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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】フリーピストン型スターリング冷凍機
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221110BHJP
   F25B 9/14 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H02M7/48 E
F25B9/14 510Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019237378
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106471
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】株式会社ツインバード
(72)【発明者】
【氏名】井上 峰幸
(72)【発明者】
【氏名】小田 清貴
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296136(JP,A)
【文献】特開2009-062853(JP,A)
【文献】特開2012-005257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
F25B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、このケーシング内に設けられるシリンダと、このシリンダ内を往復動可能に設けられるピストンと、このピストンを往復動させるリニアモータと、前記ピストンの往復動に伴って前記シリンダ内を往復動するディスプレイサーと、前記リニアモータの動作を制御する制御手段とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機において、
前記制御手段が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータへ供給するインバータ回路と、このインバータ回路から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路とを有すると共に、この検流回路のサンプリング頻度の下限値が、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に3回以上であることを特徴とするフリーピストン型スターリング冷凍機。
【請求項2】
前記検流回路のサンプリング頻度の下限値が、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回であることを特徴とする請求項1記載のフリーピストン型スターリング冷凍機。
【請求項3】
前記検流回路のサンプリング頻度の下限値が、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回であることを特徴とする請求項2記載のフリーピストン型スターリング冷凍機。
【請求項4】
前記検流回路のサンプリング頻度の下限値が、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり5回以上であることを特徴とする請求項3記載のフリーピストン型スターリング冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーピストン型スターリング冷凍機に関するものであり、特に、ピストンがインバータ回路から供給される交流電流によって駆動されるフリーピストン型スターリング冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフリーピストン型スターリング冷凍機としては、ケーシングと、このケーシング内に設けられるシリンダと、このシリンダ内を往復動可能に設けられるピストンと、このピストンを往復動させるリニアモータと、前記ピストンの往復動に伴って前記シリンダ内を往復動するディスプレイサーと、前記リニアモータの動作を制御する制御手段とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなフリーピストン型スターリング冷凍機は、前記リニアモータに交流電流を供給することで前記ピストンを往復動させると共に、このピストンの往復動に伴って前記ディスプレイサーを往復動させている。なお、前記ピストンの駆動周波数が商用電源周波数と同じであるとは限らないので、商用電源からの電流を整流した直流電流を用いて、或いは直流電源からの電流を用いて、インバータ回路によって所定の周波数の交流電流を作り出し、前記リニアモータに供給するのが一般的である。そして、前記インバータ回路から出力される交流電流の電流値を検知し、この検知結果に基づいて、制御回路によって前記インバータ回路をフィードバック制御していた。なお、図13に示すように、この電流値のサンプリング頻度が多いほど、出力される交流電流の波形や振幅を精度良く算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-337551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、交流電流の電流値のサンプリング頻度が過大であると、データ量が多くなり、これに伴って演算数も増加するという問題があった。また、交流電流の波形が理想的な正弦波に対し歪んだ場合、回転モータであれば回転ムラが表れるが、リニアモータの動作で往復動するピストンによって作動流体の圧力変動があるスターリング冷凍機の場合、交流電流の波形が理想的な正弦波に対し多少歪んでも、実用上の動作に大きな影響がないことが分かった。従って、このようなスターリング冷凍機の場合、交流電流値のサンプリング頻度が過多であると、電流波形を精密にトレースできるものの、データ量が増加することで演算量が増加し、制御系のコストアップに繋がるという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、単純で安価な手段で動作を制御することができるフリ
