(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20221109BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20221109BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
H01R13/629
(21)【出願番号】P 2020077006
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴彦
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0197071(US,A1)
【文献】特表2008-533684(JP,A)
【文献】米国特許第9281614(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方嵌合部に対して仮嵌合状態と完全嵌合状態との間でコネクタ挿抜方向に沿って相対移動可能なハウジングと、
前記ハウジングに収容され、前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときに相手方端子金具に対して電気接続される端子金具と、
前記ハウジングが前記仮嵌合状態のときの仮嵌合位置と前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときの完全嵌合位置との間での前記ハウジングに対する相対回転が可能で、かつ、前記仮嵌合位置から前記完全嵌合位置に向けた第1回転操作で前記ハウジングを前記仮嵌合状態から前記完全嵌合状態へと前記相手方嵌合部に対して相対移動させ、前記完全嵌合位置から前記仮嵌合位置に向けた第2回転操作で前記ハウジングを前記完全嵌合状態から前記仮嵌合状態へと前記相手方嵌合部に対して相対移動させるレバー部材と、
前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときの嵌合保証位置と前記ハウジングが前記完全嵌合状態ではないときの待機位置との間で前記ハウジングに対して移動自在に取り付けられた位置保証部材と、
を備え、
前記ハウジングと前記位置保証部材との間には、前記レバー部材が前記完全嵌合位置ではないときに前記待機位置の前記位置保証部材の前記嵌合保証位置に向けた保証操作方向の動きを係止する第1係止機構と、前記レバー部材が前記完全嵌合位置のときに前記嵌合保証位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向とは逆向きの保証解除方向の動きを係止する第2係止機構と、を設け、
前記レバー部材と前記位置保証部材との間には、前記第1係止機構による前記位置保証部材の係止状態の解除操作を前記レバー部材の前記第1回転操作に連動させ、前記レバー部材が前記完全嵌合位置となったときに前記第1係止機構による前記位置保証部材の係止状態を解除させる係止解除機構を
設け、
前記レバー部材は、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の回動支点を有し、かつ、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の回動軸の軸線方向で互いに間隔を空けて対向配置させた2本のアームと、2本の前記アームを連結させ、かつ、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の力点となる操作部と、を有し、
前記第1係止機構及び前記第2係止機構は、前記完全嵌合位置の前記レバー部材における一方の前記アームに対して前記軸線方向で対向配置される部分と、前記完全嵌合位置の前記レバー部材における他方の前記アームに対して前記軸線方向で対向配置される部分と、に各々設け、
前記係止解除機構は、前記レバー部材における一方の前記アームと前記位置保証部材との間及び前記レバー部材における他方の前記アームと前記位置保証部材との間に各々設ける
ことを特徴としたレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記第1係止機構は、前記ハウジングに設けた係止部と、前記位置保証部材に設けた被係止体と、を備え、
前記被係止体は、前記位置保証部材が前記待機位置のときに、前記係止部に対して前記保証解除方向側の空間部内で対向配置させ、前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きを前記係止部に係止させる突起と、前記突起を自由端に設け、前記位置保証部材が前記待機位置のときに、前記空間部に対する前記突起の突起挿入方向及び突起抜去方向に向けた前記自由端の変位が可能な可撓性を持った片持ちの可撓部と、を有し、
前記突起は、前記位置保証部材が前記待機位置のときに前記係止部に係止される被係止部を有し、
前記係止解除機構は、前記レバー部材に設け、前記レバー部材の前記第1回転操作に連動して前記突起を前記突起抜去方向へと押し動かす押動部と、前記突起に設け、前記押動部からの力を受ける被押動部と、を備え、
前記被押動部は、前記第1回転操作で前記押動部から受けた力に基づいて前記突起抜去方向の力を発生させ、前記レバー部材が前記完全嵌合位置となったときに前記係止部による前記被係止部の係止状態を解除させる係止解除用傾斜面として形成されることを特徴とした請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記係止部と前記被係止部は、前記待機位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きによって前記被係止部が前記係止部から力を受けた際に、その力に基づいて前記突起挿入方向の力を発生させる係止用傾斜面として各々形成されることを特徴とした請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記突起は、前記位置保証部材が前記待機位置で且つ前記レバー部材が前記完全嵌合位置のときに、前記係止部における前記突起抜去方向側の端部に対して前記保証解除方向側の前記空間部で対向配置させる係止解除部を有し、
前記係止解除部は、前記待機位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きによって前記係止部の前記端部から力を受けた際に、その力に基づいて前記突起抜去方向の力を発生させ、かつ、前記突起を前記空間部から抜き出させる係止解除用傾斜面として形成されることを特徴とした請求項2又は3に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二者間の電気接続には、雌コネクタと雄コネクタのような互いに嵌合接続される嵌合コネクタが用いられる。それぞれのコネクタは、規定の嵌合位置まで嵌め込まれた完全嵌合状態のときに通電可能な状態になっており、規定の嵌合位置まで嵌め込まれていないときに通電不能な状態になっている。このため、嵌合コネクタには、それぞれのコネクタが完全嵌合状態であるのか否かを判別できるように、完全嵌合状態のときにだけ作動可能な位置保証部材が設けられているものもある。一方、嵌合コネクタとしては、一方のコネクタのハウジングに対して、回転自在なレバー部材が取り付けられ、そのレバー部材の回転操作によってそれぞれのコネクタの間での嵌合操作力又は抜去操作力を軽減させるレバー式コネクタも知られている。例えば、下記の特許文献1から3には、位置保証部材付きのレバー式コネクタについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-146950号公報
