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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】口腔粘膜炎治療用の口腔外マスク
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020560474
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2019032648
(87)【国際公開番号】W WO2019222492
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/672,077
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596093754
【氏名又は名称】ルミテックス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumitex,Inc.
【住所又は居所原語表記】8443 Dow Circle, Strongsville, Ohio 44136 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コーターリー, ヴェダング
(72)【発明者】
【氏名】ラザーラ, ジェイソン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オージャ, ジョーダン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シェルナット, サミュエル ジェー.
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-506126(JP,A)
【文献】特表2008-539808(JP,A)
【文献】特表2012-529299(JP,A)
【文献】国際公開第2017/044931(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0099143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/00
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織センサの出力に基づいて生体組織に供与される光学投与量を調整する光線療法デバイスであって、
解剖学的位置に対して配置されたときに前記解剖学的位置に従う形状を有するマスクと、
前記マスクが前記解剖学的位置に対して配置されたときに複数の表面下標的領域を照明する光を出射する光源のアレイからなる照明源と、
回路と、を備え、
前記回路は、
前記生体組織センサから、前記複数の標的領域への光の供与に影響を与える、前記照明源と前記複数の標的領域との間の生体組織の生体組織特性を受け、
前記複数の標的領域のそれぞれが特定投与量の光学パワーを受けるように、前記受けた生体組織特性に基づいて、前記光源のアレイにより出射され前記複数の標的領域に向けて方向付けられた光の特性を調整する、
光線療法デバイス。
【請求項2】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、
前記光の特性は、強度、波長、出射期間、コヒーレンス、出射の時間変調、または、前記複数の標的領域からの出射距離、の少なくとも1つを含む光線療法デバイス。
【請求項3】
請求項2の前記光線療法デバイスにおいて、
前記生体組織特性が前記複数の標的領域に到達前に閾値よりも小さな光の減衰を示す場合に、前記回路は、強度を低減すること、コヒーレンスを低減すること、波長を低減すること、出射期間を低減すること、または、全出射時間が低減するように出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、前記複数の標的領域内に前記光源のアレイにより出射される前記光に影響を与えるように構成され、
前記生体組織特性が前記複数の標的領域に到達前に前記閾値よりも大きな光の減衰を示す場合に、前記回路は、前記強度を増大すること、前記コヒーレンスを増大すること、前記波長を増大すること、前記出射期間を増大すること、または、前記全出射時間が増大するように前記出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、前記複数の標的領域内に前記光源のアレイにより出射される前記光に影響を与えるように構成されている光線療法デバイス。
【請求項4】
請求項2の前記光線療法デバイスにおいて、
前記生体組織センサから受けた前記複数の標的領域への前記距離が最小距離閾値を下回る場合に、前記回路は、前記強度を低減すること、前記コヒーレンスを低減すること、前記波長を低減すること、前記出射期間を低減すること、または、全出射時間が低減するように前記出射の前記時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、前記複数の標的領域内に前記光源のアレイにより出射される前記光に影響を与えるように構成され、
前記生体組織センサから受けた前記複数の標的領域への前記距離が最大距離閾値を上回る場合に、前記回路は、前記強度を増大すること、前記コヒーレンスを増大すること、前記波長を増大すること、前記出射期間を低減すること、または、全出射時間が増大するように前記出射の前記時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、前記複数の標的領域内に前記光源のアレイにより出射される前記光に影響を与えるように構成されている光線療法デバイス。
【請求項5】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、前記特定投与量の光学パワーは、少なくとも2つの前記標的領域間で異なる光線療法デバイス。
【請求項6】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、
