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特許7174285二次電池保護回路、二次電池保護集積回路及び電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】二次電池保護回路、二次電池保護集積回路及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20221110BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221110BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20221110BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20221110BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M10/42 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021107841
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2017138567の分割
【原出願日】2017-07-14
(65)【公開番号】P2021166467
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】元市 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】北村 巌
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123560(JP,A)
【文献】特開2011-177025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02H 7/18
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの充電が前記充電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子と、
前記セルの夫々に対して設けられ、前記充電経路の電圧降下を検出する検出素子と、
前記充電経路に流れる充電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護回路。
【請求項2】
前記バランス制御部は、
前記充電電流のバランスがとれていない状態で、
前記検出素子により生ずる検出電圧を増幅し、前記バランス制御部に設定された所定電圧と、増幅された前記検出電圧とに基づいて、前記充電制御素子に負帰還をかけることによって、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、
前記充電電流のバランスがとれている状態で、
前記検出素子により生ずる検出電圧を増幅し、前記バランス制御部に設定された所定電圧と、増幅された前記検出電圧とに基づいて、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させる、請求項1に記載の二次電池保護回路。
【請求項3】
前記検出素子は、前記充電経路に直列に挿入された検出抵抗である、請求項1又は2に記載の二次電池保護回路。
【請求項4】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの放電が前記放電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子と、
前記セルの夫々に対して設けられ、前記放電経路の電圧降下を検出する検出素子と、
前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護回路。
【請求項5】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子を動作させて、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記充電経路に流れる充電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護集積回路。
【請求項6】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子を動作させて、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護集積回路。
【請求項7】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの充電が前記充電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの放電が前記放電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子と、
前記充電経路に流れる充電電流又は前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護回路。
【請求項8】
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子を動作させて、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子を動作させて、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記充電経路に流れる充電電流又は前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護集積回路。
【請求項9】
請求項1,2,3,4,7のいずれか一項に記載の二次電池保護回路と、前記二次電池とを備える、電池パック。
【請求項10】
二つの電流経路に夫々挿入された電流制御素子によって、前記二つの電流経路に正方向又は逆方向に流れる電流を制御する電流制御回路であって、
前記二つの電流経路に流れる電流が互いにバランスするように動作するバランス制御回路と、
前記二つの電流経路の夫々に設けられ、前記二つの電流経路の電圧降下を検出する検出素子と、を備え、
前記バランス制御回路は、前記電流のバランスがとれていない状態で、前記電流が所定の電流値に維持されるように前記電流制御素子を飽和領域で動作させ、前記電流のバランスがとれている状態で、前記電流制御素子を非飽和領域で動作させる、電流制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池保護回路、二次電池保護集積回路及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-059212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、各セルに流れる電流を制御する素子は、オン状態かオフ状態かの2状態に制御されるにすぎない。そのため、所望の電流を各セルに流すことが難しい。
【0005】
そこで、本開示では、所望の電流を各セルに流すことができる、二次電池保護回路、二次電池保護集積回路及び電池パックが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの充電が前記充電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子と、
前記セルの夫々に対して設けられ、前記充電経路の電圧降下を検出する検出素子と、
前記充電経路に流れる充電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護回路が提供される。
【0007】
また、本開示の一態様では、
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの放電が前記放電異常検出部より禁止された場合、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子と、
前記セルの夫々に対して設けられ、前記放電経路の電圧降下を検出する検出素子と、
前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護回路が提供される。
【0008】
また、本開示の一態様では、
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過充電と充電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの充電経路を遮断する充電制御素子を動作させて、対応するセルの充電を禁止する充電異常検出部と、
