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特許7174151ペットフード組成物、炎症状態を治療する方法および循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ペットフード組成物、炎症状態を治療する方法および循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/42 20160101AFI20221109BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20221109BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20221109BHJP
【FI】
A23K50/42
A23K10/30
A23K20/158
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021523840
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2018059001
(87)【国際公開番号】W WO2020091813
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】パニッカー、キラン
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533864(JP,A)
【文献】特表2013-515500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
(a)0.1重量%~3重量%の20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸と、
(b)緑茶、コロハ、およびトゥルシーの混合物を含む植物成分と、を含み、
前記多価不飽和脂肪酸は、アラキドン酸を含み、前記植物成分は、コンパニオンアニマルにおいて炎症を低減させるのに有効な量で含まれ、ここで、重量%は、前記ペットフード組成物の重量に基づく、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記多価不飽和脂肪酸が、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記植物成分が、甘草の根、アンゼリカの根、マリーゴールド、フェンネル、ペパーミントの葉、カモミール、タンポポ、セイボリー、バジル、アルファルファ、パセリ、ヒドラスチス、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上をさらに含む、請求項1または2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記植物成分が、0.20重量%超の緑茶、0.020重量%超のコロハ、および0.0010重量%超のトゥルシーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項5】
前記ペットフード組成物が栄養的に完全なペットフードである、請求項1~のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記ペットフード組成物が、栄養的に完全なキャットフードである、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
前記ペットフード組成物が、炎症性サイトカインの減少をもたらす、請求項1~6のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記炎症性サイトカインが、TNFα、IL 18、およびMCP1から選択される、請求項に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
コンパニオンアニマルの炎症状態を治療する方法であって、請求項1~のいずれかに記載のペットフード組成物を、前記コンパニオンアニマルに投与することを含む、方法。
【請求項10】
ンパニオンアニマルの循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載のペットフード組成物を、前記コンパニオンアニマルに提供することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンパニオンアニマル、特にネコは、膀胱炎、胃炎、関節炎など、炎症が重要な役割を果たす多くの疾患に罹患する。さらに、炎症は重要な役割を果たすが、肥満など、他の疾患および病態への二次的役割も果たす。
【0002】
ヒトおよび他の哺乳類に関する過去の研究によると、アラキドン酸などの特定の長鎖オメガ-6脂肪酸は、炎症促進性の特性を有することが実証されている。アラキドン酸は、炎症反応の間および後にそれぞれ、炎症促進性および抗炎症性エイコサノイドの両方に代謝される。アラキドン酸はまた、成長を促進するために、身体活動の間および後に炎症性および抗炎症性エイコサノイドに代謝される。
【0003】
ヒトおよび他の哺乳類に関する過去の研究でも、特定の植物成分が抗炎症特性を有することが示されている。
【0004】
ネコの水和レベルを改善する方法は、米国特許第9,884,035号に開示されている。ある種の量及び比率のアラキドン酸およびエイコサペンタエン酸を含有する食餌を給餌したネコは十分に水和され、尿路結石、猫特発性膀胱炎、またはFLUTDの進行のリスクが低下する。
【0005】
口内炎を減少または治療するための組成物および方法は、国際特許公開第WO2016/099477号に教示されている。動物の口内炎を減少または治療するための方法であって、一つまたは複数の植物成分を含む主に円盤形状の食品キブルを動物に与えることを含み、口内炎の減少が円盤形状のキブルの摂取後または摂取中の動物で達成される方法が開示されている。その公開はまた、一つまたは複数の植物成分を含む食品キブルを開示し、食品キブルは主に円盤形状であり、動物が食品キブルを摂取した時、動物の口内炎を減少させる。
【0006】
炎症状態の改善または予防のためのショウガを含む組成物は、米国特許公開第2017/0239314号に教示される。コンパニオンアニマルのペットフード組成物は、炎症または炎症性障害が関節炎状態または胃腸障害であるコンパニオンアニマルの炎症または炎症性障害の症状を、予防、改善、または治療するための有効量のショウガを含む。関節炎状態は、変形性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、または局所炎症性関節状態でありうる。胃腸障害には、過敏性腸障害および慢性下痢が含まれることがある。
【0007】
コンパニオンアニマルの炎症の制御および予防、ならびに炎症状態の緩和の方法は、米国特許出願公開第2013/0041020号に教示されている。コンパニオンアニマル、例えば、イヌまたはネコにおける炎症の制御および予防、ならびに炎症状態、特に関節炎および関節痛の緩和の方法は、リポ酸を含む食餌を少なくとも二週間投与することを含み、食餌は、10-10,000ppmのリポ酸有する食品、例えば、50-200ppmのリポ酸を含む乾燥食品を含む。コンパニオンアニマルの食餌は、例えば、少なくとも二週間、リポ酸を含有し、例えば、食餌は、10-10,000ppmのリポ酸を有する食品、例えば、50-200ppmのリポ酸を含む乾燥食品を含み、炎症のバイオマーカーのうちの一つまたは複数の発現を減少させる。
【0008】
炎症の治療に関して、キャットフード組成物を製剤化する技術における多くの進歩がなされてきたが、ネコの固有の代謝のために、ヒトを含む他の哺乳類のものと比較して、さらに多くの課題が残されている。ネコは他の哺乳類と比較して、必須脂肪酸を不飽和化および伸長する能力が低いため、リノール酸をアラキドン酸に変換する能力が非常に限られており、その食餌に不可欠な部分となっている。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、コンパニオンアニマルにおける循環炎症促進性サイトカインを減少させるための食用組成物に関する。本発明は、食用組成物中の植物成分とC20+多価不飽和脂肪酸との組合せの組成物、およびコンパニオンアニマルにおける循環炎症促進性サイトカインを減少させるためのこのような組成物の使用に関する。
【0010】
ペットフードなどの抗炎症性物質の有効性は、炎症をモニタリングすることによって直接測定されうる。あるいは、抗炎症物質の有効性は、コンパニオンアニマルにおいて選択された循環炎症促進性サイトカインの減少によって測定されてもよい。適切な炎症促進性サイトカインには、TNFα、MCP-1、IL 12、およびIL 18が含まれる。
【0011】
ネコに、ペットフード中のアラキドン酸と植物成分の組み合わせを給餌すると、TNFα、MCP-1、およびIL-18の減少によって示されるような非常に有意な抗炎症効果を示した。
【0012】
他の実施形態では、本発明はまた、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸と植物成分とを含み、すべての重量%は、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0013】
20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸の例としては、メチレン中断ポリエン、多価不飽和オメガ-3脂肪酸、多価不飽和オメガ-6脂肪酸、多価不飽和オメガ-9脂肪酸が挙げられる。
【0014】
20個以上の炭素を有するオメガ-3脂肪酸の追加の例としては、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第三の炭素と第四との炭素の間にある限り、鎖のどこにあってもよく、各酸の各二重結合は、シスまたはトランスのいずれかであってもよい。
【0015】
20個以上の炭素を有するオメガ-6脂肪酸の例としては、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサジエン酸、テトラコサトリエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第六の炭素と第七の炭素との間にある限り、鎖のどこにあってもよい。
【0016】
一実施形態では、本発明は、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびその混合物からなる群から選択される約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および植物成分を含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0017】
