(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20221109BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20221109BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K1/03 630G
H01L23/12 J
(21)【出願番号】P 2020522262
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021357
(87)【国際公開番号】W WO2019230826
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2018102483
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】北住 登
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-238733(JP,A)
【文献】特開2015-191950(JP,A)
【文献】特開平08-191121(JP,A)
【文献】特開2012-160548(JP,A)
【文献】特開2000-200865(JP,A)
【文献】特開2008-199057(JP,A)
【文献】特開平07-297329(JP,A)
【文献】特開平10-256442(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/03
H01L 23/12
H05K 7/20
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有し、絶縁体からなり、方形状である第1基板と、
前記第1主面に位置し、矩形状である電子素子の搭載部を有する表面金属層と、
前記第1主面と相対する第2主面に位置し、炭素材料からなり、前記第2主面と対向する第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する第2基板とを有しており、
前記第2主面に接合金属層が位置しており、
平面透視において、前記第2基板は、前記搭載部の長手方向の熱伝導より前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向における前記接合金属層の幅の大きさは、前記表面金属層の幅の大きさ以上であり、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層の端部と表面金属層の端部との間隔は、平面透視において、第1基板の外縁に沿って、第1基板の基板厚み以上であ
り、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる縦断面視において、前記第2主面が前記第3主面側に凸であり、
前記接合金属層と前記第3主面との間に接合材が位置しており、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる縦断面視において、前記接合材は、中央部の厚みより外縁部の厚みが大きいことを特徴とする電子素子搭載用基板。
【請求項2】
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる縦断面視において、前記第1基板は、外縁部の厚みより中央部の厚みが大きいことを特徴とする請求項
1に記載の電子素子搭載用基板。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の電子素子搭載用基板と、
該電子素子搭載用基板の搭載部に搭載された電子素子と、
前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の電子装置と、
該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子搭載用基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子素子搭載用基板は、第1主面と第2主面と側面とを有する絶縁基板と、絶縁基板の第1主面に位置した電子素子の搭載部および配線層とを有している。電子素子搭載用基板において、電子素子の搭載部に電子素子を搭載した後、電子素子収納用パッケージに搭載されて電子装置となる(特開2013-175508号公報参照。)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の電子素子搭載用基板は、第1主面を有し、絶縁体からなり、方形状である第1基板と、
前記第1主面に位置し、矩形状である電子素子の搭載部を有する表面金属層と、
前記第1主面と相対する第2主面に位置し、炭素材料からなり、前記第2主面と対向する第3主面および該第3主面と相対する第4主面を有する第2基板とを有しており、
前記第2主面に接合金属層が位置しており、
平面透視において、前記第2基板は、前記搭載部の長手方向の熱伝導より前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向における前記接合金属層の幅の大きさは、前記表面金属層の幅の大きさ以上であり、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層の端部と表面金属層の端部との間隔は、平面透視において、第1基板の外縁に沿って、第1基板の基板厚み以上であり、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる縦断面視において、前記第2主面が前記第3主面側に凸であり、
前記接合金属層と前記第3主面との間に接合材が位置しており、
前記搭載部の長手方向に垂直に交わる縦断面視において、前記接合材は、中央部の厚みより外縁部の厚みが大きい構成とする。
【0004】
本開示の電子装置は、上記構成の電子素子搭載用基板と、該電子素子搭載用基板の前記搭載部に搭載された電子素子と、前記電子素子搭載用基板が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有している。
