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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】モール部材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
B60R13/04 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019018436
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020125014
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】東條 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大島 雄志
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-126313(JP,A)
【文献】特開2003-146148(JP,A)
【文献】特開2007-118643(JP,A)
【文献】特開2010-286548(JP,A)
【文献】特開2007-131016(JP,A)
【文献】特開2018-001923(JP,A)
【文献】登録実用新案第3043758(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のベルトラインに取付けられるモール部材であって、前記モール部材は、モール部材本体部と、エンドキャップ部からなり、前記モール部材本体部の車外側には、コア部と、前記コア部の表面に形成されるクラッド部を有する導光部が、前記導光部の車外側が露出するように埋設され、前記エンドキャップ部は、光源部とキャップ部を有し
前記光源部は、発光光源であるLEDと、
前記LEDと前記導光部との間に、前記LEDからの発光を集光する集光面を備えた凸レンズ部を有する光学部材、または、前記LEDと前記導光部との間に、前記導光部の前記コア部の形状に相当する開口部を有する非光透過性壁部を有していることを特徴とするモール部材。
【請求項2】
前記モール部材本体部から露出した前記導光部の車外側表面の一部又は全部は、光散乱部材が配合されたカバー部で被覆されている請求項1に記載のモール部材。
【請求項3】
前記導光部の前記クラッド部には、前記モール部材本体部内に突出する突部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のモール部材。
【請求項4】
前記導光部の前記コア部は、アクリル樹脂(PMMA)で形成され、前記クラッド部は、フッ素樹脂又は透明ポリプロピレン樹脂(PP)又はポリアセタール樹脂(POM)で形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモール部材。
【請求項5】
前記モール部材本体部は、車外側側壁と、上部壁と、車内側側壁からなる断面略逆U字状をなし、前記導光部は、前記車外側側壁に埋設されており、前記車内側側壁の外側には、ガラスシールリップが形成され、前記モール部材本体部は、ポリプロピレン樹脂で、前記ガラスシールリップは、動的架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)で形成されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のモール部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のベルトラインに取付けられる発光式のモール部材(ベルトラインモール)に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の照明装置には、長尺状の導光体と、導光体に光を入射する光源とを備えたものがあり、それを、ベルトラインに取付けられるモール部材(ベルトラインモール)に適用した技術としては、例えば、下記特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1の技術は、図6に示すように、モール部材(ベルトラインモール)であるトリムストリップ装置100は、シール形状110(sealing profile)と、シール形状110に取付けられる外面120と、導光体130よって構成されている。導光体130は、シール形状110と外面120の間の接合部を覆ってシール形状110に沿って長手方向に延在している。そして、トリムストリップ装置100の前面閉鎖部の直前で、偏向ピン140のまわりを90°回転した後に、導光体130を円周方向に把持する導光体ホルダー150を通過し、外面120に設けられた貫通開口部からトリムストリップ装置100の車内側に露出するように組付けられる。また、トリムストリップ装置100には、図示しない非光透過性の輪郭されたストリップ(profiled strip)が、外面120の端部160及びシール形状110の上に配置される(特許文献1のFig.3)。