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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】シールドセグメント用継手部材
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
E21D11/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017254790
(22)【出願日】2017-12-28
(62)【分割の表示】P 2017253545の分割
【原出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019090300
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2017034918
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017238175
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511025411
【氏名又は名称】株式会社NejiLaw
(73)【特許権者】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-224991(JP,A)
【文献】特開2011-012495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製のプレキャスト被接合部材の接合面から突出される突出部と、
上記プレキャスト被接合部材に埋設される受部と、
上記プレキャスト被接合部材に埋設され、上記突出部と上記受部を接続する連結部とを具えるシールドセグメント用継手部材であって、
対となる他の継手部材と組み合わせることで、二つの上記プレキャスト被接合部材をこれらの上記接合面同士を対向させた状態で接続し得、
上記受部は、上記他の継手部材の突出部を挿入可能な開口部を具え、上記他の継手部材の突出部を上記接合面の直角方向に抜け出ないように保持し、
上記突出部は、上記接合面の直角方向に抜け出ないように、上記他の継手部材の受部の開口部に挿入されて保持され、
上記受部は、側壁に上記他の継手部材の突出部の側面と係合し得る第一の係合部を有し、
上記突出部は、側面に上記他の継手部材の受部の内側面と係合し得る第二の係合部を有し、
上記第一の係合部は、上記他の継手部材の挿入方向に向かって、上記受部の対向する側壁の内面の幅が漸次縮小するように形成されていることを特徴とするシールドセグメント用継手部材。
【請求項2】
前記第一の係合部及び前記第二の係合部は、前記接合面に対して傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシールドセグメント用継手部材。
【請求項3】
前記突出部は、一対の側面を有し、該側面間の距離が最小となる首部を、接合方向の少なくとも一部に、有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシールドセグメント用継手部材。
【請求項4】
前記第一の係合部及び前記第二の係合部は、複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のシールドセグメント用継手部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製のプレキャスト部材同士を互いに接合する継手、特に、二つの部材を接合面に平行に動かして接合するのに適したシールドセグメント用継手部材に関する。
【背景技術】
【0002】
二つの部材を接合する方法として接合面に対して傾斜したボルトによる方法が知られている。例えば、特許文献1には、一方の部材に雌ねじを形成し、他方の部材にはボルトを貫通させる孔部とナットを固定するための空間を形成し、二つの部材をボルトにより結合する方法が記載されている(特許文献1の段落0004、図18)。
【0003】
特許文献2には、一方の部材にはメス型のコーンを、他方の部材にはオス型のコーンをそれぞれ設け、接合面に平行な方向に両部材を移動させてメス型のコーンとオス型のコーンを嵌合させる方法が記載されている(特許文献2の段落0004、図6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-236348号公報
【文献】特開2015-137525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の傾斜したボルトによる継手では、二つの部材が正確に位置決めされた状態を維持しながらボルトの締結をしなければならず、施工が煩雑であるという問題があった。
【0006】