アラキドン酸は、エイコサテトラエン酸の特異的異性体、すなわち(5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸である。これは、式CH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-COOHを有する多価不飽和オメガ-6脂肪酸であり、すべての二重結合はシスである。
【0018】
植物成分の例としては、甘草の根、アンゼリカの根、コロハ、マリーゴールド、フェンネル、ペパーミントの葉、カモミール、タンポポ、セイボリー、緑茶、トゥルシー、バジル、アルファルファ、パセリ、フェンネル、ヒドラスチス、およびそれらの混合物からなる群に由来する物質が挙げられる。
【0019】
本発明の組成物は、液体または固体食品とすることができる。組成物が固体である場合、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分は、組成物上に被覆されてもよく、または組成物に組み込まれてもよく、またはその両方であってもよい。
【0020】
一実施形態では、本発明は、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および植物成分を含み、植物成分は、緑茶、コロハ、トゥルシー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。一実施形態では、三つの植物成分すべてが、食用組成物中に必然的に存在する。
【0021】
緑茶、コロハ、およびトゥルシーは、コンパニオンアニマルの炎症の治療に有効な任意の量で存在しうる。一実施形態では、緑茶、コロハ、およびトゥルシーの各々は、約0.0010重量%超で組成物中に存在する。一実施形態では、食用組成物は、約0.20重量%を超える緑茶、約0.020重量%を超えるコロハ、および約0.0010重量%を超えるトゥルシーを含む。
【0022】
本発明は、少なくとも二十の態様によって定義される。
【0023】
第一の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0024】
第二の態様では、本発明は、(a)オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、オメガ-9脂肪酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0025】
第三の態様では、本発明は、(a)エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびその混合物からなる群から選択される20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0026】
第四の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素および4個以上の炭素-炭素二重結合を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0027】
第五の態様では、本発明は、(a)エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、アラキドン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される20個以上の炭素および4個以上の炭素-炭素二重結合を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0028】
第六の態様では、本発明は、(a)アラキドン酸を含む20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0029】
第七の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.20重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0030】
第八の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)甘草の根、アンゼリカの根、コロハ、マリーゴールド、フェンネル、ペパーミントの葉、カモミール、タンポポ、セイボリー、緑茶、トゥルシー、バジル、アルファルファ、パセリ、ヒドラスチス、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0031】
第九の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)緑茶、コロハ、トゥルシー、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0032】
第十の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)緑茶、コロハ、およびトゥルシーの混合物を含む植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0033】
第十一の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)緑茶、コロハ、およびトゥルシーの混合物を含む植物成分を含み、緑茶、コロハ、およびトゥルシーのそれぞれが、約0.0010重量%を超えて組成物内に存在し、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0034】
第十二の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)約0.20重量%を超える緑茶、約0.020重量%を超えるコロハ、および約0.0010重量%を超えるトゥルシーを含む、緑茶、コロハ、およびトゥルシーの混合物を含む植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0035】
第十三の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものであり、食用組成物が栄養的に完全なペットフードを含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0036】
第十四の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものであり、食用組成物が栄養的に完全なキャットフードを含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0037】
第十五の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものであり、食用組成物が乾燥組成物である、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0038】
第十六の態様では、本発明は、(a)20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および(b)植物成分を含み、すべての重量%が、乾燥物質ベースの食用組成物に関するものであり、コンパニオンアニマルがネコである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0039】
第十七の態様では、本発明は、エピガロカテキン-3-ガレート、および約0.10重量%を超えるアラキドン酸を含むコンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0040】
第十八の態様では、本発明は、20個以上の炭素を含む有効量の多価不飽和脂肪酸と植物成分とを含む食用組成物をコンパニオンアニマルに提供することを含む、それを必要とするコンパニオンアニマルにおいて循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法に関する。
【0041】
第十九の態様では、本発明は、20個以上の炭素、および4個以上の炭素-炭素二重結合を含む有効量の多価不飽和脂肪酸、ならびに植物成分を含む食用組成物をコンパニオンアニマルに提供することを含む、それを必要とするコンパニオンアニマルにおいて循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法に関する。
【0042】
第二十の態様では、本発明は、20個以上の炭素を含む有効量の多価不飽和脂肪酸と植物成分とを含む食用組成物であって、栄養的に完全なキャットフードを含む食用組成物をコンパニオンアニマルに提供することを含む、それを必要とするコンパニオンアニマルにおいて循環炎症促進性サイトカインを減少させる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
例示を目的として、本発明の原理は、その様々な例示的な実施形態を参照することによって説明される。本発明の特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているが、当業者であれば、同じ原理が同様に適用可能であり、他の装置および方法に採用されうることを容易に認識するであろう。本発明の開示された実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、示される任意の特定の実施形態の詳細にその用途を限定しないことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、説明の目的のためであり、限定の目的のためではない。
【0044】
本発明で使用する場合、および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別様を明確に規定しない限り、複数形を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種を指すだけでなく、それらの化学種の混合物を指し、例えば、単数形における用語「オメガ-6脂肪酸」は、各々がオメガ-6脂肪酸である化合物の混合物を指す場合がある。「植物成分」として定義される成分の単数形は、各々が植物成分として定義されうる成分の混合物であってもよい。用語「a」(または「an」)、「一つまたは複数」、および「少なくとも一つ」は、本明細書では互換的に使用されうる。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」は、互換的に使用されうる。
【0045】
