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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】骨切り術用開大装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20221110BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20221110BHJP
   A61B 17/17 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B17/56
A61B17/17
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022082888
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】63/322,749
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521478142
【氏名又は名称】AUSPICIOUS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000693
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人滝田三良法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 靖治
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-046783(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102974(WO,A1)
【文献】特許第6626474(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切り術により形成された切り込みに挿入して当該切り込みを開大する開大装置において、
骨の切り込みの一方の切断端面に接する第1外面を有する第1長尺部材と、該第1長尺部材の先端に連結され、骨の切り込みの他方の切断端面に接する第2外面を有する第2長尺部材と、両長尺部材同士を先端部にある1つの第1回転軸まわりに前記第1外面と前記第2外面のなす角度を調整しながら前記第1長尺部材に対して前記第2長尺部材を回転させるための第1角度調整部材とからなる第1ブレードを備え、
前記第1ブレードは、先端から後端にわたって漸次厚くなる略楔形状であって、後端から先端方向に向かって延びる基部と、基部よりも短い先端部とを有して、前記先端部の幅寸法が前記基部に向かって漸次狭くなっており、
前記先端部は、前記第1回転軸に直交して一方の側縁に形成された先端部第1側面と、前記第1回転軸に直交して他方の側縁に形成された先端部第2側面とを有し、
前記基部は、前記第1回転軸に直交して前記先端部第1側面に連なる基部第1側面と、前記第1回転軸に直交して前記先端部第2側面に連なる基部第2側面とを有し、
前記先端部第1側面と前記先端部第2側面との間の幅寸法が、前記基部第1側面と前記基部第2側面との間の幅寸法よりも大きく、前記先端部第2側面と前記基部第2側面のなす距離が、前記先端部第1側面と前記基部第1側面のなす距離よりも大きく、
前記第1ブレードが閉じた状態において、前記第1長尺部材の第1外面に平行な第3外面を有する第3長尺部材と、前記第2長尺部材の第2外面に平行な第4外面を有する第4長尺部材と、前記第3長尺部材ならびに前記第4長尺部材の端部よりも先端側に存在するある1つの第2回転軸を中心とする円弧状の1つ以上のレール部と、前記第2回転軸まわりに前記第3外面と前記第4外面とのなす角度を調整しながら前記第3長尺部材に対して前記第4長尺部材を回転させるための第2角度調整部材とからなる第2ブレードを備え、
前記第2ブレードは、その幅方向の両側に前記第2回転軸に直交する第1側面と第2側面を有し、先端から後端にわたって漸次厚くなる略楔形状であることを特徴とする開大装置。
【請求項2】
前記第2ブレードの前記第2回転軸は、前記第3長尺部材の前記第3外面の先端方向への延長線と、前記第4長尺部材の前記第4外面の先端方向への延長線との交点に位置することを特徴とする請求項記載の開大装置。
【請求項3】
前記第1ブレードの前記第1回転軸と前記第2ブレードの前記第2回転軸とを同一軸線上に配置させた際に、前記第1ブレードの前記第1外面と前記第2外面のなす角度に合致するように前記第2ブレードの前記第3外面と前記第4外面のなす角度を調整した場合、前記第1ブレードの前記第1外面と前記第2ブレードの前記第3外面とが同一平面上に存在すると共に、前記第1ブレードの前記第2外面と前記第2ブレードの前記第4外面とが同一平面上に存在し、
前記第1ブレードの前記基部第2側面と前記第2ブレードの前記第1側面とを一致させた際に、前記第1ブレードの前記先端部に前記第2ブレードが干渉しない位置関係にあることを特徴とする請求項記載の開大装置。
【請求項4】
前記第1回転軸と前記第2回転軸の位置を合わせるための位置合わせ手段を有しており、前記位置合わせ手段は、前記第1ブレードに形成されて前記第1回転軸と平行の第1貫通孔と、前記第2ブレードに形成されて前記第2回転軸に平行の第2貫通孔とからなり、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とが同一軸線状に位置するとき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが互いに合致して連通することを特徴とする請求項記載の開大装置。
