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特許7173989情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20221109BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G06T11/80 A
A61B5/00 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019562908
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2018044592
(87)【国際公開番号】W WO2019131013
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2017248934
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018081276
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100146123
【弁理士】
【氏名又は名称】木本 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】舛田 勇二
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-200050(JP,A)
【文献】特表2010-515489(JP,A)
【文献】特開2013-043017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む測色データを取得する手段を備え、
カメラから、前記被験者の肌の画像データを取得する手段を備え、
前記画像データに基づいて、ディスプレイに表示する表示画像を生成する手段を備え、
前記第1色成分値~前記第3色成分値を、それぞれ、肌の光特性を表す物質量に関する第1色素パラメータ~第3色素パラメータに変換する手段を備え、
オペレータが、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記 指示に従って、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する手段を備え、
前記変更された第1色素パラメータ~第3色素パラメータを、それぞれ、前記第1色成分値~前記第3色成分値に変換する手段を備え、
前記変換された第1色成分値~第3色成分値に基づいて、前記表示画像を変更する手段を備え
オペレータが、前記第1色成分値~前記第3色成分値の少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記指示に従って、前記第1色成分値~前記第3色成分値の少なくとも1つを変更する手段を備え、
前記変更された第1色成分値~第3色成分値を、それぞれ、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータに変換する手段を備え、
前記変換された第1色素パラメータ~第3色素パラメータに基づいて、前記表示画像を変更する手段を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1色素パラメータは、真皮の光散乱レベルに関するパラメータであり、
前記第2色素パラメータは、表皮の光吸収レベルに関するパラメータであり、
前記第3色素パラメータは、真皮の光吸収レベルに関するパラメータである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1色素パラメータは、コラーゲン繊維の密度及び変性に基づく係数を含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1色素パラメータは、皮膚中の酸化ヘモグロビンの量に関するパラメータであり、
前記第2色素パラメータは、表皮の光吸収レベルに関するパラメータであり、
前記第3色素パラメータは、皮膚中の還元ヘモグロビンの量に関するパラメータである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1色成分値~前記第3色成分値は、それぞれ、XYZ表色系のX色成分値、Y色成分値、及び、Z色成分値を含む、請求項1~請求項4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記変更する手段は、前記X色成分値、前記Y色成分値、及び、前記Z色成分値をRGB色空間の画像信号に変換することにより、前記表示画像を変更する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記測色データを取得する手段は、前記被験者の肌を測色する測色装置から前記測色データを取得する、請求項1~請求項6の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
色素パラメータ及び色成分値を表示する手段を備え、
前記表示する手段は、
前記オペレータが、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記変換された第1色成分値~第3色成分値を表示し、