【0005】
本開示の電子モジュールは、上記構成の電子装置と、該電子装置が接続されたモジュール用基板とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は、第1の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図2】
図1に示された電子素子搭載用基板の第1基板と、第2基板とをそれぞれ分解した斜視図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図であり、(c)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板のC-C線における縦断面図である。
【
図4】
図3(a)のA部における要部拡大縦断面図である。
【
図5】(a)は、
図1(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図6】(a)は、第2の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図7】
図6に示された電子素子搭載用基板の第1基板と、第2基板と、第3基板とを分解した斜視図である。
【
図8】(a)は、
図6(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図6(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図であり、(c)は、
図6(a)に示された電子素子搭載用基板のC-C線における縦断面図である。
【
図9】
図8(a)のA部における要部拡大縦断面図である。
【
図10】(a)は、
図5(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図11】(a)は、第3の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図12】
図11に示された電子素子搭載用基板の第1基板と、第2基板と、第3基板と、第4基板とを分解した斜視図である。
【
図13】(a)は、
図11(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、
図11(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図であり、(c)は、
図11(a)に示された電子素子搭載用基板のC-C線における縦断面図である。
【
図14】
図13(a)のA部における要部拡大縦断面図である。
【
図15】(a)は、
図11(a)に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。に示された電子素子搭載用基板に電子素子を搭載した状態を示す上面図であり、(b)は(a)のB-B線における縦断面図である。
【
図16】(a)は、第4の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図17】(a)は、
図16(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は
図16(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図であり、(c)は、
図16(a)に示された電子素子搭載用基板のC-C線における縦断面図である。
【
図18】(a)は、第4の実施形態の他の例における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図19】(a)は、
図18(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は
図18(a)に示された電子素子搭載用基板のB-B線における縦断面図であり、(c)は、
図18(a)に示された電子素子搭載用基板のC-C線における縦断面図である。
【
図20】(a)は、第5の実施形態における電子素子搭載用基板を示す上面図であり、(b)は(a)の下面図である。
【
図21】(a)は、
図20(a)に示された電子素子搭載用基板のA-A線における縦断面図であり、(b)は、(a)に示された電子素子搭載用基板のA部における要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
本開示の第1の実施形態における電子素子搭載用基板1は、
図1~
図5に示された例のように、第1基板11と第2基板12とを含んでいる。電子装置は、電子素子等用基板1と、電子素子搭載用基板の搭載部11aに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板とを含んでいる。電子装置は、例えば電子モジュールを構成するモジュール用基板上の接続パッドに接合材を用いて接続される。
【0009】
本実施形態における電子素子搭載用基板1は、第1主面を有し、絶縁体からなり、方形状である第1基板11と、第1主面に位置し、矩形状である電子素子2の搭載部11aを有する表面金属層13と、第1主面と相対する第2主面に位置し、炭素材料からなり、第2主面と対向する第3主面および第3主面と相対する第4主面を有する第2基板12とを有しており、第2主面に接合金属層14が位置している。平面透視において、第2基板12は、搭載部11aの長手方向の熱伝導より搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合金属層14の幅の大きさは、表面金属層13の幅の大きさ以上である。
図1~
図5において、電子素子2は仮想のxyz空間におけるxy平面に実装されている。
図1~
図5において、上方向とは、仮想のz軸の正方向のことをいう。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に電子素子搭載用基板1等が使用される際の上下を限定するものではない。
【0010】
表面金属層13は、
