さとは異ならせることができる。
【0021】
方法100はさらに、マスク層を適合させた後、ドーパントを第2の注入エネルギによって半導体基板内に注入140することを含むことができる。ドーパントをマスク層の第2の注入窓を通して第2の注入エネルギによって注入140することができる。半導体デバイスのドーピング領域の第2の部分を、例えばドーピング領域の第1の部分に隣接するように形成するために、ドーパントを注入140することができる。方法100の少なくとも1つの例では、第2の部分を形成するために注入140されるドーパントを、ドーピング領域の第1の部分を通して注入することができる。
【0022】
第1の注入エネルギによって注入されるドーパントと、第2の注入エネルギによって注入されるドーパントと、を両方とも第1の導電型とすることができ、なお、この第1の導電型は、n型またはp型のうちのいずれか一方であってよい。概して、注入されるそれぞれのドーパント、例えば第3の注入エネルギ等によって注入されるドーパントを、第1の導電型とすることができる。代替的に、それぞれ異なるエネルギによって注入される複数のドーパントのうちの少なくとも1つを、第1の導電型とは反対の第2の導電型としてもよい。例えば、第1の注入エネルギによって注入されるドーパントを第1の導電型とすることができ、第2の注入エネルギによって注入されるドーパントを第2の導電型とすることができる。第1の導電型をn型として、第2の導電型をp型としてもよいし、その逆もまた同様である。
【0023】
ドーピング領域を、第1の部分および第2の部分を形成するために使用される少なくとも2回の注入によって形成することができるが、完全なドーピング領域を形成するために、それぞれ異なるサイズを有するより多数の注入窓を通したより多回の注入プロセスを使用してもよい。複数回の注入プロセスが実施される場合には、注入プロセスの各々は、ドーパントをそれぞれの注入エネルギによって、かつ/またはそれぞれの注入窓を通して注入することを含むことができる。
【0024】
少なくとも3回の注入プロセスを実施する場合には、少なくとも後続する2回の注入プロセスに関して、それぞれの注入エネルギおよび/またはそれぞれの注入窓がそれぞれ異なっている。しかしながら、少なくとも2つの注入エネルギを等しくすること、または実質的に等しくすることが可能である。さらに、少なくとも2つの注入窓を等しくしてもよい。典型的な実施形態では、少なくとも3回の注入プロセスを実施する場合に、注入プロセスのそれぞれの注入エネルギの各々を、直後に後続する注入プロセスの注入エネルギより大きくすること(または代替的に小さくすること)ができる。注入窓のサイズに関してもこのことが準用される。
【0025】
全てのドーパントが第1の導電型である場合には、ドーピング領域の全ての部分の注入の後、ドーピング領域は、第1の注入窓および第2の注入窓を通した注入によって形成された少なくとも第1の部分と第2の部分とが含まれた、半導体基板内の第1の導電型の1つの連続した領域となることができる。相互に反対の導電型を有する複数のドーパントが注入される場合には、ドーピング領域は、第1の導電型の少なくとも1つの連続した領域と、第2の導電型の少なくとも1つの連続した領域と、を含むことができる。
【0026】
例えば、第2の注入エネルギを第1の注入エネルギとは異ならせることができる。その結果、ドーピング領域の第2の部分と半導体基板の表面との間の垂直距離を、ドーピング領域の第1の部分と半導体基板の表面との間の垂直距離とは異ならせることができる。それぞれ異なる複数の注入エネルギを使用することによって、大きな垂直方向広がりを有するドーピング領域を獲得することが可能となり得る。例えば、第1の部分と第2の部分とが垂直方向に相互に隣接するようにすることができるか、または第1の部分と第2の部分とが垂直方向に部分的に重なるようにすることができる。
【0027】
それぞれ異なる複数の注入エネルギによってドーパントを半導体基板内に注入することにより、それぞれ異なる横方向ストラグリングが引き起こされる可能性がある。例えば、注入エネルギが比較的高い場合には、注入エネルギが比較的低い場合と比較して、注入されるドーパントの横方向散乱がより大きくなり得る。それぞれ異なる複数の注入エネルギによってドーパントを注入するために、それぞれ異なる横方向寸法を有する適合された注入窓を設けることにより、例えば、注入エネルギに依存して横方向ストラグリングを考慮することによって、注入される部分の横方向広がりを制御することができる。マスク層の注入窓を適合させることによって、例えば、ドーピング領域の側壁、または垂直方向の境界の均一性を高めることが可能となり得る。
【0028】
例えば、第2の注入エネルギを第1の注入エネルギより低くすることができる。この場合には、第2の注入窓の横方向寸法を第1の注入窓の横方向寸法より大きくすることができる。比較的低い注入エネルギを使用することにより、ドーパントの注入深さを低減することができる。例えば、ドーピング領域の第2の部分は、ドーピング領域の第1の部分より、半導体基板の表面のより近傍に位置することができる。ドーピング領域の第1の部分から半導体基板の表側の表面までの垂直距離を、ドーピング領域の第2の部分から半導体基板の表側の表面までの垂直距離より大きくすることができる。注入エネルギがより低いことに起因して、第2の注入エネルギによって注入140されたドーパントの横方向ストラグリングを、第1の注入エネルギによって注入120されたドーパントの横方向ストラグリングより小さくすることができる。
【0029】
したがって、例えば、ドーピング領域の第1の部分の横方向広がりと、第2の部分の横方向広がりと、が同様であることに起因して、ドーピング領域のより均一な横方向広がりが達成されるように、マスク層を適合130させることができる。第2の注入窓の横方向寸法が第1の注入窓の横方向寸法より大きくなるように、マスク層を適合させることができる。第2の注入窓の横方向寸法をより大きくすることにより、比較的低い第2の注入エネルギによって注入されるドーパントの、比較的小さい横方向ストラグリングを補償することができる。
