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特許7174435広告配信システム、広告配信方法、及び広告配信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】広告配信システム、広告配信方法、及び広告配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221110BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020085670
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021179874
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520168963
【氏名又は名称】株式会社ジャストサービス・ネット
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】祝田 龍一
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-049670(JP,A)
【文献】特開2017-027374(JP,A)
【文献】特開2006-031475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、セルフガソリンスタンドのスタッフの指示により前記セルフ給油機に給油許可を与える給油許可装置と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機、前記給油許可装置及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムであって、
前記セルフ給油機は、
顧客が前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたときに給油要求を示す第1の信号を前記給油許可装置に送信する第1の信号送信部と、
前記第1の信号の送信の後に前記給油許可装置から給油許可を示す第2の信号を受信する第2の信号受信部と、
を備え、
前記給油許可装置は、前記スタッフの指示に基づいて前記第2の信号を前記セルフ給油機に送信するとともに前記広告配信装置に送信し、
前記広告配信装置は、
前記撮影装置が撮影した前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出部と、
前記ナンバープレート抽出部が抽出した前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記ナンバープレート抽出部が抽出した前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得部と、
前記車両情報取得部が取得した前記車両情報又は前記顧客情報取得部が取得した前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから前記広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出部と、
前記第2の信号の受信に基づいて、前記広告コンテンツ抽出部が抽出した前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始部と、
を備える広告配信システム。
【請求項2】
前記セルフ給油機は、
給油終了を示す第3の信号を前記給油許可装置及び前記広告配信装置に送信する第3の信号送信部を備え、
前記広告配信装置は、
前記第3の信号の受信に基づいて前記出力部に配信している前記広告コンテンツの配信を終了する広告配信終了部と、
を備える請求項1記載の広告配信システム。
【請求項3】
前記広告配信装置は、
前記撮影装置が撮影した前記車両の画像情報に基づいて、前記車両が前記セルフ給油機前に入庫したか否かを判定する入庫判定部と、
前記入庫判定部が前記車両の入庫を判定した場合、前記広告配信開始部が前記広告コンテンツの配信を開始するまでの間、前記出力部に所定のコンテンツを配信する第1の配信部と、
備える請求項2記載の広告配信システム。
【請求項4】
前記広告配信終了部が前記広告コンテンツの配信を終了した後、前記出力部に所定のコンテンツを所定の時間、配信する第2の配信部を備える請求項2又は3記載の広告配信システム。
【請求項5】
前記セルフ給油機は、
前記車両に給油する顧客の顔を撮影する撮影部を備え、
前記広告配信装置は、
前記撮影部が撮影した前記顧客の視線情報に基づいて、前記出力部に出力されている前記広告コンテンツの閲覧時間を算出する広告閲覧時間算出部と、
前記広告閲覧時間算出部が算出した前記広告コンテンツの閲覧時間に基づいて、前記出力部に出力されている前記広告コンテンツに対する広告関心度を算出する広告関心度算出部と、
前記広告関心度算出部が算出した前記広告関心度を含む広告履歴情報を記憶する広告履歴情報記憶部と、
を備え、
前記広告コンテンツ抽出部は、前記広告履歴情報を加味して、前記広告データベースから前記広告コンテンツを抽出する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の広告配信システム。
【請求項6】
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、セルフガソリンスタンドのスタッフの指示により前記セルフ給油機に給油許可を与える給油許可装置と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機、前記給油許可装置及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムにおける広告配信方法であって、
前記セルフ給油機は、
顧客が前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたときに給油要求を示す第1の信号を前記給油許可装置に送信する第1の信号送信ステップと、
前記第1の信号の送信の後に前記給油許可装置から給油許可を示す第2の信号を受信する第2の信号受信ステップと、
を備え、
前記給油許可装置は、前記スタッフの指示に基づいて前記第2の信号を前記セルフ給油機に送信するとともに前記広告配信装置に送信するステップを備え、
前記広告配信装置は、
