(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を誘導加熱するための多層サセプタ組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20221109BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20221109BHJP
【FI】
A24F40/465
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2019553202
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2018058042
(87)【国際公開番号】W WO2018178219
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロッソル アンドレアス ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フルサ オレク
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525341(JP,A)
【文献】国際公開第2016/184930(WO,A1)
【文献】特開2003-133394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を誘導加熱するための多層サセプタ組立品であって、
第一のサセプタ材料を含む第一の層と、
500℃より低いキュリー温度を有する第二のサセプタ材料を含む、前記第一の層に密接に連結された第二の層と、
前記第二の層に密接に連結された第三の層であって、前記層を相互に密接に連結した後、および/または前記多層サセプタ組立品の熱処理の後、前記多層サセプタ組立品内で生じる熱膨張の差異を補償するための特定の応力補償材料および特定の層厚さを含み、これによって、少なくとも補償温度範囲内で、前記サセプタ組立品の全体的な熱変形が
平面内変形に限定され、前記補償温度範囲が少なくとも前記第二のサセプタ材料の前記キュリー温度より20K低い温度から、前記第二のサセプタ材料の前記キュリー温度にまで及ぶ、第三の層と、を少なくとも備える、サセプタ組立品。
【請求項2】
前記応力補償材料の熱膨張係数が、前記第一のサセプタ材料の熱膨張係数と
等しい、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項3】
前記第三の層の前記応力補償材料が、前記第一の層の前記第一のサセプタ材料と同一である、請求項1または2のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項4】
前記第二のサセプタ材料の熱膨張係数が、前記第一のサセプタ材料の熱膨張係数より大きく、かつ前記応力補償材料の熱膨張係数より小さい、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項5】
前記第二のサセプタ材料の熱膨張係数が、前記第一のサセプタ材料の熱膨張係数より小さく、かつ前記応力補償材料の熱膨張係数より大きい、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項6】
前記第三の層の前記応力補償材料が、前記第一の層の前記第一のサセプタ材料とは異なる、請求項1、2、4、または5のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項7】
前記第一のサセプタ材料が、アルミニウム、鉄、または鉄合金
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項8】
前記第二のサセプタ材料が、ニッケル、またはニッケル合金
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項9】
前記第三の層の前記応力補償材料が、オーステナイトステンレス鋼を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項10】
前記第三の層の層厚さが、前記第一の層の層厚さの0.5~1.5倍の範囲内
である、請求項1~9のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項11】
前記第一の層、前記第二の層、および前記第三の層が、前記多層サセプタ組立品の隣接した層である、請求項1~10のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項12】
前記第三の層が前記第二の層の上に配置されていて、かつ前記第二の層に密接に連結されていて、また前記第二の層が前記第一の層の上に配置されていて、かつ前記第一の層に密接に連結されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項13】