前記オペレータが、前記第1色成分値~前記第3色成分値の少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記変換された第1色素パラメータ~第3色素パラメータを表示する、
請求項1~請求項7の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1~請求項8の何れかに記載の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを用いて、被験者の肌の色を再現した画像を生成する情報処理方法であって、
被験者の肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む測色データを取得するステップを備え、
カメラから、前記被験者の肌の画像データを取得するステップを備え、
前記画像データに基づいて、ディスプレイに表示する表示画像を生成するステップを備え、
前記第1色成分値~前記第3色成分値を、それぞれ、肌の光特性を表す物質量に関する第1色素パラメータ~第3色素パラメータに変換するステップを備え、
オペレータが、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記指示に従って、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更するステップを備え、
前記変更された第1色素パラメータ~第3色素パラメータを、それぞれ、前記第1色成分値~前記第3色成分値に変換するステップを備え、
前記変換された第1色成分値~第3色成分値に基づいて、前記表示画像を変更するステップを備え、
オペレータが、前記第1色成分値~前記第3色成分値の少なくとも1つを変更する指示を与えた場合、前記指示に従って、前記第1色成分値~前記第3色成分値の少なくとも1つを変更するステップを備え、
前記変更された第1色成分値~第3色成分値を、それぞれ、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータに変換するステップを備え、
前記変換された第1色素パラメータ~第3色素パラメータに基づいて、前記表示画像を変更するステップを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肌の状態に応じた化粧品を選択する消費者が増加傾向にある。このような消費者に適合した商品を勧めるためには、個人の肌の状態に合わせた化粧品を勧めることが有効である。そのため、消費者の肌の状態を定量化し、且つ、化粧品を使用した後の肌の状態を推測する技術が求められている。
【0003】
例えば、特許3727807号公報は、皮膚の測色値から皮膚中の成分(メラニン及びヘモグロビン)の量を推定するモデルを開示している。
【0004】
特許3798550号公報は、皮膚の反射スペクトルから皮膚中の成分(メラニン、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、及び、真皮の見かけ上の吸光度)を推定するモデルを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧品を選択する消費者に対して、推奨される化粧品を使用した後の皮膚中の成分の変化と、当該変化に起因する肌の色合いと、を提示することにより、消費者の購買意欲を促進させることができる。特に、消費者の購買意欲の促進のためには、推奨される化粧品を使用した後の皮膚中の成分の変化に対応する肌の色が再現されたシミュレーション画像を提示することが有効である。
【0006】
しかし、一般に、測色値は、少なくとも3つのパラメータ(例えば、XYZ表色系の色成分値)で表される。特許3727807号公報のモデルは、皮膚中の成分に対応するパラメータが2種類(メラニン及びヘモグロビン)であるため、皮膚中の成分から測色値を計算することはできない。そのため、上記シミュレーション画像を生成することはできない。
【0007】
特許3798550号公報にモデルは、測色値と皮膚中の成分との関係を規定していない。そのため、上記シミュレーション画像を生成することはできない。
【0008】
本発明の目的は、皮膚中の成分に応じた肌の色が再現されたシミュレーション画像を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、
被験者の肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む測色データを取得する手段を備え、
カメラから、前記被験者の肌の画像データを取得する手段を備え、
前記画像データに基づいて、ディスプレイに表示する表示画像を生成する手段を備え、
前記第1色成分値~前記第3色成分値を、それぞれ、肌の光特性を表す物質量に関する第1色素パラメータ~第3色素パラメータに変換する手段を備え、
オペレータの指示に従って、前記第1色素パラメータ~前記第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する手段を備え、
前記変更された第1色素パラメータ~第3色素パラメータを、それぞれ、前記第1色成分値~前記第3色成分値に変換する手段を備え、
前記変換された第1色成分値~第3色成分値に基づいて、前記表示画像を変更する手段を備える、
