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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20221110BHJP
   G10L 25/18 20130101ALI20221110BHJP
【FI】
H04R3/00 320
G10L25/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021165138
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴善
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-29701(JP,A)
【文献】特開昭49-33601(JP,A)
【文献】特開2007-41371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
G10L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数特性がそれぞれ異なる複数のマイクと、
前記複数のマイクのいずれかから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを前記複数のマイクから決定する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のマイクは、第2周波数帯よりも第1周波数帯における感度が高い第1マイクと前記第1周波数帯よりも前記第2周波数帯における感度が高い第2マイクとを含み、
前記処理部は、前記周波数が前記第1周波数帯に含まれる場合、前記第1マイクを前記入力マイクに決定し、前記周波数が前記第2周波数帯に含まれる場合、前記第2マイクを前記入力マイクに決定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数のマイクは、第3マイクを含み、
前記処理部は、前記第3マイクから前記判定用音声を取得する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3マイクは、前記第1周波数帯と前記第2周波数帯との感度の差が、前記第1マイクおよび前記第2マイクよりも小さい、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数のマイクは、前記第1周波数帯と前記第2周波数帯との感度の差が、前記第1マイクおよび前記第2マイクよりも小さい第4マイクを含み、
前記処理部は、前記周波数が連続して前記第1周波数帯に含まれる場合第1モードに移行し、前記第1モードにおいて取得された前記判定用音声の前記周波数が前記第2周波数帯に含まれる場合、前記第4マイクを前記入力マイクに決定し、前記周波数が連続して前記第2周波数帯に含まれる場合第2モードに移行し、前記第2モードにおいて取得された前記判定用音声の前記周波数が前記第1周波数帯に含まれる場合、前記第4マイクを前記入力マイクに決定する、
請求項2ないし4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記周波数が連続して前記第1周波数帯に含まれる場合第3モードに移行し、前記第3モードにおいて取得された前記判定用音声が前記第1周波数帯の音声と前記第2周波数帯の音声との合成音声の場合、前記第1マイクを前記入力マイクに決定し、前記周波数が連続して前記第2周波数帯に含まれる場合第4モードに移行し、前記第4モードにおいて取得された前記判定用音声が前記合成音声の場合、前記第2マイクを前記入力マイクに決定する、
請求項2ないし5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
周波数特性がそれぞれ異なる複数のマイクのいずれかから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを前記複数のマイクから決定する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PC(Personal Computer)がコミュニケーションツールとして用いられることが増えている。コミュニケーションツールとして用いられるPCには、音声の入力デバイスとしてマイクが搭載される。
【0003】
PCが搭載したマイクに関する技術としては、例えば、一方の人の音声が他方の人用のマイクに入ることや、他方の人の音声が一方の人用のマイクに入ることが抑制されたコミュニケーション装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-017923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PCは、人の声や楽器の音等の様々な周波数帯の音声を取得することがある。マイクにはそれぞれ周波数特性があり、取得する音声の適切な周波数帯がマイクごとに異なることがある。そのため、取得する音声に適切でないマイクをPCが使用した場合、集音性能が低下することがある。
【0006】
1つの側面では、本件は、集音性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、複数のマイクと処理部とを有する情報処理装置が提供される。複数のマイクは、周波数特性がそれぞれ異なる。処理部は、複数のマイクのいずれかから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを複数のマイクから決定する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、集音性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。
図2】情報処理装置の外観の一例を示す図である。
図3】情報処理装置のハードウェアの一構成例を示す図である。
図4】広周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。
図5】低周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。
図6】高周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。
図7】情報処理装置の機能例を示すブロック図である。
図8】切替テーブルの一例を示す図である。
図9】マイク切替処理の手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
図10】マイク切替処理の手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
図11】処理例テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。第1の実施の形態は、情報処理装置10の入力マイクを決定するものである。
【0011】
情報処理装置10は、ユーザが操作するコンピュータである。情報処理装置10は、第1マイク1a、第2マイク1b、第3マイク1cおよび処理部11を有する。第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cは、周波数特性がそれぞれ異なるマイクである。第1マイク1aは、第2周波数帯よりも第1周波数帯における感度が高いマイクである。また、第2マイク1bは、第1周波数帯よりも第2周波数帯における感度が高いマイクである。また、第3マイク1cは、第1周波数帯と第2周波数帯との感度の差が、第1マイク1aおよび第2マイク1bよりも小さい。
