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特許7174111内陸水運船舶ライダー識別システム及びその運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】内陸水運船舶ライダー識別システム及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/521 20170101AFI20221109BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20221109BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20221109BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20221109BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20221109BHJP
【FI】
G06T7/521
G05D1/00 A
B63B49/00 Z
B63B79/40
G01S17/93
G01S17/89
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021094157
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022088303
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】109142362
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513185951
【氏名又は名称】財團法人船舶▲曁▼▲海▼洋▲産▼▲業▼研發中心
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】許 閔翔
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲ち▼閔
(72)【発明者】
【氏名】朱 俊翰
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111830968(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0039589(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109752727(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106651786(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00 - 85/00
G01S 7/48 - 17/95
G05D 1/00 - 1/12
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサーによって捕捉された複数の点群を受信するように構成された受信機と、
前記複数の点群及び少なくとも1つの陸域情報と少なくとも1つの水域情報を備えた地図データを格納するように構成されたストレージと、
前記受信機及び前記ストレージに接続され、前記複数の点群を少なくとも1つの第1点群セットにマージし、前記地図データに基づいて、計算すべき少なくとも1つの第2点群セットを判定し、前記少なくとも1つの第1点群セット内の前記少なくとも1つの陸域情報を含む部位を無視し、前記少なくとも1つの第2点群セットを介して少なくとも1つのブロックを生成するプロセッサと、
前記プロセッサに接続され、前記地図データを表示するように構成されるモニターと、
を含む内陸水運船舶ライダー識別システム。
【請求項2】
前記受信機が、さらにフィルタを含む請求項1に記載の内陸水運船舶ライダー識別システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサーが、ライダー(LiDAR)センサーである請求項1に記載の内陸水運船舶ライダー識別システム。
【請求項4】
地図データが、航海用電子海図である請求項1に記載の内陸水運船舶ライダー識別システム。
【請求項5】
(A)請求項1に記載の内陸水運船舶ライダー識別システムを用意するステップと、
(B)輸送用具に装備された少なくとも1つのセンサーが捕捉した複数の点群を受信するステップと、
(C)プロセッサを介して前記複数の点群を少なくとも1つの第1点群セットにマージするステップと、
(D)前記少なくとも1つの第1点群セット及び地図データに基づいて、計算すべき少なくとも1つの第2点群セットを定義するステップと、
(E)クラスタリング計算に基づいて前記少なくとも1つの第2点群セット内の各点を少なくとも1つのブロックにマージするステップと、
(F)前記少なくとも1つのブロックを計算することによって、前記地図データ内に少なくとも1つのマークを埋め込むステップと、
(G)モニターを通じて前記地図データ及びその中の前記少なくとも1つのマークを表示するステップと
を含む内陸水運船舶ライダー識別方法。
【請求項6】
ステップ(D)が、
