(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】コップ形木製薄板容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 19/00 20060101AFI20221110BHJP
B27M 3/24 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A47G19/00 A
A47G19/00 G
B27M3/24 B
(21)【出願番号】P 2021099896
(22)【出願日】2021-06-16
(62)【分割の表示】P 2019034929の分割
【原出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2018138883
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306029604
【氏名又は名称】株式会社高瀬文夫商店
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 加津男
(72)【発明者】
【氏名】石橋 仙二
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 信行
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-215002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0121681(US,A1)
【文献】特公昭33-000382(JP,B1)
【文献】特表2015-521572(JP,A)
【文献】特開2010-005962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/00
B27M 3/24
B65D 3/06,3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に延在する木目幅0.5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、0.1~0.5mmの厚さの
矩形の木材スライス単薄板
の端部に接着剤を塗布し、接着剤が塗布された木材スライス単薄板を、逆円錐台形状のコップ形型枠
の底板の底面と前記木材スライス単薄板の木目方向とによりなす角度が10~30°の角度となるように、このコップ形型枠の外側面に少なくとも1回巻き
回すことにより、逆円錐台形状の内筒を形成し、
その後、この内筒の一方の開口に底板を固定し、
その後、この内筒の上部、中間部、下部の2~3箇所に10~20mmの曲線帯状薄平板を1回巻き回し、
その後、少なくともこの内筒の外側面でその軸方向の両端部に、木材をスライスした
長さ方向に延在する木目模様を持つ単薄板からなる一対の所定幅の帯材を
、この内筒の軸に対してその木目方向が10~30°の角度となるように、この内筒の外側面に少なくとも1回巻き回して
外筒を形成することにより、
側部内部で部分的に中空状態を設けた木製薄板容器と
したコップ形木製薄板容器の製造方法。
【請求項2】
長さ方向に延在する木目幅0.5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、0.1~0.5mmの厚さの
矩形の木材スライス単薄板
の端部に接着剤を塗布し、接着剤が塗布された木材スライス単薄板を、逆角錐台形状のコップ形型枠
の底板の底面と前記木材スライス単薄板の木目方向とによりなす角度が10~30°の角度となるように、このコップ形型枠の外側面に少なくとも1回巻き
回すことにより、逆円錐台形状の内筒を形成し、
その後、この内筒の一方の開口に底板を固定し、
その後、この内筒の上部、中間部、下部の2~3箇所に10~20mmの曲線帯状薄平板を1回巻き回し、
その後、少なくともこの内筒の外側面でその軸方向の両端部に、木材をスライスした
長さ方向に延在する木目模様を持つ単薄板からなる一対の所定幅の帯材を
、この内筒の軸に対してその木目方向が10~30°の角度となるように、この内筒の外側面に少なくとも1回巻き回して
外筒を形成することにより、
側部内部で部分的に中空状態を設けた木製薄板容器と