【0012】
例えば、第1周波数帯は、1000Hz未満の周波数帯であり、第2周波数帯は、1000Hz以上の周波数帯である。つまり、第1マイク1aは、例えば、1000Hz未満の低い周波数帯の音声の集音に特化したマイクである。また、第2マイク1bは、例えば、1000Hz以上の高い周波数帯の音声の集音に特化したマイクである。また、第3マイク1cは、例えば、広い範囲の周波数帯で感度が一定のマイクである。
【0013】
処理部11は、例えば、情報処理装置10や情報処理装置10内のコントローラが有するプロセッサ、または演算回路である。処理部11は、判定用音声に応じて、情報処理装置10の入力マイクを決定する。
【0014】
まず、処理部11は、第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cのいずれかから判定用音声を取得する。例えば、処理部11は、第3マイク1cから判定用音声を取得する。
【0015】
次に、処理部11は、判定用音声を解析する。例えば、処理部11は、判定用音声の周波数を特定する。また、例えば、処理部11は、判定用音声が周波数の異なる複数の音声の合成音声である場合、判定用音声に含まれる音声ごとの周波数を特定する。
【0016】
そして、処理部11は、判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cから決定する。例えば、処理部11は、判定用音声の周波数が第1周波数帯に含まれる場合、第1マイク1aを入力マイクに決定する。また、処理部11は、判定用音声の周波数が第2周波数帯に含まれる場合、第2マイク1bを入力マイクに決定する。
【0017】
第1の実施の形態によれば、情報処理装置10は、周波数特性がそれぞれ異なる複数のマイクを有する。情報処理装置10の処理部11は、複数のマイクのいずれかから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを複数のマイクから決定する。
【0018】
これにより、情報処理装置10は、情報処理装置10が使用される場面に応じた入力マイクによって入力音声を取得することができる。よって、情報処理装置10は、集音性能を向上させることができる。
【0019】
また、複数のマイクは、第2周波数帯よりも第1周波数帯における感度が高い第1マイク1aと第1周波数帯よりも第2周波数帯における感度が高い第2マイク1bとを含む。処理部11は、周波数が第1周波数帯に含まれる場合、第1マイク1aを入力マイクに決定し、周波数が第2周波数帯に含まれる場合、第2マイク1bを入力マイクに決定する。これにより、情報処理装置10は、取得される音声に対する感度が高い入力マイクによって入力音声を取得することができる。
【0020】
また、複数のマイクは、第3マイク1cを含み、処理部11は、第3マイク1cから判定用音声を取得する。これにより、処理部11を電子回路で実現する場合、判定用音声の分析部は、複数のマイクのうち第3マイク1cのみと接続されればよい。よって、情報処理装置10は、回路を簡素化することができる。
【0021】
また、第3マイク1cは、第1周波数帯と第2周波数帯との感度の差が、第1マイク1aおよび第2マイク1bよりも小さい。これにより、情報処理装置10は、判定用音声を一定の集音性能で取得することができる。
【0022】
なお、複数のマイクは、第1周波数帯と第2周波数帯との感度の差が、第1マイク1aおよび第2マイク1bよりも小さい第4マイクを含んでもよい。処理部11は、周波数が連続して第1周波数帯に含まれる場合第1モードに移行し、第1モードにおいて取得された判定用音声の周波数が第2周波数帯に含まれる場合、第4マイクを入力マイクに決定してもよい。また、処理部11は、周波数が連続して第2周波数帯に含まれる場合第2モードに移行し、第2モードにおいて取得された判定用音声の周波数が第1周波数帯に含まれる場合、第4マイクを入力マイクに決定してもよい。これにより、情報処理装置10は、取得している音声の周波数帯が切り替わった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0023】
また、処理部11は、周波数が連続して第1周波数帯に含まれる場合第3モードに移行し、第3モードにおいて取得された判定用音声が第1周波数帯の音声と第2周波数帯の音声との合成音声の場合、第1マイク1aを入力マイクに決定してもよい。また、処理部11は、周波数が連続して第2周波数帯に含まれる場合第4モードに移行し、第4モードにおいて取得された判定用音声が合成音声の場合、第2マイク1bを入力マイクに決定してもよい。これにより、情報処理装置10は、ある周波数帯の音声を取得している際に、当該周波数帯とは別の周波数帯の音声が偶然混ざってしまった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0024】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、情報処理装置の入力マイクを適切に切り替えるものである。
【0025】
図2は、情報処理装置の外観の一例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理装置100は、ノートPCである。情報処理装置100は、例えば、オンライン会議に用いられることがある。また、情報処理装置100は、例えば、楽器のオンライン教室に用いられることもある。情報処理装置100は、モニタ21、キーボード22およびマイク28a,28b,28cを有する。
【0026】
モニタ21は、情報処理装置100が出力する画面を表示する。モニタ21は、情報処理装置100を操作するユーザの正面の面に配置される。キーボード22は、ユーザからの情報処理装置100への入力を受け付ける。キーボード22は、水平な面に配置される。情報処理装置100は、モニタ21が配置された面とキーボード22が配置された面とが内側になるように折りたたみ可能である。
【0027】
マイク28a,28b,28cは、情報処理装置100の周囲から音声を取得する。マイク28a,28b,28cは、それぞれ周波数特性が異なるマイクである。マイク28a,28b,28cは、例えば、モニタ21が配置された面において、モニタ21の上側に配置されている。なお、図2に示す例では、マイク28a,28b,28cは、それぞれ2つずつであるが1つずつであってもよい。
【0028】
図3は、情報処理装置のハードウェアの一構成例を示す図である。情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101は、プログラムの命令を実行するプロセッサである。なお、CPU101は複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、CPU101は、複数のプロセッサであってもよく、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)等であってもよい。また、CPU101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。CPU101には、バス110を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0029】
