(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】水耕栽培装置、水耕栽培システム、及び植物の栽培収穫方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/04 20060101AFI20221110BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20221110BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20221110BHJP
【FI】
A01G31/04 B
A01G9/00 C
A01G9/02 B
(21)【出願番号】P 2018083046
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】594095936
【氏名又は名称】藤澤建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 英治
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 久文
(72)【発明者】
【氏名】大西 登
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198003(JP,A)
【文献】特開2015-053888(JP,A)
【文献】実開昭58-178860(JP,U)
【文献】特開2017-029144(JP,A)
【文献】特開2001-095404(JP,A)
【文献】特開昭62-126919(JP,A)
【文献】特開2016-093170(JP,A)
【文献】特開2005-034037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0237386(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/08
A01G 31/00 - 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培棚と、
前記栽培棚に設置され、液肥が溜められる栽培槽と、
前記栽培槽に載せられ、栽培対象の植物をその根が下に位置する姿勢で保持する栽培パネルと、
前記栽培パネルを、下位置と上位置を含む範囲内で上下動させるリフト機構と、を備え、
前記下位置は、前記植物の前記根を、前記液肥に浸す位置であり、
前記上位置は、前記根を前記液肥から上方に離間させる水切り用の位置であり、
前記リフト機構は、前記栽培棚に設置されて
おり、
前記栽培槽には、複数の前記栽培パネルが、平面視において所定方向に沿って並べられ、
前記リフト機構は、前記所定方向に並んだ複数の前記栽培パネルのうち、前記所定方向の端に位置する栽培パネルのみを、0.5時間から3時間の範囲内の時間だけ、前記上位置に保持するように構成されている
ことを特徴とする水耕栽培装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水耕栽培装置と、
前記リフト機構とは別に設けられ、前記リフト機構で持ち上げられた前記栽培パネルを、前記水耕栽培装置から離れた箇所に自動搬送する自動搬送装置と、を備える
ことを特徴とする水耕栽培システム。
【請求項3】
請求項1に記載の水耕栽培装置を用いて植物を栽培及び収穫する方法であって、
前記下位置にある前記栽培パネルで前記植物を栽培する栽培工程と、
0.5時間から3時間の範囲内の水切り用の所定時間だけ、前記リフト機構によって前記栽培パネルを前記上位置で保持する水切り工程と、
前記所定時間の経過後に、水切りが完了した前記植物を前記栽培パネルごと収穫する収穫工程と、を備える
ことを特徴とする植物の栽培収穫方法。
【請求項4】
請求項2に記載の水耕栽培システムを用いて植物を栽培及び収穫する方法であって、
前記下位置にある前記栽培パネルで前記植物を栽培する栽培工程と、
0.5時間から3時間の範囲内の水切り用の所定時間だけ、前記リフト機構によって前記栽培パネルを前記上位置で保持する水切り工程と、
前記所定時間の経過後に、水切りが完了した前記植物を、前記栽培パネルごと前記リフト機構とは別の前記自動搬送装置で収穫する収穫工程と、を備える
ことを特徴とする植物の栽培収穫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培装置、水耕栽培システム、リフト機構及び植物の栽培収穫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜等の植物を水耕栽培することのできる水耕栽培装置が、従来知られている。
【0003】
特許文献1に記載された水耕栽培装置は、液肥(培養液)が溜められた栽培槽(循環槽)と、液肥に浮かぶように栽培槽に載せられた栽培パネルを備える。この水耕栽培装置では、根付きの植物を栽培パネルに保持させた状態で、該植物を、培養液に根を浸して栽培する。
【0004】