情報処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、皮膚中の成分に応じた肌の色が再現されたシミュレーション画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】クライアント装置10の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態の概要の説明図である。
図4】本実施形態の情報処理のフローチャートである。
図5】本実施形態の情報処理において取り扱われるデータの概要を示す図である。
図6】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図7】変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、測色装置20と、を備える。
クライアント装置10及び測色装置20は、有線又は無線により互いに接続される。
【0015】
クライアント装置10は、測色装置20の計測結果を用いて情報処理を実行する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0016】
測色装置20は、肌の色を測定するように構成される。
【0017】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置10の構成について説明する。図2は、クライアント装置10の構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14と、カメラ15と、ディスプレイ16と、を備える。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。
【0023】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
【0024】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と測色装置20との間の通信を制御するように構成される。
【0025】
カメラ15は、画像データ(例えば、測色装置20による測色の対象となる被験者の画像に対応する画像データ)を取得するように構成される。
【0026】
ディスプレイ16は、プロセッサ12により生成された表示画像を表示するように構成される。ディスプレイ16は、例えば、LCD(Liquid-Crystal-Display)、又は、OEL(Organic-Electro-Luminescence)ディスプレイである。
【0027】
(2)本実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。図3は、本実施形態の概要の説明図である。
【0028】
図3に示すように、測色装置20は、被験者OBJの肌を測色することにより、測色データを取得する。測色データは、被験者OBJの肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む。
【0029】
クライアント装置10は、被験者OBJの肌の画像の画像データと、測色装置20によって得られた測色データと、を取得する。
クライアント装置10は、画像データに基づいて、被験者OBJの肌の表示画像IMG0を表示する。
【0030】
クライアント装置10は、測色データに含まれる第1色成分値~第3色成分値に基づいて、肌の光特性(たとえば、光の反射特性、及び、光の吸収特性の少なくとも1つ)を表す物質量に関する第1色素パラメータ~第3色素パラメータを計算する。
【0031】
クライアント装置10のオペレータは、クライアント装置10に対して、第1色素パラメータ~第3色素パラメータの少なくとも1つを変更するための指示を与える。
クライアント装置10は、オペレータの指示に従って、第1色素パラメータ~第3色素パラメータの少なくとも1つを変更する。クライアント装置10は、変更後の第1色素パラメータ~第3色素パラメータを、それぞれ、第1色成分値~第3色成分値に変換する。クライアント装置10は、変換された第1色成分値~第3色成分値に基づいて、変換された第1色成分値~第3色成分値に対応する表示画像IMG1を表示する。
【0032】
このように、クライアント装置10のオペレータは、クライアント装置10に対して、第1色素パラメータ~第3色素パラメータの少なくとも1つを変更するための指示を与えるだけで、被験者OBJの肌の色素の変化に応じた表示画像IMG1が得られる。
【0033】
(3)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。図4は、本実施形態の情報処理のフローチャートである。図5は、本実施形態の情報処理において取り扱われるデータの概要を示す図である。図6は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0034】
図4に示すように、クライアント装置10は、測色データの取得(S100)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、測色装置20から、測色データを取得する。測色データは、被験者OBJの肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む。第1色成分値~第3色成分値は、例えば、XYZ表色系の色成分値(X0,Y0,Z0)である(図5)。
