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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20221110BHJP
   A47L 9/24 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A47L9/00 102Z
A47L9/24 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017116767
(22)【出願日】2017-06-14
(65)【公開番号】P2019000296
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-04-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】町田 明子
(72)【発明者】
【氏名】田中 正俊
(72)【発明者】
【氏名】鳥澤 陽
(72)【発明者】
【氏名】村田 博光
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝吉
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】田合 弘幸
【審判官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特公昭46-7758(JP,B1)
【文献】特開昭48-72969(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092256(WO,A1)
【文献】実開平1-168241(JP,U)
【文献】実開平4-103851(JP,U)
【文献】特開2001-29280(JP,A)
【文献】特開2004-283327(JP,A)
【文献】特開平5-344940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪と、この走行輪の回転軸を含む鉛直面に対して一側と他側と亘る範囲で揺動可能に設けられた本体部とを備えた掃除機本体と、
ホース体と、
このホース体の一端側に取り付けられ、前記ホース体を前記本体部に対して接続する接続体と、
この接続体に対して前記本体部の揺動一方向側の位置と揺動他方向側の位置とにそれぞれ設けられ、床との接触により前記ホース体の一端側が床に対して非接触となる位置に前記本体部の各揺動端を規定する支持部材と、
前記本体部に対する前記接続体の接続方向に沿って前記接続体に固定され、把持される本体把持部と、を具備し、
前記本体把持部は、前記ホース体側の端部が床に対して橇として作用するように前記ホース体の中心に向かう方向に傾斜し、
前記本体把持部に一方の前記支持部材が配置され、この一方の前記支持部材は、前記床と接地する部分に車輪を備える
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
支持部材を接続体に対して付勢する付勢部材を具備した
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
支持部材は、弾性体により形成されている
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
本体把持部は、掃除機本体の走行輪による走行方向に沿って設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除機。
【請求項5】
本体把持部は、本体部の揺動一方向側と揺動他方向側とのそれぞれの位置で接続体に設けられている
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、走行輪の軸を含む鉛直面に対して一側と他側とに位置する範囲に亘り揺動可能に設けられた本体部を有する掃除機本体を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機本体が走行面を走行可能な、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機として、掃除機本体の両側部に大径の走行輪を備え、電動送風機や集塵部などを収容した本体部の一部を走行輪の回転軸方向から見て走行輪の外形よりも小さく形成することで、走行輪を中心とする本体部の反転(揺動)を可能とし、狭い位置での方向転換などの操作性を向上したものがある。