エアロゾル形成基体と、請求項1~12のいずれか一項に記載のサセプタ組立品と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記サセプタ組立品が前記エアロゾル形成基体内に位置している、請求項13に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を誘導加熱するための多層サセプタ組立品に関し、ならびにこうした多層サセプタ組立品および加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを形成するためのエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品は、先行技術から一般的に周知である。基体を加熱するために、エアロゾル発生物品は、電気ヒーターを備えるエアロゾル発生装置の中に受容されてもよい。ヒーターは、誘導源を備える誘導ヒーターであってもよい。誘導源は、熱を発生する渦電流および/またはヒステリシス損失をサセプタ内に誘起する交流電磁場を発生する。サセプタ自体は、加熱されるエアロゾル形成基体と熱的に近接している。特に、サセプタは、エアロゾル形成基体と直接的に物理的接触をしている物品内に統合されてもよい。
【0003】
基体の温度を制御するために、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料でそれぞれ作製された第一の層および第二の層を備える二層サセプタ組立品が提案されてきた。第一のサセプタ材料は、熱損失に関して、それ故に加熱効率に関して最適化されている。対照的に、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして使用される。このために、第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料のキュリー温度より低いがサセプタ組立品の所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれる。そのキュリー温度で第二のサセプタの透磁率は1へと低下し、第二のサセプタの磁性の強磁性から常磁性への変化につながり、第二のサセプタの電気抵抗の一時的な変化が付随して起こる。それ故に、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれ故に、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした二層サセプタ組立品は加熱温度の良好な制御性を提供する一方で、層状構造の望ましくない変形が組立品の加工中または加工後に観察されてきた。同様に、層状構造の望ましくない変形はまた、エアロゾル形成基体の誘導加熱のための組立品の使用中に観察されてきた。
【0005】
従って、先行技術の解決策の利点を有しながらも、それらだけにとどまらない、エアロゾル形成基体の誘導加熱のための多層サセプタ組立品を有することが望ましいことになる。特に、寸法安定性が改善された多層サセプタ組立品を有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、少なくとも第一の層および第一の層に密接に連結された第二の層を含むエアロゾル形成基体を誘導加熱するための多層サセプタ組立品が提供されている。第一の層は第一のサセプタ材料を含む。第二の層は、500℃(摂氏温度)より低いキュリー温度を有する第二のサセプタ材料を含む。
【0007】
第一のサセプタ材料はエアロゾル形成基体を誘導加熱するために構成されていて、かつ第二のサセプタ材料はサセプタ組立品の温度を監視するために構成されていることが好ましい。このために、第二のサセプタ材料のキュリー温度は、サセプタ組立品の所定の加熱温度に対応することが好ましい。
【0008】
本明細書で使用される「密接に連結された」という用語は、特に層構造と平行な方向に二つの層の間で機械的力が伝達されうるような、多層組立品内の二つの層の間の機械的連結を指す。連結は、層状連結、二次元的連結、区域的連結、または全面積連結、すなわち二つの層のそれぞれの対向する表面にわたる連結としうる。連結は直接的であってもよい。特に、相互に密接に連結された二つの層は、相互に直接接触していてもよい。別の方法として、連結は間接的であってもよい。特に、二つの層は、少なくとも一つの中間層を介して間接的に連結されてもよい。
【0009】
第二の層は、第一の層の上に配置され、かつ第一の層に密接に連結され、特に第一の層と直接的に接続されることが好ましい。
【0010】
本発明によると、異なる温度での多層サセプタ組立品の加工および操作は、様々な層材料の熱膨張の間の特定の差異による変形を生じる場合があることが認識されてきた。例えば、上述の通りの二層サセプタ組立品の加工は、両方の層材料を所与の温度で相互に密接に接続することを含む場合がある。場合によっては層の接続の後に、組み立てられたサセプタの熱処理(アニーリングなど)が続く場合がある。サセプタ組立品の冷却中などの、その後の温度の変化中、個々の層は、組立品の結合している性質に起因して自由に変形することができない。その結果として、異なる熱膨張特性に起因して一つの層は、別の層、特に隣接した層に圧縮応力または引張応力をかける場合がある。この圧縮応力または引張応力は、観察された機械的応力および変形、特にサセプタ組立品の平面外曲げを引き起こす場合がある。
