(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ワイパーシステムの制御方法およびワイパーシステムの制御装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/46 20060101AFI20221109BHJP
B60S 1/08 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60S1/46 E
B60S1/08 D
B60S1/46 D
(21)【出願番号】P 2020174045
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】小和田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久浩
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-215893(JP,A)
【文献】実開昭63-043972(JP,U)
【文献】特開平01-223054(JP,A)
【文献】特開2018-127171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/11-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、
前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、
前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、
前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御方法において、
前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、
前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、
前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ
、
前記格納位置に停止する残り時間が閾値以上であれば、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されたタイミングから次の前記払拭動作が始まるタイミングまで前記ウォッシャ液の噴射を行う、ワイパーシステムの制御方法。
【請求項2】
前記制御部は、前記自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が前記複数回の払拭動作の内の最終回であると判定した場合に、前記ウォッシャ噴射操作がなされると、このウォッシャ噴射操作によるウォッシャ操作入力信号を保持せず破棄する、請求項1に記載のワイパーシステムの制御方法。
【請求項3】
前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持して前記ウォッシャ液の噴射を待機し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させる、請求項1又は2に記載のワイパーシステムの制御方法。
【請求項4】
前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているとき、前記ワイパーアームが一往復の揺動をする間に前記ウォッシャ操作入力信号が複数回出力されると、初回のウォッシャ操作入力信号のみを保持し、二回目以降のウォッシャ操作入力信号は破棄する、請求項1から3の何れか一項に記載のワイパーシステムの制御方法。
【請求項5】
前記制御部には、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置を駆動するための供給電力の残量情報が入力され、
前記制御部は、前記供給電力の残量が閾値以下と判定した状態で、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、前記ワイパー装置を作動させずに前記ウォッシャ液の噴出のみを優先して行うか、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の両方の作動を停止する、請求項1から4の何れか一項に記載のワイパーシステムの制御方法。
【請求項6】
ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、
前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、
前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、
前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御方法において、
前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、
前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、
前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ、
前記ワイパー装置は、前記ワイパーアームが一定の時間間隔で払拭動作を行う間欠モードを有し、
前記制御部は、前記間欠モード時に、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させるとともに、前記ウォッシャ噴射操作の後、前記ワイパー装置に現在の間欠モードを継続して実行させる
、ワイパーシステムの制御方法。
【請求項7】
ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、
前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、