【文献】特開2010-160942号公報
【文献】特表2008-533684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、そのような位置保証部材付きのレバー式コネクタにおいては、レバー部材でそれぞれのコネクタを規定の嵌合位置まで嵌合接続させた後、位置保証部材を完全嵌合状態ではないときの待機位置から完全嵌合状態のときの嵌合保証位置まで移動させる。その際、位置保証部材については、嵌合保証位置まで移動させるために、それぞれのコネクタを嵌合接続させた後で、待機位置での係止状態を解除させる必要がある。このように、この種のレバー式コネクタは、それぞれのコネクタの嵌合接続作業という観点に立つならば、その作業性について改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、嵌合接続作業に好適なレバー式コネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明は、相手方嵌合部に対して仮嵌合状態と完全嵌合状態との間でコネクタ挿抜方向に沿って相対移動可能なハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときに相手方端子金具に対して電気接続される端子金具と、前記ハウジングが前記仮嵌合状態のときの仮嵌合位置と前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときの完全嵌合位置との間での前記ハウジングに対する相対回転が可能で、かつ、前記仮嵌合位置から前記完全嵌合位置に向けた第1回転操作で前記ハウジングを前記仮嵌合状態から前記完全嵌合状態へと前記相手方嵌合部に対して相対移動させ、前記完全嵌合位置から前記仮嵌合位置に向けた第2回転操作で前記ハウジングを前記完全嵌合状態から前記仮嵌合状態へと前記相手方嵌合部に対して相対移動させるレバー部材と、前記ハウジングが前記完全嵌合状態のときの嵌合保証位置と前記ハウジングが前記完全嵌合状態ではないときの待機位置との間で前記ハウジングに対して移動自在に取り付けられた位置保証部材と、を備える。そして、前記ハウジングと前記位置保証部材との間には、前記レバー部材が前記完全嵌合位置ではないときに前記待機位置の前記位置保証部材の前記嵌合保証位置に向けた保証操作方向の動きを係止する第1係止機構と、前記レバー部材が前記完全嵌合位置のときに前記嵌合保証位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向とは逆向きの保証解除方向の動きを係止する第2係止機構と、を設け、前記レバー部材と前記位置保証部材との間には、前記第1係止機構による前記位置保証部材の係止状態の解除操作を前記レバー部材の前記第1回転操作に連動させ、前記レバー部材が前記完全嵌合位置となったときに前記第1係止機構による前記位置保証部材の係止状態を解除させる係止解除機構を設け、前記レバー部材は、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の回動支点を有し、かつ、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の回動軸の軸線方向で互いに間隔を空けて対向配置させた2本のアームと、2本の前記アームを連結させ、かつ、前記第1回転操作及び前記第2回転操作の力点となる操作部と、を有し、前記第1係止機構及び前記第2係止機構は、前記完全嵌合位置の前記レバー部材における一方の前記アームに対して前記軸線方向で対向配置される部分と、前記完全嵌合位置の前記レバー部材における他方の前記アームに対して前記軸線方向で対向配置される部分と、に各々設け、前記係止解除機構は、前記レバー部材における一方の前記アームと前記位置保証部材との間及び前記レバー部材における他方の前記アームと前記位置保証部材との間に各々設けることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記第1係止機構は、前記ハウジングに設けた係止部と、前記位置保証部材に設けた被係止体と、を備え、前記被係止体は、前記位置保証部材が前記待機位置のときに、前記係止部に対して前記保証解除方向側の空間部内で対向配置させ、前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きを前記係止部に係止させる突起と、前記突起を自由端に設け、前記位置保証部材が前記待機位置のときに、前記空間部に対する前記突起の突起挿入方向及び突起抜去方向に向けた前記自由端の変位が可能な可撓性を持った片持ちの可撓部と、を有し、前記突起は、前記位置保証部材が前記待機位置のときに前記係止部に係止される被係止部を有し、前記係止解除機構は、前記レバー部材に設け、前記レバー部材の前記第1回転操作に連動して前記突起を前記突起抜去方向へと押し動かす押動部と、前記突起に設け、前記押動部からの力を受ける被押動部と、を備え、前記被押動部は、前記第1回転操作で前記押動部から受けた力に基づいて前記突起抜去方向の力を発生させ、前記レバー部材が前記完全嵌合位置となったときに前記係止部による前記被係止部の係止状態を解除させる係止解除用傾斜面として形成されることが望ましい。
【0008】
また、前記係止部と前記被係止部は、前記待機位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きによって前記被係止部が前記係止部から力を受けた際に、その力に基づいて前記突起挿入方向の力を発生させる係止用傾斜面として各々形成されることが望ましい。
【0009】
