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特許7174026機械的接合及び接着剤接合を含むゴルフクラブヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】機械的接合及び接着剤接合を含むゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20221109BHJP
【FI】
A63B53/04 G
A63B53/04 A
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020188632
(22)【出願日】2020-11-12
(62)【分割の表示】P 2018529285の分割
【原出願日】2016-12-06
(65)【公開番号】P2021037319
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】14/961,185
(32)【優先日】2015-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ジェイ. サンダー
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-151327(JP,A)
【文献】特表2007-525290(JP,A)
【文献】特開2010-051825(JP,A)
【文献】特開2004-195214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0328504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブ用のゴルフクラブヘッドであって、
金属セクションと、圧縮性のポリマーセクションと、前記金属セクションと前記圧縮性のポリマーセクションの間に画定される閉じた内部空洞と、を備えており、
前記金属セクションは、フェースと、下部部分又はソールと、上部部分又はトップラインと、ホーゼルと、トウ端部と、ヒール端部と、前記フェースと反対側の後壁と、を有しており、
前記後壁は、ソールとトップラインとの間に延びており、
前記トップラインと前記ソールと前記ヒール端部と前記トウ端部は、後方向きの開口部を画定しており、
前記後壁は、前記後方向きの開口部内に凹んでおり、外周壁と棚状部をさらに有しており、
前記圧縮性のポリマーセクションは、内向きの第1の表面と、外向きの第2の表面と、を有しており、
前記圧縮性のポリマーセクションは、前記後方向きの開口部上を延びて前記後方向きの開口部を被覆しており、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、前記金属セクションと前記圧縮性のポリマーセクションの間に、接着剤接合と少なくとも1つの機械的接合と、を備えており、
前記接着剤接合と前記少なくとも1つの機械的接合は、前記金属セクションと前記圧縮性のポリマーセクションを接合するように構成されており、
前記金属セクションの棚状部と前記圧縮性のポリマーセクションの第1の表面は、前記接着剤接合が間に形成されるように接着材料を取り囲んでおり、前記接着剤接合は、前記圧縮性のポリマーセクションが前記金属セクションから外れるのを阻止するように構成された接着剤保持強度を有し、
前記金属セクションの前記後方向きの開口部は、前記後壁内に凹んでいる受け部を有しており、前記受け部は前記外周壁と前記棚状部によって画定されており、
前記受け部はさらに、少なくとも1つの凹んだ第1の保持特徴を画定しており、
前記圧縮性のポリマーセクションはさらに、少なくとも1つの第2の保持特徴を有しており、
前記少なくとも1つの第2の保持特徴は、前記少なくとも1つの第1の保持特徴に物理的に係合するように圧縮し、前記少なくとも1つの機械的接合を形成しており、
前記接着材料は、前記少なくとも1つの接着剤接合を形成するために硬化性であり、
前記機械的接合は、前記接着材料が少なくとも部分的に硬化されるまで前記金属セクションに取り付けられて前記圧縮性のポリマーセクションを保持するように機能する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記接着材料は硬化するように構成され、
前記接着剤接合の前記接着剤保持強度は、前記接着材料が少なくとも部分的に硬化されたとき、前記機械的接合の機械的保持強度よりも大きくなるように構成されている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記機械的接合は、前記接着剤接合の最大の接着剤保持強度よりも小さい機械的保持強度を有する、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記機械的接合の前記機械的保持強度のみでは、少なくとも50マイル/時のゴルフクラブスイング速度で、前記フェースとゴルフボールがインパクトしたときに前記ゴルフクラブヘッドが受ける負荷に耐えられるように構成されておらず、
前記接着剤保持強度は、前記接着材料が少なくとも部分的に硬化されていないとき、前記機械的接合の前記機械的保持強度以下であるように構成される、請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記外周壁は、前記後壁から前記フェースへと内側に延び、内向き面を呈する、請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記棚状部は、前記外周壁から略垂直に延びて、前記圧縮性のポリマーセクションを支持するように構成された外向き面を呈する、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記圧縮性のポリマーセクションは、前記第1の表面と、前記第1の表面と反対側の前記第2の表面と、前記圧縮性のポリマーセクションを取り囲むように前記第1の表面と前記第2の表面との間に延びる外壁と、を有している、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記接着剤接合は、前記外向き面と前記内向き面と前記第1の表面と前記外壁との上に設けられる前記接着材料と、前記受け部内に構成された前記圧縮性のポリマーセクションと、を有しており、
