(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】固体発生器動力源を備えたマイクロ波アプリケータ
(51)【国際特許分類】
H05B 6/64 20060101AFI20221110BHJP
H05B 6/70 20060101ALI20221110BHJP
H05B 6/68 20060101ALI20221110BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20221110BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H05B6/64 G
H05B6/70 E
H05B6/68 370
H05H1/46 B
H01L21/302 101D
(21)【出願番号】P 2019548750
(86)(22)【出願日】2018-01-16
(86)【国際出願番号】 US2018013845
(87)【国際公開番号】W WO2018169600
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-15
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モハマッド・カマレヒ
(72)【発明者】
【氏名】ケン・トレンホム
(72)【発明者】
【氏名】コリン・サンフォード
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ウェンゼル
(72)【発明者】
【氏名】オリビア・ケラー
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-080997(JP,A)
【文献】特開2015-079735(JP,A)
【文献】特許第6088690(JP,B1)
【文献】特開2013-069602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/64
H05B 6/70
H05B 6/68
H05H 1/46
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のパラメータによって特徴付けられるマイクロ波エネルギーを生成するための固体発生器であって、制御信号を受信して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させるための少なくとも1つの制御入力を有する固体発生器と、
前記マイクロ波エネルギーを受け取りかつ前記マイクロ波エネルギーに応じて効果を生じさせるためのマイクロ波負荷と、
前記マイクロ波エネルギーを前記マイクロ波負荷に結合させるためのマイクロ波伝導素子と、
前記マイクロ波伝導素子に結合され、前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータの少なくとも1つを変化させるためのインピーダンス整合調整装置と、
前記制御信号を生成して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを変化させるためのコントローラと
を備え、
前記固体発生器は、(i)独立して制御可能な周波数、位相及び/又は振幅を有する複数のマイクロ波増幅器であって、前記マイクロ波増幅器各々がそれぞれの複数の増幅されたマイクロ波信号の1つを生成する複数のマイクロ波増幅器と、(ii)前記複数の増幅されたマイクロ波信号を受信し、前記複数の増幅されたマイクロ波信号を結合して単一の結合したマイクロ波信号にし、前記単一の結合したマイクロ波信号を前記マイクロ波エネルギーとして前記マイクロ波負荷に適用するマイクロ波結合器とを備え、
前記マイクロ波エネルギーに応じて生じる前記効果が、前記制御信号を介した前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータの電気的変化と、前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータの少なくとも一つを変化させるための前記インピーダンス整合調整装置の調節との両方によって変更される、マイクロ波システム。
【請求項2】
前記マイクロ波伝導素子が導波管を備える、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項3】
前記インピーダンス整合調整装置が機械式スタブチューナを備える、請求項2に記載のマイクロ波システム。
【請求項4】
前記
機械式スタブチューナが複数のスタブを備える、請求項3に記載のマイクロ波システム。
【請求項5】
前記制御入力が前記制御信号を受信して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させるための電気制御入力である、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項6】
前記マイクロ波負荷がチャンバを備える、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項7】
前記チャンバが半導体基板の処理に使用される、請求項6に記載のマイクロ波システム。
【請求項8】
前記マイクロ波負荷は、熱が制御されるチャンバを備え、前記チャンバ内の熱が前記マイクロ波エネルギーに応答して生成された前記効果である、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項9】
前記チャンバが半導体基板の処理に使用される、請求項8に記載のマイクロ波システム。
【請求項10】
前記マイクロ波負荷が、前記マイクロ波エネルギーを使用してプラズマを生成させるようにプラズマアプリケータを備え、前記プラズマは前記マイクロ波エネルギーに応答して生成された前記効果である、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項11】
前記固体発生器を導波路に結合するための、同軸から導波路への移行部をさらに備える、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項12】
マイクロ波エネルギーを生成するための第2固体発生器をさらに備え、第1固体発生器のマイクロ波エネルギーは第1周波数を有し、第2固体発生器のマイクロ波エネルギーは第2周波数を有する、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項13】
前記第1固体発生器及び前記第2固体発生器の前記第1周波数及び第2周波数が異なる、請求項12に記載のマイクロ波システム。
【請求項14】
前記第1周波数及び第2周波数の一方が約915MHzであり、前記第1周波数及び第2周波数の他方が約2,450MHzである、請求項12に記載のマイクロ波システム。
【請求項15】
前記第1固体発生器及び前記第2固体発生器を前記マイクロ波伝導素子に結合するための、同軸から導波管への移行部をさらに備える、請求項12に記載のマイクロ波システム。
【請求項16】
マイクロ波エネルギーを生成するための第2固体発生器をさらに備え、第1固体発生器のマイクロ波エネルギーが第1位相を有し、第2固体発生器のマイクロ波エネルギーが第2位相を有する、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項17】
前記第1固体発生器及び前記第2固体発生器の前記第1位相及び前記第2位相が異なる、請求項16に記載のマイクロ波システム。
【請求項18】
前記固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の周波数合成器を備え、前記複数の周波数合成器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項19】
固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の増幅器を備え、前記複数の増幅器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項1に記載のマイクロ波システム。
【請求項20】
1以上のパラメータによって特徴付けられるマイクロ波エネルギーを与えるための固体発生器であって、制御信号を受信して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させるための少なくとも1つの電気制御入力を有する固体発生器と、
前記マイクロ波エネルギーを受け取るためのプラズマアプリケータであって、前記マイクロ波エネルギーに応答してプラズマを生成するプラズマ放電管と、前記プラズマ放電管の両端間に延在する前記プラズマ放電管の中心長手軸とを備え、前記プラズマ放電管で生成された前記プラズマが前記中心長手軸に沿って長手方向に分布し、かつ、前記中心長手軸から半径方向に、前記中心長手軸に対して垂直に、前記プラズマ放電管の放射状壁に向かって分布する空間プラズマ強度プロファイルを特徴とするプラズマアプリケータと、
前記プラズマ放電管から第1信号を受信し、前記第1信号を前記プラズマ放電管内の前記空間プラズマ強度プロファイルを示す電気信号に変換する検出器と、
前記プラズマ放電管内の前記空間プラズマ強度プロファイルを示す電気信号を受信し、前記電気信号から前記制御信号を生成して、前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させ、そして前記制御信号を前記固体発生器の前記制御入力に適用して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させて、前記プラズマ放電管内の空間プラズマ強度プロファイルを変更するコントローラと
を備え
、
前記固体発生器は、(i)独立して制御可能な周波数、位相及び/又は振幅を有する複数のマイクロ波増幅器であって、前記マイクロ波増幅器各々がそれぞれの複数の増幅されたマイクロ波信号の1つを生成する複数のマイクロ波増幅器と、(ii)前記複数の増幅されたマイクロ波信号を受信し、前記複数の増幅されたマイクロ波信号を結合して単一の結合したマイクロ波信号にし、前記単一の結合したマイクロ波信号を前記マイクロ波エネルギーとして前記プラズマアプリケータに適用するマイクロ波結合器とを備える、マイクロ波プラズマシステム。
【請求項21】
前記検出器が光学検出器であり、前記第1信号が光学信号である、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項22】
前記光学検出器がカメラを含む、請求項21に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項23】
前記検出器が温度検出器であり、前記第1信号が熱信号である、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項24】
前記温度検出器が熱電対を含む、請求項23に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項25】