また、前記突起は、前記位置保証部材が前記待機位置で且つ前記レバー部材が前記完全嵌合位置のときに、前記係止部における前記突起抜去方向側の端部に対して前記保証解除方向側の前記空間部で対向配置させる係止解除部を有し、前記係止解除部は、前記待機位置の前記位置保証部材の前記保証操作方向の動きによって前記係止部の前記端部から力を受けた際に、その力に基づいて前記突起抜去方向の力を発生させ、かつ、前記突起を前記空間部から抜き出させる係止解除用傾斜面として形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るレバー式コネクタは、レバー部材を第1回転操作することによって、ハウジングの嵌合部を相手方嵌合部に完全嵌合させると共に、第1係止機構による待機位置の位置保証部材の係止状態を解除させることができる。つまり、このレバー式コネクタは、相手方嵌合部に対する嵌合接続操作と、この嵌合接続操作後に行う待機位置の位置保証部材の係止状態の解除操作と、をレバー部材に対する1度の操作だけで実施することができる。よって、このレバー式コネクタは、相手方コネクタに対する嵌合接続時の作業性に優れており、その嵌合接続作業に好適なものといえる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態のレバー式コネクタを分離状態の相手方コネクタと共に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する仮嵌合状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のレバー式コネクタ(レバー部材除く)の相手方コネクタに対する仮嵌合状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する嵌合操作中又は抜去操作中を示す斜視図であって、待機位置の位置保持部材の係止解除開始時又は待機位置の位置保持部材の係止開始時を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する嵌合操作中又は抜去操作中を示す平面図であって、待機位置の位置保持部材の係止解除開始時又は待機位置の位置保持部材の係止開始時を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する完全嵌合状態で且つ位置保持部材が待機位置の状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する完全嵌合状態で且つ位置保持部材が待機位置の状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する完全嵌合状態で且つ位置保持部材が嵌合保証位置の状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態のレバー式コネクタの相手方コネクタに対する完全嵌合状態で且つ位置保持部材が嵌合保証位置の状態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、端子金具と相手方端子金具を抜き出した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るレバー式コネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[実施形態]
本発明に係るレバー式コネクタは、相手方コネクタに嵌合接続させることによって、この相手方コネクタ側の機器と自身が繋がれた機器とを電気接続させるものであってもよく、相手方コネクタに対して抜き差しすることによって、この相手方コネクタの電気回路の接続と切断を行うものであってもよい。
【0015】
本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の1つを
図1から
図20に基づいて説明する。
【0016】
図1から
図9の符号1は、本実施形態のレバー式コネクタを示す。ここで例示するレバー式コネクタ1は、相手方コネクタ501に対して挿抜自在に構成されたものであり、この相手方コネクタ501の電気回路上で、その電気回路の接続と切断を担っている。
【0017】
ここで、相手方コネクタ501は、相手方機器(図示略)の電気回路上に設けられる。その相手方機器とは、例えば、車両の駆動装置(電気自動車又はハイブリッド車両の電動機やインバータ等)のことである。この相手方コネクタ501は、レバー式コネクタ1が嵌合接続されているときに相手方機器の電気回路を接続し、レバー式コネクタ1が嵌合接続されていないときに相手方機器の電気回路を切断する。
【0018】
ここで示す相手方コネクタ501は、相手方機器の筐体等に取り付けられる相手方ハウジング510を備えており、この相手方ハウジング510の嵌合部(以下、「相手方嵌合部」という。)511の内方に相手方端子金具520が配置されている(
図1及び
図2)。この相手方コネクタ501は、相手方機器における分断された電気回路の一方に電気接続された第1相手方端子金具520Aと、その分断された電気回路の他方に電気接続された第2相手方端子金具520Bと、を備えている(
図10)。その第1相手方端子金具520Aと第2相手方端子金具520Bは、平板を主体とする相手方電気接続体521,521を各々有しており、それぞれの相手方電気接続体521,521の平面同士が相手方嵌合部511の中で間隔を空けて対向配置されている。
【0019】
レバー式コネクタ1は、相手方嵌合部511に対して規定の嵌合位置まで嵌め込まれた完全嵌合状態のときに、第1相手方端子金具520Aと第2相手方端子金具520Bとを電気接続させることによって、相手方機器における分断された電気回路を接続状態にする。一方、このレバー式コネクタ1は、相手方嵌合部511に対して規定の嵌合位置まで嵌め込まれていない分離状態又は半嵌合状態のときに、第1相手方端子金具520Aと第2相手方端子金具520Bとを電気接続させないことによって、相手方機器の電気回路を切断状態にする。
【0020】
このレバー式コネクタ1は、ハウジング10(
図11)と端子金具20(
図10)とレバー部材30(
図12)と位置保証部材40(
図13)とを備える。
【0021】
ハウジング10は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このハウジング10は、相手方嵌合部511に対して挿抜可能な嵌合部11を有する(
図1から
図9及び
図11)。その嵌合部11と相手方嵌合部511は、筒状に形成され、その筒軸方向がコネクタ挿抜方向(コネクタ挿入方向、コネクタ抜去方向)となって互いに抜き差しされる。ここで示す嵌合部11と相手方嵌合部511は、筒軸方向に対する直交断面が長円の環状の筒体として形成されている。
【0022】
このレバー式コネクタ1は、嵌合部11の筒軸方向における先端を相手方嵌合部511の筒軸方向における先端に嵌め合わせた仮嵌合状態(半嵌合状態の一形態)とし(
図2及び
図3)、この仮嵌合状態でレバー部材30が回転操作されることによって、嵌合部11と相手方嵌合部511とが規定の嵌合位置まで深く嵌め込まれた完全嵌合状態になる(
図6から
図9)。一方、このレバー式コネクタ1は、嵌合部11と相手方嵌合部511とが完全嵌合状態のときにレバー部材30が逆向きに回転操作されることによって、嵌合部11と相手方嵌合部511とを仮嵌合状態に変位させる。レバー式コネクタ1は、この仮嵌合状態のときに嵌合部11を相手方嵌合部511から脱離させることが可能な脱離可能状態にもなっており、嵌合部11を相手方嵌合部511から引き離すことによって、相手方コネクタ501から分離させる。このように、ハウジング10の嵌合部11は、相手方嵌合部511に対する仮嵌合状態と相手方嵌合部511に対する完全嵌合状態との間で相手方嵌合部511に対してコネクタ挿抜方向に沿って相対移動可能なものとして形成されている。