この構成において、本体部を反転させた場合に、本体部から突出するホース体の基端側が床と接触して傷付かないようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/092256号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、本体部の揺動時にホース体が床と接触しにくい電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、掃除機本体と、ホース体と、接続体と、支持部材と、本体把持部と、を有する。掃除機本体は、走行輪と、本体部とを備える。本体部は、走行輪の回転軸を含む鉛直面に対して一側と他側とに亘る範囲で揺動可能に設けられる。接続体は、ホース体の一端側に取り付けられ、ホース体を本体部に対して接続する。支持部材は、接続体に対して本体部の揺動一方向側の位置と揺動他方向側の位置とにそれぞれ設けられる。これら支持部材は、床との接触によりホース体の一端側が床に対して非接触となる位置に本体部の各揺動端を規定する。本体把持部は、本体部に対する接続体の接続方向に沿って接続体に固定される。本体把持部は、ホース体側の端部が床に対して橇として作用するようにホース体の中心に向かう方向に傾斜する。本体把持部に一方の支持部材が配置される。この一方の支持部材は、床と接地する部分に車輪を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態の電気掃除機の掃除機本体が一方向に揺動した状態を示す側面図である。
図2】同上電気掃除機の掃除機本体が他方向に揺動した状態を示す側面図である。
図3】同上電気掃除機を示す断面図である。
図4】同上電気掃除機の掃除機本体とホース体との接続部分を示す斜視図である。
図5】同上電気掃除機の収納作業を示す斜視図である。
図6】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0008】
図6において、11は電気掃除機を示す。この電気掃除機11は、掃除機本体13を備えている。また、この電気掃除機11は、集塵部14を備えている。さらに、この電気掃除機11は、吸引源である電動送風機15を備えている。また、この電気掃除機11は、図示しない電源部を備えている。さらに、この電気掃除機11は、図示しない制御部を備えている。また、この電気掃除機11は、設定部としての設定ボタン20を備えている。なお、本実施形態では、電気掃除機11は、被掃除面としての床面上を走行可能な掃除機本体13に対して着脱可能な風路体22を備えるキャニスタ型の電気掃除機とする。
【0009】
掃除機本体13は、走行輪24を備える。また、この掃除機本体13は、本体部25を備える。そして、この掃除機本体13は、走行輪24により、床面を走行可能となっている。なお、以下、前後方向および両側方向(幅方向)については、掃除機本体13の走行方向を基準とし、例えば風路体22側を前側、その反対側を後側とする。
【0010】
走行輪24は、例えば本体部25の両側部にそれぞれ回転可能に設けられている。すなわち、これら走行輪24は、水平方向(略水平方向も含む)に沿って回転軸を有している。これら走行輪24は、互いに同軸(略同軸も含む)に位置している。これら走行輪24は、大径に形成されている。
【0011】
本体部25は、電動送風機15を内蔵している。また、この本体部25は、電源部を内蔵している。さらに、この本体部25は、制御部を内蔵している。本実施形態において、本体部25は、さらに集塵部14を内蔵していてもよい。図1および図2に示すように、この本体部25は、少なくとも一部の外形が走行輪24の外形よりも小さく形成されている。例えば、この本体部25は、少なくとも、走行輪24の回転軸を含む仮想的な鉛直面(上下方向および幅方向に広がる面)Pよりも後側(風路体22に対して反対側)の外形が走行輪24の外形よりも小さく形成されている。本実施形態において、この本体部25は、上部から後部を経由して下部に亘る部分の外形が連続的に走行輪24の外形よりも小さく形成されている。このため、この本体部25は、走行輪24の回転軸を中心として、鉛直面Pに対して一側と他側とに亘る範囲で揺動(回動)可能となっている。換言すれば、本体部25は、前側(風路体22側)が鉛直面Pに対して一側となる位置(図1)と、前側(風路体22)側が鉛直面Pに対して他側となる位置(図2)との間で連続的に揺動(回動)可能となっている。このため、本体部25は、鉛直面Pに対して一側に揺動した位置と、鉛直面Pに対して他側に揺動した位置とで、上下が反転可能となっている。また、この本体部25は、第1本体部である主本体部27を備える。さらに、この本体部25は、第2本体部である延出部28を備えていてもよい。なお、以下、説明をより明確にするために、本体部25が図1に示す状態となっている位置を一方向揺動位置である正位置、本体部25が図2に示す状態となっている位置を他方向揺動位置である逆位置と定義する。