前記複数の標的領域のそれぞれへの前記特定投与量の光学パワーは、10mW/cmと150mW/cmの間である、または、
前記複数の標的領域のそれぞれが受ける前記特定投与量の光学パワーは、前記複数の標的領域間で20%を超えて変化しない光線療法デバイス。
【請求項7】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、前記複数の標的領域は、扁桃部、口腔の頬組織、硬口蓋、または、軟口蓋、の少なくとも1つを含む光線療法デバイス。
【請求項8】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、前記生体組織特性を検出するように構成された前記生体組織センサをさらに備える光線療法デバイス。
【請求項9】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、
前記生体組織センサは、生体組織の厚さ、または、組織液の内容物を検出する、または、
前記生体組織センサは、磁気共鳴画像装置、赤外線センサ、超音波センサ、OCTセンサ、誘電体センサ、光ダイオード、または、カメラ、の少なくとも1つを含む光線療法デバイス。
【請求項10】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、ユーザの口蓋に対して補完的な輪郭を有する口腔内コンポーネントをさらに備える光線療法デバイス。
【請求項11】
請求項10の前記光線療法デバイスにおいて、
前記生体組織センサは、前記口腔内コンポーネント上に配置され、
前記検出された生体組織特性は、前記複数の標的領域への距離を含む、または、前記検出された生体組織特性は、前記複数の標的領域の位置を含み、前記回路は、前記複数の標的領域が前記照明源により優先的に照明されるように、前記照明源により照明された前記領域を制御するように構成されている光線療法デバイス。
【請求項12】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、前記光源のアレイは、複数の発光ダイオード(LED)からなり、前記光源のアレイは、前記マスク上に配置されている光線療法デバイス。
【請求項13】
請求項12の前記光線療法デバイスにおいて、
前記マスクの接触面の温度を検出するように配置された1以上の温度センサをさらに備え、
前記マスクが前記解剖学的位置に対して配置されたときに前記接触面が前記解剖学的位置に接触し、
前記回路は、さらに、前記1以上の温度センサから温度測定値を受け、前記受けた温度測定値が温度閾値を超える場合に、前記光線アレイからの前記光の出射を低減するように構成されている光線療法デバイス。
【請求項14】
請求項13の前記光線療法デバイスにおいて、
前記マスクは、前記光源のアレイと前記マスクの接触面との間にジェルを含み、
前記マスクが前記解剖学的位置に対して配置されたときに前記接触面が前記解剖学的位置に接触する光線療法デバイス。
【請求項15】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、
前記マスクが前記解剖学的位置の近くに位置するときを検出するように構成された1以上の安全センサをさらに備え、
前記回路は、さらに、前記マスクが前記解剖学的位置の近くに位置するかどうかを示す信号を前記1以上の安全センサから受け、
前記信号が、前記マスクが前記解剖学的位置の近くに位置しないことを示すとき、前記回路は、前記照明源に光を出射させないように構成されている光線療法デバイス。
【請求項16】
請求項1の前記光線療法デバイスにおいて、前記解剖学的位置は、口、または、首、の少なくとも1つを含む光線療法デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年5月16日に出願された米国出願番号62/672,077の優先権の利益を享受する。この米国出願は、本出願の一部として援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概ね光線療法に関し、特に、口腔に関する組織に光線療法を適用するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光線療法は、口腔粘膜炎と称される症状を含む様々な症状の治療および痛み止めに利用され得る。光線療法は、いくつかの方法で、例えば、皮膚を通じて病変部位内に光を伝達する低レベルレーザ治療または発光ダイオード(LED)アレイを通じて組織に直接に施され得る。
【0004】
現行の低レベルレーザ治療法では、レーザのコストおよび処置の労働集約性に問題がある。また、治療従事者間でのばらつきにより、患者に施される光線療法の精度が低減する。加えて、患者は長時間にわたり口を開けたままにしなければならず、それは快適ではなく、症状が進むにつれて極めて苦痛になり得る。
【0005】
一方、現行の口腔外LEDアレイ法では、LEDが皮膚から一定距離で保持され且つ熟練技術者により操作されなければならないポータブルランプに収容されるという複雑さがある。そのLEDランプは、頬および首のあらゆる箇所に動かされて患部組織に適切な照射量の光線療法を施さなければならない。生体組織の厚さおよび光学的特性が異なるため、組織深くまで光線療法を施すには、各々の個所で異なる光強度が必要となる。さらに、口腔外法は、扁桃腺や口蓋垂のような口腔内器官を対象としない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、測定された生体組織特性に基づいて標的生体組織に供与される光学投与量を口腔外で調整して、標的生体組織が特定の投与量の光学パワーを受けるようにする光線療法デバイスを提供する。
【0007】
