(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/12 20060101AFI20221110BHJP
D06F 23/04 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
D06F37/12 H
D06F23/04
(21)【出願番号】P 2020567011
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2019089917
(87)【国際公開番号】W WO2019233395
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】201810562185.3
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521309570
【氏名又は名称】重慶海爾洗衣机有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】朱国防
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0139558(US,A1)
【文献】中国実用新案第2322987(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第106868774(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/12
D06F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽、及び、前記洗浄槽の外側壁又は内側壁に装着されている水路構造を含む、洗濯機であって、
前記水路構造は、
固定接続される第1水路部と第2水路部を含み、これらが洗浄槽と連通する空洞経路を取り囲んでおり、空洞経路は第1側壁と第2側壁を有しており、第1側壁と第2側壁は洗浄槽の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されており、第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び/又は第2側壁上に位置していることを特徴とする
洗濯機。
【請求項2】
前記第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び第2側壁上に位置しており、第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所が位置する平面は、洗浄槽の径方向と平行か一定の角度をなすよう設けられることを特徴とする請求項1に記載の
洗濯機。
【請求項3】
第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所が位置する平面は、第1側壁及び第2側壁の周方向における両端間の中央線が位置する平面上に位置するか、一方の側に偏っていることを特徴とする請求項1又は2に記載の
洗濯機。
【請求項4】
前記空洞経路は、洗浄槽の
前記外側壁又は前記内側壁において洗浄槽の高さ方向に上下に延設されており、少なくとも上端に洗浄槽と連通する開口を有しており、空洞経路の内部には迎水面が備わっており、水流が空洞経路に進入したあとに、前記迎水面は洗浄槽の周方向における水流の方向と向き合うよう設置されており、第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所はいずれも迎水面から離間して設置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の
洗濯機。
【請求項5】
前記空洞経路は第3側壁及び第4側壁を含み、第3側壁と第4側壁は洗浄槽の周方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置され、水流は空洞経路に進入したあと洗浄槽の周方向において第3側壁と向き合い、前記第3側壁は迎水面であり、第4側壁は背水面であり、第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所は、第3側壁からは離間し、第4側壁に近接して設置されることを特徴とする請求項4に記載の
洗濯機。
【請求項6】
前記第1水路部は第1凹型空洞を有し、第2水路部は第2凹型空洞を有し、第1凹型空洞及び第2凹型空洞の開口は対向しており、2つの開口の辺縁が
組み合わされて固定接続されることでこれらの接続箇所が形成され、第1凹型空洞と第2凹型空洞の双方によって前記空洞経路が形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の
洗濯機。
【請求項7】
前記第1水路部又は第2水路部は、洗浄槽の周方向に沿って設置される内側板及び外側板をそれぞれ含み、内側板と外側板は、洗浄槽の径方向の内外に設置され、且つ一定の距離を隔てており、内側板と外側板の同一側の端には接続板が設けられており、内側板、外側板及び接続板によって第1凹型空洞又は第2凹型空洞が取り囲まれ、第1凹型空洞又は第2凹型空洞の一方の側には開口が備わって
いることを特徴とする請求項
1~5のいずれか1項に記載の
洗濯機。
【請求項8】
前記内側板、外側板及び接続板は一体成型されるか密封状に固定接続され、前記接続板と内側板及び外側板との接続箇所は滑らかに連なって
いることを特徴とする請求項7に記載の
洗濯機。
【請求項9】
前記第1水路部は第1側板であり、前記第2水路部は凹型空洞を有しており、前記凹型空洞は開口を有し、開口の方向は洗浄槽の円周方向と接しており、前記第1側板は開口の辺縁に固定接続されるとともに、開口を密封状に覆って
いることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の
洗濯機。
【請求項10】
前記内側板のうち洗浄槽に近接する側は、洗浄槽の周方向の前記外側壁又は前記内側壁と一致する曲面となっており、
前記外側板は洗浄槽の周方向と一致する円弧状プレートであることを特徴とする請求項7又は8に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記第2水路部は洗浄槽の周方向に沿って設置される内側板及び外側板を含み、内側板と外側板は、洗浄槽の径方向の内外に並んで設置され、且つ一定の距離を隔てており、内側板と外側板の同一側の端には接続板が設置されており、前記第1側板が内側板及び外側板の他端に固定接続されており、これらによって空洞経路が取り囲まれることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機の分野に属し、具体的には、洗濯機の水路構造及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、電気を利用して衣類を洗浄する装置として設計される。一般的に、洗濯機は、洗浄水を蓄える槽と、回転可能に槽の内部に装着される回転槽と、回転可能に回転槽の底部に装着されるパルセータと、回転槽とパルセータを回転させるよう構成されるモータ及びクラッチ、を含む。衣類及び洗剤が回転槽に投入された状態で回転槽とパルセータが回転すると、回転槽に投入された衣類とともにパルセータが洗浄水を攪動することで、衣類から汚れが除去される。
【0003】
洗濯機の洗浄容量を増大させるためには、より大きな回転槽が必要となる。即ち、回転槽の高さ又は直径を拡大する必要がある。また、回転槽がより大きなサイズを有する場合には、回転槽を収容する槽及び槽を収容するハウジングもまた、回転槽の拡大に伴って大きくする必要がある。しかし、洗濯機の外観に相当するハウジングの拡大は、洗濯機の設置領域のスペースに規制される。一般的なユーザの家では、洗濯機の設置位置に限りがあるため、洗濯機のハウジングを拡大して洗濯槽の容量を増大させるとの目的を達成することはあまり現実的でない。そこで、洗濯機のハウジングを拡大することなく、如何にして回転槽の容量を増大させるかが設計者を悩ませる大きな難題となっていた。
【0004】
しかし、孔の無い内槽の登場によって、第一に、内槽と外槽の間を無水とすることが可能となり、クリーニング及び節水の目的が達成されるようになった。また、第二に、内槽の有効容積を拡大するための前提条件が提供されている。孔の無い内槽の上部には脱水孔が設けられており、孔の無い内槽を備える洗濯機は、内槽の側壁に水路が設置されている。そのため、脱水時には、内槽内の水が遠心力の作用で脱水孔を通じて水路に進入し、脱水された水が洗濯機の外部に排出される。通常、内槽の側壁の水路は2つの部分を溶着してなる。水路は、中心軸線に沿って内外2つの部分に分けられる。しかし、溶着の継ぎ目が洗濯槽の周方向に面しているため、回転する水流から衝撃を直に受けやすい。このことから、溶着不良の場合や長期間使用している場合には、脱水時に漏水が発生する恐れがある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消し、洗濯機の水路構造及び洗濯機を提供することである。本発明の水路構造における第1水路部と第2水路部との接続箇所は水流の回転方向に位置していないため、脆弱な接続箇所に対する水流の衝撃を回避可能であり、水路における漏水の発生が防止される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0008】
本発明の第1の目的は、洗濯機の洗浄槽の壁に設置される洗濯機の水路構造を提供することである。水路構造は、固定接続される第1水路部と第2水路部を含み、これらが洗浄槽と連通する空洞経路を取り囲んでいる。空洞経路は第1側壁と第2側壁を有している。第1側壁と第2側壁は、洗浄槽の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されている。第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び/又は第2側壁上に位置している。
【0009】
更なる方案として、前記第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び第2側壁上に位置している。第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所が位置する平面は、洗浄槽の径方向と平行か一定の角度をなすよう設けられる。
【0010】
更なる方案として、第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所が位置する平面は、第1側壁及び第2側壁の周方向における両端間の中央線が位置する平面上に位置するか、一方の側に偏っている。
【0011】
更なる方案として、前記空洞経路は、洗浄槽の側壁において洗浄槽の高さ方向に上下に延設されており、少なくとも上端に洗浄槽と連通する開口を有している。空洞経路の内部には迎水面が備わっている。水流が空洞経路に進入したあとに、前記迎水面は洗浄槽の周方向における水流の方向と向き合うよう設置されている。第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所はいずれも迎水面から離間して設置される。
【0012】