前記圧縮性のポリマーセクションは、それとの間に前記接着剤接合を形成している前記後方向きの開口部を被覆する、請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記接着剤接合が形成されるとき、最初は前記接着材料は少なくとも部分的に硬化していない、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記金属セクションの前記外周壁は前記第1の保持特徴を有している、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記圧縮性のポリマーセクションの前記外壁は、前記少なくとも1つの第2の保持特徴を有している、請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記第1及び第2の保持特徴が機械的に互いに係合して前記機械的接合を形成し、前記第1の保持特徴の各々が前記第2の保持特徴の各々に連結するように、前記圧縮性のポリマーセクションは前記金属セクションとともに構成されている、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の保持特徴がスロットである、請求項12に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の保持特徴が突起である、請求項13に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、機械的接合及び接着剤接合を組み合わせたゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブは、一般に、細長いシャフトの端部に配置されたクラブヘッドを備えることができる。プレイ中、クラブヘッドは、意図された方向に所望の垂直軌道でボールを打ち出すために、地面に置かれた静止しているボールと接触するようにスイングすることができる。
【0003】
ゴルフクラブヘッドを形成するとき、多くの設計パラメータを考慮しなければならない。例えば、設計によって、クラブとボールとの間、ならびにクラブと地面との間の繰り返しの衝撃力に耐えるのに十分な構造的弾性を提供しなければならない。クラブヘッドは、さまざまな規則を設定する協会によって定められたサイズ要件に従っていなければならず、またクラブのフェースは、所定の最大値(適用可能な基準に従って測定される)を上回る反発係数を有してはならない。特定の所定の設計上の制約が満たされていると仮定すると、特定のロフトのためのクラブヘッド設計は、重心及び/又はシャフトの周りのヘッドの慣性モーメントだけでなく、重心の大きさ及び位置によって定量化することができる。
【0004】
クラブの慣性モーメントは、回転に対するクラブの抵抗(特にオフセンターヒット時)に関係し、クラブの「寛容性」の尺度として認識されることが多い。典型的なクラブ設計では、クラブがボールをプッシュ又はフェードする傾向を低減するためには高い慣性モーメントが望ましい。高い慣性モーメントを達成することは、一般に、(重心周りの慣性モーメントを最大にするために)できるだけクラブの外周に近くに、かつ(シャフト周りの慣性モーメントを最大にするために)できるだけトウの近くに質量を移動させることが関係する。アイアンタイプのゴルフクラブヘッドでは、この慣性モーメントの増大に対する要望により、キャビティバッククラブヘッド及び中空クラブヘッドのような設計がもたらされている。
【0005】
慣性モーメントはクラブヘッドの寛容性に影響を及ぼすが、クラブフェースの裏(かつソールの上)の重心位置は、一般に、所定のフェースロフト角に対するショットの軌道に影響する。できるだけ後方に(フェースから離して)かつできるだけ低く(ソール近くに)置かれた重心によって、典型的には、重心がより前方にかつ/又はより高く置かれたクラブヘッドよりも高い軌道を有するボールの飛行がもたらされる。
【0006】
高い慣性モーメントは、クラブヘッド周辺の重量を増加させることによって、又はトウに向かって質量を移動させることによって得られるが、クラブヘッドの総質量/スイング重量(すなわち、重心の大きさ)の増大は、クラブヘッド速度及び飛距離に大きな悪影響を及ぼす。言い換えれば、クラブヘッド速度(及び飛距離)を最大にするために、総質量がより少ないことが望ましいが、総質量が少ないと、クラブヘッドの慣性モーメント(及び寛容性)が一般に減少する。
【0007】
スイング速度(質量)と寛容性(慣性モーメント)との間の対立関係においては、クラブの性能を特定のゴルファー又は能力レベルに合わせるために、クラブヘッド全体にわたって特定の位置にさまざまな量の質量を配置することが望ましい場合がある。このようにして、クラブヘッド総質量は、一般に、構造的質量及び裁量質量(discretionary mass)の2つのカテゴリに分類され得る。
【0008】
構造的質量とは、概して、繰り返される衝撃に耐えるのに必要な構造的弾力性をクラブヘッドに提供するのに必要とされる材料の質量を指す。構造的質量は、設計依存性の高いものであり、設計者には、特定の質量分布に対する比較的低い制御量が与えられる。他方で、裁量質量とは、クラブの性能及び/又は寛容性をカスタマイズするだけの目的で、クラブヘッド設計に追加され得る任意の付加質量である。理想的なクラブ設計においては、従来の又は所望されるスイング重量を維持しつつ、構造的質量の量を最小限にして(弾力性を犠牲にすることなく)、設計者はクラブ性能をさらにカスタマイズできるようになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ゴルフクラブヘッドは、金属セクション及びポリマーセクションを含む。金属セクションはフェースを備え、金属セクションは開口部を画定している。ポリマーセクションは、開口部上に延び、金属セクションに接着されて、間に接着剤接合を形成する。接着剤接合は、ポリマーセクションが金属セクションから外れるのを阻止するように設定された接着剤保持強度を有する。金属セクションとポリマーセクションは互いに物理的に係合して間に機械的接合を形成する。機械的接合は、ポリマーセクションが金属セクションから外れるのを阻止するように設定された機械的保持強度を有する。接着剤接合の接着剤保持強度は、機械的接合の機械的保持強度よりも大きい。
【0010】
本開示の別の態様では、ゴルフクラブヘッドは、前方セクション、本体、及び接着材料を含む。前方セクションはフェースを備える。本体は、前方セクションに結合されており、第1のポリマーセクション及び第2のポリマーセクションを含む。接着材料は、第1のポリマーセクションの一部分と第2のポリマーセクションとの間に配置され、間に接着剤接合を形成する。接着剤接合は、接着材料が少なくとも部分的に硬化されたときに第1のポリマーセクションが第2のポリマーセクションから外れるのを阻止するように設定された接着剤保持強度を有する。第1のポリマーセクションと第2のポリマーセクションは機械的に互いに係合し、第1のポリマーセクションが第2のポリマーセクションから外れるのを阻止するように設定された機械的保持強度を有する機械的接合を間に形成する。接着剤接合の接着剤保持強度は、接着材料が少なくとも部分的に硬化されたとき、機械的接合の機械的保持強度よりも大きい。
【0011】
ゴルフクラブヘッドは、機械的接合を備える。機械的接合は、十分な硬化時間が経過し、接着材料が少なくとも部分的に硬化されるまでポリマーセクションと金属セクションとが機械的に固定されることを確実にしながらも、他の形ではゴルフクラブヘッドとゴルフボールとの間の衝撃に関連する負荷及び力に耐えるように設定されていない機械的保持強度を有する。したがって、機械的接合は、接着材料がまだ少なくとも部分的に硬化されていない場合、ゴルフクラブヘッドの過酷な輸送、その後の製造工程などに耐えるように構成される。よって、ゴルフクラブヘッドは、より迅速に製造することができ、かつ/又は接着材料が硬化するのを待つ間に、ポリマーセクションを金属セクションに対して保持するための固定具を使用する必要なしに製造することができる。