したコップ形木製薄板容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライス単薄板を杢目の特徴のある木目方向に対して特定角度で巻いたコップ型木製薄板容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にコップはガラス製であるが、最近は使い捨てとして、紙コップが普及しているが、しかし趣が劣り、静寂な雰囲気の中で落ち着いた状態で飲料をしんみりと飲食する場合には適していない。ガラス製、金属製、樹脂製、紙製、陶器製のコップは種々の面で普及されているが、しかし趣を持って使い捨ても可能な自然界に還元できる材料を望んでいる。その中で樹木の特性を持った、木製のコップは希少であり、木質の温もり、香りをもつコップ容器について期待されているが、普及に至っていない。
【0003】
木材の柔らかくても美しい木目の木や特有な香りを放ち、安価な木も使用でき、洗いやすく、殺菌作用を持っている木材での飲料用コップは少ない。しかし木の外壁とガラスの内壁とで構成した、保温や保冷を目的とする飲用コップとして、外壁は上端部または上端部付近までを単に木製にして、木製外壁とガラス製内壁を製造する過程で、木製外壁の内側にガラス製内壁を入れたとき、唇が木製外壁と接しないように、ガラス製内壁が木製外壁の上端部より上方で、木製外壁の内側にガラス製内壁を入れて、木製外壁の上端部または上端部付近でガラス製内壁とシーリングした容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また保温や保冷を目的とする飲用コップは、ガラス製、金属製、樹脂製、紙製、陶器製で多くみられるが、木製のみ、あるいは木材を部分に使用した飲用コップは市場に見られない。またガラス製や金属製のコップにおいては冷たいもので、外面に結露が着く場合があり、樹脂製、紙製では、高級感をもたらさない。樹脂製の外壁と、金属製の内壁という異なる素材で構成する二重壁を有した飲用コップが存在し、木製の外壁とガラス製の内壁という異なる素材で二重壁を構成する飲用コップは提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
木なる素材で構成する飲用コップの場合は、異なる素材の継ぎ目に、液体の侵入や空気の出入りが起きないようにするために、ガラスや金属などの同一素材と異なり、溶かして溶着することができない。そのため異なる素材の継ぎ目には、ガスケットやパッキンや接着剤などの木やガラスとは異なる素材のシール材を用いてシーリングをする必要がある。または木の外壁とガラスの内壁のそれぞれにネジ溝を加工し、締め付けることにより、異種素材同士を密着させることでシーリングを行い、保温や保冷の目的を達成することもできる。しかし普及には至っていないのが現状である。
【0006】
一方使え捨て容器において、珈琲などに砂糖を加えて混ぜ合わせる際に使用する、使い捨てスプーン付コップを提案されているが。コップ本体に取手部分を設け、該取手部分の中央に、切り離して使用できるラミネート加工されたスプーンを設け、使用後、コップ本体とスプーンとを分別せず処分できる使い捨てスプーン付コップが必要である。また、スプーンの柄の部分にはフックを設けてあるので、コップの淵にかけておけることもできる紙、木材製品が提案されている(特許文献4参照)
【0007】
なお、紙のコーヒーカップにプラスチック製のカバーとして外側に覆って使うような、やけどを防止する目的で、別体のコップとそのカバーが入れ子状のセットになって、容易に脱着可能な飲用コップの種類は、コップとカバーの継ぎ目にシール材を用いるなどしてシーリングをしておらず、空気の出入りが大きいために保温や保冷の効果が大きく下ったり、継ぎ目から液体の侵入が起きて汚れるが容易に洗えるなど、目的が異なる。紙コップ向け以外では、別体のコップとそのカバーが入れ子状のセットになっているやけどを防止する目的の飲用コップは普及しておらず、保温や保冷を目的とする飲用コップとはユーザーや市場規模が大きく異なっている。
【0008】
蓋付き円筒状容器について、薄板で加工が簡単であるとともに、外周面に天然素材の立体的な木目デザイン変化を醸しだすことができる容器において、有底円筒状の主筒と、その主筒の開口を開閉する蓋筒とより構成するもので、主筒及び蓋筒は、木製の薄板を軸線に対して薄板を傾斜するように巻回して構成して、薄板の端縁により、主筒及び蓋筒の外周面に段差状の装飾部を形成する。この装飾部では、軸線に対して木目の傾斜する方向へ延びるように形成する薄板による蓋付き円筒容器が提案されている(特許文献5参照)。