更なる方案として、前記空洞経路は第3側壁及び第4側壁を含む。第3側壁と第4側壁は、洗浄槽の周方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置される。水流は、空洞経路に進入したあと、洗浄槽の周方向において第3側壁と向き合う。前記第3側壁は迎水面であり、第4側壁は背水面である。第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所は第3側壁からは離間し、第4側壁に近接して設置される。
【0013】
更なる方案として、前記第1水路部は第1凹型空洞を有し、第2水路部は第2凹型空洞を有する。第1凹型空洞及び第2凹型空洞の開口は対向しており、2つの開口の辺縁が然るべく組み合わされて固定接続されることで、これらの接続箇所が形成される。また、第1凹型空洞と第2凹型空洞の双方によって前記空洞経路が形成される。
【0014】
更なる方案として、前記第1水路部又は第2水路部は、洗浄槽の周方向に沿って設置される内側板及び外側板をそれぞれ含む。内側板と外側板は、洗浄槽の径方向の内外に設置され、且つ一定の距離を隔てている。内側板と外側板の同一側の端には接続板が設けられており、内側板、外側板及び接続板によって第1凹型空洞又は第2凹型空洞が取り囲まれる。また、第1凹型空洞又は第2凹型空洞の一方の側には開口が備わっている。
【0015】
好ましくは、前記第1水路部及び第2水路部の内側板が空洞経路の第1側壁を形成し、前記第1水路部及び第2水路部の外側板が空洞経路の第2側壁を形成する。
【0016】
好ましくは、第1水路部及び第2水路部の接続板がそれぞれ空洞経路の第3側壁及び第4側壁を形成する。
【0017】
更なる方案として、前記内側板、外側板及び接続板は一体成型されるか、密封状に固定接続される。前記接続板と内側板及び外側板との接続箇所は滑らかに連なっている。
【0018】
好ましくは、前記内側板のうち洗浄槽に近接する側は、洗浄槽の周方向の側壁と一致する曲面となっている。
【0019】
好ましくは、前記外側板は洗浄槽の周方向と一致する円弧状プレートである。
【0020】
更なる方案として、前記第1水路部は第1側板であり、前記第2水路部は凹型空洞を有している。前記凹型空洞は開口を有し、開口の方向は洗浄槽の円周方向と接している。前記第1側板は開口の辺縁に固定接続されるとともに、開口を密封状に覆う。
【0021】
好ましくは、前記第2水路部は洗浄槽の周方向に沿って設置される内側板及び外側板を含む。内側板と外側板は、洗浄槽の径方向の内外に並んで設置され、且つ一定の距離を隔てている。また、内側板と外側板の同一側の端には接続板が設置されており、前記第1側板が内側板及び外側板の他端に固定接続されており、これらによって空洞経路が取り囲まれる。
【0022】
本発明の第2の目的は、洗濯機を提供することである。洗濯機は洗浄槽を含み、洗浄槽の外側壁又は内側壁に水路構造が装着されている。水路構造は、固定接続される第1水路部と第2水路部を含み、これらが洗浄槽と連通する空洞経路を取り囲んでいる。空洞経路は第1側壁と第2側壁を有している。第1側壁と第2側壁は、洗浄槽の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されている。第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び/又は第2側壁上に位置している。
【発明の効果】
【0023】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0024】
1.本発明の水路構造は空洞経路を有している。空洞経路は第1側壁と第2側壁を備え、第1側壁と第2側壁は、洗浄槽の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されている。第1水路部と第2水路部との接続箇所は第1側壁及び/又は第2側壁上に位置している。そのため、本発明の水路構造における第1水路部と第2水路部との接続箇所は水流の回転方向には位置していない。これにより、脆弱な接続箇所に対する水流の衝撃を回避可能であり、水路における漏水の発生が防止される。特に、接続箇所の溶着不良や長期間の使用によって脱水時に発生する漏水を回避可能である。
【0025】
2.本発明の水路構造における第1水路部と第2水路部との接続箇所が水流の回転方向に位置しないだけでなく、空洞経路の内部には迎水面が備わっている。水流が空洞経路に進入したあとに、迎水面は洗浄槽の周方向における水流の方向と向き合うよう設置されている。第1側壁上の接続箇所及び第2側壁上の接続箇所はいずれも迎水面から離間して設置される。これにより、接続箇所に対する水流の衝撃を更に低減させられるため、水路の密封性が保証され、洗濯機の運転の安全性が保証される。
【0026】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0027】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の水路構造を正面から見た構造図である。
【
図2】