前記マイクロ波エネルギーを前記プラズマ放電管に結合するための導波管と、前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータの少なくとも1つを機械的に変化させるための、導波管に結合された機械式チューナとをさらに備える、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項26】
前記機械式チューナがマイクロ波スタブチューナを含む、請求項25に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項27】
前記マイクロ波スタブチューナが複数のスタブを含む、請求項26に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項28】
前記機械式チューナが固定チューナである、請求項25に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項29】
前記機械式チューナが電動式バイナリチューナである、請求項25に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項30】
前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータが前記マイクロ波エネルギーの周波数を含む、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項31】
前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータが前記マイクロ波エネルギーの位相を含む、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項32】
前記固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の周波数合成器を備え、前記複数の周波数合成器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項33】
前記固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の増幅器を備え、前記複数の増幅器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項20に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項34】
1以上のパラメータによって特徴付けられるマイクロ波エネルギーを与えるための固体発生器であって、制御信号を受信して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させるための少なくとも1つの電気制御入力を有する固体発生器と、
前記マイクロ波エネルギーを受け取るためのプラズマアプリケータであって、前記マイクロ波エネルギーに応答してプラズマを生成するプラズマ放電管と、前記プラズマ放電管の両端間に延在する前記プラズマ放電管の中心長手軸とを備え、前記プラズマ放電管で生成された前記プラズマが前記中心長手軸に沿って長手方向に分布し、かつ、前記中心長手軸から半径方向に、前記中心長手軸に対して垂直に、前記プラズマ放電管の放射状壁に向かって分布する空間プラズマ強度プロファイルを特徴とするプラズマアプリケータと、
前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させる前記制御信号を生成し、前記制御信号を前記固体発生器の前記電気制御入力に適用して前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータを電気的に変化させて、前記プラズマ放電管内の空間プラズマ強度プロファイルを変更するコントローラとを備え、
前記固体発生器は、(i)独立して制御可能な周波数、位相及び/又は振幅を有する複数のマイクロ波増幅器であって、前記マイクロ波増幅器各々がそれぞれの複数の増幅されたマイクロ波信号の1つを生成する複数のマイクロ波増幅器と、(ii)前記複数の増幅されたマイクロ波信号を受信し、前記複数の増幅されたマイクロ波信号を結合して単一の結合したマイクロ波信号にし、前記単一の結合したマイクロ波信号を前記マイクロ波エネルギーとして前記プラズマアプリケータに適用するマイクロ波結合器とを備える、マイクロ波プラズマシステム。
【請求項35】
前記マイクロ波エネルギーを前記プラズマ放電管に結合するための導波管と、前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータの少なくとも1つを機械的に変化させるための、導波管に結合された機械式チューナとをさらに備える、請求項34に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項36】
前記機械式チューナがマイクロ波スタブチューナを含む、請求項35に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項37】
前記マイクロ波スタブチューナが複数のスタブを含む、請求項36に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項38】
前記機械式チューナが固定チューナである、請求項35に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項39】
前記機械式チューナが電動式バイナリチューナである、請求項35に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項40】
前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータが前記マイクロ波エネルギーの周波数を含む、請求項34に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項41】
前記マイクロ波エネルギーの前記1以上のパラメータが前記マイクロ波エネルギーの位相を含む、請求項34に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項42】
前記固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の周波数合成器を備え、前記複数の周波数合成器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項34に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【請求項43】
前記固体発生器が独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の増幅器を備え、前記複数の増幅器の出力を使用して前記マイクロ波エネルギーを生成する、請求項34に記載のマイクロ波プラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、「Microwave Applicator with Solid-State Generator Power Source」というタイトルの2017年3月16日に出願された米国特許出願第15/460,611号の優先権を主張する。この米国出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書において援用される。
【0002】
1.技術分野
本発明は、マイクロ波アプリケータに関し、特に、マイクロ波エネルギー源として固体発生器を利用するマイクロ波アプリケータに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の検討
半導体処理では、プラズマ発生器が処理チャンバの上流で使用されることが多い。プラズマ発生器では、典型的にはエネルギーがマイクロ波キャビティに配置されたプラズマ放電管を流れるガスに接続され、プラズマがマイクロ波エネルギーによってガス内で励起される。プラズマ生成物は、プラズマ放電管を通って下流に流れ、プロセスチャンバに入り、そして半導体ウェハなどのワークピースに衝突する。
【0004】
マイクロ波エネルギーは、様々な用途のためにプラズマを処理し、加熱し、生成する材料に非常に有用である。半導体及び他のプラズマ処理用途では、堆積、エッチング、クリーニング、アッシング、イオンビーム生成などの多くの用途において、強力なマイクロ波放電が重要である。多くの市販のシステムがマイクロ波処理に適している。しかし、既存のマイクロ波処理技術のほとんどは、マイクロ波エネルギーの生成について真空管技術に依存するという点で制限される。その結果、プロセスに制限が課せられる。さらに、ほとんどのプラズマ及び材料処理供給は、2.45GHzで動作する市販の家庭用オーブン及び産業用マグネトロンに基づくため、管技術の固有の制限によりこれらを使用できる用途に制限される。
【0005】
マイクロ波材料処理は、製造処理技術としてますます重要になっている。これらのプロセスは、加熱、硬化、焼結、焼鈍、又は一般に、マイクロ波エネルギーを固体、液体若しくは気体材料に直接結合させてその材料の化学構造又は物理構造を変化させるプロセスを含む。
【0006】
マイクロ波処理システムは市販されている。これらのシステムには、オーブンマグネトロンを使用するため、いくつかの用途での使用を制限するという重大な欠点がある。これらのシステムの一部は共振アプリケータ又はスロット付き導波管を使用するが、これらのシステムのほとんどはマルチモードマイクロ波オーブンである。これらのシステムでは、電磁界の低い領域については、電磁界が高い領域よりも硬化が遅くなる。従来の管型マイクロ波システムの別の重要な欠点は、プロセス制御の欠如である。典型的なオーブンタイプのシステムでは、プロセスがいつ完了したかを判断し、過熱などのプロセスにおける問題を修正することは非常に困難である。
【0007】
市販のマイクロ波管の大部分は、固定周波数で動作する発振器である。これらのマイクロ波管の周波数をリアルタイムで制御するための効果的な電気的手段は存在していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
一態様によれば、固体発生器を有するマイクロ波システムを提供する。固体発生器は、1以上のパラメータによって特徴付けられるマイクロ波エネルギーを生成し、制御信号を受信してマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを電気的に変化させるための少なくとも1つの制御入力を含む。マイクロ波負荷がマイクロ波エネルギーを受け取り、マイクロ波エネルギーに応じて効果を生じさせる。マイクロ波伝導素子がマイクロ波エネルギーをマイクロ波負荷に結合させる。マイクロ波伝導素子には、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータの少なくとも1つを変化させるためのインピーダンス整合調整装置が結合される。コントローラが制御信号を生成してマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを変化させる。マイクロ波エネルギーに応じて生じる効果は、制御信号を介したマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータの電気的変化と、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータの少なくとも一つを変化させるためのインピーダンス整合調整装置の調節との両方によって変更される。