【請求項5】
前記第1ブレードと前記第2ブレードとを所定の位置で連結する連結機構を有し、
前記連結機構は、前記第1長尺部材と前記第3長尺部材とを接続し、又は、前記第2長尺部材と前記第4長尺部材とを接続することを特徴とする請求項記載の開大装置。
【請求項6】
前記第1ブレードの前記基部第2側面と前記第2ブレードの前記第1側面とを一致させた状態において、前記第1ブレードの前記先端部第1側面と前記第1ブレードの前記先端部第2側面のなす距離が、前記第1ブレードの前記基部第1側面と前記第2ブレードの前記第2側面のなす距離よりも狭いことを特徴とする請求項記載の開大装置。
【請求項7】
前記第2ブレードの前記第2角度調整部材が備える前記レール部は、前記第2ブレードの後端部に位置する第1レール部と、前記第1レール部よりも先端側に位置する第2レール部とで構成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項記載の開大装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨切り術における切り込みを拡大する際に用いる骨切り術用開大装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、変形性膝関節症等の治療の一つとして骨切り術が行われている。変形性膝関節症等で変形した膝は、歩行時等の荷重(体重)や衝撃による負担が片側に集中して加わることにより、片側の軟骨が損傷する。
【0003】
上記の骨切り術は、脛骨や大腿骨に切り込みを入れ、その切り込みを開大もしくは閉鎖することで膝のアライメントを矯正するものである。その中の1つとして、脛骨に骨鋸やボーンソー等にて切込みを入れ、その先端部を軸として、骨を開き、矯正する方法を挙げることができる。
【0004】
脛骨の場合には粗面を上に切り上げる高位脛骨骨切り術(Opening Wedge High Tibia Osteotomy:OWHTO)と粗面の下に切り下げる粗面下骨切り術(Opening Wedge Distal Tuberosity Osteotomy:OWDTO)があるが、膝の後方側の皮質骨をしっかりと切断し、その反対側を僅かに残してヒンジのように屈曲自在とする必要がある。
【0005】
このように形成された骨の切り込みを開大した際、側副靭帯が緊張し、後方側が閉鎖する方向に力が加わる。そのため、開大操作時には後方の骨皮質面をしっかりと面で支えた状態で開大することがまず重要である。
【0006】
さらに、後方が閉鎖する力が加わった際に、ヒンジとして屈曲する部分(以下ヒンジ部という)に負荷が発生して破綻(骨折)するのを防ぐため、ヒンジ部の付近においては広い面で支持しながら骨を開大することが重要となる。
【0007】
また、開大操作後にて発生した空隙には人工骨を挿入して、矯正位を保持するため、開大操作後に、前後方向にてスペーサー(楔形状の移植骨や人工骨)を挿入するためのエリアを作った状態で、骨の開大を保持しておく必要がある。
【0008】
そこで、従来、第一のブレードと第二のブレードを連結した状態で骨の切り込みに挿入し、両ブレードの先端を軸として開大する骨切り術用開大装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【0009】
これによれば、骨の後方部にブレードを設置し、かつ、切り込みのヒンジ部付近においては比較的広い面で骨の開大操作を可能としなる。さらに、片側のブレードを外し、もう1つのブレードでその開大を保持することが可能であるため、スペーサーを挿入するためのエリアを確保することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第6626474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1のものは、2つのブレードを並べて挿入し、幅広い面で開大操作を行うことで、適切な開大操作が可能となり、片側のブレードを取り外すことで、スペーサーを挿入するためのエリアを確保することができる。
【0012】
しかし、上記特許文献1のものにおいては2つのブレードを必ず挿入し、開大操作を行った後に2つのブレードの連結を解除したりといった操作が必要であるため、操作が煩雑である。
【0013】
切込みを入れた骨において、開大操作を行う際に、海綿骨を支持して開大すると海綿骨が圧壊するリスクがあるため、皮質骨の部分を保持して開大操作を行うことが重要となる。脛骨での骨切り術においては、上述した通り、粗面を上に切り上げるOWHTOと粗面を下に切り下げるOWDTOがあるが、どちらも骨の前方側(粗面側)には開大装置を設置できない。
【0014】
このため、皮質骨を支持して開大操作を行う場合には、骨の側面と後方側に開大装置を設置することが望ましい。脛骨の場合においては開大操作を行うと側副靭帯が緊張する等の影響により、後方側が落ち込む方向に力が加わるため、特に後方の皮質を保持しながら開大操作を行うことが重要となる。また、ヒンジ部付近の海綿骨に変な力が加わらないようにヒンジ部付近の広いエリアを保持することも重要である。
【0015】