前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、
前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御装置において、
前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、
前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、
前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ
、
前記格納位置に停止する残り時間が閾値以上であれば、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されたタイミングから次の前記払拭動作が始まるタイミングまで前記ウォッシャ液の噴射を行う、ワイパーシステムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパーシステムの制御方法およびワイパーシステムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ワイパーアームからウォッシャ液を噴出するワイパー装置において、ワイパーアームが往動開始点(格納位置)から往動終了の折り返し点(反転位置)に至る距離の間に閾値を設定し、この閾値内(たとえば0%~55%の移動距離内)にワイパーアームがある場合にウォッシャ液を噴出し、閾値以外にワイパーアームがある場合はウォッシャ液を噴出しない制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、「ワイパーアームの移動距離が閾値以外にある状況ではウォッシャスイッチを操作してもウォッシャ液の噴出を行わない」という制御の場合、以下の課題がある。すなわち、ワイパーアームが往動開始点に戻ってウォッシャ液が噴出されるのを確認するまでは、ワイパー装置がウォッシャスイッチの操作を受け付けたか否かをユーザーが判断できない。このため、ウインドシールドガラスの汚れが落ちずに複数回連続してウォッシャ液の噴出を行おうとしても、ウォッシャ液が噴出されるまでユーザーがウォッシャスイッチを何度も操作してしまうことが考えられる。このように、上記従来技術では、使い勝手の向上に改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、ユーザーがウォッシャスイッチを操作するタイミングに関わらず、ウォッシャ液を確実に払拭動作前の払拭対象面に噴射することができるワイパーシステムの制御方法およびワイパーシステムの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御方法において、前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ、前記格納位置に停止する残り時間が閾値以上であれば、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されたタイミングから次の前記払拭動作が始まるタイミングまで前記ウォッシャ液の噴射を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記制御部は、前記自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が前記複数回の払拭動作の内の最終回であると判定した場合に、前記ウォッシャ噴射操作がなされると、このウォッシャ噴射操作によるウォッシャ操作入力信号を保持せず破棄することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持して前記ウォッシャ液の噴射を待機し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているとき、前記ワイパーアームが一往復の揺動をする間に前記ウォッシャ操作入力信号が複数回出力されると、初回のウォッシャ操作入力信号のみを保持し、二回目以降のウォッシャ操作入力信号は破棄することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記制御部には、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置を駆動するための供給電力の残量情報が入力され、前記制御部は、前記供給電力の残量が閾値以下と判定した状態で、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、前記ワイパー装置を作動させずに前記ウォッシャ液の噴出のみを優先して行うか、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の両方の作動を停止することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御方法において、前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ、前記ワイパー装置は、前記ワイパーアームが一定の時間間隔で払拭動作を行う間欠モードを有し、前記制御部は、前記間欠モード時に、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させるとともに、前記ウォッシャ噴射操作の後、前記ワイパー装置に現在の間欠モードを継続して実行させることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、ワイパーアームを格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置と、前記払拭対象面に向けてウォッシャ液を噴射するウォッシャ装置と、前記ウォッシャ液を噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチと、前記ワイパー装置および前記ウォッシャ装置の作動を制御する制御部と、を備え、前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液を前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアームによる払拭動作を連動して行うワイパーシステムの制御装置において、前記制御部は、前記ワイパーアームが揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号と、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号と、を組み合わせて、前記ワイパーアームの揺動および前記ウォッシャ液の噴射を制御するものであり、前記制御部は、前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置に実行させ、かつ、前記制御部は、前記自動払拭動作時、あるいは前記ウォッシャスイッチの操作とは別に前記ワイパー装置が払拭動作をしているときに、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されると、このウォッシャ操作入力信号を保持し、その後に前記ホーム戻り信号が出力されたタイミングで、前記ウォッシャ液の噴射を前記ウォッシャ装置に実行させ、前記格納位置に停止する残り時間が閾値以上であれば、前記ウォッシャ操作入力信号が出力されたタイミングから次の前記払拭動作が始まるタイミングまで前記ウォッシャ液の噴射を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,7に記載した発明によれば、ワイパー装置とウォッシャ装置とを連動させるワイパーシステムにおいて、ワイパー装置が、前記自動払拭動作時、あるいはウォッシャスイッチの操作とは別にワイパー装置が払拭動作をしているときに、ウォッシャスイッチが操作されてウォッシャ操作入力信号が出力されると、制御部は、ウォッシャ操作入力信号を保持する。このとき、ウォッシャ液の噴射を待機してもよい。その後、制御部は、揺動状態にあったワイパーアームが格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアームが次の払拭動作(揺動状態)を経て格納位置に戻ったとき(何れもホーム戻り信号のON/OFFがなされたとき)、保持したウォッシャ操作入力信号に基づきウォッシャ液の噴射を実行する。
このため、ユーザーがウォッシャスイッチを操作するタイミングに関わらず、ウォッシャ液を確実に払拭動作前の払拭対象面に噴射することができる。すなわち、ユーザーがワイパーアームの動きに合わせてウォッシャスイッチを操作しなくても、ワイパーアームが確実に格納位置にあるとき(揺動状態にないとき)にウォッシャ液が噴射されるため、払拭対象面をウォッシャ液で洗浄しやすくなり、利便性を向上させることができる。
さらに、ホーム戻り信号のON/OFF判定によってウォッシャ液の噴射制御を行うため、ワイパーモータの回動位置をモニターするための装置や制御プログラムが不要となり、ワイパーシステムの生産性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明によれば、自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が最終回(例えば三回の払拭動作を行う場合の三回目の動作)であるタイミングでウォッシャ噴射操作がなされても、制御部がウォッシャ操作入力信号を保持せずに破棄する。このため、自動払拭動作の最終回が終了してワイパーアームが格納位置に戻った後にウォッシャ液が噴射されることがなく、自動払拭動作後の払拭対象面に再度ウォッシャ液を噴射してしまうことを無くすことができる。
【0015】
請求項3に記載した発明によれば、ワイパー装置とウォッシャ装置とを連動させるワイパーシステムにおいて、ワイパー装置が、前記自動払拭動作時、あるいはウォッシャスイッチの操作とは別にワイパー装置が払拭動作をしているときに、ウォッシャスイッチが操作されてウォッシャ操作入力信号が出力されると、制御部は、ウォッシャ操作入力信号を保持し、ウォッシャ液の噴射を直ぐに実行せずに待機する。その後、制御部は、揺動状態のワイパーアームが格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアームが次の払拭動作を経て格納位置に戻ったときに、保持したウォッシャ操作入力信号に基づきウォッシャ液の噴射を実行する。
このため、ユーザーがウォッシャスイッチを操作するタイミングに関わらず、ウォッシャ液を確実に払拭動作前の払拭対象面に噴射することができる。すなわち、ユーザーがワイパーアームの動きに合わせてウォッシャスイッチを操作しなくても、ワイパーアームが確実に格納位置にあるとき(揺動状態にないとき)にウォッシャ液が噴射されるため、払拭対象面をウォッシャ液で洗浄しやすくなり、利便性を向上させることができる。また、ウォッシャ噴射がワイパーアームに邪魔されることなく、かつワイパーアームで払拭しやすいタイミングでウォッシャ液を払拭象面に噴射するので、無駄なく効率的に払拭対象面を洗浄することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明によれば、ワイパー装置が払拭動作を行っているとき、ワイパーアームが一往復動する間(ホーム戻り信号が出力される行程が一度実行される間)に、ウォッシャ噴射操作が複数回なされた場合、制御部は、初回のウォッシャ操作入力信号のみを保持し、二回目以降のウォッシャ操作入力信号は保持せずに破棄する。このため、ユーザーが一定時間内にウォッシャ噴射操作を複数回行った場合にも、その操作回数に関わらずウォッシャ液が一回のみ噴射されるため、利便性を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載した発明によれば、車両の電源(バッテリー、二次電源、発電機など)からワイパー装置およびウォッシャ装置に供給される電力が、例えば低温時における性能低下や充電不足などで閾値以下となっている場合には、ウォッシャスイッチを操作してウォッシャ噴射およびワイパー払拭を行おうとしても、ワイパー装置およびウォッシャ装置の少なくとも一方を作動させないエコモードとする。すなわち、車両電源の電力不足でウォッシャ噴出およびワイパー払拭の両方を行うことが困難と判断した場合には、例えばワイパー装置を作動させずにウォッシャ装置のみ作動させて、ウォッシャ液の噴射を優先する制御を行う。これにより、車両電源の電力不足への影響を抑えることができる。