【0012】
本技術の上記の特徴及び利点ならびに他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、アイアンタイプの中空ゴルフクラブヘッドの後部部分の概略斜視図である。
【0014】
図2図2は、フェースを取り外した図1のゴルフクラブヘッドの後部部分の概略斜視図である。
【0015】
図3図3は、線3-3に沿ってとられた図1のゴルフクラブヘッドの概略断面図である。
【0016】
図3A図3Aは、図3に設けられた「図3A」とマークされた領域の概略拡大斜視図である。
【0017】
図4図4は、線4-4に沿ってとられた図1のゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
【0018】
図4A図4Aは、図4に設けられた「図4A」とマークされた領域の概略斜視図である。
【0019】
図5図5は、図1に設けられた「図5」とマークされた領域の概略拡大斜視図である。
【0020】
図6図6は、ウッドタイプのゴルフクラブヘッドの概略斜視図である。
【0021】
図7図7は、線7-7に沿ってとられた図6のゴルフクラブヘッドの概略拡大側面断面図である。
【0022】
図8図8は、線8-8に沿ってとられた図7のゴルフクラブヘッドの概略部分側面断面図である。
【0023】
図9図9は、図6に提供されたゴルフクラブヘッドのポリマーセクションの概略拡大図である。
【0024】
図10図10は、ゴルフクラブヘッドの金属セクションに取り付けられたゴルフクラブヘッドのポリマーセクションの下部部分の概略斜視図である。
【0025】
図11図11は、線11-11に沿ってとられた図6のゴルフクラブヘッドのポリマーセクションの概略拡大部分側面断面図である。
【0026】
図12図12は、線12-12に沿ってとられた図6のゴルフクラブヘッドのポリマーセクションの概略部分側面断面図である。
【0027】
図13図13は、金属セクション及びポリマーセクションを有する別のウッドタイプのゴルフクラブヘッドの概略拡大斜視底面図である。
【0028】
図14図14は、図13のゴルフクラブヘッドの概略斜視底面図である。
【0029】
図15図15は、図14の線15-15に沿ってとられたゴルフクラブヘッドの概略部分側面断面図である。
【0030】
図16図16は、図14の線16-16に沿ってとられたゴルフクラブヘッドの概略部分側面断面図である。
【0031】
図17図17は、図13で提供されたポリマーセクションの下面の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
さまざまな図において同様の又は同一の構成要素を識別するために同様の参照番号が使用されている図面を参照すると、図1及び図2は、前部、すなわち金属セクション(「金属セクション12」)及び本体、すなわちポリマーセクション(「ポリマーセクション14」)を含む中空ゴルフクラブヘッド10を概略的に示す。金属セクション12は開口部36を画定している。ポリマーセクション14は、開口部36を覆っており、少なくとも1つの機械的接合16及び少なくとも1つの接着剤接合18がセクション12、14間に形成されるように、金属セクション12に取り付けられる。図3を参照すると、閉じた内部空洞20が、金属セクション12とポリマーセクション14との間に画定される。
【0033】
ここで図2図4を参照すると、金属セクション12は、フェース22、下部部分(「ソール24」)、上部部分(「トップライン26」)、後壁28、及びホーゼル30を備える。特に図3及び図4を参照すると、ソール24は、クラブヘッド10の下面にトウ部分32からヒール部分34まで延び、フェース22と後壁28との間に延びている。したがって、ソール24は、クラブヘッド10がニュートラルな打点位置に保持されているときに地面に接触するように構成される。フェース22の後壁28は、ソール24とトップライン26との間に延び、後壁28はフェース22と反対側に延びている。
【0034】
トップライン26は、ソール24に対して離間されて配置されている。トップライン26は、トウ部分32からヒール部分34まで、フェース22と後壁28との間に延びている。トップライン26は、フェース22に構造的支持又は補強を提供する。
【0035】
金属セクション12は、例えば、打抜き、鍛造、又は鋳造を含む任意の適切なプロセスにより、金属材料から形成される。さらに、フェース22は、金属セクション12と一体形成されていてもよく、又は、別個に作製され、例えば、溶接、ろう付け、又は接着によって、金属セクション12に付着されてもよい。金属セクション12は、例えば、鋼合金(例えば、AISI1020型又はAISI8620型鋼)、ステンレス鋼(例えば、AISI304型、AISI431型、又はAISI630型鋼)又はチタン(例えば、Ti-6Al-4Vチタン合金)が挙げられる金属又は合金から形成されてもよいが、当該技術分野において既知の他の金属合金、金属非晶質合金及び/又は非金属材料も同様に使用することができる。
【0036】
ある構成では、ポリマーセクション14は、金属セクション12のフェース22とのボール衝突によって与えられる繰り返しの応力に耐えられるほど十分に大きい降伏強さを有するポリマー材料を含むことができる。そのような材料の例としては、1種もしくは複数種のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、エンジニアリングポリウレタン、及び/又は他の同様の材料を挙げることができる。一般に、ポリマー材料は、熱可塑性又は熱硬化性のいずれかであり得る。ある構成では、適切な材料は、少なくとも約180MPa(ASTM D638による)の引張強度を有する構造ポリマーであるが、他の構成では、少なくとも約220MPaの引張強度を有することができる。例えば、ある構成では、ポリマー材料は、チョップド炭素繊維のような炭素充填材料で充填された脂肪族ポリアミドであってもよい。さらに、ある構成では、適切な材料は、(ASTM D638による)少なくとも25,000MPaの引張弾性率を有する構造ポリマーであり得るが、他の構成では、少なくとも30,000MPaの引張弾性率を有することができる。
【0037】
図3図3A図4図4A及び図5を参照すると、ポリマーセクション14は、接着剤接合18が間に形成されるように、硬化可能な接着材料68によって金属セクション12に接着される。接着剤接合18は、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを阻止するように設定された接着剤保持強度を呈する。接着材料68は、接着剤接合18の接着剤保持強度が接着材料68の硬化量に応じて増大するように硬化可能である。