上記の点に鑑み、本発明は、骨の切り込みの内面を比較的大きな面積で支持して骨の切り込みを開大することができ、骨の切り込みを開大を維持した状態で適切なスペーサーを挿入するエリアを容易に確保することができる開大装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる目的を達成するために、本発明は、骨切り術により形成された切り込みに挿入して当該切り込みを開大する開大装置において、骨の切り込みの一方の切断端面に接する第1外面を有する第1長尺部材と、該第1長尺部材の先端に連結され、骨の切り込みの他方の切断端面に接する第2外面を有する第2長尺部材と、両長尺部材同士を先端部にある1つの第1回転軸まわりに前記第1外面と前記第2外面のなす角度を調整しながら前記第1長尺部材に対して前記第2長尺部材を回転させるための第1角度調整部材とからなる第1ブレードを備え、前記第1ブレードは、先端から後端にわたって漸次厚くなる略楔形状であって、後端から先端方向に向かって延びる基部と、基部よりも短い先端部とを有して、前記先端部の幅寸法が前記基部に向かって漸次狭くなっており、前記先端部は、前記第1回転軸に直交して一方の側縁に形成された先端部第1側面と、前記第1回転軸に直交して他方の側縁に形成された先端部第2側面とを有し、前記基部は、前記第1回転軸に直交して前記先端部第1側面に連なる基部第1側面と、前記第1回転軸に直交して前記先端部第2側面に連なる基部第2側面とを有し、前記先端部第1側面と前記先端部第2側面との間の幅寸法が、前記基部第1側面と前記基部第2側面との間の幅寸法よりも大きく、前記先端部第2側面と前記基部第2側面のなす距離が、前記先端部第1側面と前記基部第1側面のなす距離よりも大きく、前記第1ブレードが閉じた状態において、前記第1長尺部材の第1外面に平行な第3外面を有する第3長尺部材と、前記第2長尺部材の第2外面に平行な第4外面を有する第4長尺部材と、前記第3長尺部材ならびに前記第4長尺部材の端部よりも先端側に存在するある1つの第2回転軸を中心とする円弧状の1つ以上のレール部と、前記第2回転軸まわりに前記第3外面と前記第4外面とのなす角度を調整しながら前記第3長尺部材に対して前記第4長尺部材を回転させるための第2角度調整部材とからなる第2ブレードを備え、前記第2ブレードは、その幅方向の両側に前記第2回転軸に直交する第1側面と第2側面を有し、先端から後端にわたって漸次厚くなる略楔形状であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明においては、前記第2ブレードの前記第2回転軸は、前記第3長尺部材の前記第3外面の先端方向への延長線と、前記第4長尺部材の前記第4外面の先端方向への延長線との交点に位置することを特徴とする。
【0020】
また、本発明においては、前記第1ブレードの前記第1回転軸と前記第2ブレードの前記第2回転軸とを同一軸線上に配置させた際に、前記第1ブレードの前記第1外面と前記第1外面のなす角度に合致するように前記第2ブレードの前記第3外面と前記第4外面のなす角度を調整した場合、前記第1ブレードの前記第1外面と前記第2ブレードの前記第3外面とが同一平面上に存在すると共に、前記第1ブレードの前記第2外面と前記第2ブレードの前記第4外面とが同一平面上に存在し、前記第1ブレードの前記基部第2側面と前記第2ブレードの前記第1側面とを一致させた際に、前記第1ブレードの前記先端部に前記第2ブレードが干渉しない位置関係にあることを特徴とする。
【0021】
このとき、前記第1回転軸と前記第2回転軸の位置を合わせるための位置合わせ手段を有しており、前記位置合わせ手段は、前記第1ブレードに形成されて前記第1回転軸と平行の第1貫通孔と、前記第2ブレードに形成されて前記第2回転軸に平行の第2貫通孔とからなり、前記第1回転軸と前記第2回転軸とが同一軸線状に位置するとき、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが互いに合致して連通することが好ましい。
【0022】
また、本発明において、前記第1ブレードと前記第2ブレードとを所定の位置で連結する連結機構を有し、前記連結機構は、前記第1長尺部材と前記第3長尺部材とを接続し、又は、前記第2長尺部材と前記第4長尺部材とを接続することを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記第1ブレードの前記基部第2側面と前記第2ブレードの前記第1側面とを一致させた状態において、前記第1ブレードの前記先端部第1側面と前記第1ブレードの前記先端部第2側面のなす距離が、前記第1ブレードの前記基部第1側面と前記第2ブレードの前記第2側面のなす距離よりも狭いことを特徴とする。
【0024】
また、本発明において、前記第2ブレードの前記第2角度調整部材が備える前記レール部は、前記第2ブレードの後端部に位置する第1レール部と、前記第1レール部よりも先端側に位置する第2レール部とで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の開大装置は、上記の構成によって、骨の切り込みの内面を比較的大きな面積で支持して骨の切り込みを開大することができ、骨の切り込みを開大を維持した状態で適切なスペーサーを挿入するエリアを容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態の開大装置の第1ブレードを示す側面図。
図2】第1ブレードを開いた状態を示す側面図。
図3】第1ブレードの平面図。
図4】第1ブレードへのスケール部材の取り付け状態を示す斜視図。