【0018】
請求項6に記載した発明によれば、ワイパー装置の間欠動作時に、ウォッシャ噴射操作がなされてウォッシャ操作入力信号が出力されると、制御部は、ウォッシャ操作入力信号を保持する。その後、制御部は、揺動状態のワイパーアームが格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアームが次の払拭動作を経て格納位置に戻ったときに、保持したウォッシャ操作入力信号に基づきウォッシャ液の噴射を実行する。その後、ワイパー装置は、前述の自動払拭動作に移行せず、現状の動作時間間隔を維持した間欠モードを継続する。このため、ウォッシャ噴射の前後でワイパー装置の動作時間間隔を同等にして自然な払拭動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態におけるワイパーシステムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】上記ワイパーシステムのウォッシャ連動動作の第一実施形態を示すタイムチャートである。
【
図3】上記ワイパーシステムのウォッシャ連動動作の第二実施形態を示すタイムチャートである。
【
図4】上記ワイパーシステムのウォッシャ連動動作の第三実施形態を示すタイムチャートである。
【
図5】上記ワイパーシステムのウォッシャ連動動作の第四実施形態を示すフローチャートである。
【
図6】上記ワイパーシステムのウォッシャ連動動作時の第五実施形態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態のワイパーシステムWSの構成図である。実施形態のワイパーシステムWSは、車両のウインドウガラスの外表面(払拭対象面)を払拭する車両用ワイパーシステムWSである。
ワイパーシステムWSは、ワイパー装置W1と、ウォッシャ装置W2と、コントローラ25と、操作スイッチSWと、を備えている。
【0021】
図1に示すワイパー装置W1は、ウインドシールドガラス1(フロントウインドウガラス)の外表面1aを払拭するフロントワイパー装置を例示するが、リヤウインドウガラスの外表面を払拭するリヤワイパー装置であったり、自動運転車両における周辺を検知するカメラやセンサーの透過部(ウインドウ部やレンズ部)を払拭動作するワイパー装置であってもよい。
ワイパー装置W1は、ワイパーアーム10と、ワイパーモータ20と、を備えている。
【0022】
ワイパーアーム10は、格納位置と反転位置との間で往復揺動し(この揺動を「払拭動作」と称する)、ウインドシールドガラス1の外表面1a(払拭対象面)の規定範囲を払拭する。ワイパーアーム10は、例えば左右一対に設けられ、ウインドシールドガラス1の下縁の左右に離間した位置に配置されている。
図1では車両左側のワイパーアーム10のみ示している。
【0023】
ワイパーアーム10の基端部12は、ウインドシールドガラス1の下方の車体部分に設置されたピボット軸12aに支持、固定されている。ピボット軸12aは、ワイパーモータ20の駆動によって、規定角度で往復回動し、もってワイパーアーム10がピボット軸12aを中心とした周方向Cで往復揺動する。ワイパーアーム10は、アーム本体11の先端部に、ウインドシールドガラス1の外表面1aを払拭するためのワイパーブレード13を保持している。ワイパーアーム10には、ワイパーブレード13をウインドシールドガラス1の外表面1aに押し付ける不図示の付勢機構が内蔵されている。
【0024】
ワイパーモータ20は、ワイパーアーム10に払拭動作を実行させるための回転駆動力を出力する。ワイパーモータ20は、図示は略すが、回転駆動軸を有する直流モータと、直流モータの出力を減速するウォーム機構等の減速機構と、を一体化したアクチュエータとしての態様をなしている。ワイパーモータ20が出力する回転駆動力は、リンク機構21を介して、ワイパーアーム10の往復揺動に変換される。
【0025】
ウォッシャ装置W2は、払拭対象面の規定範囲に洗浄用のウォッシャ液Wを噴射する。
ウォッシャ装置W2は、ウォッシャノズル14と、ウォッシャタンク17と、を備えている。
【0026】
実施形態のウォッシャノズル14は、ワイパーアーム10に取り付けられている。ウォッシャノズル14には、ウォッシャタンク17からウォッシャ液通路15を通してウォッシャ液Wが供給される。ウォッシャタンク17には、ウォッシャ液Wが貯留されるとともに、ウォッシャ液Wを圧送する電動ポンプ16が設けられている。電動ポンプ16から圧送されたウォッシャ液Wは、ウォッシャホースを介してウォッシャノズル14に供給され、ウォッシャノズル14から払拭対象面に噴射される。ウォッシャノズル14は、ウインドウガラス外側の車体部分に設置されてもよい。
【0027】
コントローラ25は、電子制御装置として構成されている。コントローラ25は、ワイパー装置W1のワイパーモータ20およびウォッシャ装置W2の電動ポンプ16の駆動を電気的に制御する。
【0028】
例えば、ワイパーモータ20は、直流モータの回転に連動する摺動接点スイッチを有している。このスイッチの回転電極が固定電極に対して一回転すると、ワイパーアーム10が一往復の揺動を行う。回転電極が一回転する途中の一箇所に、回転電極と固定電極との通電がなくなる非通電位置がある。この位置に回転電極があるとき、ワイパーアーム10が車両の運転に支障のない格納位置に収まる。ワイパーアーム10が格納位置から離れた状態(回転電極と固定電極との通電がある状態)を、ワイパーアーム10の揺動状態と称する。
