(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】組み立て式トレイ
(51)【国際特許分類】
B65D 5/22 20060101AFI20221109BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20221109BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D5/22 A
B65D5/42 F
B65D85/68 B
B65D85/68 H
(21)【出願番号】P 2021185873
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2021-11-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・令和3年8月25日に、「公益社団法人日本包装技術協会主催、2021日本パッケージングコンテスト入賞作品表彰式・発表会」にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智由記
(72)【発明者】
【氏名】市野沢 朋貴
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3210818(JP,U)
【文献】特開平10-001129(JP,A)
【文献】特開2001-247122(JP,A)
【文献】実開昭54-000115(JP,U)
【文献】英国特許出願公告第00927238(GB,A)
【文献】実開昭62-152954(JP,U)
【文献】実開昭61-019512(JP,U)
【文献】実開昭58-041318(JP,U)
【文献】特開2015-9890(JP,A)
【文献】特開2020-210179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/22
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の段ボール製のブランクシートから形成される組み立て式トレイであって、
前記ブランクシートは、
底板と、
前記底板を、段ボールの段目が伸びる方向に平行な第一方向に挟んで連接された、第一側壁部及び第二側壁部と、
前記底板を前記第一方向に直交する第二方向に挟んで連接された、第三側壁部及び第四側壁部と、
前記第一側壁部の前記第二方向に係る両端箇所、及び前記第二側壁部の前記第二方向に係る両端箇所のそれぞれにおいて、前記底板から遠ざかる方向に連結して配置された、一対の差込片とを含み、
前記ブランクシートの状態において、
前記第一側壁部及び前記第二側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る中央部と、前記底板の中心を通る前記第二方向に関する中心線との距離が、
前記第一側壁部及び前記第二側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る端部と、前記底板の中心を通る前記第二方向に関する前記中心線との距離よりも短く、
前記一対の差込片は、前記第二方向に離間して配置されており、前記ブランクシートの外辺の一部を構成する、前記第一側壁部及び前記第二側壁部の辺のうちの、前記底
板とは反対側に位置する辺が、前記一対の差込片に挟まれた領域よりも前記底
板に近い側に位置していることを特徴とする、組み立て式トレイ。
【請求項2】
前記第三側壁部及び前記第四側壁部と、前記底板とのそれぞれの境界は、前記段ボールの段目が伸びる方向と平行な直線状であることを特徴とする、請求項1に記載の組み立て式トレイ。
【請求項3】
前記ブランクシートの状態において、前記第三側壁部の前記第一方向に係る両端に連接された第一折込片及び第二折込片と、前記第四側壁部の前記第一方向に係る両端に連接された第三折込片及び第四折込片とを更に備え、
前記第一折込片及び前記第二折込片は、それぞれの上端辺と下端辺のいずれもが、前記第三側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第三側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る端点を通り前記第一方向に仮想的に延びる直線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置され、
前記第三折込片及び前記第四折込片は、それぞれの上端辺と下端辺のいずれもが、前記第四側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第四側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る端点を通り前記第一方向に仮想的に延びる直線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置され、
前記第一折込片は、前記第三側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第一側壁部の内側の面に接触し、
前記第二折込片は、前記第三側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第二側壁部の内側の面に接触し、
前記第三折込片は、前記第四側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第一側壁部の内側の面に接触し、
前記第四折込片は、前記第四側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第二側壁部の内側の面に接触することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み立て式トレイ。