RAM102は、情報処理装置100の主記憶装置である。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に利用する各種データが格納される。なお、情報処理装置100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0030】
バス110に接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106および機器接続インタフェース107がある。また、バス110に接続されている周辺機器としては、コントローラ108およびネットワークインタフェース109がある。
【0031】
HDD103は、情報処理装置100の補助記憶装置である。HDD103は、内蔵した磁気ディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、情報処理装置100は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の他の種類の補助記憶装置を備えてもよく、複数の補助記憶装置を備えてもよい。
【0032】
GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0033】
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0034】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0035】
機器接続インタフェース107は、情報処理装置100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0036】
コントローラ108は、マイク28a,28b,28cを制御する。例えば、コントローラ108は、マイク28a,28b,28cから入力された音声信号をディジタル信号に変換して、CPU101に送信する。マイク28aは、広い範囲の周波数帯で感度が一定のマイク(広周波数マイク)である。また、マイク28bは、低い周波数帯で感度が高いマイク(低周波数マイク)である。また、マイク28cは、高い周波数帯で感度が高いマイク(高周波数マイク)である。
【0037】
コントローラ108は、プロセッサ108a、RAM108bおよびROM108cを有する。プロセッサ108aは、ROM108cに格納されたファームウェア(制御用のソフトウェア)をRAM108bに読み込み、ファームウェアに従った処理を実行する。プロセッサ108aは、例えばCPU、MPU、またはDSPである。プロセッサ108aがプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC、PLD等の電子回路で実現してもよい。
【0038】
RAM108bは、コントローラ108の主記憶装置として使用される、揮発性の半導体記憶装置である。RAM108bには、プロセッサ108aに実行させるプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM108bには、プロセッサ108aによる処理に利用する各種データが格納される。
【0039】
ROM108cは、ファームウェアを記憶する不揮発性の半導体記憶装置である。ROM108cとしては、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いることができる。
【0040】
ネットワークインタフェース109は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース109は、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0041】
情報処理装置100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した情報処理装置10も、図3に示した情報処理装置100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、プロセッサ108aは、第1の実施の形態に示した処理部11の一例である。また、マイク28bは、第1の実施の形態に示した第1マイク1aの一例である。また、マイク28cは、第1の実施の形態に示した第2マイク1bの一例である。また、マイク28aは、第1の実施の形態に示した第3マイク1cおよび第4マイクの一例である。
【0042】
情報処理装置100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。情報処理装置100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、情報処理装置100に実行させるプログラムをROM108cに格納しておくことができる。プロセッサ108aは、ROM108c内のプログラムの少なくとも一部をRAM108bにロードし、プログラムを実行する。また、情報処理装置100に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、CPU101からの制御により、ROM108cにインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ108aが、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0043】
次に、マイク28a,28b,28cそれぞれの周波数特性について説明する。
図4は、広周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。グラフ31は、マイク28aの周波数特性を示すグラフである。グラフ31の縦軸は、マイク28aの感度をdB単位で示す。グラフ31の横軸は、マイク28aが取得する音声の周波数をHz単位で示す。なお、グラフ31の縦軸で示される感度は、周波数1000Hzの音声を取得するときのマイク28aの感度を0dBとし、相対値で示される。
【0044】
グラフ31は、20~20000Hzの周波数の音声を取得するときのマイク28aの感度が-10dB~5dB程度であることを示す。つまり、グラフ31は、マイク28aが広い周波数帯で感度が一定であることを示す。
【0045】
図5は、低周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。グラフ32は、マイク28bの周波数特性を示すグラフである。グラフ32の縦軸は、マイク28bの感度をdB単位で示す。グラフ32の横軸は、マイク28bが取得する音声の周波数をHz単位で示す。なお、グラフ32の縦軸で示される感度は、周波数1000Hzの音声を取得するときのマイク28bの感度を0dBとし、相対値で示される。
【0046】
グラフ32は、20~500Hzの周波数の音声を取得するときのマイク28bの感度が20dB~25dB程度であることを示す。また、グラフ32は、500~20000Hzの周波数において、周波数が大きいほどマイク28bの感度が下がることを示す。また、グラフ32は、20000Hzの周波数の音声を取得するときのマイク28bの感度が-20dB程度であることを示す。つまり、グラフ32は、マイク28bが1000Hz未満の低い周波数帯で感度が高く、1000Hz以上の高い周波数帯で感度が低いことを示す。
【0047】