【0009】
いくつかの例示実施形態では、マイクロ波伝導素子は導波管を含む。いくつかの例示実施形態では、インピーダンス整合調整装置は機械式スタブチューナを備える。いくつかの例示実施形態では、マイクロ波スタブチューナは複数のスタブを備える。いくつかの例示実施形態では、システムは、固体発生器を導波路に結合するための、同軸から導波管への移行部をさらに備える。
【0010】
いくつかの例示実施形態では、制御入力は、制御信号を受信してマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを電気的に変化させるための電気制御入力である。
【0011】
いくつかの例示実施形態では、マイクロ波負荷はチャンバを備える。いくつかの例示実施形態では、チャンバは半導体基板の処理に使用される。いくつかの例示実施形態では、マイクロ波負荷は、熱が制御されるチャンバを備え、チャンバ内の熱は、マイクロ波エネルギーに応答して生成された効果である。いくつかの例示実施形態では、チャンバは半導体基板の処理に使用される。
【0012】
いくつかの例示実施形態において、マイクロ波負荷は、マイクロ波エネルギーを使用してプラズマを生成させるように、プラズマアプリケータを備え、プラズマは、マイクロ波エネルギーに応答して生成された効果である。
【0013】
いくつかの例示実施形態では、システムは、マイクロ波エネルギーを生成するための第2固体発生器をさらに備え、第1固体発生器のマイクロ波エネルギーは第1周波数を有し、第2固体発生器のマイクロ波エネルギーは第2周波数を有する。いくつかの例示実施形態では、第1及び第2固体発生器の第1及び第2周波数は異なる。いくつかの例示実施形態では、第1及び第2周波数の一方は約915MHzであり、第1及び第2周波数の他方は約2,450MHzである。いくつかの例示実施形態では、システムは、第1及び第2固体発生器をマイクロ波伝導素子に結合するための、同軸から導波管への移行部をさらに備える。
【0014】
いくつかの例示実施形態では、システムは、マイクロ波エネルギーを生成するための第2固体発生器をさらに備え、第1固体発生器のマイクロ波エネルギーは第1位相を有し、第2固体発生器のマイクロ波エネルギーは第2位相を有する。いくつかの例示実施形態では、第1及び第2固体発生器の第1及び第2位相は異なり、互いに調節可能である。
【0015】
いくつかの例示実施形態では、固体発生器は、独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の周波数合成器を備え、複数の周波数合成器の出力を使用してマイクロ波エネルギーを生成する。
【0016】
いくつかの例示実施形態では、固体発生器は、独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の増幅器を備え、複数の増幅器の出力を使用してマイクロ波エネルギーを生成する。
【0017】
別の態様によれば、マイクロ波プラズマシステムを提供する。マイクロ波プラズマシステムは、1以上のパラメータによって特徴付けられるマイクロ波エネルギーを与えるための固体発生器を備え、固体発生器は、制御信号を受信してマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを電気的に変化させるための少なくとも1つの電気制御入力を有する。プラズマアプリケータがマイクロ波エネルギーを受け取り、プラズマアプリケータは、マイクロ波エネルギーに応答してプラズマを生成するプラズマ放電管と、プラズマ放電管の両端間に延在するプラズマ放電管の中心長手軸とを備え、プラズマ放電管で生成されたプラズマは、中心長手軸に沿って長手方向に分布し、かつ、中心長手軸から半径方向に、中心長手軸に対して垂直に、プラズマ放電管の放射状壁に向かって分布する空間プラズマ強度プロファイルを特徴とする。検出器がプラズマ放電管から第1信号を受信し、第1信号をプラズマ放電管内の空間プラズマ強度プロファイルを示す電気信号に変換する。コントローラがプラズマ放電管内の空間プラズマ強度プロファイルを示す電気信号を受信し、電気信号から制御信号を生成して、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを電気的に変化させ、そして制御信号を固体発生器の制御入力に適用してマイクロ波エネルギーの1以上のパラメータを電気的に変化させて、プラズマ放電管内の空間プラズマ強度プロファイルを変更する。
【0018】
いくつかの例示実施形態では、検出器は光学検出器であり、第1信号は光学信号である。いくつかの例示実施形態では、光学検出器はカメラを含む。
【0019】
いくつかの例示実施形態では、検出器は温度検出器であり、第1信号は熱信号である。いくつかの例示実施形態では、温度検出器は熱電対を含む。
【0020】
いくつかの例示実施形態では、システムは、マイクロ波エネルギーをプラズマ放電管に結合するための導波管と、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータの少なくとも1つを機械的に変化させるための、導波管に結合された機械式チューナとをさらに備える。
【0021】
いくつかの例示実施形態では、機械式チューナはマイクロ波スタブチューナを含む。いくつかの例示実施形態では、マイクロ波スタブチューナは複数のスタブを含む。
【0022】
いくつかの例示実施形態では、機械式チューナは固定チューナである。いくつかの例示実施形態では、機械式チューナは電動式バイナリチューナである。
【0023】
いくつかの例示実施形態では、光学検出器はカメラその他の感光性装置を含む。
【0024】
いくつかの例示実施形態では、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータは、マイクロ波エネルギーの周波数を含む。いくつかの例示実施形態では、マイクロ波エネルギーの1以上のパラメータは、マイクロ波エネルギーの位相を含む。
【0025】
いくつかの例示実施形態では、固体発生器は、独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の周波数合成器を備え、複数の周波数合成器の出力を使用してマイクロ波エネルギーを生成する。
【0026】
いくつかの例示実施形態では、固体発生器は、独立して制御可能な周波数及び/又は位相を有する複数の増幅器を備え、複数の増幅器の出力を使用してマイクロ波エネルギーを生成する。
【0027】
以下の詳細な説明において、本発明を、本発明の実施形態の非限定的な例として複数の図面を参照してさらに説明する。これらの図面のいくつかの図を通して同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、マグネトロンをマイクロ波エネルギー源として使用する、従来技術に係るマイクロ波システムの概略機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、例示実施形態に係るマイクロ波システムの概略機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、例示実施形態に係るマイクロ波システムの概略機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、プラズマ励起電源として固体発生器を使用する、例示実施形態に係るプラズマ発生システムの概略機能ブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、複数の固体発生器によって生成されたマイクロ波エネルギーを使用する、例示実施形態に係る半導体処理システムの概略機能ブロック図である。
【
図5B】
図5Bは、複数の固体発生器によって生成されたマイクロ波エネルギーを使用する、他の例示実施形態に係る半導体処理システムの概略機能ブロック図である。
【
図5C】
図5Cは、例示実施形態に係る、処理中のウェハ又は基板の上面の概略平面図である。
【
図6A】
図6Aは、単一の固体発生器の代わりに使用できる、例示実施形態に係る複合固体発生器システムの概略機能ブロック図である。
【
図6B】
図6Bは、例示実施形態に係る、マイクロ波動力源としてマイクロ波システムに接続された、
図6Aに示される複合固体発生器システムの概略機能ブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、例示実施形態に係る固体発生器の概略ブロック図である。
【
図7B】
図7Bは、例示実施形態に係る別の固体発生器の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい実施形態の詳細な説明
マイクロ波源には、典型的には2つのタイプがある。すなわち、固体(ソリッドステート)タイプのマイクロ波源及び真空管タイプのマイクロ波源である。管タイプのマイクロ波源には、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロン、進行波管など、多くのタイプがある。管は、典型的には、固体マイクロ波源よりも高い周波数及びパワーレベルで動作できる。管タイプのマイクロ波源の主な欠点は、大型でかさばり、重く、しかも非常に高価なことであり、また、アノードからカソードまで高い電圧とフィラメントに対する高い電流を必要とし、かつ、動作するために真空エンベロープを必要とすることである。また、管は制御するのも難しく、また、主としてカソードの熱電子放出の枯渇や真空漏れのため、寿命が短くなる。
【0030】
材料及びプラズマプロセスのための励起源として固体マイクロ波発生器を使用すると、マグネトロンなどの管型発生器よりも大きな利益が得られる。例えば、固体マイクロ波発生器は、低電流、低電圧、低電力、低位相で制御できる。これらの機能は、真空管マイクロ波プロセスには存在しないため、制御が重要となるプロセスでは使用できない。また、固体マイクロ波動力源は、所有コストとスペース要件の点ではるかに経済的である。また、これらはアレイで容易に使用でき、反応チャンバ全体を通して所望の電界強度を得るための調節を可能にする位相及び振幅制御を有する。
【0031】
例示実施形態によれば、固体発生器は、プラズマ又は材料処理のためのマイクロ波力又は放射源として使用される。これらの発生器の周波数、位相、パワーレベルを調節して、実施される処理を最適化できる。これらの固体装置は、バイポーラ又は電界効果トランジスタ、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)又は横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)装置から構成され、その際、電力、電流、電圧及び位相制御の方法を使用できる。