図2は、本発明における水路構造の縦方向の断面構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明における接続後の水路構造の横方向全体の断面構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明における接続前の水路構造の横方向全体の断面構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明における水路構造を内槽の側壁に装着した場合の横方向全体の断面構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明における水路構造を有する洗濯機の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0030】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0031】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「縦」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0032】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【実施例1】
【0033】
図1~
図5に示すように、本実施例は、洗濯機の洗浄槽18の壁に設置される洗濯機の水路構造1を提供する。水路構造1は、固定接続される第1水路部2と第2水路部3を含み、これらが洗浄槽18と連通する空洞経路4を取り囲んでいる。空洞経路4は第1側壁8と第2側壁9を有している。第1側壁8と第2側壁9は、洗浄槽18の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されている。第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は第1側壁8及び/又は第2側壁9上に位置している。
【0034】
水路構造1は洗濯機の洗浄槽18の壁に設置されており、水路構造1の空洞経路4は洗浄槽18の内部と連通している。水路構造1は脱水時の排水に用いられる。孔の無い内槽の上部には脱水孔が設けられており、孔の無い内槽を備える洗濯機は洗浄槽の側壁に水路が設置されている。そのため、脱水時には、内槽内の水が遠心力の作用で脱水孔を通じて水路に進入し、脱水された水が洗濯機の外部に排出される。水路構造1の空洞経路4は、洗浄槽18の側壁において洗浄槽18の高さ方向に上下に延設されている。
【0035】
説明すべき点として、各図面内の符号5で示す接続箇所の線は実際には存在しない。当該線は接続箇所をより明確に説明するために標記したものであって、接続箇所の位置又は接続箇所が位置する平面を示すためのものである。
【0036】
本発明の水路構造1における第1側壁8と第2側壁9は、洗浄槽18の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置される側壁である。第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は第1側壁8及び/又は第2側壁9上に位置している。そのため、接続箇所5は水流の回転方向には位置しておらず、脆弱な接続箇所5に対する水流の衝撃を回避可能なことから、水路における漏水の発生が防止される。特に、接続箇所5の溶着不良や長期間の使用によって脱水時に発生する漏水を回避可能である。
【0037】
第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は、第1側壁8上又は第2側壁9上にのみ位置していてもよいし、第1側壁8上と第2側壁9上に同時に位置していてもよい。いずれの場合でも、接続箇所5が洗濯槽の周方向に面することを回避可能なため、回転水流が接続箇所5に大きな衝撃を与えることがなく、漏水の発生が回避される。
【0038】
更なる方案として、前記第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は第1側壁8及び第2側壁9上に位置している。第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5が位置する平面は、洗浄槽18の径方向と平行か一定の角度をなすよう設けられる。
【0039】
即ち、第1側壁8及び第2側壁9上の第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5が位置する平面は、第1側壁8及び第2側壁9と一定の夾角をなすよう設けられる。当該夾角は0~180°である。夾角が90°の場合、接続箇所5が位置する平面は第1側壁8及び第2側壁9と垂直に設けられる。或いは、接続箇所5が位置する平面は、洗浄槽18の径方向と平行としてもよいし、一定の角度をなすよう設けてもよい。こうすることで、第1水路部2と第2水路部3の形状に応じて接続しやすくなるほか、接続箇所5に対する強い衝撃を回避するとの効果も達成可能となる。
【0040】
第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5が位置する平面と、第1側壁8の周方向における両端間の中央線及び第2側壁9の周方向における両端間の中央線が位置する平面との関係には次の3つの状況が存在する。
【0041】
状況1:第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5が位置する平面が、第1側壁8及び第2側壁9の周方向における両端間の中央線が位置する平面上に位置する。この場合には、第1水路部2と第2水路部3が左右対称であり、接続箇所5が中央位置に存在する。
【0042】
状況2:第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5が位置する平面が、第1側壁8及び第2側壁9の周方向における両端間の中央線が位置する平面と交差する。この場合には、第1水路部2と第2水路部3が相補的に組み合わされるよう設置され、第1側壁8上の接続箇所5と第2側壁9上の接続箇所5が縦方向の中心軸線を中心として対称となる。