一定時間だけ栽培された植物は、栽培パネルから取り出して収穫される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の水耕栽培装置では、水耕栽培された植物を収穫する際に、水切り作業に労力を要していた。というのも、水耕栽培中は植物の根が液肥に浸されており、植物を栽培槽から取り出した直後の段階では、植物の根の部分に液肥が付着している。植物の根に液肥が付着したまま収穫作業を行うと、液肥が周囲に飛び散って床等を濡らすだけでなく、周囲の植物の根以外の部分(たとえば野菜の食用部分)に液肥が付着し、これを原因として菌が繁殖するおそれがある。
【0007】
そのため、水耕栽培された植物を収穫するときには、十分な水切り作業を行う必要があるが、この作業は、作業者にとっては非常に労力を要する作業である。
【0008】
本発明は、水耕栽培での収穫の際に、労力を要することなく水切り作業を十分に行うことを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一様態に係る水耕栽培装置は、液肥が溜められる栽培槽と、前記栽培槽に載せられ、栽培対象の植物をその根が下に位置する姿勢で保持する栽培パネルと、前記栽培パネルを、下位置と上位置を含む範囲内で上下動させるリフト機構と、を備える。前記下位置は、前記植物の前記根を、前記液肥に浸す位置であり、前記上位置は、前記根を前記液肥から上方に離間させる水切り用の位置である。
【0010】
一様態に係る水耕栽培システムは、前記水耕栽培装置と、前記リフト機構で持ち上げられた前記栽培パネルを、前記水耕栽培装置から離れた箇所に自動搬送する自動搬送装置と、を備える。
【0011】
一様態に係るリフト機構は、水耕栽培装置に設置されるリフト機構であって、前記水耕栽培装置に載置される栽培パネルを、下位置と上位置を含む範囲内で上下動させるように構成されている。前記下位置は、水耕栽培用に設定された位置であり、前記上位置は、水切り用に設定された位置である。
【0012】
一様態に係る水耕栽培方法は、前記水耕栽培装置を用いて植物を栽培及び収穫する方法であって、前記下位置にある前記栽培パネルで前記植物を栽培する栽培工程と、水切り用の所定時間だけ前記栽培パネルを前記上位置で保持する水切り工程と、前記所定時間の経過後に、水切りが完了した前記植物を前記栽培パネルごと収穫する収穫工程と、を備える。
【0013】
別様態に係る水耕栽培方法は、前記水耕栽培システムを用いて植物を栽培及び収穫する方法であって、前記下位置にある前記栽培パネルで前記植物を栽培する栽培工程と、水切り用の所定時間だけ前記栽培パネルを前記上位置で保持する水切り工程と、前記所定時間の経過後に、水切りが完了した前記植物を、前記栽培パネルごと前記自動搬送装置で収穫する収穫工程と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、水耕栽培での収穫の際に、労力を要することなく水切り作業を十分に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態の水耕栽培装置を示す側面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の水耕栽培システムが構成された植物工場を示す破断斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の水耕栽培システムが備える自動搬送装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の水耕栽培システムを示すブロック図である。
【
図7】
図7Aは、同上の水耕栽培装置の変形例の要部を示す断面図であり、
図7Bは、
図7Aに示す部分の水切り時を示す断面図である。
【
図8】
図8は、同上の水耕栽培装置の変形例の要部を示す側面図である。
【
図9】
図9Aは、同上の水耕栽培装置の変形例の要部を示す断面図であり、
図9Bは、
図9Aに示す部分の水切り時を示す断面図である。
【
図10】
図10は、同上の変形例で用いられる枠部材を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の枠部材を持ち上げる駆動機構の一例を示す概略側面図である。
【
図12】
図12は、同上の駆動機構の別例を示す概略側面図である。
【
図13】
図13は、同上の水耕栽培装置の別の変形例の要部を一部破断して示す側面図である。
【
図15】
図15は、同上の要部の水切り時を一部破断して示す側面図である。
【
図16】
図16は、同上の別の変形例が備える駆動機構の一例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(水耕栽培装置)
一実施形態の水耕栽培装置7について、
図1から
図3Bに基づいて、以下に説明する。
【0017】
水耕栽培装置7は、
図1に示すように、栽培棚1と、栽培棚1に設置される複数の栽培槽2を備える。
【0018】
栽培棚1は、上下に複数段(一実施形態では五段)設けられた棚板12と、これら複数段の棚板12を支持する複数の支柱14を備える。棚板12と支柱14の数は、適宜に設定可能である。栽培棚1は、平面視において所定方向D1に長く形成されている。
