(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】光安定化化合物、組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 221/08 20060101AFI20221109BHJP
C07D 239/70 20060101ALI20221109BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20221109BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20221109BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20221109BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C07D221/08
C07D239/70 CSP
C07D471/04 112Z
C07D487/04 147
A61K8/49
A61K8/67
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020570800
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2019037104
(87)【国際公開番号】W WO2019245878
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボンダ,クレイグ アラン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-052063(JP,A)
【文献】特開平02-097963(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106366036(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105198875(CN,A)
【文献】特開2017-125009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0050681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
からなる群から選択される
、複素環式化合物。
【請求項2】
請求項1の複素環式化合物を含む組成物。
【請求項3】
複素環式化合物が、全組成物の0.01~25重量%の量で存在する、請求項
2の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の光活性化合物をさらに含む、請求項
2の組成物。
【請求項5】
光活性化合物が、レチノイド、サンスクリーン剤、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
4の組成物。
【請求項6】
光活性化合物がレチノイドである、請求項
5の組成物。
【請求項7】
レチノイドが、全組成物
の0.0001
~20重量%の量で存在する、請求項
6の組成物。
【請求項8】
光活性化合物がサンスクリーン剤である、請求項
5の組成物。
【請求項9】
サンスクリーン剤が、UVA化学的サンスクリーン剤、UVB化学的サンスクリーン剤、物理的サンスクリーン剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
8の組成物。
【請求項10】
サンスクリーン剤がUVA化学的サンスクリーン剤である、請求項
9の組成物。
【請求項11】
UVA化学的サンスクリーン剤が、全組成物
の0.001
~20重量%の量で存在する、請求項
10の組成物。
【請求項12】
サンスクリーン剤がUVB化学的サンスクリーン剤である、請求項
9の組成物。
【請求項13】
UVB化学的サンスクリーン剤が、全組成物
の0.001
~45重量%の量で存在する、請求項
12の組成物。
【請求項14】
油、界面活性剤、保湿剤、植物抽出物、粒子状材料、抗酸化剤、及び他のビタミンからなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項
4の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年6月18日に出願された仮特許出願第62/686,274号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、化学的サンスクリーン剤又は他の光活性な化合物を安定化させる化合物、並びに関連の組成物及び方法の分野にある。
【背景技術】
【0003】
光活性化合物は、広く使用されている。例えば、サンスクリーン剤は光活性化合物である。サンスクリーン剤において最も広く使用されているUVAフィルター及びUVBフィルターは、アボベンゾン(Avobenzone)(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)及びオクトキシネート(Octoxinate)(エチルヘキシルメトキシシンナメート)である。アボベンゾン及びオクチノキサート(Octinoxate)は、それぞれUVA線及びUVB線の遮断においては有効であるが、UV光に曝露すると、両方とも分解を受ける。UV光に曝露すると、オクチノキサートは他のオクチノキサート分子と二量体を形成することになる場合がある。これらの二量体はもはやUVBを吸収せず、UVB効力は失われる。オクチノキサートは、優性型のアボベンゾンの二重結合とも反応することになり、シクロブタンの形成をもたらし、これは、その後開環構造を形成する。その結果は、UVA効力の喪失である。
【0004】
レチノイドもまた、光活性化合物である。UV光に曝露すると、レチノイドは、光異性化、光重合、光酸化、及び光分解等の光化学反応を受ける。結果として得られた光分解生成物は、同じレベルの生物学的活性は有していない。その結果は、生物学的効力の喪失である。
【0005】
N-シアノジフェニルアクリレートのような光安定剤、例えばオクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸、2-エチルヘキシルエステル)は、アボベンゾンのUV誘導光分解を阻害することが知られている。アボベンゾンがUV光の光子を吸収するとき、その電子は三重項エネルギー状態に入り、これがアボベンゾンの光分解をもたらし得る。オクトクリレンは、三重項励起状態エネルギーを受容し、アボベンゾンを、その元の非励起状態に戻すことができる。しかし、オクトキシネートが存在する場合、オクトキシネートは、アボベンゾンから三重項励起状態エネルギーを受容し、その後優性型のアボベンゾンに見られる二重結合と反応することになる場合がある。従って、オクトクリレンは、その意図される目的のために有効である場合があるが、常に有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光活性化合物の不安定性を解決する問題は重要である。アボベンゾン及びオクチノキサートのようなサンスクリーン剤は広く使用されている。特に、アボベンゾンは、サンスクリーン剤製品において世界的使用が認可されている限られたUVAサンスクリーン剤の1つである。同様に、レチノイドもまた、それらの生物学的利点及び有効性により極めて望ましい。特に、レチノールは、上皮細胞増殖、正常な細胞分化及び細胞維持における重要な調節因子である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、複素環式化合物、これらの複素環式化合物を含む組成物、並びに化学的サンスクリーン剤(例えば、特にアボベンゾン又はオクチノキサート)及び他の不安定な化合物(例えばレチノール)を包含し得る光活性化合物を安定化させるための関連の方法を対象とする。
【0008】
本開示の概要
本開示は、式I:
【化1】
による構造を有する複素環式化合物を対象とする。
【0009】
一実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CR3及びNからなる群から独立して選択される。
【0010】
一態様において、R3は、H、OH、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、約1~約20個の炭素原子を有するアルコキシ基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される。好ましくは、R3は、H、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、約1~約20個の炭素原子を有するアルコキシ基から選択される。より好ましくは、R3は、H、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基から選択される。最も好ましくは、R3は、H、及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキルからなる群から選択される。
【0011】
一代替的実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CH及びNからなる群から独立して選択される。
【0012】
一実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の少なくとも1つはNである。別の実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の4つ以下はNである。
【0013】
一実施形態において、B1及びB2のそれぞれは、カルボニル又はC=C(R1)R2からなる群から独立して選択される。
【0014】
一代替的実施形態において、R1及びR2のそれぞれは、CN、C(=O)OR4からなる群から独立して選択される。一態様において、R1及びR2は、両方がCNであるというわけではない。一態様において、R1及びR2の少なくとも一方はC(=O)OR4である。
【0015】