【0029】
ワイパー装置W1は、ワイパーアーム10が揺動状態から格納位置に戻ったことを検出してホーム戻り信号L2a(
図2参照)を出力する。ホーム戻り信号L2aは、コントローラ25に入力される。
【0030】
ワイパー装置W1は、ワイパーアーム10の払拭動作の速さが異なる複数の動作モードを有している。これら複数の動作モードの内、間欠モード(
図6中線L2,L3参照)では、ユーザーがワイパー速度調節スイッチによって任意に調整した動作間隔で、ワイパーアーム10の払拭動作を行うことが可能である。間欠モードでは、車速や雨量に応じて動作間隔や動作速度を自動調節するオートモードを設定することも可能である。
【0031】
操作スイッチSWは、ワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2の作動に係るユーザーの操作がなされる。操作スイッチSWは、ステアリングホイール近傍に配置されたレバー状のスイッチ操作子を有している。
操作スイッチSWは、ワイパースイッチSW1と、ウォッシャスイッチSW2と、を備えている。
【0032】
ワイパースイッチSW1には、ワイパー装置W1の動作モードを選択する操作がなされる。この操作は、例えばレバー状のスイッチ操作子をステアリングホイールの回転方向に段階的に回動させることでなされる。このとき、スイッチ操作子は、各動作モードに対応する回動位置で停止可能である。
【0033】
ウォッシャスイッチSW2には、ウォッシャ装置W2にウォッシャ液Wを噴射させるための操作がなされる。この操作は、例えばレバー状のスイッチ操作子を車内のユーザー(運転者)から見て手前側に引くことでなされる。この操作を「ウォッシャ噴射操作」と称する。ウォッシャ噴射操作によって、ウォッシャ液Wが払拭対象面に噴射される。
【0034】
スイッチ操作子は、ユーザーから見て奥側となる位置をウォッシャ作動オフ位置(以下、単にオフ位置とする)とし、手前側に引かれた位置をウォッシャ作動オン位置(以下、単にオン位置とする)とする。スイッチ操作子は、オフ位置に向けて付勢されており、オン位置に引かれた後にユーザーが手を離すと、オン位置に停止することなくオフ位置に戻る。前記ウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間(例えば0.3秒~0.5秒)が経過すると、ワイパー装置W1による予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作がなされる。
【0035】
スイッチ操作子がオン位置に引かれると、ウォッシャ液Wの噴射後にワイパー装置W1が作動する。この連動動作を「ウォッシャ連動動作」と称する。ウォッシャ連動動作により、ワイパーアーム10による払拭動作がなされ、その結果、払拭対象面がウォッシャ液Wを用いて払拭、洗浄される。ウォッシャスイッチSW2は、ウォッシャ噴射操作に伴いウォッシャ操作入力信号L1を出力する。ウォッシャ操作入力信号L1は、コントローラ25に入力される。
【0036】
コントローラ25は、前記ホーム戻り信号L2aと前記ウォッシャ操作入力信号L1とを組み合わせて、ワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2の作動を制御する。
【0037】
以下、ワイパー装置W1の非作動時にスイッチ操作子がオン位置に引かれた場合について説明する。この場合、スイッチ操作子がオン位置に引かれるのと同時にウォッシャ液Wが噴射され、その後にワイパー装置W1が作動する(ウォッシャ連動動作)。スイッチ操作子がオン位置に引かれたままでは、ウォッシャ連動動作が継続する。一方、スイッチ操作子が一度オン位置に引かれた後に直ぐオフ位置に戻るようなワンタッチ操作であっても、予め定めた一定量のウォッシャ液Wが噴射され、かつその後にワイパー装置W1が作動し、予め定めた複数回(例えば三回)の払拭動作を行う。このように、スイッチ操作子がオフ位置に戻っても予め定めたワイパー払拭を行う動作を「自動払拭動作」と称する。
【0038】
コントローラ25は、自動払拭動作時に(あるいはウォッシャスイッチSW2の操作とは別にワイパースイッチSW1の操作によってワイパー装置W1が払拭動作をしているときに)、ウォッシャ噴射操作がなされてウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、以下の制御を行う。すなわち、ウォッシャスイッチSW2の操作と同時にウォッシャ噴射を行わず、ウォッシャ噴射を待機するとともにウォッシャ操作入力信号L1を保持する。その後、ホーム戻り信号L2aが出力されたタイミングで、ウォッシャ液Wの噴射を実行させる。
【0039】
上記の制御について、
図2のタイムチャートを参照して具体的に説明する。
図2のタイムチャートは、ワイパー装置W1の非作動時にウォッシャ噴射操作がなされた場合を示す。
図2のタイムチャートの最上段の線L1は、フロントウォッシャスイッチSW2(ウォッシャスイッチSW2)のウォッシャ操作入力信号のON(出力)・OFF(消失)を示す。
【0040】
図2では、ウォッシャスイッチSW2の操作(ウォッシャ噴射操作)がなされたときにウォッシャ操作入力信号L1がONとなり、ウォッシャ噴射操作が停止したときにウォッシャ操作入力信号L1がOFFとなるが、これが逆であってもよい。すなわち、ウォッシャ噴射操作がなされたときにウォッシャ操作入力信号L1がOFFとなり、ウォッシャ噴射操作が停止したときにウォッシャ操作入力信号L1がONとなる構成でもよい。
【0041】
図2のタイムチャートの上から二段目の線L2は、フロントワイパー装置(ワイパー装置W1)のワイパーアーム10がホームポジション(格納位置)にあるかホームポジション以外(ホーム以外、揺動状態)にあるかを示す信号である。
【0042】
実施形態では、ワイパーアーム10が揺動状態から格納位置に戻ったときに信号L2が立ち上がるもしくは立ち下がる(下降する)部分を「ホーム戻り信号L2a」と称する。
