(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】伸縮自在な遮断装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20221110BHJP
B61L 29/04 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
E01F13/04 A
B61L29/04 Z
(21)【出願番号】P 2021133015
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020209711
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126779
【氏名又は名称】株式会社アドビック
(73)【特許権者】
【識別番号】520499340
【氏名又は名称】谷倉 泉
(73)【特許権者】
【識別番号】520499351
【氏名又は名称】榎園 正義
(72)【発明者】
【氏名】樫尾 信祐
(72)【発明者】
【氏名】谷倉 泉
(72)【発明者】
【氏名】榎園 正義
(72)【発明者】
【氏名】武田 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】常次 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小柴 賢太郎
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-173530(JP,A)
【文献】特開平10-129488(JP,A)
【文献】特開2018-116667(JP,A)
【文献】特開2001-140229(JP,A)
【文献】特開2014-074322(JP,A)
【文献】特開平11-301484(JP,A)
【文献】特開平11-050422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/04
B61L 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を封鎖するための遮断装置であって、
基台に支持され一側壁に水平方向に開放する開口が備えられている箱体と、
当該箱体の他側内壁側に装着され送風するためのブロアと、
前記箱体の内部に、前記ブロアの排気口を包囲するように装着された伸縮自在な袋状の遮断器と、
前記開口に設けられ、当該開口を開閉する扉と、
前記扉に関連付けて設けられ、前記扉を閉鎖状態で固定し施錠する施錠装置と、
が備えられ、
前記ブロアを作動させて前記遮断器内に空気が供給されることに関連付けられ、前記施錠装置が解錠され、前記ブロアからの風圧によって前記遮断器内部の空気圧が上昇しその圧力によって前記扉が開放され、続いて前記遮断器が前記開口から実質的に水平方向に伸延して緊張状態を維持しつつ前記通路を封鎖状態とし、前記ブロアの作動を停止させることにより、前記遮断器内部の空気圧が低下して緊張状態が緩和され封鎖状態が解除されるように構成されていることを特徴とする伸縮自在な遮断装置。
【請求項12】
前記施錠装置は、通電により動作をするソレノイドと、当該ソレノイドに対して選択的に磁着する前記扉とにより構成され、前記ソレノイドへの通電が解除されることにより前記扉が磁着されて当該扉は当該箱体に閉成された状態で固定され、前記ソレノイドへ通電されることによって磁着状態が解除される請求項1記載の伸縮自在な遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路などの通路を一時的に且つ自動的に封鎖するためのもので、道路脇から水平方向に当該道路を遮断する方向に伸延する袋状の軟質の遮断器が使用され、前記道路を封鎖する際には前記遮断器が自動的に伸延する伸縮自在な遮断装置に関するものであって、前記遮断器が収納されている箱体に扉が装着され、当該扉は前記遮断器の不使用時には施錠装置によって施錠されているものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遮断装置としては列車の踏切に設置されているものや、有料道路の料金所に設置されているものが周知である。