図5】スケール部材の側面図。
図6】本実施形態の開大装置の第2ブレードを示す側面図。
図7】第2ブレードを開いた状態を示す側面図。
図8】第2ブレードの平面図。
図9】第1ブレードと第2ブレードとを併設した側面図。
図10】第1ブレードと第2ブレードとを共に開いた状態を示す側面図。
図11】第1ブレードと第2ブレードとを併設した平面図。
図12】連結状態の第1ブレードと第2ブレードとの要部を示す説明図。
図13】連結部材を示す側面図。
図14】第1ブレードの使用状態を示す説明図。
図15】第1ブレード及び第2ブレードの使用状態を示す説明図。
図16】第1ブレードの他の使用状態を示す説明図。
図17】第2ブレードの変形例とその作動を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の開大装置は、骨切り術により骨に形成された切り込みを開大させるものであり、図1及び図2に示す第1ブレード1を備えている。第1ブレード1は、ステンレスやチタン、チタン合金等の金属によって形成された第1長尺部材2と第2長尺部材3とを備えている。
【0028】
第1長尺部材2は、骨の切り込みの一方の切断端面に接する第1外面4を有している。第2長尺部材3は、骨の切り込みの他方の切断端面に接する第2外面5を有している。
【0029】
第1外面4と第2外面5との夫々には、骨との接触時の滑りを防止する微細な凹凸からなる滑り止め部6が形成されている(図3参照)。なお、滑り止め部6は図示するもの以外に、綾目状の溝でもよく、或いは長尺方向の溝でもよい。
【0030】
第1長尺部材2と第2長尺部材3との先端は、互いにヒンジ7を介して回転自在に連結されている。ヒンジ7は、先端部にピンを挿入して連結しているが、ピン等を用いずにフックとフックの受け部のように第1長尺部材2と第2長尺部材3とを直接連結していてもよい。ヒンジ7の軸心は、本発明における第1回転軸に相当する。
【0031】
第1長尺部材2と第2長尺部材3との後端側には、第1角度調整部材8が設けられている。第1角度調整部材8は、第1長尺部材2に回転自在に保持された第1コマ部9と、第2長尺部材3に回転自在に保持された第2コマ部10と、両コマ部9,10に螺合して貫通する第1シャフト11とを備えている。
【0032】
第1シャフト11は、第1コマ部9に螺合する一方側半部のネジ山が順ネジとされ、第2コマ部10に螺合する他方側半部のネジ山が逆ネジとされている(ネジ山は図示省略)。第1シャフト11を、ドライバー等の回転工具により回転操作することで、ヒンジ7を介して第1長尺部材2と第2長尺部材とを互いに離反・接近する方向へ移動(開閉)することができるようになっている。図1は第1長尺部材2と第2長尺部材3とが閉じた状態を示しており、図2は第1長尺部材2と第2長尺部材3とが開いた状態を示している。
【0033】
第1角度調整部材8は、第1シャフト11の回転により、第1外面4と第2外面5とのなす角度を調整しつつ、第1長尺部材2と第2長尺部材3との開閉動作を行う。この開閉動作による第1外面4と第2外面5とのなす角度は、指針突起12が示す帯状の目盛表示板13の目盛により測定可能となっている。目盛表示板13は、第2長尺部材3と一体に設けた例を示しているが、着脱自在に設けてもよい。
【0034】
なお、本発明における第1角度調整部材の構成は、これに限るものではなく、例えば、第1長尺部材2と第2長尺部材3との何れか一方にから他方へ向かってネジを延設し、ジャッキアップするように構成してもよいし、スプレッダーの先端でジャッキアップするような構成でも良い。
【0035】
第1長尺部材2と第2長尺部材3とは、先端から後端にわたって漸次厚くなる楔形状となっている。第1長尺部材2と第2長尺部材3とは、図1のように閉じた状態でテーパ角度θ1は小さい方が望ましい。一方、このテーパ角度θ1が小さすぎると、特に第1長尺部材2と第2長尺部材3とを図2のように開いたときに、第1長尺部材2や第2長尺部材3が撓み易くなる。
【0036】
これらのことから、テーパ角度θ1は3°~7°の範囲内に設定することが好ましい。そして、図1のように第1長尺部材2と第2長尺部材3とを閉じた状態において、テーパ角度θ1は、先端から55~75mm程度の位置まで維持することが好ましい。これにより、第1ブレード1の先端から骨の切り込みへの挿入を円滑に行うことができる。
【0037】
また、第1ブレード1の先端の幅寸法は、大きすぎると骨を回転する際の骨のヒンジ部中心から離れてしまうため、2~6mm程度であることが望ましい。
【0038】
さらに、第1ブレード1は、図3に示すように、後端から先端方向に向かって延びる基部14と、基部よりも短い先端部15とを備えている。
【0039】
先端部15は、ヒンジ7の軸線に直交して一方の側縁に形成された先端部第1側面16と、ヒンジ7の軸線に直交して他方の側縁に形成された先端部第2側面17とを備えている。基部14は、ヒンジ7の軸線に直交して先端部第1側面16に連なる基部第1側面18と、ヒンジ7の軸線に直交して先端部第2側面17に連なる基部第2側面19とを備えている。
【0040】
先端部第1側面16と先端部第2側面17との間の幅寸法(先端部の幅寸法A)は、基部第1側面18と基部第2側面19との間の幅寸法Bよりも大きい。先端部第2側面17と基部第2側面19のなす距離Cは、先端部第1側面16と基部第1側面18のなす距離(本実施形態では0mm)よりも大きい。先端部15の幅寸法は、基部14に向かって漸次小さく(狭く)なっている。
【0041】