その結果、トリムストリップ装置100において、トリムストリップ装置100の外部に設置された光源部からの光は、導光体130を通じてから車外側下方に向けて放射される(特許文献1のFig.3の領域S)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0037157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、トリムストリップ装置100では、シール形状110と、外面120と、導光体130と、輪郭されたストリップと、光源部から構成され、シール形状110に外面120を接合した後に、導光体130を組付け、さらに輪郭されたストリップを組付け、最後に、導光体130と光源部を接続する必要があるので、部品点数が多く、それに伴う製造及び組付けが複雑であり、コスト高になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、車両のベルトラインに取付けられるモール部材であって、モール部材は、モール部材本体部と、エンドキャップ部からなり、モール部材本体部の車外側には、コア部と、コア部の表面に形成されるクラッド部を有する導光部が、導光部の車外側が露出するように埋設され、エンドキャップ部は、光源部とキャップ部を有し、光源部は、発光光源であるLEDと、LEDと導光部との間に、LEDからの発光を集光する集光面を備えた凸レンズ部を有する光学部材、または、LEDと導光部との間に、導光部のコア部の形状に相当する開口部を有する非光透過性壁部を有していることを特徴とするモール部材である。
【0007】
請求項1の本発明では、モール部材は、モール部材本体部と、エンドキャップ部からなり、モール部材本体部の車外側には、導光部が、導光部の車外側が露出するように埋設され、エンドキャップ部は、光源部とキャップ部を有しているので、モール部材本体部にエンドキャップ部を取付けることによりモール部材の車外側表面から光を放射させることができ、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
また、光源部は、発光光源であるLEDと、LEDと導光部との間に、LEDからの発光を集光する集光面を備えた凸レンズ部を有する光学部材を有しているので、LEDから入射した光を効率よく導光部のコア部の端面に入射させることができる。
また、光源部は、発光光源であるLEDと、LEDと導光部との間に、導光部のコア部の形状に相当する開口部を有する非光透過性壁部を有しているので、コア部が幅広く形成した場合であっても、LEDからの発光を非光透過性壁部によって漏れることなくコア部に導くことができる。
【0008】
また、導光部は、コア部と、コア部の表面に形成されるクラッド部を有しているので、コア部に入射された光は、コア部内部でほぼ全反射を繰り返すことにより導光された後、クラッド部の外周面の全面から放射される。その結果、導光部を線状光源とすることができ、線状光源の発光装置として、車外側を照らすことができる。
【0009】
請求項2の本発明は、モール部材本体部から露出した導光部の車外側表面の一部又は全部は、光散乱部材が配合されたカバー部で被覆されているモール部材である。請求項2の本発明では、モール部材本体部から露出した導光部の車外側表面の一部又は全部は、光散乱部材が配合されたカバー部で被覆されているので、カバー部によって、導光部がモール部材本体部に強固に固定されると共に、車外側に露出している導光部の表面を傷つきなどから保護することができる。
【0010】
また、カバー部には、光散乱部材が配合されているので、導光部から車外側に放射される光が、光散乱部材によって散乱され、均一に発光する線状光源を作製することができ、モール部材の意匠性が向上する。
【0011】
請求項3の本発明は、導光部のクラッド部には、モール部材本体部内に突出する突部が形成されているモール部材である。請求項3の本発明では、導光部のクラッド部には、モール部材本体部内に突出する突部が形成されているので、突部がモール部材本体部に引っ掛かるように埋設することができ、導光部をモール部材本体部に強固に固定することができる。
【0012】
請求項4の本発明は、導光部のコア部は、アクリル樹脂(PMMA)で形成され、クラッド部は、フッ素樹脂又は透明ポリプロピレン樹脂又はポリアセタール樹脂(POM)で形成されているモール部材である。請求項4の本発明では、導光部のコア部は、アクリル樹脂(PMMA)で形成されているので、透明性が高く、入射された光の減衰が少ない。
【0013】
また、コア部の屈折率とクラッド部の屈折率との関係は、コア部>クラッド部になっているので、コア部に入射された光は、コア部内部でほぼ全反射を繰り返すことにより導光された後、クラッド部の外周面の全面から放射される。その結果、導光部を線状光源とすることができ、線状光源の発光装置として、車外側を照らすことができる。
【0014】
さらに、クラッド部がフッ素樹脂又はポリアセタール樹脂(POM)で形成されている場合は、強度が高く、対摩耗性、対衝撃性に優れており、耐久性の高い導光部を作製することができる。また、クラッド部が透明ポリプロピレン樹脂で形成されている場合は、モール部材本体部と同じ材料とすることができるので、モール部材本体部と導光部との間における剥離を防止することができる。
【0015】
請求項5の本発明は、モール部材本体部は、車外側側壁と、上部壁と、車内側側壁からなる断面略逆U字状をなし、導光部は、車外側側壁に埋設されており、車内側側壁の外側には、ガラスシールリップが形成され、モール部材本体部は、ポリプロピレン樹脂で、ガラスシールリップは、動的架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)で形成されているモール部材である。