【0038】
しかしながら、一般に、ポリマーは重量節減の利点を提供できるが、ポリアミド等の特定のポリマーは、その低表面エネルギーのため接着するのが困難であり得る。したがって、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを防ぐのに適した接着剤保持強度を達成するために、硬化時間が長い接着材料68が必要とされ得る。さらに、固定具は、適切な接着剤保持強度が得られるまで金属セクション12に対する所定の位置にポリマーセクション14を保持するために必要とされ得、それによりクラブヘッド10を組み立てる時間が増える。しかし、間に機械的接合16を形成するようにポリマーセクション14と金属セクション12との物理的係合を組み込むことによって、本設計はこの接着の問題に対処する。以下でより詳細に説明するように、機械的接合16は、少なくとも1つのタイプの機械的結合、例えば締まり嵌め、クリップ、戻り止め、ダウエルピン等を介して形成されてもよい。機械的接合16は、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを阻止するようにさらに設定された機械的保持強度を呈する。
【0039】
ここで図3A及び図4Aを参照すると、接着材料68は、金属セクション12とポリマーセクション14との間に配置されて、間に接着剤接合を形成する。接着剤接合18の接着剤保持強度は接着材料68の硬化量に応じて増大するため、以下で詳細に説明されるように、接着材料68が部分的に硬化されるまでは、機械的接合16の単独での機械的保持強度は接着剤接合18の単独での接着剤保持強度よりも大きい。したがって、いったん接着材料68が部分的に硬化されると、接着剤接合18の接着剤保持強度単独でポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを防ぐのに十分である。
【0040】
接着材料68としては、硬化するか、又は他の方法で固まって、ポリマーセクション14及び金属セクション12の両方に接着し、同時にポリマーセクション14を金属セクション12に結合して接着剤接合18を形成する任意の物質を挙げることができる。接着材料68は、金属セクション12の金属材料及びポリマーセクション14のポリマー材料の両方と結合して接着剤接合18を形成するのに適している。このような接着材料68としては、エポキシ接着剤、メタクリレート接着剤、ウレタン接着剤等が挙げられる。非限定的な例として、接着材料としては、ミネソタ州セントポールの3M Companyから入手可能なDP-810のような二液性アクリルエポキシを挙げることができる。ほとんどの接着剤は金属に容易に結合するが、ポリマーへの典型的な結合強度は、そのようなポリマーがより低い表面エネルギーを有し得るため比較的低い。
【0041】
一実施形態では、ポリマーセクション14のポリマー材料との接着材料68の接着剤結合強度を向上させるために、ポリマーセクション14を組み立てる前に前処理してもよい。表面改質技術を使用して、ポリマーセクション14の表面の化学組成を変化させて表面エネルギーを増加させ、より多数の接着剤を考慮することができる。これらの技術としては、火炎、コロナもしくはプラズマ処理、酸エッチング、又は溶媒が表面を膨潤させるときに低表面エネルギー基材と絡み合う高表面エネルギー樹脂を含む溶剤系接着促進剤の使用を挙げることができる。表面が改質されると、接着材料68が処理された表面上に流出するか又は処理された表面を濡らして適切な結合を形成することがより容易になる。
【0042】
既に述べたように、接着材料68は、接着材料68が少なくとも部分的に硬化されるまで、ある期間(すなわち、硬化時間)にわたって硬化する必要があり、その後、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのが阻止される。したがって、機械的接合16の機械的保持強度は単独で、接着剤材料68が硬化している間にポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを阻止するのに十分である。このように、機械的接合16は、ゴルフクラブヘッド10が組み立てられ、輸送されている間等に、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを防ぐのに十分な機械的保持強度を呈する。したがって、機械的接合16は、組み立て中にポリマーセクション14が金属セクション12から外れるか又は別様に移動するのを防ぐためにゴルフクラブヘッド10の製造中に他の場合には使用され得る固定具、ジグ、クランプ等の機能を提供するように構成される。
【0043】
接着材料58の接着剤保持強度のみが部分的に硬化される時点は、機械的接合16によって提供される機械的保持強度にかかわらず、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れるのを防ぐ時点である。よって、接着材料68が部分的に硬化される時点(例えば、15分、2時間等)は、接着剤接合18の接着剤保持強度が増大して少なくとも機械的接合16の機械的保持強度に等しくなった時点である。
【0044】
さらに、接着材料68は、部分的に硬化した時点から接着材料68の接着剤保持強度が増大して使用強度に達し、最終的には、完全硬化の強度まで達する時点まで硬化し続ける。接着材料68の使用強度は、ポリマーセクション14が金属セクション12から外れないように、接着材料68が、ゴルフクラブヘッド10のフェース22にゴルフボールが所望のスイング速度で当たったときに受ける負荷にクラブヘッド10が耐えるのに十分な強度に達したときのものであると定義される。このように、接着材料68の接着剤保持強度が少なくとも使用強度に等しい場合、接着剤保持強度のみで、少なくとも150マイル/時(mph)の所望のスイング速度でゴルフクラブヘッド10のフェース22とゴルフボールとの間に生じる負荷に耐えるのに十分である。より好ましくは、接着剤保持強度のみで、少なくとも95mphの所望のスイング速度で、ゴルフクラブヘッド10のフェース22とゴルフボールとの間に生じる負荷に耐えるのに十分である。さらにより好ましくは、接着剤保持強度のみで、少なくとも50mphの所望のスイング速度で、ゴルフクラブヘッド10のフェース22とゴルフボールとの間に生じる負荷に耐えるのに十分である。
【0045】
さらに、ある非限定的な例として、接着材料68の使用強度は、接着材料68が完全硬化しているときに接着材料68が呈する強度の約60%のときに達成され得る。しかしながら、接着材料68の使用強度は、接着剤接合18の接着力保持強度のみで所望のスイング速度でゴルフクラブヘッド10のフェース22とゴルフボールとの間に生じる負荷に耐えるのに十分である限り、接着材料68が完全硬化の異なる割合で達成できることが認識されるべきである。よって、接着材料68が完全に硬化すると、接着剤保持強度は最大となり、すなわち最終結合強度となる。
【0046】