一つの代替的態様において、R4は、H、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される。好ましくは、R4は、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。より好ましくは、R4は、少なくとも8個で、12個以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。最も好ましくは、R4は、8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0016】
一実施形態において、化合物の例としては、限定するものではないが、化合物1~10が挙げられる。
【0017】
本開示は、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物を含む組成物も対象とする。
【0018】
一実施形態において、本組成物は、全組成物の0.01~25重量%の量で存在する複素環式化合物を含む。好ましくは、複素環式化合物は、組成物中に、全組成物の0.05~15重量%の量で存在する。より好ましくは、複素環式化合物は、組成物中に、全組成物の0.1~5重量%の量で存在する。
【0019】
一実施形態において、本組成物は、少なくとも1種の光活性化合物をさらに含む。好ましくは、光活性化合物は、レチノイド、サンスクリーン剤、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
一態様において、光活性化合物はレチノイドである。好ましくは、レチノイドは、レチノールである。
【0021】
一態様において、レチノイドは、全組成物の約0.0001~約20重量%の量で存在する。好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。より好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.01~約8重量%の量で存在する。最も好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.05~約5重量%の量で存在する。
【0022】
一態様において、光活性化合物は、サンスクリーン剤である。好ましくは、サンスクリーン剤は、UVA化学的サンスクリーン剤、UVB化学的サンスクリーン剤、物理的サンスクリーン剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
一つの代替的態様において、サンスクリーン剤はUVA化学的サンスクリーン剤である。好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤は、ジベンゾイルメタン化合物、及びジカンファースルホン酸誘導体からなる群から選択される。より好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤は、ジベンゾイルメタン化合物からなる群から選択される。ジベンゾイルメタン化合物の例としては、限定するものではないが、4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンが挙げられる。最も好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤はアボベンゾンである。
【0024】
一つの代替的態様において、UVA化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.001~約20重量%の量で存在する。好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.005~約5重量%の量で存在する。より好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.005~約3重量%の量で存在する。
一つの代替的態様において、UVA化学的サンスクリーン剤はアボベンゾンであり、全組成物の約3重量%以下で存在する。
【0025】
一つの代替的態様において、サンスクリーン剤はUVB化学的サンスクリーン剤である。好ましくは、UVB化学的サンスクリーン剤は、アルファ-シアノ-ベータ,ベータ-ジフェニルアクリル酸エステル、ベンジリデンカンファー誘導体、シンナメート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、メンチルサリチレート誘導体、アミノ安息香酸誘導体、サリチレート誘導体、及び2-フェニルエタノールと安息香酸のエステルからなる群から選択される。より好ましくは、UVB化学的サンスクリーン剤は、オクトクリレン、4-メチルベンジリデンカンファー、オクチノキサート、シノキサート、ベンゾフェノン3、スリソベンゾン、スリソベンゾンナトリウム、ホモサレート、エチルヘキシルジメチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、オクチルサリチレート、TEA-サリチレート、DEA-サリチレート、フェニルエチルベンゾエートからなる群から選択される。より好ましくは、UVB化学的サンスクリーン剤は、オクトクリレン、4-メチルベンジリデンカンファー、オクチノキサート、ベンゾフェノン3、ホモサレート、エチルヘキシルジメチルPABA、オクチルサリチレートからなる群から選択される。最も好ましくは、UVB化学的サンスクリーン剤は、オクチノキサートである。
【0026】
一つの代替的態様において、UVB化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.001~約45重量%の量で存在する。好ましくは、UVB化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.005~約40重量%の量で存在する。より好ましくは、UVA化学的サンスクリーン剤は、全組成物の約0.01~約35重量%の量で存在する。
【0027】
一態様において、本組成物は、サンスクリーン剤組成物である。好ましくは、サンスクリーン剤組成物は、約1~約50のSPF値を有する。より好ましくは、サンスクリーン剤組成物は、約2~約45のSPF値を有する。最も好ましくは、サンスクリーン剤組成物は、約5~約30のSPF値を有する。
【0028】
本開示は、光活性化合物と、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物とを混合することを含む、光活性化合物を安定化させるための方法も対象とする。
一実施形態において、光活性化合物は、UV光への曝露による光分解に対するアボベンゾン、オクチノキサート、レチノール、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
光安定化化合物は、非常に望まれている。一部の実施形態において、本開示は、光活性化合物を安定化させる能力を有する光安定化化合物に関する。
【0030】
1分子中の各電子は、2つの可能なスピン状態を有する。ある分子の2つの電子が同じ分子軌道にあり且つ反対のスピン状態を有する場合、これらの2つの電子は電子対を形成する。ある分子の全ての電子が対になっている場合、磁場に曝されたときにこの分子の電子エネルギー準位は分裂しないため、この分子は一重項状態にある。ある分子が不対電子を1つだけ有する場合、磁場に曝されたときにこの分子の電子エネルギー準位が2つの準位に分裂し得るため、この分子は二重項状態にある。ある分子が、スピン状態が互いに平行である2つの不対電子を有する場合、磁場に曝されたときこの分子の電子エネルギー準位が3つの準位に分裂し得るため、この分子は三重項状態にある。
【0031】
一部の実施形態において、光活性化合物の全ての電子は基底状態で対になっている。
【0032】
一部の実施形態において、可視光及び/又はUV光に曝露されると、光活性化合物の光子吸収が電子励起を引き起こし得る。一部の代替的実施形態において、励起すると、1つの電子対の1つの電子は、低エネルギー基底状態から高エネルギー励起状態へと押し上げられ得る。この電子対は、一方の電子が励起状態にあり且つ他方の電子が基底状態にあり、不対になり得る。一態様において、励起電子はスピン配向を変化させることができず、他方の不対電子のスピン配向とは反対のスピン配向を維持する。この励起分子は、一重項励起状態にある。別の態様において、励起電子はそのスピン配向を変化させ、これは、他方の不対電子のスピン配向と平行になる。この励起分子は、三重項励起状態にある。
【0033】
一部の実施形態において、光活性化合物は、励起されると安定性が低くなり得、ほぼ不可逆的な光化学反応を受け得る。これらの不可逆的反応を受けた後、光活性化合物は、一般的に、それらの望ましい特性及び有効性を失う。多くの光活性化合物は、それらの優れた特性及び有効性により工業界において広く使用されているため、光活性化合物を安定化させる方法を見出すことは重要である。
【0034】
一部の実施形態において、光安定化化合物は、光活性化合物を安定化させ得る。一態様において、光安定化化合物は、励起した光活性化合物からのエネルギー移動を直接的に又は間接的に補助することが可能であり得る。一つの代替的態様において、励起した光活性化合物は、共存する光安定化化合物により、光化学反応を受ける前にそれらのより安定な状態(すなわち基底状態)に戻る可能性が高いため、光化学反応を受ける可能性は低いだろう。励起された後に光活性化合物が不可逆的な光化学反応を受ける可能性を低下させることにより、光安定化化合物は、光活性化合物を有効に安定化させ得る。
【0035】
A. 化合物
光安定化化合物が、励起した光活性化合物からのエネルギー移動をどのように補助するのかについては、十分に理解されていない。
【0036】
一部の実施形態において、本開示は、複素環式化合物に関する。複素環式化合物は、2種以上の原子で構成される少なくとも1つの環を含む化合物である。一つの好ましい態様において、複素環式化合物は共役(conjugated)であってよい。
【0037】
一態様において、上記の複素環式化合物は、芳香族、非芳香族、又は反芳香族であり得る。好ましくは、上記の複素環式化合物は芳香族であり得る。
【0038】
一態様において、複素環式化合物のヘテロ原子は、窒素、酸素、及び/又は硫黄であり得る。複素環式化合物において、ヘテロ原子は、炭素原子ではない環中の原子である。好ましくは、複素環式化合物のヘテロ原子は、窒素であり得る。
