(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20221110BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20221110BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/18 K
H05K7/20 W
(21)【出願番号】P 2017191388
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-07-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】宗 毅志
(72)【発明者】
【氏名】相澤 修
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸充
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】平井 慶太
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】富澤 哲生
【審判官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0240281(US,A1)
【文献】特開2012-98916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0050231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00, 1/20
H05K 7/18, 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に積層された複数の電子機器を冷却液で冷却する情報処理装置であって、
前記冷却液を複数階層で分配する分配器を備え、
前記分配器の各階層は、前記冷却液を一時的に蓄える分配用配管と、前記分配用配管から分岐された複数の分配用連絡管とを有する分配層分配器を備え、下流側の階層ほど前記分配用配管が増し、最終階層の前記分配用連絡管が前記電子機器に接続される情報処理装置において、前記分配器が前記冷却液を分配する総分岐数をRとして、階層数をTとした場合、
第N階層の分配用配管それぞれから分岐される分岐数は、以下の式、
α=R^(1/T) ・・・(Rの1/T乗)
ただし、R、Tは2以上の整数、
により求められた値αに最も近い総分岐数の因数であって、前記因数が±α/2以内の範囲内にあって、給水管の上流側にある分配用配管の本数が少ない方の因数とす
る、
情報処理装置。
【請求項2】
各階層の分配用配管から分岐された複数の分配用連絡管のそれぞれは、各階層の分配用配管から最も遠い位置にある次の階層の分配用配管までの距離と、同一の長さで形成された、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
各階層の分配用配管からの分岐数は、下流側に位置する分配用配管ほど大きくなるように、各階層の分岐数が設定された、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、冷却液を分配する分配器を有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ装置等の情報処理装置では、内蔵する電子機器等を冷却するために、冷却液が、冷却液供給装置により金属配管又は樹脂製のホースなど用いて情報処理装置内に供給される。サーバ装置ではCentral Processing Unit(以下、CPU)を有する複数の電子機器が搭載されており、電子機器のそれぞれを冷却するために冷却液が分配される。冷却液の分配は、1本の太い配管に複数のホース等の分配経路が接続された分配器(多岐配管、マニホールドとも呼ばれる)により行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サーバ装置に搭載される電子機器の数が増えるに従い、冷却液を電子機器に均等に分配するために分配器の配管長が長くなることから、分配器の実装スペースが大きくなるという課題がある。
【0005】
1つの側面では、冷却液を分配する分配器全体が小型化された情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの形態によれば、高さ方向に積層された複数の電子機器を冷却液で冷却する情報処理装置であって、冷却液を複数階層で分配する分配器を備え、分配器の各階層は、冷却液を一時的に蓄える分配用配管と、分配用配管から分岐された複数の分配用連絡管とを有する分配層分配器を備え、下流側の階層ほど分配用配管が増し、最終階層の分配用連絡管が電子機器に接続される情報処理装置において、分配器が冷却液を分配する総分岐数をRとして、階層数をTとした場合、
第N階層の分配用配管それぞれから分岐される分岐数BNは、以下の式、
BN ≒ R^(1/T) ・・・(Rの1/T乗)
ただし、BN、R、Tは2以上の整数、により求められた値に応じた数とした情報処理装置が提供される。
【0007】