【0009】
一般コップとしては、ガラス、金属が主体であり、一般に冷たい飲料水を飲むために使用される。しかし木製のコップについては、木屑を圧縮加工したり、また掘り込んでコップ状容器にしている。しかし木の柔らかさと、香りを持ち、斜傾的木目を呈している木材のみで製作された飲料用の自然観のある薄板を巻いて製作された木製コップは今までには存在していない。また薄板で容器を製作されているが、コップ状ではなく、円形の筒状であり、蓋付きによって強度を保持して、水を使用すると変形して強度的に弱くなってします。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-123798号公報
【文献】登録実用新案第3000021号公報
【文献】登録実用新案第3188316号公報
【文献】特開2008-290774号公報
【文献】特開2010-5962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本飲料用コップ物品は、ガラス製や金属製、樹脂製、陶器製で広く普及している保温や保冷を目的とする飲用コップに関するものが一般てきである。しかし素材を異なって趣を持たせて、環境的に問題が少ない、木材を外壁、内壁とした木材の特性を持つ飲用コップに関するものが期待されている。木製の容器では、漆塗りやウレタン塗装等を施した木製のお椀は、使用するうちに木材の表面に塗装された漆や塗料が削れて寿命が短くなるので、ガラス製や金属製や陶器製などの塗装が無い素材のものとは異なり、強くこすったり、強い洗剤で洗うことが推奨されない。特に木の塗装の中では、蜜蝋や柿渋などの高級な塗装や、さらにはヒノキ風呂のような無塗装の木を使ったものも洗浄に弱いと課題もある。
【0012】
現在使用されているコップはすべてガラス製、プラスチック製である。このプラスチック製食器は他の生物に悪影響を与えて、環境の面から使用禁止になる方向である。今までは、プラスチック製で、種々の形状を安価に製造できることから、他の材料から全く検討はされていなかった。とくに欧州などではプラスチック製コップなどの食器容器は禁止になり、使用が難しくなっている。自然に優しい木材、紙製品が期待するが、製作上、或いは価格的に課題を多くもっている。自然に優しい木材を使用した有効なコップを木製の特性を持たせた飲用製品に製作することを目的にしている。
【0013】
木材の種類、色彩、香りによる、木目の美しさや、癒やしなど感覚的理由で、身の回りの調度品や内装パネルなどに使用されて行く傾向にある中で、食器類を木製にすることも求められている。木製に対してはガラス製や陶器製や金属製などに対して耐久性、衛生的で広く普及することには至っていなし。使い捨て、或いは木材のオンリーワンの特性を活用すること、内容物の殺菌、保温、保冷をすることを目的とする飲用コップとしてまだ商品として製造上、価格上でも上市されていない。しかし技術的には可能であるが、木をくり抜く製造コストがかかったり、大量生産が困難であるなど課題が多い。
【0014】
スギやヒノキなど木目の美しさを求めて高級なお椀などを作ることが多いが、それらと同じように木目の美しさを求めて、柔らかい種類の木を使った外壁が木製、内壁で構成し、コップの上端部または上端部付近でシーリングした二重壁を有する飲用コップを作っても、美観を損ねたり、寿命が短くなるという欠点がある。さらに柔らかい、木目の美しい、経済的に安価に普及できる木材の薄板を使用して、木材の容器の特性を呈しながら、使い捨てを主体とする木製飲用コップ容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、長さ方向に延在する木目幅0.5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、0.1~0.5mmの厚さの矩形の木材スライス単薄板の端部に接着剤を塗布し、接着剤が塗布された木材スライス単薄板を、逆円錐台形状のコップ形型枠の底板の底面と前記木材スライス単薄板の木目方向とによりなす角度が10~30°の角度となるように、このコップ形型枠の外側面に少なくとも1回巻き回すことにより、逆円錐台形状の内筒を形成し、その後、この内筒の一方の開口に底板を固定し、その後、この内筒の上部、中間部、下部の2~3