(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】抗p53抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20221109BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221109BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221109BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221109BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20221109BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221109BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20221109BHJP
C07K 14/46 20060101ALI20221109BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20221109BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221109BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221109BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20221109BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12P21/08
C07K19/00
C12N5/10
C12N15/13
C12N15/63 Z
C07K16/18
C07K14/46
A61K39/00 H
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K35/12
(21)【出願番号】P 2019520556
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(86)【国際出願番号】 SG2017050522
(87)【国際公開番号】W WO2018074978
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(73)【特許権者】
【識別番号】516275941
【氏名又は名称】シンガポール ヘルス サーヴィシーズ プライベート リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】サバパシー,トル・カナガ
(72)【発明者】
【氏名】レイン,デビッド・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,リ-アン
(72)【発明者】
【氏名】コー,シン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ワ,リュー・オイ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-509251(JP,A)
【文献】特表平08-505607(JP,A)
【文献】特表2008-533986(JP,A)
【文献】Elena Canali et al.,SCIENTIFIC REPORTS,2014年04月22日,4 : 4729,p. 1-11
【文献】Philippa J. Barrell et al.,Protein Expression and Purification,2004年,Vol. 33,p. 153-159
【文献】Jonas Bethuyne et al.,Nucleic Acids Research,2014年,Vol. 42, no. 20,p. 12928-12938
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的な抗体を作製するための方法であって、
免疫原として
(i)
突然変異を含む、前記突然変異体p53ポリペプチドの少なくとの2つの非同一のアミノ酸配列を含む抗原配列、ここにおいて、前記突然変異体p53ポリペプチドが、5-20のアミノ酸の長さ
であり、そして、抗原配列はさらに、前記突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列の間にリンカー配列を含む、
および
(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列、
を含むペプチドまたはポリペプチド、を使用するステップを含む、
ここにおいて、免疫原が、さらに、抗原配列と足場配列との間に、1または複数のリンカー配列を含む。
前記方法。
【請求項2】
足場配列が、溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドに由来し、抗原配列が、ペプチドもしくはポリペプチドの溶媒に接触可能な配列に挿入されるか、またはその全部もしくは一部を置換する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドが、チオレドキシンであり、溶媒に接触可能な配列が、チオレドキシンの活性部位配列である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
突然変異体p53ポリペプチドが、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
突然変異体p53ポリペプチドが、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1つから選択される突然変異を含む、
請求項1から3いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
突然変異体p53ポリペプチドが、配列番号3~16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6
のいずれか一項に記載の免疫原を含むがんワクチン。
【請求項8】
がんに対するワクチン接種の方法における使用のための、
請求項1から6のいずれか一項に記載の免疫原。
【請求項9】
請求項1から6
のいずれか一項に記載の免疫原の、がんに対するワクチン接種における使用のための医薬の製造における使用。
【請求項10】
がんが、突然変異体p53ポリペプチドを発現するか、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸を含む、1または複数の細胞を含むがんである、
請求項7に記載のがんワクチン。
【請求項11】
がんが、突然変異体p53ポリペプチドを発現するか、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸を含む、1または複数の細胞を含むがんである、
請求項8に記載の免疫原。
【請求項12】
がんが、突然変異体p53ポリペプチドを発現するか、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸を含む、1または複数の細胞を含むがんである、
請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突然変異体p53ポリペプチドを対象とする抗体、およびこの抗体を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫応答は、克服されうる高度に特異的な認識イベントが、ほぼ全ての種類の外因性抗原を回避するように闘うことを目的として、進化の過程によって完全無欠なものとなった(FlajnikおよびKasahara、Nat Rev Gene(2010)、11(1):47~59)。脊椎動物では、Tリンパ球およびBリンパ球のいずれも、抗原に誘導される選択的な再配列を経る受容体を発達させて、類似する種に由来する高度に類縁の抗原性タンパク質内で生じうる可変性のうちで最も微細な可変性をも検出し(CooperおよびAlder、Cell(2006)、124(4):815~822)、これにより、外来からの侵入に対する障壁を確立した。この生得的能力は、わずかな構造的変動を伴う、高度に類似するタンパク質に対して多数の抗体を作出するのに利用されている(Loら、2014、Microbiol.Spectr.、2、AID-0007-2012)。さらにまた、標的アミノ酸残基上の、リン酸化、ユビキチン化、およびアセチル化など、わずかな翻訳後修飾を検出する抗体も作製され、これは、多種多様な生理学的過程および病理学的過程の機構的理解をもたらした。しかし、がんゲノム内のミスセンス突然変異のために注目されることが多い単一のアミノ酸変化の検出は、親タンパク質におけるフランキング領域の高度な相同性のために、選択的抗体の作出にとっての大きな難題となっている。突然変異していない天然タンパク質と交差反応しない突然変異特異的抗体を作製する試みがなされているが、これまでのところ、大半の取組みは、成功していない(Bondgaardら、Modern Pathology(2014)、27:1590~1598)。
【0003】
EGFR、PD-1などの表面抗原に対するmAbは、臨床状況で、処置のために使用され成功を収めているが(Martinelliら、2009 Clinical and Experimental Immunology、158(1):1~9;PhilipsおよびAtkins、2014、Int Immunol、27(1):39~46)、核抗原に対するmAbは一般に、有効となるために細胞膜を通過する上で難関に直面する。しかし、近年の研究は、核抗原に対する抗体が、実際に、治療的に有効であることを示しており(HongおよびZeng、2012、Cancer Res、72(11):3715)、この手法が、将来的に成功しうることを約束している。
【0004】
p53は、全てのがん型にわたり、最も突然変異する遺伝子であり、全ての腫瘍のうちの50%を超える腫瘍が、これにおける遺伝子変更の何らかの形態を呈する(Forbesら、2015、Nucleic Acids Res、43、D805~D811)。p53内の大半の突然変異は、約200アミノ酸にわたる、中央のDNA結合性ドメイン(DBD)内に見出され、同定された全てのp53突然変異のうちの、約90%を占める。ほぼ全てのDBD突然変異は、ゲノムの保護におけるp53の多機能的な役割のために、腫瘍の抑制および治療に対する効果的な応答に不可欠な、野生型p53の機能の喪失をもたらす(VousdenおよびLu、Nat Rev Cancer(2002)、2(8):594~604;Freed-PastorおよびPrives、Genes Dev(2012)、26(12):1268~1286)。野生型機能の喪失の他に、p53内の突然変異はまた、がんの発症を促進し、また治療に対する効果的な応答も阻害する2つの主要な現象ももたらす。1つは、p53の突然変異体対立遺伝子が、野生型対立遺伝子と共存する場合に生じ、これにより、ヘテロオリゴマーを形成し、この結果として、残りの野生型p53機能の減弱化をもたらすドミナントネガティブ(DN)効果である(Kernら、Science(1992)、256:827~830)。加えて、とりわけ、野生型p53対立遺伝子が、ヘテロ接合性喪失のために失われる、がんの後期段階では、突然変異体p53対立遺伝子が単独で存在する結果として、がん細胞は、生存および浸潤特性を促進する、突然変異体p53による新規発がん機能の獲得(GOF)に起因して、生存のために、突然変異体p53タンパク質に依存するようになる(Sabapathy、Front Oncol(2015)、5:276)。これらの過程における突然変異体p53の因果的役割は、その発現の低減、またはその機能の不活化により裏付けられており、この発現の低減または機能の不活化においては、DN機能およびGOF機能のいずれもがレスキューされえ、これは、がん細胞が治療的処置に対してより感受性となることを可能とする(Leeら、Cancer Cell(2012)、22:751~764)。これらのデータは、突然変異体p53をターゲティングする興味深い可能性を開くが、突然変異体p53の不活化を成功させるには、いくつかの難関が存在する。最も重要なこととして、p53内の全ての突然変異は、その野生型活性の喪失、および大半の場合に、DN効果を明白にもたらすが、GOF特性は、全てではなく、一部の突然変異体に選択的なものであるようである(Leeら、Cancer Cell(2012)、22:751~764;Hanelら、Cell Death Diff(2013)、20:898~909)ことに注目すべきであり、突然変異体p53のターゲティングは、各個別のp53突然変異体を選択的に検出し、不活化させるために、より洗練された手法を必要とすることが強調される。
【0005】
突然変異体p53の生物学を理解することは、突然変異体p53の、発がんおよび治療への応答における役割の解明にとっての基礎となっている。突然変異体p53が、どのようにして、その生存促進機能を果たすのかについての知見に関して、著しい進歩があったが、限界も存在する。例えば、全ての突然変異が、機能的に同様であるわけではなく(Sabapathy、2015、Front.Oncol.5:276)、p53のトランス活性化ドメインおよびオリゴマー化ドメインにおいて見出される突然変異(これは、ある特定の集団では、極めて一般的である(Achatzら、2007、Cancer Lett.、245:96~102))は、さらなる評価を必要とする。
【0006】
現行の技術は、ノックインマウスモデル、または野生型タンパク質を伴わずに、突然変異体タンパク質だけを発現するヒト腫瘍細胞系を用いているが、これらは、野生型タンパク質との共存における突然変異体タンパク質の役割を十全には反映しない場合がある。
【0007】
数十年にわたり、突然変異体p53に対する抗体を作出しようとする試みがなされており、p53の、突然変異体コンフォメーションに対するモノクローナル抗体(mAb)(PAb240)、または野生型コンフォメーションに対するmAb(PAb246)が利用可能である(Gannonら、EMBO J(1990)、9(5):1595~1602)。しかし、これらの抗体は、十分に特異的ではなく、交差反応性を呈し、適正なコンフォメーションの検出に、極めて選択的な条件を必要とするので、それらの使用は限定されている。
【0008】
VojtesekおよびLane、J Cell Sci(1993)、105(3):607~612は、DO-1と称する、ヒトp53のアミノ末端領域に対する抗体について記載しており、この抗体は、マウスp53との交差反応性を伴わずに、ヒトp53に対して高レベルの特異性を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的な抗体を作製するための方法であって、免疫原として、(i)突然変異と、突然変異に直接隣接する少なくとも1つのアミノ酸とを含む、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列を含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含むペプチドまたはポリペプチドを使用するステップを含む方法を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、足場配列は、溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドに由来し、抗原配列は、ペプチドもしくはポリペプチドの溶媒に接触可能な配列に挿入されるか、またはその全部もしくは一部を置換する。一部の実施形態では、溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドは、チオレドキシンであり、溶媒に接触可能な配列は、チオレドキシンの活性部位配列である。一部の実施形態では、免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドは、さらに、抗原配列と足場配列との間に、1または複数のリンカー配列を含む。一部の実施形態では、免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドは、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドは、さらに、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列の間に、リンカー配列を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列は、非同一である。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも5つのアミノ酸を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1つから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、配列番号3~16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0011】
別の態様では、本発明は、本発明に従う抗体を作製するための方法により得られるか、または得ることが可能な抗体または抗原結合性断片を提供する。
別の態様では、本発明は、野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的である抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1つから選択される突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、配列番号3~16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0013】
別の態様では、本発明は、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
ii) LC-CDR2:GAS (配列番号20);
iii) LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21);
iv) HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
v) HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
vi) HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた、そのバリアント[配列中、X1=YまたはN;X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]を提供する。
【0014】
一部の実施形態では、LC-CDR1は、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つである。一部の実施形態では、HC-CDR1は、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つである。一部の実施形態では、HC-CDR2は、IDPNNGVT(配列番号26)またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つである。
【0015】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
[配列中、X1=YまたはN]が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
【0016】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSY (配列番号19);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
【0017】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSN (配列番号23);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
【0018】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
[配列中、X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0019】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GFTFTEYT (配列番号25);
HC-CDR2:IDPNNGVT (配列番号26);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0020】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTEYT (配列番号29);
HC-CDR2:INPYSGGT (配列番号30);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0021】
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
[配列中、X1=YまたはN]を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0022】
一部の実施形態では、LC-CDR1は、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つである。
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
[配列中、X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0023】
一部の実施形態では、HC-CDR1は、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つである。一部の実施形態では、HC-CDR2は、IDPNNGVT(配列番号26)またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つである。
【0024】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、本明細書で記載される、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1(配列番号31)、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)、またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つ;LC-CDR2:GAS(配列番号20);LC-CDR3:QNDHSYPLT(配列番号21)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GX2TFTEYT(配列番号32)、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つ;HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T(配列番号33)、IDPNNGVT(配列番号26)、またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つ;HC-CDR3:ARWGGDYV(配列番号27)[配列中、X1=YまたはN;X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号18もしくは22(
図24)、または配列番号237もしくは94(
図49)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号24もしくは28(
図25)、または配列番号239、240、もしくは241(
図50)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)本明細書で記載される抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R175H p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は、R175H p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体を提供する。
【0029】
別の態様では、本発明は、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41);
ii) LC-CDR2:LVS (配列番号42);
iii) LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43);
iv) HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
v) HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
vi) HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた、そのバリアント[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、HC-CDR2は、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つである。一部の実施形態では、HC-CDR3は、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)のうちの1つである。
【0031】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
【0032】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0033】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IHPKNGGT (配列番号47);
HC-CDR3:AKMGGYDDY (配列番号48)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0034】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IDPKNGGT (配列番号50);
HC-CDR3:AKQGGFDDY (配列番号51)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0035】
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0036】
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0037】
一部の実施形態では、HC-CDR2は、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つである。一部の実施形態では、HC-CDR3は、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)のうちの1つである。
【0038】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、本明細書で記載される、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSLLYSDGKTY(配列番号41);LC-CDR2:LVS(配列番号42);LC-CDR3:WQGTHFPLT(配列番号43)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GYTFTDYY(配列番号46);HC-CDR2:IX7PKNGGT(配列番号52)、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つ;HC-CDR3:AKX8GGX9DDY(配列番号53)、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]のうちの1つに対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0040】
別の態様では、本発明は、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号40もしくは44(
図28)、または配列番号251もしくは252(
図57)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号45もしくは49(
図29)、または配列番号253もしくは254(
図58)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0041】
別の態様では、本発明は、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)本明細書で記載される抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R248Q p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0042】
別の態様では、本発明は、R248Q p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体を提供する。
【0043】
別の態様では、本発明は、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59);
ii) LC-CDR2:KVS (配列番号60);
iii) LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61);
iv) HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63);
v) HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64);
vi) HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた、そのバリアントを提供する。
【0044】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59)
LC-CDR2:KVS (配列番号60)
LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
【0045】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、以下のCDR:
HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63)
HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64)
HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0046】
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59)
LC-CDR2:KVS (配列番号60)
LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61)
を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、以下のCDR:
HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63)
HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64)
HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0048】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、本明細書で記載される、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチドを提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSIVHNNGDTY(配列番号59);LC-CDR2:KVS(配列番号60);LC-CDR3:FQGSHLPLT(配列番号61)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GFSFSDYY(配列番号63);HC-CDR2:ISVGGTYT(配列番号64);HC-CDR3:VRDGNDGKFLG(配列番号65)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号58(
図32)または配列番号247(
図53)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号62(
図33)または配列番号248(
図54)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)本明細書で記載される抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R273H p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、R273H p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体を提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、薬物部分または検出用部分へとコンジュゲートさせた、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗原結合性断片またはポリペプチドを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0054】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載されるキメラ抗原受容体(CAR)を含む細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
【0055】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、単離核酸を提供する。
【0056】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される核酸を含むベクターを提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書で記載されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、またはキメラ抗原受容体(CAR)を作製するための方法であって、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、またはコンジュゲートをコードするベクターの発現に適する条件下で、宿主細胞を培養するステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、またはコンジュゲートを回収するステップとを含む方法を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、治療、または医学的処置の方法における使用のための、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を提供する。
【0058】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、医学的処置の方法における使用のための医薬の製造における使用を提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、疾患を処置する方法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、疾患を患う患者へと投与するステップを含む方法を提供する。
【0060】
別の態様では、本発明は、がんの処置または防止における使用のための、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を提供する。
【0061】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、がんの処置または防止における使用のための医薬の製造における使用を提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、がんを処置する方法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、がんを患う患者へと投与するステップを含む方法を提供する。
【0063】
別の態様では、本発明は、がんを防止するか、またはがんの再発を防止する方法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、がんの危険性があるか、またはがんの再発の危険性があると考えられる患者へと投与するステップを含む方法を提供する。
【0064】
別の態様では、本発明は、突然変異体p53ポリペプチドを含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法、任意に、in vitroにおける方法を提供する。
【0065】
別の態様では、本発明は、対象における疾患または状態を診断する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0066】
別の態様では、本発明は、突然変異体p53ポリペプチドターゲティング剤による処置のために、対象を選択または層別化する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0067】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vitroまたはin vivoにおける、突然変異体p53ポリペプチドの検出のための使用を提供する。
【0068】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vitroまたはin vivoにおける、診断剤または予後診断剤としての使用を提供する。
【0069】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vivoにおいて、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法における使用を提供する。
【0070】
別の態様では、本発明は、in vivoにおいて、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、対象へと投与するステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0071】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される免疫原を含むワクチン、任意に、がんワクチンを提供する。
別の態様では、本発明は、任意に、がんに対する、ワクチン接種の方法における使用のための、本明細書で記載される免疫原を提供する。
【0072】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載される免疫原の、任意に、がんに対する、対象のワクチン接種における使用のための医薬の製造における使用を提供する。
別の態様では、本発明は、任意に、がんに対して、対象にワクチン接種するための方法であって、対象へと、本明細書で記載される免疫原を投与するステップを含み、これにより、対象に、がんに対してワクチン接種する方法を提供する。
【0073】
本発明の多様な態様に従う、一部の実施形態では、がんは、突然変異体p53ポリペプチドを発現するか、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸を含む、1または複数の細胞を含むがんである。突然変異体p53ポリペプチドは、選択された抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、細胞、または免疫原に対応しうる。
【発明を実施するための形態】
【0074】
突然変異体p53ポリペプチドおよび野生型p53ポリペプチド
p53腫瘍抑制因子は、ヒトでは、TP53遺伝子によりコードされるタンパク質である。p53は、DNA損傷および他のゲノム異常に対する細胞の応答において、最重要の役割を果たす。p53の活性化は、細胞周期の停止、DNAの修復、またはアポトーシスをもたらす。p53をコードする遺伝子の突然変異は、様々ながんの発生および進行に関与している(MullerおよびVousden、Cancer Cell(2014)、25:304~317)。
【0075】
ホットスポット突然変異(R175H、R248W、およびR273H)を含む、ある特定のp53突然変異は、p53依存性腫瘍抑制因子活性の喪失を結果としてもたらすだけでなく、発がん活性の獲得も結果としてもたらす。
【0076】
本明細書で言及される野生型p53ポリペプチドは、所与の動物についての、p53の基準アミノ酸配列を含みうるか、またはこれからなりうる。p53の基準アミノ酸配列は、当業者に公知のデータベースから、検索することができる。このようなデータベースは、GenBank、EMBL、DDBJ、UniProt、Swiss-Prot、TrEMBL、Protein Information Resource、Protein Data Bank、Ensembl、およびInterProを含む。
【0077】
動物は、哺乳動物でありうる。一部の実施形態では、動物は、ヒトでありうる。一部の実施形態では、動物は、非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他の齧歯動物(Rodentia目の任意の動物を含む)、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ(雌牛、例えば、乳牛、またはBos目の任意の動物を含む)、ウマ(Equidae目の任意の動物を含む)、ロバ、および非ヒト霊長動物)でありうる。
【0078】
一部の実施形態では、野生型p53ポリペプチドは、UniProtKB-P04637(P53_HUMAN)のアミノ酸配列:
【0079】
【0080】
を含みうるか、またはこれからなりうる。
突然変異体p53ポリペプチドは、例えば、野生型p53ポリペプチドのアミノ酸配列の、1または複数のアミノ酸の、挿入、欠失、または置換の結果として、野生型p53ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0081】
突然変異体p53ポリペプチドは、p53ポリペプチドをコードするDNAの遺伝子突然変異であって、ポリペプチドのアミノ酸配列の変化を引き起こす突然変異の結果として生じうる。p53の突然変異は当技術分野では公知であり、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、MullerおよびVousden、Cancer Cell(2014)、25:304~317において記載されており、例えば、305~308頁にわたる表1を参照されたい。