【0030】
別の1つの例では、第2の注入エネルギを第1の注入エネルギより高くすることができる。この場合には、第2の注入窓の横方向寸法を第1の注入窓の横方向寸法より小さくすることができる。順次により高くしたエネルギによる注入は、より低いエネルギ注入の結晶構造における乱れによって異なるチャネリングをもたらし得る。
【0031】
例えば、マスク層を適合130させることは、第2の注入窓を獲得するために、マスク層をエッチングして第1の注入窓の横方向寸法を増加させることを含むことができる。これによって、第1のマスク窓と比較してより大きな第2のマスク窓の横方向寸法を提供することができる。例えば、マスク層の注入窓の横方向領域を増加させるために、マスク層の一部をエッチバックすることができる。例えば、マスク層を適合130させるために等方性エッチングを使用することができる。例えば、マスク層がフォトレジスト層である場合には、マスク層のエッチングのために酸素(O2)プラズマを使用することができる。特に、酸素プラズマによる処理は、エッチングに対応する灰化(アッシングとも呼ばれる)を結果的にもたらすことができる。マスク層を適合130させることにより、マスク層の厚さの減少を結果的にもたらすことができる。例えば、第2の注入窓を獲得するためにマスク層を適合130させる前に、マスク層の厚さを、少なくとも1μm(または少なくとも1.5μmまたは少なくとも2μmまたは少なくとも3μmまたは少なくとも5μm)とすることができ、かつ/または最大で10μm(または最大で7μmまたは最大で5μm)とすることができる。
【0032】
代替的に、第2の注入窓の横方向寸法が第1の注入窓の横方向寸法より小さくなるように、マスク層を適合させてもよい。したがって、第2の注入エネルギを第1の注入エネルギより大きくすることができる。比較的高い注入エネルギで、比較的小さい注入窓を設けることによって、注入されるドーパントの比較的強力な横方向ストラグリングを補償することが可能となり得る。
【0033】
別の1つの例では、マスク層を適合130させることは、第1の注入窓の縁部にスペーサを形成することを含むことができる。これによって、第1の注入窓の横方向寸法より小さい横方向寸法を有する第2の注入窓を設けることができる。スペーサを形成することは、第2の注入窓を獲得するために第1の注入窓の横方向寸法を減少させることを可能にし得る。例えば、スペーサを形成するためにマスク層上に補助層を堆積させることができる。第1の注入窓の縁部にスペーサが残留するように、補助層をエッチバックすることができる。補助層の厚さおよび/またはエッチングを制御することによって、スペーサの幅と、第2の注入窓のサイズまたは横方向寸法と、を調整することができる。
【0034】
例えば、第2の注入エネルギと第1の注入エネルギとの間の差に依存して、第2の注入窓の横方向寸法と第1の注入窓の横方向寸法との間の差を選択することができる。第2の注入窓の横方向寸法と第1の注入窓の横方向寸法との間の差を、第1の注入エネルギと第2の注入エネルギとの間の差に基づかせることができ、かつ/またはこの差に相関させることができ、かつ/またはこの差に比例させることができる。例えば、第1の注入エネルギと第2の注入エネルギとの差が増加された場合には、第1の注入窓の横方向寸法と第2の注入窓の横方向寸法との差も同様に増加させることができる。
【0035】
しかしながら、それぞれの注入窓の所要の横方向寸法を、使用される注入エネルギに間接的に比例させることができる。すなわち、第1の注入エネルギが第2の注入エネルギより大きい場合には、第1の注入窓の横方向寸法を第2の注入窓の横方向寸法より小さくすることができ、逆もまた同様である。
【0036】
注入エネルギの差と横方向寸法の差との間の関係を、非線形とすることができる。マスク層またはマスク層の注入窓の横方向寸法を、各注入エネルギ間の差に応じて適合130させることによって、ドーピング領域の横方向広がりに対する横方向ストラグリングの影響を低減することができ、例えば、ドーピング領域のより均一な横方向広がりを達成することができる。例えば、ドーピング領域の第1の部分の最大横方向寸法を、ドーピング領域の第2の部分の最大横方向寸法の10%未満(または5%未満または3%未満)だけ、ドーピング領域の第2の部分の最大横方向寸法とは異ならせることができる。
【0037】
例えば、第1の注入窓の横方向寸法と第2の注入窓の横方向寸法との間の差を、少なくとも10nm(または少なくとも20nm、少なくとも50nm、または少なくとも100nm)とすることができ、かつ/または最大で500nm(または最大で300nm、最大で200nm、最大で100nm、または最大で50nm)とすることができる。
【0038】
例えば、第2の注入窓の横方向領域は、第1の注入窓の横方向領域を含むことができる。第1の注入窓と第2の注入窓とを、少なくとも部分的に重ならせることができる。例えば、第2の注入窓を第1の注入窓より大きくすることができ、第2の注入窓は、第1の注入窓を完全に含むことができる。代替的に、例えば、第1の注入エネルギが第2の注入エネルギより低い場合には、第1の注入窓を第2の注入窓より大きくして、第2の注入窓を含むようにしてもよい。
【0039】
方法100はさらに、マスク層の第3の注入窓を形成するために、マスク層を適合させることを含むことができる。例えば、第2の注入プロセスの後の第3の注入プロセスにおいて、半導体デバイスのドーピング領域の第3の部分を形成するために、ドーパントを第3の注入窓を通して第3の注入エネルギによって半導体基板内に注入することができる。第3の注入エネルギによって注入されるドーパントは、第1の導電型または第2の導電型とすることができる。
【0040】