逆に、機械的接合16は、クラブヘッド10の組み立て及び輸送中にポリマーセクション14を金属セクション12に対して保持するのに適した機械的保持強度を呈するようにのみ構成されているため、機械的接合16は、単独では、少なくとも50mphのスイング速度でフェース22とゴルフボールとが衝突したときにクラブヘッド10が受ける負荷に耐えることができるように構成されていない。
【0047】
図3図3A及び図4を再び参照すると、機械的接合16及び接着剤接合18が示されている。機械的接合16は、ポリマーセクション14と金属セクション12との間の機械的係合を介して形成されるものとして示されている。金属セクション12の後壁28は開口部36を画定し、開口部36を少なくとも部分的に取り囲む受け部38を備える。受け部38は、後壁28内へと凹んでおり、外周壁44及び棚状部40を備える。外周壁44は後壁28からフェース22へと内側に延び、内向き面46を呈する。棚状部40は外周壁44から略垂直に延びて、ポリマーセクション44を支持するように構成された外向き面42を呈する。
【0048】
引き続き図3図3A及び図4を参照すると、ポリマーセクション14は、第1の表面50と、第1の表面50と反対側の第2の表面52とを備える。外壁54は、ポリマーセクション14を取り囲むように第1の表面50と第2の表面52との間に延びる。
【0049】
接着材料68は、ポリマーセクション14が開口部36を覆うように受け部38に配置される前に、外向き面42、内向き面46、及び/又は第1の表面50に塗布される。ポリマーセクション14が開口部36を覆うように受け部38内に配置された後、接着材料68は、ポリマーセクション14の第1の表面50及び/又は外壁54と、棚状部40の対応する外向き面44及び/又は外周壁44の内向き面46との間に配置されて、間に接着剤接合18を形成できる。
【0050】
特に図1図2図3図3A図4及び図5を参照すると、金属セクション12の外周壁44は、少なくとも1つの第1の保持特徴48を備えることができ、ポリマーセクション14の外壁54は、少なくとも1つの第2の保持特徴56を備えることができる。ポリマーセクション14が受け部38に挿入されて開口部36を覆った後、第1の保持特徴48はそれぞれ、第2の保持特徴56に対応するような関係で配置され得るため、第1の保持特徴48及び第2の保持特徴56は互いに機械的に係合して、間に機械的接合16を形成する、すなわち相互に連結する。図1及び図2に示すように、クラブヘッド10は、2つ以上の機械的接合16、すなわち対応する第1の保持特徴48及び第2の保持特徴56ごとに1つの機械的接合16を含むことができる。
【0051】
第1の保持特徴48及び第2の保持特徴56は、対応する外周壁44及び外壁54の中又は上に形成された突起、凹部、戻り止め、溝、スロット等であってよい。図2図3A及び図5に最も良く示されているように、第1の保持特徴48はスロットであってよく、第2の保持特徴56は突起58であってよい。突起58は半球形状を有するものとして示されている。図1図5の第1の保持特徴48及び第2の保持特徴56は、概略的に図示されており、縮尺通りに示されることを意図していないことを理解すべきである。したがって、第1の保持特徴48及び第2の保持特徴56は、実際にはポリマーセクション14を金属セクション12に嵌めるか又は取り付けて機械的接合16を形成するときに、ポリマーセクション14のポリマー材料の圧縮性を可能にするのに十分な締めしろを提供するように構成されている。このように、ある構成では、締めしろは、約0.01~0.02ミリメートル(mm)であり得る。しかし、他の締めしろも可能であり、ポリマーセクション14のポリマー材料の材料特性に応じていてもよい。
【0052】
あるいは、機械的接合16は、金属セクション12とポリマーセクション14との間の締まり嵌めを介して形成され得る。より具体的には、一実施形態では、金属セクション12の外周壁44及びポリマーセクション14の外壁54は、互いに干渉し合うように寸法決めされ、間に締まり嵌めを提供することができる。前述したように、締めしろは0.01~0.02mmであり得るが、他の締めしろも可能であり、ポリマーセクション14のポリマー材料の材料特性に応じることになる。
【0053】
前述したように、接着材料68が部分的に硬化されるまでは、機械的接合16によって提供される単独での機械的保持強度は接着剤接合18によって提供される単独での接着剤保持強度よりも大きい。したがって、機械的接合16は、組み立て及び輸送時にポリマーセクション14が金属セクション12から分離することを防止するのに十分な保持強度を提供するように構成されるため、固定具、ジグ等が必要とされないようにすることができる。次に、接着材料68が少なくとも部分的に硬化されると、接着剤保持強度は単独で、機械的接合16によって提供される単独での機械的保持強度に少なくとも等しい。接着材料68が硬化し続けるにつれて、接着材料68の接着剤保持強度は増大し、機械的接合16の機械的保持強度単独よりもはるかに大きくなる。
【0054】
ここで図6図12に示す設計を参照すると、ゴルフクラブヘッドの別の実施形態が100で示されている。クラブヘッド100は、金属セクション112及びポリマーセクション114を備えるウッドタイプのゴルフクラブヘッド100である。金属セクション112は開口部136を画定している。ポリマーセクション114は開口部136を覆い、少なくとも1つの機械的接合116及び少なくとも1つの接着剤接合118がセクション112、114間に形成されるようにシーム170に沿って金属セクション112に取り付けられる。図7及び図10を参照すると、閉じた内部空洞120が、金属セクション112とポリマーセクション114との間に画定される。
【0055】
図6で全体的に示されるように、金属セクション112は、フェース122と、フェース122を取り囲むフレーム176と、フレーム176から延びるホーゼル130とを備える。ここで図7及び図10を参照すると、金属セクション112は、フレーム176から延びて開口部136を取り囲むフランジ172を備える。ホーゼル130は、シャフトアダプタを受容するように構成されているか、そうでなければゴルファーによって把持される細長いシャフトと結合している。フェース122は、ゴルフスイング中にゴルフボールに衝突することが意図されている。ゴルフボールとのインパクトにより、クラブヘッド10のゴルフボールとの衝突点付近でかなり大きな応力を発生させ得るため、金属セクション112は予想される衝撃負荷に耐えるのに適した1種又は複数種の金属材料から形成される。好適な材料の例としては、ステンレス鋼又はチタンのさまざまな合金が挙げられるが、これらに限定されない。フェース122は、フレーム176と一体形成されていてもよく、又は、別個に作製され、例えば、溶接、ろう付け、又は接着等によって、フレーム176に付着されてもよい。
【0056】