本明細書で使用される略語および記号は、別段の示唆がない限り、通常の意味を有する。略語「wt%」は重量パーセントを意味する。略語「LS(平均)」は、統計的な最小二乗平均である。文字「α」、「β」、「γ」、「ω」、および「Δ」はそれぞれ、ギリシャ文字のアルファ、ベータ、ガンマ、オメガ、およびキャピタルデルタである。化学構造、および名称を指す場合、記号「C」、「H」、および「O」はそれぞれ、炭素、水素、および酸素を意味する。記号「Z」、「E」、「-」、および「=」はそれぞれ、シス、トランス、単結合、および二重結合を意味する。
【0046】
数値を指す場合の用語「約」は、±5%を意味する。例えば、語句「約0.050重量%」は、0.047500重量%と0.052500重量%との間の数を指す。
【0047】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にある各値およびすべての値を示すための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0048】
以下に記載される選択された用語は、複数の品詞として使用することができる。例えば、用語「植物成分」は、名詞または形容詞として使用されうる。
【0049】
用語「混合物」は広く解釈されるべきである。成分のリストを参照する場合、特に別段の示唆がない限り、用語「混合物」は、前述の成分同士の混合物、前述の成分のいずれかと前述されていない他の成分との混合物、および前述のいくつかの成分と前述されていない他の成分との混合物を指す。例えば、語句「多価不飽和脂肪酸は、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、オメガ-9脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される」中の用語「混合物」とは、オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とオメガ-9脂肪酸との混合物、またはオメガ-6脂肪酸とオメガ-9脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とオメガ-9脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-6脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-9脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とオメガ-9脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-6脂肪酸とオメガ-9脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物、またはオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸とオメガ-9脂肪酸とその他の任意の多価不飽和脂肪酸との混合物を指す。これらのそれぞれについて、語句「その他の任意の多価不飽和脂肪酸」は、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、またはオメガ-9脂肪酸以外の一つまたは複数の多価不飽和脂肪酸を意味する。
【0050】
属を例示または定義するために使用される種のリスト内の任意のメンバーは、種のリストの他の任意のメンバーと相互に異なるか、重複するか、サブセットであるか、同等であるか、ほぼ同一であるか、同一である可能性がある。さらに、マーカッシュ群を列挙する場合など、明示的に記載されない限り、属を定義または例示する種のリストは公開されており、列挙する他の種と同様に、またはそれ以上に、属を定義または例示する他の種が存在しうることが示されている。
【0051】
「コンパニオンアニマル」という語句は、家庭内コンパニオンとして、または一人もしくは複数の人間と日々密接に関係することで、身体的、感情的、行動的、および社会的ニーズを容易に満たすことができる、家畜または家庭内で飼育される動物を指す。一実施形態では、コンパニオンアニマルの定義に含まれる種は、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、フェレット、モルモット、および他の小型哺乳類を含む。別の実施形態では、コンパニオンアニマルの定義に含まれる種は、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、フェレット、モルモット、および他の小型哺乳類、鳥類、小型爬虫類、魚類、および家畜動物である。
【0052】
用語「ネコ」の定義は、飼いネコのFelis catusおよびFelis silvestris catusを含む。ネコという用語の定義は、家ネコおよび野良ネコを含む。ネコという用語の定義には、アビシニアン、エーゲ、アメリカンカール、アメリカンボブテイル、アメリカンショートヘア、アメリカンワイヤーヘア、アフロディーテ・ジャイアント、アラビアンマウ、オーストラリアンミスト、エイジアン、エイジアンセミロングヘア、バリニーズ、バンビーノ、ベンガル、バーマン、ボンベイ、ブラジリアンショートヘア、ブリティッシュアンゴラ、ブリティッシュセミロングヘア、ブリティッシュショートヘア、ブリティッシュロングヘア、バーミーズ、バーミラ、カリフォルニア・スパングルド、シャンティリー・ティファニー、シャルトリュー、チャウジー、チートー、カラーポイントショートヘア、カラーポイントペルシャン、コーニッシュレックス、サイムリック、キプロス、デボンレックス、ドンスコイ、ドン・スフィンクス、ドラゴンリー、ドウェルフ、エジプシャンマウ、ヨーロピアンショートヘア、エキゾチックショートヘア、フォールデックス、フォーリンロングヘア、ジャーマンレックス、ハバナブラウン、ハイランダー、ヒマラヤン、ジャパニーズボブテイル、ジャバニーズ、カレリアンボブテイル、カオマニー、コラット、コリアンボブテイル、ゴーンジャ、クリリアンボブテイル、クリルアイランドボブテイル、ラパーム、リーブリング、ロングヘアード・マンクス、リコイ、メインクーン、マンダリン、マンクス、マンクスロングヘア、メコンボブテイル、ミンスキン、マンチカン、ネベロング、ナポレオン、ノルウェージャンフォレスト、オシキャット、オホースアズーレス、オレゴンレックス、オリエンタルバイカラー、オリエンタルショートヘア、オリエンタルロングヘア、ペルシャン、ピーターボールド、ピクシーボブ、ラァス、ラガマフィン、ラグドール、ロシアンブルー、ロシアンブラック、ロシアンタビー、ロシアンホワイト、サム・サウェット(Sam Sawet)、サバンナ、スコティッシュフォールド、セルカークレックス、セレンゲティ、セラードプチ、シャム、サイベリアン、サイベリアンフォレスト、ネヴァ・マスカレード、シンガプーラ、スノーシュー、ソコケ、ソマリ、スフィンクス、スパラック、タイ、タイ・ライラック、トンキニーズ、トイガー、ターキッシュアンゴラ、ターキッシュバン、ユークレイニアンレフコイ、ウィチアン・マート、ウィラー・クルンテープ、およびヨークチョコレートなどの品種が含まれる。
【0053】
「食用組成物」という語句は、コンパニオンアニマルによる消費のための食品、またはネコによる消費のための食品を指す。この語句は広義に解釈されるべきものであり、その語句には、コンパニオンアニマルまたはネコが排他的に消費する食品、コンパニオンアニマルまたはネコが定期的に消費する食品、コンパニオンアニマルまたはネコが時折消費する食品、およびコンパニオンアニマルまたはネコが稀に消費する食品が含まれる。
【0054】
本発明は、コンパニオンアニマルにおける循環炎症促進性サイトカインを減少させるための食用組成物に関する。
【0055】
本発明は、食用組成物中の植物成分とC20+多価不飽和脂肪酸との組合せの組成物、およびコンパニオンアニマルにおける循環炎症促進性サイトカインを減少させるためのこのような組成物の使用に関する。
【0056】
一実施形態では、本発明は、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸と植物成分とを含み、すべての重量%は乾燥物質ベースの食用組成物に関するものである、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0057】
本発明の食用組成物は、20個以上の炭素原子を含有する多価不飽和脂肪酸を含む。
【0058】
多価不飽和脂肪酸は、炭素鎖に二つ以上の炭素-炭素二重結合を含む脂肪酸である。脂肪酸は、長い脂肪族鎖を有するカルボン酸である。多価不飽和脂肪酸は、式CH-[(CH-(CH=CH)-COOHを有し、式中、変数m、n、およびoは、非負整数0、1、2、...である。
【0059】
20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸の例としては、メチレン中断ポリエン、多価不飽和オメガ-3脂肪酸、多価不飽和オメガ-6脂肪酸、および多価不飽和オメガ-9脂肪酸が挙げられる。これらの脂肪酸は、トリアシルグリセリド、ホスファチジルコリン、およびホスファチジルエタノールアミンに含まれうる。
【0060】
20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸の定義は、稀に遭遇するこのような酸を具体的に含む。例えば、最も一般的なオメガ-9脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸であるが、20個以上の炭素を含む多価不飽和オメガ-9脂肪酸は、(5Z,8Z,11Z)-ドコス-5,8,11-トリエン酸、(4Z,7Z,10Z,13Z)-テトラコス-4,7,10,17-テトラエン酸などを含む。
【0061】
本発明の一実施形態では、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸は、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、オメガ-9脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
一つまたは複数のオメガ-3脂肪酸は、コンパニオンアニマルの正常な代謝に重要である。哺乳類はオメガ-3脂肪酸を合成することができないが、食餌を通して短鎖オメガ-3脂肪酸α-リノレン酸を取得し、それを使用してより重要な長鎖オメガ-3脂肪酸エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を形成することができる。α-リノレン酸から長鎖オメガ-3脂肪酸を作る能力は、老化によって損なわれうる。
【0063】