【0011】
これに対抗するために、本発明によるサセプタ組立品は、第二の層に密接に連結された第三の層をさらに含む。第三の層は、組立品の加工の後、特に層を相互に密接に連結した後、および/または多層サセプタ組立品の熱処理の後、多層サセプタ組立品内で生じる熱膨張の差異を補償するための特定の応力補償材料および特定の層厚さを含み、これにより、少なくとも補償温度範囲内で、サセプタ組立品の全体的な熱変形が本質的に平面内変形に限定され、補償温度範囲が少なくとも第二のサセプタ材料のキュリー温度より20K低い温度から、第二のサセプタ材料のキュリー温度にまで及ぶ。
【0012】
本明細書で使用される「変形」という用語は、当初の構成または未変形の構成から変形した構成へのサセプタ組立品の形状および/またはサイズの変化を意味する。本明細書で言及される「平面内変形」(「平面内歪み」とも呼ばれる)は、変形が多層サセプタ組立品の層構造に平行な平面に制限される変形である。
【0013】
本明細書で使用される「平面内変形に本質的に限定される」という用語は、多層サセプタ組立品の層構造に直角な方向において依然として小さいがわずかな平面外変形がありうることを意味する。しかしながら、任意の平面外変形は、サセプタ組立品の表面上の任意の点での湾曲が、サセプタ組立品の厚さの5%未満、特に1%未満、好ましくは0.5%未満であるように限定される。サセプタ組立品の全体的な熱変形は、少なくとも補償温度範囲内の平面内変形に限定されることが好ましい。
【0014】
それに応じて、第三の層は有利なことに、本来の所望の形状を保つこと、および好ましくは多層サセプタ組立品の層構造と直角な方向におけるサセプタ組立品の本来の所望のサイズをも保つことを可能にする。
【0015】
本明細書で使用される「層厚さ」という用語は、層の上側と下側の間に延びる寸法を指す。同様に、「サセプタ組立品の厚さ」という用語は、層構造と直角な方向におけるサセプタ組立品の最大延長を指す。本明細書で使用される「特定の応力補償材料」および「特定の層厚さ」という用語は、少なくとも補償温度内でサセプタ組立品の全体的な熱変形が本質的に平面内変形に限定されるように、組立品の加工後に多層サセプタ組立品内で生じる熱膨張の差異の補償のために特に選ばれる応力補償材料および層厚さを指す。本明細書で言及される「特に選ばれる」という用語は、応力補償材料と第三の層の層厚さとが、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料、および第一の層および第二の層の厚さの十分な考慮、ならびに組立品の結合された性質およびその加工、すなわち加工履歴の十分な考慮によって選ばれることを意味する。
【0016】
本明細書で使用される多層サセプタ組立品の加工は、層材料を所与の温度にて相互に密接に連結すること、またはアニーリングなどの多層サセプタ組立品の熱処理のうちの少なくとも一つを含んでもよい。特に、サセプタ組立品は熱処理されたサセプタ組立品であってもよい。いずれの場合でも、本明細書で言及される加工中に、層の温度または組立品の温度はそれぞれ、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために使用されている時のサセプタ組立品の動作温度とは異なる。典型的には、層材料を相互に密接に接続する間の温度および多層サセプタ組立品の熱処理の間の温度は、誘導加熱のためのサセプタ組立品の動作温度より高い。
【0017】
第二のサセプタ材料のキュリー温度より20K低い温度から、第二のサセプタ材料のキュリー温度までの補償温度範囲は、エアロゾルを発生するために使用されるサセプタ組立品の動作温度の典型的な範囲に対応する。
【0018】
有利なことに、補償温度範囲の幅はまた、20Kより大きくてもよい。それに応じて、補償温度範囲は、第二のサセプタ材料のキュリー温度より少なくとも50K、特に100K、好ましくは150K低い温度から、第二のサセプタ材料のキュリー温度にまで及んでもよい。最も好ましくは、補償温度範囲は、少なくとも周囲室温から、第二のキュリー温度にまで及ぶ場合がある。同様に、補償温度範囲は、150℃と第二のサセプタ材料のキュリー温度との間の温度範囲、特に100℃と第二のサセプタ材料のキュリー温度との間の温度範囲、好ましくは50℃と第二のサセプタ材料のキュリー温度との間の温度範囲、最も好ましくは周囲室温と第二のサセプタ材料のキュリー温度との間の温度範囲に対応する場合がある。
【0019】
第二のキュリー温度に下から近づく時、第二のサセプタ材料内の磁化、および従ってあらゆる磁気歪み効果が消滅する。従って、補償温度範囲の上限は、第二のサセプタ材料のキュリー温度に対応することが好ましい。しかしながら、補償温度範囲の上限はまた、第二のサセプタ材料のキュリー温度より高くてもよい。例えば、補償温度範囲の上限は、第二のサセプタ材料のキュリー温度より少なくとも5K、特に少なくとも10K、好ましくは少なくとも20K高くてもよい。
【0020】
