(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】外科手術用クリップ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61B17/122
(21)【出願番号】P 2020526574
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(86)【国際出願番号】 US2018060946
(87)【国際公開番号】W WO2019099462
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】フォシー デイヴィッド リー
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105054989(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0208324(US,A1)
【文献】米国特許第09220507(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を結紮するように形成された
外科手術用クリップであって、
第1の脚部材及び第2の脚部材であって、前記第1の脚部材は、湾曲を有する内面を有し、前記第2の脚部材は、湾曲を有する内面を有し、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材は、前記内面が間隔を開けられる開放形態と前記内面が近づけられる閉じ形態との間で移動するように形成される、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材と、
第1のロック部材及び第2のロック部材であって、前記第1のロック部材は、前記第1の脚部材の遠位端部分に配置され、前記第2のロック部材は、前記第2の脚部材の遠位端部分に配置され、前記第1のロック部材及び前記第2のロック部材は、前記閉じ形態において相互に作用して前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材を
係合するように形成される、前記第1のロック部材及び前記第2のロック部材と、
第3のロック部材及び第4のロック部材であって、前記第3のロック部材は、
前記第1のロック部材より近位
の前記第1の脚部材上に配置され、前記第4のロック部材は、
前記第2のロック部材より近位の前記第2の脚部材上に配置され、前記第3のロック部材及び前記第4のロック部材
の表面部は、相互に作用して前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材を
係合するように形成され、前記第3のロック部材は、弓形態で前記第1の脚部材から延びる細長部材と、前記閉じ形態及び組織の非存在の状態において前記第4のロック部材
の前記表面部から間隔をあけられた突出部とを含む、前記第3のロック部材及び前記第4のロック部材と、を備える外科手術用クリップ。
【請求項2】
前記第1のロック部材は、フックを備え、前記第2のロック部材は、引っ込み部分を備え、前記フックは、前記第2の脚部材の前記遠位端部分の周りで曲げられ前記引っ込み部分にスナップ嵌めされるように形成される、請求項1に記載の外科手術用クリップ。
【請求項3】
前記第4のロック部材は、アンダーカットを有するチャンネルを備え、前記チャンネルは、前記細長部材を受け入れるように形成され、前記アンダーカットは、前記突出部と係合するように形成される、請求項1又は2に記載の外科手術用クリップ。
【請求項4】
前記
突出部は、ラチェット機構なしの単一の突出部
である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項5】
前記チャンネルは、前記第2の脚部材の第1の区分を通って延び、前記第1の区分は、前記第2の脚部材の残りの部分の幅よりも大きな幅を有している、請求項
3に記載の外科手術用クリップ。
【請求項6】
前記第2の脚部材の前記
残りの部分は、組織と係合するように形成される、請求項5に記載の外科手術用クリップ。
【請求項7】
前記第3のロック部材は、非外傷性の端部を備える、請求項1乃至6の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項8】
前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の前記内面の近位側の半分部分上に配置される、請求項1乃至7の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項9】
さらに、前記第1の脚部材の近位端部分と、前記第2の脚部材の近位端部分とを連結するヒンジ部分とを備え、前記ヒンジ部分は、前記第1の脚部材を前記第2の脚部材に対し旋回させるように形成される、請求項1乃至8の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項10】
前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の近位端部分と、前記第2の脚部材の近位端部分とを連結するヒンジ部分の一部を形成する、請求項1乃至8の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項11】
前記ヒンジ部分は、前記第1の脚部材上に配置されると共に前記第2の脚部材上に配置されたヒンジピンを中心に回転するように形成されるバレル部を備え、
前記第3のロック部材は、前記バレル部の一部を形成する、請求項10に記載の外科手術用クリップ。
【請求項12】
前記第4のロック部材
の前記表面部は、前記第2の脚部材におけるアンダーカットである、請求項11に記載の外科手術用クリップ。
【請求項13】
前記バレル部は、前記第3のロック部材の端部と、前記第1の脚部材の近位端との間における開口部を備え、前記ヒンジピンは、少なくとも一つの平坦面を備え、前記開口部は、前記外科手術用クリップが前記閉じ形態にある場合に前記平坦面から実質的にオフセットされる、請求項11又は12に記載の外科手術用クリップ。
【請求項14】
さらに、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の少なくとも一つの前記遠位端部分上に配置されるボスを備える、請求項1乃至
13の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項15】
前記外科手術用クリップは、吸収性ポリマー材料を備えている、請求項1乃至
