(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ユニット交換用台車および実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
H05K13/02 A
(21)【出願番号】P 2021136506
(22)【出願日】2021-08-24
(62)【分割の表示】P 2021080392の分割
【原出願日】2016-01-28
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大池 博史
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一也
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-153098(JP,A)
【文献】実開昭61-150706(JP,U)
【文献】特開平07-125836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置に用いられるユニット交換用台車であって、
前記部品供給用のユニットを前記実装装置で使用可能に搭載する搭載部と、
前記搭載部を支持するとともに、自動走行可能に構成される車体部と、
を備え、
前記搭載部は、前記車体部から分離可能に設けられ、
前記車体部は、前記搭載部を支持した状態で前記実装装置内に進入し、
前記実装装置により送信される前記車体部の退出が可能である旨の情報に基づいて、前記実装装置に前記搭載部を残したまま前記実装装置から退出するユニット交換用台車。
【請求項2】
請求項1に記載のユニット交換用台車であって、
前記実装装置は、前記部品供給用のユニットから供給される部品を吸着し、吸着した前記部品を前記基板に実装するヘッドを備えており、
前記車体部は、前記ヘッドが前記搭載部に搭載された前記部品供給用のユニットから部品を吸着可能な位置まで前記実装装置内に進入する
ユニット交換用台車。
【請求項3】
部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置に用いられるユニット交換用台車であって、
前記部品供給用のユニットを前記実装装置で使用可能に搭載する搭載部と、
前記搭載部を支持するとともに、自動走行可能に構成される車体部と、
前記搭載部と前記車体部とを相対移動不能とするロックと該ロックの解除とが可能なロック機構と、
を備え、
前記搭載部は、前記車体部から分離可能に設けられ、
前記車体部は、前記搭載部を支持していない状態で前記実装装置にセットされた前記搭載部の下方に進入し、その後前記搭載部を支持して
前記ロック機構により前記搭載部をロックし、前記搭載部と一体となって前記実装装置から退出するユニット交換用台車。
【請求項4】
部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置と、
前記実装装置に用いられるユニット交換用台車と、
を備えた実装システムであって、
前記ユニット交換用台車は、
前記部品供給用のユニットを前記実装装置で使用可能に搭載する搭載部と、
前記搭載部を支持するとともに、自動走行可能に構成される車体部と、
を備え、
前記実装装置は、前記車体部が前記搭載部を支持した状態で、進入可能な受け入れスペースを備え
、前記ユニット交換用台車がセットされると前記車体部の退出が可能である旨の情報を送信し、
前記車体部は、前記実装装置により送信される前記情報に基づいて前記実装装置から退出する
実装システム。
【請求項5】
請求項4に記載の実装システムであって、
前記実装装置は、前記部品供給用のユニットから供給される部品を吸着し、吸着した前記部品を前記基板に実装するヘッドと、
前記ヘッドを水平方向に移動させるXYロボットと、
を備え、
前記受け入れスペースは、前記XYロボットの下方に設けられている
実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置にセットされるユニット交換用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置に対して、部品供給用のユニットを交換するためのユニット交換用台車が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ユニット交換用台車が複数の部品供給用のユニットを搭載可能に構成されており、作業者がユニット交換用台車を台車ごと入れ替えることにより、複数の部品供給用のユニットを一括して交換するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したユニット交換用台車では、基板の生産種が切り替わる際に、ユニットの交換を効率よく行って段取り替え時間を短縮することができる。段取り替え時間の短縮は、実装装置の生産効率を向上させるために重要な課題として考えられており、更なる改善が求められている。
