(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ラベル片付往復葉書
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20221110BHJP
B42D 15/08 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
B42D15/08 B
(21)【出願番号】P 2018111442
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-198286(JP,A)
【文献】特開2000-158856(JP,A)
【文献】特開2004-122666(JP,A)
【文献】特開2000-198285(JP,A)
【文献】特開2000-198287(JP,A)
【文献】特開2000-318357(JP,A)
【文献】特開2016-132254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02、15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線を介して連接された6葉片が上から第六葉片、第五葉片、第二葉片、第一葉片、第三葉片及び第四葉片の順に前記折り線から折り畳まれて重ね合わされ、第三葉片と第四葉片の対向面間が剥離不能に接着され返信葉書を形成すると共に他の
全ての対向面間が剥離可能に接着され往信葉書を形成した往復葉書であり、往信葉書の最上面に位置しラベル片となる第六葉片の表出面には郵便業務に関連する必須の表示のみが記載されると共に裏面側には情報が記載され、第五葉片と連接する折り線には折り畳みが容易で且つ切り離しが容易なミシンが施されていることを特徴としたラベル片付往復葉書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片を折り畳み剥離可能に一体化した往復葉書に関する。
さらに詳しくは、返信葉書が剥離不能な2葉片の貼り合わせからなると共に往信葉書が剥離可能な4葉片からなるラベル片付往復葉書に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記複数の葉片が折り畳まれ任意の対向面間を剥離可能或いは剥離不能に貼り合わせた往復葉書として、例えば特開2003-89288号公報に記載の往復葉書がある。前記特許文献に記載のものでは、2種類のシートを用いて両シートの返信葉書本体に当たる葉片を貼り合わせ、全体で5葉片からなる往復葉書が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献の往復葉書は2枚のシートを貼り合わせて製造される、従って個人情報が記載されたシートが誤って他の個人情報が記載されたシートと貼り合わされて製造され、そのまま発送されると個人情報の漏洩となり大きな社会問題となり得る。
【0005】
また前記特許文献の往復葉書は、情報の記載面が返信葉書の表裏面及び往信葉書を構成する3葉片の表裏面の合計8面になる。情報を発信する側としてはさらに情報の記載面が欲しいところである。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、複数の葉片が連接された一枚の用紙に一個人の情報を記載して仕上げるため、別々に個人情報が記載された複数枚の用紙を貼り合わせて仕上げる際に発生する、誤って他人の情報が混入した往復葉書を製造してしまう等の事故を防ぐと共に、従来の往復葉書よりもさらに多くの情報の記載を可能とする往復葉書を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のラベル片付往復葉書は、折り線を介して連接された6葉片が上から第六葉片、第五葉片、第二葉片、第一葉片、第三葉片及び第四葉片の順に前記折り線から折り畳まれて重ね合わされ、第三葉片と第四葉片の対向面間が剥離不能に接着され返信葉書を形成すると共に他の全ての対向面間が剥離可能に接着され往信葉書を形成した往復葉書であり、往信葉書の最上面に位置しラベル片となる第六葉片の表出面には郵便業務に関連する必須の表示のみが記載されると共に裏面側には情報が記載され、第五葉片と連接する折り線には折り畳みが容易で且つ切り離しが容易なミシンが施されていることを特徴としている。