ーピストン型スターリング冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のフリーピストン型スターリング冷凍機は、ケーシングと、このケーシング内に設けられるシリンダと、このシリンダ内を往復動可能に設けられるピストンと、このピストンを往復動させるリニアモータと、前記ピストンの往復動に伴って前記シリンダ内を往復動するディスプレイサーと、前記リニアモータの動作を制御する制御手段とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機において、前記制御手段が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータへ供給するインバータ回路と、このインバータ回路から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路とを有すると共に、この検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に3回以上とするものである。
【0007】

また、本発明の請求項2に記載のフリーピストン型スターリング冷凍機は、請求項1において、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のフリーピストン型スターリング冷凍機は、請求項において、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回とするものである。
【0009】
更に、本発明の請求項4に記載のフリーピストン型スターリング冷凍機は、請求項において、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり5回以上とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載のフリーピストン型スターリング冷凍機は、以上のように構成することにより、1サイクル当たり、極大値と極小値と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御系を単純化することができる。
【0011】
なお、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回とすることで、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリングを同位相とすることができるので、少ないサンプリング数でもより正確に前記スターリング冷凍機を制御することができる。
【0012】
また、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回とすることで、偶数回の場合に比べて、サンプリング点の位相ずれによる正弦波形の面積に対する近似波形の面積比の相違を低く抑えることができるので、サンプリング点の位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0013】
更に、前記検流回路のサンプリング頻度の下限値を、前記インバータ回路が出力する交流電流の1サイクル当たり5回以上とすることで、サンプリング点の位相ずれによる正弦波形の面積に対する近似波形の面積比の相違が0.2%未満となり無視できるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点の位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態を示すフリーピストン型スターリング冷凍機の断面図である。
図2】同、制御回路のブロック図である。
図3】同、理想的な事例における検出電流を示す説明図である。
図4】同、実際の事例における検出電流を示す説明図である。
図5】同、実際の事例で且つ近似波形面積の正弦波形面積に対する割合が最大となる事例における検出電流を示す説明図である。
図6】本発明の第二の実施形態を示すフリーピストン型スターリング冷凍機の、理想的な事例における検出電流を示す説明図である。
図7】同、実際の事例で且つ近似波形面積の正弦波形面積に対する割合が最大となる事例における検出電流を示す説明図である。
図8】本発明の第三の実施形態を示すフリーピストン型スターリング冷凍機の、理想的な事例における検出電流を示す説明図である。
図9】同、実際の事例で且つ近似波形面積の正弦波形面積に対する割合が最大となる事例における検出電流を示す説明図である。
図10】本発明の第四の実施形態を示すフリーピストン型スターリング冷凍機の理想的な事例における検出電流を示す説明図である。
図11】同、実際の事例で且つ近似波形面積の正弦波形面積に対する割合が最大となる事例における検出電流を示す説明図である。
図12】本発明の第五の実施形態を示すフリーピストン型スターリング冷凍機の検出電流を示す説明図である。
図13】従来のサンプリング頻度で電流値を検出した事例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図5に基づいて説明する。1は本発明のフリーピストン型スターリング冷凍機である。このスターリング冷凍機1は、金属製のケーシング2を有する。そして、このケーシング2は、第一ケーシング体3と第二ケーシング体4とを有する。前記第一ケーシング体3は、小径円筒状に形成された円筒部5と、基端が開放した大径部6とを有して一体に形成される。そして、前記円筒部5は、閉塞された先端部7と、中間部8と、基部9とを有する。また、前記大径部6は、略円形の突曲面状に形成された一端面部10と、短円筒状の側面部11とを有する。同様に、前記第二ケーシング体4は、円筒状の側面部12と、略円形の突曲面状に形成された他端面部13とを有する。そして、前記大径部6と前記第二ケーシング体4とで、円筒状の胴部14が形成される。
【0016】
前記円筒部5の内部には、前記胴部14の内部まで延びるシリンダ15が、前記円筒部5に対して同軸的に挿入されて設けられる。即ち、前記シリンダ15の中心軸線Xは、前記円筒部5の中心軸線Xと一致する。そして、前記シリンダ15は金属を用いて成形される。そして、前記シリンダ15の先端側の内側には、ディスプレイサー16が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。また、このディスプレイサー16の先端と前記円筒部5の先端部7の間には膨張室Eが形成され、隙間17によって前記シリンダ15の内外が連通される。また、前記中間部8において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に再生器18が設けられると共に、前記基部9において、前記シリンダ15の内外を連通する連通孔19が前記シリンダ15自体に形成される。また、前記円筒部5の先端部7の内周と前記シリンダ15の先端外周との間には、吸熱フィン20が設けられると共に、前記再生器18と連通孔19の間において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に排熱フィン21が設けられる。そして、前記シリンダ15の内部先端から隙間17、吸熱フィン20、再生器18、排熱フィン21、連通孔19を通って前記シリンダ15内の圧縮室Cに至る経路22が形成される。更に、前記胴部4内において、前記シリンダ15の基部側の内側には、ピストン23が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。そして、このピストン23の基端部は、リニアモータ24に対して同軸的に連結される。なお、このリニアモータ24は、接続体25によって前記ピストン23の基端に接続されて前記シリンダ15の基端側の外周に同軸状に延設された短筒状の枠26と、この枠26の一端に固定された円筒状の永久磁石27と、この永久磁石27の外周に近接して設けられた環状の電磁コイル28とを有して構成される。