図1(a)に示す例において、ハッチングにて示している。
【0011】
第1基板11は、第1主面(
図1~
図4では上面)および第2主面(
図1~
図4では下面)を有している。第1主面と第2主面とは相対して位置している。第1基板11は、単層または複数の絶縁層からなり、平面視において、第1主面および第2主面のそれぞれに対して二組の対向する辺(4辺)を有した方形の板状の形状を有している。第1基板11は、長方形状の電子素子2を支持するための支持体として機能し、第1基板11の第1主面に位置した矩形状の搭載部11a上に電子素子2がAu-Sn等の接合部材を介して接着され固定される。
【0012】
第1基板11は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等のセラミックスを用いることができる。第1基板11は、例えば窒化アルミニウム質焼結体である場合であれば、窒化アルミニウム(AlN),酸化エルビニウム(Er2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)等の原料粉末に適当な有機バインダーおよび溶剤等を添加混合して泥漿物を作製する。上記の泥漿物を、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等を採用してシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを作製する。必要に応じて、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、高温(約1800℃)で焼成することによって、単層または複数の絶縁層からなる第1基板11が製作される。
【0013】
第2基板12は、第3主面(
図1~
図4では上面)および第4主面(
図1~
図4では下面)を有している。第3主面と第4主面とは相対して位置している。
【0014】
第2基板12は、例えば、炭素材料からなり、六員環が共有結合でつながったグラフェンが積層した構造体として形成される。各面がファンデルワールス力で結合された材料である。
【0015】
表面金属層13は、第1基板11の第1主面に位置している。表面金属層13は、電子素子11の搭載部11a、あるいはボンディングワイヤ等の接続部材3の接続部として用いられ、電子素子2と配線基板の配線導体とを電気的に接続するためのものである。
【0016】
表面金属層13は、薄膜層およびめっき層とを含んでいる。薄膜層は、例えば、密着金属層とバリア層とを有している。薄膜層を構成する密着金属層は、第1基板11の第1主面に形成される。密着金属層は、例えば、窒化タンタル、ニッケル-クロム、ニッケル-クロムーシリコン、タングステン-シリコン、モリブデン-シリコン、タングステン、モリブデン、チタン、クロム等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術を採用することにより、第1基板11の第1主面に被着される。例えば真空蒸着法を用いて形成する場合には、第1基板11を真空蒸着装置の成膜室内に設置して、成膜室内の蒸着源に密着金属層と成る金属片を配置し、その後、成膜室内を真空状態(10-2Pa以下の圧力)にするとともに、蒸着源に配置された金属片を加熱して蒸着させ、上記の蒸着した金属片の分子を第1基板11に被着させることにより、密着金属層と成る薄膜金属の層を形成する。そして、薄膜金属層が形成された第1基板11にフォトリソグラフィ法を用いてレジストパターンを形成した後、エッチングによって余分な薄膜金属層を除去することにより、密着金属層が形成される。密着金属層の上面にはバリア層が被着され、バリア層は密着金属層とめっき層と接合性、濡れ性が良く、密着金属層とめっき層とを強固に接合させるとともに密着金属層とめっき層との相互拡散を防止する作用をなす。バリア層は、例えば、ニッケルークロム、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト等から成り、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の薄膜形成技術により密着金属層の表面に被着される。
【0017】
密着金属層の厚さは0.01~0.5μm程度が良い。0.01μm未満では、第1基板11上に密着金属層を強固に密着させることが困難となる傾向がある。0.5μmを超える場合は密着金属層の成膜時の内部応力によって密着金属層の剥離が生じ易くなる。また、バリア層の厚さは0.05~1μm程度が良い。0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生してバリア層としての機能を果たしにくくなる傾向がある。1μmを超える場合は、成膜時の内部応力によりバリア層の剥離が生じ易くなる。
【0018】
めっき層は、電解めっき法または無電解めっき法によって、薄膜層の露出した表面に被着される。めっき層は、ニッケル,銅,金または銀等の耐食性、接続部材との接続性に優れる金属から成るものであり、例えば、厚さ0.5~5μm程度のニッケルめっき層と0.1~3μm程度の金めっき層とが順次被着される。これによって、表面金属層13が腐食することを効果的に抑制できるとともに、表面金属層13と配線基板に形成された配線導体との接合を強固にできる。
【0019】
また、バリア層上に、銅(Cu)、金(Au)等の金属層を配置し、めっき層が良好に形成されるようにしても構わない。上記の金属層は、薄膜層と同様な方法により形成される。
【0020】
接合金属層14は、上述の表面金属層13と同様な方法により製作することができる。なお、接合金属層14は、上述の薄膜層により形成する場合、後述する接合材15により第2基板12と接合するため、耐熱性に優れた金属層により形成される。
【0021】
搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層14の幅は、表面金属層13の幅の大きさ以上である。搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合用金属層14は、