第3の注入窓の横方向寸法と第1の注入窓(または第2の注入窓)の横方向寸法との間の差を、第3の注入エネルギと第1の注入エネルギ(および/または第2の注入エネルギ)との間の差に依存して選択することができ、かつ/またはこの差に基づかせることができ、かつ/またはこの差に相関させることができ、かつ/またはこの差に比例させることができる。第3の部分を形成することによって、ドーピング領域の垂直方向広がりを増加させることができる。例えば、第3の注入エネルギを、第1の注入エネルギおよび第2の注入エネルギとは異ならせることができる。
【0041】
第3の注入窓の横方向寸法を、第2の注入窓の場合と同一または類似の方法で選択することおよび/または適合させることができる。すなわち、第3の注入窓に関しても、第2の注入窓に関する本明細書の開示を準用することができ、その逆もまた同様である。例えば、第2の注入窓に関しては、第3の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓および第2の注入窓の横方向寸法とは異ならせることができる。例えば、第3の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓の横方向寸法および第2の注入窓の横方向寸法の両方より大きくすること、または小さくすることができる。代替的に、第3の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓の横方向寸法より大きくし、第2の注入窓の横方向寸法より小さくすることができる。後者の場合には、第3の注入エネルギを、第2の注入エネルギより小さくし、第1の注入エネルギより大きくすることができる。別の1つの例では、第3の注入窓の横方向寸法を、第1の注入窓の横方向寸法より小さくするが、第2の注入窓の横方向寸法より大きくすることができる。
【0042】
対応するドーピング部分を形成するための複数回の注入プロセスを設けることによって、より大きい垂直方向広がりのドーピング領域を形成することができ、その一方で、ドーピング領域の垂直方向の境界の均一性を達成することができる。例えば、ドーピング領域を形成するために、少なくとも2回(または少なくとも4回)および/または最大で8回(または最大で6回)の注入プロセスを実施することができる。典型的な例では、少なくとも3回、最大で7回の注入プロセスが実施される。例えば、比較的高い注入エネルギの場合には、比較的低い注入エネルギ(例えば所定の注入エネルギ内)の場合よりも多数の注入窓を使用することができる。なぜなら、例えば、比較的高い注入エネルギでは、横方向ストラグリングが比較的強力になるからである。例えば、ドーピング領域の横方向の最小値および/または横方向の最大値の数を、実施される注入プロセスの回数と相関させることができる。所定の垂直方向広がりのドーピング領域のためにより多回の注入プロセスを実施することによって、ドーピング領域の垂直方向の境界の均一性を高めることができる。ドーピング領域の横方向広がりに対する横方向ストラグリングの影響を、注入窓の横方向寸法の間の差をより小さくすることによってより良好に補償することができるので、横方向の最大値と横方向の最小値との間の差を低減することができる。
【0043】
ドーピング領域は、半導体基板の表面まで延在することができ、またはドーピング領域を、半導体基板内に埋め込むことができる。例えば、ドーピング領域の境界(例えば、隣接するドーピング領域とのpn接合部)と、半導体基板の表側の表面と、の間の最小垂直距離を、少なくとも200nm(または少なくとも300nmまたは少なくとも400nm)とすることができ、かつ/または最大で600nm(または最大で500nm)とすることができる。例えば、ドーピング領域のドーピング部分の境界と、半導体基板の表側の表面と、の間の最大垂直距離は、最大で2.5μm(または最大で2μmまたは最大で1.5μm)である。
【0044】
半導体基板の表側は、半導体基板の裏側よりも精巧かつ複雑な構造を実装するために使用される側とすることができる。なぜなら、例えば、半導体基板の一方の側に既に構造が形成されている場合には、裏側に対して、処理パラメータ(例えば温度)および取り扱いが制限される可能性があるからである。例えば、垂直寸法または垂直距離および層の厚さは、半導体基板の表側の表面に直交して測定することができ、横方向および横方向寸法は、半導体基板の表側の表面に対して平行に測定することができる。
【0045】
例えば、ドーパントを第1の注入窓を通して注入している間に、第1の注入窓内に散乱層を配置することができる。散乱層の厚さをマスク層の厚さより小さくすることができ、例えば、散乱層の厚さを、マスク層の厚さの最大で70%(または最大で50%または最大で20%)とすることができる。散乱層は、酸化物層を含むことができるか、または酸化物層からなることができる。代替的に、注入窓を、半導体基板のうちのマスク層によって覆われていない領域としてもよい。
【0046】
方法100はさらに、ドーパントを第2の注入窓を通して注入した後にマスク層を除去することを含むことができる。例えば、ドーピング領域を形成するために実施される最後の注入プロセスの後にマスク層を除去することができる。
【0047】
例えば、方法100はさらに、ドーパントを第2の注入窓を通して注入した後に半導体基板の表面層を除去することを含むことができる。マスク層を除去した後に表面層を除去してもよい。代替的に、表面層の除去を容易にするために、マスク層を除去する前に表面層を除去してもよい。表面層は、半導体基板の表側の表面側における半導体基板の垂直層とすることができる。表面層は、最大で30nm(または最大で50nm、最大で70nm、または最大で100nm)、かつ/または少なくとも200nm(または少なくとも150nmまたは少なくとも100nm)の厚さを有することができる。表面層を除去することによって、より均一なドーピング領域を達成することができ、例えば、ドーピング領域の垂直方向の境界の不均一な部分を除去することができる。
【0048】