【0008】
本発明のラベル片付往復葉書のラベル片とみなされる葉片表面に記載される情報は、料金受取人払いや料金別納、料金後納等の表示、郵便番号枠及び受取人の住所氏名等の郵便業務に関連する必須の表示に限られる。そしてその中でも必須の表示は受取人の住所氏名である。即ち白紙の面に受取人の住所氏名が表示されただけの状態が基本になり、場合により郵便番号枠等郵便業務に関連する表示が記載される。そして前記ラベル片の貼付によりその裏面を情報表示面として使用できるため、従来の往復葉書より情報表示面が1面増える。
【0009】
往復葉書を構成する葉片の資材は上質紙、マット紙、コート紙等の通常の用紙を初め、合成紙、不織布、樹脂シートフィルム等を好適に使用することができる。また各葉片を連接する折り線には各種折り手段が形成されていても構わない。前記折り手段には折りミシンや折り筋等があるが、葉片の材質が折りやすいものであれば何も施すことなく折り機により強制的に折り畳んでも構わない。
【0010】
なおラベル片と見なされる往信葉書の最上面の葉片(請求項1では第六葉片が該当)はその下側の葉片から引き剥がして分離できるようにしておくと至便である。その際にラベル片とそれが貼付される下葉片とを連接する折り線に、マイクロミシンや折りミシンを兼ねた切取ミシンを施しておくことが好ましい。
【0011】
本発明のラベル片付往復葉書の剥離可能な接着は、以下の各種疑似接着手段により実行される。以下の各疑似接着手段が形成された用紙は、折り畳まれ加圧或いは加熱・加圧処理を施されると剥離可能に接着するものである。
1)天然或いは合成ゴムを主剤とした疑似接着性の接着剤を印刷前の用紙に塗布、含侵 させた後に表面から印刷を施す、業界で先糊方式と呼ばれるもの。
2)印刷後の用紙表面に疑似接着性のUV硬化ニスを塗布して疑似接着性の被膜を形成 する、業界で後糊方式と呼ばれるもの。
3)印刷後の用紙表面に疑似接着性のフィルムシートを被覆する、業界でフィルム方式 と呼ばれるもの。なおフィルム方式は、予め疑似接着されたフィルムシートを折り 畳まれた葉片間に挟み込み加熱・加圧処理を施して剥離可能に一体化する挟み込み 方式と、疑似接着層を形成した疑似接着フィルムシートを印刷後の用紙表面に被覆 して、その後折り畳み疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施 して剥離可能に一体化する全面貼り方式がある。
【0012】
また本発明のラベル片付郵便はがきの剥離不能な接着は、例えば感圧性、感熱性或いは乾湿性の接着剤を完全接着予定面に塗布したり、前記接着性の接着剤層を形成したフィルムシートを被覆したりすることにより実行される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記問題に鑑み、複数の葉片が連接された一枚の用紙に一個人の個人情報を記載して仕上げるため、別々に個人情報が記載された複数枚の用紙を貼り合わせて仕上げる際に発生する、誤って他人の情報が混入した往復葉書を製造してしまう等の事故が発生しない。
また従来の往復葉書にラベル片が1枚追加されることにより、前記ラベル片の裏面が情報表示面として使用できるため、情報表示面が従来と比較して1面増えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は本発明のラベル片
付往復葉書Hの平面図、(B)は(A)におけるI-I線断面図である。
【
図2】(A)は本発明のラベル片
付往復葉書Hの全体の斜視図、(B)は往信葉書Xを構成する各葉片を剥離して展開した様子を示す斜視図である。
【
図3】
図2(B)で剥離展開された各葉片のラベル片である第六葉片6を、往信葉書Xを構成すると共に連接する第五葉片5から切り離した様子を示す斜視図である。
【
図4】(A)は往復葉書シートSの表面図、(B)は裏面図である。
【