前記撮影装置により撮影された前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップにおいて取得された前記車両情報又は前記顧客情報取得ステップにより取得された前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
前記第2の信号の受信に基づいて、前記広告コンテンツ抽出ステップにより抽出された前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始ステップと、
を備える広告配信方法。
【請求項7】
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、セルフガソリンスタンドのスタッフの指示により前記セルフ給油機に給油許可を与える給油許可装置と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機、前記給油許可装置及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムにおける広告配信プログラムであって、
前記セルフ給油機は、
顧客が前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたときに給油要求を示す第1の信号を前記給油許可装置に送信する第1の信号送信部と、
前記第1の信号の送信の後に前記給油許可装置から給油許可を示す第2の信号を受信する第2の信号受信部と、
を備え、
前記給油許可装置に、
前記スタッフの指示に基づいて前記第2の信号を前記セルフ給油機に送信するとともに前記広告配信装置に送信するステップを実行させ、
前記広告配信装置に、
前記撮影装置により撮影された前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップにおいて取得された前記車両情報又は前記顧客情報取得ステップにより取得された前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
前記第2の信号の受信に基づいて、前記広告コンテンツ抽出ステップにより抽出された前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始ステップと、
を実行させる広告配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフサービス方式の給油機を用いた広告配信技術に関し、セルフサービス方式のガソリンスタンドに好適に適用できる広告配信システム、広告配信方法、及び広告配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のナンバープレートの情報に基づいて広告を表示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、路線バス後部の表示部に、路線バスに後続する車両のナンバープレートから読み取った地域名に応じた広告を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-237411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のナンバープレートの情報に基づいて広告を表示する技術を適用とする場所としては、例えば、セルフサービス方式のガソリンスタンド(以下、セルフガソリンスタンドという)が考えられる。一般にセルフガソリンスタンドにおいて車両に給油をする場合、給油に数分から十数分の時間を要すると考えられている。
【0005】
この給油時間の間、顧客は、セルフサービス方式の給油機(以下、セルフ給油機という)の前で給油ノズルのレバーを握ったままの姿勢で給油が終了するのを待たなければならない場合が多く、退屈であるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、セルフガソリンスタンドにおいて、顧客が給油時間を退屈することなく有効に活用することができる広告配信システム、広告配信方法、及び広告配信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る広告配信システムは、その一態様として、
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムであって、
前記広告配信装置は、
前記撮影装置が撮影した前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出部と、
前記ナンバープレート抽出部が抽出した前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記ナンバープレート抽出部が抽出した前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得部と、
前記車両情報取得部が取得した前記車両情報又は前記顧客情報取得部が取得した前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから前記広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出部と、
前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたことに基づいて、前記広告コンテンツ抽出部が抽出した前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る広告配信方法は、その一態様として、
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムにおける広告配信方法であって、
前記広告配信装置は、
前記撮影装置により撮影された前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップにおいて取得された前記車両情報又は前記顧客情報取得ステップにより取得された前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたことに基づいて、前記広告コンテンツ抽出ステップにより抽出された前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る広告配信プログラムは、その一態様として、
広告を出力する出力部を備えたセルフ給油機と、前記セルフ給油機から給油する車両を撮影する撮影装置と、前記セルフ給油機及び前記撮影装置と通信ネットワークを介して相互に通信可能であり、広告データベースから抽出した広告コンテンツを前記セルフ給油機に配信する広告配信装置と、を備えた広告配信システムにおける広告配信プログラムであって、