【0039】
ヘテロ原子としての窒素は、複素環式化合物の特性に様々な方法で影響を及ぼし得る。窒素は、炭素より電気陰性である。すなわち、窒素は、炭素が有する結合電子対を求引する傾向よりも高い、結合電子対を求引する傾向を有する。また、窒素は、他の原子と結合を形成することができない孤立電子対も有する。
【0040】
一態様において、窒素の孤立電子対は、複素環式環に垂直なp軌道上にあり得る。この場合、窒素は、複素環式系のπ軌道への電子供与体として作用し得る。別の態様において、窒素の孤立電子対はsp2混成軌道上にあり且つ複素環式環の外側に存在し得る。この場合、窒素は、炭素より電子陰性(electron negative)であるため、複素環式系のσ軌道の電子受容体として作用し得る。複素環式化合物の分子電子構造は、窒素原子(1つ又は複数)の数及び窒素原子(1つ又は複数)の位置(1つ又は複数)が変化する場合、劇的に変化し得る。複素環式化合物の光物理的特性及び光化学的特性は、その分子電子構造の変化に従って変化し得る。環上の窒素原子(1つ又は複数)の数及び窒素原子(1つ又は複数)の位置(1つ又は複数)を注意深く選択することにより、化合物の望ましい光物理的特性及び光化学的特性が達成され得る。
【0041】
一部の実施形態において、本開示は、式I:
【化2】
による構造を有する複素環式化合物に関する。
【0042】
一実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CR3及びNからなる群から独立して選択される。
【0043】
一態様において、R3は、以下:
【0044】
(i) H;
【0045】
(ii) OH;
【0046】
(iii) 約1~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約1~約10個の炭素原子を有する、より好ましくは約1~約6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基(一つの代替的態様において、上記アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキルである);
【0047】
(iv) 約1~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約1~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約1~約6個の炭素原子を有するアルコキシ基(最も好ましくは、上記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシからなる群から選択される);
【0048】
(v) 約2~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約2~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約2~約6個の炭素原子を有するアルケニル基(最も好ましくは、上記アルケニル基は、ビニル、アリル、シクロペンテニル、ヘキセニルからなる群から選択される);
【0049】
(vi) 約2~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約2~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約2~約6個の炭素原子を有するアルキニル基;
【0050】
(vii) 約6~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約6~約14個の炭素原子を有する、より好ましくは約6~約12個の炭素原子を有するアリール基;
からなる群から選択される。
【0051】
一つの好ましい態様において、R3は、H、及び約1~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約1~約10個の炭素原子を有する、より好ましくは約1~約6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基から選択され;一つの代替的態様において、上記のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキルである。
【0052】
一代替的実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CH及びNからなる群から独立して選択される。
【0053】
一実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の少なくとも1つはNである。一実施形態において、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の4つ以下はNである。
【0054】
一実施形態において、B1及びB2のそれぞれは、カルボニル又はC=C(R1)R2からなる群から独立して選択される。
【0055】
一代替的実施形態において、R1及びR2のそれぞれは、CN、C(=O)OR4からなる群から独立して選択される。一態様において、R1及びR2は、両方がCNであるというわけではない。一態様において、R1及びR2の少なくとも一方はC(=O)OR4である。
【0056】
一態様において、R4は、
【0057】
(i) H;
【0058】
(ii) 約1~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約8~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約8個からの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基(一つの代替的態様において、上記アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキル、好ましくは直鎖又は分岐鎖オクチル基である);
【0059】
(iii) 約2~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約2~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約2~約6個の炭素原子を有するアルケニル基(最も好ましくは、上記アルケニル基は、ビニル、アリル、シクロペンテニル、ヘキセニルからなる群から選択される);
【0060】
(iv) 約2~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約2~約12個の炭素原子を有する、より好ましくは約2~約6個の炭素原子を有するアルキニル基;
【0061】
(v) 約6~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約6~約14個の炭素原子を有する、より好ましくは約6~約12個の炭素原子を有するアリール基
からなる群から選択される。
【0062】
一つの好ましい態様において、R4は、H、約1~約20個の炭素原子を有する、好ましくは約1~約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基から選択され;一つの代替的態様において、上記の直鎖又は分岐鎖アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択され;一つの好ましい代替的態様において、上記の直鎖又は分岐鎖アルキル基は、直鎖又は分岐鎖オクチル基である。
【0063】
R3を注意深く選択することにより、複素環式化合物の光物理的特性及び光化学的特性をさらに最適化し得る。
【0064】
R3及びR4を注意深く選択することにより、複素環式化合物の親水性及び/又は親油性を最適化し得る。化合物の親水性及び/又は親油性は、複素環式化合物を含む組成物の製剤化において重要な役割を果たし得る。
【0065】
複素環式化合物の非限定的な具体例が提供される:
【化3】
【0066】
B. 組成物
一部の実施形態において、本開示の組成物は、局所用組成物であり得る。一態様において、上記の局所用組成物は、固体、液体、又はゲルの形態であり得る。一態様において、局所用組成物は、水性ベースであってもよく、又は無水ベースであってもよい。水性ベースの組成物は、エマルション、溶液、又は分散液の形態であり得る。
【0067】
一部の実施形態において、本組成物は、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物を含む。一態様において、式Iの化合物は、全組成物の約0.01~約25重量%、好ましくは約0.05~約15重量%、より好ましくは約0.1~約5重量%の量で存在し得る。
【0068】
一部の実施形態において、局所用組成物は、2-フェニルエタノールと安息香酸の特定のエステルをさらに含み得る。一例は、Ashland社により商品名X-Tend 226(登録商標)の下で販売されているフェネチルベンゾエートである。
【0069】
一部の実施形態において、局所用組成物は、油、ワックス、増粘剤、ビタミン、保存剤、抗酸化剤、植物抽出物、化学的又は物理的サンスクリーン剤又は他の成分をさらに含み得る。
【0070】
一部の好ましい実施形態において、本組成物は、少なくとも1種の光活性化合物を含む。
【0071】
一態様において、光活性化合物は、レチノイド及びその誘導体である。好ましくは、本組成物は、レチニルパルミテート、レチノール、レチノイン酸、及び/又はベータカロテンの形態のビタミンAを含む。
【0072】
一態様において、レチノイドは、全組成物の約0.0001~約20重量%の量で存在する。好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。より好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.01~約8重量%の量で存在する。最も好ましくは、レチノイドは、全組成物の約0.05~約5重量%の量で存在する。
【0073】
一態様において、光活性化合物はサンスクリーン剤である。このようなサンスクリーン剤としては、化学的UVAサンスクリーン剤若しくは化学的UVBサンスクリーン剤、又は物理的サンスクリーン剤が挙げられる。