図6は、高周波数マイクの周波数特性の一例を示す図である。グラフ33は、マイク28cの周波数特性を示すグラフである。グラフ33の縦軸は、マイク28cの感度をdB単位で示す。グラフ33の横軸は、マイク28cが取得する音声の周波数をHz単位で示す。なお、グラフ33の縦軸で示される感度は、周波数1000Hzの音声を取得するときのマイク28cの感度を0dBとし、相対値で示される。
【0048】
グラフ33は、20Hzの周波数の音声を取得するときのマイク28cの感度が-20dB程度であることを示す。また、グラフ33は、20~2000Hzの周波数において、周波数が大きいほどマイク28cの感度が上がることを示す。また、グラフ33は、2000~20000Hzの周波数の音声を取得するときのマイク28cの感度が20dB~25dB程度であることを示す。つまり、グラフ33は、マイク28cが1000Hz未満の低い周波数帯で感度が低く、1000Hz以上の高い周波数帯で感度が高いことを示す。
【0049】
図4図6に示すように、マイク28a,28b,28cは、それぞれ周波数特性が異なる。情報処理装置100は、様々な場面で使用されるため、様々な周波数の音声を入力音声として取得することがある。例えば、情報処理装置100は、オンライン会議に用いられる場合、一般的に1000Hz未満である人の声を入力音声として取得する。また、例えば、情報処理装置100は、楽器のオンライン教室に用いられる場合、1000Hz以上の楽器の音を入力音声として取得することがある。ここで、情報処理装置100に音声を入力する入力マイクとして、入力音声の周波数に対する感度が小さいマイクが設定されると、集音性能が低下する。
【0050】
なお、広い周波数帯を高い性能で集音できる録音機器用のマイクもある。しかし、録音機器用のマイクは、高い電圧で作動し、サイズも大きい。よって、録音機器用のマイクを図2に示すようなノートPC等の小型のコンピュータに搭載することは困難である。
【0051】
そこで、第2の実施の形態では、情報処理装置100は、マイク28aから取得した判定用音声の周波数に応じて、入力音声を高い感度で取得できるマイクに入力マイクを切り替える。
【0052】
図7は、情報処理装置の機能例を示すブロック図である。情報処理装置100は、コントローラ108の機能として、記憶部120、分析部130、判定部140および切替部150を有する。記憶部120は、RAM108bまたはROM108cの記憶領域を用いて実現される。分析部130、判定部140および切替部150は、RAM108bに記憶されたプログラム(ファームウェア)をプロセッサ108aが実行することで実現される。
【0053】
記憶部120は、切替テーブル121-1,121-2,121-3を記憶する。切替テーブル121-1,121-2,121-3は、判定部140による入力マイクの決定に用いられるテーブルである。切替テーブル121-1は、広周波数モードで用いられる切替テーブルである。切替テーブル121-2は、低周波数モードで用いられる切替テーブルである。切替テーブル121-3は、高周波数モードで用いられる切替テーブルである。なお、低周波数モードは、第1の実施の形態に示した第1モードおよび第3モードの一例である。また、高周波数モードは、第1の実施の形態に示した第2モードおよび第4モードの一例である。
【0054】
分析部130は、所定時間ごとにマイク28aから判定用音声を取得し、取得した判定用音声を分析する。例えば、分析部130は、判定用音声の周波数と強度とを特定する。また、例えば、分析部130は、判定用音声が合成音声である場合、判定用音声に含まれる音声ごとに周波数と強度とを特定する。
【0055】
判定部140は、判定用音声の周波数に基づいて、入力マイクを決定する。まず、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれるか否かを判定する。例えば、判定部140は、判定用音声に含まれるいずれかの音声の周波数が1000Hz未満であり、当該音声の強度が所定値以上の場合、周波数が1000Hz未満の音声が含まれると判定する。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が含まれるか否かを判定する。例えば、判定部140は、判定用音声に含まれるいずれかの音声の周波数が1000Hz以上であり、当該音声の強度が所定値以上の場合、周波数が1000Hz以上の音声が含まれると判定する。なお、1000Hz未満の周波数帯は、第1の実施の形態に示した第1周波数帯の一例である。また、1000Hz以上の周波数帯は、第1の実施の形態に示した第2周波数帯の一例である。
【0056】
次に、判定部140は、モードに応じた切替テーブルに示される条件にしたがって、入力マイクを決定する。広周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。また、広周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声である場合、マイク28bを入力マイクに決定する。また、広周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz以上の音声である場合、マイク28cを入力マイクに決定する。
【0057】
低周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声である場合または判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28bを入力マイクに決定する。ただし、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声であり、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が閾値回以上連続して含まれる場合、マイク28aを入力マイクに決定する。また、低周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz以上の音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。
【0058】
高周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz以上の音声である場合または判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28cを入力マイクに決定する。ただし、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声であり、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が閾値回以上連続して含まれる場合、マイク28aを入力マイクに決定する。また、高周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。
【0059】
また、判定部140は、判定用音声の周波数が連続して同じ周波数帯に含まれたか否かに基づいて、モードを切り替える。判定部140は、マイク28aを入力マイクに決定した場合、広周波数モードに移行する。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が閾値回以上連続して含まれる場合、低周波数モードに移行する。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が閾値回以上連続して含まれる場合、高周波数モードに移行する。
【0060】