前記広告配信装置に、
前記撮影装置により撮影された前記車両のナンバープレートの画像情報を解析して、前記ナンバープレートの情報を抽出するナンバープレート抽出ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記ナンバープレート抽出ステップにおいて抽出された前記ナンバープレートの情報に基づいて、前記ナンバープレートに対応付けられた顧客情報を取得する顧客情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップにおいて取得された前記車両情報又は前記顧客情報取得ステップにより取得された前記顧客情報の少なくとも一以上に基づいて、前記広告データベースから広告コンテンツを抽出する広告コンテンツ抽出ステップと、
前記セルフ給油機に掛止された給油ノズルを非掛止の状態にしたことに基づいて、前記広告コンテンツ抽出ステップにより抽出された前記広告コンテンツを前記出力部に配信開始する広告配信開始ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セルフガソリンスタンドにおいて、顧客が給油時間を退屈することなく有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る広告配信システムの概略構成図である。
図2】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係るセルフ給油機の外観図である。
図3】(a)は、本発明の実施の形態に係る車両DBのデータ構成を模式的に示す図、(b)は、発明の実施の形態に係る顧客DBのデータ構成を模式的に示す図、(c)は、本発明の実施の形態に係る広告DBのデータ構成を模式的に示す図、(d)は、本発明の実施の形態に係る前後DBのデータ構成を模式的に示す図、(e)は、本発明の実施の形態に係る広告履歴DBのデータ構成を模式的に示す図である。
図4図5とともに、本発明の実施の形態に係る広告配信処理の流れを示すフローチャートである。
図5図4とともに、本発明の実施の形態に係る広告配信処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態に係る広告配信システムの変形例の概略構成図である。
図7】(a)は、本発明の実施の形態に係る広告履歴DBのデータ構成の変形例を模式的に示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る広告履歴作成処理の変形例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<広告配信システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る広告配信システム100の概略構成図である。広告配信システム100は、セルフガソリンスタンド1に設置されたセルフ給油機2に広告を配信するコンピュータシステムである。広告配信システム100では、セルフガソリンスタンド1に入庫した車両のナンバープレートの画像を解析して、ナンバープレートの自動車登録番号(以下、ナンバープレート番号という)に対応付けられた車両情報及び顧客情報を取得し、取得した車両情報及び顧客情報に基づいて顧客に興味関心が高そうな広告をセルフ給油機2に設けられた、例えば、デジタルサイネージなどの出力部23に配信するように構成されている。これにより、顧客は、セルフガソリンスタンド1において、給油に要する数分から十数分の給油時間を退屈することなく有益に過ごすことが可能となっている。なお、本実施の形態の広告は、文字、動画、静止画などの広告コンテンツで構成される。
【0014】
広告配信システム100は、図1に示すように、セルフガソリンスタンド1に対して広告配信サービスを提供する事業者が有する広告配信装置10と、セルフガソリンスタンド1に設置された1又は複数のセルフ給油機2と、セルフ給油機2に給油の許可を与える給油許可装置3と、セルフガソリンスタンド1に入庫した車両の画像を撮影する1又は複数の撮影装置4と、広告配信装置10及びセルフガソリンスタンド1に設けられた各装置をそれぞれ相互に通信可能とする、例えば、インターネット網、公衆網、LAN(Local Area Network)などの構内網、などからなる通信ネットワーク5と、を備えている。
【0015】
なお、図1において、広告配信装置10は、セルフガソリンスタンド1外に設置されているが、セルフガソリンスタンド1内に設置されてもよいし、セルフガソリンスタンド1の内及び外の双方に設置されてもよい。つまり、図1に示した広告配信装置10は、機能に基づく概念的なサーバ装置であり、物理的に一つからなる装置の他、複数の装置がネットワーク接続されたシステムから構成されていてもよい。そして、広告配信装置10が複数の装置で構成された場合には、同一の場所にすべてが設置されていてもよいし、機能に応じて複数の場所に分散して設置されていてもよい。
【0016】
また、図1の広告配信装置10は、1つのセルフガソリンスタンドのセルフ給油機2に対して広告を配信するように図示されているが、これは一例であって、複数のガソリンスタンドのセルフ給油機2に対して広告を配信可能であることは勿論である。
【0017】
<セルフガソリンスタンドの機器構成>
セルフガソリンスタンド1は、図1に示すように、1又は複数のセルフ給油機2を備えている。セルフ給油機2は、大別して、車両に給油する給油機能と、広告を配信する広告配信機能と、を備えている。給油機能に関しては、従来のセルフ給油機の構成と同一であるため、以後では、広告配信機能に関連する給油信号通信部21についてのみ説明するが、その前に、セリフガソリンスタンド1の一般的な規則について説明する。
【0018】
セルフガソリンスタンド1では、顧客自らが所定の工程(例えば、油種、給油量の選択、静電気除去をした後、給油ノズルを取って、車両の給油口に差し込んで、レバーをひくなどの一例の工程)を経て給油を行うようになっているが、正確には、セルフ給油機2が給油許可装置3から給油許可信号を受信した後に給油は可能となっている。つまり、顧客が給油ノズルのレバーを引いたとしても、セルフ給油機2が給油許可装置3から給油許可信号を受信していない場合には給油は開始されない。この給油許可信号は、セルフガソリンスタンド1全体を監視しているバックヤードのスタッフの指示に基づいて給油許可装置3から送信されるものである。なお、スタッフは、直視又はモニターを通じてセルフ給油機2周りの状況を確認することができる。