【0005】
本発明のユニット交換用台車は、ユニットの交換をより効率よく行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のユニット交換用台車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の第1のユニット交換用台車は、
部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置にセットされるユニット交換用台車であって、
前記部品供給用のユニットと、部品供給用以外で実装に用いられる生産用のユニットとを前記実装装置で使用可能に搭載する搭載部と、
前記搭載部が設けられる車体部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の第1のユニット交換用台車は、部品供給用のユニットと、部品供給用以外で実装に用いられる生産用のユニットとを実装装置で使用可能に搭載する。このため、ユニット交換用台車を台車ごと交換すると、部品供給用のユニットだけでなく、生産用のユニットも交換することができるから、ユニットの交換を効率よく行うことができる。したがって、段取り替え時間をより短縮化して、生産効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の第1のユニット交換用台車において、前記車体部は、走行経路に沿って自動走行可能に構成されるものとしてもよい。こうすれば、段取り替えに必要な部品供給用のユニットと生産用のユニットとを搭載したユニット交換用台車を、段取り替えが行われる実装装置まで自動で走行させてユニットの交換を自動で行うことができる。したがって、作業者がユニット交換用台車を入れ替える必要がないから、ユニットの交換を一層効率よく行うことができる。特に、複数台の実装装置で同時期にユニットの交換が必要となる場合には、交換時間の短縮効果が大きなものとなる。
【0010】
本発明の第2のユニット交換用台車は、
部品供給用のユニットから供給される部品を基板に実装する実装装置にセットされるユニット交換用台車であって、
前記部品供給用のユニットを前記実装装置で使用可能に搭載する搭載部と、
前記搭載部が設けられ、走行経路に沿って自動走行可能に構成される車体部と、
を備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の第2のユニット交換用台車は、部品供給用のユニットを実装装置で使用可能に搭載する搭載部が設けられ、走行経路に沿って自動走行可能に構成される車体部を備える。このため、段取り替えに必要な部品供給用のユニットを搭載したユニット交換用台車を、段取り替えが行われる実装装置まで自動で走行させてユニットの交換を自動で行うことができる。したがって、作業者がユニット交換用台車を入れ替える必要がないから、ユニットの交換を効率よく行うことができる。特に、複数台の実装装置で同時期にユニットの交換が必要となる場合には、交換時間の短縮効果が大きなものとなる。
【0012】
作動源に繋がる装置側接続部が設けられた実装装置にセットされる本発明の第1のユニット交換用台車または第2のユニット交換用台車において、前記実装装置にセットされると、前記装置側接続部に接続される台車側接続部を備え、前記装置側接続部と前記台車側接続部との接続を介して、前記作動源からの動力が前記搭載部に搭載されている各ユニットに供給されるものとしてもよい。こうすれば、ユニット交換用台車を入れ替える際に、作業者が装置側接続部と台車側接続部とを接続する必要がないから、ユニットの交換をさらに効率よく行うことができる。
【0013】
搭載部を支持可能な支持部が設けられた実装装置にセットされる本発明の第1のユニット交換用台車または第2のユニット交換用台車において、前記搭載部は、前記車体部との間に前記実装装置の支持部が進入可能な隙間をもって前記車体部から分離可能に設けられ、前記搭載部と前記車体部とを相対移動不能とするロックと、該ロックの解除とが可能なロック機構を備えるものとしてもよい。こうすれば、ユニット交換用台車が実装装置にセットされると、搭載部と車体部との隙間に進入した支持部により搭載部を支持可能となり、ロック機構による搭載部と車体部とのロックを解除すれば、実装装置の支持部に支持させた搭載部を実装装置に残したまま車体部だけを実装装置から退出させることが可能となる。このため、複数台の実装装置で、ユニット交換用台車の車体部を共用することができるから、ユニット交換用台車の車体部を実装装置の数と同じ数だけ用意することなくユニットの交換を効率よく行うことが可能となる。これにより、ユニット交換用台車の導入費用を抑えることができる。特にユニット交換用台車の車体部を自動走行可能に構成する場合には、導入費用を抑える効果が大きいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実装システム10の全体構成の概略を示す構成図。