(D1)前記陸域情報に基づいて高さを生成させ、前記少なくとも1つの第1点群セット内の任意の点が前記高さよりも高い(またはそれ以上である)場合、前記点を無視するステップと、
(D2)前記少なくとも1つの第1点群セットを前記地図データに投影するステップと、
(D3)前記少なくとも1つの水域情報に基づき境界を生成させ、前記少なくとも1つの第1点群セット内の任意の点が前記境界を横切る場合、前記点を無視するステップと
(D4)ステップ(D1)及び(D2)内で無視されていない点に基づいて、前記少なくとも1つの第2点群セットを定義するステップと
をさらに含む請求項5に記載の内陸水運船舶ライダー識別方法。
【請求項7】
ステップ(E)が、
(E1)前記少なくとも1つの第2点群セット内の空間点を抽出するステップと、
(E2)前記少なくとも1つの第2点群セットの任意の点と前記空間点の間の距離値を計算するステップと、
(E3)その中の距離値が距離閾値より小さいか又は等しい点を同じブロックに分類するステップと、
(E4)複数のブロックを生成するため、前記少なくとも1つの第2点群セットのすべての点が分類されるまで、ステップ(E1)~(E3)を繰り返すステップと
をさらに含む請求項5に記載の内陸水運船舶ライダー識別方法。
【請求項8】
ステップ(F)が、
(F1)任意の前記ブロック内のすべての点の座標の平均値を計算して、任意の前記ブロック内の重心点座標を定義し、各前記ブロックの重心点座標の定義が完了するまで計算を繰り返すステップと、
(F2)前記複数の重心点座標を表すオブジェクトメッセージを確定するステップと、
(F3)オブジェクトメッセージを通じて対応する少なくとも1つのマークを生成するステップと
をさらに含む請求項5に記載の内陸水運船舶ライダー識別方法。
【請求項9】
前記ステップ(E)は、前記ステップ(E2)と前記ステップ(E3)との間の第2点群セット内の距離値が領域閾値より小さいか又は等しい点を同じ領域と指定すると共に前記ステップ(E1)と(E21)を繰り返し、前記領域閾値に基づいて前記第2点群セットを複数の領域に分割された後までとするステップ(E21)をさらに含む請求項7に記載の内陸水運船舶ライダー識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の少なくとも1つの実施例は、船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法に関し、特に、内陸水運に用いられる船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路計画は、無人水上運搬具の制御における基本的な課題である。セントラルコンピュータは、無人水上運搬具の航行開始から目標に到達するまでたどるよう航行経路を完全に指定し、通常航行環境内の障害物と衝突しないようにするか、衝突が起きる可能性を最小限に抑えることを選択する。水面上の多くの干渉要因(風向、水流方向、光反射など)に着目するため、経路計画の挑戦は、非常に高速に、さらにリアルタイムで航行環境の特徴変化に伴って適時経路計画を実施する能力に及ぶ。
【0003】
例えば、航行環境における1つまたは複数の水上障害物の位置または形状の特徴が時間の経過とともに変化する可能性がある(例えば大型浮流物が水流方向に基づいて移動する可能性がある)。かつ同様に無人水上運搬具自体の位置も時間の経過とともに変化する可能性がある。したがって経路計画の挑戦は、検出データの処理速度がリアルタイムで連続的に実行できることで、検出体(無人水上運搬具)と検出対象物(水上障害物)が運航時に相対位置の変化を同時に発生する問題を克服できて、適時航路を修正/調整できることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題の少なくとも1つを解決するために、本発明のいくつかの実施例は、検出データをリアルタイムで連続的に計算できるという利点を持つ船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法、特に、内陸水運に用いられる船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法を提案する。具体的にプリセット地図データを利用して、プリプロセスで計算せずに無視できる点データを先に確認するため、従来の位置合わせステップ(すなわち、点データが目標検出対象物であるかどうかを確認するステップ)を省略でき、前記システムの計算速度を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の少なくとも1つの実施例は、受信機と、ストレージと、プロセッサと、モニターと、を備えた内陸水運船舶ライダー識別システムであり、前記プロセッサが前記受信機及び前記ストレージと互いに接続し、前記モニターが前記プロセッサに接続される。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施例は、内陸水運船舶ライダー識別方法である。