(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】熱伝導性ポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20221109BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20221109BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20221109BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C08L83/07
C08K3/08
C08L83/05
H01L23/36 M
(21)【出願番号】P 2022527740
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2022019901
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2021100448
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000221111
【氏名又は名称】モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】飯田 勲
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070800(JP,A)
【文献】特開2013-010862(JP,A)
【文献】特開2018-123310(JP,A)
【文献】特開2009-203373(JP,A)
【文献】特開2013-225636(JP,A)
【文献】特開平08-208993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00-83/16
C08K 3/00-13/08
H01L 23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)銀粉末、(B)分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有する
、直鎖状又は分岐状のポリオルガノシロキサン、(C)分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び(D)白金系触媒を含有する熱伝導性ポリシロキサン組成物であって、
(A)成分が、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm
3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)
一次粒径が0.1~5.0μmの一次粒子が2個以上凝集して形成され、タップ密度が1.0~5.0g/cm
3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を含み、
熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合が70~98質量%である、熱伝導性ポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A-1)成分/(A-2)成分の質量比が0.3~1.0である、請求項1に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
【請求項3】
さらに、(E)分子中に1個以上のジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を含む化合物を含有する、請求項1又は2に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
【請求項4】
(E)成分が、下記一般式(1)で示される化合物である、請求項3に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
【化1】
(式中、
R
1を含む単位、R
2を含む単位、SiR
3
2Oで表される単位は、一般式(1)で示されるとおりに配列している必要はなく、その配列の順番は任意であり、
R
1:炭素数1~4のアルコキシシリル基を有する基、
R
2:下記一般式(2):
【化2】
(式中、R
4は、それぞれ独立して炭素数1~12の1価の炭化水素基であり、Yは、R
1、R
4及び脂肪族不飽和基からなる群より選択される基であり、dは2~500の整数である)で示されるシロキサン単位を有する基又は炭素数6~18の1価の炭化水素基、
X:それぞれ独立して炭素数2~10の2価の炭化水素基、
a及びb:それぞれ独立して1以上の整数、
c:0以上の整数、
a+b+c:4以上の整数、
R
3:それぞれ独立して、炭素数1~6の1価の炭化水素基又は水素原子
である。)
【請求項5】
請求項1又は2に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化物を含む放熱材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性ポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、年々高集積化・高速化しており、それに応じて熱対策のための放熱材料の需要が高まっている。放熱材料にはシリコーン樹脂組成物が多く用いられている。ただし、シリコーン樹脂単体では熱伝導性を高めることはできないため、熱伝導性充填剤が併用される。熱伝導性充填剤として、シリカ粉、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム等に代表されるような、バインダーとなるシリコーン樹脂より熱伝導性の高い材料を添加することが知られている(特許文献1)。
【0003】