【0043】
状況3:第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5が位置する平面が、第1側壁8及び第2側壁9の周方向における両端間の中央線が位置する平面と平行であり、且つ当該平面の一方の側に位置する。当該状況は、
図3及び
図4に示す通りである。
【0044】
いずれの状況であっても、第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5によれば、接続箇所5が洗濯槽の周方向と面することがない。よって、回転水流が接続箇所5に大きな衝撃を与えることがなく、漏水の発生が回避される。
【実施例2】
【0045】
図1~
図5に示すように、本実施例は実施例1を更に限定する。本実施例における水路構造1の空洞経路4は、洗浄槽18の側壁において洗浄槽18の高さ方向に上下に延設されており、少なくとも上端に洗浄槽18と連通する開口14を有している。空洞経路4の内部には迎水面6が備わっている。水流が空洞経路4に進入したあとに、前記迎水面6は洗浄槽18の周方向における水流の方向と向き合うよう設置されている。第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5はいずれも迎水面6から離間して設置される。
【0046】
洗浄槽18が脱水時に回転する際、水流は遠心力の作用によって洗浄槽18の回転から遅れるため、水流の回転方向は洗浄槽18の回転方向とは逆になる。
図5に示すように、洗浄槽18が時計回りに回転する場合、水流は逆方向に振り飛ばされる。即ち、水流は反時計回りに回転する。よって、水流が水路構造1の空洞経路4内に進入したあとに、洗浄槽18の周方向における水流の方向と向き合うよう設置される側壁が迎水面6となる。この場合、第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5はいずれも背水面7に近接し、迎水面6からは離間して設置される。これにより、接続箇所5が受ける水流の圧力を更に低減させられるため、接続箇所5の破損による漏水が更に回避される。
【0047】
更に、具体的な方案として、前記空洞経路4は第3側壁10及び第4側壁11を含む。第3側壁10と第4側壁11は、洗浄槽18の周方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置される。水流は、空洞経路4に進入したあと、洗浄槽18の周方向において第3側壁10と向き合う。前記第3側壁10は迎水面6であり、第4側壁11は背水面7である。第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5は、第3側壁10からは離間し、第4側壁11に近接して設置される。
【0048】
本方案の空洞経路4はどのような形状であっても、第1側壁8、第2側壁9、第3側壁10及び第4側壁11を含む。第1側壁8と第2側壁9は、洗浄槽18の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置され、第3側壁10と第4側壁11は、洗浄槽18の周方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置される。第1側壁8及び第2側壁9は、2つの部分をつなぎ合わせて構成してもよい。第3側壁10及び第4側壁11は、第1側壁8及び第2側壁9の両端に位置するとともに、それぞれ密封状に接続されるか、一体的に成型される。また、接続箇所5は第4側壁11に近接して設置される。こうすることで、水流は空洞経路4内に進入したあと、より多くが集中的に第3側壁10に衝撃を与える。そのため、第4側壁11及びその周囲が受ける圧力は最小となり、接続箇所5の破損による漏水も発生しにくくなるため、洗濯機の安全運転が保証される。
【0049】
より具体的に、前記第1水路部2と第2水路部3は、溶着及び/又は接着により固定接続する。第1水路部2と第2水路部3の設置方式には以下のいくつかが存在するが、これらに限らない。
【0050】
方案1:前記第1水路部2は第1凹型空洞12を有し、第2水路部3は第2凹型空洞13を有する。第1凹型空洞12及び第2凹型空洞13の開口14は対向しており、2つの開口14の辺縁が然るべく組み合わされて固定接続されることで、これらの接続箇所5が形成される。また、第1凹型空洞12と第2凹型空洞13の双方によって前記空洞経路4が形成される。
【0051】
更なる方案として、前記第1水路部2又は第2水路部3は、洗浄槽18の周方向に沿って設置される内側板15及び外側板16をそれぞれ含む。内側板15と外側板16は、洗浄槽18の径方向の内外に設置され、且つ一定の距離を隔てている。内側板15と外側板16の同一側の端には接続板17が設けられており、内側板15、外側板16及び接続板17によって第1凹型空洞12又は第2凹型空洞13が取り囲まれる。また、第1凹型空洞12又は第2凹型空洞13の一方の側には開口14が備わっている。
【0052】
本方案において、第1水路部2又は第2水路部3の構造は類似しているが、幅が異なっている。また、第1凹型空洞12及び第2凹型空洞13は対向する側面開口14を有している。よって、接続箇所5を中心の一方の側に位置させて、背水面7の一方の側に近接させやすい。第1水路部2又は第2水路部3は、いずれも内側板15、外側板16及び接続板17で取り囲まれている。また、第1水路部2と第2水路部3は溶着により接続される。これにより、接続箇所5が水流の衝撃を受けないよう更に保証可能となり、水路構造1の密封性が保証されるため、洗濯機の安全運転が保証される。