図5】(A)は往復葉書シートS表面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆すると共に、完全接着予定面に完全接着フィルムシートを被覆した様子を示す平面図、(B)は往復葉書シートS裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆した様子を示す平面図である。
【
図6】(A)は長尺状のシートの場合の第一段階の折り畳みにより折り畳まれた往復葉書シートSの平面図、(B)は(A)におけるII-II線断面図である。
【
図7】(A)は長尺状のシートの場合の第二段階の折り畳みにより折り畳まれた往復葉書シートSの平面図、(B)は(A)におけるIII-III線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0015】
[ラベル片
付往復葉書H]
以下本発明を図面に沿って分かりやすく説明する。
なお以下の実施例では、疑似接着手段としてフィルム方式における全面貼り方式の疑似接着フィルムシートを使用している。
図1(A)、(B)及び
図2(A)及び(B)に示すように、本実施例1のラベル片
付往復葉書Hは、上から第六葉片6、第五葉片5、第二葉片2、第一葉片1、第三葉片3及び第四葉片4が、折り線11、7、8、10及び9から折り畳まれている。そして第三葉片3及び第四葉片4の対向面間は完全接着フィルムシートKを介して剥離不能に接着され、第一葉片1及び第三葉片3の対向面を除く他の対向面間は疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に接着されている。
【0016】
本ラベル片
付往復葉書Hの各葉片の横幅の関係は
図1(B)に示すように、第二葉片2≒第一葉片1≒第三葉片3≒第四葉片4>第六葉片6≒第五葉片5で、また縦幅の関係は各葉片とも略同じである。そして第六葉片6及び第五葉片5の左側縦縁辺から第二葉片2の左側縦縁辺がはみ出し、その表出面に「POST CARD」或いは「郵便はがき」等の表示がなされている。この場合、前記表示がされている第二葉片2が往信葉書の本体とみなされる。
【0017】
また本ラベル片
付往復葉書Hは、
図1(B)に示す上側に位置する4葉片が往信葉書Xを構成し、下側に位置する2葉片が返信葉書Yを構成する。往信葉書Xは往信葉書本体の第二葉片2の両面に第五葉片5及び第一葉片1が貼付され、さらに第五葉片5の上面にラベル片とみなされる第六葉片6が貼付されて表出している。そして前記各葉片の対向面間は疑似接着フィルムシートGの介在により剥離可能に接着している。そして下側に位置する返信葉書本体となる第三葉片3及び第四葉片4は、対向面間に完全接着フィルムシートKの介在により剥離不能に接着している。
【0018】
本ラベル片
付往復葉書Hの各葉片を連接する折り線(折り線11を除く)に設けられる折り手段として折りミシンがあるが、本実施例では
図1(B)に示すように、前記折りミシンがはがきシートSと疑似接着フィルムシートGに形成されている。しかしはがきシートSのみに形成されていても構わず、或いは全く形成されることなく折り機等により強制的に折り畳まれていても構わない。また折りミシンに代えて折り筋でも構わない。
【0019】
また折り線11には、折り畳みが容易であると共に切り離しも可能な切取ミシン或いはマイクロミシンが形成されている。なお本実施例で用いられるマイクロミシンのカット及びアンカットの対比は1:0.5であるがそれに限られるものではない。また切取ミシンであれば2:1近辺の対比のものが好適に採用されるが、マイクロミシン或いは切取りミシンの何れにしても折り畳みが容易で且つ切り離しが容易であればどのような比率でも構わない。
【0020】
このラベル片
付往復葉書Hの受取人は、開封縁辺に沿って形成された段差或いは葉片の対向面の縦縁辺に形成されている疑似接着フィルムシートG同士が接着していない非接着域の空間等を剥離の端緒として、指で摘まみ捲り上げることができる。そして
図2(B)に示すように、疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に接着された往信葉書Xの各葉片をそれぞれ剥離することが可能である。さらに
図3に示すようにラベル片である第六葉片6は、連接されている第五葉片5から切り離すことができる。そして第六葉片6裏面に記載された情報と、その他の各葉片の表裏面に記載された各種情報を、透明或いは半透明の疑似接着フィルムシートGを透して視認することが出来るのである。
