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特許7174005マルチ開口撮像装置、マルチ開口撮像装置の製造方法および撮像システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】マルチ開口撮像装置、マルチ開口撮像装置の製造方法および撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20221109BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20221109BHJP
   G03B 13/34 20210101ALI20221109BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221109BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20221109BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20221109BHJP
   G03B 35/10 20210101ALI20221109BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20221109BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B26/08 E
G03B5/00 L
G03B13/34
G03B15/00 B
G03B15/00 W
G03B17/04
G03B19/07
G03B35/10
G03B37/00 A
H04N5/225 100
H04N5/225 200
H04N5/225 400
【請求項の数】 29
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020067785
(22)【出願日】2020-04-03
(62)【分割の表示】P 2018509588の分割
【原出願日】2016-08-18
(65)【公開番号】P2020129112
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-05-06
(31)【優先権主張番号】102015215837.3
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッパーマン フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ブラオイアー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】オーベルデルスター アレクサンダー
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102014213371(DE,B3)
【文献】国際公開第2015/104902(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/005056(WO,A1)
【文献】特開2011-239207(JP,A)
【文献】特開2010-268078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 26/08
G03B 13/34
G03B 15/00
G03B 17/04
G03B 19/07
G03B 35/10
G03B 37/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサ(12)と、
並置された光チャネル(16a~16b)の単一ラインアレイ(14)であって、前記各光チャネル(16a~16b)は、前記イメージセンサ(12)のイメージセンサ領域(13a~13d)に対象領域(260)の部分領域(106a~106d)を投影するための光学系(17a~17d)を含み、前記単一ラインアレイ(14)は、前記光チャネル(16a~16b)が通過する担体(15)を含む、並置された光チャネル(16a~16b)の単一ラインアレイ(14)と、
前記光チャネル(16a~16b)の光路(22a~22d)を偏向させるビーム偏向手段(18)と、
前記イメージセンサ(12)、前記単一ラインアレイ(14)および前記ビーム偏向手段(18)の間の相対的な動きを発生させるためのアクチュエータ手段(28)と、
を含むマルチ開口撮像装置(10;40;140;150;160;170;180;200;220;250)であって、
前記アクチュエータ手段(28)は少なくとも部分的に2つの平面(26a,26b)の間に配置され、前記2つの平面(26a,26b)は直方体(34)の側面に沿って延伸し、前記直方体(34)の側面は互いに平行であると共に、前記単一ラインアレイ(14)のライン伸長方向(24)に平行、且つ前記イメージセンサ(12)および前記ビーム偏向手段(18)間の前記光チャネル(16a~16b)の光路(22a~22d)の一部に平行に向けられ、前記直方体の体積は最小であり、それでも前記イメージセンサ(12)、前記単一ラインアレイ(14)および前記ビーム偏向手段(18)を含み、
前記マルチ開口撮像装置は、前記2つの平面(26a,26b)に垂直に配置された厚さ方向(36)を含み、前記アクチュエータ手段(28)は、厚さ方向(36)に平行な広がり(38)を含み、前記広がり(38)の最大50%の部分(42)は、前記2つの平面(26a,26b)の間の領域(44)を始点として、前記2つの平面(26a,26b)を越えて突出することができ、
前記相対的な動きが、前記単一ラインアレイ(14)をシフトさせ、且つ前記ビーム偏向手段を前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~22d)に平行なビーム方向に沿ってシフトさせて、前記ビーム方向に沿っての前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の距離(48)を維持することによる、前記ビーム方向に沿っての前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)の変更を含む、または、
前記イメージセンサ(12)または前記ビーム偏向手段(18)は、前記アクチュエータ手段(28)の第1のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)と前記単一ラインアレイ(14)との間に配置され、前記第1のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)は、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)を変化させるように構成される、マルチ開口撮像装置。
【請求項2】
前記光チャネル(16a~16)の前記光学系(17a~17d)は、前記担体(15)の透明領域内または前記透明領域に隣接しておよび/または前記透明領域の端部領域に配置される、および/または、前記担体(15)は透明に形成され、そして、前記光学系(17a~17d)は、前記担体(15)の表面に配置されて、全視野におけるそれぞれの部分視野の前記イメージセンサ(12)のそれぞれの前記イメージセンサ領域(13a~13b)への投影に影響を与える、請求項1に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ手段は、前記イメージセンサまたは前記アレイ(14)に接続された圧電アクチュエータ(74)を含む、請求項1または請求項2に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項4】
前記圧電アクチュエータは、機械的偏向手段(78;84)を介して前記イメージセンサまたは前記アレイ(14)に接続され、前記機械的偏向手段(78;84)は前記2つの平面(26a26b)の間に配置されている、請求項3に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項5】
前記圧電アクチュエータの動きは前記機械的偏向手段のベアリングによって偏向されて、前記単一ラインアレイが前記アレイ(14)のライン伸長方向(24)に沿って並進する、請求項4に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項6】
前記圧電アクチュエータは曲げ変換器である、請求項3~請求項5のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ手段は、前記イメージセンサまたは前記アレイ(14)に接続されたボイスコイルドライブ(56,66)を含む、請求項1または請求項2に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項8】
並進運動に基づく前記イメージセンサ(12)と前記アレイ(14)との前記相対的な動きによって、前記マルチ開口撮像装置の焦点位置の変更が可能になる、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項9】
並進運動に基づく、前記イメージセンサ(12)と前記アレイ(14)との前記アレイ(14)のライン伸長方向に平行または逆平行の前記相対的な動きによって、光学的画像安定化が可能になる、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項10】
前記ビーム偏向手段(18)の横方向のシフト、および/または、回転軸(36)の周りでの前記ビーム偏向手段(18)の回転に基づく前記相対的な動きによって、前記マルチ開口撮像装置の視線方向の切り替えが可能になる、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項11】
前記アクチュエータ手段のアクチュエータは、前記2つの平面(26a,26b)の間を始点として、前記2つの平面(26a,26b)を越えて突出する前記広がり(38)の部分がないように配置される、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項12】
前記ビーム偏向手段(18)は、前記マルチ開口撮像装置(170)が第1の視線方向(92a)を含むように、前記ビーム偏向手段(18)の第1の位置で前記光チャネルを偏向するように構成され、前記ビーム偏向手段の第2の位置での前記マルチ開口撮像装置において、前記光チャネルの前記光路は、前記マルチ開口撮像装置(170)が第2の視線方向(92b)を含むように偏向される、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項13】
前記相対的な動きを発生させるための前記アクチュエータ手段(28)は、前記イメージセンサ(12)の、前記単一ラインアレイ(14)の外方を向く側に配置される、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項14】
前記アクチュエータ手段(28)は前記2つの平面(26a,26b)の間の領域(44)から、前記ライン伸長方向(24)に垂直な厚さ方向(36)に沿って、前記アクチュエータ手段(28)の前記厚さ方向(36)に沿った大きさの最大50%、前記2つの平面(26a,26b)の第1または第2の平面(26a,26b)を越えて突出している、請求項13に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項15】
前記ビーム偏向手段(18)は、少なくとも第1の視線方向(92a)および第2の視線方向(92b)で前記光チャネル(16a~16b)の前記光路を偏向させるように構成され、前記アクチュエータ手段(28)は少なくとも1つのアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)を備え、前記少なくとも1つのアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)は、前記第1の視線方向(92a)または第2の視線方向(92b)に対して垂直に配置された前記ビーム偏向手段(18)の平面(99)に配置される、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項16】
前記相対的な動きは、
前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~22d)に平行なビーム方向に沿った、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)の変更、または、
前記ビーム方向に沿った、前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の距離(48)の変更を含む、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項17】
前記相対的な動きは、光学的画像安定化のための、前記イメージセンサ(12)、前記単一ラインアレイ(14)または前記ビーム偏向手段(18)の並進運動を含み、前記並進運動は、前記マルチ開口撮像装置によってキャプチャーされた画像の第1の画像軸(62)または第2の画像軸(58)に平行に実行される、請求項1~請求項16のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項18】
前記相対的な動きは、前記単一ラインアレイ(14)の前記ライン伸長方向に平行な軸の周りでの前記ビーム偏向手段(18)の回転運動(52)、または、前記ライン伸長方向(24)に平行な軸に沿っての前記ビーム偏向手段(18)の並進運動を含み、前記並進運動は第1の位置(Pos1)と第2の位置(Pos2)との間で実行することができ、前記ビーム偏向手段(18)は前記第1の位置(Pos1)と前記第2の位置(Pos2)との間で並進的に可動である、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項19】
前記第1のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)は、作動中に、前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~22d)に平行なビーム方向に沿って、前記アクチュエータ(74a~74b)の領域(76)を移動するように構成される湾曲アクチュエータ(74a~74b)である、請求項1~18のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項20】
前記アクチュエータ手段(28)は、湾曲アクチュエータ(74a~74b)として形成された第2のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)を含み、