14の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項16】
前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の前記内面の少なくとも一つは、前記外科手術用クリップの近位端部分に向けて角度付けられた複数の歯を備える、請求項1乃至
15の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項17】
前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の前記内面の両方は、前記外科手術用クリップの前記近位端部分に向けて角度付けられた複数の歯を備える、請求項
16に記載の外科手術用クリップ。
【請求項18】
前記複数の歯は、前記閉じ形態において前記第3のロック部材よりも遠位側にある、請求項
16又は
17に記載の外科手術用クリップ。
【請求項19】
前記第3のロック部材は、
さらに、第2の
細長部材を含み、前記細長部材
は前記第1の脚部材の側面から延び及び前記第2の細長部材は、前記第1の脚部材の
前記側面と対向する側面から延び、前記第4のロック部材は、前記第2の脚部材の外面を含む、請求項1乃至
18の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【請求項20】
前記第2の
細長部材は、前記第2の脚部材の前記外面と係合するように形成された
第2細長部材突出部を備える、請求項
19に記載の外科手術用クリップ。
【請求項21】
前記第1の脚部材の前記内面は、凹状湾曲を有し、前記第2の脚部材の前記内面は、凸状湾曲を有する、請求項1乃至
20の何れか1項に記載の外科手術用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年11月14日に出願され且つ発明の名称を”外科手術用クリップ”とする米国仮特許出願第62/585,795号に優先権を主張し、この米国仮特許出願の全体の開示がこの明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、概して、医療デバイスに関し、より詳細には、組織の結紮のための外科手術用クリップに関する。
【背景技術】
【0003】
組織(血管、リンパ節、神経、卵管、心臓組織等)の結紮は、多くの外科手術の一般的な実施技術である。例えば、動脈瘤を取り除くための血管の切除術中に血管(例えば、静脈又は動脈)の一時的な結紮がしばしば必要とされる。一方、卵管の結紮はより永続的であることがしばしば望まれる。結紮クリップは比較的すばやく且つ簡単に適用できるため、結紮クリップは人気が高まってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の発明者らは、結紮クリップの1つ又は複数の特徴を改善する必要があることを認識する。現在の結紮クリップは、その意図された使用中にクリップを閉じたままにするのに十分な強度を備えていないことがよくある。これは、非吸収性材料よりもさらに実質的に弱い可能性がある吸収性材料で形成された結紮クリップで特に問題になる。このより弱い材料は、体内に移植された外科手術用クリップを摩耗及び/又は破損させ、結紮クリップを開かせる可能性を秘めている。例えば、材料の不均一な吸収及び/又は品質低下(デグラデーション)により、血管組織の所望の組織壊死の前に結紮クリップを開かせてしまう可能性がある。意図された使用中に結紮クリップが閉じたままであることを確実にするために改良されたロック機構を有する結紮クリップを提供することが望ましいであろう。開示された結紮クリップは、これらの問題の1つ又は複数を軽減又は克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、組織を結紮するように形成された外科手術用クリップに関する。外科手術用クリップは、第1の脚部材及び第2の脚部材を含むことができる。第1の脚部材は、その長さである長手に沿った凹状湾曲を有する内面を有し、第2の脚部材は、その長さである長手に沿った凸状湾曲を有する内面を有することができる。第1の脚部材及び第2の脚部材は、内面が間隔を開けられる開放形態と内面が近づけられる閉じ形態との間で移動するように形成される。外科手術用クリップは第1のロック部材及び第2のロック部材を備え、前記第1のロック部材は、前記第1の脚部材の遠位端部分に配置され、前記第2のロック部材は、前記第2の脚部材の遠位端部分に配置され、前記第1のロック部材及び前記第2のロック部材は、前記閉じ形態において相互に作用して前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材を固定するように形成される。外科手術用クリップは、また、第3のロック部材及び第4のロック部材を備え、前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の近位端部分と前記遠位端部分との間に配置され、前記第4のロック部材は、前記第2の脚部材の近位端部分と前記遠位端部分との間に配置され、前記第3のロック部材及び前記第4のロック部材は、前記閉じ形態において相互に作用して前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材を固定するように形成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記第1のロック部材は、フックを備え、前記第2のロック部材は、引っ込み部分を備え、前記フックは、前記第2の脚部材の前記遠位端部分の周りでそらすように曲げられ前記引っ込み部分にスナップ嵌めされるように形成される。いくつかの実施形態では、前記第3のロック部材は、突出部を有する細長部材を備え、前記第4のロック部材は、アンダーカットを有するチャンネルを備え、前記チャンネルは、前記細長部材を受け入れるように形成され、前記アンダーカットは、前記突出部と係合するように形成される。いくつかの実施形態では、前記突出部は、前記閉じ形態において前記アンダーカットから間隔を開けられる。前記第3のロック部材は、ラチェット機構なしに単一の突出部を備え、前記チャンネルは、前記第2の脚部材の第1の区分を通って延び、前記第1の区分は、前記第2の脚部材の前記第2の区分の幅よりも大きな幅を有している。いくつかの実施形態では、前記第2の脚部材の前記第2の区分は、組織と係合するように形成される。いくつかの実施形態では、前記第3のロック部材は、弓形状である。いくつかの実施形態では、前記第3のロック部材は、非外傷性の端部を備える。