分配器全体が小型化された情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】比較技術である、分配器及び合流器を備える情報処理装置の概略を示す概略図である。
【
図2】開示する、分配器及び合流器を備える情報処理装置の概略を示す概略図である。
【
図3】分配器及び合流器の一部を示す斜視図である。
【
図4】冷却液により冷却する電子機器を示す平面図である。
【
図5】冷却液が複数の分配層分配器により分配され、再度、複数の合流層合流器により合流されることを示す概念図である。
【
図6】情報処理装置の別例を示す図であり、分配器及び合流器の一部を示す斜視図である。
【
図7】情報処理装置の分配器及び合流器の一例を示す概略図である。
【
図8】情報処理装置の分配器の別例を示す概略図である。
【
図9】情報処理装置の分配器の別例を示す概略図である。
【
図10】情報処理装置の分配器の別例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。また、以下の実施の形態において同一又は類似の要素には共通の参照符号を付けて示し、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0010】
まず、比較技術の情報処理装置の一例であるサーバ装置について説明する。
図1は、比較技術のサーバ装置2の概略を示す概略図である。サーバ装置2は、それぞれがCPUを有する複数の電子機器40と、熱交換器33と、冷却液を分配する分配器210と、電子機器40を冷却した冷却液を収集する合流器220とを筐体32内に備える。
【0011】
分配器210は給水管34によって熱交換器33と接続しており、冷却液は、熱交換器33から給水管34を通って分配器210に流入する。熱交換器33は冷却液供給器でもあり、冷却液を分配器210に送付するポンプの機能を有する。
【0012】
分配器210は、熱交換器33から送付された冷却液を電子機器40に分配する装置であり、冷却液が流入する分配用配管211と、分配用配管211と電子機器40との連絡経路である分配用連絡管212とを備える。なお、
図1では、分配用連絡管212は実線で示され、矢印により冷却液の流れ方法が示されている。分配用配管211は、給水管34と接続する一つの流入口と、電子機器40の数と同数の排出口とを備える。分配用連絡管212は例えば樹脂製のホースである。分配用連絡管212は、分配用配管211に設けられた排出口と、電子機器40のそれぞれに設けられた流入口とに接続している。熱交換器33から給水管34を経由して分配器210に流入した冷却水は、分配用配管211に蓄積され、分配用連絡管212を通じて電子機器40のそれぞれに分配される。
【0013】
合流器220は、合流用配管221と、電子機器40と合流用配管221との連絡経路である合流用連絡管222を備える。
図1において合流用連絡管222は、点線で示され、冷却液の流れ方向は矢印により示される。電子機器40から流出した冷却水は、合流用連絡管222を経由して合流用配管221に収集される。合流用配管221に集められた冷却水は、合流用配管221から排水管35を経由して、熱交換器33に流入する。電子機器40により加熱された冷却水は熱交換器33で再度冷却され、熱交換器33により再度分配器210に送られる。このように冷却水は、サーバ装置2において電子機器40を冷却するために循環するようになっている。
【0014】
複数の分配用連絡管212に分岐する分配用配管211を用いて冷却液を電子機器40に分配する構造は、等温かつ均等流量の冷却液を複数の電子機器40へ供給する方法として有効である。しかしながら、サーバ装置2の高性能化に伴い、CPUを有する電子機器40がより多く搭載されるようになり、以下の要因によりサーバ装置2のサイズが大きくなるという課題がある。
(1)一つの分配用配管211から複数の電子機器40に接続するように分岐するため、分配用配管211の長さが、電子機器40の数が増加するに従い長くなる。一方、分配用配管211の流入口から電子機器40までの距離(以下、分配経路)の違いによる圧力損失を無くすために、分配経路を同一の長さにする必要がある。そのため、全ての分配用連絡管212は最も長い分配用連絡管212の長さに合わせなくてはならず、より大きな実装スペースを要するようになる。
(2)分配用配管211の流入口から、分配用配管211の個々の流出口までの距離の増大による圧力損失が流量の低下を招くので、圧力損失の差を小さくするために、分配用配管211の径をさらに太くする必要がある。
【0015】
比較技術の分配器210及び合流器220の構造では、上記の理由により、冷却する電子機器40が増加するに従い、それらの実装スペースが大型化する。一方、サーバ装置の設置面積は制限されている場合が多く、分配器210及び合流器220のために専有面積を増加させることは難しい。そのため、実装スペースがより小さい、小型の分配器及び合流器が求められている。
【0016】
図2は、本実施形態の情報処理装置の一例であるサーバ装置1の概略を示す概略図である。
図3は、分配器及び合流器の一部を示す斜視図である。
図2及び
図3に示すZ軸がサーバ装置1の高さ方向を示す。サーバ装置1は、