箇所に10~20mmの曲線帯状薄平板を1回巻き回し、その後、少なくともこの内筒の外側面でその軸方向の両端部に、木材をスライスした長さ方向に延在する木目模様を持つ単薄板からなる一対の所定幅の帯材を、この内筒の軸に対してその木目方向が10~30°の角度となるように、この内筒の外側面に少なくとも1回巻き回して外筒を形成することにより、側部内部で部分的に中空状態を設けた木製薄板容器としたコップ形木製薄板容器の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、長さ方向に延在する木目幅0.5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、0.1~0.5mmの厚さの矩形の木材スライス単薄板の端部に接着剤を塗布し、接着剤が塗布された木材スライス単薄板を、逆角錐台形状のコップ形型枠の底板の底面と前記木材スライス単薄板の木目方向とによりなす角度が10~30°の角度となるように、このコップ形型枠の外側面に少なくとも1回巻き回すことにより、逆円錐台形状の内筒を形成し、その後、この内筒の一方の開口に底板を固定し、その後、この内筒の上部、中間部、下部の2~3箇所に10~20mmの曲線帯状薄平板を1回巻き回し、その後、少なくともこの内筒の外側面でその軸方向の両端部に、木材をスライスした長さ方向に延在する木目模様を持つ単薄板からなる一対の所定幅の帯材を、この内筒の軸に対してその木目方向が10~30°の角度となるように、この内筒の外側面に少なくとも1回巻き回して外筒を形成することにより、側部内部で部分的に中空状態を設けた木製薄板容器としたコップ形木製薄板容器の製造方法である。
【0016】
木材スライス単薄板は、柾目部分で木質の特性を持つ木製平板において、比重0.4以上である木材における木目幅0.5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、前記単薄板の面の粗さ±0.1mm以内になっている平滑平板で鮮明な杢目を呈する松材、モミ材、ヒノキ材、スギ材で、前記材の厚さ0.1~0.5mmに調整された薄平板であり、前記薄板平板の端部に接着剤を塗布して、コップ形型枠に底板を敷いて木目方向10~30°角度の方向に、前記容器の形状と同型の型枠に沿って1~4回に回巻して得られた木製逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状になっている200~800ml容積の容器にして,前記容器の表面を塗膜の被覆処理している。
【0017】
前記容器の上部開口部において70~100mm直径、又は長さを持つ木製逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状は、幅80~120mm、長さ250~400mmの単薄平板を木目傾斜方向で回巻し、前記単平板の端部である接合面に食品安全性の多糖質系、又はウレタン系エマルジョンの接着剤を使用した前記平板片面の接合面の端に塗布して、円形状、又は角形状の底板と容器と同型の型枠に捲着した円錐台形状体、又は逆角錐台形状体を得て、前記円錐台形状体、又は逆角錐台形状体の周囲を加熱処理した薄板捲着した逆円錐台形体、又は逆角錐台形形状体から前記型枠を引き抜き、薄板の木製逆円錐台形状容器、又は逆角錐台形状容器にして、ヤニ、臭い抜きのために前記容器に水蒸気処理を行っている。
【0018】
前記コップ形木製薄板容器の内表面、及び外表面を被膜する有機質、又は無機質の膜材物質は、漆塗料、ウレタン塗料、シリコンナノシリカーシリケート塗料で選ばれたものであり、漆塗料は、ウルシ科のウルシノキやブラックツリーから採取した樹液を加工した、ウルシオールを主成分とする天然樹脂の塗料であり、ウレタン塗料は、主剤として複数の水酸基を持つポリオール成分と硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせた塗料であり、シリコン塗料は、ナノシリカとケイ素を核としたシロキサン結合を持つ無機化合物とビヒクルとの塗料であり、前記木製容器の内外表面に木目が浮き出ているような厚さ5~
50ミクロンの塗布膜になっている。
【0019】
前記型枠は、木製、又は樹脂製であって、コップ形木製薄板容器の内面と同様なコップ形の逆円錐台形、又は逆角錐台形の形状であって、単薄平板を木目傾斜方向で回巻したコップ状容器を型枠から安易に抜き出すことができるように表面を平滑にして、コップ形型枠に置く底板は、厚さ5~12mmで、容器の上部開口部の径、又は長さよりも寸法で7~25mm小さくした木製板である。