具体的には、先端部第1側面16と先端部第2側面17との間の幅寸法Aは、12~22mmであることが好ましく、基部第1側面18と基部第2側面19との間の幅寸法Bは、9~14mmであることが好ましい。また、先端部15の長さ寸法は5~25mmであることが好ましい。
【0042】
基部第1側面18と基部第2側面19との間の幅寸法Bが14mmを超えると、骨が小さい場合に人工骨等を挿入するスペースが確保できないおそれがある。また、先端部第1側面16と先端部第2側面17との間の幅寸法Aが22mmを超えていたり、先端部15の長さ寸法が25mmを超えていたりすると、骨の切り込み内から取り外す際にスペーサーに干渉するおそれがある。よって、上記の寸法範囲とすることが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態においては、図3に示すように、先端部第1側面16と基部第1側面18のなす距離は0mmであるが、これに限らず、先端部第1側面16と基部第1側面18はオフセットしていてもよい。
【0044】
また、図4に示すように、第1ブレード1にスケール部材20を取り付けてもよい。スケール部材20は、図5に示すように、スライド方向に延びる横スケール部21と、横スケール部21の前端部に起立する縦スケール部22と、縦スケール部22の下端に突出して骨に当接する当接部23とを備えている。
【0045】
第1ブレード1にスケール部材20を取り付けることにより、第1ブレード1を骨の切り込みに挿入するとき、当接部23が骨に当接して前進する第1ブレード1と相対的に横スケール部21が後退し、第1ブレード1の挿入寸法を計測することができる。さらに、縦スケール部22によって骨の切り込みの開大寸法を計測することができる。
【0046】
なお、スケール部材20に図示しない測定デバイスを追加することにより、挿入寸法を手元側(基端側)で読み取れるようにしてもよいし、第1ブレード1の側面にスケール部を設け、直接挿入量を読み取れるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態の開大装置は、図6図8に示す第2ブレード24を備えている。第2ブレード24は、詳細は後述するが、図9図11に示すように、第1ブレード1に併設して用いることができる。
【0048】
図6に示すように、第2ブレード24は、ステンレスやチタン、チタン合金等の金属によって形成された第3長尺部材25と第4長尺部材26とを備えている。
【0049】
第3長尺部材25は、骨の切り込みの一方の切断端面に接する第3外面27を有している。第4長尺部材26は、骨の切り込みの他方の切断端面に接する第4外面28を有している。
【0050】
図6及び図8に示すように、第3外面27と第4外面28との夫々には、骨との接触時の滑りを防止する微細な凹凸からなる滑り止め部29が形成されている。なお、滑り止め部29は図示するもの以外に、綾目状の溝でもよく、或いは長尺方向の溝でもよいことは第1ブレード1と同様である。
【0051】
図6及び図7に示すように、第4長尺部材26の後端側には2つの円弧レール部(第1円弧レール部30、第2円弧レール部31)が設けられている。第1円弧レール部30は本発明における第1レール部であり、第2円弧レール部31は本発明における第2レール部である。
【0052】
第1円弧レール部30は第3長尺部材25の前側案内部32を案内し、第2円弧レール部31は第3長尺部材25の後側案内部33を案内する。これにより、第3長尺部材25と第4長尺部材26とは、2つの円弧レール部の円弧に沿って開閉される。
【0053】
本実施形態においては、第4長尺部材26に第1円弧レール部30と第2円弧レール部31との両方を設けている。第1円弧レール部30と第2円弧レール部31とは、一方を第3長尺部材25に設け、他方を第4長尺部材26に設けることも可能である。
【0054】
しかし、本実施形態のように、第4長尺部材26に第1円弧レール部30と第2円弧レール部31との両方を設けることで、第1円弧レール部30と第2円弧レール部31との延出方向を揃えることができ、軟部への干渉を最小限に抑えることができる。
【0055】
また、第2円弧レール部31には、第3外面27と第4外面28とのなす角度を計測するための目盛が設けられており、第3長尺部材25と第4長尺部材26との開き過ぎを防止するストッパ34が設けられている。
【0056】
第3長尺部材25と第4長尺部材26との開大可能な角度を過剰に大きくすると、第1円弧レール部30と第2円弧レール部31とが共に長くなり、軟部組織に干渉しやすくなる。このため、第3長尺部材25と第4長尺部材26との開大可能な角度を15~25°程度までとなるように調整されていることが好ましい。
【0057】
第3長尺部材25と第4長尺部材26との開閉動作は、第2角度調整部材35により行われる。第2角度調整部材35は、第3長尺部材25に回転自在に保持された第3コマ部36と、第4長尺部材26に回転自在に保持された第4コマ部37と、両コマ部36,37に螺合して貫通する第2シャフト38とを備えている。
【0058】
第2シャフト38は、第3コマ部36に螺合する一方側半部のネジ山が順ネジとされ、第4コマ部37に螺合する他方側半部のネジ山が逆ネジとされている(ネジ山は図示省略)。第2シャフト38を、ドライバー等の回転工具により回転操作することで、第3長尺部材25と第4長尺部材とを互いに離反・接近する方向へ移動(開閉)することができるようになっている。
【0059】