20個以上の炭素を有するオメガ-3脂肪酸の例には、エイコサトリエン酸、ETE、(11Z,14Z,17Z)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、エイコサテトラエン酸、ETA、(8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-8,11,14,17-テトラエン酸、エイコサペンタエン酸、EPA、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、HPA、(6Z,9Z,12Z,15Z18Z)-ヘンエイコサ-6,9,12,15,18-ペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、クルパノドン酸、DPA、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-ドコサ-7,10,13,16,19-ペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、DHA、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、(9Z,12Z,15Z,18Z,21Z)-テトラコサ-9,12,15,18,21-ペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、ニシン酸、(6Z,9Z,12Z,15Z,18Z,21Z)-テトラコサ-6,9,12,15,18,21-ヘキサエン酸、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
20個以上の炭素を有するオメガ-3脂肪酸の追加の例としては、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第三の炭素と第四との炭素の間にある限り、鎖のどこにあってもよい。
【0065】
したがって、例えばオメガ-3脂肪酸エイコサトリエン酸の例としては、エイコサ-2,4,17-トリエン酸、エイコサ-2,5,17-トリエン酸、エイコサ-2,6,17-トリエン酸、エイコサ-2,7,17-トリエン酸、エイコサ-2,8,17-トリエン酸、エイコサ-2,9,17-トリエン酸、エイコサ-2,10,17-トリエン酸、エイコサ-2,11,17-トリエン酸、エイコサ-2,12,17-トリエン酸、エイコサ-2,13,17-トリエン酸、エイコサ-2,14,17-トリエン酸、エイコサ-2,15,17-トリエン酸、エイコサ-3,5,17-トリエン酸、エイコサ-3,6,17-トリエン酸、エイコサ-3,7,17-トリエン酸、エイコサ-3,8,17-トリエン酸、エイコサ-3,9,17-トリエン酸、エイコサ-3,10,17-トリエン酸、エイコサ-3,11,17-トリエン酸、エイコサ-3,12,17-トリエン酸、エイコサ-3,13,17-トリエン酸、エイコサ-3,14,17-トリエン酸、エイコサ-3,15,17-トリエン酸、エイコサ-4,6,17-トリエン酸、エイコサ-4,7,17-トリエン酸、エイコサ-4,8,17-トリエン酸、エイコサ-4,9,17-トリエン酸、エイコサ-4,10,17-トリエン酸、エイコサ-4,11,17-トリエン酸、エイコサ-4,12,17-トリエン酸、エイコサ-4,13,17-トリエン酸、エイコサ-4,14,17-トリエン酸、エイコサ-4,15,17-トリエン酸、エイコサ-5,7,17-トリエン酸、エイコサ-5,8,17-トリエン酸、エイコサ-5,9,17-トリエン酸、エイコサ-5,10,17-トリエン酸、エイコサ-5,11,17-トリエン酸、エイコサ-5,12,17-トリエン酸、エイコサ-5,13,17-トリエン酸、エイコサ-5,14,17-トリエン酸、エイコサ-5,15,17-トリエン酸、エイコサ-6,8,17-トリエン酸、エイコサ-6,9,17-トリエン酸、エイコサ-6,10,17-トリエン酸、エイコサ-6,11,17-トリエン酸、エイコサ-6,12,17-トリエン酸、エイコサ-6,13,17-トリエン酸、エイコサ-6,14,17-トリエン酸、エイコサ-6,15,17-トリエン酸、エイコサ-7,9,17-トリエン酸、エイコサ-7,10,17-トリエン酸、エイコサ-7,11,17-トリエン酸、エイコサ-7,12,17-トリエン酸、エイコサ-7,13,17-トリエン酸、エイコサ-7,14,17-トリエン酸、エイコサ-7,15,17-トリエン酸、エイコサ-8,10,17-トリエン酸、エイコサ-8,11,17-トリエン酸、エイコサ-8,12,17-トリエン酸、エイコサ-8,13,17-トリエン酸、エイコサ-8,14,17-トリエン酸、エイコサ-8,15,17-トリエン酸、エイコサ-9,11,17-トリエン酸、エイコサ-9,12,17-トリエン酸、エイコサ-9,13,17-トリエン酸、エイコサ-9,14,17-トリエン酸、エイコサ-9,15,17-トリエン酸、エイコサ-10,12,17-トリエン酸、エイコサ-10,13,17-トリエン酸、エイコサ-10,14,17-トリエン酸、エイコサ-10,15,17-トリエン酸、エイコサ-11,13,17-トリエン酸、エイコサ-11,14,17-トリエン酸、エイコサ-11,15,17-トリエン酸、エイコサ-12,14,17-トリエン酸、エイコサ-12,15,17-トリエン酸、およびエイコサ-13,15,17-トリエン酸が挙げられる。
【0066】
20個以上の炭素を有するオメガ-3脂肪酸の追加の例としては、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第三の炭素と第四との炭素の間にある限り、鎖のどこにあってもよく、各酸の各二重結合は、シスまたはトランスのいずれかであってもよい。
【0067】
したがって、例えば「エイコサ-11,14,17-トリエン酸」という語句の定義は、(11Z,14Z,17Z)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11E,14Z,17Z)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11Z,14E,17Z)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11Z,14Z,17E)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11E,14E,17Z)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11E,14Z,17E)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11Z,14E,17E)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、(11E,14E,17E)-エイコサ-11,14,17-トリエン酸、および列挙された酸のいずれかを互いに混合した物を含む。
【0068】
オメガ-6脂肪酸は、最終的な炭素-炭素二重結合がn-6位置、すなわちオメガ末端から数えて第六番目の結合にある、多価不飽和脂肪酸である。
【0069】
オメガ-6脂肪酸は、炎症促進効果または抗炎症効果を有しうる。オメガ-6脂肪酸の生物学的効果は、運動中および運動後に成長を促進する目的で、また炎症カスケード中に、身体のすべての組織に存在する多様な受容体のいずれか一つに結合するオメガ-6エイコサノイドに変換されることによって、細胞の損傷を停止し、細胞修復を促進する目的で、主に発揮される。
【0070】
20個以上の炭素を有するオメガ-6脂肪酸の例としては、エイコサジエン酸、(11Z,14Z)-エイコサ-11,14-ジエン酸、ジホモ-ガンマ-リノレン酸、DGLA、(8Z,11Z,14Z)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、アラキドン酸、AA、ARA、(5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸、ドコサジエン酸、(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン酸、アドレン酸、(7Z,10Z,13Z,16Z)-ドコサ-7,10,13,16-テトラエン酸、オズボンド酸、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z)-ドコサ-4,7,10,13,16-ペンタエン酸、テトラコサテトラエン酸、(9Z,12Z,15Z,18Z)-テトラコサ-9,12,15,18-テトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、および(6Z,9Z,12Z,15Z,18Z)-テトラコサ-6,9,12,15,18-ペンタエン酸が挙げられる。
【0071】
20個以上の炭素を有するオメガ-6脂肪酸のさらなる例としては、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサジエン酸、テトラコサトリエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第六の炭素と第七の炭素との間にある限り、鎖のどこにあってもよい。
【0072】
したがって、例えば、オメガ-6脂肪酸エイコサトリエン酸の例には、エイコサ-2,4,14-トリエン酸、エイコサ-2,5,14-トリエン酸、エイコサ-2,6,14-トリエン酸、エイコサ-2,7,14-トリエン酸、エイコサ-2,8,14-トリエン酸、エイコサ-2,9,14-トリエン酸、エイコサ-2,10,14-トリエン酸、エイコサ-2,11,14-トリエン酸、エイコサ-2,12,14-トリエン酸、エイコサ-3,5,14-トリエン酸、エイコサ-3,6,14-トリエン酸、エイコサ-3,7,14-トリエン酸、エイコサ-3,8,14-トリエン酸、エイコサ-3,9,14-トリエン酸、エイコサ-3,10,14-トリエン酸、エイコサ-3,11,14-トリエン酸、エイコサ-3,12,14-トリエン酸、エイコサ-4,6,14-トリエン酸、エイコサ-4,7,14-トリエン酸、エイコサ-4,8,14-トリエン酸、エイコサ-4,9,14-トリエン酸、エイコサ-4,10,14-トリエン酸、エイコサ-4,11,14-トリエン酸、エイコサ-4,12,14-トリエン酸、エイコサ-5,7,14-トリエン酸、エイコサ-5,8,14-トリエン酸、エイコサ-5,9,14-トリエン酸、エイコサ-5,10,14-トリエン酸、エイコサ-5,11,14-トリエン酸、エイコサ-5,12,14-トリエン酸、エイコサ-6,8,14-トリエン酸、エイコサ-6,9,14-トリエン酸、エイコサ-6,10,14-トリエン酸、エイコサ-6,11,14-トリエン酸、エイコサ-6,12,14-トリエン酸、エイコサ-7,9,14-トリエン酸、エイコサ-7,10,14-トリエン酸、エイコサ-7,11,14-トリエン酸、エイコサ-7,12,14-トリエン酸、エイコサ-8,10,14-トリエン酸、エイコサ-8,11,14-トリエン酸、エイコサ-8,12,14-トリエン酸、エイコサ-9,11,14-トリエン酸、エイコサ-9,12,14-トリエン酸、エイコサ-10,12,14-トリエン酸、および列挙された酸のいずれかを互いに混合した物が挙げられる。