応力補償材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数と本質的に等しいことが好ましい。本明細書で使用される「本質的に等しい」という用語は、第一の層材料および第三の層材料の熱膨張係数の間に小さいがわずかな差異がありうることを意味する。しかしながら、あらゆる可能性のある差異は、応力補償材料の熱膨張係数が、第一のサセプタ材料の熱膨張係数から±5%未満、特に±1%未満、好ましくは±0.5%未満の逸脱があるように限定される。応力補償材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数と等しいことが最も好ましい。
【0021】
特に、第三の層の応力補償材料は、第一の層の第一のサセプタ材料と同一の材料であってさえもよい。
【0022】
さらに、第三の層の層厚さは、第一の層の層厚さと本質的に等しい。本明細書で使用される「本質的に等しい」という用語は、第一の層の層厚さと第三の層の層厚さとの間に小さいがわずかな差異がありうることを意味する。しかしながら、可能性のある任意の差異は、第三の層の層厚さが第一のサセプタ材料の層厚さから±5%未満だけ、特に±1%未満だけ、好ましくは±0.5%未満だけ逸脱するように限定される。第三の層の層厚さは、第一の層の層厚さと等しいことが最も好ましい。
【0023】
サセプタ組立品の好ましい構成において、第三の層の層厚さは第一の層の層厚さと等しく、また応力補償材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数に本質的に等しく、特に第三の層の応力補償材料は第一の層の第一のサセプタ材料と同一である。有利なことに、この好ましい構成は、熱膨張に関して対称な層構造を提供する。
【0024】
別の方法として、応力補償材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数とは異なっていてもよく、また第二のサセプタ材料の熱膨張係数とも異なっていることが好ましい。それに応じて、第二のサセプタ材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数より大きくてもよく、応力補償材料の熱膨張係数より小さくてもよい。またその逆として、第二のサセプタ材料の熱膨張係数は、第一のサセプタ材料の熱膨張係数より小さくてもよく、応力補償材料の熱膨張係数より大きくてもよい。これらの場合において、熱膨張の差異の補償は、第三の層の適切な層厚さを選ぶことによって主に達成されうる。
【0025】
第三の層の応力補償材料は、第一の層の第一のサセプタ材料とは異なってもよい。これは、応力補償材料の熱膨張係数が第一のサセプタ材料の熱膨張係数と本質的に等しいことを除外しない。
【0026】
本発明によると、第三の層は第二の層に密接に連結されている。この状況において、「密接に連結された」という用語は、第一の層および第二の層に関して上記で定義したものと同様に使用される。
【0027】
本明細書で使用される「第一の層」、「第二の層」および「第三の層」という用語は、単に名目上のものであり、それぞれの層の特定の順序または配列を必ずしも特定しない。
【0028】
第三の層は、第二の層の上に配置され、かつ第二の層に密接に連結されることが好ましく、これは次に、第一の層の上に配置され、かつ第一の層に密接に連結されてもよい。
【0029】
別の方法として、第三の層は、第一の層を介して第二の層に密接に連結されてもよい。この場合、第一の層は、第三の層と第二の層との間の中間層となる場合がある。特に、第二の層は第一の層の上に配置され、かつ第一の層に密接に連結されてもよく、これは次に、第一の層に配置され、かつ第一の層に密接に連結されてもよい。
【0030】
第一の層、第二の層、および第三の層は、多層サセプタ組立品の隣接した層であることが好ましい。この場合、第一の層、第二の層、および第三の層は、相互に直接的に密接に物理的に接触していてもよい。特に、第二の層は第一の層と第三の層との間に挟まれていてもよい。
【0031】
別の方法として、サセプタ組立品は、少なくとも一つのさらなる層、特に第一の層、第二の層、および第三の層のうちの二つのそれぞれの層の間に配置されている少なくとも一つの中間層を備えてもよい。
【0032】
第一の層または第三の層のうちの少なくとも一つは、多層サセプタ組立品の端層であってもよい。
【0033】
サセプタ組立品の加工に関して、特に様々な層の組み立てに関して、層の各々は、それぞれの隣接する層の上にメッキ、堆積、コーティング、クラッディング、または溶接されてもよい。特に、これらの層のうちのいずれかは、スプレー、ディップコーティング、ロールコーティング、電気メッキ、またはクラッディングによって、それぞれの隣接した層の上に施されてもよい。これは、特に第一の層、第二の層、および第三の層、ならびに存在する場合、少なくとも一つの中間層に対して保持される。
【0034】
どちらにしても、上述の構成または層構造のうちのいずれも、本明細書で使用される、および上記でさらに定義された「密接に連結された」という用語に収まる。
【0035】