【0074】
1. UVA化学的サンスクリーン剤
所望の場合、本組成物は、1種以上のUVAサンスクリーン剤を含み得る。用語「UVAサンスクリーン剤」は、約320~400nmの波長範囲内のUV線を遮断する化合物を意味する。好ましいUVAサンスクリーン剤は、一般式:
【化4】
【0075】
(式中、R1は、H、OR又はNRR(ここで各Rは、独立して、H、C1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)であり;R2は、H又はOHであり;R3は、H、C1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)
を有するジベンゾイルメタン化合物である。
【0076】
好ましいのは、R1がOR(ここでRは、C1-20直鎖又は分岐鎖アルキル、好ましくはメチルである)であり;R2がHであり;R3がC1-20直鎖又は分岐鎖アルキルであり、より好ましくはブチルである、上記ジベンゾイルメタン化合物である。
【0077】
この一般式の好適なUVAサンスクリーン剤化合物の例としては、例えば、4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。特に好ましいのは、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾンとも呼ばれる)である。アボベンゾンは、Givaudan-Roure社又はDSM社から商標パーソル1789(Parsol 1789)の下で、またMerck & Co.社から商品名ユーソレックス9020(Eusolex 9020)の下で、Symrise社から商品名ネオヘリオパン357(Neo Heliopan 357)の下で市販されており、以下の式:
【化5】
による構造を有する。
【0078】
本開示の好ましい実施形態において、本組成物は、少なくとも1種のジベンゾイルメタンサンスクリーン剤、好ましくはアボベンゾンを含む。
【0079】
他の種類のUVAサンスクリーン剤としては、ジカンファースルホン酸誘導体、例えばエカムスル(Chimex社により商品名メギソリルSX(Mexoryl SX)の下で販売されているサンスクリーン剤)が挙げられ、これは、以下の式:
【化6】
による構造を有するテレフタリリデンジカンファースルホン酸である。
【0080】
本組成物は、組成物の約0.001~20重量%、好ましくは約0.005~5重量%、より好ましくは約0.005~3重量%のUVAサンスクリーン剤を含み得る。本開示の好ましい実施形態において、UVAサンスクリーン剤はアボベンゾンであり、これは、全組成物の約3重量%以下で存在する。
【0081】
2. UVB化学的サンスクリーン剤
用語「UVBサンスクリーン剤」は、約290~320nmの波長範囲内のUV線を遮断する化合物を意味する。存在する様々なUVB化学的サンスクリーン剤としては、例えば、米国特許第3,215,724号に記載されているアルファ-シアノ-ベータ,ベータ-ジフェニルアクリル酸エステルが挙げられ、米国特許第3,215,724号は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。アルファ-シアノ-ベータ,ベータ-ジフェニルアクリル酸エステルの1つの特定の例は、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレートであるオクトクリレンである。特定の場合、本組成物は、全組成物の約110重量%以下のオクトクリレンを含み得る。好適な量は、約0.001~10重量%である。オクトクリレンは、BASF社から商品名ユビナールN-539(Uvinul N-539)の下で、DSM社から商品名パーソル340(Parsol 340)の下で、またSymrise社から商品名ネオヘリオパン303(Neo Heliopan 303)の下で購入することが可能であり、以下の式:
【化7】
による構造を有する。
【0082】
他の好適なサンスクリーン剤としては、例えば、米国特許第3,781,417号に記載されているベンジリデンカンファー誘導体が挙げられ、米国特許第3,781,417号は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。このようなベンジリデンカンファー誘導体は、一般式:
【化8】
【0083】
(式中、Rは、p-トリル又はスチリル、好ましくはスチリルである)
を有する。特に好ましいのは、Merck社により商品名ユーソレックス6300(Eusolex 6300)の下で、Symrise社により商品名ネオヘリオパンMBC(Neo Heliopan MBC)の下で、またDSM社により商品名パーソル5000(Parsol 5000)の下で販売されている脂溶性のUVBサンスクリーン剤化合物である、以下の式:
【化9】
による構造を有する4-メチルベンジリデンカンファーである。
【0084】
【0085】
(式中、R及びR
1は、それぞれ独立して、C
1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)
を有するシンナメート誘導体も好適である。好ましいのは、Rがメチルであり、且つR
1が分岐鎖C
1-10アルキル、好ましくはC
8アルキルである、シンナメート誘導体である。好ましい化合物は、エチルヘキシルメトキシシンナメート(オクチノキサート又はオクチルメトキシシンナメートとも呼ばれる)である。オクチノキサートは、Givaudan Corporation社及びDSM社から商品名パーソルMCX(Parsol MCX)の下で、又はBASF社から商品名ユビナールMC 80(Uvinul MC 80)の下で、又はSymrise社から商品名ネオヘリオパンAV(Neo Heliopan AV)の下で、又はAshland社から商品名エスカロール557(Escalol 557)の下で購入することが可能であり、以下の構造:
【化11】
による構造を有する。
【0086】
また、このようなメトキシシンナメートのモノ-、ジ-、及びトリエタノールアミン誘導体(例えばジエタノールアミンメトキシシンナメート等)も好適である。シノキサート(上記の化合物の芳香族エーテル誘導体)もまた許容し得る。存在する場合、シノキサートは、全組成物の約3重量%以下で見られるべきである。
【0087】
同様にUVBスクリー二ング剤として好適なのは、一般式:
【化12】
【0088】
(式中、R~R
9は、それぞれ独立して、H、OH、NaO
3S、SO
3H、SO
3Na、Cl、R''、OR''(ここでR''は、C
1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)である)
を有する様々なベンゾフェノン誘導体である。このような化合物の例としては、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、及び12が挙げられる。特に好ましいのは、ベンゾフェノン誘導体が、ベンゾフェノン3(オキシベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン4(スリソベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン5(スリソベンゾンナトリウム)等である、上記ベンゾフェノン誘導体である。最も好ましいのは、商品名ユビナールM-40(Uvinul M-40)及びネオヘリオパンBB(NeoHeliopan BB)の下で購入し得る、以下の式:
【化13】
による構造を有するベンゾフェノン3である。
【0089】
【0090】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、H、OH、NH
2、又はC
1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)
を有する特定のメンチルサリチレート誘導体も好適である。特に好ましいのは、R
1、R
2、及びR
3がメチルであり、且つR
4がヒドロキシル又はNH
2である上記メンチルサリチレート誘導体であり、この化合物は、ホモメンチルサリチレート(ホモサレートとしても知られる)又はメンチルアントラニレートの名称を有する。メンチルアントラニレートは、Haarmann & Reimer社から、商品名ヘリオパン(Heliopan)の下で市販されている。ホモサレートは、Merck社から商品名ユーソレックスHMS(Eusolex HMS)の下で、またSymrise社から商品名ネオヘリオパンHMS(Neo Heliopan HMS)の下で、またDSM社から商品名パーソルHMS(Parsol HMS)の下で市販されており、以下の式:
【化15】
による構造を有する。
【0091】
存在する場合、ホモサレートは、全組成物の約15重量%以下で存在すべきである。
【0092】
様々なアミノ安息香酸誘導体は、好適なUVB吸収剤であり、例えば、以下の一般式:
【化16】
【0093】
(式中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、H、1つ以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいC1-20直鎖又は分岐鎖アルキルである)
を有するものが挙げられる。特に好ましいのは、R1がH又はC1-8直鎖若しくは分岐鎖アルキルであり、且つR2及びR3がH、又はC1-8直鎖若しくは分岐鎖アルキルである、上記アミノ安息香酸誘導体である。特に好ましいのは、PABA、エチルヘキシルジメチルPABA(パディメートO(Padimate O))、エチルジヒドロキシプロピルPABA等である。存在する場合、パディメートOは、全組成物の約8重量%以下で見られるべきである。
【0094】
サリチレート誘導体もまた、許容可能なUVB吸収剤である。このような化合物は、Rが直鎖又は分岐鎖アルキルである上記の一般式を有し、例えば、モノ-、ジ-、又はトリエタノールアミンから形成される上記の化合物の誘導体が挙げられる。特に好ましいのは、オクチルサリチレート、TEA-サリチレート、DEA-サリチレート、及びそれらの混合物である。オクチルサリチレートは、INCI名エチルヘキシルサリチレートを有し、Ashland社から商品名エスカロール587(Escalol 587)の下で、またMerck社から商品名ユーソレックスOS(Eusolex OS)の下で購入することが可能であり、以下の式:
【化17】
による構造を有する。
【0095】
一般的に、存在するUVB化学的サンスクリーン剤の量は、全組成物の約0.001~45重量%、好ましくは約0.005~40重量%、より好ましくは約0.01~35重量%であり得る。
【0096】
一つの好ましい実施形態において、サンスクリーン剤は、アボベンゾン及び/又はオクチノキサートであり得る。本開示の組成物中に1種以上の他のサンスクリーン剤を含めることが望ましい場合もある。
【0097】
一つの好ましい実施形態において、本組成物は、5~85%の水、1~40%の油、0.1~10%のホモサレート、0.1~5%のアボベンゾンを含む水中油エマルションであり得る。
【0098】
所望の場合、本開示の組成物は、約1~100、好ましくは約4~80、最も好ましくは約15~60の一定のSPF(サンプロテクティブファクター(sun protective factor))値を有するように製剤化し得る。SPF値の計算は、当技術分野で周知である。
【0099】
3. 他の成分:
局所用組成物は、以下の成分を含み得る:
【0100】
油
好適な油としては、シリコーン、エステル、植物油、合成油(例えば、限定するものではないが、本明細書中に示されるもの)等が挙げられる。油は揮発性であってもよく、又は不揮発性であってもよく、好ましくは、室温で流動性の液体の形態である。存在する場合、油は、全組成物の約0.5~85重量%、好ましくは約1~75重量%、より好ましくは約5~65重量%であり得る。
【0101】
環状及び直鎖揮発性シリコーンは、Dow Chemical Corporation社及びMomentive社(以前のGeneral Electric Silicones社)等の様々な商業的供給元から入手可能である。Dow Chemical社の直鎖状揮発性シリコーンは、商品名Dowsil及びXiameter244、245、344、及び200フルイドの下で販売されている。これらのフルイド(流体)としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストークス(cstと略される))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)、及びそれらの混合物(全ての粘度測定値は25℃でのものである)が挙げられる。
【0102】
好適な分岐鎖揮発性シリコーンとしては、一般式:
【化18】
を有する分岐鎖揮発性シリコーンであるメチルトリメチコン等の、アルキルトリメチコンが挙げられる。
【0103】
メチルトリメチコンは、商品名TMF-1.5の下で信越シリコーンから購入することが可能であり、これは25℃で1.5センチストークスの粘度を有する。
【0104】
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子、より好ましくは8~16個の炭素原子を有する様々な直鎖または分岐鎖パラフィン系炭化水素もまた好適である。好適な炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及びC8-20イソパラフィンが挙げられる。好適なC12イソパラフィンは、Permethyl Corporation社により商品名パーメチル99A(Permethyl 99A)の下で製造される。様々な市販のC16イソパラフィン(イソヘキサデカン(商品名パーメチルR(Perrmethyl R)を有する)等)もまた好適である。
【0105】
また、カルボン酸とアルコールとの反応により形成されるエステルも好適である。このアルコールとカルボン酸は、両方とも脂肪(C6-30)鎖を有し得る。例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル(stearyl lactate)、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニル等が挙げられる。
【0106】
エステルは、二量体形態又は三量体形態であってもよい。このようなエステルの例としては、リンゴ酸ジイソステアリル(diisotearyl malate)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ジリノール酸ジセテアリル二量体(dicetearyl dimer dilinoleate)、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ジリノール酸ジイソステアリル二量体(diisotearyl dimer dilinoleate)、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチル等が挙げられる。
【0107】
他の種類のエステルの例としては、アラキドン酸、クエン酸、又はベヘン酸由来のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル;又はヤシ油脂肪酸トリデシル(tridecyl cocoate)、イソノナン酸トリデシル等が挙げられる。
【0108】
合成又は天然の脂肪酸のグリセリルエステル、又はトリグリセリドもまた、本組成物中での使用に好適である。植物供給源及び動物供給源の両方を使用し得る。このような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、甘扁桃油、杏仁油、ゴマ油、カメリナ・サティバ油、タマヌ種子油、ココナッツ油、コーン油、綿実油、アマニ油、インク油(ink oil)、オリーブ油、パーム油、イリペバター、菜種油、ダイズ油、グレープシード油、ヒマワリ種子油、クルミ油等が挙げられる。
【0109】
加工天然油脂である脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド等の合成又は半合成グリセリルエステル(例えば、グリセリン等のポリオールのモノエステル、ジエステル又はトリエステル)もまた好適である。一例では、脂肪(C12-22)カルボン酸を、1つ以上の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノール酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、牛脂脂肪酸PEGグリセリル等。
【0110】
水溶性及び非水溶性の両方の不揮発性シリコーン油もまた、本組成物中での使用に好適である。このようなシリコーンは、好ましくは、25℃で約5超~800,000cst、好ましくは20~200,000cstの範囲の粘度を有する。好適な非水溶性シリコーンとしては、アモジメチコン等のアミン官能性シリコーンが挙げられる。例としては、ジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、又はトリメチルシロキシフェニルジメチコンが挙げられる。他の例としては、アルキルジメチコン、例えばセチルジメチコン、ステアリルジメチコン、ベヘニルジメチコン等が挙げられる。
【0111】
界面活性剤
本組成物は、特にエマルション形態の場合には、1種以上の界面活性剤を含有し得る。しかし、このような界面活性剤は、組成物が無水である場合にも使用することが可能であり、極性を有する成分(例えば、顔料)の分散を補助するであろう。このような界面活性剤は、シリコーン系又は有機系であり得る。界面活性剤は、油中水型または水中油型のいずれかの安定なエマルションの形成に役立つであろう。存在する場合、界面活性剤は、全組成物の約0.001~30重量%、好ましくは約0.005~25重量%、より好ましくは約0.1~20重量%の範囲であり得る。
【0112】
シリコーン界面活性剤は、一般的に、ジメチコンコポリオール又はアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれ得る。一部の場合には、ポリマー中の繰り返しエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位の数もまた特定される(例えば、シロキサン骨格上に15個のエチレングリコール単位及び10個のプロピレングリコール単位を含む置換基を有するジメチコンを指す、PEG-15/PPG-10ジメチコンとも呼ばれるジメチコンコポリオール)。上記の一般構造中のメチル基の1つ以上が、より長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル等)又はエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル等)で置換されることもまた可能である。
【0113】
