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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】温浴設備
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20221109BHJP
   B01D 39/04 20060101ALI20221109BHJP
   B01D 35/05 20060101ALI20221109BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A47K3/00 K
B01D39/04
B01D35/02 D
B01D29/08 520A
B01D29/08 530D
B01D29/08 540A
A47K3/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019225248
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021094060
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利明
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-089737(JP,A)
【文献】特開平08-215514(JP,A)
【文献】特開平06-121751(JP,A)
【文献】特開平06-237872(JP,A)
【文献】特開2013-128877(JP,A)
【文献】特開2019-089054(JP,A)
【文献】特開2003-088861(JP,A)
【文献】特開平09-066206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
B01D 39/04
B01D 35/02
B01D 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽基礎によって嵩上げして固定された浴槽と、前記浴槽内の湯水を取水して前記浴槽内に吐出する循環配管と、
前記浴槽内の湯水を濾過する濾過装置と、
前記循環配管に設けられたポンプ手段と、を有する温浴設備において、
前記濾過装置は、前記循環配管の取水口が接続するとともに前記浴槽の底部に凹状に設けられた濾材収容部と、前記濾材収容部内に出し入れ可能に収容される濾材マットと、を備え
前記濾材収容部は前記浴槽基礎によって設けられた床下空間に収まりかつ前記浴槽の中央に部分的に設けられ、
前記濾材マットは洗濯機による洗濯が可能であり、かつ、合成樹脂繊維を不織状態で絡げて塊状とした繊維チップと、前記繊維チップが詰められた袋状のネット部材と、で構成され、
さらに、前記濾過装置は、前記濾材収容部に複数の前記濾材マットが敷き詰められて構成されることを特徴とする温浴設備。
【請求項2】
繊維チップが球形、円柱状、立方体、直方体、多角形柱状、もしくは不定形柱状であり、外寸が10mm~15mmであることを特徴とする請求項1記載の温浴設備。
【請求項3】
前記循環配管を流下する湯水を加温する加熱手段をさらに有し、
前記ポンプ手段と前記加熱手段とが浴槽に近接して設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の温浴設備。
【請求項4】
ポンプ手段と加熱手段とが浴槽の下部周縁に設けられた踏込部の下の収納空間に配置されることを特徴とする請求項3記載の温浴設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の下部に濾過装置を備えた温浴設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温浴施設、宿泊施設等の大浴場では、浴槽に貯留した湯水を濾過して循環し再利用する温浴設備が存在する。そして、このような温浴設備の濾過装置としては、例えば下記[特許文献1]に記載の発明のように、濾砂を充填した容器に湯水を通水して濾過する砂濾過器が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-193214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この砂濾過器を用いた濾過装置は装置規模が大きく、構成上、浴槽から離れた場所に大きな機械室を設け、この機械室に濾過装置を設置する場合が多い。このため、設備コストや設置スペースが必要となる他、浴槽から濾過装置までの循環配管の距離が長くなり、配管内でレジオネラ属菌等の細菌類が増殖し易いという問題点がある。また、砂濾過器自体がレジオネラ属菌等の細菌類の温床となり易いという問題点がある。さらに、砂濾過器ではヘアーキャッチャーの設置と毎日の清掃が条例等で義務付けられている場合があり、管理者の負担が大きいという問題点がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、浴槽の下部に濾過装置を備え省スペースでコンパクト且つメンテナンスの容易な温浴設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)浴槽基礎5によって嵩上げして固定された浴槽10と、前記浴槽10内の湯水を取水して前記浴槽10内に吐出する循環配管14と、前記浴槽10内の湯水を濾過する濾過装置80と、前記循環配管14に設けられたポンプ手段12と、を有する温浴設備において、