本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、変化する電磁場に供された時に電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有する要素を指す。これは、サセプタ材料の電気特性および磁性に依存して、サセプタ材料内で誘起されるヒステリシス損失および/または渦電流の結果である場合がある。サセプタ組立品の材料および幾何学的形状は、所望の発熱を提供するように選ぶことができる。
【0036】
第一のサセプタ材料はまた、キュリー温度を有することが好ましい。有利なことに、第一のサセプタ材料のキュリー温度は、第二のサセプタ材料のキュリー温度とは別のものであり、特に第二のサセプタ材料のキュリー温度より高い。それに応じて、第一のサセプタ材料は第一のキュリー温度を有してもよく、また第二のサセプタ材料は第二のキュリー温度を有してもよい。キュリー温度は、フェリ磁性または強磁性材料がこれより高い温度ではそれぞれそのフェリ磁性または強磁性を失い、常磁性になる温度である。
【0037】
第二のサセプタ材料がキュリー温度を有し、かつ第一のサセプタ材料がキュリー温度を有しないか、または第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料が各々互いとは別のキュリー温度を有するかのいずれかである、少なくとも第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を有することによって、サセプタ組立品は、誘導加熱および加熱温度の制御などの複数の機能性を提供する場合がある。特に、これらの機能性は、少なくとも二つの異なるサセプタの存在に起因して分離されてもよい。
【0038】
第一のサセプタ材料は、エアロゾル形成基体を加熱するために構成されていることが好ましい。このために、第一のサセプタ材料は、熱損失に関して、それ故に加熱効率に関して最適化されてもよい。第一のサセプタ材料は、400℃を超えるキュリー温度を有してもよい。
【0039】
第一のサセプタ材料は腐食防止材料で作製されていることが好ましい。従って、第一のサセプタ材料は有利なことに、いかなる腐食性の影響に対しても耐性があり、特にサセプタ組立品が、エアロゾル形成基体と直接的に物理的接触をしているエアロゾル発生物品内に包埋されている場合に、耐性がある。
【0040】
第一のサセプタ材料は強磁性金属を含んでもよい。その場合、渦電流のみによって熱を発生することができないだけでなく、ヒステリシス損失によっても熱を発生することはできない。第一のサセプタ材料は鉄(Fe)もしくは鉄合金(鋼など)、または鉄ニッケル合金を含むことが好ましい。特に、第一のサセプタ材料はステンレス鋼、例えばフェライトステンレス鋼を含んでもよい。第一のサセプタ材料は、グレード410のステンレス鋼、またはグレード420のステンレス鋼、またはグレード430のステンレス鋼、または類似のグレードのステンレス鋼などの、400シリーズのステンレス鋼を含むことが特に好ましい場合がある。
【0041】
別の方法として、第一のサセプタ材料は適切な非磁性材料、特に常磁性の導電性材料(アルミニウム(Al)など)を含んでもよい。常磁性導電性材料では、誘導加熱は渦電流に起因する抵抗加熱によってのみ生じる。
【0042】
別の方法として、第一のサセプタ材料は、非導電性のフェリ磁性セラミックなどの非導電性のフェリ磁性材料を含んでもよい。その場合、熱はヒステリシス損失によってのみ発生する。
【0043】
対照的に、第二のサセプタ材料はサセプタ組立品の温度を監視するために最適化および構成されてもよい。第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料の所定の最高加熱温度に本質的に対応するキュリー温度を有するように選択されてもよい。所望の最高加熱温度は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生するために、サセプタ組立品が加熱されるべき温度とほぼ同じ温度であるように定義されてもよい。しかしながら、所望の最高加熱温度は、エアロゾル形成基体の局所的な過熱または燃焼を回避するために十分に低い温度であるべきである。第二のサセプタ材料のキュリー温度はエアロゾル形成基体の発火点より低いべきであることが好ましい。第二のサセプタ材料は、500℃未満、好ましくは400℃以下、特に370℃以下の検知可能なキュリー温度を有するように選択される。例えば、第二のサセプタは、150℃~400℃の、特に200℃~400℃の特定のキュリー温度を有してもよい。キュリー温度および温度マーカー機能は第二のサセプタ材料の一次的な特性であるが、これはまた、サセプタ組立品の加熱にも貢献する場合がある。
【0044】
第二のサセプタは高密度層として存在することが好ましい。高密度層は多孔性の層よりも高い透磁率を有し、キュリー温度での微細な変化を検知することをより容易にする。
【0045】