切替部150は、判定部140によって決定されたマイクを入力マイクに切り替える。例えば、切替部150は、マイク28a,28b,28cのうち、判定部140によって入力マイクに決定されたマイクから取得した音声を、情報処理装置100に入力された音声としてCPU101に送信するよう設定する。
【0061】
なお、図7に示す機能は、CPU101が実行するソフトウェアによって実現されてもよい。CPU101が実行するソフトウェアによって図7に示す機能が実現される場合、CPU101は、第1の実施の形態に示した処理部11の一例である。
【0062】
また、図7に示す機能は、電子回路で実現されてもよい。図7に示す機能が電子回路で実現される場合、当該電子回路は、第1の実施の形態に示した処理部11の一例である。図7に示す機能が電子回路で実現される場合、分析部130は、マイク28a,28b,28cのうち、マイク28aのみと接続されていればよい。よって、情報処理装置100は、判定用音声をマイク28aから取得することで電子回路を簡素化することができる。
【0063】
次に、記憶部120に記憶される切替テーブル121-1,121-2,121-3について詳細に説明する。
図8は、切替テーブルの一例を示す図である。記憶部120は、切替テーブル121-1,121-2,121-3を記憶する。切替テーブル121-1は、広周波数モードで用いられる切替テーブルである。切替テーブル121-2は、低周波数モードで用いられる切替テーブルである。切替テーブル121-3は、高周波数モードで用いられる切替テーブルである。
【0064】
判定部140は、切替テーブル121-1,121-2,121-3を参照し、MIC_Count2およびMIC_Count3の値によって入力マイクを決定する。ここで、MIC_Count2は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が連続して含まれた回数を示す変数である。また、MIC_Count3は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が連続して含まれた回数を示す変数である。
【0065】
なお、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0の場合、判定用音声は、周波数が1000Hz未満の音声である。また、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上の場合、判定用音声は、周波数が1000Hz以上の音声である。また、MIC_Count2およびMIC_Count3がいずれも1以上の場合、判定用音声は、周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である。
【0066】
切替テーブル121-1,121-2,121-3は、入力マイク、MIC_Count2およびMIC_Count3の項目を有する。入力マイクの項目には、MIC_Count2およびMIC_Count3の値によって決定される入力マイクが設定される。MIC_Count2の項目には、MIC_Count2の値の条件が設定される。MIC_Count3の項目には、MIC_Count3の値の条件が設定される。なお、MIC_Count2およびMIC_Count3の項目に含まれるt2およびt3は、閾値である。
【0067】
例えば、切替テーブル121-1には、入力マイクの項目に「広周波数マイク」、MIC_Count2の項目に「1≦MIC_Count2」、MIC_Count3の項目に「1≦MIC_Count3」が設定されたレコードが登録されている。当該レコードは、広周波数モードにおいて、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が1以上の場合、広周波数マイクであるマイク28aが入力マイクに決定されることを示す。
【0068】
以下、情報処理装置100が実行する処理の手順について、詳細に説明する。
図9は、マイク切替処理の手順の一例を示すフローチャート(その1)である。以下、図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0069】
[ステップS11]判定部140は、初期設定を実行する。判定部140は、入力マイクをマイク28aに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2およびMIC_Count3を0に設定する。また、判定部140は、低周波数モードにおいてOnになる変数MIC_Mode2および高周波数モードにおいてOnになる変数MIC_Mode3をOffに設定(つまり、広周波数モードに設定)する。
【0070】
[ステップS12]分析部130は、広周波数マイクであるマイク28aから判定用音声を取得する。
[ステップS13]分析部130は、ステップS12で取得した判定用音声の周波数を分析する。例えば、分析部130は、判定用音声の周波数と強度とを特定する。また、例えば、分析部130は、判定用音声が合成音声である場合、判定用音声に含まれる音声ごとに周波数と強度とを特定する。
【0071】
[ステップS14]判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれるか否かを判定する。例えば、判定部140は、判定用音声に含まれるいずれかの音声の周波数が1000Hz未満であり、当該音声の強度が所定値以上の場合、周波数が1000Hz未満の音声が含まれると判定する。判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれると判定した場合、処理をステップS15に進める。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれないと判定した場合、処理をステップS16に進める。
【0072】
[ステップS15]判定部140は、MIC_Count2に1を加算する。そして、処理がステップS17に進む。
[ステップS16]判定部140は、MIC_Count2を0に設定する。
【0073】
[ステップS17]判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が含まれるか否かを判定する。例えば、判定部140は、判定用音声に含まれるいずれかの音声の周波数が1000Hz以上であり、当該音声の強度が所定値以上の場合、周波数が1000Hz以上の音声が含まれると判定する。判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が含まれると判定した場合、処理をステップS18に進める。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が含まれないと判定した場合、処理をステップS19に進める。
【0074】
[ステップS18]判定部140は、MIC_Count3に1を加算する。そして、処理がステップS20に進む。
[ステップS19]判定部140は、MIC_Count3を0に設定する。
【0075】
図10は、マイク切替処理の手順の一例を示すフローチャート(その2)である。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS20]判定部140は、MIC_Mode2がOffかつMIC_Mode3がOffである(つまり、広周波数モードである)か否かを判定する。判定部140は、MIC_Mode2がOffかつMIC_Mode3がOffであると判定した場合、処理をステップS21に進める。また、判定部140は、MIC_Mode2がOnまたはMIC_Mode3がOnであると判定した場合、処理をステップS22に進める。