【0023】
また、ハウジング10は、嵌合部11の筒軸方向における後端の開口を塞ぐ閉塞部12を有する(
図1から
図9及び
図11)。そして、このハウジング10には、位置保証部材40を収容する収容室13が閉塞部12の外壁面から突出させた状態で形成されている(
図3、
図5、
図7、
図9及び
図11)。ここで示すハウジング10は、閉塞部12の外壁面に対して間隔を空けて対向配置させた壁部13aと、互いに間隔を空けて対向配置させ、かつ、閉塞部12の外壁面と壁部13aとを連結させる2つの側壁部13b,13bと、を有している(
図3、
図5、
図7、
図9及び
図11)。このハウジング10においては、閉塞部12と壁部13aと2つの側壁部13b,13bとで囲われた空間を収容室13として利用し、その収容室13の開口13cから位置保証部材40が挿入される(
図3、
図5、
図7、
図9及び
図11)。
【0024】
端子金具20は、金属等の導電性材料で成形される。例えば、この端子金具20は、母材となる金属板に対する折曲げ加工や切断加工等のプレス成形によって所定形状に成形される。この端子金具20は、ハウジング10の嵌合部11の内方に収容されている。そして、この端子金具20は、嵌合部11と相手方嵌合部511とが完全嵌合状態のときに、相手方端子金具520に対して嵌合接続させることによって、この相手方端子金具520に対して電気接続させる。
【0025】
この端子金具20は、矩形の基体21と、互いに間隔を空けて対向配置させ、かつ、基体21における同一方向に延在させた2つの辺部から各々突出させた片持ちの電気接続体22,22と、を有する(
図10)。この端子金具20は、それぞれの電気接続体22,22の間に第1相手方端子金具520Aと第2相手方端子金具520Bのそれぞれの相手方電気接続体521,521を嵌入させ、それぞれの電気接続体22,22でそれぞれの相手方電気接続体521,521を挟み込ませることによって、それぞれの相手方電気接続体521,521に対して嵌合接続させる。これにより、この端子金具20は、一方の電気接続体22が第1相手方端子金具520Aに電気接続され、かつ、他方の電気接続体22が第2相手方端子金具520Bに電気接続されて、第1相手方端子金具520Aと第2相手方端子金具520Bとを電気接続させる。
【0026】
ここで示す端子金具20は、それぞれの電気接続体22,22が挟角を成して対向配置されており、それぞれの電気接続体22,22の自由端側に相手方電気接続体521,521に対する接点が設けられている。また、ここで示す端子金具20の電気接続体22は、その突出方向に延在させたスリットによって複数の片持ちの電気接続部に分けられており、それぞれの電気接続部が相手方電気接続体521に対する接点を有している。この例示の電気接続体22は、2本のスリットによって、3本の電気接続部22a,22b,22cに分けられている(
図10)。
【0027】
レバー式コネクタ1においては、この端子金具20が嵌合部11の内方で2つ並べて配置されている。
【0028】
レバー部材30は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このレバー部材30は、ハウジング10に対する相対回転が可能な部材であり、その相対回転の回転方向に応じたコネクタ挿入方向の力又はコネクタ抜去方向の力を嵌合部11と相手方嵌合部511との間に作用させる。よって、このレバー部材30は、少なくともハウジング10が仮嵌合状態のときの仮嵌合位置(
図2)とハウジング10が完全嵌合状態のときの完全嵌合位置(
図6から
図9)との間で、ハウジング10に対して相対回転させる。このレバー部材30は、仮嵌合位置から完全嵌合位置に向けた第1回転操作(
図2)でハウジング10を仮嵌合状態から完全嵌合状態へと相手方嵌合部511に対して相対移動させ、嵌合部11と相手方嵌合部511とを完全嵌合させる。また、このレバー部材30は、完全嵌合位置から仮嵌合位置に向けた第2回転操作(
図2)でハウジング10を完全嵌合状態から仮嵌合状態へと相手方嵌合部511に対して相対移動させ、嵌合部11と相手方嵌合部511の完全嵌合状態を解消させる。
【0029】
ここで示すレバー部材30は、第1回転操作及び第2回転操作の回動支点を有し、かつ、第1回転操作及び第2回転操作の回動軸の軸線方向で互いに間隔を空けて対向配置させた2本のアーム31,31と、2本のアーム31,31を連結させ、かつ、第1回転操作及び第2回転操作の力点となる操作部32と、を有する(
図1、
図2、
図4から
図9及び
図12)。
【0030】
ここで示すレバー部材30においては、その2本のアーム31,31の間に嵌合部11が配置され、それぞれのアーム31,31が嵌合部11に対して回動自在に取り付けられる。また、ここで示すレバー部材30は、仮嵌合位置のときに、それぞれのアーム31,31の延在方向をコネクタ挿抜方向に向かせ、かつ、操作部32を収容室13の壁部13aに対して間隔を空けて対向配置させる(
図2)。また、ここで示すレバー部材30は、完全嵌合位置のときに、それぞれのアーム31,31の延在方向をコネクタ挿抜方向に対する直交方向に向かせ、かつ、操作部32を嵌合部11の外周面に対向配置させる(
図6から
図9)。
【0031】
アーム31は、操作部32側を固定端とする片持ち形状に形成され、その固定端と自由端31aとの間に回動支点が設けられる(
図1、
図12及び
図14)。ここで示すアーム31においては、円形の貫通孔を有する軸受31bが回動支点として形成されている(
図1、
図2、
図12及び
図14)。嵌合部11の外周面には、その軸受31bの貫通孔に挿入されて当該軸受31bに軸支される回動軸14がアーム31毎に突出状態で設けられている(
図1から
図3、
図11及び
図14)。
【0032】
相手方ハウジング510は、このレバー部材30の第1回転操作の最中に、このレバー部材30の自由端31aからコネクタ抜去方向に向けた力を受ける第1受け部510aを有している(
図1から
図9及び
図14)。レバー部材30は、そのコネクタ抜去方向に向けた力を第1受け部510aに作用させることによって、この第1受け部510aから反力を受ける。そこで、ハウジング10には、レバー部材30の第1回転操作の最中に、第1受け部510aからの反力を受けたレバー部材30の回動支点から力を受けて、コネクタ挿入方向に向けた力を嵌合部11に発生させる第2受け部10aが設けられている(
図1から
図3、
図11及び
図14)。これにより、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材30を第1回転操作することによって、仮嵌合状態の嵌合部11と相手方嵌合部511とが規定の嵌合位置まで嵌め込まれて完全嵌合状態になる。つまり、このレバー式コネクタ1は、嵌合部11と相手方嵌合部511を仮嵌合状態から完全嵌合状態に移行させる際の作業者の嵌合操作力を軽減させることができる。ここで示す第2受け部10aは、回動軸14であり(
