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  • 特許-シャフト付きセラミックヒータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】シャフト付きセラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20221109BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/78 N
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 C
H05B3/02 B
H05B3/74
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021532730
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022835
(87)【国際公開番号】W WO2021010063
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2019130906
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 達也
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
(72)【発明者】
【氏名】相川 賢一郎
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162878(JP,A)
【文献】特表2006-517740(JP,A)
【文献】特開2007-173828(JP,A)
【文献】特表2016-536803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
H05B 3/02
H05B 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、
前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に接合された中空のセラミックシャフトと、
前記セラミックシャフトの内周面に軸方向に沿うように設けられた複数の縦溝と、
前記縦溝内に設けられた導電膜と、
前記抵抗発熱体の端子と前記導電膜とを電気的に接続する接続部材と、
を備えたシャフト付きセラミックヒータ。
【請求項2】
前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートの複数のゾーンのそれぞれに設けられており、
前記端子は、前記抵抗発熱体ごとに2つずつ独立して設けられ、
前記導電膜は、前記抵抗発熱体ごとに2つずつ独立して設けられている、
請求項1に記載のシャフト付きセラミックヒータ。
【請求項3】
前記導電膜及び前記接続部材は、絶縁膜に覆われている、
請求項1又は2に記載のシャフト付きセラミックヒータ。
【請求項4】
前記絶縁膜は、エアロゾルデポジション膜又は溶射膜である、
請求項3に記載のシャフト付きセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフト付きセラミックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハの搬送、露光、CVDなどの成膜プロセスや、洗浄、エッチング、ダイシングなどの微細加工においては、ウエハを保持するシャフト付きセラミックヒータが使用される。こうしたシャフト付きセラミックヒータとして、特許文献1に示すように、抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に接合された中空のセラミックシャフトと、セラミックシャフトの内周壁面を上下方向に延在するように形成された導電膜と、抵抗発熱体と導電膜とを電気的に接続するワイヤとを備えたものが開示されている(図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-162878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導電膜をセラミックシャフトの内周壁面に形成する際に、隣合う導電膜が繋がってしまうおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、隣合う導電膜を繋がりにくくすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャフト付きセラミックヒータは、
抵抗発熱体が埋設されたセラミックプレートと、
前記セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面に接合された中空のセラミックシャフトと、
前記セラミックシャフトの内周面に軸方向に沿うように設けられた複数の縦溝と、
前記複数の縦溝内に形成された導電膜と、
前記抵抗発熱体の端子と前記導電膜とを電気的に接続する接続部材と、
を備えたものである。
【0007】
このシャフト付きセラミックヒータでは、導電膜はセラミックシャフトの内周面に軸方向に沿うように設けられた縦溝内に形成されている。そのため、隣合う導電膜は、セラミックシャフトのうち縦溝と縦溝との境界部分によって隔てられている。したがって、隣合う導電膜はこうした境界部分の存在によって繋がりにくくなっている。
【0008】
本発明のシャフト付きセラミックヒータにおいて、前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートの複数のゾーンのそれぞれに設けられており、前記端子は、前記抵抗発熱体ごとに2つずつ独立して設けられ、前記導電膜は、前記抵抗発熱体ごとに2つずつ独立して設けられていてもよい。抵抗発熱体に給電するためのロッドをセラミックシャフトの内部空間に配置する場合には、ロッドの本数が制限され、それに伴い抵抗発熱体の数も制限されるが、ここではロッドの代わりに導電膜を用いているため、より多くの抵抗発熱体に対応可能である。
【0009】
本発明のシャフト付きセラミックヒータにおいて、前記導電膜及び前記接続部材は、絶縁膜に覆われていてもよい。こうすれば、導電膜や接続部材が他の金属部材などと接触して短絡してしまうのを防止することができる。こうした絶縁膜は、エアロゾルデポジション(AD)膜又は溶射膜であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図。
図2図1の部分拡大図。
図3】シャフト付きセラミックヒータの底面図。
図4】別の実施形態の部分拡大図。
図5】従来のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1は本実施形態のシャフト付きセラミックヒータの縦断面図である。
【0012】
シャフト付きセラミックヒータは、図1に示すように、セラミックプレートと、セラミックシャフトと、縦溝と、導電膜と、凹部(図2参照)と、接続部材とを備えている。セラミックプレートには、RF電極及び抵抗発熱体が埋設されている。RF電極は、プラズマを発生させる際に高周波電圧が印加される電極である。RF給電ロッドは、セラミックシャフトの内部空間に収容され、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面からRF電極に接合されている。抵抗発熱体は、通電されるとセラミックプレートを加熱する。本実施形態では、抵抗発熱体は、セラミックプレートの複数(3つ)のゾーンのそれぞれに設けられている。端子は、抵抗発熱体ごとに2つずつ独立して設けられている。セラミックシャフトは、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面にダイレクトボンディングにより接合された中空シャフトである。縦溝は、セラミックシャフトの内周面に軸方向に沿うように設けられた凹溝である。本実施形態では、等間隔に6本の縦溝が設けられている(図3参照)。導電膜は、セラミックシャフトの縦溝内を伝うように軸方向(上下方向)に沿って設けられている。導電膜は、印刷やめっきなどで形成してもよいし、AD法、溶射法、CVD法、PVD法などで成膜してもよい。導電膜は、抵抗発熱体ごとに2つずつ設けられている。凹部は、セラミックプレートのウエハ載置面とは反対側の面から抵抗発熱体の端子に達するように設けられたU字溝である(図3参照)。凹部の底面には、端子の下面が露出している。凹部の側面には、導電膜の表面が露出している。接続部材は、凹部に充填され、抵抗発熱体の端子の下面と導電膜の表面とを電気的に接続している。接続部材は、凹部に配置したロウ材を溶融したあと固化したものである。
【0013】
以上説明した本実施形態のシャフト付きセラミックヒータでは、導電膜はセラミックシャフトの内周面に軸方向に沿うように設けられた縦溝内に形成されている。そのため、隣合う導電膜は、セラミックシャフトのうち縦溝と縦溝との境界部分によって隔てられている。したがって、隣合う導電膜はこうした境界部分の存在によって繋がりにくくなっている。
【0014】
また、抵抗発熱体に給電するためのロッドをセラミックシャフトの内部空間に配置する場合には、ロッドの本数が制限され、それに伴い抵抗発熱体の数も制限されるが、ここではロッドの代わりに導電膜を用いているため、より多くの抵抗発熱体に対応可能である。
【0015】
上述した実施形態において、図4に示すように、導電膜及び接続部材の表面を、絶縁膜で覆うようにしてもよい。こうすれば、導電膜や接続部材が他の金属部材などと接触して短絡してしまうのを防止することができる。絶縁膜は、エアロゾルデポジション(AD)膜又は溶射膜であることが好ましい。特に、AD法(プラズマAD法を含む)は、微細なセラミック粒子の薄い膜を精度よく形成するのに適している。また、AD法は、衝撃固化現象でセラミック粒子を成膜することができるため、セラミック粒子を高温で焼結する必要がない。
【0016】
上述した実施形態において、セラミックプレートには、静電電極が埋設されていてもよい。
【0017】
本出願は、2019年7月16日に出願された日本国特許出願第2019-130906号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、例えば半導体ウエハの搬送、露光、CVDなどの成膜プロセスや、洗浄、エッチング、ダイシングなどの微細加工に利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5