なお、本発明における第2角度調整部材の構成は、これに限るものではなく、第1角度調整部材同様に、例えば、第3長尺部材25と第4長尺部材26との何れか一方から他方へ向かってネジを延設し、ジャッキアップするように構成してもよいし、スプレッダーの先端でジャッキアップするような構成でも良い。
【0060】
第2ブレード24は、図6に示すように、先端から後端にわたって漸次厚くなる略楔形状に形成されている。そして、第2ブレード24は、図7に示すように、第3長尺部材25と第4長尺部材26との先端にはヒンジを備えていない。
【0061】
第2ブレード24は、図6に示すように、第3外面27と第4外面28の中間平面上に仮想回転軸39が存在する。第1円弧レール部30と第2円弧レール部31とは、仮想回転軸39を中心とする同心円上に存在する。この位置関係により、第3長尺部材25と第4長尺部材26とは、図7に示すように、精度よく開閉される。仮想回転軸39は、本発明における第2回転軸に相当する。
【0062】
第1円弧レール部30は、第2角度調整部材35よりも前側に配設されており、第2円弧レール部31は、第2角度調整部材35よりも後側に配設されている。
【0063】
第2角度調整部材35よりも前側の第1円弧レール部30のみを設けた場合には、第3長尺部材25と第4長尺部材26とはその先端が閉じる方向への開大力が大きく伝わり易い。一方、第2角度調整部材35よりも後側の第2円弧レール部31のみを設けた場合には、第3長尺部材25と第4長尺部材26とはその先端が開く方向への開大力が大きく伝わり易い。このため、レール部材の幅によっては仮想回転軸39を中心とした開閉が行われないおそれがある。
【0064】
よって、第2角度調整部材35の前後側の夫々に第1円弧レール部30と第2円弧レール部31とを配設したことにより、第3長尺部材25と第4長尺部材26とに対して開大力を均等に伝達させることができ、仮想回転軸39を中心とした第3長尺部材25と第4長尺部材26との開閉動作を高精度に行うことができる。
【0065】
また、第2ブレード24は楔形状であることは上述の通りであるが、これによって、第3長尺部材25と第4長尺部材26との何れの形状も楔形状とされている。第3長尺部材25と第4長尺部材26とは、図6のように閉じた状態でテーパ角度θ2は小さい方が望ましい。一方、このテーパ角度θ2が小さすぎると、特に第3長尺部材25と第4長尺部材26とを図7のように開いたときに、第3長尺部材25や第4長尺部材26が撓み易くなる。
【0066】
これらのことから、テーパ角度θ2は3°~7°の範囲内に設定することが好ましい。そして、図6のように第3長尺部材25と第4長尺部材26とを閉じた状態において、テーパ角度θ2は、仮想回転軸39から55~75mm程度の位置まで維持することが好ましい。仮想回転軸39から第2ブレード24の先端までの距離は20~40mm程度が好ましい。この距離が小さいと、第1ブレード1の先端部と干渉したり、第3長尺部材25や第4長尺部材26が先端部で曲がってしまうおそれがある。
【0067】
また、第2ブレード24は、図8に示すように、その幅方向の両側に仮想回転軸39に直交する第1側面40と第2側面41と有している。第1側面40と第2側面41との間の幅寸法は、小さ過ぎると骨の支持性が損なわれてしまい、大き過ぎるとスペーサーを挿入する際に邪魔になるおそれがある。このため、第1側面40と第2側面41との間の幅寸法は、6~12mm程度が好ましい。
【0068】
また、第1ブレード1の後端には、後方へ延びる連結部42を介して打ち込み部43が設けられている。打ち込み部43は連結部42よりも大経であり、第1ブレード1を骨内に挿入するときに、打ち込み部43を介して打ち込み操作する。
【0069】
次に、第1ブレード1と第2ブレード24との併設状態について説明する。本実施形態の開大装置は、図9図11に示すように、第1ブレード1と第2ブレード24とを併設して用いることができる。
【0070】
図9に示すように、第1ブレード1と第2ブレード24とは、第1長尺部材2の側方に第3長尺部材25を位置させ、第2長尺部材3の側方に第4長尺部材26を位置させることによって、図11に示すように併設状態となる。
【0071】
このとき、第1ブレード1のヒンジ7の軸心(第1回転軸)と第2ブレード24の仮想回転軸39(第2回転軸)とを一致させる。これにより、図9に示すように、第1ブレード1が閉じた状態で、第1長尺部材2の第1外面4と第3長尺部材25の第3外面27とが同一平面上(平行)に位置し、第2長尺部材3の第2外面5と第4長尺部材26の第4外面28とが同一平面上(平行)に位置する。
【0072】
そして、第1ブレード1と第2ブレード24とを骨の切り込みに挿入するとき、図10に示すように、第1ブレード1と第2ブレード24とは、第1長尺部材2の第1外面4と第2長尺部材3の第2外面5とのなす角度と、第3長尺部材25の第3外面27と第4長尺部材26の第4外面28とのなす角度とを同一とすることで、段差が発生することなく骨の切り込みへの挿入及び開大を円滑に行うことができる。
【0073】
また、図9に示すように、第1ブレード1と第2ブレード24とには、第1ブレード1のヒンジ7の軸心(第1回転軸)と第2ブレード24の仮想回転軸39(第2回転軸)とを同一軸線上に位置させるための位置合わせ手段として、貫通孔(第1貫通孔44、第2貫通孔45)が形成されている。
【0074】