【0053】
好ましくは、前記第1水路部2及び第2水路部3の内側板15が空洞経路4の第1側壁8を形成し、前記第1水路部2及び第2水路部3の外側板16が空洞経路4の第2側壁9を形成する。
【0054】
好ましくは、第1水路部2及び第2水路部3の接続板17がそれぞれ空洞経路4の第3側壁10及び第4側壁11を形成する。
【0055】
更なる方案として、前記内側板15、外側板16及び接続板17は一体成型されるか、密封状に固定接続される。また、前記接続板17と内側板15及び外側板16との接続箇所5は滑らかに連なっているため、糸屑や汚れの蓄積を回避可能である。
【0056】
好ましくは、前記内側板15のうち洗浄槽18に近接する側は、洗浄槽18の周方向の側壁と一致する曲面となっている。これにより、洗浄槽18の側壁とより良好に密着可能となり、水路構造1がいっそう良好に固定されるとともに、回転に対する抵抗力も低減させられる。また、占有スペースが小さくなる。
【0057】
好ましくは、前記外側板16は、洗浄槽18の周方向と一致する円弧状プレートである。
【0058】
方案2:前記第1水路部2は第1側板であり、前記第2水路部3は凹型空洞を有している。前記凹型空洞は開口14を有し、開口14の方向は洗浄槽18の円周方向と接している。前記第1側板は開口14の辺縁に固定接続されるとともに、開口14を密封状に覆う。
【0059】
本方案において、第1水路部2及び第2水路部3は構造の違いが大きい。第1水路部2は単なる側板、即ち第1側板であり、第2水路部3は凹型空洞を有している。第1側板は凹型空洞の側辺開口14を覆うことで、空洞経路4を取り囲んでいる。このように、第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は、第1側板及び凹型空洞の開口14の辺縁に位置するとともに、洗浄槽18の周方向には位置しておらず、且つ背水面7側に位置している。これにより接続箇所5に対する水流の衝撃を低減させられるため、水路の密封性が保証され、洗濯機の運転の安全性が保証される。
【0060】
好ましくは、前記第2水路部3は、洗浄槽18の周方向に沿って設置される内側板15及び外側板16を含む。内側板15と外側板16は、洗浄槽18の径方向の内外に並んで設置され、且つ一定の距離を隔てている。また、内側板15と外側板16の同一側の端には接続板17が設置されており、前記第1側板が内側板15及び外側板16の他端に固定接続されており、これらによって空洞経路が取り囲まれる。
【0061】
方案3:第2水路部3は、洗浄槽18の周方向に沿って設置される内側板15及び外側板16を含む。内側板15と外側板16は、洗浄槽18の径方向の内外に並んで設置され、且つ一定の距離を隔てている。また、内側板15と外側板16の両側端にはそれぞれ接続板17が設置されており、空洞を取り囲んでいる。内側板15又は外側板16の中央部又は背水面7寄りの一端には開口14が設けられており、凹型空洞の開口14を形成している。こうすることで、開口14の方向は洗浄槽18の中心方向に面するか背向する。第1水路部2は第1側板である。前記第1側板は開口14の辺縁に固定接続されるとともに、開口14を密封状に覆う。こうすることで、第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は内側板15又は外側板16にのみ位置することになる。即ち、洗浄槽18の径方向に位置する。この場合にも同様に、接続箇所5の圧力を低減させて水路の漏水を防止するとの目的を達成可能である。
【実施例3】
【0062】
図1~
図5に示すように、本実施例は、洗浄槽18を含む洗濯機を提供する。洗浄槽18の外側壁又は内側壁には水路構造1が装着されている。水路構造1は、固定接続される第1水路部2と第2水路部3を含み、これらが洗浄槽18と連通する空洞経路4を取り囲んでいる。空洞経路4は第1側壁8と第2側壁9を有している。第1側壁8と第2側壁9は、洗浄槽18の径方向に一定の距離を隔てて対向するよう設置されている。第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は第1側壁8及び/又は第2側壁9上に位置している。
【0063】
本実施例の洗濯機における水路構造1の第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5は、水流の回転方向には位置していない。そのため、脆弱な接続箇所5に対する水流の衝撃を回避可能であり、水路における漏水の発生が防止される。特に、接続箇所5の溶着不良や長期間の使用によって脱水時に発生する漏水を回避可能である。
【0064】
水路構造1の第1水路部2と第2水路部3との接続箇所5が水流の回転方向に位置しないだけでなく、空洞経路4の内部には迎水面6が備わっている。水流が空洞経路4に進入したあとに、迎水面6は洗浄槽18の周方向における水流の方向と向き合うよう設置されている。第1側壁8上の接続箇所5及び第2側壁9上の接続箇所5はいずれも迎水面6から離間して設置される。これにより、接続箇所5に対する水流の衝撃を更に低減させられるため、水路の密封性が保証され、洗濯機の運転の安全性が保証される。
【0065】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0066】
1 水路構造
2 第1水路部
3 第2水路部
4 空洞経路
5 接続箇所
6 迎水面
7 背水面
8 第1側壁
9 第2側壁
10 第3側壁
11 第4側壁
12 第1凹型空洞
13 第2凹型空洞
14 開口
15 内側板
16 外側板
17 接続板
18 洗浄槽