(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】レーダセンサシステムおよびレーダセンサシステムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20221109BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01S7/40 104
G01S13/87
(21)【出願番号】P 2020543580
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2018084878
(87)【国際公開番号】W WO2019158249
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】102018202296.8
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ショール,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ,ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マルセル
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038689(JP,A)
【文献】特開2002-277533(JP,A)
【文献】実開平05-084884(JP,U)
【文献】特開2001-203531(JP,A)
【文献】特開2011-191293(JP,A)
【文献】特開2004-085337(JP,A)
【文献】特開2010-122051(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014009869(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0285165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダセンサシステム(100)であって、
それぞれセンサデータを生成するための少なくとも1つの第1の部分センサシステム(10)および第2の部分センサシステム(20)であって、それぞれの部分センサシステム(10、20)が、少なくとも1つの受信アンテナ(RX)および少なくとも1つの送信アンテナ(TX)を有するアンテナ装置(13、23)を備えた、第1の部分センサシステム(10)および第2の部分センサシステム(20)
と、
それぞれの部分センサシステム(10、20)が独立して通常モードから遮断モードへ移行可能である制御装置(50)
と、
通常モードの部分センサシステム(10、20)のセンサデータのみを出力データを生成するために合成するように構成したデータ融合装置(30)
と、
を備えたレーダセンサシステム(100)
において、
それぞれの前記部分センサシステム(10、20)が、レーダセンサシステム(100)の共通のコネクタ(40)を介して電気エネルギーを供給可能な独立したそれ自身の電圧供給装置(16、26)を有する、
レーダセンサシステム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記データ融合装置(30)が、前記部分センサシステム(10、20)によって生成されたセンサデータを、生データに近いレベルで合成するように構成された、レーダセンサシステム(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記データ融合装置が、前記部分センサシステムによって生成されたセンサデータを、生データレベルまたはスペクトルレベルで合成するように構成された、レーダセンサシステム(100)。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか
一項に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記制御装置が複数の制御器として構成しており、それぞれの部分センサシステムに、前記それぞれの部分センサシステムを遮断モードに移行させるための少なくとも1つの前記制御器を割り当てた、レーダセンサシステム(100)。
【請求項5】
請求項4に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記制御器がマイクロコントローラとして構成された、レーダセンサシステム(100)。
【請求項6】
請求項
4または5に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記データ融合装置が、前記複数の制御器のうちの少なくとも2つの制御器の間のデータインターフェースを備えた、レーダセンサシステム(100)。
【請求項7】
請求項1
~6のいずれか
一項に記載のレーダセンサシステム(100)において、
前記制御装置が、少なくとも2つの前記部分センサシステムのための中央制御器を備えるか、または全ての部分センサシステムのための中央制御器からなっている、レーダセンサシステム(100)。
【請求項8】
請求項1
~7のいずれか
一項に記載のレーダセンサシステム(100)において、
少なくとも2つの部分センサシステムのアンテナ配置が、互いに対して点対称、軸対称および/または回転対称に配置された、レーダセンサシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用のまたは自動車内のレーダセンサシステム、および特に自動車用のまたは自動車内のレーダセンサシステムを動作させる方法に関する。自動車は、好ましくは、乗用車またはトラックである。
【背景技術】
【0002】