シリコーン界面活性剤の例は、Dow Silicones社により商品名Dowsil 3225C Formulation Aid(CTFA名:シクロテトラシロキサン(及び)シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18ジメチコンを有する);又は5225C Formulation Aid(CTFA名:シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18ジメチコンを有する);又はDowsil 190 界面活性剤(CTFA名:PEG/PPG-18/18ジメチコンを有する);又はDowsil 193フルイド、Dowsil 5200(CTFA名:ラウリルPEG/PPG-18/18メチコンを有する)の下で販売されているもの;あるいはAbil EM 90(CTFA名:セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンを有し、Goldschmidt社により販売されている);又はAbil EM 97(CTFA名:ビス-セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンを有し、Goldschmidt社により販売されている);又はAbil WE 09(CTFA名:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンを有し、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ヘキシルも含有する混合物中);あるいはKF-6011(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-11メチルエーテルジメチコンを有する);KF-6012(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコンを有する);又はKF-6013(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-9ジメチコンを有する);又はKF-6015(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-3ジメチコンを有する);又はKF-6016(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-9メチルエーテルジメチコンを有する);又はKF-6017(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:PEG-10ジメチコンを有する);又はKF-6038(信越シリコーンから販売されており、CTFA名:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを有する)である。
【0114】
ポリオキシアルキレン化基(polyoxyalkylenated group)等の少なくとも1つの親水性部分を含む、乳化性エラストマーと呼ばれる場合が多い様々な種類の架橋型シリコーン界面活性剤もまた好適である。本開示の少なくとも1つの実施形態において使用し得るポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、信越シリコーンにより名称KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33;KSG-210(ジメチコン中に分散されたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー);KSG-310(PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-320(イソドデカン中に分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-330(トリエチルヘキサノイン中に分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー)、KSG-340(PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマーとPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーとの混合物)の下で販売されているものが挙げられる。
【0115】
国際公開第2004/024798号(参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる)に開示されているもの等のポリグリセロール化シリコーンエラストマーもまた好適である。このようなエラストマーとしては、信越のKSGシリーズ、例えば、ジメチコン中に分散されたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーであるKSG-710;又は信越の商品名KSG-810、KSG-820、KSG-830、若しくはKSG-840の下で販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノイン等の様々な溶媒中に分散されたラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーが挙げられる。Dow Silicones社により商品名9010及びDC9011の下で販売されているシリコーンもまた好適である。
【0116】
本組成物は、1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンオキシド又はプロピレンオキシド)との反応により形成されるアルコキシル化アルコール、又はエーテルが挙げられる。好ましくは、アルコールは、6~30個の炭素原子を有するいずれかの脂肪アルコールである。このような成分の例としては、ステアレス2-100(ステアリルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2~100である);ベヘネス5-30(ベヘニルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が5~30である);セテアレス2-100(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドとの反応により形成され、分子中の繰り返しエチレンオキシド単位の数が2~100である);セテス1-45(セチルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が1~45である)等が挙げられる。単位の記載は全て、上記範囲間の全整数を包含する。
【0117】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸及び一価、二価または多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応により形成される。例えば、C6-30脂肪カルボン酸及び単糖(例えばグルコース、ガラクトース、メチルグルコース等)である多価アルコールと、アルコキシル化アルコールとの反応生成物である。例としては、グリセリル脂肪酸エステル(オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル等)と反応したポリマー性アルキレングリコール;又は繰り返しエチレングリコール単位の数が3~1000の範囲であるPEGジポリヒドロキシステアレート等のPEGポリヒドロキシアルカノエートが挙げられる。
【0118】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタン及びアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が生じる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化により、ポリソルベート等のソルビタンエステルが生じる。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンは、C6-30、好ましくは、C12-22脂肪酸を用いてエステル化することができる。このような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0119】
保湿剤
組成物中に1種以上の保湿剤を含めることが望ましい場合もある。存在する場合、このような保湿剤は、全組成物の約0.001~25重量%、好ましくは約0.005~20重量%、より好ましくは約0.1~15重量%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例としては、グリコール、糖等が挙げられる。好適なグリコールはモノマー形態またはポリマー形態であり、PEG 4-200(4~200個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール)等のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;並びにC1-6アルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等)が挙げられる。好適な糖(それらの一部は多価アルコールでもある)もまた、好適な保湿剤である。このような糖の例としては、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロース等が挙げられる。尿素もまた好適である。好ましくは、本開示の組成物中で用いられる保湿剤は、C1-6アルキレングリコール、好ましくはC2-4アルキレングリコール、最も詳細にはブチレングリコールである。
【0120】
植物抽出物
本組成物中に1種以上の植物抽出物を含めることが望ましい場合がある。その場合、推奨範囲は、全組成物の約0.0001~10重量%、好ましくは約0.0005~8重量%、より好ましくは約0.001~5重量%である。好適な植物抽出物は、花、果物、野菜等の植物(草本(herb)、根、花、果実、種子)からの抽出物を含み、例えば、酵母発酵抽出物、パディナ・パボニカ抽出物、サームス・サーモフィルス(thermus thermophilis)発酵抽出物、カメリア・サティバ種子油、ボスウェリア・セラータ(boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、シロイヌナズナ(Aribodopsis Thaliana)抽出物、フサアカシア(Acacia Dealbata)抽出物、アセル・サッカリヌム(Acer Saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフォルス属(acidopholus)、ショウブ属(acorus)、トチノキ属(aesculus)、ハラタケ属(agaricus)、リュウゼツラン属(agave)、キンミズヒキ属(agrimonia)、藻類(algae)、アロエ、柑橘類、アブラナ属(brassica)、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、セイヨウナシ、レモン、ライム、エンドウ、海藻、カフェイン、緑茶、カモミール、ヤナギ樹皮(willowbark)、マルベリー、ケシ(poppy)及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook(第8版、第2巻)の第1646~1660頁に記載されているものが挙げられる。