(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス及びシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20221109BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20221109BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B01D53/14 220
F27D17/00 104G
F23G7/06 C
(21)【出願番号】P 2021536145
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2020070523
(87)【国際公開番号】W WO2020147607
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】201910042637.X
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520046959
【氏名又は名称】エーカー コーキング アンド リフラクトリー エンジニアリング コンサルティング コーポレーション(ダリアン),エムシーシー
【氏名又は名称原語表記】ACRE Coking & Refractory Engineering Consulting Corporation (Dalian), MCC
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ハオヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,クオフォン
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-028502(JP,A)
【文献】特開昭53-004774(JP,A)
【文献】中国実用新案第203777878(CN,U)
【文献】特開2004-261706(JP,A)
【文献】特開昭52-016868(JP,A)
【文献】特開昭61-255993(JP,A)
【文献】特開昭54-023069(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108325368(CN,A)
【文献】特開2016-120438(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108722118(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02 - 53/12
B01D 53/34 - 53/85
F27D 17/00
C10J 1/00 - 3/86
C10B 1/00 - 57/18
F23G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱硫再生塔の底部に設けられる脱硫富液入口及び酸化性ガス入口から、それぞれ脱硫富液及び酸化性ガスを導入し、脱硫再生塔内
において、脱硫富液
を酸化再生
させ、単体硫黄及び脱硫貧液を得て、そして、前記脱硫貧液を前記脱硫再生塔の脱硫貧液出口から導出させ、前記単体硫黄を前記脱硫再生塔の硫黄フォーム出口から導出させ、酸化再生された後
の大量の酸化性ガス
を塔頂部の気相出口から溢れ出
させ、気液分離器に
導入するステップ1と、
気液分離器の頂部にミスト捕集層が設置され、ミスト捕集層で捕集されたミスト滴が、気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで増圧された後、脱硫再生塔に戻り、分離された気相が、循環酸化性ガスであり、気液分離器の頂部の気相出口から溢れ出て、気体増圧装置に入るステップ2と、
循環酸化性ガスが、増圧装置で増圧された後、補充酸化性ガスと混合し、さらに脱硫富液と混合して脱硫再生塔底部に入るステップ3とを、含む
ことを特徴とするコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項2】
前記循環酸化性ガスが、空気または純酸素ガスであることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項3】
前記補充酸化性ガスが、純酸素ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項4】
前記気体増圧装置が、ブロア、ガス増圧ポンプまたはガス増圧バルブであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項5】
ステップ2において、前記気液分離器の頂部に複数のミスト捕集層が設置され、前記複数のミスト捕集層で捕集されたミスト滴が、
前記気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで増圧された後、脱硫再生塔に戻る
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項6】
前記複数のミスト捕集層が、直列に配置されることを特徴とする請求項5に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項7】
前記ミスト捕集層に、充填材が充填されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項8】
洗浄材を使用して前記ミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項9】
前記洗浄材が、水または
前記気液分離器の底部の液相出口からの液体であることを特徴とする請求項8に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項10】