前記第2のアクチュエータは、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)を変更して、作動中に、前記アクチュエータ(74a~74b)の領域(76)を、前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~22d)に平行なビーム方向に沿って移動させるように構成され、前記第1および第2のアクチュエータは、前記ライン伸長方向(24)に沿って、前記単一ラインアレイ(14)の異なる領域に接続される、請求項19に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項21】
前記アクチュエータ手段(28)は、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)を変更するように構成される第1のボイスコイルモータ(66a~66f;72a~72b)を含む、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項22】
前記アクチュエータ手段(28)は、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)を変更し、前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~d)に平行な前記ビーム方向に沿っての前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の距離(48)を維持するように構成される、請求項21に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項23】
前記アクチュエータ手段(28)は、前記単一ラインアレイ(14)のライン伸長方向(24)に垂直で、且つ、前記イメージセンサ(12)に平行な平面(25)における、前記単一ラインアレイ(14)に対するイメージセンサ(12)の相対的位置を変更するように構成される第2のボイスコイルモータ(66a~66f;72a~72b)を含む、請求項1~請求項22のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項24】
平坦なハウジング(272)内に配置され、第1のハウジング方向(x)および第2のハウジング方向(z)に沿った前記ハウジング(272)の少なくとも第1の伸長および第2の伸長は、第3のハウジング方向(y)に沿った前記ハウジングの第3の伸長と比較して少なくとも3倍の大きさを有する、請求項1~請求項23のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項25】
前記アクチュエータ手段(28)は、前記単一ラインアレイ(14)のライン伸長方向(24)に沿って、前記単一ラインアレイ(14)を移動させるように構成されるアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)を含む、請求項1~請求項24のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項26】
前記アクチュエータ手段(28)は、前記単一ラインアレイ(14)の前記ライン伸長方向(24)に平行な軸(32)の周りで前記ビーム偏向手段(18)が回転運動(52)するように、前記ビーム偏向手段(18)を配置するように構成されるアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)を含む、請求項1~請求項25のいずれか1項に記載のマルチ開口撮像装置。
【請求項27】
請求項1~請求項26のいずれか1項に記載の第1のマルチ開口撮像装置(10;40;140;150;160;170;180;200;220;250)と、請求項1~26の1項に記載の第2のマルチ開口撮像装置(10;40;140;150;160;170;180;200;220;250)を備える撮像システム(272)であって、
前記撮像システム(272)は、少なくとも立体視的に対象領域(260)をキャプチャーするように構成されことを特徴とする、撮像システム。
【請求項28】
ポータブルシステム、特に移動通信手段である、請求項27に記載の撮像システム。
【請求項29】
イメージセンサ(12)を提供するステップと、
並置された光チャネル(16a~16b)の単一ラインアレイを、前記光チャネル(16a~16b)が通過する担体(15)を前記それぞれの単一ラインアレイが含むように、それぞれの光チャネルが対象領域の部分領域を前記イメージセンサのイメージセンサ領域に投影するための光学系を含むように、配置するステップと、
前記光チャネルの光路を偏向させるビーム偏向手段を配置するステップと、
前記イメージセンサと前記単一ラインアレイと前記ビーム偏向手段との間の相対的な動きを発生させるためのアクチュエータ手段を配置するステップと、
を含む、マルチ開口撮像装置の製造方法であって、
前記アクチュエータ手段は少なくとも部分的に2つの平面の間に配置され、前記2つの平面は直方体の側面に沿って延伸し、前記直方体の側面は互いに平行であると共に、前記単一ラインアレイのライン伸長方向に平行、且つ前記イメージセンサおよび前記ビーム偏向手段間の前記光チャネルの光路の一部に平行に向けられ、前記直方体の体積は最小であり、それでも前記イメージセンサ、前記単一ラインアレイおよび前記ビーム偏向手段を含み、
前記マルチ開口撮像装置は、前記2つの平面(26a,26b)に垂直に配置された厚さ方向(36)を含み、前記アクチュエータ手段(28)は、厚さ方向(36)に平行な広がり(38)を含み、前記広がり(38)の最大50%の部分(42)は、前記2つの平面(26a,26b)の間の領域(44)を始点として、前記2つの平面(26a,26b)を越えて突出することができ、
前記相対的な動きが、前記単一ラインアレイ(14)をシフトさせ、且つ前記ビーム偏向手段を前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の前記光チャネル(16a~16b)を通り抜ける光路(22a~22d)に平行なビーム方向に沿ってシフトさせて、前記ビーム方向に沿っての前記単一ラインアレイ(14)と前記ビーム偏向手段(18)との間の距離(48)を維持することによる、前記ビーム方向に沿っての前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)の変更を含むようになっている、または、
前記イメージセンサ(12)または前記ビーム偏向手段(18)が、前記アクチュエータ手段(28)の第1のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)と前記単一ラインアレイ(14)との間に配置され、前記第1のアクチュエータ(56;56´a~56´b;57a~57b;66a~66f;72a~72b;74a~74b;102)は、前記イメージセンサ(12)と前記単一ラインアレイ(14)との間の距離(46)を変化させるように構成されるようになっている、マルチ開口撮像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ開口撮像装置およびその製造方法に関する。さらに、本発明は、撮像装置と、動きを生成するための構成要素の配置およびマルチ開口撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラは、全対象領域を撮像する撮像チャネルを有する。カメラは、撮像システムの適応を可能にする適応性のある構成要素を有し、それによって製造公差および動作温度範囲を広げ、またはオートフォーカスおよび光学的画像安定化機能を可能にする。フォーカシングおよび光学的画像安定化機能を実現するための動きを生成するための構成要素は、画像光学経路を遮断することなく、光学軸または対物レンズを方向付けするように配置される。カメラおよび/またはマルチ開口撮像装置は、小型化の必要性を有する。
【0003】
したがって、高画質を確保しつつ、全視野をキャプチャーするための小型化されたマルチ開口撮像装置を可能とする概念が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、本発明の目的は、マルチ開口撮像装置および/または撮像システムの小型化を実現し、高品質の画像を得ることができるマルチ開口撮像装置、その製造方法および撮像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。
【0006】
本発明の核心は、単一ラインアレイとイメージセンサとビーム偏向手段との間の相対的な動きに基づいて、焦点および/または光学的画像安定化が得られ、高画質を可能にするという知見である。直方体の平面内に広がったまたはイメージセンサ、ビーム偏向手段および単一ラインアレイの位置によって規定されたアクチュエータ手段を配置することは、この方向に沿ってアクチュエータ手段が存在しないために、この平面に垂直な方向に沿った設置スペースが少なくて済む。
【0007】
一実施形態によれば、マルチ開口撮像装置は、イメージセンサと、並置された光チャネルの単一ラインアレイとを含み、各光チャネルは、イメージセンサのイメージセンサ領域上の対象領域の部分領域を投影するための光学系と、光学チャネルの光路を偏向するビーム偏向手段と、イメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段間の相対的な動きを発生させるためのアクチュエータ手段とを含む。アクチュエータ手段は、直方体の側面に及ぶ2つの平面の間に少なくとも部分的に配置されるように配置され、直方体の側面は、互いに平行であるとともに、単一ラインアレイのライン伸長方向と、イメージセンサとビーム偏向手段との間の光チャネルの光路の一部に向けられ、その直方体の容積は最小限であり、また、イメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段を依然として含む。
【0008】
さらなる実施形態によれば、撮像システムは、第1のマルチ開口撮像装置および少なくとも第2のマルチ開口撮像装置を含み、少なくとも立体的に対象領域をキャプチャーするように構成される。
【0009】
さらなる実施形態によれば、マルチ開口撮像装置を製造する方法は、イメージセンサを提供するステップと、それぞれの光チャネルが、イメージセンサのイメージセンサ領域上の対象領域の部分領域を投影するための光学系を含むように、並置された光学チャネルの単一ラインアレイを配置することを含む。この方法は、光チャネルの光路を偏向させるためのビーム偏向手段を配置するステップと、イメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段間の相対的な動きを生成するアクチュエータ手段とを配置するステップを含む。アクチュエータ手段は、当該アクチュエータ手段が直方体の側面に及ぶ2つの平面の間に少なくとも部分的に配置されるように配置され、前記直方体の側面は、互いに平行であるだけでなく、単一ラインアレイのライン伸長方向と、イメージセンサおよびビーム偏向手段間の光チャネルの光路の一部とに、向けられ、そして、その直方体の体積は最小であり、また、依然としてイメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段を含むものである。
【0010】
さらに好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。それらは、以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態によるマルチ開口撮像装置の概略斜視図である。
図2図1のマルチ開口撮像装置の概略側面断面図である。
図3図1のマルチ開口撮像装置の概略構成図である。
図4】一実施形態によるさらなるマルチ開口撮像装置の概略斜視図である。
図5】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図であり、単一のアレイは、ボイスコイルモータとして実装された2つのアクチュエータに接続され、前記イメージセンサと前記アレイとの間の距離の変化が、フォーカス機能のために可能にされる。
図6a】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6b】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6c】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6d】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6e】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6f】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6g】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図6h】実施例による単一ラインアレイまたはビーム偏向手段を動かすための駆動概念の概略上面図である。
図7】イメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段の概略平面図であり、図5および図6a~図6hのアクチュエータの動作モードが一実施形態に従って組み合わされている。
図8a】イメージセンサと、圧電アクチュエータに基づいて並進方式で移動され、イメージセンサとアレイとの間の距離の変化がフォーカス機能に対して可能にされた単一ラインアレイの概略平面図である。
図8b図8aのイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略側面図である。
図9a】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図であり、図8aと比較して、単一ラインアレイは2つの圧電アクチュエータに接続され、イメージセンサとアレイとの間の距離の変化がフォーカス機能に対して可能にされる。
図9b図9aのイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略側面図である。
図10a】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図であり、イメージセンサとアレイとの間の距離の変化が、フォーカス機能のために可能にされる。
図10b図10aのイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略側面図である。
図11a】さらなる実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図であり、2つの圧電アクチュエータがイメージセンサに接続され、イメージセンサとアレイとの間の距離の変化がフォーカス機能のために可能にされる。
図11b図11aのイメージセンサアレイおよび単一ラインアレイの概略側面図である。
図12a】圧電アクチュエータと単一ラインアレイとの間の柔軟な機械的接続を有する一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図である。