【0017】
また前記ピストン23に枠26を接続させる接続体25には、前記ピストン23の動作を制御するための第一の板バネ29が接続される。さらに、前記ディスプレイサー16の基端側に、このディスプレイサー16の動作を制御するためのロッド30の一端が接続されると共に、このロッド30の他端に、第二の板バネ31が接続される。なお、前記ロッド30は、前記ピストン23の中心を貫通して中心軸線X方向に延びる。また、前記第一及び第二の板バネ29,31は、前記胴部14内において前記シリンダ15の基端側の外部に配置されると共に、前記第一の板バネ29よりも第二の板バネ31が前記シリンダ15の基端側から離れた位置に配置される。
【0018】
なお、図1における32は、前記第二ケーシング体4の他端面部13に設けられた振動吸収ユニットであり、前記シリンダ15の中心軸線Xと同軸となるように配置された取付部33及びこの取付部33に接続される接続部34を介して、同軸状に板バネ35とバランスウエイト36が重なるように配置される。
【0019】
図2は前記スターリング冷凍機1の電気系統の簡単なブロック図である。この電気系統は、電源37と制御手段38とを有する。前記電源37は、直流電源である。なお、この直流電源は、電池等であっても良く、また、交流電源と整流回路であってもよい。また、前記制御手段38は、インバータ回路39と、検流回路40と、制御回路41とを有する。前記インバータ回路39は、前記電源37からの直流電流を所定の周波数の交流電流に変換して前記リニアモータ24の電磁コイル28に供給するものである。また、前記検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される電流を断続的に検知するものである。更に、前記制御回路41は、前記検流回路40が検知した電流値Iに基づいて前記インバータ回路39からの出力を制御するものである。
【0020】
そして、前記構成により、前記インバータ回路39が形成した交流電流を前記電磁コイル28に流すと、この電磁コイル28から交番磁界が発生し、この交番磁界によって、前記永久磁石27を中心軸線X方向に往復動させる力が生じる。この力によって、前記永久磁石27を固定した枠26に接続されたピストン23が、前記シリンダ15内を中心軸線X方向に往復動する。このため、前記ピストン23が前記ディスプレイサー16に近づく方向に移動すると、前記ピストン23とディスプレイサー16との間に形成された圧縮室C内の気体が圧縮されて、前記連通孔19、排熱フィン21、再生器18、吸熱フィン20、隙間17を通り、前記ディスプレイサー16の先端と円筒部5の先端部7の間に形成された膨張室Eに至ることで、前記ディスプレイサー16が前記ピストン23に対して所定の位相差をもって押し下げられる。一方、前記ピストン23が前記ディスプレイサー16から遠ざかる方向に移動すると、前記圧縮室Cの内部が負圧となり、前記膨張室E内の気体が前記膨張室Eから前記隙間17、吸熱フィン20、再生器18、排熱フィン21、連通孔19を通って前記圧縮室Cに還流することで、前記ディスプレイサー16が前記ピストン23に対して所定の位相差をもって押し上げられる。このような工程中において二つの等温変化と等体積変化とからなる可逆サイクルが行われることによって、前記膨張室Eの近傍は低温となり、一方、前記圧縮室Cの近傍は高温となる。
【0021】
図3乃至図5において、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。前記インバータ回路39から前記リニアモータ24の電磁コイル28に供給される交流電流は、前記検流回路40によって検知される。この検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される周波数fの交流電流の1サイクル当たり、3回のサンプリング頻度で電流値Iを検出する。ここで、前記インバータ回路39から出力される交流電流が理想的な正弦波であると仮定する(以下の実施形態でも同様とする)。また、これらの3回のサンプリングが行われるサンプリング点SPは、時間的に等間隔(2π/3f)に設定される。図3に示すような理想的な場合では、電流のゼロクロス点で一回、プラス側の半波で一回、マイナス側の半波で一回電流値Iを検出することができる。この場合の近似波形Wfaの波形面積Aa(図3における斜線部分)の正弦波形Wfsの波形面積Asに対する面積比(以降、単に面積比という。以下の実施形態でも同様とする。)約68.02%であり、最小となる。
【0022】
なお、実際の電流値Iの測定では、ゼロクロス点で電流検知できるとは限らず、図4図5のように、サンプリング点SPが所定の位相ずれる可能性がある。図4は、サンプリング点SPの位相がπ/12遅れた場合であり、図5はサンプリング点SPの位相がπ/6遅れた場合である。そして、図4の場合、波形面積Asに対する波形面積Aaの面積比は約69.09%である。また、図5の場合、波形面積Asに対する波形面積Aaの面積比は約69.81%であり、この図5の場合に面積比が最大となる。そして、本実施形態の場合、最小面積比と最大面積比の差は、約1.80%である。
【0023】
従って、本実施形態では、前記検流回路40で検出される電流値Iによって、交流電流の波形面積を約68.02%~69.81%の範囲で算出することができる。即ち、算出された交流電流の波形面積を約68.02%~69.81%の範囲で除することで、交流電流の波形面積(交流電流の平均値)を大まかに算出することができる。そして、このようにして得られた交流電流の平均値に基づいて、前記制御回路41が前記インバータ回路39を制御する。
【0024】