プロセッサ12は、取得した測色データを記憶装置11に記憶する。
【0035】
ステップS100の後、クライアント装置10は、画像データの取得(S101)を実行する。
具体的には、カメラ15は、被験者OBJの肌を撮像することにより、被験者OBJの肌の画像データを生成する。画像データは、例えば、RGB色空間の色成分値(以下「表示色情報」という)を含む。
プロセッサ12は、カメラ15によって生成された画像データを記憶装置11に記憶する。
【0036】
ステップS101の後、クライアント装置10は、表示画像の生成(S102)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS101で記憶装置11に記憶された測色データに含まれる第1色成分値~第3色成分値(X0,Y0,Z0)を、RGB色空間の表示色情報(R0,G0,B0)に変換する(図5)。
【0037】
プロセッサ12は、式1を用いて、測色データに含まれる第1色成分値~第3色成分値(X0,Y0,Z0)を、第1色素パラメータ~第3色素パラメータ(Pa0,Pb0,Pc0)に変換する(図5)。
【数1】
・kax、kbx、kcx:コラーゲン繊維の密度及び変性に基づく係数
・kay、kby、kcy:皮膚のメラニン量に基づく係数
・kaz、kbz、kcz:皮膚のヘモグロビン量に基づく係数
・j、j、j:定数
【0038】
第1色素パラメータPaは、被験者OBJの肌の真皮の光散乱レベルに関するパラメータである。
第2色素パラメータPbは、被験者OBJの肌の表皮の光吸収レベルに関するパラメータである。
第3色素パラメータPcは、被験者OBJの肌の真皮の光吸収レベルに関するパラメータである。
【0039】
ステップS101で記憶装置11に記憶された画像データと、変換されたRGB色空間の表示色情報(R0,G0,B0)と、に基づく画像(つまり、被験者OBJの肌の画像)を生成する(図5)。
プロセッサ12は、画面P100(図6)をディスプレイ16に表示する。
【0040】
図6に示すように、画面P100は、表示オブジェクトA100と、ボタンオブジェクトB100a~B100cと、画像オブジェクトIMG100と、を含む。
表示オブジェクトA100には、測色データに含まれる第1色成分値~第3色成分値(X0,Y0,Z0)が表示される。表示オブジェクトA100に表示された値は、ステップS102で変換されたRGB色空間の表示色情報(R0,G0,B0)に対応する。
ボタンオブジェクトB100aは、真皮の光散乱レベルに関する第1色素パラメータPaを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第1色素パラメータPaの値は、ボタンオブジェクトB100aの位置に応じて決まる。
ボタンオブジェクトB100bは、表皮の光吸収レベルに関する第2色素パラメータPbを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第2色素パラメータPbの値は、ボタンオブジェクトB100bの位置に応じて決まる。
ボタンオブジェクトB100cは、真皮の光吸収レベルに関する第3色素パラメータPcを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第3色素パラメータPcの値は、ボタンオブジェクトB100cの位置に応じて決まる。
画像オブジェクトIMG100は、ステップS102で生成された被験者OBJの肌の画像が表示される。被験者OBJの肌の画像の色は、ステップS102で変換されたRGB色空間の表示色情報(R0,G0,B0)によって決まる。
【0041】
ステップS102の後、クライアント装置10は、パラメータの変更(S103)を実行する。
具体的には、オペレータが、ボタンオブジェクトB100aを操作すると、プロセッサ12は、ボタンオブジェクトB100aの位置に応じた値に第1色素パラメータPaを変更する。
オペレータが、ボタンオブジェクトB100bを操作すると、プロセッサ12は、ボタンオブジェクトB100bの位置に応じた値に第2色素パラメータPbを変更する。
オペレータが、ボタンオブジェクトB100cを操作すると、プロセッサ12は、ボタンオブジェクトB100cの位置に応じた値に第3色素パラメータPcを変更する。
これにより、第1色素パラメータ~第3色素パラメータの値が、(Pa0,Pb0,Pc0)から(Pa1,Pb1,Pc1)に補正される(図5)。
【0042】
ステップS103の後、クライアント装置10は、表示画像の変更(S104)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、式1を用いて、ステップS103で変更した第1色素パラメータ~第3色素パラメータを、第1色成分値~第3色成分値(X1,Y1,Z1)に変換する(図5)。
プロセッサ12は、第1色成分値~第3色成分値(X1,Y1,Z1)を、RGB色空間の表示色情報(R1,G1,B1)に変換する(図5)。
ステップS101で記憶装置11に記憶された画像データと、変換されたRGB色空間の表示色情報(R1,G1,B1)と、に基づく画像(つまり、変更後の色素パラメータに対応する画像)を生成する(図5)。