また。熱伝導性充填剤として熱伝導率の高い銀粉末を用いた熱伝導性シリコーン組成物が知られている。例えば、特定の構造及び動粘度を有するオルガノポリシロキサンと;タップ密度が3.0g/cm3以上であり、比表面積が2.0m2/g以下の銀粉末とを所定の割合で含有する熱伝導性シリコーン組成物が開示されており、アスペクト比が2.0以上150.0以下の銀粉末が好適に使用できることが示されている(特許文献2)。さらに、特定の構造及び動粘度を有するオルガノポリシロキサンと;タップ密度が3.0g/cm3以上であり、比表面積が2.0m2/g以下であり、アスペクト比が2.0~150.0である銀粉末と;平均粒径が5~100μmであり、10W/m℃以上の熱伝導率を有する、前記銀粉末以外の熱伝導性充填材と;特定の触媒と;を所定の割合で含有する熱伝導性シリコーン組成物が開示されている(特許文献3)。特許文献2及び3の熱伝導性シリコーン組成物は、良好な放熱効果を奏することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-003831号公報
【文献】特開2017-66406号公報
【文献】国際公開第2017/159252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシリコーン組成物は、熱伝導性が依然として不十分なものであった。特許文献2及び3のシリコーン組成物は、一定の熱伝導性を示すものの、銀粉末を高充填しようとすると、組成物の粘度が上昇し、作業性に劣るものとなった。作業性の低下しない範囲で銀粉末を高充填した特許文献2及び3のシリコーン組成物は、熱伝導性が依然として不十分なものであった。
【0006】
よって、本発明が解決しようとする課題は、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、熱伝導性材料として銀粉末に着目し、鋭意検討した結果、それぞれが特定の形状を有する2種類の銀粉末を併用したポリシロキサン組成物は、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性にも優れることを見出し、本発明に至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】
[1](A)銀粉末、(B)分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び(D)白金系触媒を含有する熱伝導性ポリシロキサン組成物であって、(A)成分が、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm
3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)タップ密度が1.0~5.0g/cm
3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を含み、熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合が70~98質量%である、熱伝導性ポリシロキサン組成物。
[2](A-1)成分/(A-2)成分の質量比が0.3~1.0である、[1]に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
[3]さらに、(E)分子中に1個以上のジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を含む化合物を含有する、[1]又は[2]に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
[4](E)成分が、下記一般式(1)で示される化合物である、[3]に記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物。
【化1】
(式中、
R
1を含む単位、R
2を含む単位、SiR
3
2Oで表される単位は、一般式(1)で示されるとおりに配列している必要はなく、その配列の順番は任意であり、
R
1:炭素数1~4のアルコキシシリル基を有する基、
R
2:下記一般式(2):
【化2】
(式中、R
4は、それぞれ独立して炭素数1~12の1価の炭化水素基であり、Yは、R
1、R
4及び脂肪族不飽和基からなる群より選択される基であり、dは2~500の整数である)で示されるシロキサン単位を有する基又は炭素数6~18の1価の炭化水素基、
X:それぞれ独立して炭素数2~10の2価の炭化水素基、
a及びb:それぞれ独立して1以上の整数、
c:0以上の整数、
a+b+c:4以上の整数、
R
3:それぞれ独立して、炭素数1~6の1価の炭化水素基又は水素原子
である。)
[5][1]~[4]のいずれか一つに記載の熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化物を含む放熱材料。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物は、(A)銀粉末、(B)分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び(D)白金系触媒を含有し、(A)成分が、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)タップ密度が1.0~5.0g/cm3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を含み、熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合が70~98質量%である。
【0011】
[(A)成分]
(A)成分は、銀粉末であり、ポリシロキサン組成物に熱伝導性を付与する成分である。(A)成分として、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)タップ密度が1.0~5.0g/cm3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を併用することにより、(A)成分をポリシロキサン組成物中に高充填させても低粘度を維持し、高い熱伝導性を得ることができる。