レーダセンサは様々な用途で使用されることが多くなっている。特に自動車のような車両では、追加のセンサが、特に自動化または支援された運転状況において、ますます多くのタスクを引き受けることが望ましい。通常モードにおけるレーダセンサの性能に加えて、このセンサの利用可能性に対する付加的な要件がある。
【0003】
レーダセンサが従来の運転支援用途においてエラーを示した場合、統合状態または「緊急モード」は、レーダセンサ全体が外界との通信、例えばバス例えば車両バスとの通信を終了することによって実現されることが多かった。ここでおよび以下でエラーに言及する場合、特に、ISO26262規格に基づいたいわゆる「E/Eエラー」であると理解されたい。
【0004】
例えば、ドイツ国特許出願公開第102014213171号明細書には、自律的車両ガイドのためのシステムと、これに対応する自動車が記載されている。
【0005】
故障の可能性を低く抑えることに関して、レーダセンサにはかなりの要件がある。ISO26262規格によれば、部品故障の確率は、FITと呼ばれる単位(「Failure in time:時間あたりの故障数」)で決定される。この場合、1FITは、109時間に1つの故障、または1時間に10-9の故障を意味する。
【0006】
例えば安全レベルASIL-BまたはASIL-C(英語:「Automotive Safety Integrity Level」、同様にISO26262に定められている)では、最大で100FITのコンポーネントが許可され、この場合、遮断モードにあるコンポーネントは考慮されず、このコンポーネントはもはや通信を行わず、したがって安全な状態にある。したがって、この遮断モードでは、コンポーネントは、不都合なまたは望ましくない決定につながる、またはそれに寄与することはできない。
【0007】
例えば、スイッチングレギュレータのチョークを38FITとする。マイクロコントローラを動作させるためには、原則として、少なくとも2つのこのようなチョークを使用し、これにより、他の全てのコンポーネントが0のFIT値を有していたとしても、100FITの予算が既に76%まで使い果たされてしまう。
【0008】
したがって、故障、予期せぬ事象、および未知の状態が発生した場合であっても、レーダデータを確実に出力することを可能にするレーダセンサシステムおよびレーダセンサシステムを動作させる方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、請求項1の特徴を有するレーダセンサシステムおよび請求項10の特徴を有する方法を開示する。
【0010】
したがって、それぞれセンサデータを生成するための少なくとも1つの第1の部分センサシステムおよび第2の部分センサシステムであって、それぞれの部分センサシステムが少なくとも1つの受信アンテナおよび少なくとも1つの送信アンテナを有するアンテナ構成を備える、第1の部分センサシステムおよび第2の部分センサシステム、
それぞれの部分センサシステムが独立して通常モードから遮断モードへ移行可能である制御装置、および
通常モードの部分センサシステムのセンサデータのみを出力データを生成するために合成するように構成されたデータ融合装置、
を備えるレーダシステムを提供する。
【0011】
言い換えれば、通常モードである、すなわち遮断モードに移行していない部分センサシステムのみがそれぞれ出力データの生成に寄与することができる。すなわち、遮断モードは、例えば、遮断モードの部分センサシステムからのセンサデータは出力データの生成に寄与しない、ということによって定めることができる。したがって、それぞれの部分センサシステムの通常モードは、通常モードの部分センサシステムのセンサデータを、出力データを生成するために使用し、特に、通常モードの他の部分センサシステムのセンサデータと合成される、ということにより定めることができる。
【0012】
特定の条件が存在する場合、1つ以上の部分センサシステムを遮断モードから通常モードに移行させることができ、特に、1つ以上の部分センサシステムを通常モードと遮断モードとの間で切り換えることができる。部分センサシステムを遮断モードから通常モードに再び移行させた場合、これに応じてこの部分センサシステムのセンサデータも出力データを生成するために再び使用し、例えば、通常モードの他の部分センサシステムのセンサデータと合成する。
【0013】
したがって、レーダセンサシステムの緊急モードは、この部分センサシステムのセンサデータが、出力データ、すなわちレーダセンサシステムの全体的な結果に悪影響を及ぼすことができない統合状態を表す。したがって、例えば、このレーダセンサシステムでは100よりかなり低いFIT値を達成することができ、それは、それら部分センサシステムがより高いFIT値を有するが、これらFIT値は、それぞれの部分センサシステムが遮断モードでは出力データにもはや何ら影響を及ぼさないので、全体として考察した場合に無視される。
【0014】
制御装置は、特に、個々の部分センサシステムにおけるエラーを検出するか、または個々の部分センサシステムにおけるエラーを示す信号を受信し、エラーを検出したか、または故障を示したそれぞれの部分センサシステムを遮断モードに移行させるように構成することができる。同様に、制御装置は、部分センサシステムにおいてエラーがもはや生じていないことを確認するか、または生じていないことを示す適宜な信号を受信し、この信号に基づいて、対応する部分センサシステムを再び通常モードに移行させるように構成してもよい。
【0015】
本発明によれば、センサシステムの出力データの利用可能性を著しく増大させることができる。2つの部分センサシステムしか設けていない場合にも、レーダセンサシステム全体の故障率を大幅に低減することができる。レーダセンサシステムのこのような完全な故障は、せいぜい、全ての部分センサシステムに影響を及ぼすエラーが発生した場合、または全ての部分センサシステムが互いに独立してエラーによって影響を受けた場合に発生する可能性があり、このようなことは起こりそうにないものである。