ある観点によると、生体組織センサからの出力に基づいて生体組織に供与される光学投与量を調整する光線療法デバイスが提供される。光線療法デバイスは、解剖学的位置に対して配置されたときに解剖学的位置に従う形状を有するマスクを含む。光線療法デバイスは、また、マスクが解剖学的位置に対して配置されたときに複数の標的領域を照明する光を出射するように構成された光源のアレイからなる照明源を含む。光線療法デバイスは、さらに、生体組織センサから生体組織特性を受けるように構成された回路を含む。受けた生体組織特性は、複数の標的領域への光の供与に影響を与える。回路は、また、複数の標的領域のそれぞれが特定投与量の光学パワーを受けるように、受けた生体組織特性に基づいて、光源のアレイから出射され複数の標的領域に向けて方向付けられた光の特性を調整するように構成されている。
【0008】
代替的または追加的に、光の特性は、強度、波長、出射期間、コヒーレンス、出射の時間変調、または、標的領域からの出射距離、の少なくとも1つを含む。
【0009】
代替的または追加的に、生体組織特性が複数の標的領域に到達前に閾値よりも大きな光の減衰を示す場合に、回路は、強度を低減すること、コヒーレンスを低減すること、波長を低減すること、出射期間を低減すること、全出射時間が低減するように出射の時間変調を変更すること、または、複数の標的領域からの出射距離を増大すること、の少なくとも1つにより、複数の標的領域内に光源のアレイにより出射される光に影響を与えるように構成されている。生体組織特性が複数の標的領域に到達前に閾値よりも小さな光の減衰を示す場合に、回路は、強度を増大すること、コヒーレンスを増大すること、波長を増大すること、出射期間を増大すること、全出射時間が増大するように出射の時間変調を変更すること、または、複数の標的領域からの出射距離を低減すること、の少なくとも1つにより、複数の標的領域内に光源のアレイにより出射される光に影響を与えるように構成されている。
【0010】
代替的または追加的に、生体組織センサから受けた複数の標的領域への距離が最小距離閾値を下回る場合に、回路は、強度を低減すること、コヒーレンスを低減すること、波長を低減すること、出射期間を低減すること、または、全出射時間が低減するように出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、複数の標的領域内に光源のアレイにより出射される光に影響を与えるように構成されている。生体組織センサから受けた複数の標的領域への距離が最大距離閾値を上回る場合に、回路は、強度を増大すること、コヒーレンスを増大すること、波長を増大すること、出射期間を低減すること、または、全出射時間が増大するように出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、複数の標的領域内に光源のアレイにより出射される光に影響を与えるように構成されている。
【0011】
代替的または追加的に、特定投与量の光学パワーは、少なくとも2つの標的領域間で変化する。
【0012】
代替的または追加的に、複数の標的領域のそれぞれへの特定投与量の光学パワーは、10mW/cmと150mW/cmの間である。
【0013】
代替的または追加的に、複数の標的領域のそれぞれが受ける特定投与量の光学パワーは、複数の標的領域間で20%を超えて変化しない。
【0014】
代替的または追加的に、複数の標的領域は、扁桃部、口腔の頬組織、硬口蓋、または、軟口蓋、の少なくとも1つを含む。
【0015】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、生体組織特性を検出するように構成された生体組織センサをさらに備える。
【0016】
代替的または追加的に、生体組織センサは、肌色素、生体組織の厚さ、または、組織液の内容物の少なくとも1つを検出する。
【0017】
代替的または追加的に、生体組織センサは、磁気共鳴画像装置、赤外線センサ、超音波センサ、OCTセンサ、誘電体センサ、光ダイオード、または、カメラ、の少なくとも1つを含む。
【0018】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、ユーザの口蓋に対して補完的な輪郭を有する口腔内コンポーネントをさらに備える。
【0019】
代替的または追加的に、生体組織センサは、口腔内コンポーネント上に配置され、検出された生体組織特性は複数の標的領域への距離を含む。
【0020】
代替的または追加的に、生体組織センサは、口腔内コンポーネント上に配置される。検出された生体組織特性は、複数の標的領域の位置を含む。回路は、複数の標的領域が照明源により優先的に照明されるように、照明源により照明された領域を制御するように構成されている。
【0021】
代替的または追加的に、複数の標的領域は、複数の標的領域が受ける光の光学パワーが、非標的領域が受ける光の光学パワーよりも少なくとも5倍高いように、照明源により優先的に照明される。
【0022】
代替的または追加的に、光源のアレイは、複数の発光ダイオード(LED)からなる。
【0023】
代替的または追加的に、光源のアレイは、1以上のレーザをさらに含む。
【0024】
代替的または追加的に、光源のアレイは、マスク上に配置されている。
【0025】
代替的または追加的に、マスクが解剖学的位置に対して配置されたときに光源のアレイにより生成された熱が解剖学的位置から遠ざかるように方向付けられるように、光源のアレイがマスク上に配置されている。
【0026】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、また、マスクの接触面の温度を検出するように配置された1以上の温度センサをさらに備える。マスクが解剖学的位置に対して配置されたときに接触面が解剖学的位置に接触する。回路は、さらに、1以上の温度センサから温度測定値を受け、受けた温度測定値が温度閾値を超える場合に、光線アレイからの光の出射を低減するように構成されている。
【0027】
代替的または追加的に、マスクは、光源のアレイとマスクの接触面との間にジェルを含む。マスクが解剖学的位置に対して配置されたときに接触面が解剖学的位置に接触する。
【0028】
代替的または追加的に、ジェルは、照明源により生成された熱の接触面への伝達を低減するように構成された断熱材である。
