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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20221109BHJP
   A23B 7/157 20060101ALI20221109BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20221109BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20221109BHJP
   A23B 7/015 20060101ALN20221109BHJP
   A23B 7/04 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
F25D23/00 302E
F25D23/00 302M
A23B7/157
A61L9/14
F25D11/00 101B
A23B7/015
A23B7/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019196952
(22)【出願日】2019-10-30
(62)【分割の表示】P 2015144188の分割
【原出願日】2015-07-21
(65)【公開番号】P2020030038
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2019-10-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】河内 誠
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/009190(WO,A1)
【文献】特開2012-21654(JP,A)
【文献】特開2007-40681(JP,A)
【文献】特開2010-233910(JP,A)
【文献】特開昭62-225881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00,23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、前記貯蔵室内へミストを供給する霧化装置とが設けられた冷蔵庫において、
前記霧化装置から供給されたミストに紫外線を照射してオゾン含有ミストを生成する紫外線照射装置が設けられ、
前記紫外線照射装置から照射された紫外線が前記貯蔵室内へ届き、
前記貯蔵室内に収納された収納物に紫外線が照射されるように前記紫外線照射装置が配置されたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ミストを貯蔵室内に循環させるファンが設けられた、請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紫外線には除菌作用があることが知られている。このことを利用した冷蔵庫として、冷却器の除霜により生じる除霜水に紫外線を照射して除菌し、除菌後の水をミストにして野菜室内に放出する冷蔵庫が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、紫外線は次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン等の遊離塩素を分解することも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-241921号公報
【文献】特開平4-363190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、除霜水のように貯水部に溜まっている水に紫外線を照射しても、貯水部に溜まっている水が多い場合にはその水全体に十分に紫外線が当たらない。そのため、その水をミスト化しても、紫外線の効果が小さいミストが発生するだけである。
【0006】
そこで本発明は、紫外線が十分に照射されたミストを貯蔵室内へ供給できる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内へミストを供給する霧化装置とが設けられた冷蔵庫において、前記霧化装置から供給されたミストに紫外線を照射してオゾン含有ミストを生成する紫外線照射装置が設けられ、前記紫外線照射装置から照射された紫外線が前記貯蔵室内へ届き、前記貯蔵室内に収納された収納物に紫外線が照射されるように前記紫外線照射装置が配置されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の冷蔵庫10の断面図。