特許文献2に記載のメス型のコーンとオス型のコーンを組み合わせた継手を用いると、二つの部材の接合面を当接させた状態で接合面の方向にスライドさせることにより二つの部材を結合することができるため、傾斜したボルトを用いた場合に比べると施工性が良い。しかし、メス型のコーンとオス型のコーンという形状の異なる部品が必要となるため、製造コストや部品管理コストが大きくなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明では、組立性や施工性が良く安価なシールドセグメント用継手部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の継手部材は、コンクリート製のプレキャスト被接合部材の接合面から突出される突出部と、上記プレキャスト被接合部材に埋設される受部と、上記プレキャスト被接合部材に埋設され、上記突出部と上記受部を接続する連結部とを具えるシールドセグメント用継手部材であって、対となる他の継手部材と組み合わせることで、二つの上記プレキャスト被接合部材をこれらの上記接合面同士を対向させた状態で接続し得、上記受部は、上記他の継手部材の突出部を挿入可能な開口部を具え、上記他の継手部材の突出部を上記接合面の直角方向に抜け出ないように保持し、上記突出部は、上記接合面の直角方向に抜け出ないように、上記他の継手部材の受部の開口部に挿入されて保持され、上記受部は、側壁に上記他の継手部材の突出部の側面と係合し得る第一の係合部を有し、上記突出部は、側面に上記他の継手部材の受部の内側面と係合し得る第二の係合部を有し、上記第一の係合部は、上記他の継手部材の挿入方向に向かって、上記受部の対向する側壁の内面の幅が漸次縮小するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組立性や施工性が良く安価なシールドセグメント用継手部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるシールドセグメント用継手部材の形状を示す図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図である。
図2】(A)~(C)は、シールドセグメント用継手部材による接合手順を示す図である。
図3】シールドセグメント用継手部材のシールドへの適用を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係るシールドセグメント用継手部材の係合部を説明する図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシールドセグメント用継手部材の係合部の他の例を説明する図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態であるシールドセグメント用継手部材(以下、単に「継手部材」と称する)1について説明する。図1は継手部材1の形状を説明する図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図である。以後の説明を簡単にするため、図1(A)の矢印で示したように、紙面の左右方向を挿入方向、紙面の上下方向を接合方向、紙面に垂直な方向を奥行き方向と呼ぶことにする。
【0012】
継手部材1は、他の継手部材と組み合わされて、被接合部材100の接合面101と他の被接合部材の接合面を当接させた状態で接合するための継手を構成する。以下、本発明における他の継手部材は図示の継手部材1と略同一の構造であるとして説明する。
【0013】
継手部材1は、被接合部材100の接合面101から接合方向負の向きに突出する突出部10と、被接合部材100に埋設される受部20と、被接合部材100に埋設され突出部10と受部20を接続する接続部30を備えている。更に継手部材1は、受部20の内面と突出部10に係合部が形成されるが、係合部については後述する。この実施形態では、継手部材1は鍛造によって形成されたものであり、突出部10、受部20、接続部30は鍛造によって一体に形成されているが、鍛造以外の方法、例えば、鋳造や切削、三次元造形、放電加工、溶接による貼り合わせ等で形成することが可能である。
【0014】
突出部10は、その全体が接合面101から突出している。即ち接合面101が突出10と接続部30との境界となっている。図1(B)、(C)に示すように、挿入方向に垂直な平面で切った場合の突出部10の断面形状は上縁12が下縁11よりも小さい台形形状であり、この断面形状は挿入方向に一定である。端面13と端面14は挿入方向に対して垂直である。即ち、突出部10の立体的な形状は、奥行き方向の幅が接合面に対向する側の端面から接合面側の端面に向かって漸次減少する一軸くさび形状である。なお、端面13と端面14は挿入方向に対して傾斜させたり、凹凸を設けたりしても良い。
【0015】
受部20は、接合方向の端面の一方の接合方向の位置が接合面101と一致するように被接合部材100に埋設されている。受部20は、二つの側壁21と天部22を備え、図1(A)の右側の端面は開口部23となっており、この開口部23から他の継手部材の突出部を挿入可能となっている。そして、二つの側面21、天部22、開口部23、開口部23に対向する端面24aにより画定される空間は、開口部23から挿入された他の継手部材の突出部を収容する収容部24となっている。収容部24の挿入方向に垂直な面で切った断面形状は、上縁23aの幅が突出部10の下縁11の幅と等しく、下縁23bの幅が突出部10の上縁12の幅と等しい台形形状であり、この断面形状は挿入方向に一定である。また、収容部24の挿入方向の長さは、突出部10の同方向の長さとほぼ等しくなっている。即ち、収容部24の形状は、他の継手部材の突出部の形状とほぼ同一であり、収容部24は他の継手部材の突出部を完全に収容し得る。なお、受部20の接合方向の端面の一方の接合方向の位置は接合面101と一致しないようにすることもできる。
【0016】
受部20に他の継手部材の突出部が挿入された状態で、接合面に引張力が作用した場合には、他の継手部材の突出部は二枚の側板21を押し広げて抜け出そうとするが、側板21は自身の剛性の他、収容部24の端面24aと天部22によって支持されると共に、被接続部材100により拘束されているので、抜け出すことができない。勿論、側板21は肉厚を厚くして強度向上させるという方法以外に、側板21の外側にリブやフランジ等の補強手段を設けて増強することで、側板21が内側から押し広げられることを防止するように構成してもよい。
