(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20221109BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
D06F39/08 301Z
D06F25/00 Z
(21)【出願番号】P 2020052049
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 道太
(72)【発明者】
【氏名】河村 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一成
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142351(JP,A)
【文献】特開2015-058237(JP,A)
【文献】特開2014-028013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
D06F 25/00
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽と、
洗濯物を投入する内槽と、
洗濯物に風を吹きつける送風部と、
前記送風部
の吸気口と接続された送風路と、
前記送風部と前記送風路とが接続される部分の水平断面における一部領域に設けられ、
前記送風路内を洗浄するために流れる洗浄水の一部を収集して前記送風路へ流す集塵装置と、
を有
し、
前記集塵装置は、
前記洗浄水の一部を収集する水収集部と、
前記送風路内において下方から上方へ流れる風に含まれる塵を集塵する集塵部と、前記水収集部で収集された水を前記
集塵部の表面へ流す
孔と、
を有
し、
前記集塵部は、下方になるほど断面積が細くなる構造の複数の櫛歯形状である
、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を洗濯する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型洗濯機では、送風路内の塵溜まりによる風損を防ぐために、除湿ダクトと送風手段とを連通させる蛇腹管へ向けて、除湿ダクト内に設けた洗浄手段にて水を吹きつけて、風路に残留する埃を効果的に洗い流し、乾燥性能の低下を抑制したものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送風路と蛇腹との接続部付近には風路の滞留部ができてしまい、塵が溜まりやすく、従来の方法で水を流すだけでは滞留部の塵を十分に洗浄できない問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、塵が滞留する滞留部の塵を十分に洗浄可能な洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明の洗濯機は、外槽と、洗濯物を投入する内槽と、洗濯物に風を吹きつける送風部と、送風部と接続された送風路と、送風路内を洗浄するために流れる洗浄水の一部を収集して送風路へ流す集塵装置と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塵が滞留する滞留部の塵を十分に洗浄可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機の構成を説明する図である。
【
図2】外槽と集塵装置とダクトカバーと吸込み蛇腹の配置関係を示した図である。
【
図4】外槽と集塵装置とダクトカバーと吸込み蛇腹の取り付け状態での正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施形態に係る洗濯機は、後記する集塵装置及び前記集塵装置に水を供給する水路を取り付けたものであり、以下では、洗濯機の全体構成について説明した後に、本実施形態の集塵装置及び前記集塵装置に水を供給する水路について詳細に説明する。
【0011】
<洗濯乾燥機>
図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の構成説明図である。
【0012】
図1に示すように、洗濯乾燥機1は、洗濯物を投入する洗濯兼脱水槽8(内槽)の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)である。この洗濯乾燥機1の筐体2の上部には上面カバー3が設けられており、上面カバー3には外蓋4が設けられている。外蓋4は、後ろ側に開くことにより、開口部5を開口し、洗濯兼脱水槽8に衣類等(洗濯物)が出し入れ可能になっている。
【0013】
上面カバー3の奥側(後側)には、水道栓からの給水ホース接続口6及び風呂の残り湯を吸引する吸水ホース接続口(図示省略)が設けられている。
【0014】
洗濯乾燥機1は、筐体2内に、洗濯兼脱水槽8、外槽9、駆動装置10、洗剤・仕上剤の投入装置11、給水ユニット7、乾燥ダクト12等を備えている。
【0015】
洗濯兼脱水槽8は、有底円筒形状を呈し、ステンレス鋼板等で形成された胴板8aを有している。胴板8aには、通水及び通風のための多数の貫通孔8a1(一部のみ図示)が形成されている。洗濯兼脱水槽8は、内側底面に回転翼8bを備える。
【0016】
外槽9は、有底円筒形状を呈し、洗濯兼脱水槽8を同軸上に内包し、その上部に外槽カバー9aを備えて構成されている。洗濯乾燥機1のユーザーは、外蓋4及び外槽カバー9aの蓋部材9bを開くことにより、開口部5から洗濯兼脱水槽8内に洗濯物の出し入れを行うことができる。
【0017】
駆動装置10は、外槽9の底面の外側中央に配置されている。この駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cが外槽9を貫通し、洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bと結合するように構成されている。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bの少なくともいずれかに伝達する機能を有する。
【0018】