図1に示すサーバ装置2と同様、CPUを有する複数の電子機器40と、熱交換器33とを備える。サーバ装置1は、熱交換器33から給水管34を経由して送られる冷却液を電子機器40のそれぞれに分配する分配器10と、電子機器40を冷却した冷却液を収集する合流器20とを備える。
【0017】
本実施形態の分配器10は、
図2及び
図3に示すように、2段階の階層構造となっていて、2つの分配層分配器13
1及び分配層分配器13
2(以下、複数の分配層分配器をまとめて単に分配層分配器13と称する場合がある)が接続されている。
【0018】
具体的には、分配器10は、給水管34から冷却液を分配する第1の分配層分配器13
1と、第1の分配層分配器13
1に接続してさらに冷却液を分配する第2の分配層分配器13
2とを備える。第1の分配層分配器13
1は、冷却液を一時的に蓄える分配用配管11
1と、分配用配管11
1から分岐された複数の分配用連絡管12
1とを備える。なお、分配用連絡管12
1は
図2において実線の矢印で示され、矢印により冷却液の流れ方向を示している
。そして、第2の分配層分配器13
2は、第1の分配層分配器13
1の分配用連絡管12
1に接続する分配用配管11
2と、分配用配管11
2から分岐された複数の分配用連絡管12
2とを備える。第2の分配層分配器13
2の複数の分配用連絡管12
2のそれぞれは対応する電子機器40に接続される。なお、以下では、複数の分配用配管11
1、11
2を単に、分配用配管11と、複数の分配用連絡管12
1、12
2をまとめて、分配用連絡管12と称する場合がある。
【0019】
熱交換器33は、給水管34を経由して第1の分配層分配器13
1にある分配用配管11
1と接続されており、分配用配管11
1から4つの分配用連絡管12
1に分岐している。分配用配管11
1のそれぞれには、一つの流入口に対し複数の排出口が設けられる。上流側の第1の分配層分配器13
1の分配用連絡管12
1は、それぞれ下流側の第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2に接続される。分配用連絡管12
1は、一つの流入口に対し一つの排出口が設けられる。第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2からは、複数の分配用連絡管12
2に分岐していて、分配用連絡管12
2の各個は電子機器40の流入口47(
図4参照)に接続する。
【0020】
図3に示すように、第1の分配層分配器13
1の分配用連絡管12
1の径TD
1は、第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1の径SD
1より小さく形成される。また、上流側にある第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1の径SD
1の径よりも、下流側にある第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2の径SD
2の径の方が小さくなるよう形成されている。なお、ここでは、径は内径のことを意味するものとする。
【0021】
比較技術のサーバ装置2のように単一の分配管を用いる場合、全ての電子機器に冷却液を分配するよう分岐する。一方、本実施形態のサーバ装置1のように、分配器10を階層構造とすれば、分配用配管11のそれぞれにおいて分岐する数を減少させることができる。分岐数が減少することから、圧力損失を無くすために全ての分配用連絡管12を長くしなくてもよい。そのため、分配用連絡管12の空間占有率を下げることができる。また、分配用配管11の一本あたりの流量が減少することから、分配用配管11の径SDをより細くすることができる。よって、分配器10を全体的により小型化することができ、部品コストの削減につながる。
【0022】
本実施形態のサーバ装置1の合流器20について説明する。合流器20は、分配器10と同様、
図2及び
図3に示すように階層構造となっている。
図2に示す合流器20は、2階層の合流層合流器23
1、23
2を有する。合流層合流器23
1では、合流用配管21
1、21
2及び合流用連絡管22
1、22
2(
図2では、点線の矢印で示され、冷却液の流れ方向が矢印で示される)有する。
図2に示す合流器20では、電子機器40から排出された冷却液が、合流用連絡管22
1を経由して合流用配管21
1に蓄積される。一旦蓄積された冷却液は、下流側の第2の合流層合流器23
2である合流用配管21
2に、合流用連絡管22
2を経由して流入する。合流用配管21
2に収集された冷却液は、排水管35を経由して、熱交換器33に流入する。
【0023】
図3に示すように、第1の合流層合流器23
1の合流用配管21
1の径CD
1よりも、第2の合流層合流器23
2の合流用配管21
2の径CD
2の方が大きくなるよう形成されている。また、第1の合流層合流器23
1の合流用連絡管22
1の径UD
1は、第1階層の合流用配管21
1の径CD
1よりも小さく形成される。階層ごとに分けることで、上流側であるは合流用配管21
1に流入する冷却液の量が少なくなり、第1の合流層合流器23
1の合流用配管21
1の径CD
1を、第2の合流層合流器23
2の合流用配管21
2の径CD
2より小さくすることが可能である。
【0024】
本実施形態のサーバ装置2に搭載される電子機器40について説明する。
