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特許7174013ラックシステム及びそのスライドレール機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ラックシステム及びそのスライドレール機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/473 20170101AFI20221109BHJP
   A47B 88/43 20170101ALI20221109BHJP
【FI】
A47B88/473
A47B88/43
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020115379
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2021097993
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】108147487
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】陳 耀宗
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042475(JP,A)
【文献】特開2005-230468(JP,A)
【文献】台湾特許公告第000517810(TW,B)
【文献】特開2018-069033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手壁及び支持部を含むレールであって、該支持部は該長手壁に実質的に垂直に接続され、該長手壁及び該支持部は共に支持経路を定義する、レールと、
前記レールに設けられる緩衝装置であって、該緩衝装置は、ベース、可動部材及び緩衝部材を含み、該可動部材は、該ベースに対して長手方向に変位可能であり、前記緩衝部材は、前記可動部材が第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成するように構成されている、緩衝装置と、
前記可動部材に弾性力を加えるための弾性部材であって、該弾性力は、前記第1の方向と反対方向である第2の方向に作用する、弾性部材と、
を含むスライドレール機構。
【請求項2】
前記レールは、前記レールの前端に隣接する前側ブラケットと、前記レールの後端に隣接する後ろ側ブラケットとを備え、前記前側ブラケット及び前記後ろ側ブラケットは、前記レールをラックの前側ポスト及び後ろ側ポストにそれぞれ取り付けるように構成されている、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記緩衝装置は、前記レールの後端に隣接して設けられる、請求項2に記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記可動部材は、前記支持経路に対応する接触部を含む、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項5】
前記緩衝装置の緩衝部材は、互いに対して可動な第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを含む、請求項4に記載のスライドレール機構。
【請求項6】
前記レールに接続される補助部材をさらに含み、該補助部材は、接続部と、該接続部に対して屈曲される延在部とを含み、該補助部材の接続部は前記緩衝装置のベースの長手壁に隣接して配置され、該補助部材の延在部は、前記レールの支持部と実質的に平行である、請求項1に記載のスライドレール機構。
【請求項7】
レールと、
前記レールに対して長手方向に可動な可動部材と、
前記レール及び前記可動部材のうちの一方に設けられる緩衝部材であって、該緩衝部材は、前記可動部材が第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成するように構成されている、緩衝部材と、
前記可動部材に弾性力を加える弾性部材であって、該弾性力は第2の方向に作用し、該第2の方向と前記第1の方向とは反対方向である、弾性部材と、
を含むスライドレール機構。
【請求項8】
ラックシステムであって、当該ラックシステムは、
第1の側及び第2の側を有するラックであって、該第1の側には前側ポスト及び後ろ側ポストが設けられ、該第2の側は該第1の側に対応し、該第2の側には前側ポスト及び後ろ側ポストが設けられる、ラックと、
前側ブラケット及び後ろ側ブラケットを含む第1のレールであって、該第1のレールの前側ブラケット及び後ろ側ブラケットは、前記ラックの第1の側の前側ポスト及び後ろ側ポストにそれぞれ取り付けられるように構成されている、第1のレールと、
前側ブラケット及び後ろ側ブラケットを含む第2のレールであって、該第2のレールの前側ブラケット及び後ろ側ブラケットは、前記ラックの第2の側の前側ポスト及び後ろ側ポストにそれぞれ取り付けられるように構成されている、第2のレールと、