いくつかの実施形態では、前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の前記内面の近位側の半分部分上に配置される。いくつかの実施形態では、前記外科手術用クリップは、さらに、前記第1の脚部材の前記近位端部分と、前記第2の脚部材の前記近位端部分とを連結するヒンジ部分とを備え、前記ヒンジ部分は、前記第1の脚部材を前記第2の脚部材に対し旋回させるように形成される。いくつかの実施形態では、前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の前記近位端部分と、前記第2の脚部材の前記近位端部分とを連結する前記ヒンジ部分の一部を形成する。いくつかの実施形態では、前記ヒンジ部分は、前記第1の脚部材の前記近位端部分上に配置されると共に前記第2の脚部材の前記近位端部分上に配置されたヒンジピンを中心に回転するように形成されるバレル部を備え、前記バレル部は、前記第3のロック部材を備える。前記第3のロック部材は、前記バレル部上に突出部を備え、前記第4のロック部材は、前記第2の脚部材の前記近位端部分におけるアンダーカットである。いくつかの実施形態では、前記突出部は、前記閉じ形態において前記アンダーカットから間隔を開けられる。いくつかの実施形態では、前記バレル部は、前記第3のロック部材の端部と、前記第1の脚部材の前記近位端部分との間における開口部を備え、前記ヒンジピンは、少なくとも一つの平坦面を備え、前記開口部は、前記外科手術用クリップが前記閉じ形態にある場合に前記平坦面から実質的にオフセットされる。いくつかの実施形態では、前記少なくとも一つの平坦面は、前記第2の脚部材の長手方向軸から約135度の角度で配置される。いくつかの実施形態では、前記外科手術用クリップは、さらに、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の少なくとも一つの前記遠位端部分上に配置されるボスを備える。いくつかの実施形態では、前記外科手術用クリップは、吸収性ポリマー材料を備えている。いくつかの実施形態では、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の前記内面の少なくとも一つは、前記外科手術用クリップの近位端部分に向けて角度付けられた複数の歯を備える。いくつかの実施形態では、前記第1の脚部材及び前記第2の脚部材の前記内面の両方は、前記外科手術用クリップの前記近位端部分に向けて角度付けられた複数の歯を備える。いくつかの実施形態では、前記複数の歯は、前記閉じ形態において前記第3のロック部材の遠位側に配置され、前記第3のロック部材は、前記第1の脚部材の対向する側面から延びる第1及び第2の延長部材を含み、前記第4のロック部材は、前記第2の脚部材の外面を含む。いくつかの実施形態では、前記第1及び第2の延長部材は、前記第2の脚部材の前記外面と係合するように形成された突出部を備える。
【0007】
本発明を容易に理解することができるように、本発明の態様は、添付の図面に例示として示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の外科手術用クリップの第1の例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図1の外科手術用クリップの第1の例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図1及び
図2の外科手術用クリップの第1の例示的な実施形態の閉じ形態を示す。
【
図4】
図1乃至
図3の外科手術用クリップの第1の例示的な実施形態の閉じ形態の断面図を示す。
【
図5】本発明の外科手術用クリップの第2の例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図6】
図5の外科手術用クリップの第2の例示的な実施形態の分解図を示す。
【
図7】
図5及び
図6の外科手術用クリップの第2の例示的な実施形態の閉じ形態を示す。
【
図8】
図5乃至
図7の外科手術用クリップの第2の例示的な実施形態の閉じ形態の断面図を示す。
【
図9】本発明の外科手術用クリップの第3の例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図10】
図9の外科手術用クリップの第3の例示的な実施形態の正面図を示す。
【
図11】
図9及び
図11の外科手術用クリップの第3の例示的な実施形態の閉じ形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面及び以下の詳細な説明では、同じ又は同様の部分を指すために同じ参照番号が使用される。
【0010】
本発明は、概して、組織(例えば、血管)を結紮するように形成された外科手術用クリップに関する。外科手術用クリップは、開放形態と閉じ形態との間で旋回するように形成された第1及び第2の脚部材を含むことができる。外科手術用クリップはまた、外科手術用クリップの長手(長さ)に沿って第1及び第2のロック機構を有することができ、強度を提供し、そして、外科手術用クリップを閉じ形態で維持することをより確実にさせる。例えば、外科手術用クリップは、外科手術用クリップの遠位端部分上の第1のラッチ機構又はロック機構と、遠位端部分と近位端部分との間の第2のラッチ機構又はロック機構とを含むことができる。第1及び第2のロック機構のそれぞれは、外科手術用クリップを閉じ形態にひとまとめに固定するラッチ、インターロック、及び/又は干渉部材を含むことができる。例えば、第1のロック機構は、第2の脚部材上の先端部材の周りでそらすように曲げられるように形成された第1の脚部材上のフックを含むことができる。第2のロック機構は、第2の脚部材と係合するように形成された第1の脚部材上の1つ又は複数の弓形の細長部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、弓形の細長部材は、第2の脚部材内のチャネルを通過し、閉じ形態にあるときにチャネルのアンダーカットと締まりばめを形成できる。いくつかの実施形態では、第2のロック機構は、第1の脚部材のヒンジ部分のバレル部の一部を含むことができ、バレル部は、第2の脚部材の軸ピンを解放可能に受け入れるように形成できる。いくつかの実施形態では、第2のロック部材は、第1の脚部材の側面から延在し、第2の脚部材の外面と係合するように形成される第1及び第2の弓形の細長部材を含むことができる。第1のロック機構を補強しながら、外科手術用クリップの長手(長さ)に沿った可撓性を可能にし、及び/又は、異なる厚さの組織を受け入れることができるように、第2のロック機構は、閉じ形態で互いから離間した干渉部材(例えば、細長部材及び/又は第2の脚部材の面)を含むことができる。外科手術用クリップは、血管の周りにラッチ止め(掛け金止め)され、それにより、血管を通る流体の流れを低減及び/又は停止させるように形成された止血クリップとして特に有用であり得る。しかしながら、外科手術用クリップの実施形態は、髪を留める等の非外科手術的用途を有し得ることもまた想定されている。