図2】実施形態の冷蔵庫10の野菜室31付近の部分断面図。
図3】紫外線照射装置60の断面図。
図4】実施形態の冷蔵庫10のブロック図。
図5】自動製氷制御のフローチャート。
図6】チルド室23内に紫外線照射装置60が設けられた冷蔵庫10の野菜室31付近の部分断面図。
図7】収納室34内に紫外線照射装置60と霧化装置80とが設けられた冷蔵庫10の野菜室31付近の部分断面図。
図8】変更例の紫外線照射装置160の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態について図面に基づき説明する。
【0010】
本実施形態に係る冷蔵庫10は、図1に示すように、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱と内側に貯蔵空間を形成する内箱とが組み合わさった冷蔵庫本体12を備える。外箱と内箱との間には発泡断熱材等が充填されている。内箱の内側の貯蔵空間は、上側の冷蔵空間20と下側の冷凍空間40とに区画されている。
【0011】
冷蔵空間20は、冷蔵温度(例えば、2~3℃)に冷却される空間である。冷蔵空間20の内部は、貯蔵室としての上側の冷蔵室21と、同じく貯蔵室としての下側の野菜室31とに区画されている。
【0012】
冷蔵室21内の上部には複数の載置棚22が設けられている。冷蔵室21内の下部の右側の場所には、チルド室23が設けられている。チルド室23内は、冷蔵室21内の中でも特に低温に保持される場所で、肉や魚等が収納される場所である。チルド室23内にはチルド容器24が引き出し自在に収納されている。図2に示すように、冷蔵室21内の下部の左側の場所(チルド室23の左側の場所)には、製氷用水を貯水する貯水タンク25が設けられている。冷蔵室21の開口部は、その片側の上下に設けられたヒンジにより回動自在に設けられた冷蔵室扉26により閉塞されている。
【0013】
貯水タンク25には給水ポンプ76(図4参照)が設けられている。貯水タンク25内の製氷用水は、この給水ポンプ76によって、貯水タンク25の後方へ伸びる吐出管27へ吐出される。吐出管27を通過した製氷用水は、貯水タンク25の後方に配置されている水受ケース28に入り、水受ケース28から、下方の野菜室31に向かって伸びる給水管29へ送られる。
【0014】
野菜室31の開口部は引き出し式扉32により閉塞されている。引き出し式扉32の裏側には野菜容器33が保持されている。この野菜容器33は、引き出し式扉32と一体となって引き出されるように構成されている。野菜室31の引き出し式扉32の開閉状態は、扉センサ73(図4参照)で検出可能であることが望ましい。
【0015】
野菜室31内の野菜容器33の上方には収納室34が設けられている。収納室34は、野菜室31の上壁に固定されたホルダ35と、ホルダ35の前方開口部から出し入れ可能な収納容器36とを備える。収納容器36は引き出し式のものであり、その前面が収納室34の前扉を兼ねている。図示されているように、収納室34内の収納容器36より後方に後述する紫外線照射装置60が配置される場合は、例えば収納容器36の後壁の高さが低く形成されることにより、紫外線照射装置60から照射される紫外線が収納容器36内に届くようになっていることが望ましい。収納室34は、減酸素装置が接続され内部の酸素濃度が低減可能な減酸素室であっても良い。
【0016】
収納室34や収納容器36は、内部で紫外線が発生した場合にこれが外部に漏れないように遮蔽できるものであることが望ましい。例えば、収納室34や収納容器36は、紫外線が透過しない材料でできていることが望ましい。また、その材料は、紫外線が当たることにより劣化しないものであることが望ましい。そのような材料として例えば金属が挙げられる。
【0017】
冷凍空間40は、冷凍温度(例えば、-18℃以下)に冷却される空間である。冷凍空間40内の上部には、製氷装置50を備える製氷室41と小型冷凍室とが、前方から見て左右に並ぶように併設されている。冷凍空間40内の下部には冷凍室42が設けられている。冷凍室42の開口部は引き出し式扉43により閉塞されている。引き出し式扉43の裏側には収納容器44が保持されている。この収納容器44は、引き出し式扉43と一体となって引き出されるように構成されている。収納容器44の上方にさらに別の収納容器が設けられていても良い。