【0032】
いくつかの例示実施形態によれば、プラズマ処理において、プラズマアプリケータは、マイクロ波エネルギーの空間分布を制御できるように、振幅、電力、及び/又は位相を制御可能な素子を含むことができる。
【0033】
図1は、マイクロ波エネルギー源としてマグネトロンを使用する、従来技術に係るマイクロ波システム100の概略機能ブロック図を含む。
図1を参照すると、システム100は、マイクロ波エネルギーを与えるマグネトロンヘッド102を備える。マグネトロンヘッド102は、マグネトロンと、フィラメント変圧器と、制御電子機器とを備える。マグネトロンは、典型的には、カソードとアノードと間のDC電場に垂直なDC磁場で動作するアノード及びカソードのいくつかの形態を含む。アノードは、単一周波数に調整されたくぼみ形空胴である。典型的なトリエーテッドタングステンカソードからの熱放射を介して放射される電子は、カソードとアノードとの間の交差電界の影響を受けて、湾曲した経路を移動する。DC磁場が十分に強い場合には、電子はアノードに到達しないが、その代わりにカソードに戻ることになる。しかし、カソードに戻る前に、電子はエネルギーを失い、それらのエネルギーをアノードによって設定された周波数で高エネルギーのマイクロ波を生成するアノードによって生成された弱い電磁場に交換する。歴史的には、2つの周波数、すなわち915及び2,450MHzが産業用途に指定されてきた。近年では、5,800MHzというはるかに高い周波数も注目されている。
【0034】
引き続き
図1を参照すると、DC電源104が高電圧ケーブル108を介してマグネトロンヘッド102に高DC電圧を供給する。電源104とマグネトロンヘッド102との間の適切な電力検知信号及び制御信号は、制御信号線106を介して転送される。マイクロ波出力エネルギーは、導波管110を介してマグネトロンヘッド102から結合される。アイソレータ114がマグネトロンヘッド102を負荷の不整合によって引き起こされ得る反射エネルギーから保護する。電力検出モジュール116がアイソレータ114からマイクロ波エネルギーを受け取る。制御線112を介した電力制御及び測定のために、電力検出モジュール116がマグネトロンヘッド102とインターフェースで接続される。電力検出モジュール116は、マイクロ波エネルギーを電力計118に結合させるための一対の出力115及び117を含む。前方エネルギーは出力115を介して電力計118に結合され、反射エネルギーは出力117を介して電力計118に結合され、それによって、電力計118は電力検出モジュール116を介してフォワードと反射の両方のマイクロ波電力を検出する。
【0035】
機械式調整モジュール124などのインピーダンス整合調整装置がマイクロ波エネルギーを受け取る。例示実施形態では、機械式調整モジュール124は、複数の可能な態様のうちの1つで制御されるスタブチューナとすることができる。例えば、図示されているように、スタブチューナ124は、手動調整され、電動調整され、又は自動調整されることができる。手動調整では、スタブチューナ124で模式的に示されるように、オペレータは手動でスタブを挿入して、電力測定源からの反射電力の量を最小限に抑える。電動調整では、オペレータはリモート電気機械装置を介してチューナを調整し、電動チューナ124に至るライン120の制御信号を介して、より低い反射電力に合わせて調整する。自動調整ではオペレータは関与しない。というのは、システムは、電力検出器116を介して最低反射電力を自動的に調整し、それによって負荷のインピーダンス及びフォワード/反射電力の量を計算するために使用できる情報を提供できるからである。自動チューナ124には、ライン120の制御信号によって自動調整制御が与えられる。機械式調整モジュール124のバイナリ調整も実行できる。
【0036】
いくつかの例示実施形態では、反射電力のフォワード電力に対する比を減少させることによって、又は負荷インピーダンスを計算し、電圧定在波比(VSWR)を例えば約1.2未満に低下させることによって、調整を実行できる。いくつかの例示実施形態では、VSWRを低減することは、負荷の反射係数を計算すること、及びSパラメータ(散乱行列)を使用してVSWRを最小化することを含むことができ、これは反射電力のフォワード電力に対する比に関連する反射係数を本質的に低減させる。VSWRを低減するために使用されるSパラメータとしては、フォワード電力素子及び反射電力素子を挙げることができ、これらの素子は反射係数を最小化するために使用される。機械式調整モジュール124は、制御インターフェースケーブル120を介した制御及び通信のために、精密電力検出モジュール116ともインターフェース接続される。機械式調整モジュール124の後には負荷128を接続することができる。負荷128は、マイクロ波エネルギーをプラズマ生成励起として使用するプラズマアプリケータとすることができる。負荷128は、温度に対する動的負荷インピーダンスも有する産業用加熱材料とすることもできる。
【0037】
マイクロ波エネルギーの生成及び関連する用途のためのマグネトロンベースの技術の使用には、それに関連するいくつかの欠点がある。マグネトロンは固定周波数装置である。その単一周波数は、アノードリエントラント構造によって決定及び調整され、通常、2,400~2,500MHzの産業、科学、医療(ISM)帯域内に収まる。マグネトロンの製造業者は、典型的には、周波数が2,450MHzに設定されるようにアノードを設計及び製造しようとする。しかし、機械的な許容誤差により、周波数は2,450MHzから逸脱するため、中心周波数はマグネトロンとは異なり、負荷インピーダンスのマッチングが困難になる可能性がある。カソードのトリエーテッドタングステンの消耗のため、マグネトロンの平均寿命は通常約6,000時間に制限される。マグネトロンの効率は時間と共に低下し、電力の低下につながる。この供給システムは、典型的に大きく、多くの部品を含む。
【0038】
近年、2,450MHz用途向けの固体技術が普及してきている。2,450MHzでの高出力向けのLDMOS及びGaNトランジスタの出現及び開発により、高出力固体発生器の開発がより実用的になってきた。
【0039】
固体技術は、従来のマイクロ波技術を超える多くの機能及び利点を与える。1つの重要な利点は、2,400~2,500MHzのISM周波数帯域内での自動周波数調整である。自動周波数調整は、従来のマグネトロンベースの供給システムで使用される機械的調整の需要を置き換え又は削減する。固体技術は、より高速の調整能力も与える。他の利点としては、設置面積の縮小、運用コストの削減、MTBFの増加などが挙げられる。運用コストの低下は、少なくとも部分的には、固体技術の寿命がはるかに長く、産業用マグネトロンの寿命の少なくとも3倍であることに起因する。
【0040】
調整の改善のため、固体技術は、幅広い共鳴プラズマ又は非プラズマキャビティモードのインピーダンスマッチングを強化でき、その際、システムの動作周波数はキャビティの共振周波数の動作周波数と等しくなければならない。これにより、負荷に対する電力の完全な供給が得られるため、システムの調整効率のみならず電力供給の効率も向上する。
【0041】
図2は、例示実施形態に係るマイクロ波システム200の概略機能ブロック図を含む。
図2を参照すると、例示実施形態のシステム200は、負荷232を駆動するために、従来の機械式調整と調整可能な固体発生器202との両方を含む。負荷232は、プラズマアプリケータ又は工業用加熱材料又は他のシステムとすることができる。
図2に示される例示実施形態では、固体発生器202は、2,450MHzを中心とするISM周波数で動作する。なお、この周波数は、単に例示の目的のために選択され、他の周波数、例えば、915MHzその他の周波数を使用できる。
【0042】
図2に示すように、固体発生器202は、同軸ケーブル204を介して、同軸コネクタ212で、同軸から導波管への移行部206に接続される。固体発生器202は、ユーザ/オペレータなどによって制御信号を提供して固体発生器202からの出力信号の1以上のパラメータを調節するための1以上の制御入力201を含み、これらのパラメータとしては、出力信号の周波数、位相、電力レベルが挙げられる。なお、以下で詳細に説明するように、例示実施形態に従って使用されている別の固体発生器に対して位相を調節するために位相調節が行われる。なお、1以上の固体発生器における個別のRF増幅器の位相及び周波数も互いに調節できる。また、制御入力201は、ユーザ/オペレータが与える任意の手動調節を概略的に表すために使用されることに留意されたい。なお、固体発生器202に与えられる制御入力は、ライン218、220の1つ以上、又は他の電気接続などの電気入力に適用されるアナログ信号又はデジタル信号によって提供できると解される。
【0043】
同軸から導波管への移行部206を使用して、マイクロ波エネルギーを分散同軸モードからマイクロ波導波管に移行させ、これをシステム200で使用されている他の導波管部品に適合させることができるであろう。移行は、導波管後壁付近にある導波管内部の電界プローブを介して達成される。いくつかの例示実施形態では、同軸から導波管への移行部206は周波数検出デバイス208に接続され、そこで、システム200の動作周波数を単一ポート214又は複数ポートのいずれかを介して検出できる。周波数検出装置208のポート214は、ライン又はケーブル222を介してスペクトル分析器216に接続され、動作周波数が検出される。スペクトル分析器216がケーブル218を介して固体発生器202にも接続されている。スペクトル分析器216を使用して、ベンチ試験のために固体発生器202の周波数をチェックする。システム200の例示実施形態では、固体発生器202を介して周波数設定を確認することができる。例示実施形態では、スペクトル分析器216は、フットプリントが小さく、スタンドアロンデバイスとして実装されるのではなく、システム200に統合される。
【0044】
周波数検出装置208の後には電力検出器210がある。電力検出器210は、ケーブル220を介した固体発生器202からのフォワード電力及び負荷232からの反射電力との両方の検出及び測定を可能にする。この接続は、制御ループの一部としての制御信号を与えて、電力検出モジュール210を介して検出された電力に基づいて動作電力を調節する。フォワード及び反射電力は、それぞれポート226及び228を介して検出され、これらのポートは、いくつかの例示実施形態では、高周波エネルギーを使用可能なDC電圧信号に変換するための結晶検出器を含む。次に、DC信号は電力計224に供給され、電力計224は、電力計224内の内部計算により電力信号の実際の大きさを測定する。計算は、事前の較正に基づいて、フォワード電力と反射電力との両方についての導波管電力検出の結合係数を考慮して実行できる。いくつかの例示実施形態では、電力検出は、例えば、本願の譲受人であるMKS Instruments、Incにより製造及び販売されるタイプの精密電力検出器(PDD)その他の同様のデバイスを使用して実施される。
【0045】