前記第1のレール及び前記第2のレールのうちの少なくとも一方に設けられる緩衝装置であって、該緩衝装置は、ベース、可動部材及び緩衝部材を含み、該可動部材は前記ベースに対して変位可能であ、緩衝装置と、
前記可動部材に弾性力を加えるための弾性部材と、
を含み、
前記第1のレール及び前記第2のレールのそれぞれは、長手壁と、該長手壁に実質的に垂直に接続される支持部とを有し、前記第1のレール及び前記第2のレールは共に、物体を受容するための支持空間を前記第1のレールと該第2のレールとの間に定義し、前記可動部材は、前記支持空間に対応する接触部を含み
前記物体が前記ラック内に押し込まれている間に、前記物体は前記可動部材の接触部と接触させられ、前記緩衝部材は、前記物体が第1の方向に変位する際の速度を減速させるために、前記可動部材が該第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成し、
前記弾性部材が前記可動部材に加える弾性力は第2の方向に作用し、該第2の方向と前記第1の方向とは反対方向である 、ラックシステム。
【請求項9】
前記第1のレール及び前記第2のレールのそれぞれは前記緩衝装置を備え、2つの前記緩衝装置は前記第1のレールの後端及び前記第2のレールの後端にそれぞれ隣接して設けられ、2つの前記緩衝装置は前記第1のレール及び前記第2のレールの上部に隣接して設けられ、2つの前記可動部材の接触部は前記第1のレールの後端及び前記第2のレールの後端をそれぞれ越えて延びている、請求項8に記載のラックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレールに関し、より具体的には、緩衝機能を有するとともに、ラックシステムにおいて使用可能なスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スライドレールが支持部及び側部を含むスライドレール装置が開示されている。支持部は側部に実質的に垂直に接続され、物体を支持するように構成されている。特許文献1に付随する図18及び図19に示すように、物体はスライドレールの方へと所定の方向に(すなわち、第2の方向に)に押して、最終的にスライドレールの支持部によって支持されるようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9867462号明細書
【文献】米国特許第10342341号明細書
【文献】欧州特許第3315048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、場合によっては、ユーザーが物体に対して前記所定の方向に加える力が大きすぎることで、物体が前記方向に変位する速度が速くなりすぎ、その結果、スライドレールの又は物体に取り付けられる器具の耐用年数ではないにしろ使用の安全が低下する。したがって、特許文献1に開示されたスライドレール装置とは異なる製品を開発することが重要である。
【0005】
本発明の1つの目的は、緩衝機能を有するスライドレール機構を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、緩衝機能を有するとともに、ラックシステムにおいて使用可能なスライドレール機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、スライドレール機構はレール及び緩衝装置を含む。緩衝装置はレールに設けられ、ベース、可動部材及び緩衝部材を含む。可動部材は、ベースに対して長手方向に変位できる。緩衝部材は、可動部材が第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成するように構成されている。
【0008】
レールは、長手壁と、長手壁に実質的に垂直に接続される支持部とを含み、長手壁及び支持部は、支持経路を共に定義することが好ましい。
【0009】
レールは、その前端に隣接する前側ブラケットを備えることが好ましく、前側ブラケットは、レールをラックの前側ポストに取り付けるように構成されている。
【0010】
レールは、その後端に隣接する後ろ側ブラケットを備えることが好ましく、後ろ側ブラケットは、レールをラックの後ろ側ポストに取り付けるように構成されている。
【0011】
緩衝装置は、レールの後端に隣接して設けられることが好ましい。
【0012】
可動部材は、支持経路に対応する接触部を含むことが好ましい。
【0013】
接触部は、レールの後端を越えて延びていることが好ましい。
【0014】
緩衝装置の緩衝部材は、互いに対して可動な第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを含むことが好ましい。
【0015】
スライドレール機構は、レールに接続される補助部材をさらに含むことが好ましい。補助部材は、接続部と、接続部に対して屈曲させる延在部とを有する。補助部材の延在部は、レールの支持部と実質的に平行である。
【0016】
好ましくは、スライドレール機構は、可動部材に弾性力を加えるための弾性部材をさらに含み、弾性力は第2の方向に作用する。