第二のサセプタ材料は、ニッケル(Ni)などの強磁性金属を含むことが好ましい。ニッケルは、不純物の性質に依存して、約354℃~360℃、すなわち627K~633Kの範囲のキュリー温度を有する。この範囲のキュリー温度は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるためにサセプタを加熱するべき温度とほぼ同一であるが、エアロゾル形成基体の局所的な過熱または燃焼を回避するために依然として十分に低い温度であるため、理想的である。
【0046】
別の方法として、第二のサセプタ材料はニッケル合金、特にFe-Ni-Cr合金を含んでもよい。有利なことに、Fe-Ni-Cr合金は腐食防止性である。一例として、第二のサセプタは、Phytherm 230またはPhytherm 260のような市販の合金を含んでもよい。これらのFe-Ni-Cr合金のキュリー温度はカスタマイズすることができる。Phytherm 230は、50重量%のNi、10重量%のCr、および残部がFeである組成(重量%で示す)を有する。Phytherm 230のキュリー温度は230℃である。Phytherm 260は、50重量%のNi、9重量%のCr、および残部がFeである組成を有する。Phytherm 260のキュリー温度は260℃である。
【0047】
同様に、第二のサセプタ材料は、Fe-Ni-Cu-X合金を含んでもよく、式中、Xは、Cr、Mo、Mn、Si、Al、W、Nb、V、Tiから取られる一つ以上の元素である。
【0048】
第三の層に関して、応力補償材料は第一の層の第一のサセプタ材料と同一の材料でありうることが好ましい。それに応じて、応力補償材料は、強磁性金属、好ましくは鉄(Fe)または鉄合金(鋼など)、または鉄ニッケル合金を含んでもよい。特に、応力補償材料はステンレス鋼、例えばフェライトステンレス鋼を含んでもよい。応力補償材料は、グレード410のステンレス鋼、またはグレード420のステンレス鋼、またはグレード430のステンレス鋼、または類似のグレードのステンレス鋼などの、400シリーズのステンレス鋼を含むことが特に好ましい場合がある。応力補償材料はまた、適切な非磁性の、特に常磁性の導電性材料(アルミニウム(Al)など)も含んでもよい。別の方法として、応力補償材料はオーステナイトステンレス鋼を含んでもよい。例えば、第三の層は、X5CrNi18-10(EN(欧州標準)命名法による、材料番号1.4301、V2A鋼としても知られる)またはX2CrNiMo17-12-2(EN(欧州標準)命名法による、材料番号1.4571または1.4404、V4A鋼としても知られる)を含んでもよい。有利なことに、オーステナイトステンレス鋼は、その常磁性および高い電気抵抗に起因して、第二のサセプタ材料を第一のサセプタおよび第二のサセプタに加えられる電磁場から弱く遮蔽するのみである。
【0049】
第三の層の層厚さは、第一の層の層厚さの0.5~1.5倍、特に0.75~1.25倍の範囲であってもよい。これらの範囲内の第三の層の層厚さは、加工中または加工後に多層サセプタ組立品内で生じる熱膨張の差異に対抗する、またはこれを補償するためにさえも有利であることを示しうる。第三の層の層厚さは、第一の層の層厚さと等しいことが好ましい。
【0050】
本明細書で使用される「厚さ」という用語は、上側と下側の間、例えば層の上側と下側の間、または多層サセプタ組立品の上側と下側の間に延びる寸法を指す。本明細書で使用される「幅」という用語は、二つの対向する側方側面の間に延びる寸法を指す。本明細書で使用される「長さ」という用語は、正面と背面の間、または幅を形成する二つの対向する側方側面と直角な他の二つの対向する側面の間に延びる寸法を指す。厚さ、幅、および長さは相互に直角であってもよい。
【0051】
多層サセプタ組立品は、5mm~15mmの長さ、3mm~6mmの幅、および10μm~500μmの厚さを有する細長いサセプタ組立品であってもよい。一例として、多層サセプタ組立品は、12mmの長さ、4mm~5mm例えば4mmの幅、および10μm~50μm例えば25μmなどの厚さを有するグレード430のステンレス鋼の細片である、第一の層を有する細長い細片であってもよい。グレード430のステンレス鋼は、第二のサセプタ材料として5μm~30μm例えば10μmの厚さを有するニッケルの第二の層でコーティングされてもよい。第一の層の反対側である第二の層の上には、第三の層がコーティングされてもよく、これもまたグレード430のステンレス鋼で作製されていて、第一の層と同一の層厚さを有する。有利なことに、この構成は、熱膨張に関して高度に対称的な層構造を提供し、本質的に平面外変形を示さない。
【0052】
本発明によるサセプタ組立品は、交流の、特に高周波の電磁場によって駆動されるように構成されうることが好ましい。本明細書で言及される通り、高周波電磁場は500kHz~30MHz、特に5MHz~15MHz、好ましくは5MHz~10MHzの範囲であってもよい。
【0053】
サセプタ組立品は、エアロゾル発生物品の一部であるエアロゾル形成基体を誘導加熱するためのエアロゾル発生物品のサセプタ組立品であることが好ましい。
【0054】
本発明によると、エアロゾル形成基体と、基体を誘導加熱するための、本発明による、および本明細書に記載のサセプタ組立品とを備えるエアロゾル発生物品も提供されている。