【0020】
薄平板を回巻して、逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状になった状態で、外表面での一重目薄平板と二重目薄平板とで容器の上部の方向において木目傾斜の勾配角度が高くなっており、外表面の木目模様で10°から60°へと高い角度を呈した特有杢目模様を呈した状態にして、薄平板の継ぎ目は、容器の外表面に斜めに接着されて、薄平板の切り目では二~三重目との境界の接着面を持っている。
【0021】
薄平板を回巻して、逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状になった状態の木製薄板容器において、前記コップ形の木製薄板容器の上部、中間部、下部の二~三箇所に10~20mm幅の曲線帯状薄平板を1周巻いて、前記帯状薄平板を巻いた面の全体に木材スライス単薄板の柾目部を木目方向に対して10~30°の角度で1~2回斜巻して、コップ容器上部の側部縁の厚さを0.8~2mmにして、側部内部で部分的に中空状態を設けている木製逆円錐台形、又は逆角錐台形の容器になっている。
【発明の効果】
【0022】
木材の特性を活かして、使い捨て、或いは木材の木目模様でオンリーワンの特性を活用すること、内容物の殺菌、保温、保冷を効果的にできるコップ型木製薄板容器になって、コップの内表面である木製飲用コップでありながら、人の唇が当たる部分は、木材による凹凸感や木感などによる表面にでき、唇に当てた感触も良くなり、木質の特性の殺菌性において衛生的になる。外表面傾斜の杢目と継ぎ目でのデザインを高めて、美観を損ねることがなく、従来の製品と特異性をもっている。
【0023】
容器の外表面は、木の温もりと柔らかい種類の木を使えるので、使用できる木の特性である傾斜の木目の美しい木の種類が増えたり、経済的に安価な木を使うことができる。無塗装の木を内表面に使用でき、コップの外表面での杢目での種々の特徴あるデザインの種類を大幅に増やすことができる。
ウイスキーなどの洋酒、ビールなどを飲む場合、口に当てた時の感触が、お椀や日本酒で使う枡のような連想を抱く木製で、ガラス製でなくアルコール類の飲料で違和感を感じない。また、同時にウイスキーの樽を連想させる美しい木の外観も楽しむことができる。保温や保冷の効果の減少は、実用上大きな違いを生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】コップ形木製逆円錐台形薄板容器の斜視図。A:完全巻き型 B:斜め切り取り型 C:垂直切り取り型
【
図2】コップ形木製逆円錐台形薄板容器の製作における製作工程に関する図 A:型枠に巻く前 B:巻く状態 C:捲着型枠体
【
図3】コップ形木製逆円錐台形薄板容器の製作における薄板巻き状態の拡大図。A:型枠体 B:底板
【
図4】コップ形木製逆角錐台形薄板容器の斜視図。A:四角錐台形薄板容器 B:六角錐台形薄板容器
【
図5】コップ形木製薄板容器の側面部に中空部を設けた容器を示した斜視図 A:帯状薄平板を巻いた状態 B:帯状薄平板を巻いた後に薄平板を巻いた状態 C:中空の存在を示す断面の状態 D:中空あり製品
【
図6】コップ形木製薄板容器に塗装状態を示した断面図 A:詳細断面 B:全体図
【
図7】コップ形木製薄板容器の漆塗装の側面部の顕微鏡写真図 A:100倍写真 B:400倍写真
【
図8】コップ形木製薄板容器のウレタン塗装の側面部の顕微鏡写真図 400倍写真
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
プラスチック製製品に代わるものとして、自然に優しい木材の材料を目指して、製作上、或いは価格的に検討を加えて、自然に優しい木材を使用した有効なコップ型木製薄板容器を製作する方法について示す。
【実施例1】
【0026】
図1Aに示すように、0.4mm厚さの木材スライス単薄板を木目方向に対して15°の角度でコップ形型枠に2回斜巻して、上部の管径80mmの木製逆円錐台形の容器になっているコップ型木製薄板容器を製作した。
木材スライス単薄板は、木質の特性を持つ木製平板において、比重0.44である杉木材における木目幅1~30mmの範囲にある柾目部分の木目模様を持ち、前記単薄板の面粗さは±0.1mm以内の平滑平板の鮮明な木目を呈するモミ材で、