【0016】
故障率の低下は、全体として、単一の部分センサシステムによって今まで検出することができる全ての出力データの高い利用可能性につながる。良好な場合、レーダセンサシステムは、出力データを生成するために全ての部分センサシステムのセンサデータを使用し、特に互いに合成する。しかしながら、故障時にも、N個の部分センサシステムを有するレーダセンサシステムにおいてこれらのN個の部分センサシステムのうちの1つが故障した場合には、レーダセンサシステムは、依然として、N-1個の部分センサシステムからのセンサデータを使用して出力データを生成する。
【0017】
出力データを生成するためにN個の部分センサシステム全てを実際に使用していないレーダセンサシステムのモードは、レーダセンサシステムの「緊急モード」と呼ぶことができる。この緊急モードでは、レーダセンサシステムは、おそらく完全な性能を達成することはできないが、依然としてかなりの割合、例えば、完全な性能の50%を達成することができる。このような緊急モードは、例えば、車両またはレーダセンサシステムを装備した装置を、安全な状態にするために使用することができる。
【0018】
例えば、このようなレーダセンサシステムを有する車両を、路肩または作業場に停車するために操舵することができる。しかしながら、実際の車線で迅速に停止させるために、レーダセンサシステムによって車両を制御することも可能である。レーダセンサシステムによって装置または車両を移行させたそれぞれの安全な状態は、故障した、すなわち遮断モードに移行した部分センサシステムの数に依存する場合もある。換言すれば、安全な状態は、より多くの部分センサシステムが遮断モードに移行している程、より短期的に作用する措置を含むか、またはより迅速に目標を達成することができる。
【0019】
したがって、本発明は、本発明によるレーダセンサシステムを備え、レーダセンサシステムの出力データに依存して安全な状態、例えば安全な位置に制御可能な装置、特に車両も提供する。
【0020】
さらに、方法であって、レーダセンサシステムの第1の部分センサシステムのセンサデータを受信するステップ、レーダセンサシステムの第2の部分センサシステムのセンサデータを受信するステップ、少なくとも1つの部分センサシステムを、他の部分センサシステムから独立して、通常モードから遮断モードへ移行させるステップ、出力データを生成するために、通常モードにある部分センサシステムのセンサデータのみを合成するステップ、および、生成された出力データを出力するステップ、を備える方法を提案する。
【0021】
さらなる実施形態および発展形は、従属請求項および図面を参照した記述から明らかになる。
【0022】
好ましい発展形によれば、レーダセンサシステムは、部分センサシステムに共通のクロック信号を供給するクロック発生器を備える。出力データを生成するためのセンサデータの合成は、有利には、クロック信号を使用して行う。このようにして、センサデータの同期を達成または改善することができる。
【0023】
したがって、本発明による方法は、共通のクロック信号を部分センサシステムに供給するするステップを含み、共通のクロック信号を使用してセンサデータの合成を行う。
【0024】
さらなる有利な発展形によれば、データ融合装置は、部分センサシステムによって生成されたセンサデータを、生データに近いレベルで合成するように構成されている。
【0025】
Hall,D.L.とLlinas,J.による学術的な刊行物:“An introduction to multisensor data fusion”,“Proceedings of IEEE Bd.85,1997”の6~23頁には、データレベルを分類するためのシステムが提案されている。このシステムによれば、いわゆる「データ融合」では、ビームフォーミングを用いた雑音抑制の場合などのさらなる信号処理ステップの前に生のセンサデータを互いに合成する。いわゆる「特性融合」では、合成前に一義的な特徴の抽出を行う。次に、新たに組み合わせた特徴ベクトルを続いて、例えば、オーディオビジュアル音声認識において処理し、音響的および視覚的特徴ベクトルを組み合わせ、雑音の多い環境または妨害されたチャネルにおいても音声および唇の動きを組み合わせることによって、許容可能な認識速度を達成する。いわゆる「決定融合」では、全ての信号処理およびパターン認識ステップを実行した後にようやく合成を行う。
【0026】
さらなる有利な発展形によれば、データ融合装置は、部分センサシステムによって生成されたセンサデータを、生データレベルまたはスペクトルレベルで合成するように構成されている。
【0027】
さらなる有利な発展形によれば、制御装置は複数の制御器として構成されている。有利には、それぞれの部分センサシステムには、それぞれの部分センサシステムを遮断モードに移行させるための少なくとも1つの制御器を割り当てる。
【0028】
さらなる有利な発展形によれば、制御装置はマイクロコンピュータとして構成されている。
【0029】
さらなる有利な発展形によれば、データ融合装置は、複数の制御器のうちの少なくとも2つの制御器の間にデータインターフェースを備える。
【0030】
さらなる有利な発展形によれば、制御装置は、少なくとも2つの部分センサシステムのための中央制御器を備えるか、または全ての部分センサシステムのための中央制御器からなっている。
【0031】
さらなる有利な発展形によれば、少なくとも2つの部分センサシステムのアンテナ配置は、互いに対して点対称、軸対称および/または回転対称に配置している。
【0032】
さらなる有利な発展形によれば、それぞれの部分センサシステムは、レーダセンサシステムの共通のコネクタを介して電気エネルギーを供給可能な独立したそれ自身の電圧供給装置を有する。
【0033】