電力検出器210には、トリプルスタブチューナ230などのインピーダンス整合調整装置が取り付けられる。トリプルスタブチューナ230は手動調整することができ、電動調整及び/又はバイナリ調整を含むことができ、及び/又は自動調整できる。インピーダンス整合調整装置230は、電力検出のため、及び負荷インピーダンスを整合することにより反射電力を低減するために、信号ケーブル236を介して電力計224及び電力検出モジュール210に接続される。手動調整では、オペレータはスタブチューナ230にスタブを手動で挿入して、電力測定源からの反射電力の量を最小限に抑える。自動調整では、スタブは自動的に調整されるため、オペレータは関与しない。電動調整では、オペレータはリモート電気機械装置を使用して反射電力を低減する。バイナリ調整モードでは、チューナは2つのプリセット位置のみ、すなわちイグニッション及び操作のみについて調整される。手動オプションを使用して工場の最終テスト中に反射電力を最小限に抑えることができ、その後、機械式ロック機能により所定の位置に保持される。いくつかの例示実施形態では、反射電力は電力計224によって監視され、監視された反射電力に応答して、ユーザ/オペレータはスタブチューナを調節して反射電力を最小化する。ユーザが必要とする様々なプロセス化学に応じて、ユーザ調節を可能にするために、展開されたシステム200のフィールドにオプションを設けることもできる。この電動機能を使用して、インピーダンス整合調整装置230を遠隔位置から調節できるようにすることができる。結果は手動調整の場合と同じであるが、ただし、電動調整では、遠隔地からの調整が便利になる。自動調整は、ユーザとの対話なしで実行される。自動調整を使用して、インピーダンス整合調整装置230を、電力検出装置208を介してフォワード及び反射電力を検出することにより自動的に調節する。ケーブル236は、フォワード電力及び反射電力の検出に基づいてインピーダンス整合調整装置230を調節するために、インピーダンス整合調整装置230と電力計224との間のインターフェースを提供する。
【0046】
図3は、例示実施形態に係るマイクロ波システム300の概略機能ブロック図を含む。
図3を参照すると、システム300は
図2のシステム200に類似しており、同じ特徴のいくつかを含む。
図2のシステム200と
図3のシステム300との主な相違点は、
図3のシステム300が2つの異なる周波数で動作することである。特定の一例示実施形態では、システム300は、2,450MHz及び915MHzの周波数で動作する。いくつかの特定の例示実施形態では、これは、2つの固体発生器302及び303の使用によって達成される。
図3に示されるいくつかの例示実施形態では、固体発生器302及び303は別個の装置である。他の例示実施形態では、固体発生器302及び303は、単一の統合装置に実装される。固体発生器302及び303は、それぞれ、ユーザ/オペレータなどによって、それぞれ制御信号を提供して固体発生器302及び303からの出力信号の1以上のパラメータに対する調節を行うための1以上の制御入力301A及び301Bを含み、ここで、これらのパラメータとしては、出力信号の周波数、位相及び電力レベルの1つ以上が挙げられる。なお、位相調節は、例示実施形態によれば、固体発生器の一方、例えば302の位相を、他方の固体発生器、例えば303に対して調節するために行われるであろう。また、制御入力301A及び301Bは、ユーザ/オペレータによって提供される任意の手動調節を概略的に表すためにも使用される。固体発生器302及び303に提供される制御入力は、ライン318、320若しくは305、307又は他の電気接続の1つ以上といった、電気入力に適用されるアナログ信号又はデジタル信号によって提供できると解される。
【0047】
図3を参照すると、例示実施形態のシステム300は、負荷332を駆動するために、従来の機械式調整及び調整可能な固体発生器302、303の両方を含む。負荷332は、プラズマアプリケータ若しくは工業用加熱材料又は他のシステムとすることができる。
図3に示される例示実施形態では、固体発生器302及び303は、それぞれ2,450MHz及び915MHzを中心とするISM周波数で動作する。なお、これらの周波数は、単に例示の目的のために選択され、他の周波数を使用することができる。一般に、固体発生器の周波数は異なる場合があり、互いに個別的に調整可能である。
【0048】
図3に示されるように、固体発生器302は、同軸ケーブル304A及び304Bを介して、任意のアイソレータ387を介して、同軸コネクタ312Bにおいて同軸から導波管への移行部306に接続される。同様に、固体発生器303は、同軸ケーブル309A及び309Bを介して、任意のアイソレータ389を介して、同軸コネクタ312Aにおいて同軸から導波管への移行部306に接続される。アイソレータ387及び389は、固体発生器302及び303を不要な反射電力から分離する。同軸から導波管への移行部306を使用して、マイクロ波エネルギーを分散同軸モードからマイクロ波導波管に移行させ、システム300で使用されている他の導波管部品に適合させることができる。移行は、導波管後壁付近にある導波管内部の電界プローブを介して実現される。いくつかの例示実施形態では、同軸から導波管への移行部306は、915MHzの周波数動作のために設計された支配的なTE
10モードである。支配的なTE
10モードは、矩形導波管でサポートされる最低次の伝搬モードである。このモードで動作すると、高次モードの励起が防止されるため、マイクロ波の移行と伝播の性能が安定する。同軸から導波管への移行部306は、2,450MHzで動作する支配的なTE
10モード又はTE
mnオーダーの非支配的なモードのいずれかをサポートすることができるであろう。支配的な915MHz周波数用に設計された導波管の寸法は断面がはるかに大きく、2,450MHzで支配的なTE
10モードをサポートするため、2,450MHzの非支配モードを使用できる。周波数が高ければ高いほど導波管の断面寸法が大きくなるからである。なお、同軸から導波管への移行部306が2,450MHzの動作周波数で支配的なTE
10モード用に設計されている場合には、導波管はその非常に低い動作周波数のため導波管内のマイクロ波エネルギーをサポートし伝播することができない。
【0049】
いくつかの例示実施形態では、同軸から導波管への移行部306は、周波数検出装置308に接続され、そこで、システム300の動作周波数を単一ポート314又は複数ポートのいずれかを介して検出できる。周波数検出装置308のポート314は、ライン又はケーブル322を介してスペクトル分析器316に接続されて、動作周波数を検出する。スペクトル分析器316は、ケーブル318を介して固体発生器302にも接続されている。スペクトル分析器316は、ベンチ試験のために固体発生器302及び303の周波数をチェックするために使用される。システム300の例示実施形態では、周波数設定は、固体発生器302及び303を介して確認できる。
【0050】
周波数検出装置308の後には電力検出器310がある。電力検出器310は、それぞれケーブル320及び305を介した固体発生器302及び303からのフォワード電力、及び負荷332からの反射電力の両方の検出及び測定を可能にする。これらの接続は、制御ループの一部として制御信号を与え、電力検出モジュール310を介して検出された電力に基づいて動作電力を調節する。フォワード電力及び反射電力は、それぞれポート326及び328を介して検出され、これらは、いくつかの例示実施形態では、高周波エネルギーを使用可能なDC電圧信号に変換する結晶検出器を含む。次に、DC信号は電力計324に供給され、電力計324は、電力計324内の内部計算により電力信号の実際の大きさを測定する。計算は、事前の較正に基づいて、フォワード電力と反射電力との両方の導波管電力検出の結合係数を考慮して実行できる。いくつかの例示実施形態では、電力検出は、例えば、本願の譲受人であるMKS Instruments、Incにより製造及び販売されるタイプの精密電力検出器(PDD)又は他の同様の装置を使用して実施される。
【0051】
トリプルスタブチューナ330などのインピーダンス整合調整装置が電力検出器310に取り付けられている。トリプルスタブチューナ330は、手動調整でき、電動及び/又はバイナリ調整を含むことができ、及び/又は自動調整できる。インピーダンス整合調整装置330は、信号ケーブル336を介して、電力検出のため、及び負荷インピーダンスを整合することにより反射電力を低減するために、電力計324及び電力検出モジュール310に接続される。手動調整では、スタブチューナ124によって模式的に示されるように、オペレータはスタブチューナ330にスタブを手動で挿入して、電力測定源からの反射電力の量を最小限に抑える。自動調整では、スタブが自動的に調節されるため、オペレータは関与しない。電動調整では、オペレータはリモート電気機械装置を使用して反射電力を低減する。バイナリ調整モードでは、チューナは2つのプリセット位置のみ、すなわちイグニッション及び操作のみに調節される。手動オプションを使用して、工場の最終テスト中に反射電力を最小限に抑えることができ、その後、機械式ロック機能により所定の位置に保持される。反射電力は電力計324を介して監視され、ユーザ/オペレータはスタブチューナを調節して反射電力を最小限に抑える。ユーザが必要とする様々なプロセス化学に応じてユーザ調節を可能にするために、展開されたシステム300のフィールドにオプションを提供することもできる。電動機能を使用して、インピーダンス整合調整装置330を遠隔位置から調節できるようにすることができる。結果は手動調整の場合と同じであるが、ただし、電動調整により、遠隔地からの調節が便利になる。自動調整は、ユーザとの対話なしで実行される。自動調整を使用して、インピーダンス検出調整装置330を、電力検出装置308又はMKS Instruments PPDを介してフォワード電力及び反射電力を検出することにより自動的に調節して、フォワード電力に対する反射電力の比を最小限に抑える。ケーブル336は、フォワード電力及び反射電力の検出に基づいてインピーダンス整合調整装置330を調節するために、インピーダンス整合調整装置330と電力計324との間のインターフェースを提供する。
【0052】
上記のように、ケーブル318はスペクトル分析モジュール316を2,450MHzの固体発生器302とインターフェース接続し、ケーブル320は電力計324を2,450MHzの固体発生器302とインターフェース接続する。同様に、ケーブル307は、スペクトル分析モジュール316と915MHzの固体発生器303とを接続し、ケーブル305は電力計324と915MHzの固体発生器303とを接続する。
【0053】
単一周波数(
図2)又は二重周波数(
図3)構成としてここで説明する技術の利点としては、さらに高いスループット及びツール効率のためのプラズマアプリケータの高速インピーダンスマッチング及びウェハレベルで再現可能な製品を製造するためのツール間の再現性が挙げられる。また、これは、様々なガスの化学的性質、流れ、プロセス圧力を含むことができる、非常に広範囲の負荷インピーダンスに対してインピーダンス整合を与える。ガスの化学的性質又は処理材料が異なると、負荷インピーダンスが異なることになり、エネルギーを最も効率的に調整及び吸収することのできる異なる周波数のマイクロ波エネルギーが必要になる場合がある。例示実施形態によれば、単一の固体発生器又は二重の固体発生器のいずれかを使用することにより、許容ISM帯域内の広範囲の周波数を与えて半導体ガス処理又は材料処理のいずれかの周波数要件を満たすことができる。