【0012】
主本体部27は、走行輪24の外形よりも小さい外形を有する部分である。この主本体部27は、本体部25の上部から後部を経由して下部に亘る部分を構成している。この主本体部27は、例えば円筒面の少なくとも一部に沿う外形を有している。本実施形態において、この主本体部27は、例えば半円筒面状の外形を有している。この主本体部27は、走行輪24と同軸状(略同軸状も含む)に配置されている。すなわち、この主本体部27の両側部に走行輪24がそれぞれ軸支されている。
【0013】
延出部28は、走行輪24の外形よりも大きい外形を有する部分である。この延出部28は、主本体部27と一体に形成されている。この延出部28は、例えば走行輪24の径方向に沿って主本体部27から延出している。例えば、この延出部28の上部および下部は、主本体部27の上部および下部から、それぞれこの主本体部27の接線方向に沿って延出している。また、この延出部28には、図3および図4に示す被接続部29が設けられている。すなわち、掃除機本体13は、被接続部29を備えている。なお、延出部28は、必須の構成ではない。
【0014】
被接続部29は、風路体22の下流端部である基端部が接続される開口部である。この被接続部29は、本体部25の前端部に開口されている。本実施形態において、この被接続部29は、例えば延出部28の前端部に位置している。また、この被接続部29は、延出部28の幅方向の中央部(略中央部も含む)に位置している。この被接続部29は、集塵部14と連通して形成されている。すなわち、この被接続部29は、集塵部14に形成されていてもよい。
【0015】
集塵部14は、電動送風機15(図6)の駆動により生じる負圧を利用して空気とともに吸い込んだ塵埃を空気から捕集する部分である。この集塵部14は、掃除機本体13(本体部25)に一体的に組み込まれていてもよいし、掃除機本体13(本体部25)に対して着脱可能でもよい。
【0016】
図6に示す電動送風機15は、電動機によりファンを回転させることで負圧を生じさせ、塵埃を空気とともに集塵部14へと吸い込むものである。
【0017】
電源部は、例えば商用交流電源に接続される電源コードを備えるコードリール装置や、二次電池などの電池が用いられる。
【0018】
制御部は、電動送風機15などの動作を制御するものである。すなわち、この制御部は、電源部から電動送風機15などへの通電量を制御することで、電動送風機15などのオンオフや動作パワーなどの動作状態を制御するものである。この制御部としては、例えばマイコンなどが用いられる。
【0019】
設定ボタン20は、電動送風機15などの動作を使用者が設定するためのものである。この設定ボタン20は、本実施形態では例えば風路体22に設けられているが、例えば掃除機本体13に設けられていてもよい。
【0020】
図1ないし図6に示す風路体22は、電動送風機15の駆動により生じる負圧を床面などに作用させるものである。すなわち、この風路体22は、電動送風機15の吸込側に接続されるものである。また、この風路体22は、キャニスタ型の電気掃除機11において、使用者が掃除機本体13を引っ張って走行させることを可能にするものである。この風路体22は、例えば掃除機本体13に対して着脱可能となっている。この風路体22は、ホース体31を備える。また、この風路体22は、接続体(取付具)32を備える。さらに、この風路体22は、支持部材33を備える。また、この風路体22は、付勢部材34(図3)を備えていてもよい。さらに、この風路体22は、本体把持部35を備えていてもよい。また、この風路体22は、手元操作部36を備える。また、この風路体22は、延長管37を備えていてもよい。さらに、この風路体22は、吸込口体38を備えていてもよい。したがって、電気掃除機11は、ホース体31を備える。また、電気掃除機11は、接続体32を備える。さらに、電気掃除機11は、支持部材33を備える。また、電気掃除機11は、付勢部材34を備えていてもよい。さらに、電気掃除機11は、本体把持部35を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、手元操作部36を備える。さらに、電気掃除機11は、延長管37を備えていてもよい。また、電気掃除機11は、吸込口体38を備えていてもよい。