【0073】
20個以上の炭素を有するオメガ-6脂肪酸のさらなる例としては、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサジエン酸、テトラコサトリエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびそれらの混合物が挙げられ、各酸の二重結合は、最後の二重結合が脂肪酸のオメガ末端から第六の炭素と第七の炭素との間にある限り、鎖のどこにあってもよく、各酸の各二重結合は、シスまたはトランスのいずれかであってもよい。
【0074】
したがって、例えば「エイコサ-8,11,14-トリエン酸」という語句の定義は、(8Z,11Z,14Z)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8E,11Z,14Z)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8Z,11E,14Z)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8Z,11Z,14E)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8E,11E,14Z)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8E,11Z,14E)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8Z,11E,14E)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、(8E,11E,14E)-エイコサ-8,11,14-トリエン酸、および列挙された酸のいずれかを互いに混合した物を含む。
【0075】
一実施形態では、本発明は、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、およびその混合物からなる群から選択される約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および植物成分を含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0076】
エイコサジエン酸は、二つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数20の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。エイコサジエン酸の例としては、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン酸が挙げられる。
【0077】
エイコサトリエン酸は、三つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数20の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。エイコサトリエン酸の例としては、ジホモ-ガンマ-リノレン酸としても知られる、オメガ-6異性体(8Z,11Z,14Z)エイコサ-8,11,14-トリエン酸が挙げられる。ジホモ-ガンマ-リノレン酸(DGLA)は、別のオメガ-6脂肪酸であるガンマ-リノレン酸(GLA)の伸長生成物である。ガンマ-リノレン酸は、さらに別のオメガ-6脂肪酸であるリノール酸の不飽和化生成物である。ジホモ-ガンマ-リノレン酸は、動物性食品に微量に含まれている。高レベルのアルファ-リノレン酸が存在する場合、GLAからのジホモ-ガンマ-リノレン酸の生成は促進され、アラキドン酸経路を遮断する。
【0078】
ドコサジエン酸は、二つの炭素-炭素二重結合を有する22-炭素脂肪酸である。ドコサジエン酸の例としては、異性体(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン酸が挙げられる。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、20個以上の炭素と4個以上の炭素-炭素二重結合とを含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸と、植物成分とを含むコンパニオンアニマルのための食用組成物に関する。
【0080】
さらに別の実施形態では、本発明は、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサテトラエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、アラキドン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される20個以上の炭素および4個以上の炭素-炭素二重結合を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および植物成分を含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。これらの酸のいずれかは、一つまたは複数の異性体形態を有しうる。例えば、エイコサテトラエン酸は、エイコサテトラエン酸のオメガ-6異性体(例えば、(5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)またはエイコサテトラエン酸のオメガ-3異性体(例えば、(8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-8,11,14,17-テトラエン酸)であってもよい。
【0081】
エイコサテトラエン酸は、4つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数20の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。エイコサテトラエン酸の例としては、オメガ-6脂肪酸異性体(5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸、およびオメガ-3脂肪酸異性体(8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-8,11,14,17-テトラエン酸が挙げられる。エイコサテトラエン酸は、ミドリイガイに含まれており、シクロオキシゲナーゼ経路およびリポキシゲナーゼ経路の両方によるアラキドン酸の酸素化の二重阻害剤として作用するようである。
【0082】
エイコサペンタエン酸は、5つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数20の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。エイコサペンタエン酸の例としては、一般的にティムノドン酸として知られる、オメガ-3脂肪酸異性体(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸が挙げられる。ティムノドン酸は、血小板凝集を阻害するプロスタグランジン-3;トロンボキサン-3;およびロイコトリエン-5エイコサノイドの前駆体として作用する多価不飽和脂肪酸である。ティムノドン酸は、エイコサペンタエノイルエタノールアミドの前駆体であると同時に、加水分解生成物でもある。
【0083】
ヘンエイコサペンタエン酸は、5つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数21の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。ヘンエイコサペンタエン酸の例としては、オメガ-3脂肪酸異性体(6Z,9Z,12Z,15Z,18Z)-ヘンエイコサ-6,9,12,15,18-ペンタエン酸が挙げられる。
【0084】
ドコサテトラエン酸は、四つの二重炭素-炭素結合を有する22炭素脂肪酸である。ドコサテトラエン酸の例としては、一般的にアドレン酸として知られる、オメガ-6異性体(7Z,10Z,13Z,16Z)-ドコサ-7,10,13,16-テトラエン酸が挙げられる。アドレン酸は、アラキドン酸の2-炭素鎖伸長を介して形成される天然由来の多価不飽和脂肪酸である。アドレン酸は、ヒトの発育初期の脳内で最も豊富な脂肪酸の一つである。アドレン酸は、細胞によって代謝されて、ジホモプロスタグランジン、ジホモ-エポキシエイコサトリエン酸(acids)、およびジホモ-エポキシエイコサトリエン酸(acid)などの生物学的に活性な生成物になる不飽和脂肪酸である。
【0085】
ドコサペンタエン酸は、5つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数22の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。エイコサペンタエン酸の例としては、一般的にオズボンド酸として知られる、オメガ-6脂肪酸異性体(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z)-ドコサ-4,7,10,13,16-ペンタエン酸、および一般的にクルパノドン酸として知られる、オメガ-3脂肪酸異性体(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-エイコサ(7,10,13,16,19)ペンタエン酸が挙げられる。オズボンド酸は、アラキドン酸の24炭素多価不飽和脂肪酸中間体への段階的な伸長および不飽和化、ならびに該中間体のオズボンド酸への逆転換によって形成される。クルパノドン酸は、クロパノドン酸が該ドコサヘキサエン酸の前駆体であり、最終生成物がクロパノドン酸に逆変換されうる経路において、オメガ-3異性体エイコサペンタエン酸とオメガ-3ドコサヘキサエン酸との間の中間体である。
【0086】