図3に示す例のように、搭載部11aが位置した領域において、表面金属層13の幅の大きさ以上としている(W21≧W11、W22≧W12)。
【0022】
第1基板11は、熱伝導率に優れた窒化アルミニウム質焼結体が好適に用いられる。第1基板11と第2基板12とは、第1基板11の第2主面に位置した接合用金属層14と第2基板12の第3主面とが、例えば、TiCuAg合金、TiSnAgCu等の活性ろう材からなる接合材15により接着される。接合材は、第1基板11と第2基板12との間に10μm程度の厚みに配置される。
【0023】
第1基板11は、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて方形状をしている。第1基板11と2基板12とを接着することにより、方形状の複合基板が形成される。なお、方形状とは、正方形状、長方形状等の四角形状である。
図1~
図4に示す例において、平面視にて、第1基板11および第2基板12は長方形状をしており、長方形状の複合基板が形成される。
【0024】
第1基板11の基板厚みT1は、例えば、50μm~500μm程度であり、第2基板12の基板厚みT2は、例えば、100μm~2000μm程度である。第1基板11と第2基板12とは、T2>T1であると、第1基板11の熱を第2基板12に良好に放熱することができる。
【0025】
第1基板11と第2基板12とを接合材15により接合して複合基板を製作した後、第1基板11の第1主面に表面金属層13を設けることで、電子素子搭載用基板1が形成される。
【0026】
第1基板11の熱伝導率κは、
図2に示す例のように、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第1基板11の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(κx≒κy≒κz)。例えば、第1基板11として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第1基板11は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κである基板が用いられる。
【0027】
第2基板12の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向とy方向とで大きさが異なっている。
図2に示す、第2基板12のそれぞれの方向における熱伝導率λx、λy、λzの関係は、「熱伝導率λx≒熱伝導率λz>>熱伝導率λy」である。第2基板12の熱伝導率λは、平面方向におけるx方向と厚み方向におけるz方向とが同等であり、平面方向におけるy方向が異なっている。例えば、第2基板12の熱伝導率λxおよび熱伝導率λzは、1000W/m・K程度であり、第2基板12の熱伝導率λyは、4W/m・K程度である。
【0028】
電子素子搭載用基板1の第1主面に位置した搭載部11a上に、長方形状の電子素子2を搭載し、上記の電子素子搭載用基板1を配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージに搭載することによって電子装置を作製できる。電子素子搭載用基板1に搭載される電子素子2は、例えばLD(Laser Diode)等の発光素子、PD(Photo Diode)等の受光素子である。例えば、電子素子2は、Au-Sn等の接合材によって、一方の表面金属層13の搭載部11a上に固定された後、ボンディングワイヤ等の接続部材3を介して電子素子2の電極と他方の表面金属層13とが電気的に接続されることによって電子素子搭載用基板1に搭載される。電子素子2の電極と他方の表面金属層13とは、
図4に示す例では、複数の接続部材3により電気的に接続されている。電子素子搭載用基板1が搭載される配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージは、例えば、第1基板11と同様に、セラミックス等の絶縁基体を用いることができ、表面に配線導体を有している。そして、電子素子搭載用基板1の表面金属層13と配線基板もしくは電子素子搭載用パッケージの配線導体とが電気的に接続される。
【0029】
本実施形態の電子素子搭載用基板1によれば、第1主面を有し、絶縁体からなり、方形状である第1基板11と、第1主面に位置し、矩形状である電子素子2の搭載部11aを有する表面金属層13と、第1主面と相対する第2主面に位置し、炭素材料からなり、第2主面と対向する第3主面および第3主面と相対する第4主面を有する第2基板12とを有しており、第2主面に接合金属層14が位置しており、平面透視において、第2基板12は、搭載部11aの長手方向の熱伝導より搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きく、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合金属層14の幅の大きさは、表面金属層13の幅の大きさ以上である。上記構成により、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0030】
本実施形態の電子装置によれば、上記構成の電子素子搭載用基板1と、電子素子搭載用基板1の搭載部11aに搭載された電子素子2と、電子素子搭載用基板1が搭載された配線基板または電子素子収納用パッケージとを有していることによって、長期信頼性に優れた電子装置とすることができる。
【0031】
本実施形態の電子装置が、配線導体とモジュール用基板の接続パッドに半田等の接合材6を介して接続されて、電子モジュールとなる。これにより、電子素子2とモジュール用基板の接続パッドとが電気的に接続される。
【0032】
本実施形態の電子モジュールによれば、上記構成の電子装置と、電子装置が接続されたモジュール用基板とを有することによって、長期信頼性に優れたものとすることができる。
【0033】
搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層14の幅は、