図4に示すように、電子機器40は、プリント基板41上にCPU等の集積回路42が複数搭載されている。また、プリント基板41の端部には、他の電子機器等と接続するための電気コネクタ43が設けられている。発熱部品である集積回路42には、集積回路42を冷却するためのコールドプレート44が取付けられている。集積回路42上のコールドプレート44を効率的に冷却するよう、冷却液が流動するパイプ45が配置される。また、電子機器40には、分配器10の分配用連絡管12
2及び合流器20の合流用連絡管22
1に接続するためのカプラ46が設けられている。カプラ46には流入口47と排出口48があり、冷却液を流動させるためのパイプ45の端部がそれぞれ接続される。カプラ46に設けられた流入口47を分配用連絡管12
2に、排出口48を合流用連絡管22
1に嵌合させることで、容易に電子機器40を分配器10及び合流器20に取付けることが可能である。冷却液は、パイプ45内を
図4に記載の矢印に従って流れる。
【0025】
図1に示す比較技術によるサーバ装置2の分配器210及び合流器220と、
図2に示すサーバ装置1の分配器10及び合流器20の大きさを、実施例により比較する。実施例では、96個の電子機器40を冷却するために必要な分配器及び合流器を大きさ示す。サーバ装置1の分配器10は、
図2に示すよう2階層とする。そして、第1の分配層分配器13の分配用配管11
1に8本の分配用連絡管12
1を接続して冷却液を8分岐させる。そして、各分配用連絡管12
1に、第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2をそれぞれ接続する。すなわち、第2の分配層分配器13
2では8本の分配用配管11
2を設ける。第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2のそれぞれは12分岐され、
図4に示す電子機器40を接続する。一つの分配用配管11
2に対し、電子機器40を
図2に示すように12台並列に並べ、それぞれの流入口47を一列にすることで、別途ホース等を用いることなく電子機器40を直接接続させる。
【0026】
第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1の径SD
1は45mmとし、長手方向の長さSL
1は400mmとする。そして、第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2の径SD
2を設定するに当たり、以下の式を用いる。
【数1】
ただし、SD
2は第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2の径、SD
1は第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1の径、SN
1は第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1から第2の分配層分配器13
2の分配用配管11
2への分岐数である。
【0027】
実施例では、第1の分配層分配器131の分配用配管111から第2の分配層分配器132に8分岐するため、第2の分配層分配器132の分配用配管112を通る流量は、第1の分配層分配器131の分配用配管111を通る流量の1/8である。分配用配管112での圧力損失を、分配用配管111と同程度に抑えるために、流量と同様、第2の分配層分配器132の分配用配管112の断面積を、第1の分配層分配器131の分配用配管の断面積を1/8程度とする。すなわち、断面積の比が1/8であり、内径の比は√(1/8)となる。以上のことを考慮しつつ、流通及びコスト面を考慮すると、第2階層の分配用配管112の径SD2は20mm、配管長SL2を400mmとすることができる。また、第1の分配層分配器の分配用配管111と第2の分配層分配器の分配用配管112を接続する分配用連絡管121(ホース)の径は15mm、長さは1500mmとする。また、合流器20は、分配器10により各電子機器40に流入した冷却水を収集することから、同様の寸法で形成する。すなわち、第1の合流層合流器231の合流用配管211の径CD1を20mm、配管長CL1を400mmとし、第2の合流層合流器232の合流用配管212の径CD2を45mm、配管長CL2を400mmとする。また、合流用連絡管222の径は15mm、長さを1500mmとする。
【0028】
上記の寸法で、分配器10及び合流器20を作製した場合の体積を表1に示す。
【0029】
【0030】
図1に示す比較技術の分配器210により96個の電子機器40に冷却液を分配する場合、分配器210の断面積を、第1の分配層分配器13
1の分配用配管11
1の断面積の4倍以上にする必要がある。そのため、分配用配管211の径は90mm、長さは1600mmとした。また、分配器210から電子機器40まで接続する分配用連絡管212(ホース)の径は10mm、長さを500mmとした。また、電子機器40を冷却した冷却水を収集する合流器220も、分配器210と同様の寸法で設けられる。すなわち、合流用配管221の径は90mm、配管長は1600mm、合流用連絡管222の径は10mm、配管長を500mmとする。
【0031】