図1から
図3、
図11及び
図14)、第1受け部510aからの反力に応じた力が軸受31bの貫通孔の内周壁から加えられる。
【0033】
また、相手方ハウジング510は、レバー部材30の第2回転操作の最中に、このレバー部材30の自由端31aからコネクタ挿入方向に向けた力を受ける第3受け部510bを有している(
図3及び
図14)。その第3受け部510bは、第1受け部510a対して間隔を空けて対向配置されている。レバー部材30は、そのコネクタ挿入方向に向けた力を第3受け部510bに作用させることによって、この第3受け部510bから反力を受ける。そこで、ハウジング10には、レバー部材30の第2回転操作の最中に、第3受け部510bからの反力を受けたレバー部材30の回動支点から力を受けて、コネクタ抜去方向に向けた力を嵌合部11に発生させる第4受け部10bが設けられている(
図1から
図3、
図11及び
図14)。これにより、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材30を第2回転操作することによって、完全嵌合状態の嵌合部11と相手方嵌合部511の嵌合代が減っていって仮嵌合状態になる。つまり、このレバー式コネクタ1は、嵌合部11と相手方嵌合部511を完全嵌合状態から仮嵌合状態に移行させる際の作業者の抜去操作力を軽減させることができる。ここで示す第4受け部10bは、第2受け部10aと同じ回動軸14であり(
図1から
図3、
図11及び
図14)、第3受け部510bからの反力に応じた力が軸受31bの貫通孔の内周壁から加えられる。
【0034】
位置保証部材40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この位置保証部材40は、ハウジング10が完全嵌合状態のときの嵌合保証位置とハウジング10が完全嵌合状態ではないときの待機位置との間でハウジング10に対して移動自在に取り付けられる。ハウジング10の完全嵌合状態とは、先に示したように、端子金具20と相手方端子金具520とが電気的に接続されている状態のことである。よって、ハウジング10が完全嵌合状態ではない状態とは、端子金具20と相手方端子金具520とが電気的に接続されていない状態のことであり、相手方ハウジング510に対するハウジング10の半嵌合状態、又は、相手方ハウジング510に対するハウジング10の分離状態のことをいう。
【0035】
ここで示す位置保証部材40は、方体状に形成され、開口13cからハウジング10の収容室13に収容される主体41と、この主体41の1つの壁面に設けられ、収容室13の外に配置される操作部42と、を有する(
図3、
図5、
図7、
図9、
図13及び
図15)。この位置保証部材40は、その操作部42を押し動かすことによって、収容室13の中で待機位置から嵌合保証位置へと主体41を相対移動させる。また、この位置保証部材40は、それとは逆向きに、その操作部42を引っ張ることによって、収容室13の中で嵌合保証位置から待機位置へと主体41を相対移動させる。
【0036】
この位置保証部材40は、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときの待機位置から嵌合保証位置への相対移動が規制され、レバー部材30が完全嵌合位置のときの嵌合保証位置から待機位置への相対移動が規制される。レバー部材30の完全嵌合位置とは、先に示したように、ハウジング10が完全嵌合状態のときのハウジング10に対するレバー部材30の相対回転位置のことである。よって、レバー部材30が完全嵌合位置ではない位置とは、ハウジング10が完全嵌合状態ではないときのハウジング10に対するレバー部材30の相対回転位置のことであり、レバー部材30の仮嵌合位置だけでなく、レバー部材30を仮嵌合位置と完全嵌合位置との間で変位させているときのハウジング10に対するレバー部材30の相対回転位置のことも含んでいる。
【0037】
ハウジング10と位置保証部材40との間には、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときの待機位置から嵌合保証位置への位置保証部材40の相対移動を規制するべく、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときに待機位置の位置保証部材40の嵌合保証位置に向けた保証操作方向の動きを係止する第1係止機構51を設けている(
図1から
図7、
図11及び
図16から
図19)。また、ハウジング10と位置保証部材40との間には、レバー部材30が完全嵌合位置のときの嵌合保証位置から待機位置への位置保証部材40の相対移動を規制するべく、レバー部材30が完全嵌合位置のときに嵌合保証位置の位置保証部材40の保証操作方向とは逆向きの保証解除方向の動きを係止する第2係止機構52を設けている(
図8、
図9、
図11及び
図16から
図19)。その第1係止機構51と第2係止機構52は、ハウジング10の一方の側壁部13bと位置保証部材40との間、及び、ハウジング10の他方の側壁部13bと位置保証部材40との間に1つずつ設けている。そして、この第1係止機構51と第2係止機構52は、完全嵌合位置のレバー部材30に着目して観てみると、この完全嵌合位置のレバー部材30における一方のアーム31に対して軸線方向(レバー部材30の回動軸の軸線方向)で対向配置される部分と、完全嵌合位置のレバー部材30における他方のアーム31に対して軸線方向(レバー部材30の回動軸の軸線方向)で対向配置される部分と、に各々設けている。
【0038】
第1係止機構51は、ハウジング10に設けた係止部(以下、「第1係止部」という。)51a(
図11及び
図16から
図19)と、位置保証部材40に設けた被係止体(以下、「第1被係止体」という。)51b(
図1から
図3、
図5、
図7、
図13及び
図16から
図19)と、を備える。この第1係止機構51は、位置保証部材40が待機位置のときに、第1係止部51aと第1被係止体51bとを係止可能な状態に配置しておくことによって、位置保証部材40の待機位置から嵌合保証位置への相対移動を規制する。
【0039】
また、第2係止機構52は、ハウジング10に設けた係止部(以下、「第2係止部」という。)52aを備える(
図11及び
図16から
図19)。この第2係止機構52は、位置保証部材40が嵌合保証位置のときに、その第2係止部52aと位置保証部材40の被係止体とを係止可能な状態に配置しておくことによって、位置保証部材40の嵌合保証位置から待機位置への相対移動を規制する。この第2係止機構52においては、第1係止機構51の第1被係止体51bとは別に、位置保証部材40が第2係止機構52専用の被係止体を有していてもよい。但し、ここでは、第1係止機構51と第2係止機構52とで第1被係止体51bを共用している(
図1から
図3及び
図16から
図19)。
【0040】
側壁部13bには、開口13c側から順に、第1貫通孔から成る空間部(以下、「第1空間部」という。)13b