以下に概略的な図面に示す例示的な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態によるレーダセンサシステムを示す概略的なブロック図である。
【
図2】1つの可能な実施形態によるレーダセンサシステムの詳細を示す概略図である。
【
図3】
図1および/または
図2に示したレーダセンサシステムの電子回路アーキテクチャの具体例を示す概略的なブロック図である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態によるレーダセンサシステムを動作させる方法を説明するための概略的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
全ての図において、同じ、または機能が同じ要素および装置には、特に断りのない限り、同じ参照符号を付してある。方法ステップの番号付けは、明確にするためのものであり、特に別段の断りのない限り、特定の時間順序を示すものではない。特に、いくつかの方法ステップは同時に実行することもできる。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるレーダセンサシステムの概略的なブロック図を示す。
【0037】
図1から分かるように、レーダセンサシステム100は、それぞれセンサデータを生成するための少なくとも第1の部分センサシステム10および第2の部分センサシステム20を有する。それぞれの部分センサシステム10、20は、少なくとも1つの受信アンテナと少なくとも1つの送信アンテナとをそれぞれ有するアンテナ装置13、23を備える。
図1には、第1部分センサシステム10がアンテナ装置13を備え、第2部分センサシステム20がアンテナ装置23を備えることを示している。レーダセンサシステム100は、3つ以上の部分センサシステム10、20、例えば3つ、4つ、8つ、またはそれ以上の部分センサシステム10、20を有することもできることは理解されたい。
【0038】
以下に説明するように、個々の部分センサシステム10、20のアンテナ装置13、23は、特に互いに対称的に配置することが好ましい。したがって、好ましくは、4で割り切れる偶数の部分センサシステム10、20を使用し、部分センサシステム10、20のアンテナ配置13、23は、互いに対して1つまたは2つの鏡面対称により配置することができる。
【0039】
レーダセンサシステム100は、さらに制御装置50を備え、この制御装置によって、それぞれの部分センサシステム10、20は、他のそれぞれの部分センサシステム10、20から独立して通常モードから遮断モードに移行可能である。
【0040】
制御装置50は、
図1に同様に概略的に単一のブロックとして示している。いくつかの特に有利な実施形態では、制御装置50は、互いに独立した複数の個々の制御器からなり、これらの制御器うちの少なくとも1つの制御器を、それぞれの部分センサシステム10、20に割り当てる。このような実施形態を、例えば、
図2を参照して以下により詳細に説明する。
【0041】
レーダセンサシステム100は、部分センサシステム10、20に共通のクロック信号71を供給するクロック発生器60をさらに備える。
【0042】
レーダセンサシステム100のデータ融合装置30は、部分センサシステム10、20に結合しており、これにより、レーダセンサシステム100の出力データを生成するために、部分センサシステムによって生成されたセンサデータを合成することができる。データ融合装置30は、通常モードである、すなわち、実際に遮断モードに移行していない部分センサシステム10、20のセンサデータのみを合成するように設計し、設定している。
【0043】
したがって、レーダセンサシステム100が良好な場合、すなわち、全ての部分センサシステム10、20がエラーなしに機能している状態では、全ての部分センサシステム10、20のセンサデータをデータ融合装置30によって合成する。しかしながら、レーダセンサシステム100が緊急モードである場合、すなわち、少なくとも1つの部分センサシステムが遮断モードに移行している場合、遮断モードに移行している部分センサシステム10、20のセンサデータは、他の部分システム10、20のセンサデータと合成しない。
【0044】
このことは、例えば、制御装置50によって遮断モードに移行した部分センサシステム10、20が、もはやセンサデータをデータ融合装置30に供給しないことによって実現することができる。代替的にはまたは付加的には、制御装置50は、現在遮断モード移行している、および/またはかつて遮断モードに移行していたことがある全ての部分センサシステムについて、データ融合装置30に通知することができる。データ融合装置30は、データ融合装置30が部分センサシステム10、20から受信するセンサデータであって、制御装置50によって遮断モードに移行したことが示されたセンサデータを、出力データを生成する場合に考慮しない、すなわち、特に、例えば他のセンサデータと合成しないように構成してもよい。
【0045】
さらに代替的には、遮断モードに移行したそれぞれの部分センサシステム10、20は、このことを、例えばセンサデータの一部として、またはデータ融合装置30に伝送するセンサデータに付加しれたステータス信号として、データ融合装置30に自身で通知することができる。したがって、データ融合装置30は、このようにラベル付けされたセンサデータを、データ融合装置30によって考慮しないように設計することができる。
【0046】
データ融合装置30は、部分センサシステム10、20とは別個に構成することができる。しかしながら、いくつかの有利な実施形態では、データ融合装置30は、分散して構成し配置し、そしてそれぞれの部分センサシステム10、20のそれぞれの計算ユニットに加えて、個々の部分センサシステム10、20間のデータライン、好ましくは個々の部分センサシステム10、20間の直接のデータ接続も含む。