【0021】
ホース体31は、可撓性を有する長尺の筒状に形成されている。
【0022】
接続体32は、風路体22を掃除機本体13の本体部25(被接続部29)に対して接続するものである。より詳細に、この接続体32は、ホース体31の下流端側である基端側(一端側)を掃除機本体13の本体部25(被接続部29)に対して接続するものである。この接続体32は、掃除機本体13とは別体で設けられている。また、この接続体32は、保持部41を備える。さらに、この接続体32は、接続部42を備える。また、この接続体32は、側部支持部43を備えていてもよい。
【0023】
保持部41は、ホース体31の基端側を保持するものである。この保持部41は、直管状、すなわち円筒状(略円筒状も含む)に形成されている。この保持部41は、前後方向に沿って位置している。また、この保持部41の先端部である一端部から、ホース体31が突出している。このため、ホース体31の基端部が、本体部25の径方向に沿って位置するようになっている。また、この保持部41の基端部である他端部は、本体部25(延出部28)の前端部に接触している。
【0024】
接続部42は、被接続部29に挿入されて、風路体22と集塵部14とを連通させるものである。この接続部42は、例えば保持部41と同軸(略同軸も含む)に形成されている。また、この接続部42は、保持部41の基端側に突出している。したがって、接続部42は、保持部41に対してホース体31と反対側に位置している。
【0025】
側部支持部43は、掃除機本体13の本体部25(被接続部29)に対して接続された接続体32を幅方向に安定させるものである。側部支持部43は、保持部41の両側にそれぞれ突設されている。これら側部支持部43は、本体部25(延出部28)の前端部に沿って幅方向に延びている。また、側部支持部43には、図示しないクランプが設けられている。したがって、電気掃除機11(風路体22)は、クランプを備える。このクランプは、風路体22を掃除機本体13に対して着脱可能に固定するものである。このクランプは、例えば掃除機本体13(本体部25)に設けられていてもよい。
【0026】
支持部材33は、床Fとの接触によりホース体31の一端側である基端側が床Fに対して非接触となる位置に本体部25の各揺動端(揺動限界位置)を規定するものである。すなわち、支持部材33は、走行輪24の回転軸を中心として揺動させた本体部25を床Fに対して支持することで本体部25のそれ以上の揺動を規制することにより、ホース体31の基端側の床Fとの接触を防止するものである。支持部材33は、接続体32に対して本体部25の揺動一方向側の位置と揺動他方向側の位置とにそれぞれ設けられている。換言すれば、支持部材33は、接続体32(風路体22)の基端側(接続体32(保持部41)に保持されている位置)の中心軸を挟んで揺動方向の互いに反対側である上側と下側とに位置する。すなわち、支持部材33としては、接続体32に対して本体部25の揺動一方向側に位置する第1支持部材である正位置支持部材47と、接続体32に対して本体部25の揺動他方向側に位置する第2支持部材である逆位置支持部材48とが設定されている。また、支持部材33は、車輪49を備えていてもよい。
【0027】
正位置支持部材47は、鉛直面Pに対して本体部25が一方向に揺動した状態で床Fに対して接触することで、本体部25の一方向の揺動端を規定するものである。すなわち、この正位置支持部材47は、本体部25を正位置で床Fに対して支持するものである。したがって、この正位置支持部材47は、本体部25が正位置の状態で接続体32に対して下部に位置し、本体部25が逆位置の状態で接続体32に対して上部に位置する。また、この正位置支持部材47は、保持部41よりも後方に位置している。さらに、この正位置支持部材47は、例えば本体把持部35に設けられていてもよい。このため、この正位置支持部材47は、本体部25の正位置において、本体部25の下部に位置する。さらに、この正位置支持部材47は、例えば接続体32(本体把持部35)に対して上下方向に回動可能に軸支されていてもよい。そして、この正位置支持部材47は、床Fに接触した状態で、ホース体31の基端側と床Fとの間に上下に間隙を形成するようになっている。本実施形態において、この正位置支持部材47は、床Fに接触した状態で、接続体32を例えば水平方向(略水平方向も含む)に沿って位置させるようになっている。