図7図9及び図10を参照すると、ポリマーセクション114はソール124及びトップライン(「クラウン126」)を備える。ポリマーセクション114は、図1図5のクラブヘッド10に関して前述したようにポリマー材料から形成される。ポリマーセクション114はフランジ172の少なくとも一部に対応する受け部186を備える。ポリマーセクション114の受け部186は、少なくとも1つの機械的接合116及び少なくとも1つの接着剤接合118がセクション112、114間に形成されるように金属セクション112のフランジ172に取り付けられるように構成される。
【0057】
ポリマーセクション114の受け部186は、フランジ172とかみ合うように構成された第1の保持特徴148を備える。ある非限定的な例では、第1の保持特徴148は、溝内舌(tongue-in-groove)形状のフランジ172を受容するように構成されたチャネル又は他のレリーフであってもよい。このようにして、フランジ172は、機械的保持強度を呈する機械的接合116を形成するために、第1の保持特徴148によって受容される。したがって、受け部186及びフランジ172は、間に締まり嵌めを提供するように寸法決めすることができる。図7図9及び図10に示されているように、フランジ172は、金属セクション112に設けられるものとして図示され説明され、受け部138は、ポリマーセクション114に設けられるものとして図示されているが、フランジ172がさらにポリマーセクション114に設けられ、受け部138は金属セクション112に設けられて機械的接合116を形成してもよい。
【0058】
再び図7及び図10を参照すると、ある非限定的な例において、フランジ172は、フランジ172の少なくとも片面から延びる、タブ、こぶ、突出部等の少なくとも1つの第2の保持特徴156を備える。したがって、機械的接合116が形成されるように、フランジ172がポリマーセクション114の第1の保持特徴148に配置されたときに、第1の保持特徴148及び第2の保持特徴156は間に締まり嵌めを提供するように寸法決めすることができる。
【0059】
さらに、接着剤接合118は、接着材料68が金属セクション112とポリマーセクション114との間に配置されたときに形成される。図7に示す実施形態では、接着材料68は、接着材料68が保持特徴148とフランジ172との間に配置されるようにポリマーセクション114の保持特徴148内に配置される。接着剤接合118を形成し、ポリマーセクション114を金属セクション112に接着させるために、接着材料68を他の位置に配置してもよいため、接着材料68は保持特徴148及びフランジ172内への配置に制限されないことを理解すべきである。
【0060】
前述したように、接着剤接合118は、接着材料68の硬化量に応じて増大する接着剤保持強度を呈する。よって、接着材料68が部分的に硬化される時点までは、機械的接合116の単独での機械的保持強度は接着剤接合118の単独での接着剤保持強度よりも大きい。したがって、いったん接着材料68が部分的に硬化されると、クラブヘッド100のフェース122が所望のスイング速度でのゴルフボールとのインパクトによる負荷を受けたとき、接着剤接合118の接着剤保持強度単独でポリマーセクション114が金属セクション112から外れるのを防ぐのに十分である。
【0061】
図7及び図9図12に示すポリマーセクション114を引き続き参照すると、クラブヘッド100は他の機械的接合116及び接着剤接合118を備えていてもよい。特に図9を参照すると、ポリマーセクション114は、クラウン126及びソール124を含むマルチピース構成であってもよい。クラウン126及びソール124は、クラムシェル型の配置で互いに連結されて、内部空洞120の少なくとも一部を画定することができる。図7を参照すると、ソール124及びクラウン126は、ポリマーセクション114の周囲の一部の周りに延びる本体シーム182で交わる。ある構成では、本体シーム182は、ポリマーセクション114をほぼ半分に分割することができる。図9は、2つの部分/構成要素を含む本体設計を示すが、他の設計は、3つ以上の構成要素を備えていてもよい。
【0062】
次に、図7図8図11及び図12を参照すると、ポリマーセクション114のさまざまな部分を一緒に固定して、上述したように金属セクション112とポリマーセクション114との間に類似の溝内舌型の接合を採用することによって、間に少なくとも1つの機械的接合116及び少なくとも1つの接着剤接合118を形成することができる。このような設計は、いったん接着剤接合118の接着材料68が少なくとも部分的に硬化した後、接着剤接合118が完全な(sheer)強度により取り外しに抵抗するように、上部24と下部26の互いに対する位置合わせを促し、全結合表面積を最大化することができる。
【0063】
しかしながら、ポリマーセクション124、126間の機械的接合116は、他の機械的接合116も使用することができるため、溝内舌型の接合であることに限定されないことを理解すべきである。このような機械的接合116は、例えば、ダウエルインホール型の接合を提供するダウエルピン、クリップインホール型の接合を提供する保持クリップ及び/又は同等のものを用いて形成されてもよい。クリップインホール型の接合は、セクションの一方から延び、大きな引抜き力で小さな挿入力を提供するクリスマスツリー型のクリップのような保持クリップを使用して形成することができる。さらに、クリスマスツリー型のクリップの支柱に沿って配置された棘部は、クリップが対向するセクションの対応するホールに挿入されるときに、クリック音の形態で操作者に正のフィードバックを提供するように構成することができる。さらに、ダウエルピン又は保持クリップを使用すると、ダウエルクリップ又は保持クリップを対応するセクションの対応するホールと位置合わせしなければならないため、対応するセクション間の位置合わせが促される。ダウエルインホール型の接合及びクリップインホール型の接合は、ポリマーセクション124、126間に使用されることに限定されず、金属セクション112とポリマーセクション114との間に使用されてもよいことをさらに理解すべきである。
【0064】
図7及び図9図12に示す実施形態では、本体シーム182は機械的接合116及び/又は接着剤接合118を備える。より具体的には、ソール124は、クラウン126の噛み合う受け部186内に延び、本体シーム182を形成するリップ174を備える。図11及び図12は、本体シーム182の断面図を提供して、リップ174及び受け部186をより明確に示す。図11は、ソール124から間隔をあけたクラウン126を示しており、クラウン126には接着材料68が配置されている。図12は、ソール124に固定され、間に機械的接合116及び接着剤接合118を形成するクラウン126を示している。
【0065】