1と第2貫通孔から成る空間部(以下、「第2空間部」という。)13b
2とが形成されている(
図11及び
図16から
図19)。そして、この側壁部13bには、その第1空間部13b
1と第2空間部13b
2を設けたことによって、第1空間部13b
1と第2空間部13b
2との間に第1壁体13b
3が形成され、第1空間部13b
1の開口13c側に第2壁体13b
4が形成される(
図11及び
図16から
図19)。ここで示す第1空間部13b
1と第2空間部13b
2は、各々、方体状に形成されている。また、ここで示す第1壁体13b
3と第2壁体13b
4は、各々、柱状に形成されている。第1係止機構51においては、第1壁体13b
3の第1空間部13b
1側の壁面を第1係止部51aとして利用する。第2係止機構52においては、第1壁体13b
3の第2空間部13b
2側の壁面を第2係止部52aとして利用する。
【0041】
第1被係止体51bは、位置保証部材40が待機位置のときに、第1係止部51aに対して保証解除方向側の第1空間部13b
1内で対向配置させ、位置保証部材40の保証操作方向の動きを第1係止部51aに係止させる突起51b
1と、この突起51b
1を自由端に設け、位置保証部材40が待機位置のときに、第1空間部13b
1に対する突起51b
1の挿入方向(以下、「突起挿入方向」という。)及び抜去方向(以下、「突起抜去方向」という。)に向けた自由端の変位が可能な可撓性を持った片持ちの可撓部51b
2と、を有する(
図13及び
図16から
図19)。
【0042】
ここで示す突起51b
1は、位置保証部材40が嵌合保証位置のときに、第2係止部52aに対して保証操作方向側の第2空間部13b
2内で対向配置させ、位置保証部材40の保証解除方向の動きを第2係止部52aに係止させるものでもある。この突起51b
1は、位置保証部材40が待機位置のときに第1係止部51aに係止される被係止部(以下、「第1被係止部」という。)51b
11と、位置保証部材40が嵌合保証位置のときに第2係止部52aに係止される被係止部(以下、「第2被係止部」という。)51b
12を有する(
図13、
図16、
図17及び
図19)。第1被係止部51b
11は、突起51b
1が第1空間部13b
1に挿入されているときに、位置保証部材40の保証操作方向側の第1係止部51aに対向配置させる。第2被係止部51b
12は、突起51b
1が第2空間部13b
2に挿入されているときに、位置保証部材40の保証解除方向側の第2係止部52aに対向配置させる。
【0043】
また、ここで示す可撓部51b2は、自身の可撓性によって、位置保証部材40が嵌合保証位置のときに、第2空間部13b2に対して突起51b1を突起挿入方向で挿入させたり突起抜去方向で抜去させたりすることができる。この可撓部51b2は、自由端への外部入力が設計上で定めた最小入力値を超えたときに撓みを発生させるものとして形成されている。
【0044】
ここで、この例示の第1係止部51aと第1被係止部51b11は、待機位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きによって第1被係止部51b11が第1係止部51aから力を受けた際に、その力に基づいて突起挿入方向の力を発生させる傾斜面(以下、「係止用傾斜面」という。)として各々形成されている。つまり、この例示の第1係止部51aと第1被係止部51b11は、待機位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きによって第1係止部51aが第1被係止部51b11から押圧力を受け、その第1被係止部51b11が第1係止部51aから押圧力の反力を受けた際に、その反力に基づいて突起挿入方向の力を発生させる係止用傾斜面として各々形成されている。これにより、第1係止機構51においては、待機位置の位置保証部材40が保証操作方向に押し動かされたとしても、突起51b1が第1空間部13b1内に止まったままとなり、第1係止部51aと第1被係止部51b11の係止状態を保ち続けることができる。
【0045】
ハウジング10と位置保証部材40との間には、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときの待機位置の位置保証部材40が開口13cから抜け出さないように、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときに待機位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きを係止する第3係止機構53を設けている(
図16から
図18)。この第3係止機構53は、ハウジング10の一方の側壁部13bと位置保証部材40との間、及び、ハウジング10の他方の側壁部13bと位置保証部材40との間に1つずつ設けている。
【0046】
この第3係止機構53は、ハウジング10に設けた係止部(以下、「第3係止部」という。)53aを備える(
図16から
図18)。この第3係止機構53においては、第2壁体13b
4の第1空間部13b
1側の壁面を第3係止部53aとして利用する。この第3係止機構53は、位置保証部材40が待機位置のときに、その第3係止部53aと位置保証部材40の被係止体とを係止可能な状態に配置しておくことによって、待機位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きを規制する。この第3係止機構53においては、位置保証部材40が第3係止機構53専用の被係止体を有していてもよい。但し、ここでは、第1係止機構51と第2係止機構52と第3係止機構53とで第1被係止体51bを共用している。ここで示す第3係止機構53においては、その第1被係止体51bの第2被係止部51b
12を第3係止部53aに係止させる(
図16から
図18)。
【0047】
ここで示す第1被係止体51bの突起51b
1は、位置保証部材40が待機位置のときに、第3係止部53aに対して保証操作方向側の第1空間部13b
1内で対向配置させ、位置保証部材40の保証解除方向の動きを第3係止部53aに係止させるものでもある。ここで示す突起51b
1は、位置保証部材40が待機位置のときに、第2被係止部51b
12を第3係止部53aに係止させる。但し、その第2被係止部51b
12と第3係止部53aは、後述するように、位置保証部材40に対して所定以上の保証解除方向の力を作用させることによって、その係止状態が解除される。そこで、ハウジング10と位置保証部材40との間には、その第3係止機構53とは別に、レバー部材30が完全嵌合位置ではないときに待機位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きを係止する第4係止機構54を設けている(
図11及び
図15)。
【0048】
第4係止機構54は、ハウジング10に設けた係止部(以下、「第4係止部」という。)54aと、位置保証部材40に設けた被係止体(以下、「第2被係止体」という。)54bと、を備える(