上記の寸法で、分配器及び合流器を作製した場合の体積を表2に示す。
【0032】
【0033】
表1に示す本実施形態のサーバ装置1の分配器10及び合流器20の体積と、比較技術のサーバ装置2の分配器210及び合流器220とに必要な体積の総計を比較すると、約1/3程度に抑えられることが分かる。よって、本実施形態のサーバ装置1を用いれば、多くの電子機器40に冷却液を分配し、且つ冷却液を収集しつつ、圧力損失も比較技術のサーバ装置2と同程度に抑えることができる。すなわち、本実施形態のサーバ装置1により、冷却性能を維持しながら配管に必要な体積を縮小させることができる。
【0034】
また、比較技術のサーバ装置2では、分配用配管211と合流用配管221とが並列して配置される。本実施形態のサーバ装置1では、分配用配管11
1と、合流用配管21
2の長さを、比較技術のサーバ装置2の分配用配管211と合流用配管221の半分にすることが可能である。そのため、分配用配管11
1と合流用配管21
2とを上下に配置、すなわち、
図2及び
図3に示すように分配用配管11
1の長軸SSと、合流用配管21
2の長軸CSとが同軸になるよう配置することができる。そのため、分配器10及び合流器20の設置スペースを、比較技術のサーバ装置2の分配器210及び合流器220より小さくすることが可能になる。
【0035】
図2及び
図3に示す分配器及10及び合流器20では、2階層の分配層分配器及び合流層合流器で形成されている。しかしながら、分配器10及び合流器20は2階層に限定されず、接続される電子機器40の数に応じて3階層以上で形成されてもよい。
【0036】
分配層分配器の階層を一般化して、N階層と称する場合、分配層分配器13Nでは、冷却液を一時的に蓄える分配用配管11Nと、下流側にある分配用配管11N+1又は電子機器40と接続する複数の分配用連絡管12Nとを有する。なお、Nは階層番号で1以上の整数であり、冷却液が流れる上流側から下流側に向かって増加するものとする。
【0037】
また、合流器20も2階層に限定されず、接続される電子機器40の数に応じて3階層以上で形成されてもよい。冷却液を一時的に蓄える合流用配管21M(Mは階層番号で、冷却液が流れる上流から下流に向かって増加する)と、電子機器40又は上流側の合流層合流器の合流用配管21M-1と接続する複数の合流用連絡管22Mとを有する。合流用配管21Mのそれぞれには、複数の流入口と一つの排水口が設けられている。
【0038】
図5は、3階層以上の分配層分配器13及び合流層合流器23を備えた情報処理装置の概略を示す図である。左から給水管34によって第1の分配層分配器13
1に流入した流入層は、分配用配管11
1に分配され、分配用連絡管121を通じて、第2の分配層分配器13
2に流入する。冷却液の分配は最終階層13eまで続き、電子機器40のそれぞれに流れる。電子機器40を冷却した冷却水は合流器20により収集される。合流器20では、冷却水が第1の合流層合流器23
1においてグループ毎に収集される。最終階層23eまで続いたのち、排水管35を経由して熱交換器33に送られる。
【0039】
分配器10の階層数と合流器20の階層数とは同一であってもよく、また異なっていてもよい。例えば、分配器10を3階層で形成し、合流器20を2階層で形成してもよい。合流器20のみを1階層としてもよい。
【0040】
分配器10が、複数の階層で作製される場合、第Nの分配層分配器にある分配用配管11Nの径SDNより、下流側にある第N+1の分配層分配器の分配用配管11N+1の径SDN+1は小さく形成される。また、第N+1の分配層分配器において、分配用配管11Nの径SDNよりも分配用連絡管12Nの径TDNの方が小さく形成される。
【0041】
また、冷却液を分配する際の圧力損失を考慮して、以下の式で、下流側にある第N+1の分配層分配器13
N+1の分配用配管11
N+1の径SD
N+1を求めるのがよい。
【数2】
但し、SD
Nは第Nの分配層分配器における分配用配管11の径、SN
Nは第Nの分配層分配器での分配数である。
【0042】
合流器20が、複数の階層で形成される場合、第Mの合流層合流器(Mは2以上の整数で、冷却液の上流側から下流側に向けて増加)にある合流用配管21Mの径CDMより、M-1階層の合流用配管21M-1の径CDM-1は小さく形成される。言い換えれば、第Mの合流層合流器にある合流用配管21Mの径CDMより、M+1階層(下流側)の合流用配管21M+1の径CDM+1は大きく形成される。また、第Mの合流層合流器において、合流用配管21Mの径CDMよりも合流用連絡管22Mの径UDMの方が小さく形成される。
【0043】
また、以下の式で、M+1階層の合流用配管21
M+1の径CD
M+1を求めるのがよい。
【数3】
但し、CD
Mは第Mの合流層合流器(上流側の層)における配管の径、CN
M+1は第M+1の合流層合流器(下流側の層)で冷却液が合流する合流数である。
【0044】
図6に、本実施形態の情報処理装置の別例であるサーバ装置1aを示す。
図2及び
図3に示すサーバ装置1では、分配器10で用いられる第2の分配用配管11
2の径SD
2が、第1の分配用配管11
1の径SD
1よりも小さくなるように形成されていた。一方、
図6に示すサーバ装置1aの分配器110では、第1の分配層分配器13