【0082】
本発明は、特に、野生型p53ポリペプチドと、極めてわずかだけ異なり、野生型p53ポリペプチドへの著しい結合を呈さない、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体に関する。
【0083】
一部の実施形態では、抗体は、野生型p53ポリペプチドと、10アミノ酸またはこれより少数、例えば、5、4、3、もしくは2アミノ酸またはこれより少数だけ異なる突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能である。一部の実施形態では、抗体は、野生型p53ポリペプチドと、1アミノ酸だけ異なる突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能である。
【0084】
すなわち、本発明は、p53の、単一アミノ酸突然変異バリアントを認識することが可能な抗体を提供する。
一部の実施形態では、野生型p53のアミノ酸配列と異なる、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸は、DNA結合性ドメインの配列内にある。
【0085】
p53のDNA結合性ドメインは、進化において保存されており、当業者は、例えば、ヒト野生型p53ポリペプチドの、DNA結合性ドメイン配列を参照することにより、所与の野生型p53ポリペプチドのDNA結合性ドメインを同定することが可能である。ヒト野生型p53ポリペプチドの、DNA結合性ドメインは、以下の配列:
【0086】
【0087】
を有する、配列番号1(例えば、Freed-PastorおよびPrives、Genes and Development(2012)、26:1268~1286を参照されたい)の101~306位に対応する。
【0088】
p53のDNA結合性ドメイン内の、p53の突然変異の、9つのホットスポットであって、配列番号1と比べて番号付けされた、248、273、175、176、179、220、245、249、282位に対応する、9つのホットスポットが同定されており、さらなるホットスポットが、337位において同定されている。一部の実施形態では、本発明に従う抗体が特異的に結合する、突然変異体p53ポリペプチドは、248、273、175、176、179、220、245、249、282、および337位のうちの1または複数において、野生型p53の配列と比べた、アミノ酸の差違を含む。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドは、248、273、175、176、179、220、245、249、282、または337位のうちの1つにおいて、野生型p53の配列と比べた、アミノ酸の差違を含む。
【0089】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、特異的な、公知の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、配列番号1と比べて番号付けされた、以下のアミノ酸置換:R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、R337Hのうちの1つを含むp53ポリペプチドに結合することが可能でありうる。
【0090】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、以下の配列のうちの1つを含むか、またはこれらのうちの1つからなる、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でありうる。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
当業者は、例えば、配列アライメントにより、他の種のp53ポリペプチドのアミノ酸配列内の、p53ポリペプチドの、同等な突然変異を、たやすく決定することが可能である。
【0096】
ヒト野生型p53ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1)に従い番号付けされた、所与のp53突然変異に対する言及は、他の種、例えば、マウスまたはラットにおける、p53と相同なタンパク質内の同等な突然変異を含む。
【0097】
例えば、本明細書における、「R175H」に対する言及は、p53のマウス相同体のアミノ酸配列の172位における、アルギニンから、ヒスチジンへの、同等な突然変異(すなわち、R172H)を包含し、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Oliveら、2004、Cell、119、847~860を参照されたい。同様に、本明細書における、「R175H p53ポリペプチド」に対する言及は、p53のマウス相同体の、同等なR172H突然変異体ポリペプチドを含むポリペプチドを包含する。
免疫原
本発明に従う抗体は、本明細書で記載される方法に従い作製され、免疫原を使用して惹起される。
【0098】
本発明では、免疫原とは、ペプチド分子またはポリペプチド分子である。本明細書で使用される「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結された、2つまたはこれを超えるアミノ酸モノマーの鎖である。ペプチドは、典型的に、約2~50アミノ酸の範囲の長さを有する。「ポリペプチド」とは、2つまたはこれを超えるペプチドによるポリマー鎖である。ポリペプチドは、典型的に、約50アミノ酸を超える長さを有する。
【0099】
本発明の方法では、免疫原として、(i)突然変異と、突然変異のいずれかの側の少なくとも1つのアミノ酸とを含む、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列を含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含むペプチドまたはポリペプチドを使用する方法により、抗体を惹起する。
抗原配列
抗原配列は、方法により作製された抗体が、結合することが可能な、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0100】
抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異を含む、すなわち、抗原配列は、野生型p53ポリペプチドのアミノ酸配列と比べて突然変異した、突然変異体p53ポリペプチドの位置を含む。
【0101】
抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、さらに、突然変異に直接隣接する少なくとも1つのアミノ酸を含む。すなわち、配列は、突然変異したp53ポリペプチドのアミノ酸配列内の、突然変異した位置のすぐ上流(すなわち、これに対するN末端)またはすぐ下流(すなわち、これに対するC末端)に、少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。こうして、突然変異は、それが、突然変異体p53ポリペプチド内で生じるアミノ酸のすぐの配列の文脈で提示される。
【0102】
例示を目的として、上記の配列番号1により表された、R175H突然変異体p53に言及すると、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも「RH」または「HC」を含む。
【0103】
一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のアミノ酸のうちの1つを含みうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ下流に、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のアミノ酸のうちの1つを含みうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のアミノ酸のうちの1つを含むことが可能であり、かつ、突然変異した位置のすぐ下流に、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のアミノ酸のうちの1つを含みうる。
【0104】
一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、12、11、または10以下のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ下流に、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、12、11、または10以下のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、12、11、または10以下のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなることが可能であり、かつ、突然変異した位置のすぐ下流に25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、12、11、または10以下のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。
【0105】
一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、1つ~2つ、1つ~3つ、1つ~4つ、1つ~5つ、1つ~6つ、1つ~7つ、1つ~8つ、1つ~9つ、1つ~10、1つ~11、1つ~12、1つ~13、1つ~14、1つ~15、または1つ~20のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ下流に、1つ~2つ、1つ~3つ、1つ~4つ、1つ~5つ、1つ~6つ、1つ~7つ、1つ~8つ、1つ~9つ、1つ~10、1つ~11、1つ~12、1つ~13、1つ~14、1つ~15、または1つ~20のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流に、1つ~2つ、1つ~3つ、1つ~4つ、1つ~5つ、1つ~6つ、1つ~7つ、1つ~8つ、1つ~9つ、1つ~10、1つ~11、1つ~12、1つ~13、1つ~14、1つ~15、または1つ~20のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなることが可能であり、かつ、突然変異した位置のすぐ下流に、1つ~2つ、1つ~3つ、1つ~4つ、1つ~5つ、1つ~6つ、1つ~7つ、1つ~8つ、1つ~9つ、1つ~10、1つ~11、1つ~12、1つ~13、1つ~14、1つ~15、または1つ~20のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。
【0106】
一部の実施形態では、抗原配列の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異した位置のすぐ上流および下流に、7つ~11、3つ~7つ、または2つ~5つのアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。
【0107】
突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列(突然変異と、上流/下流のアミノ酸とを含む)は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、または30のアミノ酸のうちの1つを含みうるか、またはこれからなりうる。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、50、45、40、35、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、12、11、または10以下のアミノ酸を含みうるか、またはこれらからなりうる。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、2~50、5~40、5~30、5~25、5~20、5~15、8~30、8~25、8~20、8~15、10~30、10~25、10~20、または10~15アミノ酸の長さでありうる。一部の好ましい実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列は、5~20または8~20アミノ酸の長さでありうる。
【0108】
一部の実施形態では、免疫原の抗原配列は、単一コピーを超える突然変異を含む。すなわち、一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、2つまたはこれを超えるアミノ酸配列を含む。抗原配列が、突然変異体p53ポリペプチドの、複数のアミノ酸配列を含む実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの、各アミノ酸配列は、本明細書で記載される実施形態に従い、独立に規定されうる。
【0109】
例示を目的として、上記の配列番号1により表された、R175H突然変異体p53に言及すると、R175H突然変異体p53ポリペプチドの、1つを超えるアミノ酸配列を含む抗原配列は、配列「QHMTEVVRHCPHHERCSDgsgTEVVRHCPHHER」(配列番号90)(小文字は、可撓性のセリン/グリシンリンカー配列を指し示す)を含みうる。この配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、2つのアミノ酸配列である、(1)QHMTEVVRHCPHHERCSDと、(2)TEVVRHCPHHERとを含むことが明らかであろう。
【0110】
一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアミノ酸配列のうちの1つを含む。一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つ、3つ、または4つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、6つ、5つ、4つ、または3つ以下のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、2つまたは3つのアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。
【0111】
抗原配列が、突然変異体p53ポリペプチドの、1つを超えるアミノ酸配列を含む実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの、各アミノ酸配列は、同一でありうる。一部の実施形態では、抗原配列は、突然変異体p53ポリペプチドの、非同一のアミノ酸配列を含みうる。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの、各アミノ酸配列は、非同一でありうる。
【0112】
抗原配列が、突然変異体p53ポリペプチドの、1つを超えるアミノ酸配列を含む、一部の実施形態では、抗原配列は、さらに、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列の間に、リンカー配列を含む。リンカー配列については、本明細書の下記で記載される。
足場配列
免疫原はまた、溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列も含む。
【0113】
溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすことにより、足場配列は、免疫原の抗原配列に対して方向付けられた抗体を惹起する機会をもたらす。とりわけ、このような立体配置は、抗体が、抗原配列に、物理的に接触することを可能とする。
【0114】
足場配列が、溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすのかどうかは、免疫原のアミノ酸配列に基づき、決定または予測されうる。
溶媒に接触可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列、および/または溶媒に接触不可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列は、アミノ酸の配列に基づき、予測される場合もあり、アミノ酸配列の三次元構造に基づき、予測される場合もある。溶媒への接触可能性は、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Aliら、Current Protein and Peptide Science、2014、15(3)において総説されている通り、接触可能表面積(ASA)を計算することにより、予測されうる。ASAは、例えば、シュレーク-ラプリー(ローリングプローブ)アルゴリズム、Zレイヤー積分、交差部、LCPO(linear combination of pairwise overlap)、または出力線図を使用して計算されうる。アミノ酸配列のASAを予測するためのツールは、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクトルマシン(SVM)、およびマルコフ連鎖モデル(MCM)を含む。溶媒への接触可能性を予測するのに使用されうるソフトウェアは、ASAview、ACCpro、PDBePISA、CCP4、GETAREA、DSSP、ProtSA、NACCESS、ACCESS、POPS-R、SERF、NetSurfP、ASAP、SANN、およびSABLEを含む。ACCPro5.1は、1D再帰型ニューラルネットワークアルゴリズムを実装する。
【0115】
一部の実施形態では、足場配列は、溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドに由来する。
一部の実施形態では、抗原配列が、ペプチドもしくはポリペプチドの溶媒に接触可能な配列に挿入されるか、またはその全部もしくは一部を置換することにより、溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列がもたらされる。このような実施形態では、足場配列が、抗原配列により中断されることが理解されるであろう。
【0116】
一部の実施形態では、抗原配列は、ペプチドまたはポリペプチドの溶媒に接触可能な配列であって、足場配列が由来する配列内の2つのアミノ酸の間に挿入されうる。一部の実施形態では、抗原配列は、溶媒に接触可能な配列の、1または複数の残基に代えて挿入されうる。
【0117】
一部のペプチド/ポリペプチドについては、溶媒に接触可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列、および/または溶媒に接触不可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列は、公知であるか、または予測され、当業者に公知のデータベースであって、ASAviewを含むデータベースを参照することにより、当業者により同定されうる。溶媒に接触可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列、および/または溶媒に接触不可能なアミノ酸もしくはアミノ酸の配列はまた、ペプチド/ポリペプチドのアミノ酸の配列に基づいて予測される場合もあり、本明細書の上記で記載されたツールを使用して、ペプチド/ポリペプチドのアミノ酸配列の三次元構造に基づいて予測される場合もある。
【0118】
本発明に従う免疫原では、任意の適切な足場配列が使用されうる。一部の実施形態では、足場配列は、
a)足場配列内に挿入された抗原配列が、フォールディングした足場配列の表面上に提示され;かつ/または
b)足場配列のフォールディングおよび/もしくは三次元構造が、抗原配列により、実質的に変化しないか、もしくは破壊されず;かつ/または
c)足場配列が、免疫原の高度な発現および/もしくは容易な精製をもたらし;かつ/または
d)足場配列が、免疫原性である
ように選択されうる。
【0119】
当業者は、例えば、アミノ酸配列/タンパク質構造、データベースの参照、または経験的解析による、アルゴリズムベースの予測を使用する、足場/免疫原配列の解析により、上記で列挙された特性を保有する足場配列を、たやすく同定することが可能である。
【0120】
一部の実施形態では、足場配列が由来する、溶媒に接触可能な配列を含むペプチド/ポリペプチドは、チオレドキシンである。チオレドキシンの構造および機能については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Collet and Messens、Antioxid Redox Signal(2010)、13:1205~1216において記載されている。Barrellら、Protein Expr Purif(2004)、33(1):153~159(参照により全体において本明細書に組み込まれる)は、挿入されたアミノ酸配列に特異的な抗体を作製するための、細菌チオレドキシンの活性部位への、アミノ酸配列の挿入について記載する。
【0121】
一部の実施形態では、チオレドキシンは、配列番号17に従うアミノ酸配列、またはこの断片であって、少なくとも20のアミノ酸(任意に、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または100のアミノ酸のうちの1つ)を有し、これに対する、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性(例えば、アライメントに従う)を有し、活性部位のモチーフである、Cys-Gly-Pro-Cys(配列番号91)を有する、断片を含む:
MSDKIIHLTDDSFDTDVLKADGAILVDFWAEWCGPCKMIAPILDEIADEYQGKLTVAKLNIDQNPGTAPKYGIRGIPTLLLFKNGEVAATKVGALSKGQLKEFLDANLA (配列番号17)
一部の実施形態では、チオレドキシンの溶媒に接触可能な配列は、活性部位配列である。チオレドキシンの活性部位配列は、多様な由来のチオレドキシン中に保存されたモチーフである、Cys-Gly-Pro-Cysに対応する。一部の実施形態では、抗原配列が、この配列に挿入されるか、またはその全部または一部を置換する。一部の実施形態では、抗原配列は、活性部位配列のN末端Cys残基の後方、またはGly残基の後方、またはPro残基の後方に挿入される。一部の実施形態では、抗原配列は、チオレドキシンのアミノ酸配列内の活性部位配列の、N末端のCys残基のすぐ上流に挿入される。一部の実施形態では、抗原配列は、チオレドキシンのアミノ酸配列内の活性部位配列の、C末端のCys残基のすぐ下流に挿入される。
【0122】
一部の実施形態では、足場配列は、配列番号17を含むか、またはこれからなる。一部の実施形態では、足場配列は、配列番号17、または少なくとも20のアミノ酸(任意に、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または100のアミノ酸のうちの1つ)を有する、この断片に対する、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0123】
一部の実施形態では、足場配列は、免疫原の抗原配列の表面における配向および/または溶媒への露出を容易とするように、1または複数の、さらなるアミノ酸を含みうる。一部の実施形態では、足場は、免疫原の配列中に提供される抗原配列の表面における配向および/または溶媒への露出を容易とするように、抗原配列の各末端のうちの1つにおいて、アミノ酸残基を含みうる。
【0124】
例示を目的として、
図1A(すなわち、配列番号80)に示された、R175H免疫原に言及すると、免疫原の足場(配列番号80の1~35および91~165位)は、抗原配列が、免疫原の配列内で、プロリン残基(配列番号80の35および91位)により挟まれるように、抗原配列のインサートに隣接する、さらなるプロリン残基を含む。
リンカー配列
免疫原は、アミノ酸配列の間に、1または複数のリンカー配列を含みうる。上記で説明した通り、免疫原は、抗原配列内の、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列の間に、リンカー配列を含みうる。
【0125】
一部の実施形態では、免疫原は、さらに、抗原配列と足場配列との間に、1または複数のリンカー配列を含みうる。抗原配列が、足場配列に挿入されるか、またはその全部もしくは一部を置換する実施形態では、リンカー配列は、抗原配列の、一方または両方の「末端」に提供されうる。例示を目的として述べると、免疫原は、以下の構造:
[足場配列]-{リンカー}-[抗原配列]-{リンカー}-[足場配列]
を含みうる。
【0126】
当業者には、リンカー配列が公知であり、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)、65(10):1357~1369において記載されている。
【0127】
一部の実施形態では、リンカー配列は、可撓性のリンカー配列でありうる。可撓性のリンカー配列は、リンカー配列により連結された、アミノ酸配列の相対的運動を可能とすることから、配列の、抗原結合性分子への接触可能性を増強すると有利である。当業者には、可撓性のリンカーが公知であり、いくつかは、上記で、参照により本明細書に組み込まれた、Chenら、Adv Drug Deliv Rev(2013)、65(10):1357~1369において同定される。可撓性のリンカー配列は、高比率のグリシン残基および/またはセリン残基を含むことが多い。
【0128】
一部の実施形態では、リンカー配列は、少なくとも1つのグリシン残基および/または少なくとも1つのセリン残基を含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、グリシン残基およびセリン残基からなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、交互に現れるグリシン残基およびセリン残基(すなわち、「GSGS」(配列番号92)など)を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、または1~20アミノ酸の長さを有する。
【0129】
本発明に従う抗原配列内の、突然変異体p53ポリペプチドの複数の配列の間に提供される可撓性のリンカー配列は、突然変異体p53ポリペプチドの配列の柔軟な相対的配置を可能とする。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの配列の間のリンカー配列は、グリシン残基およびセリン残基を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、交互に現れるグリシン残基およびセリン残基を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、リンカー配列は、1~2、1~3、1~4、または1~5アミノ酸の長さの、交互に現れるグリシン残基およびセリン残基を含むか、またはこれらからなる。一部の実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドの配列の間のリンカー配列は、配列GSG(配列番号89)を含むか、またはこれからなる。
【0130】
免疫原は、抗原配列、足場配列、および任意のリンカー配列に加えて、さらなるアミノ酸またはアミノ酸配列を含みうる。例えば、免疫原は、免疫原の、発現、フォールディング、トラフィッキング、プロセシング、または精製を容易とするアミノ酸配列を含みうる。例えば、免疫原は、任意に、N末端またはC末端において、His(例えば、6×His)、Myc GST、MBP、FLAG、HA、E、またはビオチンタグをコードする配列を含みうる。
免疫原についての例示的な実施形態
本発明は、(i)R175H突然変異を含むR175H突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列と、突然変異のいずれかの側の少なくとも1つのアミノ酸とを含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含む免疫原を提供する。一部の実施形態では、免疫原は、1つを超える、R175H突然変異体p53ポリペプチドの配列を含み、一部の実施形態では、免疫原は、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つのこのような配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、異なる長さの、R175H突然変異体p53ポリペプチド(R175H突然変異を含む)の配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、抗原配列は、5~22、7~20、または9~18アミノ酸の長さの、R175H突然変異体p53ポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、QHMTEVVRHCPHHERCSD(配列番号77)、TEVVRHCPHHER(配列番号78)、およびVRHCPHHER(配列番号79)のうちの1または複数を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号77、78、および79を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号77、78、および79を含み、かつ、配列番号77、78、および79の間に、本明細書の上記で記載されたリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号77、78、および79を含み、抗原配列と足場配列との間にリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、以下の配列:
【0131】
【0132】
を含むか、またはこれからなる。
本発明は、(i)R248Q突然変異を含むR248Q突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列と、突然変異のいずれかの側の少なくとも1つのアミノ酸とを含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含む免疫原を提供する。一部の実施形態では、免疫原は、1つを超える、R248Q突然変異体p53ポリペプチドの配列を含み、一部の実施形態では、免疫原は、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つのこのような配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、異なる長さの、R248Q突然変異体p53ポリペプチド(R248Q突然変異を含む)の配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、抗原配列は、10~22、12~20、または15~18アミノ酸の長さの、R248Q突然変異体p53ポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、SCMGGMNQRPILTIITLED(配列番号81)、MGGMNQRPILTIITLED(配列番号82)、およびNSSCMGGMNQRPILT(配列番号83)のうちの1または複数を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号81、82、および83を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号81、82、および83を含み、かつ、配列番号81、82、および83の間に、本明細書の上記で記載されたリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号81、82、および83を含み、抗原配列と足場配列との間にリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、以下の配列:
【0133】
【0134】
を含むか、またはこれからなる。
本発明は、(i)R273H突然変異を含むR273H突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列と、突然変異のいずれかの側の少なくとも1つのアミノ酸とを含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含む免疫原を提供する。一部の実施形態では、免疫原は、1つを超える、R273H突然変異体p53ポリペプチドの配列を含み、一部の実施形態では、免疫原は、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つのこのような配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、異なる長さの、R273H突然変異体p53ポリペプチド(R273H突然変異を含む)の配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、抗原配列は、5~20、6~18、または10~15アミノ酸の長さの、R273H突然変異体p53ポリペプチドの配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、RNSFEVHVCA(配列番号85)、NLLGRNSFEVHVCAC(配列番号86)、およびGRNSFEVHVCACP(配列番号87)のうちの1または複数を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号85、86、および87を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号85、86、および87を含み、かつ、配列番号85、86、および87の間に、本明細書の上記で記載されたリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、配列番号85、86、および87を含み、抗原配列と足場配列との間にリンカー配列を含む抗原配列を含む。一部の実施形態では、免疫原は、以下の配列:
【0135】
【0136】
を含むか、またはこれからなる。
抗体を作製するための方法
本発明は、抗体を作製するための方法を提供する。方法は、典型的に、動物の免疫系により、外来(すなわち、非宿主)であると認識される素材を、動物へと導入する結果として、動物による、素材に結合することが可能な抗体の選択的産生をもたらすステップを伴う。
【0137】
本明細書では、免疫応答を引き起こすのに使用される素材は、免疫原と称される。免疫原は、抗原を含むか、またはこれからなる場合もあり、これへとプロセシングされる場合もある。本明細書で使用される「抗原」とは、獲得免疫応答、特に、Bリンパ球媒介性(体液性)獲得免疫応答を刺激することにより、抗体の産生を刺激することが可能な分子を指す。本明細書で使用される「抗原性」という用語は、獲得免疫応答、特に、Bリンパ球媒介性獲得免疫応答を刺激することにより、抗体の産生を刺激する、分子の能力を指す。
【0138】
本発明では、免疫原は、ペプチド分子またはポリペプチド分子でありうる。
抗原に特異的に結合することが可能な抗体を産生する、動物免疫系の能力は、多様な調査研究、診断、および治療への適用において、目的の分子を検出するための抗体を作出するのに使用されうる。
【0139】
当技術分野では、動物の免疫化により、抗体を作製するための方法が周知であり、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Pressにおいて記載されている。特に、第6章は、抗体の作製のための、動物の免疫化についての詳細な記載を提示する。
【0140】
抗体の作製は、動物に、免疫原を投与して、抗原特異的抗体の産生を刺激するステップを伴い、次いで、抗原特異的抗体は、動物から回収されうる。
本明細書で使用される抗体を「作製するステップ」とは、抗体を創出する工程であって、例えば、免疫化のための免疫原を調製するステップ、動物を免疫化するステップ、ハイブリドーマの形成、抗体を回収するステップ、標的への結合についてスクリーニングするステップ、抗体をアイソタイピングするステップ、抗体を精製するステップ、または抗体を標識化するステップのうちの1または複数を含みうる工程を指す。
【0141】
本発明の方法では、抗体は、動物を、免疫原で免疫化することにより作製される。免疫原による免疫化に応答して、抗体を産生することが可能な、任意の動物が、本方法に従い、有用である。本発明の方法は、疾患を診断または処置するための方法でも、手術の方法でもないことが理解されるであろう。一部の実施形態では、動物は、非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他の齧歯動物(Rodentia目の任意の動物を含む)、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ(雌牛、例えば、乳牛、またはBos目の任意の動物を含む)、ウマ(Equidae目の任意の動物を含む)、ロバ、および非ヒト霊長動物)でありうる。特に、動物は、マウス(例えば、Mus musculus)、ラット(例えば、Rattus norvegicus)、またはアカゲザル(Macaca mulatta)でありうる。特定の実施形態では、動物は、マウスである。本方法では、免疫原は、免疫化を目的として、動物へと投与される。
【0142】
本発明に従う免疫原による、動物の免疫化は、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Press(参照により全体において本明細書に組み込まれる)、特に、第6章に記載された手段など、任意の適切な手段によりなされうる。免疫化のための素材は、必要に応じて製剤化されうる。例えば、免疫原ペプチド/ポリペプチドは、滅菌生理食塩液中で希釈される場合があり、安定的なエマルジョンを形成するように、アジュバント(例えば、完全フロイントアジュバントもしくは不完全フロイントアジュバントおよび/またはCpG)と組み合わされうる。個々の免疫化のための、免疫原の適量は、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Press(上記で、参照により本明細書に組み込まれた)を参照することにより、当業者により、たやすく決定されうる。免疫化に適切な容量および濃度もまた、当業者により、たやすく決定されうる。
【0143】
本発明に従う抗体を作製するための方法は、抗体の産生のためのスクリーニングのステップを含む場合があり、例えば、試料(例えば、血液試料)は、投与後の適切な時間に、動物から得られる場合があり、抗体の産生について解析されうる。当業者には、抗体の産生の検出および定量化のためのイムノアッセイが周知であり、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2014(上記で、参照により本明細書に組み込まれた)、特に、第15章において記載されている。例えば、血液試料、血漿試料、血清試料、または腹水試料は、動物から回収される場合があり、例えば、ELISAまたはフローサイトメトリーにより解析されうる。
【0144】
本発明に従う方法により作製される抗体は、当業者に公知の方法により、突然変異体p53ポリペプチドおよび/または野生型p53ポリペプチドへの結合について解析されうる。例えば、解析は、ELISA、免疫ブロット(例えば、ウェスタンブロット)、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫沈降、表面プラズモン共鳴(BIAcore)、BLI(biolayer interferometry)により実施されうる。
【0145】
解析はまた、方法により作製される抗体についてのエピトープの解析も含むことが可能であり、抗体の同一性(例えば、配列)を決定する解析を含みうる。このような解析は、例えば、質量分析による、抗体のシーケンシングを含みうる。
【0146】
一部の実施形態では、抗体を作製するための方法は、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体を単離するステップを含みうる。一部の実施形態では、1または複数の抗体は、動物から単離される。抗体は、例えば、動物の血液、血漿、血清、または腹水から回収されうる。一部の実施形態では、抗体は、本発明に従う免疫原で免疫化された動物から得られた細胞から単離されうる。一部の実施形態では、細胞は、Bリンパ球である。一部の実施形態では、抗体は、in vitroで培養されたBリンパ球に由来する細胞培養物上清から単離されうる。
【0147】
ポリクローナル抗体は、本発明に従う投与後、適切な時点において、動物から得られた血液または血清から、直接回収されうる。
一部の実施形態では、抗体は、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、1または複数の抗体を産生するハイブリドーマから得られる。一部の実施形態では、抗体は、ハイブリドーマの培養物の細胞培養物上清から得られる。一部の実施形態では、抗体は、目的の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、1または複数の抗体を産生するハイブリドーマで免疫化された動物の、血液、血漿、血清、または腹水から得られる。
【0148】
当業者には、抗体を、抗体を含有する試料(例えば、細胞、細胞抽出物、細胞培養培地、血液、血漿、血清、腹水)から単離する(すなわち、精製する)ための方法が周知であり、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Press(上記で、参照により本明細書に組み込まれた)、特に、第10章において詳細に記載されている。方法は、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAまたはプロテインGベースの精製、ゲル電気泳動、透析、および標的への結合に基づくアフィニティー精製を含む。
【0149】
一部の実施形態では、本発明の方法は、目的の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、1または複数の抗体を産生するハイブリドーマを作製するステップを含む。方法は、動物から単離された、目的の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、1または複数の抗体を産生することが可能な細胞を、骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを作製するステップを含む。
【0150】
特に、本発明の方法は、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能なモノクローナル抗体を作製するための方法である。これは、動物を、本発明に従う免疫原により免疫化し、その後、動物から単離された細胞から、モノクローナルハイブリドーマを作出し、ハイブリドーマが、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、単一種類(すなわち、単一特異性)の抗体を作製することにより達成される。
【0151】
当業者には、ハイブリドーマを形成するための方法が周知であり、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、第2版、2014;Edward A.Greenfield、Cold Spring Harbor Laboratory Press(上記で、参照により本明細書に組み込まれた)、特に、第7章において記載されている。略述すると、本発明に従い、動物を免疫化し、獲得免疫応答を刺激し、Bリンパ球を、動物から単離し、ハイブリドーマを作製するのに適する骨髄腫細胞系と融合させる。Bリンパ球と、骨髄腫細胞とは、当業者に公知の方法を使用して、融合されうる。例えば、細胞は、ポリエチレングリコール(PEG)中の共遠心分離により、融合されうる。融合後、細胞を、限界希釈により、組織培養物プレートに、ウェル1つ当たり、およそ単一の細胞へと播種し、in vitroで培養する。ハイブリドーマは、当技術分野で公知の選択用培地(例えば、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)を含有する培地)であって、融合しなかったリンパ球および骨髄腫細胞は、増殖または存続することが不可能な培地を使用する培養により選択されうる。