【0029】
代替的または追加的に、光源療法デバイスは、照明源により出射された光の複数の標的領域への通過を改善するために生体組織特性を変更するように構成されたアクチュエータをさらに備える。
【0030】
代替的または追加的に、アクチュエータは、振動、または、音波、の少なくとも1つを発する。
【0031】
代替的または追加的に、光源療法デバイスは、マスクが解剖学的位置の近くに位置するときを検出するように構成された1以上の安全センサをさらに備える。回路は、さらに、(1)マスクが解剖学的位置の近くに位置するかどうかを示す信号を1以上の安全センサから受け、信号が、マスクが解剖学的位置の近くに位置しないことを示すとき、回路は、照明源に光を出射させないようにする。
【0032】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、照明源、または、回路の、少なくとも1つに電力を供給するように構成されたバッテリをさらに備える。
【0033】
代替的または追加的に、解剖学的位置は、口、または、首、の少なくとも1つを含む。
【0034】
代替的または追加的に、マスクは、50ショアAデュロメータ以下の柔らかさを有する。
【0035】
代替的または追加的に、照明源により出射される光の波長は、600nmから1000nmである。
【0036】
本開示は、また、患者の口腔へと光を向けるための口腔内光線療法デバイスであって、口腔内に挿入されたときに口腔の輪郭に従うような形状を有する本体を備える口腔内光線療法デバイスを提供する。本体は、口腔の両側で患者の歯と頬の間に受け入れられる寸法および形状を有する、側方に離間した一対の側翼を含む。本体は、また、本体が口腔内に配置されたときに口腔の複数の標的領域に光を向かわせるように本体上に配置された複数のマイクロ発光ダイオードからなる照明源を備える。口腔の複数の標的領域は、下顎および上顎の頬側の表面である。
【0037】
代替的または追加的に、本体は、口腔の特定の複数の標的領域に光を向かわせる、一対の側翼の中間の中央突起をさらに備える。口腔の特定の複数の標的領域は、舌、扁桃腺、および、口蓋の少なくとも1つをさらに含む。
【0038】
代替的または追加的に、口腔内光線療法デバイスは、照明源に電力を供給するように構成されたバッテリをさらに備える。
【0039】
本開示は、また、口腔粘膜炎を防止する方法を提供する。方法は、口腔粘膜炎の症状が現れる前に、ユーザの口腔の複数の標的領域に光を照射することを含む。複数の標的領域は、頬組織、舌組織、口蓋組織、または、扁桃組織、の少なくとも1つを含む。
【0040】
本明細書では、多くの特徴が本発明の実施形態に関して記述されているが、特定の実施形態に関して記述された特徴は、他の実施形態にも採用され得る。以下の記述および添付図面は、本発明のいくつかの例示的実施形態を説明している。これらの実施形態は、本発明の原理が採用され得る種々の方法のいくつかを示しているに過ぎない。本発明の種々の観点による他の目的、利点および新規な特徴は、図面とともに勘案されて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
添付図面は、必ずしも縮尺は正しくなく、本発明の種々の観点を示し、類似の参照番号は種々の図面内の同一または類似の部品を示すように使用されている。
図1図1は、患者に配置された光線療法デバイスの例示的実施形態の模式図である。
図2図2は、患者に配置された光線療法デバイスの別の例示的実施形態の模式図である。
図3図3は、センサおよび複数の光源を表す光線療法デバイスの例示的実施形態の模式図である。
図4図4は、図3の光線療法デバイスよりも低密度のセンサおよび複数の光源を有する光線療法デバイスの例示的実施形態の模式図である。
図5図5は、連結された2つの独立した部分を有する光線療法デバイスの模式図である。
図6図6は、図5とは異なる数量の光源およびセンサを有する光線療法デバイスの模式図である。
図7図7は、図5とは異なる数量の光源およびセンサを有する光線療法デバイスの模式図である。
図8図8は、図5とは異なる数量の光源およびセンサを有する光線療法デバイスの模式図である。
図9図9は、頬を通過する相対的な光路を示す模式図である。
図10図10は、首を通過する相対的な光路を示す模式図である。
図11図11は、相対的な光路、光源およびセンサを示す模式図の拡大図である。
図12図12は、センサ、アクチュエータおよび光源を含む光線療法デバイスを示す模式図である。
図13図13は、センサ、熱センサおよび光源を含む光線療法デバイスを示す模式図である。
図14図14は、口腔内光線療法デバイスの模式図である。
図15図15は、中央突起を含む口腔内光線療法デバイスの模式図である。
図16図16は、光線療法を実施する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図面では、参照番号を伴う各要素は、その参照番号に付された添字とは無関係に、同一の参照番号を伴う他の要素と類似である。文章では、特定の添字が付された参照番号は、その参照番号およびその添字を伴う特定の要素を参照し、特定の添字が付されていない参照番号は、参照番号に付された添字とは無関係に、同一の参照番号を伴う全ての要素を参照する。
【0043】
本発明は、マスク、照明および回路を含む光線療法デバイスを提供する。回路は、センサから生体組織特性を受け、受けた生体組織特性に基づいて、(1)光源のアレイにより出射され(2)標的領域に向けて方向付けられた光の特性を調整して、標的生体組織のそれぞれが特定の投与量の光学パワーを受けるように構成されている。
【0044】
図1に移り、生体組織に供与される光学投与量を生体組織センサからの出力に基づいて調整する例示的な光線療法デバイス10が示されている。光線療法デバイスは、マスク12、照明源14および回路16を含む。光線療法デバイス10は、また、生体組織特性を検出するように構成された生体組織センサ30を含んでもよい。照明源14は、マスク10が解剖学的位置18に対して配置されたときに標的領域24を照明する光28を出射するように構成された光源22のアレイを含む。回路16は、生体組織特性を受け、標的生体組織24のそれぞれが特定投与量の光学パワーを受けるように、受けた生体組織特性に基づいて、照明源14により出射される光28の特性を調整するように構成されている。