図15)。この第4係止機構54は、位置保証部材40が待機位置のときに、第4係止部54aと第2被係止体54bとを係止可能な状態に配置しておくことによって、待機位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きを規制する。
【0049】
ここで示す第4係止部54aは、ハウジング10の閉塞部12の外壁面から突出させた爪状の突起部として形成されている。一方、ここで示す第2被係止体54bは、位置保証部材40が待機位置のときに、第4係止部54aに対して保証操作方向側で対向配置させ、位置保証部材40の保証解除方向の動きを第4係止部54aに係止させる突起54b
1と、この突起54b
1を自由端に設け、位置保証部材40が待機位置のときに、この突起54b
1を第4係止部54aに対向配置させた状態と対向配置させない状態との間で自由端を変位させることが可能な可撓性を持った片持ちの可撓部54b
2と、を有する(
図15)。
【0050】
尚、この例示では、位置保証部材40が嵌合保証位置のときに操作部42をハウジング10の開口13cの周縁部に当接させることによって、嵌合保証位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きを係止させる。
【0051】
更に、レバー部材30と位置保証部材40との間には、第1係止機構51による位置保証部材40の係止状態の解除操作をレバー部材30の第1回転操作に連動させ、レバー部材30が完全嵌合位置となったときに第1係止機構51による位置保証部材40の係止状態を解除させる係止解除機構60を設ける(
図1から
図5、
図12、
図13、
図17及び
図18)。つまり、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材30の第1回転操作を行うことによって、第1係止機構51による位置保証部材40の係止状態を解除させる。この係止解除機構60は、レバー部材30における一方のアーム31と位置保証部材40との間、及び、レバー部材30における他方のアーム31と位置保証部材40との間に各々設けている。
【0052】
この係止解除機構60は、レバー部材30に設け、このレバー部材30の第1回転操作に連動して突起51b
1を突起抜去方向へと押し動かす押動部61と、突起51b
1に設け、その押動部61からの力を受ける被押動部62と、を備える(
図1、
図5、
図17及び
図18)。
【0053】
押動部61は、それぞれのアーム31に突出状態で設けられている(
図1、
図2、
図4、
図5、
図12、
図17及び
図18)。一方、被押動部62は、レバー部材30の第1回転操作で押動部61から受けた力に基づいて突起抜去方向の力を発生させ、レバー部材30が完全嵌合位置となったときに第1係止部51aによる第1被係止部51b
11の係止状態を解除させる傾斜面(以下、「係止解除用傾斜面」という。)として形成されている(
図1、
図13、
図16、
図17及び
図18)。この被押動部62が成す係止解除用傾斜面は、自身で発生させた突起抜去方向の力が可撓部51b
2の自由端における最小入力値を超えたときに、その突起抜去方向の力で可撓部51b
2を弾性変形させ、レバー部材30が完全嵌合位置となったときに第1係止部51aによる第1被係止部51b
11の係止状態を解除させるものとして形成される。つまり、この係止解除機構60は、レバー部材30の第1回転操作に連動して押動部61が突起51b
1を突起抜去方向へと押し動かし、レバー部材30が完全嵌合位置となったときに、第1係止部51aと第1被係止部51b
11の係止状態(対向配置状態)を解除させることによって、待機位置の位置保証部材40の嵌合保証位置への相対移動が可能になる位置へと突起51b
1を到達させる。
【0054】
ここで、ハウジング10の第1壁体13b3と位置保証部材40の突起51b1は、係止解除機構60によって第1係止部51aと第1被係止部51b11の係止状態が解除された際に、突起51b1を第1空間部13b1から抜け出させるものとして形成されていてもよい。この場合、このレバー式コネクタ1においては、係止解除機構60によって第1係止部51aと第1被係止部51b11の係止状態が解除されることによって、待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置まで相対移動させることができる。しかしながら、この場合には、例えば、作業者が手指で待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置まで押し動かした際に、この位置保証部材40が嵌合保証位置まで到達したのか否かを感じ取ることが難しい。そこで、ここで示すレバー式コネクタ1においては、作業者が待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置まで押し動かした際に操作感を与えることによって、位置保証部材40が嵌合保証位置まで到達したのか否かを感じ取り易くする。
【0055】
このレバー式コネクタ1においては、係止解除機構60によって第1係止部51aと第1被係止部51b
11の係止状態を解除した後でも、突起51b
1を第1空間部13b
1内に止まらせて第1係止部51aに対向配置させる。このため、このレバー式コネクタ1には、その係止解除機構(第1係止解除機構)60とは別に、この第1係止解除機構60による第1係止部51aと第1被係止部51b
11の係止状態の解除後に、第1係止部51aと突起51b
1の係止状態を解除させる係止解除機構(以下、「第2係止解除機構」という。)65を設けている(
図13及び
図16から
図18)。
【0056】
具体的に、突起51b
1には、位置保証部材40が待機位置で且つレバー部材30が完全嵌合位置のときに、第1係止部51aにおける突起抜去方向側の端部51a
1に対して保証解除方向側の第1空間部13b
1で対向配置させる係止解除部51b
13を設けている(
図13及び
図16から
図18)。第2係止解除機構65は、その第1係止部51aの端部51a
1と突起51b
1の係止解除部51b
13とで構成されている。
【0057】
その係止解除部51b13は、待機位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きによって第1係止部51aの端部51a1から力を受けた際に、その力に基づいて突起抜去方向の力を発生させ、かつ、突起51b1を第1空間部13b1から抜き出させる係止解除用傾斜面として形成される。つまり、この係止解除部51b13は、待機位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きによって第1係止部51aの端部51a1に押圧力を作用させ、その端部51a1から反力を受けた際に、その反力に基づいて突起抜去方向の力を発生させ、かつ、突起51b1を第1空間部13b1から抜き出させる係止解除用傾斜面として形成されている。この係止解除部51b13が成す係止解除用傾斜面は、自身で発生させた突起抜去方向の力が可撓部51b2の自由端における最小入力値を超えたときに、その突起抜去方向の力で可撓部51b2を弾性変形させながら、突起51b1を第1空間部13b1から抜き出させる形状のものとして形成されている。