前記充電経路に流れる充電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記充電電流のバランスがとれていない状態で、前記充電電流が所定の充電電流値に維持されるように前記充電制御素子を飽和領域で動作させ、前記充電電流のバランスがとれている状態で、前記充電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護集積回路が提供される。
【0009】
また、本開示の一態様では、
並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記セルの夫々に対して設けられ、対応するセルの過放電と放電過電流の少なくとも一方を検出したとき、対応するセルの放電経路を遮断する放電制御素子を動作させて、対応するセルの放電を禁止する放電異常検出部と、
前記放電経路に流れる放電電流が互いにバランスするように動作するバランス制御部とを備え、
前記バランス制御部は、前記放電電流のバランスがとれていない状態で、前記放電電流が所定の放電電流値に維持されるように前記放電制御素子を飽和領域で動作させ、前記放電電流のバランスがとれている状態で、前記放電制御素子を非飽和領域で動作させる、二次電池保護集積回路が提供される。
【0010】
また、本開示の一態様では、
前記二次電池保護回路と、前記二次電池とを備える、電池パックが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、所望の電流を各セルに流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電池パックの構成の一例を示す図である。
図2】各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。
図4】各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態におけるバランス制御部が、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。
図6】各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。
図8】各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態におけるバランス制御部が、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。
図10】各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一変形例を示す図である。
図11】各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一変形例を示す図である。
図12】第1及び第2の実施形態の変形例におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態である電池パック100の構成図である。電池パック100は、負荷接続端子5,6に接続される不図示の外部負荷に電力を供給可能な二次電池200と、二次電池200を保護する二次電池保護回路80とを内蔵して備えている。電池パック100は、外部負荷に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。外部負荷の具体例として、携帯端末(携帯電話、携帯ゲーム機、PDA、モバイルパソコン、スマートフォン、タブレット端末、音楽や映像の携帯プレーヤーなど)、コンピュータ、ヘッドセット、カメラなどの電子機器が挙げられる。
【0015】
二次電池200は、負荷接続端子5,6に接続される充電器300によって充電可能である。二次電池200の具体例として、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などが挙げられる。二次電池200は、2つのセル201,202が互いに並列に接続されて構成されている。
【0016】
二次電池保護回路80は、負荷接続端子5と、負荷接続端子6と、セル接続端子3,17,27とを備え、セル接続端子3,17,27に接続された二次電池200を過電流から保護する電池保護装置である。セル接続端子3は、負荷接続端子5に電源経路8を介して繋がる。セル接続端子17は、負荷接続端子6に電源経路16を介して繋がり、セル接続端子27は、負荷接続端子6に電源経路26を介して繋がる。セル接続端子3は、セル201とセル201の両方の正極に接続されている。セル接続端子17は、セル202の負極に接続されずに、セル201の負極に接続される。セル接続端子27は、セル201の負極に接続されずに、セル202の負極に接続される。
【0017】
二次電池保護回路80は、トランジスタ11,12,21,22を備えている。トランジスタ11は、セル201の充電経路を遮断可能な充電経路遮断部であり、トランジスタ12は、セル201の放電経路を遮断可能な放電経路遮断部である。トランジスタ21は、セル202の充電経路を遮断可能な充電経路遮断部であり、トランジスタ22は、セル202の放電経路を遮断可能な放電経路遮断部である。図示の場合、トランジスタ11は、セル201の充電電流が流れる電源経路16を遮断でき、トランジスタ12は、セル201の放電電流が流れる電源経路16を遮断できる。トランジスタ21は、セル202の充電電流が流れる電源経路26を遮断でき、トランジスタ22は、セル202の放電電流が流れる電源経路26を遮断できる。
【0018】
トランジスタ11,12は、電源経路16の導通/遮断を切り替え可能なスイッチング素子であり、電源経路16に直列に挿入されている。トランジスタ21,22は、電源経路26の導通/遮断を切り替え可能なスイッチング素子であり、電源経路26に直列に挿入されている。
【0019】
トランジスタ11,12,21,22は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。トランジスタ11は、トランジスタ11の寄生ダイオードの順方向がセル201の放電方向に一致するように電源経路16に挿入されている。トランジスタ12は、トランジスタ12の寄生ダイオードの順方向がセル201の充電方向に一致するように電源経路16に挿入されている。トランジスタ21は、トランジスタ21の寄生ダイオードの順方向がセル202の放電方向に一致するように電源経路26に挿入されている。トランジスタ22は、トランジスタ22の寄生ダイオードの順方向がセル202の充電方向に一致するように電源経路26に挿入されている。
【0020】
なお、トランジスタ11,12,21,22は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やバイポーラトランジスタなどの他の半導体素子でもよい。また、トランジスタ11,12,21,22のドレイン-ソース間(又は、コレクタ-エミッタ間)にダイオードが追加されてもよい。
【0021】
二次電池保護回路80は、抵抗13,23を備えている。抵抗13は、セル201に流れる放電電流又は充電電流の電流値を検出するための検出抵抗であり、セル接続端子17とトランジスタ11,12との間における電源経路16に直列に挿入されている。抵抗23は、セル202に流れる放電電流又は充電電流の電流値を検出するための検出抵抗であり、セル接続端子27とトランジスタ21,22との間における電源経路26に直列に挿入されている。
【0022】
二次電池保護回路80は、キャパシタ14,24を備えている。キャパシタ14は、抵抗13に並列に接続されている。キャパシタ14を抵抗13に並列に接続することによって、抵抗13を用いた電流検出の精度が向上する。キャパシタ24は、抵抗23に並列に接続されている。キャパシタ24を抵抗23に並列に接続することによって、抵抗23を用いた電流検出の精度が向上する。
【0023】
二次電池保護回路80は、保護IC90を備えている。保護IC90は、二次電池200から給電されて二次電池200を保護する二次電池保護集積回路である。保護IC90は、一つのチップから構成されている。
【0024】
保護IC90は、VDD端子と、VSS1端子と、VSS2端子とを備えている。VDD端子は、抵抗1を介して、セル接続端子3又は電源経路8に接続される正側電源端子である。VSS1端子は、セル接続端子17と抵抗13との間で電源経路16に接続される負側電源端子である。VSS2端子は、セル接続端子27と抵抗23との間で電源経路26に接続される負側電源端子である。
【0025】
抵抗1は、VDD端子に過電流が流れることを防止する電流制限抵抗である。キャパシタ2は、抵抗R1とVDD端子との間に接続された一端と、セル接続端子17と抵抗13との間で電源経路16に接続される他端とを有している。抵抗1とキャパシタ2によって構成されたRCローパスフィルタは、VDD端子とVSS1端子との間の電源電圧を平滑化できる。
【0026】