【0016】
請求項5の本発明では、モール部材本体部の車外側側壁と、上部壁と、車内側側壁は、ポリプロピレン樹脂で、モール部材本体部のガラスシールリップは、動的架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)で形成されているので、モール部材本体部と導光部を共押出成形で一体成形することができ、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
モール部材は、モール部材本体部と、エンドキャップ部からなり、モール部材本体部の車外側には、導光部が、導光部の車外側が露出するように埋設され、エンドキャップ部は、光源部とキャップ部を有しているので、モール部材本体部にエンドキャップ部を取付けることによりモール部材の車外側表面から光を放射させることができ、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
【0018】
また、導光部は、コア部と、コア部の表面に形成されるクラッド部を有しているので、コア部に入射された光は、コア部内部でほぼ全反射を繰り返すことにより導光された後、クラッド部の外周面の全面から放射される。その結果、導光部を線状光源とすることができ、線状光源の発光装置として、車外側を照らすことができる。
【0019】
モール部材本体部の車外側側壁、上部壁と車内側側壁をポリプロピレン樹脂で、モール部材本体部のガラスシールリップを動的架橋型オレフィン系エラストマー(TPV)で形成した場合は、モール部材本体部と導光部を共押出成形で一体成形することができるので、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は本発明の実施形態であるドア用ベルトラインモールの装着される車両のベルトライン周辺を示す側面図であり、(b)は(a)におけるA部の拡大図である。
図2】本発明の第1の実施形態に用いるドア用ベルトラインモールのモール部材本体部の斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に用いるエンドキャップ部の構造を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に用いるドア用ベルトラインモールのモール部材本体部の斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に用いるエンドキャップ部の構造を示す図である。
図6】従来の発光手段として使用される導光体を有するトリムストリップ装置の端部領域の斜視図である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、まず、図1において、本発明の実施形態であるモール部材としてのドア用のベルトラインモールについて説明し、図2図3に基づいて第1の実施形態を、図4図5に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、本発明は、ベルトラインモール以外にも適用することができる。
【0022】
図1(a)に示すように、ベルトラインモール4のモール部材本体部10は、車両用のドア1の窓枠のうちベルトラインを形成する部位、すなわちドアパネル2の上端縁に装着されている。また、図1(b)に示すように、モール部材本体部10の端部には、エンドキャップ部50が装着されている。なお、図1で示される自動車は、4ドアタイプであるが、このタイプに限定されるものではない。また、本実施形態は、自動車の左側ドアへの適用例であるが、他のドアであってもよい。
【0023】
図2に示すように、ベルトラインモール4のモール部材本体部10は、断面略逆U字状をなし、硬質材から形成された車外側側壁11、車内側側壁12と上部壁13からなる。車外側側壁11は、断面略逆U字状の内面に車外側保持リップ15を有し、車内側側壁12の内面は、車内側第1突条17と車内側第2突条18を有し、車外側保持リップ15と車内側第1突条17と車内側第2突条18は、ドアパネル2の図示しないフランジ部の両面に当接してモール部材本体部10を保持するとともに、モール部材本体部10の内部に侵入した雨水等をシールする。
【0024】
車外側側壁11には、断面が円形のコア部31と、コア部31の表面に形成されたクラッド部32を有する導光部30が埋設されている。また、導光部30は、その一部車外側が線状に車外側側壁11から露出している。
【0025】
上部壁13と、導光部30が埋設されている車外側側壁11の外面には、光散乱部材が配合された帯状のカバー部40が取付けられている。カバー部40は、光散乱部材としてシリカが配合されたポリエステル樹脂上に接着層を設けたテープを使用した。なお、光散乱部材としては、シリカ以外にも、例えば、炭酸カルシウム等の他の物質でもよい。また、光散乱部材を配合する樹脂テープは、ポリエステル樹脂以外でもよい。
【0026】
なお、本第1の実施形態では、上部壁13と導光部30が埋設されている車外側側壁11の外面の全体にカバー部40を取付けたが、カバー部40は、少なくとも、導光部30が車外側側壁11から露出している部分に取付けられればよく、導光部30上のみ、若しくは車外側側壁11から露出している導光部30と車外側側壁11に跨る領域に取付けてもよい。