【0055】
サセプタ組立品はエアロゾル形成基体内に位置している、または包埋されていることが好ましい。
【0056】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよく、または液体エアロゾル形成基体であってもよい。両方の場合において、エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたルースたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0057】
エアロゾル発生物品は、誘導源を備える電気的に作動するエアロゾル発生装置と係合するように設計されていることが好ましい。誘導源、またはインダクタは、変動電磁場内に位置する時にエアロゾル発生物品のサセプタ組立品を加熱するための変動電磁場を発生する。使用時に、エアロゾル発生物品は、インダクタによって発生される変動電磁場の中にサセプタ組立品が位置するように、エアロゾル発生装置と係合する。
【0058】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点については、サセプタ組立品に関して説明されており、繰り返さない。
【0059】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、本発明による多層サセプタ組立品の例示的な実施形態の概略的な斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1によるサセプタ組立品の概略的な側面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるエアロゾル発生物品の例示的な実施形態の概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1および
図2は、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために構成された本発明によるサセプタ組立品1の例示的な実施形態を概略的に図示する。
図3に関して下記により詳細に説明する通り、サセプタ組立品1は、加熱されるエアロゾル形成基体と直接接触するエアロゾル発生物品内に包埋されるように構成されていることが好ましい。物品自体は、交流の、特に高周波の電磁場を生成するために構成された誘導源を備えるエアロゾル発生装置の中に受容されるように適合されている。変動電磁場は、サセプタ組立品1の中に渦電流および/またはヒステリシス損失を発生させ、組立品を加熱させる。エアロゾル発生物品内のサセプタ組立品1の配置およびエアロゾル発生装置内のエアロゾル発生物品の配置は、サセプタ組立品1が誘導源によって発生した変動電磁場の中に正確に位置付けられるようにする。
【0062】
図1および
図2に示す実施形態によるサセプタ組立品1は、三層サセプタ組立品1である。組立品は、第一のサセプタ材料を含む基層としての第一のサセプタ層l0を備える。第一の層10、すなわち第一のサセプタ材料は、熱損失に関して、それ故に加熱効率に関して最適化されている。本実施形態において、第一の層10は、400℃を超えるキュリー温度を有する強磁性ステンレス鋼を含む。加熱温度を制御するために、サセプタ組立品1は、第一の層の上に配置され、かつ第一の層に密接に連結された中間層または機能層として第二の層20を備える。第二の層20は、第二のサセプタ材料を含む。本実施形態において、第二のサセプタ材料は、約354℃~360℃、すなわち627K~633Kの範囲のキュリー温度を有するニッケルである(不純物の性質に依存する)。このキュリー温度は、エアロゾル形成基体の温度制御および制御加熱の両方に関して有利であることを示す。加熱中にサセプタ組立品1がニッケルのキュリー温度に達すると、第二のサセプタ材料の磁性は強磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が付随して起こる。それ故に、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれ故に、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。
【0063】
しかしながら、第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料が異なる熱膨張係数を有するという事実は、第一の層10および第二の層20が相互に密接に連結された時に、サセプタ組立品の望ましくない変形を生じさせる場合がある。これについては、以下で説明する。サセプタ組立品1の加工の何らかの段階中に、第一の層10および第二の層20は、アニーリングなどの熱処理に典型的に続いて、所与の温度で相互に接続される。サセプタ組立品1の冷却中などの、その後の温度の変化中、個々の層10、20は、組立品1の結合している性質に起因して自由に変形することができない。結果として、第二の層20内のニッケル材料が、第一の層10内のステンレス鋼の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有するので、サセプタ組立品1は、冷却した際に機械的応力および変形を受ける場合がある。これらの変形は、特にサセプタ組立品の使用時に、すなわちエアロゾルを発生するために使用される典型的な動作温度の範囲内の温度でサセプタ組立品が駆動される時に、存在する場合がある。典型的な動作温度は、第二のサセプタ材料のキュリー温度に近い温度であってもよい。