保護IC90は、保護IC90のCOUT1端子から、ハイレベルの信号を出力することでトランジスタ11をオンでき、ローレベルの信号を出力することでトランジスタ11をオフできる充電制御回路34を有している。充電制御回路34は、充電過電流検出回路32の出力信号と充電電流制御回路33の出力信号とを選択的に出力する回路である。
【0027】
また、保護IC90は、保護IC90のDOUT1端子から、ハイレベルの信号を出力することでトランジスタ12をオンでき、ローレベルの信号を出力することでトランジスタ12をオフできる放電制御回路37を有している。放電制御回路37は、放電過電流検出回路35の出力信号と放電電流制御回路36の出力信号とを選択的に出力する回路である。
【0028】
同様に、保護IC90は、保護IC90のCOUT2端子から、ハイレベルの信号を出力することでトランジスタ21をオンでき、ローレベルの信号を出力することでトランジスタ21をオフできる充電制御回路44を有している。充電制御回路44は、充電過電流検出回路42の出力信号と充電電流制御回路43の出力信号とを選択的に出力する回路である。
【0029】
また、保護IC90は、保護IC90のDOUT2端子から、ハイレベルの信号を出力することでトランジスタ22をオンでき、ローレベルの信号を出力することでトランジスタ22をオフできる放電制御回路47を有している。放電制御回路47は、放電過電流検出回路45の出力信号と放電電流制御回路46の出力信号とを選択的に出力する回路である。
【0030】
二次電池保護回路80は、並列に接続された複数のセルを有する二次電池を保護する二次電池保護回路の一例である。二次電池保護回路80は、保護制御部を有する保護IC90を備えている。保護制御部は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられ、対応するセルの保護を制御する。保護制御回路30は、セル201に対して設けられ、セル201の保護を制御する保護制御部の一例であり、保護制御回路40は、セル202に対して設けられ、セル202の保護を制御する保護制御部の一例である。
【0031】
保護制御回路30は、電流検出回路31と、充電過電流検出回路32と、充電電流制御回路33と、充電制御回路34と、放電過電流検出回路35と、放電電流制御回路36と、放電制御回路37と、過充電検出回路38と、過放電検出回路39とを備えている。保護制御回路40は、電流検出回路41と、充電過電流検出回路42と、充電電流制御回路43と、充電制御回路44と、放電過電流検出回路45と、放電電流制御回路46と、放電制御回路47と、過充電検出回路48と、過放電検出回路49とを備えている。
【0032】
二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた充電電流制御部と、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた放電電流制御部とを有する保護IC90を備えている。
【0033】
充電電流制御回路33は、セル201に対して設けられた充電電流制御部の一例であり、放電電流制御回路36は、セル201に対して設けられた放電電流制御部の一例である。充電電流制御回路33及び放電電流制御回路36は、VDD端子とVSS1端子又はCS1端子との間の電圧を電源電圧として動作する。同様に、充電電流制御回路43は、セル202に対して設けられた充電電流制御部の一例であり、放電電流制御回路46は、セル202に対して設けられた放電電流制御部の一例である。充電電流制御回路43及び放電電流制御回路46は、VDD端子とVSS2端子又はCS2端子との間の電圧を電源電圧として動作する。
【0034】
また、二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれの充電経路に設けられた充電制御素子と、二次電池に構成された複数のセルそれぞれの放電経路に設けられた放電制御素子とを備えている。
【0035】
トランジスタ11は、セル201の充電経路である電源経路16に設けられた充電制御素子の一例であり、トランジスタ12は、セル201の放電経路である電源経路16に設けられた放電制御素子の一例である。同様に、トランジスタ21は、セル202の充電経路である電源経路26に設けられた充電制御素子の一例であり、トランジスタ22は、セル202の放電経路である電源経路26に設けられた放電制御素子の一例である。
【0036】
充電過電流検出回路32は、所定の充電過電流検出閾値を超えていない場合、対応するトランジスタ11をオンさせる(非飽和領域で動作させる)。充電過電流検出回路32は、所定の充電過電流検出閾値を超えた場合、対応するトランジスタ11をオフさせる(遮断領域で動作させる)充電過電流検出信号を出力する。充電過電流検出回路42が、対応するトランジスタ21を動作させる場合も同様である。
【0037】
放電過電流検出回路35は、所定の放電過電流検出閾値を超えていない場合、対応するトランジスタ12をオンさせる(非飽和領域で動作させる)。放電過電流検出回路35は、所定の放電過電流検出閾値を超えた場合、対応するトランジスタ12をオフさせる(遮断領域で動作させる)放電過電流検出信号を出力する。放電過電流検出回路45が、対応するトランジスタ22を動作させる場合も同様である。
【0038】
充電電流制御回路33は、充電電流制御回路33に対応するセル201に充電電流I1が流れている充電期間に充電電流I1が所定の充電電流値Icth1に維持されるようにトランジスタ11を飽和領域で制御する充電電流制御を行う。トランジスタ11は、充電電流I1が流れている充電期間に充電電流I1が充電電流値Icth1に維持されるように充電電流制御回路33の充電電流制御により飽和領域で動作する充電電流制御素子である。トランジスタ11は、セル201の充電方向に流れる充電電流I1を充電電流値Icth1に維持でき、充電電流制御回路33は、充電電流I1が充電電流値Icth1に維持されるようにトランジスタ11を飽和領域で動作させる。
【0039】
したがって、充電電流制御回路33は、充電電流I1が充電電流値Icth1からずれても、充電電流I1が充電電流値Icth1に維持されるように充電電流I1の流れを絞りながら、充電電流I1を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。
【0040】
同様に、充電電流制御回路43は、充電電流制御回路43に対応するセル202に充電電流I2が流れている充電期間に充電電流I2が所定の充電電流値Icth2に維持されるようにトランジスタ21を飽和領域で制御する充電電流制御を行う。トランジスタ21は、充電電流I2が流れている充電期間に充電電流I2が充電電流値Icth2に維持されるように充電電流制御回路43の充電電流制御により飽和領域で動作する充電電流制御素子である。トランジスタ21は、セル202の充電方向に流れる充電電流I2を充電電流値Icth2に維持でき、充電電流制御回路43は、充電電流I2が充電電流値Icth2に維持されるようにトランジスタ21を飽和領域で動作させる。
【0041】
したがって、充電電流制御回路43は、充電電流I2が充電電流値Icth2からずれても、充電電流I2が充電電流値Icth2に維持されるように充電電流I2の流れを絞りながら、充電電流I2を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。
【0042】
なお、電源経路8に流れる充電電流Iは、セル201及び電源経路16を流れる充電電流I1と、セル202及び電源経路26を流れる充電電流I2との和である。また、充電電流値Icth1と充電電流値Icth2とは、等しい値でもよいし、異なる値でもよい。
【0043】
このように、充電電流I1又はI2が所定の充電電流値で維持されることによって、セル201とセル202の容量が互いに異なっていても、両セル間で過剰な充放電電流が流れることを防止できる。そして、互いに異なる容量を有する複数のセルを並列に接続できるため、限られた実装面積を効率的に使用できる。例えば、容量が小さくなるほどセルの体積は小さくなるので、複数のセルが実装される基板に存在する隙間スペースに、それらの複数のセルのうち相対的に小さな容量を有するセルを実装できる。
【0044】
また、このように、充電電流I1又はI2が所定の充電電流値で維持されることによって、セル201とセル202との接続時に両セル間の電圧差が大きくても、両セル間で過剰な充放電電流が流れることを防止できる。また、充電電流I1又はI2が所定の充電電流値で維持されることによって、いずれかのセルが満充電になっても、残りのセルに過剰な充電電流が流れることを防止できる。また、充電電流I1又はI2が所定の充電電流値で維持されることによって、いずれかのセルの内部インピーダンスがセルの劣化等により増加しても、残りのセルに過剰な充電電流が流れることを防止できる。
【0045】