【請求項4】
前記ブランクシートの状態において、前記第一側壁部及び前記第二側壁部のそれぞれの内側の辺の、前記第二方向に係る中央部が前記底板の中心に向かう凸形状を示す曲線であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組み立て式トレイ。
【請求項5】
前記第一側壁部、前記第二側壁部、前記第三側壁部及び前記第四側壁部が、それぞれの前記底板との境界で前記底板に向かって折り込まれることで、前記第一側壁部、前記第二側壁部、前記第三側壁部及び前記第四側壁部が前記底板を取り囲むように立設されており、
前記第一側壁部は、立設した状態において、前記第二方向に係る中央部が前記第二方向に係る端部よりも前記第一方向に関して前記第二側壁部に近づくように、前記底板との境界に沿って屈曲又は湾曲し、
前記第二側壁部は、立設した状態において、前記第二方向に係る中央部が前記第二方向に係る端部よりも前記第一方向に関して前記第一側壁部に近づくように、前記底板との境界に沿って屈曲又は湾曲していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の組み立て式トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電製品の流通の際に用いられる梱包に用いる組み立て式トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品は流通する数が多い一方、大型のものがあり、工場、倉庫内ではダクトコンベアに載せて運ばれ、配達の際はトラック等で運ばれる。このような製品は、適宜、機械で移動させるため、製品そのものはもちろん、梱包箱にもなるべくダメージが生じないような設計が望まれる。
【0003】
下記特許文献1には、段ボール製のトレイについて、側壁の組み立て時に底板に向かう方向の折り込みがロック機構となるような組み立て構造によって、対面するトレイの側壁が変形しにくくなるような組み立て構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、冷蔵庫や洗濯機等の比較的大型の家電製品を運搬する際、運搬対象品である製品を浅いトレイの上に載せた上で、上方からカバーを被せることで梱包する場合がある。
図12は、このような従来行われている梱包方法を模式的に示す側面図である。この方法によれば、トレイが浅いので、例えば洗濯機等の大型の家電製品を配達した後に当該製品を当該トレイから取り除きやすい。
【0006】
従来の梱包方法の場合、
図12に示すように、上部が開口する矩形の浅型のトレイ(以下、「下部トレイ91」と称する。)の上に、製品の形状に合わせた発泡スチロール等の緩衝部材とともに製品90が配置される。そして、製品90の上方から製品90を覆う十分な高さのある上部カバー92が被せられることで、製品90が梱包される。
【0007】
流通過程において梱包材の一部として使用される下部トレイ91は、厚紙や段ボールなどを組み立てて、作製されるのが一般的である。つまり、製品90を梱包するに際し、シート状の厚紙や段ボールから組み立てられた下部トレイ91が準備され、この下部トレイ91の内底面に緩衝部材とともに製品90が載せられた後、上述したように上部カバー92が被せられる。
【0008】
しかしながら、下部トレイ91を組み立てた際に下部トレイ91の側壁が外側に開いたり、下部トレイ91を組み立てた後に上方から製品90を載せると、製品90の自重により、下部トレイ91の側壁が外側に開きやすい。すると、上方から上部カバー92を被せる際に、下部トレイ91の側壁に規制されてしまう。
図13は、下部トレイの側壁が外側に開くように変形した際に、上部カバー92を規制することを模式的に示す側面図である。この場合、下部トレイ91の側壁91aの位置を修正する作業が必要になる。このような修正作業は、製品90を梱包する作業の都度必要になるおそれすらある。
【0009】
家電製品の梱包作業において、このような修正作業が発生することは、家電製品の流通数に対応するうえで非効率である。一方で、外側に開きにくい下部トレイであれば、このような修正作業を必要とせず、家電製品を効率的に梱包できる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み、製品の梱包及び運搬時に側壁が外側に開きにくい組み立て式トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る組み立て式トレイは、
平面状のブランクシートから形成される組み立て式トレイであって、
前記ブランクシートは、
底板と、
前記底板を第一方向に挟んで連接された、第一側壁部及び第二側壁部と、
前記底板を前記第一方向に直交する第二方向に挟んで連接された、第三側壁部及び第四側壁部とを含み、
前記ブランクシートの状態において、
前記第一側壁部及び前記第二側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る中央部と、前記底板の中心を通る前記第二方向に関する中心線との距離が、
前記第一側壁部及び前記第二側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る端部と、前記底板の中心を通る前記第二方向に関する前記中心線との距離よりも短いことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第一側壁部及び第二側壁部を立設して組み立てた際、第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの第二方向に係る中央部が互いに近づくように組み立て式トレイの内側に向かって屈曲又は湾曲する。この結果、第一側壁部及び第二側壁部は外側に開きにくくなる。