前記方法は、前記内陸水運船舶ライダー識別システムを用意するステップと、輸送用具に装備された少なくとも1つのセンサーが捕捉した複数の点群を受信するステップと、プロセッサを介して前記複数の点群を少なくとも1つの第1点群セットにマージするステップと、前記少なくとも1つの第1点群セット及び地図データに基づいて、計算すべき少なくとも1つの第2点群セットを定義するステップと、クラスタリング計算に基づいて前記少なくとも1つの第2点群セット内の各点を少なくとも1つのブロックにマージするステップと、前記少なくとも1つのブロックを計算することによって、前記地図データ内に少なくとも1つのマークを埋め込むステップと、モニターを通じて前記地図データ及びその中の前記少なくとも1つのマークを表示するステップと、を含む。前記地図データに少なくとも1つの水上障害物が表示され、前記マークのいずれかが前記水上障害物を一意に識別する。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施例の特徴は、前記点群のプリプロセスである。場合によっては、計算すべき少なくとも1つの第2点群セットを定義するため、前記方法は、前記少なくとも1つの陸域情報に基づいて高さを生成させ、前記少なくとも1つの第1点群セット内の任意の点が前記高さよりも高い(またはそれ以上である)場合、前記点を無視するステップと、前記少なくとも1つの第1点群セットを前記地図データに投影するステップと、前記少なくとも1つの水域情報に基づき境界を生成させ、前記少なくとも1つの第1点群セット内の任意の点が前記境界を横切る(または横切るだけ)場合、前記点を無視するステップと、前記ステップ内で無視されていない点を前記少なくとも1つの第2点群セットと定義するステップを更に含む。
【0008】
上記本発明の概要は、本発明の幾つか態様及び技術的特徴に対し基本的な説明を行うことを目的とする。発明の概要は、本発明の詳細な説明ではないため、目的は特別に本発明のキーとなる或いは重要な要素を挙げることなく、本発明の範囲を画定するために用いられることはなく、単に本発明のいくつかの概念を簡潔に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別システム構成図である。
図2】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法のフローチャートである。
図3】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別システムの配置を示す概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法の地図データの出力を示す概略図である。
図5】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法の地図データの出力を示す概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法の地図データの出力を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の技術的特徴及び技術的内容をさらに理解するため、以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照されたい。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施例は、船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法に関し、特に、内陸水運に用いられる船舶航行ライダー識別システム及びその運用方法に関する。
【0012】
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別システム構成図である。内陸水運船舶ライダー識別システム1は、受信機10と、ストレージ20と、プロセッサ30と、モニター40と、を備え、プロセッサ30が受信機10及びストレージ20と互いに接続し、モニター40がプロセッサ30に接続される。
【0013】
図1の受信機10は、少なくとも1つのセンサー12によって捕捉された点群を受信し、ならびに1つまたは複数の点群をストレージ20に保存/直接プロセッサ30に直接送信するように構成される。本実施例において、前記センサー12は、移動軌跡に沿って適時に点群を捕捉するため、輸送用具100に配置される。点群は、複数のカメラ、ビデオカメラ、または深度センサーのうちのいずれかを使用して捕捉(例えば光検出や測距レーザースキャンなど)でき、例えばVelodyne社製のVLP-16、VLP-32 LiDARセンサー、Quanergy社製のS3またはM8 LiDARセンサーを運用できる。また、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)または他のプロトコルなどの1つ以上の通信スキームを使用して点群を送受信することができる。前記点群は、特定のアプリケーションに応じて調整されたxyzまたはlas形式などの異なる形式として表現されることができるが、本発明は、すべてのアプリに適した形式として表現されることに限定されない。
【0014】
