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  • 特許-光検出システム及びその使用方法 図1-1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】光検出システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20221109BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N21/01
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019545966
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018017859
(87)【国際公開番号】W WO2018156371
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】62/464,282
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ジアニング
(72)【発明者】
【氏名】ウー,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,デビッド タオ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,ティモスィー ウェイン
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508494(JP,A)
【文献】国際公開第03/016842(WO,A1)
【文献】特開2012-168057(JP,A)
【文献】特開平05-130995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0048539(US,A1)
【文献】国際公開第2014/024556(WO,A1)
【文献】特表2009-527769(JP,A)
【文献】特表2004-522163(JP,A)
【文献】国際公開第2010/090279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 21/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光検出器及び第2の光検出器と、
前記第1の光検出器から前記第2の光検出器に光を直接伝播するように構成されている第1の光学調整構成要素と
を有する第1の光検出器アレイ、
第3の光検出器及び第4の光検出器と、
前記第3の光検出器から前記第4の光検出器に光を直接伝播するように構成されている第2の光学調整構成要素と
を有する第2の光検出器アレイ、 ならびに、
前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間の光路に配置された第の光学調整構成要素
を備える光検出システム。
【請求項2】
前記第の光学調整構成要素は、前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間で光をコリメートするコリメータを有する、請求項1に記載の光検出システム。
【請求項3】
前記第の光学調整構成要素はビームスプリッタを有する、請求項1または2に記載の光検出システム。
【請求項4】
前記第の光学調整構成要素は波長分離器を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項5】
前記第の光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項6】
前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間に2つ以上の光学調整構成要素が配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項7】
前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間に配置された2つ以上の光学調整構成要素は、ダイクロイックミラーとコリメータとを有する、請求項6に記載の光検出システム。
【請求項8】
前記第1の光学調整構成要素は、前記第1の光検出器アレイの前記第1の光検出器に隣接して配置されているダイクロイックミラーを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項9】
第3の光検出器アレイ、ならびに
前記第2の光検出器アレイと前記第3の光検出器アレイとの間の光路に配置された第の光学調整構成要素
を更に備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項10】
前記光検出器アレイが、単一の軸に沿ってまたは複数の軸に沿って配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項11】
前記光検出器アレイは、前記光検出システム内で多角形の配置を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項12】
各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器アレイを位置合わせするためのアライナを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項13】
前記光検出器は光電子増倍管である、請求項1~12のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項14】
前記第の光学調整構成要素は、前記第1の光検出器アレイから前記第2の光検出器アレイに光を伝播するように構成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の光検出システム。
【請求項15】
光源と、
請求項1~14のいずれか1項に記載の光検出システムと
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の光検出システムでフロー流束からの光を検出することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば、試料が疾患または病状の診断に使用される場合に、試料(例えば、生体試料)の成分を明らかにするために光検出がよく使われる。試料が照射されると、光は試料によって散乱され、試料を透過し、試料から(例えば、蛍光によって)放出され得る。形態、吸収率、及び蛍光標識の存在などの、試料成分の違いは、試料によって散乱され、試料を透過し、または試料から放出される光に変動を引き起こし得る。
【0002】
このような変動は、試料中の成分の存在を明らかにし、同定するために用いることができる。これらの変動を定量化するために、光が収集され、検出器の表面に導かれる。検出器に到達する光の量は、検出器によって出力される光信号の品質全般に影響を及ぼし得る。検出器に到達する光の量は、検出器の表面積を増加させることによって、または試料からの光の収集を増加させることによって増やすことができる。
【0003】
試料中の成分を明らかにするために光検出を利用する1つの技法はフローサイトメトリである。検出された光から生成されるデータを使用して、成分の分布を記録することができ、その場合に所望の物質を選別することができる。フローサイトメータは、一般に、血液試料などの液状試料を受け入れるための試料貯留槽と、シース液を収容しているシース貯留槽とを含む。フローサイトメータは、液状試料中の粒子(細胞を含む)を細胞細流としてフローセルに輸送し、一方でシース液もフローセルに導く。フローセル内では、細胞細流の周囲に流動シースが形成されて、細胞細流に実質的に一様な速度を付与する。フローセルは、フローセル内で光源の中心を通過するように、細流内のセルを流体力学的に集束させる。光源からの光は、散乱として、もしくは透過分光法によって検出することができ、または試料中の1つ以上の成分によって吸収され、ルミネセンスとして再放出され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、2つ以上の光検出器アレイを有する光検出システムを含む。ある特定の実施形態によるシステムは、第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイであって、各光検出器アレイが2つ以上の光検出器(例えば、光電子増倍管)を有する、第1の光検出器アレイと、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素とを含む。いくつかの実施形態では、光学調整構成要素は、光検出器アレイ間で光をコリメートするコリメータである。光学調整構成要素は、ビームスプリッタまたは波長分離器を含んでもよい。光学調整構成要素が、光検出器アレイの1つ以上の光検出器に隣接して配置されることもある。場合によっては、ダイクロイックミラーが、光検出器アレイ内の1つ以上の光検出器に隣接して配置され得る。システムは、第3の光検出器アレイ、第4の光検出器アレイ、第5の光検出器アレイ、第6の光検出器アレイ、第7の光検出器アレイ、第8の光検出器アレイ、第9の光検出器アレイ、第10の光検出器アレイといった追加の光検出器アレイを含む場合がある。これらのシステムでは、光学調整構成要素(例えば、コリメータ、ビームスプリッタ、波長分離器)を、それぞれの追加の光検出器アレイの間に配置してもよい。システムはまた、2つの光検出器アレイを位置合わせするためのアライナと、2つの光検出器アレイを互いに結合するためのコネクタとを含んでもよい。実施形態では、本光検出システムは、光を受け入れるためのオリフィスを備える近位端、及び遠位端とを有する。場合によっては、光検出システムの近位端は、第1の光検出器アレイである。
【0005】
本開示の態様は、試料(例えば、フロー流束中の試料)からの光を測定するためのシステムを含むこともできる。ある特定の実施形態では、システムは、光源と、1つ以上の波長の光を検出する光検出システムとを含む。この光検出システムは、第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイと、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素とを有している。いくつかの実施形態では、システムは、光を光検出システムに伝えるための光収集システムをも含む。光収集システムは、自由空間光中継システムであってもよく、または光中継用光ファイバ束などの光ファイバを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本システムは、フローサイトメータである。
【0006】
本開示の態様はまた、インテロゲーションフィールドの試料(例えば、フロー流束中の試料)に光源を照射する方法、本光検出システムを用いて試料からの光を収集し、検出する方法、及び1つ以上の波長の検出光を測定する方法を含む。いくつかの実施形態では、自由空間光中継システムによって光が収集され、光検出システムに伝えられる。別の実施形態では、光中継用光ファイバ束などの光ファイバによって光が収集され、光検出システムに伝えられる。
【0007】
本光検出システムの1つ以上の構成要素を含むキットも提供される。ある特定の実施形態によるキットは、2つ以上の光検出器アレイと、各光検出器アレイ間の光路に配置するための光学調整構成要素とを含む。実施形態では、光学調整構成要素は、コリメータ、ビームスプリッタ、波長分離器、またはこれらの組合せを含む。キットはまた、光電子増倍管(例えば、メタルパッケージ型光電子増倍管)などの1つ以上の光検出器を含んでもよい。
【0008】
本発明は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面に含まれるものは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1-1】ある特定の実施形態による、4つの光検出器アレイを有する光検出システムを示す図である。
図1-2】ある特定の実施形態による、4つの光検出器アレイを有する光検出システムを示す図である。
図2】本開示のある特定の実施形態による光検出システムを、光検出システムを通る光路の例と共に示す図である。
図3】本開示のある特定の実施形態による光検出システムの3次元描写を示す図である。
図4】本開示の別の実施形態による、光検出器アレイの配列を有する光検出システムを示す図である。
図5】本開示の別の実施形態による、光検出器アレイの配列を有する光検出システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