図3に示す例のように、表面金属層13の幅より大きい(W21>W11、W22>W12)と、表面金属層13からの熱が第2基板12側に良好に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向により良好に伝熱することができる。
【0034】
搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層14の両端部は、
図1~
図3に示す例のように、第1基板11の外縁に沿って、表面金属層13の両端部よりも第1基板11の外縁に近い領域に位置すると、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、第1基板11の外縁に沿って、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0035】
搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層14の端部と表面金属層13の端部との間隔は、平面透視において、第1基板11の外縁に沿って、第1基板11の基板厚みT1以上であると、第1基板11の外縁に沿って、端部において、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができる。
【0036】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における接合層金属層14の幅と表面金属層13の幅との間隔は、平面透視において、第1基板11の外縁に沿って、第1基板11の基板厚みT1の2倍以上(W21-W11≧2T1、W22-W12≧2T1)であると、第1基板11の外縁に沿って、両端部において、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができる。
【0037】
第1基板11の第1主面に設けた表面金属層13または第1基板11の第2主面に設けた接合用金属層14は、上述の例では、薄膜法により形成しているが、従来周知のコファイア法またはポストファイア法等を用いた金属層であっても構わない。上記の表面金属層13または接合用金属層14を用いる場合は、表面金属層13または接合用金属層14は、第1基板11と第2基板12との接合前にあらかじめ第1基板11の第1主面または第2主面に設けられる。なお、第1基板11の平面度を良好なものとするために、上述の第1の実施形態に示されたように、第1基板11の第1主面に設けた表面金属層13または第1基板11の第2主面に設けた接合用金属層14は、薄膜法により形成する方法でもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本開示の第3の実施形態による電子装置について、
図6~
図10を参照しつつ説明する。
【0039】
第2の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、第2基板12の第4主面に位置し、絶縁体からなり、第4主面と対向する第7主面、および第7主面と相対する第8主面を有する第3基板16を有している点である。
【0040】
表面金属層13は、
図6に示す例において、ハッチングにて示している。
【0041】
第2の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0042】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第1基板11は、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて方形状をしている。第3基板16は、平面視にて、方形状をしている。第1基板11、2基板12、第3基板16を接着することにより、方形状の複合基板が形成される。なお、方形状とは、正方形状、長方形状等の四角形状である。
図6~
図9に示す例において、平面視にて、第1基板11、第2基板12、第3基板16は長方形状をしており、長方形状の複合基板が形成される。
【0043】
第3基板16は、上述の第1基板11と同様の材料および方法により製作することができる。第4基板13の熱伝導率κ2は、
図7に示す例のように、第1基板11と同様に、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第4基板14の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(κx2≒κy2≒κz2)。例えば、第1基板16として、窒化アルミニウム質焼結体が用いられる場合、第1基板16は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κ2である基板が用いられる。
【0044】
なお、第1基板11と、第2基板12と第3基板16とを同時に接合しても構わない。例えば、上記において、例えば、第1基板11、第2基板12、第3基板16の順に重ねた状態で、第1基板11の第1主面側および第3基板16の第8主面側より圧力を印加しつつ接合等することにより、第第1基板11と、第2基板12と、第3基板16が良好に接合され、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。また、第1基板11と、第2基板12と、第3基板16とを同時に接合することで、製作時において、第2基板12の露出を抑制し、外気による変質を抑制することが出来る。
【0045】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第2基板12が、第1基板11および第3基板16の間に位置していることから、第1基板11と第2基板12との熱膨張の違いによる電子素子搭載用基板1の歪みが抑制され、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0046】