【
図2】実装装置20とユニット交換用台車40の斜視図。
【
図3】実装装置20とユニット交換用台車40の上面図。
【
図4】実装装置20とユニット交換用台車40の上面図。
【
図5】実装装置20とユニット交換用台車40の側面図。
【
図7】ユニット交換処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】変形例のユニット交換用台車140の構成図。
【
図9】ユニット交換用台車140が実装装置120にセットされる様子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【0016】
図1は、実装システム10の全体構成の概略を示す構成図であり、
図2は、実装装置20とユニット交換用台車40の斜視図である。また、
図3,
図4は、実装装置20とユニット交換用台車40の上面図であり、
図5は、実装装置20とユニット交換用台車40の側面図であり、
図6は、実装システム10の制御に関する構成図である。なお、
図2の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
【0017】
実装システム10は、
図1に示すように、回路基板(以下、基板という)に電子部品(以下、部品という)を実装する複数台の実装装置20と、各実装装置20で使用される各種ユニットを保管する保管庫70と、実装システム10の全体を管理する管理装置80(
図6参照)とを備える。この実装システム10は、基板搬送方向(X軸方向)に複数台の実装装置20が並んだ部品実装ラインを3列有するものとなっている。また、実装システム10は、保管庫70に保管されている各種ユニットと、実装装置20にセットされている各種ユニットとを交換するための複数台のユニット交換用台車40を備える。
【0018】
本実施例のユニット交換用台車40は、自動走行可能な無人走行車として構成されている。また、実装システム10は、保管庫70から出て各部品実装ラインの前方を通って各実装装置20に到達可能になると共に各実装装置20から保管庫70に戻るための走行ラインLが設定されている。実装システム10では、走行ラインLに沿って磁気テープが敷設されている。ユニット交換用台車40は、磁気テープの磁気をセンサで検出して走行方向を調整しながら自動走行する磁気誘導方式により目的位置まで誘導される。なお、ユニット交換用台車40は、光学誘導方式などの他の誘導方式によって誘導されてもよいし、走行ラインLの座標位置を予め記憶しておき走行距離などを自動計測して現在位置や走行方向を調整しながら自動走行するものとしてもよい。ユニット交換用台車40は、
図2に示すように、各種ユニット(52,53,54,55など)を搭載した状態で、実装装置20の前方に形成された台車受入スペース20a内に進入可能となっている。なお、
図3は、ユニット交換用台車40が台車受入スペース20a内に進入している途中の図であり、
図4は、ユニット交換用台車40が台車受入スペース20a内に進入した図である。
【0019】
実装装置20は、
図5に示すように、底面に図示しないレベリングボルトが取り付けられた基台21と、基台21に支持された筐体22とにより構成されている。実装装置20は、
図3~
図5に示すように、基板を搬送する基板搬送装置24と、吸着ノズル26により吸着した部品を基板に実装するヘッド25と、ヘッド25をXY方向へ移動させるXYロボット30と、実装機全体を制御する実装制御装置28(
図6参照)とを備える。
【0020】
基板搬送装置24は、
図3の左から右(X軸方向)に基板を搬送する基板搬送路が
図3の前後(Y軸方向)に2つ設けられたデュアルレーン方式の搬送装置として構成されている。ヘッド25は、
図5に示すように、複数の吸着ノズル26が着脱可能に取り付けられており、形状やサイズが異なる複数種類の吸着ノズル26のうち実装対象の部品の種類(形状やサイズ)に応じたものに交換される。また、ヘッド25には、基板に付された基板位置決め基準マークを撮像するためのマークカメラ27が設けられている。XYロボット30は、
図3~
図5に示すように、筐体22の上段部に前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール31と、Y軸ガイドレール31に沿って移動が可能なY軸スライダ32と、Y軸スライダ32の側面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられたX軸ガイドレール33と、X軸ガイドレール33に沿って移動が可能なX軸スライダ34とを備える。X軸スライダ34にはヘッド25が取り付けられており、実装制御装置28は、XYロボット30を駆動制御することにより、XY平面上の任意の位置にヘッド25を移動可能である。