【0045】
図3図8に移り、照明源14は、マスク12が解剖学的位置22に対して配置されたときに、標的領域22を照明する光28を出射するように構成された光源22のアレイを含む。光源22のアレイは、マスク12上に配置されていてもよい。光源22のアレイは、マスクが解剖学的位置に対して配置されているときに光源22のアレイにより生成された熱が解剖学的位置18から遠ざかるように、マスク12上に配置されていてもよい。例えば、図11に示されるように、光源22のアレイは、マスクが解剖学的位置22に対して配置されているときに、ユーザの皮膚面に対向するマスク12の表面に隣接して配置されていてもよい。光源22のアレイは、標的領域24を照明するときに光の均一性を制御するため間隔を開けていてもよい。
【0046】
光源22のアレイは、複数の発光ダイオード(LED)を含んでいてもよい。光源22のアレイは、さらに、1以上のレーザを含んでいてもよい。当業者により理解されるように、光源22のアレイは、あらゆる適切な電磁気的放射源を含み得る。光源22のアレイは、600nmから1000nmまでの波長を有する光28を出射してもよい。例えば、光源は、630nm、660nm、670nm、810nm、または、880nmの少なくとも1つと近似的に等しい波長を有する電磁気的放射を出射してもよい。
【0047】
図3図8に示されるように、光源22およびセンサ30の位置および数量は、変化し得る。光源22の位置および数量は、治療される標的領域に依存して、且つ、ユーザの特性(例えば、サイズ、体重、肌色など)に基づいて、選択されてもよい。
【0048】
マスク12は、解剖学的位置18に対して配置されたときに解剖学的位置18に従う形状を有する。例えば、図1では、解剖学的位置18は、口(例えば、患者20の口の周辺領域、頬、および、首を含む)を含む患者20の顔の下部からなり得る。図2に示された実施形態では、解剖学的位置は、あごの下の領域を含む。患者のあごの下の領域内に光源22を配置することにより、光は、例えば、扁桃領域、および/または、口腔に供与され得る。
【0049】
マスクは、あらゆる適切な材料により形成され得る。例えば、マスクは、ゴム、プラスチック、または、解剖学的位置18に対して照明源14を位置づけるためのあらゆる適切な材料からなり得る。例として、例は、50ショアAデュロメータ以下の柔らかさを有する材料からなる。例えば、マスク12は、マスク12が解剖学的位置18に対して押さえつけられたときに解剖学的位置18の形状に従うように、比較的柔軟であってもよい。あるいはこれに代えて、マスク12は、より固く、たとえマスク12が解剖学的位置18に対して押さえつけられていないときでも解剖学的位置18の形状に補完的な形状を有してもよい。
【0050】
マスク12は、また、標準的手法(例えば、アルコールを利用した化学的消毒)により消毒された表面であるために適切な材料からなることとしてもよい。
【0051】
図1および図5図8に示されるように、マスク12は、あごおよび口の付近に配置される形状を有する上部12aと、首の付近に配置される形状を有する下部12bとを含む。これらの上部および下部は、互いに電気的および/または光学的に接続または独立していてもよい。
【0052】
マスク12は、ストラップ(図1図8)、接着剤、または、あらゆる適切な手段を利用して解剖学的位置18に対して適切な位置に保持されてもよい。代替的または追加的に、マスク12は、マスク12の位置が解剖学的位置18に対して維持されるようにユーザの手で保持されてもよい。
【0053】
回路16は、生体組織センサ30から生体組織特性を受けるように構成されている。受けた生体組織特性は、標的領域への光28の供与に影響を与える。例えば、生体組織特性は、生体組織色素、生体組織密度、液体内容物、生体組織からの距離などのような、標的領域に到達する前の光28の減衰からなる。受けた生体組織特性に基づいて、回路16は、標的領域のそれぞれが特定投与量の光学パワーを受けるように、光源22のアレイにより出射され標的領域24に向けて方向付けられた光28の特性を調整するように構成されている。
【0054】
回路16により変化された光28の特性は、強度、波長、出射期間、コヒーレンス、出射の時間変調、または、標的領域からの出射の距離、の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、生体組織特性が標的領域24に到達前に閾値よりも大きな光28の減衰を示す場合に、回路16は、強度を低減すること、コヒーレンスを低減すること、波長を低減すること、出射期間を低減すること、全出射時間が低減するように出射の時間変調を変更すること、または、標的領域からの出射距離を増大すること、の少なくとも1つにより、標的領域内に光源22のアレイにより出射される光28に影響を与えるように構成されていてもよい。これにより、回路16は、光28が標的領域24に到達する前での光28の大きな減衰を補完するように照明源16により出射された光28の特性を変化させて、十分な光28が標的領域24に到達するようにしてもよい。
【0055】
これに類似して、生体組織特性が標的領域24に到達前に閾値よりも小さな光28の減衰を示す場合に、回路16は、強度を増大すること、コヒーレンスを増大すること、波長を増大すること、出射期間を増大すること、全出射時間が増大するように出射の時間変調を変更すること、または、標的領域からの出射距離を低減すること、の少なくとも1つにより、標的領域24内に光源22のアレイにより出射される光28に影響を与えるように構成されていてもよい。これにより、回路16は、光28が標的領域24に到達する前での光28の小さな減衰を補完するように照明源16により出射された光28の特性を変化させて、過剰な光28が標的領域24に到達しないようにしてもよい。