なお、充電電流制御回路33は、保護IC90のCOUT1端子とV-1端子との間の電圧値をアナログ的に制御することによって、トランジスタ11のゲート‐ソース間の電圧値をアナログ的に調整できる。よって、充電電流制御回路33は、充電電流I1の電流値を増減しながら調整できる。COUT1端子は、トランジスタ11のゲートに接続され、V-1端子は、抵抗15を介して、トランジスタ11のソースに接続される。同様に、充電電流制御回路43は、保護IC90のCOUT2端子とV-2端子との間の電圧値をアナログ的に制御することによって、トランジスタ21のゲート‐ソース間の電圧値をアナログ的に調整できる。よって、充電電流制御回路43は、充電電流I2の電流値を増減しながら調整できる。COUT2端子は、トランジスタ21のゲートに接続され、V-2端子は、抵抗25を介して、トランジスタ21のソースに接続される。
【0046】
一方、放電電流制御回路36は、放電電流制御回路36に対応するセル201に放電電流I1が流れている放電期間に放電電流I1が所定の放電電流値Idth1に維持されるようにトランジスタ12を飽和領域で制御する放電電流制御を行う。放電電流I1は、ここでは、図示の矢印とは逆向きの電流を表す。トランジスタ12は、放電電流I1が流れている放電期間に放電電流I1が放電電流値Idth1に維持されるように放電電流制御回路36の放電電流制御により飽和領域で動作する放電電流制御素子である。トランジスタ12は、セル201の放電方向に流れる放電電流I1を放電電流値Idth1に維持でき、放電電流制御回路36は、放電電流I1が放電電流値Idth1に維持されるようにトランジスタ12を飽和領域で動作させる。
【0047】
したがって、放電電流制御回路36は、放電電流I1が放電電流値Idth1からずれても、放電電流I1が放電電流値Idth1に維持されるように放電電流I1の流れを絞りながら、放電電流I1を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。
【0048】
同様に、放電電流制御回路46は、放電電流制御回路46に対応するセル202に放電電流I2が流れている放電期間に放電電流I2が所定の放電電流値Idth2に維持されるようにトランジスタ22を飽和領域で制御する放電電流制御を行う。放電電流I2は、ここでは、図示の矢印とは逆向きの電流を表す。トランジスタ22は、放電電流I2が流れている放電期間に放電電流I2が放電電流値Idth2に維持されるように放電電流制御回路46の放電電流制御により飽和領域で動作する放電電流制御素子である。トランジスタ22は、セル202の放電方向に流れる放電電流I2を放電電流値Idth2に維持でき、放電電流制御回路46は、放電電流I2が放電電流値Idth2に維持されるようにトランジスタ22を飽和領域で動作させる。
【0049】
したがって、放電電流制御回路46は、放電電流I2が放電電流値Idth2からずれても、放電電流I2が放電電流値Idth2に維持されるように放電電流I2の流れを絞りながら、放電電流I2を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。
【0050】
なお、電源経路8に流れる放電電流I(図示の矢印とは逆向きの電流)は、セル201及び電源経路16を流れる放電電流I1と、セル202及び電源経路26を流れる放電電流I2との和である。また、放電電流値Idth1と放電電流値Idth2とは、等しい値でもよいし、異なる値でもよい。
【0051】
このように、放電電流I1又はI2が所定の放電電流値で維持されることによって、セル201とセル202の容量が互いに異なっていても、両セル間で過剰な充放電電流が流れることを防止できる。そして、互いに異なる容量を有する複数のセルを並列に接続できるため、限られた実装面積を効率的に使用できる。例えば、容量が小さくなるほどセルの体積は小さくなるので、複数のセルが実装される基板に存在する隙間スペースに、それらの複数のセルのうち相対的に小さな容量を有するセルを実装できる。
【0052】
また、このように、放電電流I1又はI2が所定の放電電流値で維持されることによって、セル201とセル202との接続時に両セル間の電圧差が大きくても、両セル間で過剰な充放電電流が流れることを防止できる。特に、充電電流I1又はI2が所定の充電電流値で維持される上述の機能と組み合わされることによって、両セル間で過剰な充放電電流が流れることを更に迅速に防止できる。
【0053】
また、放電電流I1又はI2が所定の放電電流値で維持されることによって、電源経路8を介して負荷接続端子5に接続される負荷に対して過剰な負荷電流が流れることを防止できる。
【0054】
なお、放電電流制御回路36は、保護IC90のDOUT1端子とVSS1端子又はCS1端子との間の電圧値をアナログ的に制御することによって、トランジスタ12のゲート‐ソース間の電圧値をアナログ的に調整できる。よって、放電電流制御回路36は、放電電流I1の電流値を増減しながら調整できる。DOUT1端子は、トランジスタ12のゲートに接続され、VSS1端子は、抵抗13を介して、トランジスタ12のソースに接続され、CS1端子は、抵抗13を介さずに、トランジスタ12のソースに接続される。同様に、放電電流制御回路46は、保護IC90のDOUT2端子とVSS2端子又はCS2端子との間の電圧値をアナログ的に制御することによって、トランジスタ22のゲート‐ソース間の電圧値をアナログ的に調整できる。よって、放電電流制御回路46は、放電電流I2の電流値を増減しながら調整できる。DOUT2端子は、トランジスタ22のゲートに接続され、VSS2端子は、抵抗23を介して、トランジスタ22のソースに接続され、CS2端子は、抵抗23を介さずに、トランジスタ22のソースに接続される。
【0055】
充電電流I1の検出値又は放電電流I1の検出値は、保護IC90の電流検出回路31が保護IC90のVSS1端子とCS1端子との間の電圧を検出することによって取得できる。電流検出回路31は、例えば、抵抗13の両端電圧と抵抗13に流れる電流の向きとを測定することによって、充電電流I1の検出値又は放電電流I1の検出値を取得できる。VSS1端子は、セル接続端子17と抵抗13の一端との間における電源経路16に接続され、CS1端子は、抵抗13の他端とトランジスタ11,12との間における電源経路16に接続される。
【0056】
同様に、充電電流I2の検出値又は放電電流I2の検出値は、保護IC90の電流検出回路41が保護IC90のVSS2端子とCS2端子との間の電圧を検出することによって取得できる。電流検出回路41は、例えば、抵抗23の両端電圧と抵抗23に流れる電流の向きとを測定することによって、充電電流I2の検出値又は放電電流I2の検出値を取得できる。VSS2端子は、セル接続端子27と抵抗23の一端との間における電源経路26に接続され、CS2端子は、抵抗23の他端とトランジスタ21,22との間における電源経路26に接続される。
【0057】
電流検出回路31は、セル201に対して設けられた電流検出部の一例である。電流検出回路31は、VDD端子とVSS1端子又はCS1端子との間の電圧を電源電圧として動作する。同様に、電流検出回路41は、セル202に対して設けられた電流検出部の一例である。電流検出回路41は、VDD端子とVSS2端子又はCS2端子との間の電圧を電源電圧として動作する。
【0058】
二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた充電過電流検出部を有する保護IC90を備えている。充電過電流検出回路32は、セル201に対して設けられた充電過電流検出部の一例であり、充電過電流検出回路42は、セル202に対して設けられた充電過電流検出部の一例である。
【0059】
充電過電流検出回路32は、所定の第1の充電過電流検出閾値以上の充電電流I1の検出値を電流検出回路31から取得した場合、セル201を充電する方向の過電流(充電過電流)が検出されたと判断する。充電過電流検出回路32は、セル201の充電過電流が検出された場合、セル201に充電電流I1が流れることを禁止する。充電過電流検出回路32は、セル201に充電電流I1が流れることを禁止する場合、充電禁止信号(充電過電流検出信号)を出力する。
【0060】
充電過電流検出回路42も、充電過電流検出回路32と同様の回路である。充電過電流検出回路42は、所定の第2の充電過電流検出閾値以上の充電電流I2の検出値を電流検出回路41から取得した場合、セル202に充電電流I2が流れることを禁止する充電禁止信号(充電過電流検出信号)を出力する。
【0061】
なお、第1の充電過電流検出閾値と第2の充電過電流検出閾値は、等しい値でも異なる値でもよい。
【0062】
二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた放電過電流検出部を有する保護IC90を備えている。放電過電流検出回路35は、セル201に対して設けられた放電過電流検出部の一例であり、放電過電流検出回路45は、セル202に対して設けられた放電過電流検出部の一例である。
【0063】