【0076】
[ステップS21]判定部140は、広周波数モードの切替テーブル121-1にしたがって入力マイクを決定する。具体的には、判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が1以上であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0であれば、マイク28bを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上であれば、マイク28cを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が0であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。そして、処理がステップS25に進む。
【0077】
[ステップS22]判定部140は、MIC_Mode2がOnである(つまり、低周波数モードである)か否かを判定する。判定部140は、MIC_Mode2がOnであると判定した場合、処理をステップS23に進める。また、判定部140は、MIC_Mode2がOffである(つまり、MIC_Mode3がOnであり、高周波数モードである)と判定した場合、処理をステップS24に進める。
【0078】
[ステップS23]判定部140は、低周波数モードの切替テーブル121-2にしたがって入力マイクを決定する。具体的には、判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3がt3以上であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3がt3未満であれば、マイク28bを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。そして、処理がステップS25に進む。
【0079】
[ステップS24]判定部140は、高周波数モードの切替テーブル121-3にしたがって入力マイクを決定する。具体的には、判定部140は、MIC_Count2がt2以上かつMIC_Count3が1以上であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2がt2未満かつMIC_Count3が1以上であれば、マイク28cを入力マイクに決定する。また、判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0であれば、マイク28aを入力マイクに決定する。
【0080】
[ステップS25]切替部150は、判定部140によって決定されたマイクを入力マイクに切り替える。例えば、切替部150は、マイク28a,28b,28cのうち、判定部140によって入力マイクに決定されたマイクから取得した音声を、情報処理装置100に入力された音声としてCPU101に送信するよう設定する。
【0081】
[ステップS26]判定部140は、入力マイクが広周波数マイクであるマイク28aであるか否かを判定する。判定部140は、入力マイクがマイク28aであると判定した場合、処理をステップS27に進める。また、判定部140は、入力マイクがマイク28aではないと判定した場合、処理をステップS28に進める。
【0082】
[ステップS27]判定部140は、MIC_Mode2およびMIC_Mode3をOffに設定(つまり、広周波数モードに移行)する。そして、処理がステップS32に進む。
【0083】
[ステップS28]判定部140は、MIC_Count2がt2以上かつMIC_Count3が0であるか否かを判定する。判定部140は、MIC_Count2がt2以上かつMIC_Count3が0であると判定した場合、処理をステップS29に進める。また、判定部140は、MIC_Count2がt2未満またはMIC_Count3が0ではないと判定した場合、処理をステップS30に進める。
【0084】
[ステップS29]判定部140は、MIC_Mode2をOnに設定(つまり、低周波数モードに移行)する。そして、処理がステップS32に進む。
[ステップS30]判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3がt3以上であるか否かを判定する。判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3がt3以上であると判定した場合、処理をステップS31に進める。また、判定部140は、MIC_Count2が0ではないまたはMIC_Count3がt3未満と判定した場合、処理をステップS32に進める。
【0085】
[ステップS31]判定部140は、MIC_Mode3をOnに設定(つまり、高周波数モードに移行)する。
[ステップS32]判定部140は、所定時間待機する。そして、処理がステップS12に進む。
【0086】
このように、分析部130は、マイク28aから判定用音声を取得し、取得した判定用音声を分析する。ここで、マイク28aは、広い範囲の周波数帯で感度が一定のマイクである。よって、分析部130は、判定用音声を一定の集音性能で取得することができる。
【0087】
判定部140は、分析部130による判定用音声の分析結果とモードに応じた切替テーブルに示される条件とに基づいて、入力マイクを決定する。広周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。これにより、判定部140は、周波数が1000Hz以上の音声および周波数が1000Hz未満の音声のいずれの音声についても、一定の集音性能で取得できるようにする。
【0088】
また、広周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声である場合、マイク28bを入力マイクに決定し、判定用音声が周波数が1000Hz以上の音声である場合、マイク28cを入力マイクに決定する。これにより、判定部140は、取得される音声に対する感度が高い入力マイクによって入力音声を取得できるようにする。
【0089】
判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声がt2回以上連続して含まれる場合、低周波数モードに移行する。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声がt3回以上連続して含まれる場合、高周波数モードに移行する。低周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz以上の音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。また、高周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声である場合、マイク28aを入力マイクに決定する。
【0090】
このように、取得している音声の周波数帯が急に切り替わった場合、次に情報処理装置100へ入力される入力音声は、周波数が1000Hz以上の音声および周波数が1000Hz未満の音声のいずれの場合も考えられる。そこで、判定部140は、マイク28aを入力マイクに決定することで、周波数が1000Hz以上の音声および周波数が1000Hz未満の音声のいずれが入力される場合でも、一定の集音性能で入力音声を取得できるようにする。よって、判定部140は、取得している音声の周波数帯が切り替わった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0091】