ドコサヘキサエン酸は、六つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数22の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。ドコサペンタエン酸の例としては、一般的にセルボン酸として知られる(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエン酸が挙げられる。ネコなどの雑食動物および肉食動物は、主にその食餌からセルボン酸を得る。エイコサペンタエン酸およびセルボン酸の一部は、若い哺乳類において、α-リノレン酸代謝の産物である可能性がある。母乳に含まれるセルボン酸は、発育中の若い哺乳類にとって重要である。
【0087】
テトラコサペンタエン酸は、五つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数24の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。テトラコサペンタエン酸の例としては、オメガ-3脂肪酸(9Z,12Z,15Z,18Z,21Z)-ドコサ-9,12,15,18,21-ペンタン酸が挙げられる。
【0088】
テトラコサヘキサエン酸は、六つの炭素-炭素二重結合を含む炭素数24の直鎖脂肪酸の任意の異性体のうちの一つである。テトラコサヘキサエン酸の例としては、ニシン酸として一般的に知られる、(6Z,9Z,12Z,15Z,18Z,21Z)-テトラコサ-6,9,12,15,18,21-ヘキサエン酸が挙げられる。
【0089】
さらに別の実施形態では、本発明は、約0.10重量%を超えるアラキドン酸、および植物成分を含むコンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0090】
アラキドン酸は、エイコサテトラエン酸の特異的異性体、すなわち(5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸である。これは、式CH-(CH-(CH=CH-CH-(CH-COOHを有する多価不飽和オメガ-6脂肪酸であり、すべての二重結合はシスである。
【0091】
アラキドン酸は、ほとんどの哺乳類にとって必須脂肪酸の一つとはみなされないが、ネコでは、伸長および不飽和化活性が低下しているため必須である。また、リノール酸に欠損がある場合、またはリノール酸をアラキドン酸に変換することができない場合、アラキドン酸はすべての哺乳類において必須となる。一部の哺乳類は、リノール酸をアラキドン酸に変換する能力を欠くか、またはその能力が非常に限定さているため、それは食餌の不可欠な部分となる。アラキドン酸は、一般的なプラントにほとんど含まれていないため、このような動物は、義務的な肉食動物であり、ネコは、必須脂肪酸を不飽和化する能力が低下している一般的な例である。
【0092】
アラキドン酸は、オメガ3脂肪酸から生成されるものと比較して、プロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエンの一連の炎症促進性の前駆体である。実質的にすべての細胞アラキドン酸は、膜リン脂質でエステル化され、その存在は複数の相互接続された経路を介して厳密に制御される。遊離アラキドン酸は、エイコサノイドセカンドメッセンジャーの生合成にとって一過性の重要な基質である。受容体に刺激された、遊離アラキドン酸の放出、代謝、および再取り込みはすべて、細胞シグナル伝達および炎症の重要な側面である。
【0093】
本発明は、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分を含むコンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0094】
用語「植物成分」は、プラントから取得され、組成物中の添加剤として使用される物質を指す。一実施形態では、用語「植物成分」は、プラントまたはハーブ源から抽出または誘導される食品または栄養補助食品を指す。一実施形態では、この用語は、疾患もしくは健康状態の治療、または疾患もしくは健康状態の予防などの健康上の利益を提供することができる、プラントまたはハーブ源から抽出または誘導された食品または栄養補助食品を指す。
【0095】
植物成分の例としては、クルクミン、緑茶、ザクロ、カモミール、ローズマリー、アロエ、イラクサ、ツボクサ、イチョウ、カバノキ、マンサク、グレープスキン、グレープシード、グレープフルーツ、グレープフルーツシード、ビルベリー、ブルーベリー、ダイズイソフラボン、ブラックコホッシュ、セイヨウオトギリソウ、エキナセア、およびカモミールに由来する物質が挙げられる。植物成分は、アサイー、アロエベラ、オタネニンジン、ゲンゲ、ビルベリー、ダイダイ、ブラックコホッシュ、バターバリー(butterbury)、キャッツクロー、カモミール、チェストベリー、シナモン、クランベリー、タンポポ(candelion)、エキナセア、マオウ、セイヨウニワトコ、ヤドリギ、マツヨイグサ油、コロハ、ナツシロギク、アマニおよびアマニ油、ニンニク、ショウガ、イチョウ、ヒドラスチス、グレープシードエキス、緑茶、サンザシ、フーディア、セイヨウトチノキ、カヴァ、ラベンダー、甘草の根、オオアザミ、ノニ、トケイソウ、ペパーミント油、ムラサキツメクサ、セージ、ノコギリヤシ、ダイズ、セイヨウオトギリソウ、ティーツリー油、ライコウトウ、ウコン、バレリアン、およびヨヒンベなどの発生源から抽出または誘導されてもよい。
【0096】
一実施形態では、本発明は、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、ならびに甘草の根、アンゼリカの根、コロハ、マリーゴールド、フェンネル、ペパーミントの葉、カモミール、タンポポ、セイボリー、緑茶、トゥルシー、バジル、アルファルファ、パセリ、フェンネル、ヒドラスチス、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物成分を含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。
【0097】
上記の各プラントについて、植物成分は、プラントの一つまたは複数の部分に由来する場合がある。
【0098】
さらに、植物成分は、こうしたプラントの抽出物であってもよい。本明細書で使用される場合、プラントの抽出物は、流体抽出物、チンキ剤、精油、蒸留物、およびオレオレジンを含む、該プラントから抽出された物質を含有する任意の調製物である。プラントの抽出物は、本明細書に記載される方法のいずれかによって、または当業者によって当技術分野で公知の方法で調製されてもよい。抽出物の例としては、カモミール抽出物、グレープスキン抽出物、グレープシード抽出物、グレープフルーツ抽出物、グレープフルーツシード抽出物、ビルベリー抽出物、およびブルーベリー抽出物が挙げられる。
【0099】
用語「甘草」は、プラントカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)およびその誘導体を指す。甘草は、地中海、ロシア南部および中央部、小アジア、およびイランに自生するハーブだが、現在ではヨーロッパ、アジア、および中東でも栽培されている。一例として、甘草は、甘草プラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。甘草は、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。甘草は調理されるか、または生であってもよい。コンパニオンアニマルのための多くの種の甘草の根は、コンパニオンアニマルが経験する可能性のある多くの健康上の課題に有益であると考えられる。甘草の根は、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンと類似した特性を有するグリチルリジンを含有し、したがって、甘草の根は、関節炎またはアレルギーの事例で有益でありうる顕著な抗炎症効果を呈する場合がある。甘草の根はまた、毒素およびウイルスによる肝臓への損傷を阻害することができる抗肝毒性としても作用することができ、この処方は、急性肝炎または慢性肝炎から生じる高肝酵素の例において良い選択となる。語句「甘草の根」の定義は、グリチルリジンを含む組成物、および脱グリチルリジン化された組成物を含む。
【0100】
アンゼリカは、セリ科の背の高い二年生および多年生の約60種のハーブのいずれかを指す。アンゼリカは、背が高く、丈夫な木質の多年草で、明るい日陰の弱酸性の湿った土壌で最もよく育つ。シリア原産だが、多くのヨーロッパ諸国に広がっている。一例として、アンゼリカは、任意のアンゼリカプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。アンゼリカは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。アンゼリカは、調理されるか、または生であってもよい。根は、α-ピネンおよびβ-フェランドレンを含む、高水準のテルペンを有する。
【0101】
コロハは、マメ科の年間プラントであるコロハ(Trigonella foenum-graecum)のプラントを指す。コロハは、半乾燥作物として世界中で栽培されている一年生プラントである。一例として、コロハは、コロハプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。コロハは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。コロハは、調理されるか、または生であってもよい。コロハは、特にインドやカレーを摂取する場所で、一般的なスパイスとして使用されている。従来の医療従事者は、コロハが、糖尿病などの代謝障害および栄養障害の管理に、去痰剤、消化促進剤、陣痛促進剤として、また固まったエネルギーおよび冷たい炎症を解消するのに有用であると考えてきた。
【0102】
マリーゴールドは、南ヨーロッパ原産の短命の芳香性ハーブの多年草である。一実施形態では、用語「マリーゴールド」は、キンセンカ(Calendula officinalis)を指す。一実施形態では、用語「マリーゴールド」は、キク科のキンセンカ属を指す。マリーゴールドは、鮮やかな黄色、オレンジ色、および金色で開花する。一例として、マリーゴールドは、ショウガプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。マリーゴールドは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。マリーゴールドは、調理されるか、または生であってもよい。マリーゴールド抽出物は、その抗菌作用および抗炎症作用により、ペットフードに一般的に使用される。消化を助け、炎症を軽減し、ウイルスおよび細菌と戦うことができる。抽出物中のフラボノイドは風味を加えることができ、プラントの抗酸化物質源でもある。マリーゴールドは、眼の網膜に存在する大量のルテインを含有する。ルテインは、白内障および黄斑変性の発症から眼を保護する。