【0056】
図9図11に示される別の例では、生体組織センサ30から受けた標的領域24への距離が最小距離閾値を下回る場合に、回路16は、強度を低減すること、コヒーレンスを低減すること、波長を低減すること、出射期間を低減すること、または、全出射時間が低減するように出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、標的領域22内に光源22のアレイにより出射される光28に影響を与えるように構成されていてもよい。
【0057】
この例では、生体組織センサから受けた標的領域24への距離が最大距離閾値を上回る場合に、回路16は、強度を増大すること、コヒーレンスを増大すること、波長を増大すること、出射期間を低減すること、または、全出射時間が増大するように出射の時間変調を変更すること、の少なくとも1つにより、標的領域24内に光源22のアレイにより出射される光28に影響を与えるように構成されていてもよい。
【0058】
例えば、図11に移り、光源22a、22bは、光源22c~22fよりも標的領域24の近くに配置されている。結果的に、コントローラ16は、光源22a、22bにより出射される光28の強度を光源22c~22fに比べて低減してもよい。
【0059】
別の例にように、光28を供給する照明源14は、さまざまな光出力強度のセッティングを有してもよい。各セッティングは、直近の生体組織への距離に関連していてもよい。ある光出力強度セッティングにおいて、仮に直近の生体組織がそのセッティングに関連付けられた距離よりも近い場合(センサ30により検出される)、そのセッティングは、より低い光出力強度のセッティングへと変更されてもよい。逆に、直近の生体組織がそのセッティングに関連付けられた距離よりも遠い場合、そのセッティングは、より高い光出力強度のセッティングへと変更されてもよい。回路16は、照明源14の出力を監視し(例えば、生体組織センサを利用して)、直近の生体組織への距離の変化を検出(例えば、生体組織センサからの出力を連続的または周期的に受けることにより)してもよい。生体組織センサの出力が変化したとき、回路16は、照明源14のセッティングを変更して、生体組織センサにより出力された距離に合わせてもよい。これにより、回路16は、直近の生体組織への距離(生体組織センサにより検出される)に基づいて光出力強度を制御してもよい。
【0060】
標的領域24に供与される特定投与量の光学パワーは、少なくとも2つの標的領域の間で異なっていてもよい。例えば、標的領域24は、扁桃部、口腔の頬組織、硬口蓋、または、軟口蓋、舌の少なくとも1つを含んでもよい。異なる生体組織に供与される特定投与量の光学パワーは、異なる生体組織を治療するのに有効な既知の光学投与量に基づいて異なっていてもよい。例えば、扁桃部への特定投与量の光学パワーは、硬口蓋に供与される特定投与量の光学パワーと異なり得る。
【0061】
複数の標的領域のそれぞれへの特定投与量の光学パワーは、10mW/cmと150mW/cmの間であってもよい。複数の標的領域のそれぞれが受ける特定投与量の光学パワーは、複数の標的領域間で20%を超えて変化しないようにしてもよい。
【0062】
当業者に理解されるように、回路16は、さまざまな実装を持ち得る。例えば、回路16は、プロセッサ(例えば、CPU)、プログラマブル回路、集積回路、メモリおよびI/O回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、複合プログラマブルロジックデバイス、その他のプログラム可能な回路などのような、あらゆる適切なデバイスを含み得る。回路16は、また、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去およびプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、または、他のあらゆる適切な媒体のような、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでいてもよい。後述の方法を実施するための命令群が非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に保存され、回路16により実行されてもよい。回路16は、システムバス、マザーボードを通じて、または、他の適切な既知な構造を利用して、コンピュータ読み取り可能な媒体およびネットワークインターフェイスに通信可能に接続されていてもよい。回路16は、ネットワークインターフェイスを介して照明源14を制御するためのパラメータを受けてもよい。代替的または追加的に、回路16は、ネットワークインターフェイスから異なる生体組織への特定の光学投与量を受けてもよく、回路16は、受けた光学投与量がそれぞれの生体組織により受けられるように照明源14を制御してもよい。
【0063】
上述の通り、光線療法デバイス10は、さらに、生体組織センサ30を含んでもよい。生体組織センサ30は、光28の透過および減衰に影響を与える生体組織特性を測定するあらゆる適切なデバイスからなり得る。例えば、生体組織センサ30は、肌色素、生体組織の厚み、または、組織液の内容物、の少なくとも1つを検出してもよい。生体組織センサ30は、磁気共鳴画像装置(MRI)、赤外線(IR)センサ、超音波センサ、OCTセンサ、誘電体センサ、光ダイオード、または、カメラ、の少なくとも1つからなり得る。
【0064】
照明源12が標的領域24を照明している間に、生体組織センサ30により生体組織特性が測定されてもよい。代替的または追加的に、生体組織センサ30は、標的領域24の照明の前に生体組織特性を測定してもよい。例えば、標的領域24が光線療法デバイス10で照明される前に、標的領域へのMRIが実施されてもよい。これにより、口腔内生体組織が事前にマップ化され得、そのマッピングが回路16により受けられ得る。回路16は、それから、照明源14により出射された光の調整にこのマッピングを使用してもよい。