【0028】
逆位置支持部材48は、鉛直面Pに対して本体部25が他方向に揺動した状態で床Fに対して接触することで、本体部25の他方向の揺動端を規定するものである。すなわち、この逆位置支持部材48は、本体部25を逆位置に床Fに対して支持するものである。したがって、この逆位置支持部材48は、本体部25が逆位置の状態で接続体32に対して下部に位置し、本体部25が正位置の状態で接続体32に対して上部に位置する。また、この逆位置支持部材48は、本体部25の逆位置において、保持部41の下部に位置する。このため、この逆位置支持部材48は、本体部25の正位置において、本体部25の前方の下部に位置する。そして、この逆位置支持部材48は、床Fに接触した状態で、ホース体31の基端側と床Fとの間に上下に間隙を形成するようになっている。本実施形態において、この逆位置支持部材48は、床Fに接触した状態で、接続体32を水平方向(略水平方向も含む)に沿って位置させるようになっている。
【0029】
この結果、本実施形態において、本体部25は、走行輪24の回転軸を中心として正位置と逆位置との間で前後方向に例えば約180°揺動可能となっている。
【0030】
車輪49は、掃除機本体13の走行を補助する補助輪である。また、車輪49は、走行輪24よりも小径に設けられた従動輪である。車輪49は、本実施形態において、正位置支持部材47と逆位置支持部材48とのそれぞれに回転可能に設けられている。すなわち、本実施形態において、車輪49には、正位置支持部材47に回転可能に備えられる第1車輪である正位置用車輪51と、逆位置支持部材48に回転可能に備えられる第2車輪である逆位置用車輪52とが設定されている。そして、車輪49が、支持部材33において床Fと直接接触する接地部となっている。なお、車輪49には、床Fとの接触の衝撃を緩和する不織布などの緩衝部材が表面に設けられていてもよいし、車輪49自体が弾性体(例えばゴム、あるいはエラストマなど)により形成されて床Fとの接触の衝撃を緩和する緩衝部材となっていてもよい。また、この車輪49は、必須の構成ではない。
【0031】
図3に示す付勢部材34は、支持部材33を接続体32に対して付勢するものである。すなわち、この付勢部材34は、支持部材33を床Fの凹凸や小さい障害物などによる段差に追従させて支持部材33と床Fとを適切な接触圧で接触させた状態を維持するものである。また、この付勢部材34は、支持部材33の床Fとの接触の衝撃を緩和するものである。本実施形態において、付勢部材34は、例えば正位置支持部材47を接続体32に対して付勢している。すなわち、この付勢部材34は、正位置支持部材47を接続体32に対して突出する方向に付勢している。例えば、この付勢部材34としては、コイルばねが用いられるが、トーションばねや弾性体などでもよい。なお、この付勢部材34は、逆位置支持部材48を接続体32に対して付勢するものでもよいし、正位置支持部材47を接続体32に対して付勢するものと、逆位置支持部材48を接続体32に対して付勢するものとのそれぞれが設定されていてもよい。また、この付勢部材34は、必須の構成ではない。
【0032】
図1ないし図3に示す本体把持部35は、掃除機本体13を持ち上げる際に使用者によって把持されるものである。特に、この本体把持部35は、電気掃除機11の収納作業時に使用者の手Hで把持されるものである(図5)。この本体把持部35は、接続体32にて、掃除機本体13の走行輪24による走行方向、すなわち前後方向に沿って設けられている。本実施形態において、この本体把持部35は、接続体32に対して環状に設けられた環状部である。すなわち、この本体把持部35は、使用者により把持される被把持部55と、この被把持部55の端部を接続体32と連結する一端側連結部(第1連結部)である前部連結部56および他端側連結部(第2連結部)である後部連結部57とを備える。被把持部55は、使用者が把持可能な太さであり、把持可能な長さを有するように形成されている。この被把持部55の長さ方向が、掃除機本体13の走行輪24による走行方向、すなわち前後方向に沿うようにして、本体把持部35が形成されている。また、本実施形態において、この本体把持部35は、保持部41に一体に設けられている。したがって、この本体把持部35と接続体32(保持部41)との間に、幅方向に貫通する開口59が形成されている。また、この本体把持部35は、風路体22(ホース体31)側の端部である前端部が、この風路体22(ホース体31)の中心に向かう方向に傾斜している。