【0019】
栽培槽2は、複数段の棚板12のうち、最も上の棚板12aを除いた少なくとも一つの棚板12(一実施形態では四つの棚板12の全て)の上面に、支持されている。
【0020】
栽培槽2は、栽培用の液肥20(培養液)が溜められるように構成されている。液肥20は、水耕栽培に必要な養分が配合された液体であり、栽培対象の植物6に応じて適宜のものが選択される。栽培槽2は、平面視において所定方向D1に長く形成されている。
【0021】
一実施形態の水耕栽培装置7では、栽培槽2の形式として複列液路の形式を採用しており、栽培槽2は二列の液路25を有する(
図3A、
図3B参照)。二列の液路25は、それぞれ所定方向D1に長く形成されており、かつ、上方に開口している。二列の液路25は、平面視において所定方向D1と直交する方向(以下、この方向を「幅方向D2」という。)に並んで位置する。
【0022】
水耕栽培装置7は、液循環装置51、栽培パネル3及び光照射部53を、更に備えている。
【0023】
図1に示すように、液循環装置51は、液肥20が溜められる液肥タンク511と、各段の栽培槽2と液肥タンク511を接続させる第一管路513と、液肥タンク511内の液肥20を第一管路513に供給するポンプ515と、各段の栽培槽2に設けられた図示略のオーバーフロー管を液肥タンク511に接続させる第二管路517を備える。
【0024】
栽培槽2に溜められる液肥20の液面200(
図3A等参照)は、各液路25に設置されたオーバーフロー管によって、所定の高さに保持される。
【0025】
栽培パネル3は、栽培対象である植物6を、その植物6の根62が下方に突出する姿勢で保持する機能を有する。一実施形態の水耕栽培装置7において、栽培対象となる植物6は、根62を有する野菜(より詳細にはレタス等の葉野菜)である。栽培パネル3は、植物6の食用部分である葉及び茎の部分が上方に突出するように、植物6を保持する。
【0026】
一実施形態の水耕栽培装置7において、栽培パネル3は、複数の植物6を水平方向に互いに距離をあけて保持する(
図2等参照)。栽培パネル3は、所定方向D1に二列、幅方向D2に四列で並ぶように、都合八つの植物6をマトリクス状に保持する。
【0027】
栽培パネル3は、二列の液路25の開口の一部を覆うようにして設置される。栽培パネル3は、たとえば発泡樹脂材料を用いて形成されている。栽培パネル3は、幅方向D2に長い平面視矩形状の上板31と、上板31の下面に接合された二つの椀状の底板33を有する。上板31とこれに接合される二つの底板33は、発泡樹脂材料を用いた真空成形の手法で成形することができる。
【0028】
上板31とこれの下方に位置する二つの底板33には、それぞれ複数の貫通孔が形成されている。上板31には八つの貫通孔が形成され、二つの底板33には、それぞれ四つの貫通孔が形成されている。上板31の一つの貫通孔とこれに対応する底板33の一つの貫通孔で、一つの植物6を保持する保持部が構成される。栽培パネル3には、水平方向に互いに距離をあけて複数(八つ)の保持部が形成されている。
【0029】
各段の栽培槽2には、所定方向D1に沿って一列に並ぶように複数(多数)の栽培パネル3が載置される。この状態で、二列の液路25の開口の大部分は、複数の栽培パネル3により覆われる。
【0030】
栽培パネル3は、液肥20の液面200に浮くように構成されている。
図3Aに示すように、栽培パネル3は、栽培槽2に載置されたときに、栽培パネル3が有する二つの底板33が、二列の液路25に溜められた液肥20の液面200にそれぞれ浮くように構成されている。栽培パネル3が液面200に浮いた状態で、栽培パネル3に保持される八つの植物6の根62は、それぞれ液肥20に浸される。
【0031】
光照射部53は、栽培槽2に載せられた各栽培パネル3が保持する複数の植物6に対して、育成用の光を上方から照射する機能を有する(
図1参照)。光照射部53は、所定方向D1に長い図示略の発光体を有する。発光体はたとえば蛍光灯であるが、LED、有機EL等でもよい。
【0032】
光照射部53は、棚板12の下面に取り付けられている。各段の棚板12に設置された栽培槽2の栽培パネル3には、その段よりも一段上の棚板12の下面に取り付けられた光照射部53が、光を照射する。
【0033】
一実施形態の水耕栽培装置7において、栽培棚1には、リフト機構4が更に設置されている。リフト機構4は、収穫直前のタイミングで栽培パネル3を自動的に上昇させ、収穫段階では水切りを完了させておく機能を有する。
【0034】
リフト機構4は、所定方向D1に沿って並んだ複数の栽培パネル3のうち、所定方向D1の一端の栽培パネル3を、所定範囲内で上下動させるように構成されている。この一端の栽培パネル3が、収穫時期の栽培パネル3aである。
【0035】
栽培槽2に載置された複数の栽培パネル3のうち、所定方向D1において収穫時期の栽培パネル3aとは反対側の端に位置する栽培パネル3は、栽培槽2での栽培開始時期の栽培パネル3bである。
【0036】