1の第1の分配用配管11
1の径SD
1と、第2の分配層分配器13
2の第2の分配用配管11
2の径SD
2は略同一の大きさで形成されている。第1の分配用連絡管12
1、第2の分配用連絡管12
2及び電子機器40は、
図3に示すサーバ装置1のものと同じであるためそれらの説明は省略する。
図6に示す第1の分配用配管11
1の径SD
1と、第2の分配用配管11
2の径SD
2の大きさ(内径)は1mm~200mmとするのが望ましい。
【0045】
また、
図6に示すサーバ装置1aの合流器120についても、分配器110と同様、第1の合流層合流器23
1の第1の合流用配管21
1の径CD
1と、第2の合流層合流器23
2の第2の合流用配管21
2の径CD
2とは同一の大きさで形成されている。合流用連絡管22
1及び合流用連絡管22
2は、
図3に示すサーバ装置1のものと同じであるためそれらの説明は省略する。第1の合流用配管21
1の径CD
1と、第2の合流用配管21
2の径CD
2の大きさ(内径)は1mm~200mmとするのが望ましい。また、第1の合流用配管21
1の径CD
1と、第2の分配用配管11
2の径SD
2とを同一の大きさとしてもよい。なお、ここで同一の大きさとは、完全に同一のほか実質的に同一とみなせる大きさも含まれる。例えば、配管を流れる冷却液の圧力損失に大きな影響のない例えば1mm~5mmの大きさの違いは同一に含まれる。
【0046】
第1の分配用配管111と第2の分配用配管112は同一の径の管を使用するが、第1の分配用配管111の高さSL1と、第2の分配用配管112の高さSL2とは、同一の大きさであっても、異なっていてもよい。すなわち、第1の分配用配管111の高さSL1と、第2の分配用配管112の高さSL2は、何れか一方が大きくても構わない。
【0047】
また、第1の合流用配管211と第2の合流用配管212は同一の径の管を使用するが、第1の合流用配管211の高さCL1と、第2の合流用配管212の高さCL2とは、同一の大きさであっても、異なっていてもよい。すなわち、第2の合流用配管212の高さCL2と、第1の合流用配管211の高さCL2は、何れか一方が大きくても構わない。分配器110又は合流器120中を流れる冷却液の圧力損失は、配管の径(CD1、CD2、SD1、SD2)によって変化するが、それらの長さの違い、すなわち配管の高さ(SL1、SL2、CL1、CL2)の違いによる影響は小さいからである。
【0048】
図6に示すサーバ装置1aでは、第1の分配用配管11
1の径SD
1と、第2の分配用配管11
2の径SD
2は同一の大きさであるため、圧力損失が殆ど変化しない。そのため、第1の分配用配管11
1と複数の第2の分配用配管11
2とを連絡する複数の第1の分配用連絡管12
1の長さとその径TD
1をそれぞれ同一にすれば、第2の分配用配管11
2のそれぞれに一定の流量で冷却液を供給することができる。また、第1の分配用連絡管12
1の長さが変わった場合でも、第1の分配用連絡管12
1の径TD
1を変更したり圧力損失を調整する機能を設け圧力損失を調整したりすることで、第2の分配用配管11
2への冷却液の供給量をコントロールすることができる。そのため、例えば第1の分配用配管11
1からの分岐数が多くなった場合でもその設計が容易になる。
【0049】
また、第1の分配用配管111の径SD1と第2の分配用配管112の径SD2とを同一の大きさとすることで、第1の分配用配管111と第2の分配用配管112を同一の仕様で調達することができる。同一の仕様で調達するため、第1の分配用配管111等で使用する管材の購入量が多くなることから、単価が安くなり調達コストを低減させることができる。同様の効果が、サーバ装置1aの合流器120の第1の合流用配管211及び第2の合流用配管212でもあるといえる。
【0050】
図7~
図10を用いて、本実施形態のサーバ装置において、各分配器の分配層分配器13から分岐される分岐数B
Nの設定方法について説明する。
図7に示すサーバ装置1bでは、冷却液は冷却する電子機器40の数量に応じて分岐させられるが、複数の階層Nに分けて冷却液を分岐させる場合、各階層でどの程度分岐させるかにより、分配用配管11から分岐する分配用連絡管12の長さTLが異なってくる。そのため、本実施形態のサーバ装置1bでは、各階層の分岐数B
Nを、総分岐数Rの(1/階層数T)乗で求められる値に応じて、その値に最も近い総分岐数Rの因数の組合せで分岐数B
Nが設定されている。すなわち以下の式(式4)を用いて得られる値を使用して第N階層の分配用連絡管12
Nの分岐数B
Nの組合せを設定した。
B
N ≒ R^(1/T) ・・・(Rの1/T乗) (式4)
ただし、Rは総分岐数、Nは階層番号、Tは階層数であり、R、T、Nは2以上の整数とする。
第N階層の分岐数は、総分岐数Rの因数から近い数が選択される。例えば、式4により求められた値αを中心として所定の範囲に含まれる整数が分岐数として選択される。所定の範囲は、例えば式4により求められた値αから、±α/2以内の範囲である。
【0051】
例えば、
図7に示すように冷却すべき電子機器40が40個ある場合、総分岐数Rは40となる。そして階層数Tが2である場合、各階層の分岐数B