図12b図12aと比較することができるイメージセンサと単一ラインアレイの構成を示しており、アクチュエータは機械的偏向手段を介して単一ラインアレイに接続されている。
図13a】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略平面図であり、イメージセンサは、ライン伸長方向に沿って単一ラインアレイに対して相対的に動く。
図13b】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略平面図であり、2つのアクチュエータは、単一ラインアレイに対してイメージセンサの移動を可能にする。
図14】一実施形態によるさらなるマルチ開口撮像装置の概略上面図である。
図15】本発明の一実施形態に係るマルチ開口撮像装置の概略平面図であり、前記ビーム偏向手段は平面反射面として形成されている。/ビーム偏向手段が平面反射面として形成されている実施形態によるマルチアパーチャ撮像装置の概略平面図である。
図16】一実施形態による多開口イメージング装置の概略平面図であり、アクチュエータ手段はボイスコイル駆動装置を含む。
図17a】一実施形態に係るマルチ開口撮像装置の概略上面図であり、ビーム偏向手段は、複数のビーム偏向要素を含む。/ビーム偏向手段が複数のビーム偏向要素を含む実施形態によるマルチ開口撮像装置の概略上面図である。
図17b図17aのマルチ開口撮像装置の概略平面図であり、ビーム偏向手段は変更された位置を含む。
図18a】一実施形態に係るマルチ開口撮像装置の概略平面図であり、図17aのマルチ開口撮像装置に関して、イメージセンサと単一ラインアレイとの間の距離を変化させるための圧電アクチュエータを含む。
図18b図1のマルチアパーチャ撮像装置のビーム偏向手段が変更された位置にある。
図19a】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略平面図であり、前記単一ラインアレイが前記アクチュエータ手段のアクチュエータに接続されていることを特徴とする装置。
図19b】一実施形態による図19aのマルチ開口撮像装置の概略側面断面図であり、タは2つの平面の領域内に完全に配置される。
図20a図19aおよび図19bによるイメージセンサおよび単一ラインアレイの構成を備える実施形態によるマルチ開口撮像装置の概略平面図である。
図20b図20aのマルチ開口撮像装置の概略側面断面図である。
図21a】アクチュエータがイメージセンサに接続されている実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの構成の概略平面図である。
図21b】一実施形態による図21aによる構成の概略側面断面図である。
図22a】一実施形態によるマルチ開口撮像装置の概略平面図であり、アクチュエータ手段のアクチュエータはイメージセンサに接続されている。
図22b図20bによるマルチ開口撮像装置の概略側面断面図であり、前記アクチュエータは、前記イメージセンサに接続される。
図23a】1つの実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの構成の概略平面図であって、アクチュエータが、単一ラインアレイから離れて面するイメージセンサの側に配置されている。
図23b図23aの構成の概略側面断面図である。
図24a】一実施形態によるイメージセンサおよび単一ラインアレイの概略平面図であり、アクチュエータは機械的接続によって単一ラインアレイに接続されている。
図24b図24aの構成の概略側面断面図である。
図25】一実施形態による旋回ビーム偏向手段を有するマルチ開口撮像装置の概略側面断面図である。
図26】本明細書に記載された実施形態で取り込むことができるときの全視界の概略図である。
図27】一実施形態による撮像システムの概略斜視図である。そして、
図28】第1のマルチ開口撮像装置と、共通のイメージセンサを有する第2のマルチ開口撮像装置とを含む概略構造である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して本発明の実施形態を以下に詳細に説明する前に、異なる図面における同一の、機能的に等しくまたは等しい要素、対象および/または構造には、異なる図面において同じ参照番号が付されていることに留意されたい。そのような異なる実施形態に示されたこれらの要素の説明は、相互交換可能であるか、または相互に適用可能である。
【0014】
以下に説明される実施形態は、前後、左右、上または下のような相対的な位置の用語を参照して説明される。これらの用語は、本明細書に記載された教示を限定することなく、互いまたは対で相互交換することができることは明らかである。したがって、これらの用語は限定的な効果を有するものではなく、理解容易性を向上させる役割を果たすだけである。
【0015】
図1は、一実施形態によるマルチ開口撮像装置10の概略斜視図を示す。マルチ開口撮像装置10は、イメージセンサ12と、並置された光チャネル16aおよび16bの単一ラインアレイ14とを含む。各光チャネルは、イメージセンサ12のイメージセンサ領域13aまたは13b上の対象領域の部分領域を投影するための光学系17aまたは17bを含む。マルチ開口撮像装置10は、光チャネル16aまたは16bの1つ、いくつか、または各光路22aおよび/または22bを偏向するためのビーム偏向手段18を含む。光チャネルは、光路22aおよび22bの曲線として考えることができる。光路22aおよび22bは、光チャネル16aおよび16bもまたアレイ14を通過することができるように、アレイ14を通過することができる。光チャネル16aおよび16bは、例えばイメージセンサ12とビーム偏向手段18との間のビーム偏向方向に沿った伸長軸上のアレイ14によって制限されない。
【0016】
単一ラインアレイ14は、例えば、光チャネルが通過する担体15を含むことができる。このために、担体15は、不透明に構成することができ、光チャネル用の透明領域を有することができる。光チャネルの光学系は、透明領域内または透明領域に隣接して、および/または、それらの端部領域に配置することができる。これに代えてまたはこれに加えて、担体15は、透明な態様で形成することができ、例えば、ポリマー材料および/またはガラス材料を含むことができる。光学系(レンズ)は、イメージセンサ12のそれぞれのイメージセンサ領域13a~13b上の全視野のそれぞれの部分視野の投影に影響を与える、担体15の表面上に配置することができる。
【0017】
イメージセンサ領域13aおよび13bは、例えば、それぞれがピクセルアレイを含むチップで形成され、イメージセンサ領域は、共通基板または共通盤上に実装することができる。あるいは、イメージセンサ領域13aおよび13bが、イメージセンサ領域13aおよび13bを横切って連続して延びる共通ピクセルアレイの一部で形成されてもよく、共通ピクセルアレイは、例えば単一チップ上に形成される。そして、例えば、イメージセンサ領域13a、13bにおいて、共通ピクセルアレイのピクセル値のみが読み出される。明らかに、これらの選択肢の異なる組み合わせ、例えば、2つ以上のチャネルのための1つのチップの存在、および異なるチャネルのためのさらなるチップの存在なども可能である。イメージセンサ12のいくつかのチップの場合には、例えば、1つまたは複数の基盤上に、例えばそれらのすべてを一緒に、またはグループなどで取り付けることができる。
【0018】
図2の文脈でより詳細に説明するように、イメージセンサ12、アレイ14およびビーム偏向方向18は、空間内の直方体に及ぶことができる。直方体は、また、仮想直方体と考えることができ、例えば、最小容積、特に、y方向または厚さ方向への方向に沿った最小垂直延長部を有することができ、イメージセンサ、単一ラインアレイ14およびビーム偏向手段18を含むことができる。最小容積は、イメージセンサ12、アレイ14、および/または、ビーム偏向手段18の配置および/または移動の操作によって広がる直方体を描くように考えることもできる。単一ラインアレイ14は、ライン伸長方向24を含むことができ、それに沿って光学チャネル16aおよび16bが並置され、場合により互いに平行である。ライン伸長方向24は、空間的に静止した状態とすることができる。
【0019】
仮想直方体は、互いに反対方向に平行に向けられて、光路16aおよび16bの光路22aおよび/または22bの一部に平行であるとともに、単一ラインアレイ14のライン伸長方向24に平行に向けられる2つの側面を有することができ、それぞれ、イメージセンサ12とビーム偏向手段18との間に設けられる。簡単に言えば、限定するものではないが、これらは、例えば、仮想直方体の上部および下部であり得る。2つの側面は、第1の平面26aと第2の平面26bとに及ぶことができる。これは、直方体の2つの側面が、それぞれ、平面26aおよび26bの一部であることをそれぞれ意味する。マルチ開口撮像装置のさらなる構成要素は、平面26aと26bとの間の領域内に完全に配置されているが、平面26aおよび/または26bの表面法線に平行な方向に沿ったマルチ開口撮像装置10の設置スペース要件が低く、有利であるように、少なくとも部分的に配置されていてもよい。マルチ開口撮像装置の容積は、平面26aと26bとの間の設置スペースを最小限に抑えることができる。マルチ開口撮像装置の設置スペースは、平面26aおよび/または26bの側面または伸長方向に沿って、または任意の大きさとすることができる。仮想直方体の体積は、例えば、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14およびビーム偏向手段の配置によって影響され、ここに記載された実施形態によるこれらの構成要素の配置は、これらの構成要素の、平面に垂直な方向に沿った設置スペース、ひいては平面26aおよび26bの互いに対する距離が低くなるか、または最小になるように行うことができる。構成要素の他の配置と比較して、仮想直方体の他の辺の体積および/または距離を拡大することができる。
【0020】
マルチアパーチャ撮像装置10は、イメージセンサ12と、単一ラインアレイ14と、ビーム偏向手段18との間の相対的な動きを生成するアクチュエータ手段28を含む。アクチュエータ手段は、少なくとも部分的に平面26aと26bとの間に配置される。アクチュエータ手段28は、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14、またはビーム偏向手段18の少なくとも1つを、少なくとも1つの軸の周りに回転して、および/または、1つまたは複数の方向に沿って並進して、動かせるように構成することができる。このために、アクチュエータ手段28は、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14および/またはビーム偏向手段18を他の構成要素の少なくとも1つに対して相対的に動かせるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含むことができる。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離を変更することは、例えば光チャネル16aおよび/または16bの焦点を変更するために使用することができる。代替的または追加的に、光学的画像安定化を可能にすることができる。このために、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の相対的な並進移動は、単一ラインアレイ14に対するイメージセンサ12の動きに基づいて、生成することができ、および/または、アクチュエータ手段28によってその逆もまた同様である。このために、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の並進相対移動は、アクチュエータ手段28によって、単一ラインアレイ14に対するイメージセンサ12の動きに基づいて、および/またはその逆に、生成され得る。相対的な動きは、キャプチャーされる画像の第1の画像軸に沿って光学的画像安定化を得るために、ライン伸長方向24に沿って、あるいは、それに平行方向または逆平行方向に沿って生成され得る。代替的または追加的に、ビーム偏向手段18の横方向のシフトは、マルチ開口撮像装置10の視線方向および/または第2の画像軸に沿った光学的画像安定化のために、例えば、ライン伸長方向24に沿って、および/または、回転軸32の周りのビーム偏向手段18の回転によって、発生させることができる。回転軸線32は、例えば、ライン伸長方向24に平行に、および/または、空間に垂直に配置することができる。ビーム偏向手段18の回転運動は、軸32の周りで行うことができ、軸32は、ライン伸長方向24に平行に配置することができる。
【0022】
実施形態によれば、平面26aおよび/または26bに垂直な方向に沿って、マルチ開口撮像装置10の小さな延長部が得られるように、アクチュエータ手段28は、イメージセンサ12と、単一ラインアレイ14と、ビーム偏向手段18との間の相対的な動きを生成するように構成されている。アクチュエータ手段は、例えば、光学的画像安定化のために、ライン伸長方向24に平行および/または逆平行のイメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の相対的な並進シフトと、軸32の周りのビーム偏向手段の回転運動とを発生させるように構成することができる。これにより、平面26aおよび/または26bに垂直な厚み方向に沿った設置スペースの確保を防止あるいは排除することができ、小型化されたマルチ開口撮像装置を可能にすることができる。
【0023】
x方向、y方向およびz方向は、例えばデカルト座標系に及ぶことができる。さらなる実施形態によれば、x軸、y軸および/またはz軸は互いに≠90°の角度を有する。平面26aと26bとの間にアクチュエータ手段28を配置する利点は、厚さ方向yに沿ったマルチ開口撮像装置10の延長が、アクチュエータ手段28によって大きくないか、または、ほんの僅かしか増加しないことである。これにより、少なくともy方向に沿って、またはライン伸長方向24に垂直に、小型化または平坦化構造のマルチ開口撮像装置が可能になる。これにより、マルチ開口撮像装置を平らな筐体に配置することが可能となる。
【0024】
図2は、マルチ開口撮像装置10の概略側断面図を示す。点線は、図1の文脈で説明した仮想直方体34を示す。仮想直方体34は、例えば最小容積を有し、依然としてイメージセンサ12、単一ラインアレイ14およびビーム偏向手段18を含み、仮想直方体34は、ビーム偏向手段18、単一ラインアレイ14およびイメージセンサ12の意図された動きを考慮することができる。面26aおよび26bは、仮想直方体34の2つの側面を含むことができ、またはそれらによって広がることができる。マルチ開口撮像装置10の厚さ方向36は、平面26aおよび/または26bに対して垂直に、および/またはy方向に平行に配置することができる。
【0025】