【0011】
本発明が、図面を参照してここに説明され、図面において、同様の参照番号は、全体を通じて同様の部分を指している。本明細書で用いられる従来の慣行に従い、本明細書で別段の指示がない限り、用語「近位端部分」は、装置が用いられようとするときに装置を取り扱う又は操作する医療従事者に一般により近い外科手術用クリップ及び/又は関連する構成要素の特定された端部分を指し、用語「遠位端部分」は、近位端部分の反対側にある外科手術用クリップ及び/又は関連する構成要素の特定された端部分を指すものとする。本明細書で用いられるような、用語「長手方向」は、当業者によって一般的に理解されるように、外科手術用クリップ及び/又は関連する構成要素の長さである長手(長さ)に沿って延びる範囲を述べている。さらに、本明細書で用いられるような、用語「横方向」は、外科手術用クリップ及び/又は関連する構成要素の長手方向の長手(長さ)に直交する任意の軸線又は方向を述べている。
【0012】
図1乃至
図4は、本発明の外科手術用クリップ100の第1実施形態を例示として示している。外科手術用クリップ100は、近位端部分100A及び遠位端部分100Bを有し得る。外科手術用クリップ100は、近位端部分102A及び遠位端部分102Bを有する第1の脚部材102と、近位端部分104A及び遠位端部分104Bを有する第2の脚部材104とをさらに含み得る。近位端部分102A、104Aは、ヒンジ部分106によって連結され得る。
【0013】
第1の脚部材102及び第2の脚部材104は、湾曲部分を有する表面部分を含むことができる。例えば、第1の脚部材102は、第1の内面108及び第1の外面110を含み得、第2の脚部材104は、第2の内面112及び第2の外面114を含み得る。
図1に示すように、第1の内面108は凹状形態を有していてもよく、第1の外面110は凸状形態を有していてもよく、或いは逆の場合であってもよい。第2の内面112は凸状形態を有することができ、第2の外面114は凹状形態を有することができ、或いは逆の場合であってもよい。第1の内面108及び第2の内面112は閉じ形態で近づけられることができると共に、その長手部分に沿って弾力的な可撓性があり、組織が結紮されるときに組織の幅全体に圧力を分散させることができる。第1の内面108及び第2の内面112は、それぞれ、組織の好ましい圧縮を提供するために、近位端部分と遠位端部分との間に連続的な湾曲部を有し得る。
【0014】
ヒンジ部分106は、凹状内面116及び凸状外面118を有することができる。ヒンジ部分106の凹状内面116は、第1の脚部材102の第1の内面108と第2の脚部材104の第2の内面112とを連続的に接合することができる。ヒンジ部分106の凸状外面118は、第1の脚部材102の第1の外面110と第2の脚部材104の第2の外面114とを接合することができる。ヒンジ部分106はまた、湾曲したヒンジ面116、118の間に位置する湾曲したスロット120を含むことができ、湾曲したスロット120は、凸状の外面118よりも凹状の内面116の近くに配置され得る。湾曲したスロット120は、ヒンジ部分106を通して一方側から他方側まで完全に延びることができ、その反対側の端部122、124は、それぞれ、第1の脚部材102及び第2の脚部材104の近位端部分102A、104A内に延びることができる。湾曲したスロット120は、ヒンジ部分106に追加の可撓性及び弾力性を提供することができるが、凹状内面116は、クランプされた血管の任意の部分が湾曲したスロット120内に掛かり捕えられることを防ぐことができる。いくつかの実施形態においては、ヒンジ部分106は、弾性を有することができると共に、第1の脚部材102及び第2の脚部材104の近位端部分102A、104Aに一体化されることができる。例えば、ヒンジ部分106は、外科手術用クリップ100を開放形態(例えば、
図1)に付勢できる。
【0015】
外科手術用クリップ100はまた、1つ又は複数のラッチ機構又はロック機構を含み得る。例えば、第1の脚部材102は、その遠位端部分102Bにおいてフックセクション126に移行することができ、第2の脚部材104は、その遠位端104Bにおいて尖頭先端部分128に移行することができる。フックセクション126の遠位端部分は、内側に湾曲し、ヒンジ部分106の凹状内面116に概ね向けられる。フックセクション126は、1つ又は複数の横方向傾斜面130と、第1の内面108と合わせて凹部132を規定する凹状内面とを有することができる。フック部分126が尖頭先端部分128の周りにそらすように曲げられるとき、尖頭先端部分128は、横方向傾斜面130を受け入れるように形成されたスロットを規定するV字形であってもよい。フックセクション126及び尖頭先端部分128は、係合して、第1のラッチ機構又はロック機構を形成できる。例えば、凹部132は、血管又は他の組織の周りの位置に固定され得る閉じ形態(例えば、
図3~
図4)に外科手術用クリップ100を圧縮する過程において尖頭先端部分128と係合し得る。
【0016】
外科手術用クリップ100はまた、第2のラッチ機構又はロック機構を含み得る。例えば、
図1乃至
図4に示されるように、細長部材156は、近位端部分102Aと遠位端部分102Bとの間で、第1の脚部材102の第1の内面108から延びることができる。細長部材156は、第1の脚部材102の長手(長さ)のどこにでも配置できる。いくつかの実施形態では、細長部材156は、外科手術用クリップ100の近位端部分100Aを固定するために、遠位端部分102Bよりも近位端部分102Aの近くに(例えば、第1の脚部材102の近位側の半分部分上に)配置することができる。いくつかの実施形態では、細長部材156は、外科手術用クリップ100の長手(長さ)に沿ったラッチ力を分散させるために、第1の脚部材102の中心線よりも近位端部分102Aの近くに(例えば、第1の脚部材102の近位側の4分の1部分上に)配置できる。細長部材156は、第1の脚部材102に対して第2の脚部材104の弓状経路に近づくように、第1の脚部材102から弓状形態で延びることができる。外科手術用クリップ100が閉じ形態にあるとき(例えば、
図3~
図4)、細長部材156は、第2の脚部材104の厚みの少なくとも一部分を貫通する開口部又はチャネル158内に受けいれられてもよい。