【0019】
このように、セルフガソリンスタンド1は、顧客自らが車両に給油することができるセルフ方式のガソリンスタンドであるが、セルフ方式であっても危険物を取り扱うことになるので、セルフガソリンスタンド1の安全性を担保するため、監視しているスタッフの許可のもと給油が可能となっている。
【0020】
詳しくは、セルフ給油機2は、顧客がセルフ給油機2に掛止されている給油ノズルを取ることにより、給油要求信号を給油許可装置3に送信するようになっており、セルフ給油機2は、この給油要求信号に対する応答として給油許可信号を受信するようになっている。
【0021】
以上を踏まえると、給油信号通信部21は、構内の通信ネットワーク5を介してセルフガソリンスタンド1に設けられた給油許可装置3と信号の送受信を行うように構成されている。本実施の形態では、給油信号通信部21は、給油要求信号を給油許可装置3に送信したり、給油許可信号を給油許可装置3から受信したりする。また、給油信号通信部21は、給油が終了した場合には、給油終了信号を給油許可装置3に送信する。
【0022】
なお、給油が終了した場合とは、詳しくは、満タン給油の場合には、顧客により給油ノズルがセルフ給油機2に掛止されたとき、指定量又は指定金額の給油の場合には、指定量若しくは指定金額分の給油が給油された場合、又は顧客により給油の途中で給油ノズルがセルフ給油機2に掛止されたときである。
【0023】
セルフ給油機2は、広告配信機能に関する処理部としては、広告通信部22と、出力部23と、広告配信制御部24と、を有する。なお、本実施の形態のセルフ給油機2は、広告配信機能を有する装置として図1に記載しているが、これは、必ずしも広告配信機能に関する処理部が、物理的にセルフ給油機2と同一の筐体内に包含されるという意味ではない。例えば、既存のセルフ給油機に接続される別の筐体装置を備え、該筐体装置に広告配信機能として、広告通信部22と、出力部23と、広告配信制御部24と、を備えさせるようにしてもよい。
【0024】
広告通信部22は、広告配信装置10から配信された広告コンテンツ及びその他コンテンツを受信する。その他コンテンツとは、広告コンテンツの前後にセリフ給油機2に配信されるコンテンツであり、例えば、顧客に伝えたい情報やセルフ給油機2の操作方法などの情報を含むコンテンツである。本実施の形態では、その他コンテンツを広告コンテンツとは区別して説明する。以下、本実施の形態では、広告コンテンツが開始される前に配信されるその他コンテンツを第1のコンテンツ、広告コンテンツが終了した後に配信されるその他コンテンツを第2のコンテンツと表記する。
【0025】
出力部23は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイで構成され、文字、動画及び静止画を表示可能である。なお、出力部23は、ディスプレイに加えてスピーカなどの音声出力部を備えるようにしてもよい。例えば、出力部23をデジタルサイネージの表示装置としてもよい。本実施の形態では、出力部23は、広告コンテンツ及びその他コンテンツを出力する。
【0026】
図2(a)及び図2(b)にセルフ給油機2の外観の一例を示す。セルフ給油機2は、例えば、図2(a)に示すように、筐体の一部に出力部23を設けてもよいし、図2(b)に示すように、筐体の外部に出力部23を設けてもよい。
【0027】
広告配信制御部24は、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、広告配信装置10から配信された広告コンテンツ及びその他コンテンツを出力部23に出力する制御を行う。
【0028】
給油許可装置3は、セルフガソリンスタンド1のスタッフが管理するコンピュータであり、セルフ給油機2に給油許可を与える装置である。スタッフは、給油許可装置3を介して各セルフ給油機2の状態を把握可能である。例えば、給油許可装置3に設けられたモニターやスピーカなどの出力装置を介して、セリフ給油機2が給油中であるか否か、セルフ給油機2からの給油要求が上がってきているか否かなどセリフ給油機2の状態を把握することができる。
【0029】
上述したように、給油許可装置3は、顧客がセルフ給油機2に掛止されている給油ノズルを取り外すことにより、セルフ給油機2から給油要求信号を受信するように構成されている。給油要求信号を受信した給油許可装置3は、出力装置を介して、給油要求のメッセージを報知する。スタッフは、報知されたメッセージを確認することにより、給油許可信号を送信したセルフ給油機2に対して給油許可を指示する。これにより、給油許可装置3は、給油許可信号をセルフ給油機2に送信することになるので、セルフ給油機2は、給油が開始可能な状態となる。
【0030】
また、本実施の形態の給油許可装置3は、給油許可信号を広告配信装置10に送信するように構成されている。広告配信装置10は、給油許可信号の受信を契機にセルフ給油機2に対して広告コンテンツの配信を開始するためである。また、本実施の形態の給油許可装置3は、セリフ給油機2から給油終了信号を受信すると、受信した給油終了信号を広告配信装置10に送信するように構成されている。広告配信装置10は、給油終了信号の受信を契機にセルフ給油機2に対して広告コンテンツの配信を終了するためである。
【0031】
なお、給油許可装置3は、上述した機能を備えていれば、オプションとして他の機能を備えていてもよい。例えば、給油許可信号や給油終了信号を利用して所定のサービス(例えば、売上管理などのサービス)を提供する機能を備えていてもよいし、他の情報処理システムと接続可能としてもよい。
【0032】
撮影装置4は、セルフガソリンスタンド1に入庫した車両を撮影する装置である。1又は複数の撮影装置4が撮影した画像には、各セルフ給油機2に停止した車両の画像(車両のナンバープレートの画像も含む)が含まれている。撮影装置4が撮影した画像は通信ネットワーク5を介して広告配信装置10に送信される。
【0033】
なお、セルフガソリンスタンド1に設置される撮影装置4に関しては、各セルフ給油機2に入庫したそれぞれの車両を撮影でき、後述する入庫判定部121及びナンバープレート抽出部122が、車両の停車位置(いずれのセルフ給油機2から給油するのか)及び車両のナンバープレートを認識できるのであれば、設置数や設置場所を問わない。例えば、セルフ給油機2ごとに対応する撮影装置4を設けてもよいし、セルフガソリンスタンド1に1つの撮影装置4を設けるのでもよい。