【0013】
ブランクシートの状態で上記の構成とすることで、組み立て後の第一側壁部及び第二側壁部の屈曲又は湾曲が、組み立て前のブランクシートの状態で予定されているといえる。つまり、組み立て作業の巧拙に関わらない。
【0014】
なお、前記ブランクシートの状態において、前記第三側壁部及び前記第四側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第一方向に係る中央部と、前記底板の中心を通る前記第一方向に関する中心線との距離が、
前記第三側壁部及び前記第四側壁部の、前記底板との境界に対応するそれぞれの内側の辺の前記第一方向に係る端部と、前記底板の中心を通る前記第一方向に関する前記中心線との距離よりも短いものとしても構わない。
【0015】
前記ブランクシートの状態において、前記第一側壁部及び前記第二側壁部のそれぞれの内側の辺の、前記第二方向に係る中央部が前記底板の中心に向かう凸形状を示す曲線であってもよい。
【0016】
例えば、第一側壁部の内側の辺の第二方向に係る中央部と、底板の中心を通る第二方向に関する中心線との距離を、第一側壁部の内側の辺の第二方向に係る端部と、底板の中心を通る第二方向に関する中心線との距離よりも、当該中央部に向かって逓減させることで、当該第一側壁部の屈曲又は湾曲した辺を曲線とすることができる。
【0017】
前記組み立て式トレイの組み立て後の、組み立て式トレイは、
前記第一側壁部、前記第二側壁部、前記第三側壁部及び前記第四側壁部が、それぞれの前記底板との境界で前記底板に向かって折り込まれることで、前記第一側壁部、前記第二側壁部、前記第三側壁部及び前記第四側壁部が前記底板を取り囲むように立設されており、
前記第一側壁部は、立設した状態において、前記第二方向に係る中央部が前記第二方向に係る端部よりも前記第一方向に関して前記第二側壁部に近づくように屈曲又は湾曲し、
前記第二側壁部は、立設した状態において、前記第二方向に係る中央部が前記第二方向に係る端部よりも前記第一方向に関して前記第一側壁部に近づくように屈曲又は湾曲していることを特徴とすることができる。
【0018】
また、前記組み立て式トレイは、
前記ブランクシートの状態において、前記第三側壁部の前記第一方向に係る両端に連接された第一折込片及び第二折込片と、前記第四側壁部の前記第一方向に係る両端に連接された第三折込片及び第四折込片とを更に備え、
前記第一折込片及び前記第二折込片は、それぞれ前記第三側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第三側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る端点を通り前記第一方向に仮想的に延びる直線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置され、
前記第三折込片及び前記第四折込片は、それぞれ前記第四側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第四側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る端点を通り前記第一方向に仮想的に延びる直線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置され、
前記第一折込片は、前記第三側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第一側壁部の内側の面に接触し、
前記第二折込片は、前記第三側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第二側壁部の内側の面に接触し、
前記第三折込片は、前記第四側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第一側壁部の内側の面に接触し、
前記第四折込片は、前記第四側壁部との境界で折り込まれることで、立設した状態の前記第二側壁部の内側の面に接触することを特徴とすることができる。
【0019】
また、前記組み立て式トレイは、
前記第三側壁部と前記底板の境界及び、前記第四側壁部と前記底板の境界がそれぞれ直線状であり、
前記第一折込片及び前記第二折込片は、それぞれ前記第三側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第三側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る延長線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置され、
前記第三折込片及び前記第四折込片は、それぞれ前記第四側壁部との境界から前記第一方向に関して遠ざかるほど、前記第四側壁部と前記底板との境界の前記第一方向に係る延長線から前記第二方向に関して離間するように傾斜して配置されていることを特徴とすることができる。
【0020】
組み立て式トレイを組み立てる際、これらの折込片(第一折込片,第二折込片,第三折込片,及び第四折込片)は、当該折込片が連接された側壁部を立設した後、隣接する側壁部に当該折込片を接触させて固定される。第三側壁部及び第四側壁部が、上記のような折込片を備えることで、それぞれの折込片は、前記離間距離の分、底板に近接させて折ることができる。これにより、当該折込片が設けられた第三側壁部あるいは第四側壁部はより内側、すなわち底板の中心に向かって引っ張られた状態で固定されることになり、第三側壁部及び第四側壁部は外側に開きにくくなる。
【0021】
この折込片は、組み立て時に接触する側壁部に対して、ステープラー等で固定してもよいし、組み立て時に接触する第一側壁部及び第二側壁部に固定用の補助機構を設けておき、組み立てて固定してもよい。