図1に示されるように、チャネル158は、第2の脚部材104の残りの部分の幅と実質的に等しいか又はより大きい幅を有することができ、チャネル158が貫通して延びる第2の脚部材104の部分の幅は、組織と係合するように形成された第2の脚部材104の残りの部分の幅よりも大きくされていてもよい。
図1乃至
図4は、第1の脚部材102上の細長部材156及び第2の脚部材104上のチャネル158を示すが、外科手術用クリップ100は、追加又は代替として、第2の脚部材104上に細長部材156を、また第1の脚部材102上にチャネル158を含んでもよい。外科手術用クリップ100は、第1の脚部材102及び/又は第2の脚部材104上に複数の細長部材156を含み、さらに、反対側の脚部材102、104上に複数の対応するチャネル158を含んでもよいこともさらに想定されている。
【0017】
図2及び
図4の断面図にさらに示されるように、細長部材156は、チャネル158のアンダーカット(下側を切り取った部分)162と係合して第2のラッチ機構又はロック機構を提供するように形成された歯又は突出部160を含んでもよい。外科手術用クリップ100が閉じた形態且つ組織の非存在の状態(例えば、
図3及び
図4)にあるとき、突出部160は、アンダーカット162から離間されることができる。例えば、第1のロック機構は閉じ形態で係合されてもよく、第2のロック機構は係合されなくてもよい。閉じ形態における突出部160とアンダーカット162との間の間隔は、外科手術用クリップ100の長手(長さ)に沿って外科手術用クリップ100の可撓性を可能にし、異なる厚さの組織を受け入れることができ、結紮時に組織の幅にわたって圧力を分配することができる。第2のロック機構はまた、第1のロック機構を補強し得る。例えば、外科手術用クリップ100(例えば、第1のロック機構)が摩耗及び/又は破損したとき、例えば、外科手術用クリップ100の不均一な吸収及び/又は品質低下が第1のロック機構を係合解除させ、第2のロック機構は、外科手術用クリップ100が開くのを防ぐことができる。そういった意味で、細長部材156は、いかなるタイプのラチェット機構又は締め付け機構を備えることなしに、単一の突出部160のみを含むことができる。
【0018】
チャネル158は、第2の脚部材104の厚み全体を貫通して且つ延びてもよい。細長部材156は、細長部材156の露出した遠位端部分159を提供するために、チャネル158の長さよりも長い長さを有することができる。細長部材156の露出した遠位端部分159は、第2のロック機構を解放するために、近位に係合され且つ向けられてもよい。 細長部材156は、また、非外傷性の端部を有する非外傷性であることができ、そして組織がヒンジ部分106によって挟みつぶされることを防止するための停止部を提供できる。
【0019】
さらに
図1及び
図3に示すように、外科手術用クリップ100は、第1の内面108上で突出する第1の複数の歯134、及び第2の内面112上で突出する第2の複数の歯136を含み得る。歯134、136は、圧縮された組織の安全性を最大化させ、組織の移動を最小化させることができる。歯134、136は、組織をヒンジ部分106に向けて固定するために、外科手術用クリップ100の近位端部分102Aに向けて角度付けられることができる。
図1に示すように、第1の複数の歯134及び第2の複数の歯136は、内面108、112の幅を集合的に延ばす2つ又は3つ以上の互い違いに配置された歯列を含んでもよい。さらに、
図3及び
図4に示されるように、第1の複数の歯134は、閉じ形態において第2の複数の歯136と係合せず、外科手術用クリップ100の長手(長さ)に沿って分離された接触点を増加させ、安全性を高めることができる。いくつかの実施形態では、歯134、136の1つ又は複数が省略されてもよい。
【0020】
第1の脚部材102及び第2の脚部材104は、クリップの適用部(クリップアプライヤ)と係合させるために第1の脚部材102及び第2の脚部材104の長手(長さ)に沿って1つ又は2つ以上のボスを含み得る。例えば、第1の脚部材102は、第1の脚部材102の遠位端部分102Bに隣接し且つフックセクション126のすぐ内側において対向する側面138、140のそれぞれに対して垂直に突出する(例えば、
図1及び
図3に示されるような)円筒形ボス146、148を含むことができる。外科手術用クリップ100の例示では、ボス146、148は、円筒形であり、第1の脚部材102の第1の外面110を超えて外側に向けて突出できる。ボス146、148は、また、ブリッジセクション150によって互いに結合され得る。第2の脚部材104も、遠位端部分104Bにボス152、154を含み得る。ボス152、154は、円筒形であり、第2の脚部材104の対向する側面142、144のそれぞれに対して垂直に突出し、尖頭先端部分128の尖頭を越えて長手方向の前方に向けて延びることができる。組織を結紮することの実施において、外科手術用クリップ100は、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,100,416号に記載されるような適切なクリップ適用部への使用により、血管の周りでラッチ形態又はロック形態に圧縮されるように設計されている。
【0021】
図5乃至
図8は、本発明の外科手術用クリップ200の第2の例示的な実施形態を示す。外科手術用クリップ200は、近位端部分200A及び遠位端部分200Bを有している。外科手術用クリップ200は、近位端部分202A及び遠位端部分202Bを有する第1の脚部材202と、近位端部分204A及び遠位端部分204Bを有する第2の脚部材204とをさらに含んでいる。第1の脚部材202及び第2の脚部材204の近位端部分202A、204Aは、ヒンジ部分206で解放可能に結合されることができる。外科手術用クリップ200は、外科手術用クリップ100と同様の構成要素及び/又は態様を有し、そして
図5乃至
図8に同様に示されることができる。簡潔に示す目的のために、外科手術用クリップ100のものと同様の構成要素及び/又は態様が、外科手術用クリップ200を参照して論じられない場合がある。
【0022】
第1の脚部材202及び第2の脚部材204は、湾曲部分を有する面を含み得る。例えば、第1の脚部材202は、第1の内面208及び第1の外面210を含み、第2の脚部材204は、第2の内面212及び第2の外面214を含み得る。第1の内面208は凹状形態を有してもよく、第1の外面210は凸状形態を有してもよく、或いは逆の場合であってもよい。第2の内面212は凸状形態を有することができ、第2の外面214は凹状形態を有することができ、或いは逆の場合であってもよい。第1の内面208及び第2の内面212は、閉じ形態で近づけられてもよく、組織が結紮されるときに組織の幅全体に圧力を分散させるために、その長手(長さ)に沿って弾力的な可撓性があってもよい。第1の内面208及び第2の内面212はそれぞれ、組織の好ましい圧縮を提供するために、近位端部分と遠位端部分との間に連続的な湾曲を有することができる。