図1のストレージ20は、点群及び地図データ200を格納するように構成される。本実施例において、ストレージ20は、いかなるタイプの大容量ストレージ(固定/いつでも移動可能)でもあり得る。例えば揮発性(volatile)または不揮発性(non-volatile)、磁気的、半導体、磁気テープ、光学式、取り外し可能、取り外し不可、またはこれらの組み合わせのストレージであり、プロセッサ30が操作する必要がある可能性のあるいかなるタイプの情報または実行される可能性のある1つまたは複数のコンピュータプログラムを格納するために用いられる。ここで、前記地図データ200は、航海用電子海図(ENC)であってもよいが、これに限定されない。前記地図データ200は、少なくとも1つの陸域情報(建物や橋など)及び少なくとも1つの水域情報(河川、航路など)を含む衛星画像(Satellite imagery)、デジタル線グラフ(Digital line graph、DLG)、デジタルラスターグラフィックス(Digital raster graphics、DRG)、デジタル正射写真図(Digital orthophoto quadrangle、DOQ)、またはコンピュータで読み取り可能な形式で保存できる他の地図であってもよい。
【0015】
図1に示すように、プロセッサ30は、グラフを表す点群の各点に基づいてアクセスを実行し、前記点群を表す少なくとも1つの第1点群セットを構築し、少なくとも1つの第2の点群セットを確認するため、第1点群セット内の無視できる点を決定し、モニター40上に少なくとも1つの水上障害物マークを含む地図データ200を表示するため、第2の点群セットに基づいて少なくとも1つのブロックを生成するように構成される。処理の間にプロセッサ30は、ストレージ20と通信して、1つまたは複数の点群、地図データ200、または計算命令などの操作関連のデータを保存/キャプチャするように設計されていることに留意されたい。さらに、プロセッサ30及びモニター40の型番または種類は、ここでは特に定義されていない。例えばプロセッサ30は、マイクロプロセッサであり得る。従来のプロセッサ、コントローラ、または計算を実現するための他のコンポーネントの組み合わせ/構成であってもよい。また、モニター40は、コンピュータディスプレイ/スクリーン、テレビモニター/スクリーン、または仮想現実デバイスディスプレイ/スクリーンであり得、投影マッピング機能を備えたディスプレイでもあり得る。
【0016】
他の可能な実施例において、第2の点群セットの判定精度を向上するために、受信機10は、事前に誤判定を引き起こし得る検出データの一部をフィルタリングするためのフィルタ(図示せず)を任意選択で含み得る。
【0017】
実施例に実際に応用される前述の操作内容の原理の理解及び説明を容易にするため、以下に図2図3及び図4図6の順に説明する。
【0018】
まず、図2は、本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法のフローチャートである。前記方法は、以下のステップ(A)~ステップ(G)を含む。すなわち内陸水運船舶ライダー識別システムを用意する(ステップ(A))。本実施例では前述の図1の内陸水運船舶ライダー識別システム1が使用される。輸送用具100に装備された少なくとも1つのセンサー12が捕捉した複数の点群を受信する(ステップ(B))。プロセッサ30を介してステップ(B)の点群を第1点群セットにマージする(ステップ(C))。前記地図データ200に基づいて、計算すべき1つの第2点群セットを定義する(ステップ(D))。この時、いわゆる第2点群セットは、第1点群セット内の一部の点を無視した後の集合形態である。クラスタリング計算に基づいて第2点群セット内の各点を1つまたは複数のブロックにマージする(ステップ(E))。前記ブロックを計算することによって、前記地図データ200内に少なくとも1つのマーク300を埋め込む(ステップ(F))。モニター40を通じてすべてのマーク300を埋め込んだ地図データ200を表示する(ステップ(G))。マーク300は、地図データ200に少なくとも1つの水上障害物をマーキングするために用いられ、マークのいずれかが水上障害物を一意に識別する。
【0019】
ステップ(D)は、第1点群セットの忽略程序に用いられると共にステップ(D1)~(D4)を含む。ステップ(D1):前記陸域情報に基づいて高さを生成させ、第1点群セット内の任意の点が前記高さよりも高い(またはそれ以上である)場合、前記点を無視し、具体的にこの時前記高さについて高さの閾値を確定し、単純なアルゴリズムで高さの閾値以上の任意の点(すなわち、この点のz軸の値が高さの閾値以上の場合)が無視され計算に参加しない点であることを判定する。ステップ(D2):第1点群セットを前記地図データ200に投影する。ステップ(D3):前記水域情報に基づき境界を生成させ、前記少なくとも1つの第1点群セット内の任意の点が前記境界を横切る(または横切るだけ)場合、前記点を無視する。ステップ(D4):ステップ(D1)及び(D3)ステップで無視されない点に従って第2点群を定義する。一般的に言えば、ステップ(D1)~(D4)の実行は形態学の反復アルゴリズムに及ぶこともできる。この場合、ステップ(D1)及び(D3)は、当業者によって理解され得るステップを含み得る。本実施例において、前記高さ閾値は、可変値であり、陸域情報に従って適時調整(橋の高さの変化など)される。同様に境界は、水域情報の内陸河川の河道部(例えば河道部の幅、曲率など)によって取り決める。もちろん、他の実施例において、前記高さ閾値及び前記境界はまた、他の情報によって定義することができ、前述の例に限定されない。
【0020】