放電過電流検出回路35は、所定の第1の放電過電流検出閾値以上の放電電流I1の検出値を電流検出回路31から取得した場合、セル201を放電する方向の過電流(放電過電流)が検出されたと判断する。放電過電流検出回路35は、セル201の放電過電流が検出された場合、セル201に放電電流I1が流れることを禁止する。放電過電流検出回路35は、セル201に放電電流I1が流れることを禁止する場合、放電禁止信号(放電過電流検出信号)を出力する。
【0064】
放電過電流検出回路45も、放電過電流検出回路35と同様の回路である。放電過電流検出回路45は、所定の第2の放電過電流検出閾値以上の放電電流I2の検出値を電流検出回路41から取得した場合、セル202に放電電流I2が流れることを禁止する放電禁止信号(放電過電流検出信号)を出力する。
【0065】
なお、第1の放電過電流検出閾値と第2の放電過電流検出閾値は、等しい値でも異なる値でもよい。
【0066】
二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた過充電検出部を有する保護IC90を備えている。過充電検出回路38は、セル201に対して設けられた過充電検出部の一例であり、過充電検出回路48は、セル202に対して設けられた過充電検出部の一例である。
【0067】
過充電検出回路38は、所定の第1の過充電検出閾値以上のセル電圧をセル201について検出することにより、セル201に過充電が検出されたと判断する充電過電圧検出回路である。過充電検出回路38は、セル201に過充電が検出された場合、セル201を充電することを禁止する。過充電検出回路38は、セル201を充電することを禁止した場合、充電禁止信号(過充電検出信号)を出力する。
【0068】
過充電検出回路48も、過充電検出回路38と同様の回路である。過充電検出回路48は、所定の第2の過充電検出閾値以上のセル電圧をセル202について検出された場合、セル202を充電することを禁止し、充電禁止信号(過充電検出信号)を出力する。
【0069】
なお、第1の過充電検出閾値と第2の過充電検出閾値は、等しい値でも異なる値でもよい。
【0070】
二次電池保護回路80は、二次電池に構成された複数のセルそれぞれに対して設けられた過放電検出部を有する保護IC90を備えている。過放電検出回路39は、セル201に対して設けられた過放電検出部の一例であり、過放電検出回路49は、セル202に対して設けられた過放電検出部の一例である。
【0071】
過放電検出回路39は、所定の第1の過放電検出閾値以下のセル電圧をセル201について検出することにより、セル201に過放電が検出されたと判断する放電過電圧検出回路である。過放電検出回路39は、セル201に過放電が検出された場合、セル201を放電することを禁止する。過放電検出回路39は、セル201を放電することを禁止した場合、放電禁止信号(過放電検出信号)を出力する。
【0072】
過放電検出回路49も、過放電検出回路39と同様の回路である。過放電検出回路49は、所定の第2の過放電検出閾値以上のセル電圧をセル202について検出された場合、セル202を放電することを禁止する放電禁止信号(過放電検出信号)を出力する。
【0073】
なお、第1の過放電検出閾値と第2の過放電検出閾値は、等しい値でも異なる値でもよい。
【0074】
充電制御回路34は、過充電検出回路38と充電過電流検出回路32のうち少なくとも一つの検出回路から充電禁止信号が出力されたとき、トランジスタ11をオフする。トランジスタ11のオフにより、セル201の充電電流が流れる電源経路16を遮断できるので、セル201に流れる充電電流を停止でき、セル201を過充電又は充電過電流から保護できる。過充電検出回路38と充電過電流検出回路32とは、セル201の充電を禁止する充電異常検出部の一例である。同様に、充電制御回路44は、過充電検出回路48と充電過電流検出回路42のうち少なくとも一つの検出回路から充電禁止信号が出力されたとき、トランジスタ21をオフする。トランジスタ21のオフにより、セル202の充電電流が流れる電源経路26を遮断できるので、セル202に流れる充電電流を停止でき、セル202を過充電又は充電過電流から保護できる。過充電検出回路48と充電過電流検出回路42とは、セル202の充電を禁止する充電異常検出部の一例である。
【0075】
放電制御回路37は、過放電検出回路39と放電過電流検出回路35のうち少なくとも一つの検出回路から放電禁止信号が出力されたとき、トランジスタ12をオフする。トランジスタ12のオフにより、セル201の放電電流が流れる電源経路16を遮断できるので、セル201に流れる放電電流を停止でき、セル201を過放電又は放電過電流から保護できる。過放電検出回路39と放電過電流検出回路35とは、セル201の放電を禁止する放電異常検出部の一例である。同様に、放電制御回路47は、過放電検出回路49と放電過電流検出回路45のうち少なくとも一つの検出回路から放電禁止信号が出力されたとき、トランジスタ22をオフする。トランジスタ22のオフにより、セル202の放電電流が流れる電源経路26を遮断できるので、セル202に流れる放電電流を停止でき、セル202を過放電又は放電過電流から保護できる。過放電検出回路49と放電過電流検出回路45とは、セル202の放電を禁止する放電異常検出部の一例である。
【0076】
充電制御回路34は、セル201とセル202との間での同極間の電位差ΔV及び/又は電流I1とI2に応じて、充電電流制御回路33によって充電電流制御するのか充電過電流検出回路32によって電流停止するのか切り替える。セル201とセル202との間での同極間とは、図示の場合、セル201の負極とセル202の負極との間を表す。充電制御回路34は、例えば、充電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが零又は零よりも大きな設定閾値Vth未満の場合、充電電流制御回路33が充電電流制御することを禁止し、充電過電流検出回路32が充電電流I1の流れを停止することを許可する。逆に、充電制御回路34は、例えば、充電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth以上の場合、充電電流制御回路33が充電電流制御することを許可し、充電過電流検出回路32が充電電流I1の流れを停止することを禁止する。
【0077】
充電制御回路34は、電位差ΔVが設定閾値Vth以上であるか否かを判定することによって、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れるか否かを判断できる。充電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth以上の状態は、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れる状態である。そのような状態では、充電過電流が充電過電流検出回路32によって検出されても、充電電流制御回路33が充電電流制御することによって、充電電流I1を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。逆に、充電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth未満の状態は、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れていない状態である。そのような状態では、充電過電流が充電過電流検出回路32によって検出されれば、充電電流I1の流れを停止することができる。
【0078】
充電制御回路44も、電位差ΔV及び/又は電流I1とI2に応じて、充電電流制御回路43によって充電電流制御するのか充電過電流検出回路42によって電流停止するのか切り替える。充電制御回路44も、充電制御回路34と同様の回路でよいので、その詳細説明を省略するが、充電電流I2について、充電制御回路34と同様の効果が得られる。
【0079】
放電制御回路37は、電位差ΔV及び/又は電流I1とI2に応じて、放電電流制御回路36によって放電電流制御するのか放電過電流検出回路35によって電流停止するのか切り替える。放電制御回路37は、例えば、放電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが零又は零よりも大きな設定閾値Vth未満の場合、放電電流制御回路36が放電電流制御することを禁止し、放電過電流検出回路35が放電電流I1の流れを停止することを許可する。逆に、放電制御回路37は、例えば、放電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth以上の場合、放電電流制御回路36が放電電流制御することを許可し、放電過電流検出回路35が放電電流I1の流れを停止することを禁止する。
【0080】