引き続き図11及び図12を参照して、受け部186は少なくとも1つのこぶ162を備えることができ、リップ174は少なくとも1つの凹部163を備えることができる。ソール124のリップ174がクラウン126の受け部186内に延びるとき、こぶ162は対応する凹部163内に受容され、クラウン126をソール124に連結し、間に機械的接合116を形成する。さらに、接着材料68は、間に接着剤接合118を提供するために、リップ174と受け部186との間に配置され得る。機械的接合116は、上述したように、結合接着剤68が少なくとも部分的に硬化されるまで、機械的接合116を提供する任意の他の適切な構成がクラウン126をソール124に固定するために使用することもできるため、こぶ162がクラウン126に形成され、凹部163がソール124のリップ174に画定されることに限定されないことを理解すべきである。
【0066】
図7図10を参照すると、ポリマーセクション114のクラウン126は、内部空洞120内に延び、ソール124によって画定されるチャネル178内に延びる支持フランジ188をさらに備えることできる。より具体的には、非限定的な例として、ソール124は、間にチャネル178を画定する一対の離間した壁190を備えることができる。支持フランジ188は、少なくとも所望の最低剛性を維持しながら、クラブヘッド100を補強する(例えば、1つ又は複数のモード周波数を増加させる)ように、又はクラウン126及びソール124の一方もしくは両方をより薄く、かつ/もしくはより軽くするように機能する補強支柱としての役割を果たすことができる。支持フランジ188は、本体シーム182から出て内部空洞120内へ直接的に延びてもよく、又はより一般的には本体シーム182と交わる平面内にあってもよい。
【0067】
図7図10で提供される設計では、支持フランジ188は、機械的接合116及び/又は接着剤接合118が間に形成されるように、チャネル178内に延びることができる。前述した機械的接合116及び接着剤接合118と同様に、支持フランジ188は、結合表面積を最大にする溝内舌型の接合を用いて固定され接着されて、接着材料68が完全に硬化した後の主に完全な強度により外れることを防止できる。
【0068】
具体的に図8を参照すると、図7及び図9の支持フランジ188は、2つの離間した壁190の間に画定されるチャネル178内に延在する。接着材料68は、接着剤接合118が間に形成されるように支持フランジ188の挿入前にチャネル178内に配置されてもよい。
【0069】
さらに、壁190は、互いから第1の距離192だけ離間されている。支持フランジ188は、離間した壁190の第1の距離192と少なくとも等しい厚さを有するように構成されてもよい。このように、支持フランジ188が壁190の間に挿入されると、締まり嵌めが生じることにより、間に機械的接合116を形成する。非限定的な例として、厚さ194は、第1の距離192よりわずかに大きく、例えば0.01~0.02mmであってよい。
【0070】
さらに、図8に示す実施形態を参照すると、壁190は、互いに第1の距離192だけ離間している。壁190は、第1の保持特徴148を備えることができ、支持フランジ188は、第2の保持特徴156を備えることができる。壁190の第1の保持特徴148は、チャネル178内に延びる少なくとも1つの突起158であってよい。同様に、支持フランジ188の第2の保持特徴156は、少なくとも1つの突起158を備えることができる。図8に提供される設計を参照すると、2つの突出部158は、2つの突出部158が互いから第1の距離194だけ離間するように互いに対向するように壁190から延びる。同様に、突出部158は、支持フランジ88の対向する突出部158の間に厚さ196が画定されるように支持フランジ188から延びる。そこで、第1の距離194は、支持フランジ188がチャネル178内に挿入されたときに支持フランジ188の突起158と壁190の突起との間に隙間がないように厚さ196よりも小さくなるように構成される。したがって、支持フランジ188がチャネル178に挿入されると、受け部138の壁190及び/又は支持フランジ188の突起158が一時的に変形して、支持フランジ188の突起158が壁190の対応する突起158を越えて移動してチャネル178に入り、間に機械的接合116を形成することができる。
【0071】
さらに、支持フランジ88を挿入する前に接着材料68をチャネル178内に配置して、間に接着剤接合118を形成することもできる。
【0072】
ここで図13図17に示す設計を参照すると、ゴルフクラブヘッドの別の実施形態が200で示されている。クラブヘッド200は、第1のセクション(「金属セクション212」)及び第2のセクション(「ポリマーセクション214」)を備える別の中空ウッドタイプのゴルフクラブヘッド200である。金属セクション212は開口部236を画定している。ポリマーセクション214は開口部236を覆い、少なくとも1つの機械的接合216及び少なくとも1つの接着剤接合218がセクション212、214間に形成されるように金属セクション212に取り付けられる。図14を参照すると、閉じた内部空洞220が、金属セクション212とポリマーセクション214との間に画定される。
【0073】
図13を参照すると、クラブヘッド200は、フェース222、ソール224及びホーゼル230を備える。より具体的には、クラブヘッド200の金属セクション212は、フェース222、ソール224の第1の部分224A及びホーゼル230を備える。金属セクション212は、前述したように軽量合金から形成されていてよい。
【0074】
引き続き図13を参照して、金属セクション212のソール224の第1の部分224Aは開口部236を画定し、ポリマーセクション214は開口部236を覆うように構成される。ポリマーセクション214は、ポリマーセクション214が開口部236内に受容されると、第2の部分224Bと第1の部分224Aとが組み合わさってソール224全体を提供するようにソール224の第2の部分224Bを備えることができる。
【0075】
引き続き図13を参照して、金属セクション212は、開口部236を少なくとも部分的に取り囲むように、ソール224の第1の部分224Aに対して延びる受け部238を備える。受け部238は、ポリマーセクション214が開口部236を覆うようにポリマーセクション214を支持するように構成される。受け部238は、ソール224の第1の部分224Aから略垂直に延び、内向き面246を呈する外周壁244を備えることができる。棚状部240は、外周壁244から略垂直に延びて開口部236を少なくとも部分的に取り囲む。
【0076】
ポリマーセクション214は、機械的接合216及び接着剤接合218を提供するように金属セクション212に取り付けられるポリマー構成要素であってもよい。図13及び図17を参照すると、ポリマーセクション214は、第1の表面250と、第1の表面250に対向する第2の表面252とを備える。第1の表面250の少なくとも一部が、図15及び図16に示されるように、棚状部240の外向き面242によって操作可能に支持されるように、ポリマーセクション214は、ソール224の凹部内に嵌まり、金属セクション212の開口部236を覆うように寸法決めされる。
【0077】
図13図16を参照すると、外周壁244は少なくとも1つの第1の保持特徴248を備えることができる。より具体的には、第1の保持特徴248は、外周壁244により画定されるスロット284であってよい。本設計では、フランジは、以下でより詳細に説明されるように、第1の保持特徴248としても機能することができる。