図2に示すように前記材の厚さ0.4mmに調整された平滑的薄平板を、木目方向10°角度で、前記平板の端部に接着剤を塗布して、10mmの底板を敷いて前記容器の形状と同型の型枠に沿って2回に巻いて得られた木製逆円錐台形形状の約360mlの容器であった。
【0027】
図2のA,B,Cの順に前記容器の上部開口部の管径80mmの木製の木製逆円錐台形形状は、幅100mm、長さ350mmの単平板を木目傾斜方向で巻く、前記単平板の端部である接合面に食品安全性の多糖質系の接着剤を使用した前記平板片面の接合面の端に塗布して、円盤状底板と容器と同型の型枠に捲着した円錐台形状体を得て、前記円錐台形状体の周囲を加熱処理した薄板捲着した逆円錐台形体から前記型枠を引き抜き、薄板の木製逆円錐台形形状容器にして、
図7に示すように乾燥後に外部表面に漆塗料で30μmの厚さの被覆処理を施した。
【0028】
前記型枠は、木製であって、コップ型木製薄板容器の内面と同様なコップ形の逆円錐台形の形状であって、単薄平板を木目傾斜方向で回巻したコップ状容器を型枠から安易に抜き出すことができるように表面をペーパー研磨して平滑にして、
図3に示すように型枠の下部に置く底板は、厚さ10mmで、容器の上部開口部の径、又は長さよりも寸法で15mm小さくした木製板にした。
【0029】
図1Aのように薄平板を回巻して、逆円錐台形形状になった状態で、外表面での一重目薄平板と二重目薄平板とで容器の上部の方向において木目傾斜の勾配角度が高くなっており、外表面の木目模様で10°から60°へと高い角度を呈した特有杢目模様を呈した状態にして、薄平板の継ぎ目は、容器の外表面に斜めに接着されて、薄平板の切り目では二重目との境界の接着面が斜め方向にした。
これによって、木目が鮮明で木材で製作されたコップ型木製円錐台形薄板容器になって、
図5のようにビールを注入して飲食した場合には、木のかおりをもたらして今までにない感触を味わった。
このコップの表面を塗料で処理したコップの重量は28.655gであったが、水を250g注いで、一時間放置後、コップから水を排出して、重量を測定したところ、約2.5%程度しか重量の増加はなかった。ほとんど吸水性はなかった。
コップの食品安全性試験を行ったところ、ヒ素、Pb、フェノール類、ホルムアルデヒドの化合物などのは存在しなく、食品の安全性には問題なかった。
【実施例2】
【0030】
実施例1と同様に、
図1Cに示すように、0.2mm厚さの木材スライス単薄板を木目方向に対して10°の角度でコップ形型枠に1~2回斜巻して、+上部の管径70mmの木製逆円錐台形の容器になっているコップ型木製薄板容器を製作した。
木材スライス単薄板は、木質の特性を持つ木製平板において、比重0.41であるヒノキ木材における木目幅1~30mmの範囲にある柾目部分の木目模様を持ち、前記単薄板の面粗さは±0.1mm以内の平滑平板の鮮明な木目を呈するヒノキ材で、前記材の厚さ0.2mmに調整された平滑的薄平板を、木目方向10°角度で、前記平板の端部に接着剤を塗布して、底板を敷いて前記容器の形状と同型の型枠に沿って1~2回に巻いて得られた木製逆円錐台形形状の約360mlの容器であった。
【0031】
前記容器の上部開口部の管径70mmの木製の木製逆円錐台形形状は、幅800mm、長さ300mmの単平板を木目傾斜方向で巻く、前記単平板の端部である接合面に食品安全性の多糖質系の接着剤を使用した前記平板片面の接合面の端に塗布して、円盤状底板と容器と同型の型枠に捲着した円錐台形状体を得て、前記円錐台形状体の周囲を加熱処理した薄板捲着した逆円錐台形体から前記型枠を引き抜き、薄板の木製逆円錐台形形状容器にして、ヤニ、臭い抜きのために前記容器に100℃、30分間水蒸気処理を行って、乾燥後に外部表面にウレタン系エマルジョンで被覆処理を施した。
【0032】
前記型枠は、木製であって、コップ型木製薄板容器の内面と同様なコップ形の逆円錐台形の形状であって、単薄平板を木目傾斜方向で回巻したコップ状容器を型枠から安易に抜き出すことができるように表面をペーパー研磨して平滑にして、型枠の下部に置く底板は、直径55mmの厚さ4mmで、容器の上部開口部の径、又は長さよりも寸法で7mm小さくした木製板にした。
【0033】