【0021】
また、実装装置20は、台車受入スペース20aの後方側(スペースの奥側,進入端)の壁面にコネクタ39が設けられている。このコネクタ39は、ユニット交換用台車40に搭載される各種ユニットの作動源であるエア源37(
図6参照)や電力源38(
図6参照)に繋げられると共に実装制御装置28に繋げられている。また、実装装置20は、
図3に示すように、台車受入スペース20aの後方側下部の左右方向(X軸方向)の中央にユニット交換用台車40の進入をガイドするためのガイド部材35が設けられている。実装装置20は、台車受入スペース20aの後方側下部の左右方向の端にユニット交換用台車40が停止する際の衝突力を低減させるための緩衝部材36が設けられている。ガイド部材35は、上面視で略長方形状の平板状の部材であり、台車受入スペース20aの前方側の二箇所の角を切り落として前方側の板幅が狭くなるよう形成されている。また、緩衝部材36は、上面視で略直角三角形状の部材であり、斜辺となる部分が台車受入スペース20aの内側を向くよう配置されている。
【0022】
ユニット交換用台車40は、
図2に示すように、走行用の車輪42が取り付けられた車体部41と、車体部41上に固定され各種ユニットを搭載する搭載部51とにより構成されている。なお、説明の便宜上、
図3の上面図では、車体部41を実線で示すと共に搭載部51および各種ユニットを点線で示す。なお、実装装置20の前方側(台車受入スペース20a)に向き合う側をユニット交換用台車40の前方側とする。
【0023】
車体部41は、
図6に示すように、車輪42を回転駆動させる走行モータ45と、走行モータ45に電力を供給するためのバッテリ46と、走行ラインLに沿って目的地まで自動走行するよう走行制御する台車制御装置47と、図示しないステアリング装置などを備える。台車制御装置47は、無線により管理装置80と通信可能に接続される。また、車体部41は、
図3に示すように、上面視で略直角三角形状に形成されて、車体前方に突出するように設けられた2つのローラ取付部43を備える。このローラ取付部43の互いに対向する側面には、ガイドローラ44が2つずつ取り付けられている。ガイドローラ44は、実装装置20のガイド部材35の左右(X軸方向)の側面に接することにより回転する。また、各ローラ取付部43は、斜辺となる部分が実装装置20の緩衝部材36の斜辺となる部分と当接可能となっている。ユニット交換用台車40(車体部41)は、実装装置20のガイド部材35とガイドローラ44とによりガイドされ、台車受入スペース20aの進入端(所定位置)まで進入して自動停止する。なお、ユニット交換用台車40が進入端を超えると、ローラ取付部43の斜辺部分と緩衝部材36の斜辺部分とが当接することで、ユニット交換用台車40と実装装置20との衝突を緩和する。
【0024】
搭載部51は、
図4に示すように、部品が収容されたテープを送り出して実装装置20に部品を供給する複数のテープフィーダユニット52と、複数の吸着ノズル26を複数のストック孔53aにストックするノズルストックユニット53と、実装装置20の吸着ノズル26に吸着されている部品の吸着姿勢を下方から撮像するパーツカメラユニット54とを搭載している。また、搭載部51は、吸着ノズル26による吸着不良が生じているなどの不良部品を回収するパーツダストボックス55と、テープフィーダユニット52から送り出されて部品を供給した後に図示しない切断機構により切断された廃テープを回収するテープダストボックス56とを搭載している。
【0025】
また、搭載部51は、車体前方側に、実装装置20のコネクタ39に接続されるコネクタ59が設けられている。このコネクタ59は、テープフィーダユニット52やパーツカメラユニット54と電気配線を介して繋げられると共にノズルストックユニット53にエア配管を介して繋げられている。コネクタ59は、ユニット交換用台車40が実装装置20にセットされる際に、実装装置20のコネクタ39と自動接続される。即ち、コネクタ39,59は、いわゆるオートコネクタ(オートカプラ)として構成されている。
【0026】
テープフィーダユニット52は、
図6に示すように、部品を所定ピッチで収容するテープを所定量ずつ送り出す送りモータ52bと、送りモータ52bの駆動を制御したり収容されている部品の種類や数などの情報を管理したりするフィーダ制御部52aとを備える。テープフィーダユニット52は、左右方向(X軸方向)に複数整列した状態で搭載部51に搭載されており、実装装置20にユニット交換用台車40がセットされた状態で、ヘッド25の吸着ノズル26が吸着可能な位置に部品を供給可能となっている。送りモータ52bは、コネクタ39,59の接続を介して電力源38からの電力の供給を受けて駆動可能となる。フィーダ制御部52aは、コネクタ39,59の接続を介して実装制御装置28と通信可能となる。フィーダ制御部52aは、部品の種類や数などの部品情報を実装制御装置28に送信する。また、フィーダ制御部52aは、実装制御装置28から送信される部品の供給指示を受信すると、送りモータ52bの駆動を制御して部品を供給する。