【0054】
図4は、プラズマ励起電源として固体発生器を使用する、例示実施形態に係るプラズマ発生システムの概略機能ブロック図を含む。システム400では、マイクロ波負荷(上で詳細に説明したシステム200及び300の232及び332)は、プラズマ放電管412を有するプラズマアプリケータ410を含み、ここで、プラズマはマイクロ波励起エネルギーに応答して生成される。
図4を参照すると、プラズマ生成システム400は、高いプラズマ強度の領域である「ホットスポット」を検出し、マイクロ波励起エネルギーのパラメータを調節してホットスポットの位置及び/又は形状を変更する。その結果、ホットスポットによるプラズマ放電管412の侵食は、管412の全体の寿命が実質的に延長されるように、管412の大きな領域にわたって分散される。
【0055】
図4を参照すると、プラズマ生成システム400は、マイクロ波プラズマ励起エネルギーを生成する固体生成器402を備える。固体生成器402は、ユーザ/オペレータなどによって制御信号を提供して、固体発生器402からの出力信号の1以上のパラメータを調節するための1以上の制御入力401を含み、ここで、これらのパラメータとしては、出力信号の周波数、位相、電力レベルの一つ以上が挙げられる。なお、複数の固体発生器を使用する場合には、固体発生器の1つ、例えば402の位相を別の固体発生器に対して調節するために位相調節が行われる。なお、制御入力401は、ユーザ/オペレータによって提供されるオプションの手動調節を概略的に表すために使用される。固体発生器402に提供される制御入力は、ライン426その他の電気接続などの電気入力に適用されるアナログ信号又はデジタル信号によって提供できると解される。
【0056】
引き続き
図4を参照すると、マイクロ波エネルギーは、固体発生器402から、固体発生器402に接続された導波管移行部404に結合される。導波管移行部404は、簡易機械式調整モジュール406、すなわちインピーダンス整合調整装置に接続され、これは、システム200及び300に関連して上記したように、マイクロ波エネルギーを機械的に調整する。例示実施形態では、機械式調整モジュール406は、固定チューナ又は電動バイナリチューナのいずれかとすることができる。機械式調整モジュール406の後に、調整されたマイクロ波エネルギーは、プラズマアプリケータ410に、具体的にはプラズマ放電管412に結合される。いくつかの例示実施形態では、プラズマ放電管412は、石英、サファイア、セラミックその他の適切な材料などの材料から製造できる。
【0057】
いくつかの例示実施形態では、プラズマ放電管412で生成されたプラズマのプロファイル又は空間分布が光学的に監視される。したがって、例えば、視野415を有する光学センサ又は光学カメラ414などの光学センサ/検出器その他の感光性装置を、プラズマ放電管412内のプラズマ分布がその視野415内にあるように配置する。
【0058】
別の実施形態では、光学センサ又は光学カメラ414の代わりに、1以上の熱電対428(仮想線で示す)をプラズマ放電管412に近接させ又は接触させて配置することができる。熱電対428は、その感知温度を示す電気信号を生成する。これらの電気信号は、これらの信号を使用してプラズマ放電管412の空間温度分布を生成するライン430(点線で示す)を介して制御モジュール424に送信される。この空間温度分布は、プラズマ放電管412内の「ホットスポット」を識別するために使用される。本明細書で詳細に説明する固体発生器402に対する周波数及び/又は位相の調節は、必要に応じてホットスポットを移動させてプラズマ放電管412の寿命を改善するために行うことができる。
【0059】
引き続き
図4を参照すると、固体発生器402、プラズマアプリケータ410、及び簡易機械式調整モジュール406は、制御モジュール424を介して互いに制御される。この目的のために、制御モジュール424は、それぞれケーブル426、422、420、416、及び430によって、固体発生器402、簡易機械式調整モジュール406、プラズマアプリケータ410、光学カメラ414、及び熱電対428に接続される。
【0060】
例示実施形態によれば、制御モジュール424は制御信号を固体発生器402に発して、周波数及び/又は位相などのマイクロ波励起エネルギーの1以上のパラメータを調節し、プラズマ放電管412で生成されるプラズマの特定の特徴を制御する。例示実施形態によれば、マイクロ波励起エネルギーのパラメータの調節により制御される特徴の1つは、プラズマの強度プロファイルの物理的構成である。具体的には、プラズマホットスポットの位置、すなわち高いプラズマ強度の領域は、制御信号を固体発生器402に発してマイクロ波エネルギーの周波数を調節する制御モジュール424によって調節でき、その結果、プラズマの空間分布が変化する。このようにプラズマホットスポットを移動させることにより、プラズマ放電管412の寿命が延長される。
【0061】
したがって、いくつかの実施形態では、パラメータ、例えば、周波数及び/又は位相の調節は、プラズマの空間分布に関連するフィードバックに基づいて、閉ループ制御方式で実施される。
図4を参照すると、上記のように、システム400は、いくつかの実施形態では光学カメラである光学センサ又は検出器414を備える。光学センサ414の視野415はプラズマ放電管412内のプラズマに向けられ、光学センサ414はプラズマの光学特性を検出しかつライン416を介して制御モジュール424に光学データを提供する。制御モジュール424は、光学センサ414から受信した光学データ、又は熱電対428からの電気信号を使用して、プラズマ放電管412内のプラズマの空間分布を特徴付ける。分布プロファイルに応じて、制御モジュール424は1以上の制御信号を生成し、この1以上の制御信号を固体発生器402及び/又は機械式調整モジュール406に転送して、マイクロ波プラズマ励起エネルギーの周波数及び/又は位相を電気的及び/又は機械的に調整し、必要に応じて分布プロファイルを変更する。例えば、適切な制御信号を生成及び適用して周波数及び/又は位相を調節し、プラズマ放電管412内の1箇所以上のプラズマホットスポットの位置を変更することができる。このホットスポットの移動を使用してホットスポットによるプラズマ放電管412の侵食を経時的に分散し、プラズマ放電管412の寿命が延長される。いくつかの例示実施形態では、位置の調節は、望ましいと考えられる程度に頻繁に実施できる。
【0062】
したがって、例示実施形態によれば、周波数調整を使用してプラズマアプリケータ410内のプラズマ形成を制御し、プラズマアプリケータ410の予想寿命を延長する。いくつかの例示実施形態では、目的は、プラズマホットスポットを制御する周波数設定点を調整することによって熱プロファイルを制御することである。いくつかの例示実施形態では、これは、少なくとも2つの可能な手法の1つを使用して達成できる。手法の一つとしては、プラズマアプリケータ410のオン時間の閉ループ制御が挙げられる。別の手法としては、下流用途の閉ループ制御が挙げられる。これに関連して、「下流用途」とは、処理中のウェハの下流ラジカルフラックスの影響を測定することをいう。ラジカルフラックスは、プラズマ放電管で生成された原子種であり、下流の真空供給部品を介して、最終的にはプロセスチャンバに、そして処理中のウェハに運ばれる。ガスの化学的性質が異なると、異なるラジカルフラックスが生成される。
【0063】
例示実施形態によれば、アプリケータのプラズマ形成を制御するために様々なシナリオ下でいくつかの手法が存在する。例えば、第1のシナリオでは、固体発生器402と簡易チューナ406を使用して、アプリケータ410内のプラズマが誘発され維持される。光学センサ(カメラ)414を使用して、プラズマアプリケータ410におけるプラズマ放電管412内の温度プロファイルが検出され、軸方向及び方位角的に特徴付けられる。いくつかの例示実施形態では、このプロセスは、周波数を変化させて温度を変更し、プラズマ放電管412の中心にプラズマピークを配置することを含む。この検出された情報は、制御モジュール424にフィードバックされる。いくつかの例示実施形態では、周波数は最小周波数と最大周波数の間でディザリングされる。周波数をディザリングすることにより、「ホットスポット」をプラズマ放電管412内で移動させることができるため、平均温度プロファイルが制御される。周波数ディザリングは、制御モジュール424の不揮発性メモリ内の周波数設定ポイントをしばらくの間変更することで達成できる。
【0064】
第2のシナリオでは、固体発生器402及び簡易チューナ406を使用して、アプリケータ410内のプラズマが誘発され、プラズマ放電管412内で維持される。光学センサ(カメラ)414、あるいは1個の熱電対、複数の熱電対又は他の温度測定装置を使用して、プラズマアプリケータ410におけるプラズマ放電管412内の温度プロファイルが検出され、軸方向及び/又は方位角で特徴付けられる。いくつかの例示実施形態では、このプロセスは、周波数を変化させて温度を変更し、プラズマ放電管412の中心にプラズマピークを配置することを含む。この検出された情報は、制御モジュール424にフィードバックされる。時間と温度の積をプラズマ放電管412に有害となる事前に設定された制限に達するように積分し、その後、周波数を変更してプラズマ放電管412内のプラズマ形成をプラズマアプリケータ410内の異なる場所に移動させる。オンタイムは、制御モジュール424の不揮発性メモリに保存できる制御パラメータである。測定された温度閾値に基づいて、プラズマ放電管412の警告及び予想寿命が提供される。
【0065】
第3のシナリオでは、固体発生器402及び簡易チューナ406を使用して、アプリケータ410内のプラズマが誘発され、プラズマ放電管412内で維持される。「ウェハ温度分布マップ」、「発光分光法」、「分光エリプソメトリ」などの技術を使用して、ウェハ温度分布プロファイルやウェハの平均空間温度などのパラメータが処理中のウェハの下流ラジカルフラックスに与える影響が測定される。「オンタイム」は、制御モジュール424の不揮発性メモリに保存できる制御パラメータである。ラジカル線量に基づく1以上の事前設定制限と、「ホットスポット」又は管摩耗スポットの形でのプラズマ管の劣化に及ぼすラジカル線量の影響とを、操作前に経験的に決定でき、不揮発性メモリに保存することができる。動作中に、測定中のパラメータから、1以上のプリセット制限を超えているかどうかが決定される。測定されたパラメータから推定される得られたラジカル線量に基づいて、プラズマ放電管412の警告及び予想寿命を提供することができる。さらに、マイクロ波励起エネルギーの周波数及び/又は位相を調節するなどの改善策を講じて、ホットスポットを再配置し、それによってチューブの侵食の加速を回避し、その結果、チューブの寿命を延ばすことができる。
【0066】
図5Aは、複数の固体発生器によって生成されたマイクロ波エネルギーを使用する、例示実施形態に係る半導体処理システム500の概略機能ブロック図を含む。なお、任意の数のマイクロ波源を使用することができる。この詳細な説明では、図及び説明を明確にするために2つのマイクロ波源を使用する。