【0023】
外科手術用クリップ200はまた、1つ又は複数のラッチ機構又はロック機構を含み得る。例えば、第1の脚部材202は、その遠位端部分202Bでフックセクション226に移行し、第2の脚部材204は、その遠位端204Bで尖頭先端部分228に移行し得る。フックセクション226の遠位端部分は、内側に向けて湾曲され、ヒンジ部分206の凹状内面216に概ね向けられる。フックセクション226は、1つ又は複数の横方向傾斜面230と、第1の内面208と合わせて凹所232を規定する凹状内面とを有することができる。尖頭先端部分228は、フックセクション226が尖頭先端部分228の周りにそらすように曲げられるとき、横方向傾斜面230を受け入れるように形成されたスロットを規定するV字形とすることができる。フックセクション226及び尖頭先端部分228は、係合して、第1のラッチ機構又はロック機構を形成できる。例えば、凹部232は、血管又は他の組織の周りの位置に固定され得る閉じ形態(例えば、
図7~
図8)に外科手術用クリップ200を圧縮する過程において尖頭先端部分228と係合し得る。
【0024】
外科手術用クリップ200の第1の脚部材202及び第2の脚部材204は、分離可能とできる。例えば、第1の脚部材202及び第2の脚部材204の近位端部分202A、204Aは、ヒンジ部分206で分離可能とできる。
図5乃至
図8に示すように、第1の脚部材202の近位端部分202Aは、近位の細長部材266及び遠位の細長部材268から形成されたバレル部264を含み得る。近位の細長部材266は、第1の脚部材202の近位端部分202Aの少なくとも一部を形成してもよい。バレル部264の1つ又は複数の細長部材266、268は、反対方向に弓形を形成し、開口部272を有するスロット270を形成するように間隔を開けられることができる。いくつかの実施形態では、スロット270は、ほぼ円形の断面を有する凹んだ凹部を有することができる。さらに、
図5乃至
図8に示すように、スロット270及び開口部272は、第1の脚部材202の幅全体にわたって延びることができ、第2の脚部材204の近位端部分204A上のヒンジピン274を受けいれるように寸法決めされている。ヒンジピン274は、ヒンジピン274の対向する側面に側面276を含む。側面276は、ほぼ平坦とでき、ヒンジピン274が所定の角度で開口部272を通過するときに、外科手術用クリップ200を選択的に組み立て又は分解することを可能にする。言い換えれば、ヒンジピン274は、所定の角度以外のいかなる角度でも開口部272に嵌合しないことができる。
図5に示される例において、側面276は、第2の脚部材204の長手方向軸線に対して約90°~135°の間の角度で配置されることができ、その結果、第2の脚部材204の開口部272が第2の脚部材204のヒンジピン274に対して所定の角度で配置されるときに、外科手術用クリップ200の組み立て又は分解が行われることができる。有利には、外科手術用クリップ200の選択的な組み立て/分解は、外科手術用クリップ200の通常の使用過程中の分解を防ぐことができる。例えば、外科手術用クリップ200が閉じ形態にあるとき、側面276は、開口部272から実質的に(例えば、少なくとも約90°まで)オフセットされ、外科手術用クリップ200が分解するのを防止することができる。また、外科手術用クリップ200は、例えば、組織上への外科手術用クリップ200の圧縮の直前に、現場で組み立てられるようにできることも想定されている。
【0025】
さらに、
図5乃至
図8に示されるように、外科手術用クリップ200は、第2の脚部材204のチャネル278に受け入れられる第1の脚部材202のバレル部264によって組み立てられることができる。チャネル278は、ヒンジピン274、第2の脚部材204の近位表面280、及び第2の脚部材204の本体とヒンジピン274との間に延びる第1及び第2の脚延長部材282によって規定される。チャネル278は、遠位の細長部材268の通過を可能にして、外科手術用クリップ200を開放形態(例えば、
図5)から閉じ形態(例えば、
図7~
図8)に移行させることができる。
【0026】
遠位の細長部材268とチャネル278との相互作用は、外科手術用クリップ200を閉じ形態に固定するための第2のラッチ機構又はロック機構を提供できる。例えば、遠位の細長部材268は、第2の脚部材204の近位表面280上のアンダーカット(下側を切り取った部分)286と係合する歯又は突出部284を含み得る。突出部284及びアンダーカット286のうちの1つ又は複数は、突出部284がチャネル278を通過するときにそらすように曲げられることができ、突出部284及びアンダーカット286は、ラッチング、インターロック、及び/又は締り嵌めを提供して、外科手術用クリップ200が閉じ形態(例えば、
図7及び
図8)から開放形態(例えば、
図5及び
図6)に旋回することを防止できる。外科手術用クリップ200が閉じ形態にあり且つ組織が存在していないとき、突出部284は、アンダーカット286から離間されることができる。例えば、閉じ形態で第1のロック機構は係合されることができるが、第2のロック機構は係合されなくてもよい。閉じ形態における突出部284とアンダーカット286との間の間隔は、その長手(長さ)に沿って外科手術用クリップ200の可撓性を可能にし、異なる厚さの組織を受け入れることができ、結紮時に組織の幅全体に圧力を分配することができる。第2のロック機構はまた、第1のロック機構を補強し得る。例えば、外科手術用クリップ200(例えば、第1のロック機構)が摩耗及び/又は破損したとき、例えば、外科手術用クリップ200の不均一な吸収及び/又は品質低下が第1のロック機構の係合解除をさせるとき、第2のロック機構は、外科手術用クリップ200が開くのを防ぐことができる。そういった意味で、細長部材268は、いかなるタイプのラチェット機構又は締め付け機構を備えることなく、単一の突出部284のみを含むことができる。
【0027】