アクチュエータ手段は、厚さ方向36に平行な広がりまたは伸長部38を有することができる。広がり38の最大50%、最大30%または最大10%の部分43は、面26aおよび26b間の領域44から出発して平面26aおよび/または26bを越えて領域44から突出することができる。これは、アクチュエータ手段28が、せいぜい平面26aおよび/または26bを超えてわずかに突出することを意味する。実施形態によれば、アクチュエータ手段28は、平面26aおよび26bを越えて突出していない。マルチ開口撮像装置10の厚さ方向26に沿った伸張は、アクチュエータ手段28によって増大されないという利点がある。
【0026】
図3は、仮想直方体を説明するためのマルチ開口撮像装置10の概略上面図を示す。アクチュエータ手段は、イメージセンサと単一ラインアレイとの間の距離46を変更するように実施することができる。これは、例えば、イメージセンサ12、および/または、x方向に沿って、または、イメージセンサ12とビーム偏向手段18との間の光チャネルの光路の曲線に沿った、単一ラインアレイ14のシフトに基づいて実行することができる。ここで、距離46の変化は、距離48の同時変化と組み合わせることができ、あるいは、距離48は影響を受けず、すなわち、距離48を維持することができる。ここで、同時とは、距離48が距離46と同じ時間間隔の間に変更され、および/または全視野がキャプチャーされる前に変更されることを意味することができる。例えば、焦点位置、すなわち距離46を変更するとき、ビーム偏向手段18は、距離48が一定または少なくとも本質的に一定のままであるように、アクチュエータ手段28によって共に動かせることができる。あるいは、ビーム偏向手段18は、距離48が可変であるように静止していてもよい。代替的にまたは追加的に、アクチュエータ手段28は、ビーム偏向手段18と単一ラインアレイ40との間の距離48を変更するように構成することができる。例えば、アクチュエータ手段28は、ビーム偏向手段18および/または単一ラインアレイ14を、イメージセンサ12とビーム偏向手段との間の光チャネルの光路の一部に沿って、互いに相対的に動かせるように構成することができる。代替的にまたは追加的に、アクチュエータ手段28は、ビーム偏向手段18を回転軸32の周りの回転運動52に設定するように構成することができる。これに代えて、またはそれに加えて、アクチュエータ手段28は、ビーム偏向手段18をライン伸長方向24に平行に並進的にシフトさせるように構成することができ、例えば、マルチ開口撮像装置10の視線方向を切り替えることができる。視線方向を切り替えることは、偏向された光路が可変開口部を通り抜けてマルチ開口撮像装置10のハウジングから出ることができるように、ビーム偏向手段が光路を可変的に偏向することを意味することができる。
【0027】
これに代えてまたはそれに加えて、アクチュエータ手段28は、ライン伸長方向24に平行に互いに関連して単一ラインアレイ14およびイメージセンサ12を動かせるように構成することができ、例えば単一ラインアレイ14の並進運動によって、および/またはライン伸長方向24に沿ったイメージセンサ12の並進運動によって、動かすことができる。これは、少なくとも1つの画像軸に沿った光学的画像安定化のために使用することができる。並進運動は、2つの画像軸に沿って光学的画像安定化を可能にするために、ライン伸長方向に平行で、且つ、それに垂直な(例えば、z方向およびy方向に沿った)2次元の態様で行うこともできる。
【0028】
相対的な動き(並進運動)を発生させるためのアクチュエータ手段28は、例えば図2に示すように、単一ラインアレイ14から離れて対向しているイメージセンサ12の側に配置することができる。簡単に言えば、これに限定されるものではないが、これはイメージセンサ12の後ろのアクチュエータ手段28のアクチュエータの配置と考えることができる。代替的にまたは追加的に、アクチュエータ手段28は、例えば図3に示すように、ライン伸長方向24に平行な方向に沿って仮想直方体34に対して横方向にオフセットして配置することができる。簡単に言えば、これに限定されるものではないが、これはイメージセンサ12、単一ラインアレイ14および/またはビーム偏向手段18の側のアクチュエータの配置と考えることができる。これに代えてまたはそれに加えて、アクチュエータ手段28またはその少なくとも1つのアクチュエータを、単一線アレイ14から離れて対向するビーム偏向手段の側に配置することができる。これは、イメージセンサ12とビーム偏向手段18との間の光チャネルを通る光路に平行なビーム方向に沿ったイメージセンサと単一ラインアレイとの間の距離46の変化またはビーム方向に沿った単一ラインアレイ14とビーム偏向手段18との間の距離48の変化を含み得ることを意味する。これにより、焦点位置の変更が可能になる。これに代えてまたはそれに加えて、単一ラインアレイ14の相対的な並進運動および/またはライン伸長方向24に沿ったイメージセンサ12の相対的な並進運動によって、光学的画像安定化を可能にすることができる。
【0029】
アクチュエータ手段は、光学的画像安定化のために変化するように構成されたボイスコイルモータなどのアクチュエータ、単一ラインアレイ14のライン伸長方向24に垂直で且つイメージセンサ12に平行な平面25に、単一ラインアレイ14に対するイメージセンサ12の相対位置を含むことができる。相対位置は、1つまたは2つの方向に沿って変化させることができる。
【0030】
図4は、一実施形態によるマルチ開口撮像装置40の概略斜視図を示す。マルチ開口撮像装置40は、例えば4つのイメージセンサ領域またはイメージセンサ部分領域13a~13dを含むイメージセンサ12を含む。各イメージセンサ領域13a~13dは、光チャネルに割り当てることができる。単一ラインアレイ14は、ライン伸長方向24に沿って配置される並置された光チャネルの一部である4つの光学系17a~17dを含む。ビーム偏向手段18は、例えば、多数の光チャネルおよび/または多数の光学系17a~17dに対応することができる多数のビーム偏向要素54a~54dを含む。
各ビーム偏向要素54a~54dは、各光路22a~22dが異なる光路に導かれるものの全体の視野(対象領域)の一部の視野を部分的にオーバーラップさせるように、例えば、イメージセンサ12とビーム偏向手段18との間で異なる方向に、少なくとも部分的に、互いに平行に実行する光路22a~22dを偏向させるように構成することができる。これは、光路22a~22dが同じ視線方向に偏向されることができる一方で、光路22a~22dは、ビーム偏向手段によって偏向された後に、異なる視野の一部に向けられるように、同じ視野方向内で互いに角度を有することができる。ビーム偏向要素54a~54dは、例えば、ファセットおよび/または異なる曲面にすることができる。ここで、ファセットの数は、光チャネルの数と異なることができる。光路22a~22dは、イメージセンサ12とビーム偏向手段18との間で互いに平行に向けることができ、ビーム偏向手段によって異なる方向に偏向することができる。代替的にまたは追加的に、単一ラインアレイの光学系は、光路22a~22dがビーム偏向手段18に互いに平行に衝突することができないように、少なくとも一方向に沿って光路22a~22dを偏向させることができる。
【0031】
アクチュエータ手段28は、ライン伸長方向24に沿って、および/またはそれに対向して、単一ラインアレイ14を並進的に動かせるように構成された第1のアクチュエータ58を含む。アクチュエータ手段28は、回転運動52を発生するように構成された第2のアクチュエータ57を含む。回転運動52に基づいて、光学的画像安定化を、ライン伸長方向24に垂直な画像軸58に沿って得ることができる。回転運動は、例えば、ビーム偏向手段18の位置に対して±15°、±10°または±1°の角度範囲を有することができる。これは、例えば、ビーム偏向手段の安定した位置または離散した位置の周りをさらに傾けることとして考えることができる。単一ラインアレイ14の並進運動に基づいて、光学的画像安定化は、ライン伸長方向24に平行な画像軸62に沿って得ることができる。
【0032】
代替的にまたは追加的に、アクチュエータ56またはさらなるアクチュエータは、イメージセンサ12をライン伸長方向24に沿ってまたはそれと反対に動かすように構成することができる。イメージセンサの電気的接続に対してわずかな機械的応力をかけるために、単一ラインアレイ40を並進的にシフトさせることが有利であり得る。
【0033】
代替的または追加的に、アクチュエータ57は、画像軸62に沿って光学的画像安定化を得るために、ビーム偏向手段18を単一ラインアレイ14に対して動かせるように、および/または、イメージセンサ12に対してライン伸長方向24に平行にまたはそれと反対に動かすように構成することができる。ライン伸長方向24は、画像軸62と平行に配置することができる。
【0034】
図4に示すように、ビーム偏向手段18は、例えば正のy方向に沿って、光チャネルの光路22a~22dを偏向するように構成されている。例えば、アクチュエータ57によって発生させることができる光学的画像安定化のための回転運動52に重畳された回転運動は、光路22a~22dが異なる方向、例えば負のy方向に沿って偏向されるという効果を有することができる。ビーム偏向手段18は、例えば、反射的に構成された両側、すなわち2つの主面に反射的に構成することができる。回転運動は、また、マルチ開口撮像装置40の視線方向を切り替えるものと考えることができる。視線方向の切り替えは、例えば、1つ、2つまたは複数の方向に沿って安定なビーム偏向手段18の位置によって実行することができ、マルチ開口撮像装置40の視野方向に対してビーム偏向手段18の1つの安定した位置をそれぞれ設けることができる。さらなる実施形態の文脈で説明したように、視線方向の切り替えもまた、ビーム偏向手段18の並進運動に基づいて行われるように、マルチ開口撮像装置を構成することができる。並進運動または回転運動は、ビーム偏向手段が安定位置の間で切り換えられるように構成することができる。
【0035】
以下では、アクチュエータ手段のアクチュエータのいくつかの有利な構成および/または実施について説明する。本明細書に記載された有効な原理は、任意の方法で組み合わせることができ、または併合または置換することができる。
【0036】
図5は、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略上面図を示し、単一ラインアレイ14は、ボイスコイルモータとして構成されたアクチュエータ手段の2つのアクチュエータ56aおよび56bに接続されている。アクチュエータ66aおよび66bは、単一ラインアレイ14とイメージセンサとの間の距離46を変更するために、方向64に沿って単一ラインアレイを動かせるように構成される。方向64は、空間内のライン伸長方向24に対して垂直に配置することができ、例えば光チャネルの光路の方向に平行に実行することができる。距離46の変化に基づいて、光チャネルの焦点を変更して、フォーカス機能および/またはオートフォーカス機能を得ることができる。アクチュエータ66aおよび66bは、例えば、アクチュエータ56の代わりにまたはそれに加えて配置することができ、アクチュエータ手段28の一部とすることができる。アクチュエータ66aおよび66bは、イメージセンサ12に対するアレイ14の平行または角度の向きを特に調整するために、同期してまたは個別に制御することができる。
【0037】
図6aは、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14およびビーム偏向手段18の概略上面図を示す。アクチュエータ56aおよび56bは、単一ラインアレイ14に接続されているか、またはその上に配置されており、単一ラインアレイ14をライン伸長方向24に沿ってシフトさせるように構成されている。これは、アクチュエータ手段が、ライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14を動かせるように構成されたアクチュエータ56aおよび/または56bを含み得ることを意味する。
【0038】
例えば、ライン伸長方向24に沿った単一ラインアレイ14のシフトに基づいて、画像軸62に沿った光学的画像安定化を得ることができる。単一ラインアレイ14は、復元要素68に機械的に接続することができる。これは、例えば復元ばねであり得る。バネ要素68は、例えば、アクチュエータ56aおよび/または56bによって生成された力が存在しない場合に、単一ラインアレイ14を所定の位置および/または初期位置に動かせるように構成することができる。これは、例えば、ライン伸長方向24および/または中心位置に沿った最小位置または最大位置とすることができる。アクチュエータ56aは、平面25内の単一ラインアレイ14に関してイメージセンサ12の相対位置を変更するように構成することができる。ばね要素68は、例えば、機械式、空気式、油圧式または他の種類のばねとして実施することができる。アクチュエータ56aおよび/または56bは、例えば、ボイスコイルドライブとして実装することができる。ビーム偏向手段は、図4に示すアクチュエータ57との関連で説明したように、ビーム偏向手段18を回転運動52に設定するように構成することができるアクチュエータ57aおよび/または57bに接続することができる。回転軸32を中心とする回転運動52は、回転軸32に垂直な画像軸に沿った光学的画像安定化のために使用することができ、例えば、画像軸62に垂直に配置された図4との関連で説明した画像軸58内に配置される。簡単に言えば、画像軸58および62は、キャプチャーされる画像の画像領域にわたる互いに垂直に配置された画像軸であってもよい。
【0039】
アクチュエータ57a、57bは、例えば、空気圧、油圧、圧電アクチュエータ、DCモータ、ステップモータ、熱アクチュエータ、静電アクチュエータ、電歪および/または磁歪アクチュエータまたは駆動装置、交流モータおよび/またはボイスコイル駆動装置として形成することができる。
【0040】
図6bは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の配置の概略上面図を示す。単一ラインアレイ14は、単一ラインアレイ14を単一の方向24または64に沿って動かせるようにそれぞれ構成された複数のアクチュエータ72a~72dに接続することができる。いくつかのアクチュエータの力の平行(並列)または逐次重畳に基づいて、アレイ14の平行移動は、いくつかの方向に沿って、すなわち、同じ方向にまたは連続して、すなわち重ね合わされた異なる方向に行うことができる。アクチュエータ72aは、例えば、単一ラインアレイ14を方向64に沿って動かせるように構成することができる。さらなるアクチュエータ72bは、ライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14をシフトさせるように構成することができる。アクチュエータ72aおよび72bが共通のステータ磁石を含むように図示されているが、両方のアクチュエータ72aおよび72bは、個々の構成要素、すなわち互いに独立して形成することもできる。
【0041】