【0022】
上記に述べた構造は段ボール製のトレイでも、適用できる。
【0023】
これらのトレイを段ボールで作製する場合には、
前記第一方向は、段ボールの段目が伸びる方向に平行な方向であり、
前記第二方向は、段ボールの段目が伸びる方向に直交する方向であることが好ましい。
【0024】
段ボールの特性として、段ボールの段目が伸びる縦目方向は折り曲げに対する反発力、すなわち、外側に開こうとする力が、横目方向に比べて強い。この縦目方向に対して、直交するように、前記第一側壁部及び前記第二側壁部を設けると、すなわち、前記第一方向を段ボールの段目方向に平行な方向とすると、段ボールの反発力を軽減し、トレイの側壁が外側に開くことを防止できる。
【0025】
前述の、第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る中央部と底板の中心を通る第二方向に係る中心線との距離を、第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの内側の辺の前記第二方向に係る端部と底板の第二方向に係る中心線との距離よりも短くする構成を、段ボールの横目方向と平行に採用しようとすると、前記構成による屈曲又は湾曲が、段ボールの段目と干渉することになり、予定の形状とできない場合がある。よって、段ボールの段目が伸びる縦目方向の側壁に対して、前記構成によって、側壁部が外側に開くことを防止し、横目方向の側壁部に対しては、前記折込片を備えることによって、側壁部が外側に開くことを防止することが好適である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、家電製品等の梱包時に側壁が外側に開くように変形しにくい、組み立て式トレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る組み立て式トレイの一実施形態の組み立て後の状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に係る組み立て式トレイのブランクシートを示す図である。
【
図3】
図2に係るブランクシートの第一折込片の近傍を示す拡大図である。
【
図4】
図2に係る底板と第一側壁部の連接部分の関係を示す拡大図である。
【
図5】
図2に係る底板と第二側壁部の連接部分の関係を示す拡大図である。
【
図6】
図2に係る第三側壁部と第一折込片の連接部分の関係を示す拡大図である。
【
図7】
図2に係るブランクシートの第一側壁部及び第三側壁部の組み立てにおいて、第三側壁部を垂直に立設し、第一折込片を内側に折った段階の図である。
【
図8】
図7に係る第一折込片を底板に近接させて折った段階の図である。
【
図9】
図8に係る第三側壁部を立設した後、第一側壁部を立設した段階の、模式図である。
【
図10】
図9に係る第一折込片を第一側壁部が備える差込片によって固定した段階の模式図である。
【
図11A】組み立て後の組み立て式トレイに緩衝部材を配置した状態を示す斜視図である。
【
図11C】
図11Bに係る緩衝部材を配置した組み立て式トレイを複数積み重ねた状態を水平方向から見た模式図である。
【
図12】従来行われている梱包方法を模式的に示す側面図である。
【
図13】下部トレイの側壁が外側に開くように変形した際に、上部カバーを規制することを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る組み立て式トレイの実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の図面は模式的に示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しない。また、図面間においても寸法比が一致していない場合がある。
【0029】
図1は、本発明に係る組み立て式トレイの一実施形態の組み立て後の状態を示す斜視図であり、
図2は、
図1の組み立て式トレイ1の組み立て前の状態を示す平面図である。
図2に示すような、組み立て式トレイの組み立て前の平面状態は、一般的に「ブランクシート」と呼ばれる。
【0030】
図1に示す組み立て式トレイ1は、底板10及び、底板10の外周に立設される第一側壁部11、第二側壁部12、第三側壁部13、及び第四側壁部14を備える。
図1では、第一側壁部11と第二側壁部12とが対向する方向をX方向とし、第三側壁部13と第四側壁部14とが対向する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする、X-Y-Z座標系が併記されている。つまり、Z方向とは、組み立て式トレイ1を組み立てた状態において、底板10の主面に直交する方向であり、典型的には鉛直方向である。なお、
図2以下の各図においても、同様にX-Y-Z座標系が示されている。
【0031】
なお、以下の説明では、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0032】
本明細書において、X方向が「第一方向」に対応し、Y方向が「第二方向」に対応する。
【0033】
本実施形態の組み立て式トレイ1は、図示しない製品を梱包する際に利用されるものである。つまり、組み立て式トレイ1の底板10は、通常、緩衝部材が配置され、当該緩衝部材を介して製品の底部に接触した状態で利用され、その後、上方(+Z側)から梱包用のカバーが製品に掛けられる。
【0034】
図1に示す組み立て式トレイ1は、
図2に示すブランクシート2から組み立てられる。本実施形態では、このブランクシート2は段ボール製である。
【0035】
[全体構成]
まず、
図1~