特に、第3基板16が、第1基板11と実質的に同一材料の絶縁体を用いている、すなわち、例えば、第1基板11として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いている場合、第3基板16として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いていると、より効果的に電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0047】
また、第3基板16の基板厚みT3は、第1基板11の基板厚みT1と同様に、例えば、50μm~500μm程度である。第1基板11の基板厚みT1と第3基板16の基板厚みT3とは、10%程度の範囲内において同等の基板厚みである(0.90T1≦T3≦1.10T1)と、より効果的に電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。例えば、第1基板11の基板厚みが100μmである場合、第3基板16の基板厚みは、100μm(90μm~110μm)であってもよい。
【0048】
また、第3基板16は、
図6~
図9に示す例のように、第5主面側に接合用金属層14を有していると、第1基板11側と同様に、第2基板12と第3基板16に位置した接合用金属層14とを接合材15により良好に接合することができる。第3基板16の第5主面に位置した接合用金属層14は、第1基板11の第2主面に位置した接合用金属層14と同様の方法により製作することができる。
【0049】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向における第3基板16の第5主面に位置した接合用金属層14の幅は、第1基板11の第2主面に位置した接合用金属層14と同様に、表面金属層13の幅よりも大きいと、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、第2基板12からの熱が第3基板16側に伝熱されやすくし、第2基板12および第3基板16を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0050】
また、第3基板16は、第6主面側に接合層を有しておいても構わない。第3基板16に位置する接合層は、例えば、電子素子搭載用基板1と配線基板または電子素子搭載用パッケージに位置した導体層との接合等に用いることができる。接合層は、上述の表面金属層13と同様な方法により製作することができる。また、接合層は、第4基板14の下面の略全面に位置しておくことで、電子素子搭載用基板1から配線基板または電子素子搭載用パッケージへの放熱性を良好なものとすることができる。
【0051】
第2の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態による電子装置について、
図10~
図15を参照しつつ説明する。
【0053】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、第2基板12の4つの側面を取り囲む枠状の第4基板17を有している点である。
【0054】
図10に示す例において、平面透視にて第2基板12の外縁を破線にて示している。表面金属層13は、
図10に示す例において、ハッチングにて示している。
【0055】
第3の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0056】
第4基板17の基板厚みT4は、例えば、第2基板12の基板厚みT2と同様に、100μm~2000μm程度である。第2基板12の基板厚みT2と第4基板17の基板厚みT4は、大きさが同じであり、5%程度の範囲内において同等の基板厚みである(0.95T2≦T4≦1.05T2)。第1基板11と第2基板12とは、T2>T1であり、第1基板11と第4基板17とは、T4>T1であると、第1基板11の熱を第4基板17に良好に放熱することができる。
【0057】
第4基板17の熱伝導率κ3は、
図11に示す例のように、平面方向におけるx方向とy方向とで略一定であり、第4基板17の厚み方向におけるz方向も平面方向におけるx方向とy方向と同等である(κx3≒κy3≒κz3)。例えば、第4基板17として、窒化アルミニウム基板が用いられる場合、第4基板17は、100~200W/m・K程度の熱伝導率κ3である基板が用いられる。例えば、第4基板17として、銅が用いられる場合、第4基板17は、400W/m・K程度の熱伝導率κ3である基板が用いられる。
【0058】
特に、第3基板16が、第1基板11と実質的に同一材料の絶縁体を用いている、すなわち、例えば、第1基板11として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いている場合、第3基板16として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いていると、より効果的に電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0059】
第4基板17が、例えば、第1基板11および第3基板16と実質的に同一材料の絶縁体を用いている、すなわち、例えば、第1基板11および第3基板16として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いている場合、第4基板17として、150W/m・Kの窒化アルミニウム質焼結体を用いている場合、第4基板17の第7主面および第8主面に、接合金属層14を有しておくと、第1基板11および第3基板16に位置した接合金属層14と良好に接合することができる。
【0060】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1において、第1基板11は、平面視にて、方形状をしている。第2基板12は、平面視にて、方形状をしている。第3基板16は、平面視にて、方形状をしている。第4基板17は、平面視にて方形の枠状をしている。第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14を接着することにより、方形状の複合基板が形成される。
図10~