薄平板を回巻して、逆円錐台形形状になった状態で、外表面での一重目薄平板と二重目薄平板とで容器の上部の方向において木目傾斜の勾配角度が高くなっており、外表面の木目模様で10°から60°へと高い角度を呈した特有杢目模様を呈した状態にして、薄平板の継ぎ目は、容器の外表面に斜めに接着されて、薄平板の切り目では一重目と二重目との境界の接着面が斜め方向にした。
これによって、木目が鮮明で木材で製作されたコップ型木製円錐台形薄板容器になって、オレンジジュースを注入して飲食した場合には、木のかおりをもたらして今までにない感触を味わった。
【実施例3】
【0034】
図4Aに示すように、0.3mm厚さの木材スライス単薄板を木目方向に対して20°の角度でコップ形型枠に2回斜巻して、上部の幅60mmの逆四角錐台形の容器になっているコップ型木製薄板容器であった。
【0035】
木材スライス単薄板は、木質の特性を持つ木製平板において、比重0.43である木材における木目幅5~30mmの範囲にある木目模様を持ち、前記単薄平板の面の粗さは±0.1mm以内の平滑平板の鮮明な木目を呈するに針葉樹林である松材で、前記材の厚さ0.1mmに調整された平滑的薄平板を、木目方向20°角度で、前記平板の端部に接着剤を塗布して、底板を敷いて前記容器の形状と同型の型枠に沿って2回に巻いて得られた木製逆円錐台形形状、又は逆四角錐台形形状の400mlの容器になって,外部表面に被覆処理を施した。
【0036】
前記コップ形木製薄板容器の内表面、及び外表面を被膜する有機質の膜材物質は、ウレタン塗料で選ばれたものであり、ウレタン塗料は、主剤として複数の水酸基を持つポリオール成分と硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせた塗料であり、前記木製容器の内外表面に木目が浮き出ているようにして、厚さは約10ミクロンの塗布膜になった。
【0037】
前記容器の上部幅60mmの木製の木製逆四角錐台形形状は、幅80mm、長さ300mmの単平板を木目傾斜方向で巻く、前記単平板の端部である接合面に食品安全性のウレタン系接着剤を使用した前記平板片面の接合面の端に塗布して、四角錐状の底板と容器と同型の型枠に捲着した逆四角錐台形形状を得て、前記逆四角錐台形形状体の周囲を加熱処理した薄板捲着した逆四角錐台形形状から前記型枠を引き抜き、前記容器にウレタン系塗料の処理を行った。
【0038】
前記型枠は、木製であって、コップ型木製薄板容器の内面と同様なコップ形の逆四角錐台形の形状であって、単薄平板を木目傾斜方向で回巻したコップ状容器を型枠から安易に抜き出すことができるように表面をペーパー研磨して平滑にして、型枠の下部に置く底板は、幅45mm角の厚さ10mmで、容器の上部開口部の長さよりも寸法で15mm小さくした木製板にした。
【0039】
薄平板を回巻して、逆四角錐台形形状になった状態で、外表面での二重目薄平板とで容器の上部の方向において木目傾斜の勾配角度が高くなっており、外表面の木目模様で10°から60°へと高い角度を呈した特有杢目模様を呈した状態にして、薄平板の継ぎ目は、容器の外表面に斜めに接着されて、薄平板の切り目では二重目との境界の接着面が斜め方向にした。
これによって、木目が鮮明で木材で製作された漆塗料処理したコップ型木製四角錐台形薄板容器になって、焼酎の水割りを注入して飲食した。
このコップの表面を塗料で処理したコップの重量は 30.09gであったが、水を100g注いで、一時間放置後、コップから水を排出して、重量を測定したところ約5%程度しか重量の増加はなかった。
実施例1と同様にコップの食品安全性試験を行ったところ、安全性には問題なかいことが判明した。
【実施例4】
【0040】
実施例1と同様に
図1Bに示すように、0.4m厚さの木材スライス単薄板を木目方向に対して10°の角度でコップ形型枠に2回斜巻して、上部の管径100mmの木製逆円錐台形の容器になっているコップ型木製薄板容器を製作した。木材スライス単薄板は、木質の特性を持つ木製平板において、比重0.44であるモミ木材における木目幅2~30mmの範囲にある柾目部分の木目模様を持ち、前記単薄板の面粗さは±0.1mm以内の平滑平板の鮮明な木目を呈するモミ材で、前記材の厚さ0.2mmに調整された平滑的薄平板を、木目方向10°角度で、前記平板の端部に接着剤を塗布して、底板を敷いて前記容器の形状と同型の型枠に沿って2回に巻いて得られた木製逆円錐台形形状の約800mlの容器であった。
【0041】