光(例えば、フロー流束中の光)を検出するためのシステムについて記載する。実施形態による光検出システムは、2つ以上の光検出器アレイと、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素とを含む。試料(例えば、フロー流束中の試料)によって放出される光を測定するためのシステム及び方法、ならびに2つ以上の光検出器アレイと光学調整構成要素とを有するキットも提供される。
【0011】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、記載されている特定の実施形態には、かかる実施形態は変わり得るので、それらに限定されないと理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、ある特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0012】
値の範囲が与えられる場合、文脈上別段に明示される場合を除き、その範囲の上限値と下限値との間の、下限値の単位の10分の1までの各介在値と、その記載された範囲内のその他の記載値または介在値とは、本発明に包含されると解される。これらのより小さな範囲の上限値及び下限値は、その小さな範囲に別個に含まれてもよく、これらの値はまた、記載された範囲内のいずれかの具体的に除外された境界値に従うことを条件として、本発明に包含される。記載された範囲が境界値の一方または両方を含む場合、含まれた境界値のいずれかまたは両方を除外する範囲はまた、本発明に含まれる。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施または試験で使用することもできるが、代表的な、例証となる方法及び材料をここに記載する。
【0014】
本明細書に引用される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許それぞれが、あたかも参照によって援用されるために具体的かつ個別に示されたかのように、参照によって本明細書に援用され、その刊行物が関連して引用される方法及び/または材料を開示して記載するために、参照によって本明細書に援用される。いかなる刊行物の引用も、その本願出願日前の開示に関するものであり、本発明が、先行発明の効力により、そのような刊行物に対して先行していないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、公開日は個別に確認する必要があり得る。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段に明示されていない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。さらに、特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外して作成してもよいことに留意すべきである。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の記載に関する「単独で」、「のみ」などのような排他的用語の使用、または「否定的な」限定の使用のための先行詞として機能することが意図されている。
【0016】
本明細書に開示される記載を読めば当業者には明らかなように、本明細書に記載され例示される個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に切り離し得る、または他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせ得る、別個の構成要素及び特徴を有する。記載されるいかなる方法も、記載された事象の順序で、または論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
【0017】
上記に要約したように、本開示は、2つ以上の光検出器アレイを有する光検出システムを提供する。本開示の実施形態を更に説明するにあたり、本発明の実施形態による光検出システムを、最初に、より詳細に記載する。次に、試料(例えば、フロー流束中の試料)によって放出される光を測定するためのシステム及び方法、ならびに2つ以上の光検出器アレイと光学調整構成要素とを有するキットについて記載する。2つ以上の光検出器アレイと、光検出器アレイ間の光路に配置される光学調整構成要素とを含むキットも提供される。
【0018】
光検出システム
本開示の態様は、試料(例えば、フローサイトメータのフロー流束中の試料)によって放出された光を検出するように構成されている光検出システムを含む。以下により詳細に説明するように、光検出システムは、2つ以上の光検出器アレイを含み、各光検出器アレイは、光検出器と、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素とを有する。いくつかの実施形態では、システムは、第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイ、及び、第1の光検出器アレイと第2の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素を含む。本開示の実施形態では、光検出システム中を伝播する光が、ほとんどまたは全く発散しない。換言すれば、本光検出システムでは、光ビームが、ある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、光ビームへの変化は、あったとしてもほとんどない。いくつかの実施形態では、本光検出システムを伝播する光の焦点半径は、ある光検出器アレイから別の光検出器アレイに光が伝播する際に、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下、例えば0.5%以下、例えば0.1%以下、例えば0.01%以下、例えば0.001%以下、及び例えば0.0001%以下といった、5%以下の分だけ増加する。ある場合には、本光検出システムを伝播する光の焦点半径は全く増加しない(すなわち、測定できるほどの焦点半径の増加を示さない)。例えば、光検出システムを伝播する光ビームのサイズに応じて、その光ビームの径は、光ビームがある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、例えば1.5mm以下、例えば1mm以下、例えば0.9mm以下、例えば0.8mm以下、例えば0.7mm以下、例えば0.6mm以下、例えば0.5mm以下、例えば0.4mm以下、例えば0.3mm以下、例えば0.2mm以下、例えば0.1mm以下、例えば0.05mm以下、例えば0.01mm以下、例えば0.001mm以下、例えば0.0001mm以下、及び例えば0.00001mm以下といった、2mm以下の分だけ増加する。ある場合には、光ビームの径は、光ビームがある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、測定できるほどの増加を示さない(すなわち、0mmだけ増加する)。
【0019】
他の実施形態では、ビームの強度は、このビームがある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下、例えば5%以下、例えば1%以下、例えば0.5%以下、例えば0.1%以下、例えば0.01%以下、及び例えば0.001%以下といった、25%以下の分だけ低減する。ある場合には、本光検出システムを伝播する光の強度は全く低減しない(すなわち、測定できるほどの強度の低減を示さない)。例えば、光検出システムを伝播する光の量に応じて、その光ビームの強度は、光ビームがある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、例えば0.5mW/cm2 以下、例えば0.1mW/cm2 以下、例えば0.05mW/cm2 以下、例えば0.01mW/cm2 以下、例えば0.005mW/cm2 以下、例えば0.001mW/cm2 以下、例えば0.0005mW/cm2 以下、例えば0.0001mW/cm2 以下、例えば0.00005mW/cm2 以下、及び例えば0.00001mW/cm2 以下といった、1mW/cm2 以下の分だけ低減する。ある場合には、光強度は、光がある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、測定できるほどの低減を示さない(すなわち、0mW/cm2 だけ低減する)。
【0020】
上記に要約したように、光検出システムは、2つ以上の光検出器アレイを含む。「光検出器アレイ」とは、光を検出するように構成された2つ以上の光検出器の配列または一続きを指すものとして、その従来の意味で使われる用語である。実施形態では、光検出器アレイは、例えば3個以上の光検出器、例えば4個以上の光検出器、例えば5個以上の光検出器、例えば6個以上の光検出器、例えば7個以上の光検出器、例えば8個以上の光検出器、例えば9個以上の光検出器、例えば10個以上の光検出器、例えば12個以上の光検出器、及び例えば15個以上の光検出器といった、2個以上の光検出器を含み得る。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは5個の光検出器を含む。光検出器を、必要に応じて任意の幾何学的配置に並べてもよく、対象の配列としては、正方形配置、長方形配置、台形配置、三角形配置、六角形配置、七角形配置、八角形配置、九角形配置、十角形配置、十二角形配置、円形配置、楕円形配置、及び不規則形状配置があるがこれらに限定されない。各光検出器アレイ内の光検出器を(XZ平面内で参照されるように)他方に対して、例えば15°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°、及び例えば45°~90°といった、10°~180°の範囲の角度で配向させてもよい。
【0021】
各光検出器アレイ内の光は、ミラー、ビームスプリッタ、またはレンズを用いるなどの任意の都合がよいプロトコルによって、アレイ内の光検出器に伝えることができる。アレイ内の光検出器の個数に応じて、いくつかの実施形態の光検出器アレイはダイクロイックミラーを含む。ある特定の実施形態では、対象の光検出器アレイは、例えばアレイ内の2個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、例えばアレイ内の3個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、例えばアレイ内の4個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、例えばアレイ内の5個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、例えばアレイ内の6個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、例えばアレイ内の7個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラー、及び例えばアレイ内の8個以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラーといった、アレイ内の1つ以上の光検出器に隣接したダイクロイックミラーを含む。ある場合には、光検出器アレイは、アレイ内の光検出器のそれぞれに隣接したダイクロイックミラーを含む。他の実施形態では、光検出器アレイは、光を光検出器のそれぞれに伝えるための1つ以上のビームスプリッタを含む。例えば、光検出器アレイは、例えば3個以上のビームスプリッタ、例えば4個以上のビームスプリッタ、例えば5個以上のビームスプリッタ、例えば6個以上のビームスプリッタ、例えば7個以上のビームスプリッタ、例えば8個以上のビームスプリッタ、例えば9個以上のビームスプリッタ、及び例えば10個以上のビームスプリッタといった、2個以上のビームスプリッタを含み得る。
【0022】
光検出器は、数ある光検出器の種類のなかで、アクティブ画素センサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、インテンシファイア付電荷結合素子(ICCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサまたはN型金属酸化膜半導体(NMOS)画像センサ、発光ダイオード、光子計数器、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、光電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体または量子ドットフォトダイオード、及びこれらの組合せなどの、任意の都合がよい光学センサであってよい。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは、メタルパッケージ型光電子増倍管などの光電子増倍管を含む。
【0023】