各栽培パネル3は、液肥20の液面200に浮かんだ状態で(つまり液肥20を介して栽培槽2に載置された状態で)、所定方向D1に沿って移動可能である。収穫時期にある栽培パネル3aを栽培槽2の所定方向D1の一端から取り出した後は、新しい栽培パネル3を、栽培槽2の所定方向D1の反対側の端に載置する。このとき、栽培槽2に載置されている残り全ての栽培パネル3を、所定方向D1の一端側に向けて移動させる。
【0037】
栽培パネル3は液面200に浮かぶので、新しく液面200に浮かべた栽培パネル3を用いて、液面200に浮かんだ残り全ての栽培パネル3を、所定方向D1の一端側に向けて一括して押し込むことが可能である。ここで栽培槽2に載置した新しい栽培パネル3が、栽培開始時期の栽培パネル3bとなる。
【0038】
つまり、一実施形態の水耕栽培装置7では、栽培槽2に載置された栽培パネル3を、所定方向D1の一端側に向けて段階的に送りながら、その栽培パネル3が保持する植物6を水耕栽培することができ、その栽培パネル3が所定方向D1の一端に到達した段階で収穫可能となる。
【0039】
リフト機構4は、栽培棚1の所定方向D1の一端部に設置されている。リフト機構4は、上下に伸縮駆動される複数のシリンダ401と、上下に伸縮自在な複数のガイドポスト402を有する。
【0040】
より詳細には、リフト機構4は、棚板12の上面のうち幅方向D2の両端部分に設置された二つのシリンダ401と、棚板12の上面のうち幅方向D2の中央部分に設置された一つのシリンダ401を有している(
図2参照)。ガイドポスト402は、各シリンダ401を挟んで所定方向D1の両側に位置するように、棚板12の上面の都合六箇所に設置されている。
【0041】
更に、リフト機構4は、三つのシリンダ401の上端部に一対一で連結された三つのテーブル409を有する。各テーブル409のうち所定方向D1の中央部分がシリンダ401の上端部に連結され、所定方向D1において該中央部分を挟む両側の部分が、ガイドポスト402の上端部に連結されている。
【0042】
三つのテーブル409は、栽培時期の栽培パネル3aの上板31の下面の別々の個所に当たり、栽培パネル3aを下方から支持する。
【0043】
三つのテーブル409のうち、幅方向D2の両端に位置する二つのテーブル409が、上板31の幅方向D2の両端部分(つまり上板31のうち二つの底板33よりも幅方向D2の両外側に突出したフランジ状の部分)を、下方から支持する。
【0044】
三つのテーブル409のうち、幅方向D2の中間に位置する一つのテーブル409が、上板31の幅方向D2の中央部分(つまり上板31のうち二つの底板33の間の部分)を、下方から支持する。
【0045】
言い換えると、リフト機構4は、シリンダ式の昇降器41を三か所に備えている。三か所の昇降器41は、すなわち、栽培パネル3aの幅方向D2の両端部を持ち上げるように設けられた二か所の昇降器41と、栽培パネル3aの幅方向D2の中間部分を持ち上げるように設けられた一か所の昇降器41である。
【0046】
シリンダ式の昇降器41は、シリンダ401と、所定方向D1においてシリンダ401を挟む両側に位置する一対のガイドポスト402と、シリンダ401及び一対のガイドポスト402に支持されたテーブル409を有し、シリンダ401の伸縮駆動に伴ってテーブル409が上下動するように構成されている。
【0047】
一実施形態の水耕栽培装置7は、上記構造のリフト機構4を備えるので、シリンダ401を上方に伸長させ、収穫時期の栽培パネル3aを栽培槽2内から上昇させておくことで、収穫の際には植物6の水切りを完了させることができる。
【0048】
リフト機構4による栽培パネル3aの上下動の範囲には、
図3Aに示す下位置P1と、
図3Bに示す上位置P2が含まれる。
【0049】
栽培パネル3aが下位置P1にあるとき、栽培パネル3aが保持する植物6の根62は、液肥20の液面200よりも下方に位置する。下位置P1は、植物6の根62を液肥20に浸すように設けた、栽培工程のための位置である。一実施形態の水耕栽培装置7において、栽培パネル3aの下位置P1は、栽培パネル3aが液面200に浮かんだ位置である。
【0050】
栽培パネル3aが上位置P2にあるとき、栽培パネル3aが保持する植物6の根62は、その全体が液面200の上方に位置する。上位置P2は、根62を含んだ植物6全体を液面200から上方に離間させるように設けた、水切り用の位置である。
【0051】
なお、シリンダ式のリフト機構4は、上記の構成に限定されない。栽培パネル3aを上位置P2に上昇させて安定的に支持することができる限りにおいて、リフト機構4は少なくとも一つのシリンダ401を備えればよい。シリンダ401として空圧式、油圧式、電動式等のいずれの方式のシリンダを用いることも可能である。リフト機構4においてガイドポスト402は必須ではないが、ガイドポスト402を備える場合には、リフト機構4に少なくとも一つのガイドポスト402を備えればよい。
【0052】
また。リフト機構4で一度に持ち上げる栽培パネル3aは一つに限定されず、栽培パネル3aを一度に複数持ち上げることも可能である。
【0053】
(水耕栽培システム)
次に、上記した一実施形態の水耕栽培装置7を用いて構成された水耕栽培システムSについて、