【0152】
本発明の方法により作製される抗体は、当業者に公知の方法を使用して、大スケールで作製されうる。ハイブリドーマは、細胞培養の標準的な方法を使用するin vitro培養物中で繁殖する場合もあり、in vivoにおいて、例えば、宿主動物の腹水として繁殖する場合もある。一部の実施形態では、本発明の方法は、ハイブリドーマを、in vitroの細胞培養物によって繁殖させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、宿主動物に、ハイブリドーマを注射することにより、ハイブリドーマを、in vivoにおいて繁殖させるステップを含む。
【0153】
本発明に従う抗体はまた、本明細書の下記で記載される通り、組換えによっても作製されうる。例えば、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅する、オリゴヌクレオチドプライマーを使用する逆転写PCR(RT-PCR)により、抗体を産生するB細胞またはハイブリドーマ細胞から単離される場合があり、ポリヌクレオチドの配列が決定されうる。重鎖および軽鎖をコードする、単離されたポリヌクレオチドは、E.coli、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの宿主細胞、または他の形では免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞へとトランスフェクトされると、モノクローナル抗体を産生する、適切な発現ベクターへとクローニングされうる。
抗体
本発明の抗体は、野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的である。
【0154】
抗体は、特定の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、野生型p53ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。「結合することが可能でない」とは、抗体が、ペプチド/ポリペプチドへの結合を、実質的に呈さないか、または例えば、非特異的結合レベルを上回る、ペプチド/ポリペプチドへの著しい結合を呈さないことを意味する。
【0155】
本明細書で使用された、所与のポリペプチド/ペプチド「に特異的」な抗体は、ポリペプチド/ペプチドに対する特異的結合を提示する。「特異的結合」とは、非特異的ではない相互作用である。特異的結合は、ファンデルワールス力、静電相互作用、水素結合、および疎水性相互作用などの非共有結合的相互作用により媒介される。本発明の抗体は、好ましくは、抗体が、野生型p53および/またはp53の他の異なる突然変異体より特異的な、突然変異体p53ポリペプチドに対する特異的結合を提示する。
【0156】
別の基準ペプチド/ポリペプチドより、所与のペプチド/ポリペプチドに特異的な抗体は、基準ペプチド/ポリペプチドに対する、抗体の結合のアフィニティーより大きなアフィニティーで、所与のペプチド/ポリペプチドに結合しうる。所与のペプチド/ポリペプチドに対して「より大きなアフィニティー」を提示する抗体は、このペプチド/ポリペプチドに、基準ペプチド/ポリペプチドへの結合の強度と比較して、より大きな強度で結合する。本発明の抗体は、抗体が特異的な突然変異体p53ポリペプチドに、抗体による、野生型p53および/またはp53の他の異なる突然変異体への結合のアフィニティーと比較して、より大きなアフィニティーで結合しうる。
【0157】
抗体の、その抗原に対するアフィニティーとは、抗体が抗原に結合する強度を指す。抗体のアフィニティーは、当業者に周知の方法により決定されうる。このような方法は、例えば、精製された抗原を伴うSPRアッセイによるin vitro解析を含む。結合は、以下の用語:抗体/抗原複合体が、どのくらい迅速に形成されるのかを表す定数である、「オン速度」のkon;抗体/抗原複合体が、どのくらい迅速に解離するのかを表す定数である、「オフ速度」のkoff;および式KD=(Koff/Kon)に従い計算される平衡解離定数のKDにより表されうる。
【0158】
抗体の、ペプチド/ポリペプチドに対する結合のアフィニティーは、定量的に決定されうる。一部の実施形態では、所与のペプチド/ポリペプチドに対して、基準ペプチド/ポリペプチドと比較して、より大きなアフィニティーを提示する抗体は、所与のペプチド/ポリペプチドに、抗体の、基準ペプチド/ポリペプチドへの結合についての値未満のKD値またはEC50値で結合する。
【0159】
「交差反応性」とは、1つを超えるペプチド/ポリペプチドに結合する、抗体の能力を指す。すなわち、2つまたはこれを超えるペプチド/ポリペプチドへの結合を提示する抗体は、これらのペプチド/ポリペプチドに対して、「交差反応性」であるという。本発明に従う抗体は、好ましくは野生型p53、および/または抗体が特異的な突然変異体p53ポリペプチド以外の、p53の突然変異体に対して、小さな交差反応性を提示するか、または交差反応性を提示しない。「交差反応性ではない」とは、抗体が、それぞれのペプチド/ポリペプチドに対して、小さな交差反応性を呈するか、交差反応性を呈さないか、または実質的に結合しないことを意味する。
【0160】
本発明に従う抗体は、所与の突然変異体p53ポリペプチドに対して、野生型p53ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトp53ポリペプチドの、所与の突然変異体に対して、野生型ヒトp53ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。一部の実施形態では、抗体は、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、またはR337Hのうちの1つに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないp53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16のうちの1つのアミノ酸配列、またはこの断片を含むペプチド/ポリペプチドに対して、配列番号1のアミノ酸配列、またはこの断片を含むペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0161】
本発明に従う抗体は、所与の突然変異体p53ポリペプチドに対して、他の突然変異体p53ポリペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。一部の実施形態では、抗体は、ヒトp53ポリペプチドの、所与の突然変異体に対して、ヒトp53ポリペプチドの、他の突然変異体に対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0162】
一部の実施形態では、抗体は、R175Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0163】
一部の実施形態では、抗体は、R175H突然変異を含む、配列番号3のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0164】
一部の実施形態では、抗体は、R248Qに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0165】
一部の実施形態では、抗体は、R248Q突然変異を含む、配列番号4のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0166】
一部の実施形態では、抗体は、R273Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0167】
一部の実施形態では、抗体は、R273H突然変異を含む、配列番号5のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0168】
一部の実施形態では、抗体は、R248Wに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0169】
一部の実施形態では、抗体は、R248W突然変異を含む、配列番号6のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0170】
一部の実施形態では、抗体は、G245Sに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0171】
一部の実施形態では、抗体は、G245S突然変異を含む、配列番号7のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0172】
一部の実施形態では、抗体は、R273Cに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0173】
一部の実施形態では、抗体は、R273C突然変異を含む、配列番号8のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0174】
一部の実施形態では、抗体は、R282Wに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0175】
一部の実施形態では、抗体は、R282W突然変異を含む、配列番号9のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0176】
一部の実施形態では、抗体は、R249Sに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0177】
一部の実施形態では、抗体は、R249S突然変異を含む、配列番号10のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0178】
一部の実施形態では、抗体は、G245Dに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0179】
一部の実施形態では、抗体は、G245D突然変異を含む、配列番号11のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0180】
一部の実施形態では、抗体は、C176Fに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0181】
一部の実施形態では、抗体は、C176F突然変異を含む、配列番号12のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0182】
一部の実施形態では、抗体は、H179Yに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0183】
一部の実施形態では、抗体は、H179Y突然変異を含む、配列番号13のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0184】
一部の実施形態では、抗体は、H179Rに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0185】
一部の実施形態では、抗体は、H179R突然変異を含む、配列番号14のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0186】
一部の実施形態では、抗体は、Y220Cに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0187】
一部の実施形態では、抗体は、Y220C突然変異を含む、配列番号15のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0188】
一部の実施形態では、抗体は、R337Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対して、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、もしくはY220Cのうちの1または複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに対するアフィニティーと比較して大きなアフィニティーを提示する。
【0189】
一部の実施形態では、抗体は、R337H突然変異を含む、配列番号16のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに対して、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドと比較して大きなアフィニティーを提示しうる。
【0190】
本発明は、特に、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能であるが、野生型p53ポリペプチドに結合することが可能ではない抗体に関する。すなわち、本発明は、突然変異体p53ポリペプチドに特異的に結合するが、野生型p53ポリペプチドと交差反応性ではない(すなわち、野生型p53ポリペプチドに結合することもない)抗体に関する。
【0191】
本発明はまた、所与の特定のp53突然変異体に結合することが可能であるが、p53の、他の異なる突然変異体に結合することが可能ではない抗体にも関する。すなわち、本発明は、所与の特定のp53突然変異体に特異的に結合するが、p53の、他の異なる突然変異体と交差反応性ではない(すなわち、p53の、他の異なる突然変異体に結合することもない)抗体に関する。
【0192】
一部の実施形態では、抗体は、所与の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、別の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0193】
抗体が、所与の分子に結合することが可能であるのかどうかは、当業者に周知の方法により決定されうる。例えば、方法は、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、免疫沈降、ウェスタンブロット、免疫蛍光法などのイムノアッセイ、ならびに表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)など、他の方法による解析を含む。
【0194】
所与のペプチドまたはポリペプチドに結合する、抗体の能力は、抗体と、対照ペプチド/ポリペプチドとの非特異的相互作用より、アフィニティーが大きな、抗体とペプチド/ポリペプチドとの相互作用の検出により決定されうる。対照ペプチド/ポリペプチドは、抗体が特異的に結合しないことが公知であるか、または抗体が特異的に結合しないことが決定されているペプチドまたはポリペプチドでありうる。
【0195】
一部の実施形態では、所与のペプチドまたはタンパク質に結合する、抗体の能力は、抗体と、ペプチド/ポリペプチドとの相互作用が、抗体と、陰性対照ペプチド/ポリペプチドとの非特異的相互作用より強力であるか、より安定的であるか、より長く存続するか、またはより小さな平衡解離定数(KD)を有するという観察により決定されうる。
【0196】
一部の実施形態では、抗体の、非類縁の標的への結合の程度は、例えば、ELISA、SPR、BLI(biolayer interferometry)、またはRIAにより測定される、抗体の、標的への結合の、約10%未満である。代替的に、結合特異性は、結合アフィニティーとして反映される場合もあり、この場合、本発明に従う抗体は、そのコグネイトの突然変異体p53ポリペプチドに、抗体の、別の標的分子(例えば、他の突然変異体p53ポリペプチドおよび/または野生型p53ポリペプチド)に対するKDの、10の累乗倍の、少なくとも0.1(すなわち、0.1×10n[ここで、nは、桁数を表す整数である])倍のKDで結合する。これは、任意に、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、または2.0のうちの1つでありうる。
【0197】
本発明の一部の実施形態では、方法は、突然変異体p53ポリペプチドの、全長アミノ酸配列の文脈で、抗原配列に結合することが可能な抗体を作製する。すなわち、一部の実施形態では、方法は、抗原配列への結合を介して、突然変異体p53ポリペプチドに結合しうる抗体を作製する。
【0198】
ペプチド/ポリペプチド内の部位であって、抗体が結合する部位は、当技術分野で周知の、多様な方法であって、抗体-抗原複合体についてのX線共結晶構造解析、ペプチド走査、突然変異誘発マッピング、質量分析による水素-重水素交換解析、ファージディスプレイ、競合ELISA、およびタンパク質分解ベースの「保護」法を含む方法を使用して、当業者により決定されうる。このような方法については、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Gershoniら、BioDrugs、2007、21(3):145~156において記載されている。
【0199】
好ましくは、抗体は、それらが特異的な突然変異体p53ポリペプチドに、1μMまたはこれ未満、好ましくは、≦100nM、≦75nM、≦50nM、≦40nM、≦30nM、≦20nM、≦15nM、≦12.5nM、≦10nM、≦9nM、≦8nM、≦7nM、≦6nM、≦5nM、≦4nM、≦3nM、≦2nM、≦1nM、≦500pMのうちの1つのKDで結合する。抗体の、その標的に対する結合アフィニティーは、その解離定数(KD)として記載されることが多い。結合アフィニティーは、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR;例えば、Heartyら、Methods Mol Biol(2012)、907:411~442を参照されたい)、BLI(biolayer interferometry)(例えば、Ladら(2015)、J Biomol Screen、20(4):498~507を参照されたい)、または抗体のFab形および抗原分子を伴って実施される放射性標識化抗原結合性アッセイ(RIA)など、当技術分野で公知の方法により測定されうる。
【0200】
本発明に従う抗体は、単離形態および/または精製形態で提供されうる。
「抗体」により、この断片もしくは誘導体、または合成抗体もしくは合成抗体断片を含める。
【0201】
モノクローナル抗体技術と関連する最新の技法を念頭に置くと、大半の抗原に対する抗体が調製されうる。抗原結合性部分は、抗体(例えば、Fab断片)または合成抗体断片(例えば、単鎖Fv断片[ScFv])の一部でありうる。選択された抗原に適するモノクローナル抗体は、公知の技法、例えば、「Monoclonal Antibodies:A manual of techniques」、H Zola(CRC Press、1988)および「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications」、J G R Hurrell(CRC Press、1982)において開示されている技法により調製されうる。キメラ抗体については、Neubergerら(1988、8th International Biotechnology Symposium Part 2、792~799)により論じられている。
【0202】
モノクローナル抗体(mAb)は、本発明の方法において、有用であり、抗原上の、単一のエピトープを特異的にターゲティングする、抗体の均質な集団である。
ポリクローナル抗体は、本発明の方法において有用である。単一特異的ポリクローナル抗体が好ましい。適切なポリクローナル抗体は、当技術分野で周知の方法を使用して調製されうる。
【0203】
抗体および抗体断片が遺伝子操作されうるように、Fab断片およびFab2断片など、抗体の抗原結合性断片もまた、使用/提供されうる。早期のプロテアーゼ消化実験により、まず認識された事実であるが、抗体/断片の可変重鎖(VH)ドメインおよび可変軽鎖(VL)ドメインは、抗原認識に関与する。さらなる確認は、齧歯動物抗体の「ヒト化」により見出された。結果として得られる抗体が、齧歯動物親抗体の抗原特異性を保持するように、齧歯動物由来の可変ドメインは、ヒト由来の定常ドメインへと融合されうる(Morrisonら(1984)、Proc.Natl.Acad.Sd.USA、81、6851~6855)。
【0204】
抗原特異性が、可変ドメインにより付与され、定常ドメインに依存しないことは、全てが、1または複数の可変ドメインを含有する抗体断片の、細菌による発現を伴う実験から公知である。これらの分子は、Fab様分子(Betterら(1988)、Science、240、1041);Fv分子(Skerraら(1988)、Science、240、1038);VHおよびVLのパートナードメインが、可撓性のオリゴペプチドを介して連結された、単鎖Fv(ScFv)分子(Birdら(1988)、Science、242、423;Hustonら(1988)、Proc.Natl.Acad.Sd.USA、85、5879)、および単離Vドメインを含む単一ドメイン抗体(dAb)(Wardら(1989)、Nature、341、544)を含む。それらの特異的結合性部位を保持する、抗体断片の合成に関与する技法についての一般的な総説は、WinterおよびMilstein(1991)、Nature、349、293~299において見出されるであろう。
【0205】
「ScFv分子」とは、VHおよびVLのパートナードメインが、例えば、可撓性のオリゴペプチドにより、共有結合的に連結された分子を意味する。
Fab、Fv、ScFv、およびdAbの抗体断片は全て、E.coliにおいて発現され、E.coliから分泌されうるので、大量の前記断片の容易な作製が可能となる。
【0206】
全抗体およびF(ab’)2断片は、「二価」である。「二価」とは、前記抗体およびF(ab’)2断片が、2つの抗原結合性部位を有することを意味する。これに対し、Fab断片、Fv断片、ScFv断片、およびdAb断片は、一価であり、抗原結合性部位を1つだけ有する。当技術分野で周知の通り、ファージディスプレイ技術使用して、合成抗体もまた作製されうる。
【0207】
本出願はまた、任意に単離され、所与の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)本発明に従う、抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)所与の突然変異体p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体/抗原結合性断片である抗体または抗原結合性断片も提供する。
【0208】
一部の実施形態では、所与の突然変異体p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片は、別の、異なる突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でありうる。
【0209】
本発明に従う二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片の抗原結合性断片は、抗原に結合することが可能な、ポリペプチドの任意の断片でありうる。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、併せて、抗体または抗原結合性断片の抗原結合性領域を規定する、少なくとも3つの軽鎖CDR(すなわち、LC-CDR1、LC-CDR2、およびLC-CDR3)と、3つの重鎖CDR(すなわち、HC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3)とを含む。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、抗体または抗原結合性断片の、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含みうる。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、抗体または抗原結合性断片の、軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドを含みうる。
【0210】
本発明に従う二特異性抗体および二特異性抗原結合性断片は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Kontermann、MAbs、2012、4(2):182~197において記載されたフォーマットなど、任意の適切なフォーマットで提供されうる。例えば、二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片は、二特異性抗体コンジュゲート(例えば、IgG2、F(ab’)
2、またはCovX-Body)、二特異性IgGまたはIgG様分子(例えば、IgG、scFv
4-Ig、IgG-scFv、scFv-IgG、DVD-Ig、IgG-sVD、sVD-IgG、ツーインワンIgG、mAb
2、またはTandemab(一般軽鎖))、非対称性の二特異性IgGまたは二特異性IgG様分子(例えば、kih IgG、kih IgG(一般軽鎖)、CrossMab、kih IgG-scFab、mAb-Fv、チャージペア、またはSEED-body)、二特異性抗体低分子(例えば、ダイアボディー(Db)、dsDb、DART、scDb、tandAb、タンデムscFv(taFv)、タンデムdAb/VHH、トリプルボディー、トリプルヘッド、Fab-scFv、またはF(ab’)
2-scFv
2)、二特異性FcとC
H3との融合タンパク質(例えば、taFv-Fc、ジダイアボディー、scDb-C
H3、scFv-Fc-scFv、HCAb-VHH、scFv-kih-Fc、またはscFv-kih-C
H3)、または二特異性融合タンパク質(例えば、scFv
2-アルブミン、scDb-アルブミン、taFv-毒素、DNL-Fab
3、DNL-Fab
4-IgG、DNL-Fab
4-IgG-サイトカイン
2)でありうる。特に、Kontermann、MAbs、2012、4(2):182~19の
図2を参照されたい。
【0211】
当業者は、本発明に従う二特異性抗体および二特異性抗原結合性断片をデザインおよび調製することが可能である。二特異性抗体を作製するための方法は、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、SegalおよびBast、2001、Production of Bispecific Antibodies、Current Protocols in Immunology、14:IV:2.13:2.13.1~2.13.16に記載された、抗体または抗体断片の化学的架橋、例えば、還元性のジスルフィド結合または非還元性のチオエーテル結合を含む。例えば、N-スクシンイミジル-3-(-2-ピリジルジチオ)-プロピオネート(SPDP)は、例えば、ヒンジ領域のSH基を介して、Fab断片を化学的に架橋して、ジスルフィド連結された二特異性F(ab)2ヘテロ二量体を創出するのに使用されうる。二特異性抗体を作製するための他の方法は、例えば、D.M.およびBast,B.J.、2001、Production of Bispecific Antibodies、Current Protocols in Immunology、14:IV:2.13:2.13.1~2.13.16において記載されている通り、抗体を産生するハイブリドーマを、例えば、ポリエチレングリコールと融合させて、二特異性抗体を分泌することが可能なクァドローマ細胞を作製するステップを含む。
【0212】
本発明に従う二特異性抗体および二特異性抗原結合性断片はまた、例えば、いずれの全内容も、参照により本明細書に組み込まれる、Antibody Engineering:Methods and Protocols、第2版(Humana Press、2012)、第40章:Production of Bispecific Antibodies:Diabodies and Tandem scFv(HornigおよびFarber-Schwarz)、またはFrench、How to make bispecific antibodies、Methods Mol.Med.、2000;40:333~339において記載される通り、例えば、抗原結合性分子のためにポリペプチドをコードする核酸構築物の発現を介して、組換えによっても作製されうる。例えば、2つの抗原結合性断片のための軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメイン(すなわち、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片のための軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメイン、ならびに別の標的タンパク質に結合することが可能な抗原結合性断片のための軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメイン)をコードし、適切なリンカーまたは抗原結合性断片の間の二量体化ドメインをコードする配列を含むDNA構築物は、分子クローニング法により調製されうる。その後、組換え二特異性抗体は、適切な宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)内の構築物の発現(例えば、in vitroにおける)により作製される場合があり、次いで、発現した組換え二特異性抗体は、任意に、精製されうる。
【0213】
抗体は、抗原に対する抗体のアフィニティーが、非修飾親抗体と比較して改善された、修飾抗体が作出されるアフィニティー成熟の工程により作製されうる。アフィニティー成熟抗体は、当技術分野で公知の手順、例えば、Marksら、Rio/Technology、10:779~783(1992);Barbasら、ProcNat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813(1994);Schierら、Gene、169:147~155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~159(1995);およびHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992)により作製されうる。
【0214】
本発明に従う抗体は、好ましくは、所与の突然変異体p53ポリペプチドに対する特異的結合を呈する。標的分子に特異的に結合する抗体は、好ましくは、標的に、他の標的に結合するより大きなアフィニティー、および/またはより長い持続時間で結合する。本抗体は、所与の突然変異体p53ポリペプチドに、他の突然変異体p53ポリペプチドおよび野生型p53ポリペプチドより大きなアフィニティーで結合しうる。
【0215】
抗体、断片、またはポリペプチドは、野生型p53ポリペプチド、例えば、ヒトp53ポリペプチドへの結合を実質的に提示しない。これは、野生型p53ポリペプチドのアミノ酸配列と、単一のアミノ酸残基だけ異なりうる、本明細書で記載される、突然変異体p53ポリペプチドに対して方向付けられた抗体について、予測外の特徴である。すなわち、ポリペプチドに結合することが可能な抗体であれば、単一のアミノ酸だけ異なる、別のポリペプチドに対する交差反応性を提示することが予測されるであろう。p53の単一アミノ酸の突然変異体に特異的な本抗体は、突然変異体p53を、野生型p53から区別するのに有用であるので、調査研究への適用、治療適用、および診断適用など、広範にわたり使用される。
【0216】
本明細書で使用される「実質的に結合しないこと」とは、陰性対照抗体(例えば、野生型p53ポリペプチドと類縁でない標的に対して方向付けられた抗体、または野生型p53ポリペプチドに結合しないことが公知の抗体)による結合のレベルを、著しく超えない結合を指す。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、野生型p53ポリペプチド(例えば、ヒト野生型p53ポリペプチド)への結合であって、所与のアッセイまたは所与の濃度において、陰性対照抗体(例えば、野生型p53ポリペプチドと類縁でない標的に対して方向付けられた抗体、または野生型p53ポリペプチドに結合しないことが公知の抗体)により提示される、野生型p53ポリペプチドへの結合の、≦500%、≦400%、≦300%、≦250%、≦200%、≦150%、または≦100%である結合を呈しうる。結合は、ELISA、SPR、BLI(biolayer interferometry)、フローサイトメトリー、またはラジオイムノアッセイ(RIA)を含む、当業者に周知の技法により測定されうる。
【0217】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、腫瘍の増殖またはがんの進行を阻害することが可能でありうる。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、抗がん活性を提示しうる。一部の実施形態では、腫瘍の増殖またはがんの進行の阻害は、in vivoにおける阻害でありうる。「阻害」は、腫瘍の増殖の低減もしくは制御、またはがん細胞の数の低減もしくは制御でありうる。腫瘍の増殖またはがんの進行の阻害は、in vivoにおいて、例えば、本明細書で記載されるがんの動物モデルにおいて評価されうる。
【0218】
抗がん活性は、本発明に従う抗体/断片による処置後における、腫瘍細胞数および/または腫瘍体積の、処置の非存在下、または陰性対照抗体による処置後における腫瘍細胞数および/または腫瘍体積と比較した低減の検出により決定されうる。
【0219】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号3に示される、R175H p53ポリペプチド、またはR175H突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号4に示される、R248Q p53ポリペプチド、またはR248Q突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号5に示される、R273H p53ポリペプチド、またはR273H突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号6に示される、R248W p53ポリペプチド、またはR248W突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号7に示される、G245S p53ポリペプチド、またはG245S突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号8に示される、R273C p53ポリペプチド、またはR273C突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号9に示される、R282W p53ポリペプチド、またはR282W突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号10に示される、R249S p53ポリペプチド、またはR249S突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号11に示される、G245D p53ポリペプチド、またはG245D突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号12に示される、C176F p53ポリペプチド、またはC176F突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号13に示される、H179Y p53ポリペプチド、またはH179Y突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号14に示される、H179R p53ポリペプチド、またはH179R突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号15に示される、Y220C p53ポリペプチド、またはY220C突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、例えば、配列番号16に示される、R337H p53ポリペプチド、またはR337H突然変異を含むこの断片に結合することが可能である。
【0220】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、特定の突然変異体p53ポリペプチドに特異的である。すなわち、一部の実施形態では、抗体は、特定の突然変異体p53ポリペプチドだけに結合することが可能であるが、野生型p53ポリペプチドまたは他の突然変異体p53ポリペプチドなど、前記突然変異体p53ポリペプチド以外のp53ポリペプチドに結合することが可能ではない。
【0221】
一部の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトp53ポリペプチドの、所与の突然変異体に結合することが可能であるが、野生型ヒトp53ポリペプチドに結合することが可能ではない。一部の実施形態では、抗体は、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、またはR337Hのうちの1つに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能であるが、前記突然変異を含まないp53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能ではない。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16のうちの1つのアミノ酸配列、またはこの断片を含むペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1のアミノ酸配列、またはこの断片を含むペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0222】
本発明に従う抗体は、所与の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、他の突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、ヒトp53ポリペプチドの、所与の突然変異体に結合することが可能でありうるが、ヒトp53ポリペプチドの、他の突然変異体に結合することが可能でないことがありうる。
【0223】
一部の実施形態では、抗体は、R175Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号3のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0224】
一部の実施形態では、抗体は、R248Qに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号4のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0225】
一部の実施形態では、抗体は、R273Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号5のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0226】
一部の実施形態では、抗体は、R248Wに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号6のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0227】
一部の実施形態では、抗体は、G245Sに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号7のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0228】
一部の実施形態では、抗体は、R273Cに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号8のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0229】
一部の実施形態では、抗体は、R282Wに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号9のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0230】
一部の実施形態では、抗体は、G245Sに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号10のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0231】
一部の実施形態では、抗体は、G245Dに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、C176F、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号11のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0232】
一部の実施形態では、抗体は、C176Fに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、H179Y、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号12のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0233】
一部の実施形態では、抗体は、H179Yに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179R、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号13のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0234】
一部の実施形態では、抗体は、H179Rに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、Y220C、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号14のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0235】
一部の実施形態では、抗体は、Y220Cに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、もしくはR337Hのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号15のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0236】