【0012】
<(A-1)成分>
(A-1)成分は、タップ密度が3.0~10.0g/cm3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末である。(A-1)成分の銀粉末は、熱伝導率を優位に向上させることができる。本発明において、フレーク状銀粉末とは、略平坦な面(X-Y平面)を有し、かつ、厚さ(Z)が略均一である銀粉末を指す。
【0013】
(A-1)成分のタップ密度は、3.0~10.0g/cm3である。(A-1)成分のタップ密度を上記範囲とすることにより、(A-1)成分の組成物中の充填率を上げることができ、低粘度と高い熱伝導性を両立させることができる。(A-1)成分のタップ密度は、好ましくは3.5~8.0g/cm3であり、より好ましくは3.5~7.0g/cm3であり、さらに好ましくは3.7~6.0g/cm3である。
【0014】
本発明において、タップ密度は、銀粉末100gを量り、ロートで100mlメスシリンダーに静かに落とした後、メスシリンダーをタップ密度測定器にのせて落差距離20mm、60回/分の速さで600回落下させ、圧縮した銀粉末の容積から算出した値である。
【0015】
(A-1)成分の平均粒径は、1~20μmである。なお、(A-1)成分は、1~20μmの範囲に粒度分布のピークを有する。(A-1)成分の平均粒径を1~20μmとすることにより、(A-1)成分をポリシロキサン組成物中に高充填した場合でも、(A-1)成分の沈降等が少なく、熱伝導性ポリシロキサン組成物の安定性が高まる傾向があり、粘度を低く、かつ、硬化物の熱伝導性を高めることが可能となる。(A-1)成分の平均粒径は、より好ましくは2~15μmであり、特に好ましくは3~10μmである。
【0016】
本発明において、(A-1)成分の平均粒径の測定値は、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50)である。レーザー回折・散乱法によるメジアン径(d50)は、例えば、株式会社島津製作所製SALD-2300を用いて測定することができる。
【0017】
(A-1)成分をポリシロキサン組成物中に高充填させた場合の組成物の粘度を低減する観点から、(A-1)成分のBET法による比表面積は、0.05~2.0m3/gであることが好ましく、より好ましくは0.06~1.0m3/gであり、さらに好ましくは0.08~0.5m3/gである。
【0018】
(A-1)成分をポリシロキサン組成物中に高充填させる観点から、(A-1)成分のアスペクト比は、2.0~150.0であることが好ましく、より好ましくは3.0~100.0の範囲であり、さらに好ましくは3.0~50.0の範囲である。
【0019】
本明細書において、アスペクト比は、フレーク状銀粉末について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、前記X-Y平面における最大径を長径とし、厚さ(Z)を短径とした場合に、長径/短径の比として算出される。本明細書において、アスペクト比は、100個のフレーク状銀粉末についての長径/短径の比の平均値である。
【0020】
銀粉末の製造方法は、特に限定されないが、例えば、電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、還元法等が挙げられる。銀粉末は、公知の方法により疎水化処理を施されていてもよい。(A-1)成分の銀粉末は、フレーク状の形態を有していれば、上記方法で製造されたものをそのまま用いてもよく、上記数値範囲を満たすように粉砕したものを用いてもよい。銀粉末を粉砕する場合、装置は特に限定されず、例えば、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ローラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。
【0021】
(A-1)成分の銀粉末は市販されており、例えば、福田金属箔粉工業株式会社製のシルコート(登録商標)AgC-2190H及びAgC-221A、株式会社徳力本店製のシルベスト(登録商標)TC-466、DOWAエレクトロニクス株式会社製のFA-D-3等を使用することができる。
【0022】
(A-1)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0023】
<(A-2)成分>
(A-2)成分は、タップ密度が1.0~5.0g/cm3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末である。本発明において、凝集状銀粉末とは、一次粒径が0.1~5.0μmの一次粒子が2個以上凝集して形成された銀粒子を指す。一次粒径は、0.2~2.0μmの範囲であることが好ましく、0.5~1.0μmの範囲であることがより好ましい。凝集状銀粉末中の一次粒子の数は、5個以上であることが好ましく、より好ましくは10個以上である。一次粒子の数の上限は、特に限定されないが、例えば、1000個以下である。
凝集状銀粉末は、一次粒径が0.1~5.0μmの範囲外の一次粒子が凝集していてもよい。凝集状銀粉末を構成する全一次粒子の個数に対する、一次粒径が0.1~5.0μmである一次粒子の個数は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。なお、凝集状銀粉末を構成する全一次粒子の個数に対する、一次粒径が0.1~5.0μmである一次粒子の個数の上限は100%である。
本発明において、凝集状銀粉末を形成する一次粒子の粒径は、凝集状銀粉末について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、観察された一次粒子の円相当径により求めることができる。
【0024】