アクチュエータ72aおよび72bは、単一ラインアレイ14の第1の側面に配置することができる。単一ラインアレイ14の第2の側面、例えばライン伸長方向24に沿った反対側には、アクチュエータ72aおよび72bと同等であり、アクチュエータ72aおよび/または72bと共に単一ラインアレイ14のシフトを生成するように構成されるアクチュエータ72cおよび72dのような1つまたは複数の別のアクチュエータを配置することができる。
【0042】
バネ要素68a~68dは、単一ラインアレイ14と固定アンカーポイントとの間に配置することができ、アクチュエータ72a~72dが動作していないときの単一ラインアレイ14の最大位置または中心位置などの基準位置を調整するように構成することができる。単一ラインアレイ14の一方の側面には、2つのばね要素68aおよび68bまたは68cおよび68dが示されているが、バネ要素なし、1つのバネ要素、あるいは、直列または並列に接続することができる2つ以上のバネ要素などの異なる数のばね要素を配置することもできる。
【0043】
図6cは、図5bの構成の概略図を示し、アクチュエータ72aおよび72cのそれぞれの少なくとも1つの構成要素73aまたは73bが、単一ラインアレイ14のイメージセンサ12から離れて面している側面に配置されている。構成要素73aおよび73bは、例えば、ボイスコイル駆動装置として形成されたアクチュエータ72aおよび72dのボイスコイルであってもよく、アクチュエータも異なるように形成することができる。また、固定子磁石のようなイメージセンサ12から離れて面している単一ラインアレイ14の側面に別の構成要素を配置することもできる。アクチュエータ72aおよび/または72cがボイスコイル駆動装置とは異なって形成されている場合、それぞれの構成要素は、イメージセンサ12に面しているかまたは対向する単一ラインアレイ14の側面に配置することができる。あるいは、アクチュエータの1つまたはいくつかの構成要素が、横方向に、すなわち単一ラインアレイ14の横にあるライン伸長方向24に沿って配置することも可能である。
【0044】
図6bおよび図6cは、アクチュエータ72の位置が対称的であり、アクチュエータ72a~72dが同じように形成されるように記載されているが、アクチュエータの構成要素の位置およびタイプの両方またはアクチュエータ全体を自由に組み合わせて変更することができる。
【0045】
図6dは、図6bによる構成の概略平面図を示し、アクチュエータ72aおよび72bならびにアクチュエータ57aおよび57bは、ボイスコイルドライブ内のコイルおよび磁石の交換された配置を有する。このようにして、アクチュエータ57a、57bまたは72a~72dの少なくとも1つは、図示されているように、コイル75が静止している間ずっと、1つの磁石が可動物体、ビーム偏向手段18または単一ラインアレイ14に接続されるように構成することができる。このようにして、特に電気的に得られた磁力において、コイルの電気的な適用は、可動の構成要素への電気エネルギーの伝達が防止され得るように、固定的に実行され得る。
【0046】
言い換えれば、アクチュエータは、オートフォーカスおよび/または光学的画像安定化のための駆動部が光学アレイに直接作用するように配置することができる。コイルと磁石は任意の方法で交換できる。スプリング要素は、可動部品の誘導および/またはリセットを可能にするように構成することができる。ばね要素は、固定されたサスペンションに配置することができる。
【0047】
図6eは、例えば、ビーム偏向手段18の回転運動、例えば回転運動52を得るために配置され得る駆動装置の概略側面断面図を示す。
【0048】
駆動装置は、例えばボイスコイル駆動装置として形成された2つのアクチュエータ57aおよび57bを含むことができるが、互いに独立して、1つまたは複数の任意の他のアクチュエータ原理を実現することもできる。アクチュエータ57aは、例えば直線運動A1を発生するように構成されている。直線運動A1は、方向64に対して平行または逆平行であり得る。アクチュエータ57bは、例えば、空間的に直線運動A1に垂直に配置された方向成分を有する直線運動A2を生成するように構成されている。
さらに、線形移動は、ライン伸長方向24に対して空間的に垂直であり得る。アクチュエータ57aの可動要素77、例えばカンチレバーまたは従動子は、ビーム偏向手段の回転軸79に接続することができる。アクチュエータ57bは、機械的結合または磁気的結合など、可動要素77との力結合を提供するように構成することができる。したがって、直線運動A2に基づいて、直線運動A1が可動要素77を動かす方向に影響を与えることができる。これは、可動要素77と回転軸79との間の、例えば、機械的接触による力結合を確立または解除するために使用することができる。
【0049】
可動要素77と回転軸79との間の力結合と、正の方向64に沿った直線運動A1とに基づいて、時計回り方向に沿った回転運動52が得られる。負の方向64に沿った直線運動A1は、反時計回り方向の回転運動52をもたらすことができる。アクチュエータ57aのアクチュエータがフルに動かしたにもかかわらず、一方の方向へのさらなる回転運動52が望ましい場合、ビーム偏向手段にアクチュエータの力を加えることなく、可動要素77と回転軸79との間の力結合を解放した後、アクチュエータを直線移動A2で後退させることができる。その後、可動要素77と回転軸79との間の力結合は、逆方向の直線運動A2などによって再び確立することができる。これは、ばね要素68を復元することによっても得ることができる。引き続いて、アクチュエータ57aを再び動かして、ビーム偏向手段の更なる回転運動が回転軸79を介して行われるようにする。
【0050】
図6fは、図6dのアクチュエータ概念の概略側面断面図を示し、可動要素77の2つの対向する側面81aおよび81bが、回転運動52の間に、回転軸79と、すなわち、最大で2つの側面81aまたは81bの一方で、交互に力結合するように、可動要素77は、回転軸79によって両側で、例えばフォークまたはフレームとして接触可能であるように構成されている。したがって、例えば、側面81aと接触しているときの正方向64に沿った直線運動A1と、側面81bと接触しているときの負方向64に沿った直線運動A1は、時計方向に回転運動52を可能にすることができる。これに代えてまたはこれに加えて、負方向64に沿った直線運動A1は、側面81aと接触するとき、さらには正方向64に沿った直線運動A1に沿って、側面81bと接触しているとき、反時計方向に回転運動52を可能にすることができる。回転軸線79と接触または力結合している側面81aまたは81b間の切換えは、アクチュエータ57bまたは直線運動A2によって行うことができる。これにより、直線運動A1の両方向においてアクチュエータ57aのアクチュエータ移動を利用することができる。したがって、図6eの概念と比較して、アクチュエータ57aの移動のより高い部分を回転運動52に使用することができ、これにより、より速い回転運動および/またはより低いエネルギー消費をもたらすことができる。
【0051】
図6gは側面81aも側面81bも回転軸79と接触していない可動要素77の位置の概略図を示し、例えば、直線運動A2に基づいて、一方の側面の力結合が解除され、他方の側との力結合がまだ確立されていない。
【0052】
図6fおよび図6gは、2つの対向する側面が回転軸と力結合するように図示されているが、同じことが2つの隣接する側面であってもよい。図6fおよび図6gは、側面81aおよび81bが水平移動に沿って互いに対向して配置されるように示されているが、側面81aおよび/または81bの少なくとも1つは、垂直方向に沿って配置することもできる。例えば、アクチュエータ57a、57bの位置も相互に入れ替えることができる。
【0053】
ビーム偏向手段18と組み合わせて、マルチ開口撮像装置の視線方向の切り替えを得るために、このようなアクチュエータによって、実質的に無限大の設置角度を得ることができる。さらに、同じアクチュエータユニットを使用して、方向58に沿った像安定化を得るためにビーム偏向ユニット18の必要な回転運動を提供することができ、マルチ開口撮像装置の視線方向を切り替えるために必要な回転角よりも小さい回転角が必要であり、必要な移動は、例えば、単に、方向A1に沿ったアクチュエータ57aの作動に基づいている。
【0054】
さらに、可動要素77と回転軸79との間の結合点は、2つの構成要素が接触するときおよび方向A1に沿った動きが起こらないとき、さらなる回転運動が防止されるように構成することができる。言い換えると、可動要素77と回転軸79との間の結合点は、アクチュエータ57aの非作動の場合、回転軸79の向きの角度を固定するように働き、したがって、ロックブレーキの効果を有する。
【0055】
一実施形態では、可動要素77と回転軸79の機械的結合が、アクチュエータ57bの非作動の場合に存在する。換言すれば、アクチュエータ57bがスイッチオフされたときに結合が存在する。したがって、アクチュエータ57bがスイッチオフされたときにロックブレーキの効果が得られ、その結果、エネルギー消費がより少なくなる。機械的結合を得るために必要な力を加えるために、例えば、バネ要素68を使用することができる。
【0056】
図6hに示すように、アクチュエータ57aまたは57bの少なくとも1つにおいて、磁石83aおよび/または83bが移動可能に配置され、アクチュエータ57aおよび57bのコイル57aおよび/または57bがそれぞれ固定された方法で配置されるように、磁石またはコイルの配置を交換することもできる。
【0057】
言い換えると、アクチュエータは、例えばアクチュエータ57aの一方が可動要素の前進を提供するように構成され、他方が可動要素と被駆動要素の回転軸との間で可変結合を提供するように構成されたリニア駆動装置の組み合わせとして実施することもできる。カンチレバーまたは可動要素は、前進方向に垂直な傾斜運動または純粋な並進運動を行うことができる。
【0058】
図7は、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14およびビーム偏向手段18の概略上面図を示し、ここで、図5および図6のアクチュエータ66aおよび56a並びに66bおよび56bの動作モードがそれぞれ組み合わされる。これは、アクチュエータ66aおよび56a並びに66bおよび56bがそれぞれ積み重ねられて配置されるように考えることもできる。単一ラインアレイは、例えば単一ラインアレイ14の端部位置において、ライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14に接続されたアクチュエータ72aおよび72bに接続することができる。アクチュエータ72aおよび/または72bは、ライン伸長方向24(すなわち、それに平行および/または逆平行に)に沿って、且つ、方向64に沿って、単一ラインアレイ14を動かせるように構成することができる。
第1のボイスコイルドライブのプランジャは、例えば、第2のボイスコイルドライブのアンカーを少なくとも部分的に含むことができる。したがって、アクチュエータ72aおよび72bは、ライン伸長方向24および/または画像軸62に沿ったオートフォーカス機能またはフォーカス機能の他に画像安定化もまた可能にすることができる。アクチュエータ57aおよび57bは、画像軸58に沿った光学的画像安定化を可能にすることができる。図7の実施形態によれば、単一線アレイ14上に2つのアクチュエータ72aおよび72bが配置され、ビーム偏向手段18上に2つのアクチュエータ57aおよび57bが配置されているものの、それぞれ、1つのアクチュエータ72aまたは72bおよび1つのアクチュエータ57aまたは57bが配置され得る。例えば、単一ラインアレイ14またはビーム偏向手段18の自由端は、可動式にベアリングによって取り付けることができる。あるいは、3つ以上のアクチュエータを配置することができる。その構造は、アクチュエータによって生成された力に反力を加えるためのばね要素と同様に、スライド、ローラまたはスプリングベアリングのような、動きを案内するための構造要素をさらに含むことができる。
【0059】
図8aは、圧電アクチュエータ74に基づいて方向64に沿って並進的に動かされるイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略上面図を示す。アクチュエータ74は、アクチュエータ手段28の一部とすることができ、単一ラインアレイ14から離れて面するイメージセンサ12の側面に配置することができる。これは、イメージセンサ12をアクチュエータ74と単一ラインアレイ14との間に配置することができることを意味している。アクチュエータ74は、例えば、方向64に沿って又はそれに対向して変形するように構成することができる。アクチュエータ74は、例えば、圧電曲げアクチュエータとして形成することができ、方向64に沿って(反対にクランプされていない)端部76を動かせるように構成することができる。端部76(端部領域)に代えてまたはそれに加えて、アクチュエータ74の異なる領域は、アクチュエータ74が変形するとき、光チャネルを通る光路に平行なビーム方向に沿って動かせることができる。
【0060】
マルチ開口撮像装置の光学焦点を変化させるために、並進的に方向64に沿って、またはそれとは反対の方向に動かせるように、圧電アクチュエータ74の動きを単一ラインアレイ14に伝達する機械的偏向手段78は、アクチュエータ74と単一ラインアレイ14との間に配置することができる。単一ラインアレイ14の動きの自由度は、アクチュエータ74の方向64またはそれに逆平行な方向への偏向によって制限されるように、機械的偏向手段78および/または単一ラインアレイ14は、軸受82を介して取り付けることができる。アクチュエータ74は、光チャネルを通る光路に平行なビーム方向に沿って作動中に変形するように構成された曲げアクチュエータとすることができる。これにより、フォーカス機能の高精度化と大きな移動速度の実現が可能になります。圧電アクチュエータの利点は、例えばスマートフォンのような携帯電話において、平らな筐体内のマルチ開口撮像装置10の配置が可能になることである。
【0061】
アクチュエータ74のライン伸長方向に沿った伸長部の長さは、例えば、少なくとも2mmmで最大50mm、または、少なくとも7mmで最大25mmから、少なくとも1mmで最大100mmの範囲とすることができ、その長さは例えば約15mmである。光学的画像安定化のためにライン伸長方向に沿った単一ラインアレイおよび/またはイメージセンサの並進運動の程度は、少なくとも10μmおよび最大で2000μm、少なくとも20μmおよび最大で1000μm、または、少なくとも50μmおよび最大で500μmの範囲とすることができ、例えば、約300μmである。その構造は、アクチュエータによって生成された力に反力を加えるためのばね要素と同様に、スライド、ローラまたはスプリングベアリングのような、動作を案内する構造要素をさらに含むことができる。
【0062】
図8bは、図8aのイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略側面図を示す。アクチュエータ手段のアクチュエータ74は、平面26aと26bとの間に完全に配置される。
【0063】