また、低周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28bを入力マイクに決定する。また、高周波数モードでは、判定部140は、判定用音声が周波数が1000Hz未満の音声と1000Hz以上の音声との合成音声である場合、マイク28cを入力マイクに決定する。
【0092】
ここで、低周波数モードにおいて取得された判定用音声に含まれる周波数が1000Hz以上の音声および高周波数モードにおいて取得された周波数が1000Hz未満の音声は、ユーザが入力したい音声に偶然混ざってしまったものである可能性が高い。判定部140は、判定用音声が異なる周波数帯の合成音声である場合、低周波数モードではマイク28bを入力マイクに決定し、高周波数モードでは、マイク28cを入力マイクに決定することで、ユーザが入力したい音声を高い集音性能で取得できるようにする。よって、判定部140は、ある周波数帯の音声を取得している際に、当該周波数帯とは別の周波数帯の音声が偶然混ざってしまった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0093】
このように、判定部140は、判定用音声の周波数に基づいて入力マイクを決定することで、情報処理装置100が使用される場面に応じた入力マイクによって入力音声を取得できるようにする。よって、判定部140は、集音性能を向上させることができる。
【0094】
次に、マイク切替処理の具体例について説明する。
図11は、処理例テーブルの一例を示す図である。処理例テーブル40は、マイク切替処理の処理例における、ループ回数ごとの変数や入力マイクを示す。処理例テーブル40は、回数、入力周波数、入力マイク、MIC_Count2、MIC_Count3、MIC_Mode2およびMIC_Mode3の項目を有する。
【0095】
回数の項目には、処理のループ回数が設定される。なお、回数の項目が「0」のレコードは、初期設定を示す。入力周波数の項目には、対応するループ回数において入力された判定用音声の周波数がHz単位で設定される。入力マイクの項目には、対応するループ回数において判定部140が入力マイクに決定したマイクが設定される。MIC_Count2の項目には、対応するループ回数におけるMIC_Count2の値が設定される。MIC_Count3の項目には、対応するループ回数におけるMIC_Count3の値が設定される。MIC_Mode2の項目には、対応するループ回数におけるMIC_Mode2の値が設定される。MIC_Mode3の項目には、対応するループ回数におけるMIC_Mode3の値が設定される。なお、処理例テーブル40で示される処理では、t2=t3=3に設定されている。
【0096】
処理例テーブル40に示される処理では、初期設定として、入力マイクがマイク28a、MIC_Count2およびMIC_Count3が0に設定されていることを示す。また、処理例テーブル40に示される処理では、初期設定としてMIC_Mode2およびMIC_Mode3がOff(つまり、広周波数モード)に設定されていることを示す。以下では、処理例テーブル40に示されるループ回数ごとの処理を説明する。
【0097】
1回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれるため、MIC_Count2に1を加算する(つまり、MIC_Count2=1になる)。判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0であるため、広周波数モードの切替テーブル121-1にしたがってマイク28bを入力マイクに決定する。このように、判定用音声の周波数が1000Hz未満の場合、次に情報処理装置100へ入力される入力音声も1000Hz未満の可能性が高い。よって、判定部140は、マイク28bを入力マイクに決定することで、1000Hz未満の音声に対して感度が高い入力マイクによって入力音声を取得させることができる。
【0098】
2回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=2となる。判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0であるため、切替テーブル121-1にしたがってマイク28bを入力マイクに決定する。
【0099】
3回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=3となる。判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3が0であるため、切替テーブル121-1にしたがってマイク28bを入力マイクに決定する。ここで、判定部140は、MIC_Count2がt2以上かつMIC_Count3が0であるため、MIC_Mode2をOnに設定し、低周波数モードに移行する。
【0100】
4回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=4となる。判定部140は、MIC_Count2が1以上かつMIC_Count3がt3未満であるため、低周波数モードの切替テーブル121-2にしたがってマイク28bを入力マイクに決定する。
【0101】
5回目のループでは、分析部130は、周波数1500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz以上の音声が含まれるため、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=1になる。また、判定部140は、判定用音声に周波数が1000Hz未満の音声が含まれないため、MIC_Count2を0に設定する。判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上であるため、切替テーブル121-2にしたがってマイク28aを入力マイクに決定する。
【0102】
このように、周波数が1000Hz未満の判定用音声が連続して取得されているときに、判定用音声の周波数が1000Hz以上に切り替わった場合、次の入力音声は、周波数が1000Hz以上である場合も、周波数が1000Hz未満である場合も考えられる。そこで、判定部140は、マイク28aを入力マイクに決定することで、周波数が1000Hz以上の音声および周波数が1000Hz未満の音声のいずれが入力される場合でも、一定の集音性能で入力音声を取得できるようにする。なお、判定部140は、入力マイクがマイク28aであるため、MIC_Mode2をOffに設定し、広周波数モードに移行する。
【0103】
6回目のループでは、分析部130は、周波数1500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=2となる。判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上であるため、切替テーブル121-1にしたがってマイク28cを入力マイクに決定する。7回目のループでは、分析部130は、周波数1500Hzの判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=3となる。判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3が1以上であるため、切替テーブル121-1にしたがってマイク28cを入力マイクに決定する。ここで、判定部140は、MIC_Count2が0かつMIC_Count3がt3以上であるため、MIC_Mode3をOnに設定し、高周波数モードに移行する。