【0027】
車外側側壁11の先端部には、モール部材本体部10の開口方向に向けて、軟質材から形成され、断面が円弧状に曲がった車外側シールリップ14が一体に形成されている。車外側シールリップ14は、軟質材により形成されているので弾力性があり、円弧状に曲がっているので、ドアパネル2に柔軟に当接することができ、ドアパネル2の形状のバラツキやモール部材本体部10の取付けのバラツキを吸収して確実に車外側シールリップ14とドアパネル2の間をシールすることができる。
【0028】
車内側側壁12の先端には、先端付近で車外側に向けて屈曲した車内側側壁係止リップ16が形成されている。このため、ドアパネル2のフランジ部をモール部材本体部10の断面略逆U字状の内部に挿入したときに、車内側側壁係止リップ16によりベルトラインモール4がフランジ部から外れることを防止している。
【0029】
車内側側壁12の外側には、上部と下部にそれぞれ第1ガラスシールリップ20と第2ガラスシールリップ21が斜め上方に向けて一体に設けられている。第1ガラスシールリップ20の下面には、短繊維が植毛された第1植毛部22が形成され、第2ガラスシールリップ21の下面には、短繊維が植毛された第2植毛部23が形成されている。第1植毛部22と第2植毛部23は、ドアガラス3が昇降するときに、ドアガラス3と接触して、ドアガラス3との摺動抵抗を下げることができ、スムーズなドアガラス3の昇降ができる。
【0030】
モール部材本体部10は、押出成形により成形される。車外側側壁11、上部壁13と車内側側壁12は、ポリプロピレンを使用した。一方、第1ガラスシールリップ20と、第2ガラスシールリップ21と、車外側シールリップ14は動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を使用した。
【0031】
導光部30は、断面が円形のコア部31と、コア部31の表面に形成されるクラッド部32を有する円柱棒状である。コア部31は、アクリル樹脂を使用し、クラッド部32は、フッ素樹脂を使用した。
【0032】
モール部材本体部10と導光部30は、共押出成形で一体成形する。なお、軟質材と硬質材の2種類は、2軸押出機を使用して同時に押出成形を行う。モール部材本体部10と導光部30を共押出成形で一体成形した後に、カバー部40をその接着面でモール部材本体部10と露出した導光部30上に貼り付け、予め定められた寸法に裁断してベルトラインモール4のモール部材本体部10が完成する。
【0033】
図3に示すように、エンドキャップ部50は、光源部60とキャップ部70から構成されている。光源部60は、発光光源であるLED(発光ダイオード)61と、LED61を実装するLED実装基板部62と、LED61と導光部30との間に位置する光学部材80で構成されている。
【0034】
光学部材80は、LED61とモール部材本体部10の導光部30との間に位置する凸レンズ部81を備えている。凸レンズ部81は、導光部30の端面との対面82と、LED61に向けて凸状に湾曲して導光部30のコア部31の直径より小さい領域の集光面83を有している。また、集光面83の外側には、LED61に向かって拡がる外周部84を備えている。光学部材80は、透明であり、LED61からの発熱を考慮し、ポリカーボネートを用いた。
【0035】
LED61は、LED実装基板部62上にボンディング等により実装された後に、LED61に電力を供給するための配線をドア1内に引き出すための穴(図示せず)が形成されたキャップ部70に組付けられる。その後、キャップ部70を光学部材80に組付け、エンドキャップ部50が完成する。最後に、エンドキャップ部50をモール部材本体部10に組付け、ベルトラインモール4が完成する。
【0036】
以上の結果、モール部材本体部10にエンドキャップ部50を取付けることによりモール部材本体部10の車外側表面から光を放射させることができるので、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
【0037】
エンドキャップ部50には、光学部材80が取付けられており、光学部材80は、導光部30の端面との対面82と、LED61に向けて凸状に湾曲して導光部30のコア部31の直径より小さい領域の集光面83を有し、集光面83の外側には、LED61に向かって拡がる外周部84を有しているので、集光面83と外周部84に入射した光を効率よく導光部30のコア部31の端面に入射させることができる。
【0038】
導光部30は、コア部31と、コア部31の表面に形成されるクラッド部32を有しているので、コア部31に入射された光は、コア部31内部でほぼ全反射を繰り返すことにより導光された後、クラッド部32の外周面の全面から放射される。その結果、導光部30を線状光源とすることができ、線状光源の発光装置として、車外側を照らすことができる。
【0039】
モール部材本体部10から露出した導光部30の車外側表面は、光散乱部材が配合されたカバー部40で被覆されているので、カバー部40によって導光部30がモール部材本体部10に強固に固定されると共に、車外側に露出している導光部30の表面を傷つきなどから保護することができる。
【0040】