給水ユニット7は、上面カバー3の奥側に設けられる。給水ユニット7は、給水ホース接続口6からの水道水を投入装置11、水冷除湿機構(図示省略)へ給水する。また、給水ユニット7は、給水ホース接続口6からの水道水や風呂水を、注水ホース13を介して、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水することができる。また、給水ユニット7は、給水ホース接続口6からの水道水を、洗浄ホース14を介して洗濯兼脱水槽8の上部に注水することができる。
【0019】
外槽9の底面に設けられた落込部15は、下部連通管16と連通している。下部連通管16は、排水弁17を介して、洗濯水排水路18と連通するように接続されている。
【0020】
そして、この洗濯水排水路18には、機外に排水を送り出す図示しない排水ホースが接続されている。
【0021】
ちなみに、排水弁17を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁17を開弁することにより、外槽9内の水(洗い水、すすぎ水)を
洗濯水排水路18を介して、洗濯乾燥機1の機外へ排水することができる。
【0022】
送風路である乾燥ダクト12は、外槽9の背面に一体型に設置される。乾燥ダクト12内には、水冷除湿機構(図示省略)が内蔵されており、給水ユニット7は、この水冷除湿機構に冷却水(水道水)を供給する。冷却水は乾燥ダクト12の壁面(ステンレス製等の金属プレート)を伝わって流下して落込部15に入り、下部連通管16、洗濯水排水路18を通り機外へ排出される。
【0023】
乾燥ダクト12の出口は、送風部であるファン20の吸気口と接続され、ファン20の出口はヒータ21と接続されている。ヒータ21の出口は、送風ダクト22及びゴム製の蛇腹管23を介して、吹出ノズル24と接続されている。つまり、送風部であるファン20にて内槽内に投入された洗濯物に吹出ノズル24から吹き付ける風を送出している。
【0024】
つまり、ファン20が駆動すると、外槽9内の空気が乾燥ダクト12に流れ込む。そして、乾燥ダクト12で水冷除湿された空気は、ファン20から吐出され、次いでヒータ21で加熱された後、高温低湿の風となって吹出ノズル24から洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出される。
【0025】
なお、図示していないが、下部連通管16と排水弁17の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に洗濯水排水路18から機外に排出される空気の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0026】
洗濯兼脱水槽8は、胴板8aの上端縁部に合成樹脂等で形成されたバランスリング(流体バランサともいう)8cを備えている。このバランスリング8cは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、洗濯兼脱水槽8の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング8c内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
【0027】
外槽カバー9aは、略半円形状の投入口を有し、外槽9の上端縁部に取り付けられる。なお、投入口には、開閉可能に取り付けられた蓋部材9bが設けられている。また、図示しないが、外槽カバー9aの奥側(後側)には、蛇腹管23が接続される接続口、後記する槽洗浄用の洗浄ホース14が接続される接続口が設けられている。
【0028】
外槽カバー9aには、散水装置25が複数のねじを介して外槽カバー9aの下面に固定されている。この散水装置25は、略環状形状に形成されており、外槽カバー9aの周縁部に沿って周回するよう配置されている。
【0029】
また、洗濯乾燥機1は、乾燥ダクト12と吸込み蛇腹28との接続部付近に、送風路である乾燥ダクト12内を洗浄するために流れる洗浄水の一部を収集して送風路へ流し、収集された塵を洗浄する集塵装置26を備えている。本実施形態での集塵装置26は、樹脂で形成されているが、所定の機械的強度、加工性が得られればこれに限定されることなく、金属等の他の材料で形成することもできる。
【0030】
図2は外槽9と集塵装置26とダクトカバー27と吸込み蛇腹28の配置関係を示している。集塵装置26は外槽9とダクトカバー27に挟み込まれるようにして取り付けられる。また、集塵装置26は送風部であるファン20と送風路である乾燥ダクト12とが接続される一部領域に設けられる。
【0031】
図3は集塵装置26の斜視図である。集塵装置26は洗浄水の一部を収集するための水収集部であるスロープ26aと、収集した一部の洗浄水を、塵を集塵する集塵部であるノズル26cに注ぐための孔26bを備える。ノズル26cは、複数のノズルを備え、それぞれのノズルは下方になるほど断面積が細くなる構造であり、櫛歯形状である。
【0032】
これは、乾燥ダクト12内を循環する風が、図の下方から上方へ流れ、その際に風に含まれる塵が、集塵部であるノズル
26cの部分に滞留する(
図4の塵滞留部S)。あえて、ノズル
26cを設けることで、塵を収集させ、そこに、水収集部であるスロープ26aに流れて来た洗浄水の一部を孔26bを介してノズル
26c
の表面に流すことで、塵滞留部Sを十分に洗浄することができる。
【0033】
図4は外槽9と集塵装置26とダクトカバー27と吸込み蛇腹28の取り付け状態での正面断面図である。また、Wは洗浄水を表し、Sは塵滞留部を表す。吸込み蛇腹28の背面側を流れる洗浄水Wは、集塵装置26のスロープ26aに落ち、塵滞留部Sの上方まで運ばれる。その後、洗浄水Wは、集塵装置26に開けられた孔26bから塵滞留部Sに注がれる。これにより塵滞留部Sを十分に洗浄できる。尚、洗浄水Wは、送風路の洗浄用の水であり、乾燥運転中に用いられる冷却水ではない。
【符号の説明】
【0034】
1 洗濯乾燥機
2 筐体
3 上面カバー
4 外蓋
5 開口部
6 給水ホース接続口
7 給水ユニット
8 洗濯兼脱水槽
9 外槽
10 駆動装置
11 洗剤投入装置
12 乾燥ダクト
13 注水ホース
14 洗浄ホース
15 落込部
16 下部連通部
17 排水弁
18 洗濯水排水路
19 蛇腹菅
20 ファン
21 ヒータ
22 送風ダクト
23 蛇腹菅
24 吹出ノズル
25 散水装置
26 集塵装置
26a スロープ
26b 孔
26c ノズル
27 ダクトカバー
28 吸込み蛇腹