図9aは、イメージセンサおよび単一ラインアレイの概略上面図を示し、図8aと比較して、単一ラインアレイ14は、2つの圧電アクチュエータ74aおよび74bに接続されている。機械的偏向手段78aは、図8aの機械的偏向手段78の文脈で説明したように、単一ラインアレイ14と圧電アクチュエータ74aとの間に配置することができる。同様に、圧電アクチュエータ74は、機械的偏向手段78bを介して、単一ラインアレイ14に接続することができる。簡単に言えば、イメージセンサ12と単一ラインアレイとの間の距離は、単一ラインアレイ14の片面(図8a)または両面(図9a)の作動によって行うことができる。
【0064】
図9bは、図9aのイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略側面図を示す。アクチュエータ手段のアクチュエータ74a/74bは、例えば平面26aと26bとの間に完全に配置される。
【0065】
図10aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、フォーカス機能のための距離46を変更することは、方向64に沿ってまたは方向64とは反対のイメージセンサ12の動きに基づいて可能にされる。例えば圧電アクチュエータ74のようなアクチュエータは、例えば機械的偏向手段78を介してイメージセンサ12に直接的または間接的に接続することができ、作動中にイメージセンサ12を方向64に沿ってまたはそれとは反対の方向に動かすように構成することができる。距離46は、光チャネルを集束させるために本質的な役割を果たすことができるので、イメージセンサ12または単一ラインアレイ14が距離46を変化させるために動かされるかどうかにかかわらず、フォーカス機能に影響を与えないかまたは従属的な影響しか持たない。イメージセンサ12の電気的接触の機械的応力を低く保つために、単一ラインアレイ14を動かせることが有利であり得る。構造体は、スライド、ローラまたはスプリングベアリングのような動きを案内するための構造要素、およびアクチュエータによって生成された力に反力を加えるためのバネ要素を依然として含むことができる。
【0066】
図10bは、図10aのイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略側面図を示す。圧電アクチュエータは、平面26aと26bとの間に配置される。
【0067】
図11aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、2つの圧電アクチュエータ74aおよび74bがイメージセンサ12に接続され、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離46を変化させるように構成されている。図10a、図10b、図11a、および図11bの構成の相対的な動きは、移動する構成要素への対称的な力の適用を行うことができるので、機械的な偏向手段のベアリングなしで実施することもできる。アクチュエータ74aおよび74bの比較シフトによって、単一ラインアレイ14またはイメージセンサ12の傾きを防止することができる。この構造は、アクチュエータによって生成された力に反力を加えるためのばね要素と同様に、スライド、ローラまたはスプリングベアリングのような、動作を案内するための構造要素をさらに含むことができる。
【0068】
図11bは、図11aのイメージセンサおよび単一ラインアレイの構成の概略側面図を示す。
【0069】
図8a、8b、9a、9b、10a、10b、11aおよび11bのアクチュエータは、イメージセンサ12が単一ラインアレイ14とアクチュエータ74および74aおよび74bとの間にそれぞれ配置されるように図示されているが、例えば、アクチュエータの少なくとも1つは、ビーム偏向手段18がアクチュエータと単一ラインアレイ14との間に配置されるように、単一ラインアレイ14から離れて面するビーム偏向手段の側面に配置することができる。これは、イメージセンサ12またはビーム偏向手段18を、アクチュエータ手段の一方のアクチュエータ74と単一ラインアレイ14との間に配置することができることを意味する。アクチュエータ74は、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離46を変化させるように構成することができる。
【0070】
機械的偏向手段78、78a、78bは、それぞれ、剛性が高く構成することができ、例えば剛体とすることができる。
【0071】
図12aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、図8aの図と比較して、圧電アクチュエータ74と単一ラインアレイ14との間に柔軟な機械的接続が配置されている。アクチュエータ82の移動方向は、ベアリング82aに基づいて偏向させることができる。可撓性の機械的接続部84aは、例えば可撓性バンド、ワイヤ構造、または同様のものであってもよく、ベアリング82aは、ライン伸長方向24に沿った単一ラインアレイ14の並進運動が可能になるように、方向64に沿ってアクチュエータ74の動きを偏向するように構成される。復元要素68と単一ラインアレイ14との間に配置された可撓性のある機械的偏向要素84aに対向して配置された単一ラインアレイ14の側にさらなる偏向要素84bを配置することができる。復元要素68に基づいて、例えば、圧電アクチュエータ74の作動を取り去るとき、単一ラインアレイ14を所定の位置に戻すことができる。図8aと比較して、アクチュエータの配置は、画像軸62に沿った光学的画像安定化のために、ライン伸長方向24に沿った単一ラインアレイ14の並進運動に使用することができる。
【0072】
所定の位置は、例えば、アクチュエータ74の作動に基づいてより高い値、例えば最大値に向けて変更される、アクチュエータ74および/または単一ラインアレイ14の最小の撓みであり得る。
【0073】
図12bは、イメージセンサと単一ラインアレイ14の配置を示しており、これは図12aと比較することができ、アクチュエータ74aおよびアクチュエータ74bは、機械的偏向手段84aおよび84bを介して、単一ラインアレイ14の2つの側面にそれぞれ接続されて、単一ラインアレイ14の伸長方向24に沿った往復運動を可能にする。
【0074】
図13aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、図12aの光学的画像安定化の概念は、イメージセンサ12がライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14に対して相対的に動かされるという点で変更されている。ベアリング82a~82dに基づいて、イメージセンサ12の移動は、ライン伸長方向24に沿った並進運動に制限することができる。
【0075】
図13bは、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、図12bの文脈で説明したような光学的画像安定化を得るための概念は、アクチュエータ74aおよび74bの作動に基づいて、イメージセンサ12の動きが、単一ラインアレイ14に関して、伸長方向24に沿って延びている。これは、アクチュエータ手段が2つのアクチュエータを有することができ、アクチュエータの少なくとも1つが曲げアクチュエータとして形成され得ることを意味する。アクチュエータは、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離を変化させ、光チャネルを通る光路に平行なビーム方向に沿って作動中に変形するように構成することができる。第1のアクチュエータ74aおよび第2のアクチュエータ74bは、ライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14の異なる領域、端部および/または端部領域に接続することができる。
【0076】
作動原理は、何の制限もなく互いに組み合わせることができることが明らかである。特に、例えば、画像安定化は、単一ラインアレイ14に対してイメージセンサ12を動かせることによって、および/または、イメージセンサ12に対して単一ラインアレイ14の動きに基づいて焦点の変化を得ることができる。さらなる実施形態によれば、構成要素の相対的な動きを生成するための原則は相互交換可能である。さらなる実施形態によれば、単に1つの構成要素を別の構成要素に対して動かせることもでき、例えばイメージセンサ12に対する単一ラインアレイ14、または、画像軸62に沿った画像安定化および焦点の変化の両方を得るために、その逆も可能である。
【0077】
図14は、一実施形態によるマルチ開口撮像装置140の概略上面図を示す。アクチュエータ74aおよび74bは、図9aの文脈で説明したように、単一ラインアレイ14を方向64に沿ってまたは反対に動かせるように構成されている。ボイスコイルドライブ72aおよび72bは、図7の文脈で説明したように、単一ラインアレイ14をライン伸長方向24に沿って、またはその逆方向に動かせるように構成された単一ラインアレイ上に配置される。
【0078】
アクチュエータ57´がビーム偏向手段18に接続され、回転運動52´を生成するように構成されている。回転運動52´は、図7の文脈で説明した回転運動52を含むことができ、画像軸58に沿った光学的画像安定化のために使用することができる。
代替的または追加的に、それに沿って光チャネルの光路が偏向されるマルチ開口撮像装置140の視線方向は、第1の視線方向92aおよび/または第2の視線方向92bに沿って、1つ、2つまたは複数の方向に沿って安定して偏向されるように、アクチュエータ57´は、回転運動52´を生成するように構成することができる。第1の視線方向92aおよび/または第2の視線方向92bは、y方向に平行および/または逆平行に配置することができる。視野方向92aおよび/または92bは、例えば、ライン伸長方向24に対して実質的に垂直に、およびイメージセンサ12とビーム偏向手段18との間の光チャネルのコースに配置され得る。視野方向は、光路に対してビーム偏向手段の向きに任意の方法で空間内を進むことができる。
【0079】
光チャネルの光路は、全視野または部分視野をキャプチャーするためにマルチ開口撮像装置140が配置されるハウジングの透明領域94aおよび94bをそれぞれ含むことができる。回転運動52は、回転運動52´を得るために、1つ、2つまたはいくつかの方向に沿って安定したビーム偏向手段18の位置に重ね合わせることができる。これは、光チャネルの視線方向を生成するためのビーム偏向手段18のこのような不連続位置の位置を、光学的画像安定化のためのアナログの動きと重ね合わせることができるとも考えられる。マルチ開口撮像装置140は、2つの観察方向92aおよび92bを含むように記載されているが、マルチ開口撮像装置140は、ビーム偏向手段18の偏向角の影響を受ける第3の視線方向を少なくとも含むこともできる。これは、ビーム偏向手段18が、少なくとも第1の視線方向92aと第2の視線方向92bとで光チャネルの光路を偏向するように構成できることを意味する。アクチュエータ手段は、少なくとも1つのアクチュエータ、例えばビーム偏向手段を回転させるように構成されたアクチュエータ57´を含むことができる。アクチュエータ57´aは、第1または第2の視線方向に垂直に、例えば平面26aと26bとの間の領域に少なくとも部分的に配置されたビーム偏向手段の平面内に配置することができる。ビーム偏向手段18は、例えばビーム偏向要素(ファセット)54a~54dを含むことができる。
【0080】
透明領域94aおよび/または94bの領域には、切換可能なダイヤフラムを配置することができる。アパーチャは、例えば、機械的またはエレクトロクロミックアパーチャであり得る。各透過領域94aまたは94bによって全視野がキャプチャーされない場合には、透過領域94aおよび/または94bを少なくとも部分的に光学的に閉じるように、ダイヤフラムが制御され得る。
【0081】
図15は、ビーム偏向手段18が平面状の反射面として形成されている点で、マルチ開口撮像装置140と比較して変更された、マルチ開口撮像装置150の概略上面図を示す。ビーム偏向手段18は、例えば、それぞれ反射する方法で形成された第1の主面と第2の主面(例えば表側と裏側)とから構成されている。ビーム偏向手段18の第1の主面が単一ラインアレイ14にある角度で対向するように、ビーム偏向手段18の傾きに基づいて、例えば第1の視線方向92aが得られる。
第2の主面がビーム偏向手段18にある角度で対向するようにビーム偏向手段18が回転運動52´に基づいて動かされると、第2の視線方向92bが得られる。ビーム偏向手段18は、平面的または曲線的に構成することができる。ビーム偏向手段18の曲率は、全視野の異なる部分視野に対して異なる方向に沿って光チャネルの光路の偏向を可能にすることができる。ビーム偏向手段18が平面的に実施される場合、単一ラインアレイ14の光学系に基づいて光チャネルの光路の偏向を得ることができる。
【0082】
図16は、マルチ開口撮像装置160の概略上面図を示す。アクチュエータ手段は、単一ラインアレイ14に接続され、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離46を変更するように構成されたボイスコイルドライブ66aおよび66cを含む。マルチ開口撮像装置160およびアクチュエータ手段は、それぞれ、単一ラインアレイ14に接続され、単一ラインアレイ14をライン伸長方向24に沿って動かせるように構成されたボイスコイルドライブ66bおよび66dを含む。さらに、アクチュエータ手段は、回転運動52´を生成するように構成されたボイスコイルドライブ66eおよび66fを含む。
【0083】
言い換えると、アクチュエータ手段は、ライン伸長方向24に平行でイメージセンサに平行な平面内で単一ラインアレイ14に対するイメージセンサ12の相対位置を変更するように構成されたボイスコイルモータを含むことができ、例えばボイスコイルモータ66bおよび66dを含む。
【0084】
図17aは、マルチ開口撮像装置170の概略上面図を示し、ビーム偏向手段18は、多数の視線方向が掛け合わされた多数の光チャネルに対応することができる複数のビーム偏向要素54a~54dおよび54a´~54d´を含む。単一ラインアレイ14の前にある偏向素子54a~54dの配置に基づいて、光チャネルの光路は、視線方向92aに沿って偏向可能である。アクチュエータ手段のボイスコイルアクチュエータ66は、ビーム偏向手段18を、単一ラインアレイ14に対してライン伸長方向24に沿ってまたは反対に動かせるように構成することができる。
【0085】
図17bは、マルチ開口撮像装置170の概略平面図を示し、マルチ開口撮像装置170が第2の視線方向92bを含むように、ビーム偏向要素54a´~54b´が光チャネルの光路を偏向させるように、ビーム偏向手段18は第2の位置を含む。ビーム偏向要素54a´~54d´は、例えば、偏向要素54a~54dとは異なる傾斜または表面曲率を有することができる。
【0086】
これは、ビーム偏向手段18の回転運動および/または並進運動に基づいてマルチ開口撮像装置の視線方向を設定することができることを意味し、両方の移動が仮想直方体内で行われ、マルチ開口撮像装置170の設置高さを低く保つことができる。