プロセッサ12は、画面P102(図6)をディスプレイ16に表示する。
【0043】
図6に示すように、画面P102は、表示オブジェクトA102と、ボタンオブジェクトB100a~B100cと、画像オブジェクトIMG102と、を含む。
表示オブジェクトA102には、ステップS103で変更された色素パラメータに対応する第1色成分値~第3色成分値(X1,Y1,Z1)が表示される。表示オブジェクトA102に表示された値は、ステップS104で変換されたRGB色空間の表示色情報(R1,G1,B1)に対応する。
画像オブジェクトIMG102は、ステップS103で変更された色素パラメータに対応する。
【0044】
本実施形態によれば、3種類の色成分値(例えば、XYZ表色系の色成分値)と、3種類の色素パラメータ(例えば、肌の反射特性(一例として、真皮の光散乱レベルに関するパラメータ)と、肌の吸収特性(一例として、表皮の光吸収レベルに関するパラメータ、及び、真皮の光吸収レベルに関するパラメータ)との組合せ)と、の関係が規定されたモデル(式1)を用いるので、オペレータが3種類の色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えるだけで、変更後の色素パラメータに対応する色成分値が得られる(ステップS103~S104)。これにより、皮膚中の成分に応じた肌の色が再現されたシミュレーション画像(例えば、図6の画像オブジェクトIMG102)を提供することができる。
【0045】
(4)変形例
本実施形態の変形例について説明する。なお、本実施形態と同様の説明は省略する。
【0046】
(4-1)変形例1
本実施形態の変形例1について説明する。
【0047】
変形例1では、ステップS103(図4)において、オペレータが、表示オブジェクトA100に表示された第1色成分値~第3色成分値(X0,Y0,Z0)の少なくとも1つを変更する指示を与えると、プロセッサ12は、式1を用いて、変更後の第1色成分値~第3色成分値(X0,Y0,Z0)に対応する第1色素パラメータPa~第3色素パラメータPcを計算する。
【0048】
変形例1によれば、クライアント装置10のオペレータが第1色成分値~第3色成分値の少なくとも1つを変更するための指示を与えた場合、被験者OBJの肌の色素の変化に応じた第1色素パラメータPa~第3色素パラメータPcの表示オブジェクトA102を提供することができる。
【0049】
(4-2)変形例2
本実施形態の変形例2について説明する。変形例2は、肌の吸収特性を表す物質量に関する第1色素パラメータ~第3色素パラメータの変形例である。図7は、変形例2の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0050】
変形例2の第1色素パラメータPaは、被験者OBJの肌の酸化ヘモグロビンの量に関するパラメータである。
第2色素パラメータPbは、被験者OBJの肌の表皮の光吸収レベルに関するパラメータである。
第3色素パラメータPcは、被験者OBJの肌の還元ヘモグロビンの量に関するパラメータである。
【0051】
プロセッサ12は、ステップS102(図4)において、画面P110(図7)をディスプレイ16に表示する。
【0052】
図7に示すように、画面P110は、表示オブジェクトA100と、ボタンオブジェクトB110a~B110cと、画像オブジェクトIMG100と、を含む。
ボタンオブジェクトB110aは、酸化ヘモグロビンの量に関する第1色素パラメータPaを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第1色素パラメータPaの値は、ボタンオブジェクトB110aの位置に応じて決まる。
ボタンオブジェクトB110bは、表皮の光吸収レベルに関する第2色素パラメータPbを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第2色素パラメータPbの値は、ボタンオブジェクトB110bの位置に応じて決まる。
ボタンオブジェクトB110cは、還元ヘモグロビンの量に関する第3色素パラメータPcを変更するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。第3色素パラメータPcの値は、ボタンオブジェクトB110cの位置に応じて決まる。
【0053】
変形例2によれば、3種類の色成分値(例えば、XYZ表色系の色成分値)と、3種類の色素パラメータ(例えば、酸化ヘモグロビンの量に関するパラメータ、表皮の光吸収レベルに関する、及び、還元ヘモグロビンの量に関するパラメータ)と、の関係が規定されたモデルを用いる。これにより、オペレータが3種類の色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えるだけで、変更後の色素パラメータに対応する色成分値が得られる(ステップS103~S104)。これにより、皮膚中の成分に応じた肌の色が再現されたシミュレーション画像(例えば、図7の画像オブジェクトIMG102)を提供することができる。
【0054】
(5)本実施形態の小括
本実施形態について小括する。
【0055】
本実施形態の第1態様は、
被験者OBJの肌の色素を表す第1色成分値~第3色成分値を含む測色データを取得する手段(例えば、ステップS100の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