【0064】
望ましくない機械的応力および変形、特に平面外のサセプタ組立品1の曲げに対抗するために、本発明によるサセプタ組立品1は、第二の層20に密接に連結された第三の層30をさらに含む。第三の層30は、少なくとも補償温度範囲内でサセプタ組立品1の全体的な熱変形が平面内変形に本質的に限定されるように、組立品の加工後に多層サセプタ組立品内で生じる熱膨張の差異を補償するための特定の応力補償材料および特定の層厚さT30を含む。補償温度範囲は、少なくとも第二のサセプタ材料のキュリー温度より20K低い温度から、第二のサセプタ材料のキュリー温度にまで及ぶ。それに応じて、第三の層は有利なことに、本来の所望の形状を保つこと、および好ましくは多層サセプタ組立品の層構造と直角な方向におけるサセプタ組立品の本来の所望のサイズをも保つことを可能にする。
【0065】
本実施形態において、第三の層は、第一の層と同一の材料、すなわち強磁性ステンレス鋼を含むことが好ましい。追加的に、第三の層30の層厚さT30は、第一の層10の層厚さT10と等しいことが好ましい。これは、本質的に平面外変形を示さない高対称性の層構造を提供することが特に有利であることを示しうる。
【0066】
図1および
図2に示す実施形態に関して、サセプタ組立品1は、12mmの長さLおよび4mmの幅Wを有する細長い細片の形態である。すべての層は、12mmの長さLおよび4mmの幅Wを有する。第一の層10は、35μmの厚さT10を有するグレード430のステンレス鋼の細片である。第二の層20は、10μmの厚さT20を有するニッケルの細片である。層30もまた、グレード430のステンレス鋼製の細片であり、この細片はまた、35μmの厚さT30を有する。サセプタ組立品1の総厚さTは80μmである。サセプタ組立品1は、ニッケルの細片20をステンレス鋼の第一の細片10にクラッディングすることによって形成されている。その後、第三のステンレス鋼の細片30がニッケルの細片20の上にクラッディングされる。
【0067】
第一の層10および第三の層30はステンレス鋼で作製されているため、これらは有利なことに、第二の層20におけるニッケル材料のための腐食防止被覆を提供する。
【0068】
別の方法として、第三の層30は、第一の層10と比較して異なる材料および/または厚さを含んでもよい。例えば、第三の層30は、応力補償材料としてオーステナイトステンレス鋼(V2aまたはV24鋼など)を含んでもよい。有利なことに、オーステナイトステンレス鋼は、その常磁性および高い電気抵抗に起因して、第二の層20のニッケル材料をそれらに加えられる電磁場から弱く遮蔽するのみである。
【0069】
図3は、本発明によるエアロゾル発生物品100の例示的な実施形態を概略的に図示する。エアロゾル発生物品100は、同軸に整列して配置された四つの要素、すなわちエアロゾル形成基体102、支持要素103、エアロゾル冷却要素104、およびマウスピース105を備える。これらの四つの要素の各々は実質的に円筒状の要素であり、各々は実質的に同一の直径を有する。これらの四つの要素は連続的に配置されていて、また外側ラッパー106によって囲まれていて円筒状ロッドを形成する。この特定のエアロゾル発生物品、特にこの四つの要素のさらなる詳細は、国際特許公開公報第2015/176898 A1号に開示されている。
【0070】
細長いサセプタ組立品1はエアロゾル形成基体102の中に、エアロゾル形成基体102と接触して位置している。
図3に示す通りのサセプタ組立品1は、
図1および
図2によるサセプタ組立品1に対応する。
図3に示す通りのサセプタ組立品の層構造は大きく図示されているが、エアロゾル発生物品のその他の要素に関して実寸に比例してはいない。サセプタ組立品1はエアロゾル形成基体102の長さとほぼ同一の長さを有し、またエアロゾル形成基体102の半径方向の中心軸に沿って位置している。エアロゾル形成基体102は、ラッパーによって囲まれた、捲縮され均質化したたばこ材料のシートの集合体を含む。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0071】
サセプタ組立品1は、エアロゾル形成基体を形成するために使用されるプロセス中に、エアロゾル発生物品を形成するための複数の要素の組み立ての前に、エアロゾル形成基体102の中に挿入されてもよい。
【0072】
図3に図示されたエアロゾル発生物品100は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置と係合させるのに伴い、エアロゾル発生物品のサセプタ組立品が位置している、交流の、特に高周波の電磁場を発生するための誘導コイルまたはインダクタを有する誘導源を備えてもよい。