対象の光検出器は、例えば2種類以上の波長、例えば5種類以上の波長、例えば10種類以上の波長、例えば25種類以上の波長、例えば50種類以上の波長、例えば100種類以上の波長、例えば200種類以上の波長、例えば300種類以上の波長、及び例えばフロー流束中の試料から放出される400種類以上の波長の測定光といった、収集される1つ以上の波長の光を測定するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、光検出器は、ある波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集される光を測定するように構成されている。ある特定の実施形態では、対象の検出器は、ある波長の範囲にわたって光のスペクトルを収集するように構成されている。例えば、システムは、200nm~1000nmの1つ以上の波長範囲にわたって光のスペクトルを収集するように構成された1つ以上の検出器を含んでもよい。さらに他の実施形態では、対象の検出器は、フロー流束中の試料によって放出される、1つ以上の特定波長の光を測定するように構成されている。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれら任意の組合せのうちの1つ以上の光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含み得る。ある特定の実施形態では、1つ以上の検出器を、蛍光測定で試料と共に使用されるような特定のフルオロフォアと対になるように構成することができる。
【0025】
実施形態では、光検出システムは、光を連続的に、または離散的な間隔で測定するように構成される。ある場合に、対象の検出器は、収集された光を連続的に測定するように構成される。他の例では、光検出システムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び例えば1000ミリ秒毎に光を測定するなど、離散的な間隔で、または他の間隔で測定を行うように構成されている。
【0026】
本開示の実施形態による光検出システムは、光通信を行う2つ以上の光検出器アレイを含む。「光通信する」とは、光が1つ以上の光路に沿って光検出器アレイ間を伝わるように光検出器アレイが構成されることを意味する。例えば、光は、例えば3つ以上の光路、例えば4つ以上の光路、及び例えば5つ以上の光路といった、2つ以上の光路に沿って光検出器アレイ間を伝わってもよい。ある特定の実施形態では、光は、光検出システム内の全ての光検出器アレイにわたって、単一の光路に沿って伝わる。以下により詳細に説明するように、光検出器アレイは、直線状の配置に(すなわち、単一の軸に沿って)並べてもよく、光は単一の光路に沿って、各光検出器アレイに伝えられる。これらの実施形態では、光は、光検出器アレイの一続きを伝播し、最後の光検出器アレイで(例えば、ビームストップでもって)終わる。
【0027】
本開示の実施形態では、各光検出器アレイ間の光路は、光学調整構成要素を含む。「光学調整」とは、光がある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝搬するときに、変更または調整が行われることを意味する。例えば、光学調整は、光ビームのプロファイル、光ビームの焦点、ビーム伝播の方向を変更すること、または光ビームをコリメートすることであってもよい。
【0028】
場合によっては、光学調整には、光のコリメートが含まれる。「コリメート」とは、光伝播の共線性を光学的に調整すること、または共通の伝播軸からの光による発散を減少させることを指すものとして、その従来の意味で使われる用語である。場合によっては、コリメートすることには、光ビームの空間断面を狭めることが含まれる。他の例では、光学調整には、光ビームの伝播を例えば5°以上、例えば10°以上、例えば15°以上、例えば20°以上、例えば25°以上、例えば30°以上、例えば45°以上、例えば60°以上、例えば75°以上、及び光伝播方向を90°以上変更することといった、1°以上変更することなどの、光ビームの方向を変更することが含まれる。さらに他の例では、光学調整は、寸法を例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、及び例えば寸法を75%以上減少させることといった、5%以上減少させることなど、光の寸法(例えば、ビームスポット)を減少させるための縮小プロトコルである。
【0029】
光学調整構成要素は、光ビームに所望の変更をもたらす任意の都合がよいデバイスまたは構造であり得、レンズ、ミラー、ビームスプリッタ、コリメートレンズ、ピンホール、スリット、格子、光屈折器、及びこれらの任意の組合せを含み得るが、これらに限定されない光検出システムは、必要に応じて例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、及び例えば5つ以上の光学調整構成要素といった、1つ以上の光学調整構成要素を含んでもよい。
【0030】
ある特定の実施形態では、光検出システムは、各光検出器アレイ間の光路にコリメータを含む。コリメータは、1つ以上のミラーもしくは湾曲レンズ、またはこれらの組合せなど、任意の都合がよいコリメートプロトコルであってもよい。例えば、コリメータは、ある場合には、単一のコリメートレンズである。他の例では、コリメータは、コリメートミラーである。さらに他の例では、コリメータは、2つのレンズを含む。さらに他の例では、コリメータは、ミラー及びレンズを含む。コリメータが1つ以上のレンズを含む場合、コリメートレンズの焦点距離は、例えば6mm~475mm、例えば7mm~450mm、例えば8mm~425mm、例えば9mm~400mm、例えば10mm~375mm、例えば12.5mm~350mm、及び例えば15mm~300mmの範囲の焦点距離といった、5mm~500mmの範囲で変えてもよい。ある特定の実施形態では、焦点距離は、410mmまたは420mmなど、例えば405mm~475mm、例えば410mm~450mm、及び例えば410mm~425mmといった、400mm~500mmの範囲である。
【0031】
ある特定の実施形態では、光学調整構成要素は波長分離器を含む。「波長分離器」とは、多色光をその成分波長に分離するために適した光学プロトコルを指すものとして、その従来の意味で本明細書に使われる用語である。ある特定の実施形態によれば、波長分離は、多色光の特定の波長または波長範囲を選択的に通過させ、または遮断することを含み得る。本フローセルノズルの一部であってもよく、または本フローセルノズルと組み合わせてもよい、対象の波長分離プロトコルには、いくつかの波長分離プロトコルのなかでも特に、着色ガラス、バンドパスフィルタ、干渉フィルタ、ダイクロイックミラー、回折格子、単色光分光器、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、波長分離器は光学フィルタである。例えば、光学フィルタは、例えば3nm~95nm、例えば5nm~95nm、例えば10nm~90nm、例えば12nm~85nm、例えば15nm~80nm、及び例えば20nm~50nmの範囲の最小帯域幅を有したバンドパスフィルタといった、2nm~100nmの範囲の最小帯域幅を有したバンドパスフィルタであってもよい。
【0032】
本光検出システムでは、光学調整構成要素は、光検出器アレイ間の位置にあるなど、光検出器アレイから分離されていてもよく、または1つ以上の光検出器アレイに物理的に結合されていてもよい。一例では、光学調整構成要素は、1つ以上の光検出器アレイに、永久接着剤もしくは非永久接着剤で結合される、または面ファスナ、磁石、掛け金、ネジ、ノッチ、皿穴、座ぐり穴、溝、ピン、テザー、ヒンジ、ベルクロ(登録商標)、もしくはこれらの任意の組合せなどの留め具で付着される。ある場合には、光学調整構成要素は、着脱可能に取り付けられている。「着脱可能に」とは、光学調整構成要素を光検出システムから自由に取り外し、再取り付けできることを意味するものとして、その従来の意味で本明細書に使われる用語である。他の例では、光学調整構成要素は、1つ以上の光検出器アレイに共成形される。さらに別の例では、光学調整構成要素は、1つ以上の光検出器アレイに直接組み込まれる。
【0033】
ある特定の実施形態では、本システムの光検出器アレイは筐体を含み、2つ以上の光検出器が筐体内に配置され、筐体は、光が光検出器アレイの光検出器に伝播するように、オリフィスを有した壁を含む。光検出器アレイの大きさによるが、オリフィスは、例えば0.05cm2 ~9cm2 、例えば0.1cm2 ~8cm2 、例えば0.5cm2 ~7cm2 、及び例えば1cm2 ~5cm2 といった、0.01cm2 ~10cm2 の範囲である。ある特定の実施形態では、筐体は、光が光検出器から本光検出システム内の別の光検出器アレイに伝播するように、1つ以上の追加のオリフィスを有する。例えば、筐体は、光が別の光検出器アレイに伝播するように、オリフィスを有した第2の壁を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、ある特定の実施形態では、追加の光検出器アレイを光検出システムに接続するために、光検出器アレイ筐体の1つ以上の壁を取り外してもよい。
【0034】
光検出器アレイ同士は、本光検出システム内で着脱可能に接続されてもよい。「着脱可能に」とは、各光検出器アレイを自由に取り外し、再取り付けできるというような、その従来の意味で本明細書では使われる用語である。光検出器アレイは、任意の都合がよいプロトコルによって接続することができる。ある特定の実施形態では、光検出器アレイ同士は、面ファスナ、磁石、掛け金、ノッチ、皿穴、座ぐり穴、溝、ピン、テザー、ヒンジ、ベルクロ、非永久接着剤、またはこれらの組合せなどの留め具で接続される。ある場合には、2つの光検出器アレイ同士を螺合することにより、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに接続される。他の例では、突起を溝に差し入れて嵌めることにより、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに接続される。さらに他の例では、1つ以上のネジにより、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに接続される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の光検出器アレイを第2の光検出器アレイに結合するために、第1の光検出器アレイ筐体の外壁上のアライナが、第2の光検出器アレイ筐体上のアライナと接触するよう配置される。光検出器アレイの筐体は、例えば3個以上のアライナ、例えば4個以上のアライナ、例えば5個以上のアライナ、例えば7個以上のアライナ、及び例えば10個以上のアライナといった、2個以上のアライナを含み得る。位置合わせ用突起、位置合わせ用レール、位置合わせ用ノッチ、位置合わせ用溝、位置合わせ用スロット、位置合わせ用皿穴、位置合わせ用座ぐり穴、位置合わせ用凹部、位置合わせ用ホール、またはこれらの組合せなど、いずれかの好適なタイプのアライナを使用してもよい。アライナの形状は様々であり得、対象の断面形状としては、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線的な断面形状、例えば、円形、楕円形などの曲線形を持つ断面形状、及び例えば、平坦な頂部に放物線形状の底部が結合された不規則な形状があるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、アライナは円筒形である。他の実施形態では、アライナは球形である。さらに他の実施形態では、アライナは、正方形、長方形などの多角形である。各アライナの幅は様々であり得、ある場合には、例えば2mm~22mm、例えば3mm~20mm、例えば4mm~17mm、及び例えば5mm~15mmといった、1mm~25mmの範囲である。取付け台の遠位端に配置される各アライナの長さは、例えば2mm~45mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~35mm、例えば5mm~30mm、及び例えば10mm~20mmといった、1mm~50mmの範囲である。配置されるアライナが、ノッチ、皿穴、座ぐり穴、スロット、溝、またはホールなどの位置合わせ用凹部である場合、アライナの深さは、例えば2mm~45mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~35mm、例えば5mm~30mm、及び例えば10mm~20mmといった、1mm~50mmの範囲であってもよい。
【0036】