【0058】
従って、ここで示すレバー式コネクタ1においては、作業者が待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置に向けて押し動かした際に、第1係止部51aの端部51a1と係止解除部51b13とが当接して先ずは作業者に抵抗を感じさせる。そして、ここで示すレバー式コネクタ1においては、作業者が位置保証部材40を押し動かし続けることによって、第1係止部51aの端部51a1と係止解除部51b13との間の摩擦抵抗等による抵抗を作業者に感じさせる。更に、ここで示すレバー式コネクタ1においては、作業者が位置保証部材40を押し動かし続け、第1係止部51aの端部51a1と係止解除部51b13との間の係止状態を解除させることによって、突起51b1が第1壁体13b3を乗り越えて第2空間部13b2に入り込み、位置保証部材40が嵌合保証位置に到達する。このため、このレバー式コネクタ1においては、突起51b1が第1壁体13b3を乗り越えて第2空間部13b2に入り込む際の押動力の抜け感を作業者に感じさせる。このように、ここで示すレバー式コネクタ1においては、作業者が待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置まで押し動かした際に、作業者に抵抗等の操作感を感じ取らせることができるので、位置保証部材40が嵌合保証位置まで到達したのか否かを作業者が感じ取り易くなっている。
【0059】
ここで示す突起51b1においては、第1空間部13b1内で第1被係止部51b11と係止解除部51b13とが第1係止部51a側に向けて凸の山型を成している。
【0060】
ところで、ここで示すレバー部材30と位置保証部材40との間には、レバー部材30の第1回転操作で係止解除機構60の押動部61が突起51b
1の被押動部62に当接してからレバー部材30が完全嵌合位置になるまでの間、待機位置の位置保証部材40の保証操作方向の動きを係止する第5係止機構55を設けている(
図4、
図12、
図13、
図17、
図18及び
図20)。その第5係止機構55は、レバー部材30の押動部61に突出状態で設けた回転操作時用の係止部55a(
図4、
図12、
図17、
図18及び
図20)と、位置保証部材40の操作部42に突出状態で設けた回転操作時用の被係止部55b(
図4、
図13、
図17、
図18及び
図20)と、を備える。この第5係止機構55は、レバー部材30の第1回転操作で係止解除機構60の押動部61が突起51b
1の被押動部62に当接してからレバー部材30が完全嵌合位置になるまでの間、被係止部55bを保証操作方向側の係止部55aに対向配置させる。そして、この第5係止機構55は、レバー部材30が完全嵌合位置となったときに、その係止部55aと被係止部55bの係止状態(対向配置状態)を解除させる。
【0061】
このレバー式コネクタ1においては、レバー部材30を完全嵌合位置から仮嵌合位置に向けて第2回転操作する際に、その第2回転操作を行う前に嵌合保証位置の位置保証部材40を待機位置まで相対移動させる。このため、その際には、第2係止機構52による位置保証部材40の係止状態を解除する必要がある。そこで、位置保証部材40における突起51b
1の第2被係止部51b
12は、嵌合保証位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きによって第2係止部52aから力を受けた際に、その力に基づいて突起抜去方向の力を発生させる係止解除用傾斜面として形成されている(
図19)。つまり、この第2被係止部51b
12は、嵌合保証位置の位置保証部材40の保証解除方向の動きによって第2係止部52aに押圧力を作用させ、その第2係止部52aから反力を受けた際に、その反力に基づいて突起抜去方向の力を発生させ、かつ、突起51b
1を第2空間部13b
2から抜き出させる係止解除用傾斜面として形成されている。
【0062】
ここで示す第2被係止部51b12が成す係止解除用傾斜面は、自身で発生させた突起抜去方向の力が可撓部51b2の自由端における最小入力値を超えたときに、その突起抜去方向の力で可撓部51b2を弾性変形させながら、突起51b1を第2空間部13b2から抜き出させる形状のものとして形成されている。よって、この第2被係止部51b12は、自身で発生させた突起抜去方向の力が可撓部51b2の自由端における最小入力値を超えるまで、可撓部51b2を弾性変形させることができない。従って、このレバー式コネクタ1においては、その突起抜去方向の力が可撓部51b2の自由端における最小入力値を超えるまで、第2係止部52aと第2被係止部51b12とによる係止状態が保たれている。ここでは、第2係止部52aについても、第2被係止部51b12と同等の傾斜から成る傾斜面として形成されている。
【0063】
以上示したように、本実施形態のレバー式コネクタ1は、レバー部材30を第1回転操作することによって、ハウジング10の嵌合部11を相手方嵌合部511に完全嵌合させると共に、第1係止機構51による待機位置の位置保証部材40の係止状態を解除させることができる。つまり、このレバー式コネクタ1は、相手方嵌合部511に対する嵌合接続操作と、この嵌合接続操作後に行う待機位置の位置保証部材40の係止状態の解除操作と、をレバー部材30に対する1度の操作だけで実施することができる。よって、このレバー式コネクタ1は、相手方コネクタ501に対する嵌合接続時の作業性に優れており、その嵌合接続作業に好適なものといえる。
【0064】
また、本実施形態のレバー式コネクタ1においては、レバー部材30が完全嵌合位置になるまで待機位置の位置保証部材40をそのままの位置で保つための第1係止機構51と、作業者が待機位置の位置保証部材40を嵌合保証位置まで押し動かす際の操作感に関わる第2係止解除機構65と、をハウジング10の第1壁体13b3と位置保証部材40の突起51b1とで構成して、それぞれの機能に関わる構成要素を一箇所に集約している。このため、このレバー式コネクタ1は、第1係止機構51と第2係止解除機構65とで個別に壁体や突起を設ける必要がないので、体格の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 レバー式コネクタ
10 ハウジング
11 嵌合部
13b1 第1空間部(空間部)
20 端子金具
30 レバー部材
31 アーム
32 操作部
40 位置保証部材
51 第1係止機構
51a 第1係止部(係止部)
51a1 端部
51b 第1被係止体(被係止体)
51b1 突起
51b2 可撓部
51b11 第1被係止部(被係止部)
51b13 係止解除部
52 第2係止機構
60 第1係止解除機構(係止解除機構)
61 押動部
62 被押動部
65 第2係止解除機構
511 相手方嵌合部
520 相手方端子金具