第1貫通孔44は、第1ブレード1のヒンジ7の軸心(第1回転軸)と平行に形成されており、第2貫通孔45は、第2ブレード24の仮想回転軸39(第2回転軸)と平行に形成されている。そして、第1貫通孔44と第2貫通孔45とを一致させたとき、第1ブレード1のヒンジ7の軸心(第1回転軸)と第2ブレード24の仮想回転軸39(第2回転軸)とが同一軸線上に位置する。なお、貫通孔(第1貫通孔44や第2貫通孔45)は、円形に限らず、半欠け形状(一部が欠損したような形状)であったり、楕円形状や四角形等の形状であっても良い。
【0075】
第1ブレード1と第2ブレード24は金属製のため、X線では透過しないが、貫通孔44,45はX線が透過するため、第1ブレード1と第2ブレード24の貫通孔44,45が重なっているかどうかは手術中にレントゲン写真を撮影することで判別することができる。よって、貫通孔44,45が仮に皮膚等の軟部組織に覆われていても確認することが可能となる。
【0076】
また、レントゲン写真の貫通孔44,45の形状と実際の貫通孔44,45の形状が相似する場合、X線の照射方向に対して開大装置(第1ブレード1と第2ブレード24)が垂直に設置できていることが判別できるため、開大装置が傾いて挿入されているかどうかを確認することができるという利点がある。
【0077】
また、第1ブレード1と第2ブレード24とは、左右の足の骨に対して上下を回転して使用することで、左右専用のものを用意することなく両足で使用することが可能となる。
【0078】
なお、貫通孔(第1貫通孔44、第2貫通孔45)を基準とする以外に、図示しないが、マーキングにて位置を調整できるようにしてもよい。
【0079】
また、図11に示すように、第1ブレード1の基部第2側面19と第2ブレード24の第1側面40とを密着させた状態(一致させた状態)のときには、第1ブレード1の先端部第1側面16と先端部第2側面17との間の幅寸法Aは、第1ブレード1の基部第1側面18と第2ブレード24の第2側面41のなす距離E(第1ブレード1の基部の幅寸法Aと第2ブレード24の幅寸法Dとの合計寸法)よりも狭い。これによれば、第1ブレード1と第2ブレード24との干渉を少なくすることができる。
【0080】
更に、第1ブレード1の先端部15の幅寸法Aが基部14に向かって漸次小さく(狭く)なっていることにより、第1ブレード1を抜く際に先端部15と第2ブレード24が干渉するのを最小限に抑えることが可能となる。同様に第2ブレード24の先端付近は幅が漸次的に狭まっていると良く、厚みも先端に向かって漸次的に薄くなっていると良い。
【0081】
第2ブレード24の後端は第1ブレード1の後端よりも先端側に位置することが好ましい。そうすることで、想定される通常の使用方法において、第2ブレード24の後方にスペーサーを挿入するため、その操作の邪魔になりにくい。骨への埋入量を考慮すると、第2ブレード24の全長は75~105mm程度であるとよい。また、図8に示すように第2ブレード24の基端は前方の幅が漸次狭くなっているとスペーサーが干渉し難い。
【0082】
また、図11に示すように、第1ブレード1、第2ブレード24の幅寸法は骨形態及び操作性の観点から、7mm≦「第2ブレード24の第1側面40と第2側面41のなす距離」<「第1ブレード1の基部第1側面18と基部第2側面19のなす距離」<「第1ブレード1の先端部第1側面16と先端部第2側面17のなす距離」≦21mmといった関係を満たすことが好ましい。第1ブレード1の基部14の幅寸法よりも第2ブレード24の幅寸法が小さいことで、第1ブレード1を骨から取り除いた際にスペーサーを挿入するスペースが確実に確保できる。
【0083】
第1ブレード1と第2ブレード24とは、図12に示すように、連結部材46(連結機構)により接続状態とすることができる。連結部材46は、図13に示すように、第2ブレード24(又は第1ブレード1)に固定する固定ピン部47と、固定ピン部47と平行に延びて第1貫通孔44と第2貫通孔45とに挿着する接続ピン部48とを備えている。
【0084】
なお、連結部材46は、第1ブレード1や第2ブレード24とは別体であってもよいが、第1ブレード1又は第2ブレード24に一体に設けられていてもよい。また、本実施形態では、接続ピン部48を貫通孔44,45に差し込む連結部材46を示したが、これ以外に、図示しないが、貫通孔をネジ穴とし、そのネジ穴にネジを挿入して固定する構成であってもよい。
【0085】
第1ブレード1と第2ブレード24とを連結部材46にて連結しておくことで、手術中に第1ブレード1と第2ブレード24の位置を調整する必要がなくなる。例えば、第1ブレード1のヒンジ7の軸心(第1回転軸)と第2ブレード24の仮想回転軸39(第2回転軸)とが同一軸線上に位置するように調整されていると良い。
【0086】
また、第1ブレード1と第2ブレード24とを連結することで、前述した打ち込み部43を打ち込み操作するだけで第1ブレード1と第2ブレード24とを一緒に骨内に挿入することが可能となる。
【0087】
第1ブレード1の打ち込み部43は、打ち込み部43よりも小径の(細い)連結部42を介して設けられていることにより、連結部42をペンチ等で挟んで抜く場合に打ち込み部43が支えとなる。
【0088】
打ち込み部43は図3等に示したように、第1ブレード1の基部の幅寸法Bと同じか少し細くてもよい。そうすることで第1ブレード1を単独で使用する際に打ち込み部43が邪魔にならない。また、打ち込み部43を設置した状態で第1ブレード1の全長は軟部組織に干渉しないよう120~155mm程度となることが好ましい。軟部組織との干渉を考慮し、打ち込み部43や連結部42は第1ブレード1から取り外せるように設けられていてもよい。