光検出器アレイ筐体が複数のアライナを含む場合、各アライナ間の距離は様々であり得、例えば3mm以上、例えば5mm以上、例えば7mm以上、例えば10mm以上、及び例えば25mm以上といった、2mm以上の間隔が空けられる。光検出器アレイ筐体が3つ以上のアライナを含む場合、各アライナ間の距離は、同じであってもよく、または異なっていてもよく、またはこれらの組合せであってもよい。いくつかの実施形態では、各アライナ間の距離は異なっている。他の実施形態では、各アライナは、互いに等距離に配置される。ある特定の実施形態では、光検出器アレイ筐体は、光検出器筐体の壁の外縁に沿って等距離に配置された4つのアライナを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の光検出器アレイのアライナが第2の光検出器アレイのアライナに結合される場合に、光検出器アレイの光学構成要素が光学的に位置合わせされ、光検出器アレイ間に完全な光路を形成する。換言すれば、これらの実施形態では、第1の光検出器アレイのアライナが第2の光検出器アレイのアライナに結合されていない場合は、第1の光検出器アレイと第2の光検出器アレイとの間の完全な光路は完成しておらず、光は、第1の光検出器アレイから第2の光検出器アレイの光検出器まで完全には伝播しない。例えば、第1の光検出器アレイのアライナが第2の光検出器アレイのアライナに十分に結合されていない場合は、第1の光検出器アレイからの光は、第2の光検出器アレイの光検出器の、例えば80%以下、例えば70%以下、例えば60%以下、例えば50%以下、例えば40%以下、例えば30%以下、例えば25%以下、例えば20%以下、及び10%以下になど、第2の光検出器アレイの光検出器の90%以下にしか伝播しない可能性がある。本光検出器アレイの光検出器の個数に応じて、光は、光検出器の、例えば9個以下、例えば8個以下、例えば7個以下、例えば6個以下、例えば5個以下、例えば4個以下、例えば3個以下、例えば2個以下、及び例えば1個以下といった、第2の光検出器アレイ内の光検出器の10個以下に伝播し得る。ある特定の実施形態では、第1の光検出器アレイのアライナが第2の光検出器アレイのアライナに十分に結合されていない場合は、第1の光検出器アレイからの光は、第2の光検出器アレイのどの光検出器にも到達しない。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに結合される場合に、第1の光検出器アレイからの光が第2の光検出器アレイに伝えられるように、第1の光検出器アレイのミラーが第2の光検出器アレイのミラーと光学的に位置合わせされる。別の例では、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに結合される場合に、第1の光検出器アレイのビームスプリッタが、第2の光検出器アレイのミラーと光学的に位置合わせされる。さらに別の例では、第1の光検出器アレイが第2の光検出器アレイに結合される場合に、光検出器アレイのミラーが、第2の光検出器アレイのコリメートレンズと光学的に位置合わせされる。
【0039】
上記に要約したように、光検出システムは、2つ以上の光検出器アレイを含む。検出される光の種別によるが、光検出器アレイのアレイ数を必要に応じて変えてもよく、例えば4アレイ以上、例えば5アレイ以上、例えば6アレイ以上、例えば7アレイ以上、例えば8アレイ以上、例えば9アレイ以上、例えば10アレイ以上、例えば11アレイ以上、例えば12アレイ以上、例えば13アレイ以上、例えば14アレイ以上、及び例えば15アレイ以上の光検出器アレイといった、3アレイ以上の光検出器アレイにしてもよい。上記に要約したように、本光検出システムの光検出器アレイは光通信を行う。そのため、各光検出器アレイからの光は、本光検出システムの他の光検出器アレイに伝えられる。
【0040】
光検出器アレイを、必要に応じて任意の幾何学的配置に並べてもよく、対象の配列としては、直線配置、星形配置、三角形配置、正方形配置、長方形配置、台形配置、三角形配置、六角形配置、七角形配置、八角形配置、九角形配置、十角形配置、十二角形配置、円形配置、楕円形配置、及び不規則形状配置があるがこれらに限定されない。
【0041】
光検出器アレイを、1つ以上の軸に沿って並べてもよい。実施形態では、光検出器アレイを他方に対して、(XZ平面内で参照して)例えば10°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°、及び例えば45°~90°といった、0°~180°の範囲の角度で配向させてもよい。実施形態では、光検出器アレイを、光検出器アレイの数と光検出器アレイ間に配置された光学調整構成要素とに応じて、同じ角度または異なる角度で互いに配列させてもよい。例えば、ある場合には、第1の光検出器アレイと第2の光検出器アレイとの間の角度は、第2の光検出器アレイと第3の光検出器アレイとの間の角度と同じである。いくつかの実施形態では、第1の光検出器アレイと第2の光検出器アレイとの間の角度は、第2の光検出器アレイと第3の光検出器アレイとの間の角度と異なっている。
【0042】
図4は、本開示の別の実施形態による、光検出器アレイの配列を有する光検出システムを示す。光検出システム400は、5つの光検出器アレイ401a、401b、401c、401d、及び401eを含む。光検出器アレイ401aは、コリメータ402aを通して光を光検出器アレイ401aに送り出すダイクロイックミラー403aを介して入射光収集構成要素(例えば、図示していないファイバ光学光収集器、自由空間中継収集器)を備えた光検出器である。ダイクロイックミラー403aを透過する光は、光をダイクロイックミラー403cに透過させるとともに光検出器アレイ401cに向けてコリメータ402cに送り出す第2のダイクロイックミラー403bに伝えられる。ダイクロイックミラー403cからの光はコリメータ402bに伝播して光検出器アレイ401bに入り、一方、ダイクロイックミラー403cを透過する光は、ダイクロイックミラー403dに伝えられる。ダイクロイックミラー403dは、光をコリメータ402dに通して、光検出器アレイ401dへとさらに伝える。ダイクロイックミラー403dを透過する光は、コリメータ402eに伝えられて光検出器アレイ401eに入る。光検出器アレイ401eは、ビームストップ(図示せず)をさらに含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、光検出器アレイは、例えば3軸以上、例えば4軸以上、例えば5軸以上、例えば6軸以上、例えば7軸以上、例えば8軸以上、例えば9軸以上、及び例えば10軸以上の平行軸といった、2軸以上の平行軸に沿って配列されている。場合によっては、各平行軸は、同アレイ数の光検出器アレイを含んでもよい。他の例では、各平行軸は、異なるアレイ数の光検出器アレイを含んでもよい。各軸は、例えば2アレイ以上、例えば3アレイ以上、例えば4アレイ以上、及び例えば5アレイ以上といった、1アレイ以上の光検出器アレイを含み得る。異なる軸に沿って配置された光検出器アレイは、上記のように、ビームスプリッタ、ダイクロイックミラーなど、光学調整構成要素を介して光通信する。
【0044】
ある特定の実施形態では、光検出システムは、同心円状に配列された光検出器アレイを含む。同心とは、各光検出器アレイが本光収集システムの中心点から等距離を隔てて配置される配列を指すものとして、その従来の意味で本明細書に使われる用語である。場合によっては、各光検出器アレイの中心は、光検出システムの中心点から等距離にある。他の例では、各光検出器アレイへの入口オリフィスは、光検出システムの中心点から等距離にある。中心点は、上記の1つ以上の光学調整構成要素(例えば、ビームスプリッタ、ダイクロイックミラー、コリメートレンズなど)を含んでもよい。
【0045】
これらの実施形態では、例えば4つ以上の光検出器アレイ、及び例えば5つ以上の同心円状に配列された光検出器アレイといった、3つ以上の光検出器アレイが同心円状に配置され得る。ある場合には、光検出システムの全ての光検出器アレイを同心円状に配列してもよい。他の例では、光検出システムは、同心円状に配列された光検出器アレイの1つ以上の群と、上記のように他の何らかの幾何学的配置に配列された光検出器アレイの1つ以上の群とを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、対象の光検出システムは、同心円状に配列された光検出器アレイの第1の群と、直線状に配列されるなど、別の配置に配列された光検出器アレイの第2の群とを含む。
【0046】
図5は、本開示の別の実施形態による、光検出器アレイの配列を有する光検出システムを示す。光検出システム500は、光検出器アレイ501a、501b、501c、501d、及び501eのそれぞれに光を中継する光学調整構成要素を有した中央コンパートメント504の周りに同心円状に配列された5つの光検出器アレイ501a、501b、501c、501d、及び501eを含む。各光検出器アレイは、光検出器502a、502b、502c、502d、及び502eを含み、各光検出器に隣接してダイクロイックミラーが配置される。光は、図のように、光ビーム経路503に沿って光検出システムに伝えられる。光検出器アレイの配置に応じて、伝播するビームの強度は、このビームがある光検出器アレイから別の光検出器アレイに伝播する際に、例えば20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下、例えば5%以下、例えば1%以下、例えば0.5%以下、例えば0.1%以下、例えば0.01%以下、及び例えば0.001%以下といった、25%以下の分だけ低減する。ある場合には、本光検出システムを伝播する光の強度は全く低減しない(すなわち、測定できるほどの強度の低減を示さない)。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは、各光検出器アレイの光検出器によって検出される光の強度が、例えば5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下、例えば0.5%以下、例えば0.1%以下、例えば0.01%以下、及び例えば0.001%以下といった、10%以下の差で変化するように配列されている。
【0047】
ある特定の実施形態では、光検出器アレイは、単一の軸に沿って直線的に配列され得る。このような実施形態では、光は各光検出器アレイを経由して順次に伝えられる。例えば、ある例では、本光検出システムは2つの光検出器アレイを含み、光は第1の光検出器アレイから第2の光検出器アレイに伝えられる。別の例では、光検出システムは3つの光検出器アレイを含み、光は第1の光検出器アレイから第2の光検出器アレイに、次いで第3の光検出器アレイに伝えられる。さらに別の例では、光検出システムは4つの光検出器アレイを含み、光は第1の光検出器アレイから第2の光検出器アレイに、第3の光検出器アレイに、次いで第4の光検出器アレイに伝播する。ある特定の実施形態では、対象の光検出システムは、線形に配列された10個以上の光検出器アレイを含み、光は、線形配列の最初の光検出器アレイから最後の光検出器アレイまで、順次に伝播する。
【0048】
いくつかの実施形態では、光検出システムは、光検出器アレイのそれぞれに、1つ以上のダイクロイックミラーで、光検出器アレイ間の光路に沿って光を伝える。例として光検出システムは、例えば3個以上のダイクロイックミラー、例えば4個以上のダイクロイックミラー、例えば5個以上のダイクロイックミラー、例えば6個以上のダイクロイックミラー、例えば7個以上のダイクロイックミラー、例えば8個以上のダイクロイックミラー、例えば9個以上のダイクロイックミラー、及び例えば10個以上のダイクロイックミラーといった、2個以上のダイクロイックミラーを含み得る。ある場合には、光検出器アレイは、検出器の個数の、光検出器アレイ間の光路に沿って配置されたダイクロイックミラーの個数に対する比が、例えば3.5:1以上、例えば4:1以上、例えば4.5:1以上、例えば5:1以上、例えば5.5:1以上、例えば6:1以上、例えば6.5:1以上、及び例えば7:1以上の比といった、3:1以上になるように配列されている。ある例では、光検出システムは、16個の検出器と、光路に沿って4個のダイクロイックミラーとを含む。別の例では、光検出システムは、32個の検出器と、光路に沿って5個のダイクロイックミラーとを含む。さらに別の例では、光検出システムは、25個の検出器と、光路に沿って8個のダイクロイックミラーとを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の光検出器アレイによって受光される光は、光収集システムによって第1の光検出器アレイに伝達され得る。光収集システムは、光を収集して第1の光検出器アレイに導く、いずれかの好適な光収集プロトコルであり得る。いくつかの実施形態では、光収集システムは、光中継用光ファイバ束などの光ファイバを含む。他の実施形態では、光収集システムは自由空間光中継システムである。
【0050】