【0078】
図17を参照すると、第1の表面250は複数の第2の保持特徴256を備える。第2の保持特徴256の1つ又は複数は、ソール224の第2の部分224Bの周囲から略長手方向に延びるタブ290であってよい。タブ290は、金属セクション212の外周壁244に画定されるスロット284に対応する。同様に、複数の片持ちスナップ嵌め286が、ポリマーセクション214の第2の部分224Bの周囲から延びることができる。より具体的には、一実施形態では、片持ちスナップ嵌め286が、ポリマーセクション214の第2の表面250の周囲から略垂直に延びることができる。スナップ嵌め286は、棚状部240の内縁部288に対応するように構成される。図16及び図17を参照すると、3つのスナップ嵌め286が互いに間隔をあけて第2の表面250から延びている。スナップ嵌め286の数は、本設計に図示された4つより多くても少なくてもよいことを理解すべきである。各スナップ嵌め286は、第2の表面252からヘッド289まで延びる梁288を備える。アンダーカット290は梁288とヘッド289との間に画定される。
【0079】
図15及び図16を参照すると、クラブヘッド200の組み立て中に、ポリマーセクション214は、タブ290が金属セクション212のスロット284と位置合わせされ、その後そこに挿入されるように、金属セクション212に対して配向される。次に、ポリマーセクション214は、各スナップ嵌め286ヘッドが棚状部240に接触するまで、スロット284に対して枢動される。接触による力により、スナップ嵌め286のヘッド289が撓むため、ヘッド289は、アンダーカット290がソール224とは反対側の棚状部240の下面292と係合して間に機械的接合216を形成するまで、棚状部240の周囲で移動する。したがって、スナップ嵌め286がすべて棚状部240の下面292と係合して4つの機械的接合216を形成するまで、ポリマーセクション214は金属セクション212に向かって押し込まれてもよい。
【0080】
概ね図14に示すように、ポリマーセクション214は、ポリマーセクション214が開口部236を完全に覆うように、金属セクション212に固定され得る。機械的接合216と接着剤接合218が形成されることにより、図1図5の機械的接合16及び接着剤接合18に関して前述したのと同じ機能及び同じ利点が提供される。
【0081】
さらに、機械的接合216を形成するためにポリマーセクション214を金属セクション212に機械的に取り付ける前に、ポリマーセクション214が金属セクション212に機械的に取り付けられているとき、接着材料68がポリマーセクション214と金属セクション212との間に配置されるように、接着材料68が金属セクション212及び/又はポリマーセクション214上に配置される。図13図17に示す実施形態では、接着材料68が受け部238の棚状部240とポリマーセクション214の第1の表面250との間に配置されるように、接着材料68は金属セクション212の受け部238内に配置される。接着剤接合218を形成し、ポリマーセクション214を金属セクション212に接着させるために、接着材料68を他の位置に配置してもよいため、接着材料68は、受け部238内への配置に制限されないことを理解すべきである。
【0082】
前述したように、接着剤接合218は、接着材料68の硬化量に応じて増大する接着剤保持強度を呈する。よって、接着材料68が部分的に硬化される時点までは、機械的接合216の単独での機械的保持強度は接着剤接合218の単独での接着剤保持強度よりも大きい。したがって、いったん接着材料68が部分的に硬化されると、クラブヘッド200のフェース222が所望のスイング速度でのゴルフボールとのインパクトによる負荷を受けたとき、接着剤接合218の接着剤保持強度単独でポリマーセクション214が金属セクション212から外れるのを防ぐのに十分となる。
【0083】
機械的接合は、接着材料68が少なくとも部分的に硬化されたときの接着強度よりも小さい機械的強度を有するように、他のタイプの機械的接合も考慮されるため、本開示は本明細書で説明し図示した機械的接合に限定されないことを理解すべきである。考慮される他の機械的接合の一部としては、ボス内に画定されたホールに圧入されるポストが挙げられるが、これに限定されない。
【0084】
さらに、図の第1の保持特徴及び第2の保持特徴は、概略的に図示されており、縮尺通りに示されることが意図されていないことを理解すべきである。したがって、第1の保持特徴及び第2の保持特徴は、実際にはポリマーセクションを金属セクションに嵌め(すなわち、連結、プレス嵌め等)、かつ/又は上部セクションを下部セクションに嵌めたときに、ポリマーセクションの材料の圧縮性を可能にするのに十分な締めしろを提供するように構成されている。したがって、一実施形態では、第1の保持特徴と第2の保持特徴との間の締めしろは、約0.01~0.02ミリメートルであり得る。しかし、他の締めしろも可能であり、ポリマーセクション14の材料特性に応じる。
【0085】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は複数の」は、物品の少なくとも1つが存在することを示すために同義的に使用され、文脈上明らかに他の記載がない限り、複数のこのような物品が存在し得る。添付の特許請求の範囲を含め、本明細書におけるパラメータの(例えば、量又は条件の)すべての数値は、「約」が数値の前に実際にあるか否かにかかわらず、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載される数値が多少の不正確さを許容することを示す(精密な値にある程度近似して;値に対しておおよそ又は合理的に近接して;ほぼ)。「約」によって示される不正確さが、当該技術分野においてこの通常の意味と別の意味で理解されない場合、本明細書において使用される際の「約」は、少なくとも、このようなパラメータの通常の測定及び使用方法から生じ得る変動を示す。さらに、範囲の開示は、全範囲内のすべての値及びさらに分割される範囲の開示を含む。範囲内の各値及び範囲の端点は、本明細書では別の実施形態としてすべて開示されている。用語「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「including(含む、備える)」及び「having(有する)」は包括的であり、したがって述べられる項目を明示するものであるが、他の項目の存在を排除するものではない。本明細書中で使用されるとき、用語「又は」は記載された項目の1つ又は複数のあらゆる組み合わせを含む。用語「第1の」、「第2の」、「第3の」等が種々の項目を互いに区別するために使用される場合、これらの表記は、単に便宜上のものであって、項目を制限するものではない。
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17