作業性を悪化させない範囲で、(A-1)成分単独を高充填して得られるポリシロキサン組成物では、その硬化物の熱伝導性が依然として不十分であった。本発明者らは、銀粉末の充填効率を高めるべく、鋭意検討した結果、(A-1)成分及び(A-2)成分の併用系は、組成物の粘度を増加させることなく、均一な組成物が得られるとともに、(A-1)成分を単独で用いた組成物に比べ、より高い熱伝導率が達成できることを見出した。フレーク状銀粉末と凝集状銀粉末とが接触する場合は、フレーク状銀粉末同士又はフレーク状銀粉末と単一粒子状銀粉末とが接触する場合に比べ、銀粒子間の接触面積が増えるため、高い熱伝導性が得られるものと考えられる。
【0025】
(A-2)成分のタップ密度は、1.0~5.0g/cm3である。(A-2)成分のタップ密度を上記範囲とすることにより、(A-1)成分と併用した場合の組成物の粘度を低くするとともに、硬化物の熱伝導性を高めることができる。(A-1)成分のタップ密度は、好ましくは1.3~4.0g/cm3であり、より好ましくは1.5~3.0g/cm3である。タップ密度の測定法は、(A-1)成分と同様である。
【0026】
(A-2)成分の平均粒径は、1~10μmである。なお、(A-2)成分は、1~10μmの範囲に粒度分布のピークを有する。(A-2)成分の平均粒径を1~10μmとすることにより、(A-1)成分と併用した場合の組成物の粘度を低くするとともに、硬化物の熱伝導性を高めることができる。(A-2)成分の平均粒径は、より好ましくは1~8μmであり、さらに好ましくは1~6μm、特に好ましくは2~6μmである。
【0027】
本発明において、(A-2)成分の平均粒径の測定値は、空気透過法により測定したメジアン径(d50)である。空気透過法によるメジアン径(d50)は、例えば、マイクロメリティックスジャパン合同会社製Subsieve AutoSizerを用いて測定することができる。
【0028】
(A-2)成分をポリシロキサン組成物中に高充填させる観点から、(A-2)成分のBET法による比表面積は、0.05~2.0m3/gであることが好ましく、より好ましくは0.06~1.0m3/gであり、さらに好ましくは0.08~0.8m3/gである。
【0029】
(A-2)成分の銀粉末の製造方法は、特に限定されないが、例えば、電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、還元法等が挙げられる。銀粉末は、公知の方法により疎水化処理を施されていてもよい。
【0030】
(A-2)成分の銀粉末は市販されており、例えば、福田金属箔粉工業株式会社製のシルコート(登録商標)AgC-74SE、AgC-131、AgC-101H等を使用することができる。
【0031】
(A-2)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0032】
<(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合>
熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合は、70~98質量%である。(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合を上記範囲とすることで、熱伝導性に優れた熱伝導性ポリシロキサン組成物とすることができる。熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合は、80~98質量%であることが好ましく、85~97質量%であることがより好ましい。
【0033】
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A-1)成分及び(A-2)成分以外の銀粉末を含んでいてもよい。(A)成分100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の合計の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。(A)成分100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の合計の含有割合の上限は、100質量%である。
【0034】
(A-1)成分/(A-2)成分の質量比は、0.3~1.0であると好ましい。(A-1)成分/(A-2)成分の質量比が0.3より小さいと、銀粉末を高充填した場合に、組成物の粘度が上昇し、作業性に劣りやすくなり、1.0より大きいと、硬化物の熱伝導性に劣りやすくなる。(A-1)成分/(A-2)成分の質量比は、0.4~0.9であることがより好ましく、0.5~0.8であることがさらに好ましい。
【0035】
[(B)成分]
(B)分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンは、組成物において、ベースポリマーとなる成分である。(B)成分は、ケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基を一分子中に1個以上有し、(C)成分のヒドロシリル基(Si-H基)と付加反応することができるものであれば、特に限定されない。(B)成分の分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、下記平均組成式(I)で表されるものを使用することができる。
R41
jR42
kSiO[4-(j+k)]/2 (I)
(式中、R41は、脂肪族不飽和基であり、R42は、脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の1価炭化水素基である。j及びkは、0<j<3、0<k<3、及び1<j+k<3を満足する正数である。)
【0036】