実施形態では、光収集システムは、接着剤を用いるか、一緒に共成形されるか、または第1の光検出器アレイに統合されるなどして、第1の光検出器アレイに物理的に結合されてもよい。ある特定の実施形態では、光収集システムと第1の光検出器アレイとは、単一ユニットに統合される。場合によっては、光収集システムは、面ファスナ、磁石、掛け金、ノッチ、皿穴、座ぐり穴、溝、ピン、テザー、ヒンジ、ベルクロ、非永久接着剤、またはこれらの組合せなど、光収集システムを第1の光検出器アレイに固定するコネクタで、第1の光検出器アレイに結合される。
【0051】
他の実施形態では、第1の光検出器アレイと光収集システムとは光通信するが、物理的には接触していない。実施形態では、光収集システムは、例えば第1の光検出器アレイから0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、例えば50mm以上、及び例えば100mm以上といった、第1の光検出器アレイから0.001mm以上のところに配置されてもよい。
【0052】
ある特定の実施形態では、光収集システムは光ファイバを含む。例えば、光収集システムは光中継用光ファイバ束であってもよく、光は、光中継用光ファイバ束を通って第1の光検出器アレイに伝達される。光を第1の光検出器アレイに伝えるために、いずれかの光ファイバ光中継システムを用いることができる。ある特定の実施形態では、第1の光検出器アレイに光を伝えるための好適な光ファイバ光中継システムとしては、米国特許第6,809,804号に記載されているような光ファイバ光中継システムがあるが、これに限定されない。この米国特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
他の実施形態では、光収集システムは自由空間光中継システムである。「自由空間光中継」とは、第1の光検出器アレイに自由空間を通して光を導くために、1つ以上の光学構成要素の配置を用いる光伝播を指すものとして、その従来の意味で本明細書に使われる表現である。ある特定の実施形態では、自由空間光中継システムは、近位端及び遠位端を有した筐体を含み、この近位端は第1の光検出器アレイに結合されている。自由空間中継システムは、1つ以上のレンズ、ミラー、スリット、ピンホール、波長分離器、またはこれらの組合せなど、様々な光学調整構成要素の任意の組合せを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、対象の自由空間光中継システムは、1つ以上の集束レンズを含む。別のいくつかの実施形態では、対象の自由空間光中継システムは、1つ以上のミラーを含む。さらに別のいくつかの実施形態では、自由空間光中継システムはコリメートレンズを含む。ある特定の実施形態では、第1の光検出器アレイに光を伝えるための好適な自由空間光中継システムとしては、米国特許第7,643,142号、米国特許第7,728,974号、及び米国特許第8,223,445号に記載されているような光中継システムがあるが、これらに限定されない。これらの米国特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
図1は、ある特定の実施形態による光検出システム100を示す。光は、光収集システム102を介して、光検出システム100の第1の光検出器アレイ101aに伝えられる。光検出器アレイ101aは5つの光検出器104aを含み、各光検出器104aは、光検出器アレイ101a中を伝わる光の1つ以上の特性を調整するための光学調整構成要素107aを有している。光検出器アレイ101aからの光は、光学調整構成要素103を介して第2の光検出器アレイ101bに伝えられる。光検出器アレイ101bは、光検出器104b及び光学調整構成要素107bを含む。光検出器アレイ101aは、留め具105aで光検出器アレイ101bに位置合わせされ、物理的に結合されている。光検出器アレイ101bからの光はさらに、光学調整構成要素103を介して第3の光検出器アレイ101cに伝えられる。光検出器アレイ101cは、光検出器104c及び光学調整構成要素107cを含む。光検出器アレイ101bはまた、留め具105bで光検出器アレイ101cに位置合わせされ、物理的に結合されている。この実施形態による光検出システム100は、第4の光検出器アレイ101dを含む。光検出器アレイ101cからの光は、光学調整構成要素103を介して光検出器アレイ101dに、光学調整構成要素107dを介して光検出器104dに伝えられる。留め具105cは、光検出器アレイ101dを光検出器アレイ101cに位置合わせして接続する。
【0055】
図2は、ある特定の実施形態による光検出システム200を示し、光検出システムを通る光路の例を表示する。第1の光検出器アレイ201aは、光収集システム202を通じて光を受光する。光検出器アレイ201aは、光検出器204aで光を検出する。光検出器アレイ201aからの光は、光学調整構成要素203を介して第2の光検出器アレイ201bに伝えられる。光検出器アレイ201bは、伝播光を検出するための光検出器204bを含む。光検出器アレイ201aは、留め具205aで光検出器アレイ201bに位置合わせされ、物理的に結合されている。光検出器アレイ201bからの光はさらに、光学調整構成要素203を介して、光検出器204cを有する光検出器アレイ201cに伝えられる。光検出器アレイ201bはまた、留め具205bで光検出器アレイ201cに位置合わせされ、物理的に結合されている。光検出システム200は、第4の光検出器アレイ201dを含む。光検出器アレイ201cからの光は、光学調整構成要素203を介して光検出器アレイ201dに、光学調整構成要素203を介して光検出器204dに伝えられる。留め具205cは、光検出器アレイ201dを光検出器アレイ201cに位置合わせして接続する。
【0056】
図3は、ある特定の実施形態による光検出システムの3次元描写を示す。光検出システム300は、直線的に配置された4つの光検出器アレイ301a、301b、301c、及び301dを有する筐体に囲まれている。光検出器アレイ301aは、光収集経路304から受光した光を検出し、光検出器302aで光を検出する。光は、光検出器アレイ301bを通って、光検出器302bで検出され、光検出器アレイ301cを通って、光検出器302cで検出され、光検出器アレイ301dに伝えられ、光検出器302dで検出される。光検出器302a、302b、302c、及び302dによって検出される光は、それぞれ光学調整構成要素303a、303b、303c、及び303dで調整される。光学調整構成要素(例えば、コリメータ)が、筐体(図示せず)の内側に、光検出器アレイ301aと光検出器アレイ301bとの間、光検出器アレイ301bと光検出器アレイ301cとの間、及び光検出器アレイ301cと光検出器アレイ301dとの間に配置されている。
【0057】
試料によって放出される光を測定するシステム
本開示の態様は、試料(例えば、フローサイトメータのフロー流束中の試料)からの光を測定するためのシステムも含む。ある特定の実施形態では、システムは、上記のように、光源と、2つ以上の光検出器アレイを有する光検出システムとを含む。例えば、対象のシステムは、光源と、第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイであって、各光検出器アレイが2つ以上の光検出器(例えば、光電子増倍管)を有する、第1の光検出器アレイと、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素とを含み得る。いくつかの実施形態では、本システムは、フローサイトメータである。場合によっては、光検出器アレイを有する光検出システムは、フローサイトメータに着脱不可能に統合されている。ある特定の実施形態では、光検出システムは、光収集システム(例えば、光ファイバまたは自由空間光中継システム)を通じて試料源(例えば、フローサイトメータのフロー流束)と光通信を行う。
【0058】
試料からの光を測定する対象のシステムは、光源を含む。実施形態では、光源は、いずれかの好適な広帯域光源または狭帯域光源であり得る。試料の成分(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子など)に応じて、光源を、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、及び例えば400nm~800nmといった、200nm~1500nmの範囲で変わる波長の光を放出するように構成してもよい。例えば、光源は、200nm~900nmの波長の光を放出する広帯域光源を含んでもよい。他の例では、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を放出する狭帯域光源を含む。例えば、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を有した光を放出する狭帯域LED(1nm~25nm)にしてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、連続波レーザなどのレーザである。例えば、このレーザを、ヘリウムネオン(HeNe)レーザとしてもよい。ある特定の実施形態では、光源はフローサイトメータ内のレーザである。
【0059】
他の実施形態では、光源は、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、発光ダイオード(連続スペクトルを有した広帯域LED、スーパールミネセンス発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED一体型など)などを含むがこれらに限定されない、ランプなどの非レーザ光源である。場合によっては、非レーザ光源は、他にも光源はあるが、安定化ファイバ結合広帯域光源、白色光源か、またはこれらのいずれかの組合せである。
【0060】
光源は、試料(フローサイトメータのフロー流束など)から、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、及び例えば100mm以上の距離といった、フロー流束から0.001mm以上の距離などの、いずれかの好適な距離に配置してもよい。さらに、光源は、いずれかの好適な角度(例えば、フロー流束の垂直軸に対する角度)で、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°、及び例えば30°~60°といった、10°~90°の範囲の角度でなど、例えば90°の角度で、試料を照射する。
【0061】
光源は、試料を連続的に、または離散的な間隔で照射するように構成してもよい。一部の例では、システムは、フローサイトメータのインテロゲーションポイントでフロー流束を連続的に照射する連続波レーザでなど、試料を連続的に照射するように構成された光源を含む。別の例では、対象のシステムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎など、または他の何らかの間隔などの離散的な間隔で試料を照射するように構成された光源を含む。光源が離散的な間隔で試料を照射するように構成されている場合には、システムは、光源を用いた試料の断続的な照射を提供するために、1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、これらの実施形態の主題のシステムは、試料を光源から遮断し、試料を光源に曝すために、1つ以上のレーザビームチョッパ、手動制御またはコンピュータ制御のビームストップを含み得る。
【0062】
実施形態では、試料によって放出された光は、2つ以上の光検出器アレイを有する(上記のような)本光検出システムに伝えられる。上記のように、本光検出器アレイの光検出器は、数ある光検出器のなかでも特に、アクティブ画素センサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、インテンシファイア付電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子計数器、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、光電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体または量子ドットフォトダイオード、及びこれらの組合せなどの光学センサを含み得るが、これらに限定されない。例として、試料からの光を測定するための光収集システムは、例えば3個以上の光検出器、例えば4個以上の光検出器、例えば5個以上の光検出器、例えば10個以上の光検出器、例えば25個以上の光検出器、及び例えば50個以上の光検出器といった、2個以上の光検出器を有する光検出器アレイを含んでもよい。ある特定の実施形態では、システムは、5個の光検出器を備えた光検出器アレイを含む。
【0063】