【0018】
製氷装置50は、製氷室41の上壁に固定された駆動装置51と、駆動装置51により反転する製氷皿52と、駆動装置51から斜め下方に向けて設けられた貯氷量検知レバー53とを備える。製氷皿52には温度センサ56(図4参照)が設けられている。製氷皿52の上方では、野菜室31から伸びてきて製氷室41の上壁を貫通している給水管54が開口している。また製氷皿52の下方には貯氷容器55が配置されている。製氷用水は、給水管54を通って製氷皿52に供給され、製氷皿52で氷になる。氷が完成すると製氷皿52が反転し、氷は貯氷容器55内に落ちる。これが繰り返されて氷が貯氷容器55内に貯められていく。
【0019】
製氷室41の前方開口部は引き出し式扉57により閉塞されている。貯氷容器55は、引き出し式扉57と一体となって引き出されるように構成されている。
【0020】
野菜室31内の収納室34内の後方の場所には、紫外線照射装置60が配置されている。紫外線照射装置60は、図3に示すように、液溜め容器61と、液溜め容器61内に設けられた1つの紫外線ランプ62とを備える。
【0021】
液溜め容器61は内部に製氷用水が溜まる容器である。液溜め容器61は、紫外線が透過する材料でできている。また、その材料は、紫外線が透過することにより劣化しないものであることが望ましい。そのような望ましい材料として、例えば、石英ガラスやフッ素樹脂が挙げられる。液溜め容器61の上部には給水口63と空気孔64とが開口している。また液溜め容器61の底部には排水口65が開口している。排水口65の下端部には給水弁66が設けられている。冷蔵室21から伸びてきた給水管29は、収納室34の上壁を貫通し、収納室34内にある紫外線照射装置60の給水口63に接続されている。また、製氷室41へ通じる給水管54は、収納室34の下壁を貫通しており、収納室34内にある紫外線照射装置60の給水弁66に接続されている。このようにして、給水管29、54と、紫外線照射装置60の液溜め容器61と、前記の貯水タンク25の後方の吐出管27と水受ケース28とで、貯水タンク25から製氷装置50までの給水経路を形成している。空気孔64は、液溜め容器61内の製氷用水の量の変化に応じて、空気が出入りする孔である。
【0022】
紫外線ランプ62は、電源に接続されたスイッチ67(図4参照)により点灯や消灯がなされるものである。紫外線ランプ62が配置される場所は限定されないが、本実施形態の場合は、平面視で液溜め容器61の中心に当たる場所に設けられている。また、本実施形態では、排水口65は平面視で液溜め容器61の中心に当たる場所に設けられている。そのため紫外線ランプ62は排水口65の上方に位置している。紫外線ランプ62は保護管68に覆われている。保護管68は上記と同様の紫外線が透過する材料でできている。
【0023】
このような紫外線照射装置60において、給水弁66が閉鎖されていると、給水管29から流れてきた製氷用水が給水口63を通過して液溜め容器61内に溜まる。液溜め容器61内に一定量の製氷用水が溜まった状態で紫外線ランプ62が点灯すると、液溜め容器61内の製氷用水に紫外線が照射される。すると製氷用水に含まれる次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン等の遊離塩素が分解される。液溜め容器61が紫外線が透過する材料でできているため、紫外線は紫外線照射装置60の周囲の場所にも照射される。その後紫外線ランプ62が消灯し、さらに給水弁66が解放されると、遊離塩素が分解された製氷用水が排水口65から排出される。
【0024】
図4のブロック図に示すように、冷蔵庫10は、貯蔵室内の温度を保つために冷蔵用冷却器71や冷凍用冷却器72等を制御する制御部70を備える。制御部70は、紫外線ランプ62のスイッチ67、液溜め容器61の給水弁66、貯水タンク25に設けられた給水ポンプ76、野菜室31の扉センサ73、製氷装置50の駆動装置51、製氷装置50の貯氷量検知レバー53、製氷皿52の温度を測定する温度センサ56、等にも接続されている。
【0025】