Nを、式4から求められる40^(1/2)≒6に近い値となるように設定する。総分岐数Rが40である場合、40となる因数の組合せは、(第1階層の分岐数B
1)×(第2階層の分岐数B
2)と表記すると、(1)2×20、(2)4×10、(3)5×8、(4)8×5、(5)10×4、(6)20×2の6種類の組合せがある。
【0052】
そのうち、各分岐数B
1、B
2のそれぞれが式4により算出した値α≒6に近いものは、5×8の組合せと、8×5の組合せの二種類である。この組合せは、例えば6を中心として±3以内、すなわち3~9の範囲に分岐数B
1、B
2が含まれることによって選択されてよい。
図7及び
図8に5×8の組合せにより分岐した分配器10a、10bを示す。
図9に2×20の組合せにより分岐した分配器10cを示す。
図10に8×5の組合せにより分岐した分配器10dを示す。なお、
図7には、分配器10aと同様の方法により第1階層で8つの合流用連絡管22
1により合流させた合流層合流器23
1と、第2階層で5つの合流用連絡管22
2により合流させた合流層合流器23
2による合流器20aが示されている。なお、
図8~
図10に示されるサーバにおいても合流器が設けられているがその表示は省略されている。
【0053】
各階層において、分配用連絡管12が下流側にある分配用配管11までつながるための長さTLは異なっている。そのため、例えば
図7に示す分配器10aでは、第1階層で5つに分岐されることから、分配用連絡管12
1-1~12
1-5は5種類の長さの管が準備される。また、第2階層では、分配用配管11
2-1と電子機器40のそれぞれの距離が異なることから、それぞれの分配層分配器13
2-1~13
2-5において、8種類の異なる長さの管が準備される。すなわち、5×8の組合せでは、13種類の異なる長さの管が準備される(以下、分配用連絡管12の分岐種類と呼ぶ)。上述した6種類の組合せのそれぞれについて、分岐種類の数を計算すると以下のようになる。
(1)2×20:B
1=2、B
2=20 B
1+B
2=2+20=22
(2)4×10:B
1=4、B
2=10 B
1+B
2=4+10=14
(3)5×8:B
1=5、B
2=8 B
1+B
2=5+8=13
(4)8×5:B
1=8、B
2=5 B
1+B
2=8+5=13
(5)10×4:B
1=10、B
2=4 B
1+B
2=10+4=14
(6)20×2:B
1=20、B
2=2 B
1+B
2=20+2=22
ただし、B
1は第1階層の分岐数、B
2は第2階層の分岐数である。
【0054】
分配器を製造する場合、分配用連絡管の分岐種類が少ない方が製造コストを低減させることができる。総分岐数Rが40の場合、(3)及び(4)の分岐数は13であり、他の組合せ(1)、(2)、(5)、(6)に比べても少ない。そのため、総分岐数Rが40である場合は、(3)及び(4)の組合せが最も望ましいといえる。
【0055】
図7に示すように、各階層の分配用配管を直線で形成された分配用連絡管で連結してもよい。ただし、第1階層の分配用配管11
1から分岐して第2階層の分配用配管11
2-1~11
2-5までの直線距離は異なるため、第1階層の分配用連絡管の長さTL
1-1~TL
1-5は異なる。また、例えば第2階層の分配用配管11
2-1から電子機器40
1~40
8までの直線距離も異なるため、第2階層の分配用連絡管12
2-1~12
2-8の長さTL
2-1~TL
2-8も異なる。そのため、分配用連絡管を通る冷却液の圧力損失の値が5+8で13通り存在することとなる。圧力損失が異なると、末端にある発熱した電子機器を冷やす冷却液の流速が変わってしまう。そのため、全ての電子機器40を同様に冷却するためには、圧力損失をできるだけ統一することが望ましい。例えば、
図8に示すように、第1階層の分配用配管11
1と第2階層の分配用配管11
2-3との位置が近接している場合、直線距離の最も長い分配用連絡管の長さTL
1-1に合わせて、他の分配用連絡管の長さが統一される。この場合、長さが長くなった他の分配用連絡管は、直線距離よりも遠回りさせて連結する。
【0056】
なお、円管内の圧力損失ΔPについては、DarcyーWeisbachの式により算出することが可能である。
ΔP=λ*TL/TD*ρu^2/2=4f*TL/TD*ρu^2/2 (式5)
ただし、TLは分配用連絡管の長さ(単位:m)、TDは円管の内径(単位:m)、ρは、流体密度(単位:kg/m3)、uは流速(単位:m/s)、λは、Darcyの摩擦損失係数、fはFanningの摩擦係数で、λ=4fである。
【0057】
式5から、圧力損失ΔPは、分配用連絡管12の長さTLに比例することが分かる。分配用連絡管12が長い場合は、圧力損失が増加することから、冷却液を供給するCoolant Distribution Unit(以下CDU)のポンプの能力を増やさないと、電子機器40全体を冷却することができない場合がある。すなわち、総延長が長くなるにつれて、同一の圧力で冷却液を供給するにはCDUの増強をしなくてはならない。そのため、分配用連絡管12を準備するコストだけでなく、CDUに関連する設備コストも増加する場合がある。本願発明により、分岐数を最適化すると、分配用連絡管12を調達するコストを最小化するとともに、CDUの設備コストも最低限とすることができる。
【0058】