【0003】
また、遮断装置ではないが伸縮自在な注意喚起装置も知られている。
【0004】
土砂崩れなどの自然災害によって道路が破損し、また立体交差で掘り下げ式になっている下の道路(以下、「アンダーパス」と称する。)が集中豪雨などによって冠水した場合に、通行が不可能もしくは危険となる状態になり、前記道路の破損位置やアンダーパスの手前で自動車等の通行を遮断する必要が生じる。
【0005】
道路の破損位置やアンダーパスの手前で自動車等の通行を遮断する必要が生じた場合、現場に作業者を派遣して人為的に前記遮断作業を行うことになる。
【先行技術文献】
【0006】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように従来の遮断装置では、必要なときに必要な場所に設置することは出来なかったが、一時的または定期的に適宜開閉できる遮断装置として特許文献1に記載の伸縮自在の遮断装置が提案されている。
【0009】
しかし、この装置では遮断器が収納されている箱体には扉が装着されておらず、意図しない場合即ち収納されている遮断器の不使用時にも箱体から外部に飛び出し、不必要時に遮断器が通路の一部を遮断する虞がった。
【0010】
特許文献2に記載の伸縮自在の遮断装置では、箱体の開口に小型モータに接続された開閉自在な一対の扉が装着されており、当該扉を自動で開閉できるように構成されている。
【0011】
しかしながら、前記扉は箱体に対して施錠されておらず、外部からの風圧などによって扉が開放し、この場合にも、収納されている遮断器が箱体から外部に飛び出し、不必要時に遮断器が通路の一部を遮断する虞がった。
【0012】
本発明は係る従来装置の課題に鑑み、遮断器が収納されている箱体に扉が装着され、当該扉は前記遮断器の不使用時に施錠装置によって施錠されていることによって、不本意に前記遮断器が外部に飛び出すことを防止せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1) 本発明は、通路を封鎖するための遮断装置であって、基台に支持され一側壁に水平方向に開放する開口が備えられている箱体と、当該箱体の他側内壁側に装着され送風するためのブロアと、前記箱体の内部に、前記ブロアの排気口を包囲するように装着された伸縮自在な袋状の遮断器と、前記開口に設けられ、当該開口を開閉する扉と、前記扉に関連付けて設けられ、前記扉を閉鎖状態で固定し施錠する施錠装置と、が備えられ、
前記ブロアを作動させて前記遮断器内に空気が供給されることに関連付けられ、前記施錠装置が解錠され、前記ブロアからの風圧によって前記遮断器内部の空気圧が上昇しその圧力によって前記扉が開放され、続いて前記遮断器が前記開口から実質的に水平方向に伸延して緊張状態を維持しつつ前記通路を封鎖状態とし、前記ブロアの作動を停止させることにより、前記遮断器内部の空気圧が低下して緊張状態が緩和され封鎖状態が解除されるように構成されていることを特徴とする伸縮自在な遮断装置。
【0014】
本発明では、前記ブロアを作動させて前記遮断器内に空気が供給されることに関連付けられ、前記施錠装置が解錠され、前記ブロアからの風圧によって前記遮断器内部の空気圧が上昇しその圧力によって前記扉が開放されるので、前記遮断器が膨張する前もしくは膨張すると同時に解錠され、前記箱体に収納されている遮断器は内部の空気圧によって前記扉を押し開けるので、水平方向にスムーズに伸延することが可能となる。
一方、前記遮断器の前記箱体への収納時には、前記施錠装置によって前記扉は前記開口を閉成され施錠されているので、不必要時に扉が開放し前記遮断器が外部に飛び出すことはない。
【0015】
(2)前記ブロアによって、前記遮断器内に空気が供給されると同時に前記施錠装置が解錠されることが望ましいが、遮断器内に空気が供給されるよりも以前に、前記施錠装置が解錠されていてもよい。
施錠装置の解錠のタイミングは、前記遮断器内に空気が供給された後でなければ、遮断器の水平方向への伸延を邪魔することがない。
【0016】