一部の実施形態では、抗体は、R337Hに対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でありうるが、前記突然変異を含まないか、またはR175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、もしくはY220Cのうちの1もしくは複数に対応する突然変異を含む、p53ペプチド/ポリペプチドに結合することが可能でないことがありうる。一部の実施形態では、抗体は、突然変異を含む、配列番号16のアミノ酸配列、またはこの断片を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でありうるが、配列番号1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチド/ペプチドに結合することが可能でないことがありうる。
【0237】
本発明に従う抗体が結合することが可能な、本発明の突然変異体p53ポリペプチドの断片は、突然変異を含む。一部の実施形態では、本発明に従う抗体が結合することが可能な、本発明の突然変異体p53ポリペプチドの断片は、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、または50のアミノ酸を含みうる。一部の実施形態では、断片は、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列のうちの、5つ~300、5つ~250、5つ~200、5つ~150、5つ~100、5つ~75、5つ~50、5つ~40、5つ~30、5つ~20、または5つ~10のアミノ酸からなりうる。
【0238】
一部の実施形態では、本発明に従う抗体は、抗体が結合する、突然変異体p53ポリペプチドのエピトープを参照することにより規定されうる。一部の実施形態では、抗体は、連続アミノ酸配列(すなわち、アミノ酸一次配列)からなる直鎖状エピトープに結合しうる。一部の実施形態では、抗体は、アミノ酸配列のアミノ酸による不連続配列からなる、コンフォメーションエピトープに結合しうる。アミノ酸の不連続配列のアミノ酸は、突然変異体p53ポリペプチドの異なる領域内に配置される可能性があり、配列が、例えば、そのネイティブ構造へとフォールディングした場合に、近接して位置しうる。
【0239】
一部の実施形態では、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号3の100~250位、110~240位、120~230位、130~220位、140~210位、150~200位、160~190位、または170~180位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0240】
一部の実施形態では、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号4の173~323位、183~313位、193~303位、203~293位、213~283位、223~273位、233~263位、または243~253位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0241】
一部の実施形態では、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号5の198~348位、208~338位、218~328位、228~318位、238~308位、248~298位、258~288位、または268~278位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0242】
一部の実施形態では、R248W p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号6の173~323位、183~313位、193~303位、203~293位、213~283位、223~273位、233~263位、または243~253位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0243】
一部の実施形態では、G245S p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号7の170~320位、180~310位、190~300位、200~290位、210~280位、220~270位、230~260位、または240~250位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0244】
一部の実施形態では、R273C p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号8の198~348位、208~338位、218~328位、228~318位、238~308位、248~298位、258~288位、または268~278位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0245】
一部の実施形態では、R282W p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号9の207~357位、217~347位、227~337位、237~327位、247~317位、257~301位、267~297位、または277~287位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0246】
一部の実施形態では、R249S p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号10の174~324位、184~314位、194~304位、204~294位、214~284位、224~274位、234~264位、または244~254位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0247】
一部の実施形態では、G245D p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号11の170~320位、180~310位、190~300位、200~290位、210~280位、220~270位、230~260位、または240~250位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0248】
一部の実施形態では、C176F p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号12の101~251位、111~241位、121~231位、131~221位、141~211位、151~201位、161~191位、または171~181位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0249】
一部の実施形態では、H179Y p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号13の104~254位、114~244位、124~234位、134~224位、144~214位、154~204位、164~194位、または174~184位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0250】
一部の実施形態では、H179R p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号14の104~254位、114~244位、124~234位、134~224位、144~214位、154~204位、164~194位、または174~184位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0251】
一部の実施形態では、Y220C p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号15の145~295位、155~285位、165~275位、175~265位、185~255位、195~245位、205~235位、または215~225位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0252】
一部の実施形態では、R337H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号16の262~412位、272~402位、282~392位、292~382位、302~372位、312~362位、322~352位、または332~342位のうちの1つに対応するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0253】
一部の実施形態では、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号3の175~179位に対応するアミノ酸位置、すなわち、HCPHH(配列番号68)、または配列番号3の175位(すなわち、H)および177~179位(すなわち、PHH(配列番号69))に対応するアミノ酸位置、または配列番号3の175位(すなわち、H)および178~179位(すなわち、HH(配列番号70))に対応するアミノ酸位置を含むか、またはこれらからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。すなわち、一部の実施形態では、R175H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、以下:
【0254】
【0255】
の通りのエピトープに結合しうる。
一部の実施形態では、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号4の247~249位に対応するアミノ酸位置、すなわち、NQR(配列番号71)、または配列番号4の215~216位(すなわち、SV(配列番号72))および233~234位(すなわち、HY(配列番号73))に対応するアミノ酸位置、または配列番号4の249~250位に対応するアミノ酸位置、すなわち、RP(配列番号74)を含むか、またはこれらからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。すなわち、一部の実施形態では、R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、以下:
【0256】
【0257】
の通りのエピトープに結合しうる。
一部の実施形態では、R273H p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体は、配列番号5の272~273位に対応するアミノ酸位置、すなわち、VH(配列番号75)を含むか、またはこれらからなるポリペプチドのエピトープに結合しうる。
【0258】
一部の態様では、抗体は、抗R175H p53抗体クローンである4H5またはMH 4H5である。抗R175H p53抗体クローンである4H5およびMH 4H5は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSY (配列番号19)
LC-CDR2:GAS (配列番号20)
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
重鎖:
HC-CDR1:GFTFTEYT (配列番号25)
HC-CDR2:IDPNNGVT (配列番号26)
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
を含む。
【0259】
本明細書で記載される抗体の全てについて、CDRは、VBASE2 CDR予測ツール(参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Retterら、Nucleic Acids Research(2005)33(データベース特集):D671~674)に従い、規定される。
【0260】
一部の態様では、抗体は、抗R175H p53抗体クローンである7B9またはMH 7B9である。抗R175H p53抗体クローンである7B9およびMH 7B9は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSN (配列番号23)
LC-CDR2:GAS (配列番号20)
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
重鎖:
HC-CDR1:GYTFTEYT (配列番号29)
HC-CDR2:INPYSGGT (配列番号30)
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
を含む。
【0261】
一部の態様では、抗体は、抗R175H p53抗体クローンである10C8またはMH 10C8である。抗R175H p53抗体クローンである10C8およびMH 10C8は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSN (配列番号23)
LC-CDR2:GAS (配列番号20)
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
重鎖:
HC-CDR1:GYTFTEYT (配列番号29)
HC-CDR2:INPYSGGT (配列番号30)
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
を含む。
【0262】
本発明の多様な態様に従う、HC-CDR2が、INPYSGGT(配列番号30)である、一部の実施形態では、この配列は、配列INPYSGGTV(配列番号76)に含まれうる。一部の実施形態では、HC-CDR2は、INPYSGGTV(配列番号76)である。
【0263】
本発明に従う抗R175H p53抗体は、クローン4H5、7B9、もしくは10C8、または配列番号18もしくは22;および24もしくは28のうちの1つのCDRを含みうる。
【0264】
本発明に従う抗R175H p53抗体は、クローンMH 4H5、MH 7B9、もしくはMH 10C8、または配列番号237もしくは238;および239、240、もしくは241のうちの1つのCDRを含みうる。
【0265】
抗R175H p53抗体クローンの、V
L鎖およびV
H鎖のアミノ酸配列は、
図24、25、49、および50に示される。コードするヌクレオチド配列は、
図27、51、および52に示される。
【0266】
抗R175H p53抗体は、配列番号18、22、237、および238;または24、28、239、240、もしくは241のV
Lおよび/またはV
Hのアミノ酸配列のうちの1または複数、あるいは
図24、25、49、および50に示されるV
Lおよび/またはV
Hのアミノ酸配列のうちの1つに対して、高百分率の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖および/またはV
H鎖を有しうる。例えば、本発明に従う抗体は、R175H p53ポリペプチドに結合し、配列番号18、22、237、238、24、28、239、240、もしくは241のうちの1つのV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列、または
図24、25、49、および50に示されるV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列のうちの1つに対する、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖またはV
H鎖を有する抗体を含む。
【0267】
一部の態様では、抗体は、抗R248Q p53抗体クローンである3G11またはMH 3G11である。抗R248Q p53抗体クローンである3G11およびMH 3G11は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
重鎖:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46)
HC-CDR2:IHPKNGGT (配列番号47)
HC-CDR3:AKMGGYDDY (配列番号48)
を含む。
【0268】
一部の態様では、抗体は、抗R248Q p53抗体クローンである4H2またはMH 4H2である。抗R248Q p53抗体クローンである4H2およびMH 4H2は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
重鎖:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46)
HC-CDR2:IDPKNGGT (配列番号50)
HC-CDR3:AKQGGFDDY (配列番号51)
を含む。
【0269】
本発明に従う抗R248Q p53抗体は、クローン3G11もしくは4H2、または配列番号40もしくは44;および45もしくは49のうちの1つのCDRを含みうる。
本発明に従う抗R248Q p53抗体は、クローンMH 3G11もしくはMH 4H2、または配列番号251もしくは252;および253もしくは254のうちの1つのCDRを含みうる。
【0270】
抗R248Q p53抗体クローンの、V
L鎖およびV
H鎖のアミノ酸配列は、
図28、29、57、および58に示される。コードするヌクレオチド配列は、
図31、59、および60に示される。
【0271】
抗R248Q p53抗体は、配列番号40、44、251、および252;または45、49、253、もしくは254のV
Lおよび/またはV
Hのアミノ酸配列のうちの1または複数、あるいは
図28、29、57、および58に示されるV
Lおよび/またはV
Hのアミノ酸配列のうちの1つに対して、高百分率の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖および/またはV
H鎖を有しうる。例えば、本発明に従う抗体は、R248Q p53ポリペプチドに結合し、配列番号40、44、251、252、45、49、253、もしくは254のうちの1つのV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列、または
図28、29、57、および58に示されるV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列のうちの1つに対する、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖またはV
H鎖を有する抗体を含む。
【0272】
一部の態様では、抗体は、抗R273H p53抗体クローンである13E4またはMH 13E4である。抗R273H p53抗体クローンである13E4およびMH 13E4は、以下のCDR配列:
軽鎖:
LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59)
LC-CDR2:KVS (配列番号60)
LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61)
重鎖:
HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63)
HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64)
HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
を含む。
【0273】
本発明に従う抗R273H p53抗体は、クローン13E4、または配列番号58および62のうちの1つのCDRを含みうる。
本発明に従う抗R273H p53抗体は、クローンMH 13E4、または配列番号247および248のうちの1つのCDRを含みうる。
【0274】
抗R273H p53抗体クローンの、V
L鎖およびV
H鎖のアミノ酸配列は、
図32、33、53、および54に示される。コードするヌクレオチド配列は、
図34、55、および56に示される。
【0275】
抗R273H p53抗体は、配列番号58、247、62、および248のV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列のうちの1もしくは複数、または
図32、33、53、および54に示されるV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列のうちの1つに対して、高百分率の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖および/またはV
H鎖を有しうる。例えば、本発明に従う抗体は、R273H p53ポリペプチドに結合し、配列番号58、247、62、および248のうちの1つのV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列、または
図32、33、53、および54に示されるV
L鎖もしくはV
H鎖のアミノ酸配列のうちの1つに対する、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のうちの1つの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むV
L鎖またはV
H鎖を有する抗体を含む。
【0276】
本発明に従う抗体では、6つのCDR配列のうちの、1つまたは2つまたは3つまたは4つは、変動しうる。バリアントは、6つのCDR配列のうちの1つまたは2つにおいて、1つまたは2つのアミノ酸置換を有しうる。
【0277】
軽鎖および重鎖のCDRはまた、特に、多数の異なるフレームワーク領域と併用すると、有用でありうる。したがって、LC-CDR1~3またはHC-CDR1~3を有する軽鎖および/または重鎖は、代替的なフレームワーク領域を有しうる。当技術分野では、適切なフレームワーク領域が周知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、M.LefrancおよびG.Lefranc(2001)、「The Immunoglobulin FactsBook」、Academic Pressにおいて記載されている。
【0278】
本発明に従う抗体は、検出可能に標識化される場合もあり、少なくとも、検出が可能でありうる。例えば、抗体は、放射性原子または有色分子または蛍光分子で標識化される場合もあり、他の任意の方法でたやすく検出されうる分子で標識化される場合もある。適切な検出用分子は、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、酵素基質、および放射性標識を含む。結合性部分は、検出用標識で、直接的に標識化される場合もあり、間接的に標識化される場合もある。例えば、結合性部分は、それ自体標識化された、別の抗体により検出されうる、非標識化抗体でありうる。代替的に、二次抗体が、ビオチンに結合しており、一次抗体を間接的に標識するのに、標識化されたストレプトアビジンの、ビオチンへの結合が使用される場合もある。
キメラ抗原受容体
本発明は、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な、キメラ抗原受容体(CAR)を提供する。CARは、本発明に従う、抗原結合性断片またはポリペプチドを含む。
【0279】
キメラ抗原受容体(CAR)とは、抗原結合性およびT細胞活性化機能の両方をもたらす、組換え受容体である。CARの構造および操作については、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Dottiら、Immunol Rev(2014)、257(1)において総説されている。
【0280】
本明細書では、本発明に従う抗原結合性断片は、キメラ抗原受容体(CAR)の抗原結合性ドメインとして提供される。一部の実施形態では、CARは、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドの、任意の実施形態に従う、VLドメインおよびVHドメインを含む。したがって、本発明に従うCARに結合させる抗原は、本明細書で記載される、突然変異体p53ポリペプチドである。
【0281】
CARは、T細胞の効力、特異性、および安全性を、さらに増強するように、共刺激リガンド、キメラ共刺激受容体、またはサイトカインと組み合わされうる(参照により本明細書に具体的に組み込まれる、Sadelainら、The basic principles of chimeric antigen receptor(CAR)design、Cancer Discov.、2013年4月;3(4):388~398.doi:10.1158/2159-8290.CD-12-0548)。
【0282】
本発明はまた、本発明に従うCARを含む細胞も提供する。本発明に従うCARは、腫瘍ターゲティングT細胞、例えば、CARが特異的である突然変異体p53ポリペプチドを発現する腫瘍細胞へとターゲティングされたT細胞を作出するのに使用されうる。
【0283】
CARの、T細胞への操作は、養子T細胞療法のためのT細胞の拡大時になされるなど、形質導入および拡大のために、in vitroにおける培養時に実施されうる。形質導入は、様々な方法を用いうるが、クローン的に拡大および存続するT細胞における、持続的なCAR発現を可能とするために、安定的な遺伝子移入が必要とされる。
【0284】
本明細書で記載される、突然変異体p53ポリペプチドの特異性を決定する要素に加えて、CAR分子は、腫瘍細胞に遭遇したときに、T細胞の増殖および存続を促進するよう、CD28および腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9;4-1BB)に由来する共刺激エンドドメインなどの共刺激エンドドメインを発現するようにさらに操作されうる(NishioおよびDotti、OncoImmunology、4:2、e988098;2015年2月)。
【0285】
CARは、典型的に、抗原結合性ドメインを、CD3ゼータ鎖タンパク質またはFcγRIタンパク質の細胞内ドメインと、単一のキメラタンパク質内で組み合わせる。CARの構造的特徴は、Sjoukeら(The pharmacology of second-generation chimeric antigen receptors、Nature Reviews Drug Discovery、14、499509(2015)doi:10.1038/nrd4597)により記載されている。CARは、典型的に、膜貫通ドメインおよびエンドドメインへと連結された、細胞外抗原結合性ドメインを有する。任意選択のヒンジドメインまたはスペーサードメインは、結合性部分と、膜貫通ドメインとの分離をもたらすことが可能であり、可撓性のリンカーとして作用しうる。
【0286】
本発明に従い、CARの抗原認識ドメインは、本明細書で記載される、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドであるか、またはこれに由来する。
【0287】
ヒンジ領域またはスペーサー領域は、結合性部分が、異なる方向に向くことを可能とする可撓性のドメインでありうる。ヒンジ領域またはスペーサー領域は、IgG1に由来する場合もあり、免疫グロブリンのCH2CH3領域に由来する場合もある。
【0288】
膜貫通ドメインは、細胞膜にわたる、疎水性アルファヘリックスでありうる。エンドドメインと会合する膜貫通ドメインが、一般に、使用される。
エンドドメインは、抗原の結合の後における受容体のクラスタリング/二量体化、および細胞へのシグナル伝達の開始の一因となる。一般に使用される、1つの膜貫通ドメインは、CD3ゼータの膜貫通ドメインおよびエンドドメインである。CD28、4-1BB、OX40、ICOSなど、1または複数の共刺激タンパク質受容体に由来する細胞内ドメインは、抗腫瘍活性に関して有益でありうる、さらなる共刺激シグナル伝達をもたらすように、CARの細胞質テールへと、任意に、組み込まれうる。
【0289】
一実施形態では、CARは、抗原認識ドメインを有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。CAR内のドメインの1つと天然で会合する膜貫通ドメインが使用される場合もあり、このようなドメインの、表面膜タンパク質が同じでまたは異なる膜貫通ドメインへの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように、膜貫通ドメインが、アミノ酸置換により、選択または修飾される場合もある。細胞質ドメインは、CD28および/または4-1BBのシグナル伝達ドメインを、それら自体で、または他の任意の所望の細胞質ドメインと組み合わされて含むようにデザインされうる。細胞質ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含むように、さらにデザインされうる。例えば、CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータ、4-1BB、およびCD28のシグナル伝達モジュール、ならびにこれらの組合せを含みうるがこれらに限定されない。
【0290】
本発明はまた、CARとして、本発明に従う突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含むCAR T細胞も提供する。
本発明のCAR T細胞は、所望のCAR、例えば、抗突然変異体p53、CD8aヒンジドメインおよび膜貫通ドメイン、ならびにヒト4-1BBおよびCD3ゼータのシグナル伝達ドメインを含むCARを含むレンチウイルスベクターを、in vitroにおいて、細胞へと導入することにより作出されうる。本発明のCAR T細胞は、in vivoにおいて、複製されることが可能である結果として、長期にわたる存続をもたらし、これにより、持続的な腫瘍制御をもたらしうる。
【0291】
一実施形態では、本発明は、リンパ球の輸注を使用して、がんを有するか、またはがんを有する危険性がある患者を処置するために、突然変異体p53ポリペプチドに結合することが可能なCARを発現する、遺伝子改変されたT細胞を投与することに関する。好ましくは、処置では、自家リンパ球の輸注が使用される。自家PBMCを、処置を必要とする患者から回収し、本明細書で記載され、当技術分野でも公知の方法を使用して、T細胞を活性化させ、拡大させ、次いで、患者へと輸注し戻す。
突然変異体p53ポリペプチドを検出するための方法
本明細書で記載される抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞は、抗体または抗原結合性断片の、突然変異体p53ポリペプチドへの結合を伴う方法において使用されうる。このような方法は、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞と、突然変異体p53ポリペプチドとの、結合複合体の検出を伴いうる。したがって、一実施形態では、突然変異体p53ポリペプチドを含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を、本明細書で記載される、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞と、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法が提供される。
【0292】
本発明の態様では、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞が特異的である、突然変異体p53ポリペプチド(または突然変異を含むこの断片)に結合した(すなわち、これと複合した)、本発明に従う抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を含む、in vitroにおける複合体が提供される。
【0293】
当技術分野では、サンドイッチアッセイ、例えば、ELISAなどのイムノアッセイを含む、適切な方法フォーマットが周知である。方法は、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、もしくは細胞、または突然変異体p53ポリペプチド、あるいはこれらの両方を、検出用標識、例えば、蛍光標識、発光標識、または放射性標識で標識化するステップを伴いうる。突然変異体p53ポリペプチドの発現は、例えば、生検により得られた組織試料についての免疫組織化学(IHC)により測定されうる。
【0294】
特に、本発明の抗突然変異体p53抗体は、本明細書で例示される通り、免疫ブロット、免疫蛍光、免疫沈降、免疫組織化学、およびin vivoイメージングによる解析において、有用である。
【0295】
この種の方法は、突然変異体p53ポリペプチドの検出および/または定量化を必要とする疾患または状態を、診断または予後診断的に評価する方法の基盤をもたらしうる。このような方法は、患者試料に対して、in vitroで実施される場合もあり、患者試料を加工した後で実施される場合もある。試料が回収されたら、患者は、診断または予後診断的評価のin vitro法が実施されるのに立ち会うことが必要とされないので、方法は、ヒトまたは動物の身体に対して実施されることがない方法でありうる。
【0296】
方法は、患者試料中の、突然変異体p53ポリペプチドの存在を検出するステップを伴いうる。
方法は、患者試料中に存在する、突然変異体p53ポリペプチドの量を決定するステップを伴いうる。一部の実施形態では、方法は、診断に到達する過程の一部として、決定された量を、標準値または基準値に照らして比較するステップをさらに含みうる。診断もしくは予後診断の精度を増強するか、または本明細書で記載される検査を使用することにより得られた結果を確認するように、他の診断検査も、本明細書で記載される診断検査と共に使用されうる。
【0297】
試料中の、突然変異体p53ポリペプチドの検出は、患者におけるがん性状態の診断、がん性状態への素因の診断、またはがん性状態の予後診断をもたらすこと(予後診断すること)を目的として使用されうる。診断または予後診断は、良性または悪性でありうる、既存の(既に診断された)がん性状態に関する場合もあり、疑われたがん性状態に関する場合もあり、患者におけるがん性状態(かつて、診断されていない可能性がある)についてのスクリーニングに関する場合もある。
【0298】
試料中の、突然変異体p53ポリペプチドの検出は、患者が、抗突然変異体p53抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞による処置に応答しうることを指し示しうる。試料中の、所与の突然変異体p53ポリペプチドの存在は、所与の抗突然変異体p53抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞による処置のために、患者を選択するのに使用されうる。したがって、本発明の抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞は、抗突然変異体p53抗体治療による処置のために、患者を選択するのに使用されうる。
【0299】
試料は、任意の組織または体液から採取されうる。試料は、ある量の血液;個体の血液に由来する、ある量の血清であって、フィブリンによる凝血および血液細胞を除去した後に得られる、血液の流体部分を含みうる血清;組織試料もしくは生検;または前記個体から単離された細胞を含むか、またはこれに由来しうる。
【0300】
本発明に従う方法は、好ましくは、in vitroにおいて実施される。「in vitro」という用語が、培養物中の細胞を伴う実験を包含することが意図されるのに対し、「in vivo」という用語は、無傷の多細胞性生物を伴う実験を包含することが意図される。
【0301】
本発明はまた、例えば、in vivoにおいて、がん(例えば、腫瘍)を検出、位置特定、またはイメージングするための方法における使用のための、本発明に従う抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞も提供する。
【0302】
本発明に従う抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞は、検出のために、放射性同位体または非同位体性実体などの検出用標識(例えば、シグナル発生標識)で、適切な形で、直接的または間接的に標識されうる。放射性同位体は、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素126、ヨウ素131、ヨウ素133、臭素77、テクネシウム99m、インジウム111、インジウム113m、ガリウム67、ガリウム68、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、水銀207、水銀203、レニウム99m、レニウム101、レニウム105、スカンジウム47、テルリウム121m、テルリウム122m、テルリウム125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、銅67、フッ素18、イットリウム90、パラジウム100、ビスマス217、およびアンチモニー211を含む。非同位体性実体は、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)、色素、ハプテン、放射性発光、化学発光(例えば、アクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノール)、生物発光剤、蛍光剤(例えば、フルオレセイン、ローダミン、エオシン、およびNDB、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、およびサマリウム(Sm)など、希土類のキレート剤、テトラメチルローダミン、Texas Red、4-メチルウンベリフェロン、7-アミノ-4-メチルクマリン、Cy3、Cy5)、またはリン光発光剤などの発光剤、抗体、受容体、およびビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、またはジゴキシゲニンなどのリガンドから選択されうる。
【0303】
当業者には、検出法が周知であり、標識化剤に対応するように選択されうる。適切な技法は、PCRによるオリゴヌクレオチドタグの増幅、質量分析、例えば、基質の酵素的転換時における、レポータータンパク質による、蛍光もしくは色彩の検出、または放射能の検出を含む。
【0304】
一部の実施形態では、方法は、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を、対象、例えば、がんを伴うと診断されたか、またはこれを有することが疑われる患者へと投与するステップと、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を検出するステップとを含む。一部の実施形態では、方法は、抗体、抗体断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞からのシグナルを検出するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、シグナルの、画像への変換を含む。
【0305】
本発明はまた、本発明に従う抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を使用して 突然変異体p53ポリペプチドターゲティング剤による処置のための対象を選択/層別化する方法も提供する。一部の実施形態では、対象を、本発明に従う処置のために選択するか、または、例えば、個体から得られた試料中の、突然変異体p53ポリペプチド、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸の存在の検出に基づき、このような処置から利益を得る対象として同定する。
治療適用
本発明に従う、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、および細胞、ならびにこのような薬剤を含む組成物は、医学的処置の方法における使用のために提供されうる。処置は、処置を必要とする疾患または状態を有する対象に対して施されうる。疾患または状態は、がんでありうる。
【0306】
一部の実施形態では、がんは、突然変異体p53ポリペプチドを発現する細胞を含みうる。一部の実施形態では、がんは、本発明に従う、抗突然変異体p53抗体、断片、またはポリペプチドが特異的である突然変異体p53ポリペプチドを発現する細胞を含みうる。
【0307】
例えば、突然変異体p53ポリペプチドを発現する、このような腫瘍細胞は、本発明に従う抗体を伴う処置により、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、相補体依存性細胞傷害作用(CDC)により、または抗体-薬物コンジュゲートを使用して、直接殺滅されうる。
【0308】
処置は、がんの発症または進行の防止を目的としうる。したがって、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、またはコンジュゲートは、医薬組成物または医薬を製剤化するのに使用される場合があり、対象は、疾患状態の発症に対して、予防的に処置されうる。これは、疾患状態の症状の発生の前になされる場合もあり、および/またはがんの発症または進行の危険性が大きいと考えられる対象に対して施される場合もある。
【0309】
抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドの投与は、好ましくは、「治療有効量」であり、これは、個体に対して有益性を示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、処置される疾患の性質および重症度に依存するであろう。処置の処方、例えば、投与量についての決定などは、一般的な従事者および他の医師の責任の範囲内にあり、典型的に、処置される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法、および従事者に公知の他の因子を考慮に入れる。上記で言及された技法およびプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、2000、Lippincott,Williams & Wilkins刊において見出されうる。
抗体コンジュゲート
本発明はまた、化学的部分へとコンジュゲートさせた、本発明に従う、抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、抗体コンジュゲートも提供する。
【0310】
一部の実施形態では、化学的部分は、治療効果をもたらすための部分でありうる。一部の実施形態では、化学的部分は、薬物部分(例えば、細胞傷害剤)でありうる。一部の実施形態では、薬物部分は、本明細書の下記で記載される化学療法薬でありうる。
【0311】
一部の実施形態では、化学的部分は、検出用部分でありうる。当業者には、それらの検出に適する部分および手段が周知であり、本明細書の上記で記載された、放射性同位体または非同位体性実体を含む。
薬学的に有用な組成物および医薬の製剤化
本発明に従う、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、および細胞は、臨床使用のための医薬組成物として製剤化される場合があり、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントを含みうる。
【0312】
本発明に従い、また、薬学的に有用な組成物の作製法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、もしくは細胞を単離するステップ;および/または単離された本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、もしくは細胞を、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、もしくは希釈剤と混合するステップから選択される、1または複数のステップを含みうる作製法も提供される。
【0313】