外科手術用クリップ200は、第1の内面208上に突出する第1の複数の歯234と、第2の内面212上に突出する第2の複数の歯236とを含み得る。 歯234、236は、圧縮された組織の安全性を最大化させ、組織の移動を最小化させることができる。歯234、236は、組織をヒンジ部分206に向けて固定するために、外科手術用クリップ200の近位端部分202Aに向かって角度付けられることができる。第1の複数の歯234及び第2の複数の歯236は、内面208、212の幅を集合的に延ばす2つ又は3つ以上の互い違いに配置された歯列を含んでもよい。第1の複数の歯234は閉じ形態において第2の複数の歯236と係合せず、外科手術用クリップ200の長手(長さ)に沿って分離された接触点を増加させ、安全性を高めることができる。いくつかの実施形態では、歯234、236の1つ又は複数が省略されてもよい。
【0028】
第1の脚部材202及び第2の脚部材204は、クリップの適用部(クリップアプライヤ)と係合させるために第1の脚部材202及び第2の脚部材204の長手(長さ)に沿って1つ又は複数のボスを含み得る。例えば、第1の脚部材202は、第1の脚部材202の遠位端部分202Bに隣接し且つフックセクション226のすぐ内側において対向する側面238、240のそれぞれに対して垂直に突出する円筒形ボス246、248を含むことができる。外科手術用クリップ200の例示では、ボス246、248は、円筒形であり、第1の脚部材202の第1の外面210を超えて外側に向けて突出できる。ボス246、248は、また、ブリッジセクション250によって互いに結合され得る。第2の脚部材204も、遠位端部分204Bにボス252、254を含み得る。ボス252、254は、円筒形であり、第2の脚部材204の対向する側面242、244のそれぞれに対して垂直に突出し、尖頭先端部分228の尖頭を越えて長手方向の前方に向けて延びることができる。組織を結紮することの実施において、外科手術用クリップ200は、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,100,416号に記載されるような適切なクリップ適用部への使用により、血管の周りでラッチ形態又はロック形態に圧縮されるように設計されている。
【0029】
図9乃至
図11は、本発明の外科手術用クリップ300の第3の例示的な実施形態を示す。外科手術用クリップ300は、近位端部分300A及び遠位端部分300Bを有し得る。外科手術用クリップ300は、近位端部分302A及び遠位端部分302Bを有する第1の脚部材302と、近位端部分304A及び遠位端部分304Bを有する第2の脚部材304とをさらに含み得る。第1の脚部材302及び第2の脚部材304の近位端部分302A、304Aは、ヒンジ部分306によって結合されてもよい。外科手術用クリップ300は、外科手術用クリップ100、200のうちの少なくとも1つと同様の構成要素を有することができ、そして
図9乃至
図11に同様に示される。簡潔に示す目的のために、外科手術用クリップ100、200のものと同様の構成要素及び/又は態様が、外科手術用クリップ300を参照して論じられない場合がある。
【0030】
第1及び第2の脚部材302、304は、湾曲部分を有する面を含み得る。例えば、第1の脚部材302は、第1の内面208及び第1の外面310を含み、第2の脚部材304は、第2の内面312及び第2の外面314を含み得る。第1の内面308は凹状形態を有してもよく、第1の外面310は凸状形態を有してもよく、或いは逆の場合であってもよい。第2の内面312は凸状形態を有してもよく、第2の外面314は凹状形態を有してもよく、或いは逆の場合であってもよい。第1の内面308及び第2の内面312は、閉じ形態で近づけられてもよく、組織が結紮されるときに組織の幅全体に圧力を分散させるために、その長手(長さ)に沿って弾力的な可撓性があってもよい。第1の内面308及び第2の内面312は、それぞれ、組織の好ましい圧縮を提供するために、近位端部分と遠位端部分との間に連続的な湾曲を有することができる。
【0031】
ヒンジ部分306は、凹状内面316及び凸状外面318を有することができる。ヒンジ部分306の凹状内面316は、第1の脚部材302の第1の内面308と第2の脚部材304の第2の内面312とを連続的に接合することができる。ヒンジ部分306の凸状外面318は、第1の脚部材302の第1の外面310と第2の脚部材304の第2の外面314とを接合することができる。ヒンジ部分306はまた、湾曲したヒンジ面316、318の間に位置する湾曲したスロット320を含むことができ、湾曲したスロット320は、凸状外面318よりも凹状内面316の近くに配置され得る。湾曲したスロット320は、ヒンジ部分306を通して一方側から他方側まで完全に延びることができ、その反対側の端部322、324は、それぞれ、第1の脚部材302及び第2の脚部材304の近位端部分302A、304A内に延びることができる。湾曲したスロット320は、ヒンジ部分306に追加の可撓性及び弾力性を提供することができるが、凹状内面316は、クランプされた血管の任意の部分が湾曲したスロット320内に掛かり捕えられることを防ぐことができる。いくつかの実施形態においては、ヒンジ部分306は、弾性を有することができると共に、第1の脚部材302及び第2の脚部材304の近位端部分302A、304Aに一体化されることができる。例えば、ヒンジ部分306は、外科手術用クリップ300を開放形態に付勢できる。
【0032】
外科手術用クリップ300は、1つ又は複数のラッチ機構又はロック機構を含み得る。例えば、第1の脚部材302は、その遠位端部分302Bにおいてフックセクション326に移行することができ、第2の脚部材304は、その遠位端304Bにおいて尖頭先端部分328に移行することができる。フックセクション326の遠位端部分は、内側に湾曲し、ヒンジ部分306の凹状内面316に概ね向けられる。フックセクション326は、1つ又は複数の横方向傾斜面330と、第1の内面308と合わせて凹部332を規定する凹状内面とを有することができる。フック部分326が尖頭先端部分328の周りにそらすように曲げられるとき、尖頭先端部分328は、横方向傾斜面330を受け入れるように形成されたスロットを規定するV字形状であってもよい。フックセクション326及び尖頭先端部分328は、係合して、第1のラッチ機構又はロック機構を形成できる。例えば、凹部332は、血管又は他の組織の周りの位置に固定され得る閉じ形態(例えば、
図11)に外科手術用クリップ300を圧縮する過程において尖頭先端部分328と係合し得る。
【0033】
外科手術用クリップ300は、また、第2のラッチ機構又はロック機構を含み得る。例えば、