前記濾過装置80は、前記循環配管14の取水口が接続するとともに前記浴槽10の底部に凹状に設けられた濾材収容部20と、前記濾材収容部20内に出し入れ可能に収容される濾材マット30と、を備え、
前記濾材収容部20は前記浴槽基礎5によって設けられた床下空間に収まりかつ前記浴槽10の中央に部分的に設けられ、
前記濾材マット30は洗濯機による洗濯が可能であり、かつ、合成樹脂繊維を不織状態で絡げて塊状とした繊維チップ32と、前記繊維チップ32が詰められた袋状のネット部材34と、で構成され、
さらに、前記濾過装置80は、前記濾材収容部20に複数の前記濾材マット30が敷き詰められて構成されることを特徴とする温浴設備100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)繊維チップ32が球形、円柱状、立方体、直方体、多角形柱状、もしくは不定形柱状であり、外寸が10mm~15mmであることを特徴とする上記(1)記載の温浴設備100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)前記循環配管14を流下する湯水を加温する加熱手段16をさらに有し、
前記ポンプ手段12と前記加熱手段16とが浴槽10に近接して設けられたことを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の温浴設備100を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)ポンプ手段12と加熱手段16とが浴槽10の下部周縁に設けられた踏込部11の下の収納空間Aに配置されることを特徴とする上記(3)記載の温浴設備100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る温浴設備は浴槽の底部に濾過装置を備えているため、濾過器を設置する機械室が必要なく、また浴槽と濾過装置とを繋ぐ配管が不要なため、省スペース化と施工作業の軽減、施工時間の短縮、設備コスト、施工コストの低減等を図ることができる。さらに、ポンプ手段、加熱手段を浴槽に近接配置することで、温浴設備をユニット化することができる。
また、本発明に係る温浴設備の濾材マットは、ヘアーキャッチャーの役割も果たすため別途ヘアーキャッチャーを設ける必要がなく、また濾過装置のメンテナンスは濾材マットを交換することで完了し、また交換により取り出された濾材マットは一般的な洗濯機での洗浄が可能なため、極めて容易かつ低コストでの維持が可能となる。また、濾材マットの交換と洗浄が容易なため、これを定期的に行う事で濾過装置内における細菌類の増殖を防止し衛生面での安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る温浴設備の概略構成図である。
図2】本発明に係る温浴設備の濾材マットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る温浴設備について図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る温浴設備100の概略構成図である。本発明に係る温浴設備100は、浴槽10と、この浴槽10内の湯水を取水して浴槽10内に吐出する循環配管14と、浴槽10内の湯水を濾過する濾過装置80と、循環配管14に設けられ取水口からの湯水を圧送するポンプ手段12と、を有している。また、温浴設備100は循環配管14を流下する湯水を加温する加熱手段16を有していても良い。そして、本発明に係る温浴設備100の濾過装置80は、浴槽10の底部に凹状に設けられるとともに循環配管14の取水口が接続した濾材収容部20と、この濾材収容部20内に出し入れ可能に収容される濾材マット30と、を備えている。
【0010】
また、温浴設備100を構成する浴槽10には特に限定は無く、周知のものを用いることができる。中でも特にステンレスやFRP(繊維強化プラスチック)等の材料で形成された浴槽型枠10aに、内装としての浴槽内壁10bを貼って構成したものを用いることが好ましい。この浴槽型枠10aを用いた浴槽10は高い防水性を有する他、予め製造したものを現地で据え付ければ良く施工作業を容易かつ短時間で行うことができる。また、この浴槽型枠10aを用いた構成では、浴槽型枠10aの底部を部分的に下方向に凹ませて形成することで所望の大きさの濾材収容部20を比較的容易に設けることができる。また、浴槽10の底部(下部)周縁の一部もしくは全周には上方向への段差を設けて利用者が浴槽10に入るときに使用する踏込部11を設けることが一般的である。そして、浴槽型枠10aを用いた浴槽10では、この踏込部11の形成も比較的容易に行うことができる。尚、後述の図1(a)に示す構成では、この踏込部11の下方の空間をポンプ手段12、加熱手段16を収容する収納空間Aとして利用する。
【0011】