【0065】
図14および図15に移り、光線療法デバイス10は、さらに、ユーザの口蓋に対して補完的な輪郭を有する口腔内コンポーネント40を含んでもよい。口腔内コンポーネント40は、口腔内に配置されたときに舌の上または口蓋に対して置かれてもよい。例えば、口腔内コンポーネント40は、口腔内に配置されたとき、口腔内コンポーネント40とユーザの口蓋および/または舌との間の距離が25mmを超えて変化しないような形状を有してもよい。生体組織センサ30は、また、口腔内コンポーネント40上に配置されてもよい。生体組織センサ30により検出された生体組織特性は、標的領域24への距離および/または標的領域24の位置を含んでもよい。例えば、扁桃腺または口蓋での口腔粘膜炎の発生(HPV関連癌において一般的)において、口腔内コンポーネント(例えば、マウスピースアクセサリ)が、それらの標的領域に光線療法を適用するのに使用されてもよい。
【0066】
例えば、生体組織センサ30は、口腔内コンポーネント40の上および/または下に位置する生体組織の距離を検出してもよい。口腔内コンポーネント40は、また、口腔内コンポーネント40の上面および/または下面に沿って配置された光源22を含んでもよい。回路16は、特定の光源と生体組織センサ30により検出された隣接する生体組織との間の距離に基づいて光源22を制御してもよい。例えば、上述の通り、生体組織の近くに配置された光源22は、生体組織から離れて配置された光源22に比べて、小さな出力強度を有してもよい。別の例では、仮に生体組織(例えば、舌)がセンサ30の近くに配置されたとき、回路16は、口腔内コンポーネントから出射される光の強度を低減してもよい(例えば、口腔内コンポーネントにより出射される光を供給する1以上の光源を消灯することによって)。代替的に、仮にセンサに直近の生体組織が予定よりも離れて配置されたとき、回路16は、口腔内コンポーネント50により出射される光の強度を増大してもよい。
【0067】
代替的または追加的に、口腔内コンポーネント40は、患者の口の外に配置された口腔内コンポーネントの部分74内に埋め込まれた1以上の光源を含んでもよい。口腔内コンポーネントは、1以上の光源からの光を伝達して標的領域に光線療法を供与するように構成された導光部(例えば、シリコーン、アクリルなどからなる)からなることとしてもよい。
【0068】
別の例では、生体組織センサ30は、特定の生体組織の位置を検出してもよい。例えば、生体組織センサ30は、カメラからなり、カメラが口腔内の異なる生体組織どうしを区別してもよい。例えば、回路16は、カメラにより撮影された画像を分析して、画像処理技術を利用して異なる生体組織どうしを区別してもよい。例えば、異なる生体組織は、スペクトル特性(例えば、色、色相、彩度、強度など)、位置(例えば、他の既知の生体組織に対する相対位置)、形状などに基づいて特定されてもよい。当業者により理解されるように、カメラは、口腔内コンポーネント内部または口腔内コンポーネント外部に配置されてもよい(例えば、口腔の映像を受ける光学系を介して接続されたカメラ)。
【0069】
一旦、着目した生体組織が特定されると、回路16は、特定の生体組織への距離を決定し(例えば、カメラの出力に基づいて、または、別個の距離センサを利用して)、それに従って光源の強度を調整してもよい。代替的または追加的に、回路16は、口腔内コンポーネントにより出射された光を操作して、着目した生体組織に焦点を合わせてもよい。例えば、光源22のアレイの光源22は、異なる方向に光を出射してもよい。コントローラは、別個の光源のそれぞれにより出射された光の強度を調整することにより(例えば、別個の光源への電力を個別に増大または低減することにより)、着目した生体組織に焦点を合わせてもよい。すなわち、回路16は、標的領域24が照明源14により優先的に照明されるように、照明源14により照明された領域を制御してもよい。例えば、標的領域が受ける光28の光学パワーが、非標的領域が受ける光28の光学パワーよりも少なくとも2倍、3倍または5倍高いように、標的領域が照明源により優先的に照明されてもよい。
【0070】
当業者により理解されるように、回路16は、出射光を操作して1以上の着目した生体組織に影響を与えてもよく、または、特定の生体組織を避けるために利用されてもよい。例えば、コントローラは、出射光を操作して舌または出射光により引き起こされる損傷の影響を特に受けやすい生体組織を避けてもよい。
【0071】
図13に移り、マスク12は、光源22のアレイとマスク12の接触面62との間に配置されたジェル60を含んでもよい。接触面62は、マスクが解剖学的位置に対して配置されたときに解剖学的位置に接触する。ジェル60は、照明源14により生成された熱の接触面62への伝達を低減するように構成された断熱材であってもよい。
【0072】
光線療法デバイス10は、さらに、マスク12の接触面62の温度を検出するように配置された1以上の温度センサ64を含んでもよい。接触面62は、マスクが解剖学的位置18に対して配置されたときに解剖学的位置18に接触してもよい。例えば、図13に示されるように、温度センサ64は、マスク12の接触面62上に配置されてもよい。代替的に、温度センサ64は、接触面62から離れて配置されてもよい。
【0073】
回路16は、さらに、温度センサ64から温度測定値を受けるように構成されてもよい。回路16は、受けた温度測定値が温度閾値を超えるとき、光源22のアレイからの光28の出射を低減してもよい。例えば、光源16は、光源22のアレイが熱を少なく発するように、照明源14による光28の出射を低減してもよい。
【0074】
光源療法デバイス10は、また、熱を除去するためのヒートシンクを含んでもよい。ヒートシンクは、照明源14により生成された熱を受動的に(例えば、金属のフィン片)または能動的に(例えば、ファンを利用して)除去してもよい。
【0075】