【0047】
データ融合装置30を制御装置50に組み込むことも可能である。したがって、制御装置50は、部分センサシステム10、20が有利にも恒久的に接触する中央制御器として機能することができ、制御装置50は、いつでもそれぞれの部分センサシステム10、20を遮断モードに移行させることができる。このために、制御装置50は、有利には、連続的に、または少なくとも規則的に、データ、例えば、それぞれの部分センサシステム10、20のセンサデータを受信し、これらセンサデータに基づいて、制御装置50は、それぞれの部分センサシステム10、20が通常モードに留まることができるかどうか、または遮断モードに移行させるかどうか(または逆に、遮断モードに移行した部分センサシステム10、20を再び通常モードに移行させるかどうか)を決定する。
【0048】
データ融合装置30のために、複数の部分センサシステム10、20、または全ての部分センサシステム10、20のために独立した中央構成要素を使用する場合、この中央データ融合装置は、より多くの計算能力を有するように効率的に構成することができ、これにより、全体的にスペースを節約し、同時に利用可能な計算能力を増大させることができるという利点が生じる。さらに、部分センサシステム10、20間の直接的なデータラインの一部または全てを省略することができるので、このようにして、配線にかかるコストを低減することができる。
【0049】
レーダセンサシステム100が、例えば、4つの部分センサシステム10、20によって構成されており、それぞれの部分センサシステム10、20が、それぞれの部分センサシステム10、20の処理ユニットが、それ自身のセンサデータを通常モードの他の全ての部分センサシステム10、20のセンサデータと合成することができるように、他のそれぞれの部分センサシステム10、20との直接のデータ接続を使用することができることが望ましい場合、部分センサシステム10、20間に全部で6本の直接のデータラインが必要である。N個の部分センサシステム10、20の場合、全ての部分センサシステム10、20間に必要な直接データ接続の数はN*(N-1)/2に対応する。
【0050】
これは、全ての部分センサシステム10、20がそれぞれ1つの中央データ融合装置30のみと通信する場合と比較することができる。このために必要なデータラインはN本のみであり、すなわち、それぞれの部分センサシステム10、20とデータ融合装置30との間に1本である。したがって、N個の部分センサシステムでは、N本のデータ線しか必要としない。
【0051】
しかしながら、全ての部分センサシステム10、20の間に直接のデータラインを有する実施形態の利点は、これらの実施形態が、特に高い冗長性を有し、1つの中央データ融合装置30(制御装置50に一体化することができるが、必ずしもそうである必要はない)が共通の1つのエラー源とはならないことである。
【0052】
既に述べたように、個々のセンサシステム10、20間のできるだけ永続的な通信、少なくとも規則的な通信が、できるだけ低い信号レベル、特に生データに近いレベルでセンサデータを合成できるようにするためには望ましい。
【0053】
データ融合装置30は、特に、部分センサシステム10、20によって生成されたセンサデータを生データレベルまたはスペクトルレベルで合成するように設計している。言い換えれば、特に、生のセンサデータ自体を合成することができるか(生データレベル)、または複合信号またはスペクトルを決定することができ、次いで、これらの信号を互いに合成する(スペクトルレベル)。
【0054】
理想的には、合成は生データレベルで行うが、このことは、例えば数Gbpsまたは多くのメモリを有する高性能のデータラインを必要とし、これらの2つの解決策は比較的労力がかかる。この労力を軽減するために、部分センサシステム10、20間の通信は、1Mbpsと1000Mbpsとの間、特に200Mbpsと800Mbpsとの間、特に好ましくは300Mbpsと700Mbpsとの間で、後続の角度推定を行う前に、1つのレベルでセンサデータを合成するために使用することができる。
【0055】
有利には、それぞれの部分センサシステム10、20において、全ての部分センサシステム10、20の全データボリュームを通常モードにおいてミラーリングし、これにより、これに関しても高度の冗長性を設ける。
【0056】
部分センサシステム10、20のアンテナ装置13、23は、少なくとも1つのタイプの対称性にしたがって配置することが特に好ましい。例えば、2つのアンテナ装置13、23の場合、アンテナ装置は、特に、例えば、
図2および
図3を参照して以下に説明するように、鏡面対称軸に対して鏡面対称に配置することができる。
【0057】
例えば、レーダセンサシステム100の4つのアンテナ装置13、23を設ける場合、2つの鏡面対称軸を有する装置が有利であり、2つの空間次元においてレーダセンサシステムが良好な場合には高精度を達成することができ、(遮断モードに移行した部分センサシステムによる)故障を回避するために遮断モードにおいて高い冗長性が得られる。
【0058】
部分センサシステム10、20のアンテナ装置13、23のいくつか、または全てを点対称に配置することも有利である。しかしながら、対称性を有しておらず、例えば、入れ子になっているか、または擬似ランダムな配置を有する部分センサシステム10、20のアンテナ装置13、23を互いに対して配置することも可能である。
【0059】
図2は、可能な実施形態によるレーダセンサシステム100の詳細を示し、第1部分センサシステム10の第1アンテナ構成13は、鏡面対称軸Sに関して第2部分センサシステム20の第2アンテナ構成23に対して鏡面対称に構成し配置している。
図2に示すように、鏡面対称軸Sの左側に示す要素は第1部分センサシステム10の第1アンテナ装置13に属し、ミラー対称軸Sの右側に示す要素は第2部分センサシステム20の第2アンテナ装置23に属する。