また、濾材収容部20は濾材マット30を収容するものであり、前述のように浴槽10の底部(底面)に凹状に設けられる。尚、浴槽型枠10aを用いた浴槽10は浴槽基礎5によって嵩上げして固定され、浴槽10の下に各種配管等を配設するための床下空間を設ける。そして、濾材収容部20はこの床下空間に収まる形状、寸法とする。この構成によれば、濾材収容部20を収容するための空間を別途構築する必要が無く、濾材収容部20付きの浴槽10を容易に設置することができる。尚、濾材収容部20の形成位置は浴槽基礎5の位置、排水経路や循環配管14の配管経路等によって適切に設計され、浴槽10の中央に設ける。この濾材収容部20の形状に関しては特に限定は無いが、基本的に正方形、長方形もしくは所定の幅と長さの溝状とすることが好ましい。そして、濾材収容部20内には濾材マット30が収容されるとともに、濾材収容部20の上方の開口部分にはパンチングメタルやグレーチング等の通水性を有する蓋部材22が着脱可能に設置される。また、濾材収容部20には前述した循環配管14の取水口と開閉弁18aを備えた排水配管18とが接続する。
【0012】
また、濾材マット30は、図2に示すように、合成樹脂繊維を不織状態で塊状とした繊維チップ32と、この繊維チップ32が詰められた袋状のネット部材34と、で構成される。尚、この繊維チップ32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の所定の合成樹脂繊維を不織状態で絡げて外寸が10mm~15mm程度の塊状としたものである。また、繊維チップ32の形状は球形、円柱状、立方体、直方体、多角形柱状、不定形柱状のものを用いる。また、ネット部材34に関しては特に限定は無く、繊維チップ32が通過しない一般的な目開きのものを用いることができる。また、ネット部材34は濾材収容部20内に収容した際に濾材収容部20の内壁との間に大きな隙間が生じない大きさとし、さらに複数の濾材マット30を敷き詰めるようにして構成する。これにより、循環配管14の取水口から吸引される浴槽10の湯水は濾材マット30を通過し、この際に湯水中のゴミ等は繊維チップ32に捕集され湯水に対する濾過が行われる。
【0013】
また、循環配管14には周知のポンプ手段12が接続するとともに、その他端は吐出口として浴槽10に接続する。また、循環配管14にはヒータ、ボイラ、熱交換器等の周知の加熱手段16が設けられ、循環配管14を流下する湯水を加温する。さらに、循環配管14には流下する湯水に薬剤を注入して殺菌を行う薬剤注入部(図示せず)を設けても良い。尚、図中ではポンプ手段12、加熱手段16を縦方向に配置して図示しているが、基本的に横方向に並べて配置することが好ましい。さらに、循環配管14には流下する湯水の温度を取得する周知の温度測定手段15が設けられ、この温度測定手段15が取得する湯水の温度に応じて加熱手段16の動作が制御される。また、浴槽10には周知の水位センサ17を設けて、この水位センサ17が取得する湯水の水位に応じて湯水の供給を制御するようにしても良い。
【0014】
また、これらのポンプ手段12、加熱手段16は浴槽10に近接して設置することが好ましい。尚、本発明に係る温浴設備100は浴槽10の下部に濾過装置80を備えているため、ポンプ手段12、加熱手段16を浴槽10に近接配置することで、温浴設備100をユニット化することができる。この構成によれば、循環配管14の管路長を短くすることが可能となり、配管内における細菌類の増殖リスクを低減することができる。また、配管構築作業が容易となり施工作業の負担軽減、施工時間の短縮、施工コストの低減等を図ることができる。特に図1(a)に示す構成では、浴槽10の底部周縁に形成された踏込部11の下を収納空間Aとし、この収納空間Aにポンプ手段12及び加熱手段16を配置する。この構成では、ポンプ手段12及び加熱手段16の設置場所を別途構築する必要が無く、温浴設備100をさらにコンパクト化することができる。また、温浴設備100の設置作業をさらに容易に行うことができる。また、図1(b)に示すようにポンプ手段12及び加熱手段16を浴槽10の外部に配置する場合でも、従来の砂濾過器と比較して循環配管14を短く形成できるので、施工作業の軽減と施工コストの低減を図ることができる。尚、ポンプ手段12と加熱手段16の設置箇所には、管理者が設備の維持管理等を行えるようメンテナンス用開口24を設けることが好ましい。
【0015】
次に、本発明に係る温浴設備100の使用方法及び動作の一例を説明する。尚、これらの動作は管理者等が手動で行っても良いし、図示しない制御部が自動で行っても良い。
【0016】
先ず、管理者等が濾材マット30を濾材収容部20内に収容する。そして、蓋部材22を濾材収容部20の上部開口に嵌め込む。このとき、蓋部材22の上面と浴槽10の底面とは段差無く面一とすることが好ましい。次に、開閉弁18aを閉じた状態で浴槽10への給水栓(給湯栓)を開状態とする。これにより、浴槽10内に湯水が供給される。尚、ここでの湯水とは温泉水、地下水、水道水、温水等である。このとき、浴槽10内の湯水の水位は水位センサ17が取得し制御部に出力する。そして、制御部は浴槽10内の湯水の水位が予め設定された水位になると給水栓(給湯栓)を閉状態とし湯水の供給を停止する。
【0017】