【0027】
ノズルストックユニット53は、複数のストック孔53aに対する吸着ノズル26の出し入れを可能とする開状態と吸着ノズル26の出し入れを不能とする閉状態とを切り替える図示しないシャッタを、開閉シリンダ53bの駆動により作動させるよう構成される。開閉シリンダ53bは、コネクタ39,59の接続を介してエア源37からのエアの供給を受けて駆動可能となる。ノズルストックユニット53は、実装装置20にユニット交換用台車40がセットされた状態で、ヘッド25が吸着ノズル26を交換可能な位置に搭載される。
【0028】
パーツカメラユニット54は、CCDやCMOSなどの撮像素子とレンズなどにより構成された撮像部54aと、撮像部54aの撮像タイミングで撮像対象の部品に向かって発光するLEDなどの発光部54bとを備える。撮像部54aと発光部54bとは、コネクタ39,59の接続を介して電力源38からの電力の供給を受けて作動可能となる。また、撮像部54aは、コネクタ39,59の接続を介して実装制御装置28と通信可能となる。撮像部54aは、実装制御装置28から送信される部品の撮像指示を受信すると、部品の画像を撮像し、撮像した画像を実装制御装置28に送信する。ここで、部品の種類(形状やサイズ)によって、画像処理の対象となる特徴部分が異なることがある。このため、部品の種類によって、異なる特性の撮像部54aが必要になったり、異なる発光態様の発光部54bが必要になったりすることがある。即ち、パーツカメラユニット54は、部品の種類によって入れ替えが必要となる場合がある。
【0029】
パーツダストボックス55とテープダストボックス56とは、搭載部51に着脱可能に搭載されている。これらのパーツダストボックス55とテープダストボックス56とをまとめてダストユニットともいう。また、ユニット交換用台車40が廃テープを収容するためのテープ収容ボックスを搭載部51の下部に設け、テープダストボックス56に代えて、テープ収容ボックスに廃テープを導くテープダクトを搭載するものとしてもよい。
【0030】
実装制御装置28は、
図6に示すように、CPU28aとROM28bとHDD28cとRAM28dなどで構成されている。この実装制御装置28は、基板搬送装置24とヘッド25とXYロボット30に駆動信号を出力したり、マークカメラ27に撮像指示を出力したりする。また、実装制御装置28は、マークカメラ27から撮像画像を入力したりする。また、実装制御装置28は、実装装置20にユニット交換用台車40がセットされた状態で、コネクタ39,59の接続を介して、テープフィーダユニット52とノズルストックユニット53とに駆動信号を出力したり、パーツカメラユニット54に撮像指示を出力したりする。また、実装制御装置28は、コネクタ39,59の接続を介して、テープフィーダユニット52から部品情報を入力したり、パーツカメラユニット54からカメラ情報や撮像画像を入力したりする。実装制御装置28は、各テープフィーダユニット52から部品情報を入力すると、各テープフィーダユニット52の位置と、各テープフィーダユニット52が収容している部品の種類や数などとを対応付けた情報をHDD28cに記憶する。実装制御装置28は、パーツカメラユニット54から撮像画像を入力すると、撮像画像を処理して部品の吸着ずれ量を算出し、吸着ずれ量に基づいて補正した実装位置に部品を実装するよう実装処理を行う。また、実装制御装置28は、管理装置80と有線により通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
【0031】
管理装置80は、
図6に示すように、例えば、CPU80aとROM80bとHDD80cとRAM80dなどを備える汎用のコンピュータであり、LCDなどのディスプレイ82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84とを備える。管理装置80は、基板の生産計画やユニット交換用台車40の経路情報などをHDD80cに記憶している。基板の生産計画は、各実装装置20においてどの部品をどの順番で基板へ実装するか、また、そのように部品を実装した基板を何枚作製するかなどを定めた計画をいう。また、生産計画は、各基板に実装する部品を供給するためのテープフィーダユニット52の種類に関するフィーダ情報や、吸着ノズル26で吸着した部品の吸着状態を判定するための画像を撮像するパーツカメラユニット54の種類に関するカメラ情報、部品を基板に実装するためにノズルストックユニット53に収容すべき吸着ノズル26の種類や数に関するノズル情報なども含まれている。また、経路情報は、走行ラインLに沿って保管庫70から各実装装置20への経路を示す情報である。
【0032】