例えば、本発明のさらなる態様は、がんの処置における使用のための、医薬または医薬組成物を製剤化または作製する方法であって、本明細書で記載される抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、または細胞を、薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、または希釈剤と混合することにより、医薬組成物または医薬を製剤化するステップを含む方法に関する。
【0314】
組成物は、単独で投与される場合もあり、他の処置と組み合わされて、処置される状態に応じて同時にまたは逐次的に投与される場合もある。
本明細書では、本発明の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、または細胞と、化学療法剤とは、同時に投与される場合もあり、逐次的に投与される場合もある。
【0315】
一部の実施形態では、本発明の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、または細胞による処置は、化学療法を伴いうる。
同時的投与とは、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、または細胞と、治療剤との、例えば、両方の薬剤を含有する医薬組成物(組み合わされた調製物)として併せた投与、または互いの直後に、任意に、同じ投与経路を介する投与、例えば、同じ動脈、静脈、もしくは他の血管への投与を指す。
【0316】
逐次的投与とは、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、CAR、もしくは細胞、または治療剤のうちの1つの投与であって、所与の時間間隔の後で、他の薬剤の別個の投与に後続される投与を指す。2つの薬剤が、同じ経路により投与されることは必要とされないが、一部の実施形態では、2つの薬剤が、同じ経路により投与される。時間間隔は、任意の時間間隔でありうる。
がん
がんは、任意の、望ましくない細胞増殖(または望ましくない細胞増殖により顕示される、任意の疾患)、新生物、または腫瘍の場合もあり、望ましくない細胞増殖、新生物、または腫瘍の危険性、またはこれらに対する素因の増大の場合もある。がんは、良性の場合もあり、悪性の場合もあり、原発性の場合もあり、続発性(転移性)の場合もある。新生物または腫瘍は、細胞の、任意の異常な増殖または増殖であることがあり、任意の組織内に位置しうる。組織の例は、副腎、副腎髄質、肛門、虫垂、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳腺、盲腸、中枢神経系(脳を含むか、または除外する)、小脳、子宮頸部、結腸、十二指腸、子宮内膜、上皮細胞(例えば、腎臓上皮)、胆嚢、食道、神経膠細胞、心臓、回腸、空腸、腎臓、涙腺、喉頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、リンパ芽球、顎、縦隔、腸間膜、子宮筋層、鼻咽頭、綱、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、末梢神経系、腹膜、胸膜、前立腺、唾液腺、S字結腸、皮膚、小腸、軟部組織、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、舌、扁桃腺、気管、子宮、外陰、白血球を含みうる。
【0317】
処置される腫瘍は、神経系腫瘍の場合もあり、非神経系腫瘍の場合もある。神経系腫瘍、例えば、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫、神経線維腫、上衣腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、星状細胞腫、および希突起神経膠腫は、中枢神経系に由来する場合もあり、末梢神経系に由来する場合もある。非神経系がん/腫瘍は、他の任意の非神経組織に由来する場合があり、例は、黒色腫、中皮腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、肝がん、類表皮癌、前立腺癌、乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、膵臓がん、胸腺癌、NSCLC、血液がん、および肉腫を含む。一部の実施形態では、がんは、乳がんでありうる。
【0318】
一部の実施形態では、がんは、突然変異体p53のペプチドまたはポリペプチドをコードするか、またはこれを発現するがんである。一部の実施形態では、がんは、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現するがんである。
【0319】
一部の実施形態では、がんは、248、273、175、176、179、220、245、249、282、および337位のうちの1または複数において、野生型p53の配列と比べた、アミノ酸の差違を含む、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現するがんである。
【0320】
一部の実施形態では、がんは、以下の突然変異:R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1または複数を含む、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現するがんである。
【0321】
がんは、当業者に周知である、任意の適する手段により、例えば、生物学的試料の解析に基づき、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現することが決定されうる。
【0322】
突然変異体p53ポリペプチドをコードするがんは、例えば、DNAシーケンシングなどにより、突然変異をコードする核酸の検出に基づき同定されうる。突然変異体p53ポリペプチドを発現する細胞を含むがんは、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドの発現の検出により同定されうる。発現は、遺伝子の発現の場合もあり、タンパク質の発現の場合もある。遺伝子の発現は、例えば、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を介する、例えば、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするmRNAの検出により決定されうる。タンパク質の発現は、例えば、抗体ベースの方法、例えば、ウェスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、ELISAを介する、例えば、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドの検出により決定されうる。
【0323】
本明細書における、「突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現するがん」は、突然変異体p53ペプチド/ポリペプチドをコードするか、またはこれを発現する任意の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞は、腫瘍細胞でありうる。
化学療法/放射線療法
化学療法および放射線療法は、それぞれ、薬物またはイオン化放射線(例えば、X線またはγ線を使用する放射線療法)による、がんの処置を指す。
【0324】
薬物は、化学的実体、例えば、低分子医薬、抗生剤、DNA挿入剤、タンパク質阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、または生物学的薬剤、例えば、抗体、抗体断片、核酸またはペプチドアプタマー、核酸(例えば、DNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質でありうる。薬物は、医薬組成物または医薬として製剤化されうる。製剤は、1または複数の薬物(例えば、1または複数の活性の薬剤)を、1または複数の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体と共に含みうる。
【0325】
処置は、1つを超える薬物の投与を伴いうる。薬物は、単独で投与される場合もあり、他の処置と組み合わされて、処置される状態に応じて同時にまたは逐次的に投与される場合もある。例えば、化学療法は、1または複数が、がんを処置するように意図されうる、2つの薬物の投与を伴う共治療でありうる。
【0326】
化学療法は、1または複数の投与経路、例えば、非経口経路、静脈内注射、経口経路、皮下経路、皮内経路、または腫瘍内経路により投与されうる。
化学療法は、処置レジメに従い投与されうる。処置レジメは、医師または医療従事者により作成されうる、化学療法投与の、所定の時程表、計画、スキーム、またはスケジュールであってもよく、処置を必要とする患者に適するように、調整されうる。
【0327】
処置レジメは、患者へと投与される化学療法の種類;各薬物または放射線の用量または線量;投与間の時間間隔;各処置の長さ;存在する場合、任意の休薬期間の回数および性質などのうちの1または複数を指し示しうる。共治療のために、各薬物が、どのように投与されるべきであるのかを指し示す、単一の処置レジメが用意されうる。
【0328】
化学療法薬および生物学的薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロランブシル、イホスファミドなどのアルキル化剤;アザチオプリンまたはメルカプトプリンなど、プリンまたはピリミジンによる代謝拮抗剤;ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン)、ポドフィロキシン、エトポシド、テニポシドなどのアルカロイドおよびテルペノイド、パクリタキセル(Taxol(商標))、ドセタキセルなどのタキサン;I型トポイソメラーゼ阻害剤である、カンプトテシン、イリノテカン、およびトポテカン、またはII型トポイソメラーゼ阻害剤である、アムサクリン、エトポシド、エトポシドリン酸塩、テニポシドなどのトポイソメラーゼ阻害剤;ダクチノマイシン、ドキソルビシン(Adriamycin(商標))、エピルビシン、ブレオマイシン、ラパマイシンなどの抗腫瘍性抗生剤(例えば、アントラサイクリン系抗生剤);抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM-3抗体、抗CTLA-4、抗4-1BB、抗GITR、抗CD27、抗BLTA、抗OX43、抗VEGF、抗TNFα、抗IL-2、抗GpIIb/IIIa、抗CD-52、抗CD20、抗RSV、抗HER2/neu(erbB2)、抗TNF受容体、抗EGFR抗体、モノクローナル抗体、または抗体断片など、抗体ベースの薬剤であって、例が、セツキシマブ、パニツムマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アブシキシマブ、ダクリズマブ、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ(Mabthera(登録商標))、パリビズマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ニモツズマブを含む薬剤;EGFR阻害剤など、エルロチニブ、セツキシマブ、およびゲフィチニブ;ベバシズマブ(Avastin(登録商標))などの抗血管新生剤;シプリューセルT(Provenge(登録商標))などのがんワクチンから選択されうる。
【0329】
さらなる化学療法薬は、13-cis-レチノイン酸、2-クロロデオキシアデノシン、5-アザシチジン5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、Abraxane、Accutane(登録商標)、アクチノマイシン-D、Adriamycin(登録商標)、Adrucil(登録商標)、Afinitor(登録商標)、Agrylin(登録商標)、Ala-Cort(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、Alkaban-AQ(登録商標)、Alkeran(登録商標)、all-transレチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、Anandron(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Aranesp(登録商標)、Aredia(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Aromasin(登録商標)、Arranon(登録商標)、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ATRA、Avastin(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、Blenoxane(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、Busulfex(登録商標)、ロイコボリンカルシウム、Campath(登録商標)、Camptosar(登録商標)、カンプトテシン-11、カペシタビン、Carac(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、Casodex(登録商標)、CC-5013、CCI-779、CCNU、CDDP、CeeNU、Cerubidine(登録商標)、セツキシマブ、クロランブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、Cosmegen(登録商標)、CPT-11、シクロホスファミド、Cytadren(登録商標)、シタラビン Cytosar-U(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Dacogen、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、Dasatinib、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシンリポソーム剤、DaunoXome(登録商標)、Decadron、デシタビン、Delta-Cortef(登録商標)、Deltasone(登録商標)、デニロイキン・ディフティトックス、DepoCyt(商標)、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、Dexasone、デキスラゾキサン、DHAD、DIC、Diodex、ドセタキセル、Doxil(登録商標)、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム剤、Droxia(商標)、DTIC、DTIC-Dome(登録商標)、Duralone(登録商標)、Eligard(商標)、Ellence(商標)、Eloxatin(商標)、Elspar(登録商標)、Emcyt(登録商標)、Epirubicin、エポエチンアルファ、Erbitux、エルロチニブ、エルウィニアL-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、Ethyol、Etopophos(登録商標)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、Eulexin(登録商標)、エベロリムス、Evista(登録商標)、エキセメスタン、Faslodex(登録商標)、Femara(登録商標)、フィルグラスチム、フロクスウリジン、Fludara(登録商標)、フルダラビン、Fluoroplex(登録商標)、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、Gleevec(商標)、Gliadel(登録商標)ウェハー剤、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ刺激因子、Herceptin(登録商標)、Hexadrol、Hexalen(登録商標)、ヘキサメチラミン、HMM、Hycamtin(登録商標)、Hydrea(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、Hydrocortone Phosphate、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、Idamycin(登録商標)、イダルビシン、Ifex(登録商標)、IFN-アルファ、イホスファミド、IL-11、IL-2、イマチニブメシル酸塩、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ2b(PEGコンジュゲート剤)、インターロイキン2、インターロイキン11、Intron A(登録商標)(インターフェロンアルファ2b)、Iressa(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、イキサベピロン、Ixempra(商標)、Kidrolase、Lanacort(登録商標)、ラパチニブ、L-アスパラギナーゼ、LCR、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、Leukeran、Leukine(商標)、ロイプロリド、Leurocristine、Leustatin(商標)、Ara-Cリポソーム剤、Liquid Pred(登録商標)、ロムスチン、L-PAM、L-サルコリシン、Lupron(登録商標)、Lupron Depot(登録商標)、Matulane(登録商標)、Maxidex、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、Megace(登録商標)、メゲストロール、メゲストロール酢酸塩、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(商標)、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、Meticorten(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、M-Prednisol(登録商標)、MTC、MTX、Mustargen(登録商標)、ムスチン、Mutamycin(登録商標)、Myleran(登録商標)、Mylocel(商標)、Mylotarg(登録商標)、ナベルビン(登録商標)、ネララビン、Neosar(登録商標)、Neulasta(商標)、Neumega(登録商標)、Neupogen(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Nilandron(登録商標)、ニルタミド、Nipent(登録商標)、窒素マスタード、Novaldex(登録商標)、Novantrone(登録商標)、オクトレオチド、オクトレオチド酢酸塩、Oncospar(登録商標)、Oncovin(登録商標)、Ontak(登録商標)、Onxal(商標)、オプレベルキン、Orapred(登録商標)、Orasone(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合剤、パミドロネート、パニツムマブ、Panretin(登録商標)、Paraplatin(登録商標)、Pediapred(登録商標)、PEGインターフェロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON(商標)、PEG-L-アスパラギナーゼ、PEMETREXED、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、Platinol(登録商標)、Platinol-AQ(登録商標)、プレドニゾロン、Prednisone、Prelone(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、Proleukin(登録商標)、カルムスチンインプラント剤を伴うプロリフェプロサン20、Purinethol(登録商標)、ラロキシフェン、Revlimid(登録商標)、Rheumatrex(登録商標)、Rituxan(登録商標)、リツキシマブ、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンアルファ2a)、Rubex(登録商標)、ルビドマイシン塩酸塩、Sandostatin(登録商標)、Sandostatin LAR(登録商標)、サルグラモスチム、Solu-Cortef(登録商標)、Solu-Medrol(登録商標)、ソラフェニブ、SPRYCEL(商標)、STI-571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、Sutent(登録商標)、タモキシフェン、Tarceva(登録商標)、Targretin(登録商標)、Taxol(登録商標)、Taxotere(登録商標)、Temodar(登録商標)、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、Thalomid(登録商標)、TheraCys(登録商標)、チオグアニン、Thioguanine Tabloid(登録商標)、チオホスファミド、Thioplex(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、Toposar(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、Torisel(登録商標)、トシツモマブ、トラスツズマブ、Treanda(登録商標)、トレチノイン、Trexall(商標)、Trisenox(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、VCR、Vectibix(商標)、Velban(登録商標)、Velcade(登録商標)、VePesid(登録商標)、Vesanoid(登録商標)、Viadur(商標)、Vidaza(登録商標)、ビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸塩、Vincasar Pfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビノレルビン酒石酸塩、VLB、VM-26、ボリノスタット、VP-16、Vumon(登録商標)、ゼローダ(登録商標)、Zanosar(登録商標)、Zevalin(商標)、Zinecard(登録商標)、Zoladex(登録商標)、ゾレドロン酸、Zolinza、Zometa(登録商標)から選択されうる。
投与経路
本発明の態様に従う、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、細胞、ならびに他の治療剤、医薬、および医薬組成物は、非経口、静脈内、動脈内、筋内、皮下、皮内、腫瘍内、および経口を含むがこれらに限定されない、多数の経路による投与のために製剤化されうる。抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、細胞、および治療剤は、流体形態で製剤化される場合もあり、固体形態で製剤化される場合もある。流体製剤は、ヒトまたは動物の身体の、選択された領域への注射による投与のために製剤化されうる。
投与レジメ
抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の複数回投与を行うことができる。投与のうちの1回もしくは複数回、または各回は、別の治療剤の同時的投与または逐次的投与を伴いうる。
【0330】
複数回投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日間、または1、2、3、4、5、もしくは6カ月間のうちの1つに選択されうる、所定の時間間隔だけ隔てることができる。例を目的として述べると、投与は、7、14、21、または28日間(±3、2、または1日間)ごとに1回施されうる。
キット
本発明の一部の態様では、キットオブパーツが提供される。一部の実施形態では、キットは、所定量の、本発明に従う、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を有する、少なくとも1つの容器を有しうる。キットは、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞を、医薬または医薬組成物の形態で提供することが可能であり、指定された疾患または状態を処置するための、患者への投与のための指示書と共に提供されうる。抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドは、腫瘍または血液への注射または注入に適するように製剤化されうる。
【0331】
一部の実施形態では、キットは、所定量の別の治療剤(例えば、化学療法剤)を有する、少なくとも1つの容器をさらに含みうる。このような実施形態では、キットはまた、2つの医薬または医薬組成物が、それらが、特異的疾患または特異的状態のために組み合わされた処置をもたらすよう、同時に投与される場合もあり、個別に投与される場合もあるように、第2の医薬または医薬組成物も含みうる。治療剤はまた、腫瘍または血液への注射または注入に適するようにも製剤化されうる。
対象
本発明に従う、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞により処置される対象は、任意の動物またはヒトでありうる。対象は、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、ヒトである。対象は、非ヒト哺乳動物でありうるが、より好ましくは、ヒトである。対象は、男性の場合もあり、女性の場合もある。対象は、患者でありうる。対象は、処置を必要とする疾患もしくは状態を伴うと診断されているか、またはこのような疾患もしくは状態を有することが疑われる。
配列同一性
アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の同一性の決定を目的とするアライメントは、当業者に公知の、多様な方法で、例えば、ClustalW 1.82ソフトウェア、T-coffeeソフトウェア、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して達成されうる。このようなソフトウェアを使用する場合、例えば、ギャップペナルティーおよび拡張ペナルティーについては、デフォルトパラメータが使用されることが好ましい。ClustalW 1.82のデフォルトパラメータは、タンパク質ギャップ開始ペナルティー=10.0、タンパク質ギャップ拡張ペナルティー=0.2、タンパク質行列=Gonnet、タンパク質/DNA ENDGAP=-1、タンパク質/DNA GAPDIST=4である。
組換え体の作製
本発明に従う方法において使用される免疫原、ならびに本発明に従う抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、およびCARは、当業者に公知である、組換え体の作製のための方法に従い調製されうる。
【0332】
目的のペプチド/ポリペプチドは、化学合成、例えば、液相合成または固相合成により調製されうる。例えば、ペプチド/ポリペプチドは、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Chandruduら、Molecules(2013)、18:4373~4388において記載された方法を使用して合成されうる。
【0333】
本発明に従う免疫原、抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、およびCARは、組換え発現により作製されうる。当技術分野では、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第4版)、Cold Spring Harbor Press、2012において明示された分子生物学法など、組換え体の作製に適する分子生物学法が周知である。
【0334】
発現は、ヌクレオチド配列からの発現でありうる。ヌクレオチド配列は、ベクター内に含有されうる。本明細書で使用される「ベクター」とは、外来の遺伝子素材を、細胞へと移入するための媒体として使用されるオリゴヌクレオチド分子(DNAまたはRNA)である。ベクターは、細胞内の、外来の遺伝子素材の発現のための発現ベクターでありうる。このようなベクターは、発現させる配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、プロモーター配列を含みうる。ベクターはまた、終止コドンおよび発現エンハンサーも含みうる。当技術分野で公知の、任意の適切なベクター、プロモーター、エンハンサー、および終止コドンが、ペプチドまたはポリペプチドを、本発明に従うベクターから発現させるのに使用されうる。一部の実施形態では、ベクターは、プラスミド、MAC、ウイルスなどでありうる。一部の実施形態では、ベクターは、真核発現ベクター、例えば、真核細胞内の、ベクターからのタンパク質の発現に必要な要素を含むベクターでありうる。一部の実施形態では、ベクターは、例えば、タンパク質の発現を駆動するように、サイトメガロウイルス(CMV)またはSV40のプロモーターを含む、哺乳動物発現ベクターでありうる。
【0335】
「作動可能に連結された」という用語は、選択されたヌクレオチド配列と、調節的ヌクレオチド配列(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)とが、ヌクレオチド配列の発現を、調節配列の影響下または制御下に置くような形で、共有結合的に連結された(これにより、発現カセットを形成する)状況を含みうる。したがって、調節配列が、ヌクレオチド配列の転写を行うことが可能である場合、調節配列は、選択されたヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。次いで、結果として得られる転写物は、所望のペプチドまたはポリペプチドへと翻訳されうる。
【0336】
本発明に従う組換え体の作製のために、ポリペプチドの発現に適する、任意の細胞が使用されうる。細胞は、原核細胞の場合もあり、真核細胞の場合もある。一部の実施形態では、細胞は、古細菌または細菌の細胞など、原核細胞である。一部の実施形態では、細菌は、Enterobacteriaceae科の細菌、例えば、Escherichia coliなどのグラム陰性菌でありうる。
【0337】
一部の実施形態では、細胞は、真核細胞など、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、HEK細胞、HeLa細胞、またはCOS細胞である。
【0338】
場合によって、一部の原核細胞は、真核細胞と同じフォールディングまたは翻訳後修飾を可能としないため、細胞は、原核細胞ではない。加えて、真核細胞では、極めて高度な発現レベルが可能であり、適切なタグを使用すると、タンパク質は、真核細胞から精製することが、より容易でありうる。タンパク質の、培地への分泌を増強する、特異的なプラスミドもまた、用いられうる。
【0339】
作製は、ペプチドまたはポリペプチドを発現するように修飾された真核細胞の培養または発酵を伴いうる。培養または発酵は、栄養物、空気/酸素および/または増殖因子の適切な供給がなされたバイオリアクター内で実施されうる。分泌されたタンパク質は、培養培地/発酵培養液を、細胞から分割し、タンパク質内容物を抽出し、個々のタンパク質を分離して、分泌されたペプチドまたはポリペプチドを単離することにより回収されうる。当業者には、培養法、発酵法、および分離法が周知であり、例えば、GreenおよびSambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第4版;上記で、参照により本明細書に組み込まれた)において記載されている。
【0340】
バイオリアクターは、細胞が培養されうる、1または複数の反応槽を含む。バイオリアクター内の培養は、反応物の、リアクターへの、持続的な流入と、培養された細胞の、リアクターからの、持続的な流出とにより、持続的に生じうる。代替的に、培養は、バッチ内で生じうる。バイオリアクターは、培養される細胞に、最適の条件がもたらされるように、環境条件、例えば、pH、酸素、反応槽への流入および反応槽からの流出の流量、ならびに反応槽内の攪拌をモニタリングし、制御する。
【0341】
免疫原、抗体、断片、ポリペプチド、コンジュゲート、またはCARを発現する細胞の培養の後、目的のペプチド/ポリペプチドが単離されることが好ましい。当技術分野で公知の、細胞培養物から、タンパク質を分離するための、任意の適切な方法が使用されうる。ペプチド/ポリペプチドを、培養物から単離するために、まず、培養された細胞を、目的のペプチド/ポリペプチドを含有する培地から分離することが必要でありうる。目的のペプチド/ポリペプチドが、細胞から分泌される場合、細胞は、分泌された目的のペプチド/ポリペプチドを含有する培養培地から、遠心分離により分離されうる。目的のペプチド/ポリペプチドが、細胞内に集まる場合、遠心分離の前に、例えば、超音波処理、急速な凍結-融解、または浸透圧溶解を使用して、細胞を破壊することが必要となるであろう。遠心分離は、培養された細胞、または培養された細胞の細胞破砕物を含有するペレットと、培養培地および目的のペプチド/ポリペプチドを含有する上清とをもたらすであろう。
【0342】
次いで、目的のペプチド/ポリペプチドを、他のタンパク質および非タンパク質成分を含有しうる、上清または培養物培地から単離することが所望されうる。タンパク質成分を、上清または培養培地から分離するための、一般的な手法は、沈殿である。可溶性が異なるタンパク質は、硫酸アンモニウムなど、異なる濃度の沈殿剤で沈殿する。例えば、低濃度の沈殿剤では、水溶性のタンパク質が抽出される。したがって、増大させる、異なる濃度の沈殿剤を添加することにより、可溶性の異なるタンパク質が、識別されうる。その後、分離されたタンパク質から、硫酸アンモニウムを除去するのに、透析が使用されうる。
【0343】
当技術分野では、異なるタンパク質を識別するための他の方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズクロマトグラフィーが公知である。これらは、沈殿に対する代替法として使用される場合もあり、沈殿に後続して実施される場合もある。
【0344】
目的のペプチド/ポリペプチドは、培養物から単離されたら、ペプチドまたはポリペプチドを濃縮することが所望または必要でありうる。当技術分野では、限外濾過または凍結乾燥など、タンパク質を濃縮するための多数の方法が公知である。
ワクチン接種
本発明の方法において、突然変異体p53ポリペプチドに対する抗体を惹起するのに使用される免疫原はまた、ワクチンとしても有用である。免疫原は、p53の突然変異と関連するがんに対する免疫を発生させるのに使用されうる。
【0345】
したがって、本発明は、本明細書で記載される、任意の実施形態に従う免疫原を使用する、ワクチン接種のための方法と、そのワクチンとしての使用とを含むワクチンを提供する。
【0346】
ワクチンの免疫原/ワクチン接種において使用される免疫原は、同じ突然変異を含むがんに対する免疫を発生させる、p53の突然変異を含みうる。例えば、R175Hを含む抗原配列を含む免疫原は、R175H p53を発現する、1もしくは複数の細胞を含むか、またはR175H p53をコードする核酸を含むがんに対するワクチン接種のための方法において有用でありうる。
【0347】
一部の実施形態では、本発明に従うワクチンまたはワクチン接種において、複数の、異なる免疫原が使用されうる。一部の実施形態では、ワクチン/ワクチン接種は、異なるp53の突然変異を含む免疫原を使用することが可能であり、したがって、1つを超えるp53突然変異を含むがん、および/または異なるp53突然変異を含むがんに対するワクチン接種に、有用でありうる。
【0348】
当業者は、例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、Vaccines(第6版)Plotkinら、2012、Elsevier Saundersを参照することにより、本発明に従う、ワクチンに適する製剤、およびワクチン接種のためのスケジュールを、たやすく決定することが可能である。
【0349】
ワクチン接種の方法および関連する使用は、予防的処置および/または防止的処置を含む。例えば、がんを発症する危険性があるか、または処置後において再発(recurrenceまたはrelapse)の危険性があると考えられる対象には、本明細書で記載されるワクチンが投与されうる。このような投与は、対象が、がんを伴わないと考えられる場合にもなされうる。危険性状態およびがん状態についての評価は、相応の資格を有する医療従事者により、実施されうる。このような方法は、がんの発症、増殖、転移、または再発の可能性を低減しうる。
【0350】
本発明は、このような組合せが、明らかに許容されないか、または明示的に回避される場合を除き、記載される態様と好ましい特徴との組合せを含む。
本明細書で使用される節の小見出しは、構成上の目的だけのものであり、記載される対象物を限定するものと見なすべきではない。
【0351】
ここで、付属の図面を参照しながら、例を目的として、本発明の態様および実施形態を例示する。当業者には、さらなる態様および実施形態は、明らかであろう。本文で言及される全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0352】
本明細書および後続の特許請求の範囲を通して、文脈によりそうでないことが要求されない限りにおいて、「~を含む(comprise)」という語、ならびに「~を含む(comprises)」および「~を含むこと」などの変化形は、言明された整数またはステップまたは整数もしくはステップの群の包含を含意し、他の任意の整数またはステップまたは整数もしくはステップの群の除外は含意しないものと理解される。
【0353】
そうでないことが文脈により明確に指示されない限りにおいて、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用される単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は、複数の指示対象を含むことに注意されたい。本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値からの範囲、および/または「約」別の特定の値までの範囲として表される。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からの範囲、および/または他の特定の値までの範囲を含む。同様に、値が、先行詞である「約」の使用により、近似値として表される場合、特定の値が、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0354】
ここで、付属の図面を参照しながら、本発明の原理を例示する実施形態および実験について論じる。
【図面の簡単な説明】
【0355】
【
図1-1】p53突然変異体に特異的な抗体を惹起するのに使用される免疫原のアミノ酸配列を示す図である。(1A)R175H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号80)を示す図である。長さが可変的な、突然変異体p53の配列の、3つのコピーであって、各々が、突然変異のうちの1つを擁するコピーを、TrxAの活性部位へと挿入した。(1B)R248Q p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号84)を示す図である。(1C)R273H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号88)を示す図である。突然変異体p53のアミノ酸配列は、強調され(ライトグレー)、突然変異体の残基は、表示される(ダークグレー)。可撓性のGly/Serリンカー配列は、下線を付される。精製のために使用される、C末端の6-Hisタグは、イタリック体で示される。
【
図1-2】p53突然変異体に特異的な抗体を惹起するのに使用される免疫原のアミノ酸配列を示す図である。(1A)R175H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号80)を示す図である。長さが可変的な、突然変異体p53の配列の、3つのコピーであって、各々が、突然変異のうちの1つを擁するコピーを、TrxAの活性部位へと挿入した。(1B)R248Q p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号84)を示す図である。(1C)R273H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原の配列(配列番号88)を示す図である。突然変異体p53のアミノ酸配列は、強調され(ライトグレー)、突然変異体の残基は、表示される(ダークグレー)。可撓性のGly/Serリンカー配列は、下線を付される。精製のために使用される、C末端の6-Hisタグは、イタリック体で示される。
【
図2-1】
図2A p53突然変異体に特異的な抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される3D構造のSwiss Modelを示す図である。R175H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される構造を示す図である。チオレドキシン配列および抗原配列に対応する構造は、突然変異と同様に表示される。
【
図2-2】
図2B p53突然変異体に特異的な抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される3D構造のSwiss Modelを示す図である。R248Q p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される構造を示す図である。チオレドキシン配列および抗原配列に対応する構造は、突然変異と同様に表示される。
【
図2-3】
図2C p53突然変異体に特異的な抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される3D構造のSwiss Modelを示す図である。R273H p53に対する抗体を惹起するのに使用される免疫原について予測される構造を示す図である。チオレドキシン配列および抗原配列に対応する構造は、突然変異と同様に表示される。
【
図3-1】IPTGによる誘導の前(0時間後)および4時間後に、(3A)TrxR175H、(3B)TrxR248Q、(3C)TrxR273H、を発現するE.coli BL21(DE3)株から単離される、全タンパク質、可溶性タンパク質、および不溶性タンパク質についてのSDS-PAGE(16%)プロファイルの写真である。発現が予期されるタンパク質は、矢印で表示される。MW=タンパク質の分子量ラダー(Precision Plus Protein(商標) All Blue Standards、Bio-Rad)である。
【
図3-2】IPTGによる誘導の前(0時間後)および4時間後に、(3A)TrxR175H、(3B)TrxR248Q、(3C)TrxR273H、を発現するE.coli BL21(DE3)株から単離される、全タンパク質、可溶性タンパク質、および不溶性タンパク質についてのSDS-PAGE(16%)プロファイルの写真である。発現が予期されるタンパク質は、矢印で表示される。MW=タンパク質の分子量ラダー(Precision Plus Protein(商標) All Blue Standards、Bio-Rad)である。
【
図4-1】
図4A 表示の分子量の、主要なタンパク質実体を示す、精製TrxR175Hの質量スペクトルを示す図である。
【
図4-2】