R41における脂肪族不飽和基は、炭素数が2~8の範囲にあるものが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、1-ブテニル基、1-ヘキセニル基等を挙げることができ、好ましくはビニル基である。脂肪族不飽和基は、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上含有される。また、脂肪族不飽和基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
【0037】
R42の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、シアン基等で置換した基、例えばクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-(ノナフルオロブチル)エチル基、2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基;α-シアノエチル基、β-シアノプロピル基、γ-シアノプロピル基等のシアノアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、R42は、アルキル基及びアリール基であることが好ましく、より好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0038】
j及びkは、好ましくは0.0005≦j≦1、1.5≦k<2.4、及び1.5<j+k<2.5を満足する数であり、より好ましくは0.001≦j≦0.5、1.8≦k≦2.1、及び1.8<j+k≦2.2を満足する数である。
【0039】
(B)成分の分子構造は、直鎖状、分岐状又は環状であることが可能であるが、直鎖状又は分岐状のものが好ましい。なかでも、(B)成分は、両末端がMvi単位(ジメチルビニルシロキサン単位)で閉塞され、中間単位がD単位(ジメチルシロキサン単位)のみからなる直鎖状のポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
(B)成分の23℃における粘度は、10~100,000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは20~10,000mPa・sである。
【0040】
(A)成分100質量部に対する(B)成分の含有量は、1.5~35質量部であることが好ましく、より好ましくは1.5~30質量部、さらに好ましくは1.5~28質量部、特に好ましくは1.5~15質量部である。
【0041】
(B)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0042】
[(C)成分]
(C)分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(B)成分の架橋剤となる成分である。(C)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上、好ましくは3個以上有するものである。この水素原子は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両方に結合していてもよい。また、両末端のケイ素原子にのみ結合した水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンを使用することもできる。(C)成分の分子構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状あるいは三次元網目状のいずれでもよく、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0043】
(C)成分としては、下記平均組成式(II)で表されるものを使用することができる。
R51
mHnSiO[4-(m+n)]/2 (II)
(式中、R51は、脂肪族不飽和結合を含まない置換又は非置換の1価炭化水素基である。m及びnは、0.5≦m≦2、0<n≦2、及び0.5<m+n≦3を満足する数である。)
【0044】
R51の具体例は、平均組成式(I)のR42において例示した基を挙げることができる。これらの中でも、合成のし易さ、コストの点から、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0045】
m及びnは、好ましくは0.6≦m≦1.9、0.01≦n≦1.0、及び0.6≦m+n≦2.8を満足する数である。
【0046】
(C)成分の23℃における粘度は、10~500mPa・sであることが好ましい。
【0047】
(C)成分としては、両末端がM単位(トリメチルシロキサン単位)で閉塞され、中間単位がDH単位(メチルハイドロジェンシロキサン単位)のみからなる直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン;両末端がM単位(トリメチルシロキサン単位)で閉塞され、中間単位がD単位(ジメチルシロキサン単位)及びDH単位(メチルハイドロジェンシロキサン単位)のみからなり、ジメチルシロキサン単位1モルに対して、メチルハイドロジェンシロキサン単位が0.1~2.0モルである直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン:又はMH単位(ジメチルハイドロジェンシロキサン単位)及びQ単位(SiO4/2単位)のみからなるポリメチルハイドロジェンシロキサンが特に好ましい。
【0048】
(C)成分の配合量は、(B)成分のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和基1個に対して、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~20個となる量であることが好ましく、より好ましくは0.2~15個となる量である。(C)成分の配合量が上記範囲内であると、熱伝導性ポリシロキサン組成物の経時安定性が良好で、硬化した場合の架橋度合が十分となりやすく、適度な硬度の硬化物が得られやすい。
【0049】
[(D)成分]