第1の注入エネルギを、少なくとも30keV(または少なくとも50keV、少なくとも100keV、または少なくとも200keV)だけ、かつ/または最大で1.8MeV(または最大で1.5MeV、最大で1.0MeV、または最大で0.5MeV)だけ、第2の注入エネルギとは異ならせることができる。例えば、複数回の注入プロセスが使用される場合には、(例えばマスク層を設けた後に実施される)最初の注入プロセスの注入エネルギを、少なくとも0.2MeV(または少なくとも0.5MeV)だけ、かつ/または最大で2MeVだけ、(例えばマスク層を除去する前の)最後の注入プロセスの注入エネルギとは異ならせることができる。
【0049】
本方法の少なくとも1つの例によれば、ドーピング領域は、半導体デバイス(特にトランジスタまたはダイオード)の以下に挙げる領域のうちの1つであるか、または半導体デバイスの以下に挙げる領域のうちの1つによって構成されている:アノード領域、カソード領域、ベース領域、エミッタ領域、ソース領域、ドレイン領域、コレクタ領域、ボディ領域、ゲート領域、電流拡散領域、遮蔽領域、および縁部終端領域。
【0050】
さらに、ドーピング領域を、半導体デバイスの、特にトランジスタのスーパージャンクション構造の少なくとも一部とすることができる。スーパージャンクション構造を、半導体デバイスのドリフトゾーンによって構成することができる。ドリフトゾーンをnドープすることができ、スーパージャンクション構造をpドープすることができる。スーパージャンクション構造は、例えば少なくとも1つのpピラーを含むことができる。
【0051】
概して、ドーピング領域を生成することは、(a)半導体基板の少なくとも一部をエピタキシャル成長させるステップと、(b)本明細書記載の方法を使用することによって(特に、少なくとも2回の注入プロセスを使用して)ドーピング領域を形成するステップと、(c)半導体基板の一部からマスク層を除去するステップと、を含むことができる。その後、ステップ(a)~(c)のうちの少なくともいくつかを繰り返すことができる。例えば、半導体基板の一部の上に半導体基板のさらなる部分をエピタキシャル成長させて、さらなる注入プロセスを続けてもよい。そのような方法を使用することにより、半導体基板内に深いドーピング領域、例えばスーパージャンクション構造を形成することができる。
【0052】
例えば、ドーピング領域を、ダイオードのアノード領域および/またはダイオードのカソード領域とすることができる。ドーピング領域を、トランジスタのベース領域および/またはトランジスタのエミッタ領域および/またはトランジスタのソース領域および/またはトランジスタのドレイン領域とすることができる。例えば、6回の注入プロセスを含む方法100を使用することにより、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成することができる。
【0053】
形成されるべき半導体デバイスは、電界効果トランジスタ、例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とすることができる。例えば、少なくとも1つのトランジスタまたはトランジスタ配置を含む、例えばMOSFETおよび/またはIGBTを含む半導体デバイスまたはワイドバンドギャップ半導体デバイスを形成するために、本提案による方法100を使用することができる。トランジスタのゲートを、ゲート絶縁層およびゲート電極によって形成することができる。ゲートを、半導体基板内に延在するゲートトレンチ内に配置することができるか、または半導体基板の横方向の表面上に配置することができる。例えば、半導体基板は、トランジスタ配置の1つまたは複数のソース領域と、1つまたは複数のボディ領域とドリフト領域と、を含むことができる。1つまたは複数のソース領域とドリフト領域とは、それぞれ同じ導電型を有することができる。1つまたは複数のボディ領域を、それぞれ同じ導電型とすることができ、この導電型は、ソース領域またはドリフト領域の導電型とは反対である。1つまたは複数のソース領域とドリフト領域とを、それぞれn型とすることができる。1つまたは複数のボディ領域を、p型とすることができる。半導体基板が、ボディ領域と同じ導電型を有することができるダイオード領域を含むこと、および/または、ドリフト領域および/またはソース領域と同じ導電型を有することができる電流拡散領域を含むことがさらに可能である。ゲート絶縁層を、半導体基板に直接的に隣接させることができる。特に、ゲート絶縁層を、異なる導電型を有する半導体基板の領域に、例えば、該当する場合にはソース領域、ドリフト領域、ボディ領域、電流拡散領域および/またはダイオード領域に、直接的に隣接させることが可能である。
【0054】
第1の導電型は、pドーピング(例えば、アルミニウムイオンまたはホウ素イオンを組み込むことによって引き起こされる)またはnドーピング(例えば、窒素イオン、リンイオン、または砒素イオンを組み込むことによって引き起こされる)とすることができる。
【0055】
トランジスタ配置は、半導体基板の表側の表面と半導体基板の裏側の表面との間で電流を伝導する垂直トランジスタ構造とすることができる。例えば、半導体デバイスのトランジスタ配置は、ソース配線構造に接続された複数のソースドーピング領域と、ゲート配線構造に接続された複数のゲート電極またはゲート電極グリッドと、裏側のドレインメタライゼーションと、を含むことができる。
【0056】
例えば、半導体基板は、半導体ベース基板、半導体ベース基板上に成長させられた半導体エピタキシャル層を有する半導体ベース基板、または半導体エピタキシャル層のうちのいずれか1つとすることができる。1つの例では、半導体基板を、半導体ウェハまたは半導体ダイとすることができる。
【0057】
例えば、半導体基板を、シリコンのバンドギャップ(1.1eV)より大きいバンドギャップを有するワイドバンドギャップ半導体基板とすることができる。特に、ワイドバンドギャップ半導体基板は、2eVより大きい、例えば3eVより大きいバンドギャップを有する。例えば、ワイドバンドギャップ半導体基板を、炭化ケイ素半導体(SiC)基板、ダイヤモンド(C)基板、または窒化ガリウム(GaN)半導体基板とすることができる。