【0087】
さらに、マルチ開口撮像装置170およびそのアクチュエータ手段は、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離を変更し、ライン伸長方向24に沿って単一ラインアレイ14を動かせるために、ボイスコイルドライブ72aおよび72bをそれぞれ含む。
【0088】
図18aは、アクチュエータ手段がイメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の距離を変更するための圧電アクチュエータ74aおよび74bを備えるという点で、マルチ開口撮像装置170に関して変更されたマルチ開口撮像装置180の概略平面図を示す。
【0089】
図19aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、単一ラインアレイ14は、互いに垂直に配置された3つの空間軸に対して単一ラインアレイを動かせるように構成されたアクチュエータ手段のアクチュエータ56´aおよび56´bに接続されている。第1の空間軸は、ライン伸長方向24とすることができる。第2の空間軸は、方向64とすることができる。第3の空間軸98は、ライン伸長方向24とともに方向64aに垂直な平面に及ぶことができる。アクチュエータ56´aおよび56´bは、ライン伸長方向24および/または方向98に沿って単一ラインアレイ14を移動させて、および/または、オートフォーカス機能AFを得るために単一ラインアレイ14を方向64に沿って移動させて、光学画像安定化(OIS)を得るように構成することができる。図19bに示すように、アクチュエータ56´bおよび/またはアクチュエータ56´aは、平面26aおよび26b内に完全に配置することができる。実施形態によれば、アクチュエータ56´aおよび/または56´bは、また、これらの平面を越えてわずかに突出することができる。簡単に言えば、この配置は、方向98が高さ方向と呼ばれるとき、アクチュエータ56´aおよび56´bが単一ラインアレイ14の横に配置されるように参照することもできる。
【0090】
図20aは、図19aおよび19bによるイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の構成を含むマルチ開口撮像装置200の概略平面図を示す。第1のオプションによれば、マルチ開口撮像装置200は、視線方向92aと92bとの間を切り替えるために、回転運動52´に基づいて移動するように構成されたビーム偏向手段18を含む。第2のオプションによれば、マルチ開口撮像装置200は、例えば図17aおよび図17bの文脈で説明したように、視線方向92aと92bとの間を変化させるためにライン伸長方向24に沿って移動するように構成されているビーム偏向手段18を含む。代替的または追加的に、オプション1によるビーム偏向手段18およびオプション2によるビーム偏向手段18は、例えば、増加した数の視線方向を得るために配置することができる。例えば、第1のオプションによるビーム偏向手段18は、第2のオプションに従って、ビーム偏向手段18上の光チャネルの光路の一部を向けるために、少なくとも部分的に透明であり得る。
【0091】
図20bは、マルチ開口撮像装置200の模式的な側断面図を示す。回転運動52´に基づいて、方向98に沿ったマルチ開口撮像装置200の伸長は、図19aおよび図19bによるアクチュエータ56´aおよび56´bの配置に従ってより小さくすることができ、というのも、例えば、方向98に沿ったイメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の相対的な動きを省略することができるからである。これは、この相対移動のための設置スペースの提供を省略できることを意味する。
ビーム偏向手段18は、少なくとも第1の視線方向92aおよび第2の視線方向92bにおいて光チャネルの光路を偏向させるように構成されている。アクチュエータ手段は、1つまたは複数のアクチュエータ56´aおよび/または56´bを含む。少なくとも1つのアクチュエータ56´aおよび/または56´bbは、ビーム偏向手段18が配置される平面99に配置される。平面99は、第1の視線方向92および/または第2の視線方向92bに垂直に配置することができる。代替的または追加的に、本明細書に記載の他のアクチュエータを配置することができる。
【0092】
図21aは、アクチュエータ56´aおよびアクチュエータ56´bが、イメージセンサ12と単一ラインアレイ14との間の方向24、64および/または98に沿った相対運動を生成するためにイメージセンサ12に接続することができるように、図19aに係る構成に対して変更されているイメージセンサ12および単一ラインアレイ14の構成の概略平面図を示す。
【0093】
図21bは、図19bに係る構成と同じかまたはこれに匹敵する図21aの構成の概略側断面図を示し、アクチュエータ56´bはイメージセンサ12に接続されている。
【0094】
図22aは、アクチュエータ手段のアクチュエータ56´aおよび56´bが、図21aの文脈で説明したように、イメージセンサ12に接続されている点で異なるマルチ開口撮像装置200の変形例であるマルチ開口撮像装置220の概略平面図を示す。ビーム偏向手段18は、ライン伸長方向24に本質的に平行な並進運動59によって、第1の位置Pos1と第2の位置Pos2との間で切り換えることができる。
【0095】
図22bは、図20bに係る側断面図に匹敵するマルチ開口撮像装置220の概略側断面図を示し、アクチュエータ56´aおよび/または56´bは、イメージセンサ12に接続することができる。
【0096】
図23aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14を含んでいる構成の概略平面図を示し、マルチ開口撮像装置のアクチュエータ手段の1つのアクチュエータ102が、イメージセンサ12の、単一ラインアレイ14の外方を向く側に配置され、イメージセンサ12に接続されている。アクチュエータ102は、光チャネルの焦点を変えるためにイメージセンサ12を方向64沿って動かせるように構成される。さらに、アクチュエータ102は、例えば、光学的画像安定化を得るために、方向98および/または24に沿った動きを可能にすることができる。
【0097】
アクチュエータ102は、例えば、空気圧、油圧、圧電アクチュエータ、DCモータ、ステップモータ、熱アクチュエータ、静電アクチュエータ、電歪アクチュエータおよび/または磁歪アクチュエータまたは駆動装置、交流モータおよび/またはボイスコイル駆動装置として、使用することができる。アクチュエータ102は、例えば、圧電的または熱的に作動される曲げアクチュエータとすることができる。簡単に言えば、アクチュエータ102は、イメージセンサ12を動かせるために、イメージセンサ12の後ろにある。
【0098】
図23bは、図23aの構成の概略側面断面図を示す。構成の設置高さは、アクチュエータ102の配置によっては、それほど高くないか、またはわずかに増加するだけである。
【0099】
図24aは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の概略平面図を示し、アクチュエータ102が機械的接続部78aおよび78bによって単一ラインアレイ14に接続されており、イメージセンサ12に対して単一ラインアレイ14を相対的に動かせるように構成されている点で、図23aの図に関して構成が変更されている。さらに、アクチュエータ102は、イメージセンサ12に対して軸24、98および/または64に沿って、単一ラインアレイ14を動かせるように構成することができる。
【0100】
図24bは、図24aの構成の概略側断面図を示す。
【0101】
上述の実施形態のうちのいくつかは、イメージセンサ12および単一ラインアレイ14の配置または構成に関するものであるが、ビーム偏向手段に隣接して容易に配置することができ、これらの構成をマルチ開口撮像装置に容易に移すことができる。実施形態によれば、イメージセンサおよび単一ラインアレイの記載された構成は、マルチ開口撮像装置の構成要素を記述する。
【0102】
図25は、イメージセンサ12、単一ラインアレイ14および回転軸32の周りに旋回されたビーム偏向手段18を含むマルチ開口撮像装置250の概略側断面図を示す。
【0103】
ビーム偏向手段18は、第1の視線方向92aおよび/または第2の視線方向92bにおいて光チャネルの光路22を偏向させるために、2つの位置Pos1とPos2との間で切り替え可能である。この位置は、例えば、ビーム偏向手段18が双安定的に切り替え可能なような安定した位置であってもよい。光学的画像安定化のための回転運動によって、場合によっては安定した位置を重ね合わせることができる。視野方向92aおよび92bは、垂直、逆平行、または互いに異なる角度を有するように配置することができ、例えば、それぞれの位置におけるビーム偏向手段18の向きによって影響を受けることができる。ビーム偏向手段18の中間位置または中心位置105は、例えば、単一ラインアレイ14またはイメージセンサ12またはその主面に対して、主面104aおよび/または104bの水平または垂直の向きを含む。中心位置105を介して第1の位置Pos1と第2の位置Pos2との間を切り替えることは、マルチ開口撮像装置250の設置高さを小さくし、少なくとも2つの視線方向での使用を可能にするという利点がある。例えばx方向に沿った厚さ方向に垂直な主面104aおよび/または104bの広がりは、マルチ開口撮像装置250の設置高さを増加させることなく、任意のサイズ、すなわち、ほぼ独立した広がりとすることができる。
【0104】
図26は、例えば本明細書に記載されたマルチ開口撮像装置を用いてキャプチャーすることができる全視界(対象領域)260の概略図を示す。マルチ開口撮像装置の光チャネルの光路は、異なる部分視野(対象領域の部分領域)106a~106dに向けられ、1つの部分視野106a~106dが各光チャネルに割り当てられることができる。部分視野106a~106dは、個々の部分的画像を全体画像に結合させるために重なり合うことができる。マルチ開口撮像装置が4つの異なる数の光チャネルの内の1つを有する場合、全視野260は、4つの異なる数の部分視野の内の1つを有することができる。
代替的または追加的に、少なくとも1つの部分視野106a~106dは、生成された画像のいわゆる超解像度を得るために、第2またはそれ以上の数の光チャネルによって取り込まれ得る。多数の光チャネルおよび/またはいくつかの部分視野は、例えば、任意の数であってよく、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも10個、少なくとも20個、またはさらに高い数の数を有することができる。
【0105】
図27は、全視野260(対象領域)をそれぞれキャプチャーするように構成された第1のマルチ開口撮像装置10aおよび第2のマルチ開口撮像装置10bを含む撮像システム270の概略斜視図を示す。これは、対象領域が立体視的に捕らえられることを意味する。
【0106】
さらなる実施形態によれば、マルチ開口撮像装置の少なくとも1つは、マルチ開口撮像装10、40、140,150,160,170,180,200、220または2500として形成することができる。さらなる実施形態によれば、画像化システム270は、対象領域260または異なる対象領域を画像化するために、本明細書に記載の実施形態によるさらなるマルチ開口撮像装置を含むことができる。
【0107】
本明細書に記載の実施形態の文脈で述べたように、マルチ開口撮像装置10aまたは10bは、空間における全視野260の位置を変更するために、それぞれのマルチ開口撮像装置、したがって撮像システム270の視線方向を変更するように構成することができる。
【0108】
画像システム270は、携帯システム、特に移動通信手段として形成することができる。ポータブルシステム270は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットなどのモバイルコンピュータ、および/または携帯音楽プレーヤであってもよい。
【0109】
撮像システム270は、ハウジング272を含む。ハウジング272は、平坦に形成することができる。これは、ハウジング272が3つの空間軸x、y、zに沿って伸長することができることを意味する。ハウジング272の主側面274は、例えば、x/z平面内に、またはそれに平行に配置することができる。第2の側面276aおよび276bは、例えば、主面274を互いに接続することができる。平坦なハウジングは、第3の次元について、例えばy方向に沿って、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、またはそれ以上の次元を有し、主面274(例えば、x方向に沿ってかつz方向に沿った)の第1および第2の広がりを含むように、考えることができる。例えば、ハウジングの厚さの3倍および/またはハウジングの厚さの4倍を含む高さを含む幅を有することができる。
【0110】
図28は、例えば撮像システム270に配置することができる第1のマルチ開口撮像装置10aおよび第2のマルチ開口撮像装置10bを含む概略構造を示す。単一ラインアレイ14aおよび14bは共通線を形成する。イメージセンサ12aおよび12bは、共通基板または共通基板または共通フレックス基板などの共通回路キャリア上に搭載することができる。あるいは、イメージセンサ12aおよび12bは、異なる基板を含むこともできる。共通のイメージセンサ、共通のアレイおよび/または共通のビーム偏向手段18、並びに別個の構成要素を含む更なるマルチ開口撮像装置を含むマルチ開口撮像装置のように、これらの代替の異なる混合も可能である。共通のイメージセンサ、共通の単一ラインアレイおよび/または一般的なビーム偏向手段の利点は、少量のアクチュエータを制御することによって、それぞれの部品の動きを高い精度で得ることができ、アクチュエータ間の同期を低減または回避することができる。さらに、高い熱安定性を得ることができる。代替的または追加的に、異なるおよび/または異なるマルチ開口イメージング装置10,40,140,150,160,170,180,200,220および/または250は、共通アレイ、共通イメージセンサおよび/またはビーム偏向手段を備えることもできる。
【0111】
マルチアパーチャ撮像装置を製造する方法は、各光チャネルが、イメージセンサのイメージセンサ領域上のオブジェクト領域の部分領域を投影するための光学系を含み、光チャネルの光路を偏向させるためのビーム偏向構造を配置するステップと、イメージセンサ、単一ラインアレイおよびビーム偏向手段間の相対運動を生成するアクチュエータ手段を配置するステップとを、含むように、並置された光学チャネルの単一ラインアレイを配置するイメージセンサを設けるステップを含むことができる。アクチュエータ手段は、直方体の側面にまたがる2つの平面の間に少なくとも部分的に配置されるように構成することができ、直方体の辺は、互いに平行であるとともに、単一ラインアレイのライン伸長方向と、イメージセンサとビーム偏向手段との間の光チャネルの光路の一部に向けられており、直方体の体積は最小であり、依然としてイメージセンサ、単一ラインアレイ及びビーム偏向手段を含む。