図14に示す例において、第1基板11、第2基板、第3基板16は、長方形状をしており、第4基板17は、長方形の枠状をしており、第1基板11、第2基板12、第3基板13、第4基板14を接着することにより、長方形状の複合基板が形成される。
【0061】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第4基板17に、第2基板12を埋め込むための貫通穴を予め形成しておき、第4基板17の貫通穴の内面と第2基板12の外側面とを、TiCuAg合金、TiSnAgCu等の活性ろう材からなる接合材15により接着し、第2基板12が埋め込まれた第4基板16の両主面を接合材15により第1基板11と第3基板16とに接着することにより形成される。
【0062】
なお、第1基板11と、第2基板12と、第3基板16、第4基板17とを同時に接合しても構わない。例えば、第4基板17の貫通穴内に第2基板12を埋め込むとともに、第1基板11および第3基板16を第2基板12および第4基板17に接合して形成してもよい。上記において、例えば、第1基板11の第1主面側および第3基板16の第6主面側より圧力を印加しつつ接合等することにより、第第1基板11と、第2基板12と、第3基板16と、第4基板17とが良好に接合され、信頼性に優れた電子素子搭載用基板1とすることができる。また、第1基板11と、第2基板12と、第3基板16と、第4基板17とを同時に接合することで、製作時において、放熱体13の露出を抑制し、外気による変質を抑制することが出来るの。
【0063】
第3の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0064】
(第4の実施形態)
次に、本開示の第4の実施形態による電子装置について、
図16および
図17を参照しつつ説明する。
【0065】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、複数の搭載部11aが配列している点である。第4の実施形態の電子素子搭載用基板1において、複数の搭載部11aが配列された方向が搭載部11aの長手方向(
図16および
図17ではy方向)として見なされる。
【0066】
表面金属層13および第2表面金属層18は、
図16に示す例において、ハッチングにて示している。
【0067】
第4の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、複数の搭載部11aが配列する長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して複数の搭載部11aが配列する長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0068】
第2表面金属層18は、上述の表面金属層13と同様な材料および方法により製作することができる。
【0069】
また、
図16および
図17に示す例において、第2基板12は、複数の搭載部11aのそれぞれと重なるように複数の第2基板12が位置しているが、
図18および
図19に示す例ように、複数の搭載部11aと重なる1つの第2基板12として配置されていても構わない。上記において、第2基板12は、複数の搭載部11aが配列する長手方向の熱伝導より搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向の熱伝導が大きなるように配置される。
【0070】
第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0071】
(第5の実施形態)
次に、本開示の第5の実施形態による電子装置について、
図20および
図21を参照しつつ説明する。
【0072】
第5の実施形態における電子素子搭載用基板1において、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と異なる点は、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、言い換えると搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、第1基板11の第2主面が第2基板12の第3主面側に凸である点である。
【0073】
表面金属層13は、
図20に示す例において、ハッチングにて示している。
【0074】
第5の実施形態における電子素子搭載用基板1によれば、上記した実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向において、表面金属層13よりも幅広な範囲が接合金属層14により良好に接合され、表面金属層13からの熱が第2基板12側に伝熱されやすくし、第2基板12を介して搭載部11aの長手方向に垂直に交わる方向に良好に伝熱することができ、搭載部11a全体にわたって良好に放熱し、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0075】
なお、第1基板11の第2主面は、搭載部11aの長手方向(
図20および
図21ではy方向)にわたって第2基板11の第3主面側に凸となっている。搭載部11aの長手方向にわたって第1基板11の第2主面が第2基板11の第3主面側に凸であることから、第1基板11と第2基板12とを接合する際に、搭載部11aが位置した第1基板11の中央部における接合材15の厚みを外周部よりも搭載部11aの長手方向にわたって小さくすることで、搭載部11aの長手方向全体において第1基板11の中央部における第2基板12への伝熱性を高め、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0076】
上記の電子素子搭載用基板1は、接合金属層14が位置した面が凸となるような第1基板11を形成し、第1基板11の接合金属層14と第2基板12とを接合材15により接合し後、第1基板11の第1主面側を研磨加工等により平坦化した後、第1基板11の第1主面に表面金属層13を配置することにより製作することができる。