さらに前述の記述からステップ(D1)の「高さを生成させる」は、陸域情報内の物体データの選択プロセスに及ぶことが理解することができる。例えば水域情報に基づいて陸域情報内の情報と重ね合わせる物体データ(例えば水面上の橋梁)を選択し、物体データと水面の間の最も近い距離を前記高さに設定して、前記高さ閾値を決定する。
【0021】
ステップ(E)におけるいわゆるクラスタリング計算は、Kd-tree(K-dimensional tree)の反復アルゴリズムに及ぶことができ、さらにステップ(E1)~(E3)を含む。ステップ(E1):第2点群セット内の空間点を抽出する。ステップ(E2):Kd-tree(K-dimensional tree)法に基づいて、第2点群セットの任意の点と空間点の間の距離を計算する。ステップ(E3):第2点群セット内の距離値が距離閾値より小さいか又は等しい点を1つのブロックに分類する。ステップ(E4):第2点群セットのすべての点が分類されるまで(すなわち、複数のブロックが生成された後)、ステップ(E1)~(E3)を繰り返し、その後ステップ(F)を実行する。ここでの距離閾値は、予め定められた値であり、実際の応用ニーズ-に応じてのみ選択され、本発明はこれを限定しない。
【0022】
ステップ(E)は、ステップ(E2)とステップ(E3)との間のステップ(E21)をさらに含む。第2点群セット内の距離値が領域閾値より小さいか又は等しい点を同じ領域と指定すると共にステップ(E1)と(E21)を繰り返し、前記領域閾値に基づいて前記第2点群セットを複数の領域に分割された後まで、個々の領域によりステップ(E3)を実行することで、各領域内の点を順次前記ブロックに分類する。この時、領域閾値は、使用可能なすべての距離値の最大値に等しくなる。実際の応用において、使用可能な距離値とは、識別された外れ値(outlier)に対する距離値推定量を意味する。内陸水運船舶ライダー識別システム1は、第2点群セットの高密度点ブロック(すなわち、ステップ(E3)でより高い点密度を有するブロック)をより正確にクラスタリング及び分類することができる。
【0023】
ステップ(F)は、前記ブロックを1つずつ計算するため、ステップ(F1)~(F3)をさらに含む。ステップ(F1):任意の前記ブロック内のすべての点の座標の平均値を計算して、任意の前記ブロック内の重心点座標を定義し、各前記ブロックの重心点座標の定義が完了するまで計算を繰り返す。ステップ(F2):すべての重心点座標を表すオブジェクトメッセージを確定する。ステップ(F3):オブジェクトメッセージを通じて対応する少なくとも1つのマーク300を生成する。本実施例は、NEMA-0180、NEMA-0182、またはNEMA-0183規格に適合するエンコードフォーマットを使用して、オブジェクトメッセージを特徴付けることができることに留意されたい。例えば定義パラメータに「$OBS,<1>,<2>,<3>,<4>,<2>,<3>,<4>,…,<2>,<3>,<4>,*<5>」が含まれる場合、当業者は、下記の表1の内容にから分かるように、少なくとも1つの正しいマーク300をリアルタイムで地図データ200に埋め込むため、この定義パラメータが水上障害物の現在の数及びそれらに対応する少なくとも1つの座標成分の検出を含む。もちろん、本発明は、他の適切なエンコードフォーマットを用いて送信することもでき、これに限定されない。なお、ブロックの重心の計算は、単純なアルゴリズムの一般的な応用に過ぎず、当業者が既知する手法でもあるため、ここではその説明を省略する。
【0024】
ステップ(F3)内のマーク300は、実際の応用時に物体距離310及び物体情報320を含み得るが、これに限定されない。他の実際の応用において、前記マーク300は、警告機能を備えた任意の物体マーク(例えば物体の色)を含み得る。ここで、物体距離310は、水上障害物と輸送用具100との間の距離値であり、物体情報320は、水上障害物の空間位置を示す輪郭を有する任意の形状のセットである。
【0025】
言及すべき点は、ステップ(G)の地図データ200を実際に表示して応用する時、ステップ(F3)内のマーク300を一緒に表示することに加えて、例えばセンサー12の検出範囲または水上障害物の相対方位などの線性で表現された他の情報を選択的に表示できることである。地図データ200に埋め込まれたマーク300を効果的に識別するため、本発明は実際の応用時、ステップ(G)の実行前に複数の物体距離310及び複数の物体情報320を属性に応じてカラーリングすることができ、例えば物体距離310内の近距離ものに赤色を付けて警告効果を向上し、同様に、物件情報320内の大型水上障害物であるもの(すなわち、前述の形状でより大きな輪郭を有するもの)に黄色を付け、以降もこの例による。この時、いわゆる属性は、物体距離310及び物体情報320のさらなる定義であり得、例えば物体距離310の近距離、長距離、または物体情報320の小型、中型、大型の水上障害物も他のタイプの定義形態とすることができ、本発明はこれを限定しない。かつ前記属性と前記カラーリングの対応関係は、予め設定された1つの標準ルックアップテーブルにすることができ、または実際の操作ニーズに応じてランダムに異なるカラーリング表現(すなわち、1つの属性が1つのカラーリングに対応する)のみを与えることもできる。
【0026】