【0034】
<広告配信装置の構成>
広告配信装置10は、広告配信システム100の中核的なサーバ装置であり、広告配信処理のサーバ側の処理を実行する。
【0035】
広告配信装置10は、例えば、ハードディスク等から構成され、広告配信システム100が管理するデータを記憶する記憶部11と、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、記憶部11の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、本実施の形態の広告配信処理を実行する制御部12と、通信ネットワーク5を介してセルフガソリンスタンド1に設置された各装置とデータの送受信を行う通信部13と、を備えている。
【0036】
記憶部11は、詳しくは、車両データベース(以下、車両DBという)111と、顧客データベース(以下、顧客DBという)112と、広告データベース(以下、広告DBという)113と、前後データベース(以下、前後DBという)114と、広告履歴DB115と、を具備する構成となっている。図3(a)に車両DB111、図3(b)に顧客DB112、図3(c)に広告DB113、図3(d)に前後DB114、図3(e)に広告履歴DB115のデータ構成の模式図を示す。
【0037】
車両DB111は、車両に関する情報を記憶しているデータベースであり、車両のナンバープレート番号と、車両属性情報と、を対応付けて構成された車両データd111を記憶する。車両データd111の車両属性情報は、例えば、車体番号、初度登録年月、車名、型式、使用の住所、自動車の種別、車体の形状、排気量、点検整備記録情報、燃料種類、乗車定員、車両重量などに関する情報を含む。車両DB111は、例えば、一般財団法人自動車検査登録情報協会が管理している、ナンバープレート番号(自動車登録番号)に紐づいた車両情報に基づいて作成するようにしてもよい。
【0038】
なお、本実施の形態の広告配信装置10は、車両DB111を記憶部11に保持する構成としているが、これとは別に外部のデータベースを活用して車両データd111を取得するようにしてもよい。例えば、車両DB111に該当するナンバープレート番号の車両データd111が存在しない場合には、外部のデータベースから車両データd111を取得し、取得した車両データd111を車両DB111に記憶するようにしてもよい。
【0039】
顧客DB112は、セルフガソリンスタンド1が所有している顧客に関する情報を記憶しているデータベースであり、車両のナンバープレート番号と、顧客属性情報と、を対応付けて構成された顧客データd112を記憶する。顧客データd112は、例えば、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、会員種別、管理番号、直近来店情報、累積来店情報、車種、色、走行距離、車検満了日、保険満了日、次回整備情報などに関する情報を含む。このように、顧客データd112は、顧客に関する情報のほか、車両に関する情報も含まれている。
【0040】
なお、本実施の形態の広告配信装置10は、顧客DB112を記憶部11に保持する構成としているが、これに限定されない。例えば、顧客DB112を外部のデータベースとし、外部のデータベースから顧客データd112を取得するようにしてもよい。
【0041】
広告DB113は、広告コンテンツを記憶しているデータベースであり、広告IDと、広告コンテンツを対応付けた広告データd113を記憶する。また、広告データd113は、広告ID及び広告コンテンツと対応付けられた、1又は複数の配信対象タグを備えている。ここで、広告IDは、広告配信システム100において広告コンテンツを一意に識別可能な情報であり、配信対象タグは、広告コンテンツを配信したい対象を示すタグ情報である。例えば、性別、年齢、地域、時間、車両の車種、車検有効期限が半年先以内、同広告主の広告を過去に見た人など、広告主が配信したい顧客の属性に関する情報が含まれる。また、図3(c)には図示しないが、広告データd113は、広告主を一意に識別可能な広告主コード、広告コンテンツに含まれる商品・サービスの種類を示す商品・サービス種別など広告に関連する属性情報も備えている。
【0042】
なお、図1に示す広告配信装置10は、広告DB113を記憶部11に保持する構成としているが、これに限定されない。例えば、広告DB113を外部のデータベースとし、外部のデータベースから広告データd113を取得するようにしてもよい。
【0043】
前後DB114は、広告コンテンツの配信前後にセルフ給油機2に配信されるその他コンテンツを記憶するデータベースであり、GSIDと、情報フラグと、情報コンテンツと、を少なくとも含む前後データd114を記憶する。GSIDは、広告配信システム100においてセルフガソリンスタンド1を一意に識別可能な情報である。情報フラグは、第1のコンテンツであるか、第2のコンテンツであるかを識別するフラグであり、例えば、情報フラグが1の場合、情報コンテンツは第1のコンテンツであることを示し、情報フラグが2の場合、情報コンテンツは第2のコンテンツであることを示す。前後DB114は、セルフガソリンスタンド1ごとに顧客に伝達したい情報が異なることに鑑みて、セルフガソリンスタンド1ごとに第1のコンテンツ及び第2のコンテンツを管理できるように構成されている。なお、第1のコンテンツ及び第2のコンテンツは、それぞれ、1つのコンテンツで構成されてもよいし、複数のコンテンツで構成されてもよい。
【0044】
例えば、第1のコンテンツを、セルフ給油機2の操作に不慣れな顧客を対象とした、セルフ給油機2の操作方法の映像としてもよいし、セルフガソリンスタンド1のサービスを紹介する映像としてもよい。また、例えば、第2のコンテンツを、「ご来店ありがとうございました」などの感謝を伝える文字や次回の休業日を知らせる文字としてもよい。
【0045】
広告履歴DB115は、セルフ給油機2が顧客に対して過去に配信した広告コンテンツの配信履歴を記憶するデータベースであり、ナンバープレート番号と、広告IDと、配信日時と、を少なくとも含む広告履歴データd115を記憶する。広告履歴データd115は、広告コンテンツを配信するごとに広告履歴DB115に格納されていく。
【0046】
図1に戻り、制御部12を、主たる機能ごとに細分化すると、入庫判定部121と、ナンバープレート抽出部122と、車両属性情報取得部123と、顧客属性情報取得部124と、前後情報取得部125と、広告取得部126と、配信部127と、に分類される。
【0047】