次に、こうして構成された実装システム10において、ユニット交換用台車40を用いて各種ユニットを交換する際の動作を説明する。
図7は、ユニット交換処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、生産状況に基づいて次の基板種の生産準備が必要となったタイミングで管理装置80のCPU80aにより実行される。
【0033】
ユニット交換処理が実行されると、管理装置80のCPU80aは、まず、次の基板種の生産に必要となる次生産の部品種を生産計画から取得し(S100)、次生産の部品種の部品を収容しているテープフィーダユニット52に関する情報を取得すると共に(S110)、次生産に必要な他のユニットの情報を取得する(S120)。CPU80aは、S120では、次生産の部品種の部品の吸着に必要な吸着ノズル26の種類やその必要数を含むノズルストックユニット53に関する情報と、次生産の部品種の部品の撮像に必要なパーツカメラユニット54に関する情報などを取得する。そして、CPU80aは、S110,S120で取得した各種ユニットの情報に基づいて、保管庫70で待機しているユニット交換用台車40に次生産で必要な各種ユニットをセットするよう作業者に対して作業指示を行う(S130)。この作業指示は、例えばディスプレイ82に表示され、作業者は作業指示を見ながら必要な各種ユニットをユニット交換用台車40の搭載部51にセットし、セット作業が終わると、入力デバイス84を操作して、セット作業が完了した旨とユニット交換用台車40の識別情報とを管理装置80に入力する。また、作業者は、セットが完了したユニット交換用台車40を、自動走行を開始する開始位置に配置する。
【0034】
管理装置80のCPU80aは、S130で作業指示を行うと、ユニット交換タイミングになるのを待つ(S140)。ユニット交換タイミングは、作業者によるセット作業が完了し、且つ、実装装置20で現在の基板種の生産が完了して現在セットされているユニット交換用台車40を退出させる準備が整った旨の通知を実装装置20から受信したタイミングなどとすることができる。CPU80aは、ユニット交換タイミングになったと判定すると、実装装置20に現在セットされているユニット交換用台車40を実装装置20の台車受入スペース20aから退出させて保管庫70まで自動走行させる(S150)。また、CPU80aは、次生産用の各種ユニットを搭載したユニット交換用台車40を保管庫70(走行開始位置)から交換対象の実装装置20まで自動走行させて実装装置20の台車受入スペース20a内に進入させる(S160)。これにより、ユニット交換用台車40を自動で走行させて台車ごと交換することができるから、各種ユニットを一括して自動交換することができる。このため、基板種の切り替わり時の段取り替え作業を効率よく行うことができる。また、生産状況に応じて段取り替え情報を確認しながら、保管庫70で待機しているユニット交換用台車40に次生産で必要な各種ユニットを予め搭載することにより、段取り替え作業をさらに効率よく行うことができる。なお、CPU80aは、次生産用の各種ユニットのセットが完了したユニット交換用台車40を、S140で現在の基板種の生産が完了すると判定する前に、予め交換対象の実装装置20まで自動走行させて交換対象の実装装置20の近くで待機させるものとしてもよい。そして、S150で台車受入スペース20aからユニット交換用台車40が退出すると、次生産用の各種ユニットを搭載したユニット交換用台車40を台車受入スペース20aに直ちに進入させるものとしてもよい。こうすれば、段取り替え時間をより短縮することができる。
【0035】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のユニット交換用台車40がユニット交換用台車に相当し、実装装置20が実装装置に相当し、テープフィーダユニット52が部品供給用のユニットに相当し、ノズルストックユニット53とパーツカメラユニット54とダストユニット(パーツダストボックス55やテープダストボックス56)が生産用のユニットに相当し、搭載部51が搭載部に相当し、車体部41が車体部に相当する。また、エア源37や電力源38が動力源に相当し、コネクタ39が装置側接続部に相当し、コネクタ59が台車側接続部に相当する。
【0036】
以上説明したユニット交換用台車40は、部品供給用のテープフィーダユニット52と、部品供給用以外で実装に用いられるノズルストックユニット53とパーツカメラユニット54とダストユニットとを実装装置20で使用可能に搭載する。このため、ユニット交換用台車40を台車ごと交換すると、テープフィーダユニット52だけでなくノズルストックユニット53とパーツカメラユニット54とダストユニットとを交換することができるから、各種ユニットの交換を効率よく行うことができる。したがって、段取り替え時間をより短縮化して、生産効率を向上させることができる。
【0037】