すなわち、前部連結部56は、前方に向かって風路体22(ホース体31)の中心に接近する方向に傾斜した傾斜部である。さらに、この本体把持部35は、被把持部55が前方に向かって風路体22(ホース体31)の中心に接近する方向に傾斜している。したがって、本体把持部35全体として、前方に向かって風路体22(ホース体31)の中心に接近する方向に傾斜している。また、この本体把持部35は、本実施形態において、本体部25が正位置の状態で接続体32の下部、本体部25が逆位置の状態で接続体32の上部となる位置に設けられている。そして、本実施形態において、この本体把持部35には、被把持部55の後端部寄り、すなわち被把持部55と後部連結部57とが連続する位置近傍に、正位置支持部材47が設けられている。なお、この本体把持部35は、必須の構成ではない。
【0033】
図6に示す手元操作部36は、握り管などとも呼ばれ、ホース体31の上流端側である先端側(他端側)に設けられている。この手元操作部36は、ホース体31の先端側と延長管37の下流端側である基端側(一端側)とを接続するものである。この手元操作部36には、例えば設定ボタン20が配置されていてもよい。また、この手元操作部36は、使用者が掃除の際に把持する部分である。この手元操作部36には、例えば風路体22の把持操作用の把持部61が突設されていてもよい。この把持部61には、設定ボタン20が配置されていてもよい。なお、把持部61は、必須の構成ではなく、使用者が手元操作部36を直接把持するようにすることもできる。この場合、設定ボタン20は、手元操作部36に直接配置されていてもよい。
【0034】
延長管37は、例えば硬質の合成樹脂により直管状に形成されている。この延長管28は、例えば基端側がホース体31の先端側(手元操作部36)と接続されるとともに、先端側が吸込口体38と接続される。なお、この延長管37は、必須の構成ではない。
【0035】
吸込口体38は、電動送風機15の駆動により生じた負圧によって床面から塵埃を吸い込むものである。この吸込口体38は、本実施形態において、例えば床面に載置されてこの床面上を移動される床ブラシとする。この吸込口体38は、ケース体63を備えている。また、この吸込口体38は、延長管37の先端側に接続される接続管64を備えている。この吸込口体38は、回転清掃体を備えていてもよい。なお、この吸込口体38は、必須の構成ではない。
【0036】
次に、上記一実施形態による掃除動作を説明する。
【0037】
概略として、使用者は、掃除機本体13に対して接続体32により接続されたホース体31の先端部に延長管37および吸込口体38を接続した状態で、吸込口体38を床面上に載置し、把持部61を把持して設定ボタン20を操作することで電動送風機15を駆動させる。そして、風路体22により掃除機本体13を引っ張って適宜の位置に移動させては吸込口体38を床面上で前後に繰り返し走行させて、電動送風機15の駆動により生じた負圧を利用して吸込口体38の吸込口から床面の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0038】
このとき、掃除機本体13は、本体部25が正位置でも逆位置でも、いずれであっても使用できる。例えば本体部25が正位置の場合には、正位置支持部材47が正位置用車輪51で床Fと接触し(図1)、両側の走行輪24とともに掃除機本体13(本体部25)を床Fに対して3点支持することで、安定的な走行が可能になる。このとき、正位置支持部材47によって、ホース体31の基端側は、床Fに対して高さが確保されて床Fとは非接触となり、床Fに擦り付けられることがない。一方、例えば本体部25が逆位置の場合には、逆位置支持部材48が逆位置用車輪52で床Fと接触し(図2)、両側の走行輪24とともに掃除機本体13(本体部25)を床Fに対して3点支持することで、安定的な走行が可能になる。このとき、逆位置支持部材48によって、ホース体31の基端側は、床Fに対して高さが確保されて床Fとは非接触となり、床Fに擦り付けられることがない。
【0039】
また、例えば方向転換の際などには、走行輪24の回転軸を中心として本体部25の上下を反転させるように揺動させることで、正位置と逆位置とが転換し、その場で走行方向の反転が可能となる。
【0040】
なお、吸込口体38の吸込口から吸い込んだ含塵空気は、接続管64から、延長管37、ホース体31を経由し、集塵部14へと吸い込まれる。この集塵部14において、含塵空気中の塵埃が分離捕集され、塵埃が分離された空気が電動送風機15へと吸い込まれ、この電動送風機15を冷却した後、掃除機本体13から排気される。掃除が終了すると、使用者が設定ボタン20を操作することで電動送風機15を停止させる。集塵部14に捕集された塵埃は、必要に応じて廃棄される。