【0058】
形成されるべき半導体デバイスを、パワー半導体デバイスとすることができる。パワー半導体デバイスまたはパワー半導体デバイスの電気的構造(例えば半導体デバイスのトランジスタ配置および/または半導体デバイスのダイオード配置)は、例えば、10Vを超える降伏電圧または阻止電圧(例えば10V,20V,または50Vの降伏電圧)、または100Vを超える降伏電圧または阻止電圧(例えば200V,300V,400V,または500Vの降伏電圧)、または500Vを超える降伏電圧または阻止電圧(例えば600V,700V,800V,または1kVの降伏電圧)、または1kVを超える降伏電圧または阻止電圧(例えば1.2kV,1.5kV,1.7kV,2kV,3.3kV,または6.5kVの降伏電圧)を有することができる。
【0059】
図2は、半導体デバイスを形成するための方法200のフローチャートを示す。方法200は、半導体基板上に少なくとも2つのマスク層を形成することを含むことができる。例えば、半導体基板上に第1のマスク層を形成210することができる。第1のマスク層は、例えば第1の横方向寸法の第1の注入窓を含むことができる。
【0060】
方法200は、ドーパントを第1の注入エネルギによって半導体基板内に注入220することを含むことができる。例えば、半導体基板のドーピング領域の第1の部分を形成するために、マスク層が半導体基板上に位置している間に、ドーパントを第1の注入窓を通して注入220することができる。
【0061】
半導体基板上に第2のマスク層を形成230することができる。例えば、第2のマスク層は、第1の注入窓とは異なる第2の注入窓を含むことができる。例えば、第2の注入窓を第1の注入窓より大きくすることができる。ドーパントを注入220した後にマスク層を変化させることが可能であり得る。例えば、第1の注入窓を含むマスク層を、ドーパントを注入220した後に除去することができ、第2のマスク層、例えば第2の注入窓を含む別のマスク層を、当該第2の注入窓の横方向領域が従前の第1の注入窓の領域を覆うように、半導体基板上に形成230することができる。例えば、第1の注入窓および第2の注入窓は、半導体基板上の同じ中心位置を有することができる。
【0062】
方法200はさらに、ドーパントを第2の注入エネルギによって半導体基板内に注入240することを含むことができる。半導体基板のドーピング領域の第2の部分を形成するために、第2のマスク層が半導体基板上に位置している間に、ドーパントを第2の注入窓を通して注入240することができる。
【0063】
例えば、第2の注入エネルギと第1の注入エネルギとの間の差に依存して、第2の注入窓の横方向寸法と第1の注入窓の横方向寸法との間の差を選択することができる。この差を、第1の部分の最大横方向寸法が、第2の部分の最大横方向寸法の5%未満だけ、第2の部分の最大横方向寸法とは異なるように選択することができる。例えば、ドーピング領域の横方向広がりに対する横方向ストラグリングの影響を低減するために、使用される注入エネルギに応じて注入窓を選択することができる。
【0064】
例えば、対応する注入窓を有するそれぞれのマスク層を形成することと交互に、複数のドーピング部分を形成することができる。完全なドーピング領域を形成するために、それぞれ異なる注入窓を有する複数の対応するマスク層と、それぞれ異なる複数の注入エネルギと、を使用して、少なくとも2回および/または最大で7回の異なる注入プロセスを実施することができる。方法200を使用することによって、より均一な垂直方向の境界を有する少なくとも1つのドーピング領域を含む半導体デバイスを形成することができる。
【0065】
上記または下記の実施形態に関連して、さらなる詳細および態様が言及される。
図2に示される実施形態は、本提案による概念もしくは上記または下記(例えば
図1または3~7)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加の特徴を含むことができる。
【0066】
図3は、ドーピング領域320を有する半導体デバイス300の概略断面図を示す。ドーピング領域320を、本明細書に記載された方法によって形成することができる。すなわち、方法の例に関連して説明された全ての特徴は、半導体デバイス300についても開示されているものとすることができ、その逆もまた同様である。
【0067】
半導体デバイス300は、半導体基板310を含むことができる。ドーピング領域320は、半導体基板310内に位置することができる。ドーピング領域320の垂直部分の垂直方向広がり330を、少なくとも200nm(または少なくとも350nm、少なくとも500nm、または少なくとも750nm)とすることができ、かつ/または、最大で1200nm(または最大で900nm、最大で600nm、または最大400nm)とすることができる。ドーピング領域320の垂直断面積におけるドーピング領域320の垂直部分内のドーピング領域320の最小横方向寸法340を、ドーピング領域320の垂直部分内の平均横方向寸法の少なくとも80%(または少なくとも90%または少なくとも95%)および/または最大で98%(または最大で95%)とすることができる。ドーピング領域320の垂直部分内のドーピング領域320の最大横方向寸法を、ドーピング領域320の垂直部分内のドーピング領域320の平均横方向寸法の最大で120%(または最大で110%または最大で105%)および/または少なくとも102%(または少なくとも105%)とすることができる。
【0068】
例えば、ドーピング領域の最大横方向寸法と最小横方向寸法との間の差を、最大で100nm(または最大で50nm、最大で30nm、最大で20nm、または最大で10nm)とすることができる。
【0069】