なお、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される周波数fの交流電流の1サイクル当たり、2π/3f間隔でサンプリング点SPを3点設定するので、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができる。これによって、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。また、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、サンプリング点SPを奇数点設定するので、サンプリング点の位相がずれた場合における最小面積比と最大面積比の差を小さくすることができる。なお、サンプリング点SPの数を奇数とすることで、最小面積比と最大面積比の差が小さくなる理由についての考察は、後述する。これによって、サンプリング点SPの位相ずれによる面積比の相違を実用上ほぼ無視できるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0025】
以上のように本発明は、ケーシング2と、このケーシング2内に設けられるシリンダ15と、このシリンダ15内を往復動可能に設けられるピストン23と、このピストン23を往復動させるリニアモータ24と、前記ピストン23の往復動に伴って前記シリンダ15内を往復動するディスプレイサー16と、前記リニアモータ24の動作を制御する制御手段38とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機1において、前記制御手段38が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータ24へ供給するインバータ回路39と、このインバータ回路39から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路40を有すると共に、この検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に3回としたことで、1サイクル当たり、極大値と極小値(振幅の両端)と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御手段38を安価で且つ単純化することができる。
【0026】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回である3回とすることで、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができるので、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。
【0027】
更に本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回である3回とすることで、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積Asと波形面積Aaの面積比の相違を小さくできるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0028】
次に、本発明の第二の実施形態について、図1図2、及び図6図7に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるスターリング冷凍機1の構造は、第一の実施形態におけるそれと同一であるので、ここでは制御についてのみ説明する。図6及び図7において、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。インバータ回路39からリニアモータ24の電磁コイル28に供給される周波数fの交流電流は、検流回路40によって検知される。この検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、4回のサンプリング頻度で電流値Iを検出する。また、これらの4回のサンプリングが行われるサンプリング点SPは、時間的に等間隔(π/2f)に設定される。図6に示すような理想的な場合では、電流の二つのゼロクロス点、及び振幅の両端で電流値Iを検出することができる。この場合の波形面積Asと波形面積Aaの面積比は約78.54%であり、最小となる。
【0029】
なお、実際の電流値Iの測定では、ゼロクロス点及び振幅の両端で電流検知できるとは限らず、図7のような、サンプリング点SPが所定の位相ずれる可能性がある。図7はサンプリング点SPの位相がπ/4遅れた場合である。そして、図7の場合、波形面積Asと波形面積Aaの面積比は約83.30%であり、最大となる。そして、本実施形態の場合、最小面積比と最大面積比の差は、約4.76%である。
【0030】
従って、本実施形態では、前記検流回路40で検出される電流値Iによって、交流電流の波形面積を約約78.5%~83.3%の範囲で算出することができる。即ち、算出された交流電流の波形面積を約78.5%~83.3%の範囲で除することで、交流電流の波形面積(交流電流の平均値)を大まかに算出することができる。そして、このようにして得られた交流電流の平均値に基づいて、前記制御回路41が前記インバータ回路39を制御する。
【0031】
なお、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される周波数fの交流電流の1サイクル当たり、π/2f間隔でサンプリング点SPを4点設定するので、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができる。これによって、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。また、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、サンプリング点SPを偶数点設定するので、交流電流の各サイクルにおけるプラス側の波形とマイナス側の波形とでサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルのプラス側とマイナス側のサンプリング点SPを同位相とすることができる。これによって、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。
【0032】