【0017】
接続部30は略直方体状の部材で、被接合部材100に埋設されているが、勿論これには限定されていない。接続部30の挿入方向の一方の端面31には受部20が、接合方向の一方の端面32には突出部10が接続されている。突出部10の端面14と収容部24端面24aの挿入方向の位置は、接続部30の端面31と一致する位置関係になっている。この例では、接続部30の形状を、製造を容易にするために直方体としているが、突出部10と受部20を概ね上記のような位置関係で接続し、また、接合時に他の継手部材の突出部により押圧される際の荷重に耐えることができれば、他の形状としてもよい。
【0018】
継手部材1の材料は、所望の強度、製造コスト、被接続部材100が使用される環境条件等に応じて種々のものを使用することができる。
【0019】
製造コストの観点からは、他の継手部材は継手部材1と同一の形状であることが望ましいが、接続部品1と機能的に同等の突出部、受部、連結部とを備え、他の継手部材の受部は、接合面と略平行な方向から継手部材1の突出部10を挿入可能な開口部と、挿入された突出部10を接合面から接合方向に抜け出さないように保持できる形状の収容部とを備えていれば、形状が異なっていてもよい。また、他の継手部材と継手部材1は素材が異なっていても良い。
【0020】
次に、図2を参照して継手部材1を用いた部材の接合方法について説明する。図2では、既設の部材である被接合部材100aに対して被接合部材100bを接合することを想定している。被接合部材100aには図1の継手部材1と同形状の継手部材1aが、被接続部材100bには図1の継手部材1と同形状の継手部材1bがそれぞれ固定されている。継手部材1aの突出部10aは接合面101aから、継手部材1bの突出部10bは接合面101bから、それぞれ突出している。
【0021】
また、被接合部材100aの継手部材1aに挿入方向に隣接する位置には空間102aが、被接合部材100bの継手部材1bに挿入方向に隣接する位置には空間102bが、それぞれ設けられている。この空間102a、102bは突出部10b、10aを収容でき、接合面101a、101bから突出部10b、10aを接合方向に挿入できる形状とする。
【0022】
まず、図2(A)に示すように、被接合部材100bを接合面101bが被接合部101aと対向し、突出部10bと空間102aの挿入方向の位置が一致するように被接合部材100aの近傍に配置する。
【0023】
この状態から、図2(A)の矢印Aのように、被接合部材100bを被接合部材100aの方向に移動させ、接合面100aと接合面100bを当接させ、図2(B)に示す状態とする。突出部10aは空間102bに、突出部10bは空間102aにそれぞれ収容されている。
【0024】
次に、接合面101aと接合面101bを当接させた状態で、被接合部材100bを図2(B)の矢印Bの方向に移動させ、図2(C)に示すように突出部10bが受部20aに、突出部10aが受部20bにそれぞれ収容されるようにする。前述のように、受部20a(20b)は、突出部10b(10a)が接合方向に抜け出さないように保持できる形状となっているので、継手部材1aは他の継手部材1bと組み合わされて継手7を構成することができる。
【0025】
なお、本発明の一実施形態に係る継手部材1は、事前に設置されたプレキャストコンクリート製の被接合部材同士の間に被接合部材をはめ込む場合に、各被接合部材の接合面を挿入方向に対して所定の角度だけ傾斜させることで適用することができる。具体的な例としては、シールド工法に使用するリング部材を形成する際の、周方向に接合済のセグメント群に対して最後のセグメントを接合してリング部材を完成させる工程を挙げることができる。
【0026】
継手部材1によれば、受部20は他の継手部材の突出部を挿入可能な開口部23と、挿入された他の継手部材の突出部を収容し接合面から接合方向に抜け出さないように保持できる受部20を備えている。そのため、二つ被接合部材の接合面を当接させて二つの接合部材を挿入方向に相対的に移動させるだけで容易に接合することができる。
【0027】
継手部材1は突出部10と受部20を接続する接続部30を備え、一体の部品として構成されている。そのため、被接続部材100に容易に取り付けることができる。
【0028】
継手部材1によれば、突出部10も他の継手部材の受部に挿入され接合面から抜け出さないように保持され、係合箇所が二つ形成される。そのため、強固な継手を形成することができる。
【0029】
継手部材1によれば、突出部10と連結部30は、接合面を跨いで配置されている。そのため、継手部材1の様に構成された継手は、接合方向に沿った引張力に抵抗するだけでなく、接合面に対する剪断力に抵抗することもできる。
【0030】
図3に、本発明の継手部材1を地中にトンネルを構築するシールド工法に適用した例を示す。シールド工法においては、工場等で予め製作したセグメント81、82を周方向に接合してリング83を製作し、このリング83を軸方向に順次接続してトンネル80を構築する。セグメント82は、最後に接合されるセグメントで、接合面がトンネルの軸方向に対して僅かに傾斜している。図3では短い直線で記号的に示したセグメントの周方向の継手84、85に本発明を好適に用いることができる。
【0031】