入庫判定部121は、車両がセルフガソリンスタンド1のセルフ給油機2前に入庫したか否かを判定する。本実施の形態では、入庫判定部121は、セルフガソリンスタンド1の撮影装置4から送信された画像に対して画像認識処理を実行し、画像認識処理の結果、セルフ給油機2の前に停止した対象物が車両であるか否かを判定する。
【0048】
ナンバープレート抽出部122は、セルフガソリンスタンド1の撮影装置4から送信された画像から車両のナンバープレートの画像を切り出して、文字認識処理を施すことにより、ナンバープレート番号を抽出する。
【0049】
車両属性情報取得部123は、ナンバープレート抽出部122により抽出されたナンバープレート番号に基づいて、車両DB111を検索し、ナンバープレート番号に合致した車両データd111の車両属性情報を取得する。ナンバープレート番号に合致する車両データd111が存在しない場合には、外部のデータベースから車両データd111を取得してもよい。
【0050】
顧客属性情報取得部124は、ナンバープレート抽出部122により抽出されたナンバープレート番号に基づいて、顧客DB112を検索し、ナンバープレート番号に合致した顧客データd112の顧客属性情報を取得する。なお、顧客データd112は、セルフガソリンスタンド1に入庫した車両の顧客すべてに対して存在するわけでない。
【0051】
前後情報取得部125は、入庫判定部121により車両の入庫が判定された場合、配信対象のセルフガソリンスタンド1のGSIDに基づいて、前後DB114を検索し、第1のコンテンツを取得する。また、前後情報取得部125は、給油終了信号を給油許可装置3から受信した場合には、配信対象のセルフガソリンスタンド1のGSIDに基づいて、前後DB114を検索し、第2のコンテンツを取得する。
【0052】
広告取得部126は、車両属性情報取得部123により取得された車両属性情報、及び顧客属性情報取得部124により取得された顧客属性情報のうちの少なくとも一方と、広告DB113の広告データd113の配信対象タグを比較して、広告DB113の中から、車両属性又は顧客属性に合致した広告コンテンツを取得する。例えば、車検が近い、地域、時間、性別、年齢などに基づいて、顧客が興味関心の高そうな広告コンテンツを取得する。また、広告履歴データd115も加味して広告コンテンツを取得してもよい。例えば、同一広告主の広告コンテンツを視聴したことがある顧客に対しては、同一広告主の他の広告コンテンツを取得するようにしてもよい。
【0053】
配信部127は、前後情報取得部125が取得した第1のコンテンツ若しくは第2のコンテンツ、又は広告取得部126が取得した広告コンテンツをセルフ給油機2に配信する。
【0054】
なお、本実施の形態に係る広告配信システム100においてサーバ側の広告配信処理を実行するプログラムは、広告配信装置10の上述したメモリなどの主記憶装置やハードディスクなどの補助記憶装置に格納されているものである。そして、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワーク5を介して配信することも可能である。
【0055】
<広告配信システムの動作>
次に、図4及び図5を用いて、本実施の形態に係る広告配信システム100の動作について説明する。ここで、図4及び図5は、広告配信システム100の広告配信処理の流れを示すフローチャートである。前提として、撮影装置4は、常時、セルフガソリンスタンド1内を撮影し、撮影した映像を広告配信装置10に送信している。図4及び図5は、このような状況の中で、車両がセルフガソリンスタンド1の所定のセルフ給油機2の前に停車した以降の処理フローを示している。
【0056】
まず、撮影装置4がセルフガソリンスタンド1に入庫した車両の車両画像を取得し(ステップS10)、車両画像を広告配信装置10に送信する(ステップS20)。
【0057】
次に、広告配信装置10では、入庫判定部121が撮影装置4から送信された画像から車両入庫を判定した後、ナンバープレート抽出部122が車両画像からナンバープレート番号を抽出する(ステップS30)とともに、前後情報取得部125が第1のコンテンツを前後DB114から取得して、配信部127が取得した第1のコンテンツの配信を開始する(ステップS40)。
【0058】
次に、セルフ給油機2では、広告配信制御部24が広告配信装置10から配信された第1のコンテンツを出力部23に出力開始する(ステップS50)。これにより、車両がセルフ給油機2の前に停止したことに基づいて、顧客は第1のコンテンツを視聴することができる。つまり、広告配信システム100では、給油前の状態においても、顧客に役に立つ有益な情報を報知することができる。例えば、第1のコンテンツを、セルフ給油機2の操作に不慣れな顧客を対象とした、セルフ給油機2の操作方法の映像とした場合、顧客は、セルフ給油機2の操作方法を映像から把握することができる。また、例えば、第1のコンテンツを、セルフガソリンスタンド1のサービスを紹介する映像とした場合には、顧客は、セルフガソリンスタンド1に対する理解を深めることができる。
【0059】
一方、広告配信装置10では、ナンバープレート抽出部122により抽出されたナンバープレート番号に基づいて、車両属性情報取得部123が車両DB111から対応する車両属性情報を取得し(ステップS60)、顧客属性情報取得部124が顧客DB112から対応する顧客属性情報を取得する(ステップS70)。
【0060】
次に、広告配信装置10では、広告取得部126が取得した車両属性情報又は顧客属性情報の少なくともいずれか一方に基づいて、広告DB113から広告データd113を取得し、取得した広告データd113の広告コンテンツを配信する準備を行う(ステップS80)。ここで、取得する広告データd113は1でも複数でもよい。つまり、配信される広告コンテンツは、1の広告コンテンツで構成されてもよいし、複数の広告コンテンツで構成されてもよい。また、広告取得部126は、車両属性情報又は顧客属性情報に、顧客が過去に視聴した広告履歴データd115を加味して広告DB113から広告データd113を取得してもよい。
【0061】
次に、顧客が車両から出てセルフ給油機2に対して給油指示を行い、セルフ給油機2に掛止されている給油ノズルを取り外す、つまりセルフ給油機2が顧客から給油指示を受け付けて(ステップS90)、給油ノズルがセルフ給油機2から非掛止の状態であることを検知すると(ステップS100)、セルフ給油機2では、給油信号通信部21が給油要求信号を給油許可装置3に送信する(ステップS110)。
【0062】