【0043】
図2のタイムチャートの上から三段目の線L3は、フロントワイパーモータ20(ワイパーモータ20)の駆動信号(ワイパーモータ駆動信号)の変化を示す。ワイパーモータ駆動信号L3は、ワイパー装置W1が有する複数の動作モードに応じて設定される。
【0044】
図2のタイムチャートの最下段の線L4は、フロントウォッシャ装置(ウォッシャ装置W2)がウォッシャ液Wを噴射していることを示すウォッシャ噴射信号のON(出力)・OFF(消失)を示す。
図2では、ウォッシャ噴射時にウォッシャ噴射信号L4がONとなり、ウォッシャ噴射の停止時にウォッシャ噴射信号L4がOFFとなるが、これが逆であってもよい。すなわち、ウォッシャ噴射時にウォッシャ噴射信号L4がOFFとなり、ウォッシャ噴射の停止時にウォッシャ噴射信号L4がONとなる構成でもよい。
【0045】
まず、ウォッシャ噴射操作がなされたタイミングt1において、ウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、コントローラ25は、ウォッシャ装置W2を作動させ(ウォッシャ噴射信号L4がON)、ウォッシャ噴射操作と同時にウォッシャ噴射を実行させる。
その後、ワイパー装置W1が作動を開始するタイミングt2までウォッシャ液Wを噴射し、タイミングt2でウォッシャ液Wの噴射を停止する(ウォッシャ噴射信号L4がOFF)。その後、ワイパー装置W1は、予め定めた複数回(例えば三回)の払拭動作を行う(自動払拭動作)。
【0046】
自動払拭動作時、ユーザーが「もう少し噴射したい」とウォッシャスイッチSW2を追加操作する場合など、ウォッシャスイッチSW2が操作されてウォッシャ操作入力信号L1が出力されることがある(タイミングt3)。この場合、コントローラ25は、ワイパーアーム10が揺動状態にあるか否かによらず、ウォッシャ操作入力信号L1を保持し、ウォッシャ液Wの噴射を待機(保留)する。この状態で、揺動状態にあったワイパーアーム10が格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアーム10が次の払拭動作(揺動状態)を経て格納位置に戻ったとき(何れもホーム戻り信号L2aのON/OFFがなされたとき)、ホーム戻り信号L2aを検知したタイミングt4でウォッシャ噴射を実行する。このウォッシャ噴射は、次にワイパー装置W1が作動を開始するタイミングt5まで継続する。
【0047】
図2の例では、自動払拭動作時のウォッシャ操作時には、ワイパーアーム10の位置によらず、ウォッシャ液Wの噴射を待機(保留)したが、これに限らない。例えば、タイマーなどを利用し、ワイパーアーム10が格納位置に戻って間もないタイミング(例えば格納位置に停止する残り時間が八割程度残っているタイミング)であれば、ウォッシャ操作入力信号L1が出力されたタイミングから次の払拭動作が始まるタイミングまでウォッシャ噴射を行ってもよい。ワイパーアーム10が格納位置に停止する残り時間が少ない場合は、ウォッシャ液Wの噴射を待機(保留)するとよい。ワイパーアーム10が格納位置に停止しているときにウォッシャ噴射を開始しても、次の払拭動作が始まるまでの時間が短い場合、十分なウォッシャ噴射を行う前に次の払拭動作が始まってしまうからである。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態におけるワイパーシステムWSの制御方法(および制御装置)は、ワイパーアーム10を格納位置と反転位置との間で往復揺動させて払拭対象面を払拭するワイパー装置W1と、前記払拭対象面に向けてウォッシャ液Wを噴射するウォッシャ装置W2と、前記ウォッシャ液Wを噴射するための操作がなされるウォッシャスイッチSW2と、前記ワイパー装置W1および前記ウォッシャ装置W2の作動を制御するコントローラ25と、を備え、前記ウォッシャスイッチSW2をオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作によって、前記ウォッシャ液Wを前記払拭対象面に噴射するとともに、前記ワイパーアーム10による払拭動作を連動して行うものであり、前記コントローラ25は、前記ワイパーアーム10が揺動状態から前記格納位置に戻ったときに出力されるホーム戻り信号L2aと、前記ウォッシャ噴射操作に伴い出力されるウォッシャ操作入力信号L1と、を組み合わせて、前記ワイパーアーム10の揺動および前記ウォッシャ液Wの噴射を制御するものであり、前記コントローラ25は、前記ウォッシャスイッチをオフ位置からオン位置へ動かすウォッシャ噴射操作がなされてから予め定めた時間が経過すると、予め定めた複数回の払拭動作を含む自動払拭動作を前記ワイパー装置W1に実行させ、かつ、前記コントローラ25は、前記自動払拭動作時、前記ウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、このウォッシャ操作入力信号L1を保持し、その後に前記ホーム戻り信号L2aが出力されたタイミングt4で、前記ウォッシャ液Wの噴射を前記ウォッシャ装置W2に実行させるものである。
【0049】
この構成によれば、ワイパー装置W1とウォッシャ装置W2とを連動させるワイパーシステムWSにおいて、ワイパー装置W1が、前記自動払拭動作時、あるいはウォッシャスイッチSW2の操作とは別にワイパー装置W1が払拭動作をしているときに、ウォッシャスイッチSW2が操作されてウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、コントローラ25は、ウォッシャ操作入力信号L1を保持するとともに、ウォッシャ液Wの噴射を直ぐに実行せずに待機する。その後、コントローラ25は、揺動状態にあったワイパーアーム10が格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアーム10が次の払拭動作(揺動状態)を経て格納位置に戻ったとき(何れもホーム戻り信号L2aのON/OFFがなされたとき)、保持したウォッシャ操作入力信号L1に基づきウォッシャ液Wの噴射を実行する。