ドーピング領域320の垂直方向の境界を、例えば他のドーピング領域の垂直方向の境界と比較してより均一にすることができる。ドーピング領域320は、例えば注入プロセス間で注入マスク層を適合させている間に、複数回の注入プロセスによって形成することができる。ドーピング領域320は、同様の横方向寸法を有する複数のドーピング部分を含むことができ、これによって、例えば垂直部分内におけるドーピング領域320の横方向広がりのばらつきが減少する。横方向に均一なドーピング領域320を、横方向において別のドーピング領域に近接して、例えば他のドーピング領域と比較してより近接して配置することができ、ドーピング領域320を含む半導体デバイスの横方向サイズを縮小することができる。
【0070】
例えば、半導体デバイス300は、半導体基板内に複数のドーピング領域320を含むことができ、ドーピング領域320の導電性を、半導体基板の導電性とは反対にすることができる。例えば、ドーピング領域の横方向寸法を、少なくとも0.5μm(または少なくとも1μm)および/または最大で2μm(または最大で1.5μm)とすることができる。例えば、複数のドーピング領域のうちの2つのドーピング領域の間の横方向距離を、少なくとも0.5μm(または少なくとも1μm)および/または最大で2μm(または最大で1.5μm)とすることができる。より均一な垂直方向の境界を有するドーピング領域を設けることによって、半導体デバイス内のドーピング領域間の距離を短縮することができる。
【0071】
例えば、半導体デバイス300の半導体基板310を、ワイドバンドギャップ半導体基板、例えば炭化ケイ素基板とすることができる。
【0072】
上記または下記の実施形態に関連して、さらなる詳細および態様が言及される。
図3に示される実施形態は、本提案による概念もしくは上記または下記(例えば
図1~
図2または
図4~
図7)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加の特徴を含むことができる。
【0073】
図4は、半導体デバイスのドーピング領域420の先細った横方向広がりを有する半導体デバイス400の概略断面図を示す。例えば、半導体デバイス400を、SiC半導体基板またはSiC半導体ボディを有する炭化ケイ素(SiC)半導体デバイスとすることができる。例えば、ドーピング領域420の第2の横方向広がり450を、第1の横方向広がり440の10%超だけ、ドーピング領域420の第1の横方向広がり440とは異ならせることができる。例えば、ドーピング領域420を形成するための注入プロセス中に、マスク層430(例えばレジストマスク)が適合されていなかった可能性があるので、ドーピング領域420の横方向プロファイルが、比較的不均等または不均一である場合がある。ドーピング領域420は、例えばマスク層430を介した3回の注入によって形成することができる。横方向ストラグリングは、例えば注入深さまたは注入量が増加するにつれてドーピング領域の横方向広がりが増加することによって概略的に図示されている。
【0074】
図5a~
図5cは、(本明細書に記載されたマスク層に対応し得る)注入マスクのエッチバックを使用してドーピング領域を形成する1つの例を示す。注入マスクを適合させることによって、ドーピング領域の横方向広がりのばらつきを低減することができる。
【0075】
例えば、ドーパントを注入マスク510の注入窓を通して半導体基板500内に、例えばSiC半導体ボディ内に注入することによって、ドーピング領域の(
図5aに示される)第1のドーピング部分520を形成することができる。第1のドーピング部分520を形成するために、第1の注入エネルギと、第1の横方向寸法522の注入窓と、を使用することができる。第1のドーピング部分520は、第1の横方向広がり524を有することができる。第1の横方向広がり524を、第1のドーピング部分520の平均横方向広がりとすることができる。例えば、注入マスク510は、後続のエッチバックのために十分なマージンを提供するための十分な厚さを有することができる。
【0076】
図5bは、第2のドーピング部分530が形成された後の半導体基板500を示す。第2のドーピング部分530は、第1の注入エネルギより低い第2の注入エネルギを使用して形成することができる。第2のドーピング部分530から半導体基板500の表側の表面までの距離を、第1のドーピング部分520から半導体基板500の表側の表面までの距離より短くすることができる。第2のドーピング部分530の横方向広がり(例えば平均横方向広がり)を、第1の横方向広がり524の10%未満(または5%未満)だけ、第1の横方向広がり524とは異ならせることができる。換言すれば、第1のドーピング部分および第2のドーピング部分は、同様の横方向広がりを有することができる。第2のドーピング部分530が形成される前の注入マスク510の等方性エッチバックにより、この同様の横方向広がりを達成することができる。例えば、それぞれの注入エネルギに依存して横方向ストラグリングを補償するために、注入マスクを適合させることによって、第1の横方向寸法522より大きい第2の横方向寸法532の注入窓を設けることができる。
【0077】
例えば、半導体基板500のドーピング領域を形成するために、(
図5cに図示された)第3のドーピング部分540を、第2の横方向寸法532より大きい第3の横方向寸法542の注入窓を通して、第2の注入エネルギより低い第3の注入エネルギによって、半導体基板500内に注入することができる。半導体基板500のドーピング領域は、ドーピング部分520,530,540を含むことができる。例えば、注入マスク(例えばレジストマスク)を除去した後、上側のSiC層を除去して、例えばドーピング領域の略ボックス型の注入プロファイルを獲得することができる。
【0078】
上記または下記の実施形態に関連して、さらなる詳細および態様が言及される。
図5a~cに示される実施形態は、本提案による概念もしくは上記または下記(例えば
図1~4または6~7)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加の特徴を含むことができる。