(3)前記施錠装置は前記扉か前記箱体に装着されていることが望ましい。
元々施錠装置が装着されていない伸縮自在な遮断装置に、後付けで施錠装置を装着する場合は扉への方が装着しやすいが、当初から施錠装置を装着する場合には箱体に装着してもよい。
【0017】
(4)前記施錠装置は、常時施錠状態にあり前記扉が開放動作をする時間を含む一定時間だけ解錠状態を保持し、その後施錠状態に戻るように構成することが望ましい。
施錠装置が例えばソレノイドで動作するものであり、当該ソレノイドに通電しない場合に施錠状態にしておき、通電時に解錠するように構成しておけば、一定時間だけ通電すれば足り、常時通電する必要はない。
【0018】
(5)前記箱体の外部には回転灯が装着され、当該回転灯は、前記施錠装置が解錠状態にある時間と同時間だけ回転動作を行うことが望ましい。
回転灯が、施錠装置が解錠状態にある時間と同時間だけ回転動作を行うと、回転灯の回転動作を視認した者は前記遮断器が水平方向に伸延することが予測でき、自身の行動指針を知ることができる。
【0019】
(6)前記箱体内には、前記遮断器内を照明する発光球が装着され、前記ブロアの動作時間と同時間だけ発光することが望ましい。
前記伸延した遮断器内を発光球で照明すると夜間でも、前記遮断器を視認でき安全性が向上する。
【0020】
(7)前記施錠装置は、通電により動作をするソレノイドと、当該ソレノイドに対して挿抜動作をして前記扉と前記箱体を係合もしくは解除する作動桿と、当該作動桿をソレノイドから離間する方向に付勢する発条と、前記作動桿の動作方向と交差する方向に延出するガイドピンと、前記ガイドピンが挿入されて当該ガイドピンを案内する長孔が設けられた支持板とよりなり、前記ソレノイドに通電すると前記作動桿が前記発条の付勢力に抗して前記ソレノイド側に引っ張られて解錠状態になり、通電を停止すると前記作動桿は前記発条の付勢力によってソレノイドから離間して施錠状態になるように構成されていることが望ましい。
前記ソレノイドに通電すると前記作動桿が前記発条の付勢力に抗して前記ソレノイド側に引っ張られて解錠状態になり、通電を停止すると前記作動桿は前記発条の付勢力によってソレノイドから離間して施錠状態になるように構成されており、解錠状態の時間だけソレノイドに通電すれば済むので通電時間を少なくすることができ、電力量を抑制することができると共にソレノイドの寿命を延ばすことができる。
【0021】
(8)前記支持板には、レバーが固着された筒体が揺動可能に装着され、当該筒体には当該筒体に挿入して回転させるための鍵穴が形成されており、当該鍵穴に鍵を差し込み回転させることによって前記レバーが前記ガイドピンと当接して当該ガイドピンを前記発条の付勢力に抗して前記ソレノイド側に押し上げて解錠状態になるように構成することが望ましい。
前記鍵穴に鍵を差し込み回転させることによって前記レバーが前記ガイドピンと当接して当該ガイドピンを前記発条の付勢力に抗して前記ソレノイド側に押し上げて解錠状態になるので、ソレノイドへ通電しなくとも、鍵によって手動で解錠状態にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、前記ブロアを作動させて前記遮断器内に空気が供給されることに関連付けられ、前記施錠装置が解錠され、前記ブロアからの風圧によって前記遮断器内部の空気圧が上昇しその圧力によって前記扉が開放されるので、前記遮断器が膨張する前もしくは膨張すると同時に解錠され、前記箱体に収納されている遮断器は内部の空気圧によって前記扉を押し開けるので、水平方向にスムーズに伸延することが可能となる。
一方、前記遮断器の前記箱体への収納時には、前記施錠装置によって前記扉は前記開口を閉成され施錠されているので、不必要時に扉が開放し前記遮断器が外部に飛び出すことはない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】 本発明の一実施の形態の扉が閉成された状態の正面図である。
【
図2】 本発明の一実施の形態の扉が開放された状態の正面図である。
【
図3】 本発明の一実施の形態の施錠装置の一部分解斜視図である。
【
図4】 本発明の一実施の形態の遮断器が伸延した状態の断面図である。