図4B 表示の分子量の、主要なタンパク質実体を示す、精製TrxR248Qの質量スペクトルを示す図である。
【
図5-1】
図5A p53突然変異体に特異的な抗体についてのELISAスクリーニングの結果を示すグラフである。TrxR175Hで免疫化されたマウスの脾臓から作出された、個々のハイブリドーマクローンから得られる、細胞培養物上清を、表示の全タンパク質およびペプチド断片に対するELISAによりスクリーニングした。
【
図5-2】
図5B p53突然変異体に特異的な抗体についてのELISAスクリーニングの結果を示すグラフである。TrxR248Qで免疫化されたマウスの脾臓から作出された、個々のハイブリドーマクローンから得られる、細胞培養物上清を、表示の全タンパク質およびペプチド断片に対するELISAによりスクリーニングした。
【
図5-3】
図5C p53突然変異体に特異的な抗体についてのELISAスクリーニングの結果を示すグラフである。TrxR273Hで免疫化されたマウスの脾臓から作出された、個々のハイブリドーマクローンから得られる、細胞培養物上清を、表示の全タンパク質およびペプチド断片に対するELISAによりスクリーニングした。
【
図6-1】p53突然変異体に特異的な抗体についてのELISAスクリーニングの結果を示す棒グラフである。(6A)TrxR175H、(6B)TrxR248Q、(6C)TrxR273H、で免疫化されたマウスの脾臓から作出された、個々のハイブリドーマクローンから得られる、細胞培養物上清を、表示の全タンパク質およびペプチド断片に対するELISAによりスクリーニングした。
【
図6-2】p53突然変異体に特異的な抗体についてのELISAスクリーニングの結果を示す棒グラフである。(6A)TrxR175H、(6B)TrxR248Q、(6C)TrxR273H、で免疫化されたマウスの脾臓から作出された、個々のハイブリドーマクローンから得られる、細胞培養物上清を、表示の全タンパク質およびペプチド断片に対するELISAによりスクリーニングした。
【
図7-1】抗突然変異体p53抗体が結合するエピトープを決定するためのファージディスプレイ実験の結果を示す配列アライメントを示す図である。(7A)抗R175H抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号77、および93~101)、(7B)抗R248Q抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号102~110)、(7C)抗R273H抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号111~119)である。コンセンサス配列が示される。
【
図7-2】抗突然変異体p53抗体が結合するエピトープを決定するためのファージディスプレイ実験の結果を示す配列アライメントを示す図である。(7A)抗R175H抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号77、および93~101)、(7B)抗R248Q抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号102~110)、(7C)抗R273H抗体を産生するハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号111~119)である。コンセンサス配列が示される。
【
図8-1】
図8A 抗突然変異体p53抗体が結合するエピトープを決定するためのファージディスプレイ実験の結果を示す配列アライメントを示す図である。抗R175H抗体を産生する、表示のハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号77、93、および120~135)である。コンセンサス配列が示される。
【
図8-2】
図8B 抗突然変異体p53抗体が結合するエピトープを決定するためのファージディスプレイ実験の結果を示す配列アライメントを示す図である。抗R248Q抗体を産生する、表示のハイブリドーマ細胞培養物上清により捕捉されるペプチドの配列(配列番号102、103、および136~144)である。コンセンサス配列が示される。
【
図9-1】
図9A 抗R175H抗体クローンである、4H5が結合するエピトープ(配列番号145~159)を決定するためのアラニン走査ELISAの結果を示す、表および棒グラフである。突然変異したホットスポット(His 175)を取り囲む、個別にアラニン置換された13マーのペプチドを使用して、突然変異体p53に結合する突然変異体抗体に必要とされる最重要のアミノ酸残基を決定した。吸光度は、TMB基質を伴う、5分間にわたるインキュベーションの後において、650nmで測定した。個々の、アラニン置換されたペプチドについての、光学密度の読取りを示す。抗体の結合に最重要の残基は、示したモチーフである。
【
図9-2】
図9B 抗R175H抗体クローンである、7B9が結合するエピトープ(配列番号79、および145~159)を決定するためのアラニン走査ELISAの結果を示す、表および棒グラフである。突然変異したホットスポット(His 175)を取り囲む、個別にアラニン置換された13マーのペプチドを使用して、突然変異体p53に結合する突然変異体抗体に必要とされる最重要のアミノ酸残基を決定した。吸光度は、TMB基質を伴う、5分間にわたるインキュベーションの後において、650nmで測定した。個々の、アラニン置換されたペプチドについての、光学密度の読取りを示す。抗体の結合に最重要の残基は、示したモチーフである。
【
図9-3】
図9C 抗R175H抗体クローンである、10C8が結合するエピトープ(配列番号145~159)を決定するためのアラニン走査ELISAの結果を示す、表および棒グラフである。突然変異したホットスポット(His 175)を取り囲む、個別にアラニン置換された13マーのペプチドを使用して、突然変異体p53に結合する突然変異体抗体に必要とされる最重要のアミノ酸残基を決定した。吸光度は、TMB基質を伴う、5分間にわたるインキュベーションの後において、650nmで測定した。個々の、アラニン置換されたペプチドについての、光学密度の読取りを示す。抗体の結合に最重要の残基は、示したモチーフである。
【
図9-4】
図9D 抗R273H抗体クローンである、13E4が結合するエピトープ(配列番号160~173)を決定するためのアラニン走査ELISAの結果を示す、表および棒グラフである。突然変異したホットスポット(His 273)を取り囲む、個別にアラニン置換された13マーのペプチドを使用して、突然変異体p53に結合する突然変異体抗体に必要とされる最重要のアミノ酸残基を決定した。吸光度は、TMB基質を伴う、5分間にわたるインキュベーションの後において、650nmで測定した。個々の、アラニン置換されたペプチドについての、光学密度の読取りを示す。抗体の結合に最重要の残基は、示したモチーフである。
【
図10】抗体により認識される最重要の残基についてのアラニン走査解析により同定される、抗体のエピトープを示す配列(配列番号174)を示す図である。
【
図11】突然変異体p53特異的抗体を使用する免疫ブロットの結果を示す写真である。p53ヌルH1299細胞に、表示のp53突然変異体または野生型p53ポリペプチドをコードするプラスミドを、一過性にトランスフェクトし、タンパク質溶解物を、表示の抗体による直接的免疫ブロット法のために使用した。DO1とは、ヒトp53の全ての形態を検出するマウスmAbであり、CM1とは、ヒトp53に対するウサギポリクローナル抗体である。
【
図12】突然変異体p53特異的抗体を使用する免疫沈降アッセイの結果を示す写真である。p53ヌルH1299細胞に、表示のp53突然変異体または野生型p53ポリペプチドをコードするプラスミドを、一過性にトランスフェクトし、タンパク質溶解物を、免疫沈降アッセイのために使用した。DO1とは、ヒトp53の全ての形態を検出するマウスmAbであり、CM1とは、ヒトp53に対するウサギポリクローナル抗体である。両方のp53突然変異体特異的mAbにより、プルダウンを実施するのに続き、CM1抗体による免疫ブロット、逆の順序で、CM1によるプルダウン、突然変異体特異的mAbによる免疫ブロット法を行った。
【
図13】
図14および15における、p53特異的抗体についての解析のために使用される細胞系の、p53突然変異状態を示す表である。
【
図14】突然変異体p53特異的抗体を使用する免疫ブロットの結果を示す写真である。表示の細胞系のタンパク質溶解物を、表示の抗体による直接的免疫ブロット法のために使用した。A549およびMCF-7は、内因性のp53発現を誘導するのに、UV照射を伴わずに、またはこれを伴って使用される、野生型p53保有細胞系である。
【
図15】突然変異体p53特異的抗体を使用する免疫沈降アッセイの結果を示す写真である。表示の細胞系のタンパク質溶解物を、表示の抗体を使用する免疫沈降アッセイのために使用した。A549およびMCF-7は、内因性のp53発現を誘導するのに、UV照射を伴わずに、またはこれを伴って使用される、野生型p53保有細胞系である。両方のp53突然変異体特異的mAbにより、プルダウンを実施するのに続き、CM1抗体による免疫ブロット、逆の順序で、CM1によるプルダウン、突然変異体特異的mAbによる免疫ブロット法を行った。
【
図16-1】免疫蛍光解析の結果を示す写真である。p53ヌルH1299細胞に、表示のp53突然変異体または野生型p53ポリペプチドをコードするプラスミドを、一過性にトランスフェクトし、免疫蛍光解析にかけた。
【
図16-2】免疫蛍光解析の結果を示す写真である。p53ヌルH1299細胞に、表示のp53突然変異体または野生型p53ポリペプチドをコードするプラスミドを、一過性にトランスフェクトし、免疫蛍光解析にかけた。
【
図17-1】
図17A及びB 免疫蛍光解析の結果を示す写真である。表示の抗体を使用する、免疫蛍光解析のために、表示の細胞系を使用したことを示す写真である。Dapi染色は、核を強調する。
【
図17-2】
図17A及びB 免疫蛍光解析の結果を示す写真である。R248QまたはR248Wの突然変異体p53ポリペプチドを発現する、p53ヌルH1299細胞内の、R248Q mAbを示す写真である。Dapi染色は、核を強調する。
【
図18-1】
図18A 突然変異体特異的抗p53抗体を使用する、免疫組織化学解析に関する写真である。p53について、突然変異状態を決定するための、ヒト結腸腫瘍試料についての配列解析(配列番号175~186)を示す写真である。
【
図18-2】
図18B 突然変異体特異的抗p53抗体を使用する、免疫組織化学解析に関する写真である。表示の抗p53抗体を使用する、パラフィン包埋腫瘍試料の染色を示す写真である。
【
図19】R175H突然変異体特異的抗p53抗体を使用するヒト腫瘍マイクロアレイの結果を示す写真である。トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、腎臓がん、および肺がんに由来するヒト腫瘍マイクロアレイを、R175H突然変異体p53特異的mAb、および汎p53 mAbであるDO7で染色した。二重陽性は、DO7および突然変異特異的mAbの両方で染色した試料を指し、単一陽性は、DO7だけで染色した。DO7染色を伴わずに、突然変異特異的mAb染色だけを伴う試料は存在しなかった。
【
図20-1】
図20A 腫瘍試料中のp53配列、ならびに免疫組織化学による、抗p53抗体および抗R175H抗体についての染色を示すクロマトグラムである。ヒトトリプルネガティブ乳がん試料を、抗p53(DO7および11D1)抗体および抗R175H p53抗体で染色した。R175H抗体の他、抗p53抗体である、DO7および11D1の両方による陽性染色を示す、試料B41、B89、およびB98を示す図である。配列は、試料が、R175H突然変異を含む(CAG:下線が付される)こと(配列番号187~189)を示す。
【
図20-2】
図20B 腫瘍試料中のp53配列、ならびに免疫組織化学による、抗p53抗体および抗R175H抗体についての染色を示すクロマトグラムである。ヒトトリプルネガティブ乳がん試料を、抗p53(DO7および11D1)抗体および抗R175H p53抗体で染色した。抗p53抗体である、DO7および11D1だけによる陽性染色を示す(抗R175H抗体による陽性染色は示さない)試料B27、ならびに抗p53抗体のうちのいずれによっても染色されない、試料B52を示す図である。配列は、B27およびB57が、175位において突然変異を含まない(CGC:下線が付される)こと(配列番号190および191)を示す。
【
図21】免疫組織化学による、ヒト腫瘍マイクロアレイ解析の結果をまとめる表である。
【
図22-1】多様な種に由来するp53の、アミノ酸配列のアライメントを、R175残基(配列番号192~214)、R248残基、またはR273残基(配列番号215~235)(矢印で表示する)を含有する領域と、下線を付された、これらを取り囲む残基と共に示す図であり、種間の強力な保存を示すことから、突然変異体特異的mAbが、全ての種にわたり働きうることが指し示される。
【
図22-2】多様な種に由来するp53の、アミノ酸配列のアライメントを、R175残基(配列番号192~214)、R248残基、またはR273残基(配列番号215~235)(矢印で表示する)を含有する領域と、下線を付された、これらを取り囲む残基と共に示す図であり、種間の強力な保存を示すことから、突然変異体特異的mAbが、全ての種にわたり働きうることが指し示される。
【
図22-3】多様な種に由来するp53の、アミノ酸配列のアライメントを、R175残基(配列番号192~214)、R248残基、またはR273残基(配列番号215~235)(矢印で表示する)を含有する領域と、下線を付された、これらを取り囲む残基と共に示す図であり、種間の強力な保存を示すことから、突然変異体特異的mAbが、全ての種にわたり働きうることが指し示される。
【
図23-1】
図23A-23D R175H突然変異のマウス同等物(すなわち、R172H)についての解析の結果を示す写真である。表示の遺伝子型による、マウス胎仔線維芽細胞を、(23A)直接的免疫ブロット法(I.B.)(23B)免疫沈降(I.P.)、(23C)免疫蛍光、または、(23D)抗R175H特異的mAbによる免疫組織化学解析のために使用した。マウスp53に対するポリクローナル抗体である、CM5は、免疫沈降研究内のI.B.のために使用した。R246S突然変異体によるMEFは、異なるホットスポット突然変異体によるノックインマウス株に由来する。
【
図23-2】
図23A-23D R175H突然変異のマウス同等物(すなわち、R172H)についての解析の結果を示す写真である。表示の遺伝子型による、マウス胎仔線維芽細胞を、(23A)直接的免疫ブロット法(I.B.)(23B)免疫沈降(I.P.)、(23C)免疫蛍光、または、(23D)抗R175H特異的mAbによる免疫組織化学解析のために使用した。マウスp53に対するポリクローナル抗体である、CM5は、免疫沈降研究内のI.B.のために使用した。R246S突然変異体によるMEFは、異なるホットスポット突然変異体によるノックインマウス株に由来する。
【
図24】抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図25】抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図26】抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の、軽鎖および重鎖のCDRをまとめ、コンセンサス配列は、表示される表である。
【
図27-1】抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図27-2】抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図28】抗R248Q p53抗体クローンである、3G11、および4H2の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図29】抗R248Q p53抗体クローンである、3G11、および4H2の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図30】抗R248Q p53抗体クローンである、3G11、および4H2の、軽鎖および重鎖のCDRをまとめ、コンセンサス配列は、表示される表である。
【
図31-1】抗R248Q p53抗体クローンである、3G11、および4H2の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図31-2】抗R248Q p53抗体クローンである、3G11、および4H2の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図32】抗R273H p53抗体クローンである13E4の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図33】抗R273H p53抗体クローンである13E4の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図34】抗R273H p53抗体クローンである13E4の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図35】4H5、7B9、および10C8による、ハイブリドーマ細胞培養物上清を使用する、R172Hのマウス胸腺リンパ腫初代細胞系である、T47D細胞、WiDr細胞、およびDKO細胞からの抽出物についての免疫ブロットの結果を示す写真である。
【
図36-1】R175H突然変異体p53のタンパク質を発現する細胞、およびこれを発現しない細胞についての、クローンである(36A)4H5、(36B)7B9及び(36C)10C8に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清による免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図36-2】R175H突然変異体p53のタンパク質を発現する細胞、およびこれを発現しない細胞についての、クローンである(36A)4H5、(36B)7B9及び(36C)10C8に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清による免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図37】クローンである4H5、7B9、および10C8に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清を使用する、マウス腸組織切片(p53ノックアウトマウス、または照射された、p53 R172H陽性マウス)についての解析の結果を示す写真である。
【
図38】XenoLight CF750コンジュゲート4H5 mAbによる腫瘍ターゲティングを示す写真である。マウスを、100ugのXenoLight CF750標識化4H5 mAbによるi.v.注射の、6、24、48、72時間後、および7日間後にイメージングし、イメージングは、IVISにより行った。P53R
172H/R172Hマウスに由来するマウス腫瘍細胞に、ルシフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトし、腫瘍モデルを確立するのに使用した。
【
図39】3G11および4H2によるハイブリドーマ細胞培養物上清を使用する、TKO細胞およびHCC70細胞からの抽出物についての免疫ブロットの結果を示す写真である。
【
図40-1】
図40A R248Q p53を発現する細胞、およびR248Q p53を発現しない細胞についての、クローンである3G11に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清による免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図40-2】
図40B R248Q p53を発現する細胞、およびR248Q p53を発現しない細胞についての、クローンである4H2に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清による免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図41】13E4によるハイブリドーマ細胞培養物上清を使用する、T47D細胞およびMB468細胞からの抽出物についての免疫ブロットの結果を示す写真である。
【
図42】R273H p53を発現する細胞(WiDr)、およびR273H p53を発現しない細胞(T47D)についての、クローンである13E4に由来する、ハイブリドーマ細胞培養物上清による免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図43】XenoLight CF750コンジュゲート13E4 mAbによる腫瘍ターゲティングを示す写真である。マウスを、100ugのXenoLight CF750標識化13E4 mAbによるi.v.注射の、72時間後にイメージングし、イメージングは、IVISにより行った。ルシフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトした、p53-R273H突然変異体のHT29腫瘍細胞系を使用して、腫瘍モデルを確立した。
【
図44】精製された、マウスFV-ヒトIgG1キメラの、4H5抗体、7B9抗体、および10C8抗体を使用する、マウス腸組織切片(p53ノックアウトマウス、または照射された、p53 R172H陽性マウス)についての解析の結果を示す写真である。
【
図45】in vivoにおいて、R175H陽性がんの増殖を制御する、抗R175H抗体についての解析の結果を示すグラフである。ルシフェラーゼを保有するSKBR-3細胞を使用して、ヒト異種移植がんモデルを確立し、抗R175H抗体(a175;点線)による処置の、腫瘍の増殖に対する影響を、IgG対照(IgG、実線)と比較した。
【
図46-1】
図46A p53のR175H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R175Hに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46B p53のR175H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46C p53のR273H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R273Hに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46D p53のR273H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46E p53のR248Q突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R248Qに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46E p53のR248Q突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
【
図46-2】
図46A p53のR175H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R175Hに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46B p53のR175H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46C p53のR273H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R273Hに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46D p53のR273H突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46E p53のR248Q突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、p53突然変異体である、R248Qに対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
図46E p53のR248Q突然変異体に対応する免疫原を注射されたマウスにおける、p53突然変異体または野生型ヒトp53に対応するペプチドに対する抗体応答についてのELISA解析の結果を示すグラフである。免疫化されたマウスに由来する血清を、全長の野生型ヒトp53(WT HP53)に対応するペプチドに結合することが可能な抗体について解析した。
【
図47-1】p53の(47A)R175H突然変異体、(47B)R248Q突然変異体、または、(47C)R273H突然変異体に対応する免疫原による免疫化に応答して産生された抗体が、対応する、突然変異体p53ポリペプチドを発現する細胞を認識する能力についての免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図47-2】p53の(47A)R175H突然変異体、(47B)R248Q突然変異体、または、(47C)R273H突然変異体に対応する免疫原による免疫化に応答して産生された抗体が、対応する、突然変異体p53ポリペプチドを発現する細胞を認識する能力についての免疫蛍光解析の結果を示す写真である。
【
図48】抗R175H抗体の、SKBR細胞の増殖に対する効果を示すグラフである。マウスに、SKBRルシフェラーゼレポーター細胞5×10
6個を注射し、規則的な間隔(注射を、矢印で表示する)で、100μlの、R175H突然変異体p53に特異的なモノクローナル抗体(a175)、またはアイソタイプ対照抗体(IgG)を注射した。SKBR細胞の増殖は、ルシフェラーゼ活性の解析により測定した。
【
図49】マウスヒトキメラ抗R175H p53抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図50】マウスヒトキメラ抗R175H p53抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図51】マウスヒトキメラ抗R175H p53抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8の、軽鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図52】マウスヒトキメラ抗R175H p53抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8の、重鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図53】マウスヒトキメラ抗R273H p53抗体クローンである、MH 13E4の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図54】マウスヒトキメラ抗R273H p53抗体クローンである、MH 13E4の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図55】マウスヒトキメラ抗R273H p53抗体クローンである、MH 13E4の、軽鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図56】マウスヒトキメラ抗R273H p53抗体クローンである、MH 13E4の、重鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図57】マウスヒトキメラ抗R248Q p53抗体クローンである、MH 3G11およびMH 4H2の軽鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図58】マウスヒトキメラ抗R248Q p53抗体クローンである、MH 3G11およびMH 4H2の重鎖可変ドメイン配列を示す図である。CDRは、下線を付され、別個に示される。
【
図59】マウスヒトキメラ抗R248Q p53抗体クローンである、MH 3G11およびMH 4H2の、軽鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図60】マウスヒトキメラ抗R248Q p53抗体クローンである、MH 3G11およびMH 4H2の、重鎖可変ドメイン配列の、ヌクレオチド配列と、コードされるアミノ酸配列とを示す図である。
【
図61】キメラマウスヒト抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8による、R175H p53への特異的結合を確認するELISA解析の結果を示す棒グラフである。平均OD450の読取りをプロットした。キメラ抗p53 R175H抗体(MH 4H5、MH 7B9、MH 10C8)抗体は、0.1~1ng/μlの間の濃度で、陽性シグナルをもたらした。この図で示されるデータは、1ng/μlの抗体濃度についてのものであった。全てのキメラ抗p53 R175H抗体は、ヒトp53 R175H全長タンパク質だけを特異的に認識および検出し、ヒトp53 R273H全長タンパク質、ヒトp53野生型全長タンパク質、またはマウスp53野生型全長タンパク質(単一のアステリスク)は、認識および検出しなかった。市販の抗p53抗体(1c12)を、陽性対照抗体として含めた(n=3)。
【
図62】キメラマウスヒト抗体クローンである、MH 4H5、MH 7B9、およびMH 10C8による、R175H p53への特異的結合を示すウェスタンブロットである。この実験では、ヒト細胞系:H1299(p53ヌル)、MCF7、A549(いずれも、野生型p53)、SKBR3(p53 R175H)、A431、およびSW480(いずれも、p53 R273H)について調べた。全てのキメラ抗p53 R175H抗体は、内因性ヒトp53 R175Hタンパク質(SKBR3)だけを認識および検出し、ヒトp53 R273Hタンパク質、またはヒトp53野生型タンパク質(黒矢印)は、認識および検出しなかった。全ての抗体を、1ng/μlの濃度で調べた。
【
図63】MH 7B9による、ヒト細胞系内の、内因性p53タンパク質の検出を示す代表的画像である。細胞は、4%のパラホルムアルデヒド中で固定し、次いで、パラフィン中に包埋した。以下のヒト細胞系:H1299(p53ヌル)、MCF7(野生型p53)、SKBR3(p53 R175H)、およびA431(p53 R273H)を使用して、免疫組織化学アッセイを実施した。写真は、1.67ng/μlのMH 7B9抗体による、全ての細胞系の染色を示す。全てのキメラ抗p53 R175H抗体は、内因性ヒトp53 R175Hタンパク質(SKBR3)だけを特異的に認識および検出した(左上パネル)。
【
図64】キメラマウスヒト抗体クローンであるMH 13E4による、R273H p53への特異的結合を確認するELISA解析の結果を示す棒グラフである。平均OD450の読取りをプロットした。この図で示されるデータは、1ng/μlの抗体濃度についてのものであった。MH 13E4は、ヒトp53 R273H全長タンパク質だけを、特異的に認識および検出し、ヒトp53 R175H全長タンパク質、またはヒトp53野生型全長タンパク質は、認識および検出しなかった(単一のアステリスク)。
【
図65】キメラマウスヒト抗体クローンである、MH 13E4による、R273H p53への特異的結合を示すウェスタンブロットである。この実験では、ヒト細胞系:H1299(p53ヌル)、MCF7、A549(いずれも、野生型p53)、SKBR3(p53 R175H)、A431、およびSW480(いずれも、p53 R273H)について調べた。MH 13E4は、内因性ヒトp53 R273Hタンパク質(A431およびSW480)だけを、特異的に認識および検出し、ヒトp53 R175Hタンパク質、またはヒトp53野生型タンパク質は、認識および検出しなかった(黒矢印)。MH 13E4を、1ng/μlの濃度で調べた。
【
図66】MH 13E4による、ヒト細胞系内の、内因性p53タンパク質の検出を示す代表的画像である。細胞は、4%のパラホルムアルデヒド中で固定し、次いで、パラフィン中に包埋した。以下のヒト細胞系:H1299(p53ヌル)、MCF7(野生型p53)、SKBR3(p53 R175H)、およびA431(p53 R273H)を使用して、免疫組織化学アッセイを実施した。写真は、5ng/μlのMH 13E4抗体による、全ての細胞系の染色を示す。MH 13E4抗体は、内因性ヒトp53 R273Hタンパク質(A431(右上パネル))を発現する細胞核だけを特異的に認識および検出した。
【
図67】キメラマウスヒト抗体クローンである、MH 3G11およびMH 4H2による、R248Q p53への特異的結合を確認するELISA解析の結果を示す棒グラフである。平均OD450の読取りをプロットした。キメラ抗p53 R248Q抗体は、1ng/μlの濃度で使用したが、3G11および4H2ハイブリドーマ上清は、正味濃度で調べた。MH 3G11およびMH 4H2のいずれも、ヒトp53 R175H全長タンパク質、ヒトp53 R273H全長タンパク質、ヒトp53野生型全長タンパク質、およびマウスp53野生型全長タンパク質に対して、ヒトp53 R248Q全長タンパク質だけを、特異的に認識および検出した(単一のアステリスク)。ハイブリドーマ上清および市販の抗p53抗体(1C12)を、陽性対照抗体として含めた(n=3)。
【
図68】in vivoにおける、MH 13E4による、R273H突然変異体p53の検出を示す画像である。100ugの蛍光標識R273H特異的mAbであるMH 13E4または IgG対照抗体を、p53
R273H突然変異体HT29腫瘍保有マウスに、i.v.注射した。マウスを、抗体注射後72時間において、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムにより、mAbのトラフィッキングについてイメージングした。
【
図69】in vivoにおける、MH 4H5およびMH 7B9による、R175H突然変異体p53の検出を示す画像である。100ugの蛍光標識R175H特異的mAbであるMH 4H5もしくはMH 7B9または IgG対照を、p53
R175Hクローン32腫瘍保有マウスに、i.v.注射した。マウスを、抗体注射後6時間、24時間、2日目、3日目、および7日目に、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムにより、mAbのトラフィッキングについてイメージングした。生物発光は、クローン32腫瘍の位置を指し示す。
【
図70】in vivoにおける、MH 4H5による、自然発生のマウスR172H突然変異体p53の検出を示す画像である。100ugの蛍光標識R175H特異的mAbであるMH 4H5を、腫瘍を保有する突然変異体p53
R172Hマウスへと、i.v.注射した。マウスを、抗体の注射後2および3日目において、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムによりイメージングした。
【
図71-1】
図71A mAb 13E4を伴う処置による、HT29異種移植腫瘍の増殖の阻害を示す、概略図および画像である。実験スケジュールについての概略表示である。
【
図71-2】
図71B mAb 13E4を伴う処置による、HT29異種移植腫瘍の増殖の阻害を示す、概略図および画像である。平均光子強度を測定することにより決定される腫瘍サイズを示す画像である。
【
図72-1】mAb 13E4を伴う処置による、HT29異種移植腫瘍の増殖の阻害を示す、概略図、棒グラフ、画像、およびグラフである。(72A)実験スケジュールについての概略表示である。(72B)実験の終了時における腫瘍量を示す棒グラフである。(72Cおよび72D)平均光子強度を測定することにより決定される腫瘍サイズを示す画像およびグラフである。
【
図72-2】mAb 13E4を伴う処置による、HT29異種移植腫瘍の増殖の阻害を示す、概略図、棒グラフ、画像、およびグラフである。(72A)実験スケジュールについての概略表示である。(72B)実験の終了時における腫瘍量を示す棒グラフである。(72Cおよび72D)平均光子強度を測定することにより決定される腫瘍サイズを示す画像およびグラフである。
【
図72-3】mAb 13E4を伴う処置による、HT29異種移植腫瘍の増殖の阻害を示す、概略図、棒グラフ、画像、およびグラフである。(72A)実験スケジュールについての概略表示である。(72B)実験の終了時における腫瘍量を示す棒グラフである。(72Cおよび72D)平均光子強度を測定することにより決定される腫瘍サイズを示す画像およびグラフである。
【
図73-1】
図73A マウスp53 R172H陽性がんに対する、抗p53 突然変異体R175抗体の治療効果を示す、概略図および棒グラフである。実験スケジュールについての概略表示である。
【
図73-2】
図73B マウスp53 R172H陽性がんに対する、抗p53 突然変異体R175抗体の治療効果を示す、概略図および棒グラフである。実験の終了時における腫瘍量を示す棒グラフである。
【
図74-1】
図74A 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。実験スケジュールについての概略表示である。
【
図74-2】
図74B 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。免疫化されたマウスに由来する血清が、表示の抗原に結合する能力であって、ELISAにより決定される能力を示すグラフである。
【
図74-3】
図74C 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。免疫化されたマウスに由来する血清が、p53突然変異体R175Hを発現する細胞に結合する能力を示す画像である。
【
図74-4】
図74D 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。免疫化されたマウスに由来する血清が、p53陰性TKO細胞に結合しない能力を示す画像である。
【
図74-5】
図74E 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。TrxR175Hで免疫化されたマウスから得られた血清の、p53突然変異体R175Hに対する反応性を示す画像である。
【
図74-6】
図74F 突然変異体p53 R175タンパク質に結合することが可能な抗体を惹起する、TrxR175Hによる免疫化の能力を示す、概略図、グラフ、画像、および棒グラフである。表示の抗原で免疫化されたマウスの脾臓細胞中の、異なる免疫細胞サブセットの百分率であって、フローサイトメトリーにより決定される百分率を示す棒グラフである。
【実施例】
【0356】
本発明者らは、以下の実施例において、p53の、DBD領域における点突然変異体に対するモノクローナル抗体の作出および特徴付けについて記載する。抗体は、個々のp53ホットスポット突然変異について、高度に特異的であることが示され、様々な生化学アッセイおよび組織学アッセイにおける抗体の有用性が裏付けられる。
【0357】
実施例1
免疫原のデザインおよび作製
一連のプロトコールを使用して、特異的p53突然変異体に対する抗体を作出しようとする試みは、おそらく、突然変異体エピトープの効率的な発現の欠如、この結果としてもたらされる突然変異体p53ポリペプチドに対する特異性の欠如のために、完全には成功していない。
【0358】
したがって、本発明者らは、突然変異を挟むアミノ酸配列の長さが可変的な、突然変異体p53突然変異(すなわち、R175H、R248QまたはR273H)の3つのコピーが配置された突出部を伴うTrxAタンパク質を用いた。突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列を、抗原配列を挟み抗原配列とTrxA配列とを隔てる可撓性のGly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号236)リンカーと共に、TrxAの活性部位へと挿入した。より短い、Gly-Ser-Glyリンカーもまた、各突然変異体p53の配列の間に挿入した。
【0359】
TrxAは、タンパク質の発現レベル、可溶性、および熱安定性を増強するために、Escherichia coli発現系内で広く使用され、活性部位(Cys33-Gly34-Pro35-Cys36)(配列番号91)がタンパク質本体から溶液へと突出する融合パートナーである(LaVallieら、2000、Methods Enzymol、326:322~340;Youngら、2012 Biotechnol.J.、7:620~634)。この活性部位をコードするDNA配列上の制限(RsrII)部位の存在は、TrxAの表面上に提示されうる内部ペプチド融合体のための挿入点をもたらし、これは、TrxA足場上の、溶媒に接触可能なループ内への抗原の挿入による抗体の産生のために利用され成功を収めている(Barrellら、2004、Protein Expr.Purif.、33:153~159)。
【0360】
pJexpress404ベクターへとクローニングされた、突然変異体p53(R175H、R273H、およびR248Q)のトリペプチド配列を擁するTrxA足場は、DNA2.0(Menlo Park、CA、USA)から得た。コード配列は、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によるタンパク質の精製を容易とするように、C末端His6タグを伴ってデザインし、E.coliに好ましいコドンへと、カスタムで最適化した。合成コード断片の真正性は、DNAシーケンシングにより検証した。
【0361】
抗体を惹起するのに使用された免疫原のアミノ酸配列は、
図1A~1Cに示される。
相同性のモデル化は、突然変異体p53抗原配列の、TrxA足場の活性部位への挿入が、TrxAタンパク質から突然変異体p53抗原配列が伸長し、溶媒に接触可能なループ内の突然変異残基が露出した形で、ペプチド配列の免疫原性を増大させる、実行可能な提示戦略をもたらすことを予測した。Swiss Modelにより予測される、TrxR175H免疫原、TrxR248Q免疫原、およびTrxR273H免疫原の3D構造を示す(
図2A~2C)が、これにより、露出した、溶媒接触可能な突然変異体p53の抗原性領域が明らかになる。
【0362】
E.coli宿主株であるBL21(DE3)trxB(Novagen、Merck Millipore、Darmstadt、Germany)を、組換えTrxp53突然変異体構築物の発現のために使用した。タンパク質の可溶性を決定するミニスケールの発現研究を、Liewら、2014、Biochimie、89、21~29において記載される通りに実施した。大スケールの精製には、Liewら、2014において記載されている通りに実施される可溶性ペプチドおよび不溶性ペプチドを、それぞれ、リン酸緩衝液中への統合型オンカラムリフォールディングを伴うネイティブIMACおよび変成IMACにより回収した。BCAアッセイ(Pierce、Rockford、IL、USA)を使用して、タンパク質の定量化を実施し、SDS-PAGE解析により純度を評価した。
【0363】
TrxR175H免疫原の発現を、E.coliにおいて誘導し、可溶性形態および不溶性形態のいずれにおいても発現する(
図3A)が、不溶性画分への分配率が大きいTrxR175Hについて、約18.8kDaであると予測した。精製TrxR175Hについての、質量分析による解析は、実際の分子量が、約18,700Daであり、第1のメチオニン残基の喪失と符合する(計算による質量:約18,707Da)ことを明らかにした(