制御部70は図5のフローチャートの制御を行う。なお、このフローチャートは制御の一例であり、制御部70はこのフローチャートと異なる制御を行っても良い。
【0026】
制御部70は、製氷開始条件が満たされると、自動製氷制御を開始する(S1)。製氷開始条件は限定されない。例えば、前回の製氷皿52への給水時から一定時間が経過した時等に、制御部70は製氷開始条件が満たされたと判断する。なお自動製氷制御の開始時点で、既に、紫外線照射装置60の液溜め容器61に紫外線照射された製氷用水が溜まっているものとする。
【0027】
制御部70は、自動製氷制御を開始すると、貯氷量検知レバー53からの信号に基づき、貯氷容器55内が満杯か否かを確認する(S2)。制御部70は、貯氷容器55内が満杯であると判断した場合は(S2のYes)、製氷することなく自動製氷制御を終了する
(S8)。
【0028】
一方、制御部70は、貯氷容器55内が満杯でないと判断した場合は(S2のNo)、温度センサ56で、製氷皿52の温度が所定温度以下か否かを確認する(S3)。製氷皿52の温度が所定温度以下の場合は(S3のYes)、制御部70は、前回製氷皿52へ給水された製氷用水が完全に氷になっていると判断し、製氷装置50の駆動装置51を駆動させて製氷皿52を反転させる離氷操作を行う(S4)。離氷操作により、既に製氷皿52で完成していた氷が貯氷容器55内へ落下する。なお、製氷皿52の温度が所定温度より高い場合は(S3のNo)、制御部70は、製氷皿52の温度が所定温度以下になるまで離氷操作を実施しない。
【0029】
次に、制御部70は、給水弁66を制御して、離氷操作で空になった製氷皿52への給水を行う(S5)。具体的には、制御部70は、液溜め容器61の給水弁66を解放し、液溜め容器61内の製氷用水を排出する。このとき排出される製氷用水は既に紫外線が照射されたものである。排出された製氷用水は給水管54を通って製氷皿52へ給水される。制御部70は、製氷皿52への給水が終わると、給水弁66を閉鎖する。
【0030】
続いて、制御部70は、紫外線照射装置60への給水を行う(S6)。具体的には、制御部70は、貯水タンク25に設けられた給水ポンプ76を駆動させて、貯水タンク25内の製氷用水を吐出管27へ吐出させる。製氷用水は、吐出管27、水受ケース28、給水管29を通過して、紫外線照射装置60の液溜め容器61内に流入する。製氷用水は、閉鎖されている給水弁66で堰き止められて、液溜め容器61内に溜まっていく。
【0031】
制御部70は、液溜め容器61内に予め定められた一定量の製氷用水が溜まると、液溜め容器61内の製氷用水への紫外線照射を行う(S7)。具体的には、制御部70は、スイッチ67をONにして紫外線ランプ62を点灯し、紫外線を照射する。制御部70は、例えば、予め定められた一定時間(例えば30~60分)紫外線を照射した後、スイッチ67をOFFにして紫外線ランプ62を消灯し、紫外線の照射を終了する。
【0032】
ここで、紫外線ランプ62の点灯中に、野菜室31の引き出し式扉32が開いたことを扉センサ73が検知した場合は、制御部70は紫外線ランプ62を消灯し紫外線の照射を中断することが望ましい。紫外線の照射を中断した場合は、野菜室31の引き出し式扉32が閉じたことを扉センサ73が検知した後、制御部70が紫外線ランプ62を点灯し紫外線の照射を再開することが望ましい。また、紫外線の照射を開始する前に野菜室31の引き出し式扉32が開いたことを扉センサ73が検知した場合は、引き出し式扉32が閉じたことを扉センサ73が検知するまで、紫外線の照射を開始しないことが望ましい。
【0033】
紫外線照射装置60での紫外線の照射の終了後、制御部70は、制御をフローチャートのS2に戻し、貯氷容器55内が満杯になる(S2のYes)まで上記の制御を繰り返す。制御部70は、貯氷容器55内が満杯になったら(S2のYes)、自動製氷制御を終了する(S8)。
【0034】
本実施形態の効果について説明する。
【0035】
上記実施形態では、貯水タンク25から製氷装置50への給水経路において製氷用水に紫外線が照射されて製氷用水に含まれる遊離塩素が分解されるので、製氷用水は製氷皿52に給水されるまでにカルキ臭が抑えられたものとなっている。そのため製氷装置50でカルキ臭が抑えられた氷が製氷される。
【0036】
また、上記実施形態では、紫外線ランプ62を収納する液溜め容器61の内部から外部