【
図5】 本発明の一実施の形態の遮断器が伸延した状態の側面図である。
【
図6】 本発明の一実施の形態のソレノイド等の動作タイミングを示すタイムチャーである。
【
図7】 本発明の一実施の形態の電気回路の機能の概要を示すブロック図である。
【
図8】 本発明の他の実施の形態の扉が閉成された状態の正面図である。
【
図9】 本発明の他の実施の形態の扉が開放された状態の正面図である。
【
図10】 本発明の他の実施の形態の施錠装置の部分解斜視図である。
【
図11】 本発明の他の実施の形態のソレノイド等の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【
図12】 本発明の他の実施の形態の電気回路の機能の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態を説明する。
先ず全体の概要について説明する。
図4において、1は基台6の上端に固定され矩形の箱体で、右側面に開口2が開設されており、左側内壁に外気を内部に取り込むブロア3が装着されると共に、左側内壁に当該ブロア3に吸気孔に対応する部位に円形の通風孔9が開設されている。
【0025】
箱体1の内部には前記ブロア3の排気口を包囲するように伸縮自在な半透明で若干通気性のある袋状の遮断器4が装着されており、前記ブロア3を作動させて前記遮断器4内に空気が供給されると(
図4矢印参照)、前記遮断器4の内部の空気圧が上昇して、前記箱体1の開口2から実質的に水平方向に伸延し緊張態様を維持して道路等の通路5を封鎖状態にする(
図5参照)。
なお、前記遮断器4が緊張態様に達したのちは、前記ブロア3から空気が供給されて続けても、供給された空気は当該遮断器4の通気性部分から外方に吐出され、ブロア3からの空気の供給量と遮断器4からの空気の漏れ量がバランスして、前記遮断器4は緊張態様を維持し空気圧によって破裂しない構造となっている。
【0026】
前記遮断器4の伸延状態の水平方向の長さは5mで、円筒形の外径が50cmであり先端部は多少尖っている。また下縁部には複数の水切片7が付着されている。
前記遮断器4はポリエステル製で厚さは0.5mmである。
また、前記基台6の下端には当該基台6を地上に固定するための三角形上の補助板10が固着され、基台6の上下方向に中ほどには制御盤ボックス11が装着され、前記箱体1の上部には赤色回転灯12が搭載されている。
【0027】
次いで、前記ブロア3の作動を停止させると、前記遮断器4の内部の空気圧が低下して緊張態様が緩和される。
従って、アンダーパスが危険な水深になるほど冠水したり、災害などが発生し、所定の位置の通路5の通行を遮断する必要が生じた場合には、ブロア3を作動させて遮断器4内に空気を供給すると、前記遮断器4の内部の空気圧が上昇して前記箱体の開口から実質的に水平方向に伸延して緊張態様を維持し通路5を封鎖する状態となる。
【0028】
また、通路の封鎖が不要になった際には、前述のように前記ブロア3の作動を停止させると、前記遮断機4内部の空気圧が低下して緊張態様が緩和されて封鎖状態が解除され、通路5の封鎖状態が解除されることになる。
【0029】
次に
図1ないし
図3に従い、箱体1の開口2に装着された扉13A、13Bおよび施錠装置14について説明する。
正面図で右側の扉13Aおよび左側の扉13Bは夫々鉛直基端縁で箱体1にヒンジ15によって水平方向に揺動自在に装着されており、扉13Aの内側の下端には施錠装置14が装着されている。
なお、
図1において、右側の扉13Aおよび左側の扉13Bは端縁部同士が若干重なり右側の扉13Aの端縁部が左側の扉13Bの端縁部が手前側にきており、右側の扉13Aが開放しない限り、左側の扉13Bの開放しない構造となっている。
【0030】
前記施錠装置14は、電線16に接続され、通電により動作をするソレノイド17と、当該ソレノイド17の下端に上下動自在に装着され、ソレノイド17への通電によって上方に引き上げられる作動桿18が装着されている。また、前記作動桿18の所定の箇所に水平方向に延出するガイドピン19が植設されている。そして前記ソレノイド17の下端と当該ガイドピン19との間には、前記作動桿18を下方向に付勢するためのコイルスプリング20が、前記作動桿18の外周に巻回されている。なお、前記作動桿18の下端部は斜めにカットされている。