可能な実施例において、第1点群セット内の点の数が多すぎる場合、ステップ(B)とステップ(C)との間でステップ(B1)~(B2)を選択的に実行することができる。ステップ(B1):第1点群セットからプリセット範囲内の第1輪郭点を読み取り、ならびに前記プリセット範囲外の複数の第2輪郭点を読み取る。ステップ(B2):第1輪郭点の任意の点から第2輪郭点の任意の点までの距離を計算し、前記距離の最小値が予め設定された閾値より大きい場合、点と位置する前記第2輪郭点を直接無視する。ここでの「多すぎる」の解釈の数は、プロセッサ30の処理速度によって取り決める。
【0027】
可能な実施例において、第1点群セット内の点の数が十分である場合、プロセッサ30は、ステップ(B)とステップ(C)の間で、第1点群セットと前記地図データ200をさらにマッチング計算することができる。例えば正規分布変換(Normal Distributions Transform、NDT)または反復最接近点(Iterative Closest Point、ICP)アルゴリズムを使用できる。ここでの「十分な」の解釈の数は、アルゴリズムによって異なる。
【0028】
可能な実施形態では、ステップ(B)は、無効なデータ点(水面上の反射点など)を除去するため、点群のセグメンテーション手順を含み得る。いわゆるセグメンテーション手順は、ランダムなサンプルコンセンサス(RANdom Sample Consensus、RANSAC)反復アルゴリズムを含み得る。
【0029】
図3は、本発明の内陸水路ナビゲーション光学リーチ識別システムのいくつかの実施形態の構成の概略図である。 前述の実施例と一致して、図3に示すように、輸送用具100は、本発明の内陸水運船舶ライダー識別システム1を設けるように構成される。本実施例において、輸送用具100は、スピードボート、漁船、観光船などの小型水上運搬具であり得る。もちろん、本発明の態様はこれに限定されず、他の無人船(戦艦、クルーズ船などの大型水上運搬具)に応用され得る。この時、前記センサー12の数は1つ以上であって、輸送用具100の船首位置に設けられ、かつセンサー12の数が輸送用具100の運航時の水路の幅によって取り決める(例:水路が1.8mの場合、センサー12の数は1)。
【0030】
図2図3と併せて図4図6を参照されたい。図4図6は、本発明のいくつかの実施例に係る内陸水運船舶ライダー識別方法の地図データの出力を示す概略図であり、輸送用具100、及びこれらのマーク300が表す水上障害物の現在の空間的位置をマーキングするため、モニター40にマーク360を含む地図データ200を表示することを示すように用いられる。図4は、本発明を近距離検出に適用した場合の出力形態を示し、図5は、本発明を中距離検出に適用した場合の出力形態を示し、図6は、本発明を長距離検出に適用した場合の出力形態を示す。いわゆる近距離、中距離、長距離には特別な距離制限はなく、水上障害物と輸送用具との間の相対距離の概念的な表現に過ぎない。本実施例で使用されるセンサー12は、Velodyne社製のVLP-16 LiDARセンサーであり、ユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol、UDP)パケットに従って検出データを受信機10に送信して、少なくとも1つの特徴情報(検出データ内の任意の光線と任意の角度の点群距離など)を解析する。プロセッサ30は、特徴情報に基づいて前記第1点群セットを作成し、第1点群セットがデカルト座標系で表される。
【0031】
計算速度をさらに上げるため、本発明は、先に計算されるべき点群内の点(すなわち、計算せずに無視できると判定する点)を確定してからその後の計算のプリプロセスを実行するよう提案する。その後のプロセスにおいて、プロセッサ30は、判定された一部の点を計算するだけでよく、計算量及び関連するパラメータ量が大幅に削減される。なお、本実施例は水上運航の無人運搬具に応用し、水面の多くの干渉要因を考慮するため、検出データについてリアルタイムかつ連続的に判断することで、適時に航路を調整できることに留意されたい。本発明は、近接関係(Kd-tree(K-dimensional tree)演算)計算の結果に基づいて、第2点群セットをクラスタリングし、各クラスタリング(ブロック)内の重心点座標について前記地図データ200上のマーク300を適時に取得するため、直接抽出する。図4図6に示すように、本実施例において、前記マーク300は、水上障害物の距離(m)を示す物体距離310及び水上障害物の大きさを表す物体情報320を含み、かつセンサー12の検出範囲及び水上障害物の相対方位を示すヒントライン330a、330bを含み、プロセッサ30はセンサー12の検出可能な空間境界値を複数のヒントライン330aに対応して変換し、センサー12と任意の前記重心点座標との間の空間における最短経路を少なくとも1つのヒントライン330bに対応して変換する。
【0032】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当前該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
100 輸送用具
10 受信機
1 内陸水運船舶ライダー識別システム
12 センサー
200 地図データ
20 ストレージ
300 マーク
30 プロセッサ
310 物体距離
320 物体情報
330a、330b ヒントライン
40 モニター
(A)~(G) ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6