【0060】
以下では、アンテナ装置13、23またはレーダセンサシステム100を車両の一部として構成している例を用いて、アンテナ装置13、23の互いに対する配置(すなわち、特に、向きおよび位置決め)について説明する。この場合、
図2において、水平方向(すなわち、左から右へ)は、車両の運転時の水平方向、そして垂直方向すなわち
図2の上方から下方への方向は、車両の運転時の垂直方向、すなわち道路上の異なる高さに対応するものとする。したがって、水平方向における受信アンテナおよび/または送信アンテナの分散した配置は、車両に対する物体のいわゆる「方位角」を決定するために適している。これに対して、垂直方向における受信アンテナおよび/または送信アンテナの分散した配置は、車両に対する物体のいわゆる「仰角」を特に正確に決定するために適している。
【0061】
また、
図2に示すように、これら2つのアンテナ装置13、23のそれぞれは、集合的に「RX」と呼ぶ複数の受信アンテナと、集合的に「TX」と呼ぶ複数の送信アンテナとを含む。両方のアンテナ装置13、23の受信アンテナRXは、有利には、
図2の例では水平方向に一列に並んで互いに平行に配置している。既に述べたように、このようにして、水平方向に特に高い分解能が得られ、すなわち、車両の周辺にある物体の車両に対する方位角を、レーダセンサシステム100によって特に正確に決定することができる。
図2に示す例では、第1アンテナ装置13は、例えば列アンテナとして構成した8つの受信アンテナRXを有する。
【0062】
受信アンテナRXに加えて、第1アンテナ装置13は、さらに4つの送信アンテナTXを含み、
図2によれば、この送信アンテナTXは同様に列アンテナとして構成しているが、原理的には、他の形式のアンテナも可能である。
図2にさらに示すように、有利には、それぞれ2つの送信アンテナTXは、列方向に沿ってそれぞれ正確に1つの他の送信アンテナTXと同一線上に配置されるように整列している。同一線上の2対の送信アンテナTXは、水平方向に、さらに垂直方向にも互いにシフトしている。言い換えれば、いずれの2つの送信アンテナも、垂直方向に全く同じようには配置していない。有利には、垂直方向に隣接するそれぞれ2つの送信アンテナTXが、垂直方向に部分的に重なり合うようにすることができる。このようにして、垂直方向に特に正確な分解能を達成することができ、車両の周辺の物体の仰角をレーダセンサシステム100によって特に正確に決定することができる。すなわち、このようにして、レーダセンサシステム100の出力データの仰角性能を改善することができる。
【0063】
既に述べたように、第1アンテナ装置13および第2アンテナ装置23は、鏡面対称軸Sに対して互いに鏡像的に構成し配置している。
【0064】
それぞれのアンテナ装置13、23の送信アンテナTXは、それぞれ、対応するアンテナ装置13、23のそれぞれの受信アンテナRXよりも水平方向に鏡面対称軸Sからさらに離れている。第1アンテナ装置13の受信アンテナRXは、互いに対してだけでなく、第2アンテナ装置23の同様に配置された受信アンテナRXに対しても平行かつ直列に配置しており、これにより、
図2に示すレーダセンサシステムは、互いに平行に一列に配置した全部で16個の受信アンテナRXを備える。
【0065】
垂直方向にも、それぞれの送信アンテナTXは、有利には、いずれの送信アンテナTXもいずれかの受信アンテナRXと垂直方向に同じレベルに配置されないように配置している。このようにして、垂直方向の分解能、すなわち、出力データの仰角性能をさらに改善することができる。アンテナ装置13、23のそれぞれいずれか1つの受信アンテナTXが、互いに平行に配置された受信アンテナRXと垂直方向に重なり合い、特に、対応する送信アンテナTXの垂直方向の寸法の大部分が、受信アンテナRXの寸法の大部分と重なり合うようにすることができる。さらに、受信アンテナRXと重なり合う送信アンテナTXに垂直方向に隣接する送信アンテナTXは、垂直方向に受信アンテナRXに直接に接続されるが、水平方向には受信アンテナRXから離間するように配置してもよい。
【0066】
図2の例から、2つの部分センサシステム10、20の一方が通常モードから遮断モードに移行する場合に、それぞれ残された部分センサシステム10、20は、レーダセンサシステムの出力データを、垂直方向に分解能を変更せずに供給し、水平方向に分解能を低下させて、例えば半分にして供給することができることが明らかに分かる。
【0067】
したがって、
図2に示す実施形態は、レーダセンサシステム100の緊急モードにおいても仰角性能が特に重要であるレーダセンサシステム100に特に適している。またその代わりとして、このレーダセンサシステムは、2つの部分センサシステム10、20を用いて構成することもでき、これらの部分センサシステムのアンテナ装置13、23は鏡面対称軸Sに対して鏡面対称に構成し配置し、この鏡面対称軸Sは水平方向に延在する。したがって、この場合、レーダセンサシステム100は、一定の方位角特性を提供するために特によく適しており、緊急モードでは、仰角特性は、遮断モードに移行した部分センサシステム10、20の数に応じて低下する。
【0068】
上述のように、4個または16個、または4で割り切れる別の個数の部分センサシステム10、20を有するレーダセンサシステム100が有利であることが分かるが、それは、このようなレーダセンサシステムが、水平方向および垂直方向の両方において互いに鏡面対称に配置しているか、またはより一般的には、2つの相互に垂直な鏡面対称軸Sに対して互いに鏡像的に配置したアンテナ装置13、23を備えることができるからである。このような配置では、部分センサシステムが故障した場合にも、ほぼ完全な仰角性能ならびにほぼ完全な方位角特性が依然として達成できる。2つの部分センサシステム10、20のみを有するレーダセンサシステム100は、寸法が小さく、コストが低いという利点を有する。