さらなる具体例としては、限定するものではないが、例えば、スペインカンゾウ(Glycyrrhiza Glabra)、クロヤナギ(Salix Nigra)、オオウキモ(Macrocycstis Pyrifera)、リンゴ(Pyrus Malus)、ユキノシタ(Saxifraga Sarmentosa)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、クロミグワ(Morus Nigra)、コガネバナ(Scutellaria Baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis Nobilis)、クラリセージ(Salvia Sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus Officianalis)、レモン(Citrus Medica Limonum)、オタネニンジン(Panax Ginseng)、ツクシメナモミ(Siegesbeckia Orientalis)、ウバイ(Fructus Mume)、アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum Nodosum)、ビフィダ(Bifida)発酵溶解物、ツルマメ(Glycine Soja)抽出物、ビート(Beta Vulgaris)、ハベルレア・ロドペンシス(Haberlea Rhodopensis)、イタドリ(Polygonum Cuspidatum)、オレンジ(Citrus Aurantium Dulcis)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、イワヒバ(Selaginella Tamariscina)、ホップ(Humulus Lupulus)、マンダリンオレンジ(Citrus Reticulata)果皮、ザクロ(Punica Granatum)、アスパラゴプシス属(Asparagopsis)、ウコン(Curcuma Longa)、ミツガシワ(Menyanthes Trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus Annuus)、オオムギ(Hordeum Vulgare)、キュウリ(Cucumis Sativus)、ツノマタゴケ(Evernia Prunastri)、エベルニア・フルフラセア(Evernia Furfuracea)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0121】
粒子状材料
本開示の組成物は、顔料、不活性粒子、又はそれらの混合物の形態の粒子状材料を含み得る。存在する場合、推奨範囲は、全組成物の約0.01~75重量%、好ましくは約0.5~70重量%、より好ましくは約0.1~65重量%である。本組成物が顔料と粉末の混合物を含み得る場合、好適な範囲として、約0.01~75%の顔料及び0.1~75%の粉末(かかる重量は全組成物の重量による)が挙げられる。
【0122】
粒子状物質は、着色粉末であってもよく、又は非着色粉末であってもよい。好適な非顔料化粉末としては、例えば、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルク粉末、絹雲母、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はそれらの混合物が挙げられる。上記の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、又は様々な他の薬剤を単独で又は組み合わせて用いて表面処理することが可能であり、これが上記の粉末表面をコーティングし、粒子の性質をさらに親油性にする。
【0123】
好適な顔料は、有機顔料又は無機顔料である。一般的に、有機顔料は、D&C及びFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロー等として表わされる、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノン及びキサンチン色素等の様々な芳香族種である。有機顔料は一般的に、レーキと呼ばれる認可着色添加物の不溶性金属塩からなる。無機顔料としては、酸化鉄色素、ウルトラマリン色素、クロム色素、水酸化クロム色素及びそれらの混合物が挙げられる。赤色、青色、黄色、茶色、黒色の酸化鉄及びそれらの混合物が好適である。
【0124】
ビタミン及び抗酸化剤
本開示の組成物は、ビタミン及び/又は補酵素、並びに抗酸化剤を含有し得る。その場合、全組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.01~8重量%、より好ましくは0.05~5重量%が推奨される。好適なビタミンとしては、アスコルビン酸及びその誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシデシル等);ビタミンB(例えばチアミン、リボフラビン、ピリドキシン等)、並びに補酵素(例えばピロリン酸チアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサール、テトラヒドロ葉酸等)が挙げられる。また、ビタミンE及びその誘導体、例えば、ビタミンEアセテート、ニコチネート又はそれらの他のエステルも好適である。さらに、ビタミンD及びKが好適である。
【0125】
C. 方法
一部の実施形態において、本開示は、光活性化合物を安定化させるための方法に関し、この方法は、少なくとも1種の光活性化合物と、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物とを混合することを含む。
【0126】
一態様において、レチノイド及びその誘導体を安定化させるための方法は、少なくとも1種のレチノイド及び/又はその誘導体と、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物とを混合することを含む。
【0127】
一態様において、化学的サンスクリーン剤を安定化させるための方法は、少なくとも1種の化学的サンスクリーン剤と、式Iによる構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物とを混合することを含む。
【実施例】
【0128】
本開示は、以下の実施例に関連してさらに記載されるが、これらの実施例は、例示の目的のためにのみ示される。
【0129】
実験
化合物例
例1
化合物1の合成
【化19】
1,8-ジアザアントラキノン(6gm、28.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー(Dean-Stark condenser)及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,8-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物を室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0130】
例2
化合物2の合成
【化20】
1,5-ジアザアントラキノン(6gm、28.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,5-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物を室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0131】
例3
化合物3の合成
【化21】
1-アザアントラキノン(6gm、28.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1-アザアントラキノンの完全消費後、反応混合物を室温に還流冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0132】
例4
化合物4の合成
【化22】
1,3,5,7-テトラアザアントラキノン(6gm、28.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,3,5,7-テトラアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物を室温に還流冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0133】
例5
化合物5の合成
【化23】
1,3-ジアザアントラキノン(6gm、28.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,3-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物を室温に還流冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0134】
例6
化合物6の合成
【化24】
1,8-ジアザアントラキノン(2gm、9.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,8-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物をさらに12時間還流し、その後室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0135】
例7
化合物7の合成
【化25】
1,5-ジアザアントラキノン(2gm、9.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,5-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物をさらに12時間還流し、その後室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0136】
例8
化合物8の合成
【化26】