図5Aを参照すると、システム500において、マイクロ波負荷(上で詳細に説明したシステム200及び300の232及び332)は、半導体ウェハ又は基板などのワークピースが処理されているチャンバ532を備える。マイクロ波固体発生器502及び504は、それぞれ
図2、
図3及び4のシステム200、300及び400に関連して上記した素子を介してチャンバ532に結合される調整可能なマイクロ波エネルギーを生成する。固体発生器502及び504は、それぞれ、ユーザ/オペレータなどによって制御信号を提供して、固体発生器502及び504からの出力信号の1以上のパラメータに対して調節を行うための1以上の制御入力501A及び501Bを備え、該1以上のパラメータとしては、出力信号の周波数、位相、及び電力レベルの1以上が挙げられる。例示実施形態によれば、位相調節は、固体発生器の一つ、例えば502の位相を他の固体発生器、例えば504に対して調節するために行われることに留意されたい。また、制御入力501A及び501Bは、ユーザ/オペレータによって提供される任意の手動調節を概略的に表すために使用されることにも留意されたい。固体発生器502及び503に提供される任意の制御入力は、電気入力に適用されるアナログ信号又はデジタル信号によって提供できることが分かるであろう。
【0067】
固体発生器502は、周波数f
1及び位相φ
1を有するマイクロ波エネルギー信号S
1をマイクロ波結合506でチャンバ532に供給し、チャンバ532の壁を通してチャンバ532の内部にマイクロ波エネルギー信号S
1を結合させる。同様に、固体発生器504は、周波数f
2と位相φ
2を有するマイクロ波エネルギー信号S
2をマイクロ波結合508でチャンバ532に供給し、チャンバ532の壁を介してチャンバ532の内部にマイクロ波エネルギー信号S
2を結合させる。
図2、3及び4に関連して上で詳細に説明したように、周波数f
1とf
2及び/又は位相φ
1とφ
2は、機械的調整と固体発生器502及び504の調整との組み合わせなどにより調整可能である。
【0068】
例示実施形態では、チャンバ532は、加熱などのプロセスを受けるウェハ又は基板512の温度制御をサポートし提供する加熱ウェハチャック510を備える。ガス流モジュール522は、526で示されるように、プラズマガス、ウェハプロセスガス及び/又はチャンバパージガスなどの1種以上のガスを、ガス導管524を介してチャンバ壁を通し、チャンバ532の内部に供給する。マイクロ波固体発生器502及び504は、個別に制御可能な周波数f及び位相φでマイクロ波エネルギー514及び518をそれぞれ供給する。マイクロ波エネルギー514及び518は、図示されるようにチャンバ内壁によって反射される。得られた反射マイクロ波エネルギー516及び520は、それぞれ、ウェハ又は基板512の表面又はその付近で干渉する波面を含み、それによって所望の処理エネルギーをウェハ又は基板512に与える。
【0069】
図5Cは、例示実施形態に係る、処理中のウェハ又は基板512の上面の概略平面図を含む。
図5Cを参照すると、ウェハ又は基板512は、例示及び詳細な説明のために可能な空間特性の例示的な図として示される複数の空間特性530、534、536、538を含むものとして示されている。例示実施形態によれば、マイクロ波エネルギーの周波数及び/又は位相などの、チャンバ532に入るマイクロ波エネルギーのパラメータの変動は、ウェハ又は基板512上のこれらの空間特性を変更する。例示実施形態によれば、マイクロ波エネルギーのこれらのパラメータは、例示実施形態に関連して本明細書で詳細に説明したように、機械的調整、固体発生器502、504の調整、又は両方のタイプの調整の組み合わせによって調節又は調整できる。
【0070】
いくつかの例示実施形態では、マイクロ波エネルギーのパラメータに対するこれらの調節は手動で行うことができる。他の実施形態では、調節は、フィードバックループなどによって自動的に行うことができる。この目的のために、診断機器528は、例えば、視野519を有する光学センサ又は光学カメラなどの光学センサ/検出器その他の感光性装置を備え、ウェハ又は基板512の表面が密封された透明窓521を介して視野519内に存在するように配置される。表面にわたる空間温度分布を示す光学データが得られる。したがって、診断機器528は、ウェハ温度分布マップ、ウェハ又は基板表面の発光分光データ、及び/又はフィードバック制御システム542及び540を介した分光エリプソメトリのうち1以上を使用してそれぞれライン546及び544を介して制御信号を提供し、固体発生器502、504によってそれぞれ提供されるマイクロ波エネルギーのパラメータ、例えば周波数及び/又は位相を調節し、処理中のウェハ又は基板512の表面上に所望の空間特性を得ることができる。
【0071】
したがって、例示実施形態によれば、独立した位相及び周波数制御により空間管理が可能になる。
図5Aに示されるシステム500の特徴は、処理ウェハ512にわたって空間管理を可能にする独立した位相及び周波数制御を提供することである。詳細な説明を容易かつ簡単にするために、2つの源のみを示しているが、任意の数の源を使用できることが分かるであろう。例示実施形態によれば、システム500の動作を制御するために複数の可能なシナリオの下で複数の手法が存在する。
【0072】
例えば、第一のシナリオでは、周波数調整機能を備えたマイクロ波固体発生器502及び504を固定周波数及び位相で使用するが、ただしそれぞれf1/φ1及びf2/φ2の互いに異なる値で使用して、チャンバ532にエネルギーを生成する。マイクロ波は、チャンバ壁から反射され、必要なプロセスエネルギーを処理ウェハ512に供給する。両方の源502、504の処理エネルギーは、同一の周波数(f1=f2)であるが、位相は異なる(φ1≠φ2)。両方の源の周波数が同じであったとしても、両方の源の位相が異なるためウェハ512上で「空間処理」が行われ、それによってウェハ512について優先的な処理が行われる。この優先処理は、ウェハ温度分布マップ、発光分光法、分光エリプソメトリなどの診断システムを使用して観察できる。
【0073】
第二のシナリオでは、フィードバック制御を使用して周波数及び/又は位相が制御される。
図5Aを参照すると、周波数調整機能を備えたマイクロ波固体発生器502及び504を固定周波数及び位相で使用するが、ただしそれぞれf
1/φ
1及びf
2/φ
2という互いに値が一定に変化する状態で使用してチャンバ532にエネルギーを生成する。処理エネルギー信号は異なる周波数と位相であるため、空間処理はウェハ512について行われる。したがって、優先処理が発生する。この優先処理は、ウェハ温度分布マップ、発光分光法、分光エリプソメトリなどのフィードバック制御システム528を使用して制御及び修正できる。制御は、それぞれ固体発生器504及び502に接続された制御システム540及び542を介して達成できる。
【0074】
図5Bは、複数の固体発生器によって生成されたマイクロ波エネルギーを使用する、例示実施形態に係る半導体処理システム600の概略機能ブロック図を含む。
図5Bのシステム600は
図5Aのシステム500と同様であるが、ただし、システム500のようにマイクロ波エネルギーがチャンバの底部に入りかつチャンバ壁からウェハ又は基板512に向かって反射される代わりに、
図5Bのシステム600では、マイクロ波エネルギーは、チャンバの壁を貫通しかつウェハ又は基板512の方向にマイクロ波エネルギーを放出するように向けられた導波路からウェハ又は基板512に直接向けられる。この相違点を除いて、
図5Aのシステム500に関連する上記の詳細な説明全体は、
図5Bのシステム600に完全に適用可能である。
【0075】
図5Bを参照すると、システム600において、マイクロ波負荷(上で詳細に説明したシステム200及び300の232及び332)は、半導体ウェハ又は基板512などのワークピースが処理されるチャンバ632を備える。マイクロ波固体発生器502及び504は、それぞれ
図2、3及び4のシステム200、300及び400に関連して上記した素子617及び619を介してチャンバ632に結合される調整可能なマイクロ波エネルギーを生成する。固体発生器502及び504は、それぞれ、ユーザ/オペレータなどによって制御信号を提供して、固体発生器502及び504からの出力信号を1以上のパラメータに調節するための1以上の制御入力501A及び501Bを含み、ここで、該1以上のパラメータとしては、出力信号の周波数、位相、及び電力レベルの1以上が挙げられる。なお、例示実施形態によれば、位相調節は、固体発生器の一つ、例えば502の位相を他の固体発生器、例えば504に対して調節するために行われることに留意されたい。また、制御入力501A及び501Bは、ユーザ/オペレータによって提供される任意の手動調節を概略的に表すために使用されることにも留意されたい。固体発生器502及び504に提供される任意の制御入力は、電気入力に適用されるアナログ信号又はデジタル信号によって提供できることが分かるであろう。
【0076】
固体発生器502は、周波数f
1及び位相φ
1を有するマイクロ波エネルギー信号S
1を、導波管616を介して密閉透明窓624を通して提供し、これはチャンバ632の壁634を通して密閉導波管通路固定具606を通過する。同様に、固体発生器504は、周波数f
2及び位相φ
2を有するマイクロ波エネルギー信号S
2を、導波管620を介して密閉透明窓622を通して提供し、これはチャンバ632の壁636を通して密閉導波管通路固定具608を通過する。
図2、3及び4に関連して詳細に説明したように、周波数f
1とf
2及び/又は位相φ
1とφ
2は、機械的調整と固体発生器502及び504の調整との組み合わせなどにより調整可能である。得られたマイクロ波エネルギーは、ウェハ又は基板512の表面又はその近くで干渉する波面を含み、それによってウェハ又は基板512に所望の処理エネルギーを提供する。
【0077】
例示実施形態では、チャンバ532は、加熱などのプロセスを受けるウェハ又は基板512の温度制御をサポートし提供する加熱ウェハチャック510を備える。ガス流モジュール522は、526で示されるように、プラズマガス、ウェハプロセスガス及び/又はチャンバパージガスなどの1種以上のガスを、ガス導管524を介してチャンバ壁を通し、そしてチャンバ532の内部に供給する。
【0078】
上記のように、
図5Aのシステム500に関連する上記の詳細な説明全体は、
図5Bのシステム600に完全に適用可能である。
【0079】
例示実施形態の上記詳細な説明に関連して、本発明の一態様は、機械的調整を向上させるための周波数調整の使用であり、それによって機械的調整及び固体発生器の調整を含むハイブリッドインピーダンス調整を提供する。すなわち、本技術の特徴は、従来のマグネトロン動作では利用できないレベルのインピーダンス調整を提供することである。この追加レベルのインピーダンス調整は、本例示的実施形態の周波数調整固体発生器によって提供される。
【0080】