【0017】
本発明の別の態様によれば、スライドレール機構は、レール、可動部材、緩衝部材及び弾性部材を含む。可動部材は、レールに対して長手方向に変位できる。緩衝部材は、レール及び可動部材のうちの一方に設けられ、可動部材が第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成するように構成されている。弾性部材は、可動部材に弾性力を加えるように構成され、弾性力は、第1の方向と反対方向の第2の方向に作用する。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、ラックシステムは、ラック、第1のレール、第2のレール及び緩衝装置を含む。ラックは第1の側及び第2の側を有する。ラックの第1の側は前側ポスト及び後ろ側ポストを備える。ラックの第2の側はラックの第1の側に対応し、ラックの第2の側も前側ポスト及び後ろ側ポストを備える。第1のレールは、ラックの第1の側の前側ポスト及び後ろ側ポストにそれぞれ取り付けられるように構成された前側ブラケット及び後ろ側ブラケットを含む。第2のレールは、ラックの第2の側の前側ポスト及び後ろ側ポストにそれぞれ取り付けられるように構成された前側ブラケット及び後ろ側ブラケットを含む。第1のレール及び第2のレールのそれぞれは、長手壁と、長手壁に実質的に垂直に接続される支持部とを有する。第1のレールと第2のレールは、物体を受容するためにそれらの間に支持空間を共に定義する。緩衝装置は、第1のレール及び第2のレールのうちの少なくとも一方に設けられ、ベース、可動部材及び緩衝部材を含む。可動部材は、ベースに対して変位可能であり、支持空間に対応する接触部を含む。物体がラック内に押し込まれる間、物体は可動部材の接触部と接触させられ、緩衝部材は、物体が第1の方向に変位する速度を減速するために、可動部材が第1の方向に変位するのに対応して緩衝効果を生成する。
【0019】
2つの緩衝装置は、第1のレールの後端及び第2のレールの後端にそれぞれ隣接して設けられることが好ましい。
【0020】
2つの緩衝装置は、第1のレール及び第2のレールの上部に隣接して設けられることが好ましく、2つの可動部材の接触部は、第1のレールの後端及び第2のレールの後端をそれぞれ越えて延びている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るスライドレール機構の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る、スライドレール機構の緩衝装置の接触部が支持経路に対応することを示す概略図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るスライドレール機構の分解斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るスライドレール機構の緩衝装置の分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る緩衝装置の緩衝部材の斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る、2つのスライドレール機構がラックに取り付けられていることを示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る、2つのスライドレール機構が物体をラックに取り付けることを示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る、物体がラック内へと第1の方向に押し込まれた状態を示す概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る、緩衝装置の可動部材が変位するように、物体がラック内へと第1の方向にさらに押し込まれた状態を示す概略図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る、弾性部材が第2の方向に弾性力を加えることに対応して、可動部材が所定の位置に戻ったことを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係るスライドレール機構20はレール22及び緩衝装置24を含む。
【0023】
レール22は、長手壁26及び支持部28を含む。支持部28は、長手壁26に実質的に垂直に接続されている。長手壁26及び支持部28は支持経路Lを共に定義し、物体72の底部74及び側部78を支持経路Lに沿って支持することができる(図7参照)。支持経路Lはレール22の長手方向に沿って延びている。
【0024】
緩衝装置24はレール22に設けられている。スライドレール機構20は、レール22に接続される補助部材30をさらに含むことが好ましい。補助部材30は接続部32及び延在部34を有する。接続部32は、少なくとも1つの第1の接続部品36によりレール22の長手壁26に接続(例えば、固定接続)されている。延在部34は接続部32に対して屈曲されており、本実施形態では、一例として、接続部32に実質的に垂直に接続されている。補助部材30の延在部34は、レール22の支持部28に対して実質的に平行である。