放電制御回路37は、電位差ΔVが設定閾値Vth以上であるか否かを判定することによって、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れるか否かを判断できる。放電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth以上の状態は、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れる状態である。そのような状態では、放電過電流が放電過電流検出回路35によって検出されても、放電電流制御回路36が放電電流制御することによって、放電電流I1を零よりも大きな電流値で流し続けることができる。逆に、放電方向を正の方向としたときの電位差ΔVが設定閾値Vth未満の状態は、セル201とセル202との間で過剰な充放電電流が流れていない状態である。そのような状態では、放電過電流が放電過電流検出回路35によって検出されれば、放電電流I1の流れを停止することができる。
【0081】
放電制御回路47も、電位差ΔV及び/又は電流I1とI2に応じて、放電電流制御回路46によって放電電流制御するのか放電過電流検出回路45によって電流停止するのか切り替える。放電制御回路47も、放電制御回路37と同様の回路でよいので、その詳細説明を省略するが、放電電流I2について、放電制御回路37と同様の効果が得られる。
【0082】
なお、電位差ΔVは、VSS1端子とVSS2端子との間の電圧(又は、セル接続端子17とセル接続端子27との間の電圧)が検出されることによって取得できる。また、電流I1は、抵抗13の両端電圧が検出されることによって取得でき、電流I2は、抵抗23の両端電圧が検出されることによって取得できる。
【0083】
図2は、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。第1の実施形態における保護IC90は、バランス制御部71を備える。バランス制御部71は、充電電流I1と充電電流I2とが互いにバランスするように、抵抗13,23の夫々により生ずる検出電圧に基づいて、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ11,21の夫々の飽和領域で制御する。二次電池200は、充電器300から供給される一定の充電電流Ic(CC)(例えば、5.6A)によって充電される。
【0084】
バランス制御部71は、充電電流I1と充電電流I2とのバランスがとれている状態では、トランジスタ11,21の夫々を非飽和領域で動作させる。バランス制御部71は、充電電流I1と充電電流I2とのバランスがとれていない状態(充電電流I1と充電電流I2との間に電流誤差がある状態)では、トランジスタ11,21の夫々を飽和領域で動作させる。
【0085】
例えば、バランス制御部71は、セル201に対して設けられた上述の充電電流制御回路33と、セル202に対して設けられた上述の充電電流制御回路43とを有する。
【0086】
充電電流制御回路33は、抵抗13に充電電流I1が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ31aによって増幅し、基準電圧Vrefに基づいて負帰還をかけることによって、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ11の飽和領域で制御する。充電電流制御回路33は、例えば、アンプ31aと、オペアンプ33aとを有する。例えば、アンプ31aの増幅率が100倍である場合、アンプ31aは、抵抗13の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。
【0087】
アンプ31aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ33aの反転入力ノードに入力され、基準電圧Vrefは、オペアンプ33aの非反転入力ノードに入力される。オペアンプ33aの出力電圧は、トランジスタ11に入力される制御電圧値を調整するための第1のアナログ調整信号であり、充電制御回路34に供給される。充電制御回路34は、充電電流制御回路33から供給される第1のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ11を飽和領域で動作させる。
【0088】
同様に、充電電流制御回路43は、抵抗23に充電電流I2が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ41aによって増幅し、基準電圧Vrefに基づいて負帰還をかけることによって、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ21の飽和領域で制御する。充電電流制御回路43は、例えば、アンプ41aと、オペアンプ43aとを有する。例えば、アンプ41aの増幅率が100倍である場合、アンプ41aは、抵抗23の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。
【0089】
アンプ41aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ43aの反転入力ノードに入力され、基準電圧Vrefは、オペアンプ43aの非反転入力ノードに入力される。オペアンプ43aの出力電圧は、トランジスタ21に入力される制御電圧値を調整するための第2のアナログ調整信号であり、充電制御回路44に供給される。充電制御回路44は、充電電流制御回路43から供給される第2のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ21を飽和領域で動作させる。
【0090】
基準電圧Vrefは、所定電圧の一例である。基準電圧Vrefは、充電電流制御回路33,43の夫々で同じ電圧値に設定された電圧であり、上述の充電電流値Icth1,Icth2(電流制御値)に対応する電圧である。
【0091】
このように、抵抗13に生ずる電圧をアンプ31aによって増幅し、オペアンプ33aとトランジスタ11によって負帰還をかけることによって、アンプ31aの出力電圧が基準電圧Vrefと一致するように、トランジスタ11のゲート電圧が調整される。つまり、基準電圧Vrefに応じて、充電電流I1を所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。同様に、抵抗23に生ずる電圧をアンプ41aによって増幅し、オペアンプ43aとトランジスタ21によって負帰還をかけることによって、アンプ41aの出力電圧が基準電圧Vrefと一致するように、トランジスタ21のゲート電圧が調整される。つまり、基準電圧Vrefに応じて、充電電流I2を所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。
【0092】
図3は、第1の実施形態におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。図3では、充電器300から供給される一定の充電電流Ic(CC)が5.6Aに設定され、電流制御値が2.9Aに設定されている。横軸は、時間を表す。
【0093】
アンプ31aの出力電圧が基準電圧Vrefを超えないように(つまり、充電電流I1が電流制御値2.9Aを超えないように)、トランジスタ11のゲート電圧が調整される。Ic(CC)=I1+I2という関係が成立する。よって、充電電流I1が電流制御値2.9Aを超えないようにトランジスタ11のゲート電圧が調整されている期間では、充電電流I2は2.7Aを超えないように調整されている。セル201が満充電状態に近づくと、充電電流I1は減少し始めるので、電流値が充電電流I1と充電電流I2とで逆転するとともに、セル接続端子3(図1参照)における二次電池200の出力電圧BAT+が上昇し始める。充電電流I2が電流制御値2.9Aを超えないようにトランジスタ21のゲート電圧が調整されている期間では、充電電流I1は2.7Aを超えないように調整されている。出力電圧BAT+が所定の満充電電圧に到達すると、充電器300は、充電電流Ic(CC)の出力を停止する。
【0094】
このように、第1の実施形態によれば、充電電流I1,I2は、それぞれ、所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。
【0095】
図4は、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。第1の実施形態における保護IC90は、バランス制御部71を備える。バランス制御部71は、放電電流I1と放電電流I2とが互いにバランスするように、抵抗13,23の夫々により生ずる検出電圧に基づいて、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ12,22の夫々の飽和領域で制御する。二次電池200は、外部負荷301へ出力される一定の放電電流Id(CC)(例えば、5.6A)によって放電される。
【0096】