図4、
図5及び
図6に基づいて説明する。
【0054】
水耕栽培システムSは、たとえば
図4に示すような植物工場(野菜工場)において構成される。水耕栽培システムSは、植物工場に設置された複数の水耕栽培装置7と、植物工場に設置された自動搬送装置8と、植物工場の各機器を制御する制御装置9(
図6参照)を備える。
図4では、水耕栽培装置7を簡略に示しており、リフト機構4等の記載は省略している。
【0055】
複数の水耕栽培装置7は、幅方向D2に距離をあけて互いに平行に設置されている。
複数の水耕栽培装置7において、収穫時期の栽培パネル3aは、所定方向D1の同じ側に位置する。複数の水耕栽培装置7のそれぞれに保持される収穫時期の栽培パネル3aは、幅方向D2に並んで位置する。
【0056】
一実施形態の水耕栽培システムSにおいて、自動搬送装置8は、スタッカークレーン80である。スタッカークレーン80は、複数の水耕栽培装置7の各々にある収穫時期の栽培パネル3aを、複数の水耕栽培装置7から離れた所定の箇所にまで自動的に搬送するように、植物工場に設置されている。
【0057】
図5等に示すように、スタッカークレーン80は、植物工場の床面に設置された走行レール81と、走行レール81上を移動自在な矩形枠状のフレーム82と、フレーム82の移動をガイドするように走行レール81の上方に設置されたガイドレール83と、フレーム82内に上下動自在に設置された荷台84と、荷台84に設けられたフォーク装置85と、荷台84を上下動させる昇降装置86と、フレーム82を走行レール81に沿って移動させる走行装置87を備える。
【0058】
スタッカークレーン80は、狙いの水平位置及び上下位置にまで荷台84を移動させたうえで、上位置P2にまで持ち上げられた栽培パネル3aの下にフォーク装置85の爪855を差し込み(
図3B参照)、フォーク装置85で栽培パネル3aを持ち上げて運搬する。
【0059】
一実施形態の水耕栽培システムSでは、スタッカークレーン80が荷台84とフォーク装置85を一つずつ備えているが、荷台84とフォーク装置85の組み合わせをたとえば上下に複数段備えることも可能である。
【0060】
図6に示すように、制御装置9は、水耕栽培装置7とスタッカークレーン80を制御する。制御装置9は、水耕栽培装置7が備える液循環装置51のポンプ515、各段の光照射部53等を制御して、植物の栽培を行う(栽培工程)。このとき、栽培パネル3はいずれも液面200に浮かんだ位置(すなわち下位置P1)にある。
【0061】
加えて、制御装置9は、既定のタイミングに至ったときに、水耕栽培装置7が備える各段のリフト機構4を制御して、収穫時期の栽培パネル3aを上位置P2にまで持ち上げ、その位置で水切り用の所定時間だけ保持させる(水切り工程)。ここでの所定時間は、根62に付着した液肥20の十分な水切りを実現するため、たとえば0.5時間から3時間の範囲内で設定される。所定時間の範囲はこれに限定されず、植物6の種類等の条件に応じて、1時間から2時間の範囲内で設定されてもよいし、0.5時間から2時間の範囲内で設定されてもよいし、或いは1時間から3時間の範囲内で設定されてもよい。
【0062】
次いで、制御装置9は、水切り用の所定時間の経過後に、スタッカークレーン80の走行装置87、昇降装置86、フォーク装置85等を制御し、水切りが完了した植物6を、栽培パネル3aごと自動的に収穫する(収穫工程)。
【0063】
一実施形態の水耕栽培システムSによれば、植物6の水耕栽培を自動的に行うとともに、収穫時期に至った植物6の水切り作業と収穫作業も自動的に行うことができ、しかも、収穫の際に液肥20が飛び散って床等を濡らすことや、周囲の植物6の根62以外の部分に液肥20が付着することは防止される。
【0064】
一実施形態の水耕栽培システムSでは、水耕栽培装置7を複数備えているが、水耕栽培装置7は少なくとも一つ備えていればよい。また、自動搬送装置8はスタッカークレーン80に限定されず、栽培パネル3aを安定的に搬送することができる限りにおいて、他の装置を用いることも可能である。
(変形例)
次に、上記した一実施形態の水耕栽培装置7及び水耕栽培システムSの更なる変形例について説明する。なお、変形例の説明において、既に説明した構成と同様の構成については、詳しい説明を省略する。
【0065】
図7A、
図7Bには、水耕栽培装置7の各段の栽培槽2において、複列液路ではなく単列液路の形式を採用した変形例を示している。
【0066】
この変形例の場合、栽培槽2の液路25は単独で設けられている。これに対応して、栽培パネル3の底板33は単独で設けられている。底板33には、上板31の貫通孔に対応する貫通孔が、八つ形成されている。
【0067】
この変形例において、リフト機構4は、シリンダ式の昇降器41を二か所に備えている。二か所の昇降器41は、すなわち、栽培パネル3aの幅方向D2の両端部を持ち上げるように設けられた二か所の昇降器41である。この変形例におけるリフト機構4は、栽培パネル3aの幅方向D2の中間部分を持ち上げる昇降器41を備えない。
【0068】