カメラ15から、被験者OBJの肌の画像データを取得する手段(例えば、ステップS101の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
画像データに基づいて、ディスプレイ16に表示する表示画像を生成する手段(例えば、ステップS102の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
第1色成分値~第3色成分値を、それぞれ、肌の光特性(例えば、光の反射特性、又は、光の吸収特性の少なくとも1つ)に関する第1色素パラメータPa、第2色素パラメータPb、及び、第3色素パラメータPcに変換する手段(例えば、ステップS102の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
オペレータの指示に従って、第1色素パラメータPa~第3色素パラメータPcの少なくとも1つを変更する手段(例えば、ステップS103の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
変更された第1色素パラメータPa~第3色素パラメータPcを、それぞれ、第1色成分値~第3色成分値に変換する手段(例えば、ステップS104の処理を実行するプロセッサ12)を備え、
変換された第1色成分値~第3色成分値に基づいて、表示画像を変更する手段(例えば、ステップS104の処理を実行するプロセッサ12)を備える、
情報処理装置(例えば、クライアント装置10)である。
【0056】
第1態様によれば、3種類の色成分値(第1色成分値~第3色成分値)を、肌の光特性を表す物質量に関する3種類の色素パラメータ(第1色素パラメータPa~第3色素パラメータPc)に変換するモデルが用いられる。オペレータが3種類の色素パラメータの少なくとも1つを変更する指示を与えるだけで、変更後の色素パラメータに対応する色成分値が得られる。これにより、皮膚中の成分に応じた肌の色が再現されたシミュレーション画像を提供することができる。
【0057】
本実施形態の第2態様は、
前記第1色素パラメータは、真皮の光散乱レベルに関するパラメータであり、
前記第2色素パラメータは、表皮の光吸収レベルに関するパラメータであり、
前記第3色素パラメータは、真皮の光吸収レベルに関するパラメータである、
情報処理装置である。
【0058】
第2態様によれば、オペレータが、肌の反射特性(例えば、真皮の光散乱レベル)、並びに、肌の吸収特性(例えば、表皮の光吸収レベル、及び、真皮の光吸収レベル)の少なくとも1つを変更する指示を与えるだけで、変更後の色素パラメータに対応する色成分値が得られる。
【0059】
本実施形態の第3態様は、
第1色素パラメータPaは、コラーゲン繊維の密度及び変性に基づく係数を含む、
情報処理装置である。
【0060】
第3態様によれば、オペレータが光特性を変更する指示を与えると、コラーゲン繊維の密度及び変性に応じた色成分値が得られる。
【0061】
本実施形態の第4態様は、
第1色素パラメータは、皮膚中の酸化ヘモグロビンの量に関するパラメータであり、
第2色素パラメータは、表皮の光吸収レベルに関するパラメータであり、
第3色素パラメータは、皮膚中の還元ヘモグロビンの量に関するパラメータである、情報処理装置である。
【0062】
第4態様によれば、オペレータが、肌の吸収特性(例えば、皮膚中の酸化ヘモグロビンの量、表皮の光吸収レベル、及び、皮膚中の還元ヘモグロビンの量の少なくとも1つ)を変更する指示を与えるだけで、変更後の色素パラメータに対応する色成分値が得られる。
【0063】
本実施形態の第5態様は、
第1色成分値~第3色成分値は、それぞれ、XYZ表色系のX色成分値、Y色成分値、及び、Z色成分値を含む、
情報処理装置である。
【0064】
第5態様によれば、オペレータが光特性を変更する指示を与えると、当該指示に対応するXYZ表色系のX色成分値、Y色成分値、及び、Z色成分値が得られる。
【0065】
本実施形態の第6態様は、
変更する手段は、X色成分値、Y色成分値、及び、Z色成分値をRGB色空間の画像信号に変換することにより、表示画像を変更する、
情報処理装置である。
【0066】
第6態様によれば、オペレータが光特性を変更する指示を与えると、当該指示に対応する表示画像を提示することができる。
【0067】
本実施形態の第7態様は、
測色データを取得する手段は、被験者OBJの肌を測色する測色装置20から測色データを取得する、
情報処理装置である。
【0068】
第7態様によれば、測色装置20から取得した測色データに対するオペレータの指示に応じた色成分値が得られる。
【0069】
本実施形態の第8態様は、
コンピュータ(例えば、プロセッサ12)を、上記各手段として機能させるためのプログラムである。
【0070】
(6)その他の変形例
【0071】
記憶装置11は、ネットワーク(不図示)を介して、クライアント装置10と接続されてもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
15 :カメラ
16 :ディスプレイ
20 :測色装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7