以上のように本発明は、ケーシング2と、このケーシング2内に設けられるシリンダ15と、このシリンダ15内を往復動可能に設けられるピストン23と、このピストン23を往復動させるリニアモータ24と、前記ピストン23の往復動に伴って前記シリンダ15内を往復動するディスプレイサー16と、前記リニアモータ24の動作を制御する制御手段38とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機1において、前記制御手段38が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータ24へ供給するインバータ回路39と、このインバータ回路39から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路40を有すると共に、この検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に4回としたことで、1サイクル当たり、極大値と極小値(振幅の両端)と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御手段38を安価で且つ単純化することができる。
【0033】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回である4回とすることで、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができるので、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。
【0034】
次に、本発明の第三の実施形態について、図1図2、及び図8図9に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるスターリング冷凍機1の構造は、上記各実施形態におけるそれと同一であるので、ここでは制御についてのみ説明する。図8及び図9において、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。インバータ回路39からリニアモータ24の電磁コイル28に供給される周波数fの交流電流は、検流回路40によって検知される。なお、この検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、5回のサンプリング頻度で電流値Iを検出する。これらの5回のサンプリングが行われるサンプリング点SPは、時間的に等間隔(2π/5f)に設定される。図8に示すような理想的な場合では、電流のゼロクロス点で一回、プラス側の半波で二回、マイナス側の半波で二回電流値Iを検出することができる。この場合の波形面積Asと波形面積Aa面積比は約87.46%であり、最小となる。
【0035】
なお、実際の電流値Iの測定では、ゼロクロス点で電流検知できるとは限らず、図9のように、サンプリング点SPが所定の位相ずれる可能性がある。図9は、サンプリング点SPの位相がπ/10遅れた場合である。そして、図9の場合、波形面積Asと波形面積Aaの面積比は約87.61%であり、この図9の場合に面積比が最大となる。そして、本実施形態の場合、最小面積比と最大面積比の差は、約0.16%である。
【0036】
従って、本実施形態では、前記検流回路40で検出される電流値Iによって、交流電流の波形面積を約87.46%~87.61%の範囲で算出することができる。なお、本実施形態の場合、サンプリング点SPの位相ずれによる面積比の差が理論上0.2%未満なので、実用上、サンプリング点SPの位相ずれを考慮する必要はない。即ち、単純に約87.5%で除すればよい。そして、このようにして得られた交流電流の平均値に基づいて、前記制御回路41が前記インバータ回路39を制御する。
【0037】
なお、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される周波数fの交流電流の1サイクル当たり、2π/5f間隔でサンプリング点SPを5点設定するので、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができる。これによって、少ないサンプリング数でも正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。また、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、サンプリング点SPを奇数点設定するので、サンプリング点の位相がずれた場合における最小面積比と最大面積比の差を小さくすることができる。これによって、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0038】
以上のように本発明は、ケーシング2と、このケーシング2内に設けられるシリンダ15と、このシリンダ15内を往復動可能に設けられるピストン23と、このピストン23を往復動させるリニアモータ24と、前記ピストン23の往復動に伴って前記シリンダ15内を往復動するディスプレイサー16と、前記リニアモータ24の動作を制御する制御手段38とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機1において、前記制御手段38が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータ24へ供給するインバータ回路39と、このインバータ回路39から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路40を有すると共に、この検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に5回としたことで、1サイクル当たり、極大値と極小値(振幅の両端)と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御手段38を安価で且つ単純化することができる。
【0039】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回である5回とすることで、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができるので、少ないサンプリング数でもより正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。
【0040】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回である5回とすることで、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積Asと波形面積Aaの面積比の相違を小さくできるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0041】