このため、ユーザーがウォッシャスイッチSW2を操作するタイミングに関わらず、ウォッシャ液Wを確実に払拭動作前の払拭対象面に噴射することができる。すなわち、ユーザーがワイパーアーム10の動きに合わせてウォッシャスイッチSW2を操作しなくても、ワイパーアーム10が確実に格納位置にあるとき(揺動状態にないとき)にウォッシャ液Wが噴射されるため、払拭対象面をウォッシャ液Wで洗浄しやすくなり、利便性を向上させることができる。また、ウォッシャ噴射がワイパーアーム10に邪魔されることなく、かつワイパーアーム10で払拭しやすいタイミングでウォッシャ液Wを払拭象面に噴射するので、無駄なく効率的に払拭対象面を洗浄することができる。
さらに、ホーム戻り信号L2aのON/OFF判定によってウォッシャ液Wの噴射制御を行うため、ワイパーモータ20の回動位置をモニターするための装置や制御プログラムが不要となり、ワイパーシステムWSの生産性の向上を図ることができる。
【0050】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、
図3を参照して説明する。
この実施形態は、前記第一実施形態に対して、自動払拭動作時の最終回の払拭動作の後にウォッシャ液Wの噴射がなされないようにした点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0051】
自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が、自動払拭動作の複数回の払拭動作の内の最終回であるタイミングt3’で、ウォッシャ噴射がなされると、以下の課題がある。すなわち、ウォッシャ噴射がなされた後にワイパーアーム10による払拭動作が行われず、払拭対象面にウォッシャ液Wが付着したままとなってしまう。
【0052】
これに対し、第二実施形態におけるワイパーシステムWSの制御方法(および制御装置)は、前記コントローラ25は、前記自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が前記複数回の払拭動作の内の最終回であると判定した場合に、前記ウォッシャ噴射操作がなされると、このウォッシャ噴射操作によるウォッシャ操作入力信号L1を保持せず破棄するものである。
【0053】
この構成によれば、自動払拭動作時、現在又は次の払拭動作が最終回(例えば三回の払拭動作を行う場合の三回目の動作)であるタイミングt3’でウォッシャ噴射操作がなされても、コントローラ25がウォッシャ操作入力信号L1を保持せずに破棄する。このため、自動払拭動作の最終回が終了してワイパーアーム10が格納位置に戻った後にウォッシャ液Wが噴射されることがなく、自動払拭動作後の払拭対象面に再度ウォッシャ液Wを噴射してしまうことを無くすことができる。
【0054】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、
図4を参照して説明する。
この実施形態は、前記第一実施形態に対して、自動払拭動作時等において、ワイパーアーム10が一往復の揺動をする時間内にウォッシャ操作が複数回なされた場合、初回のウォッシャ操作入力信号L1のみ保持するようにした点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0055】
例えば、ウォッシャスイッチSW2がレバー式である場合、ユーザーが一回目のレバーの引きが甘いと感じた場合に、直ぐに二回目のレバーを引く操作を行う場合などが想定される。このように、ユーザーが急いで何度もウォッシャスイッチSW2を操作する場合などには、二回目以降のウォッシャスイッチSW2の操作に応じて意図しないタイミングでウォッシャ液Wの噴射が行われることが考えられる。
【0056】
これに対し、第三実施形態におけるワイパーシステムWSの制御方法(および制御装置)は、前記コントローラ25は、前記自動払拭動作時、前記ワイパーアーム10が一往復の揺動をする間に前記ウォッシャ操作入力信号L1が複数回出力されると、初回のウォッシャ操作入力信号L1のみを保持し、二回目以降のウォッシャ操作入力信号L1は破棄するものである。
【0057】
この構成によれば、ワイパー装置W1が払拭動作を行っているとき、ワイパーアーム10が一往復動する間(ホーム戻り信号L2aが出力される行程が一度実行される間)に、ウォッシャ噴射操作が複数回なされた場合、コントローラ25は、初回のウォッシャ操作入力信号L1のみを保持し、二回目以降のウォッシャ操作入力信号L1は保持せずに破棄する。このため、ユーザーが一定時間内にウォッシャ噴射操作を複数回行った場合にも、その操作回数に関わらずウォッシャ液Wが一回のみ噴射されるため、意図しないタイミングでウォッシャ液Wが噴射されてしまうことを抑えることができる。
【0058】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態について、
図5を参照して説明する。
この実施形態は、前記第一実施形態に対して、コントローラ25がワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2を駆動するための供給電力の残量を監視し、この残量に応じてワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2の作動を制限するようにした点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0059】
車両の電源(バッテリー、二次電源、発電機など)からワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2に供給される電力は、例えば低温時における性能低下や充電不足などで閾値以下となっている場合がある。この場合、ユーザーがウォッシャスイッチSW2を操作してウォッシャ噴射およびワイパー払拭を行おうとしても、ワイパー装置W1およびウォッシャ装置W2の少なくとも一方を作動させないエコモードとする。この制御の一例について