いくつかの例示実施形態では、動作は次の3段階を含む:「起動段階」、「実行段階」、及び「停止段階」。起動段階では、プラズマアプリケータなどの負荷が点火される。次に、フォワード電力に対する反射電力の比を小さくすることにより、負荷の動的インピーダンスを調整する。いくつかの例示実施形態では、これは、3つのスタブ機械式自動チューナ230、330、406を使用して達成される。上で詳細に説明したように、スタブチューナ230、330、406の動きは、負荷インピーダンスの固定調整、スタブチューナ230、330、406のリモート制御を提供する電動調整、又は電力検出モジュール210、310がフォワード及び反射電場の振幅を連続的に提供して最小反射電力に調整する完全自動調整とすることができる。最小比が達成されたら、スタブチューナの位置を維持できる。いくつかの例示実施形態では、固体発生器の周波数は、それぞれ2,450及び915MHzの中心周波数に設定される。これは、機械的調整のみの使用に対する改善であるため、動的範囲が増加した本例示実施形態のハイブリッド調整を提供する。実行段階では、固体周波数調整の機能を使用して調整を強化する。システムの動作周波数を固体機能の範囲及び2,400~2,500MHzの仕様の範囲内で連続的に調整して、負荷インピーダンスを動的に調整し反射電力をさらに最小限に抑える。固体発生器による周波数調整の強化は、機械的調整に比べて短時間で達成される。また、マグネトロンの固定周波数は経時的に劣化及びドリフトするため、一般的には復元できないのに対し、固体発生器では、周波数を再入力することができることも知られている。これにより、調整がさらに強化される。これは、プラズマ又は他の関連する負荷が周波数に影響を受けやすい場合に特に有益である。例えば、システムが最初に元のマグネトロン周波数に合わせて調整された場合に、マグネトロンが老化し周波数がドリフトすると、ドリフトした周波数はもはや負荷に効率的に結合できなくなるため、調整が困難になる。これに対し、固体発生器では、周波数はドリフトせず、又は負荷インピーダンスの変化のため周波数を再調節する必要がある場合には、固体発生器に再入力できる。
【0081】
実行段階中に、スタブチューナ230、330、406のスタブ分離を調整することが望ましい場合がある。スタブ分離のプリセット位置は、固体発生器のプリセット周波数、例えば2,450MHzに基づき、これは特定の波長にも対応する。しかし、周波数が調節されると、導波管の波長が変更されるため、位置も調節することが望ましい場合がある。例示実施形態では、3つのスタブは、導波路波長の4分の1だけ分離できる。この特定の分離は、スミスチャート全体にわたって調整機能を提供する。以下は、2,450MHzの中心周波数ならびに外部周波数についてのいくつかの標準導波管サイズの導波管波長をまとめたものである。
WR430導波管:
2,400MHzでのλg:5.992”
2,450MHzでのλg:5.813”
2,500MHzでのλg:5.646”
WR340導波路:
2,400MHzでのλg:7.118”
2,450MHzでのλg:6.823”
2,500MHzでのλg:6.667”
WR284導波路:
2,400MHzでのλg:9.825”
2,450MHzでのλg:9.090”
2,500MHzでのλg:8.488”
【0082】
停止段階では、周波数及びスタブの位置がデフォルト設定にリセットされる。
【0083】
上記の実施形態の詳細な説明は、各固体発生器を単一ユニットとして言及している。本明細書で言及される固体発生器のいずれも、出力を結合回路に適用して出力をさらに高い電力で単一の出力に結び付ける複数の固体発生器として実装できることが分かるであろう。また、本明細書で詳細に説明するように、単一の固体発生器は、単一のマイクロ波出力に組み合わされた複数のRF増幅器及び1以上の周波数合成器を備えることができる。これにより、単一の固体発生器で得られる高出力のマイクロ波出力が可能になる。また、複数の周波数及び/又は位相を組み合わせて単一の出力にすることもできる。
図6Aは、単一の固体発生器の代わりに使用することができる、例示実施形態に係る複合固体発生器システムの概略機能ブロック図を含む。
図6Aを参照すると、固体発生器システム700は、複数の個々の固体発生器702を備える。
図6Aの例示実施形態では、システム700は、4個の固体発生器702A、702B、702C、702Dを備え、それらのそれぞれは、2,450MHzの周波数に設定されるように図示されている。固体発生器の数(4)及び周波数(2,450MHz)の選択は、例示を目的としたものに過ぎず、本発明は、任意の周波数で任意の数の複数の固体発生器に適用可能であることが分かるであろう。
【0084】
引き続き
図6Aを参照すると、いくつかの例示実施形態では、固体発生器702A、702B、702C、702Dは、それぞれ出力同軸コネクタ704A、704B、704C、704Dで出力信号を与える。出力信号は、それぞれマイクロ波電力結合器710の入力同軸コネクタ706A、706B、706C、706Dに接続された同軸ケーブル708A、708B、708C、708Dを介して運ばれる。マイクロ波電力結合器710は、受信した信号を単一のマイクロ波出力信号に結合し、結合したマイクロ波出力712で与えられる。例示実施形態では、結合マイクロ波出力712は導波管互換出力であることに留意すべきである。したがって、マイクロ波電力結合器710は、同軸から導波管への移行機能も含むことができる。他の例示実施形態では、固体発生器702とマイクロ波電力結合器710との間の接続の一部又は全ては、同軸ケーブル及びコネクタの代わりに導波管で形成される。
【0085】
図6Bは、例示実施形態に係る、マイクロ波電源としてマイクロ波システムに接続された、
図6Aに示されるような複合固体発生器システムの概略機能ブロック図を含む。具体的には、例示として、
図6Bは、
図2に示されたマイクロ波システム200に接続された
図6Aの複合固体発生システム700を概略的に示す。複合固体発生器システム700は、本明細書で説明される例示実施形態のいずれかと共に使用できることが分かるであろう。
図6Bを参照すると、矢印761は、結合マイクロ波出力712の周波数検出装置208への導波管接続を概略的に示すためのものであることに留意されたい。したがって、実際の物理的接続である2つのモジュール710及び208は、それぞれの導波管フランジで互いに接触することが分かるであろう。
【0086】
図7Aは、いくつかの例示実施形態に係る固体発生器800の概略ブロック図を含む。固体発生器800は、例示実施形態に従って本明細書で説明される固体生成器202、302、303、402、502、504、700、702のいずれかとすることができる。
図7Aを参照すると、固体発生器800は、単一周波数合成器を備え、これは単一周波数及び単相出力を有する単一源である。中出力RF増幅器804は、周波数合成器802の出力を増幅する。スプリッタ806は、増幅器804の出力を複数の出力信号に分割し、各出力信号を増幅のためにそれぞれのトランジスタRF増幅器808に加える。
図7Aでは、4つのトランジスタRF増幅器804に加えられる4つの分割出力信号が例示的な例として示されている。スプリッタ806は、任意の数のトランジスタRF増幅器808に加えられる任意の数の分割出力信号を生成できることが分かるであろう。例えば、固体発生器800からさらに高い出力電力が望まれる場合には、4つ以上の増幅器808を使用して、スプリッタ806からの4つ以上のそれぞれの出力信号を増幅することができる。分割され増幅された信号は、結合器810で混合されてRF出力812が生成される。単一の周波数合成器802しかないため、各トランジスタ増幅器808は同じ周波数と位相を有し、それによってRF出力812は単一の周波数と位相のものになる。
【0087】
図7Bは、いくつかの例示実施形態に係る固体発生器900の概略ブロック図を含む。固体生成器900は、例示実施形態に従って本明細書で説明される固体生成器202、302、303、402、502、504、700、702のいずれかとすることができる。
図7Bを参照すると、固体発生器900は、複数の周波数合成器902A、902B、902C、902Dを備え、それぞれが単一の周波数及び位相の信号を出力することができる。各周波数合成器902A、902B、902C、902Dの出力は、増幅のためにそれぞれのトランジスタRF増幅器904A、904B、904C、904Dに加えられる。
図7Bでは、4つの周波数合成器902A、902B、902C、902D及び4つのトランジスタRF増幅器904A、904B、904C、904Dが例示的な例として示されている。任意の数の周波数合成器及び関連するトランジスタRF増幅器を使用できることが分かるであろう。トランジスタRF増幅器904A、904B、904C、904Dからの増幅信号を結合器906で結合させてRF出力908を生成し、これは、複数の周波数合成器902A、902B、902C、902D及び複数のトランジスタRF増幅器904A、904B、904C、904Dの結果として、複数の周波数及び複数の位相のRF出力908であることができる。
【0088】
固体発生器900では、独立して制御可能な周波数合成器902が各トランジスタRF増幅器904に使用される。これにより、各トランジスタRF増幅器は、結合器906の前に独自の周波数と位相を有することができる。この構成は、複数の周波数及び/又は位相が共有RF出力908のために一緒に結合することを可能にする。これにより、例示実施形態に従って本明細書で説明される固体発生器202、302、303、402、502、504、700、702からのマイクロ波エネルギーの周波数及び/又は位相の調節に対する1つの手法も可能になる。
【0089】
例示実施形態のシステムは、従来のシステムに対していくつかの利点を与える。例えば、固体発生器の可変周波数機能は、従来のマグネトロンシステムでは不可能であった高度な調整機能を与える。また、固体発生器の可変周波数能力は、調整によってアプリケータの寿命を延長させることができるように、プラズマアプリケータホットスポットの移動を可能にする。独立した位相及び周波数の制御は、同一値の固定周波数を使用して、或いはフィードバック制御システムを用いて周波数及び/又は位相を変化させて処理ウェハにわたって「空間管理」を可能にする。固体マイクロ波生成と共に利用可能な可変マイクロ波周波数と位相により、機械的スタブ調整と周波数調整の両方を使用したハイブリッドインピーダンス調整手法が可能になり、負荷、すなわちプラズマ又は加熱される材料におけるインピーダンス変動にさらに迅速かつ確実に応答することができる。
【0090】
例示実施形態の上記詳細な説明では、固体発生器からのマイクロ波エネルギーを負荷に結合させるために導波路が使用されている。本発明は、同軸ケーブル、マイクロストリップなどの、マイクロ波エネルギーを結合する他の手段にも適用可能である。例示実施形態のインピーダンス整合調整装置は、機械的スタブチューナとして説明及び図示されていることにも留意されたい。電気ネットワークなどの他のタイプのインピーダンス整合調整装置も使用できる。
【0091】
本発明の技術思想を、その例示実施形態を参照して特に示しかつ説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが分かるであろう。