また、ユニット交換用台車40は、車体部41が走行ラインに沿って自動走行可能に構成されるから、次生産に必要な各種ユニットを搭載したユニット交換用台車40を、段取り替えが行われる実装装置40まで自動で走行させて各種ユニットの交換を自動で行うことができる。したがって、作業者がユニット交換用台車40を入れ替える必要がないから、各種ユニットの交換を一層効率よく行うことができる。
【0038】
また、ユニット交換用台車40は、エア源37や電力源38に繋がるコネクタ39が設けられた実装装置20にセットされるものであり、コネクタ39に接続されるコネクタ59を備える。そして、コネクタ39,59の接続を介してエア源37からのエアをノズルストックユニット53に供給したり、電力源38からの電力をテープフィーダユニット52やパーツカメラユニット54に供給したりする。このため、ユニット交換用台車40を入れ替える際に、作業者がコネクタ39,59の接続を行う必要がないから、各種ユニットの交換をさらに効率よく行うことができる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、ユニット交換用台車40の搭載部51が、部品供給用のテープフィーダユニット52以外に、部品供給以外で生産に用いられる複数のユニットを搭載したが、これに限られるものではない。例えば、搭載部51が、ノズルストックユニット53とパーツカメラユニット54とダストユニット(パーツダストボックス55やテープダストボックス56)とのうち、いずれか1以上のユニットを搭載してもよいし、これら以外に生産に用いられるユニットを搭載してもよい。あるいは、部品供給用のテープフィーダユニット52以外に、部品供給以外で生産に用いられるユニットを搭載しないものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、車体部41が自動走行可能に構成されるものとしたが、作業車の手押しにより走行するものとしてもよい。このようにしても、ユニット交換用台車40を台車ごと交換することにより各種ユニットを一括して効率よく交換することができる。
【0042】
上述した実施形態では、ユニット交換用台車40が、部品供給用のユニットとしてテープフィーダユニットを搭載したが、これに限られず、部品を収容した平板状のトレイから部品を供給するトレイフィーダユニットを搭載してもよい。また、ユニット交換用台車40が、テープフィーダユニットとトレイフィーダユニットとを搭載してもよい。
【0043】
上述した実施形態では、ユニット交換用台車40がガイド部材35によりガイドされながら台車受入スペース20a内に進入することで、左右方向の位置決めを行うものとしたが、これに限られるものではない。例えば、実装装置20(台車受入スペース20a)に前方から撮像可能な基準マークを設け、その基準マークを撮像可能なカメラユニットをユニット交換用台車40に設けるものとする。そして、ユニット交換用台車40がカメラユニットで撮像した画像から基準マークの位置を求め、基準マークの位置に対する自車の位置ずれを修正しながら、台車受入スペース20a内に進入するものなどとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、搭載部51が台車部41に固定されたユニット交換用台車40を例示したが、これに限られず、搭載部と台車部とが分離可能なものなどとしてもよい。
図8は、変形例のユニット交換用台車140の構成図であり、
図9は、ユニット交換用台車140が実装装置120にセットされる様子の説明図である。なお、
図8(a)がユニット交換用台車140を後方から見た内部の構成図であり、
図8(b)が側方から見た内部の構成図である。
【0045】
変形例のユニット交換用台車140の車体部141は、
図8(a)に示すように、後方から見て上面の左右の縁で搭載部151を支持しており、上面の中央には搭載部151との間に隙間140aがあるために搭載部151を支持しないものとなっている。また、車体部141は、バッテリ46からの電力により作動してロッド148aを昇降させる電動アクチュエータ148(ロック機構)を備える。この電動アクチュエータ148は、ロッド148aを上昇させると、ロッド148aの先端が車体部141の上面から突出し、ロッド148aを下降させると、ロッド148aの先端が車体部141内に引き込まれる。一方、搭載部151は、車体部141と対向する下面に、車体部141の上面に接することにより回転する複数のローラ158を備え、また、車体部141のロッド148aの先端が嵌まり込む大きさの凹部151aが形成されている。このため、電動アクチュエータ148のロッド148aが上昇してロッド148aの先端が凹部151aに嵌まり込んでいる状態では、車体部141と搭載部151との水平方向の相対移動が不能にロックされる。また、電動アクチュエータ148のロッド148aが下降してロッド148aの先端が凹部151aから抜け出ている状態では、車体部141と搭載部151とのロックが解除される。電動アクチュエータ148のロッド148aが下降してロックが解除された状態では、搭載部151は複数のローラ158により車体部141と接するから、車体部141に対して相対移動が可能となる。また、変形例の実装装置120は、