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
まず、ウォッシャスイッチSW2の操作(ウォッシャ噴射操作)がなされると(ステップS1)、コントローラ25は、車両電源の残電量が予め定めた閾値(下限値)未満か否かを判定する(ステップS2)。ステップS2でYES(残電量が閾値未満)の場合、例えばウォッシャ噴射のみを行い、ワイパー払拭は行わないようにする(ステップS3)。ステップS2でNO(残電量が閾値以上)の場合、通常通りウォッシャ噴射およびワイパー払拭の両方を行う(ステップS4)。
【0061】
ウォッシャ装置W2およびワイパー装置W1のどちらの作動を優先して行うかについて、実施形態のウォッシャ噴射操作時には、ウォッシャ噴射を行った後にワイパー払拭を行うため、電力不足の場合にはウォッシャ噴射を優先する制御とした。ただし、この場合はウォッシャ液Wの払拭が行われないため、電力不足の場合にはウォッシャ噴射を行わずワイパー払拭のみを行うようにしたり、あるいはウォッシャ噴射およびワイパー払拭の両方を行わないようにしたりする制御としてもよい。
【0062】
以上説明したように、上記実施形態におけるワイパーシステムWSの制御方法(および制御装置)は、前記コントローラ25には、前記ワイパー装置W1および前記ウォッシャ装置W2を駆動するための供給電力の残量情報が入力され、前記コントローラ25は、前記供給電力の残量が閾値以下と判定した状態で、前記ウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、前記ワイパー装置W1を作動させずに前記ウォッシャ液Wの噴出のみを優先して行うか、前記ワイパー装置W1および前記ウォッシャ装置W2の両方の作動を停止するものである。
【0063】
この構成によれば、コントローラ25は、車両電源の電力不足でウォッシャ噴出およびワイパー払拭の両方を行うことが困難と判断した場合には、例えばワイパー装置W1を作動させずにウォッシャ装置W2のみ作動させて、ウォッシャ液Wの噴射を優先する制御を行う。これにより、車両電源の電力不足への影響を抑えることができる。
【0064】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態について、
図6を参照して説明する。
この実施形態は、前記第一実施形態に対して、ワイパー装置W1が間欠モード(Intermittent:INTモード)で作動しているときにウォッシャ操作がなされた場合、ウォッシャ噴射は第一実施形態と同様に行った後、ワイパー払拭は現在の間欠モードを継続するようにした点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0065】
ワイパー装置W1が間欠モードで作動しているとき、任意のタイミングt3”でウォッシャ噴射操作があると、コントローラ25は、ワイパーアーム10が揺動状態にあるか否かによらず、ウォッシャ操作入力信号L1を保持し、ウォッシャ液Wの噴射を待機(保留)する。この状態で、揺動状態にあったワイパーアーム10が格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアーム10が次の払拭動作(揺動状態)を経て格納位置に戻ったとき(何れもホーム戻り信号L2aのON/OFFがなされたとき)、ホーム戻り信号L2aを検知したタイミングt4”でウォッシャ噴射を実行する。
【0066】
このように、コントローラ25は、前記自動払拭動作時に限らず、ウォッシャスイッチSW2の操作とは別にワイパー装置W1が払拭動作をしているときに、ウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、このウォッシャ操作入力信号L1を保持し、その後にホーム戻り信号L2aが出力されたタイミングで、ウォッシャ液Wの噴射をウォッシャ装置W2に実行させる。
【0067】
特に、第五実施形態におけるワイパーシステムWSの制御方法(および制御装置)は、前記ワイパー装置W1は、前記ワイパーアーム10が一定の時間間隔で払拭動作を行う間欠モードを有し、前記コントローラ25は、前記間欠モード時に、前記ウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、このウォッシャ操作入力信号L1を保持し、その後に前記ホーム戻り信号L2aが出力されたタイミングt4で、前記ウォッシャ液Wの噴射を前記ウォッシャ装置W2に実行させるとともに、前記ウォッシャ噴射操作の後、前記ワイパー装置W1に現在の間欠モードを継続して実行させるものである。
【0068】
この構成によれば、ワイパー装置W1の間欠動作時に、ウォッシャ噴射操作がなされてウォッシャ操作入力信号L1が出力されると、コントローラ25は、ウォッシャ操作入力信号L1を保持する。その後、コントローラ25は、揺動状態のワイパーアーム10が格納位置に戻ったとき、あるいは格納位置で停止していたワイパーアーム10が次の払拭動作を経て格納位置に戻ったときに、保持したウォッシャ操作入力信号L1に基づきウォッシャ液Wの噴射を実行する。その後、ワイパー装置W1は、前述の自動払拭動作に移行せず、現状の動作時間間隔を維持した間欠モードを継続する。このため、ウォッシャ噴射の前後でワイパー装置W1の動作時間間隔を同等にして自然な払拭動作を実現することができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、上記した複数の実施形態は、適宜組み合わせて実施してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 ワイパーアーム
25 コントローラ(制御部)
L1 ウォッシャ操作入力信号
L2a ホーム戻り信号
SW2 ウォッシャスイッチ
W ウォッシャ液
W1 ワイパー装置
W2 ウォッシャ装置
WS ワイパーシステム