本開示の実施形態では、対象の検出器は、例えば2種類以上の波長、例えば5種類以上の波長、例えば10種類以上の波長、例えば25種類以上の波長、例えば50種類以上の波長、例えば100種類以上の波長、例えば200種類以上の波長、例えば300種類以上の波長、及び例えばフロー流束中の試料から放出される400種類以上の波長の測定光といった、収集される1種類以上の波長の光を測定するように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、対象の検出器は、ある波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集される光を測定するように構成されている。ある特定の実施形態では、対象の検出器は、ある波長の範囲にわたって光のスペクトルを収集するように構成されている。例えば、システムは、200nm~1000nmの1つ以上の波長範囲にわたって光のスペクトルを収集するように構成された1つ以上の検出器を含んでもよい。さらに他の実施形態では、対象の検出器は、フロー流束中の試料によって放出される、1つ以上の特定波長の光を測定するように構成されている。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれら任意の組合せのうちの1つ以上の特定波長の光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含み得る。ある特定の実施形態では、1つ以上の検出器を、蛍光測定で試料と共に使用されるような特定のフルオロフォアと対になるように構成することができる。
【0065】
実施形態では、検出器は、光を連続的に、または離散的な間隔で測定するように構成されている。ある場合に、対象の検出器は、収集された光を連続的に測定するように構成されている。他の例では、対象の検出器は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び例えば1000ミリ秒毎に光を測定するなど、離散的な間隔で、または他の間隔で測定を行うように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、試料からの光を測定するためのシステムは、試料源(例えば、フロー流束)からの光を収集して、本光検出システムの光検出器アレイに導くための光収集システムを含む。この光収集システムは、接着剤を用いるか、一緒に共成形されるか、または第1の光検出器アレイに統合されるなどして、第1の光検出器アレイに物理的に結合されてもよい。ある特定の実施形態では、光収集システムと光検出システムとは、単一ユニットに統合される。他の実施形態では、光収集システムは、面ファスナ、磁石、掛け金、ノッチ、皿穴、座ぐり穴、溝、ピン、テザー、ヒンジ、ベルクロ、非永久接着剤、またはこれらの組合せなどのコネクタで、光検出システムの第1の光検出器アレイに結合される。
【0067】
他の実施形態では、光検出システムと光収集システムとは光通信するが、物理的には接触していない。例として、光収集システムは、例えば光検出システムから0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、例えば50mm以上、及び例えば100mm以上といった、第1の光検出器アレイから0.001mm以上のところに配置されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、光収集システムは光ファイバを含む。例えば、場合によっては、光収集システムは光中継用光ファイバ束であってもよく、光は、光中継用光ファイバ束を通って第1の光検出器アレイに伝達される。他の実施形態では、光収集システムは自由空間光中継システムである。例えば、自由空間光中継システムは、近位端及び遠位端を有した筐体を含み得、この近位端は第1の光検出器アレイに結合されている。自由空間中継システムは、1つ以上のレンズ、ミラー、スリット、ピンホール、波長分離器、またはこれらの組合せなど、様々な光学調整構成要素の任意の組合せを含んでもよい。
【0069】
ある特定の実施形態では、本システムは、フロー流束中の試料によって放出される光を検出するために上記の光検出システムを用いるフローサイトメトリシステムである。試料を分析するための好適なフローサイトメトリシステム及び方法には、Ormerod (ed.),Flow Cytometry: A Practical Approach,Oxford Univ.Press (1997)、Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press (1997)、Practical Flow Cytometry,3rd ed.,Wiley-Liss (1995);Virgo,et al.(2012) Ann Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17-28、Linden,et.al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11、Alison,et al.J Pathol,2010 Dec;222(4):335-344、及びHerbig,et al.(2007) Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載されているようなものが含まれるが、これらに限定されない。これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。特定の例では、対象のフローサイトメトリシステムには、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSort(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Biosciences FACScan(商標)、及びBD Biosciences FACSCalibur(商標)システム、BD Biosciences Influx(商標)セルソータ、BD Biosciences Jazz(商標)セルソータ、及びBD Biosciences Aria(商標)セルソータなどが含まれる。
【0070】
ある特定の実施形態では、本システムは、米国特許第3,960,449号、米国特許第4,347,935号、米国特許第4,667,830号、米国特許第4,704,891号、米国特許第4,770,992号、米国特許第5,030,002号、米国特許第5,040,890号、米国特許第5,047,321号、米国特許第5,245,318号、米国特許第5,317,162号、米国特許第5,464,581号、米国特許第5,483,469号、米国特許第5,602,039号、米国特許第5,620,842号、米国特許第5,627,040号、米国特許第5,643,796号、米国特許第5,700,692号、米国特許第6,372,506号、米国特許第6,809,804号、米国特許第6,813,017号、米国特許第6,821,740号、米国特許第7,129,505号、米国特許第7,201,875号、米国特許第7,544,326号、米国特許第8,140,300号、米国特許第8,233,146号、米国特許第8,753,573号、米国特許第8,975,595号、米国特許第9,092,034号、米国特許第9,095,494号、及び米国特許第9,097,640号に記載されているフローサイトメータの1つ以上の構成要素を組み込むフローサイトメータシステムである。これらの米国特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
照射を受けた試料から収集される光の測定方法
本開示の態様は、試料(例えば、フローサイトメータのフロー流束中の試料)からの光を測定するための方法も含む。実施形態による方法を実施する際には、試料が光源で照射され、試料からの光が、上記のような2つ以上の光検出器アレイを有した光検出システムで検出される。いくつかの実施形態では、試料は生体試料である。「生体試料」とは、生物全体、植物、真菌もしくは動物組織のサブセット、細胞、またはある特定の場合に、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、羊膜帯血、尿、膣液、及び精液の中に見出され得る構成成分を指すものとして、その従来の意味で使われる用語である。したがって、「生体試料」とは、天然の生物またはその組織のサブセット、及び有機体またはその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、または抽出物の両方を指し、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の切片、呼吸器、胃腸管、心臓血管、及び尿生殖路、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、器官を含むが、これらに限定されない。生体試料は、健常組織及び疾患組織(例えば、がん性、悪性、壊死性など)の両方を含む、いずれかの種類の生物組織であってもよい。ある特定の実施形態では、生体試料は、例えば血液またはその派生物、例えば、血漿、涙液、尿、精液などの液体試料であり、場合によっては、試料は、静脈穿刺または指穿刺から得られる血液などの全血を含む血液試料である(血液は、アッセイに先立ち、防腐剤、抗凝固剤などの任意の試薬と組み合わせてもよいし、組み合わせなくてもよい)。
【0072】
ある特定の実施形態では、試料の供給源は、「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、哺乳綱内にある生物を説明するために広く使われ、食肉目(例えば、イヌ及びネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)の目を含む。場合によっては、対象はヒトである。本方法は、両方の性別の、任意の発達段階の被験者(すなわち、新生児、乳児、若年者、青年、成人)から得られた試料に適用してもよく、ある特定の実施形態では、被験者は若年者、青年、または成人である。本発明は、ヒト被験者由来の試料に適用してよいが、本方法は、限定されるものではないが、鳥類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜類、及びウマなどの他の動物被験体(すなわち、「非ヒト被験体」)由来の試料に対して実施してもよいことが理解されるべきである。
【0073】
本方法を実施する際に、試料(例えば、フローサイトメータのフロー流束中の試料)が光源からの光で照射される。いくつかの実施形態では、光源は広帯域光源であり、例えば100nm以上、例えば150nm以上、例えば200nm以上、例えば250nm以上、例えば300nm以上、例えば350nm以上、例えば400nm以上、及び500nm以上にわたるなど、例えば50nm以上にわたるような広範囲の波長を有した光を放出する。例えば、ある好適な広帯域光源は、200nm~1500nmの波長の光を放出する。別の好適な広帯域光源の例としては、400nm~1000nmの波長の光を放出する光源が挙げられる。方法に広帯域光源の照射を含む場合、対象の広帯域光源プロトコルには、数ある広帯域光源のなかでも特に、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、安定化ファイバ結合広帯域光源、連続スペクトルを有した広帯域LED、スーパールミネセンス発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED一体型白色光源、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0074】
他の実施形態では、方法は、特定の波長または狭い範囲の波長を放出する狭帯域光源、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば25nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下、例えば5nm以下、例えば2nm以下、及び例えば特定の波長の光(すなわち、単色光)を放出する光源といった、例えば、50nm以下の範囲のような狭い範囲の波長の光を放出する光源などで照射することを含む。方法に狭帯域光源の照射を含む場合、対象の狭帯域光源プロトコルには、狭波長LED、レーザダイオード、または1つ以上の光バンドパスフィルタ、回折格子、単色光分光器、もしくはこれらのいずれかの組合せに結合された広帯域光源が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0075】