バランス制御部71は、放電電流I1と放電電流I2とのバランスがとれている状態では、トランジスタ12,22の夫々を非飽和領域で動作させる。バランス制御部71は、放電電流I1と充電電流I2とのバランスがとれていない状態(放電電流I1と放電電流I2との間に電流誤差がある状態)では、トランジスタ12,22の夫々を飽和領域で動作させる。
【0097】
例えば、バランス制御部71は、セル201に対して設けられた上述の放電電流制御回路36と、セル202に対して設けられた上述の放電電流制御回路46とを有する。
【0098】
放電電流制御回路36は、抵抗13に放電電流I1が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ31aによって増幅し、基準電圧Vrefに基づいて負帰還をかけることによって、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ12の飽和領域で制御する。放電電流制御回路36は、例えば、アンプ31aと、オペアンプ36aとを有する。例えば、アンプ31aの増幅率が100倍である場合、アンプ31aは、抵抗13の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。放電電流制御回路36は、充電電流制御回路33と共通のアンプ31aを使用してもよいし、充電電流制御回路33が使用するアンプとは別のアンプを使用してもよい。
【0099】
アンプ31aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ36aの反転入力ノードに入力され、基準電圧Vrefは、オペアンプ36aの非反転入力ノードに入力される。オペアンプ36aの出力電圧は、トランジスタ12に入力される制御電圧値を調整するための第3のアナログ調整信号であり、放電制御回路37に供給される。放電制御回路37は、放電電流制御回路36から供給niyorinにされる第3のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ12を飽和領域で動作させる。
【0100】
同様に、放電電流制御回路46は、抵抗23に放電電流I2が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ41aによって増幅し、基準電圧Vrefに基づいて負帰還をかけることによって、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ22の飽和領域で制御する。放電電流制御回路46は、例えば、アンプ41aと、オペアンプ46aとを有する。例えば、アンプ41aの増幅率が100倍である場合、アンプ41aは、抵抗23の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。放電電流制御回路46は、充電電流制御回路43と共通のアンプ41aを使用してもよいし、充電電流制御回路43が使用するアンプとは別のアンプを使用してもよい。
【0101】
アンプ41aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ46aの反転入力ノードに入力され、基準電圧Vrefは、オペアンプ46aの非反転入力ノードに入力される。オペアンプ46aの出力電圧は、トランジスタ22に入力される制御電圧値を調整するための第4のアナログ調整信号であり、放電制御回路47に供給される。放電制御回路47は、放電電流制御回路46から供給される第4のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ22を飽和領域で動作させる。
【0102】
基準電圧Vrefは、所定電圧の一例である。基準電圧Vrefは、放電電流制御回路36,46の夫々で同じ電圧値に設定された電圧であり、上述の放電電流値Idth1,Idth2(電流制御値)に対応する電圧である。
【0103】
このように、抵抗13に生ずる電圧をアンプ31aによって増幅し、オペアンプ36aとトランジスタ12によって負帰還をかけることによって、アンプ31aの出力電圧が基準電圧Vrefと一致するように、トランジスタ12のゲート電圧が調整される。つまり、基準電圧Vrefに応じて、放電電流I1を所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。同様に、抵抗23に生ずる電圧をアンプ41aによって増幅し、オペアンプ46aとトランジスタ22によって負帰還をかけることによって、アンプ41aの出力電圧が基準電圧Vrefと一致するように、トランジスタ22のゲート電圧が調整される。つまり、基準電圧Vrefに応じて、放電電流I2を所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。
【0104】
図5は、第1の実施形態におけるバランス制御部が、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。図5では、外部負荷301へ出力される一定の放電電流Id(CC)が5.6Aに設定され、電流制御値が2.9Aに設定されている。横軸は、時間を表す。充電時の場合と同様に、第1の実施形態によれば、放電時では、放電電流I1,I2は、それぞれ、所望の電流値(基準電圧Vrefに対応する電流制御値)に設定することができる。
【0105】
図6は、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。第2の実施形態における保護IC90は、バランス制御部72を備える。バランス制御部72は、充電電流I1と充電電流I2とが互いにバランスするように、抵抗13,23の夫々により生ずる検出電圧に基づいて、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ11,21の夫々の飽和領域で制御する。二次電池200は、充電器300から供給される一定の充電電流Ic(CC)(例えば、5.6A)によって充電される。バランス制御部72も、バランス制御部71と同様に、トランジスタ11,21の夫々を非飽和領域又は飽和領域で動作させる。
【0106】
例えば、バランス制御部72は、セル201に対して設けられた上述の充電電流制御回路33と、セル202に対して設けられた上述の充電電流制御回路43とを有する。
【0107】
充電電流制御回路33は、抵抗13に充電電流I1が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ31aによって増幅し、アンプ41aによって増幅された検出電圧に基づいて充電電流I1,I2が互いに同じ電流値になるように負帰還をかける。充電電流制御回路33は、この負帰還をかけることによって、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ11の飽和領域で制御する。一方、充電電流制御回路43は、抵抗23に充電電流I2が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ41aによって増幅し、アンプ31aによって増幅された検出電圧に基づいて充電電流I1,I2が互いに同じ電流値になるように負帰還をかける。充電電流制御回路43は、この負帰還をかけることによって、充電電流I1と充電電流I2との間の誤差をトランジスタ21の飽和領域で制御する。
【0108】
充電電流制御回路33は、例えば、アンプ31aと、オペアンプ33bとを有する。例えば、アンプ31aの増幅率が100倍である場合、アンプ31aは、抵抗13の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。一方、充電電流制御回路43は、例えば、アンプ41aと、オペアンプ43bとを有する。例えば、アンプ41aの増幅率が100倍である場合、アンプ41aは、抵抗23の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。
【0109】
アンプ31aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ33bの反転入力ノード及びオペアンプ43bの非反転入力ノードに入力される。アンプ41aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ43bの反転入力ノード及びオペアンプ33bの非反転入力ノードに入力される。
【0110】
オペアンプ33bの出力電圧は、トランジスタ11に入力される制御電圧値を調整するための第1のアナログ調整信号であり、充電制御回路34に供給される。充電制御回路34は、充電電流制御回路33から供給される第1のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ11を飽和領域で動作させる。オペアンプ43bの出力電圧は、トランジスタ21に入力される制御電圧値を調整するための第2のアナログ調整信号であり、充電制御回路44に供給される。充電制御回路44は、充電電流制御回路43から供給される第2のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ21を飽和領域で動作させる。