【0103】
フェンネルは、プラントウイキョウ(Foeniculum vulgare)およびその派生物を指す。地中海原産のフェンネルは、今では世界中で見られる。フェンネルは、黄色い花と茎のような球根を有する多年生の芳香性ハーブである。一例として、フェンネルは、フェンネルプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。フェンネルは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。フェンネルは、調理されるか、または生であってもよい。フェンネルは、甘草やアニスに似た匂いを有する。フェンネルは、いくつかの主要なビタミンの供給源として、または消化補助剤として、ペットフードに添加される。
【0104】
ペパーミントは、ウォーターミントとスペアミントの交配種であるハイブリッドミントであり、ヨーロッパと中東に固有である。ペパーミントのオイルは、メントール含有量が多く、メントン、酢酸メンチルなどのカルボキシルエステルも含有する。ペパーミントオイルはまた、リモネン、プレゴン、カリオフィレン、およびピネンを含む多くの追加化合物を少量含有する。ペパーミントは、テルペノイド、ならびにエリオシトリン、ヘスペリジン、およびケンフェロール7-O-ルチノシドなどのフラボノイドを含有する。ペパーミントは、ペットの蠕動の管理を助ける。つまり、食物を消化管に沿って移動させるのに役立つ収縮を調節する。ペットに少量のペパーミントを与えることは、過敏性腸症候群の改善に役立つ可能性がある。キャットニップと組み合わせると、ペパーミントはコンパニオンアニマルの吐き気も軽減することができる。
【0105】
カモミールは、キク科のいくつかのヒナギクのようなプラントのうちのいずれか一つ、およびその派生物を指す。一実施形態では、カモミールは、プラントカミツレ(Matricaria chamomilla)およびその派生物を指す。一実施形態では、カモミールは、プラントローマンカモミール(Chamaemelum nobile)およびその派生物を指す。一例として、カモミールは、カモミールプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。カモミールは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。カモミールは、調理されるか、または生であってもよい。
【0106】
タンポポは、タンポポ属(taraxacum genus)のいくつかの開花プラントのうちのいずれか一つ、およびその派生物を指す。タンポポはユーラシアと北米原産の開花プラントである。葉、茎、花、および根を含む数種のタンポポの種は、食用であり、栄養価がある。一例として、タンポポは、タンポポプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。タンポポは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。タンポポは、調理されるか、または生であってもよい。タンポポの葉は、特にビタミンA、C、およびKなど豊富なビタミンおよびミネラルを含有し、カルシウム、カリウム、鉄、およびマンガンの良好な供給源である。生花は、高レベルのポリフェノールおよび抗酸化物質を含有し、抗炎症作用および抗血管新生作用がある。
【0107】
セイボリーとは、ローズマリーとタイムに関連するシソ(Lamiaceae)科の芳香プラント属であるプラントキダチハッカ(satureja)、およびその派生物を指す。一例として、セイボリーは、セイボリープラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。セイボリーは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。セイボリーは、調理されるか、または生であってもよい。
【0108】
緑茶は、プラント種のチャノキ(Camellia sinensis)に由来する。緑茶は、中国の雲南省に起源があると考えられている。緑茶は、抗酸化物質とアルカロイドの優れた供給源と考えられており、A、D、E、C、B、B5、HおよびKなどのビタミン、マンガン、ならびに亜鉛、クロム、およびセレンなどのその他のミネラルを含有している。緑茶は、大量のカテキンEGCGを含む、約30重量%のポリフェノールである。カテキンは、細胞損傷を防ぐのに役立つと考えられる天然の抗酸化物質である。
【0109】
トゥルシーは、プラントカミメボウキ(Ocimum tenuiflorum)およびその派生物を指す。トゥルシーはまた、ホーリーバジル、トゥルシー(tulasi)、またはトゥルシー(thulasi)としても知られている。トゥルシーは、インド亜大陸に自生し、東南アジアの熱帯地域全体に栽培プラントとして広く分布するシソ科の芳香多年生プラントである。一例として、トゥルシーは、トゥルシープラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。トゥルシーは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。トゥルシーは、調理されるか、または生であってもよい。トゥルシーの植物化学的成分の一部は、オレイン酸、ウルソル酸、ロスマリン酸、オイゲノール、カルバクロール、リナロール、およびβ-カリオフィレンである。トゥルシー精油は、主にオイゲノール、β-エレメン、β-カリオフィレン、およびゲルマクレンからなる。
【0110】
バジルとは、プラントスイートバジル(Ocimum basilicum)およびその派生物を指す。バジルは、中央アフリカから東南アジアまで熱帯地域に自生し、世界中の料理に使用されている。一例として、バジルは、バジルプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。バジルは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。バジルは、調理されるか、または生であってもよい。アーユルヴェーダまたは伝統的な漢方薬などの伝統的な医療実践では、バジルには治療特効果があると考えられている。
【0111】
アルファルファは、プラントムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)およびその派生物を指す。アルファルファはまた、ルーサンと名付けられ、マメ(Fabaceae)科の多年生開花プラントである。それは世界中の多くの国で重要な飼料作物として栽培されている。牧草地、干し草、貯蔵生牧草のほか、緑肥や被覆作物に使用される。一例として、アルファルファは、アルファルファプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。アルファルファは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。アルファルファは、調理されるか、または生であってもよい。
【0112】
パセリは、プラントパセリ(Petroselinum crispum)およびその派生物を指す。パセリは、中央地中海地域に自生し、ハーブ、スパイス、および野菜として広く栽培されている、セリ(Apiaceae)科の二年生の開花プラントの種である。一例として、パセリは、パセリプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。パセリは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。パセリは調理されるか、または生であってもよい。
【0113】
ヒドラスチスは、プラントヒドラスチス(Hydrastis canadensis)およびその派生物を指す。カナダ南東部および米国東部に自生するキンポウゲ(Ranunculaceae)科キンポウゲ(buttercup)の多年生ハーブである。一例として、ヒドラスチスは、ヒドラスチスプラントの葉、茎、種、および根に由来する生成物を含みうる。ヒドラスチスは、粉砕した粉末、新たに粉砕した、噴霧乾燥した、凍結乾燥した、湿った根、抽出物、油、懸濁液、油および水、または溶液の形態であってもよい。ヒドラスチスは、調理されるか、または生であってもよい。従来の医学では、ヒドラスチスの根と根茎は、収穫され、高濃度のベルベリンとヒドラスチンのため、多目的治療薬として使用される。ハーブは、抗炎症作用、抗下痢作用、抗菌作用および免疫強化作用があると考えられる。ヒドラスチスは、筋肉の痙攣を制御し、癌を治療し、心臓を刺激して血圧を上昇させ、胃腸障害を治療し、結膜炎を治療し、痛みを伴う重い月経を管理し、感染を局所的に治療し、腫れを軽減し、浮腫を緩和するために使用される。
【0114】
本発明の組成物は、ペットフードを調製する任意の手段によって調製されてもよい。アラキドン酸は、任意の数の供給源から商業的に入手することができる。これは、真菌性モルティエレラ・アルピーナから調製されうる。
【0115】
本発明の組成物は、液体または固体食品とすることができる。組成物が液体である場合、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分を、他の成分と混合することができる。組成物が固体である場合、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分は、組成物上に被覆されてもよく、または組成物に組み込まれてもよく、またはその両方であってもよい。
【0116】
様々な実施形態では、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分は、コンパニオンアニマルの食品に添加されてもよい。特定の実施形態では、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分は、コンパニオンアニマルの食品に、配合業者または製造業者によって、現場で添加されてもよい。特定の実施形態では、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸および植物成分は、動物に給餌する前に、コンパニオンアニマルの世話人によって、コンパニオンアニマルの食品に添加されてもよい。他の実施形態では、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸、および植物成分は、コンパニオンアニマルの食品の加工中、例えば、包装され、消費者が利用可能になる組成物の他の成分との混合中および/または混合後に、添加することができる。こうした加工には、押出成形、缶詰、ベーキングなど、または当技術分野で公知のペットフードを製造する任意の他の方法が含まれうる。