【0079】
図6は、トランジスタを含む半導体デバイス600の概略断面図を示す。半導体デバイス600は、第1の電極602および第2の電極604を含むことができる。第1の電極602を、半導体デバイス600のソース端子Sとすることができ、第2の電極604を、半導体デバイス600のドレイン端子Dとすることができる。これらの電極の間にドリフト構造610を配置することができ、例えば、このドリフト構造610は、ドリフト部分612を含むと共に、ドリフト部分と第2の電極604とを接続するコンタクト層614を含む。nドープされたドリフト部分612と第1の電極602との間には、Pドープされた領域616,618、例えば遮蔽領域616およびボディ領域618を配置することができる。pドープされた領域616,618は、ドリフト構造610からソース領域640を分離することができる。遮蔽領域616内の最大ドーピング濃度p12を、ボディ領域618内の最大ドーピング濃度p11より高くすることができ、例えば少なくとも2倍(または少なくとも5倍)高くすることができる。
【0080】
例えば、pドープされたボディ領域618と、nドープされたソース領域640と、を、本明細書に記載された方法によって注入することができ、この際、注入のために同じマスク層が使用されている。このために、少なくとも2回の注入プロセスを使用することができる。例えば、nドープされるソース領域640を、第1の注入プロセスにおいて注入することができ、この第1の注入プロセスでは、第1の導電型のドーパント(ここではn型ドーパント)が第1の注入窓を通して第1の注入エネルギによって注入される。pドープされるボディ領域618を、少なくとも1回の第2の注入プロセスによって注入することができ、この第2の注入プロセスでは、第2の導電型のドーパント(ここではp型ドーパント)が少なくとも1つのそれぞれの第2の注入窓を通して少なくとも1つの第2の注入エネルギによって注入される。
【0081】
例えば、ゲート電極622とゲート誘電体624とを有するゲート構造620に沿って、半導体デバイス600のトランジスタセルTCを設けることができる。ゲート構造620を、トレンチゲート構造とすることができ、例えば、第1の方向に沿ったゲート構造620の横方向広がりを、第1の方向に直交する第2の方向に沿ったゲート構造620の横方向広がりより大きくすることができる。例えば、ゲート構造620を、100μmを超える長さ、1mmを超える長さ、または最大で5cmの長さを有する長いトレンチとすることができる。右側壁部626および左側壁部628は、半導体デバイス600のpドープされた領域に隣接することができる。トランジスタセルTCは、例えばゲート電極622と第1の電極602との間に中間層630を含むことができる。
【0082】
ソース領域640を(例えば高濃度に)nドープし、第1の電極602とボディ領域618との間に配置することができる。例えば、ソース領域640は、ゲート構造620の左側壁部628に隣接することができる。例えば遮蔽領域616と第1の電極602との間に、例えばゲート構造620の右側壁部626に隣接して、高濃度にnドープされた部分n+を配置することができる。例えば、高濃度にnドープされた部分n+の横方向広がりを、遮蔽領域の横方向広がりより小さくすることができ、例えば、高濃度にnドープされた部分n+は、ソース領域640まで延在していなくてもよい。例えば、接合部pn1は、ボディ領域618からドリフト構造610へのpn接合部を表しており、接合部pn2は、ボディ領域618からソース領域640へのpn接合部を表している。
【0083】
例えば、遮蔽領域616および/またはボディ領域618を(例えば、
図1、
図2または
図5a~
図5cに関連して説明したような)本提案による方法によって形成することができ、かつ/または(例えば
図3に関連して説明したような)本提案による構造を含むことができる。
【0084】
上記または下記の実施形態に関連して、さらなる詳細および態様が言及される。
図6に示される実施形態は、本提案による概念もしくは上記または下記(例えば
図1~
図5cまたは7)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加の特徴を含むことができる。
【0085】
図7は、マージドPINショットキーダイオードを含む半導体デバイス700の概略断面図を示す。半導体デバイス700は、半導体基板710を含むことができ、例えば、この半導体基板710は、半導体基板710の裏側の表面へと延在するnドープされたカソード領域712と、半導体基板710の表側の表面におけるpドープされたアノード領域714と、を含む。表側の表面におけるpドープされたアノード領域714に、コンタクトメタライゼーション720を接触させることができる。コンタクトメタライゼーション720とpドープされたアノード領域714との間に、オーミック接触を存在させることができる。さらに、それぞれのpドープされたアノード領域714の間では、半導体基板の表側の表面において、nドープされたカソード領域712にショットキーメタライゼーション層730を接触させることができる。ショットキーメタライゼーション層730とnドープされたカソード領域712との間に、ショットキーコンタクトを存在させることができる。ショットキーメタライゼーション層730上にパワーメタライゼーション層740を配置することができる。コンタクトメタライゼーション720と、ショットキーメタライゼーション層730と、パワーメタライゼーション層740と、が、半導体デバイス700の活性領域750内にアノードメタライゼーションを形成することができる。
【0086】
例えば、pドープされるアノード領域714を(例えば、
図1、
図2または
図5a~
図5cに関連して説明したような)本提案による方法によって形成することができ、かつ/またはpドープされるアノード領域714は、(例えば
図3に関連して説明したような)本提案による構造を含むことができる。
【0087】