図3を参照して、組み立て式トレイ1及びブランクシート2の全体的な構成について説明する。その後、後述する側壁部及び折込片について詳細に説明する。
【0036】
図2に示すように、このブランクシート2は、ほぼ矩形状を呈した底板10と、矩形の底板10を挟んで、X方向に連接された第一側壁部11及び第二側壁部12と、Y方向に連接された第三側壁部13及び第四側壁部14とを有している。より詳細には、第一側壁部11が底板10よりも+X側に連接し、第二側壁部12が底板10よりも-X側に連接することで、第一側壁部11と第二側壁部12とがX方向に関して底板10を挟み込むように配置されている。同様に、第三側壁部13が底板10よりも+Y側に連接し、第四側壁部14が底板10よりも-Y側に連接することで、第三側壁部13と第四側壁部14とがY方向に関して底板10を挟み込むように配置されている。
【0037】
また、第三側壁部13は、+X側の端部に連接された第一折込片21と、-X側の端部に連接された第二折込片22とを備える。同様に、第四側壁部14は、+X側の端部に連接された第三折込片23と、-X側の端部に連接された第四折込片24を備える。
【0038】
さらに、ブランクシート2は、組み立ての際に、それぞれの側壁部(第一側壁部11,第二側壁部12,第三側壁部13,第四側壁部14)を立設した状態で固定するための、固定用補助機構を備える。詳細には、本実施形態のブランクシート2は、この固定用補助機構として、係止突起31、差込片32、係止穴33、及び差込穴34を備える(
図3参照)。
図3は、
図2からブランクシート2の第一折込片21の近傍を拡大した図面である。
【0039】
係止突起31は、それぞれの折込片(第一折込片21,第二折込片22,第三折込片23,第四折込片24)に、Y方向に関して、ブランクシート2の外側方向に凸形状を示すように、設けられている。
【0040】
差込片32は、第一側壁部11及び第二側壁部12のY方向に係る両側の端部領域に対応してそれぞれ設けられる。差込片32の幅について、差込片32はX方向に関して、それぞれの側壁部(第一側壁部11,第二側壁部12)と同程度の幅を有し、Y方向に関しては、第一側壁部11及び第二側壁部12のY方向に係る端部領域と同程度の幅を有する。差込片32が連接された方向は、第一側壁部11では+X側、第二側壁部12では-X側である。また、それぞれの差込片32は、X方向に関して、ブランクシート2の外側方向に凸形状を示す差込部35を有する。
【0041】
係止穴33は、差込片32と第一側壁部11又は第二側壁部12とのそれぞれの連接部に設けられている。当該係止穴33のY方向に関する幅は、係止突起31が有する凸形状のX方向に関する幅と同等乃至わずかに大きい程度であり、係止突起31が係止穴33に嵌合して固定できる程度の大きさである。つまり、ここでいう「わずかに大きい」とは、両者の寸法差が1mm~5mm程度の範囲内をいう。以下においても同様である。
【0042】
差込穴34は、底板10と第一側壁部11又は第二側壁部12のY方向に係る両側の端部領域との連接部にそれぞれ設けられている。当該差込穴34のY方向に関する幅は、差込部35の凸形状のY方向に関する幅と同等乃至わずかに大きい程度であり、差込部35が差込穴34に嵌合して固定できる程度の大きさである。
【0043】
また、底板10は、中心付近に略45度に傾いた矩形の開孔部40を二つ有する。さらに、第一側壁部11及び第二側壁部12は、Y方向に係る端部領域の近傍に、矩形の切抜部41を有する。加えて、差込片32は矩形の切抜部42を有し、折込片(第一折込片21,第二折込片22,第三折込片23,第四折込片24)は矩形の切抜部43を有する。これらの切抜部(41,42,43)は、組み立て式トレイの組み立て後に重なり、開孔部44を形成する。
【0044】
[側壁部]
まず、それぞれの側壁部について説明する。
図2に示すブランクシート2の状態から、第一側壁部11が底板10との境界61において底板10に向かって折り込まれ、第二側壁部12が底板10との境界62において底板10に向かって折り込まれ、第三側壁部13が底板10との境界63において底板10に向かって折り込まれ、第四側壁部14が底板10との境界64において底板10に向かって折り込まれる。これにより、
図1に示すように、第一側壁部11、第二側壁部12、第三側壁部13、及び第四側壁部14が、+Z方向に立ち上げられ底板10の外周に立設される。
【0045】
ところで、段ボールは、一対の面に波型が挟まれたトラス構造が採用されている。この波の筋の方向を「紙巾方向」や「段目方向」と呼び、波を横切る方向を「流れ方向」と呼ぶことがある。段ボールは、段目方向、すなわち段目が伸びる方向に折り曲げにくい反面、段目が伸びる方向に直交する方向(流れ方向)に折り曲げやすい性質を有している。
【0046】
本実施形態のブランクシート2は、X方向に沿って段目70が形成されている。つまり、ブランクシート2の状態から組み立てられる際には、第一側壁部11及び第二側壁部12は、それぞれ底板10との境界61及び境界62において、段目70が伸びる方向に折り込まれることとなる。
図2では、段目70の向きが模擬的に図示されている。
【0047】
図2に示すように、本実施形態のブランクシート2は、第一側壁部11と底板10との境界61、及び第二側壁部12と底板10との境界62が、それぞれ底板10に向かって凸形状を示している。この点について、
図4を参照して更に説明する。
【0048】
図4は、
図2における、底板10と第一側壁部11とが連接される箇所を拡大した図面である。
図4に示すように、底板10の中心80を通るY方向に平行な中心線81を想定すると、第一側壁部11の内側の辺、すなわち第一側壁部11と底板10との境界61に関して、同境界61のY方向に係る中央部領域61aと中心線81との距離d1が、同境界61のY方向に係る端部領域61bと中心線81の距離d2よりも短くなっている。つまり、第一側壁部11の内側の辺では、中央部領域61aが端部領域61bよりも、底板10の中心線81に近い側、すなわち-X側に位置している。また、境界61が底板10に向かって凸形状を示す部分のY方向に係る長さがL1として示されている。