1-アザアントラキノン(2gm、9.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1-アザアントラキノンの完全消費後、反応混合物をさらに12時間還流し、その後室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0137】
例9
化合物9の合成
【化27】
1,3,5,7-テトラアザアントラキノン(2gm、9.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,3,5,7-テトラアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物をさらに12時間還流し、その後室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0138】
例10
化合物10の合成
【化28】
1,3-ジアザアントラキノン(2gm、9.5mmol)及びトルエン(40mL)を、ディーン・スタークコンデンサー及び窒素吸入口を備えた清浄な250mL 2首丸底フラスコ中で混合する。2-エチルヘキシルシアノアセテート(4.4gm、22.3mmol)、酢酸アンモニウム(153mg、2.0mmol)、及び酢酸(2.8mL)を、25~30℃で連続的に加える。反応混合物を、100~115℃で約18時間還流する。反応中、ディーン・スタークコンデンサーから水を定期的に除去する。反応をTLC(酢酸エチル/ヘキサン)でモニターする。TLCによる1,3-ジアザアントラキノンの完全消費後、反応混合物をさらに12時間還流し、その後室温に冷却する。トルエン層を水(2×25mL)で洗浄し、その後飽和重炭酸ナトリウム溶液(25mL)で洗浄し、再び水(25mL)で洗浄する。有機層を、減圧下、45~50℃で蒸発させ、粗生成物を薄茶色の半固体として得る。この粗生成物を、ヘキサン中酢酸エチルで溶出することによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋生成物を得る。
【0139】
組成物例
例11
アンチエイジングクリームを、以下のとおりに調製する:
【表1】
【0140】
上記の組成物は、化合物1を含む油相成分を別に混合することによって調製する。水相成分を合わせ、油相成分と乳化させてエマルションを形成する。
【0141】
例12
安定化レチノールを有する処方を、以下のとおりに調製する:
【表2】
【0142】
上記の組成物は、水相及び油相を化合物1と別々に組み合わせることにより調製する。これらの相を混合して乳化させ、ローションを形成する。
【0143】
例13
化合物1を含むサンスクリーン剤組成物を、以下のとおりに調製する:
【表3】
【0144】
相A成分を、主ケトルに入れる。相B成分を加え、均一になるまで中速/高速でプロペラ混合する。次いで、このバッチを67~70℃の温度に加熱する。補助ケトル中で、相C成分を65~70℃に加熱し、中速のプロペラで混合する。相D成分を加えて、均一になるまで中速での混合を継続する。熱(heat)を63℃まで低下させ、相E成分をボルテックスに加え、分散するまでプロペラ混合する。相C、D、及びEを、高速で混合しながらメインバッチ(A+B)に加える。この組成物を、2000rpmで15~20分間均質化する。このバッチが乳化して均一になったとき、プロペラ混合を継続し、予混合した相F成分を加え、このバッチを室温まで冷却しながら、均一になるまで混合する。次いで、相G及び相Hを加え、均一になるまで混合する。このバッチを室温に冷却する。
【0145】
他の実施形態
本発明は好ましい実施形態に関連して記載されているが、これは、本発明の範囲を示される特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲内に含まれ得る代替物、改変物及び均等物を包含することが意図される。従って、当業者により本開示から容易に改変され得る実施形態を含む他の実施形態もまた、特許請求の範囲内にある。
本発明の態様として、例えば以下の項の態様を挙げることができる。
[項1]
式I:
【化29】
(式中、
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CR
3
及びNからなる群から独立して選択され;
R
3
は、H、OH、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、約1~約20個の炭素原子を有するアルコキシ基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され;
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の少なくとも1つはNであり;
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の4つ以下はNであり;
B
1
及びB
2
のそれぞれは、カルボニル又はC=C(R
1
)R
2
からなる群から独立して選択され; R
1
及びR
2
のそれぞれは、CN、C(=O)OR
4
からなる群から独立して選択され(但し、R
1
及びR
2
は、両方がCNであるというわけではない);
R
4
は、H、約1~約20個の炭素原子を有するアルキル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される)
による構造を有する複素環式化合物。
[項2]
R
3
が、H、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、及び約1~約20個の炭素原子を有するアルコキシ基からなる群から選択される、項1の複素環式化合物。
[項3]
R
3
が、H、及び約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される、項2の複素環式化合物。
[項4]
R
3
が、H、及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、ペンチル、2-メチル-2-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、又はドデシルからなる群から選択される直鎖又は分岐鎖アルキルからなる群から選択される、項1の複素環式化合物。
[項5]
R
1
及びR
2
のそれぞれが、CN及びC(=O)OR
4
からなる群から独立して選択される、項1の複素環式化合物。
[項6]
R
1
及びR
2
の一方がCNである、項5の複素環式化合物。
[項7]
R
4
が、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である、項5の複素環式化合物。
[項8]
R
4
が、少なくとも8個で、12個以下の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である、項5の複素環式化合物。
[項9]
R
4
が、8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である、項5の複素環式化合物。
[項10]
複素環式化合物が、以下:
【化30】
からなる群から選択される、項1の複素環式化合物。
[項11]
式I:
【化31】
(式中、
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8のそれぞれは、CR
3
及びNからなる群から独立して選択され;
R
3
は、H、OH、約1~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、約1~約20個の炭素原子を有するアルコキシ基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択され;
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の少なくとも1つはNであり;
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7及びA8の4つ以下はNであり;
B
1
及びB
2
のそれぞれは、カルボニル又はC=C(R
1
)R
2
からなる群から独立して選択され; R
1
及びR
2
のそれぞれは、CN、C(=O)OR
4
からなる群から独立して選択され(但し、R
1
及びR
2
は、両方がCNであるというわけではない);
R
4
は、H、約1~約20個の炭素原子を有するアルキル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルケニル基、約2~約20個の炭素原子を有するアルキニル基、及び約6~約20個の炭素原子を有するアリール基からなる群から選択される)
による構造を有する少なくとも1種の複素環式化合物を含む組成物。
[項12]
複素環式化合物が、全組成物の0.01~25重量%の量で存在する、項11の組成物。
[項13]
少なくとも1種の光活性化合物をさらに含む、項11の組成物。
[項14]
光活性化合物が、レチノイド、サンスクリーン剤、又はそれらの混合物からなる群から選択される、項13の組成物。
[項15]
光活性化合物がレチノイドである、項14の組成物。
[項16]
レチノイドが、全組成物の約0.0001~約20重量%の量で存在する、項15の組成物。
[項17]
光活性化合物がサンスクリーン剤である、項14の組成物。
[項18]
サンスクリーン剤が、UVA化学的サンスクリーン剤、UVB化学的サンスクリーン剤、物理的サンスクリーン剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、項17の組成物。
[項19]
サンスクリーン剤がUVA化学的サンスクリーン剤である、項18の組成物。
[項20]
UVA化学的サンスクリーン剤が、全組成物の約0.001~約20重量%の量で存在する、項19の組成物。
[項21]
サンスクリーン剤がUVB化学的サンスクリーン剤である、項18の組成物。
[項22]
UVB化学的サンスクリーン剤が、全組成物の約0.001~約45重量%の量で存在する、項21の組成物。
[項23]
油、界面活性剤、保湿剤、植物抽出物、粒子状材料、抗酸化剤、及び他のビタミンからなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、項13の組成物。