前記容器の上部開口部の管径100mmの木製の木製逆円錐台形形状は、幅80mm、長さ400mmの単平板を木目傾斜方向で巻く、前記単平板の端部である接合面に食品安全性の多糖質系の接着剤を使用した前記平板片面の接合面の端に塗布して、円盤状底板と容器と同型の型枠に捲着した円錐台形状体を得て、前記円錐台形状体の周囲を加熱処理した薄板捲着した逆円錐台形体から前記型枠を引き抜き、薄板の木製逆円錐台形形状容器にして、乾燥後に外部表面にナノシリコン系の塗料で被覆処理を施した。
【0042】
前記コップ形木製薄板容器の内表面、及び外表面を被膜する無機質の膜材物質は、シリコンナノシリカーシリケート塗料で選ばれたものであり、シリコン塗料は、ナノシリカとケイ素を核としたシロキサン結合を持つ無機化合物とビヒクルとの塗料であり、塗膜後の重量として約3%の重量増加を示し、前記木製容器の内外表面に木目が浮き出ているようになった。また膜厚としては約10ミクロン程度の塗布膜になっていた。
【0043】
前記型枠は、木製であって、コップ型木製薄板容器の内面と同様なコップ形の逆円錐台形の形状であって、単薄平板を木目傾斜方向で回巻したコップ状容器を型枠から安易に抜き出すことができるように表面をペーパー研磨して平滑にして、型枠の下部に置く底板は、厚さ3mmで、容器の上部開口部の径、又は長さよりも寸法で10mm小さくした木製板にした。
【0044】
薄平板を回巻して、逆円錐台形形状になった状態で、外表面での一重目薄平板と二重目薄平板とで容器の上部の方向において木目傾斜の勾配角度が高くなっており、外表面の木目模様で10°から60°へと高い角度を呈した特有杢目模様を呈した状態にして、薄平板の継ぎ目は、容器の外表面に斜めに接着されて、薄平板の切り目では一重目と二重目との境界の接着面が斜め方向にした。
これによって、木目が鮮明で木材で製作されたコップ型木製円錐台形薄板容器になって、ポテトチップスを入れた。
【実施例5】
【0045】
図5に示すように、0.4mm厚さの木材スライス単薄板を木目方向に対して10°の角度でコップ形型枠に2回斜巻して、上部の管径100mmの木製逆円錐台形の容器になっているコップ型木製薄板容器を製作した。木材スライス単薄板は、木質の特性を持つ木製平板において、比重0.44であるモミ木材における木目幅1~30mmの範囲にある柾目部分の木目模様を持ち、前記単薄板の面粗さは±0.1mm以内の平滑平板の鮮明な木目を呈するモミ材で、前記材の厚さ0.2mmに調整された平滑的薄平板を、木目方向10°角度で、前記平板の端部に接着剤を塗布して、底板を敷いて前記容器の形状と同型の型枠に沿って1回に巻いて得られた木製逆円錐台形形状の約360mlの容器であった。
【0046】
上記木製逆円錐台形形状の容器になった状態の木製薄板容器において、前記コップ形の木製薄板容器の上部、中間部、下部の三カ所に15mm幅の曲線帯状薄平板を1周巻いて、前記帯状薄平板を巻いた面の全体に木材スライス単薄板の柾目部を木目方向に対して10°の角度で2回斜巻して、コップ容器上部の側部厚さを1.6mmにして、側部内部で部分的に中空状態を設けている木製逆円錐台形、又は逆角錐台形の容器になっている中空のあるコップ形木製薄板容器にした。
【0047】
前記コップ形木製薄板容器の内表面、及び外表面を被膜する有機質の膜材物質は、漆塗料で選ばれたものであり、漆塗料は、ウルシ科のウルシノキやブラックツリーから採取した樹液を加工した、ウルシオールを主成分とする天然樹脂の塗料であり、重量の増加は約2%のであった。前記木製容器の内外表面に木目が浮き出ているような厚さ約50ミクロンの塗布膜になっていると観察された。
【0048】
このコップの表面を塗料で処理したコップの重量は28.65gであったが、水を200g注いで、一時間放置後、コップから水を排出して、重量を測定したところ、0.02%程度しか重量の増加はなかった。
また70℃以上の熱水を入れたが、コップの外側面の温度は 40℃以下であり、通常の木製コップは同様な実験では、コップの外側面の温度は50℃以上であった。コップの食品安全性試験を行ったところ、安全性には問題なかった。
【符号の説明】
【0049】
1 コップ型木製薄板容器、
2 スライス単薄板、
3 型枠体
4 帯状薄平板
5 木目
6 表面木目斜傾
7 巻き目
8 接着剤、
9 中空部
10 逆円錐台形
12 逆角錐台形
13 杢目
14 柾目
15 切り目
16 底板
17 手
18 側面部
19 側面縁
20 塗膜層(ウレタン層、シリコン層、漆層)
21 薄板多重層