【0025】
図1図4に示すように、緩衝装置24は、ベース38、可動部材40及び緩衝部材42を含む。ベース38は、少なくとも1つの第2の接続部品44によってレール22の長手壁26に接続され(例えば、固定接続され)ているため、レール22の一部として見ることができる。可動部材40は、ベース38に対して長手方向に変位可能である。ここでは、一例として、ベース38は、長手通路45を共に定義する複数の壁を含み、可動部材40は、ベース38の長手通路45に可動に取り付けられている。他の実施形態では、可動部材40及びベース38のうちの一方は長手部分(例えば、長手孔又は溝)を含み、可動部材40及びベース38のうちの他方は接続部材を含み得る。接続部材は可動部材40をベース38に対して長手方向に変位させることができるように長手部分の一部を貫通する。本発明は、そのような長手方向への相対変位を可能にするために用いられる構造的特徴について限定されない。
【0026】
可動部材40は、長手本体41及び接触部46を含む。接触部46は、支持経路Lに対応する(図2参照)。接触部46は、長手本体41に対して垂直に屈曲されていることが好ましい。ここでは、接触部46は、接触部材48と一体化されており、接触部材48は、少なくとも1つの固定部品49によって可動部材40の長手本体41に接続(例えば、固定接続)されているため、可動部材40の一部として見ることができる。
【0027】
緩衝装置24は、レール22の後端22bに隣接して設けられることが好ましい(図1参照)。
【0028】
緩衝装置24は、レール22の頂部に隣接して設けられ、可動部材40の接触部46は、レール22の後端22bを越えて延びる(図1参照)。
【0029】
緩衝部材42(図4参照)は、ベース38及び可動部材40のうちの一方に設けられることが好ましい。ここでは、一例として、緩衝部材42はベース38に取り付けられ、他の実施形態では、緩衝部材42は、代わりに可動部材40に取り付けられ得る(図示せず)。本発明は、緩衝部材42がベース38又は可動部材40のどちらに設けられるかの点で限定されない。
【0030】
緩衝部材42は、互いに対して可動な第1のコンポーネント50及び第2のコンポーネント52を含む(図4及び図5参照)。ここでは、一例として、第1のコンポーネント50はシリンダであり、第2のコンポーネント52はピストンである。より具体的には、第1のコンポーネント50は、緩衝媒体(例えば、液体又は油)及び/又は弾性構造(例えば、バネ又は他の弾性要素)を含み、第2のコンポーネント52の一部が第1のコンポーネント50内に配置され、第2のコンポーネント52の残りの部分(以下、第2の部分という)が、緩衝媒体によって提供される力に対応して第1のコンポーネント50から突出した状態で留まって緩衝準備状態となる。当業者であれば緩衝部材42の緩衝機能の原理を理解可能できるため、詳細について記載を簡略化のために省略する。
【0031】
図4及び図5を参照して、緩衝装置24は取り付けベース54をさらに含むことが好ましい。取り付けベース54は、第1のコンポーネント50を受容するための受容空間55を有し、第1のコンポーネント50は、取り付けベース54の第1のブロック壁53aと第2のブロック壁53bとの間でブロックされる(又は位置が制限される)。第2のコンポーネント52の第2の部分は、取り付けベース54の受容空間55の外側にある。
【0032】
取り付けベース54は少なくとも1つの取り付け部56(例えば、突起)を有することが好ましい。少なくとも1つの取り付け部56は、緩衝部材42を取り付けベース54を介してベース38に取り付けることができるようにベース38の少なくとも1つの対応部58(例えば、孔又は溝)に取り付けられる。
【0033】
図4に示すように、第2のコンポーネント52は、可動部材40の接触端61(例えば、可動部材40の壁の端部)に対応する当接部59を有することが好ましい。ここでは、一例として、当接部59及び接触端61は、実質的に同じ長手の高さ位置にある(substantially the same longitudinal level)。
【0034】
スライドレール機構20は、可動部材40に弾性力を加えるための弾性部材60をさらに含むことが好ましい。ここでは、一例として、弾性部材60は、ベース38の第1の取り付け部62と可動部材40の第2の取り付け部64との間に取り付けられるバネである。
【0035】
図6はラックシステムを示し、該ラックシステムにおいて、実質的に同じ構造的構成を有する2つのスライドレール機構20がラックの第1の側及び第2の側(例えば、左側とその反対の右側)のそれぞれに設けられている。各スライドレール機構20のレール22には、前端22aに隣接する前側ブラケット66と、後端22bに隣接する後ろ側ブラケット68とが設けられている。各レール22の前側ブラケット66及び後ろ側ブラケット68は、レール22をラックの前側ポスト70a及び後ろ側ポスト70bのそれぞれに取り付けるように構成されている。2つのスライドレール機構20のレール22(添付の特許請求の範囲では、第1のレール及び第2のレールという)は、それらの間に支持空間Sを共に定義する。各可動部材40の接触部46は、対応する支持経路Lに対応するため、支持空間Sに対応すべきである。