【0111】
このような負帰還を行うことによって、アンプ31aの出力電圧とアンプ41aの出力電圧とが等しくなる。つまり、アンプ31a,41aの増幅率に応じて、充電電流I1,I2を所望の同じ電流値に設定することができる。
【0112】
図7は、第2の実施形態におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。図7では、充電器300から供給される一定の充電電流Ic(CC)が5.6Aに設定されている。横軸は、時間を表す。図6に示されるように、第2の実施形態によれば、充電電流I1,I2は、互いに同じ所望の電流値に設定することができる。
【0113】
図8は、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一例を示す図である。第2の実施形態における保護IC90は、バランス制御部72を備える。バランス制御部72は、放電電流I1と放電電流I2とが互いにバランスするように、抵抗13,23の夫々により生ずる検出電圧に基づいて、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ12,22の夫々の飽和領域で制御する。二次電池200は、外部負荷301へ出力される一定の放電電流Id(CC)(例えば、5.6A)によって放電される。バランス制御部72も、バランス制御部71と同様に、トランジスタ12,22の夫々を非飽和領域又は飽和領域で動作させる。
【0114】
例えば、バランス制御部71は、セル201に対して設けられた上述の放電電流制御回路36と、セル202に対して設けられた上述の放電電流制御回路46とを有する。
【0115】
放電電流制御回路36は、抵抗13に放電電流I1が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ31aによって増幅し、アンプ41aによって増幅された検出電圧に基づいて放電電流I1,I2が互いに同じ電流値になるように負帰還をかける。放電電流制御回路36は、この負帰還をかけることによって、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ12の飽和領域で制御する。一方、放電電流制御回路46は、抵抗23に放電電流I2が流れることにより生ずる検出電圧をアンプ41aによって増幅し、アンプ31aによって増幅された検出電圧に基づいて放電電流I1,I2が互いに同じ電流値になるように負帰還をかける。放電電流制御回路46は、この負帰還をかけることによって、放電電流I1と放電電流I2との間の誤差をトランジスタ22の飽和領域で制御する。
【0116】
放電電流制御回路36は、例えば、アンプ31aと、オペアンプ36bとを有する。例えば、アンプ31aの増幅率が100倍である場合、アンプ31aは、抵抗13の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。一方、放電電流制御回路46は、例えば、アンプ41aと、オペアンプ46bとを有する。例えば、アンプ41aの増幅率が100倍である場合、アンプ41aは、抵抗23の両端電圧を100倍した検出電圧を出力する。
【0117】
アンプ31aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ36bの反転入力ノード及びオペアンプ46bの非反転入力ノードに入力される。アンプ41aによって増幅された検出電圧は、オペアンプ46bの反転入力ノード及びオペアンプ36bの非反転入力ノードに入力される。
【0118】
オペアンプ36bの出力電圧は、トランジスタ12に入力される制御電圧値を調整するための第3のアナログ調整信号であり、放電制御回路37に供給される。放電制御回路37は、放電電流制御回路36から供給される第3のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ12を飽和領域で動作させる。オペアンプ46bの出力電圧は、トランジスタ22に入力される制御電圧値を調整するための第4のアナログ調整信号であり、放電制御回路47に供給される。放電制御回路47は、放電電流制御回路46から供給される第4のアナログ調整信号に応じて、トランジスタ22を飽和領域で動作させる。
【0119】
このような負帰還を行うことによって、アンプ31aの出力電圧とアンプ41aの出力電圧とが等しくなる。つまり、アンプ31a,41aの増幅率に応じて、放電電流I1,I2を所望の同じ電流値に設定することができる。
【0120】
図9は、第2の実施形態におけるバランス制御部が、各々の放電経路に流れる放電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。図9では、外部負荷301へ出力される一定の放電電流Id(CC)が5.6Aに設定されている。横軸は、時間を表す。充電時の場合と同様に、第2の実施形態によれば、放電時では、放電電流I1,I2は、互いに同じ所望の電流値に設定することができる。
【0121】
図10は、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第1の実施形態におけるバランス制御部の構成の一変形例を示す図である。図11は、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの第2の実施形態におけるバランス制御部の構成の一変形例を示す図である。
【0122】
図10,11において、アンプ31aとアンプ41aの増幅率を互いに異なる値に設定することにより、容量の異なるセルに対して電流制御を行うことが可能である。例えば、セル201の容量がセル202の容量に比べて大きい場合、セル201に対応するアンプ31aの増幅率を、セル202に対応するアンプ41aの増幅率よりも小さく設定される。例えば、アンプ31aの増幅率は、50倍に設定され、アンプ41aの増幅率は、300倍に設定する。
【0123】
なお、図10において、基準電圧Vref1,Vref2は、充電電流制御回路33,43の夫々で異なる電圧値に設定された電圧であり、上述の充電電流値Icth1,Icth2(電流制御値)に対応する電圧である。
【0124】
図12は、第1及び第2の実施形態の変形例におけるバランス制御部が、各々の充電経路に流れる充電電流を互いにバランスさせるときの動作波形の一例を示す図である。図12では、充電器300から供給される一定の充電電流Ic(CC)が3.5Aに設定され、Vref1の電流制御値が3.0Aに設定され、Vref2の電流制御値が0.5Aに設定されている。横軸は、時間を表す。図12に示されるように、第1及び第2の実施形態の変形例によれば、充電電流I1,I2は、それぞれ、所望の電流値に設定することができる。
【0125】
なお、図10~12は、充電電流を制御する回路とその動作について示しているが、放電時も同様に、放電電流I1,I2は、それぞれ、所望の電流値に設定することができる。
【0126】
以上、本実施形態によれば、所望の電流を各セルに流すことができるので、例えば、各セルに流れる電流を互いに等しくすることができる。その結果、各セルに流れる電流のばらつきを抑えることができるので、各セルの劣化の進行を抑制できる。
【0127】
以上、二次電池保護回路、二次電池保護集積回路及び電池パックを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0128】
例えば、セルの並列数は、2つに限られず、3つ以上でもよい。
【0129】
また、充電制御トランジスタと放電制御トランジスタは、Nチャネル型に限られず、Pチャネル型でもよい。また、例えば、充電制御トランジスタと放電制御トランジスタの配置位置は、図示の位置に対して互いに置換されてもよい。また、充電制御トランジスタと放電制御トランジスタは、保護ICに内蔵されてもよい。
【符号の説明】
【0130】
3 正側セル接続端子
5 正側負荷接続端子
6 負側負荷接続端子
8 正側電源経路
11,21 充電制御用トランジスタ
12,22 放電制御用トランジスタ
16,26 負側電源経路
17,27 負側セル接続端子
30,40 保護制御回路
31,41 電流検出回路
32,42 充電過電流検出回路
33,43 充電電流制御回路
34,44 充電制御回路
35,45 放電過電流検出回路
36,46 放電電流制御回路
37,47 放電制御回路
38,48 過充電検出回路
39,49 過放電検出回路
80 二次電池保護回路
90 保護IC
100 電池パック
200 二次電池
201,202 セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12