【0049】
図5は、
図4にならって、底板10と第二側壁部12とが連接される箇所を拡大した図面である。
図5に示すように、第二側壁部12の内側の辺、すなわち第二側壁部12と底板10との境界62に関しても、同境界62のY方向に係る中央部領域62aと中心線81との距離d3が、同境界62のY方向に係る端部領域62bと中心線81の距離d4よりも短くなっている。つまり、第二側壁部12の内側の辺では、中央部領域62aが端部領域62bよりも、底板10の中心線81に近い側、すなわち+X側に位置している。また、境界62が底板10に向かって凸形状を示す部分のY方向に係る長さがL2として示されている。
【0050】
図4及び
図5を参照して述べたように、ブランクシート2の状態で、底板10と第一側壁部11の連接部の中央部領域61aを端部領域61bよりも底板10の中心線81に近接した形状とすることで、
図1に示すように、組み立て後の組み立て式トレイ1の状態において、第一側壁部11が、対面する第二側壁部12に向かって屈曲又は湾曲するように立設される。同様に、ブランクシート2の状態で、底板10と第二側壁部12の連接部の中央部領域62aを端部領域62bよりも底板10の中心線81に近接した形状とすることで、
図1に示すように、組み立て後の組み立て式トレイ1の状態において、第二側壁部12が、対面する第一側壁部11に向かって屈曲又は湾曲するように立設される。
【0051】
つまり、組み立てられた状態の組み立て式トレイ1の、第一側壁部11及び第二側壁部12は、外側、すなわち底板10から離れる方向に開きにくくなる。上述したように、第一側壁部11及び第二側壁部12は、組み立ての際に、段目が伸びる方向に折り込まれる構成であるため、反発する作用が大きい。よって、折り込んだ状態において、外側に開きやすい性質を示すが、上記のように、いずれの側壁部(第一側壁部11,第二側壁部12)も、他方の側壁部に向かって中央部領域が屈曲又は湾曲するように立設されることで、外側に開くことが抑制される。
【0052】
また、第一側壁部11及び第二側壁部12が底板10の中心に向かう凸形状、すなわち境界61及び境界62における底板10の中心に向かう凸形状部分の、Y方向に係る長さ(L1,L2)は、底板10のY方向に係る一辺の長さの1/2以上として設けるのが好ましい。すなわち、底板10のY方向に係る一辺の長さの半分以上の領域において、他方の側壁部に向かって屈曲又は湾曲するように立設する側壁部が形成されることで、段ボールが外側に開きやすい性質を効果的に抑え込むことができる。
【0053】
さらに、境界61及び境界62における底板10の中心に向かう凸形状部分のY方向に係る中央部分と、第一側壁部11又は第二側壁部12のY方向に係る中央部分とがほぼ一致することが好ましい。すなわち、最も外方向に開きやすい側壁部(11,12)のY方向に係る中央部分に、当該凸形状の中央部分が位置することになり、外方向への広がりを効果的に抑制することができる。なお、ここでいう「ほぼ一致」とは完全に一致する場合はもちろんのこと、両者の位置のずれが1cm以内である場合を含む。
【0054】
よって、上記組み立て式トレイ1に製品を載せた後、製品の上方から上部カバーをかぶせる場合に、上部カバーがトレイの側壁(第一側壁部11,第二側壁部12)によって規制される蓋然性が低くなる。つまり、製品の梱包作業時に、従来のような下部トレイ91の位置修正作業が不要となる。
【0055】
なお、本実施形態では、第一側壁部11及び第二側壁部12において、端部領域(61b,62b)は、第一側壁部11及び第二側壁部12のY方向に係る端点から一定範囲直線状であるが、当該端点から中心線81に近接した形状を開始しても構わない。
【0056】
また、本実施形態では、ブランクシート2の状態で、底板10と第一側壁部11の連接部の中央部領域61aが端部領域61bよりも底板10の中心線81に近接した形状は曲線である。
図4に示すように、第一側壁部11の内側の辺のY方向に係る端部領域61bと中心線81のX方向の距離d2よりも、当該内側の辺のY方向に係る中央部領域61aと中心線81とのX方向の距離d1を、当該中央部領域61aに向かって逓減させることで、当該第一側壁部11の屈曲又は湾曲した辺を曲線とすることができる。
【0057】
かかる曲線に関し、曲率半径では1000mm~5000mmの範囲が好ましく、中でも2500~3500mmの範囲が好ましい。具体的な数値でいうと、組み立て式トレイ1の一辺(
図1におけるX方向及びY方向)の長さがそれぞれ660mmである場合、曲線(円弧と仮定)の曲率半径は3000mm、曲線のY方向の長さとしては455mmである。無論、曲線に関しては円弧に限定されず、緩やかな曲線状として設けられていればよく、曲線部分の全体を連続的に同一の曲率としたり、変曲点を設けないようにしたりする点は必須ではない。
【0058】
同様に、
図5に示すように、第二側壁部12の内側の辺のY方向に係る端部領域62bと中心線81のX方向の距離d4よりも、当該内側の辺のY方向に係る中央部領域62aと中心線81とのX方向の距離d3を、当該中央部領域62aに向かって逓減させることで、当該第二側壁部12の屈曲又は湾曲した辺を曲線とすることができる。
【0059】
[折込片]
次に、第三側壁部13及び第四側壁部14が備えるそれぞれの折込片について説明する。
【0060】
第三側壁部13が備える折込片(第一折込片21,第二折込片22)及び、第四側壁部14が備える折込片(第三折込片23,第四折込片24)について、代表して第一折込片21の近傍を参照しながら説明する。