図4A)。かつての報告は、そのアミノ酸配列の2位にSer残基を含有するTrxA融合体は、おそらく、E.coliにおける内因性のメチオニンアミノペプチダーゼにより、第1のメチオニン(131Da)の効率的な切断を可能とすることを示した(Liewら、2007)。同様に、TrxR273Hも、主に、不溶性画分として封入体内に、約18,200Daの予測サイズで発現した(
図3C)。TrxR248Qは、不溶性タンパク質画分へと分配されることが見出され、SDS-PAGE上では、予測外に、15kDaの低分子量位置に泳動し(
図3B)、質量分析による解析は、17,352Daの質量を明らかにした(
図4B)。構築物のコード配列は、DNAシーケンシングにより検証し、発現させるタンパク質は、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により、精製することができ、これは、TrxR248Wのカルボキシル末端に配置されたHis6タグが無傷であり、全長タンパク質が翻訳されることを指し示し、低分子量は、N末端のAla20の下流において、裏付けられた通り、E.coliプロテアーゼによる、予測外のタンパク質分解性切断の結果である可能性があり(Carrioら、1999、Biochim.Biophys.Acta、1434、170~176;Corcheroら、1997、Biochem.Biophys.Res.Commun.、237、325~330)、166残基のタンパク質部分、およびそのナトリウム形態(17,324/17,347Da)に対応することを示唆した。いずれにせよ、E.coliプロテアーゼによる、予測外のタンパク質分解は、抗原配列を、融合タンパク質の末端領域ではなく、TrxA内で入れ子にする、顕著な利点を強調する。
【0364】
実施例2
特異的p53突然変異体に対するp53モノクローナル抗体を同定する、初期スクリーニング
8週齢のBalb/c雌マウス(Biological Resource Center、Singapore)5匹ずつの3群に、Trxp53突然変異体ペプチドを接種した。初回の免疫化を、Sigma Adjuvant System(Sigma)により、腹腔内で実施するのに続き、5回にわたる腹腔内注射および皮下注射を、3週間隔で行った。4回目の免疫化の1週間後、ランセット(MEDIpoint International Inc.)を使用する、頬からの採血を介して、血液を、各マウスから採取した。血液試料を、1600rpmで、10分間にわたり遠心分離し、血清を吸引し、全長の、R175H、R273H、およびR248Qの突然変異体p53タンパク質に対する、後続の酵素免疫測定アッセイ(ELISA)解析のために、4℃で保管した。
【0365】
血清中の抗体力価が最高であるマウスを、融合のための脾臓ドナーとして選択した。選択されたマウス(各p53突然変異について、1匹ずつ)に、アジュバントを伴わない、Trxp53突然変異体ペプチドの静脈内注射により、最終回の追加投与を施した。マウス骨髄腫SP2/0細胞系を、融合パートナーとして使用した。融合の1週間前に、細胞を、それらが、対数期において、>70%のコンフルエンシーに達するまで、RPMI(Gibco)および10%のFBS中で培養した。免疫マウスの脾臓細胞は、滅菌条件下で採取した。ハイブリドーマ細胞の作出、選択、およびクローニングは、製造元のプロトコールに従い、ClonaCell-HY Hybrodoma Cloningキットを使用して実施した。
【0366】
抗突然変異体p53 mAbを分泌するハイブリドーマクローンを、それぞれ、R175H、R273H、およびR248Qの突然変異を擁する組換え全長p53タンパク質でコーティングされた、96ウェルプレートを伴うELISAにより選択した。チオレドキシンペプチドを、陰性対照として使用した。個々のハイブリドーマウェルから回収された上清を、ELISAプレート上で調べた。10%のウシ胎仔血清(FCS)を、ブロッキングおよび抗体の希釈のために使用した。0.05%のTween 20を伴うPBSを、洗浄のために使用した。洗浄の後、10%FCSを伴うPBST中に、1:5000の、HRP(Biorad)へとコンジュゲートさせたヤギ抗マウスIgGを使用して、IgGを検出した。プレートは、1倍濃度のTMB ELISA基質溶液(Sigma)で現像した。吸光度は、EnVision Plate Reader(Perkin Elmer)により、650nmで測定した。
【0367】
各突然変異について、少なくとも3匹ずつの、独立のマウスからのデータを提示する。突然変異体もしくは野生型のp53タンパク質、または突然変異体p53ペプチド断片を使用する初期ELISAスクリーニングは、突然変異体p53を認識する抗体を産生するハイブリドーマの各々について、抗体は、それぞれの突然変異について特異的であり、野生型p53タンパク質と交差反応しないことを明らかにした(
図5A~5C)。抗体は、突然変異体p53全タンパク質に対して、ペプチド断片と比較して、より感受性であった。
【0368】
特異性をさらに確認するのに、全てのペプチドおよび突然変異体タンパク質を使用する、さらなる解析はまた、R175H突然変異体p53に対するモノクローナル抗体を産生する3つのハイブリドーマクローンが、高度に特異的であり(クローン7B9、10C8、および4H5)、R248Q突然変異体またはR273H突然変異体のタンパク質およびペプチドと交差反応しないことも示した(
図6A)。同様の結果は、R248Qに対するクローン(クローン4H2および3G11)およびR273Hに対するクローン(クローン13E4)についても得られた(
図6Bおよび6C)。
【0369】
個々のハイブリドーマクローンによりターゲティングされるエピトープを決定するために、3つのp53突然変異体に対する抗体を使用して、ペプチドファージディスプレイ解析を実施した。
【0370】
pIIIコートタンパク質のNH2末端において、ランダムな12マーのペプチド(2.7×109の配列)をコードするM13ファージライブラリー(New England Biolabs)を使用した。96ウェルMaxiSorpプレート(Nunc)を、50nMの精製抗体でコーティングした。ウェルを、ブロッキング緩衝液(PBS、0.5%のTween 20、2%のBSA)と共に、室温で、1時間にわたりインキュベートし、洗浄緩衝液(PBS、1%のTween20、2%のBSA)で洗浄し、洗浄緩衝液中、室温で、4×1010のファージと共にインキュベートした。結合したファージを、0.2Mのグリシン(pH2.2)で溶出させ、1Mのトリス(pH9.1)で中和した。製造元の指示書に従い、溶出させたファージを増幅した。
【0371】
選択工程は、3つのサイクルにわたり繰り返した。最終ラウンドからのファージプラークを選択し、製造元により記載される通りに増幅し、シーケンシングした。選択されたファージ上に提示されたペプチドは、DNAシーケンシングからの結果についての解析から推定した。個々の抗体によりターゲティングされるエピトープは、Clustal Omega多重配列アライメントツールを使用する、ペプチド配列のアライメントからの、コンセンサス配列の決定により得た。
【0372】
R175H突然変異体p53に対するハイブリドーマでは、コンセンサス配列は、第1のヒスチジンが、野生型p53内のアルギニン残基を置きかえる突然変異である「HCPHH」(
図7A)であった。R175H突然変異体p53に対する全てのハイブリドーマに由来する、ほぼ全てのクローンは、この配列を捕捉した(
図8A)。R248Q抗体クローンのコンセンサス配列は、クローン3G11については、「SV・・・HY」(215~216および233~234位;
図8A)であり、クローン4H2については、「RP」(249~250位;
図7B)であった。抗R273Hクローン13E4のコンセンサス配列は、「VH」(272~273位;
図7C)であった。
【0373】
エピトープの最重要のアミノ酸を決定するために、R175H突然変異体p53タンパク質の、Met169~Arg181(MTEVVRHCPHHER)、およびR273H突然変異体p53タンパク質の、Arg267~Gly 279(RNSFEVHVCACP)に対応する、個々にアラニン置換された13アミノ酸のペプチドの2つのセットは、化学合成され、Bio Basic Inc.から得られた。ペプチドを、N末端のビオチンとコンジュゲートさせ、96ウェルの、ストレプトアビジンでコーティングされたELISAプレート(Pierce、Thermo Scientific)上、10ug/mlで、1時間にわたり、個々にインキュベートした。3ラウンドにわたる洗浄の後、プレートを、抗R175Hである、10C8、4H5、および7B9、ならびに抗R273Hである13E4と共に、それぞれ、1ug/ml、4℃で、一晩にわたりインキュベートした。洗浄の後、プレートを、二次抗マウスIgG-HRPと共に、37℃で、1時間にわたりインキュベートした。インキュベーションの後、プレートを、3回にわたり洗浄してから、可溶性HRP基質を、5分間にわたり適用し、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)により、650nmにおける吸光度を決定した。
【0374】
R175H抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8についてのアラニン走査の結果は、
図9A~9Cに示され、R273H抗体クローン13E4についての結果は、
図9Dに示される。p53ペプチド配列内の突然変異は、被験mAbの反応性を支援しなくとも、他の抗体の反応性を支援すれば、mAbエピトープにとって、極めて重要であると同定した。
【0375】
BALB/cマウスに、0.25mLの、フロイントの不完全アジュバント(Sigma Chemical Co.)の、単回腹腔内(IP)注射を施した。14日後、マウスに、0.5mLの容量中のハイブリドーマ細胞4×105個の、単回IP注射を行い、その後、マウスを、毎日、腹部の膨張により決定される、腹水の発症について検討した。ハイブリドーマ細胞注射の7~10日後、マウスに麻酔をかけ、麻酔をかけたマウスから、18~22ゲージの注射針を伴う、腹部穿刺により、重力流を介して、腹水を、滅菌遠心管へと、無菌的に回収した。腹部へと、静かに指圧を加え、腹水の採取を容易とする必要に応じて、マウスの体位を変更した。マウスの各個別のケージについて、腹水をプールした。製造元の指示書に従い、マウスmAbアイソタイピングキット(Roche)を使用して、ハイブリドーマ上清から、抗体クローンのアイソタイプを決定した。腹水を、PBSにより、1:10の比で希釈し、IgGを、プロテインGカラムクロマトグラフィー(GE Healthcare)により精製した。抗体は、0.2Mのトリス-グリシン、pH2.7を含有する、5mlの溶出緩衝液により、カラムから溶出させた。溶出させた画分は、0.05mMのPBS、pH7.4に対して透析した。精製された抗体の確認は、還元条件下の、SDS-PAGEにより実施した。
【0376】
実施例3
生化学法による、特異的p53ホットスポット突然変異体に対するmAbの特異性についての評価
p53ホットスポット突然変異体特異的抗体の特異性を決定する、第1の試みは、免疫ブロットアッセイにおいて、それらの有効性を評価することにより行った。6つの一般的なホットスポットp53突然変異(R175H、R245S、R248QおよびR248W、R249S、R273H、ならびにR282W)を安定的に発現するか、またはこれらを一過性にトランスフェクトされたp53ヌルH1299細胞を、初期解析のために使用した。
【0377】
50μgの細胞溶解物を、各ウェルの、4~12%のビス-トリスSDSポリアクリルアミドプレキャストゲル(Invitrogen)へとロードした。使用したタンパク質マーカーは、Precision Plus Protein(商標)Standards Dual Colour(Bio-Rad、Hercules、CA)であった。SDS-PAGEゲルは、タンパク質バンドが、スタッキングゲルを越えるまで、60ボルト(V)の定電圧で泳動させ、その後、色素の前線が、底部に達するまで、ゲルは、100Vで、持続的に泳動させた。免疫ブロット法のために、iBlot(商標)Drying Blottingシステム(Invitrogen)上、20~25Vで、10分間にわたり、ニトロセルロース膜へのタンパク質の転写を実行した。膜を、各回、PBST(0.05%のTween20(Bio-Rad、Hercules、CA)を含有するリン酸緩衝生理食塩液(PBS))で、10分間ずつ、3回にわたり洗浄し、非特異的結合は、PBST緩衝液中に4%の脱脂粉乳を使用して、静かに攪拌しながら、1時間にわたりブロッキングした。その後、膜を、各回、PBSTで、10分間ずつ、3回にわたり洗浄した。洗浄ステップの後、過剰量のPBSTを除去してから、ハイブリドーマ上清を添加した。一次抗体を、静かな攪拌下、4℃で、一晩にわたりインキュベートした。膜を、各回、PBSTで、10分間ずつ、3回にわたり洗浄して、結合しなかった一次抗体を除去した。10%FCSを伴うPBST中に、1:5000の、HRP(Biorad)へとコンジュゲートさせたヤギ抗マウスIgGを、検出のために使用した。二次抗体を、静かな攪拌下、室温で、1時間にわたりインキュベートした。結合しなかった二次抗体は、上記で言及した方法で洗い落としてから、ClarityウェスタンブロットECL基質(Biorad)を使用して視覚化した。Odessey Fc(Licor)を使用して、密度解析を実施した。
【0378】
3つの突然変異体特異的抗体の全ては、汎p53抗体であるDO1を使用して決定される通り、夥多に発現する、他の突然変異体p53または野生型p53を検出せずに、H1299細胞内で発現する、それらの対応する突然変異体p53タンパク質を検出することが可能であった(
図11)。
【0379】
抗R248Q抗体は、同じ残基において異なる突然変異を含む近縁のR248W突然変異体を検出することが不可能であったことから、抗体の極めて高度な特異性が強調された知見は、特に、重要であった。
【0380】
p53突然変異体特異的抗体を使用して、免疫沈降解析もまた実施するのに続き、抗p53ウサギ抗体であるCM1による検出を行ったところ、ここでもまた、抗体は、それぞれの突然変異体タンパク質だけを沈降させることにおいて、特異的であることが明らかにされた(
図12)。CM1抗体による逆免疫沈降に続き、突然変異体特異的抗体による免疫ブロット法もまた、極めて大きな特異性を伴う、同様の結果をもたらした(
図12)。
【0381】
次に、本発明者らは、野生型タンパク質または多様なホットスポット突然変異体を発現する、多数のヒト腫瘍細胞系内で、内因性p53を認識する、これらのmAbの能力を決定した(
図13)。全ての細胞系は、UV照射により誘導され、DO1抗体により検出される、多様な突然変異体p53、または野生型p53を、大量に発現したが、突然変異体特異的mAbによる直接的免疫ブロット法は、腫瘍細胞系内で、それぞれの突然変異体p53タンパク質だけを検出することが可能であった(
図14)ことから、抗体の特異性が確認された。
【0382】
内因性タンパク質の免疫沈降は、R175H特異的抗体についても、同じ傾向を指し示した(
図15、左パネル)。R248Q抗体およびR273H抗体のいずれもまた、汎p53CM1抗体による一次免疫沈降の後に、免疫ブロットの検出に使用したところ、それらのそれぞれの突然変異体タンパク質だけを、特異的に検出することが可能であった(
図15、中パネルおよび右パネル)。しかし、免疫沈降に直接使用するのに続き、CM1による免疫検出にかけたところ、これらの2つ抗体は、おそらく、被験条件下におけ、非特異的結合のために、他の一部のp53突然変異体も検出した。それにもかかわらず、直接的免疫ブロット法および汎p53抗体による免疫沈降における高レベルの特異性は、これらの抗体の、それらのそれぞれの突然変異体p53抗原に対する特異性を強調する。
【0383】
実施例4
免疫蛍光解析における、特異的p53ホットスポット突然変異体に対するmAbの特異性
免疫蛍光染色により、突然変異体特異的抗体の特異性について調べるために、本発明者らは、再度、野生型p53もしくは多様なp53突然変異体を過剰発現するH1299細胞、または内因性の突然変異体p53タンパク質を発現する腫瘍細胞系を用いた。
【0384】
96ウェルプレート上に固定されたトランスフェクト細胞を、20分間にわたり、0.4%のTriton X-100による透過処理にかけた。PBSですすいだ後、細胞を、PBSTritonX(PBSTX)中に5%のBSAで、20分間にわたりブロッキングするのに続き、ハイブリドーマ上清中、4℃で、一晩にわたるインキュベーションを行った。1%のBSAを伴うPBSTX中に1:1000のgoat Alexaflor 488 Donkey anti-mouse IgG conjugated(Life technologies)を使用して、IgGを検出した。次いで、細胞を、DAPIで対比染色し、Incell Analyzer(GE Healthcare)で精査した。
【0385】
全ての細胞は、DO1抗体またはCM1抗体を伴う染色により決定される存在度で、多様なp53形態を発現したが、過剰発現させた場合(
図16)、または腫瘍細胞系内の内因性状態(
図17Aおよび17B)において、それらのそれぞれの突然変異体タンパク質だけを検出する突然変異特異的抗体を用いると、顕著に異なる核染色パターンが観察された。
【0386】
免疫ブロットおよび免疫沈降を介する解析により観察される通り、R248Q突然変異体に対する抗体は、特異性が極めて大きく、近縁のR248W突然変異体タンパク質を検出することが可能ではなかった(
図17B)。
【0387】
実施例5
免疫組織化学による、特異的p53ホットスポット突然変異体に対するmAbを使用する、ヒト腫瘍試料についての解析
パラフィン包埋組織内の、p53突然変異体特異的抗体の有効性を決定するために、本発明者らは、免疫組織化学(IHC)解析により、多数のヒト腫瘍試料について解析した。まず、突然変異体特異的抗体を使用して、DNAシーケンシングにより、公知のp53突然変異を伴うことが確認された、一連の腫瘍試料(
図18A)について検討した。
【0388】
p53 R273Hの遺伝子型を伴うHT29異種移植マウスモデルからのマウス腫瘍切片と、p53 R172H突然変異体細胞系から発生させた腫瘍切片は、Advanced Molecular Pathology Laboratory(AMPL)、Institute of Molecular and Cell Biologyにより、パラフィンブロックへと加工された。次いで、5μmの蝋切片を、ガラススライド(Leica Biosystems)へと包埋し、50℃のホットプレート上で、1時間にわたり乾燥させた。切片を、キシレン(ChemTech Trading)中で、脱パラフィン化し、百分率を低下させるエタノール(ChemTech Trading)を介して、水へと戻した。組織切片を、抗原露出のための標的賦活化溶液、pH9(Dako)と共に加熱し、次いで、PBS中ですすいだ。内因性ペルオキシダーゼを、PBS中に2%(v/v)の過酸化水素(Merck)で、30分間にわたりブロッキングし、PBSですすいだ。切片を、PBS中に10%(v/v)のヤギ血清(Dako)で、1時間にわたりブロッキングし、次いで、ビオチニル化一次抗体クローンと共に、4℃で、一晩にわたりインキュベートした。切片を、水で洗浄し、次いで、PBS中ですすいでから、ストレプトアビジン-HRP抗体(BioLegend)による検出を行った。次いで、3,3-ジアミノベンジジンを、基質として使用して、抗原-抗体間相互作用を可視化させ、切片を、ヘマトキシリンにより、薄色で対比染色してから、脱水し、Cytoseal 60合成樹脂(Richard-Allan Scientific(商標)、Fisher Scientific)にマウントした。AxioImager(Zeiss)光学顕微鏡を使用して、スライドを、明視野下でイメージングし、AxioVision Rel 4.8ソフトウェア(Carl Zeiss AG)により解析した。
【0389】
免疫蛍光解析の場合と同様に、3つの突然変異体特異的抗体は、p53内にそれぞれの突然変異を伴う試料を染色したが、野生型p53または他の突然変異を伴う試料は染色しなかった(
図18B)ことから、IHC状況下における特異性が裏付けられた。
【0390】
本発明者らは、結腸、乳腺(トリプルネガティブ)、肺、前立腺、および腎臓の腫瘍に由来する、いくつかの腫瘍マイクロアレイについて、これらの抗体を伴う染色により、さらに評価した。IHC染色に適する汎p53抗体(DO7)およびR175H特異的抗体による染色からの代表的結果が示される(
図19)。3群:DO7およびR175H mAbの両方により染色された群;DO7だけについて陽性の群;ならびに両方の抗体について陰性である最後の群の試料が現出した(
図21)。DO7染色のレベルは、トリプルネガティブ乳がん群、肺がん群、および結腸がん群について、最高であったことから、これらのがんは、p53について、突然変異率が高く(Olivierら、2004、IARC Sci Publ、157:247~270)、したがって、抗p53抗体による染色について陽性であるというかつてのデータが確認される。R175H-mAbによる染色は、第1の群における、DO7による染色を反映したことから、いずれの抗体も、この群内の同じ細胞を認識していたことが示唆された。数例の試料をシーケンシングして、p53突然変異の状態を決定し、いずれの抗体によっても染色される全ての試料が、R175H突然変異を保有することを見出した。対照的に、DO7だけにより染色される試料は、p53の他の残基における突然変異を有するが、R175における突然変異は有さず、いずれの抗体についても陰性である試料は、p53内の突然変異を有さなかった。
【0391】
ヒトトリプルネガティブ乳がん試料である、B41、B89、B98、B27、およびB52を、免疫組織化学による解析のために、抗p53抗体である、D07、11D1、または抗R175H抗体で染色した。R175H突然変異を含む腫瘍試料である、B41、B89、およびB98(CAG:下線が付される)は、3つの抗体全てによる染色について、陽性であった(
図20A)。R175H突然変異を含まない腫瘍試料であるB27(CGC:下線が付される)は、抗p53抗体である、DO7および11D1だけにより染色され(かつ、抗R175H抗体により染色されず)、試料B52は、抗p53抗体のうちのいずれによっても染色されなかった(
図20B)。
【0392】
これらのデータは、まとめて、パラフィン包埋臨床試料中の、これらの突然変異体特異的抗体の特異性を指し示す。
実施例6
ヒトp53突然変異体特異的抗体の有効性についての、同等なマウス突然変異体との比較
最後に、本発明者らは、抗体が、対応するマウス突然変異を検出することが可能であるのかどうかについて調べた。本実施例で研究される3つの突然変異に対応するヒト配列は、マウスp53において、高度に相同であり(
図22)、R175残基の近傍の配列は、同等なマウスR172残基と同様である(Oliveら、2004、Cell、119、847~860)。よって、本発明者らは、ヒトにおけるR175Hと同等の突然変異を含有する(Langら、2004、Cell、119、861~872)、R172Hマウスに由来する、マウス胎仔線維芽細胞(MEF)、またはヒトR4249Sと同等である、非類縁の突然変異であるR246Sを伴うMEF(Leeら、2012、Cancer Cell、22、751~764)を用いた。
【0393】
直接的な免疫ブロット法は、抗R175H抗体が、R172H MEFからの突然変異体p53だけを検出することが可能であり、R246S MEFまたは野生型MEFは、汎p53抗体であるCM5により決定される通り、著しい量のp53を発現するが、これらからのp53は検出しえないことを指し示した(
図23A)。R175H特異的抗体による免疫沈降に続き、免疫ブロット法もまた、抗体は、実際、特異的であり、マウスR172H突然変異体タンパク質を検出しうることを裏付けた(
図23B)。本発明者らはまた、R175H特異的抗体の能力を、免疫蛍光解析(
図23C)およびIHC解析(
図23D)によっても調べたが、これらにより、その特異性が確認されたことから、異なる種における、これらの抗体の有用性が強調された。
【0394】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)の5μm切片に対して、IHC解析のための免疫染色を実施した。Dako製のトリス/EDTA標的賦活化溶液、pH9を使用して、抗原賦活化を実施した。ブロッキングは、DAKO製の10%ヤギ血清により実施した。二次抗体は、Dako Envision(商標)+/HRPであった。DAKO liquid DAB+により現像した。画像は、40倍の対物レンズを使用する、Zeiss AxioImager正立顕微鏡により捕捉した。
【0395】
実施例7
抗突然変異体p53モノクローナル抗体
7.1 R175H突然変異体p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8
実施例1(
図1Aを参照されたい)で記載された通りに、TrxAの活性部位配列に挿入した、R175H p53突然変異の3つのコピーを含む免疫原で、マウスを免疫化することにより、抗R175H p53マウスモノクローナル抗体を惹起した。
【0396】
抗R175H p53マウスモノクローナル抗体を作製するハイブリドーマクローンを得た。軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列のアミノ酸配列を決定し、これらは、
図24および25に示される。抗体の、軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列をコードするDNA配列は、
図27に示される。
【0397】
CDRは、VBASE2(上記で、参照により本明細書に組み込まれた、Retterら、Nucleic Acids Research(2005)33(データベース特集):D671~674)を使用して予測した。
7.2 R248Q突然変異体p53抗体クローン 3G11および4H2
実施例1(
図1Bを参照されたい)で記載された通りに、TrxAの活性部位配列に挿入した、R248Q p53突然変異の3つのコピーを含む免疫原で、マウスを免疫化することにより、抗R248Q p53マウスモノクローナル抗体を惹起した。
【0398】
抗R248Q p53マウスモノクローナル抗体を作製するハイブリドーマクローンを得た。軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列のアミノ酸配列を決定し、これらは、
図28および29に示される。抗体の、軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列をコードするDNA配列は、
図31に示される。
【0399】
CDRは、上記の通り、VBASE2を使用して予測した。
7.3 R273H突然変異体p53抗体クローンである13E4
実施例1(
図1Cを参照されたい)で記載された通りに、TrxAの活性部位配列に挿入した、R273H p53突然変異の3つのコピーを含む免疫原で、マウスを免疫化することにより、抗R273H p53マウスモノクローナル抗体を惹起した。
【0400】
抗R273H p53マウスモノクローナル抗体を作製するハイブリドーマクローンを得た。軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列のアミノ酸配列を決定し、これらは、
図32および33に示される。抗体クローンである13E4の、軽鎖および重鎖の可変ドメイン配列をコードするDNA配列は、
図34に示される。
【0401】
CDRは、上記の通り、VBASE2を使用して予測した。
実施例8
抗突然変異体p53モノクローナル抗体の特徴付け
8.1 R175H突然変異体p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8
ハイブリドーマクローンである、4H5、7B9、および10C8の細胞培養物上清を使用して、R172Hマウス胸腺リンパ腫細胞系細胞である、T47D細胞、WiDr細胞、およびDKO細胞から得られた細胞抽出物に対して、ウェスタンブロット解析を実施した。結果は、
図35に示される。各クローンに由来する抗体は、R175H突然変異体p53に特異的であった。
【0402】
免疫蛍光解析もまた、ハイブリドーマクローンである、4H5、7B9、および10C8の細胞培養物上清を使用し、R175H突然変異体p53を発現させる構築物をトランスフェクトしたR172Hマウス胸腺リンパ腫細胞系細胞である、TKO細胞、C6細胞、H1299細胞、T47D細胞、およびH1299細胞を使用して実施した。結果は、
図36A~36Cに示される。各クローンに由来する抗体は、マウスR172H突然変異体p53に特異的であった。
【0403】
抗体である、4H5、7B9、および10C8により認識されたエピトープは、ヒトR175H p53との関連で、
図10に示される。
ハイブリドーマクローンである、4H5、7B9、および10C8の細胞培養物上清を使用する、p53ノックアウトマウス、または照射された、R172H p53陽性マウスから得られた、マウス腸組織切片の免疫組織化学(IHC)解析により、抗体クローンを、R175H p53を認識するそれらの能力について、さらに調べた。結果は、
図37に示される。抗体は、IHCにより、マウス腸組織切片内の、R172H突然変異体p53を検出することが可能であった。
【0404】
抗体クローンである4H5を、in vivoにおいて、R175H陽性がんを視覚化し、モニタリングする能力について、さらに解析した。P53R
172H/R172Hマウスに由来するマウス腫瘍細胞に、ルシフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトし、腫瘍モデルを確立するのに使用した。マウスに、100μgの、XenoLight CF750で標識化された、抗R175H突然変異体p53抗体クローンである4H5を、IV注射し、注射の、6、24、72時間後、および7日後に、IVIS解析によりイメージングした。実験の結果は、
図38に示される。抗体は、in vivoにおいて、腫瘍を視覚化し、モニタリングするのに適することが裏付けられた。
8.2 R248Q突然変異体p53抗体クローンである、3G11および4H2
ハイブリドーマクローンである、3G11および4H2の細胞培養物上清を使用して、TKO細胞およびHCC70細胞(R248Q突然変異を有する)から得られた細胞抽出物に対して、ウェスタンブロット解析を実施した。結果は、
図39に示される。抗体は、R248Q突然変異体p53に特異的であった。
【0405】
免疫蛍光解析もまた、ハイブリドーマクローンである、3G11および4H2の細胞培養物上清を使用し、TKO細胞、HCC70細胞、およびOVCAR3細胞(R248Q突然変異を有する)を使用して実施した。結果は、
図40Aおよび40Bに示される。各クローンに由来する抗体は、R248Q突然変異体p53に特異的であった。
【0406】
抗体クローン3G11および4H2により認識されたエピトープを、ペプチドファージディスプレイ解析により解析した(
図8Bおよび7B)。抗体により認識されたエピトープは、ヒトR248Q p53との関連で、
図10に示される。
8.3 R273H突然変異体p53抗体クローンである、13E4
ハイブリドーマクローンである13E4の細胞培養物上清を使用して、T47D細胞およびMB468細胞(R273H突然変異を有する)から得られた細胞抽出物に対して、ウェスタンブロット解析を実施した。結果は、
図41に示される。クローン13E4に由来する抗体は、R273H突然変異体p53に特異的であった。
【0407】
免疫蛍光解析もまた、ハイブリドーマクローンである13E4の細胞培養物上清を使用し、R273H突然変異体p53を発現する、T47D細胞およびWiDr細胞を使用して実施した。結果は、
図42に示される。クローン13E4に由来する抗体は、R273H突然変異体p53に特異的であった。
【0408】
13E4抗体により認識されたエピトープは、ヒトR273H p53との関連で、
図10に示される。
抗体クローンである13E4を、in vivoにおいて、R273H陽性がんを視覚化し、モニタリングする能力について、さらに解析した。p53-R273H突然変異体の細胞である、HT29腫瘍細胞系に、ルシフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトし、腫瘍モデルを確立するのに使用した。マウスに、100μgの、XenoLight CF750で標識化された、抗R273H突然変異体p53抗体クローンである13E4を、IV注射し、注射の72時間後に、IVIS解析によりイメージングした。実験の結果は、
図43に示される。抗体は、in vivoにおいて、腫瘍を視覚化し、モニタリングするのに適することが裏付けられた。
【0409】
実施例9
マウスFv-ヒトIgG1 Fcキメラ抗突然変異体p53抗体
抗突然変異体p53抗体の、マウスFv-ヒトIgG1 Fcキメラ形を調製した。
【0410】
重鎖および軽鎖の可変領域を、マウスモノクローナル抗体の親クローンである、4H5、7B9、10C8、3G11、4H2、および13E4から、各々がヒトIgG1定常領域を含有するpTT5ベクターへとクローニングした。
【0411】
マウス-ヒトキメラの重鎖および軽鎖のプラスミドを、プラスミド1μg当たり、2μLの293-FectInトランスフェクション試薬を使用して、細胞100万個当たりの総プラスミド1μgで、HEK293-6e細胞へと共トランスフェクトした。トランスフェクションの4~6日後、分泌されたキメラ抗体を含有する培養物上清を採取し、プロテインGアガロースビーズを使用して、精製した。
【0412】
キメラ抗体は、1Mのトリス(pH9.0)により中和され、PBSへと透析された、0.1Mのグリシン-HCl(pH2.7)を使用して、ビーズから溶出させた。
キメラ抗体は、ELISA(被験濃度:1ng/μL)により、それぞれの突然変異体p53を認識することが可能であると決定された。
【0413】
照射された、R172H p53陽性マウスから得られた、マウス腸組織切片のIHC解析により、抗R175H p53抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8の、マウスFv-ヒトIgG1 Fcキメラ形を、R175H p53を認識する能力についてもまた調べた。結果は、
図44に示される。抗体のキメラ形は、IHCにより、マウス腸組織切片内の、R172H突然変異体p53を検出することが可能であった。
【0414】
実施例10
in vivoにおける、抗p53突然変異体抗体が、がんを処置する能力についての解析
本発明者らは、in vivoにおいて、抗突然変異体p53モノクローナル抗体が、がんを処置する能力について調べた。
【0415】
略述すると、マウスに、ルシフェラーゼ遺伝子を保有するSKBR3細胞(ヒト乳がん細胞)5×10
6個を注射した。SKBR3細胞は、p53内に、R175H突然変異を保有する(例えば、
図13を参照されたい)。ルシフェラーゼ遺伝子は、in vivoにおける、ルシフェラーゼ活性の検出による、腫瘍の増殖のモニタリングを可能とした。4日後、マウスに、SKBR-3細胞を注射し、マウスを、100μlの抗R175H抗体または100μlのIgG抗体対照で処置した。注射は、4日ごとに(
図45における矢印により指し示される)繰り返した。腫瘍の増殖は、ルシフェラーゼの発光を測定することにより、実験を通してモニタリングした。結果は、
図45に示されるが、これは、ルシフェラーゼ活性の、対照処置群と比較したレベルの低減により証拠立てられる通り、抗R175H抗体で処置されたマウスにおける抗がん効果を裏付ける。
【0416】
実施例11
使用される免疫原が、突然変異体p53ポリペプチドに対する免疫応答を発生させる能力についての解析
本発明者らはまた、p53突然変異体ポリペプチドに対する免疫応答を刺激するために、ワクチンとして使用される、実施例1で記載された免疫原の能力についても調べた。
【0417】
マウスの群を、免疫原で免疫化し、ELISAにより、ポリクローナル抗体応答を解析して、免疫原が、抗体応答を誘発するワクチンとして使用されうるのかどうかを決定した。
【0418】
結果は、
図46A~46Fに示される。異なる突然変異体p53の免疫原による免疫化は、それぞれのp53突然変異体に対応するペプチドに対して、高度に特異的であり(
図46A、46C、および46E)、野生型ヒトp53との、最小の相互作用を提示する(
図46B、46D、および46F)抗体の産生を誘導することが示される。これらの結果は、突然変異体p53免疫原が、抗体応答を誘発することが可能であり、この免疫が、それぞれのp53突然変異体に特異的であることを裏付ける。
【0419】
本発明者らは、次に、免疫原による免疫化に応答して発生した抗体が、突然変異体p53ポリペプチドを認識することが可能であるのかどうかについて調べた。血清を、実施例1で記載された、R175H、R248Q、またはR273Hの免疫原を注射されたマウスから得、免疫蛍光解析により、突然変異体p53ポリペプチドを認識する能力について解析した。結果は、
図47A~47Cに示されるが、これは、免疫原による免疫化に応答して、マウスにおいて発生した抗体が、対応する突然変異体p53ポリペプチドを認識することが可能であったことを裏付ける。
【0420】
実施例12
結論
本発明者らは、DBD領域内で一般に生じる、3つのp53ホットスポット突然変異(R175H、R248Q、およびR273H)(Vikhanskayaら、Nucleic Acids Res(2007)、35:2093~2104)に対するp53突然変異体特異的抗体を作出することに成功した。抗体が特徴付けられ、in vivoにおいて、がんを処置するそれらの有用性が裏付けられるのと同様に、様々な生化学アッセイおよび組織学アッセイにおいても、それらの有用性が裏付けられている。
【0421】
本発明者らは、初めて、p53の単一点突然変異体に特異的に結合することが可能であるが、野生型p53とは交差反応しない抗体であって、TrxAを融合パートナーとして使用して、タンパク質本体から溶液への突出により提示される突然変異を含有する領域の複数のコピーを用意することにより、抗原の発現を増強する免疫原を使用して惹起される抗体を作出することが可能であった。この手法は、いくつかのp53突然変異体に対する、特異性および選択性が大きなmAbクローンの作出を一貫してもたらした。
【0422】
本実施例は、p53内で見出される、最も一般的なホットスポット突然変異のうちの3つ、すなわち、R175H、R248Q、およびR273Hに対する抗体の作出を裏付ける。これらの突然変異体に対して作出されたmAbは、免疫ブロット法、免疫沈降、免疫蛍光、および免疫組織化学にわたる様々な技法において、意図された抗原と、他の突然変異または野生型p53タンパク質とを区別する、それらの能力において特異的であった。in vivoの、ヒト異種移植がんマウスモデルでは、本発明者らはさらに、対応するp53突然変異を含む腫瘍細胞の増殖を阻害する能力も裏付けた。
【0423】
さらに、抗体は、R175H突然変異について裏付けられる通り、マウスなど、他の種において、対応する突然変異を検出することが可能であり、したがって、種を越えた配列の保存(例えば、
図22を参照されたい)を踏まえれば、他のマウス突然変異体へも適用可能なはずであり、これにより、基礎的な調査研究のための貴重なツールであることを実証する。
【0424】
突然変異体特異的抗体は、潜在的には単一細胞レベルにすらおいても、またがん細胞のクローン的進化において、同じ細胞内の野生型および突然変異体両方のp53タンパク質の個々の役割および組み合わされた役割を腑分けするのに有用なツールである。
【0425】
ヒト腫瘍試料のIHC解析のための、突然変異体特異的mAbの有用性から、これらのmAbが、p53状態を決定するときの病理学的解析において、極めて有用なツールであることが強調され、このツールは、実現が容易であり、DNAシーケンシング技術と比較して、費用効果が著しく高い。
【0426】
本実施例で用いられたTrxA提示系は、臨床的に有用でありうる、p53内の他の突然変異に対するmAbを作出するためにも有用であり、また、腫瘍抑制因子およびがん遺伝子において見出される、他の突然変異に対するmAbを作出するためにも有用であろう。単一のアミノ酸だけ異なるタンパク質を区別することが可能なモノクローナル抗体であれば、診断剤および治療剤として、臨床的に有用でありうる。
【0427】
さらに、本発明者らが、ワクチン接種戦略のための免疫原の有用性を裏付けたことから、p53の突然変異体を認識することが可能な抗体応答を誘導する能力が裏付けられる。
治療の文脈では、このような突然変異体特異的抗体は、突然変異を保有しない、患者の正常細胞内では、いかなる副作用も及ぼさないので、極めて安全である可能性が高い。このような抗体であれば、疾患において、過剰発現するか、または調節異常となるタンパク質に対する、現在利用可能な、一般的な抗体に優ることが予測される。
【0428】
実施例13
in vivoにおける、突然変異体特異的抗p53抗体の、腫瘍増殖に対する効果
本発明者らは、次に、in vivoにおける、p53突然変異体特異的モノクローナル抗体の投与の、がん細胞の増殖に対する効果について調べた。
【0429】
略述すると、SCIDマウスの脇腹に、ルシフェラーゼ標識化SKBR細胞5×10
6個(p53内に、R175H突然変異を保有する(例えば、
図13を参照されたい))を、皮下注射した。4日目から、マウスに、4日ごとに、100μlの、R175H突然変異体p53に特異的なモノクローナル抗体(a175)、またはアイソタイプ対照抗体(IgG)を、静脈内注射した。ルシフェラーゼ活性を測定することにより、腫瘍の増殖をモニタリングした。
【0430】
実験の結果は、
図48に示される。R175H突然変異体p53に特異的なモノクローナル抗体で処置されたマウスでは、強力な抗がん効果が観察された。
実施例14
マウス-ヒトキメラ抗p53突然変異体抗体の調製
本発明者らは、抗R175H抗体クローンである、4H5、7B9、および10C8、抗R273H抗体クローンである13E4、ならびに抗R248Q抗体クローンである、3G11および4H2の、マウス-ヒトキメラ形を調製した。
【0431】
マウスモノクローナル親抗体の、可変重鎖および可変軽鎖をコードするDNAを、マウスモノクローナル親抗体から、各々がヒト定常領域を含有する、個別のpTT5ベクターへとクローニングした。マウス-ヒトキメラの重鎖および軽鎖のプラスミドを、プラスミド1マイクログラム当たり、2μlの293-FectInトランスフェクション試薬を使用して、細胞1×106個当たりの総プラスミド1μgで、HEK293-6e細胞へと共トランスフェクトした。
【0432】
トランスフェクションの4~6日後、分泌された、マウス-ヒトキメラ抗体を含有する細胞培養物上清を採取し、プロテインGアガロースビーズを使用して、抗体を精製した。マウス-ヒトキメラ抗体は、1Mのトリス(pH9.0)により中和され、PBSへと透析された、0.1Mのグリシン-HCl(pH2.7)を使用して、ビーズから溶出させた。マウス-ヒトキメラ抗体は、マウスFvおよびヒトFcを含む。
【0433】
マウス-ヒトキメラ抗p53突然変異体R175H抗体のクローンのVL配列は、
図49および51に示され、VH配列は、
図50および52に示される。
マウス-ヒトキメラ抗p53突然変異体R273H抗体のクローンである13E4のVL配列は、
図53および55に示され、VH配列は、
図54および56に示される。
【0434】
マウス-ヒトキメラ抗p53突然変異体R248Q抗体のクローンのVL配列は、
図57および59に示され、VH配列は、
図58および60に示される。
実施例15
マウス-ヒトキメラ抗p53突然変異体抗体の特徴付け
マウス-ヒトキメラ抗p53 R175H抗体
マウスヒトキメラ抗p53 R175H抗体を、ELISAにより、R175H突然変異体p53への結合について解析した。