【0112】
言い換えれば、マルチ開口撮像システムまたは線形チャネル構造を有する装置の設置高さは、レンズ(光学系)の直径によって底部に限定することができる。線形チャネル構造を有するマルチ開口画像システムは、設置高さを可能な限り低くすることができる。カメラ構造体の設置高さをこれ以上増加させないために、イメージセンサ、画像光学系、および場合によっては既存のビーム偏向ミラーとの間の相対的な動きを実現する手段を横に配置することができ、撮像モジュール(イメージセンサおよび単一ラインアレイ)の前および/または後に、撮像モジュールの上および/または下にはない。
【0113】
相対的な動きは、2つまたは複数の方向に沿って同様にまたは安定して並進および/または回転方式で実行することができ、焦点合わせおよび光学的画像安定化機能を実現するために使用することができる。ミラーの移動(ビーム偏向手段)は、空気圧、油圧、圧電アクチュエータ、DCモータ、ステップモータ、熱アクチュエータ、静電アクチュエータ、電歪アクチュエータおよび/または磁歪アクチュエータまたは駆動装置に基づいて行うことができる。
【0114】
オートフォーカスおよび/または光学画像安定化を使用するための本明細書に記載されたアクチュエータ手段のアクチュエータは、互いに独立して(個別に)同期的にまたは互いに同一に制御することができる。このことは、特に、マルチ開口画像システムのような、ハウジング内のマルチ開口撮像装置の多重配置にも当てはまる。
【0115】
本質的に光学系の直径によって決定される設置高さを増加させることなく相対的な動きを実現するために、マルチア開口カメラ構造の単一の構成要素間の相対的な動きを実現するための上述の駆動、案内および保持要素を配置することによって、フラットハウジングをフラットハウジングに配置することができ、フラットハウジングをさらに小型化することができる。
【0116】
本明細書で説明される実施形態は、線形チャネル構成および最小の設置サイズを有するマルチ開口撮像システムを記載する。
【0117】
本明細書に記載の実施形態のいくつかは、撮像チャネルの線形配列を有するマルチ開口画像システムにおける集束および光学的画像安定化機能を実現するためのボイスコイル原理に基づく動きを生成するための構成要素の配置に関する。
【0118】
ボイスコイルモータは頻繁に、または最も頻繁に使用されるドライブであり、その構造で単一の開口原理に適合し、それらのために最適化することができる。
【0119】
フォーカス機能を実現するために、画像モジュールは、ボイスコイル駆動を使用することによって光チャネルの光軸に沿って移動可能であり、イメージセンサは静止していてもよく、またはその逆であってもよい。例えば、有利なことに、光学的画像安定化機能を実現するために、画像モジュールは、ボイスコイルドライブを使用することによって静止画像センサに対して2次元で光チャネルの光軸に対して垂直に、またはその逆に移動可能である。おそらく望ましい、または必要とされる復元力は、機械的、空気圧および/または油圧ばねによって生成することができる。
【0120】
ビーム偏向ミラーを用いる場合には、また、光学的画像安定化の機能を得ることができる。これは、撮像チャネルの光軸に対してミラーの向きを変えることによって、視線方向の1次元変化によって行うことができる。旋回したミラーは、異なる向きにすることができ、ミラーの回転軸は、撮像チャネルの光学軸に対して垂直にまたは略垂直にすることができる。上記の視線方向に対して垂直な視線方向を適合させるために、画像センサおよび/またはアレイ対物レンズは、互いに横方向に動かせることができる。両方の動きを組み合わせると、2次元の光学的画像安定化が得られる。焦点合わせおよび/または光学的画像安定化を適合させるための上述の解決策を組み合わせることができる。マルチ開口カメラ構造の単一部品間でボイスコイル駆動を使用することによって相対運動を実現するための望ましい、または必要とされる駆動、案内および/または保持要素は、本質的にレンズの直径によって決定される設置高さを増加させることなくマルチ開口カメラ構造を得ることができるという利点である。
【0121】
さらなる実施形態によれば、撮像チャネルの線形配置を有するマルチ開口撮像システムにおいて、フォーカシングおよび光学的画像安定化機能を実現するための圧電式曲げ変換器および/または熱式曲げ器の構成に基づく動きを生成するための構成要素の配置が説明される。
【0122】
圧電素子および熱曲げ素子は、スイッチング時間が短く、費用効果の高い生産の利点を有する。十分に大きなアクチュエータ移動を提供するために、従来の単一の開口カメラにおけるそれらの使用が設置スペースの大幅な拡大をもたらし、したがって使用されないように、要素を細長い方法で形成することができる。一方、線形チャネル構成のマルチ開口撮像システムは、従来の単一の開口対物レンズと比較して、設置スペースの異なるアスペクト比を有することができる。ここで、線形チャネル構成を有するマルチ開口画像システムの設置高さは、レンズの直径によって底に向かって制限することができる。線形チャネル構成を有するマルチ開口画像システムは、設置高さを可能な限り低くすることができる。フォーカシング機能を実現するために、有利には、撮像モジュールは、1つまたは複数の圧電式または熱式曲げ変換器を使用することによって、チャネルの光軸に沿って動かせることができ、画像センサは静止していてもよく、またはその逆であってもよい。また、これは、撮像モジュールが静止しているイメージセンサを動かせることができることを意味する。両方のコンセプトを組み合わせることができる。ここで、システムは、1つまたは2つの曲げ変換器を使用することによって区別することができる。設置スペースおよび/または構造の修正されたアスペクト比は、構造の顕著な拡大を得ることなく、圧電式および/または熱式曲げ変換器の使用を可能にすることができる。また、設置高さを大きくすることができないという利点もある。
【0123】
光学的画像安定化機能を実現するために、有利には、撮像モジュールは、圧電式および/または熱式曲げ変換器を使用することによって固定されたイメージセンサに対して2次元で光チャネルに対して垂直に動かせることができる。機械的、空気圧および/または油圧ばねによって、おそらく望ましいまたは必要な回復力を発生させることができる。代替的にまたは追加的に、イメージセンサを動かせることができ、撮像モジュールを静止させることができる。ビーム偏向ミラーを使用する場合、光学的画像安定化機能を得ることができる。これは、旋回したミラーを異なる向きにすることによって、撮像チャネルの光軸に対してミラーの向きを変えることによって得られる視線方向の1次元変化によって得られ、ミラーの回転軸は、撮像チャネルの光学軸に対して垂直にまたは略垂直にすることができる。上記方向に垂直な視線方向を適合させるために、イメージセンサおよび/またはアレイ対物レンズは、互いに横方向に移動することができる。両方の動きを組み合わせると、2次元の光学的画像安定化が得られる。焦点合わせおよび/または光学的画像安定化の適応のための説明された解決策は、互いに組み合わせることができる。
【0124】
これにより、幾何学的境界条件のために従来の構造では不可能であるか、または望ましくない高速および/または費用対効果の高いドライブの使用が可能になる。
【0125】
光路または光軸は、ビーム偏向方向から異なる方向に向けられることが既に上述されている。これは、光路が、平行偏向から外れるように、ビーム偏向手段および/または光学系によって偏向されている間に導かれるという点で得られる。光路または光軸は、ビーム偏向の有無にかかわらず平行度から逸脱する可能性がある。以下では、このような状況について、チャネルに何らかの事前発散を設けることができるように説明する。この光軸の予め発散することによって、例えば、ビーム偏向手段のファセットの全てのファセット傾斜が互いに異なるわけではなく、たとえば、いくつかのチャネル群は、同じ傾きを持つファセットを持っているか、同じファセットに向けられています。後者は、一体的にまたは連続的に収束するように形成することができ、これは実質的に、ライン伸長方向に隣接するこのチャネル群に割り当てられる1つのファセットとしてのものである。これらのチャネルの光学軸の発散は、光チャネルの光学中心とチャネルのイメージセンサ領域の光学中心間の横方向のオフセットによって得られるように、これらの光学軸の発散に起因する。事前発散は、例えば、1つの平面に限定することができる。ビーム偏向の前または直前に、例えば、光軸は共通の平面内を実行することができるが、光軸は同じ平面内で発散することができ、ファセットは他の横断面に単に追加の発散をもたらすだけであり、すなわち、全てが光軸の共通平面とは異なるだけでライン伸長方向に平行にかつ互いに対して傾斜しており、この場合もやはり、いくつかのファセットは、同じ偏向を有することができ、またはビーム偏向前または偏向なしに、光軸が対をなす光軸の上記の共通平面内に既に異なるチャネルのグループに一緒に割り振ることができる。簡単に言えば、光学系は、第1(画像)方向に沿った光学経路の(プリ)発散を可能にし、ビーム偏向手段は第2(画像)方向に沿った光学経路の発散を意味する。
【0126】
イメージセンサ領域の中心は、例えば、イメージセンサ平面内の上記直線上の点から、ライン伸長方向に沿って、および/または、ライン伸長方向およびイメージセンサ法線の両方に垂直な方向に沿って、チャネルごとに逸脱する点など、イメージセンサ平面内の直線上の点上のイメージセンサ領域の平面の法線に沿った光学中心の投影から逸脱して配置されるが、上述した、おそらく存在する事前発散は、例えば物体の光学的中心がライン伸長方向に沿って直線上にあるという点で得られる。
あるいは、光学系の中心は、例えば、光学中心面内の上記直線上の点からライン伸長方向に沿って、および/または、ライン伸長方向および光学中心面の法線の両方に垂直な方向に沿って、チャネルごとにずれた点など、光学系の光学中心の平面の法線に沿ってイメージセンサの光学中心の投影から光学中心面内の直線上の点上にずれて配置されるが、イメージセンサの中心がライン伸長方向に沿って直線上にあるという点で、事前発散を得ることができる。
上述した各投影からのチャネル個別偏差が単にライン伸長方向に延びる場合、すなわち光軸が単に共通の平面内に存在し、事前発散を備えている場合が好ましい。光学中心とイメージセンサ領域中心の両方は、それぞれ、ライン伸長方向に平行であるが、異なる中間距離を有する直線上にある。したがって、レンズとイメージセンサとの間のライン伸長方向に対して垂直な横方向の横方向オフセットは、設置高さの増加をもたらす。
ライン伸長方向の面内オフセットが純粋に取り付け高さを変えることはないが、ファセットの結果が少なくなる可能性があり、および/またはファセットが角度の向きに傾くだけで構造を単純化する。したがって、例えば、それぞれ隣接する光チャネルは、共通平面内を実行する光軸を有することができ、各々は互いに対して斜めになっている、すなわち事前発散を備えている。ファセットは、一群の光チャネルに対して配置することができ、単に一方向に傾けられ、ライン伸長方向に平行にすることができる。
【0127】
さらに、いくつかの光チャネルが、例えば、超解像またはそれぞれの部分視野がこれらのチャネルによってサンプリングされる分解能を高める目的で、同じ部分視野に割り当てられるようにすることができる。そのようなグループ内の光チャネルは、例えば、ビームの偏向が平行になる前に平行であり、部分視野でファセットによって偏向される。有利には、グループのチャネルのイメージセンサのピクセルイメージは、このグループの異なるチャネルのイメージセンサのピクセルのイメージの中間の位置にある。
【0128】
別のオプションは、例えば、超解像度目的でなくても、単に立体視目的のためであってもよく、直近に隣接するチャネルのグループが、それらの部分的な視野によってライン伸長方向の全視野を完全にカバーし、すぐ隣接するチャネルのさらなるグループが、それらの部分の全視野を完全にカバーする実装である。
【0129】
したがって、上記の実施形態は、単一の開口チャネル構成を有するマルチ開口撮像装置および/またはこのようなマルチ開口撮像装置を含む撮像システムの形態で実施することができ、各チャネルは全視野の部分視野を送信し、部分視野は部分的に重複する。立体画像撮影のために、ステレオ、トリオ、クワトロなどの構造のための複数のそのようなマルチ開口撮像装置を有する構造が可能である。複数のモジュールは、連続した線として実装することができる。連続線は、同一のアクチュエータおよび共通のビーム偏向要素を使用することができる。場合によっては、光路内に存在する1つまたは複数の増幅基板が、ステレオ、トリオ、クアトロ構造を形成することができるライン全体に及ぶことができる。いくつかのチャネルが同じ部分画像領域を撮像する、超解像度の方法を使用することができる。ビーム偏向装置を必要とするファセットがより少なくなるように、光偏向装置を使用することなく光軸を発散させることもできる。次に、ファセットは有利には1つの角度成分のみを有する。イメージセンサは、一体的に形成することができ、1つの連続した画素マトリクスまたは複数の中断した画素マトリクスを有することができる。イメージセンサは、例えばプリント回路基板上に互いに並んで配置された幾つかの部分センサの組み合わせであってもよい。オートフォーカス駆動は、ビーム偏向要素が光学系と同期して動かされるかまたは静止するように構成することができる。
【0130】
いくつかの態様が装置の文脈で説明されているが、これらの態様は、それぞれの方法の説明も表しているので、装置のブロックまたは部材は、それぞれの方法ステップまたは方法ステップの特徴と考えることもできることは明らかである。同様に、方法ステップの文脈で、または方法ステップとして記載されている態様は、それぞれのブロックまたはそれぞれの装置の詳細または特徴の記述を表す。
【0131】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形は、当業者には明らかであることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、実施形態の説明および議論に基づいて本明細書に提示される特定の詳細によっては限定されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
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図6f
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図6h
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図8b
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図10b
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図11b
図12a
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