【0036】
図6及び図7に示すように、物体72は、支持空間S内で受容でき、各スライドレール機構20のレール22の支持部28によって保持できる。物体72の底部74は、レール22(添付の特許請求の範囲では、第1のレール及び第2のレールという)の支持部28によって支持され、物体72の上部76は、補助部材30の延在部34によって支持されることが好ましい。物体72の側部78は、レール22の長手壁26によってそれぞれ支持され得る。
【0037】
図8を参照して、スライドレール機構20のレール22は、前側ブラケット66及び後ろ側ブラケット68を介してそれぞれラックの前側ポスト70a及び後ろ側ポスト70bに取り付けられる。物体72の後部80と可動部材40の接触部46との間には長手方向距離Xが存在する。なお、図8では補助部材30は省略されている。
【0038】
図8及び図9に示すように、物体72の底部74は、レール22の支持部28によって支持されている。第1の方向D1に作用する外力が物体72に作用して、物体72がラック内にさらに押し込まれると、物体72の後部80は可動部材40の接触部46と接触させられ、緩衝部材42は、可動部材40が第1の方向D1に変位されることに対応して緩衝効果Fを生成する(図9参照)。その結果、緩衝部材42は、可動部材40が第1の方向D1に変位する速度を減少させ、それ故に物体72が第1の方向D1に変位する速度も効果的に減少させる。可動部材40が図8の第1の位置P1から図9の第2の位置P2に変位される間、弾性部材60は、可動部材40が第1の方向D1に変位するのに対応して弾性力を蓄積し、弾性力は、第1の方向D1の反対方向である第2の方向D2に作用する。
【0039】
より具体的には、物体72の後部80が可動部材40の接触部46と接触すると、可動部材40は物体72によって駆動されて第2の位置P2へと第1の方向D1に変位でき、その過程の間に、第2のコンポーネント52の当接部59が可動部材40の接触端61によって押圧され、第2のコンポーネント52が第1のコンポーネント50に対して収縮する。この収縮は緩衝効果F(図9参照)を生成し、緩衝効果Fは物体72が第1の方向D1に変位する際の速度を減速させるか又は物体72の後部80と可動部材40の接触部46とがぶつかって生じる騒音を低減させるのに役立つ。
【0040】
(一例として、物体72がレール22から外されている)図10に示すように、物体72が可動部材40の接触部46から離れると直ぐに、弾性部材60は、内部に蓄積された弾性力を放つ。弾性力は第2の方向D2に作用するため、可動部材40を第2の方向D2に変位させて、可動部材40を第1の位置P1に戻すのを助ける(図10参照)。好ましい一実施形態では、第2の方向D2に作用する弾性部材60の弾性力は、第1の方向D1に物体72を変位させるために加えられる力に対して抵抗をほとんど生じさせることはなく、弾性部材60は、可動部材40を第2の位置P2から第1の位置P1に、即ち、緩衝部材42が次の緩衝動作の準備が整った位置に動かす役割を主に果たす。なお、緩衝部材42自体は、緩衝部材42の第2のコンポーネント52が第1のコンポーネント50に対して最大限に延びることを可能にする弾性力を提供し、本明細書に記載の実施形態における弾性部材60は、緩衝部材42をその初期動作位置に素早く戻すための好ましい手段に過ぎない。したがって、弾性部材60は補助的な役割しか果さず、必須なものではない。
【0041】
すなわち、物体72がレール22から取り外された場合又は物体72が図9に示す位置から第2の方向D2に第2の位置P2と第1の位置P1との間の距離以上変位された場合、可動部材40は第1の位置P1に戻る。なお、可動部材40が第1の位置P1に到達すると、緩衝部材42の第2のコンポーネント52の第2の部分が、第1のコンポーネント50から突出して緩衝準備状態に戻る(図10又は図8参照)。
【0042】
上記から、本明細書に記載のスライドレール機構20の技術的特徴は、可動部材40が第1の方向D1に変位された場合に緩衝部材42が緩衝効果Fを生成することを含む。スライドレール機構20は、第1の方向D1に変位された場合に、レール22によって保持された物体72が可動部材40を同じ方向に押して変位させ、緩衝部材42が物体72に対して緩衝効果Fを作用させるように設計されるとともに、弾性部材60が、第2の方向D2(第1の方向D1の反対方向)に作用する弾性力を可動部材40に加えて、可動部材40を第2の位置P2から(緩衝部材42が次の緩衝動作の準備ができる)第1の位置P1に戻すのを支援できるように設計されている。
【0043】
上述の好ましい実施形態を通じて本発明を開示してきたが、本実施形態は本発明の範囲を限定することを意図していない。出願人が求める特許保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10