へ、紫外線が透過できるため、紫外線照射装置60の周囲の収納物や空気に紫外線が照射される。そのため、紫外線照射装置60の周囲の収納物や空気を除菌することができる。また、紫外線照射装置60の周囲に野菜が収納されている場合、その野菜に紫外線が照射される。すると野菜の表皮に活性酸素が発生する。この活性酸素を抑制するために、野菜は、抗酸化物質であるビタミン類を作り出す。そのため野菜は栄養素が増加したものになる。このように、紫外線が製氷用水に照射されると同時に収納物や空気にも照射されるため、製氷用水に含まれる遊離塩素の分解だけでなく、収納物や空気の除菌や、収納物(特に野菜)の栄養素増加の効果も得られる。また、1つの紫外線ランプ62で製氷用水と周囲の収納物や空気とに同時に紫外線を照射できるため、製氷用水に紫外線を照射する紫外線ランプと、収納物や空気に紫外線を照射する別の紫外線ランプとの2つの紫外線ランプを設ける必要が無い。そのため、本実施形態の冷蔵庫10では、製氷用水に含まれる遊離塩素の分解及び空気の除菌等と、低コスト化及び省スペース化が、両立されている。 また、紫外線照射装置60が設けられた野菜室31の引き出し式扉32の開閉が扉センサ73で検出可能であり、引き出し式扉32が開いたことを扉センサ73が検知した場合に紫外線の照射が中断される場合、利用者に紫外線が照射されることを防ぐことができる。
【0037】
また、上記実施形態のように、紫外線照射装置60が野菜室31内の収納室34内に設けられている場合、特に除菌したい物を選んで収納室34に入れることができる。さらに、収納室34が紫外線を遮蔽するものである場合、紫外線を当てたくない物を収納室34外に収納してこれに紫外線が当たらないようにすることができる。また、収納室34が金属でできている場合、収納室34内で発生した紫外線が金属製の収納室34の壁で反射するため、収納室34内の収納物に様々な方向から多くの紫外線が当たることになり、除菌効果が高まる。
【0038】
本実施形態の変更例について説明する。
【0039】
上記の実施形態では紫外線照射装置60は野菜室31内の収納室34内に配置されたが、紫外線照射装置60が配置される場所はここに限定されない。
【0040】
例えば、図6に示すように、紫外線照射装置60はチルド室23内に配置されていても良い。紫外線照射装置60の液溜め容器61が紫外線が透過する材料でできていれば、紫外線ランプ62からの紫外線が、液溜め容器61を透過してチルド室23内に照射され、チルド室23内に収納された肉や魚等を除菌する。この場合において、チルド室23は、紫外線が透過しない材料でできていても良い。また、その材料は、紫外線が当たることにより劣化しないものであることが望ましい。そのような材料として例えば金属が挙げられる。
【0041】
なお、紫外線照射装置60が配置される場所がいずれの貯蔵室内であっても、その貯蔵室内にさらに収納室が設けられ、その収納室内に紫外線照射装置60が設けられていることが望ましい。ここで収納室とは貯蔵室内の仕切られた一画のことである。収納室は、収納物を出し入れするために開閉させるものであることが望ましい。ただし完全に密閉可能なものでなくても良い。上記のチルド室23も収納室の1つである。収納室は、紫外線照射装置60から照射された紫外線が収納室外に漏れないように、紫外線を遮蔽するものであることが望ましい。
【0042】
また、紫外線照射装置60が配置される場所がいずれの貯蔵室内であっても、上記実施形態のように、その貯蔵室の扉の開放を検知する扉センサが設けられ、扉センサが扉の開放を検知すると紫外線ランプ62が消灯するように制御されることが望ましい。
【0043】
また、紫外線照射装置60が野菜室31内の収納室34内に設けられている場合におい
て、紫外線が紫外線照射装置60の液溜め容器61外へ透過できる場合は、図7に示すように、収納室34内に向かって霧状の水滴(ミスト)を供給する霧化装置80が収納室34内に設けられていても良い。
【0044】