図8~11に示されるように、1つ又は複数の細長部材390は、第1の脚部材302から、近位端部分302Aと遠位端部分302Bとの間の長手(長さ)から延びることができる。例えば、1つ又は複数の細長部材390は、外部の又は“ボードの外側を超える(アウトボード)”形態で、第1の脚部材302の対向する側面338、340から延び、これらの間に第2の脚部材304を受け入れるように形成されている第1及び第2の細長部材390を含むことができる。細長部材390は、第1の脚部材302の長手(長さ)のどこにでも配置することができる。いくつかの実施形態では、細長部材390は、外科手術用クリップ300の近位端部分300Aを固定するために、遠位端部分302Bよりも近位端部分302Aの近くに(例えば、第1の脚部材302の近位側の半分部分上に)配置することができる。いくつかの実施形態では、細長部材390は、外科手術用クリップ300の長手(長さ)に沿ってラッチ力を分散させるために、第1の脚部材302の中心線よりも近位端部分302Aの近くに(例えば、第1の脚部材302の近位側の4分の1部分上に)配置されてもよい。細長部材390は、第1の脚部材302に対して第2の脚部材304の弓状経路に近づくように、第1の脚部材302から弓状形態で延びることができる。
図8乃至
図11は、第1の脚部材302上の細長部材390を示すが、外科手術用クリップ300は、追加的又は代替的に、第2の脚部材304上に1つ又は複数の細長部材390を含むことができる。
【0034】
さらに、
図8乃至
図11に示すように、細長部材390は、第2のラッチ機構又はロック機構を提供するために第2の脚部材304の外面314と係合するように形成された歯又は突出部392を含むことができる。外科手術用クリップ300が閉じ形態にあり且つ組織の非存在の状態(例えば、
図11))にあるとき、突出部392は、外面314から離間されることができる。例えば、第1のロック機構は閉じ形態で係合されてもよく、第2のロック機構は係合されなくてもよい。閉じ形態における突出部392と外面314との間の間隔は、外科手術用クリップ300の長手(長さ)に沿って外科手術用クリップ300の可撓性を可能にし、異なる厚さの組織を受け入れることができ、結紮時に組織の幅にわたって圧力を分配することができる。第2のロック機構はまた、第1のロック機構を補強し得る。例えば、外科手術用クリップ300(例えば、第1のロック機構)が摩耗及び/又は破損したとき、例えば、外科手術用クリップ300の不均一な吸収及び/又は品質低下が第1のロック機構を係合解除させ、第2のロック機構は、外科手術用クリップ300が開くのを防ぐことができる。そういった意味で、細長部材390は、いかなるタイプのラチェット機構又は締め付け機構を備えることなしに、単一の突出部392のみを含むことができる。
【0035】
外科手術用クリップ300は、第1の内面308上で突出する第1の複数の歯334と、第2の内面312上で突出する第2の複数の歯336とを含み得る。歯334、336は、圧縮された組織の安全性を最大化させ、組織の移動を最小化させることができる。歯334、336は、組織をヒンジ部分106に向けて固定するために、外科手術用クリップ300の近位端部分302Aに向かって角度付けられることができる。第1の複数の歯334及び第2の複数の歯336は、内面308、312の幅を集合的に延ばす2つ又は3つ以上の互い違いに配置された歯列を含んでもよい。第1の複数の歯334は、閉じ形態において第2の複数の歯336と係合せず、外科手術用クリップ300の長手(長さ)に沿って分離された接触点を増加させ、安全性を高めることができる。いくつかの実施形態では、歯334、336の1つ又は複数が省略されてもよい。
【0036】
第1の脚部材302及び第2の脚部材304は、クリップの適用部(クリップアプライヤ)と係合させるために第1の脚部材102及び第2の脚部材104の長手(長さ)に沿って1つ又は2つ以上のボスを含み得る。例えば、第1の脚部材302は、第1の脚部材302の遠位端部分302Bに隣接し且つフックセクション326のすぐ内側において対向する側面338、340のそれぞれに対して垂直に突出する円筒形ボス346、348を含むことができる。外科手術用クリップ300の例示では、ボス346、348は、円筒形であり、第1の脚部材302の第1の外面310を超えて外側に向けて突出できる。ボス346、348は、また、ブリッジセクション350によって互いに結合され得る。第2の脚部材304も、遠位端部分304Bにボス352、354を含み得る。ボス352、354は、円筒形であり、第2の脚部材304の対向する側面342、344のそれぞれに対して垂直に突出し、尖頭先端部分328の尖頭を越えて長手方向の前方に向けて延びることができる。組織を結紮することの実施において、外科手術用クリップ300は、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,100,416号に記載されるような適切なクリップ適用部への使用により、血管の周りでラッチ形態又はロック形態に圧縮されるように設計されている。
【0037】
外科手術用クリップ100、200、300は、任意の適切なサイズで作製されることができ、そして血管、リンパ節、神経、卵管、又は心臓組織等の任意の数の組織に適用されうる。外科手術用クリップ100、200、300は、特定の金属及びポリマー等の任意の適切な生体適合性材料から形成されることができる。外科手術用クリップ100、200、300は、吸収性(absorbable)及び/又は非吸収性ポリマー材料を含むことができる。例示的なポリマー材料は、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)及び、射出成形、押し出し、又はその他の製法で類似の物品に加工できる同様の特性を持つ他の熱可塑性材料、のうちの1つ又は複数のホモポリマー又はコポリマーを含む。しかしながら、本発明の外科手術用クリップ100、200、300は、時に不均一な比率でより弱く且つ品質の低くなる吸収性材料に特に適している。外科手術用クリップ100、300は、製造を容易にするための一体型の統一体ポリマー本体であってもよい。また、外科手術用クリップ200の脚部材202、204のそれぞれが、製造を容易にするための一体型の統一体ポリマー本体であってもよいことも想定されている。
【0038】
本発明の多くの特徴及び利点は詳細な説明の記載から明らかであり、従って、本発明の真の精神及び範囲内に入る本発明のすべての特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲によってカバーされることが意図されている。さらに、多数の修正及び変形が当業者には容易に思い浮かぶので、図示及び記述したまさにその構造及び動作に本発明を限定することは望ましくなく、従って、すべての適切な修正及び均等物が、本発明の範囲内に入るとして再選出されることができる。