図8には、リフト機構4の昇降器41がシリンダ式ではなくジャッキ式である変形例を示している。昇降器41は、棚板12とテーブル409の間に、互いに回転自在となるようにX字状に連結された一対のアーム404,405と、一対のアーム404,405を動作させてテーブル409を昇降させる図示略の駆動部を備える。テーブルリフトのようなリフト機構4を用いた場合も、栽培パネル3aを水切り用の位置(上位置P2)にまで持ち上げることができる。
【0069】
図9から
図11には、液路25内の液肥20に沈めた金属製(たとえばステンレス鋼製)枠部材45と駆動機構46を用いて、栽培パネル3aを持ち上げる変形例を示している。この変形例においても、
図7A、
図7Bに示した変形例と同様、栽培槽2には単列液路の形式が採用され、栽培パネル3の底板33は単独で設けられている。
【0070】
図10に示すように、リフト機構4の一部を構成する枠部材45は、栽培パネル3aを下方から支持するための櫛状の支持枠451と、支持枠451の幅方向D2の両端部から上方に延長された一対のアーム453を有する。
【0071】
図9Aに示すように、通常時において枠部材45は、植物6の根62よりも下方に支持枠451が位置するように、液肥20内に沈められている。この枠部材45を、リフト機構4の一部を構成するレバー式の駆動機構46により持ち上げる(
図11参照)ことで、枠部材45を介して栽培パネル3aを上位置P2にまで上昇させることができる。
【0072】
駆動機構46は、枠部材45のアーム453の上端部に回転自在に連結されるL字状のレバー461と、レバー461を回転自在に支持する支軸462と、レバー461のうちアーム453に連結される側とは反対側の端部を所定方向D1に往復動させるシリンダ式の駆動部463を備える。
【0073】
この変形例では、支持枠451が櫛状であるから、支持枠451のうち櫛歯の間となる部分に、フォーク装置85の爪855を挿し込み(
図9B参照)、そのままフォーク装置85で栽培パネル3aを搬送することが可能である。
【0074】
図12には、
図11とは異なる方式で形成された駆動機構46を示している。この例の駆動機構46は、回転自在に支持された下プーリ465と、下プーリ465の上方で回転自在に支持された上プーリ466と、下プーリ465と上プーリ466の間に掛け渡されたベルト467と、ベルト467の周方向の一部に固定された連結具468と、上プーリ466を回転駆動させる図示略の駆動部を備える。連結具468は、枠部材45のアーム453の上端部に連結される。
【0075】
この例の駆動機構46では、上プーリ466の回転駆動によってベルト467を周方向に移動させ、連結具468を上下動させることによって、枠部材45を昇降させることができる。
【0076】
図13から
図16には、栽培パネル3aの端縁部を掴むことのできる金属製(たとえばステンレス鋼製)の把持部材47と駆動機構48を用いて、栽培パネル3aを持ち上げる変形例を示している。
【0077】
図13等に示すように、把持部材47は、上板471と下板472と中間板473がコ字状に連結したクリップのような構造を有する。上板471と下板472と中間板473で囲まれた溝部分が、栽培パネル3aの端縁部が嵌る溝部分である。
【0078】
把持部材47は、上板471と下板472がある程度は撓むことのできる弾性を有し、上板471と下板472の先端部分は、栽培パネル3aの端縁部を溝部分にガイドすることができるように、互いに離れる方向に(ハ字状に)開いた形状を有する。中間板473からの下板472の突出量は、中間板473からの上板471の突出量よりも大きく設定されている。
【0079】
この例では、コ字状の把持部材47が複数設けられており、具体的には、幅方向D2に並ぶように三つ設けられている(
図14参照)。三つの把持部材47は、連結軸49で一体に結合されている。連結軸49は、幅方向D2に一直線状に伸びる軸体であり、軸受けによって棚板12に対して回転自在に支持される。
【0080】
図16に示すように、駆動機構48は、連結軸49を中心として三つの把持部材47を一体に回転動作させるように構成されている。駆動機構48は、連結軸49に対して第一端部が固定されたアーム481と、アーム481の第二端部に連結されたシリンダ式の駆動部483を備える。アーム481の第一端部と第二端部は、アーム481の長手方向の互いに反対側に位置する。駆動部483として、空圧式、油圧式、電動式等のいずれの方式のシリンダを用いることも可能である。
【0081】
駆動部483は、アーム481の第二端部を所定方向D1に往復動させる。これにより、三つの把持部材47のそれぞれは、
図16に実線で示す第一姿勢と、想像線で示す第二姿勢の間で往復動される。
【0082】
把持部材47の第一姿勢は、上板471と下板472がともに水平となる姿勢である。本文で用いる水平の文言は、厳密な意味での水平に限定されず、ほぼ水平な場合も含む。把持部材47が第一姿勢にあるとき、水平な姿勢で栽培槽2に載置された栽培パネル3aの端縁部が、その姿勢のまま把持部材47の溝部分に挿入される。
【0083】