【0117】
本明細書で企図されるように、本発明の組成物は、20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸、および植物成分をさらに含む、栄養的に完全かつバランスのとれた動物飼料組成物を包含することを意味する。「栄養的に完全な食餌」とは、該食餌に関して、健康なコンパニオンアニマルの通常の健康を維持するのに十分な栄養素を含む食餌である。
【0118】
栄養的に完全なバランスの取れたペットフード組成物は当業者によって理解される。例えば、栄養的に完全でバランスの取れた動物資料組成物に好適な栄養素および成分などの物質、ならびにそれらの推奨量は、例えばOfficial Publication of The Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO).Atlanta,Ga.,2005、またはNational Research Council’s Nutrient Requirements of Dogs and Cats,The National Academy Press,Washington,D.C.,2006に見ることができる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「成分」は、組成物の任意の要素を指す。用語「栄養素」は、栄養を提供する物質を指す。一部の事例では、成分は、複数の「栄養素」を含んでもよい。これらの用語の区別は、当業者によく知られている。
【0120】
本発明の栄養的に完全かつバランスのとれたドッグフード組成物は、約0重量%~約90重量%、好ましくは、約5重量%~60重量%の炭水化物と、約5重量%~約70重量%、好ましくは、約10重量%~約60重量%のタンパク質と、約2重量%~約50重量%、好ましくは、約5重量%~約40重量%の脂肪と、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約1重量%~約11重量%の全食物繊維と、約0重量%~約15重量%、好ましくは、約2重量%~約8重量%のビタミンおよびミネラル、抗酸化物質、動物の栄養ニーズを支持する他の栄養素と、約0.1重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約0.6重量%の20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸と、約0.0010重量%~約1.0重量%の植物成分、または約0.0010重量%~約0.01重量%の植物成分とを含むことができる。
【0121】
例えば、本発明の栄養的に完全かつバランスのとれたキャットフード組成物は、約0重量~約90重量%、好ましくは、約5重量%~50重量%の炭水化物と、約5重量%~約70重量%、好ましくは、約20重量%~約60重量%のタンパク質と、約2重量%~約50重量%、好ましくは、約5重量%~約40重量%の脂肪と、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約1重量%~約11重量%の全食物繊維と、約0~約15重量%、好ましくは、約2重量%~約8重量%のビタミンおよびミネラル、抗酸化物質、動物の栄養ニーズを支持する他の栄養素と、約0.1重量%~約3重量%、または約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約0.6重量%の20個以上の炭素を含む多価不飽和脂肪酸と、約0.0010重量%~約1.0重量%の植物成分、または約0.0010重量%~約0.01重量%の植物成分とを含むことができる。
【0122】
一実施形態では、本発明は、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、および植物成分を含み、植物成分は、緑茶、コロハ、トゥルシー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。植物成分は、緑茶、またはコロハ、またはトゥルシー、または緑茶およびコロハ、または緑茶およびトゥルシー、またはコロハおよびトゥルシー、または緑茶、コロハおよびトゥルシーでありうる。さらに、植物成分は、他の植物成分と混合した緑茶、または他の植物成分と混合したコロハ、または他の植物成分と混合したトゥルシー、または他の植物成分と混合した緑茶およびコロハ、または他の植物成分と混合した緑茶およびトゥルシー、または他の植物成分と混合したコロハおよびトゥルシー、または他の植物成分と混合した緑茶、コロハおよびトゥルシーであってもよい。
【0123】
一実施形態では、本発明は、20個以上の炭素を含む約0.10重量%を超える多価不飽和脂肪酸、ならびに緑茶、コロハ、およびトゥルシーの混合物を含む植物成分を含む、コンパニオンアニマルの食用組成物に関する。この実施形態では、三つの植物成分すべてが、食用組成物中に必然的に存在する。さらに、一実施形態では、緑茶、コロハ、およびトゥルシーに加えて、他の植物成分が存在しうる。
【0124】
緑茶、コロハ、およびトゥルシーは、コンパニオンアニマルの炎症の治療に有効な任意の量で存在しうる。一実施形態では、緑茶、コロハ、およびトゥルシーの各々は、約0.0010重量%超で組成物中に存在する。一実施形態では、食用組成物は、約0.20重量%を超える緑茶、約0.020重量%を超えるコロハ、および約0.0010重量%を超えるトゥルシーを含む。
【0125】
ペットフードなどの抗炎症性物質の有効性は、炎症をモニタリングすることによって直接測定されうる。あるいは、抗炎症物質の有効性は、コンパニオンアニマルにおいて選択された循環炎症促進性サイトカインの減少によって測定されてもよい。適切な炎症促進性サイトカインには、TNFα、MCP-1、IL 12、およびIL 18が含まれる。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「相乗効果」または「相乗的な」は、以下を意図する。
【0127】
腫瘍壊死因子(TNFα)は、主に活性化マクロファージによって産生される炎症促進性タンパク質である。それらは、CD4リンパ球、NK細胞、好中球、マスト細胞、および好酸球によっても産生されうる。TNFαの減少は、糸球体腎炎、腸障害、および皮膚炎を含むいくつかの疾患状態において炎症反応を減少させることが示されている。
【0128】
単球走化性タンパク質1(MCP-1)は、ケモカインリガンド2(CCL2)とも呼ばれる。MCP-1は、単球、メモリーT細胞、および樹状細胞を損傷部位に集めるが、好中球または好酸球を引き付けることはない。抗-CCl2は、腎機能障害(糸球体腎炎)の重症度を減少させ、MCP-1の減少が腎機能の回復に有益であることを示す。
【0129】
インターロイキン12(IL-12)は、主に樹状細胞およびマクロファージによって産生される炎症促進性サイトカインである。IL-12は、ナイーブT細胞のTh1細胞への分化に関与し、炎症促進性TNFαおよびインターフェロンガンマ(IFNγ)の産生も刺激する。IL12はまた、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の産生を刺激し、NK細胞およびCD8細胞障害性T細胞の細胞障害活性を強化する。
【0130】
インターロイキン-18(IL-18)は、主にマクロファージによって産生されるサイトカインである。IL-18の炎症促進作用の一つは、NK細胞および特定のT細胞を活性化してIFNgを放出するその能力によるものである。
【0131】
これまでの研究では、ペットフードにアラキドン酸を添加することは、炎症促進性であることが示唆されている。しかし、アラキドン酸を添加したキャットフードをネコに給餌しても、TNFα、MCP-1、またはIL-18のレベルに有意な変化はなかった。
【0132】
これまでの他の研究では、ペットフードに植物成分を添加することは、抗炎症性であることが示唆されている。しかし、植物成分を含むキャットフードをネコに給餌しても、TNFα、MCP-1、またはIL-18のレベルに有意な変化はなかった。
【0133】
しかし、ネコに、ペットフード中のアラキドン酸と植物成分の組み合わせを給餌すると、TNFα、MCP-1、およびIL-18の減少によって示されるような非常に有意な抗炎症効果を示した。
【実施例
【0134】
二因子、二レベル実験を実施した。第一の因子は、植物成分混合物の有無であった。第二の因子は、食物中に自然に存在する酸に加えて、アラキドン酸を追加するかしないかであった。
【0135】
四十八匹のネコを、各群十二匹のネコの四つのグループに分けた。対照群(第1群)のネコに、栄養バランスの良いキャットフードを与えた。植物成分のみの群(第2群)のネコに、栄養バランスの良いキャットフードに植物成分複合体を添加したものを与えた。アラキドン酸のみの群(第3群)のネコに、栄養バランスの良いキャットフードにアラキドン酸を添加したものを与えた。アラキドン酸-植物成分複合体の群(第4群)のネコに、栄養バランスの良いキャットフードにアラキドン酸と植物成分複合体を添加したものを与えた。
【0136】
第2群および第4群のキャットフードはそれぞれ、0.5重量%の緑茶、0.05重量%のコロハ、および0.003重量%のトゥルシーを含有した。
【0137】
第1群および第2群のキャットフードは、キャットフード中の肉製品中に自然に存在する約0.05重量%~0.06重量%のアラキドン酸を含有した。第3群および第4群のキャットフードはそれぞれ、約0.13重量%のアラキドン酸を得るように混合された追加のアラキドン酸が含有されていた。
【0138】
各群は、85日間それぞれの食餌を与えられ、その後、炎症反応の尺度として特定のサイトカインを使用して、ネコの炎症状態を評価した。
【表1】
【0139】
表1(上記)に示すように、各サイトカインの量に統計的に有意な減少があった。TNFαの減少に対するp値(片側)は、0.5%未満であった。IL 18の減少に対するp値(片側)は、0.12%未満であった。MCP1の減少に対するp値(片側)は、0.4%未満であった。
【0140】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に説明されているいくつかの実施形態を参照して説明されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または表すことを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、当業者には、本発明の精神および原理から逸脱することなく、このような詳細において数多くの変更がなされうることは明白であろう。