更に本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり5回とすることで、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積Asと波形面積Aaの面積比の相違を無視できるほど小さくできるので、少ないサンプリング点SPの数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0042】
次に、本発明の第四の実施形態について、図1図2、及び図10図11に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるスターリング冷凍機1の構造は、上記各実施形態におけるそれと同一であるので、ここでは制御についてのみ説明する。図10及び図11において、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。インバータ回路39からリニアモータ24の電磁コイル28に供給される周波数fの交流電流は、検流回路40によって検知される。なお、この検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、7回のサンプリング頻度で電流値Iを検出する。これらの7回のサンプリングが行われるサンプリング点SPは、時間的に等間隔(2π/7f)に設定される。図10に示すような理想的な場合では、電流のゼロクロス点で一回、プラス側の半波で三回、マイナス側の半波で三回電流値Iを検出することができる。この場合の波形面積Asと波形面積Aaの面積比は約93.45%であり、最小となる。
【0043】
なお、実際の電流値Iの測定では、ゼロクロス点で電流検知できるとは限らず、図11のように、サンプリング点SPが所定の位相ずれる可能性がある。図11は、サンプリング点SPの位相がπ/14遅れた場合である。そして、図11の場合、波形面積Asと波形面積Aaの面積比は約93.48%であり、この図11の場合に面積比が最大となる。そして、本実施形態の場合、最小面積比と最大面積比の差は、約0.04%である。
【0044】
従って、本実施形態では、前記検流回路40で検出される電流値Iによって、交流電流の波形面積を約93.45%~93.48%の範囲で算出することができる。なお、本実施形態の場合、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積の差が理論上約0.04%なので、実用上、サンプリング点SPの位相ずれを考慮する必要はない。即ち、単純に中央値である約93.47%で除すればよい。或いは、既に実際の数値の93%以上の値が算出されているので、実用上、この数値を用いても良い。そして、このようにして得られた交流電流の平均値に基づいて、前記制御回路41が前記インバータ回路39を制御する。
【0045】
なお、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される周波数fの交流電流の1サイクル当たり、2π/7f間隔でサンプリング点SPを7点設定するので、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができる。これによって、少ないサンプリング数でもより正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。また、前記検流回路40が、前記インバータ回路39から出力される交流電流の1サイクル当たり、サンプリング点SPを奇数点設定するので、サンプリング点の位相がずれた場合における最小面積比と最大面積比の差を無視できるほど小さくすることができる。これによって、サンプリング点SPの位相ずれによる面積比の相違を無視できるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0046】
以上のように本発明は、ケーシング2と、このケーシング2内に設けられるシリンダ15と、このシリンダ15内を往復動可能に設けられるピストン23と、このピストン23を往復動させるリニアモータ24と、前記ピストン23の往復動に伴って前記シリンダ15内を往復動するディスプレイサー16と、前記リニアモータ24の動作を制御する制御手段38とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機1において、前記制御手段38が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータ24へ供給するインバータ回路39と、このインバータ回路39から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路40を有すると共に、この検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり等間隔に7回としたことで、1サイクル当たり、極大値と極小値(振幅の両端)と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御手段38を安価で且つ単純化することができる。
【0047】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり整数回である7回とすることで、交流電流の各サイクルのサンプリング数を同数とし、且つ各サイクルでのサンプリング点SPを同位相とすることができるので、少ないサンプリング数でもより正確に前記スターリング冷凍機1を制御することができる。
【0048】
また本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり奇数回である7回とすることで、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積Asと波形面積Aaの面積比の相違を小さくできるので、少ないサンプリング数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0049】
更に本発明は、前記検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の1サイクル当たり7回とすることで、サンプリング点SPの位相ずれによる波形面積Asと波形面積Aaの面積比の相違を無視できるほど小さくできるので、少ないサンプリング点SPの数で且つサンプリング点SPの位相を気にすることなく、容易に制御することができる。