上記に説明した本発明の構成要素は、矛盾の無い限り相互に組み合わせて実施することができる。また、本発明の一実施形態の継手部材を適用する被接合部材の、材質、形状には限定がなく、接合面同士を当接させて接合する場合であればどのようなプレキャストによるコンクリート製の部材にも適用することができる。材質としては、例えば、コンクリート、金属、合成樹脂、木材等に適用することができる。被接続部材の形状としては、例えば、板状、柱状、ブロック状等の同種のもの同士或いは異なる種類の部材の接合に適用することができる。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係る継手部材の係合部を説明する図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。本発明の一実施形態に係る継手部材200は、例えば、図4(A)~(E)に示すように、受部224の対向する側壁221a、221bの内面と、受部224に挿入された他の継手部材の突出部210の奥行き方向側の側面211a、211bとは、他の継手部材が接合方向及び/又は挿入方向に抜け出さないように係合する係合部271a、271b、272a、272bを有する。尚、本発明の一実施形態に係る継手部材では、必ずしも対抗する面の両方に係合部を有する必要はなく、受部224内面の一の面に係合部が形成されていても良いし、対向しない複数の面に係合部が形成されていても良い。
【0033】
係合部271a、271b、272a、272bは、例えば、直方体状、三角形状、或いは円弧状(勿論、これらの形状に限定されることはなく、他の多角形状や不定形な形状でも良い)の凹部及び/又は凸部を有し、受部224側の係合部271a、271bと、他の継手部材の突出部210側の係合部272a、272bとが、他の継手部材の突出部210を受部224に挿入した時に係合されるように設計することができる。
【0034】
また、係合部271a、271b、272a、272bは、図4(B)、(D)に示すように、受部224に対する他の継手部材の突出部210の挿入方向が接合面201に対して傾斜するように形成されていても良い。このように、係合部271a、271b、272a、272bを接合面201に対して傾斜させて形成することにより、継手の挿入方向及び接合方向の両方の引張強度(引抜強度)を向上させることができる。勿論、係合部が挿入方向に対して平行に形成される態様も除外されるわけではない。
【0035】
また、係合部271a、271b、272a、272bは、他の継手部材の挿入方向に向かって受部224の対向する側壁の内面の幅が漸次縮小するように形成しても良い。すなわち、受部224側の係合部271a、271bの(開口部側の幅W1)>(挿入方向奥側の端面の幅W2)となるように、係合部271a、271b、272a、272bを形成しても良い。例えば、係合部の縁部をテーパー状に形成しても良い。テーパー形状は、例えば、突出部210側の係合部272a、272bが、受部224への挿入方向の開口部側から奥側の端面へとかけて係合部間の幅が狭まるように形成し、受部側の係合部271a、271bは、突出部210側の係合部272a、272bと係合するように形成することができる。このようにすることで、一方の係合部の縁部を他方の係合部の縁部に確実に当接させて三次元的な位置決めを可能とし、挿入方向の荷重に対してもある程度抵抗できるという効果が得られる。勿論、係合部以外の箇所も同様の構造となっていても良い。
【0036】
また、突出部210は、接合方向の少なくとも一部に、平行な側面273a、273bを有しその幅が最小となる首部274を有していても良い。平行な側面273a、273bを有する首部274を備えることにより、接合方向の荷重に対して受部224が外側に広がるのを防止することができる。また、この他にも、受け部224の隅等応力が集中し易い箇所については丸み面取りや傾斜面取り等を行っても良い。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係る継手部材の係合部の他の例を説明する図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は左側面図、(D)は底面図、(E)は右側面図である。本発明の一実施形態に係る継手部材300は、図5(A)~(E)に示すように、係合部371、372が複数形成(a,a,・・・,a,b,b,・・・,b)されている形態としても良い。係合部を複数形成することにより、受部324に他の接手部品の突出部310が挿入された際に、各々の係合部371、372(a,a,・・・,a,b,b,・・・,b)が係合するため、継手の挿入方向及び接合方向の両方の引張荷重に対する応力を多段に分散することができ、嵌合部をよりコンパクトな大きさに設定することができる。複数の係合部は、図5(A)に示すように、連続して形成されていても良いし、間隔をあけて形成されていても良い。また、各係合部の形状は同一及び/又は相似形であっても良いし、一部が異なっていても良い。勿論、対応する係合部(例えば、受部324側の係合部371aと対応する突出部310側の係合部372a(i=1,2,・・・,n))は係合可能な形状とする。
【0038】
図5に示す本発明の一実施形態においても、図4の例と同様に、各係合部は、受部324に対する他の継手部材の突出部310の挿入方向が接合面301に対して傾斜するように形成されていても良いし、各係合部は、他の継手部材の挿入方向に向かって受部324の対向する側壁321a、321bの内面の幅が漸次縮小するように形成しても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 継手部材、10 突出部、20 受部、23 開口部、24 収容部、100 被接合部材、101 接合面
図1
図2
図3
図4
図5