モール部材本体部10には、ポリプロピレンと動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を使用し、導光部30は、コア部31にアクリル樹脂を、クラッド部32にフッ素樹脂を使用したので、モール部材本体部10と導光部30を共押出成形で一体成形することができ、製造及び組付けを簡素化することができると共に、コストを低減することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態について、図4図5に基づいて説明する。第2の実施形態において、上記で説明した第1の実施形態との相違点は、以下の通りである。まず、モール部材本体部10の導光部30において、コア部31の断面が幅広く形成されている点、クラッド部32において、車外側側壁11側に突出する突部33が形成されている点にある。なお、車内側第1突条17と車内側第2突条18が省かれているが、これは、ドアパネル2とモール部材本体部10との間の保持に関するものであり、本発明には実質的に関係がない。
【0042】
また、エンドキャップ部50の光源部60において、光学部材80に変えて、LED61とモール部材本体部10の導光部30との間に、導光部30のコア部31の形状に相当する開口部91を有する非光透過性壁部90を有している点にある。
【0043】
LED61は、LED実装基板部62上にボンディング等により実装された後に、LED61に電力を供給するための配線をドア1内に引き出すための穴(図示せず)が形成されたキャップ部70に組付けられる。その後、キャップ部70と非光透過性壁部90を、非光透過性壁部90の開口部91内にLED61が挿入されるように組付け、エンドキャップ部50が完成する。最後に、エンドキャップ部50をモール部材本体部10に組付け、ベルトラインモール4が完成する。
【0044】
以上の結果、導光部30において、クラッド部32において、車外側側壁11側に突出する突部33が形成されているので、コア部31が幅広に形成した場合であっても、突部33がモール部材本体部10に引っ掛かるように埋設することができ、導光部30をモール部材本体部10に強固に固定することができる。
【0045】
エンドキャップ部50の光源部60において、LED61とモール部材本体部10の導光部30との間に、導光部30のコア部31の形状に相当する開口部91を有する非光透過性壁部90を有しているので、コア部31が幅広く形成した場合であっても、LED61からの発光を非光透過性壁部90によって漏れることなくコア部31に導くことができる。
【0046】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
本発明の実施形態では、モール部材本体部10は、車外側側壁11、上部壁13と車内側側壁12は、ポリプロピレンを使用したが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ソリッドゴム若しくはポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂などを使用することができる。
【0048】
一方、第1ガラスシールリップ20と、第2ガラスシールリップ21と、車外側シールリップ14は、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を使用したが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、軟質ゴム(EPDM、クロロプレンゴム等)を使用することができる。
【0049】
導光部30からの車外側への光の放射量を増加させるために、導光部30の車外側側壁11から露出する部分以外の車外側側壁11と導光部30のクラッド部32との間に、例えば、アルミニウム等のフィルムによる光反射部材を挿入してもよい。
【0050】
導光部30から車外側に放射される光の均一性を増加させるために、導光部30のコア部31内またはクラッド部32内に光散乱部材を加えてもよく、若しくは、コア部31またはクラッド部32の表面に微細な凹凸を形成してもよい。また、この場合は、カバー部40を省いてもよいし、併用してもよい。
【0051】
さらに、光散乱部材を加えて用いる代わりに、結晶性を有し、半透明である樹脂(例えば、ポリプロピレン)を使用することにより、樹脂中の結晶成分を光散乱部材として機能させてもよい。また、この場合、光散乱部材の添加も併用して、光散乱の度合いを調整してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ドア
2 ドアパネル
3 ドアガラス
4 ベルトラインモール
10 モール部材本体部
11 車外側側壁
12 車内側側壁
13 上部壁
14 車外側シールリップ
15 車外側保持リップ
16 車外側側壁係止リップ
17 車内側第1突条
18 車内側第2突条
20 第1ガラスシールリップ
21 第2ガラスシールリップ
30 導光部
31 コア部
32 クラッド部
33 突部
40 カバー部
50 エンドキャップ部
60 光源部
61 LED
62 LED実装基板
70 キャップ部
80 光学部材
81 凸レンズ部
90 非光透過性壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6