【0050】
なお、これまでの実施形態、及びサンプリング点を増やしていった場合の正弦波Wfsの波形面積Asと近似波Wfaの波形面積Aaの面積比をまとめると、以下の表のようになる。
【0051】
【表1】
【0052】
この表によれば、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数が増加するほど、正弦波Wfsの波形面積Asと近似波Wfaの波形面積Aaの面積比が大きくなる。即ち、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数が増加するほど、波形面積Aaが波形面積Asに近づく。一方、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数が同じであっても、サンプリング点SPの位置が異なる場合、波形面積Asと波形面積Aaの面積比は異なる。この面積比の最大値と最小値の差は、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数が増加するほど小さくなる傾向がある。しかしながら、サンプリング点SPの数が奇数の場合、サンプリング点SPの数が偶数の場合よりも、面積比の最大値と最小値の差は小さい。例えば、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数が3の場合、面積比の最大値と最小値の差は1.80%であるが、1サイクルあたりのサンプリング点SPの数を4に増加させると、面積比の最大値と最小値の差は4.76%に広がる。1サイクルあたりのサンプリング点SPの数を5から6に増加させる場合も、面積比の最大値と最小値の差が0.16%から0.94%に広がる。
【0053】
これは、以下のように考える。即ち、サンプリング点SPの数が偶数の場合、面積比が最小の場合におけるサンプリング点SPをサンプリング点SPの間隔の1/2ずらした場合に、面積比が最大となる。例えば、サンプリング点SPの数が4の場合、面積比が最大となるのは、サンプリング点SPがt=0,π/2f,π/f,3π/2fの場合であり、間隔はπ/2fである。そして、面積比が最大となるのは、サンプリング点SPがt=π/4f,3π/4f,5π/4f,7π/4fの場合である。一方、サンプリング点SPの数が奇数の場合、面積比が最小の場合におけるサンプリング点SPをサンプリング点SPの間隔の1/4ずらした場合に、面積比が最大となる。例えば、サンプリング点SPの数が3の場合、面積比が最大となるのは、サンプリング点SPがt=0,2π/3f,4π/3fの場合であり、間隔は2π/3fである。そして、面積比が最大となるのは、サンプリング点SPがt=π/6f,5π/6f,9π/6fの場合である。(サンプリング点SPの位相をπ/3ずらすと、サンプリング点SPの位相をπずらすのと等価となり、面積比が最小となる。)即ち、サンプリング点SPが3の場合の方が、サンプリング点SPが4の場合に比べて、面積比が最小となる場合と最大となる場合の位相差が小さい。これが、サンプリング点SPが奇数の方が、面積比が最小となる場合と最大となる場合の差が小さい理由であると考える。
【0054】
次に、本発明の第五の実施形態について、図1図2、及び図12に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるスターリング冷凍機1の構造は、上記各実施形態におけるそれと同一であるので、ここでは制御についてのみ説明する。図12において、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。インバータ回路39からリニアモータ24の電磁コイル28に供給される周波数fの交流電流は、検流回路40によって検知される。なお、この検流回路40は、前記インバータ回路39から出力される交流電流の5サイクル当たり、36回のサンプリング頻度で電流値Iを検出する。即ち、1サイクル当たり7回から8回のサンプリングが行われる。これらの7~8回のサンプリングが行われるサンプリング点SPは、等間隔(5π/18f)に設定される。図12の場合の波形面積Asと波形面積Aaの面積比は、半波毎に約93.78%、93.88%、93.76%、93.88%、93.78%、93.78%、93.88%、93.76%、93.88%、93.78%…となり、これを繰り返す。図12の場合、面積Aaと面積Asの比は、平均で約93.82%となる。なお、実際の電流値の測定では、サンプリング点SPの何れか一つがゼロクロス点となるとは限らず、図12に対しサンプリング点SPが所定の位相ずれる可能性があるのは、上記各実施形態と同様である。
【0055】
以上のように本発明は、ケーシング2と、このケーシング2内に設けられるシリンダ15と、このシリンダ15内を往復動可能に設けられるピストン23と、このピストン23を往復動させるリニアモータ24と、前記ピストン23の往復動に伴って前記シリンダ15内を往復動するディスプレイサー16と、前記リニアモータ24の動作を制御する制御手段38とを有するフリーピストン型スターリング冷凍機1において、前記制御手段38が、所定の周波数の交流電流を作って前記リニアモータ24へ供給するインバータ回路39と、このインバータ回路39から出力される電流を断続的にサンプリングする検流回路40を有すると共に、この検流回路40のサンプリング頻度を、前記インバータ回路39が出力する交流電流の5サイクル当たり等間隔に36回としたことで、1サイクル当たり、極大値と極小値(振幅の両端)と二つのゼロクロス点という特異点を有する交流電流の大まかな平均値を算出するために最低限必要な情報を、少ないサンプリング数で得ることができ、これによって、制御手段38を安価で且つ単純化することができる。
【0056】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、サンプリング点SP同士を直線で繋いで三角形又は台形の集合として近似したが、電流値Iを高さ、サンプリング点SP同士の間隔を幅とする長方形の集合体として近似しても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 フリーピストン型スターリング冷凍機
2 ケーシング
15 シリンダ
16 ディスプレイサー
23 ピストン
24 リニアモータ
38 制御手段
39 インバータ回路
40 検流回路
41 制御回路
SP サンプリング点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13