ある特定の実施形態では、方法は、1つ以上のレーザで試料を照射することを含む。上記のように、レーザの種類と数とは、試料と収集される所望の光とに応じて異なり、ヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンレーザ、窒素レーザ、CO2 レーザ、COレーザ、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトン-フッ素(KrF)エキシマレーザ、キセノン-塩素(XeCl)エキシマレーザ、もしくはキセノン-フッ素(XeF)エキシマレーザ、またはこれらの組合せなどのガスレーザであってもよい。他の例では、本方法は、スチルベンレーザ、クマリンレーザ、またはローダミンレーザなどの色素レーザでフロー流束を照射することを含む。さらに他の例では、方法は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザ、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン-銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、または金レーザ、及びこれらの組合せなどの金属蒸気レーザでフロー流束を照射することを含む。さらに他の例では、方法は、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4 レーザ、Nd:YCa4 O(BO33 レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、ツリウムYAGレーザ、イッテルビウムYAGレーザ、Yb23 レーザ、またはセリウムドープレーザ、及びこれらの組合せなどの固体レーザでフロー流束を照射することを含む。
【0076】
試料を、例えば2つ以上の光源、例えば3つ以上の光源、例えば4つ以上の光源、例えば5つ以上の光源、及び例えば10個以上の光源といった、上記の光源の1つ以上で照射することができる。光源には、いかなる種類の光源の組合せも含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のガスレーザ、1つ以上の色素レーザ、及び1つ以上の固体レーザを有したアレイなどのレーザアレイでフロー流束中の試料を照射することを含む。
【0077】
試料を、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、及び例えば400nm~800nmといった、200nm~1500nmの範囲の波長で照射してもよい。例えば、光源が広帯域光源である場合は、試料を、200nm~900nmの波長で照射してもよい。他の例では、光源が複数の狭帯域光源を含む場合は、試料を、200nm~900nmの範囲の特定の波長で照射してもよい。例えば、光源を、それぞれが別々に200nm~900nmの波長範囲の光を放出する複数の狭帯域LED(1nm~25nm)にしてもよい。他の実施形態では、狭帯域光源は1つ以上のレーザ(レーザアレイなど)を含み、試料は、上記のように、ガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、及び固体レーザを有するレーザアレイでなど、200nm~700nmの範囲の特定の波長で照射される。
【0078】
2つ以上の光源が用いられる場合、その光源で試料を同時にもしくは順次、またはこれらの組合せで照射してもよい。例えば、試料を各光源で同時に照射してもよい。他の実施形態では、フロー流束は各光源で順次照射される。複数の光源が用いられて試料を順次照射する場合、各光源が試料を照射する時間を、別々に、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、及び例えば60マイクロ秒以上といった、0.001マイクロ秒以上にしてもよい。例として、方法は、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び例えば5マイクロ秒~10マイクロ秒といった、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の継続時間にわたって光源(例えばレーザ)で試料を照射することを含んでもよい。試料が2つ以上の光源で順次照射される実施形態では、各光源によって試料が照射される継続時間を、同じにしてもよいし、または異ならせてもよい。
【0079】
各光源による照射の間の時間間隔をまた、必要に応じて変更してもよく、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上だけ、例えば15マイクロ秒以上だけ、例えば30マイクロ秒以上だけ、及び例えば60マイクロ秒以上だけといった、0.001マイクロ秒以上の遅延の分だけ別々に分離される。例として、各光源による照射の間の時間間隔を、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び例えば5マイクロ秒~10マイクロ秒といった、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲にしてもよい。ある特定の実施形態では、各光源による照射の間の時間間隔は10マイクロ秒である。試料が2を超える個数(すなわち、3つ以上)の光源によって順次照射される実施形態では、各光源による照射の間の遅延は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0080】
試料は、連続的に照射することも、離散的な間隔で照射することもできる。場合によっては、方法は、試料内の試料に光源を連続的に照射することを含む。他の例では、内部の試料は、例えば0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎に照射することなど、及び例えば1000ミリ秒毎といった離散的な間隔、または他の何らかの間隔にて光源で照射される。
【0081】
光源に応じて、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、及び例えば50mm以上といった、0.01mm以上などの様々な距離で試料を照射してもよい。また、角度、照射も様々であってもよく、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°、及び例えば30°~60°といった、10°~90°の範囲であり、例えば90°の角度である。
【0082】
上記のように、実施形態では、照射された試料からの光は、本明細書に記載の光検出システムに伝達され、1つ以上の光検出器によって測定される。本方法を実施する際には、光は、本光検出システムの第1の光検出器アレイに伝えられる。光はさらに、光検出器アレイ間の光路に配置された光学調整構成要素を介して、それぞれの更なる光検出器アレイに伝えられる。光は、例えば5種類以上の波長、例えば10種類以上の波長、例えば25種類以上の波長、例えば50種類以上の波長、例えば100種類以上の波長、例えば200種類以上の波長、例えば300種類以上の波長、及び例えば収集される400種類以上の波長の光を測定するといった、収集される1つ以上の波長の光を測定する光検出器アレイの各光検出器に導かれる。
【0083】
いくつかの実施形態では、方法は、ある波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集される光を測定することを含む。たとえば、方法は、200nm~1000nmの1つ以上の波長範囲にわたって光のスペクトルを収集することを含み得る。さらに他の実施形態では、方法は、収集される1つ以上の特定の波長の光を測定することを含む。例えば、収集される光を、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれらの任意の組合せの1つ以上で測定してもよい。ある特定の実施形態では、方法は、特定のフルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応した光の波長を測定することを含む。
【0084】
収集される光は、連続的にまたは離散的な間隔で測定され得る。場合によっては、方法は、光の測定を連続的に行うことを含む。他の例では、光は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び例えば1000ミリ秒毎に光を測定するなど、離散的な間隔で、または他の間隔で測定される。
【0085】
収集される光の測定は、本方法の間に、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば5回以上、及び例えば10回以上といった、1回以上行われ得る。ある特定の実施形態では、光伝播は、特定の場合のデータを平均化しながら、2回以上測定される。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法は、本光検出システムで光を検出する前に光を調整することを含む。例えば、試料源からの光は、1つ以上のレンズ、ミラー、ピンホール、スリット、格子、光屈折器、及びこれらの任意の組合せを通過する場合がある。場合によっては、上記のように、光検出システムまたは光収集システムに導かれる光のプロファイルを減らすためになど、収集された光が1つ以上の集束レンズを通過させられる。他の例では、試料から放出される光は、1つ以上のコリメータを通過させられて、光検出システムに伝達される光ビームの発散を減少させる。
【0087】
キット
本発明の態様はさらにキットを含み、キットは、各光検出器アレイが2つ以上の光検出器を有した2つ以上の光検出器アレイと、各光検出器アレイ間の光路に配置するための光学調整構成要素(例えば、ビームスプリッタ、コリメートレンズ、ミラー、波長分離器、ピンホールなど)とを含む。キットは、光ファイバ(例えば、中継用光ファイバ束)などの光収集構成要素、自由空間中継システム用の構成要素を含むこともできる。場合によっては、キットはさらに、光電子増倍管(メタルパッケージ型光電子増倍管)などの1つ以上の光検出器を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される光検出システムの構成要素のうちの、例えば3つ以上、及び例えば5つ以上といった、2つ以上を含む。場合によっては、キットには、1つ以上のアッセイ構成要素(例えば、先に述べたように、標識された試薬、緩衝液など)を含めることができる。場合によっては、キットにはさらに、必要に応じて、皮膚を刺して全血試料を採取するように構成されたランセットまたは針、ピペットなどの試料収集デバイスを含めてもよい。
【0089】
キットの様々なアッセイ構成要素は、別々の容器中に存在してもよいし、またはアッセイ構成要素の一部もしくは全部が、予め組み合わされていてもよい。例えば、場合によっては、キットの1つ以上の構成要素の、例えば、コネクタ、オリフィスプレートは、密封されたポーチである、例えば滅菌フォイルポーチまたは滅菌フォイルエンベロープの中に含まれる。
【0090】
上記の構成要素に加えて、本キットには、本発明の方法を実施するための説明書を(あるある特定の実施形態では)さらに含めてもよい。これらの説明書は、本キット内に多様な形態で存在してもよく、このうちの1つ以上がキット内に存在してもよい。これらの説明書が存在し得る一形態は、キットの包装中、添付文書中などの、情報が印刷された適切な媒体または基材、例えば、1枚または複数枚の紙としてである。これらの説明書のさらに別の形態は、情報が記録されているコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブなどである。これらの説明書が存在し得るさらに別の形態は、インターネットを通じてリモートサイトの情報にアクセスするために使用できるウェブサイトアドレスである。
【0091】
有用性
本光検出システムは、光学特性による試料の特性評価で、特に低レベルの光が収集される場合に用途が見出される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、蛍光タグで標識された生体試料のフローサイトメトリによる特性評価に用途が見出される。他の実施形態では、本システム及び方法は、透過光または散乱光の分光分析に用途が見出される。加えて、本システム及び方法は、試料(例えば、フロー流束中の試料)より収集される光から取得可能な信号を増加させることに用途が見出される。ある場合には、本開示は、フローサイトメータのフロー流束で照射される試料から収集された光の測定を向上させることに用途が見出される。本開示の実施形態は、研究、ハイスループット実験室内試験でなど、フローサイトメトリの放出測定の有効性を高めることが望まれる場所で用途が見出される。本開示はまた、細胞選別中に、改良された細胞選別精度、強化された微粒子捕集、削減されたエネルギー消費、微粒子帯電効率、より正確な微粒子帯電、及び強化された微粒子偏向を示すフローサイトメータを提供することが望ましいところでは、有用であることが分かっている。
【0092】
本開示はまた、生体試料から調製された細胞が、研究、臨床検査のため、または治療での使用のために望まれ得る応用先で有用である。いくつかの実施形態では、本方法及び本装置は、採取個別細胞が標的の流体試料または組織生体試料から調整されることを促進し得る。例えば、本方法及び本システムは、流体試料または組織試料から、がんなどの疾患のための研究用または診断用の検体として使用すべき細胞を採取することを促進する。同様に、本方法及び本システムは、流体試料または組織試料から、治療で使用すべき細胞を採取することを促進する。本開示の方法及び装置は、従来のフローサイトメトリシステムに比べると高効率及び低コストで生体試料(例えば、臓器、組織、組織片、体液)から細胞を分離して捕集することを可能にする。