【0069】
個々の部分センサシステム10、20のアンテナ装置13、23の鏡像的に同じ、または少なくともほぼ同様の構成は、レーダセンサシステム100の緊急モードにおいて、1つ以上の部分センサシステム10、20が遮断モードに移行されており、他の部分センサシステム10、20がまだ通常モードである場合に、どの部分センサシステム10、20が遮断モードに移行されたのかに依存してレーダセンサシステム100の出力データの品質および/またはさらなる特性が異なることはほとんどないという利点を有する。
【0070】
図2を参照して提示する実施形態は、例えば、いずれの部分センサシステム10、20が故障したのかに関わらず、方位角特性の同じ低下および仰角性能の同じ変化(すなわち、変化しない)が起こるという利点を有する。後者は、
図2の2つのそれぞれの部分センサシステム10、20のそれぞれの送信アンテナTXに対して、同じ垂直方向高さに配置した他の2つの部分センサシステム10、20の少なくとも1つの送信アンテナTXを設けており、
図2の2つのそれぞれの部分センサシステム10、20のそれぞれの受信アンテナRXに対して、同じ垂直方向高さに配置した他の2つの部分センサシステム10、20の少なくとも1つの受信アンテナRXを設けていることに基づいている。
【0071】
図3は、
図1および
図2に示したレーダセンサシステム100の電子回路アーキテクチャの具体例の概略的なブロック図を示す。
【0072】
互いに独立した2つの部分センサシステム10、20へのレーダセンサシステム100の分離が、
図3では、実質的に水平方向の破線状の曲線で示している。この曲線より上方の要素は、第1部分センサシステム10に含めるか、または第1部分システム10の一部として構成している。この曲線より下方の要素は、第2部分センサシステム20に割り当てるか、もしくは第2部分センサシステム20の一部として構成している。
【0073】
図2においてまとめてTXと呼ぶ送信アンテナは、
図3に示す電子回路アーキテクチャでは、それぞれ4つの送信アンテナのブロックにまとめ、11および21により示している。第1アンテナ装置13の送信アンテナブロック11は、第1部分センサシステム10に割り当てており、その一部として構成されている。第2アンテナ装置23の送信アンテナブロック21は、第2部分センサシステム20に割り当てており、その一部として構成されている。言うまでもなく、アンテナ装置13、23は、それぞれ、複数の送信アンテナブロックおよび/または他の数の送信アンテナTX、例えば、それぞれ2つの送信アンテナを有する送信アンテナブロックを備えることもできる。
【0074】
図2においてまとめてRXと呼ぶ受信アンテナは、
図3に示す電子回路アーキテクチャでは、それぞれ8つの受信アンテナのブロックにまとめ、12もしくは22により示している。第1アンテナ装置13の受信アンテナブロック12は、第1部分センサシステム10に割り当てており、その一部として構成されている。第2アンテナ装置23の受信アンテナブロック22は、第2部分センサシステム20に割り当ており、その一部として構成されている。言うまでもなく、アンテナ装置13、23は、それぞれ、複数の受信アンテナブロックおよび/または他の数の受信アンテナRX、例えば、それぞれ4つの受信アンテナまたは2つの受信アンテナを有する受信アンテナブロックを備えることができる。
【0075】
それぞれいずれか1つの送信アンテナブロック11およびそれぞれいずれか1つの受信アンテナブロック12は、一緒にそれぞれ1つの集積回路14、24に割り当てており、および/またはこの集積回路14、24の一部として形成している。
【0076】
集積回路14、24は、特にMMICS(モノリシックマイクロ波集積回路)としてもよい。これとは対照的に、従来技術で知られている多くのレーダセンサシステムでは、全ての送信アンテナおよび受信アンテナのための電子機器は、コスト上の理由から単一の集積回路上に集積されており、したがって、この集積回路に障害が発生した場合、一般に遮断モードによって、全ての送信アンテナおよび全ての受信アンテナが検出される。
【0077】
集積回路14、24では、例えば、信号を生成するHFモジュール、送信機、ベースバンドチェーンを有する受信機、および/またはアナログ-デジタル変換器などを有利に集積化することができる。それぞれ関連する集積回路14、24を有する送受信アンテナブロック11、21の組み合わせを「レーダフロントエンド」と呼ぶこともできる。
【0078】
図3は、
図1を参照して既に説明したクロック発生器60が、集積回路14、24に共通のクロック信号71をどのように利用可能にするかを同様に説明している。
【0079】
図1に示した実施形態の変形例である
図3に示す実施形態では、制御装置50は複数の制御器15、25を含み、それぞれの部分センサシステムには、それぞれの部分センサシステム10、20を遮断モードに移行させるための少なくとも1つの制御器15、25を割り当てている。
図3を参照して説明するように、有利には第1制御器15は、第1部分センサシステム10に割り当てており、特にこの第1部分センサシステムの一部として構成しており、第2制御器25は、第2部分センサシステム20に割り当てており、特にこの第2部分センサシステムの一部として構成している。
【0080】
好ましくは、制御器15、25はマイクロコントローラとして構成している。しかしながら、制御器15、25は、代替的にまたは付加的に、特定用途向け集積回路、FPGAなどを含んでもよく、またはそのように構成してもよい。
【0081】
図3を参照してさらに説明するように、データ融合装置30は、制御器15、25間の直接的なデータインターフェースを備え、このインターフェースは、個々の部分センサシステム10、20のセンサデータを交換してそれらを合成するために使用する。それぞれの制御装置15、25には、それぞれの電圧供給装置16、26を介して供給電圧を供給する。オプションとして、個々の電圧供給装置16、26は、少なくとも(好ましくは正確に1つの)コネクタ40によって、例えば、頻繁に使用するCANバスなどの車両バスシステムに接続していてもよいし、または接続することもできる。