前記ポンプで
前記気液分離器の底部の液相出口からの液体を増圧し、増圧された気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を前記ミスト捕集層の上方の洗浄ヘッドに輸送し、そして前記洗浄ヘッドで
前記ミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス。
【請求項11】
請求項1に記載のプロセスを実現するためのコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガスの処理システム
であって、
脱硫再生塔、気液分離器、気体増圧装置及びポンプを有し、
前記脱硫再生塔の塔頂部に気相出口が設けられ、前記脱硫再生塔の上部に脱硫貧液出口及び硫黄フォーム出口が設けられ、
前記脱硫再生塔の中央部に分離液入口が設けられ、前記脱硫再生塔の底部に富液及び酸化性ガス入口が設けられ、
前記脱硫再生塔の気相出口は、前記気液分離器の気液混合物入口と接続され、前記気液分離器の底部の液相出口は、前記ポンプの入口端と接続され、前記ポンプの出口端は、前記脱硫再生塔の分離液入口と接続され、
前記気液分離器の頂部の気相出口は、前記気体増圧装置の入口端と接続され、前記気体増圧装置の出口端は、循環気体パイプを介して混合パイプと接続され、前記循環気体パイプに補充酸化性ガス入口が設けられ、
前記混合パイプに、脱硫富液入口がさらに設けられ、前記混合パイプの出口は、前記脱硫再生塔の底部の富液及び酸化性ガスの入口と接続される
ことを特徴とす
るコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガスの処理システム。
【請求項12】
前記気液分離器の頂部に、ミスト滴を捕集する1つまたは複数のミスト捕集層が設置されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記気液分離器の頂部に、直列に配置される複数のミスト捕集層が設置されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ミスト捕集層に、充填材が充填されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ミスト捕集層の上方に、洗浄材を使用して前記ミスト捕集層を洗浄する洗浄ヘッドが設置されることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記洗浄材が、外部からの洗浄材であり、前記外部からの洗浄材の入口が、パイプを介して前記洗浄ヘッドと接続されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記洗浄ヘッドが、
前記気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を洗浄材として前記洗浄ヘッドへ輸送できるように、パイプを介して
前記気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口と接続される
ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記洗浄ヘッドが、
前記気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口及び外部洗浄材入口の両方と接続されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記洗浄ヘッドと
前記気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口との間に設置されるバルブと、前記洗浄ヘッドと外部洗浄材の入口との間に設置されるバルブとを、さらに含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コークス炉石炭ガス浄化技術分野に関し、殊に、コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス及びシステムに関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2019年1月17日に中国専利局に提出された、出願番号が201910042637.Xであり、名称が「コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス及びシステム」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
コークス炉石炭ガスから硫化水素を除去することは、石炭ガス浄化プロセスの重要なプロセスである。湿式酸化法は、粗ガスから硫化水素を除去するための一般的な方法であり、投資が少なく、脱硫効率が高く、稼働コストが低い利点があり、現在、ほとんどの中国国内コークス企業は、この方法を利用している。
【0004】
湿式酸化法で粗ガスから硫化水素を除去する場合、脱硫再生塔の底部から大量の空気を導入し、脱硫富液を酸化再生し、過剰な空気が脱硫再生塔を通過して排ガスになり、塔頂部から排出される。具体的なプロセスは、以下のとおりである。脱硫富液と空気は、混合され、底部から脱硫再生塔に入り、脱硫再生塔に入った富液が大量の空気とともに上方へ流れると同時に、HS-が単体硫黄に酸化され、脱硫富液が脱硫貧液に変換される。脱硫貧液は、脱硫貧液出口で収集され、脱硫部に返送され、循環使用される。酸化により生成された単体硫黄は、大量の空気によってバブリングされて硫黄フォームに形成され、硫黄フォームの形で硫黄フォーム出口から溢れ出る。大量の空気は、脱硫再生塔の塔頂部の気相出口から溢れ出て排気ガスになる。
【0005】