分岐種類が多い組合せでは、圧力損失を統一するために、分配用連絡管12の管路長が最長のものに統一されるので、分配用連絡管12の総延長が長くなる。総配管数Rが40の場合、2×20の組合せ及び20×2の組合せでは、分岐種類は22であり、5×8の組合せ及び8×5の組合せにおける分岐種類である13と比べると、その種類の数が約7割増加する。
【0059】
分配用連絡管12の総延長について、2×20の組合せの場合(
図9参照)と5×8の組合せの場合(
図7及び8参照)とを計算すると、表3、4に示す結果となった。ただし、
図8に示すように第1階層の分配用配管11
1と第2階層の分配用配管11
2の距離W1、及び、第2階層の分配用配管11
2から電子機器40までの距離W2を10cmとする。また、第1階層の分配用配管111の中心から第二階層の分配用配管11
2の中心までの高さの差をH1とする。第2階層の分配用配管11
2-1~11
2-5のそれぞれと連結する電子機器40が8個分積み重なって設置される高さH2を30cmとし、電子機器40が40個全て積み重なって設けられる高さH3を150cmとしている。
(1)2×20の場合
【表3】
(3)5×8の場合
【表4】
【0060】
2×20の組合せにおける分配用連絡管12の総延長と、5×8の組合せにおける分配用連絡管12の総延長を比較すると、以下のようになる。
【表5】
【0061】
図7に示す分配器10aから、
図8に示す分配器10bのように同じ階層の分配用連絡管12の長さを最も長い分配用連絡管にあわせて調整すると、調整後の分配用連絡管12の総延長は250.7cm増加する。また、
図8に示す分配器10bと
図9に示す分配器10cとを比較すると、分配用連絡管12の総延長は596.1cm増加する。すなわち、2×20の組合せと5×8の組合せとを比較すると、2×20の組合せは分配用連絡管12の総延長の増分も大きく、分配用連絡管12の占有スペース及び分配用連絡管12のコストが増加する。
【0062】
図10に、総分岐数Rが40の場合の8×5の組合せで構成された分配器10dを示す。
図7に示す5×8の分配器10aと、
図10に示す8×5の分配器10dでは、分岐種類の和は同一で13である。
図10の分配器10dでは、第2階層で分岐した分配用連絡管12
2の数量は、
図7~
図9に示す構成と同じく40本である。しかしながら、第1階層で分岐する分配用連絡管12
1-1~12
1-8は8本であり、
図7に示す分配器10aの第1階層で分岐する分配用連絡管12
1-1~12
1-5の5本より多い。そのため、
図10に示す分配用連絡管12
1-1~12
1-8の長さを合計した数値は大きくなる。
図7に示す分配器10aのように、上流側にある分配用連絡管の本数を少なくさせた方が、分配用連絡管12による占有スペースが減少し、部品を調達するコストを低減させることができる。
【0063】
図7~
図10に示す分配器10a~10dでは、総分岐数Rが40で、階層数Tが2である場合を示したが、総分岐数R及び階層数Tはこれらに限定されず、他の数量であってもよい。例えば総分岐数Rが96で、階層数Tが2である場合は、式4で示される値αは約10となる。その値αに近い因数の組合せは(1)第1階層で分岐する分岐数B
1を8、第2階層で分岐する分岐数B
2が12となるか(2)分岐数B
1を12、岐数B
2を8とした場合である。上流側の階層でより少なくなるように分岐する組合せは、(1)分岐数B
1を8、分岐数B
2が12の組合せである。このように分岐数を設定することで、分配用連絡管の総延長を小さくすることができる。
【0064】
また、上記分岐数を設定する方法は、
図7に示す合流器20aにおける、各階層Mの合流数G
Mを求める際にも利用することができる。例えば
図7に示す合流器20aでは、総合流数V、階層数Mとすると、以下の式(式6)を用いて得られる値を利用して第M階層の合流用連絡管22
Mの合流数G
Mの組合せが設定される。
G
M ≒ V^(1/T) ・・・(Vの1/T乗)(式6)
ただし、Vは総合流数、Mは階層番号、Tは階層数である。総合流数Vが40である場合、第1階層の合流数×第2階層の合流数の組合せは、8×5の組合せと5×8組合せとなる。そして、8×5の組合せを適用することで、下流側の階層で合流数が少なくなり、合流用連絡管22
2による占有スペースが減少し、部品を調達するコストが低減される。
【0065】
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明したが、本出願はこれらの実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1、1a、1b、2 サーバ装置
10、10a、10b、10c、10d、110、210 分配器
11、111、112 分配用配管
12、121、122 分配用連絡管
13、131、132 分配層分配器
20、20a、120 合流器
21、211、212 合流用配管
22、221、222 合流用連絡管
23、231、232 合流層合流器
32 筐体
33 熱交換器
34 給水管
35 排水管
40 電子機器
41 プリント基板
42 集積回路
43 電気コネクタ
44 コールドプレート
45 パイプ
46 カプラ
47 流入口
48 排出口