把持部材47の第二姿勢は、上板471と下板472がともに突先部分を斜め上方に向けた姿勢である。把持部材47が第二姿勢にあるとき、把持部材47に支持された栽培パネル3aは、液肥20の液面200よりも上方に位置するように持ち上げられる。
【0084】
したがって、この例のリフト機構4においては、液面200に浮かんだ複数の栽培パネル3を、所定方向D1の一端側に向けて一括して押し込むと、
図13中の矢印で示すように、最も一端側に位置する収穫時期の栽培パネル3aの端縁部が、三つの把持部材47に嵌め込まれる。
【0085】
次いで、制御装置9からの収穫予定の指令によって、シリンダ式の駆動部483が作動すると、各把持部材47は第一姿勢から第二姿勢に至るまで回転する。これにより、栽培パネル3aは、植物6の根62を液肥20に浸す位置(下位置P1)から、根62を液肥20の上方に離間させる水切り用の位置(上位置P2)にまで、連結軸49を中心に回転する。
【0086】
栽培パネル3aは、十分に水切りを行うために、斜めに傾いた上位置P2で所定時間だけ保持される。ここで、各把持部材47は下板472を長く設けているので、栽培パネル3aは傾いた姿勢で安定的に保持される。
【0087】
上位置P2で十分に水切りされた植物6は、栽培パネル3aごと収穫される。制御装置9は、収穫後に駆動部483を作動させ、各把持部材47を第一姿勢に戻す。次いで、液面200に浮かんでいる複数の栽培パネル3を、所定方向D1の一端側に向けて一括して押し込むと、次の収穫時期の栽培パネル3aの端縁部が、各把持部材47に嵌め込まれる。
【0088】
この例では把持部材47を三つ設けているが、把持部材47の数はこれに限定されず、把持部材47は少なくとも一つであればよい。把持部材47が一つの場合、栽培パネル3aの端縁部の幅方向D2の中央部分を、一つの把持部材47で保持することが好ましい。把持部材47が二つの場合、栽培パネル3aの端縁部の幅方向D2の両端部分を、二つの把持部材47で保持することが好ましい。
【0089】
以上、リフト機構4の各種の変形例について説明したが、リフト機構4を更に別の方式で形成することも可能である。たとえば、液路25の底に傾斜したレールを設置し、液肥20に浮いた栽培パネル3aが所定方向D1の一端に到達したときに、該レールに栽培パネル3aが乗り上がる構造としてもよい。この構造によれば、液肥20に浮いた複数の栽培パネル3を所定方向D1に押し込む力で、収穫時期の栽培パネル3aを水切り用の上位置P2にまで持ち上げることができる。
【0090】
なお、一実施形態の水耕栽培装置7では、栽培パネル3が液肥20の液面200に浮くように設けているが、これに限定されず、栽培パネル3が栽培槽2に載置された状態で、栽培パネル3の底板33が液面200の上方に位置してもよい。
【0091】
また、一実施形態の水耕栽培装置7は、複数の栽培パネル3を所定方向D1に順次送りながら栽培を行うように構成されているが、これに限定されず、たとえば栽培パネル3を一つだけ栽培槽2に載せて栽培及び収穫を行うように構成されてもよい。
【0092】
また、一実施形態の水耕栽培システムSでは、収穫作業は自動搬送装置8を用いて自動的に行われるが、これに限定されず、収穫作業を手作業で行うことも可能である。この場合においても、水切り作業はリフト機構4を用いて自動的にかつ十分に行われるので、作業者の労力は大幅に低減される。
【0093】
また、一実施形態の水耕栽培装置7では、棚板12の所定方向D1の一端側にリフト機構4を設置し、このリフト機構4を、収穫時期の栽培パネル3aの水切り作業に用いているが、たとえば同様のリフト機構4を、棚板12の所定方向D1の一端側とは反対側に設置し、栽培開始時期の栽培パネル3b(育苗された段階の植物6を保持する栽培パネル3b)を栽培槽2に投入する作業に用いることも可能である。
【0094】
この場合、投入作業用のリフト機構4は、栽培パネル3bを所定範囲内で上下動させる。この所定範囲に、投入開始時の上位置と、投入完了時の下位置が含まれる。栽培パネル3bは、上位置にあるときには、その全体が液面200の上方に位置することが好ましい。栽培パネル3bが下位置にあるときには、栽培パネル3bが保持する植物6の根62が、液肥20に浸される。栽培パネル3bが下位置にあるときには、栽培パネル3bは液面200に浮かぶことが好ましい。
【0095】
投入作業用のリフト機構4についても、水切り作業用のリフト機構4と同様に、多様な変形例が採用可能である。つまり、投入作業に用いるリフト機構4においても、
図1から
図3に示したシリンダ式の機構に限らず、たとえば
図8に示したようなジャッキ式の機構、
図9から
図12に示したような枠部材を用いた機構、あるいは
図13から
図16に示したような把持部材を用いた機構を採用することが可能である。
【0096】
(作用効果)
以上、実施形態及びその変形例に基づいて説明したように、水耕栽培装置7は、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0097】