脱硫再生塔の塔頂部から排出される排ガスには、一定量の硫化水素、シアン化水素、アンモニアなどの有害ガスが含まれる。中国の環境保護に対する要求が日々厳しくなるので、脱硫再生塔の排ガスを直接大気に排出することが許可されず、排出基準を満たす排出ガスとなるように浄化処理を行わなければなりません。現在、湿式酸化プロセスを利用したコークス炉石炭ガス脱硫システムは、排ガス処理設備を増設する必要があり、これにより、フットプリントが大きく、設備投資及び稼働コストが高いなどの一連の問題を引き起こした。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセス及びシステムを提供し、脱硫富液の酸化再生に用いられる酸化性ガスを循環使用することにより、ガスを排出しないシステムを実現し、最終的に脱硫再生塔から排ガスを排出しない目的を達成する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示は、以下の技術案で実現される。
【0008】
コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、脱硫再生塔内の脱硫富液が酸化再生された後、大量の酸化性ガスが塔頂部の気相出口から溢れ出て、気液分離器に入るステップ1と、気液分離器の頂部にミスト捕集層が設置され、ミスト捕集層で捕集されたミスト滴は、気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで増圧された後、脱硫再生塔に戻り、分離された気相は、循環酸化性ガスであり、気液分離器の頂部の気相出口から溢れ出て、気体増圧装置に入るステップ2と、循環酸化性ガスは、増圧装置で増圧された後、補充酸化性ガスと混合し、さらに脱硫富液と混合して脱硫再生塔底部に入るステップ3とを含む。
【0009】
1つまたは複数の実施形態では、前記循環酸化性ガスは、空気または純酸素ガスである。
【0010】
1つまたは複数の実施形態では、前記補充酸化性ガスは、純酸素ガスである。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、前記気体増圧装置は、ブロア、ガス増圧ポンプまたはガス増圧バルブである。
【0012】
1つまたは複数の実施形態では、ステップ2において、前記気液分離器の頂部に複数のミスト捕集層が設置され、前記複数のミスト捕集層で捕集されたミスト滴は、気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで増圧された後、脱硫再生塔に戻る。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、前記複数のミスト捕集層は、直列に配置される。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層に、充填材が充填されている。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、前記コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、洗浄材を使用して前記ミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含む。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄材は、水または気液分離器の底部の液相出口からの液体である。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、前記コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、前記ポンプで気液分離器の底部の液相出口からの液体を増圧し、増圧された気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を前記ミスト捕集層の上方の洗浄ヘッドに輸送し、そして前記洗浄ヘッドでミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含む。
【0018】
上記のプロセスを実現するためのコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガスの処理システムは、脱硫再生塔、気液分離器、気体増圧装置及びポンプを有し、前記脱硫再生塔の塔頂部に気相出口が設けられ、前記脱硫再生塔の上部に脱硫貧液出口及び硫黄フォーム出口が設けられ、前記脱硫再生塔の中央部に分離液入口が設けられ、前記脱硫再生塔の底部に富液及び酸化性ガス入口が設けられ、前記脱硫再生塔の気相出口は、前記気液分離器の気液混合物入口と接続され、前記気液分離器の底部の液相出口は、前記ポンプの入口端と接続され、前記ポンプの出口端は、前記脱硫再生塔の分離液入口と接続され、前記気液分離器の頂部の気相出口は、前記気体増圧装置の入口端と接続され、前記気体増圧装置の出口端は、循環気体パイプを介して混合パイプと接続され、前記循環気体パイプに補充酸化性ガス入口が設けられ、前記混合パイプに、脱硫富液入口がさらに設けられ、前記混合パイプの出口は、前記脱硫再生塔の底部の富液及び酸化性ガスの入口と接続される。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、前記気液分離器の頂部に、ミスト滴を捕集する1つまたは複数のミスト捕集層が設置される。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、前記気液分離器の頂部に、直列に配置される複数のミスト捕集層が設置される。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層に、充填材が充填されている。