【0031】
前記箱体1の底面部の、右側の扉13Aが閉成された状態で前記作動桿18の真下に対応する部位には、当該作動桿18が挿入され得る係合孔21が開設されている
前記ソレノイド17は鉛直方向に平面を有する支持板22に固定され、当該支持板22は前記右側の扉13Aの裏面に固定されている。
前記支持板22には、前記作動桿18に植設されたガイドピン19が挿通され内部を摺動する長孔23が穿設されている。
従って、ソレノイド17への通電の入切に従って作動桿18が上下動するに伴い前記ガイドピン19も前記長孔23内を上下方向に摺動することになる。
そして、前記ソレノイド17に通電すると、前記作動桿18が前記コイルスプリング20の付勢力に抗して前記ソレノイド17側に引っ張られて、当該作動桿18の下端部が前記箱体1の底面部の係合孔21から上方に抜けて解錠状態となる。
また、通電を停止すると前記作動桿18は前記コイルスプリング2の付勢力によってソレノイド17から離間して施錠状態になる
【0032】
前記支持板22には、レバー24が固着された筒体25が揺動可能に装着され、当該筒体25には当該筒体25に挿入して前記レバー24を回転させるための鍵穴26が形成されている。前記鍵穴26に鍵27を差し込み回転させることによって前記レバーが前記ガイドピン19と当接して当該ガイドピン19を前記発条の付勢力に抗して前記ソレノイド側に上方に押し上げることになる。
なお、右側の扉13Aの前記鍵穴26に対応する部分には開口28が開設され、当該右側の扉13Aが閉成されていても、当該開口28を通して外部から鍵27を鍵穴26挿入することができる。
従って、ソレノイド17への通電を停止していても、前記鍵穴26に鍵27を差し込み回転させることにより解錠状態とすることができる。
【0033】
次に、
図6および
図7に従い、前記回転灯12、ソレノイド17、ブロア3および発光球8の動作について説明する。
図7は電気回路の機能の概要を示すブロック図であり、電源29は交流電源もしくはバッテリにて形成され、スイッチ30を介して、直接ブロア3および発光球8に接続されており、前記回転灯12およびソレノイド17はタイマー31を介して前記スイッチ30に接続されている。これらの回路は前記制御盤ボックス11に収納されている。
而して、前記遮断器4が箱体1に収納され、左右の扉13A、13Bが閉成されている状態(
図1参照)で、スイッチ30をオンにするとブロア3が送風を開始し、同時に発光球8も点灯する。
【0034】
また同時に、回転灯12も動作を開始すると共にソレノイド17にも通電され、前記施錠装置14が解錠され、前記遮断器4が膨張を開始して、左右の扉13A、13Bは開放され、当該遮断器4は水平方向に膨出を開始する。
この際、前記ソレノイド17と回転灯12には前記タイマー31によって60秒間だけ通電されるように構成され、その間に左右の扉13A、13Bは開放されるので、その後施錠状態になっても、ソレノイド17の作動桿18が下方に下がっているだけで問題はない。なお、遮断器4が膨張を開始してから緊張態様になるまで概ね30秒である。
【0035】
従って、
図6から明らかなように、前記ブロア3が動作すると同時に発光球8と回転灯12が発光し、前記施錠装置14が解錠され、30秒後には前記遮断器4が緊張態様となり、更に30秒後に回転灯12が停止すると共に、前記施錠装置14のソレノイド17への通電が停止され、前記作動桿18は重力と前記コイルスプリング20付勢力によって降下する。
前記タイマー31の時間設定は60秒でなくともそれ以下でもそれ以上でもよい、またブロア3と発光球8は遮断器4を緊張態様に持続させるのに必要な時間、即ち通路などを遮断しておく時間(X時間)動作させればよい。
遮断器4を箱体1に収納するときは、前記鍵27もしくは指先で前記作動桿18をコイルスプリング20の付勢に抗して上方に押し上げれば済む。
【0036】
次に
図8ないし
図12に従い本発明の第2の実施の形態を説明する。