図6は
図2のブランクシート2の第三側壁部13と第一折込片21の連接部分の関係を示す拡大図である。
【0061】
第一折込片21は、第三側壁部13の立設後、第一折込片21と第三側壁部13との境界71で折り込まれることで、立設した状態の第一側壁部11の内側の面に接触する。
【0062】
図6に示すように、第三側壁部13と底板10との境界63のX方向に係る端点75を通りX方向に延長した仮想直線82を想定する。そして、第一折込片21と、この仮想直線82との離間距離をDとする。第一折込片21は、第三側壁部13との境界71からX方向に関して遠ざかるほど、離間距離Dが拡大するように傾斜して配置される。
【0063】
なお、本実施形態では、第三側壁部13と底板10との境界63は直線状である。よって、上述した仮想直線82と、第三側壁部13と底板10との境界63の延長線は一致する。したがって、第一折込片21は、X方向に関して第三側壁部13との境界71から遠ざかるほど、第三側壁部13と底板10との境界63の延長線上から、Y方向に関して、離間距離Dが拡大するように傾斜して配置される。
【0064】
拡大図は省略するが、第一折込片21と同様に、第二折込片22は、第三側壁部13との境界72からX方向に関して遠ざかるほど、第三側壁部13と底板10の境界63の延長線上から、Y方向に関して離間するように傾斜して配置される。また同様に、第三折込片23は、第四側壁部14との境界73からX方向に関して遠ざかるほど、第四側壁部14と底板10の境界64の延長線上から、Y方向に関して離間するように傾斜して配置される。さらに同様に、第四折込片24は、第四側壁部14との境界74からX方向に関して遠ざかるほど、第四側壁部14と底板10の境界64の延長線上から、Y方向に関して離間するように傾斜して配置される。
【0065】
図7は第三側壁部13を垂直に立設して、第一折込片21を内側に折った状態を、X方向から見た図である。上述したように、第一折込片21が、X方向に関して第三側壁部13との境界71から遠ざかるほど、第三側壁部13と底板10との境界63の延長線上から、Y方向に関して、離間距離Dが拡大するように傾斜して配置されている。これにより、
図7に示すように、第三側壁部13を底板10に対して垂直に立設した後、さらに、
図8に示すように、当該離間距離Dの分、-Y方向に、第一折込片21を底板10に近接させて折ることができる。なお、
図8は、
図7に係る状態から第一折込片21を底板に近接させて折った状態を、X方向から見た図である。この状態で、第一折込片21は、後に立設される第一側壁部11の内側に接触し、固定される。第一折込片21がより内側(
図4における底板10の中心80に向かう方向、ここでは-Y方向)に引っ張られた状態で固定されることで、第三側壁部13は外側(+Y方向)に開きにくくなる。
【0066】
第二折込片22についても、第一折込片21に対して上述した議論と同様の議論が可能である。すなわち、第三側壁部13は、第一折込片21及び第二折込片22がそれぞれ外側に(+Y方向に)傾斜して配置されていることで、組立時に-Y方向に引っ張られやすくなる。この結果、第三側壁部13は外側(+Y方向)に開きにくくなる。
【0067】
第四側壁部14についても、第三側壁部13と同様の議論が可能である。すなわち、第四側壁部14は、第三折込片23及び第四折込片24がそれぞれ外側に(-Y方向に)傾斜して配置されていることで、組立時に+Y方向に引っ張られやすくなる。この結果、第四側壁部14は外側(-Y方向)に開きにくくなる。
【0068】
すなわち、第一折込片21及び第二折込片22が、離間距離Dの分、底板10に近接して折りこまれることによって、第三側壁部13が底板10に向かって傾斜する。また、第三折込片23及び第四折込片24が、離間距離Dの分、底板10に近接して折り込まれることによって、第四側壁部14が底板10に向かって傾斜する。この状態で、第一折込片21、第二折込片22、第三折込片23及び第四折込片24が、それぞれ接触する側壁部の内側の面に固定されることで、第三側壁部13及び第四側壁部14は外側に開きにくくなる。
【0069】
[固定用補助機構]
続いて、このブランクシート2の組み立ての際に利用される固定用補助機構について、第一側壁部11及び第三側壁部13を代表的に参照して説明する。上述したように、本実施形態のブランクシート2は、固定用補助機構として、係止突起31、差込片32、係止穴33、及び差込穴34を備えている。なお、
図2では、ブランクシート2の4箇所にそれぞれ、係止突起31、差込片32、係止穴33、及び差込穴34が設けられており、これらに対して共通の符号が付されている。以下の説明の際には、第一側壁部11の第三側壁部13側、及び第三側壁部13の第一側壁部11側に設けられている、係止突起31、差込片32、係止穴33、及び差込穴34が、代表的に取り上げられる。
【0070】
図9は、第一側壁部11及び第三側壁部13を組み立てる際の様子を模式的に示す図面である。より詳細には、
図9は、
図8に示すように第三側壁部13を立設した後、第一側壁部11を立設した段階における図に対応する。
図9に示すように第一側壁部11が立設された後、
図10に示すように第一側壁部11に設けられた差込片32が折り込まれる。
図10は、
図9の状態の後の組み立ての様子を、
図9にならって模式的に示した図面である。
【0071】
差込片32は、第一側壁部11の内側の面と差込片32で第一折込片21を挟むように折り込まれる。同時に、第一折込片21に設けられた係止突起31が、差込片32と第一側壁部11の連接部分に設けられた係止穴33に差し込まれる。加えて、差込片32が有する差込部35を、底板10と第一側壁部11との連接部分に設けられた差込穴34に差込むことで、第一折込片21が固定される。
【0072】