【0082】
センサデータの合成は、有利には、両方の制御器15、25(もしくは、3つ以上の部分センサシステム10、20を設けている場合には、全ての)において行い、良好な場合、両方の部分センサシステム10、20が機能しているときには、それぞれの制御器15、25は、内容に関して同じ出力データを生成し出力することができる。換言すれば、それぞれの制御器15、25内に完全なミラーリングが存在することができる。
【0083】
2つの部分センサシステム10、20の一方が遮断モードに移行した場合、この部分センサシステムのセンサデータはもはやセンサデータを合成するために使用しない。
図3に示すように正確に2つの部分センサシステム10、20を備える場合には、センサデータの合成はもはや行わず、遮断モードに移行していない部分センサシステム10、20のセンサデータのみを、出力データとして使用しかつ/またはその処理をする。
【0084】
図3は、制御器15、25が、異なる様々なシステムを介して、例えば共通のバスシステムにも出力データを出力することができることを示している。これは、例えば、CANインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース18、28、および/またはFlexRay(フレックスレイ)インターフェース19、29を介して行うことができる。
【0085】
正確に1つの接続プラグ40を有する
図3に例示した場合に対して代替的に、複数の接続プラグ、すなわち、特に、部分センサシステム10、20毎に少なくとも1つの接続プラグを設けることもできる。
【0086】
図4は、本発明のさらなる実施形態によるレーダセンサシステムを動作させる方法を説明するための概略的なフロー図を示す。
図4に示すシステムは、特にレーダセンサシステム100を動作させるために使用することができる。したがって、
図4を参照して説明する方法は、レーダセンサシステム100に関して既に説明した全ての変更例および発展形にしたがって適合させることができ、その逆も同様である。
【0087】
本発明による方法の以下の説明におけるいかなる関連付けも、説明の都合上の性質のものであり、必ずしも、この方法がこの構成要素の使用に正確に限定されることを意味するものではない。以下で
図1~
図3の参照番号に言及するときはいつでも、このことが主に説明を目的としており、この方法がこれらの要素の使用に正確に限定されることを意味するものではないことも理解されたい。
【0088】
ステップS10において、レーダセンサシステム100の第1部分センサシステム10の上流側でセンサデータを受信し、そして第1部分センサシステム10は、少なくとも1つの受信アンテナRXおよび少なくとも1つの送信アンテナTXを有するアンテナ装置13を備える。
【0089】
ステップS20において、レーダセンサシステム100の少なくとも1つの第2部分センサシステム20からセンサデータを受信し、第2部分センサシステム20は、少なくとも1つの受信アンテナRXおよび少なくとも1つの送信アンテナTXを有するそれ自身の第2アンテナ装置23を備える。第1および第2の部分センサシステム10、20は、特にアンテナ装置13、23の配置および構成に関して、
図1~
図3を参照して上述したように有利に構成することができる。ステップS10およびS20は、特に、必要に応じて、説明する方法ステップのさらに別のステップと同時に行うこともできる。
【0090】
ステップS30において、部分センサシステム10、20には、例えば、クロック発生器60を参照して上述したように、共通のクロック信号71が供給される。クロック信号71の供給S30は、好ましくは、規則的に、連続的に、および/またはより長い期間にわたって行う。
【0091】
ステップS40では、特に制御器50に関して上述したように、少なくとも1つの部分センサシステム10、20を、他の部分センサシステム10、20から独立して、通常モードから遮断モードに移行させる。
【0092】
ステップS50では、特にデータ融合装置30を関して上述したように、出力データを生成するために、通常モードの部分センサシステム10、20のセンサデータのみを互いに合成する。
【0093】
ステップS60において、生成したその出力データは、例えば、上述したようなコネクタ40、例えば、車両に接続するように構成したコネクタ40に出力する。生成したその出力データは、他の方法で、例えば無線で車両に出力することもできる。
【0094】
言及した上記方法は、正確に2つの部分センサシステム10、20を有するレーダセンサシステムに限定されることはなく、3つ以上の部分センサシステム10、20を有するレーダセンサシステム100にも同様に適用することができることは理解されたい。
【0095】
この方法は、好ましくは、遮断モードに移行させた少なくとも1つの部分センサシステム10、20を再び通常モードに移行させるステップS70も含む。遮断モードに移行させるステップS40および通常モードのステップS70は、それぞれ、部分センサシステム10、20のセンサデータを評価し、そしてこのセンサデータに基づいて、それぞれの部分センサシステム10、20を通常モードに移行させるべきか、通常モードで動作させ続けるべきか、遮断モードに移行させるべきか、および/または遮断モードで動作させ続けるべきか、を決定する下位ステップを含むことができる。
【0096】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。特に、本発明は、本発明の本質から逸脱することなく、多様な方法で変更または修正することができる。