図7の霧化装置80は、貯水される霧化用貯水タンク81の底部に超音波振動子82が設けられたものである。図示しない発振回路が超音波振動子82に例えば20~100kHzの周波数の電圧を印加すると、超音波振動子82が超音波振動する。すると霧化用貯水タンク81内の水中を超音波が伝播して行き、霧化用貯水タンク81内の水面で水が霧化し、粒径が小さい(例えば数μm~数十μmの)ミストが発生する。こうして発生したミストが霧化用貯水タンク81の開口部から放出される。ミストの放出先は、紫外線照射装置60の液溜め容器61の外部であって、液溜め容器61外へ透過した紫外線が直接当たる場所である。そして放出されたミストに紫外線照射装置60からの紫外線が照射されてオゾン含有ミストが生成される。オゾンは強い酸化力を有するため、オゾン含有ミストが収納室34内を循環することにより、収納室34内が除菌される。オゾン含有ミストは紫外線照射装置60からの紫外線が直接当たらない場所にも循環するため、このような場所も除菌される。
【0045】
なお霧化装置の構造は上記のものに限定されない。例えば、霧化装置は、多数の微細な孔が形成された振動板と、振動板を超音波振動させる超音波振動子と、振動板に給水する給水装置とを備えるものであっても良い。この場合、振動板が超音波振動子により振動させられると、振動板の孔の中に到達していた水が圧力を受けて粒径が小さい(例えば数μm~数十μmの)ミストとなり、放出される。
【0046】
これらの超音波霧化方式の霧化装置の代わりに静電霧化装置が用いられても良い。静電霧化装置は、水が供給された電極を負極として高電圧を印加することにより、負極の水をレイリー分裂させて、ミストを発生させる装置である。静電霧化装置により発生させられるミストは、粒径がより小さい(例えば数nm~数十nmの)ものである。
【0047】
収納室34内に霧化装置80が設けられる場合は、収納室34内にさらにミスト循環ファン85が設けられていても良い。ミスト循環ファン85が回転することにより、前記のオゾン含有ミストの循環が良くなり、除菌効果が高まる。ミスト循環ファン85が収納室34の側壁に設けられ、収納室34内で発生したオゾン含有ミストが収納室34外へ循環するように構成されていても良い。
【0048】
なお、霧化装置80が配置される場所は、紫外線照射装置60からの紫外線が照射される場所にミストを供給可能な場所であれば、どこでも良い。例えば、紫外線照射装置60が野菜室31内の収納室34内に設けられている場合に、霧化装置80が、収納室34外に設けられて、収納室34内にミストを供給しても良い。また、上記変更例のように紫外線照射装置60がチルド室23内に配置される場合は、霧化装置80もチルド室23内に配置されることが望ましい。しかし、霧化装置80がチルド室23外に配置され、その霧化装置80がチルド室23内の紫外線照射装置60の周囲に向かってミストを供給しても良い。
【0049】
また、ミスト循環ファン85は、それが無い場合と比較して、オゾン含有ミストの循環の速さが早くなったり、オゾン含有ミストの循環の方向が変化したりするような場所に設けられていれば良い。
【0050】
また、紫外線照射装置の構造は、上記実施形態の紫外線照射装置60の構造と同じでなくても良い。
【0051】
上記実施形態とは別の構造の紫外線照射装置160を図8に示す。紫外線照射装置160は、液溜め容器161と、液溜め容器161内に配置された保護管168と、保護管168の内側に収納された1つの紫外線ランプ162とを備える。
【0052】
液溜め容器161は内部に製氷用水が溜まる容器である。液溜め容器161の上部には給水口163が、底部には排水口165が開口している。排水口165の下端部には給水弁166が設けられている。上記実施形態の液溜め容器61と同様に、冷蔵室21から伸びてきた給水管29が給水口163に接続され、製氷室41へ通じる給水管54が給水弁166に接続されている。そのため製氷用水は液溜め容器161内を流れることができる。また給水弁166が閉じた状態では、製氷用水は液溜め容器161内に溜まる。液溜め容器161の上部には、液溜め容器161内の製氷用水の量の変化に応じて空気が出入りする空気孔が設けられていても良い。また液溜め容器161は紫外線が透過する材料でできていても良い。
【0053】
保護管168内には採取された冷蔵庫内の冷気が流れる。そのための構造は次の通りである。
【0054】