【0077】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、第1基板11は、外縁部の厚みより中央部の厚みが大きくなっていることから、第1基板11の中央部における第2基板12への伝熱性を高め、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0078】
また、第1基板11の厚みは、外縁部から中央部にかけて漸次大きくなっていると、第1基板11の中央部における第2基板12への伝熱性をより高め、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張をより低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0079】
また、
図21に示す例のように、第3基板16の第5主面が搭載部11aの長手方向にわたって、第2基板12の第4主面側に凸であると、第2基板12側が、第2基板12側に凸である第1基板11および第3基板16の間に位置しているので、第1基板11と第2基板12と第3基板16との熱膨張の違いによる電子素子搭載用基板1の歪みが抑制され、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出しやすくすることができる。
【0080】
また、接合金属層14と第3主面との間に接合材15が位置しており、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、接合材15は、中央部の厚みより外縁部の厚みが大きいことから、電子素子2から発生する熱が電子素子搭載用基板1の中央部だけでなく、電子素子搭載用基板1の外縁部に伝わりやすいものとなり、電子素子搭載用基板1の熱伝導の偏りが抑制されるものとなり、第2基板12へ効率的に伝熱しやすいものとなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0081】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、接合材15の厚みは、中央部から外縁部にかけて漸次大きくなっていると、電子素子2から発生する熱が電子素子搭載用基板1の中央部だけでなく、電子素子搭載用基板1の外縁部により伝わりやすいものとなり、電子素子搭載用基板1の熱伝導の偏りがより抑制されるものとなり、第2基板12へ効率的に伝熱しやすいものとなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0082】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、第2基板12の外側に第4基板17を有し、第4基板17は、接合材15の厚みが大きい部分に位置していると、電子素子2から発生する熱が電子素子搭載用基板1の外縁部に過度に伝わりにくいものとなり、電子素子搭載用基板1の熱伝導の偏りが効果的に抑制されるものとなり、第2基板12へ効率的に伝熱しやすいものとなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0083】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、第4基板17は、接合材15の厚みが大きい部分に位置していると、電子素子2から発生する熱が電子素子搭載用基板1の外縁部に過度に伝わりにくいものとなり、電子素子搭載用基板1の熱伝導の偏りが効果的に抑制されるものとなり、第2基板12へ効率的に伝熱しやすいものとなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0084】
また、搭載部11aの長手方向に垂直に交わる縦断面視において、第4基板17は、第1基板11の厚みが小さい箇所と対応する部分に位置していると、電子素子2から発生する熱が電子素子搭載用基板1の外縁部に過度に伝わりにくいものとなり、電子素子搭載用基板1の熱伝導の偏りが効果的に抑制されるものとなり、第2基板12へ効率的に伝熱しやすいものとなり、電子素子2から発生する熱による電子素子2の膨張を低減し、電子素子2の位置ずれ、または電子素子搭載用基板1の歪みを抑制することで良好に光を放出することができる。
【0085】
上記の電子素子搭載用基板1は、上述と同様に、接合金属層14を設けた面が凸となるような第3基板16を形成し、第2基板12と第3基板16の接合金属層14とを接合材15により接合し、第3基板16の第6主面側を研磨加工等により平坦化することにより製作することができる。
【0086】
第2基板12の第3主面側に凸状の第1基板11を配置し、第2基板12の第4主面側に凸状の第3基板16を配置した後、第1基板11、第2基板12、第3基板16を同時に接合材15により接合してもよい。
【0087】
また、第3基板16は上記の第1基板11と同様の構成を有していてもよい。また第3基板16側の接合金属層14、接合材15は上記の第1基板11側の接合金属層14、接合材15と同様の構成を有してもよい。また、第4基板17と第3基板16側の接合材15との位置関係は、上記の第4基板17と第1基板11側の接合材15との位置関係と同様の構成を有していてもよい。また第4基板17と第3基板16との位置関係についても、上記の第4基板17と第1基板11との位置関係と同様の構成を有していてもよい。
【0088】
第5の実施形態の電子素子搭載用基板1は、その他は上述の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様の製造方法を用いて製作することができる。
【0089】
本開示は、上述の実施形態の例に限定されるものではなく、種々の変更は可能である。例えば、第1の実施形態の電子素子搭載用基板~第5の実施形態の電子素子搭載用基板1において、複合基板の角部に切欠き部または面取り部を有している方形状であっても構わない。
【0090】
また、第4の実施形態の電子素子搭載用基板1は、第5の実施形態の電子素子搭載用基板1と同様に、第1基板11の第2主面は、複数の搭載部11aが配列した長手方向(
図17および
図18ではx方向)にわたって第2基板11の第3主面側に凸となっていてもよい。