次に、管理者もしくは制御部はポンプ手段12を動作させる。これにより、浴槽10内の湯水は蓋部材22を通って濾材収容部20内に入り濾材マット30を通過して循環配管14の取水口から吸引される。そして、濾材マット30を通過する際に、湯水中のゴミや毛髪等は繊維チップ32によって捕集され、湯水に対する濾過が行われる。また、温浴設備100が薬剤注入部を有する場合には、循環配管14中を流下する湯水に対して適宜薬剤が注入され、細菌類等の殺菌が行われる。そして、濾材マット30によって濾過された湯水は循環配管14内を流下して温度測定手段15によって水温が測定される。制御部もしくは管理者は温度測定手段15が取得した湯水の温度によって加熱手段16のオン・オフ及び出力(火力)を制御する。また、ポンプ手段12を制御して湯水の流量を調節する。これにより、循環配管14中を流下する湯水は加熱手段16によって適宜加温された後、浴槽10内に吐出する。そして、浴槽10内の湯水は予め設定された温度に維持される。また、浴槽10内の湯水が使用されるなどして予め設定された水位よりも低下すると、制御部はこの水位の低下を水位センサ17を介して認識し給水栓(給湯栓)を開状態とする。これにより、浴槽10内には湯水が補水され、浴槽10内の湯水の量は予め設定された水位に維持される。尚、ポンプ手段12は基本的に使用時間中は常時稼働し、浴槽10内の湯水は常時循環して濾材マット30による濾過が行われる。尚、濾材マット30はヘアーキャッチャーの役割も果たすため、本発明に係る温浴設備100では別途ヘアーキャッチャーを設ける必要はない。
【0018】
次に、濾材マット30を清掃する場合、管理者等は先ず加熱手段16及びポンプ手段12を停止する。これにより、濾材収容部20への湯水の流入、循環は停止する。次に、排水配管18の開閉弁18aを開動作させ、浴槽10内の湯水を濾材収容部20の排水配管18から排水する。次に、蓋部材22を外して濾材マット30を露出させる。次に、濾材マット30を濾材収容部20から取り出して、洗浄後の濾材マット30に交換する。次に、蓋部材22を濾材収容部20の上部開口に嵌め込む。次に、開閉弁18aを閉じた後、給水栓(給湯栓)を開状態として新たな湯水を供給する。このときも制御部が浴槽10内の湯水の水位を水位センサ17を介して取得して給水栓(給湯栓)の開閉を制御し、湯水の水位を予め設定された値とする。
【0019】
次に、管理者もしくは制御部はポンプ手段12及び加熱手段16を動作させる。これにより、浴槽10内の湯水は循環配管14を流下、循環し、交換後の濾材マット30による濾過と加熱手段16による湯水の加温が行われる。
【0020】
尚、交換により取り出された濾材マット30は一般的な周知の洗濯機により洗濯することが可能である。これにより、濾材マット30が捕集したゴミ等は洗い流され、濾材マット30の濾過能力は回復する。そして、交換用の濾材マット30として再度使用される。
【0021】
以上のように、本発明に係る温浴設備100は、浴槽10の底部に濾過装置80を備えているため、砂濾過器のような大型の濾過器やこれらを設置する機械室が必要なく、また浴槽10と濾過装置とを繋ぐ配管が不要なため、省スペース化と設備コストの低減を図ることができる。また、配管内での細菌類の増殖を抑制することができる。さらに、ポンプ手段12、加熱手段16を浴槽10に近接配置することで、温浴設備100をユニット化することができる。これにより配管(循環配管14)の経路が単純化して、構築作業等が容易となり施工作業の負担軽減、施工時間の短縮、施工コストの低減等を図ることができる。また、循環配管14の管路長を短くすることが可能となり、配管内における細菌類の増殖を抑制することができる。特に浴槽10の踏込部11の下を収納空間Aとし、この収納空間Aにポンプ手段12及び加熱手段16を配置する構成の温浴設備100は、循環配管14を最短化して温浴設備100を極めてコンパクトにユニット化することが可能となる。さらに、ポンプ手段12及び加熱手段16の設置場所を別途構築する必要が無く、温浴設備100の設置作業をさらに容易に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る温浴設備100の濾材マット30は、ヘアーキャッチャーの役割も果たすため別途ヘアーキャッチャーを設ける必要がなく、管理者の負担軽減を図ることができる。また、濾過装置80のメンテナンスは濾材マット30を交換することで完了するため、極めて短時間で容易に行う事ができる。また、交換により取り出された濾材マット30は一般的な洗濯機で洗濯することで濾過能力が回復するため、極めて容易かつ低コストでの維持が可能となる。このように、本発明に係る温浴設備100の濾過装置80は従来の砂濾過器と比較して濾材(濾材マット30)の洗浄に掛かる管理者等への負担が極めて少ないため、濾材マット30の交換、洗浄を頻繁に行うことが可能となり、濾過装置内における細菌類の増殖を防止し衛生面での安全性を向上することができる。
【0023】
尚、本例で示した温浴設備100、濾過装置80の各部の構成、機構、形状、寸法、動作、配管経路等、及び繊維チップ32の形状、寸法等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 浴槽
11 踏込部
12 ポンプ手段
14 循環配管
16 加熱手段
20 濾材収容部
30 濾材マット
32 繊維チップ
34 ネット部材
80 濾過装置
100 温浴設備
A 収納空間
図1
図2