【0093】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
1.第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイであって、前記第1の光検出器アレイ及び前記第2の光検出器アレイがそれぞれ2つ以上の光検出器を有している、第1の光検出器アレイ、ならびに
前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素
を備える光検出システム。
2.前記光学調整構成要素は、前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間で光をコリメートするコリメータを有する、付記1に記載の光検出システム。
3.前記光学調整構成要素はビームスプリッタを有する、付記1または2に記載の光検出システム。
4.前記光学調整構成要素は波長分離器を有する、付記1~3のいずれか一つに記載の光検出システム。
5.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、付記1~4のいずれか一つに記載の光検出システム。
【0094】
6.前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間に2つ以上の光学調整構成要素が配置されている、付記1~5のいずれか一つに記載の光検出システム。
7.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーとコリメータとを有する、付記6に記載の光検出システム。
8.前記各光検出器アレイの1つ以上の光検出器に隣接してダイクロイックミラーが配置されている、付記1~7のいずれか一つに記載の光検出システム。
9.第3の光検出器アレイと、
前記第2の光検出器アレイと前記第3の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素とを更に備える、
付記1~8のいずれか一つに記載の光検出システム。
10.前記光学調整構成要素はコリメータを有する、付記9に記載の光検出システム。
【0095】
11.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、付記9または10に記載の光検出システム。
12.10個以上の光検出器アレイを備える、付記1~11のいずれか一つに記載の光検出システム。
13.前記光検出器アレイが、単一の軸に沿って配置されている、付記1~11のいずれか一つに記載の光検出システム。
14.前記光検出器アレイが、複数の軸に沿って配置されている、付記1~11のいずれか一つに記載の光検出システム。
15.前記光検出器アレイが、2つ以上の平行軸に沿って配置されている、付記1~11のいずれか一つに記載の光検出システム。
【0096】
16.前記光検出器アレイは、前記光検出システム内で多角形の配置を有する、付記1~11のいずれか一つに記載の光検出システム。
17.前記光検出器アレイは、七角形配置または八角形配置を有する、付記16に記載の光検出システム。
18.前記各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器アレイを位置合わせするためのアライナを有する、付記1~17のいずれか一つに記載の光検出システム。
19.前記各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器アレイを結合するためのコネクタを有する、付記1~18のいずれか一つに記載の光検出システム。
20.近位端及び遠位端を備えており、
前記近位端は、光を受け入れるためのオリフィスを有し、
前記遠位端は、ビームストップを有する、
付記1~19いずれか一つに記載の光検出システム。
【0097】
21.前記光検出器は光電子増倍管である、付記1~20のいずれか一つに記載の光検出システム。
22.前記光電子増倍管はメタルパッケージ型光電子増倍管である、付記21に記載の光検出システム。
23.光源と、
第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイであって、第1の光検出器アレイ及び前記第2の光検出器アレイがそれぞれ2つ以上の光検出器を有している、第1の光検出器アレイ、ならびに、前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素を備える光検出システムと
を備えるシステム。
24.前記光源はレーザである、付記23に記載のシステム。
25.前記システムはフローサイトメータである、付記23または24に記載のシステム。
【0098】
26.光を前記光検出システムに伝えるための光収集システムを更に備える、付記23~25のいずれか一つに記載のシステム。
27.前記光収集構成要素は光ファイバを有する、付記26に記載のシステム。
28.前記光収集構成要素は光中継用光ファイバ束である、付記27に記載のシステム。
29.前記光収集構成要素は自由空間光中継システムである、付記27に記載のシステム。
30.前記光学調整構成要素は、前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間で光をコリメートするコリメータを有する、付記23~29のいずれか一つに記載のシステム。
【0099】
31.前記光学調整構成要素はビームスプリッタを有する、付記23~30のいずれか一つに記載のシステム。
32.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、付記23~31のいずれか一つに記載のシステム。
33.前記光学調整構成要素は波長分離器を有する、付記23~32のいずれか一つに記載のシステム。
34.前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間に2つ以上の光学調整構成要素が配置されている、付記23~33のいずれか一つに記載のシステム。
35.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーとコリメータとを有する、付記34に記載のシステム。
【0100】
36.前記各光検出器アレイの1つ以上の光検出器に隣接してダイクロイックミラーが配置されている、付記23~35のいずれか一つに記載のシステム。
37.前記光検出システムは、
第3の光検出器アレイと、
前記第2の光検出器アレイと前記第3の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素とを更に備える、付記23~36のいずれか一つに記載のシステム。
38.前記光学調整構成要素はコリメータを有する、付記37に記載のシステム。
39.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、付記36~38のいずれか一つに記載のシステム。
40.前記光検出システムは10個以上の光検出器アレイを備える、付記23~39のいずれか一つに記載のシステム。
【0101】
41.前記光検出器アレイが、単一の軸に沿って配置されている、付記23~40のいずれか一つに記載のシステム。
42.前記光検出器アレイが、複数の軸に沿って配置されている、付記23~41のいずれか一つに記載のシステム。
43.前記光検出器アレイが、2つ以上の平行軸に沿って配置されている、付記23~42のいずれか一つに記載のシステム。
44.前記光検出器アレイは、前記光検出システム内で多角形の配置を有する、付記23~42のいずれか一つに記載のシステム。
45.前記光検出器アレイは、七角形配置または八角形配置を有する、付記44に記載のシステム。
【0102】
46.前記各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器アレイを位置合わせするためのアライナを有する、付記23~45のいずれか一つに記載のシステム。
47.前記各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器アレイを結合するためのコネクタを有する、付記23~46のいずれか一つに記載のシステム。
48.前記光検出システムは、近位端及び遠位端を備えており、
前記近位端が、前記光源によって照射された試料から伝えられる光を受け入れるためのオリフィスを有し、
前記遠位端が、ビームストップを有する、
付記23~46のいずれか一つに記載のシステム。
49.前記光検出器は光電子増倍管である、付記23~48のいずれか一つに記載のシステム。
50.前記光電子増倍管はメタルパッケージ型光電子増倍管である、付記49に記載のシステム。
【0103】
51.第2の光検出器アレイと光通信する第1の光検出器アレイであって、前記第1の光検出器アレイ及び前記第2の光検出器アレイがそれぞれ2つ以上の光検出器を有している、前記第1の光検出器アレイ、ならびに
前記第1の光検出器アレイと前記第2の光検出器アレイとの間の光路に配置された光学調整構成要素
を備える光検出システムで、フロー流束からの光を検出することを含む方法。
52.インテロゲーションフィールドのフロー流束中の試料に光源で照射することを更に含む、付記51に記載の方法。
53.前記フロー流束が、200nm~800nmの波長の光源で照射される、付記51または52に記載の方法。
54.前記光源はレーザである、付記52または53に記載の方法。
55.前記フロー流束からの光が、光収集構成要素で前記光検出システムに伝えられる、付記52~54のいずれか一つに記載の方法。
【0104】
56.前記光収集構成要素は光ファイバを有する、付記55に記載の方法。
57.前記光収集構成要素は光中継用光ファイバ束を有する、付記56に記載の方法。
58.前記光収集構成要素は自由空間光中継システムを有する、付記55に記載の方法。
59.1つ以上の波長で前記検出光を測定することを更に含む、付記51に記載の方法。
60.2つ以上の光検出器アレイであって、前記各光検出器アレイが2つ以上の光検出器を有する、2つ以上の光検出器アレイと、
前記各光検出器アレイ間の光路に配置するように構成された光学調整構成要素と
を含むキット。
【0105】
61.前記光学調整構成要素はコリメータを有する、付記60に記載のキット。
62.前記光学調整構成要素はビームスプリッタを有する、付記60または61に記載のキット。
63.前記光学調整構成要素はダイクロイックミラーを有する、付記60~62のいずれか一つに記載のキット。
64.前記光検出器は光電子増倍管である、付記60~63のいずれか一つに記載のキット。
65.前記光電子増倍管はメタルパッケージ型光電子増倍管である、付記60~64のいずれか一つに記載のキット。
【0106】
上記の本発明は、明白な理解のために、説明したり、例示したりして、ある程度詳細に記載したが、当業者であれば、本開示の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、本開示に対してある特定の変更及び修正を加え得ることが容易に理解される。
【0107】
よって、上記は、単に本発明の原理を説明するものに過ぎない。本明細書では明示的に記載されず、また図示していないが、当業者であれば、本発明の原理を具体化し、その趣旨及び範囲の内に含まれる様々な構成に想到できるであろうことが理解される。さらに、本明細書に記述された全ての例と条件付きの文言とは、そのように具体的に記載された例及び条件に限定されずに、主として、読者が、本発明の原理を理解するのを支援することを意図したものである。その上、本発明の原理、態様、及び実施形態、ならびにその具体的な例を記述する本明細書の全ての記載は、その構造的均等物及び機能的均等物の両方を包含することが意図されている。さらに、そのような均等物としては、現在周知の均等物と将来開発される均等物との両方があり、すなわち、構造に関わらず同じ機能を果たすあらゆる要素が開発されることが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示し、記載される例示的な実施形態に限定されないことが意図されている。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
【0108】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)により、本出願は、2017年2月27日に出願された米国仮特許出願第62/464,282号の出願日に対する優先権を主張する。なお、この米国仮特許出願の開示内容は、参照により本明細書に援用される。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5