第一側壁部11以外の側壁部についても、
図9及び
図10を参照して上述した方法と同様に立設される。これにより、ブランクシート2から組み立て式トレイ1に組み立てることができる。
【0073】
また、
図9及び
図10を参照して上述した方法により組み立てる際、第一側壁部11及び第二側壁部12が有する矩形の切抜部41、差込片32が有する切抜部42、折込片(21~24)が有する切抜部43は重なり合う(
図2、
図3も参照)。これらの切抜部(41,42,43)が重なって形成される開孔部44(
図1参照)は、外側から組み立て式トレイ1の内側を視認するための窓として利用できる。例えば、組み立て式トレイ1の組み立て後に、家電製品の梱包に際して配置される、発泡スチロール等の緩衝部材の位置決めに用いられる。
【0074】
また、本実施形態に係る底板10が有する開孔部40について説明する。家電製品の梱包に際しては、梱包作業の都度、上記のような組み立て式トレイが組み立てられるのではなく、あらかじめ組み立てておいた下部トレイに、発泡スチロール等の緩衝部材が配置された状態で、準備されるのが一般的である。
図11Aは、組み立て後の組み立て式トレイ1に緩衝部材93を配置した状態を示す斜視図である。なお、図面の簡略化のため、一部省略して示した部分がある。
【0075】
緩衝部材93を配置すると、緩衝部材93の形状によっては、
図11Bに示すように、緩衝部材が組み立て式トレイ1の上面から突き出た形となる。
図11Bは緩衝部材93を配置した状態を水平方向から見た模式図である。
図11Bに示すように緩衝部材93は突出部93aを有し、緩衝部材93が組み立て式トレイ1に配置されると、この突出部93aが組み立て式トレイ1の上側開口面(底板10に対向する開口面)から鉛直上方に突出した態様となる。開孔部40は、組み立て式トレイ1の上側開口面から突き出る突出部93aの位置及び形状に対応して設けられる。例えば、緩衝部材93を中空の形状としておくことにより、
図11Cに示すように、当該緩衝部材93を配置した組み立て式トレイ1を複数積み重ねて保存でき、梱包作業に際して効率が良い。
図11Cは緩衝部材93を配置した組み立て式トレイ1を複数積み重ねた状態を水平方向から見た模式図である。この場合、組み立て式トレイ1に設けられた開孔部40には、その直下の組み立て式トレイ1に配置された緩衝部材93の突出部93aが嵌合される。
【0076】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0077】
〈1〉上記実施形態において、ブランクシート2が備える各折込片(21,22,23,24)は、それぞれ底板10から離れる方向に傾斜して配置されているものとして説明した。これらの折込片(21,22,23,24)は、組み立て式トレイ1においてY方向への広がりを抑制する目的で設けられている。
【0078】
しかし、上述したように、ブランクシート2が段ボール製である場合、段目70が伸びる方向(段目方向)に折り込まれると、この方向に関して反発力が大きくなりやすい。一方で、段目方向に直交する方向については、段目方向と比較すると反発力は小さい。上述したように、各折込片(21,22,23,24)は、段目方向に直交する方向(Y方向)に関する広がりを規制する目的で、傾斜配置されている。つまり、この方向に関する外側への広がりを抑制する必要性が低い場合には、各折込片(21,22,23,24)は必ずしも傾斜して配置される必要はない。
【0079】
〈2〉ブランクシート2は典型的には段ボール製であるが、本発明は、ブランクシート2が折り込まれることで組み立て式トレイ1として利用可能な材質であれば、段ボール以外の材質からなるブランクシート2に対しても適用可能である。
【0080】
〈3〉組み立て式トレイ1を重ねるために設けられている開孔部40や、位置合わせのために視認用の窓として機能させるべく設けられている開孔部44については、組み立て式トレイ1の必須の要素ではなく、任意の要素である。
【0081】
〈4〉本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 : 組み立て式トレイ
2 : ブランクシート
10 : 底板
11 : 第一側壁部
12 : 第二側壁部
13 : 第三側壁部
14 : 第四側壁部
21 : 第一折込片
22 : 第二折込片
23 : 第三折込片
24 : 第四折込片
31 : 係止突起
32 : 差込片
33 : 係止穴
34 : 差込穴
35 : 差込部
40,44 : 開孔部
41,42,43 : 切抜部
61,62,63,64 : 側壁部と底板との境界
61a,62a : 中央部領域
61b,62b : 端部領域
70 : 段目
71,72,73,74 : 側壁部と折込片との境界
75 :端点
80 : 中心
81 : 中心線
82 : 仮想直線
90 : 製品
91 : 下部トレイ
91a : 側壁
92 : 上部カバー
93 : 緩衝部材
93a : 突出部
D : 離間距離
d1,d2,d3,d4 : 距離
L1,L2 : 長さ
【要約】
【課題】製品の梱包及び運搬時に側壁が外側に開きにくい組み立て式トレイを提供する。
【解決手段】組み立て式トレイのブランクシートは、底板と、底板を第一方向に挟んで連接された、第一側壁部及び第二側壁部と、底板を第一方向に直交する第二方向に挟んで連接された、第三側壁部及び第四側壁部とを含み、ブランクシートの状態において、第一側壁部及び前記第二側壁部のそれぞれの内側の辺の第二方向に係る中央部と、底板の中心を通る第二方向に関する中心線との距離が、第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの内側の辺の第二方向に係る端部と、底板の中心を通る第二方向に関する中心線との距離よりも短い。
【選択図】
図2