【0022】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層の上方に、洗浄材を使用して前記ミスト捕集層を洗浄する洗浄ヘッドが設置される。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄ヘッドは、パイプを介して外部洗浄材の入口と接続される。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄ヘッドは、気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を洗浄材として前記洗浄ヘッドへ輸送できるように、パイプを介して気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口と接続される。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄材は、水である。
【0026】
本開示は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0027】
1)脱硫富液の酸化再生に用いられる酸化性ガスを循環使用することにより、排気ガスを排出しないシステムを実現し、最終的に脱硫再生塔から排ガスを排出しない目的を達成する。
【0028】
2)従来の排ガス処理プロセスと比べて、余計なフットプリントが少なく、操作が利便で、投資が少なく、稼働コストが低い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本公開における実施形態の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施形態の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本公開の一部の実施形態を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることが可能である。
【0030】
【
図1】本開示に係るコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理システムの構成模式図である。
【
図2】本開示の
図1に示されるコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理システムに、ミスト捕集層を洗浄するための洗浄システムを増加した構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の実施例形態の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、本開示の実施形態の技術案を明瞭、完全に説明する。実施形態において、具体的な条件を明記しないことについて、従来の条件又はメーカーの勧めの条件下で行うことが可能である。使用する試剤又は器械の、製造メーカーが明記されていないものが、市販の従来品を使用することが可能である。
【0032】
特に断りがない限り、ここで使用される技術的用語と科学的用語は、当業者が通常認識している意味を有する。本発明を実施または試験する際は、本明細書に説明するものと類似または同等である任意の方法および材料が用いられてよいが、例示的な方法および材料を説明する。
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態をさらに説明する。
【0034】
図1に示すように、本開示によるコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、以下のステップを含む。
【0035】
ステップ1
脱硫再生塔1内の脱硫富液が酸化再生された後、大量の酸化性ガスが塔頂部の気相出口から溢れ出て、気液分離器8に入る。
【0036】
ステップ2
気液分離器8の頂部にミスト捕集層10が設置され、ミスト捕集層10で捕集されたミスト滴は、気液分離器10の底部の液相出口から排出され、ポンプ11で増圧された後、脱硫再生塔1に戻り、分離された気相は、循環酸化性ガスであり、気液分離器8の頂部の気相出口から溢れ出て、気体増圧装置9に入る。
【0037】
ステップ3
循環酸化性ガスは、増圧装置9で増圧された後、補充酸化性ガスと混合し、さらに脱硫富液と混合して脱硫再生塔1底部に入る。
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、前記循環酸化性ガスは、空気または純酸素ガスである。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、前記補充酸化性ガスは、純酸素ガスである。
【0040】
1つまたは複数の実施形態では、前記気体増圧装置9は、ブロア、気体増圧ポンプまたは気体増圧バルブである。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、ステップ2において、前記気液分離器の頂部15に複数のミスト捕集層が設置され、前記複数のミスト捕集層で捕集されたミスト滴は、気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで増圧された後、脱硫再生塔に戻る。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、前記複数のミスト捕集層は、直列に配置される。