給油要求信号を受信した給油許可装置3は、給油要求の報知を行い、給油許可の指示を待つ。給油許可装置3は、スタッフから給油許可の指示を受け付けると(ステップS120)、セルフ給油機2に給油許可信号を送信する(ステップS130)とともに、広告配信装置10に給油許可信号を送信する(ステップS140)。
【0063】
給油許可信号を受信したセルフ給油機2は、給油可能な状態となるので、顧客の給油ノズルのレバーが引かれたことに基づいて、給油を開始する(ステップS150)。
【0064】
これに対して、給油許可信号を受信した広告配信装置10では、配信部127が広告取得部126により取得された広告コンテンツの配信を開始する(ステップS160)。
【0065】
次に、広告コンテンツを受信したセルフ給油機2では、広告配信制御部24が出力部23に対する第1のコンテンツの出力を終了し(ステップS170)、広告配信装置10から配信された広告コンテンツを出力部23に出力開始する(ステップS180)。これにより、給油が開始されたタイミングに合わせて、顧客は広告コンテンツを視聴することができる。つまり、顧客が給油のための一連の作業工程を終了し、後は給油ノズルのレバーを引くだけの退屈な状態において、セルフ給油機2は顧客に興味関心が高そうな広告を配信することができる。これにより、顧客は退屈な時間を有効に過ごすことができる。また、広告主にとっても、顧客が他に何もすることがない状態において、数分から十数分、顧客の属性に合わせた広告を流すことができるので、広告に注目する確率は高く、また、訴求効果も高くなるという効果がある。
【0066】
次に、セルフ給油機2では、給油が終了すると(ステップS190)、給油信号通信部21が給油終了信号を給油許可装置3に送信し(ステップS200)、給油終了信号を受信した給油許可装置3は、給油終了信号を広告配信装置10に送信する(ステップS210)。
【0067】
給油終了信号を受信した広告配信装置10では、配信部127が広告コンテンツの配信を終了するとともに(ステップS220)、前後情報取得部125が第2のコンテンツを前後DB114から取得し、配信部127が取得した第2のコンテンツの配信を開始する(ステップS230)。
【0068】
第2のコンテンツを受信したセルフ給油機2では、広告配信制御部24が出力部23に対する広告コンテンツの出力を終了し(ステップS240)、広告配信装置10から配信された第2のコンテンツを出力部23に出力開始する(ステップS250)。これにより、給油が終了したことに基づいて、顧客は第2のコンテンツを視聴することができる。つまり、広告配信システム100では、給油が終了した後の状態(例えば、料金を支払うため、出力部23の近傍にいる状態)において、顧客に役に立つ有益な情報を報知することができる。例えば、第2のコンテンツを、次回の休業日のお知らせとした場合には、顧客は次回の休業日を認識することができる。
【0069】
一方、広告配信装置10では、第2のコンテンツを配信開始後、第2のコンテンツの配信時間である所定時間が経過すると(ステップS260:YES)、配信部127が第2のコンテンツの配信を終了する(ステップS270)。
【0070】
この結果、セルフ給油機2では、広告配信制御部24が、出力部23に対する第2のコンテンツの出力を終了する(ステップS280)。
【0071】
以上、本実施の形態の広告配信システム100によれば、車両のナンバープレート番号に基づいた車両属性情報及び顧客属性情報に基づいて、顧客に興味関心が高そうな広告コンテンツを配信するので、顧客は、給油に要する数分から十数分の給油時間を退屈することなく過ごすことができる。つまり、顧客は、給油中の余暇を有効活用することができる。
【0072】
また、広告配信システム100によれば、給油開始に基づいて広告コンテンツの配信を開始し、給油終了に基づいて広告コンテンツの配信を終了するので、配信された広告コンテンツに対する注目度を高めることができる。つまり、顧客は給油ノズルのレバーを握って車両に給油をしていている時間は、セルフ給油機2の近くで他に何もすることができない退屈な時間でもあるので、この退屈な時間に対して広告コンテンツを配信することにより、配信された広告コンテンツに対する注目度を高めることが可能となっている。
【0073】
<変形例>
上記実施の形態の広告配信システム100では、広告配信装置10は、給油許可信号の受信を契機に広告コンテンツの配信を開始したが、給油要求信号の受信を契機に広告コンテンツの配信を開始してもよい。つまり、顧客が給油ノズルを取り外す行為を契機に、広告コンテンツの配信を開始するのであれば、いずれの方式でもよい。いずれの方式でも顧客が給油時間を退屈することなく過ごすという効果を達成することができるからである。なお、給油要求信号の受信を契機に広告コンテンツの配信を開始する場合には、広告配信装置10は、セルフ給油機2から直接、又は給油許可装置3を介して給油要求信号を受信するようにすればよい。
【0074】
また、上記実施の形態の広告配信システム100では、第2のコンテンツの配信を時間経過に基づいて終了していたが、時間経過以外の終了条件を設けてもよい。例えば、広告配信装置10に車両の出庫を判定する出庫判定部を設け、出庫判定部が撮影装置4から送信される画像に基づいて車両の出庫を判定したタイミングで第2のコンテンツの配信を終了するようにしてもよい。
【0075】
なお、上記実施の形態の広告配信システム100では、第1のコンテンツ及び第2のコンテンツは、セルフガソリンスタンド1ごとの一律のコンテンツとしたが、広告コンテンツと同様に、車両のナンバープレート番号から取得した車両属性情報及び顧客属性情報に基づいて、さらに顧客の嗜好に合わせたコンテンツとしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態の広告配信システム100では、車両のナンバープレート番号に基づいて車両属性情報及び顧客属性情報を取得するようにしたが、これに限定されない。例えば、車両のナンバープレート番号に代えて、又は車両のナンバープレート番号に加えて、撮影装置4が取得した車両の外観形状などから車両のメーカーや種別などの車体情報を判別し、判別した車体情報に基づいて車両属性情報及び顧客属性情報を取得するようにしてもよい。さらには、所謂V2X(Vehicle-to-everything)が実現する通信ネットワークにおいては、車両から車体情報や顧客情報を取得し、取得した車体情報や顧客情報に基づいて車両属性情報及び顧客属性情報を取得するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態の広告配信システム100において、広告コンテンツの閲覧状況(以下、広告閲覧状況という)を履歴として管理するようにしてもよい。広告閲覧状況は、同一顧客がセルフガソリンスタンド1に再来店するとき、つまり次回以降の広告配信に反映させるものである。以下、広告閲覧状況を履歴として管理する広告配信システム100Aについて説明する。