【0104】
8回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの音声と周波数1500Hzの音声との合成音声である判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=1となる。また、判定部140は、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=4となる。判定部140は、MIC_Count2がt2未満かつMIC_Count3が1以上であるため、高周波数モードの切替テーブル121-3にしたがってマイク28cを入力マイクに決定する。
【0105】
高周波数モードでは、分析部130が周波数が1000Hz以上の判定用音声を連続して取得している。よって、高周波数モードにおいて取得された周波数が1000Hz未満の音声は、偶然混ざってしまったもの(例えば、高音の楽器の演奏中に人の声が混ざってしまったもの)である可能性が高い。そこで、判定部140は、マイク28cを入力マイクに決定することで、周波数が1000Hz以上の音声を高い集音性能で取得できるようにする。
【0106】
9回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの音声と周波数1500Hzの音声との合成音声である判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=2となる。また、判定部140は、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=5となる。判定部140は、MIC_Count2がt2未満かつMIC_Count3が1以上であるため、切替テーブル121-3にしたがってマイク28cを入力マイクに決定する。
【0107】
10回目のループでは、分析部130は、周波数500Hzの音声と周波数1500Hzの音声との合成音声である判定用音声を取得する。すると、判定部140は、MIC_Count2に1を加算し、MIC_Count2=3となる。また、判定部140は、MIC_Count3に1を加算し、MIC_Count3=6となる。判定部140は、MIC_Count2がt2以上かつMIC_Count3が1以上であるため、切替テーブル121-3にしたがってマイク28aを入力マイクに決定する。ここで、判定部140は、入力マイクがマイク28aであるため、MIC_Mode3をOffに設定し、広周波数モードに移行する。
【0108】
このように、高周波数モードにおいて、周波数が1000Hz未満の音声を含む判定用音声が連続で取得された場合、周波数が1000Hz未満の音声は、偶然混ざってしまったものではない可能性が高い。そこで、判定部140は、マイク28aを入力マイクに決定し広周波数モードに移行することで、周波数が1000Hz以上の音声および周波数が1000Hz未満の音声のいずれが入力される場合でも、一定の集音性能で入力音声を取得できるようにする。
【0109】
第2の実施の形態によれば、情報処理装置100は、周波数特性がそれぞれ異なるマイク28a,28b,28cを有する。情報処理装置100の判定部140は、マイク28aから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクをマイク28a,28b,28cから決定する。これにより、情報処理装置100は、情報処理装置100が使用される場面に応じた入力マイクによって入力音声を取得することができる。よって、情報処理装置100は、集音性能を向上させることができる。
【0110】
また、情報処理装置100は、1000Hz以上の周波数帯よりも1000Hz未満の周波数帯における感度が高いマイク28bと、1000Hz未満の周波数帯よりも1000Hz以上の周波数帯における感度が高いマイク28cとを有する。判定部140は、周波数が1000Hz未満の周波数帯に含まれる場合、マイク28bを入力マイクに決定し、周波数が1000Hz以上の周波数帯に含まれる場合、マイク28cを入力マイクに決定する。これにより、情報処理装置100は、取得される音声に対する感度が高い入力マイクによって入力音声を取得することができる。
【0111】
また、判定部140は、マイク28aから判定用音声を取得する。これにより、情報処理装置100の機能を電子回路で実現する場合、判定用音声の分析部130は、マイク28a,28b,28cのうちマイク28aのみと接続されればよい。よって、情報処理装置100は、回路を簡素化することができる。
【0112】
また、マイク28aは、1000Hz未満の周波数帯と1000Hz以上の周波数帯との感度の差が、マイク28b,28cよりも小さい。これにより、情報処理装置100は、判定用音声を一定の集音性能で取得することができる。
【0113】
また、判定部140は、周波数が連続して1000Hz未満の周波数帯に含まれる場合、低周波数モードに移行し、低周波数モードにおいて取得された判定用音声の周波数が1000Hz以上の周波数帯に含まれる場合、マイク28aを入力マイクに決定する。また、判定部140は、周波数が連続して1000Hz以上の周波数帯に含まれる場合高周波数モードに移行し、高周波数モードにおいて取得された判定用音声の周波数が1000Hz未満の周波数帯に含まれる場合、マイク28aを入力マイクに決定する。これにより、情報処理装置100は、取得している音声の周波数帯が切り替わった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0114】
また、判定部140は、周波数が連続して1000Hz未満の周波数帯に含まれる場合低周波数モードに移行し、低周波数モードにおいて取得された判定用音声が1000Hz未満の周波数帯の音声と1000Hz以上の周波数帯の音声との合成音声の場合、マイク28bを入力マイクに決定する。また、判定部140は、周波数が連続して1000Hz以上の周波数帯に含まれる場合高周波数モードに移行し、高周波数モードにおいて取得された判定用音声が合成音声の場合、マイク28cを入力マイクに決定する。これにより、情報処理装置100は、ある周波数帯の音声を取得している際に、当該周波数帯とは別の周波数帯の音声が偶然混ざってしまった場合でも、適切に入力マイクを決定することができる。
【0115】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1a 第1マイク
1b 第2マイク
1c 第3マイク
10 情報処理装置
11 処理部
【要約】
【課題】集音性能を向上させることができる。
【解決手段】情報処理装置10は、周波数特性がそれぞれ異なる第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cを有する。情報処理装置10は、第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cのいずれかから取得された判定用音声の周波数に基づいて、自装置への入力音声を取得する入力マイクを第1マイク1a、第2マイク1bおよび第3マイク1cから決定する。
【選択図】図1
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