つまり、水耕栽培装置7は、栽培槽2と、栽培パネル3と、リフト機構4を備える。栽培槽2には、液肥20が溜められる。栽培パネル3は、栽培槽2に載せられ、栽培対象の植物6をその根62が下に位置する姿勢で保持する。リフト機構4は、栽培パネル3を、下位置P1と上位置P2を含む範囲内で上下動させる。下位置P1は、植物6の根62を、液肥20に浸す位置である。上位置P2は、根62を液肥20から上方に離間させる水切り用の位置である。
【0098】
上記の構成を備える水耕栽培装置7によれば、植物6の根62を液肥20に浸した状態で水耕栽培を行うことができ、植物6が収穫時期に至れば、栽培パネル3をリフト機構4で持ち上げて自動的に水切り作業を行うことができる。したがって、労力を要することなく、十分に水切り作業を行うことができ、収穫の際に液肥20が飛び散って床等を濡らすことや、周囲の植物6の根62以外の部分に液肥20が付着することが防止される。
【0099】
また、水耕栽培装置7は、下記の構成を備えることを更なる特徴とする。
【0100】
つまり、水耕栽培装置7において、栽培槽2には、複数の栽培パネル3が、平面視において所定方向D1に沿って並べられる。リフト機構4は、所定方向D1に並んだ複数の栽培パネルのうち、所定方向D1の端に位置する栽培パネル3を、上下動させる。
【0101】
上記の構成を備える水耕栽培装置7によれば、複数の栽培パネル3を所定方向D1に順次送りながら栽培を行い、所定方向D1の端に至った収穫時期の栽培パネル3を持ち上げて水切りを行い、栽培パネル3ごと植物6を収穫することができる。
【0102】
また、実施形態及びその変形例に基づいて説明したように、水耕栽培システムSは、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0103】
つまり、水耕栽培システムSは、上記の構成を備える水耕栽培装置7と、リフト機構4で持ち上げられた栽培パネル3を、水耕栽培装置7から離れた箇所に自動搬送する自動搬送装置8を備える。
【0104】
上記の構成を備える水耕栽培システムSによれば、水耕栽培装置7で植物6の水耕栽培を行い、植物6が収穫時期に至れば、栽培パネル3をリフト機構4で持ち上げて自動的に水切りを行うことができ、更に、水切りが完了した植物6を栽培パネル3ごと自動的に収穫することができる。
【0105】
また、実施形態及びその変形例に基づいて説明したように、リフト機構4は、水耕栽培装置7に設置され、水耕栽培装置7に載置される栽培パネル3を、下位置P1と上位置P2を含む範囲内で上下動させるように構成されている。下位置P1は、水耕栽培用に設定された位置であり、上位置P2は、水切り用に設定された位置である。
【0106】
上記の構成を備えるリフト機構4によれば、これを水耕栽培装置7に設置することで、収穫時期の栽培パネル3の水切り作業を自動的に行うことができる。
【0107】
また、実施形態及びその変形例に基づいて説明したように、植物の栽培収穫方法は、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0108】
つまり、植物の栽培収穫方法は、上記の構成を備える水耕栽培装置7を用いて植物6を栽培及び収穫する方法であって、下位置P1にある栽培パネル3で植物6を栽培する栽培工程と、水切り用の所定時間だけ栽培パネル3を上位置P2で保持する水切り工程と、所定時間の経過後に、水切りが完了した植物6を栽培パネル3ごと収穫する収穫工程を備える。
【0109】
上記の構成を備える植物の栽培収穫方法によれば、植物6の根62を液肥20に浸した状態で水耕栽培を行うことができ、植物6が収穫時期に至れば、栽培パネル3を持ち上げて自動的に水切り作業を行うことができる。したがって、労力を要することなく、水切りが十分に行われた植物6を収穫することができ、収穫の際に液肥20が飛び散って床等を濡らすことや、周囲の植物6の根62以外の部分に液肥20が付着することが防止される。
【0110】
また、実施形態及びその変形例に基づいて説明したように、植物の栽培収穫方法は、下記の構成を備えることを特徴としてもよい。
【0111】
つまり、植物の栽培収穫方法は、上記の構成を備える水耕栽培システムSを用いて植物6を栽培及び収穫する方法であって、下位置P1にある栽培パネル3で植物6を栽培する栽培工程と、水切り用の所定時間だけ栽培パネル3を上位置P2で保持する水切り工程と、所定時間の経過後に、水切りが完了した植物6を、栽培パネル3ごと自動搬送装置8で収穫する収穫工程を備える。
【0112】
上記の構成を備える植物の栽培収穫方法によれば、植物6の根62を液肥20に浸した状態で水耕栽培を行うことができ、植物6が収穫時期に至れば、栽培パネル3を持ち上げて自動的に水切り作業と収穫作業を行うことができる。したがって、労力を要することなく、水切りが十分に行われた植物6を収穫することができ、収穫の際に液肥20が飛び散って床等を濡らすことや、周囲の植物6の根62以外の部分に液肥20が付着することが防止される。
【符号の説明】
【0113】
1 栽培棚
2 栽培槽
20 液肥
200 液面
3 栽培パネル
4 リフト機構
6 植物
62 根
7 水耕栽培装置
8 自動搬送装置
9 制御装置
S 水耕栽培システム
D1 所定方向
P1 下位置
P2 上位置