【0078】
図6は、広告配信システム100Aの概略構成図である。広告配信システム100Aは、広告配信装置10Aと、セルフガソリンスタンド1に設置された1又は複数のセルフ給油機2Aと、セルフ給油機2Aに給油の許可を与える給油許可装置3と、セルフガソリンスタンド1に入庫した車両の画像を撮影する1又は複数の撮影装置4と、広告配信装置10A及びセルフガソリンスタンド1に設けられた各装置をそれぞれ相互に通信可能とする、例えば、インターネット網、公衆網、LAN(Local Area Network)などの構内網、などからなる通信ネットワーク5と、を備えている。なお、本変形例においては、上記実施形態と異なる構成、機能及び処理のみ説明し、その他の構成、機能及び処理に関しては同一部位には同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
セルフ給油機2Aは、セルフ給油機2に撮影部25を加えた構成である。撮影部25は、セルフ給油機2Aの前面かつ出力部23の近傍に取り付けられており、セルフ給油機2Aから車両に給油する顧客の顔画像を撮影可能である。撮影部25が撮影した画像は、広告通信部22を介して、広告配信システム100Aを構成する広告配信装置10Aに送信されるようになっている。
【0080】
広告配信装置10Aは、記憶部11Aと、制御部12Aと、通信部13と、を備えている。
【0081】
記憶部11Aは、記憶部11と比べて、広告履歴DB115Aのデータ構成が異なっている。図7(a)に広告履歴DB115Aのデータ構成を示す模式図である。広告履歴DB115Aは、ナンバープレート番号と、広告IDと、配信日時と、関心度を少なくとも含む広告履歴データd115Aを記憶する。ここで、関心度は、配信された広告コンテンツの閲覧状況を示す指標であり、本変形例では、広告コンテンツの視聴時間に応じて複数段階に分類された値のいずれかを設定する。例えば、広告コンテンツの視聴時間が3秒以内を関心度低、視聴時間が3秒から15秒まで関心度中、視聴時間が15秒以上を関心度高として設定してもよい。なお、広告コンテンツの視聴時間の計測及び関心度の設定は、後述する閲覧状況確認部128により行われる。
【0082】
制御部12Aは、制御部12に閲覧状況確認部128を加えた構成である。閲覧状況確認部128は、撮影部25が撮影した画像に基づいて顧客の視線を検知することが可能となっている。この視線検知技術は、例えば、顔特徴点検出技術に基づいて、視線の検知に重要な目頭や目尻、瞳など目の周囲の特徴から撮影部25方向(出力部23の方向)に対する視線の角度を算出するものである。その結果、制御部12Aは、広告コンテンツの配信開始から配信終了までの間において、顧客の視線が出力部23に向かっていると判断した場合には、視聴時間として計測し、トータルの視聴時間から関心度を設定する。
【0083】
図7(b)は、広告配信システム100Aの広告配信処理のうち、広告閲覧状況に関連する処理を示したフローチャートである。なお、前提として、セルフ給油機2Aは、広告コンテンツを配信中、撮影部25が撮影した画像を広告配信装置10に送信している。
【0084】
まず、広告配信装置10Aでは、広告コンテンツの配信を開始すると(ステップS160)、閲覧状況確認部128がセルフ給油機2Aから送信された画像に基づいて、顧客の視線方向を算出する閲覧状況確認を開始する(ステップS161)。
【0085】
次に、広告配信装置10Aでは、広告コンテンツの配信を終了すると(ステップS220)、閲覧状況確認部128が実行していた閲覧状況確認を終了する(ステップS231)。
【0086】
次に、広告配信装置10Aでは、閲覧状況確認部128が計測した広告コンテンツの視聴時間から関心度を算出して、広告履歴データd115Aを作成し、作成した広告履歴データd115Aを広告履歴DB115Aに格納する(ステップS232)。
【0087】
これにより、広告配信システム100Aは、顧客の広告コンテンツごとの関心度を履歴として得ることができるので、次回同一顧客がセルフガソリンスタンド1に来店した際に、この関心度を加味して広告コンテンツを配信するようにしてもよい。つまり、広告配信装置10Aは、車両のナンバープレート番号に基づいて取得された車両データd111の車両属性情報及び顧客データd112の顧客属性情報に、車両のナンバープレート番号に基づいて取得された広告履歴データd115Aの関心度を加味して、広告DB113から好適な広告コンテンツを取得するようにしてもよい。
【0088】
なお、本変形例では、セルフ給油機2Aに設けた撮影部25による顧客の画像を用いて、広告閲覧状況を確認するようにしたが、これに限定されず、セルフガソリンスタンド1に設けられた撮影装置4による顧客の画像を用いて、広告閲覧状況を確認するようにしてもよい。
【0089】
以上、本実施の形態の広告配信システム100Aによれば、車両のナンバープレート番号に基づいた車両属性情報、顧客属性情報及び広告関心度に基づいて、顧客に興味関心が高そうな広告コンテンツを配信するので、顧客は、給油に要する数分から十数分の給油時間を退屈することなく過ごすことができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 セルフガソリンスタンド
2 セルフ給油機
3 給油許可装置
4 撮影装置
5 通信ネットワーク
10,10A 広告配信装置
11,11A 記憶部
12,12A 制御部
13 通信部
21 給油信号通信部
22 広告通信部
23 出力部
24 広告配信制御部
25 撮影部
100,100A 広告配信システム
111 車両DB
112 顧客DB
113 広告DB
114 前後DB
115 広告履歴DB
121 入庫判定部
122 ナンバープレート抽出部
123 車両属性情報取得部
124 顧客属性情報部
125 前後情報取得部
126 広告取得部
127 配信部
128 閲覧状況確認部
d111 車両データ
d112 顧客データ
d113 広告データ
d114 前後データ
d115,d115A 広告履歴データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7