上記または下記の実施形態に関連して、さらなる詳細および態様が言及される。
図7に示される実施形態は、本提案による概念もしくは上記または下記(例えば
図1~
図6)の1つまたは複数の実施形態に関連して言及される1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意の追加の特徴を含むことができる。
【0088】
例えば、アルミニウム(Al)原子をSiC半導体基板内に注入する場合には、注入エネルギが増加するにつれて横方向ストラグリングが増加する可能性がある。例えば、80keVの注入エネルギでの最大横方向ストラグリングは、35nmであり、200keVの注入エネルギでの最大横方向ストラグリングは、70nmであり、700keVの注入エネルギでの最大横方向ストラグリングは、180nmであり、1800keVの注入エネルギでの最大横方向ストラグリングは、300nmであり得る。例えば、物質中のイオン輸送(transport of ions in matter:TRIM)シミュレーションを使用することによって、最大横方向ストラグリングを計算することができる。例えば、それぞれ計算された横方向ストラグリングに基づいて、注入窓を適合させることができる。
【0089】
1つの例は、マスク層(例えばレジストマスク)を連続的にエッチバックすることによってSiC中の注入プロファイルを横方向に鮮明にすることに関する。マスク層をエッチングすることによって、不均一なプロファイルを回避することができ、したがって、注入プロファイルの不均一な程度を、レイアウトにおいて適応させる必要をなくすことができよう。
【0090】
いくつかの注入概念では、横方向広がりが、注入エネルギ(例えばドーパントの深さ)に依存しており、種々に変化することがある。例えば、いくつかの概念を使用すると、注入経路に沿って不均一な電位比が生じることがある。例えば、いくつかの概念では、例えば水平方向の電流が流れている場合には、ドーピングの程度が異なるために断面が変化する可能性があるので、電流のフィラメント化が生じることがある。
【0091】
例えば、半導体デバイスを、SiCショットキーダイオードとすることができる。例えば、半導体デバイスを製造することは、セルフィールド内への三重のイオン注入を含むことができる。マスク層の完成後に、例えば最も深い注入を実施することができる。平均横方向ストラグリングを、例えばTRIM計算から把握することができる。マスク層を、計算された量だけエッチバックすることができる。例えば、マスク層を、結果として生じる縁部の丸みが半導体内の注入プロファイルに影響を及ぼさないように十分に大きくすることができる。例えば、第2の注入を実施することができる。ここでもまた、横方向ストラグリングが発生する可能性があり、この横方向ストラグリングは、低減されたイオンエネルギに起因して低減された程度を有することができる。例えば、第3の注入プロセスにおいて注入を完了させるために、レジストを上記の程度までエッチバックすることができる。このようにして、平均横方向ストラグリングの程度に関してより均質な注入プロファイルを獲得することができる。
【0092】
代替的に、例えば、第1のドーパント(例えばpドーピング)を全体的に導入し、これに続いて構造をドライケミカルエッチングすることができる。例えば、エッチングされたトレンチを覆うように第2のドーパント(例えばnドーピング)を成長させることができる。
【0093】
1つまたは複数の前述の例および図面と共に言及および説明された態様および特徴を、他の例の同様の特徴の代わりに使用するために、またはこれらの特徴をさらに他の例に導入するために、1つまたは複数の他の例と組み合わせることもできる。
【0094】
説明および図面は、本開示の原理を単に例示するものに過ぎない。さらに、本明細書に列挙された全ての例は、本開示の原理と、発明者(達)が当技術分野をさらに発展させるために寄与した概念と、を、読者が理解することを支援するための例示目的のものに過ぎないことが主に明確に意図されている。本開示の原理、態様、および例、ならびにその特定の例を列挙している本明細書の全ての記載は、それらの等価形態を包含することが意図されている。
【0095】
本明細書または特許請求の範囲に開示された複数の行為、プロセス、動作、ステップ、または機能の開示は、例えば技術的な理由から明示的または暗示的に別段の規定がない限り、特定の順序内にあるとは解釈されないことを理解すべきである。したがって、複数の行為または機能の開示は、そのような行為または機能が技術的な理由から交換可能である限り、これらの行為または機能を特定の順序に限定するものではない。さらに、いくつかの例では、単一の行為、機能、プロセス、動作、またはステップは、それぞれ複数のサブ行為、サブ機能、サブプロセス、サブ動作、またはサブステップを含むか、またはそれぞれ複数のサブ行為、サブ機能、サブプロセス、サブ動作、またはサブステップに分割することができる。明示的に除外されていない限り、そのようなサブ行為をこの単一の行為の開示の一部に含めることができ、また、この単一の行為の開示の一部とすることができる。
【0096】
さらに、添付の特許請求の範囲は、これによって詳細な説明に組み込まれており、それぞれの請求項は、別々の例として独立することができる。それぞれの請求項は、別々の例として独立することができる一方で、-従属請求項が、特許請求の範囲において1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせを指すことがあるが-他の例が、それぞれ別の従属請求項または独立請求項の主題を有する従属請求項の組み合わせを含むこともできるということに留意すべきである。そのような組み合わせは、特定の組み合わせを意図していないと記載されてない限り、本明細書において明示的に提案されている。さらに、そのような組み合わせは、たとえその請求項が独立請求項に直接的には従属していないとしても、他の任意の独立請求項に対する請求項の特徴も含むことが意図されている。