液溜め容器161の上部には、給水口163とは別の孔が形成されており、その孔をキャップ190が塞いでいる。キャップ190の下部には保護管168が固定されている。保護管168は、上方に開口部を有するものであり、その開口部がキャップ190で閉塞されるようにしてキャップ190に固定されている。またキャップ190の中心には孔が形成されており、その孔から保護管168の内部に向かって1つの紫外線ランプ162が挿入されている。従って、紫外線ランプ162は、保護管168に覆われた状態で液溜め容器161内に配置されている。保護管168は、液溜め容器161内において保護管168の内側と外側とを遮断しており、液溜め容器161内の製氷用水が保護管168内へ侵入することを防いでいる。ここで、保護管168の内面と紫外線ランプ162との間には、間隔が空いている。また、保護管68は、紫外線が透過し、また好ましくは紫外線が透過することにより劣化しない材料、例えば石英ガラスやフッ素樹脂でできている。
【0055】
キャップ190には、さらに、吸気通路191と排気通路192とが設けられている。吸気通路191と排気通路192とは、それぞれ、液溜め容器161外から液溜め容器161内の保護管168内へと通じている。吸気通路191には管状の冷気供給管193の一方の端部が接続されている。冷気供給管193の他方の端部は、冷蔵庫内の適当な箇所に配置されている。排気通路192には管状の冷気排出管194の一方の端部が接続されている。冷気排出管194の他方の端部には、空気ポンプ195が接続されている。
【0056】
制御部70が空気ポンプ195を稼働させると、冷蔵庫内の冷気が冷気供給管193の端部から吸引され、吸気通路191を通過して液溜め容器161内の保護管168内に入る。保護管168内に入った冷気は、紫外線ランプ162の周囲を廻りながら保護管168内を流れる。冷気の保護管168内での流れる方向は、例えば図8に矢印で示されている方向である。その後冷気は、排気通路192を通過し、冷気排出管194を通り、空気ポンプ195から冷蔵庫内に排出される。このようにして、液溜め容器161内の除霜用水と紫外線ランプ162との間を、冷気が流れる。
【0057】
以上の構造の紫外線照射装置160において、制御部70は、製氷用水を液溜め容器161に溜めたり液溜め容器161から排出したりする。さらに保護管168内に冷気を流す。制御部70が保護管168内に冷気を流すのは、例えば液溜め容器161に一定量の製氷用水が溜まっているときだけであっても良い。このように、冷気が液溜め容器161内の保護管168の内側を流れ、製氷用水が液溜め容器161内の保護管168の外側に溜められている状態で、制御部70は紫外線ランプ162を点灯させる。すると、保護管
168内の冷気と保護管168外の製氷用水との両方に同時に紫外線が照射される。そのため、製氷用水に含まれる遊離塩素の分解と冷蔵庫内を循環する冷気の除菌とを同時に行うことができる。また、紫外線ランプ162が保護管168の内側に保護されているため、紫外線ランプ162が水と接触して故障したり劣化したりすることを防ぐことができる。また、紫外線ランプ162と保護管168との間の空間を冷気の除菌場所として有効に活用できる。
【0058】
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以上の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10…冷蔵庫、12…冷蔵庫本体、20…冷蔵空間、21…冷蔵室、22…載置棚、23…チルド室、24…チルド容器、25…貯水タンク、26…冷蔵室扉、27…吐出管、28…水受ケース、29…給水管、31…野菜室、32…引き出し式扉、33…野菜容器、34…収納室、35…ホルダ、36…収納容器、40…冷凍空間、41…製氷室、42…冷凍室、43…引き出し式扉、44…収納容器、50…製氷装置、51…駆動装置、52…製氷皿、53…貯氷量検知レバー、54…給水管、55…貯氷容器、56…温度センサ、57…引き出し式扉、60…紫外線照射装置、61…液溜め容器、62…紫外線ランプ、63…給水口、64…空気孔、65…排水口、66…給水弁、67…スイッチ、68…保護管、70…制御部、71…冷蔵用冷却器、72…冷凍用冷却器、73…扉センサ、76…給水ポンプ、80…霧化装置、81…霧化用貯水タンク、82…超音波振動子、85…ミスト循環ファン、160…紫外線照射装置、161…液溜め容器、162…紫外線ランプ、163…給水口、165…排水口、166…給水弁、168…保護管、190…キャップ、191…吸気通路、192…排気通路、193…冷気供給管、194…冷気排出管、195…空気ポンプ
図1
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図8