【0041】
このように、本実施形態によれば、接続体32に対して本体部25の揺動一方向側の位置と揺動他方向側の位置とに、床Fとの接触によりホース体31の一端側が床Fに対して非接触となる位置に本体部25の各揺動端を規定する支持部材33を設けることで、本体部25の揺動時にホース体31の床Fからの高さが確保されてホース体31の下部が床Fと接触しにくくなり、また、ホース体31の下部の床Fとの接触によってホース体31の基端が上方に押されて接続体32(保持部41)に対してホース体31の基端が当たって変形したりホース体31の基端側の下部が掃除機本体13の走行時に床Fに擦り付けられたりしにくく、ホース体31を傷付けにくい。
【0042】
また、支持部材33(正位置支持部材47)を接続体32に対して付勢部材34により付勢することで、支持部材33(正位置支持部材47)が床Fに接触する際の衝撃を付勢部材34により緩和できるので、使用者が気兼ねなく掃除機本体13の本体部25を揺動させて反転させることができる。
【0043】
さらに、支持部材33が、床Fに接地する車輪49を備えることで、走行輪24とともにこの車輪49によって掃除機本体13を走行可能に支持し、走行の安定性を向上できる。しかも、正位置支持部材47を接続体32(本体把持部35)に対して回動可能に軸支するとともに付勢部材34により接続体32(本体把持部35)に対して突出する方向に付勢することで、正位置用車輪51が床Fとの適切な接触圧力を維持し、掃除機本体13を円滑に走行させることが可能になる。
【0044】
そして、把持される本体把持部35を接続体32に設けることで、使用者がこの本体把持部35を把持して掃除機本体13を持ち上げることができる。
【0045】
また、本体把持部35を、掃除機本体13の走行輪24による走行方向に沿って設けることで、例えば掃除機本体13の前部(風路体22側)を上方に向けて立てた状態で掃除機本体13を本体把持部35によって持ち上げやすくなるとともに、支持部材33によって接続体32と床Fとの間に形成されるスペースを有効に利用し、本体把持部35を省スペースで配置できる。
【0046】
しかも、本体把持部35のホース体31側の端部(前部連結部56)をこのホース体31の中心に向かう方向に傾斜させることで、例えば本体把持部35を下側とする位置、本実施形態では正位置において、床Fに対向する本体把持部35のホース体31側の端部(前部連結部56)が床F上の凹凸や小さい障害物O(図1)などに対していわば橇として作用し、これらを容易に乗り越えて掃除機本体13を円滑に走行させることが可能になる。さらに、本体把持部35全体として、前部に向かってホース体31の中心に接近する方向に傾斜させているので、床F上の凹凸や小さい障害物などをより容易に乗り越え可能となる。
【0047】
なお、上記一実施形態において、支持部材33の正位置支持部材47に代えて、逆位置支持部材48を接続体32に対して回動可能に設けてもよいし、正位置支持部材47および逆位置支持部材48をそれぞれ接続体32に対して回動可能に設けてもよい。この場合には、逆位置支持部材48も付勢部材34により付勢することが好ましい。
【0048】
また、本体把持部35は、本体部25が逆位置の状態で接続体32の下部、本体部25が正位置の状態で接続体32の上部となる位置に設けてもよいし、本体部25が正位置の状態で接続体32の下部に位置する本体把持部35と、本体部25が逆位置の状態で接続体32の下部に位置する本体把持部35とを、それぞれ設けてもよい。すなわち、本体把持部35は、本体部25の揺動一方向側(正位置側)と揺動他方向側(逆位置側)とのそれぞれの位置で接続体32に設けられていてもよい。
【0049】
さらに、支持部材33自体を弾性体により形成する構成としてもよい。この場合には、付勢部材34を用いなくても、支持部材33が床Fに接触する際の衝撃を緩和できるので、使用者が気兼ねなく掃除機本体13の本体部25を揺動させて反転させることができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
24 走行輪
25 本体部
31 ホース体
32 接続体
33 支持部材
34 付勢部材
35 本体把持部
49 車輪
P 鉛直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6