これらの図において、前記一実施の形態と同一部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図8ないし
図10において、箱体1の内側天井面の前記右扉13Aに対応する側に、4個のねじ孔33が開設された断面L字状の保持板32が、ねじ(図示せず)にて固設されている。保持板32の鉛直面にはソレノイド34が固着されており、その磁着部(磁力による吸着部)35は前記右扉13Aの裏側に選択的に磁着するように構成されている。
【0037】
なお、前記右扉13A自体が鉄などの磁性体で形成されているときは、当該右扉13Aはソレノイド34の磁着部35に直接磁着されるが、右扉13Aがアルミニウムなどの非磁性体で形成されているときは、当該右扉13Aの内側の前記着磁部35に対応する部位に鉄片などの磁性部材を固着しておくとよい。
前記ソレノイド34は通電されると磁界が発生し、通電状態で右扉13Aを閉成すると
図8に示すようにそのまま前記開口2に固定されることになる。
【0038】
次に、
図11および
図12に従い、前記回転灯12、ソレノイド34、ブロア3および発光球8の動作について説明する。
図12は電気回路の機能の概要を示すブロック図であり、電源29は交流電源もしくはバッテリにて形成されメインスイッチ35に接続されている。また前記メインスイッチ35には直接ブロア3および発光球8が接続されており、またタイマー31を介して回転灯12に接続されている。
また電源29にはソレノイドスイッチ36を介して前記ソレノイド34が接続され、メインスイッチ35はソレノイドスイッチ36にも接続されており、メインスイッチ35とソレノイドスイッチ36はオアの関係、即ちどちらかのスイッチ35、36が択一的に導通するように制御される。これらの回路は前記制御盤ボックス11に収納されている。
【0039】
而して、前記遮断機4が箱体1に収納されている状態ではソレノイドスイッチ36はオン状態になり、その間前記ソレノイド34は磁界を発生させ、前記左右の扉13A、13Bが閉成され前記開口2に固定され続けることになる。
そして、前記遮断器4を動作させる必要が生じた時点(T1)において、作業者などがメインスイッチ35をオンにすれば同時にソレノイドスイッチ36がオフとなり、前記ソレノイド34への通電が遮断され施錠装置14が開錠される。またメインスイッチ35をオンにすれば前記施錠装置14が開錠される同時に、前記ブロア3が動作して前記遮断器4内に空気を供給するとともに、発行球8が発光し、一定時間t(遮断器4が伸長を完了するまでの時間)だけ回転灯12が回転する。
【0040】
さらに、遮断器4を収納する時点(T2)においては、作業者等がメインスイッチ35メインをオフにすれば、前記ブロア3が動作を停止して発行球8が消灯すると共にソレノイドスイッチ36がオンとされ、前記ソレノイド34へ通電され磁界が発生する。
そして、作業者等が前記遮断器4を収縮させて前記箱体1に収納し、左右の扉13A、13Bを閉成すると、前述と同様に前記施錠装置14によって施錠されることになる。
【0041】
なお、ソレノイドスイッチには、通電されていない状態で磁界が発生し、通電されると磁界が停止するものがあり、かかるソレノイドを利用すると、前記ソレノイド34の動作とは逆になる。即ち、前記ソレノイドへの通電がされていない間は、磁界が発生しており扉13A、13Bが磁着され開口2に固定されることになる。
一方、前記ソレノイドへ通電されると磁界が解除され、扉13A、13Bが開口2から離間し得ることになる。
【符号の説明】
【0042】
1 箱体、2 開口、3 ブロア、4 遮断器、5 通路(道路)、6 基台、7 水切片、8 発光器、9 通風孔、10 補助板、11 制御盤ボックス、12 赤色回転灯、13A 右扉、13B 左扉、14 施錠装置、15 ヒンジ、16 電線、17 ソレノイド、18 作動桿、19 ガイドピン、20 コイルスプリング、23 長孔、24 レバー 25 筒体、26 鍵穴、27 鍵、28 開口、29 電源、30 スイッチ、31 タイマー、32 保持板、33 ねじ孔、34 ソレノイド、35 メインスイッチ、36 ソレノイドスイッチ。