【実施例2】
【0021】
[ラベル片
付往復葉書Hの製造方法]
本実施例1のラベル片
付郵便はがきH1は、例えば
図4(A)及び(B)に示すように、第一葉片1、第二葉片2、第三葉片3、第四葉片4、第五葉片5及び第六葉片6が折り線7、8、9、10及び11を介して横方向に連接された往復葉書シートSにより製造される。なお前記往復葉書シートSはビジネスフォーム印刷等に使用される長尺状シートに印刷されていても、或いはオフセット印刷等に使用される枚葉状シートに印刷されていても構わない。
【0022】
長尺状シートに印刷される場合、例えば往復葉書シートSが天地辺を接するようにして上下方向に連続的に印刷され、第一葉片1及び第六葉片6の外側にマージナル孔を設けたマージナル部分が連接される。また枚葉状シートに印刷された場合、例えば単数或いは複数の単位葉書シートが間隔を開けて上下方向に並んで印刷され、各単位葉書シートの四周は後に切除される余白で囲まれる。
【0023】
そして長尺状シート或いは枚葉状シートに印刷された往復葉書シートSの、各葉片の表裏面の疑似接着予定面及び完全接着予定面に、ラミネータ等の被覆装置により疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが被覆される。具体的には
図5(A)に示すように第二葉片2及び第五葉片5表面の略全面に疑似接着フィルムシートGが、そして第三葉片3及び第四葉片4表面の略全面に完全接着フィルムシートKが被覆され、また同図(B)に示すように第一葉片1及び第二葉片2裏面の略全面と第五葉片5及び第六葉片6の略全面に疑似接着フィルムシートGが被覆される。
【0024】
このように疑似接着フィルムシートG及び完全接着フィルムシートKが表裏面に被覆された往復葉書シートSは、長尺状シートにあってはスリッターやダイカットローラ、また枚葉状シートにあっては断裁機や型抜き機等により周囲が切除され切り出された後或いは切り出し中に折り機に掛けられ、最終的に
図1(B)に示す状態に折り畳まれた後に、例えば一対の搬送ローラと一対のヒータパネルが交互に配置されると共に出口に一対の加圧ローラが設けられた一体化装置へ送り込まれる。
【0025】
なお前記折り畳みの順序であるが、往復葉書シートS
を単体に切り出した後に折り機で折る場合、一気に
図1(B)の最終折り畳み態様まで折り込むことができる。また長尺状シートやフィルムシートの連続被覆により長尺状になった枚葉シートの場合、第一段階として
図6(A)及び(B)に示すように折り線7から第一葉片1裏面が第二葉片2裏面と対向するように折り畳む。そして第二段階として
図7(A)及び(B)に示すように、折り線9から第二葉片2及び第三葉片3の表面と第四葉片4及び第五葉片5の表面が対向するように折り畳むと共に折り線11から第五葉片5裏面と第六葉片6裏面が対向するように折り畳む。このようにして折り畳まれた往復葉書シートSは後述する一体化装置に通されるのであるが、既述の通り最終形態まで折り畳まれた往復葉書シートSは前記一体化装置により最終製品に仕上げられるが、第二段階まで折り畳まれた往復葉書シートSの場合、一体化装置を通過後に往信葉書Xと返信葉書Yを折り合わせる第三段階の折り畳み工程が付け加えられる。それにより最終形態に仕上げられるのである。
【0026】
前記一体化装置では、折り畳まれて通過するはがきシートSに加圧或いは加熱・加圧処理が施され、対向する葉片間の疑似接着フィルムシートG同士が剥離可能に接着されると共に完全接着フィルムシートK同士が剥離不能に接着されラベル片付往復葉書Hとして完成されるのである。
【0027】
なお、本発明は、上記実施例に限られるものではない。
例えば、既述の実施例では、ラベル片付往復葉書Hを構成する疑似接着手段として全面貼り方式のフィルム方式を採用しているが、同じフィルム方式の挟み込み方式或いは先糊方式や後糊方式等により構成されていても構わない。
【符号の説明】
【0028】
H ラベル片付往復葉書
S 往復葉書用紙
G 疑似接着フィルムシート
K 完全接着フィルムシート
X 往信葉書
Y 返信葉書
1、2、3、4、5、6 葉片
7、8、9、10、11 折り線