図9に示すように、搭載部151を支持可能な支持部129を備える。上述したユニット交換用台車140の隙間140aは、支持部129が入る大きさに形成されている(
図8(a)参照)。
【0046】
ユニット交換用台車140の台車制御装置47は、走行中は、ロッド148aの先端が凹部151aに嵌まり込むよう電動アクチュエータ148を制御する。これにより、車体部141と搭載部151とを一体的に自動走行して、実装装置120に搭載部151をセットすることができる(
図9(a))。なお、ユニット交換用台車140が実装装置120内に進入する際に、実装装置120の支持部129がユニット交換用台車140の隙間140aに入り込むことになる。ユニット交換用台車140がセットされると、台車制御装置47は、ロッド148aの先端が凹部151aから抜け出るよう電動アクチュエータ148を制御する(
図9(b))。なお、変形例の実装装置120は、ユニット交換用台車140がセットされると車体部141の退出が可能である旨の情報を管理装置80に送信し、その情報を受信した管理装置80が台車制御装置47に退出指示を送信し、退出指示を受けた台車制御装置47が電動アクチュエータ148を制御するものとしてもよい。これにより、車体部141と搭載部151とのロックが解除されて相対移動が可能となる。また、電動アクチュエータ148のロッド148aが下降して車体部141が僅かに下方に下がると、車体部141による支持に代えて、実装装置120の支持部129により搭載部151が支持される。このため、ユニット交換用台車140は、搭載部151を残したまま、車体部141だけを退出させることが可能となる(
図9(c))。なお、支持部129が搭載部151を確実に支持できるよう支持部129に搭載部151と係合する機構などを設けてもよい。また、
図9(c)の状態で、再度車体部141が進入して、ロッド148aの先端が凹部151aに嵌まり込むよう電動アクチュエータ148を制御すると、車体部141と搭載部151とが再度ロックされて相対移動不能となる。このため、車体部141と搭載部151とは一体となって退出することができる。
【0047】
このように、変形例では、実装装置120に搭載部151を残したまま車体部141だけを退出させることが可能となる。このため、複数台の実装装置120で車体部141を共用することができるから、車体部141を実装装置120の数と同じ数だけ用意することなく各種ユニットの交換を効率よく行うことが可能となる。
【0048】
変形例のユニット交換用台車140では、電動アクチュエータ148を車体部141に備えるものとしたが、これに限られず、搭載部151に備えるものとしてもよい。また、変形例の機構により車体部141と搭載部151とのロックおよびロックの解除を行うものに限られず、走行中は車体部141と搭載部151とをロックし、ユニット交換用台車140が実装装置内に進入すると車体部141と搭載部151とのロックの解除と再ロックとが可能であれば、如何なる機構としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、実装装置にセットされるユニット交換用台車の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 実装システム、20,120 実装装置、20a 台車受入スペース、21 基台、22 筐体、24 基板搬送装置、25 ヘッド、26 吸着ノズル、27 マークカメラ、28 実装制御装置、28a CPU、28b ROM、28c HDD、28d RAM、30 XYロボット、31 Y軸ガイドレール、32 Y軸スライダ、33 X軸ガイドレール、34 X軸スライダ、35 ガイド部材、36 緩衝部材、37 エア源、38 電力源、39 コネクタ、40,140 ユニット交換用台車、41,141 車体部、42 車輪、43 ローラ取付部、44 ガイドローラ、45 走行モータ、46 バッテリ、47 台車制御装置、51,151 搭載部、52 テープフィーダユニット、52a フィーダ制御部、52b 送りモータ、53 ノズルストックユニット、53a ストック孔、53b 開閉シリンダ、54 パーツカメラユニット、54a 撮像部、54b 発光部、55 パーツダストボックス、56 テープダストボックス、59 コネクタ、70 保管庫、80 管理装置、80a CPU、80b ROM、80c HDD、80d RAM、82 ディスプレイ、84 入力デバイス、129 支持部、140a 隙間、148 電動アクチュエータ、148a ロッド、151a 凹部、158 ローラ、L 走行ライン。