【0043】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層に充填材が充填されている。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、前記コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、洗浄材で前記ミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含む。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄材は、水または気液分離器の底部の液相出口からの液体である。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、前記コークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスは、ポンプ11で気液分離器の底部の液相出口からの液体を増圧し、増圧された気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を前記ミスト捕集層の上方の洗浄ヘッド16に輸送し、そして前記洗浄ヘッド16でミスト捕集層を洗浄するステップをさらに含む。
【0047】
洗浄ステップは、排ガス処理プロセスと同時に実行されてもよく、排ガス処理プロセスの停止中に実行されてもよい。ミスト捕集層に対する洗浄は、処理される排ガスにおける固体または粘稠液体によるミスト捕集層の閉塞で引き起こされる流れ(特に気体)がミスト捕集層を通過する抵抗が大きすぎる問題を解決することができる。これは、排ガスの処理流束の向上、プロセス全体の効率の向上に寄与できる。
【0048】
特に、1つまたは複数の実施形態では、本開示は、気液分離器の底部の液相出口からの液体を洗浄材として使用するので、材料の循環利用を実現し、稼働コストを低減し、洗浄プロセスを単純化することができる。
【0049】
本開示の上記プロセスの各ステップまたは特徴は、必要に応じて互いに組み合わせることができる。これらも、本開示の保護の範囲内に含まれる。
【0050】
例えば、必要に応じて、第2バルブ18及び第1バルブ17を制御することで、外部洗浄材入口14からの外部洗浄材を使用するか、気液分離器の底部の液相出口13からの液体を使用するかを選択して、ミスト捕集層を洗浄することができる。
【0051】
ミスト捕集層は、ミストキャッチャーとも称され、気体に混入されたミスト滴を分離し、貴重な材料の損失を減らし、および/または、例えば硫化水素、シアン化水素およびアンモニアなどの望ましくない不純物や汚染物質を気体から除去するためのものである。例えば、本願において、ミスト捕集層で、脱硫再生塔塔頂部から排出される排ガスにおける硫化水素、シアン化水素、アンモニアを含む可能性があるミスト滴を除去することにより、大気へ排出できる排ガスを形成する。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、ミスト捕集層は、3~5μmのミスト滴を効果的に除去することができる。
【0053】
ミスト捕集層は、様々な構造を有することができる。例えば、ミスト捕集層は、捕集プレートおよび支持装置から構成されることができる。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、ミスト捕集層の捕集プレートは、通常、ポリマー材料(例えば、ポリプロピレンPP、FRPなど)またはステンレス鋼(例えば、316L、317Lなど)材料からなる。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、捕集プレートは、蛇行通路を形成するように構成される波形捕集プレートまたは屈曲形捕集プレートであってもよい。このようなミスト捕集層の一般的な動作原理は、以下のとおりである。ミスト滴を含む気体が一定の速度でミスト捕集層を流れると、気体の慣性衝撃により、ミスト滴が波形捕集プレートに衝突し、液滴に集められる。液滴のサイズが、その重力が気体の上昇力と液体の表面張力の合計を超える程度大きくなる場合、液滴は、波形捕集プレートの表面から離れる。ミスト捕集層の波形捕集プレートの蛇行構造は、ミスト滴の捕集に寄与でき、除去されなかったミスト滴が、次の屈曲箇所で同じく捕集される。このような繰り返しの作用により、ミスト捕集の効率を大幅に向上させる。気体は、波形捕集プレートからなるミスト捕集装置を通過すると、ほぼミスト滴を含まなくなる。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、ミスト滴を含む気体がミスト捕集層を通過する流速は、例えば3.5~5.5m/sである。
【0057】
ミスト捕集層は、ミスト滴を捕集プレートに衝突させることができる限り、他の構造からなってもよい。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、ミスト捕集層に、充填材が充填されてもよい。ミスト捕集層の充填材は、ミスト滴が気体とともに気液分離器の上部から排出されることをより防ぐことができる。
【0059】
ステップ1において、粗ガスにおける硫化水素を吸収した脱硫富液には、浮遊硫黄、S2O3
2-、HS-、CNS-、CN-などの物質が含まれている。1つまたは複数の実施形態では、脱硫再生塔がアンモニア脱硫法を利用する場合、脱硫富液は、遊離アンモニアおよびNH4
+をさらに含む。1つまたは複数の実施形態では、脱硫再生塔がアルカリ脱硫法を利用する場合、脱硫富液は、Na+、CO32-、HCO3-をさらに含む。脱硫富液は、脱硫再生塔に入り、酸化再生される。そのうち、HS-は、酸化されて単体硫黄が生成され、単体硫黄が塔頂部から硫黄フォームの形で溢れ出る。1つまたは複数の実施形態では、脱硫再生塔の作動圧力は、0~10KPaGであり、作動温度は、28~45℃である。大量の酸化性ガスは、脱硫再生塔の塔頂部の気相出口から溢れ出て、気液分離器に入る。1つまたは複数の実施形態では、気液分離器の作動圧力は、0~10KPaGである。1つまたは複数の実施形態では、気液分離器8に入る酸化性ガスは、主に、窒素ガス、酸素ガス、および少量の硫化水素およびアンモニアガスを含む。脱硫再生塔がアルカリ脱硫法を利用する場合、酸化性ガスは、さらに一定量の二酸化炭素を含む。
【0060】