【0435】
結果は、
図61に示される。キメラ抗p53 R175H抗体(MH 4H5、MH 7B9、MH 10C8)抗体は、0.1~1ng/μlの間の濃度で、陽性シグナルをもたらし、ヒトp53 R175H全長タンパク質だけに、特異的に結合し、ヒトp53 R273H全長タンパク質、ヒトp53野生型全長タンパク質、またはマウスp53野生型全長タンパク質には結合しなかった。市販の抗p53抗体(1C12)を、陽性対照抗体として含めた。
【0436】
結合はまた、ウェスタンブロットによっても解析され、結果は、
図62に示される。ウェスタンブロットを介する、ヒト細胞系内の、変成させた、内因性p53の検出(抗体を、1ng/μlの濃度で使用した)は、キメラ抗p53 R175H抗体(MH 4H5、MH 7B9、MH 10C8)の特異性を確認した。抗体は、p53内に、R175H突然変異を擁するSKBR3細胞系に由来するp53だけを検出し、p53ヌルH1299細胞系に由来するp53も、野生型p53細胞系であるMCF7およびA549に由来するp53も、R273H細胞系であるA431およびSW480に由来するp53も検出しなかった。
【0437】
抗体を、4%のパラホルムアルデヒド中に固定され、パラフィン中に包埋された、異なるがん細胞系への結合についての免疫組織化学解析により、R175H突然変異体p53に特異的に結合するそれらの能力についてさらに解析した。マウスヒトキメラ抗R175H抗体は、SKBR3細胞だけを染色することが示された。MH 7B9を使用する解析による代表的画像は、
図63に示される。
マウス-ヒトキメラ抗p53 R273H抗体
マウスヒトキメラ抗p53 R273H抗体である、13E4を、ELISAにより、R273H突然変異体p53への結合について解析した。
【0438】
結果は、
図64に示される。キメラ抗p53 R175H抗体であるMH 13E4は、ヒトp53 R273H全長タンパク質に、チオレドキシン、ヒトp53 R175H全長タンパク質、およびヒトp53野生型全長タンパク質に結合するより、はるかに強く結合した。
【0439】
結合はまた、ウェスタンブロットによっても解析され、結果は、
図65に示される。ウェスタンブロットを介する、ヒト細胞系内の、変成させた、内因性p53の検出(抗体を、1ng/μlの濃度で使用した)は、p53内に、R273H突然変異を擁するA431細胞系およびSW480細胞系に由来するp53だけを検出し、p53ヌルH1299細胞系に由来するp53も、野生型p53細胞系であるMCF7およびA549に由来するp53も、R175H細胞系であるSKBR3に由来するp53も検出しない、MH 13E4の特異性を確認した。
【0440】
抗体を、4%のパラホルムアルデヒド中に固定され、パラフィン中に包埋された、異なるがん細胞系への結合についての免疫組織化学解析により、R273H突然変異体p53に特異的に結合する能力についてさらに解析した。MH 13E4は、R273H突然変異を擁する細胞(すなわち、A431細胞)だけを染色することが見出された(
図66を参照されたい)。
マウス-ヒトキメラ抗p53 R248Q抗体
マウスヒトキメラ抗p53 R248Q抗体を、ELISAにより、R248Q突然変異体p53への結合について解析した。抗体を、実験において、1ng/μlの最終濃度で使用した。
【0441】
結果は、
図67に示される。キメラ抗p53 R248Q(MH 3G11およびMH 4H2)抗体は、全長R248Q p53に結合するが、全長R175H p53もしくは全長R273H p53、または全長野生型ヒトp53もしくは全長野生型マウスp53には結合しないことが見出された。市販の抗p53抗体(1C12)を、陽性対照抗体として含めた。
【0442】
実施例16
抗p53突然変異体抗体の、in vivoにおける腫瘍イメージングのための診断用抗体としての評価
本発明者らは、次に、抗p53突然変異体抗体が、in vivoにおける腫瘍イメージングに有用であるのかどうかについて調べた。
【0443】
略述すると、100ugの蛍光標識R273H特異的mAbであるMH 13E4(または蛍光標識化IgG対照)を、HT29腫瘍(p53内にR273H突然変異を擁する)を保有するマウスへと、静脈内注射した。マウスを、抗体注射後72時間において、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムを使用して、mAbのトラフィッキングについてイメージングした。
【0444】
結果は、
図68に示される。MH 13E4は、ヌードマウスにおいて、R273H突然変異体p53陽性HT29異種移植腫瘍を特異的に検出した。
別個の実験では、100ugの蛍光標識R175H特異的mAbであるMH 4H5またはMH 7B9を、R175H突然変異体p53陽性クローン32腫瘍を保有するマウスへと、i.v.注射した。マウスを、抗体注射後6時間および24時間、ならびに2、3、および7日目に、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムを使用して、mAbのトラフィッキングについてイメージングした。クローン32細胞は、ルシフェラーゼを発現するので、腫瘍細胞の位置を、ルシフェラーゼ活性の検出により解析することができた。
【0445】
結果は、
図69に示される。MH 4H5抗体およびMH 7B9抗体は、R175H突然変異体p53を検出し、最長で、7日間にわたり、腫瘍内に保持された。腫瘍細胞に対する抗体の特異性は、抗体と同じ位置における、ルシフェラーゼの検出により裏付けられる。
【0446】
さらなる実験では、抗p53突然変異体R175H抗体が、自然発生のR175H p53腫瘍を検出しうるのかどうかについて調べた。100ugの蛍光標識R175H特異的mAbであるMH 4H5を、マウスp53内の、マウスR172H突然変異を有するマウスへと、i.v.注射した。突然変異体p53R172Hマウスは、マウスp53内に、R172H突然変異を擁する腫瘍の自然発生に対して、高度に感受性である。マウスを、抗体注射後2および3日目に、IVIS Sprectrum in vivoイメージングシステムを使用して、mAbのトラフィッキングについてイメージングした。
【0447】
結果は、
図70に示される。MH 4H5は、自然発生の突然変異体マウスp53 R172H腫瘍を検出することが可能であった。
実施例17
in vivoにおける、抗p53突然変異体抗体が、がんを処置する治療有用性の評価
本発明者らは、次に、in vivoにおいて、抗p53突然変異体抗体が、がんの処置に有用であるのかどうかについて調べた。
抗p53突然変異体R175H抗体
第1の実験では、モノクローナル抗体である、13E4の投与の治療効果を、HT29-ルシフェラーゼ異種移植腫瘍モデルにおいて解析した。略述すると、0日目、ヌードBalb/cマウス(n=3)に、HT29-luc細胞5×10
6個を、皮下接種するのに続き、3、7、11、14、18、および21日目に、15mg/kgの対照IgGまたは13E4 mAbを、i.v.注射した。マウスを、28日目に解析した。腫瘍の増殖は、平均光子強度を測定することにより決定した。
【0448】
処置スケジュールの概略表示は、
図71Aに示される。実験の結果は、
図71Bに示される。13E4 mAbで処置されたマウスは、IgG対照抗体で処置されたマウスと比較して、81.62%の腫瘍サイズの阻害を示した。
【0449】
第2の実験でも、モノクローナル抗体である、13E4の投与の治療効果を、HT29-ルシフェラーゼ異種移植腫瘍モデルにおいて解析した。略述すると、0日目、ヌードBalb/cマウス(n=3)の各脇腹に、HT29-luc細胞5×106個を、皮下接種するのに続き、4、7、11、14、18、21、25、28、32、および35日目に、10mg/kgの対照IgGまたは13E4 mAbを、i.v.注射した。マウスを、7、14、21、28、および35日目に解析した。腫瘍体積は、接種後、毎週、ルシフェラーゼを発現するHT29腫瘍細胞の発光イメージングにより測定した。実験の終了時において、腫瘍をマウスから切り出し、腫瘍量を記録した。
【0450】
処置スケジュールの概略表示は、
図72Aに示され、実験の結果は、
図72B、72C、および72Dに示される。13E4 mAbで処置されたマウスは、IgG対照抗体で処置されたマウスと比較して、87.3%の腫瘍サイズの阻害を示し、腫瘍量は、対照IgGで処置されたマウスから得られた腫瘍の重量の、約2.5分の1であった。
図72Dは、時間経過にわたる、13E4による腫瘍増殖の阻害を示す。
【0451】
さらなる実験では、抗p53突然変異体R175H抗体である4H5を、自然発生のマウスp53突然変異体R172H陽性がんの増殖を阻害する、その能力について解析した。略述すると、マウス腫瘍細胞系である、クローン32を、p53R172H突然変異体マウスから作出した。0日目に、クローン32細胞3×106個を、同系B6マウスへと注射し、3、6、9、12、15、18、21、および24日目に、100ugの4H5、7B9(R175Hに特異的なmAb)、13E4(R273Hに特異的である)、および11D10(ヒトp53およびマウスp53のいずれにも反応性である)を、マウスへと、i.v.注射した。解析および腫瘍の測定のために、25日目に、マウスを屠殺した。
【0452】
処置スケジュールの概略表示は、
図73Aに示され、実験の結果は、
図73Bに示される。4H5(R175H mAb)で処置されたマウスにおける腫瘍重量の平均は、対照IgG処置群における腫瘍の重量より75%小さかった。7B9(R175H mAb)、13E4(R273H mAb)、11D10(p53 mAb)は、同系マウス腫瘍の重量に対して、著しい効果を示さなかった。
【0453】
実施例18
p53突然変異体抗体を惹起するのに使用された免疫原の、ワクチン候補物質としての評価
本発明者らは、次に、本発明のp53突然変異体特異的抗体を惹起するのに使用された免疫原が、p53突然変異体がんの発症に対して、対象にワクチン接種することが可能であるのかどうかについて調べた。
【0454】
0、21、42、63、および84日目に、野生型のBALB/CマウスまたはB6マウスおよび突然変異体p53R172Hマウスに、TrxR175Hタンパク質(実施例1を参照されたい)を注射した。各注射の7日後に、血清を回収し、ELISA、細胞染色、およびウェスタンブロットにより解析した。ELISA解析のために使用された抗原は、チオレドキシンタンパク質(Trx)、Trx-R175Hタンパク質、またはR175H突然変異体p53の全長タンパク質であった。87日目に、p53 R175H陽性腫瘍細胞を、マウスへと注射した。
【0455】
実験手順についての概略表示は、
図74Aに示される。ELISA解析の結果を、
図74Bに示すが、これは、表示の時点(1回目および2回目の免疫化の後)で得られた血清が、TrxR175Hタンパク質およびR175H突然変異体p53の全長タンパク質と反応したことを示す。
【0456】
図74Cおよび74Dは、10匹の異なるマウス(M1~M10)からの、1回目および2回目の採血から得られた血清による、SKBR3細胞(R175H突然変異を擁する)およびTKO細胞(p53ヌル)の染色の結果を示す。TrxR175H免疫化マウスの血清中の抗体は、p53
R175Hを発現するSKBR3細胞では、陽性染色を示したが、p53ノックアウトTKO細胞では、これを示さなかった。
【0457】
図74Eは、TrxR175Hで免疫化されたマウスの血清中の抗p53
R175H抗体の、SKBR3細胞に由来する細胞溶解物に対する反応性についてのウェスタンブロット解析の結果を示す。血清は、1:1000の希釈率で使用した。レーンA~Eは、5匹の異なるマウスに由来する血清を含有し、レーンFは、抗体であるD01を含有する陽性対照である。結果は、2回目の注射の後、解析されたマウスの全てが、R175H突然変異体p53の全長タンパク質に特異的な抗体を含有したことを示す。
【0458】
図74Fは、Trx、TrxR175H、またはPBSによる免疫化の後における、異なる免疫細胞サブセットの細胞のレベルについての解析の結果を示す。5回目の注射の3日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を、フローサイトメトリーにより解析した。T細胞の百分率は、p53 R
172H/R172H突然変異体マウスにおいて、TrxR175HまたはTrxによる免疫化により、PBSと比較して増大することが見出された。
【0459】
まとめると、ELISA、細胞染色、ウェスタンブロット、およびフローサイトメトリーのデータは、TrxR175Hが、突然変異体R175H p53に対するT細胞およびB細胞両方の応答を、効果的に誘発しうることを裏付ける。
【0549】
まとめると、ELISA、細胞染色、ウェスタンブロット、およびフローサイトメトリーのデータは、TrxR175Hが、突然変異体R175H p53に対するT細胞およびB細胞両方の応答を、効果的に誘発しうることを裏付ける。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的な抗体を作製するための方法であって、免疫原として、(i)突然変異と、突然変異に直接隣接する少なくとも1つのアミノ酸とを含む、突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列を含む抗原配列、および(ii)溶媒に接触可能な立体配置にある抗原配列をもたらすための足場配列を含むペプチドまたはポリペプチドを使用するステップを含む方法。
[態様2]
足場配列が、溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドに由来し、抗原配列が、ペプチドもしくはポリペプチドの溶媒に接触可能な配列に挿入されるか、またはその全部もしくは一部を置換する、態様1に記載の方法。
[態様3]
溶媒に接触可能な配列を含むペプチドまたはポリペプチドが、チオレドキシンであり、溶媒に接触可能な配列が、チオレドキシンの活性部位配列である、態様2に記載の方法。
[態様4]
免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドが、さらに、抗原配列と足場配列との間に、1または複数のリンカー配列を含む、態様1から3のいずれか一項に記載の方法。
[態様5]
免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドが、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列を含む、態様1から4のいずれか一項に記載の方法。
[態様6]
免疫原として使用されるペプチドまたはポリペプチドが、さらに、突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列の間に、リンカー配列を含む、態様5に記載の方法。
[態様7]
突然変異体p53ポリペプチドの少なくとも2つのアミノ酸配列が、非同一である、態様5または6に記載の方法。
[態様8]
突然変異体p53ポリペプチドのアミノ酸配列が、少なくとも5つのアミノ酸を含む、態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
[態様9]
突然変異体p53ポリペプチドが、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む、態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]
突然変異体p53ポリペプチドが、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1つから選択される突然変異を含む、態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]
突然変異体p53ポリペプチドが、配列番号3~16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、態様1から10のいずれか一項に記載の方法。
[態様12]
態様1から11のいずれか一項に記載の方法により得られるか、または得ることが可能な抗体または抗原結合性断片。
[態様13]
野生型p53ポリペプチドより、突然変異体p53ポリペプチドに特異的である抗体または抗原結合性断片。
[態様14]
突然変異体p53ポリペプチドが、DNA結合性ドメイン(DBD)内に、突然変異を含む、態様13に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様15]
突然変異体p53ポリペプチドが、R175H、R248Q、R273H、R248W、G245S、R273C、R282W、R249S、G245D、C176F、H179Y、H179R、Y220C、およびR337Hのうちの1つから選択される突然変異を含む、態様13または14に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様16]
突然変異体p53ポリペプチドが、配列番号3~16のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、態様13から15のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様17]
R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
ii) LC-CDR2:GAS (配列番号20);
iii) LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21);
iv) HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
v) HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
vi) HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた、そのバリアント[配列中、X1=YまたはN;X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]。
[態様18]
LC-CDR1が、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つである、態様17に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様19]
HC-CDR1が、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つである、態様17または18に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様20]
HC-CDR2が、IDPNNGVT(配列番号26)またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つである、態様17から19のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様21]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
[配列中、X1=YまたはN]が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様17から20のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様22]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSY (配列番号19);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様21に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様23]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSN (配列番号23);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様21に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様24]
以下のCDR:
HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
[配列中、X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様17から23のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様25]
以下のCDR:
HC-CDR1:GFTFTEYT (配列番号25);
HC-CDR2:IDPNNGVT (配列番号26);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様24に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様26]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTEYT (配列番号29);
HC-CDR2:INPYSGGT (配列番号30);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様24に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様27]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1 (配列番号31);
LC-CDR2:GAS (配列番号20);
LC-CDR3:QNDHSYPLT (配列番号21)
[配列中、X1=YまたはN]を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様28]
LC-CDR1が、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つである、態様27に記載の、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様29]
以下のCDR:
HC-CDR1:GX2TFTEYT (配列番号32);
HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T (配列番号33);
HC-CDR3:ARWGGDYV (配列番号27)
[配列中、X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様30]
HC-CDR1が、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つである、態様29に記載の、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様31]
HC-CDR2が、IDPNNGVT(配列番号26)またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つである、態様29または30に記載の、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様32]
態様29から31のいずれか一項に記載の、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、態様27または28に記載の、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様33]
R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSLLNSGNQKSX1(配列番号31)、QSLLNSGNQKSY(配列番号19)、またはQSLLNSGNQKSN(配列番号23)のうちの1つ;LC-CDR2:GAS(配列番号20);LC-CDR3:QNDHSYPLT(配列番号21)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GX2TFTEYT(配列番号32)、GFTFTEYT(配列番号25)またはGYTFTEYT(配列番号29)のうちの1つ;HC-CDR2:IX3PX4X5GX6T(配列番号33)、IDPNNGVT(配列番号26)、またはINPYSGGT(配列番号30)のうちの1つ;HC-CDR3:ARWGGDYV(配列番号27)[配列中、X1=YまたはN;X2=FまたはY;X3=DまたはN;X4=NまたはY;X5=NまたはS;およびX6=VまたはG]に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、
抗体または抗原結合性断片。
[態様34]
R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号18もしくは22(
図24)、または配列番号237もしくは94(
図49)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号24もしくは28(
図25)、または配列番号239、240、
もしくは241(
図50)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片。
[態様35]
R175H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)態様17から34のいずれか一項に記載の抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R175H p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片。
[態様36]
R175H p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、態様17から35のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体。
[態様37]
R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41);
ii) LC-CDR2:LVS (配列番号42);
iii) LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43);
iv) HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
v) HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
vi) HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた、そのバリアント[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]。
[態様38]
HC-CDR2が、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つである、態様37に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様39]
HC-CDR3が、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)のうちの1つである、態様37または38に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様40]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様37から39のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様41]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様37から40のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様42]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IHPKNGGT (配列番号47);
HC-CDR3:AKMGGYDDY (配列番号48)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様41に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様43]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IDPKNGGT (配列番号50);
HC-CDR3:AKQGGFDDY (配列番号51)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様41に記載の抗体または抗原結合性断片。
[態様44]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSLLYSDGKTY (配列番号41)
LC-CDR2:LVS (配列番号42)
LC-CDR3:WQGTHFPLT (配列番号43)
を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様45]
以下のCDR:
HC-CDR1:GYTFTDYY (配列番号46);
HC-CDR2:IX7PKNGGT (配列番号52);
HC-CDR3:AKX8GGX9DDY (配列番号53)
[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様46]
HC-CDR2が、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つである、態様45に記載の、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様47]
HC-CDR3が、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)のうちの1つである、態様45または46に記載の、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様48]
態様45から47のいずれか一項に記載の、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、態様44に記載の、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様49]
R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSLLYSDGKTY(配列番号41);LC-CDR2:LVS(配列番号42);LC-CDR3:WQGTHFPLT(配列番号43)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GYTFTDYY(配列番号46);HC-CDR2:IX7PKNGGT(配列番号52)、IHPKNGGT(配列番号47)またはIDPKNGGT(配列番号50)のうちの1つ;HC-CDR3:AKX8GGX9DDY(配列番号53)、AKMGGYDDY(配列番号48)またはAKQGGFDDY(配列番号51)[配列中、X7=HまたはD;X8=MまたはQ;およびX9=YまたはF]のうちの1つに対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、
抗体または抗原結合性断片。
[態様50]
R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号40もしくは44(
図28)、または配列番号251もしくは252(
図57)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号45もしくは49(
図29)、または配列番号253もしくは254(
図58)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片。
[態様51]
R248Q p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)態様37から50のいずれか一項に記載の抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R248Q p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片。
[態様52]
R248Q p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、態様37から51のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体。
[態様53]
R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、任意に単離されており、アミノ酸配列i)~vi):
i) LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59);
ii) LC-CDR2:KVS (配列番号60);
iii) LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61);
iv) HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63);
v) HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64);
vi) HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
を有する抗体もしくは抗原結合性断片、または配列i)~vi)のうちの1もしくは複数
における、1つもしくは2つもしくは3つのアミノ酸が、別のアミノ酸で置きかえられた
、そのバリアント。
[態様54]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59)
LC-CDR2:KVS (配列番号60)
LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61)
が組み込まれた少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、態様53に記載の抗体または抗
原結合性断片。
[態様55]
以下のCDR:
HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63)
HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64)
HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
が組み込まれた少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、態様53または54に記載の抗
体または抗原結合性断片。
[態様56]
以下のCDR:
LC-CDR1:QSIVHNNGDTY (配列番号59)
LC-CDR2:KVS (配列番号60)
LC-CDR3:FQGSHLPLT (配列番号61)
を含む、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様57]
以下のCDR:
HC-CDR1:GFSFSDYY (配列番号63)
HC-CDR2:ISVGGTYT (配列番号64)
HC-CDR3:VRDGNDGKFLG (配列番号65)
を含む、単離された、重鎖可変領域のポリペプチド。
[態様58]
態様57に記載の、重鎖可変領域のポリペプチドと組み合わされた、態様56に記載の、単離された、軽鎖可変領域のポリペプチド。
[態様59]
R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖が、LC-CDR1:QSIVHNNGDTY(配列番号59);LC-CDR2:KVS(配列番号60);LC-CDR3:FQGSHLPLT(配列番号61)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3を含み;そして
重鎖が、HC-CDR1:GFSFSDYY(配列番号63);HC-CDR2:ISVGGTYT(配列番号64);HC-CDR3:VRDGNDGKFLG(配列番号65)に対する、少なくとも85%の、全体的な配列同一性を有するHC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3を含む、抗体または抗原結合性断片。
[態様60]
R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列を含み、
軽鎖配列が、配列番号58(
図32)または配列番号247(
図53)の軽鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有し;そして
重鎖配列が、配列番号62(
図33)または配列番号248(
図54)の重鎖配列に対する、少なくとも85%の配列同一性を有する、
抗体または抗原結合性断片。
[態様61]
R273H p53ポリペプチドに結合することが可能であり、(i)態様53から60のいずれか一項に記載の抗原結合性断片またはポリペプチド、および(ii)R273H p53ポリペプチド以外のポリペプチドに結合することが可能な抗原結合性断片を含む二特異性抗体または二特異性抗原結合性断片である、任意に単離された抗体または抗原結合性断片。
[態様62]
R273H p53ポリペプチドまたはこの断片に結合した、態様53から61のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチドを含む、任意に単離された、in vitroにおける複合体。
[態様63]
薬物部分または検出用部分へとコンジュゲートさせた、態様17から35、態様37から51、または態様53から61のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、またはポリペプチド。
[態様64]
態様17から35、態様37から51、または態様53から61のいずれか一項に記載の抗原結合性断片またはポリペプチドを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
[態様65]
態様64に記載のキメラ抗原受容体(CAR)を含む細胞。
[態様66]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む組成物。
[態様67]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、態様63または64のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸。
[態様68]
態様67に記載の核酸を含むベクター。
[態様69]
態様68に記載のベクターを含む宿主細胞。
[態様70]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、態様63または64のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、またはキメラ抗原受容体(CAR)を作製するための方法であって、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、またはコンジュゲートをコードするベクターの発現に適する条件下で、態様69に記載の宿主細胞を培養するステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、またはコンジュゲートを回収するステップとを含む方法。
[態様71]
治療、または医学的処置の方法における使用のための、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞。
[態様72]
がんの処置における使用のための、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞。
[態様73]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、がんの処置における使用のための医薬の製造における使用。
[態様74]
がんを処置する方法であって、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、がんを患う患者へと投与するステップを含む方法。
[態様75]
突然変異体p53ポリペプチドを含有するか、またはこれを含有することが疑われる試料を、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法。
[態様76]
対象における疾患または状態を診断する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法。
[態様77]
突然変異体p53ポリペプチドターゲティング剤による処置のために、対象を選択または層別化する方法であって、in vitroにおいて、対象に由来する試料を、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞と接触させるステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、CAR、または細胞の、突然変異体p53ポリペプチドとの複合体の形成を検出するステップとを含む方法。
[態様78]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vitroまたはin vivoにおける、突然変異体p53ポリペプチドの検出のための使用。
[態様79]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vitroまたはin vivoにおける、診断剤または予後診断剤としての使用。
[態様80]
態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞の、in vivoにおいて、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法における使用。
[態様81]
in vivoにおいて、がんを検出、位置特定、またはイメージングするための方法であって、態様17から35、態様37から51、態様53から61、または態様63から65のいずれか一項に記載の抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を、対象へと投与するステップと、抗体、抗原結合性断片、ポリペプチド、コンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、または細胞を検出するステップとを含む方法。
[態様82]
態様1から11のいずれか一項に記載の免疫原を含むワクチン。
[態様83]
がんに対するワクチン接種の方法における使用のための、態様1から11のいずれか一項に記載の免疫原。
[態様84]
態様1から11のいずれか一項に記載の免疫原の、がんに対するワクチン接種における使用のための医薬の製造における使用。
[態様85]
がんに対して、対象にワクチン接種するための方法であって、対象へと、態様1から11のいずれか一項に記載の免疫原を投与するステップを含み、これにより、対象に、がんに対してワクチン接種する方法。
[態様86]
がんが、突然変異体p53ポリペプチドを発現するか、または突然変異体p53ポリペプチドをコードする核酸を含む、1または複数の細胞を含むがんである、態様86から85のいずれか一項に記載のがんワクチン、使用のための免疫原、使用、または方法。