【0089】
以上の構成による開大装置は、第1ブレード1と第2ブレード24とを状況に応じて選択して用い、或いは組み合わせて用いることで、骨の切り込みの開大及びスペーサの挿入作業を円滑に行うことができる。
【0090】
即ち、図14Aに示すように、骨Wの切り込みに第1ブレード1を挿入して開大させた状態でスペーサSを挿入する。このとき、第1ブレード1の先端部15は、比較的広い面積を骨Wの切断面に当接させるので、安定した開大状態を維持することができる。
【0091】
そして、第1ブレード1の先端部15よりも幅寸法が小さい基部14によって形成される空間にスペーサSを挿入する。その後、図14Bに示すように、後方にオフセットさせながら第1ブレード1を骨Wの切り込み内から取り外す。このとき、第1ブレード1の形状によりスペーサSに干渉することなく第1ブレード1を円滑に取り外すことができる。
【0092】
第1ブレード1と第2ブレード24とを一緒に骨Wの切り込みに挿入すると、図15Aに示すように、より広い面積で骨Wの切断端面に当接して開大することができる。このとき、第1ブレード1の先端部は第2ブレード24の先端よりも先にあるため、第2ブレード24は第1ブレード1の先端部と干渉することなく開閉できる。
【0093】
第1ブレード1を骨Wの切り込みに挿入した後、第2ブレード24を骨Wの切り込みに挿入するときには、第2ブレード24は骨Wの切り込みに挿入するに先立って第1ブレード1の開大角度と同一の角度まで開いてから、所定位置まで挿入してもよい。第2ブレード24の挿入量を確認するために第2ブレード24の側面に仮想回転軸39(第2回転軸)からの寸法を示すスケール部が設けられていても良い。本スケール部は取り外しができても良い。
【0094】
そして、第1ブレード1を取り外して第2ブレード24によって骨Wの開大状態を維持することができ、図15Bに示すように、第1ブレード1を取り外して形成された空間にスペーサSを円滑に挿入設置することができる。
【0095】
第2ブレード24が開大した状態で、第2ブレード24を残して骨Wの切り込みから第1ブレード1を抜き取る際には、第2ブレード24の先端に開大に伴う空隙が形成されるので、第1ブレード1の先端部15を、第2ブレード24の先端の空隙を通過させるようにして抜き取ればよく、場合によっては第1ブレード1を後方に回転させる等の操作を不要として容易に抜き取ることができる。
【0096】
また、第1ブレード1は、図15Aに示すように、先端部15の張り出す側をは内方に向けて使用されるのが一般であるが、図16に示すように、先端部15の向きを変えることで、支持位置を変更させることができる。これにより、骨Wの切り込みの状態等に、容易に対応させることができ、円滑な開大操作を行ってスペーサの挿入設置を行うことができる。
【0097】
なお、第2ブレード24の仮想回転軸39は、図17に示すように、第3外面27の先端方向への延長線と、第4外面28の先端方向への延長線との交点に設定してもよい。このとき、第1円弧レール部30及び第2円弧レール部31の内接円の中心を仮想回転軸39に一致させる。
【0098】
仮想回転軸39を、第3外面27の先端方向への延長線と、第4外面28の先端方向への延長線との交点に設定することにより、第3長尺部材25及び第4長尺部材26の開閉時の回転中心と仮想回転軸39とは常に一致する。
【0099】
骨を開大した際に骨の回転中心は常に一定であり、その回転中心と仮想回転軸39、即ち、第1円弧レール部30及び第2円弧レール部31の内接円の中心を一致させた状態で開大操作を行えば、骨の開大角度を精確に測定することができ、スペーサーのサイズ選定を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0100】
1…第1ブレード
2…第1長尺部材
3…第2長尺部材
4…第1外面
5…第2外面
7…ヒンジ(第1回転軸)
8…第1角度調整部材
14…基部
15…先端部
16…先端部第1側面
17…先端部第2側面
18…基部第1側面
19…基部第2側面
24…第2ブレード
25…第3長尺部材
26…第4長尺部材
27…第3外面
28…第4外面
30…第1円弧レール部(第1レール部)
31…第2円弧レール部(第2レール部)
35…第2角度調整部材
39…仮想回転軸(第2回転軸)
40…第1側面
41…第2側面
44…第1貫通孔(位置合わせ手段)
45…第2貫通孔(位置合わせ手段)
46…連結部材(連結機構)

【要約】      (修正有)
【課題】骨の切り込みの内面を比較的大きな面積で支持することができ、骨の開大を維持して適切なスペーサーを挿入するエリアを容易に確保することができる開大装置を提供する。
【解決手段】第1外面4を有する第1長尺部材2と第2外面を有する第2長尺部材3と、第1外面4と第2外面のなす角度を調整しながら第1長尺部材2に対して第2長尺部材3を回転させる第1角度調整部材とからなる第1ブレードは、基部と先端部を有する。先端部は先端部第1側面16と先端部第2側面17を有し、基部14は基部第1側面18と基部第2側面19を有する。先端部第1側面16と先端部第2側面17との間の幅寸法Aは、基部第1側面18と基部第2側面19との間の幅寸法Bよりも大きく、先端部第2側面17と基部第2側面19のなす距離Cは、先端部第1側面16と基部第1側面18のなす距離よりも大きい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17