ステップ2において、気液分離器の頂部にミスト捕集層が設置され、ミスト捕集層で捕集されたミスト滴は、気液分離器の底部の液相出口から排出され、ポンプで20~200KPaG(例えば、20~60KPaG)に増圧された後、脱硫再生塔に戻る。分離された気相は、循環酸化性ガスであり、気液分離器の頂部の気相出口から溢れ出て、気体増圧装置に入る。
【0061】
ステップ3において、循環酸化性ガスは、気体増圧装置で500~800KPaGに増圧されて、補充酸化性ガスと混合し、さらに脱硫富液と混合して脱硫再生塔底部に入る。
【0062】
上記プロセスを実現するためのコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガスの処理システムは、脱硫再生塔1、気液分離器8、気体増圧装置9及びポンプ11を有する。前記脱硫再生塔1の塔頂部に気相出口が設けられ、前記脱硫再生塔1の上部に脱硫貧液出口4及び硫黄フォーム出口5が設けられる。前記脱硫再生塔1の中央部に分離液入口12が設けられ、脱硫再生塔1の底部に富液及び酸化性ガスの入口が設けられる。脱硫再生塔1の気相出口は、前記気液分離器8の気液混合物入口と接続され、気液分離器8の底部の液相出口は、ポンプ11の入口端と接続され、ポンプ11の出口端は、脱硫再生塔1の分離液入口12と接続される。気液分離器8の頂部の気相出口は、気体増圧装置9の入口端と接続され、気体増圧装置9の出口端は、循環気体パイプ3を介して混合パイプ6と接続され、循環気体パイプ3に補充酸化性ガス入口が設けられる。混合パイプ6に、脱硫富液入口2がさらに設けられ、混合パイプ6の出口は、脱硫再生塔1の底部の富液及び酸化性ガスの入口と接続される。
【0063】
本開示において、脱硫再生塔1の塔頂部の気相は、気液分離器8によってミストが分離、捕集されて、気体増圧装置9で増圧され、そして補充酸化性ガスと混合した後、脱硫再生塔1に返送されて循環利用されるので、システムの閉ループ稼働を実現し、排ガスを排出しない目標を達成することができる。
【0064】
1つまたは複数の実施形態では、前記気液分離器の頂部に、ミスト滴を捕集する1つまたは複数のミスト捕集層が設置される。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、前記気液分離器の頂部に、直列に配置される複数のミスト捕集層が設置される。
【0066】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層に充填材が充填されている。
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、前記ミスト捕集層の上方に、洗浄材を使用して前記ミスト捕集層を洗浄する洗浄ヘッドが設置される。
【0068】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄材は、外部洗浄材であり、前記外部洗浄材の入口は、パイプを介して前記洗浄ヘッドと接続される。
【0069】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄ヘッドは、気液分離器の底部の液相出口からの少なくとも一部の液体を洗浄材として前記洗浄ヘッドへ輸送できるように、パイプを介して気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口と接続される。
【0070】
1つまたは複数の実施形態では、前記洗浄ヘッドは、気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口及び外部洗浄材の入口の両方と接続される。
【0071】
1つまたは複数の実施形態では、前記システムは、前記洗浄ヘッドと気液分離器の底部の液相出口に位置する前記ポンプの出口との間に設置されるバルブと、前記洗浄ヘッドと外部洗浄材の入口との間に設置されるバルブとを、さらに有する。
【0072】
本願に記載のシステムは、上記のコークス炉石炭ガス脱硫再生塔排ガス処理プロセスを実現することができる。
【0073】
1つまたは複数の実施形態では、洗浄ヘッドは、気液分離器の底部の液相出口に位置するポンプ及び外部洗浄材入口のそれぞれと接続される。1つまたは複数の実施形態では、洗浄ヘッドと気液分離器の底部の液相出口に位置するポンプとの間にバルブが設置される。1つまたは複数の実施形態では、洗浄ヘッドと外部洗浄材入口との間にバルブが設置される。このような設計により、具体的な状況に応じて洗浄材を適切に選択することができる。例えば、気液分離器の底部の液相出口の液体不純物が多すぎ、または粘稠度が高すぎ、ミスト捕集層を十分に洗浄できない場合、例えば水などの外部洗浄材を使用してミスト捕集層を洗浄することができる。
【0074】
上記記載は、本公開の好ましい具体的な実施形態にすぎず、本公開の保護範囲がこれらに限定されない。当業者は、本公開に開示された技術範囲内において、本開示の技術案および思想に基づいて、変更または置換を行うことができ、これらの変更または置換も本公開の保護範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
脱硫富液の酸化再生に用いられる酸化性ガスを循環使用することにより、排気ガスを排出しないシステムを実現し、最終的に脱硫再生塔から排ガスを排出しない目的を達成する。従来の排ガス処理プロセスと比べて、余計なフットプリントが少なく、操作が利便であり、投資が少なく、稼働コストが低い利点がある。
【符号の説明】
【0076】
1 脱硫再生塔
2 脱硫富液入口
3 循環気体パイプ
4 脱硫貧液出口
5 硫黄フォーム出口
6 混合パイプ
7 補充酸化性ガス入口
8 気液分離器
9 気体増圧装置
10 ミスト捕集層
11 ポンプ
12 分離液入口
13 気液分離器の底部の液相出口
14 外部洗浄材入口
15 気液分離器の頂部
16 洗浄ヘッド
17 第1バルブ
18 第2バルブ