図12に移り、光線療法デバイス10は、さらに、照明源14により出射された光28の標的領域22への通過を改善するために生体組織特性を変更するように構成されたアクチュエータ72を含んでもよい。例えば、アクチュエータは、振動または音波の少なくとも1つを発してもよい。例として、回路16は、アクチュエータ72を制御して、照明源14により出射されて標的領域24に到達する光のパーセンテージを改善してもよい。
【0076】
光線療法デバイス10は、さらに、マスク12が解剖学的位置18の近くに位置するときを検出するように構成された1以上の安全センサ66を含んでもよい。回路16は、マスクが解剖学的位置18の近くに位置するかどうかを示す信号を安全センサ66から受けるように構成されてもよい。信号が、マスク12が解剖学的位置18の近くに位置しないことを示すとき、回路16は、照明源12に光28を出射させないようにしてもよい。例えば、安全センサ66は、隣接面への距離を検出するように構成された距離センサからなることとしてもよい(例えば、超音波距離センサ、光検出器など)。このように、光線療法デバイス10は、マスク12が別の面に隣接して位置しないときに照明源16に光28の出射をさせないことにより、ユーザの目を損傷する出射光28のリスクを低減してもよい。
【0077】
マスク12は、さらに、照明源14による出射光により引き起こされる損傷からユーザの目を保護するアイシールドを含んでもよい。
【0078】
光源療法デバイス10は、さらに、電源82を含んでもよい。電源82は、バッテリおよび/または外部電源(例えば、電気コンセント)に接続するためのプラグからなることとしてもよい。例えば、光源療法デバイス10は、照明源14または回路16の少なくとも1つに電力を供給するように構成されたバッテリ82を含んでもよい。
【0079】
光源療法デバイス10は、患者により操作されて、熟練技術者の必要性を無くしてもよい。マスクは、患者に固有の顔の形状に合うようにカスタムメイドであってもよい。初回の治療時は、医者に、マスクの必要な調整を実施させ、患者にこのデバイスの操作方法を説明させてもよい。2回目以降の治療時は、患者の頭の後方を巻くストラップを接続することによりマスクを患者の顔の周りに配置してデバイスを開始することにより、患者自身で実施されてもよい。マスクが適切に配置されないままにデバイスが操作されるリスクを低減するため、デバイスは、マスク上の重要な位置において肌がマスクに接触しているかを検出するように構成されたコントローラを含んでもよい。
【0080】
図14では、患者の口腔へと光を向けるための口腔内光線療法デバイス100が示されている。口腔内光線療法デバイス100は、口腔内に挿入されたときに口腔の輪郭に従うような形状を有する本体102を含む。本体は、口腔の両側で患者の歯と頬の間に受け入れられる寸法および形状を有する、側方に離間した一対の側翼104を含む。
【0081】
口腔内光線療法デバイス100は、また、本体が口腔内に配置されたときに口腔の標的領域に光を向かわせるように本体102上に配置された複数のマイクロ発光ダイオード112からなる照明源110を含む。口腔の標的領域は、下顎および上顎の頬側面を含む。
【0082】
本体102は、さらに、口腔の特定の標的領域に光を向かわせる、一対の側翼104の中間の中央突起120を含んでもよい。口腔の特定の標的領域は、さらに、舌、扁桃腺、および、口蓋の少なくとも1つをさらに含む。本体102は、さらに、照明源110に電力を供給するように構成されたバッテリ122を含んでもよい。
【0083】
図16に移り、口腔粘膜炎を防止する方法200が示されている。処理ブロック202では、ユーザの口腔の標的領域は、口腔粘膜炎の症状が見つかる前に光に照射される。標的領域は、頬組織、舌組織、口蓋組織、または、扁桃組織、の少なくとも1つを含む。
【0084】
本明細書内で説明された多くの要素は、ハードウェア回路、プロセッサによりアクセス可能なコンピュータ読み取り可能な媒体内に符号化されたソフトウェアコードまたは命令群を実行するプロセッサ、または、ハードウェア回路とコンピュータ読み取り可能な媒体内に符号化された機械読み取り可能なコードを実行するプロセッサまたは集積回路のコントロールブロックとの組み合わせにおいて実装されてもよいことが理解されるべきである。従って、回路、モジュール、サーバー、アプリケーションといった用語、または、本明細書全体で使用された要素の他の同等な説明は、別途示されない限り、ハードウェア回路(ディスクリート素子または集積回路ブロック)、コンピュータ読み取り可能な媒体内に符号化されたコードを実行するプロセッサまたはコントロールブロック、あるいは、ハードウェア回路とそのようなコードを実行するプロセッサまたはコントロールブロックとの組み合わせを包含することを意図されている。
【0085】
明細書および特許請求の範囲に開示された全ての範囲および比率の制限は、あらゆる方法で組み合わせられてもよい。特段の言及がない限り、「a」「an」および/または「the」への参照は、1つよりも1以上を含み得、そして、単数形のアイテムへの参照は、また、複数形のそのアイテムを含み得る。
【0086】
本発明は、ある実施形態または複数の実施形態に関して開示され且つ説明されているが、当業者は、本明細書および添付図面を読み且つ理解することで均等な代替及び変更を想到するであろう。特に上記要素(部品、アセンブリ、装置、組成など)により発揮される種々の機能に関して上記要素を表現するのに利用された用語(「手段」の参照を含む)は、特段の指定が無い限り、たとえそれがその機能を発揮するとして本発明の例示的実施形態または複数の実施形態で開示された構造物とは構造的には均等ではなくても、その説明された要素のその特定の機能を発揮するあらゆる要素に相当することを意図されている(すなわち、機能的均等)。さらに、本発明の特定の特徴が数例の実施形態のうちの1または複数の実施形態のみで上述されているかもしれないが、そのような特徴は、あらゆる任意または特定の応用に望まれ且つ利点を得るように、他の実施形態の1または複数の他の特徴と組み合わせ得る。
図1
図2
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