(D)白金系触媒は、(B)成分と(C)成分との混合後、硬化を促進させる成分である。(D)成分としては、ヒドロシリル化反応に用いられる周知の触媒を用いることができる。例えば、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類又はビニルシロキサンとの錯体、白金-ビニルテトラマー錯体、白金ビスアセトアセテート等を挙げることができる。(D)成分の配合量は、所望の硬化速度等に応じて適宜調整することができるものであり、(B)成分と(C)成分との合計量に対し、白金元素に換算して0.1~1,000ppmの範囲とすることが好ましい。(D)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0050】
また、より長いポットライフを得るために、(D-2)反応抑制剤の添加により、触媒の活性を抑制することができる。公知の白金族金属用の反応抑制剤として、2-メチル-3-ブチン-2-オール、1-エチニル-2-シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。
【0051】
[(E)成分]
熱伝導性ポリシロキサン組成物の粘度をさらに低下させ、作業性を向上させる観点から、熱伝導性ポリシロキサン組成物は、(E)分子中に1個以上のジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を含む化合物を含有することが好ましい。(E)成分としては、1分子中に少なくとも次の一般式:
-SiR11
3-z(OR12)z (III)
(式中、R11は炭素数1~6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、R12は炭素数1~6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、zは2又は3である)で表されるアルコキシシリル基を有する化合物が好ましく、下記一般式(1)で示される化合物であることが特に好ましい。
【0052】
一般式(1)で示される化合物において、R
1を含む単位、R
2を含む単位、SiR
3
2Oで表される単位が一般式(1)で示されるとおりに配列している必要はなく、例えばR
1を含む単位とR
2を含む単位との間にSiR
3
2Oで表される単位が存在していてもよいことが理解される。
【化3】
(式中、
R
1:炭素数1~4のアルコキシシリル基を有する基、
R
2:下記一般式(2):
【化4】
(式中、R
4は、それぞれ独立して炭素数1~12の1価の炭化水素基であり、Yは、R
1、R
4及び脂肪族不飽和基からなる群より選択される基であり、dは2~500の整数、好ましくは4~400の整数、より好ましくは10~200の整数、特に好ましくは10~60の整数である)で示されるシロキサン単位を有する基又は炭素数6~18の1価の炭化水素基、
X:それぞれ独立して炭素数2~10の2価の炭化水素基、
a及びb:それぞれ独立して1以上の整数、
c:0以上の整数、
a+b+c:4以上の整数、
R
3:それぞれ独立して、炭素数1~6の1価の炭化水素基又は水素原子
である。)
【0053】
一般式(1)で示される化合物としては、下記の構造式で表される化合物を好ましく使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【化5】
【0054】
さらに、一般式(1)で示される化合物の好ましい例として、下記の構造式で示される化合物を挙げることができる。
【化6】
【0055】
熱伝導性ポリシロキサン組成物中の(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~10質量部、特に好ましくは0.5~5質量部である。
【0056】
(E)成分は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0057】
[その他の成分]
熱伝導性ポリシロキサン組成物は、更に必要に応じて、難燃性付与剤、耐熱性向上剤、可塑剤、着色剤、接着性付与材、希釈剤、有機又は無機の熱伝導性を有さない顔料、(A)成分以外の熱伝導性充填剤;(B)、(C)及び(E)成分以外のポリオルガノシロキサン;(D)成分以外の触媒等を本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
【0058】
(A)成分以外の熱伝導性充填剤としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ等の金属酸化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物;アルミニウム、銅、金等の金属;金属/金属酸化物のコアシェル型粒子等を使用することができる。
【0059】
[熱伝導性ポリシロキサン組成物の製造方法]
熱伝導性ポリシロキサン組成物は、(A)~(D)成分、更に必要に応じて(E)及びその他の成分をプラネタリー型ミキサー等の混合機で混合することにより得ることができる。混合時には、必要に応じて50~150℃の範囲で加熱しながら混合してもよい。更に均一仕上げのためには、高剪断力下で混練操作を行うことが好ましい。混練装置としては、3本ロール、コロイドミル、サンドグラインダー等があるが、中でも3本ロールによる方法が好ましい。
【0060】
[熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化方法]
熱伝導性ポリシロキサン組成物を硬化させる方法としては、例えば、放熱を要する被着体に該組成物を塗布後、該組成物を室温で放置する方法、50~200℃の温度で加熱する方法等が挙げられる。迅速に硬化させる観点から、加熱する方法を採ることが好ましい。
【0061】
[放熱材料]
熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化物を含む放熱材料は、熱線法で測定した23℃における熱伝導率が2.0W/(m・K)以上のものである。熱伝導率は、8W/(m・K)以上であることが好ましく、より好ましくは10W/(m・K)以上ある。前記熱伝導率を調整して放熱効果を高めるためには、組成物中の(A)成分の含有割合が70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、要求される熱伝導率に応じて(A)成分の含有割合を増加させることができる。
【0062】
放熱材料は、発熱量の多いCPUを搭載しているPC/サーバー、パワーモジュール、超LSI及び光部品(光ピックアップ、LED等)を搭載した各電子機器;家電機器(DVD/HDDレコーダー(又はプレイヤー)、BD・DVD/HDDレコーダー(又はプレイヤー)、FPD等のAV機器等);PC周辺機器;家庭用ゲーム機;自動車;インバーター、スイッチング電源等の産業用機器等の放熱材料として使用することができる。
【実施例】
【0063】
<使用成分>
(A)成分
(A-1)成分:フレーク状銀粉末
福田金属箔粉工業株式会社製、シルコート(登録商標)AgC-2190H(タップ密度:4.35g/cm3、見かけ密度:2.64g/cm3、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50):6.8μm、BET比表面積:0.36m2/g、アスペクト比:12)
(A-2)成分:凝集状銀粉末
福田金属箔粉工業株式会社製、シルコート(登録商標)AgC-74SE(タップ密度:1.89g/cm3、見かけ密度:1.02g/cm3、空気透過法により測定したメジアン径(d50):4.6μm、BET比表面積:0.19m2/g)
(A’)成分:単一粒子状銀粉末
福田金属箔粉工業株式会社製、シルコート(登録商標)AgC-161(タップ密度:3.33g/cm3、見かけ密度:1.64g/cm3、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d50):4,6μm、BET比表面積:0.79m2/g)
【0064】
(B)成分
両末端ビニル基ジメチルポリシロキサン(粘度:3Pa・s、ビニル基濃度:0.08mmol/g)
【0065】
(C)成分
ポリメチルハイドロジェンシロキサン:MD20DH
20M(粘度:0.03Pa・s、H濃度:7.3mmol/g)
【0066】
(D)成分
白金系触媒:白金量1.8質量%、白金-ビニルシロキサン錯体
【0067】
(D-2)成分
反応抑制剤:マレイン酸ジアリル
【0068】
(E)成分
トリアルコキシシリル基含有ポリオルガノシロキサン:
【化7】
【0069】
<測定方法>
[粘度]
JIS K6249に準拠。23℃における組成物の粘度を、回転粘度計ローターNo.7、回転数20rpm、1分値として測定した。
【0070】
[熱伝導率]
23℃において、Hot disk法に従い、ホットディスク法 熱物性測定装置(京都電子工業社製、TPS 1500)を用いて測定した。
【0071】
実施例1~2及び比較例1~3
表1に示す(A)、(B)及び(E)成分をそれぞれプラスチック容器に仕込み、自転公転ミキサーで室温にて5分間撹拌混合して混合物を得た。その後、前記混合物にそれぞれ(C)、(D)及び(D-2)成分を添加・混合して、実施例1~2及び比較例1~3の熱伝導性ポリシロキサン組成物を得た。こうして得た組成物の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
実施例1~2及び比較例1~3の熱伝導性ポリシロキサン組成物について、金型中で150℃×1時間加熱硬化することにより、厚さ6mmの熱伝導性ポリシロキサン組成物の硬化物を得た。こうして得た硬化物の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【0074】
(A)成分が、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)タップ密度が1.0~5.0g/cm3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を含み、熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合が70~98質量%である、実施例の熱伝導性ポリシロキサン組成物は、組成物の粘度が低いため、作業性に優れ、硬化物の熱伝導率も高い。
【0075】
一方、(A)成分として、(A-1)フレーク状銀粉末のみを使用した比較例1の組成物では、硬化物の熱伝導性に劣る結果となった。(A)成分として、(A-2)凝集状銀粉末のみを使用した比較例2では、(A-2)成分と(B)及び(E)成分との混合時に、各成分が分離し、均一な混合物が得られなかった。(A-1)成分と(A’)単一粒子状銀粉末とを併用した比較例3の組成物では、硬化物の熱伝導率が大きく低下した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の熱伝導性ポリシロキサン組成物は、パーソナルコンピューター等の電子機器のような発熱部位を有する各種機器用の放熱材料として使用することができる。
【要約】
低粘度であるため作業性に優れ、熱伝導性の高い熱伝導性ポリシロキサン組成物、及びそれを使用した放熱材料を提供する。
(A)銀粉末、(B)分子中に1個以上の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン、(C)分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び(D)白金系触媒を含有する熱伝導性ポリシロキサン組成物であって、(A)成分が、(A-1)タップ密度が3.0~10.0g/cm3であり、平均粒径が1~20μmであるフレーク状銀粉末、及び(A-2)タップ密度が1.0~5.0g/cm3であり、平均粒径が1~10μmである凝集状銀粉末を含み、熱伝導性ポリシロキサン組成物100質量%中の(A-1)成分及び(A-2)成分の含有割合が70~98質量%である、熱伝導性ポリシロキサン組成物。